JP2013015118A - 吸音構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 インテークダクト(吸音構造体)においては、例えば孔径が1mm以下の内孔5を有する細径チューブ状の中空吸音体4の集合体によって、音源から放出される騒音を吸音する吸音部材を構成している。また、吸音部材を構成する細径チューブ状の中空吸音体4の集合体を、ターボチャージャのコンプレッサハウジングの出口端に接続されるインテークダクトのダクト本体2の内部(ダクト壁体3の吸気通路側壁面上)に設置している。これにより、レゾネータのような大きな容積を必要とすることなく、幅広い周波数帯域において優れた吸音性能を発揮することができる。また、レゾネータのような消音特性(吸音特性)の悪化領域(逆に音が大きくなる増音領域)が発生することはない。
【選択図】 図2
Description
従来より、共鳴周波数の異なるヘルムホルツ型のレゾネータ(共鳴型消音器)を複数段並べることで、幅広い周波数帯域の吸音特性を有する吸音構造体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
吸音構造体は、図6に示したように、内側部材101と、この内側部材101を包囲した外側部材102とを含んでいる。
内側部材101は、開口部103が設けられた内壁104を画成している。外側部材102は、内側部材101の内壁104に沿って延びる外壁105を画成している。
吸音構造体の吸音特性および柔軟性を改良するために、外壁105は、ベローズ106となっている。このベローズ106は、内壁104と相まって個々のキャビティ107を画成しており、内壁104の開口部103がキャビティ107内へ開放している。
ところが、従来の吸音構造体において、レゾネータは、元々特定周波数を消音するのに有効な装置である。
したがって、幅広い周波数帯域における消音特性(吸音特性)を得るという目的で、特定周波数の消音量を必要以上の消音量となるように大きくして裾野の周波数の消音量を持ち上げたり、共鳴周波数の異なるレゾネータを複数段並べたりするのは、必須で、いずれも大きな容積を要する。
また、ヘルムホルツ型のレゾネータの特質として、図7のグラフに示したように、消音周波数の前後周波数において、むしろ音の大きくなる増量領域、つまり音の悪化領域(消音特性(吸音特性)の悪化領域)が発生するという問題がある。
吸音部材は、軸線方向に延びる孔を有する多数の吸音体を集合した集合体(または軸線方向に延びる多数の孔を有する多孔質吸音体)によって構成されている。
ここで、音源(音の発生源)としては、内燃機関(エンジン)やターボチャージャ(過給機)のコンプレッサ等が考えられる。
また、吸音構造体としては、吸気ダクト、排気ダクト、エンジンカバー、自動車のパネル部材等が考えられる。
これによって、ヘルムホルツ型のレゾネータ(共鳴型消音器)のような大きな容積を必要とすることなく、幅広い周波数帯域において優れた吸音性能を発揮することができる。これにより、レゾネータと比べて、吸音構造体の体格を非常に小型化できるので、例えば車両に対する搭載性を向上することができる。
また、レゾネータのような消音特性(吸音特性)の悪化領域(逆に音が大きくなる増音領域)が発生することはない。
請求項2に記載の発明によれば、例えば孔径(φ)が1mm以下の細径チューブ状の吸音体を採用することにより、各吸音体が圧力変化により変形するのを防止できるので、吸音性能の低下を抑制することがきる。
なお、「多数の吸音体を集合した集合体」を、「吸音体を複数集合した集合体」、あるいは「吸音体の集合体」とも言う。
請求項4に記載の多数の吸音体を集合させた集合体は、多数の吸音体の各孔の軸線方向の一端または両端が、外部に向けて開口している。あるいは請求項10に記載の多孔質吸音体は、多数の孔の各軸線方向の一端または両端が、外部に向けて開口している。
ここで、多数の吸音体の軸線長さをL[mm]とし、吸音体の孔径(内径)をφd[mm]としたとき、Lとφdとの関係(Lとφdとの比であるL/φd)を選定することで、所望の消音量を得ることができる。
例えばレゾネータの1kHz〜4kHzの平均消音量である15[dB]を得るには、L/φdを33.8以上とすれば良く、L=10mmに設定した場合、φd<0.3mmとなる。
