JP2013018225A - 液体噴射装置および液体噴射装置の制御方法 - Google Patents

液体噴射装置および液体噴射装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】キャリッジの走査によりキャリッジに生じる振動によって噴射速度、液滴の着弾位置などの噴射特性が低下することを抑制し、好適な噴射特性をもつ液体噴射装置および液体噴射装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】記録ヘッド2を備えるプリンター1は、キャビティ内のインクに生じる圧力変動を逆起電力として検出する圧電素子を有する圧電装置100と、記録ヘッド2および圧電装置100を搭載したキャリッジ3を主走査方向に移動させるキャリッジ移動機構4と、記録ヘッド2による噴射動作を制御するプリントコントローラー110を備えている。プリントコントローラー110は、キャリッジ3を移動させることによって圧電装置100の圧電素子に発生する逆起電力の変化に応じて、記録ヘッド2の圧電振動子に印加する噴射パルスを変更する。
【選択図】図5

Description

本発明は、主走査方向に沿う液体噴射ヘッドの移動に伴って、記録紙などの媒体に液体を噴射する液体噴射装置および液体噴射装置の制御方法に関する。
液体噴射装置の例として、液体噴射ヘッドである記録ヘッドを記録紙などの媒体の幅方向に移動させるとともに、ヘッドの移動に伴って記録ヘッドから媒体にインクを噴射させることにより媒体への記録を行うシリアル型のインクジェット式プリンターが広く知られている。
シリアル型のインクジェット式プリンターは、記録ヘッドと、記録ヘッドを搭載するキャリッジと、主走査方向にキャリッジを往復移動させるキャリッジ移動機構と、記録紙を紙送りする紙送り機構と、を備える。キャリッジは、ガイドロッドに軸支された状態で主走査方向にスライド可能に取り付けられており、キャリッジ移動機構の作動によって主走査方向に移動する。このような構成をもつプリンターでは、キャリッジに搭載された記録ヘッドを主走査方向に移動させるとともに、キャリッジに取り付けられたリニアエンコーダーがガイドロッドに沿って設けられたリニアスケールを読み取り、リニアエンコーダーにより得られた位置情報に応じて、記録ヘッドによるインクの噴射が制御される。
また、特許文献1には、インクカートリッジに圧電装置を設けた構成とし、圧電装置に生じた逆起電力から、インクカートリッジに残されたインクの状態を判定するようにしたシリアル型のインクジェットプリンターが開示されている。
特開2006−29918号公報
しかしながら、シリアル型のインクジェット式プリンターでは、例えば、ガイドロッド、またはそのロッドを支持するフレームの歪み、あるいはリニアエンコーダーのスケール部の寸法精度に起因して、キャリッジに搭載した記録ヘッドをガイドロッドに沿って移動させる際にがたつきを生じ、キャリッジおよびこれに搭載される記録ヘッドに振動を生じることがある。この振動が、記録ヘッドのノズル内に形成されたメニスカスに伝わると、メニスカスの状態が設計段階で想定されていた所期のものとは異なる状態となるため、インク滴の噴射速度や着弾位置の精度などの噴射特性が低下し、好適な噴射特性が得られなくなってしまうという課題があった。
また、キャリッジおよび記録ヘッドの移動により生じる振動の強さは、主走査方向における位置に応じて変化する。例えば、フレームが反るようにして歪んでいる場合、主走査方向の中央から両端に向かってがたつきが徐々に大きくなって、振動が強まる傾向がある。このように、主走査方向における位置に応じてメニスカスに伝わる振動の強さが変化すると、主走査方向の位置に応じて噴射特性の低下量が変化することになるため、安定した好適な噴射特性を得ることができない。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]圧力発生部の駆動により液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを移動させる移動機構と、前記液体噴射ヘッドの移動に伴って、前記圧力発生部に液体を噴射させる噴射パルスを含む駆動信号を前記液体噴射ヘッドに供給して前記液体噴射ヘッドに液体を噴射させる噴射制御を行う制御部と、液室が形成され、前記液室内の液体に生じる圧力変動を逆起電力として検出する圧電装置と、を備え、前記移動機構は、前記液体噴射ヘッドとともに前記圧電装置を移動させ、前記制御部は、前記圧電装置が検出した逆起電力の変化に応じて、前記圧力発生部に印加される前記噴射パルスを補正することを特徴とする液体噴射装置。
この構成によれば、液体噴射ヘッドの移動に伴って生じる振動は、液体噴射ヘッドとともに移動する圧電装置によって逆起電力の変化として検出されて、圧力発生部に印加する噴射パルスが逆起電力の変化に応じて補正されるので、液体噴射ヘッドが移動するときに生じる振動に起因した噴射特性の低下を抑制できる。したがって、好適な噴射特性を有する液体噴射装置を得ることができる。
[適用例2]上記液体噴射装置において、前記制御部は、前記噴射パルスの波形を、前記圧電装置が検出する逆起電力の変化量が大きいほど液体の噴射力が大きい波形に補正することを特徴とする液体噴射装置。
この構成によれば、圧電装置に生じる逆起電力の変化が大きいほど、噴射力が大きい噴射パルスによって液体が噴射されるので、噴射特性の低下を補うようにしてこれを抑制することができる。
[適用例3]上記液体噴射装置において、前記圧電装置は、前記液体噴射ヘッドが移動する期間に亘って逆起電力を検出し、前記制御部は、前記噴射制御を行う期間に亘って検出された前記逆起電力の変化の推移に応じて前記噴射パルスを補正することを特徴とする液体噴射装置。
この構成によれば、液体噴射ヘッドが移動する期間に亘って逆起電力が検出されて、逆起電力に応じた補正が行われるので、液体噴射ヘッドの移動に伴って噴射制御を行う期間における噴射特性の変化が抑制され、安定した好適な噴射特性を得ることができる。
[適用例4]上記液体噴射装置において、前記制御部は、噴射力が異なる前記噴射パルスを含む複数の駆動信号から、前記圧電装置が検出した逆起電力の変化に応じて前記噴射パルスを選択し、前記選択した噴射パルスを圧力発生部に印加することを特徴とする液体噴射装置。
この構成によれば、複数の駆動信号を使って補正を行うことで、好適な噴射特性を有する液体噴射装置を得ることができる。
