JP2013024143A - 内燃機関 - Google Patents

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Abstract

【課題】断熱性と耐ノッキング性の双方に優れた内燃機関を提供する。
【解決手段】シリンダヘッド1の底面1aと、シリンダヘッド1に開設された吸気ポート1c内の吸気バルブ1eおよび排気ポート1b内の排気バルブ1dのそれぞれの底面と、シリンダブロック2のボア2aと、ボア2a内を摺動するピストン3の頂面3aとから燃焼室NSが構成され、燃焼室NSを構成する各部材の壁面には遮熱膜が形成され、シリンダヘッドの底面において吸気ピストンと排気ピストンの間に点火プラグが位置して燃焼室に臨んでいる内燃機関であって、点火プラグ4を境界として燃焼室NSを吸気バルブ側の領域AINと排気バルブ側の領域AEXに区分けした際に、吸気バルブ側の領域AINの壁面の少なくとも一部(たとえばピストン3の頂面3a)の遮熱膜5aの断熱性能が少なくとも排気バルブ側の領域AINの頂面3aの遮熱膜5bに比して高くなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関にかかり、特に断熱性と耐ノッキング性の双方に優れた内燃機関に関するものである。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関は、主にエンジンブロックとシリンダヘッドから構成されており、その燃焼室は、シリンダブロックのボア面と、このボアに組み込まれたピストン頂面と、シリンダヘッドの底面と、シリンダヘッドに開設された吸気ポートと排気ポートに配設された吸気バルブおよび排気バルブの底面から画成されている。昨今の内燃機関に要求される高出力化にともなってその冷却損失を低減することが重要になってくるが、この冷却損失を低減する方策の一つとして、燃焼室の内壁にセラミックスからなる遮熱膜を形成する方法を挙げることができる。
しかし、上記するセラミックスは一般に低い熱伝導率を有し、かつ高い熱容量を有することから、定常的な表面温度上昇による吸気効率の低下やノッキング(燃焼室内に熱が篭ることに起因する異常燃焼)が発生するために燃焼室の内壁への被膜素材として普及していないのが現状である。
このことから、燃焼室の壁面に形成される遮熱膜は、耐熱性と断熱性は勿論のこと、低熱伝導率と低熱容量の素材から形成されるのが望ましい。さらに、この低熱伝導率および低熱容量であることに加えて、燃焼室内での燃焼時の爆発圧や噴射圧、熱膨張と熱収縮の繰り返し応力に耐え得る素材から遮熱膜が形成されること、およびシリンダブロック等の母材への密着性が高い素材から遮熱膜が形成されることが望ましい。
このように高断熱で低熱容量の遮熱膜が火花点火式の燃焼室の壁面に設けられた内燃機関においてノッキングが発生した場合には、その衝撃波によってノッキング発生部位やその周辺部位の遮熱膜の破損が危惧される。
燃焼室においては、特に点火プラグが設けられたシリンダヘッド底面の該点火プラグの近傍から外側へ向かってたとえば同心円状に火炎が広がり、点火プラグから離れた位置でノッキングが生じ易い。中でも、吸気バルブ側の領域のボア近傍はこのノッキングが最も発生し易い部位であり、この部位でノッキングが発生して当該部位の遮熱膜が破損すると、この遮熱膜の破損は周辺の遮熱膜にまで進行することになる。
このようにノッキングが吸気バルブ側の領域のボア近傍で発生し易い理由は、点火プラグ(点火栓)から開始された火炎伝播の速度が相対的に温度の高い排気バルブ側の領域で速くなり、相対的に温度の低い吸気バルブ側の領域における火炎伝播の速度が相対的に遅いために、可燃混合気が最後まで残るのは自ずと吸気バルブ側の領域となり、このエンドガスが断熱圧縮されて自己着火に至り、ノッキングが発生するためである。