請求項6に記載の多数の吸音体を集合した集合体は、多数の吸音体の各孔の軸線が、ダクト壁体の壁面方向に対して(所定の傾斜角度分だけ)傾斜している。あるいは請求項12に記載の多孔質吸音体は、多数の孔の各軸線が、ダクト壁体の壁面方向に対して(所定の傾斜角度分だけ)傾斜している。
また、ダクト壁体の壁面方向に対して、多数の吸音体の各孔の軸線を(所定の傾斜角度分だけ音源側に)傾斜させた場合、あるいはダクト壁体の壁面方向に対して、多数の孔の各軸線を(所定の傾斜角度分だけ)傾斜させた場合、進行波とは逆方向に進行する反射波に対しては、吸音体の吸音率が低下するが、進行波が十分消音されれば、反射波も小さくなる。
請求項7および請求項13に記載の発明によれば、音源から放出された音波の進行方向に対して、多数の吸音体の各孔の軸線を傾斜させる、あるいは音源から放出された音波の進行方向に対して、多数の孔の各軸線を傾斜させることにより、吸音構造体の肉厚が大きくなることはない。これにより、レゾネータと比べて、吸音構造体の体格を非常に小型化できるので、例えば車両に対する搭載性を向上することができる。
また、音源から放出された音波の進行方向に対して、多数の吸音体の各孔の軸線を傾斜させた場合、あるいは音源から放出された音波の進行方向に対して、多数の孔の各軸線を傾斜させた場合、進行波とは逆方向に進行する反射波に対しては、吸音体の吸音率が低下するが、進行波が十分消音されれば、反射波も小さくなる。
本発明は、レゾネータのような大きな容積を必要とすることなく、幅広い周波数帯域、特に高周波数の広帯域において優れた吸音性能を発揮するという目的を、軸線方向に延びる孔を有する多数の吸音体を集合した集合体または軸線方向に延びる多数の孔を有する多孔質吸音体によって、音源から放出される音(騒音)を吸音する吸音部材を構成したことで実現した。
また、吸音体が圧力で変形するのを防止して吸音性能の低下を抑制するという目的を、軸線方向に延びる孔を有する吸音体を、細径チューブ状に形成したことで実現した。
図1ないし図3は本発明の実施例1を示したもので、図1はエンジン制御システムを示した図で、図2はインテークダクト(吸音構造体)の一部を示した図である。
インテークダクト1は、図1および図2に示したように、コンプレッサから放出される騒音が伝播する角筒状のダクト本体2と、このダクト本体2のダクト壁体(基体)3の吸気通路壁面上に取り付けられて、ターボチャージャのコンプレッサ(音の発生源)から放出される騒音を吸音する合成樹脂製の吸音部材(中空吸音体4を多数集合した集合体:以下中空吸音体4の集合体と言う)とを備えている。
多数の中空吸音体4の内部には、各中空吸音体4の軸線方向に対して平行な方向(孔の軸線方向)に真っ直ぐに延びる丸孔形状の内孔5がそれぞれ形成されている。また、隣接する中空吸音体4間には、隙間(孔)6がそれぞれ形成されている。
なお、吸気消音装置、特にインテークダクト1の詳細は、後述する。
このエンジンEは、自動車等の車両のエンジンルーム内にターボチャージャと共に設置されている。また、エンジンEの各気筒(シリンダヘッド)には、各吸気ポート内に最適なタイミングで燃料を噴射するインジェクタが搭載されている。
エンジンEは、各気筒毎の燃焼室に吸い込まれる吸気が流れる吸気通路を形成する吸気管(吸気ダクト)と、各気筒毎の燃焼室より流出する排気ガスを外部に排出する排気通路を形成する排気管(排気ダクト)とを備えている。
排気ダクトには、エキゾーストマニホールド、ターボチャージャのタービン、排気浄化装置(触媒)、および排気消音器であるマフラ9が設置されている。なお、エキゾーストマニホールドは、エンジンEの各気筒毎の排気ポートに接続されている。
エアクリーナ7の出口端は、エアクリーナ7を通過した吸気が流れる吸気通路を形成するインテークダクトを介して、ターボチャージャのコンプレッサハウジングに接続している。
コンプレッサハウジングの出口端は、ターボチャージャのコンプレッサから流出した吸気が流れる吸気通路Rを形成するインテークダクト1を介して、インタークーラ8に接続している。
インタークーラ8の出口端は、クーラコアを通過した吸気が流れる吸気通路を形成するインテークダクト(エアコネクタ、エアホース)を介して、電子スロットル装置のスロットルボディ11に接続している。