[適用例5]上記液体噴射装置において、前記制御部は、異なる種類の液滴を噴射させる複数の前記噴射パルスを含む駆動信号から、前記圧電装置が検出した逆起電力の変化に応じて前記噴射パルスを選択し、前記選択した噴射パルスを圧力発生部に印加することを特徴とする液体噴射装置。
この構成によれば、複数種類の噴射パルスを使って補正を行うことで、好適な噴射特性を有する液体噴射装置を得ることができる。
[適用例6]上記液体噴射装置において、液室が形成され、前記液室内の液体に生じる圧力変動を逆起電力として検出し、前記圧電装置とは圧力変動の検出方向が異なる第2圧電装置を備え、前記移動機構は、前記圧電装置および前記第2圧電装置を前記液体噴射ヘッドとともに移動させ、前記制御部は、前記圧電装置が検出した逆起電力および前記第2圧電装置が検出した逆起電力に応じて、前記噴射パルスを補正することを特徴とする液体噴射装置。
この構成によれば、圧力変動の検出方向が異なる圧電装置によって検出される2つの逆起電力に基づいて噴射パルスが補正される。これにより、ヘッドを移動させたときに生じる振動に起因した噴射特性の低下が2つの方向について抑制されるため、より好適な噴射特性を得ることができる。
[適用例7]上記液体噴射装置において、前記圧電装置が、前記液体噴射ヘッドの前記圧力発生部であることを特徴とする液体噴射装置。
この構成によれば、液体の噴射に用いられる圧力発生素子に生じる逆起電力を用いるため、1つの検出方向について圧電素子を新たに追加することなく、逆起電力を検出できる。このため、ヘッドを移動させたときに生じる振動に起因した噴射特性の低下を抑制し、好適な噴射特性をもつ液体噴射装置を低コストで実現することができる。
[適用例8]圧力発生部の駆動により液体を噴射する液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置の制御方法であって、液室内の液体に生じる圧力変動を圧電効果の逆起電力として検出する圧電装置を前記液体噴射ヘッドとともに移動させるステップと、前記圧電装置が検出する逆起電力の変化に応じて、前記圧力発生部に印加される前記噴射パルスを補正するステップと、を含むことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
このようにすれば、ヘッドを移動させたときに生じるヘッドの振動に起因した噴射特性の低下を抑制し、好適な噴射特性を得ることができる。
第1の実施形態に係るプリンターの概略構成を示した図である。 プリンターの内部構成を示したブロック図である。 圧電装置の構成を示した図である。 記録ヘッドの構成を示した図である。 プリンターの電気的な構成を示したブロック図である。 噴射パルスPSの一例を示した図である。 キャリッジ走査においてキャリッジに生じる振動と、圧電装置の逆起電力の推移の一例を示した図である。 噴射パルスの補正方法を説明する説明図である。 プリンターの処理の流れを示したフローチャートである。 第2の実施形態における噴射パルスの補正方法を説明する説明図である。 第3の実施形態における噴射パルスの補正方法を説明する説明図である。 第4の実施形態に係るプリンターの構成を示したブロック図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。第1の実施形態では、液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置の一例として、インクジェット方式の記録ヘッドを備えたプリンターについて説明する。
図1は、プリンターの概略構成を示した図である。図1に示すように、プリンター1は、インクジェット式記録ヘッド2(以下、「記録ヘッド」という)を搭載したキャリッジ3と、被噴射媒体である記録紙Sの紙幅方向にキャリッジ3を往復移動させるキャリッジ移動機構(移動機構)4と、カートリッジ収納部5と、記録紙Sを紙送りする紙送り機構6と、を備えている。なお、記録紙Sに対してキャリッジ3が移動する方向が主走査方向、記録紙Sが紙送りされる方向が主走査方向に直交する副走査方向である。
キャリッジ移動機構4は、主走査方向に架設されたガイドロッド7と、主走査方向に沿って設けられたリニアエンコーダーのリニアスケール8と、キャリッジモーター9a、従動ローラー9b間に掛け渡されたタイミングベルト10と、を有している。キャリッジ3は、ガイドロッド7にスライド可能に軸支されており、キャリッジ3の一部がタイミングベルト10に係止されている。したがって、キャリッジモーター9aの駆動により、キャリッジ3はガイドロッド7に沿って移動する。主走査方向におけるキャリッジ3の位置は、キャリッジ3のリニアスケール8側に設けられたリニアエンコーダーがリニアスケール8を読み取ることによって検出され、リニアエンコーダーの検出信号はプリントコントローラーに送信される。プリントコントローラーは、この検出信号に基づいて、走査範囲内におけるキャリッジ3の位置、すなわち記録ヘッド2の位置を認識して記録ヘッド2による記録動作を制御する。
また、キャリッジ3の移動範囲内の記録領域よりも外側の端部領域には、キャリッジ3の走査の基点となるホームポジションが設定されている。プリンター1は、ホームポジションから反対側の端部へ向けてキャリッジ3が移動する往動時と、反対側の端部からホームポジション側にキャリッジ3が戻る復動時との双方向で記録紙S上に文字や画像などを記録する、所謂双方向記録が可能に構成されている。
カートリッジ収納部5は、インクカートリッジ11が装着される部分であり、キャリッジ3の移動範囲のうちホームポジションとは反対側となる端部に設けられている。カートリッジ収納部5とキャリッジ3はインク供給チューブ12によって接続されており、カートリッジ収納部5に装着されたインクカートリッジ11は、インク供給チューブ12を通じてキャリッジ3にインクを供給する。すなわち、本実施形態のプリンター1は、キャリッジ3外にインクカートリッジ11を搭載した、いわゆるオフキャリッジ方式を採用している。
図2は、プリンター内部の概略構成を示したブロック図である。図2に示すように、プリンター1のキャリッジ3には、圧電装置100と、サブタンク14と、記録ヘッド2とが設けられる。インク供給チューブ12から流入するインクはいったん圧電装置100内に供給される。圧電装置100は第1インク供給路13を介してサブタンク14に連通しており、サブタンク14は第2インク供給路15を介して記録ヘッド2に連通している。したがって、インク供給チューブ12を通じてキャリッジ3に供給されたインクは、圧電装置100、第1インク供給路13、サブタンク14、第2インク供給路15を通じて記録ヘッド2に供給される。
