JP2013024195A - 排気昇温装置および排気昇温方法 - Google Patents

排気昇温装置および排気昇温方法 Download PDF

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Abstract

【課題】未燃の排気ガスの排出を回避しつつフィルタ再生処理を行う。
【解決手段】本発明の排気昇温装置140は、ディーゼルエンジン100の排気経路110において、排気ガスを酸化するディーゼル酸化触媒130の前段に配置され、燃料を燃焼するバーナ装置200と、ディーゼル酸化触媒への流入前の排気ガスの温度を検知する温度検知部204と、検知された排気ガスの温度が予め定められた値を超えると、バーナ装置を作動状態にするバーナ制御部206とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料を燃焼させてディーゼルエンジンの排気ガスを昇温する排気昇温装置および排気昇温方法に関する。
近年、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる煤等の粒子状物質(PM:Particulate Matter)を除去するパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)が普及している。このパティキュレートフィルタに粒子状物質が堆積すると目詰まりを起こす。その場合、排気ガスを昇温し堆積した粒子状物質を燃焼させるフィルタ再生処理が必要となる。そこで、排気経路におけるパティキュレートフィルタの前段に、燃料を燃焼して排気ガスを昇温するディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)が設けられている。
しかし、ディーゼル酸化触媒は、エンジンの始動時や低負荷時等、排気ガスの温度が低く酸化が促進される活性温度に達していない間、排気ガスを昇温できず、その後段のパティキュレートフィルタにおいてフィルタ再生処理を行うことができない。そこで、ディーゼル酸化触媒に燃料を供給してディーゼル酸化触媒を昇温し、ディーゼル酸化触媒の入口温度が予め設定された触媒活性温度範囲内となった後、ディーゼル酸化触媒にさらに燃料を供給して排気ガスを昇温してパティキュレートフィルタのフィルタ再生処理を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2010−144525号公報
ところで、本願発明者は、ディーゼルエンジンの排気経路のディーゼル酸化触媒の前段において排気ガスを分流し流速を抑制して、流速が抑制された排気ガス中に配置された触媒であるバーナ触媒で燃料を燃焼させ、昇温した排気ガスをディーゼル酸化触媒へ戻すことで排気ガスの昇温を助勢する構成を検討している。しかし、この構成において、ディーゼル酸化触媒が活性温度未満の場合、バーナ触媒で燃焼しきれなかった未燃の燃料ガスがディーゼル酸化触媒でも酸化されず、外部に排気されてしまうおそれがある。
上述した特許文献1の技術においても、ディーゼル酸化触媒を活性化するために、ディーゼル酸化触媒が活性温度未満であるにも拘らず燃料を供給しているため、燃料が酸化しきれずに外部に排気されてしまう可能性がある。
本発明は、このような課題に鑑み、未燃の排気ガスの排出を回避しつつフィルタ再生処理を行うことが可能な、排気昇温装置および排気昇温方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の排気昇温装置は、エンジンの排気経路において、排気ガスを酸化するディーゼル酸化触媒の前段に配置され、燃料を燃焼するバーナ装置と、ディーゼル酸化触媒への流入前の排気ガスの温度を検知する温度検知部と、バーナ装置の作動指令を受けたとき、検知された排気ガスの温度が予め定められた値を超えている場合、バーナ装置を作動状態にするバーナ制御部とを備えることを特徴とする。
上記排気昇温装置は、排気ガスの粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタに堆積した粒子状物質の量を検知するPM検知部をさらに備え、バーナ制御部は、検知された粒子状物質の量が予め定められた値を超えると、排気ガスの温度に拘わらず、バーナ装置を作動状態にしてもよい。
