JPH0949005A - 傾斜機能材料の製造方法 - Google Patents

傾斜機能材料の製造方法

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JPH0949005A
JPH0949005A JP22274195A JP22274195A JPH0949005A JP H0949005 A JPH0949005 A JP H0949005A JP 22274195 A JP22274195 A JP 22274195A JP 22274195 A JP22274195 A JP 22274195A JP H0949005 A JPH0949005 A JP H0949005A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属とセラミックス等を組合せた複合材料か
らなる均一混合粉末を用い、表面部に種々の緻密な傾斜
組織を容易かつ短時間で形成することができない。 【解決手段】 Cr基、Crを含む鉄基、Ni基又はC
o基合金に炭化物、窒化物等の硬質物が添加され、これ
らを均一混合粉末とした材料Aを用い、該材料Aを、型
内面が黒鉛によつて区画される成形型7,6,9内に入
れ、該材料Aに対して通電させながら部分的な液相状態
を与えて通電ホットプレス焼結を行い、表面部に、材料
Aの混合比と異なる不均一組織層を0.1mm厚さ以上
で生成させる傾斜機能材料の製造方法であつて、前記通
電ホットプレス焼結の条件を、成形型7,6,9の内面
温度1050〜1500℃、焼結開始初期の昇温速度6
0〜100℃/min、圧力100〜1000kgf/
cm2 の範囲に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、焼結により、表面部に
材料の混合比と異なる不均一組織層を創製する方法、詳
しくは、添加材を表面部に密に存在させた表面硬化層を
含む傾斜組織層を生成させる傾斜機能材料の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術及びその課題】傾斜機能材料は、各種機械
部品の耐摩・耐食材料として好適なため、種々、研究開
発されている。しかし、その多くは反応焼結を利用した
硬質物を数十%以上を含む硬質材料であり、靱性が低
い。
【0003】例えば、プラスチックスの射出成形機に使
用されている摩擦リング等の部品は、硬質の添加剤や腐
食作用のある添加剤を含む溶融樹脂中で他の金属材料部
品と摺動しながら使用されている。そのため、部材同士
のカジリによる凝着摩耗や樹脂中に含まれる硬質添加剤
によるアブレシブ摩耗、添加剤に含まれる腐食成分によ
る腐食作用を受ける。機械のメンテナンスフリーを目的
とした場合、摺動部が凝着摩耗して部材が損傷を受け、
また、発生した摩耗粉が成形樹脂中に混入することが大
きな問題であり、これを防止する強い要請がある。
【0004】凝着摩耗が少ない従来の材料としては、セ
ラミックス単体からなるものが知られているが、強度や
信頼性の点で問題が残る。また、比較的破壊靱性値の高
い超硬合金は、使用条件によつては金属材料との凝着が
多くなる問題点がある。更に、使用される摺動部によつ
ては、一つの部品であつてもある部位はアブレシブな摩
耗で減少することが望ましく、他の部位では潤滑性が必
要となるなどの異なつた特性が要求される場合がある。
このような要求を満足させるために、(1)2つ以上の
材料を組合せ接合し、(2)部位別の表面処理を施し、
(3)傾斜機能材料を使用する等が必要である。
【0005】この内の傾斜機能材料の創製方法として
は、(1)溶射等の手段によつて組成の異なる混合粉末
を順に積層形成させる方法、(2)傾斜組成になるよう
に各種組成の混合粉末を順に充填し、焼結させる方法等
が知られている。しかしながら、これらの製造方法にあ
つては、一般に製造工程が複雑になる。
【0006】従来の傾斜機能材料の製造方法として、例
えば特公平6−102803号公報に記載されるものが
知られている。これは、黒鉛の成形型本体と上下の押し