次に、圧電装置100について説明する。図3は、圧電装置100の構成を示した図である。圧電装置100は、キャリッジ3の走査に伴って発生する振動を、撓みモードの圧電素子を利用して検出するものであり、特許文献1に記載の液体検出装置と同様の構成になっている。図3に示すように、圧電装置100は、キャビティ板21と、振動板22と、流入口形成板30とを備えている。なお、この圧電装置100は、キャリッジ3がガイドロッド7に軸支される部分の近傍に設けられており、キャリッジ3の走査によりキャリッジ3およびこれに搭載される記録ヘッド2ががたつき振動を生じた場合に、この振動を検出し易いよう構成されている。
キャビティ板21の一方面には振動板22が積層されている。キャビティ板21には、キャビティ23となる空部が基板を貫通しており、この空部の開口23aが振動板22に塞がれることによってキャビティ(液室)23が形成されている。
キャビティ板21とは反対側となる振動板22の一方面には、一端に第1電極端子24、他端に第2電極端子25が形成されており、キャビティ23に対応する領域に第1電極26が形成されている。第1電極26には圧電層27が積層されており、圧電層27にはさらに第2電極29が積層されている。なお、圧電層27の材料としては、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン(PLZT)、または、鉛を使用しない鉛レス圧電膜、を用いることが好ましい。キャビティ板21の材料としては、ジルコニアまたはアルミナを用いることが好ましい。また、第1電極26および第2電極29は、導電性を有する材料、例えば、金、銀、銅、プラチナ、アルミニウム、ニッケルなどの金属を用いることができる。
第1電極端子24、第2電極端子25が設けられた振動板22の面のうち、第1電極26が形成されていない領域には補助電極28が形成されており、この補助電極28が圧電層27のうち第1電極26が支持していない部分を支持している。
また、第1電極26は第1電極端子24の方向に延出していて第1電極端子24に接続されている。第2電極29は、補助電極28を介して第2電極端子25に接続されている。そして、第1電極端子24と第2電極端子25のそれぞれは、ケーブルなどの接続配線を介して後述する圧電装置駆動回路と電気的に接続される。
以上に説明したように、圧電装置100の圧電層27は第2電極29と第1電極26とによって挟みこまれる構造となっており、第1電極26、圧電層27および第2電極29が圧電素子を構成している。このとき、キャビティ23によって規定される振動板22の振動可能な部分が、圧電装置100の振動部となる。
流入口形成板30は、キャビティ板21の振動板22とは反対側に積層される。この流入口形成板30には、キャビティ23に液体を導入するための流入口31と、キャビティ23内のインクを流出するための流出口32とが形成されており、流入口31にはインク供給チューブ12、流出口32には第1インク供給路13が接続されている。このため、インクカートリッジ11からキャリッジ内に供給されたインクは、インク供給チューブ12を介して流入口31から圧電装置100のキャビティ23内に導入され、キャビティ23内のインクは、流出口32から第1インク供給路13を介してサブタンク14に供給される。このように、キャビティ23自体が、インクを流通する通路の一部となることによって、キャビティ23内にインクが充填される。
上述した構成の圧電装置100は圧電素子を有しているため、キャビティ23内のインクに発生する圧力変動を、圧電効果による逆起電力の変化として検出することが可能である。すなわち、キャビティ23内のインクに圧力変動が生じると、この圧力変動を受けて圧電装置100の振動部が変位するため、圧電素子によって第1電極26、第2電極29間に生じる逆起電力の変化として圧力変動が検出される。なお、本実施形態では、図3に示すように、第1電極26、圧電層27、第2電極29の積層方向が主走査方向となるように圧電装置100が設けられている。このため、圧電装置100は、キャビティ23内のインクに発生する圧力変動のうち主走査方向の変動成分を逆起電力として検出する。
次に、記録ヘッド2の構成について説明する。図4は、記録ヘッド2の構成を示した図である。図4に示すように、記録ヘッド2は、インク流路が形成された流路ユニット40と、圧力発生室内のインクに圧力変動を生じさせる圧力発生部を有する振動子ユニット50と、振動子ユニット50を内部に収容するヘッドケース60と、を備えている。
ヘッドケース60は、振動子ユニット50を収容するための空部が形成された箱状部材であり、その一方面には記録ヘッド2に導入されたインクが流通する供給流路が形成されたホルダー(図示なし)が装着され、ホルダーとは反対側となる面に、流路ユニット40が固定されている。さらに、ヘッドケース60の内部には、振動子ユニット50を収容する収容空部61と、ホルダーの供給流路から供給されるインクをリザーバー81に供給するためのケース流路62とがホルダーから流路ユニット40に向かう方向に貫通して形成されている。ケース流路62は、流路ユニット40のインク導入口93を介してリザーバー81と液密に連通している。インクカートリッジ11から記録ヘッド2にインクの供給を受けることによって記録ヘッド2内にインクが導入されると、ケース流路62を通じてリザーバー81にインクが供給される。
流路ユニット40は、ノズルプレート70と、流路形成基板80と、振動板90とを備えている。流路形成基板80の一方面にノズルプレート70を、ノズルプレート70とは反対側となる流路形成基板80の他方の面に振動板90をそれぞれ配置して積層し、接着剤などで固定されることによって流路ユニット40が構成されている。
ノズルプレート70は、ステンレス鋼板などの薄い金属板であり、接着などによって流路形成基板80に固定される。ノズルプレート70には、記録ヘッド2のドット形成密度に対応して、例えば、180dpiなどの所定のピッチで複数のノズル71が形成されている。また、複数のノズル71は主走査方向に沿う列状に形成され、列状に並んだこれらのノズル71によってノズル列が構成されている。