上記課題を解決するために、エンジンの排気経路において、排気ガスを酸化するディーゼル酸化触媒の前段に配置され、燃料を燃焼するバーナ装置を用いて排気ガスを昇温する本発明の排気昇温方法は、ディーゼル酸化触媒への流入前の排気ガスの温度を検知し、バーナ装置の作動指令を受けたとき、検知された排気ガスの温度が予め定められた値を超えている場合、バーナ装置を作動状態にすることを特徴とする。
本発明によれば、未燃の排気ガスの排出を回避しつつフィルタ再生処理を行うことが可能となる。
ディーゼルエンジンの排気構造を説明するための説明図である。 排気昇温装置の構造を説明するための説明図である。 排気昇温装置の構造を説明するための説明図である。 燃料供給開始からの時間経過と排気ガス中の未燃の燃料ガスの量の関係を説明するための説明図である。 排気昇温方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、ディーゼルエンジン100の排気構造を説明するための説明図である。図1(a)に示すように、ディーゼルエンジン100は、ピストンによってシリンダ内の空気を圧縮して高温高圧化し、燃料タンク102に蓄えられた、軽油、および重油等の燃料を燃料ポンプ104や噴射ポンプ106で昇圧して噴射し、爆発を起こして、その爆発によって生じるエネルギーを動力に変えるレシプロエンジンである。過給機108は、ディーゼルエンジン100の排気ガスのエネルギーでタービンを回転し、吸気を圧縮して吸気圧を高めることでエンジン出力を向上する装置である。
排気経路110は、ディーゼルエンジン100から排出された排気ガスを外部に排気するための配管112によって形成され、配管112の一端部がディーゼルエンジン100の排気口と接続され、他端部がディーゼル酸化触媒130に接続される。パティキュレートフィルタ120は、ディーゼルエンジン100の排気ガスに含まれる煤等の粒子状物質を、例えば、10ミクロン程度の孔で捕集して除去する、セラミックや金属のフィルタで構成される。パティキュレートフィルタ120のフィルタ120aは、図1(b)の断面図に示すように、粒子状物質122が堆積し過ぎると目詰まり124を起こす。目詰まり124は排気圧の上昇を招き燃費の悪化や出力低下につながる。
ディーゼル酸化触媒130は、ディーゼルエンジン100とパティキュレートフィルタ120の間に設けられ、例えばプラチナ、パラジウム等の触媒で構成され、ディーゼルエンジン100の排気ガス中に含まれる酸素を利用し未燃の燃料を触媒燃焼させることによって排気ガスを昇温する。昇温された排気ガスは、後段のパティキュレートフィルタ120に流れ、パティキュレートフィルタ120に堆積した粒子状物質122を燃やし二酸化炭素として排気させ、パティキュレートフィルタ120の目詰まりを解消する(フィルタ再生処理)。
このようなフィルタ再生処理は、パティキュレートフィルタ120が目詰まりを起こしたとき、例えば、目詰まりが解消されるまで実行されるバッチ処理である。しかし、ディーゼル酸化触媒130は、ディーゼルエンジン100の始動時や低負荷時等、排気ガスの温度が低く酸化が促進される活性温度に達していない間、排気ガスを昇温できず、その後段のパティキュレートフィルタ120においてフィルタ再生処理を行うことができない。そこで、本願発明者は、排気経路110の排気ガスを分流し流速を抑制して、流速が抑制された排気ガス中に配置された触媒を備える排気昇温装置140で燃料を燃焼させ、昇温した排気ガスを排気経路110に戻すことでディーゼル酸化触媒130の昇温を助勢する構成を検討している。
しかし、この構成において、ディーゼル酸化触媒が活性温度未満の場合、バーナ触媒で燃焼しきれなかった未燃の燃料ガスがディーゼル酸化触媒でも酸化されず、外部に排気されてしまうおそれがある。そこで、未燃の排気ガスの排出を回避しつつフィルタ再生処理を行うことが可能な排気昇温装置140について詳述する。
(排気昇温装置140)
図2、3は、排気昇温装置140の構造を説明するための説明図である。図2に示すように、排気昇温装置140は、バーナ装置200と、指令生成部202と、温度検知部204と、バーナ制御部206と、PM検知部208とを備える。