ここで、従来の公開技術に目を転じるに、断熱構造を採用しながらもノッキングの発生を抑制できる内燃機関が特許文献1に開示されている。具体的には、燃焼室の周囲に冷却手段が配設されると共に燃焼室を形成する内壁面に断熱層が配設され、この燃焼室に開口するポートを開閉する吸気弁及び排気弁と該燃焼室に臨んで配設された点火プラグとを備える火花点火式の内燃機関において、断熱層のうち、点火プラグから直線距離で最も遠い部位近傍に配設された断熱層の断熱能力を他の部位に配設された断熱層の断熱能力よりも低くしたものである。
特許文献1で開示される内燃機関においては、点火プラグから直線距離で最も遠い部位近傍に配設された断熱層の断熱能力を他の部位に配設された断熱層の断熱能力よりも低くしているが、火炎が点火プラグから同心円状に広がっていくことに鑑みれば、点火プラグから直線距離で最も遠い部位近傍の断熱能力のみを低くしても、その途中位置でのノッキング抑制を十分に図ることができるか否かは不明であるし、少なくとも、上記する課題、すなわち、吸気バルブ側の領域において生じ易いノッキングを効果的に抑制できるか否かは全く不明である。
特開2010−222984号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、断熱性と耐ノッキング性の双方に優れた内燃機関を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による内燃機関は、シリンダヘッドの底面と、該シリンダヘッドに開設された吸気ポート内の吸気バルブおよび排気ポート内の排気バルブのそれぞれの底面と、シリンダブロックのボアと、該ボア内を摺動するピストンの頂面とから燃焼室が構成され、燃焼室を構成する壁面の一部もしくは全部には遮熱膜が形成され、シリンダヘッドの底面において吸気ピストンと排気ピストンの間に点火プラグが位置して燃焼室に臨んでいる内燃機関であって、点火プラグを境界として前記燃焼室を吸気バルブ側の領域と排気バルブ側の領域に区分けした際に、吸気バルブ側の領域の前記壁面の少なくとも一部の遮熱膜の断熱性能が少なくとも排気バルブ側の領域の前記壁面の遮熱膜に比して高くなっているものである。
本発明の内燃機関は火花点火式の内燃機関を対象としており、その燃焼室を点火プラグを境界として吸気バルブ側の領域と排気バルブ側の領域の2つの領域に区分けし、吸気バルブ側の領域の壁面の少なくとも一部の遮熱膜の断熱性能を少なくとも排気バルブ側の領域の遮熱膜に比して相対的に高くしたものである。
上記内燃機関は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのいずれを対象としたものであってもよく、その構成は既述するように、エンジンブロックとシリンダヘッドから主として構成され、その燃焼室は、シリンダブロックのボア面と、このボアに組み込まれたピストン頂面と、シリンダヘッドの底面と、シリンダヘッド内に配設された吸気バルブおよび排気バルブの底面から画成されている。
ここで、「吸気バルブ側の領域の壁面の少なくとも一部」とは、ピストンの頂面の吸気バルブ側の領域、これに加えてシリンダヘッドの底面の吸気バルブ側の領域と吸気バルブの底面、これらに加えてボア面の吸気バルブ側の領域などを含む意味である。
内燃機関の燃焼室を構成する母材は、アルミニウムやその合金、チタンやその合金を挙げることができ、遮熱膜を陽極酸化被膜から形成することができる。たとえばアルミニウムやその合金を母材とする壁面に陽極酸化被膜からなる遮熱膜が形成される場合に、この陽極酸化被膜はアルマイトとなる。
ここで、「吸気バルブ側の領域の壁面の少なくとも一部の遮熱膜の断熱性能を少なくとも排気バルブ側の領域の遮熱膜に比して相対的に高く」することの実施の形態として、以下で示す2つの形態を挙げることができる。
その一つの形態は、排気バルブ側の領域の遮熱膜に比して、吸気バルブ側の領域の遮熱膜の熱伝導率が低く、かつ体積比熱が高くなっているものである。