型とで成形型を区画し、この成形型内に材料を配置す
る。そして、材料に直流パルスを印加し、ホットプレス
法により焼結している。材料は、金属粉末100%から
順次セラミック成分を増やした混合粉末を経て、セラミ
ック粉末100%までを連続或いはステップ状に配置し
ている。また、上下の押し型は、金属粉末及びセラミッ
ク粉末の融点と所定の関係を与えて熱伝導率を相違さ
せ、放熱量を異ならせて材料の加圧方向での温度に勾配
を付けている。しかしながら、このような従来の傾斜機
能材料の製造方法にあつては、成形型内に組成の異なる
混合粉末を積層させなければならず、材料のセット作業
が煩雑であり、製造能率及び品質の安定性に劣る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような従
来の技術的課題に鑑みてなされたものであり、その構成
は、次の通りである。請求項1の発明の構成は、Cr
基、Crを含む鉄基、Ni基又はCo基合金に炭化物、
窒化物等の硬質物が添加され、これらを均一混合粉末と
した材料Aを用い、該材料Aを、型内面が黒鉛によつて
区画される成形型7,6,9内に入れ、該材料Aに対し
て通電させながら部分的な液相状態を与えて通電ホット
プレス焼結を行い、焼結材A1 の表面部に、材料Aの混
合比と異なる不均一組織層を0.1mm厚さ以上で生成
させる傾斜機能材料の製造方法であつて、前記通電ホッ
トプレス焼結の条件を、焼結開始初期の昇温速度60〜
100℃/min、圧力100〜1000kgf/cm
2 、成形型7,6,9の内面温度1050〜1500℃
の範囲に設定することを特徴とする傾斜機能材料の製造
方法である。請求項2の発明の構成は、通電ホットプレ
ス焼結が、焼結初期には加圧している材料Aにオンオフ
直流パルスを印加し、また、昇温焼結時には、10V前
後の電圧で300〜3000A/cm2 の電流を流して
行われることを特徴とする請求項1の傾斜機能材料の製
造方法である。
【0008】
【作用】請求項1の発明によれば、型内面を黒鉛によつ
て区画させ、通電ホットプレス焼結の条件を所定の範囲
に設定することにより、均一混合粉末とした所定の材料
Aに対し、焼結材A1 の表面部に、材料Aの混合比と異
なる不均一組織層を0.1mm厚さ以上で生成させた傾
斜機能材料を製造することができる。材料Aの混合比と
異なる不均一組織層を有する焼結材としては、(1)焼
結体表面部が正傾斜組織層、(2)表面部が逆傾斜組織
層、(3)硬質物を表面部に密に存在させた表面密集層
がある。
【0009】請求項2によれば、通電ホットプレスによ
り、焼結初期には加圧している材料Aにオンオフ直流パ
ルスを印加し、ジュール熱及び粉体粒子間隙で生じる放
電現象によつて粉体表面を活性化させ、また、昇温焼結
時には、10V前後の電圧で300〜3000A/cm
2 の電流を流し、ジュール熱によつて黒鉛製の成形型及
び材料Aを高温にして、成形と焼結を短時間に行う。こ
れにより、傾斜機能材料の製造を更に能率的に行うと共
に、残留応力の低減を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。図1は、本発明の1実施の
形態に使用する装置を示す。図中において符号1は下部
加圧板を示し、下部加圧板1の上方にタイロッド2,2
によつて連結した上部加圧板3が配置されている。下部
加圧板1の上には加圧装置4が配置され、加圧装置4の
上には下部電極5を介して下押し型6が配置されてい
る。加圧装置4は、加圧力制御装置17によつて制御さ
れながら駆動される。この下押し型6の上部は、筒状を
なす成形型本体7内に摺動自在に嵌入している。また、
上部加圧板3の下面に固設した上部電極8の下面に上押
し型9が固設され、この上押し型9の下部が成形型本体
7内に摺動自在に嵌入している。
【0011】しかして、成形型本体7内の下・上押し型
6,9の間に材料Aを入れ、加圧装置4を作動されば、
下押し型6が昇降駆動されるので、加圧力制御装置17
によつて制御しながら下・上押し型6,9によつて材料
Aを所定の加圧力で加圧することができる。一方、両電
極5,8には、電源10が接続されているので、両電極