バーナ装置200は、エンジンの排気経路において、排気ガスを酸化するディーゼル酸化触媒の前段に配置され、燃料を燃焼する。具体的に、バーナ装置200は、流入路210と、燃焼室212と、バーナ触媒214と、燃焼燃料供給部216と、仕切部材218と、火炎加熱部220とを備える。
流入路210は、排気経路110から分流した排気ガス(Exhausted Gas:図中、Exh.Gasで示す)が、排気経路110を流れる排気ガスの流量の20%程度流入する。燃焼室212は、流入路210からの排気ガスと燃料との混合気を燃焼するための領域であり、仕切部材218、260と、排気昇温装置140の外形を形成する外壁230と、配管112の外周面に相当する開口部232とで囲まれている。
バーナ触媒214は、基材(図示せず)と、その基材を覆う例えばプラチナ、パラジウム等の触媒のコーディング材で構成され、燃焼室212内に設けられており、混合気の燃焼を促進する。ここでは、より触媒燃焼を促進するため、バーナ触媒214を2重に配置しているが1重としてもよいし、3重以上としてもよい。燃焼燃料供給部216は、例えば燃料噴射装置(インジェクタ)で構成され、燃焼室212内に燃料を霧状に噴霧して、バーナ触媒214に燃料を供給する。
仕切部材218は、孔218aと共に燃焼流量制限機構として機能する。燃焼流量制限機構は、流入路210と燃焼室212とを隔て、流入路210から燃焼室212へ流入する流量を、例えば、流入路210を流れる排気ガスの流量の80%程度、すなわち排気経路110を流れる排気ガスの流量の16%程度に制限する。具体的に、燃焼流量制限機構は、孔218a(図3(a)のXX断面図参照)が開いており、この孔218aを介して流入路210から燃焼室212に流入する排気ガスの流量を制限することによって、燃焼室212内の排気ガスの流速が抑制される。
かかる流速を抑制する構成により、バーナ触媒214による触媒燃焼が安定化する。そのため、流速を抑制する構成を取らない場合より、低温、低酸素濃度の排気ガスでも、バーナ触媒214は、触媒燃焼を開始可能となる。また、本実施形態の排気昇温装置140は、さらに触媒燃焼を迅速に開始するため、火炎加熱部220を備える。
火炎加熱部220は、バーナ触媒214を火炎や高温の排気ガスで加熱する。火炎加熱部220は、火炎生成室250と、火炎燃料供給部252と、着火部254と、燃料保持部256と、仕切部材258、260と、邪魔板262とを含んで構成される。
火炎生成室250は、バーナ触媒214を加熱するための火炎が生成されるための領域であり、火炎流量制限機構である仕切部材258、260と外壁230とで囲まれる。火炎燃料供給部252は、例えば燃料噴射装置で構成され、火炎生成室250に燃料を供給する。着火部254は、燃料(液体燃料を用いる場合、着火部254の熱で液体燃料が気化した燃料)と排気ガスとの混合気を、着火温度以上に加熱して着火させるグロープラグで構成されている。燃料保持部256は、例えば、金網、焼結金属、金属繊維、ガラス布、セラミック多孔体、セラミックファイバ、軽石等によって形成され、着火部254の先端に設置され、火炎燃料供給部252から供給された燃料を燃焼するまで一時的に保持する。
仕切部材258は、流入路210と火炎生成室250とを隔て、仕切部材260は、火炎生成室250と燃焼室212とを隔てる。そして、仕切部材258、260は、それぞれに設けられた孔258a、260aに基づいて、火炎流量制限機構として機能する。火炎流量制限機構は、火炎生成室250への流入流量および火炎生成室250からの流出流量のいずれか一方または両方を制限する。例えば、火炎流量制限機構は、火炎生成室250に流入する流量を、流入路210を流れる排気ガスの流量の20%程度、すなわち排気経路110を流れる排気ガスの流量の4%程度に制限する。
具体的に、火炎流量制限機構は、孔258a(図3(b)のYY断面図参照)を通じて流入路210から火炎生成室250に排気ガスを通気可能とし、孔260aによって火炎生成室250から燃焼室212に燃焼後の排気ガスを通気可能としており、この孔258a、260aを介して火炎生成室250への流入流量および火炎生成室250からの流出流量を制限することによって、火炎生成室250内の排気ガスの流速が抑制される。
邪魔板262は、流入路210から流入する排気ガスの着火部254に直接衝突する流路を妨げるように配置される。かかる構成により、着火部254付近の排気ガスや混合気の流速を抑制でき、着火性が向上する。