スロットルバルブ12を支持するシャフト14は、電動アクチュエータ13によって回転駆動される。電動アクチュエータ13は、スロットルバルブ12を開弁方向または閉弁方向に駆動するモータ、このモータの回転を減速してシャフト14に伝達する減速機構等により構成される。モータは、エンジン制御ユニット(電子制御装置:以下ECUと言う)によって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気接続されている。
サージタンクは、吸気を一旦貯蔵すると共に、エンジンEの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに接続する複数の吸気分岐管に吸気を分配供給するためのサージタンク室等を有している。なお、図1中においては、サージタンクの図示が省略されている。
吸気分岐管は、エンジンEの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに独立して接続され、サージタンクのサージタンク室より分岐している。各吸気分岐管の内部には、エンジンEの各気筒毎の吸気ポートへ吸気を導くための吸気分岐流路が形成されている。
このターボチャージャは、タービンのホイール(タービンホイール15)が排気により回転駆動されると、タービンホイール15に連結したタービンシャフト16およびコンプレッサのインペラ(コンプレッサインペラ17)も回転し、このコンプレッサインペラ17が吸気を圧縮する。
タービンハウジングの中央部には、タービンホイール15を回転自在に収容するホイール収容空間が形成されている。
タービンハウジングには、エキゾーストマニホールドの合流部から流入した排気ガスをホイール収容空間へ導くためのタービン入口流路、およびホイール収容空間から流入した排気ガスを排気浄化装置(触媒)へ導くためのタービン出口流路が形成されている。
コンプレッサハウジングの中央部には、コンプレッサインペラ17を回転自在に収容するインペラ収容空間が形成されている。
コンプレッサハウジングには、エアクリーナ7から流入した吸気をインペラ収容空間へ導くためのコンプレッサ入口流路、およびインペラ収容空間から流入した吸気をインテークダクト1を経てインタークーラ8へ導くためのコンプレッサ出口流路が形成されている。
エンジンEのシリンダヘッドには、先端部が各気筒毎の燃焼室内に露出するように、ガソリンエンジンではスパークプラグ23が取り付けられている。
エンジンEのシリンダブロックの内部には、例えば4気筒エンジンでは気筒配列方向に4つの燃焼室(シリンダボア)が形成されている。また、各シリンダボア内には、連接棒を介して、クランクシャフトに連結されたピストン24がその往復摺動方向に摺動自在にそれぞれ支持されている。
次に、本実施例の吸気消音装置、特にインテークダクト1の詳細を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
このようなターボチャージャのコンプレッサのコンプレッサインペラ17で圧縮されて高圧になった圧縮空気(吸気)が流れるインテークダクト1においては、高周波数の広帯域(例えば1kHz〜4kHz)の消音が望まれる。
ダクト本体2は、その軸線方向に垂直な断面が角筒形状に形成された角筒断面ダクトであって、例えばポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂(耐熱性の樹脂材料)によって一体的に形成されている。
ダクト本体2の吸気流方向の上流端部(インテークダクト1の入口端)がターボチャージャのコンプレッサハウジングの出口端に接続されている。また、ダクト本体2の吸気流方向の下流端部(インテークダクト1の出口端)は、インタークーラ8の入口端に接続されている。
ダクト本体2のダクト壁体3は、音源から放出された騒音波の進行方向に対して平行な方向に延伸されている。
これらの中空吸音体4は、例えば内孔5の孔径(φ)が1mm以下の細径チューブ(直管)状に形成されている。
中空吸音体4の集合体は、多数の中空吸音体4の各内孔5の軸線が、音波の進行方向に互いに平行となるように、ダクト本体2のダクト壁体3の内面に対して設置されている。 中空吸音体4の集合体は、多数の中空吸音体4の各内孔5の軸線方向の一端または両端が、外部に向けて開口している。
中空吸音体4の集合体は、多数の中空吸音体4の各内孔5の軸線方向の一端が、音源から放出された騒音波の進行方向に対して直交する方向に開口している。
