JP2013015439A - 放射線モニタ - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で効果的に放射線検出器の温度補償を行うことができる放射線モニタを提供する。
【解決手段】測定対象の放射線を検出して電流パルスに変換する放射線検出器1と、放射線検出器の電流パルスを電圧パルスに変換する前置増幅器2と、前置増幅器の電圧パルスを増幅する主増幅器3と、主増幅器から出力された電圧パルスから放射線を測定するレートメータ5とを備え、前置増幅器は、放射線検出器の電流パルスを極性反転入力端子に入力する演算増幅器21と、演算増幅器の極性反転入力端子と出力端子の間に接続された負帰還容量22と負帰還抵抗回路23を具備し、負帰還抵抗回路は2つの抵抗231,232を直
列に接続し、その接続点とアースまたはコモンの間に1つの抵抗233を接続してT字型の
構成とし、直列に接続された抵抗の少なくとも1個は正の温度特性を有する抵抗として、
放射線検出器の温度補償を行う。
【選択図】図1

Description

この発明は、原子力発電所、使用済み燃料再処理施設等に使用される放射線モニタに関するものであり、特に放射線モニタを構成する放射線検出器の温度特性を補償する回路の改良に関するものである。
放射線を検出する放射線検出器は、その種類により固有の温度特性を有している。従って、放射線を安定した精度で測定するためには、放射線検出器固有の温度特性に対して温度補償を施す必要があり、種々の方法が考えられて実用化されている。
その1つとして、放射線検出器から出力される電流パルスを電圧パルスに変換する前置増幅器において、演算増幅器の負帰還回路を、電流パルスの電荷を積分する負帰還容量と正の温度特性を有する負帰還抵抗で構成し、その積である時定数に放射線検出器の環境温度を反映させ、更に時定数に関係する出力電圧パルスの立ち下がり時間に反映させ、放射線検出器の環境温度を前置増幅器出力の電圧パルスのパルス幅として主増幅器に伝達し、主増幅器のゲイン−周波数特性に作用させることにより、放射線検出器の温度特性を補償するようにした放射線モニタが実用化されている(特許文献1参照)。
特開2004−347368号公報(図1参照)
従来の前置増幅器は以上のように構成されているため、前置増幅器の演算増幅器が入力の電流パルスに正確に応答し、かつ放射線検出器及び回路の固有ノイズに対して十分なS/N比を確保するために、先ず好適な負帰還容量を選定して前置増幅器において所望の波高の出力電圧パルスを得て、次に負帰還容量値と負帰還抵抗値の積である時定数を選定し、結果として好適な負帰還抵抗を選定し、同時に放射線検出器の温度特性を補償するために負帰還抵抗値について最適な温度係数を選定することになる。
しかしながら、所望の抵抗値で所望の温度係数の両方を満たす抵抗を市販品から得るのは困難であり、特にシンチレーション検出器、半導体検出器のような放射線検出器の前置増幅器の時定数としては0.2〜0.5μsecが好適であるが、50〜100kΩの抵抗
値において所望の温度係数のものを得ようとしても、50kΩ以上では適合する温度係数の抵抗を入手するのは困難であり、特注すると大幅なコストアップになるという問題があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、安価で効果的に放射線検出器の温度補償を行うことができる放射線モニタを提供することを目的とするものである。
この発明に係わる放射線モニタは、測定対象の放射線を検出して検出量に対応した電流パルスに変換する放射線検出器と、放射線検出器の電流パルスを電圧パルスに変換する前置増幅器と、前置増幅器の電圧パルスを増幅すると共に、高周波ノイズ成分をフィルタカットして出力する主増幅器と、主増幅器から出力された電圧パルスを計数して放射線を測定するレートメータとを備え、前置増幅器は、放射線検出器の電流パルスを極性反転入力端子に入力する演算増幅器と、この演算増幅器の極性反転入力端子と出力端子の間に接続された負帰還容量と負帰還抵抗回路を具備し、負帰還抵抗回路は2つの抵抗を直列に接続し、その接続点とアースまたはコモンの間に1つの抵抗を接続してT字型の構成とし、直列に接続された2つの抵抗の少なくとも1個は正の温度特性を有する抵抗を含むものである。
この発明に係わる放射線モニタは、前置増幅器において、演算増幅器の負帰還抵抗回路を、2つの抵抗を直列に接続し、その接続点とアースまたはコモンの間に1つの抵抗を接続してT字型の構成とし、直列に接続された2つの抵抗の少なくとも1個は正の温度特性を有する抵抗を含むことにより、入手が困難な領域の所望の抵抗値の所望の温度係数を等価抵抗値と等価温度係数として生成するようにしたので、安価で高安定な放射線モニタを提供できる。