続いて、排気昇温装置140における排気ガスの流れを説明する。流入路210に分流した排気ガスは、燃焼室212および火炎生成室250に流入する。火炎生成室250では、着火部254が、着火温度以上に加熱され、排気ガスと燃料の混合気を着火し燃焼して火炎を生成する。
火炎生成室250における燃焼後の排気ガスは、孔260aを通過して、燃焼室212に流入し、バーナ触媒214を加熱する。また、火炎生成室250で生成された火炎も、孔260aを通ってバーナ触媒214を加熱する。バーナ触媒214は、活性温度以上に加熱されると、燃焼燃料供給部216から供給された燃料と、孔218aから流入した排気ガスとが混合した混合気を触媒燃焼させる。そして、燃焼後の高温の排気ガス(図中、Heated Exh.Gasで示す)は、排気経路110に流入し、排気経路110を通過する排気ガスの温度を高める。
このように、本実施形態のバーナ装置200は、火炎流量制限機構や燃焼流量制限機構を備える構成により、ディーゼルエンジン100が高回転であっても、火炎生成室250や燃焼室212では排気ガスの流速が抑制され着火性や保炎性を向上できるため、バーナ触媒214を昇温して触媒燃焼を安定化することが可能となる。そのため、燃焼室212から流出した高温の排気ガスで排気経路110の排気ガスを昇温し、後段のディーゼル酸化触媒130を迅速かつ確実に活性温度まで昇温することができる。
また、例えば、排気ガスの酸素濃度が低い場合、仮に、酸素を補充すべく酸素を供給する機構を設けるとなると、排気経路110の圧力より高圧で酸素を供給しなければならず、大幅にコストがかかってしまう。しかし、排気昇温装置140は、混合気の流速を抑制することで触媒燃焼が安定しているため、排気ガスの酸素濃度が低い場合であっても、酸素を供給する機構を設ける必要がなく、低コスト化を図ることができる。
指令生成部202は、例えば、経過期間、走行距離、ディーゼルエンジン100の総回転数、燃料総使用量等の、前回、フィルタ再生処理を行ってからの変化量、またはパティキュレートフィルタ120に堆積した粒子状物質の絶対量のいずれかの状態量を取得し、取得した状態量が予め定められた第1閾値を超えると、バーナ装置200を作動させる指令である作動指令を後述するバーナ制御部206に出力する。
指令生成部202は、状態量が経過時間であればタイマから取得した現在時刻と、前回フィルタ再生処理を行ったときに取得した時刻との差分から、前回フィルタ再生処理を行ってからの経過時間を導出する。また、指令生成部202は、状態量が走行距離であれば、ディーゼルエンジン100を搭載した車両の制御部から取得した総走行距離と、前回フィルタ再生処理を行ったときに取得した総走行距離との差分から、前回フィルタ再生処理を行ってからの走行距離を導出する。また、指令生成部202は、状態量が粒子状物質の堆積量であれば後述するPM検知部208から状態量を取得する。
本実施形態において、指令生成部202は、1種類の状態量を取得するとして説明したが、例えば、複数の種類の状態量を取得し、いずれか1種類の状態量が第1閾値を超えていれば作動指令を出力したり、予め定められた数の種類の状態量が第1閾値を超えていれば作動指令を出力するとしてもよい。
図4は、燃料供給開始からの時間経過と排気ガス中の未燃の燃料ガスの量の関係を説明するための説明図である。図4において、縦軸は排気ガス中に含まれる未燃の燃料ガスである炭化水素の総量(THC:Total Hydro-Carbon)を示し、横軸は燃焼燃料供給部216および火炎燃料供給部252が燃料の供給を開始してからの経過時間(秒)を示す。また、凡例に付された数値は、フィルタ再生処理のための燃料供給開始時におけるディーゼル酸化触媒130への流入前の排気ガスの温度を示す。例えば、凡例A240の場合、排気ガスの温度は240°Cとなる。
図4に示すように、凡例A240では、未燃の燃料ガスの排出量が0に漸近するまでに比較的短い時間しかかかっていない。しかし、凡例A230、A220、A190、A140と、燃料供給開始時におけるディーゼル酸化触媒130への流入前の排気ガスの温度が低いほど、未燃の燃料ガスの排出量が0に漸近するまでの時間が長くなる。つまり、燃料供給開始時におけるディーゼル酸化触媒130の温度が高い程、未燃の燃料ガスの排出量が短時間で抑制される。