ここで、多数の中空吸音体4の軸線長さをL[mm]とし、中空吸音体4の孔径(内径)をφd[mm]としたとき、Lとφdとの関係(Lとφdとの比であるL/φd)を選定することで、所望の消音量を得ることができる。例えばL/φdが大きいほど、平均消音量が増大する(図3参照)。
次に、本実施例のエンジン制御システムの作動を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
タービンのタービンホイール15の回転がタービンシャフト16を介してコンプレッサのコンプレッサインペラ17に伝達されると、コンプレッサインペラ17が回転する。
以上のように、本実施例のインテークダクト1においては、例えば孔径が1mm以下の内孔5を有する細径チューブ状の中空吸音体4の集合体を、ターボチャージャのコンプレッサハウジングの出口端に接続されるインテークダクト1のダクト本体2の内部(ダクト壁体3の吸気通路側壁面上)に設置している。
また、細径チューブ状の中空吸音体4の集合体は、音源から放出される騒音を吸音する内孔5を有する合成樹脂の吸音部材から形成され、多数の中空吸音体4の各内孔5に入射した音のエネルギーは、中空吸音体4の壁面への衝突や中空吸音体4中の吸気(空気)の振動等により減衰される。
また、各中空吸音体4の仕様を互いに変更する。例えば多数の中空吸音体4の軸線長さをL[mm]とし、内孔5の孔径(内径)をφd[mm]としたとき、Lとφdとの関係(Lとφdとの比)を種々選定することで、所望の消音量を得ることができる。
また、消音特性(吸音特性)が同一の中空吸音体4の第1集合体と、この第1集合体と消音特性(吸音特性)が異なり、消音特性(吸音特性)が同一の中空吸音体4の第2集合体とを設置することで、幅広い周波数帯域の騒音を吸音することができる。
ここで、図3は、細径チューブ状の中空吸音体4の軸線長さ(L)と内孔5の孔径(φd)との比(L/φd)に対する消音特性(吸音特性、平均消音量)を示したグラフである。
そして、上述した1kHz〜4kHzの高周波数の広帯域音の平均消音量である15[dB]を得るには、図3のグラフから分かるように、L/φdを33.8以上とすれば良く、L=10mmに設定した場合、φd<0.3mmとなる。
これにより、ダクト本体2の外面から側方(外部)へ容積部が張り出すように突出するヘルムホルツ型のレゾネータ(共鳴型消音器)のような大きな容積および広い搭載スペースを必要とすることなく、幅広い周波数帯域において優れた吸音性能を発揮することができる。特に、幅広い高周波数帯域(高周波数の広帯域)の騒音を吸音することができる。 また、レゾネータのような消音特性(吸音特性)の悪化領域(逆に音が大きくなる増音領域)が発生することはない。
これらの吸音部材は、軽量、肉薄で吸音性能に優れているため、例えば自動車の床面等に設けられるインシュレータに使用されている。
このような繊維集合体や多孔質吸音体を、エンジンEの吸気ダクトに取り付けて、エンジンEやターボチャージャ等の音源から放出される吸気騒音を吸音する吸音部材として使用することが考えられる。
この場合、繊維集合体や多孔質吸音体は、一般に柔軟性を有しているので、エンジンEの吸気脈動による吸気ダクト内の圧力変化により繊維集合体や多孔質吸音体が大きく変形するという問題がある。これにより、繊維間の隙間や吸音孔が狭くなったり、広くなったりして吸音性能が損なわれる可能性がある。
これにより、ターボチャージャのコンプレッサハウジングの出口端に接続されるインテークダクト1のダクト本体2が、ターボチャージャのコンプレッサの過給圧に対して変形することはない。
また、上述したように、フェルト、グラスファイバ、グラスウール等のような一般的な繊維集合体により構成される吸音部材は、圧力変化により変形してしまうが、細径チューブ状の中空吸音体4の集合体によって吸音部材を構成することで、インテークダクト1のダクト本体2のダクト壁体3の剛性が高くなり、ダクト本体2が変形し難くなる。これにより、細径チューブ状の中空吸音体4の集合体が取り付けられるダクト本体2のダクト壁体3の肉厚を薄くすることができる。
なお、隣接する中空吸音体4間に形成される隙間6を、音源から放出される騒音を吸音する吸音孔として利用しても良い。また、中空吸音体4の集合体を筒状のハウジング内に収納し、このハウジングをダクト本体2のダクト壁体3に取り付けても良い。