流路形成基板80には、ノズル列の各ノズル71に対応させて圧力発生室83となる空部を隔壁で区画した状態で複数形成され、さらにインク供給流路82やリザーバー81となる空部が形成されている。この流路形成基板80は、ノズルプレート70と振動板90とに挟まれるようにして上述した各空部の開口部が塞がれることによって、リザーバー81、インク供給流路82、および圧力発生室83を含む一連の流路が形成される。なお、本実施形態では、シリコンウェハーをエッチング処理することで作製されたものを流路形成基板80として用いている。もっとも、流路形成基板80としてはこれに限られることなく、例えば、流路となる貫通孔などが形成された複数の板状部材を積層することによって流路を構成していてもよい。
圧力発生室83は、ノズル列方向に対して直交する方向に細長い室として形成されている。インク供給流路82は、圧力発生室83とリザーバー81との間を連通する流路幅の狭い狭窄部として形成されている。リザーバー81は、複数の圧力発生室83に共通の共通液室であり、インクカートリッジ11から供給されるインクを一旦貯留する。リザーバー81には、各圧力発生室83に対応するインク供給流路82が連通しており、インク供給流路82を通じてリザーバー81から複数の圧力発生室83のそれぞれにインクが供給される。
振動板90は、ステンレス鋼などの金属製の支持板91上にPPS(ポリフェニレンサルファイド)などの樹脂フィルム92をラミネート加工した二重構造の板材である。この振動板90には、上下方向に貫通させたインク導入口93が各リザーバー81に対応して複数開設されており、このインク導入口93を通じてリザーバー81とケース流路62とが連通する。
また、振動板90には、圧力発生室83に対応する部分に、圧力発生室83の一方の開口面を封止してこの圧力発生室83の容積を変動させるためのダイヤフラム部94が形成されている。ダイヤフラム部94は、上述した二重構造をもつ板材のうち、圧力発生室83に対応した部分の支持板91にエッチング加工を施し、当該部分を環状に除去して後述する圧電振動子(圧力発生部)51の自由端部の先端を接合するための島部95を形成することによって作製されている。この島部95は圧力発生室83に対応する領域より小さく、エッチング加工によって支持板91が除去された島部95の周りの樹脂フィルム92、すなわち圧力発生室83に対応する領域のうち島部95が形成されていない領域の樹脂フィルム92が弾性体膜として機能する。
さらに、振動板90のうちリザーバー81に対応する部分は、流路形成基板80に形成されたリザーバー81となる空部の開口形状に倣って支持板91がエッチング加工で除去されており、残存した樹脂フィルム92がコンプライアンス部96となっている。このコンプライアンス部96が、リザーバー81となる空部の一方の開口面を封止することにより、リザーバー81内のインクにコンプライアンスが与えられている。
次に、振動子ユニット50の構成について説明する。振動子ユニット50は、圧力発生部に相当する圧電振動子51と、フレキシブルケーブル52とを有している。圧電振動子51は、細長い櫛歯状に形成されており、数十μm程度の極めて細い幅に切り分けられている。そして、この圧電振動子51は縦方向に伸縮可能な縦振動型の圧電振動子として構成されている。圧電振動子51は、固定端部を固定板63上に接合することにより、自由端部を固定板63の先端縁よりも外側に突出させて所謂片持ち梁の状態で固定されている。そして、各圧電振動子51における自由端部の先端は、流路ユニット40におけるダイヤフラム部94を構成する島部95に固定される。また、各圧電振動子51を支持する固定板63は、圧電振動子51からの反力を受け止め得る剛性を備えた金属製の板材によって構成される。固定板63は、例えば、厚さが1mm程度のステンレス鋼板によって作製されている。さらに、フレキシブルケーブル52は、その一端が固定板63とは反対側となる圧電振動子51の側面で圧電振動子51と電気的に接続され、他端は後述するヘッド駆動回路150が実装された制御基板に接続されている。これにより、プリントコントローラー110からの信号を制御基板、フレキシブルケーブル52を介して圧電振動子51に送ることにより、圧電振動子51の伸縮を制御できるよう構成されている。
以上のように構成された記録ヘッド2では、圧電振動子51の先端面が島部95に接合されているので、駆動回路(図示なし)などの駆動手段によって圧電振動子51を駆動させ、圧電振動子51の自由端部を伸縮させることによって、圧力発生室83の容積が変動して圧力発生室83内のインクに圧力変動が生じる。記録ヘッド2は、この圧力変動を利用して、圧力発生室83内のインクをノズル71から噴射することによって、記録用紙などの着弾対象に向けてインク滴が噴射される。
次に、プリンター1の電気的構成について説明する。図5は、プリンター1の電気的な構成を示したブロック図である。図5に示すように、プリンター1は、プリントコントローラー110と、リニアエンコーダー140と、記録ヘッド2と、ヘッド駆動回路150と、圧電装置100と、圧電装置駆動回路160と、を備えている。このうち、リニアエンコーダー140と、記録ヘッド2と、ヘッド駆動回路150と、圧電装置100と、圧電装置駆動回路160とがキャリッジ3に搭載されるものである。また、プリンター1には、例えばパーソナルコンピューターやデジタルカメラなどの外部装置200がデータ通信可能に接続されており、外部装置200は、画像やテキストをプリンター1に印刷させるための印刷データを生成して、プリンター1に送信する。なお、プリントコントローラー110およびヘッド駆動回路150が制御部に相当している。
プリントコントローラー110は、プリンター1の各部の制御を行う制御ユニットであり、外部インターフェイス部(以下、「外部I/F部」という)111と、CPU112と、記憶部113と、内部インターフェイス部(以下、「内部I/F部」という)114と、駆動信号生成部115と、を有する。
外部I/F部111は、外部装置200との通信を行うインターフェイス部分であり、印刷データや印刷命令の受信や、インクカートリッジ11のインク残量などの状態データの送信等、データの送受信を行う。内部I/F部114は、紙送り機構6、キャリッジ移動機構4、リニアエンコーダー140、ヘッド駆動回路150および圧電装置駆動回路160などのプリンター1内部の各構成とのインターフェイス部分である。