単に熱伝導率のみを低くするだけでは温度変動幅が拡大し、燃焼時の壁面温度が他の部位に比して上がりすぎ、燃焼速度のバランスがとり難くなることから、熱伝導率を低くすることに加えて、体積比熱を高くすることを条件としている。体積比熱を高くすることによって温度変動幅を一定に保つことができ、他の部位との燃焼速度のバランスを保つことが可能となる。ここで、「温度変動」とは燃焼室内のガス温度に対する壁面温度の追随性のことであり、温度変動幅が可及的に一定に保たれることによってガス温度に対する追随性が良好となり、燃焼速度バランスがとり易くなる。
また、他の形態は、排気バルブ側の領域の遮熱膜に比して、吸気バルブ側の領域の遮熱膜の膜厚が厚くなっているものである。
吸気バルブ側の遮熱膜の膜厚を単に厚くするだけでも、相対的に断熱性能を高めることができる。
上記するいずれの形態の遮熱膜であっても、燃焼室を構成する壁面のうち、吸気バルブ側の領域の一部もしくは全部の遮熱膜の断熱性能を排気バルブ側の領域の遮熱膜に比して相対的に高くすることによって、吸気バルブ側の領域の壁面温度を排気バルブ側の領域の壁面温度と同程度に調整することが可能となり、このことによって燃焼室内の全域に亘る火炎伝播速度を均一にすることができる。このように燃焼室内の全域に亘って火炎伝播速度が均一になることで、燃焼室内における燃焼が全域で同時に、しかもより素早く終了することとなり、エンドガスの自己着火が起こり難くなってノッキングが抑制されることになる。
以上の説明から理解できるように、本発明の内燃機関によれば、燃焼室内において点火プラグよりも吸気バルブ側の領域の壁面の少なくとも一部の遮熱膜の断熱性能が少なくとも排気バルブ側の領域の壁面の遮熱膜に比して高くなっていることにより、吸気バルブ側の領域の壁面温度と排気バルブ側の領域の壁面温度を同程度の温度に調整することができ、もって燃焼室内の全域に亘る火炎伝播速度が可及的に均一となり、燃焼室内における燃焼が全域で同時に、しかもより素早く終了することでノッキングが効果的に抑制された内燃機関となる。
(a)は本発明の内燃機関の一実施の形態の縦断面図であり、(b)は図1aのb矢視図である。 遮熱膜の他の実施の形態の縦断面図である。 (a)は本発明の内燃機関の他の実施の形態の縦断面図であり、(b)は図3aのb矢視図である。 本発明の内燃機関のさらに他の実施の形態の縦断面図である。 本発明の内燃機関の燃焼室の壁面に形成される遮熱膜の物性を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の内燃機関の実施の形態を説明する。
(内燃機関の実施の形態1)
図1aは内燃機関の実施の形態1の縦断面図を示すものであり、同図中のb矢視図(ピストン頂面の平面図)を図1bに示している。
図示する内燃機関10は、ガソリンエンジンをその対象としたものであり、その内部に不図示の冷却水ジャケットが形成されたシリンダブロック2と、シリンダブロック2上に配設されたシリンダヘッド1と、シリンダヘッド1内に画成された排気ポート1bおよび吸気ポート1cとそれらが燃焼室NSに臨む開口に昇降自在に装着された排気バルブ1dおよび吸気バルブ1eと、シリンダヘッド1の底面1aの中央位置もしくは略中央位置で燃焼室NSに臨む点火プラグ4と、シリンダブロック2の下方開口から昇降自在に形成されたピストン3から大略構成されている。なお、本発明の内燃機関がディーゼルエンジンを対象としたものであってもよいことは勿論のことである。
この内燃機関10を構成する各構成部材はともにアルミニウムもしくはその合金から形成されている。なお、構成部材がアルミニウムもしくはその合金以外の素材で形成され、かつ、構成部材の表面がアルミニウムもしくはその合金にてアルミ化されている形態であってもよい。