フィルタ再生処理の開始時においても、ディーゼル酸化触媒130の温度が低い場合、燃料供給開始後、まず、バーナ装置200からの高温の排気ガスでディーゼル酸化触媒130の温度が活性温度以上に昇温され、その後、ディーゼル酸化触媒130において、バーナ装置200で燃焼されなかった未燃の燃料ガスが燃焼される。そのため、フィルタ再生処理開始時におけるディーゼル酸化触媒130の温度が高い程、未燃の燃料ガスの排出量が0に漸近するまでにかかる時間を短くできる。
そこで、温度検知部204は、排気経路110におけるバーナ装置200より後段かつディーゼル酸化触媒130より前段に配置され、ディーゼル酸化触媒130への流入前の排気ガスの温度を検知する。バーナ制御部206は、指令生成部202からバーナ装置200の作動指令を受けたとき、検知された排気ガスの温度が予め定められた値、例えば、ディーゼル酸化触媒130の活性温度(具体例としては250度)を超えると、バーナ装置200を作動状態にする。換言すると、バーナ制御部206は、バーナ装置200を作動させるタイミングを、ディーゼル酸化触媒130がディーゼルエンジン100の排気ガスによって温められその活性温度を超えているときに制限する。
そのため、作動状態のバーナ装置200から流出する排気ガス中に含まれる未燃の燃料ガスをディーゼル酸化触媒130が確実に燃焼し、未燃の燃料ガスが外部に排出されるのを回避することが可能となる。
また、フィルタ再生処理を行う際、ディーゼル酸化触媒130が活性温度以上であるタイミングに制限していることから、活性温度に拘わらず、ディーゼル酸化触媒130が活性温度未満であってもフィルタ再生処理を行う場合に比べて、燃料を効率的に燃焼できる。
さらに、本実施形態の第1閾値は、パティキュレートフィルタ120が目詰まりを起こしそうになるより早くフィルタ再生処理が行えるように、従来のフィルタ再生処理の開始の契機となる状態量の閾値よりも低く設定する。そうすることで、バーナ制御部206が、温度検知部204が検知した温度が予め定められた値を超えているか否かの判断を行う頻度を高めることとなる。こうして、ディーゼル酸化触媒130が活性温度以上となっている状態をより確実に捉えてフィルタ再生処理を行うことができる。
かかる構成により、排気昇温装置140は、バーナ装置200を作動させるタイミングを、ディーゼル酸化触媒130がディーゼルエンジン100の排気ガスによって温められその活性温度を超えているときに制限しても、フィルタ再生処理の頻度が少なくなってしまうことなく、適切な頻度でパティキュレートフィルタ120の目詰まりを抑制できる。このとき、上述したように、ディーゼル酸化触媒130が活性温度以上であるタイミングでのみフィルタ再生処理を実行しているので、ディーゼル酸化触媒130が活性温度未満であってもフィルタ再生処理を行う場合に比べて、同頻度でも燃料の消費を少なくでき、また、1回当たりの燃料消費量を同じとする場合、頻度を少なくできる。
PM検知部208は、パティキュレートフィルタ120の前後または内部の排気経路110に配置され、排気ガスの粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタ120に堆積した粒子状物質の量を検知する。具体的に、PM検知部208は、例えば、パティキュレートフィルタ120の前後の排気経路110内の圧力を測定する圧力ゲージで構成され、パティキュレートフィルタ120の流入前の排気ガスの圧力と、流出後の排気ガスの圧力との差圧によって、粒子状物質の堆積量を検知する。
バーナ制御部206は、検知された粒子状物質の量が予め定められた値を超えると、排気ガスの温度に拘わらず、バーナ装置200を作動状態にする。ここで、予め定められた値は、例えば、許容される粒子状物質の堆積量の90%とする。また、上述した状態量として、粒子状物質の堆積量を用いる場合、第1閾値は、この予め定められた値よりも低い値とする。
パティキュレートフィルタ120に粒子状物質が堆積し過ぎて目詰まりを起こしそうな状態が発生した場合、PM検知部208がそれを検知し、ディーゼル酸化触媒130の温度に拘らずバーナ装置200を作動状態にすることで、迅速にフィルタ再生処理を行うことができる。