CPU112は、プリンター全体の制御を司る演算処理装置である。記憶部113は、CPU112のプログラムや各種制御に用いられるデータを記憶する素子であり、ROM、RAM、およびNVRAMやEEPROMなどの読み書き可能な不揮発性メモリーを有している。CPU112は、記憶部113に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、プリンター1の各部を制御する。具体的には、CPU112は、リニアエンコーダー140から出力されるエンコーダーパルスEPからタイミングパルスPTSを生成する処理、印刷データを画素ごとにインクの噴射の有無を指定する噴射データに変換する処理、タイミングパルスPTSに同期して噴射データを記録ヘッド2に転送する処理、パルス形状を規定する波形データを駆動信号生成部115に指定して、駆動信号COMを生成させる処理などを行う。
また、CPU112は、タイミングパルスPTSに基づいて、ラッチ信号LATなどのタイミング信号を生成して記録ヘッド2のヘッド駆動回路150に出力する。ヘッド駆動回路150は、シフトレジスター、ラッチ回路、レベルシフター、スイッチ回路を含んでおり、噴射データおよびタイミング信号に基づき、記録ヘッド2の圧電振動子51に対して、駆動信号COMに含まれる噴射パルスを選択的に印加する制御を行う。
駆動信号生成部115は、波形データに基づいて駆動信号COMを生成し、生成した駆動信号COMをヘッド駆動回路150に供給する。駆動信号COMは、繰り返し周期である単位期間内に、噴射パルスPSを少なくとも1つ以上含んだ信号である。噴射パルスPSは、記録ヘッド2のノズル71から液滴状のインクを噴射させるべく圧電振動子51に所定の動作を行わせるものである。
図6に、駆動信号COMに含まれる噴射パルスPSの一例を示す。駆動信号COMは、繰り返し周期である単位期間Tpごとに駆動信号生成部115によって繰り返し生成される。この単位期間Tpは、記録紙Sに印刷する画像などの1画素分に対応する距離だけノズル71が移動する間の期間に対応し、1つの単位期間内には、噴射パルスPSが少なくとも1つ以上含まれている。図6に示すように、噴射パルスPSは、中間電位VMを維持するホールド要素P0と、ホールド要素P0の電位VMから最高電位VHに電圧が変化する膨張要素P1と、膨張要素P1の電位VHを維持するホールド要素P2と、ホールド要素P2の電位VMから最低電位VLに変化する収縮要素P3と、収縮要素P3の電位VLを維持するホールド要素P4と、ホールド要素P4の電位VLから中間電位VMに変化する膨張要素P5と、膨張要素P5の電位VMを維持するホールド要素P6とを、含む。この噴射パルスPSが圧電振動子51に印加されると、膨張要素P1の電位変化により、圧電振動子51は収縮して圧力発生室83は膨張する。そして、収縮要素P3が圧電振動子51に印加されると、膨張した状態の圧力発生室83が急激に収縮して圧力発生室83内のインクに圧力変動が生じ、これにより、圧力発生室83に連通するノズル71からインク滴が噴射される。したがって、収縮要素P3の前後の電位差(VH−VL)が大きいほどインクの噴射力は大きくなり、よりインク量が多いインク滴、あるいはより早い速度でインク滴が噴射される。駆動信号生成部115は、波形データに基づいて、最高電位VHおよび最低電位VLを変更することにより、噴射力が異なる噴射パルスPSを生成可能に構成されている。
圧電装置駆動回路160は、圧電装置100の圧電素子の駆動制御を行う部分であり、圧電装置100の圧電素子に生じる逆起電力を検出し、検出信号としてプリントコントローラー110に送出する。
ここで、シリアル型のインクジェット式のプリンター1では、例えば、ガイドロッド7、ガイドロッド7を支持する本体フレーム、キャリッジ3のフレームなどの機構部品の精度や温度変化による歪み、またはリニアスケール8の精度などに起因して、キャリッジ3を主走査方向に走査する際に、キャリッジ3がガイドロッド7に対してがたつくことによって、キャリッジ3およびこれに搭載される記録ヘッド2に振動が生じることがある。この振動が記録ヘッド2のノズル71内に形成されたメニスカスに伝わると、メニスカスの状態が設計段階で意図されていた所期の状態と異なってしまうため、噴射速度、液滴の着弾位置の精度などの噴射特性が低下することになる。
そこで、本実施形態のプリンター1では、キャリッジ3を走査する際、キャリッジ3に生じる振動によって圧電装置100のキャビティ23内の液体に発生する圧力変動を、圧電装置100に生じる逆起電力の変化として検出し、逆起電力の変化に応じて噴射パルスの波形を補正する。このため、プリントコントローラー110は、キャリッジの走査によって圧電装置100に生じた逆起電力の検出信号を圧電装置駆動回路160から取得する処理、逆起電力の変化から噴射パルスPSの波形を決定する処理、決定した波形の波形データを駆動信号生成部115に送出して駆動信号COMに含まれる噴射パルスPSの波形を変更させる処理、噴射データをヘッド駆動回路150に送出して、変更した波形による噴射駆動を行わせる処理などを行う。
図7は、圧電素子に生じる逆起電力の一例を示す図である。図7(a)は、横軸に主走査方向におけるキャリッジの位置、縦軸にはキャリッジに生じる振動の変位を示している。図7(b)は、横軸に時間、縦軸には逆起電力の電位を示している。なお、図7(a)に示すキャリッジ位置p1〜p3と図7(b)に示す時間t1〜t3とは対応しており、位置pn(n=1〜3)は、時間tnにおけるキャリッジ3の位置を示している。
上述したように、キャリッジ3の走査中には、プリンター1の機構部品の精度や温度変化による歪みなどに起因して、キャリッジに振動が発生する。そして、この振動の振幅は、キャリッジ3の主走査位置に応じて変化する。このため、図7(a)の例では、主走査の範囲のうち区間S1においては逆起電力変化の振幅A1が小さく、弱い振動であるが、区間S2においては振幅A2(>A1)となるより強い振動が生じている。キャリッジ3に図7(a)の振動が生じた場合、圧電装置100によって検出される逆起電力の変化は、図7(b)に示すように、区間S1における電位変化V1より区間S2における電位変化V2が大きくなる。