内燃機関10を構成する、シリンダブロック2のボア面2aと、シリンダヘッド1の底面1aと、ピストン3の頂面3aから燃焼室NSが画成される。ここで、燃焼室NSは、点火プラグ4を通る境界ラインLを境界として、吸気バルブ側の領域AINと排気バルブ側の領域AEXに仮に区分けされている。なお、この境界ラインLの設定は、点火プラグ4の配設位置や吸気バルブ1e、排気バルブ1dの基数や位置等に応じて、より効果的にノッキングを抑制できる位置に設定されることになる。
同図で示す内燃機関10においては、ピストン3の頂面3aに遮熱膜5が形成されている。より具体的には、ピストン3の頂面3aのうち、吸気バルブ側の領域AINの遮熱膜5aと排気バルブ側の領域AEXの遮熱膜5bから遮熱膜5が構成されており、遮熱膜5bに比して遮熱膜5aの断熱性能が相対的に高くなるように調整されている。
この断熱性能に関しては、排気バルブ側の領域の遮熱膜5bに比して、吸気バルブ側の領域の遮熱膜5aの熱伝導率が低く、かつ体積比熱が高くなっている。
このように遮熱膜5aの熱伝導率を相対的に低くすることに加えて、体積比熱を相対的に高くすることによって、燃焼室NS内における吸気バルブ側の領域AINの遮熱膜5aと排気バルブ側の領域AEXの遮熱膜5bの温度変動幅を一定に保つことができ、双方の間の燃焼速度のバランスを保つことが可能となる。
ここで、温度変動に対する追随性に関し、遮熱膜が存在せずにアルミニウム等の金属母材の壁面が露出した状態では、吸気・圧縮・燃焼・排気といったエンジン運転中の燃焼室内における1サイクルの際に壁面温度は100〜200℃程度の範囲でほぼ一定に保たれており、燃焼室内でガス温度が急激に変化してもこの変化に壁面温度が追随することはできない。これに対して、ジルコニア等のセラミックスからなる遮熱膜が壁面に形成されている場合には、ガス温度の変化(たとえばガス温度の上昇)に対して壁面温度も上昇するものの、壁面の温度がガス温度の変化に追随するように変化するまでには至らない。
これに対して、冷熱損失を低減するべく設けられた図示する遮熱膜5を燃焼室NSの壁面に具備する内燃機関10においては、ガス温度の急激な変化に対する追随性も良好となり、このガス温度の変化に対する追随性をもって壁面の温度変動に対する追随性として評価される。
燃焼室NSに臨む壁面の少なくとも一部に低熱伝導率で低熱容量の遮熱膜が形成されていると、遮熱膜の表面の温度が燃焼ガス温度の変化に追随するように1サイクル中で変化し、このことによって燃焼ガス温度と壁表面温度の温度差が遮熱膜がない場合よりも低減し、熱損失が減少することになる。この熱損失の減少分はピストン仕事の増加や排気温度の上昇となり、ピストン仕事の増加分が燃費向上に繋がるのである。
ここで、遮熱膜である陽極酸化被膜5の厚みとしては、たとえば100〜500μmの範囲であるのが好ましい。断熱性能を有する陽極酸化被膜の厚みが100μmを下回ると燃焼サイクル中の被膜表面の温度上昇が不十分で断熱性能が不十分となり、十分な燃費改善効果を期待できない。一方、陽極酸化被膜の厚みが500μmを超えてしまうと、今度はその熱容量が大きくなってしまい、陽極酸化被膜自体が熱を溜め易くなってしまうことで、温度変動に対する追随性(断熱性能を具備しながらも、燃焼室内のガス温度に遮熱膜の温度が追随する特性)が阻害される。
次に、ピストン3の頂面3aに陽極酸化被膜5を形成する方法を概説する。まず、ピストン3の頂面3aのうち、排気バルブ側の領域の遮熱膜5bにマスキングを施し、不図示の容器内に遮熱膜5a用の酸性電解液を収容し、ピストン3の頂面3aをここに浸漬して陽極とする。次に、酸性電解液内に別途陰極を形成し、酸性電解液の排出と注入を順次おこなって酸性電解液を循環させることでアルマイト成長を促進させながら遮熱膜5aを形成する。次いで、マスキングを剥がし、形成された遮熱膜5aにマスキングを施して遮熱膜5b用の酸性電解液内に浸漬し、遮熱膜5aの場合と同様の方法によって遮熱膜5bを形成することにより、吸気バルブ側の遮熱膜5aと排気バルブ側の遮熱膜5bからなる遮熱膜5がピストン3の頂面3aに形成される。