図4および図5は本発明の実施例2を示したもので、図4はインテークダクト(吸音構造体)を示した図で、図5はインテークダクト(吸音構造体)の一部を示した図である。
多数の中空吸音体4は、その軸線方向に垂直な断面が円筒形状に形成された円筒断面チューブであって、合成樹脂によって一体的に形成されている。これらの中空吸音体4は、例えば内孔5の孔径(φ)が1mm以下の細径チューブ(直管)状に形成されている。
中空吸音体4の集合体(吸音部材)は、多数の中空吸音体4の各内孔5の軸線が、ダクト長手方向では互いに平行となるように、ダクト本体2のダクト壁体3の内面に対して設置されている。
中空吸音体4の集合体は、多数の中空吸音体4の各内孔5の軸線方向の一端または両端が、外部に向けて開口している。
中空吸音体4の集合体は、多数の中空吸音体4の各内孔5の軸線が、ダクト本体2のダクト壁体3の壁面方向に対して、所定の傾斜角度(θ°)分だけ音源側(あるいは音源側に対して逆側)に傾斜している。
中空吸音体4の集合体は、多数の中空吸音体4の各内孔5の軸線が、ターボチャージャのコンプレッサ(音源)から放出された音波の進行方向に対して、所定の傾斜角度(θ°)分だけ音源側(あるいは音源側に対して逆側)に傾斜している。
これにより、音源から放出される音の進行波を、より急速に消音することができるので、インテークダクト1のダクト本体2から外部への放射音を、より消音することができる。
また、ダクト本体2のダクト壁体3の壁面方向および音源から放出された音波の進行方向に対して、多数の中空吸音体4の各内孔5の軸線を所定の傾斜角度(θ°)分だけ音源側(あるいは音源側に対して逆側)に傾斜させた場合、進行波とは逆方向に進行する反射波に対しては、中空吸音体4の集合体の吸音率が低下するが、進行波が十分消音されれば、反射波も小さくなる。
また、例えば多数の中空吸音体4の各内孔5の開口部を音波の進行方向に対して逆方向を向くように、中空吸音体4の各内孔5の軸線を傾けた場合には、図5に示したように、内孔5の開口部が音波の進行方向に対して直交する方向に開口している場合と比べて、中空吸音体4の集合体の吸音率が小さくなる。
なお、隣接する中空吸音体4間に形成される隙間6を、音源から放出される騒音を吸音する吸音孔として利用しても良い。また、中空吸音体4の集合体を筒状のハウジング内に収納し、このハウジングをダクト本体2のダクト壁体3に取り付けても良い。
本実施例では、細径チューブ状の中空吸音体4の軸線方向に垂直な断面形状を円筒形状としているが、細径チューブ状の吸音体の軸線方向に垂直な断面形状を角筒形状としても良い。例えば四角筒形状でも、六角筒形状でも良い。あるいは有底筒状でも良い。
細径チューブ状の中空吸音体4の断面形状は、軸線方向の両端が同形状または同サイズである必要はない。
また、細径チューブ状の中空吸音体4は、軸線方向に真っ直ぐに延びる直管でなくても、軸線方向に湾曲して延びる曲管でも良い。また、軸線方向の途中で屈曲した屈曲管でも良い。
また、細径チューブ状の中空吸音体4は、細径チューブの集合体であっても良いし、板材に孔を開けたものであっても良いし、成型時に孔を開けたものであっても良い。また、樹脂材料に混入した繊維状の物(吸音部材)を溶かすという方式も可能である。また、細径チューブ状の中空吸音体4の材質は、合成樹脂にこだわらない。
多孔質吸音体としては、例えば多数の吸音孔を有する薄膜、不織布、ウレタンフォーム等がある。
なお、樹脂吸音部材または金属吸音部材を、多孔質吸音体を複数集合させた集合体としても良い。
多孔質吸音体の場合、多数の孔の各軸線を、音源から放出された音波の進行方向に互いに平行となるように設置しても良い。
また、音源から放出される音が伝播する筒状のダクト本体に、多孔質吸音体を取り付けるダクト壁体を設けても良い。
また、ダクト本体のダクト壁体の壁面方向または音源から放出された音波の進行方向に対して、多数の孔の各軸線を、所定の傾斜角度(θ°)分だけ音源側(あるいは音源側に対して逆側)に傾斜させても良い。
また、本発明の吸音構造体を、ターボチャージャのコンプレッサハウジングの出口端に接続されるインテークダクト1以外の吸気ダクト(エアクリーナケース、インテークダクト、サージタンク、インテークマニホールド)に適用しても良い。