噴射パルスPSの補正は、圧電装置100の逆起電力の変化が大きくなるキャリッジ位置ほど、インクの噴射力がより強い駆動波形を用いて噴射制御することにより行う。すなわち、記録ヘッド2を移動させるとともにインクを噴射させる噴射制御の期間における逆起電力の変化量の推移に応じて、噴射パルスPSの補正が行われる。図7の例では、区間S1についてはキャリッジ走査に伴って生じる電位変化が比較的小さいため、発生する振動は小さく、噴射特性の低下量は比較的小さいことが想定される。一方、区間S2については、区間S1よりキャリッジ走査に伴って生じる電位変化が大きいため、発生する振動は大きく、区間S1に比べて噴射特性が大きく低下することが想定される。そこで、図8の上段に示すように、区間S1の逆起電力の変化量に応じた電位差E1を有する噴射パルスPS1を区間S1に対応する時間t1〜t2に含むとともに、区間S2の逆起電力の変化量に応じて噴射パルスPS1より大きい電位差を有し(E2>E1)、噴射力がより大きい噴射パルスPS2を区間S2に対応する時間t2〜t3に含む駆動信号COMを生成する。ヘッド駆動回路150は、プリントコントローラー110からの噴射データに応じて、図8の下段に示すように、区間S1においては駆動信号COMから噴射パルスPS1を選択し、区間S2においては駆動信号COMから噴射パルスPS2を選択し、選択した噴射パルスPSを記録ヘッド2の圧電振動子51に印加する。こうして、キャリッジ3に生じる振動が大きくなる区間ほど噴射力が強い波形の噴射パルスPSによる噴射駆動が行われる。なお、図7,8の例では、説明の便宜のため、2つの区間S1,S2について2種類の噴射パルスPS1,PS2を用いて補正する場合を例にして説明したが、区間の数および噴射パルスPSの種類についてはこれに限られるものではない。
次に、プリンター1が行う処理の流れについて、図9のフローチャートを参照して詳細に説明する。なお、図9に示すフローチャートは、プリントコントローラー110のCPU112が主体となって実行する処理の一例であるが、図9に示す全てのステップの処理が必須であるとは限らない。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲で処理の順番を適宜変更してもよい。
例えば、プリンター1の電源が投入されたときや、所定時間が経過する毎などのタイミングで、図9の処理が開始される。処理が開始されると、プリントコントローラー110は、圧電装置駆動回路160に圧電装置100の圧電素子を駆動させ、逆起電力を検出可能な状態とする(ステップS10)。
次に、プリントコントローラー110は、キャリッジ移動機構4を作動させ、キャリッジ3の走査を開始させる(ステップS20)。キャリッジ3の走査により記録ヘッド2とともに圧電装置100が主走査方向に移動する。キャリッジ3の走査中、圧電装置100の圧電素子には逆起電力が発生する。プリントコントローラー110は、逆起電力の検出信号を内部I/F部114を介して圧電装置駆動回路160から取得する(ステップS30)。キャリッジ3の走査が終わると、1往復走査において逆起電力が変化する推移を検出データとして記憶部113に保存する(ステップS40)。なお、検出データは、キャリッジ3の往動時と復動時のそれぞれについて検出して保存される。
次に、プリントコントローラー110は、印刷指示を待ち続け(ステップS50:No)、例えば、外部装置200などから印刷データを受信することにより印刷指示を受けると(ステップS50:Yes)、ステップS60に進む。
ステップS60に処理が進むと、プリントコントローラー110は、記憶部113から検出データを読み出し、検出データにある逆起電力の変化から、噴射パルスPSの波形とその噴射パルスPSを印加する区間を決定する(ステップS60)。
噴射パルスPSの波形とその噴射パルスPSを印加する区間を決定すると、プリントコントローラー110は、噴射パルスPSの波形データを駆動信号生成部115に送出し、決定した波形の駆動信号COMを生成させる(ステップS70)。そして、プリントコントローラー110はヘッド駆動回路150に噴射データを送出することにより、ヘッド駆動回路150に、駆動信号COMに含まれる噴射パルスPSを噴射データに基づいて選択させ、選択した噴射パルスPSを記録ヘッド2の圧電振動子51に印加させる噴射制御を行う(ステップS80)。これにより、噴射パルスPSの補正が行われて、補正された噴射パルスPSによる記録が行われる。なお、こうした噴射パルスPSの補正は、キャリッジ3の往動時においては往動時に検出された検出データに従って行われ、復動時には復動時に検出された検出データに従って行われる。
以上に述べた第1の実施形態によれば、キャリッジ3の走査により記録ヘッド2とともに圧電装置100を移動させ、圧電装置100の圧電素子に生じる逆起電力の変化に応じて噴射パルスPSをより噴射力が強い波形に補正している。これにより、キャリッジ3の走査によってキャリッジ3に生じる振動が大きくなり、記録ヘッド2の噴射特性の低下が大きくなる区間ほど、噴射力が強い波形の噴射パルスPSによる噴射駆動が行われることとなる。したがって、キャリッジの振動に起因して噴射特性が低下する分を、噴射力がより強い噴射パルスPSを用いることで補うようにして、インク滴のインク量や着弾位置などの好適な噴射特性を得ることができる。なお、キャリッジ3の走査によって、インクが充填されたキャビティ内に生じる圧力変動を検出して噴射パルスPSを補正するようにしたので、同じ液体で形成されるノズル内のメニスカスに生じる振動の影響を好適に抑えることが可能である。
また、記録ヘッド2が移動する期間に亘って逆起電力が検出されて、記録ヘッド2の移動に伴って噴射制御を行う期間において逆起電力が変化する推移に応じて噴射パルスPSが随時補正される。したがって、記録ヘッド2の移動中に生じる噴射特性の変化を適宜抑制し、印字ムラなどの画質劣化が生じ難い好適な噴射特性を得ることができる。
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、2種類の噴射パルスPS1,PS2を含む駆動信号COMを生成して、圧電装置100に生じる逆起電力に応じて駆動信号COMより、噴射力が異なる噴射パルスPSを選択的に圧電振動子51に印加するようにした。第2の実施形態では、駆動信号生成部115が、複数種類の駆動信号COM1,COM2を生成することにより、圧電振動子51に印加される噴射パルスPSを補正する。なお、以下では、第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付与し、詳細な説明を省略する。