また、遮熱膜の他の実施の形態として、図2で示す遮熱膜5Aのように、排気バルブ側の遮熱膜5b’(厚みt2)に比して吸気バルブ側の遮熱膜5a’の厚みt1が相対的に厚くなっている形態であってもよい。
図示する遮熱膜5Aの形成においては、双方の遮熱膜5a’、5b’の形成に際して同じ酸性電解液を使用することができ、遮熱膜5a’のアルマイト成長を相対的に促進させて厚みを厚くすることで遮熱膜5Aが得られる。
なお、燃焼室NSに臨む壁面に形成される遮熱膜は陽極酸化被膜以外にも、多数の中空ビーズをたとえばシリカ系の接着剤で繋いで層状に構成した遮熱膜などであってもよい。
(内燃機関の実施の形態2)
図3aは内燃機関の実施の形態2の縦断面図を示すものであり、同図中のb矢視図(シリンダヘッド底面の平面図)を図3bに示している。
同図で示す内燃機関10Aでは、その燃焼室NSに臨む壁面のうち、図1で示す内燃機関10と同様にピストン3の頂面3aにアルマイト被膜からなる遮熱膜5が形成されていることに加えて、シリンダヘッド1の底面1aにアルマイト被膜からなる遮熱膜6、排気バルブ1dおよび吸気バルブ1eの底面にアルマイト被膜からなる遮熱膜7が形成されている。
より具体的には、シリンダヘッド1の底面1aのうち、吸気バルブ側の領域AINには遮熱膜6a、排気バルブ側の領域AEXには遮熱膜6bが形成され、吸気バルブ1eの底面には遮熱膜7a、排気バルブ1dの底面には遮熱膜7bが形成され、遮熱膜6b、7bに比して遮熱膜6a、7aの断熱性能が相対的に高くなるように調整されている。
すなわち、排気バルブ側の領域の遮熱膜6b、7bに比して、吸気バルブ側の領域の遮熱膜6a、7aの熱伝導率が低く、かつ体積比熱が高くなるように調整されているが、図2で示すように、遮熱膜6b、7bに比して遮熱膜6a、7aの膜厚を厚くして断熱性能を相対的に高くする実施の形態であってもよい。
この内燃機関10Aでは、ピストン3の頂面3a以外にシリンダヘッド1の底面1aにも排気バルブ側の領域に比して吸気バルブ側の領域に断熱性能が高い遮熱膜が形成されていることから、内燃機関10に比してそのノッキング抑制効果は一層高いものとなる。
(内燃機関の実施の形態3)
図4は、内燃機関の実施の形態3の縦断面図を示すものである。同図で示す内燃機関10Bは、その燃焼室NSに臨む壁面において、内燃機関10Aで記載される遮熱膜に加えてさらに、シリンダブロック2のボア面2aにアルマイト被膜からなる遮熱膜8が形成されているものであり、より具体的には、ボア面2aのうち、吸気バルブ側の領域AINには遮熱膜8a、排気バルブ側の領域AEXには遮熱膜8bが形成されている。
このように内燃機関10Bの燃焼室NSに臨む全ての壁面において、排気バルブ側の領域AEXの遮熱膜に比して吸気バルブ側の領域AINの遮熱膜の断熱性能が高い遮熱膜が形成されていることで、内燃機関10Bの燃焼室NSに臨む全ての壁面温度を可及的に均一化することができ、このことによって燃焼室NS内における燃焼速度の均一化を図ることができ、結果として極めて高いノッキング抑制効果を奏することができる。
ここで、図5を参照して、本発明の内燃機関の燃焼室に臨む壁面に形成される遮熱膜が目標とする材料物性値について考察する。
同図は、縦軸を熱伝導率、横軸を体積比熱とした座標系を示したものであり、燃焼室に臨む壁面を構成する母材となり得るアルミニウムと鉄、従来構造の遮熱膜であるジルコニア(セラミックス被膜の一例)、さらには参照として空気の各物性値をプロットしている。
また、壁面の200℃、500℃、1000℃、1200℃の各壁温変動幅を図中に示している。
そして、セラミックス素材(ジルコニア)の遮熱膜を形成した場合には、壁面の金属母材が露出している場合よりも熱伝導率が下がるものの体積比熱が大きいことが分かる。