また、本発明の吸音構造体を、自動車等の車両の床部材、天井部材、壁部材、ドア部材、パネル部材またはフード部材等に適用しても良い。
また、本発明の吸音構造体を、コンサートホール等の音響室を備えた建造物の床部材、天井部材、壁部材、ドア部材、パネル部材またはフード部材等に適用しても良い。
R 吸気通路(流路)
1 インテークダクト(吸音構造体)
2 ダクト本体
3 ダクト本体のダクト壁体(基体)
4 細径チューブ状の中空吸音体
5 内孔(吸音孔)
7 エアクリーナ
8 インタークーラ
17 コンプレッサインペラ
Claims (13)
- 音源から放出される音を吸音する吸音部材を備えた吸音構造体において、
前記吸音部材は、軸線方向に延びる孔を有する多数の吸音体を集合した集合体によって構成されていることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項1に記載の吸音構造体において、
前記多数の吸音体は、細径チューブ状に形成されていることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項1または請求項2に記載の吸音構造体において、
前記多数の吸音体を集合した集合体は、前記多数の吸音体の各孔の軸線が、前記音源から放出された音波の進行方向に互いに平行となるように設置されていることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の吸音構造体において、
前記多数の吸音体を集合した集合体は、前記多数の吸音体の各孔の軸線方向の一端または両端が、外部に向けて開口していることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の吸音構造体において、
前記音源から放出される音が伝播する筒状のダクト本体を備え、
前記ダクト本体は、前記多数の吸音体を集合した集合体を取り付けるダクト壁体を有していることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項5に記載の吸音構造体において、
前記多数の吸音体を集合した集合体は、前記多数の吸音体の各孔の軸線が、前記ダクト壁体の壁面方向に対して傾斜していることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の吸音構造体において、
前記多数の吸音体を集合した集合体は、前記多数の吸音体の各孔の軸線が、前記音源から放出された音波の進行方向に対して傾斜していることを特徴とする吸音構造体。 - 音源から放出される音を吸音する吸音部材を備えた吸音構造体において、
前記吸音部材は、軸線方向に延びる多数の孔を有する多孔質吸音体によって構成されていることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項8に記載の吸音構造体において、
前記多孔質吸音体は、前記多数の孔の各軸線が、互いに平行となるように設置されていることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項8または請求項9に記載の吸音構造体において、
前記多孔質吸音体は、前記多数の孔の各軸線方向の一端または両端が、外部に向けて開口していることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項8ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の吸音構造体において、
前記音源から放出される音が伝播する筒状のダクト本体を備え、
前記ダクト本体は、前記多孔質吸音体を取り付けるダクト壁体を有していることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項11に記載の吸音構造体において、
前記多孔質吸音体は、前記多数の孔の各軸線が、前記ダクト壁体の壁面方向に対して傾斜していることを特徴とする吸音構造体。 - 請求項8ないし請求項12のうちのいずれか1つに記載の吸音構造体において、
前記多孔質吸音体は、前記多数の孔の各軸線が、前記音源から放出された音波の進行方向に対して傾斜していることを特徴とする吸音構造体。
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