駆動信号生成部115は、第1駆動信号生成部と第2駆動信号生成部(図示なし)とを有しており、第1駆動信号生成部が第1駆動信号COM1を生成するとともに、第2駆動信号生成部が第2駆動信号COM2を生成する。プリントコントローラー110のCPU112は、噴射パルスPS1の波形データを第1駆動信号生成部に送出することにより、図10の上段に示すように、区間S1の逆起電力の変化量に応じた噴射パルスPS1を含む第1駆動信号COM1を生成させる。また、CPU112は、噴射パルスPS2の波形データを第2駆動信号生成部に送出することにより、図10の中段に示すように、区間S2の逆起電力の変化量に応じた噴射パルスPS2を含む第2駆動信号COM2を生成させる。さらに、プリントコントローラー110がヘッド駆動回路150に噴射データを送出することにより、ヘッド駆動回路150は、図10の下段に示すように、区間S1においては第1駆動信号COM1から噴射データに応じて噴射パルスPS1を選択し、区間S2においては第2駆動信号COM2から噴射データに応じて噴射パルスPS2を選択し、選択したパルスを記録ヘッド2の圧電振動子51に印加する。これにより、図10下段に示すように、区間S1については圧電振動子51に噴射パルスPS1が印加され、区間S2については圧電振動子51に噴射パルスPS2が印加されることとなり、キャリッジに生じる振動が大きい区間S2ほど噴射力が強い波形の噴射パルスPS2を用いて噴射駆動が行われる。
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、キャリッジ3からヘッドに伝わる振動に起因して記録ヘッド2の噴射特性が低下することを抑制し、好適な噴射特性を得ることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、圧電装置100の圧電素子に生じた逆起電力の変化量に応じて、噴射するインク滴の種類を変えることにより、キャリッジの振動に起因する噴射特性の低下を防ぐ場合について説明する。
図11は、第3の実施形態における駆動信号の一例を示した図である。図11に示すように、駆動信号COM3は、1単位期間Tpにおいて、大ドットを記録するためのインク滴を噴射させる噴射パルスPSLと、小ドットを記録するためのインク滴を噴射させる噴射パルスPSSを含む。駆動信号COM4は、1単位期間Tpにおいて、中ドットを記録するためのインク滴を噴射させる噴射パルスPSM1,PSM2を含む。ここで、例えば、噴射パルスPSLによって大ドットを噴射したときのインク滴速度に比べて、噴射パルスPSM1,PSM2によって中ドットを噴射したときのインク滴速度が速いものとする。この場合、圧電装置100によって検出された逆起電力の変化からインク滴の噴射速度が低くなることが推測されるとき、ヘッド駆動回路150は、例えば、大ドット用の噴射パルスPSLを選択して圧電振動子51に印加することに代えて、中ドット用の2つの噴射パルスPSM1,PSM2を選択して圧電振動子51に印加して、2つの中ドットを噴射させることにより、大ドットに相当するインク量を噴射させる。このようにすれば、キャリッジ3の走査時にインク滴の噴射速度が低下することによるドットの着弾位置ずれを低減できる。
また、圧電装置100によって検出された逆起電力の変化に応じて、噴射するインク滴を増やすことにより、インク滴の噴射量の低下を補うようにしてもよい。例えば、大ドットとなるインク滴を噴射すべき場合に、1単位期間Tpにおいて、駆動信号COM3に含まれる大ドット用の噴射パルスPSLに加えて、さらに駆動信号COM3に含まれる小ドット用の噴射パルスPSSを選択して圧電振動子51に印加する。このようにすれば、大ドットとなるインク滴に加えて小ドットとなるインク滴も噴射する分、噴射量を補うようにして噴射特性の低下を防ぐことができる。
(第4の実施形態)
上記第1ないし第3の実施形態では、圧電装置100によって、キャリッジ3の振動により主走査方向の圧力変動より生じる逆起電力の変化を検出するようにしたが、複数の方向についての逆起電力の変化を検出してもよい。
図12に示すように、第4の実施形態に係るプリンター1’は、圧電装置100と同様の構成を有する第1圧電装置101および第2圧電装置102を備え、第1圧電装置101は主走査方向の圧力変動により生じる逆起電力の変化を検出し、第2圧電装置102は鉛直方向の圧力変動により生じる逆起電力の変化を検出する。この場合、プリントコントローラー110は、2方向についての逆起電力の変化から噴射パルスPSの波形を補正する。このようにすれば、キャリッジ3に生じる振動による噴射特性への影響を2方向において抑えることでより好適な噴射特性を得ることができる。
なお、鉛直方向の振動成分を逆起電力として検出するため、上述したように2つの圧電装置101,102を設けるようにしてもよいが、記録ヘッド2には、圧電振動子51、すなわち圧電素子があるため、鉛直方向については、圧電振動子51の圧電素子を利用して逆起電力を検出するようにしてもよい。このようにすれば、鉛直方向については新たに圧電装置100を設けることなく、キャリッジ3に生じる振動を逆起電力として検出できるため、製品コストの上昇を抑えながら、好適な噴射特性を得ることが可能である。
以上、本発明の第1ないし第4の実施形態について説明したが、本発明はこの形態に限られることなく、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良により様々な形態とすることができる。また、本発明には、その等価物が含まれることはもちろんである。以下、変形例について説明する。
(変形例1)上記第1の実施形態では、キャリッジ3が走査するときに主走査方向に生じる振動による逆起電力を検出する場合、上記第4の実施形態では、主走査方向に加えてさらに鉛直方向に生じる振動による逆起電力を検出する場合について説明したが、検出方向およびその組み合わせとしてはこれに限られない。例えば、鉛直方向のみについて逆起電力を検出して補正するようにしてもよいし、副走査方向の振動によって生じる逆起電力も検出して補正するようにしてもよい。
(変形例2)上記第1ないし第4の実施形態では、キャリッジ3に圧電装置100を設けるようにしたが、圧電装置100を設ける位置としてはこれに限られることなく、キャリッジ3の走査に伴って記録ヘッド2とともに圧電装置100が移動することとなる構成であればよい。例えば、記録ヘッド2自体に圧電装置100を設けるようにしてもよいし、サブタンク14に設けるようにしてもよい。また、キャリッジ3にインクカートリッジを搭載した、所謂オンキャリッジ方式のプリンターであれば、特許文献1に記載のようにインクカートリッジに設けられた圧電装置を用いて逆起電力を検出するようにしてもよい。
(変形例3)上記第1ないし第4の実施形態では、インクカートリッジ11から供給されるインクをキャビティ23に充填するようにした圧電装置100の構成としたが、圧電装置100に用いられる液体の種類としてはこれに限られない。例えば、圧電装置100の流入口31と流出口32とを塞ぎ、キャビティ23には、インクカートリッジ11のインクではない所定の液体が液密に充填された構成としてもよい。このようにすれば、圧電装置100に対してインクを供給する必要がないため、例えば、キャリッジ上にインクカートリッジを搭載し、記録ヘッドのインク導入部がインクカートリッジと直接接続される構造をもつ、所謂オンキャリッジ方式のプリンターに本発明を適用することができる。