この発明の実施の形態1に係わる放射線モニタの構成を示す図である。 この発明の実施の形態1に係わる等価抵抗値Rの等価温度係数kを示す図である。 この発明の実施の形態1に係わる主増幅器のゲイン−周波数特性を示す図である。 この発明の実施の形態1に係わる放射線検出器の温度特性の補償動作を示す図である。 この発明の実施の形態2に係わる放射線モニタの構成を示す図である。 この発明の実施の形態2に係わるヒータによる環境温度上昇による温度補償動作を示す図である。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1における放射線モニタを図1乃至図4により説明する。図1は、実施の形態1による放射線モニタの構成を示すブロック図であり、測定対象の放射線を検出して検出量に対応した電流パルスに変換する放射線検出器1と、放射線検出器1の出力電流パルスを電圧パルスに変換する前置増幅器2と、前置増幅器2の出力電圧パルスを増幅すると共に高周波ノイズ成分をフィルタカットする主増幅器3と、主増幅器3の出力である増幅された電圧パルスの波高を弁別し、設定されたレベル未満のパルスをノイズとして除去すると共に、設定されたレベル以上のパルスを放射線による信号としてデジタルパルスを出力する波高弁別器4と、波高弁別器4の出力デジタルパルスを計数して計数率を測定し、その計数値に基づき工学値を求めて放射線を測定するレートメータ5とから構成されている。
前置増幅器2は、放射線検出器1からの電流パルスを極性反転入力端子211に入力する演算増幅器21と、演算増幅器21の極性反転入力端子211と出力端子212の間に並列に接続された負帰還容量22と負帰還抵抗回路23を備え、負帰還抵抗回路23は、2つの抵抗231と抵抗232が直列に接続され、その接続点に抵抗233の一端が接続され、抵抗233の他の一端がコモンまたはアースに接続されてT字型に構成されている。
なお、図1では負帰還抵抗回路23の1例を示したが、抵抗231、抵抗232、抵抗233のそれぞれは、個別に複数の抵抗を直列または並列または直列と並列の混成で接続された複数の抵抗群で構成してもよいことは言うまでもない。
演算増幅器21は入力抵抗が大きいため、極性反転入力端子211から入力された放射
線検出器1からの出力電流パルスが負帰還容量22で電荷積分され、電圧に変換されて波高値を生成する。負帰還容量22の容量値をCとし、負帰還抵抗回路23の等価抵抗値をRとすると、波高値は時定数CRで減衰して電圧パルスとして出力端子212から出力される。
抵抗231、抵抗232、抵抗233の抵抗値をそれぞれR1、R2、R3とすると、等価抵抗値Rは(1)式のようになる。
R=R1+R2+(R1×R2)/R3・・・(1)
また、抵抗231、抵抗232の温度係数をそれぞれk1、k2とし、抵抗233の温度係数をk1、k2に対して無視できる程度に小さいとすると、等価抵抗値Rの等価温度係数kは(2)式のようになる。
k≒k1・R1/R+k2・R2/R+(k1+k2)・R1・R2/R3・R・・・(
2)
したがって、R1及びR2に対してR3を相対的に小さい値とすることにより、等価抵抗値R及び等価温度係数kにおいて第3項が支配的になるので、等価抵抗値R及び等価温度係数kの両方について容易に任意の値を生成できる。
図2は、実施の形態1の前置増幅器2の負帰還抵抗回路23における等価抵抗値Rの等価温度係数kを示す図である。負帰還抵抗回路23は、上述のようにして図2に特性aで示す所望の正の温度係数が得られるようにしている。
また図3は、実施の形態1の主増幅器3のゲイン−周波数特性を示す図である。この特性は、増幅された電圧パルスに重畳されている高周波ノイズを除去する高周波阻止特性のため、高周波領域では特性bに示すように、ゲインが低下する特性を持っている。すなわち、入力パルスのパルス幅が広くなって周波数が低下するとゲインが大きくなり、パルス幅が狭くなって周波数が高くなるとゲインが小さくなるように作用する。
図4は放射線検出器1の温度特性に対する補償動作を示す図であり、図4(A)は前置増幅器2の出力電圧パルスを示し、図4(B)は主増幅器3の出力電圧パルスを示す。この図において、dは基準温度時における前置増幅器2の出力電圧パルスの波高値であり、tsは基準温度時における前置増幅器2の出力電圧パルスのパルス幅である。また、eは同じく低温時における波高値、tは低温時におけるパルス幅、fは同じく高温時における波高値、tは高温時におけるパルス幅であり、Lは上述した波高値弁別用の設定されたレベルである。また、gは上記各波高値d〜fを主増幅器3に入力した時の主増幅器3の出力である増幅された電圧パルス出力である。放射線検出器1の出力電流パルスの電荷量、すなわち前置増幅器2の入力電荷量Q、容量値C、前置増幅器2のゲインGの関係は、
G=Q/C
となる。
原子力発電所等で使用される放射線モニタでは、放射線検出器1としてNaI(TI)シンチ
レーション検出器、プラスチックシンチレーション検出器、Si半導体検出器が一般的に使用されており、NaI(TI)シンチレーション検出器は常温以上の温度で、プラスチックシ