5,8及び下・上押し型6,9を介して、材料Aにパル
ス電流を印加し、また、所定電圧の電流に切り換えて流
すことができる。電源10は、直流のノコギリ波重畳電
流を図上で上から下に向けて流すことができる。なお、
直流パルス電流に代えて、交流のパルス電流を印加する
ことも可能である。
【0012】この材料Aの区画面は、黒鉛によつて形成
されている。すなわち、成形型本体7を黒鉛製とし、下
・上押し型6,9を高剛性かつ導電性を有する材料で形
成し、下・上押し型6,9の先端である型内面に、黒鉛
シート12,13(厚さ0.2mmm程度)を介在させ
てある。黒鉛シート12,13は、離型を容易にすると
共に傾斜組織層の生成を促す作用を有する。勿論、成形
型本体7及び下・上押し型6,9の全てを黒鉛製とし、
或いは黒鉛以外で製作した成形型本体7の型内面に、黒
鉛シートを介在させることも可能である。
【0013】ここで、材料Aは、ベース金属粉末に所定
量の添加剤粉末を添加し、これを均一に混合させたもの
である。ベース金属は、Cr基合金、Crを含む鉄基合
金、Ni基合金又はCo基合金である。また、添加剤
は、炭化物、窒化物等の硬質物であり、通常はセラミッ
クスが使用される。
【0014】成形型本体7内の下・上押し型6,9の間
に入れた材料Aは、材料Aの温度を推定する目的で型表
面部の温度を検出し、昇温速度及び材料Aの温度を所定
範囲に制御しながら、所定圧力として通電ホットプレス
焼結を行う。このため、成形型本体7の表面部に熱電対
14を埋め込み、型表面温度を測定している。しかし
て、熱電対14による測定値に基づいて、温度制御器1
6を介して電源10からの電流を制御することにより、
材料Aの温度を制御する。また、成形型本体7及び下・
上押し型6,9は、気密容器18で覆い、気密容器18
の内部を真空排気装置19によつて約10-3Torrに
減圧できるようになつている。なお、気密容器18の内
部に水素、アルゴン(その他の不活性ガス)を満たすこ
とも可能である。
【0015】本発明者は、通電ホットプレス焼結による
複合材の焼結研究を行い、次の条件を満たすことによ
り、材料Aの表面部に、添加材を密に存在させた表面硬
化層を含む傾斜組織層を生成させた傾斜機能材料を得る
ことができることを見出した。その条件は、焼結開始初
期の昇温速度60〜100℃/min、圧力100〜1
000kgf/cm2 、昇温焼結時の成形型7,6,9
の内面温度1050〜1500℃(材料Aに与える制御
温度(最高温度)が、材料Aの融点の60〜90%)で
ある。成形型本体7及び下・上押し型6,9の内面温度
が1050℃以下では、材料Aは溶接(焼結)せず、1
500℃以上では材料A全体が溶融する。これらの条件
を満たすことにより、材料Aに部分的に液相ホットプレ
ス焼結、つまり固液共存に近い焼結条件(液相加圧抵抗
焼結)を与えることが可能となる。これにより、材料A
の表面部のみに局部加熱が与えられ、表面部に0.1m
m以上の材料Aの混合比と異なる不均一組織層を生成さ
せることができる。この材料Aの混合比と異なる不均一
組織層が、添加材を表面部に密に存在させた表面硬化層
を含む傾斜組織層(正逆傾斜)である。このような材料
Aの混合比と異なる不均一組織層は、主として下・上押
し型6,9に付属する黒鉛シート12,13に沿つて上
下部に生ずる。
【0016】材料Aの混合比と異なる不均一組織層を生
成させるに際しては、成形型本体7内の下・上押し型
6,9の間に材料Aを入れ、通電ホットプレスを行う。
先ず、加圧装置4を作動させて下・上押し型6,9によ
つて材料Aを100〜1000kgf/cm2 の圧力で
加圧し、かつ、成形型本体7及び下・上押し型6,9を
収容する気密容器18の内部を真空排気装置19によつ
て5×10-3Torr以下に減圧する。この状態から施
す通電ホットプレスは、本質的には従来周知のホットプ
レスと近似している。通電ホットプレスの原理は、焼結
初期には加圧かつ減圧状態の材料Aにオンオフ直流パル
スを印加し、また、昇温焼結時には、10V前後の電圧
で300〜3000A/cm2 の電流を流し、ジュール