(変形例4)上記実施形態では、液体噴射ヘッドの一例として、いわゆる縦振動型の圧電素子を用いてインクを噴射する記録ヘッドについて説明したが、液体噴射ヘッドとしてはこれに限られない。例えば、撓みモードの圧電素子を採用した液体噴射ヘッドやシェアモードを採用した液体噴射ヘッドとしてもよい。また、発熱素子の発熱によって圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる方式の液体噴射ヘッドや、静電アクチュエーターによって圧力発生室内の液体に圧力変動を生じさせる方式の液体噴射ヘッドとしてもよい。さらに、ライン型の液体噴射ヘッドであってもよい。
(変形例5)上記実施形態では、液体の一例としてのインクを噴射する記録ヘッド、液体噴射装置の一例としてプリンターについてについて説明したが、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドおよびこの液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置としてもよい。噴射の対象となる液体としては、例えば、液晶ディスプレイのカラーフィルターに用いられる各色材の溶液や、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイに用いられる有機EL材料の溶液、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる液状の電極材料等であってもよい。これらの液体を噴射する液体噴射ヘッドの例としては、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ装置の製造に用いられる色材噴射ヘッド、FED(等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
1…液体噴射装置としてのプリンター、2…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、3…キャリッジ、4…移動機構としてのキャリッジ移動機構、5…カートリッジ収納部、6…紙送り機構、11…インクカートリッジ、23…液室としてのキャビティ、51…圧力発生部としての圧電振動子、100…圧電装置、101…第1圧電装置、102…第2圧電装置、110…制御部としてのプリントコントローラー、113…記憶部、150…制御部としてのヘッド駆動回路、COM…駆動信号、PS…噴射パルス。

Claims (8)

  1. 圧力発生部の駆動により液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
    前記液体噴射ヘッドを移動させる移動機構と、
    前記液体噴射ヘッドの移動に伴って、前記圧力発生部に液体を噴射させる噴射パルスを含む駆動信号を前記液体噴射ヘッドに供給して前記液体噴射ヘッドに液体を噴射させる噴射制御を行う制御部と、
    液室が形成され、前記液室内の液体に生じる圧力変動を逆起電力として検出する圧電装置と、を備え、
    前記移動機構は、前記液体噴射ヘッドとともに前記圧電装置を移動させ、
    前記制御部は、前記圧電装置が検出した逆起電力の変化に応じて、前記圧力発生部に印加される前記噴射パルスを補正することを特徴とする液体噴射装置。
  2. 請求項1に記載の液体噴射装置において、
    前記制御部は、前記噴射パルスの波形を、前記圧電装置が検出する逆起電力の変化量が大きいほど液体の噴射力が大きい波形に補正することを特徴とする液体噴射装置。
  3. 請求項1または2に記載の液体噴射装置において、
    前記圧電装置は、前記液体噴射ヘッドが移動する期間に亘って逆起電力を検出し、
    前記制御部は、前記噴射制御を行う期間に亘って検出された前記逆起電力の変化の推移に応じて前記噴射パルスを補正することを特徴とする液体噴射装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
    前記制御部は、噴射力が異なる前記噴射パルスを含む複数の駆動信号から、前記圧電装置が検出した逆起電力の変化に応じて前記噴射パルスを選択し、前記選択した噴射パルスを圧力発生部に印加することを特徴とする液体噴射装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
    前記制御部は、異なる種類の液滴を噴射させる複数の前記噴射パルスを含む駆動信号から、前記圧電装置が検出した逆起電力の変化に応じて前記噴射パルスを選択し、前記選択した噴射パルスを圧力発生部に印加することを特徴とする液体噴射装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
    液室が形成され、前記液室内の液体に生じる圧力変動を逆起電力として検出し、前記圧電装置とは圧力変動の検出方向が異なる第2圧電装置を備え、
    前記移動機構は、前記圧電装置および前記第2圧電装置を前記液体噴射ヘッドとともに移動させ、
    前記制御部は、前記圧電装置が検出した逆起電力および前記第2圧電装置が検出した逆起電力に応じて、前記噴射パルスを補正することを特徴とする液体噴射装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
    前記圧電装置が、前記液体噴射ヘッドの前記圧力発生部であることを特徴とする液体噴射装置。
  8. 圧力発生部の駆動により液体を噴射する液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置の制御方法であって、
    液室内の液体に生じる圧力変動を圧電効果の逆起電力として検出する圧電装置を前記液体噴射ヘッドとともに移動させるステップと、
    前記圧電装置が検出する逆起電力の変化に応じて、前記圧力発生部に印加される前記噴射パルスを補正するステップと、を含むことを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
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