ンチレーション検出器、Si半導体検出器は通常の使用温度範囲10〜50℃において、出力電流パルスの電荷量Qは負の温度係数を有するため、結果として前置増幅器2の出力電圧パルスの波高値は負の温度係数を持っている。一方、前置増幅器2の負帰還抵抗回路23の等価抵抗値Rは上述のように正の温度係数を有しているため、パルス幅は正の温度特性となり、主増幅器3のゲイン−周波数特性と組み合わせた総合特性は、放射線検出器1の温度係数を補償するように動作する。
以上のように、放射線検出器1の出力電圧パルスのパルス幅に環境温度を反映させて主
増幅器3に伝達し、主増幅器3のゲイン−周波数特性に作用させて放射線検出器1の温度特性を補償する前置増幅器2の負帰還抵抗回路23をT字型の抵抗で構成し、各抵抗は直列または並列または直列と並列の混成で接続された少なくとも1個の抵抗から成り、直列に接続された2つの抵抗には正の温度特性を有する抵抗を少なくとも1個含むようにして、入手が困難な領域の所望の抵抗値と所望の温度係数を、等価抵抗値と等価温度係数として容易に生成するようにしたので、安価で高安定な放射線モニタを提供できる。
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2における放射線モニタを図5及び図6により説明する。図5は、実施の形態2による放射線モニタの構成を示すブロック図であり、図5に示すように放射線検出器1に密接させてまたは近傍させて、放射線検出器1の周囲にヒータ6を設置している。その他の構成は実施の形態1の図1と同じであり、同じまたは相当する部分には同じ符号を付して説明を省略する。
図6はヒータ6による放射線検出器1の環境温度上昇による温度補償動作を示す図で、図6において、sはNaI(TI)シンチレーション検出器、CsI(TI)シンチレーション検出器に代表される無機結晶シンチレータを搭載した放射線検出器に特有の出力パルス波高値の温度特性を示すもので、所定の温度で最大値となり、山型の温度特性を有する。一方、uはその逆特性の温度補償特性が得られれば、放射線検出器はvのように安定な温度特性になる。
しかし、負帰還抵抗回路23の抵抗または抵抗群ではそれに整合するような特性は得られないので、NaI(TI)シンチレーション検出器、CsI(TI)シンチレーション検出器等については、図5のように放射線検出器1にヒータ6を密接させてまたは近傍させて配置し、図6のsのように常温付近が山型の温度特性の放射線検出器について、常温以上で温度特性が概ね負の直線になる温度領域i以上になるまで環境温度を上昇させ、温度領域i以上でuのような逆特性の温度補償特性とし、結果的にvのように安定な温度特性になるようにする。
このように実施の形態2の発明は、放射線検出器1の周囲をヒータ6で温めて環境温度を上げるようにしたので、山型の温度特性を有する無機質結晶シンチレータを放射線センサーとする、例えば、NaI(TI)シンチレーション検出器、CsI(TI)シンチレーション検出器等についても、使用温度範囲の全領域について温度特性が良好な放射線モニタが得られる。
1:放射線検出器 2:前置増幅器
3:主増幅器 4:波高弁別器
5:レートメータ 6:ヒータ
21:演算増幅器 22:負帰還容量
23:負帰還抵抗回路
211:極性反転入力端子 212:出力端子
231、232、233:抵抗。

Claims (3)

  1. 測定対象の放射線を検出して検出量に対応した電流パルスに変換する放射線検出器と、上記放射線検出器の電流パルスを電圧パルスに変換する前置増幅器と、上記前置増幅器の電圧パルスを増幅すると共に、高周波ノイズ成分をフィルタカットして出力する主増幅器と、上記主増幅器から出力された電圧パルスを計数して放射線を測定するレートメータとを備え、上記前置増幅器は、上記放射線検出器の電流パルスを極性反転入力端子に入力する演算増幅器と、この演算増幅器の極性反転入力端子と出力端子の間に接続された負帰還容量と負帰還抵抗回路を具備し、上記負帰還抵抗回路は2つの抵抗を直列に接続し、その接続点とアースまたはコモンの間に1つの抵抗を接続してT字型の構成とし、直列に接続された2つの上記抵抗の少なくとも1個は正の温度特性を有する抵抗を含むことを特徴と
    する放射線モニタ。
  2. 上記負帰還抵抗回路の各抵抗は、直列または並列または直列と並列の混成で接続された複数の抵抗から成る請求項1に記載の放射線モニタ。
  3. 上記放射線検出器の周囲にヒータを設け、温度補償なしの負の温度特性が直線になる温度領域まで上記放射線検出器の環境温度を上昇させるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の放射線モニタ。
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