熱によつて黒鉛製の成形型7,6,9及び材料Aを高温
(成形型7,6,9の内面温度1050〜1500℃)
にして、材料Aに対する成形及び焼結を短時間に行うも
のである。これにより、傾斜機能材料の製造を能率的に
行うと共に、残留応力の低減を図ることができる。な
お、下・上押し型6,9として熱伝導率の異なる材料を
使用することにより、材料A内の加圧軸方向の温度に傾
斜をつけることが可能である。
【0017】このように、下・上押し型6,9を通じて
材料Aに流す電流は、直流とし、かつ、焼結初期には連
続でなくパルス状とする。これにより、単にジュール熱
による効果だけでなく、瞬間的に高い電気エネルギーの
投入による粒間での放電効果、更にそれに付随した放電
プラズマの効果が重畳され、粉末粒子表面が著しく活性
化されるため、低い温度で短時間に焼結させることがで
きる。これに対し、焼結初期に、直流若しくは交流又は
これらの重畳した電流を連続して流した場合は、専ら材
料の電気抵抗を利用してジュール熱により焼結すること
になり、投入エネルギーに対して効率良く焼結できる
が、材料の焼結温度自体を低くして傾斜機能材料の製造
を行うという効果は期待できない。
【0018】通電ホットプレス中の材料Aには、融点の
60〜90%の制御温度を与え、部分的な液相状態を与
えるために、昇温状態で成形型7,6,9の内面温度が
1050〜1500℃の範囲となるように設定する。こ
のため、成形型本体7の内面温度と型表面温度との関係
を求めた。すなわち、図2に示すように成形型本体7の
外型D=60mm、型内径d=25mm、型表面温度の
測定位置O(熱電対14の設置箇所)は型表面からL1
=3mm、型内面温度の測定位置I(熱電対の設置箇
所)は型内面からL2 =1.5mmとした。
【0019】図3に焼結時の黒鉛製の成形型本体7の表
面温度と型内面温度の測定結果を示す。図3からも分か
るように型内径d=25mmの実験用の成形型本体7で
は、型表面温度975℃のときに型内面温度は1138
℃で、成形型本体7に配置した熱電対間の距離は13m
mで、それによる温度差は163℃あつた。そして、型
内面温度の測定位置Iは、型内面から1.5mm距離が
あるので、材料Aの温度は更に高いと考えられる。材料
A(SUS630)の温度は、部分的に溶融しているの
で、実際は200℃以上は高い(SUS630の融点は
1400℃程度)ものと推定される。それ故、材料Aで
は、測定位置Oでの型表面温度が900℃以下では、表
面部の部分溶融を得られないと考えられる。従つて、測
定位置Iでの型内面温度を1050℃以上とする。換言
すれば、測定位置Iでの型内面温度を、材料Aの融点の
60〜90%の範囲に設定するのが適当である。
【0020】また、焼結開始初期の昇温速度60〜10
0℃/min、圧力100〜1000kgf/cm2
して、部分的な液相状態を与えた通電ホットプレス焼結
とするのは、条件を種々異ならせて行つた実験の結果で
ある。すなわち、昇温速度については、焼結開始初期の
昇温速度60℃/min以上とした場合に、急速加熱に
よる表面部のみの部分的な溶融が生じた。これは、パル
ス電流による急速加熱により、局部的に材料Aの表面部
の温度が高くなるためであると推定される。ちなみに、
通常の真空焼結時の昇温速度は高々30℃/min程度
で急速加熱とはいえず、表面部で反応を生じさせる別途
の手段を採らない限り、傾斜機能材料の製造に必要な表
面部のみの部分的な溶融は生じ難い。一方、焼結開始初
期の昇温速度が100℃/min以上では、表面部の全
体的溶融を生じてしまう。
【0021】また、圧力は、100〜1000kgf/
cm2 の範囲に設定することで、表面部に、材料Aの混
合比と異なる不均一組織層が0.1mm厚さ以上で生成
した。しかしながら、100kgf/cm2 未満ではホ
ットプレス効果が小さく、また、1000kgf/cm
2 を超えた場合には、黒鉛製の成形型本体7が損傷を受
ける恐れがある。また、成形型本体7の型内径d=20
〜25mm、焼結材の中心軸線方向の厚さ5〜6mmと
して、傾斜組織層の形成実績が0.6mm程度であり、
厚さ方向で1.6〜10%程度の傾斜組織層を生成させ