これに対し、本発明の内燃機関の燃焼室に臨む壁面に形成される遮熱膜のうち、排気バルブ側の領域に形成される遮熱膜の物性値がプロットPとなっており、この例では500℃の壁温変動幅ライン上にあって、熱伝導率は0.5W/mK、体積比熱は300kJ/m3Kである。
まず、排気バルブ側の領域に形成される遮熱膜の熱伝導率が従来構造のセラミックス素材の遮熱膜の場合に比して格段に低くなっていることが分かる。
そして、この例においては、この排気バルブ側の領域に形成される遮熱膜と吸気バルブ側の領域に形成される遮熱膜が同じ壁温変動幅ライン上に載るように、吸気バルブ側の領域に形成される遮熱膜の物性に関し、熱伝導率を0.1W/mKに低減し、体積比熱を1500kJ/m3Kに増加させることにより、燃焼室に臨む壁面全体の温度変動幅を一定に保つことができ(ここでは吸気バルブ側も排気バルブ側もともに500℃の壁温変動幅)、壁面全体として燃焼速度のバランスが良好な内燃機関となる。
なお、吸気バルブ側の遮熱膜に関して単に熱伝導率のみ0.1W/mKに低減しただけでは吸気バルブ側の遮熱膜の物性が1000℃の壁温変動幅ラインに移行するのみで燃焼時の壁面温度が排気バルブ側の遮熱膜に比して上がりすぎることになり、双方の間で燃焼速度のバランスがとり難くなることから、熱伝導率を低くすることに加えて体積比熱を高くすることが必要であることが同図から理解できる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…シリンダヘッド、1a…底面、1b…排気ポート、1c…吸気ポート、1d…排気バルブ、1e…吸気バルブ、2…シリンダブロック、2a…ボア面、3…ピストン、3a…ピストン頂面、4…点火プラグ、5,6,7,8…遮熱膜(陽極酸化被膜、アルマイト被膜)、5a,5a’,6a,7a,8a…吸気バルブ側の遮熱膜、5b,5b’,6b,7b,8b…排気バルブ側の遮熱膜、NS…燃焼室、L…境界ライン

Claims (6)

  1. シリンダヘッドの底面と、該シリンダヘッドに開設された吸気ポート内の吸気バルブおよび排気ポート内の排気バルブのそれぞれの底面と、シリンダブロックのボアと、該ボア内を摺動するピストンの頂面とから燃焼室が構成され、燃焼室を構成する壁面の一部もしくは全部には遮熱膜が形成され、シリンダヘッドの底面において吸気ピストンと排気ピストンの間に点火プラグが位置して燃焼室に臨んでいる内燃機関であって、
    点火プラグを境界として前記燃焼室を吸気バルブ側の領域と排気バルブ側の領域に区分けした際に、吸気バルブ側の領域の前記壁面の少なくとも一部の遮熱膜の断熱性能が少なくとも排気バルブ側の領域の前記壁面の遮熱膜に比して高くなっている内燃機関。
  2. 前記少なくとも一部の壁面がピストンの頂面である請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記少なくとも一部の壁面がピストンの頂面、シリンダヘッドの底面および吸気バルブの底面である請求項1に記載の内燃機関。
  4. 前記排気バルブ側の領域の遮熱膜に比して、前記吸気バルブ側の領域の遮熱膜の熱伝導率が低く、かつ体積比熱が高くなっている請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関。
  5. 前記排気バルブ側の領域の遮熱膜に比して、前記吸気バルブ側の領域の遮熱膜の膜厚が厚くなっている請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関。
  6. 前記遮熱膜がアルマイト被膜である請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関。
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