しかし、上述したように第1閾値を低く設定すれば、粒子状物質の堆積量を定常的に削減できるので、ディーゼル酸化触媒130を活性温度まで迅速に昇温する処理の機会、すなわち、活性温度未満のディーゼル酸化触媒130に未燃の燃料ガスを供給することになってしまう機会が減り、その迅速な昇温のために容認せざるを得なかった未燃の排気ガスの排出を抑制することが可能となる。さらに、ディーゼル酸化触媒130を活性温度まで昇温するためのトータルの燃料消費も抑制される。
以上、説明した排気昇温装置140によって、未燃の排気ガスの排出を回避しつつフィルタ再生処理を行うことが可能となる。
(排気昇温方法)
上述した排気昇温装置140を用いた排気昇温方法も提供される。図5は、排気昇温方法の処理の流れを説明するためのフローチャートである。図5に示す処理は、バーナ装置200が作動状態でないとき、例えば、予め定められた時間間隔で周期的に実行される。
図5に示すように、バーナ制御部206は、バーナ装置200の作動指令を受けたとき(S300におけるYES)、温度検知部204が検知したディーゼル酸化触媒130への流入前の排気ガスの温度が、予め定められた値を超えているか否かを判定する(S302)。予め定められた値を超えている場合(S302におけるYES)、バーナ制御部206は、バーナ装置200を作動状態にする(S304)。
温度検知部204が検知した排気ガスの温度が、予め定められた温度以下の場合(S302におけるNO)、バーナ制御部206は、PM検知部208が検知した、パティキュレートフィルタ120に堆積した粒子状物質の量が予め定められた値(本実施形態において許容値の90%)を超えているか否かを判定する(S306)。粒子状物質の量が予め定められた値を超えている場合(S306におけるYES)、温度検知部204が検知した排気ガスの温度に拘わらず、バーナ装置200を作動状態にする(S304)。粒子状物質の量が予め定められた値を超えていない場合(S306におけるNO)、処理を終了する。
以上、説明した排気昇温方法によっても、未燃の排気ガスの排出を回避しつつフィルタ再生処理を行うことが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、本明細書の排気昇温方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
本発明は、燃料を燃焼させてディーゼルエンジンの排気ガスを昇温する排気昇温装置および排気昇温方法に利用することができる。
100 …ディーゼルエンジン
110 …排気経路
120 …パティキュレートフィルタ
130 …ディーゼル酸化触媒
140 …排気昇温装置
200 …バーナ装置
204 …温度検知部
206 …バーナ制御部
208 …PM検知部

Claims (3)

  1. エンジンの排気経路において、排気ガスを酸化するディーゼル酸化触媒の前段に配置され、燃料を燃焼するバーナ装置と、
    前記ディーゼル酸化触媒への流入前の該排気ガスの温度を検知する温度検知部と、
    前記バーナ装置の作動指令を受けたとき、検知された前記排気ガスの温度が予め定められた値を超えている場合、前記バーナ装置を作動状態にするバーナ制御部と、
    を備えることを特徴とする排気昇温装置。
  2. 前記排気ガスの粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタに堆積した前記粒子状物質の量を検知するPM検知部をさらに備え、
    前記バーナ制御部は、検知された前記粒子状物質の量が予め定められた値を超えると、前記排気ガスの温度に拘わらず、前記バーナ装置を作動状態にすることを特徴とする請求項1に記載の排気昇温装置。
  3. エンジンの排気経路において、排気ガスを酸化するディーゼル酸化触媒の前段に配置され、燃料を燃焼するバーナ装置を用いて排気ガスを昇温する排気昇温方法であって、
    前記ディーゼル酸化触媒への流入前の該排気ガスの温度を検知し、
    前記バーナ装置の作動指令を受けたとき、検知された前記排気ガスの温度が予め定められた値を超えている場合、前記バーナ装置を作動状態にすることを特徴とする排気昇温方法。
JP2011161956A 2011-07-25 2011-07-25 排気昇温装置および排気昇温方法 Pending JP2013024195A (ja)

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