ることが可能である。従つて、材料Aの混合比と異なる
不均一組織層を0.1mm厚さ以上で生成させることは
可能である。
【0022】このようにして、合金とセラミックス等を
組合せた複合材料の通電ホットプレス焼結において、均
一混合粉末を使用し、焼結条件を制御することにより、
表面部に色々な傾斜組織を容易に短時間で焼結できる。
また、この方法により製作される傾斜機能材料は、成形
型内に組成の異なる混合粉末を積層させて製作される傾
斜機能材料と比較して、緻密な組織を有している。
【0023】図4〜図6は、材料Aの混合比と異なる不
均一組織層を実際に生成させた傾斜機能材料の組織を示
す顕微鏡写真であり、図7に示す傾斜機能材料の組織と
同一倍率になつている。図4は、焼結体表面部に正傾
斜、つまり表面部(図上で左部)に添加した硬質物(濃
い灰色に見える部分)が密で内部に行くに従つて硬質物
が粗になり、内部は均一分散材料になるものを示し、図
5は、表面部に逆傾斜、つまり表面部に硬質物が粗で、
少し内部に行くに従つて硬質物が密になり、また内部で
均一分散材料になるものを示し、図6は、硬質物を表面
部に密に存在させた表面密集層を生成させたものを示
す。なお、図4,図5及び図7に示す表面部反応層は、
加工除去する部分である。
【0024】実験は、材料Aに対して焼結条件を種々異
ならせて行つた。この焼結条件は、昇温速度:70〜9
0℃/min、加圧力:100〜500kgf/c
2 、温度:900〜1050℃(型表面温度)とし
た。そして、材料Aの組成として、Crを含むFe合金
(ステンレス鋼等)に、添加する硬質物としてTiC、
TiCN、TiB2 を用いた場合に、材料Aの混合比と
異なる不均一組織層が種々良好に生じた。
【0025】
【実施例】合金として平均粒径9μmのステンレス鋼粉
末、硬質物として10重量%のチタン炭窒化物(TiC
N)を遊星型ボールミルで有機溶媒中で湿式混合を行
い、均一混合粉末としたものを材料Aとして用いた。内
径25mm、外径60mm、高さ50mmの黒鉛製の成
形型本体7内に、材料Aを20g充填し、下・上押し型
6,9の押圧面に厚さ0.2mmの黒鉛シート12,1
3をそれぞれ介在させてセットし、材料Aの全体を50
0kgf/cm2 まで加圧し、気密容器18の内部を減
圧状態として通電を開始し通電ホットプレス焼結を行つ
た。加圧している粉末の材料Aにオンオフ直流パルスを
印加する焼結初期を経て、昇温焼結時の温度は、成形型
本体7の外表面から3mmの箇所に挿入した熱電対14
によつて検出し、960℃とした。960℃での焼結時
間は5分であつた。
【0026】このようにして表面部に傾斜組織層(正傾
斜)を生成させた焼結材A1 の組織を図7に示す。ま
た、同材の断面硬さを図8に示す。焼結材A1 の硬さ
は、Hmv(200)600〜1000程度であつた。
また、焼結材A1 の表面部の断面組織観察によれば、こ
の表面部に生成したCrとCの反応層(白層)の厚さは
30μm程度、硬質物が分散した傾斜組織層の厚さは2
00〜300μm程度であつた。図7において、Crと
Cの表面部反応層は、加工除去するので、これによつて
現れた傾斜組織層の表面を摺動面として使用する。
【0027】表面部での反応過程から焼結の機構を推定
すると、合金としてステンレス鋼を主体とする粉末を用
いた場合、焼結体上下で黒鉛シート12,13のCと材
料Aの主成分であるステンレス鋼中のCrとが反応して
Cr炭化物が生成する。そのため、表面部が部分溶融
(加圧しているため溶湯鍛造に近い焼結条件になり、液
相が生成すると外部に流出し易いと考えられる。)し、
一部外部に流出する場合もあるが、各種炭化物、炭窒化
物(TiC、TiCN等)が反応した液相の流出を阻害
し、この流出阻害の仕方又は型内の温度傾斜によつて、
焼結体の上下表面部に材料Aの混合比と異なる不均一組
織層(添加材を表面部に密に存在させた表面硬化層を含
む傾斜組織層(正傾斜・逆傾斜))が生成すると考えら
れる。観察結果によれば、流出した液相はCrとCの反
応物でTi化合物は存在しない。
【0028】また、表面に傾斜組織層が形成される温度
的な原因は、放電焼結時の材料A、黒鉛製の成形型7,
6,9の温度分布が均一でないためと推定される。ま
た、局部的に液相が発生するのは、前記の温度測定結果
から分かるように黒鉛製の成形型7,6,9の内面の材
料Aに接する部分の温度が、電流の表皮効果、反応熱、
型内部の温度勾配等によつて部分的に高くなるためと考
えられる。
【0029】図9に焼結材A1 を固定試片とした大越式
摩耗試験結果を示す。試験条件は、回転試片のリング材
SUS440C(HRC56±1)、滑り速度0.46
m/s、滑り距離200mm、最終荷重18.9kg、
室温、無潤滑とした。同図において白塗り部分が回転試
片摩耗量を示し、黒塗り部分が固定試片摩耗量を示す。
同図から、本発明焼結材A1 は、ステンレス焼結体(S
US焼結材)に比較して優れた耐摩耗性を示し、窒化珪
素に近い耐摩耗性を有すると共に、超硬合金及びSUS
+30%TiC複合材と比較しても、回転試片摩耗量が
減少していることが分かる。なお、図9において本発明
焼結材A1 は、表面部反応層を除去した後の傾斜組織層
の耐摩耗性を示している。
【0030】
【発明の効果】以上の説明によつて理解されるように、
本発明によれば、所定の複合材料からなる均一混合粉末
を用い、焼結条件を制御して通電ホットプレス焼結を施
すことにより、表面部に種々の傾斜組織を容易かつ短時
間で形成できる。また、従来の傾斜機能材料に比して、
緻密な組織を与えることができる。その結果、部材同士
のカジリによる凝着摩耗や樹脂中に含まれる硬質な添加
剤によるアブレシブ摩耗、添加剤に含まれる腐食成分に
よる腐食作用を適当に抑制し、所要の耐摩・耐食性を有
する各種機械部品を安定的に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施の形態にかかる通電ホットプ
レス焼結装置を一部断面で示す概略図。
【図2】 同じく成形型本体を示す平面図。
【図3】 同じく型表面温度−型内面温度特性を示す線
図。
【図4】 同じく焼結材の表面部の断面組織(正傾斜)
を示す顕微鏡写真。
【図5】 同じく焼結材の表面部の断面組織(逆傾斜)
を示す顕微鏡写真。
【図6】 同じく焼結材の表面部の断面組織(表面密集
層)を示す顕微鏡写真。
【図7】 同じく焼結材の表面部の断面組織を示す断面
図。
【図8】 同じく焼結材の表面からの距離−硬さ特性を
示す線図。
【図9】 同じく焼結材の大越式摩耗試験結果を示す
図。
【符号の説明】
6:下押し型(成形型)、7:成形型本体(成形型)、
9:上押し型(成形型)、A:材料、A1 :焼結材。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Cr基、Crを含む鉄基、Ni基又はC
    o基合金に炭化物、窒化物等の硬質物が添加され、これ
    らを均一混合粉末とした材料(A)を用い、該材料
    (A)を、型内面が黒鉛によつて区画される成形型
    (7,6,9)内に入れ、該材料(A)に対して通電さ
    せながら部分的な液相状態を与えて通電ホットプレス焼
    結を行い、焼結材(A1 )の表面部に、材料(A)の混
    合比と異なる不均一組織層を0.1mm厚さ以上で生成
    させる傾斜機能材料の製造方法であつて、前記通電ホッ
    トプレス焼結の条件を、焼結開始初期の昇温速度60〜
    100℃/min、圧力100〜1000kgf/cm
    2 、成形型(7,6,9)の内面温度1050〜150
    0℃の範囲に設定することを特徴とする傾斜機能材料の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 通電ホットプレス焼結が、焼結初期には
    加圧している材料(A)にオンオフ直流パルスを印加
    し、また、昇温焼結時には、10V前後の電圧で300
    〜3000A/cm2 の電流を流して行われることを特
    徴とする請求項1の傾斜機能材料の製造方法。
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