JP2013015074A - エジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】上外周側に張り出したリブを有するとともに、筒状部材の内部に収容されるエジェクタの吸引圧損の増加を抑制する。
【解決手段】外周側に張り出したリブ162eを有するエジェクタ16を、筒状に形成されて筒状側壁面に冷媒を流通させる流入穴23fが形成されたエジェクタタンク23内に収容する際に、エジェクタ16のノズル161の軸線方向から見たときにノズル161の軸中心と流入穴23fの開口縁部とを結んで形成される第1領域A1とノズル161の軸中心と冷媒吸引口162cの開口縁部とを結んで形成される第2領域A2が重合するように配置する。これにより、流入穴23fから流入した冷媒を、エジェクタタンク23cの内周側とボデー側のリブ162eの先端部外周側との間の隙間を通過させることなく、少なくとも1つの冷媒吸引口162cへ直接導く冷媒通路を形成する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ノズルから噴射される高速度の噴射流体の吸引作用により流体を吸引するエジェクタに関する。
従来、ノズルから噴射される高速度の噴射流体の吸引作用により流体吸引口から流体を吸引し、さらに、噴射流体と流体吸引口から吸引された吸引流体との混合流体の運動エネルギを昇圧部(ディフューザ)にて圧力エネルギに変換することによって、混合流体の圧力を上昇させるエジェクタが知られている。
この種のエジェクタは、ノズルにて流体を減圧させる流体減圧手段あるいは流体吸引口から流体を吸引して輸送する流体輸送手段として、冷凍サイクルや真空ポンプ等の幅広い用途の製品に利用されている。例えば、特許文献1には、流体である冷媒を減圧させる冷媒減圧手段としてエジェクタを用いた冷凍サイクル(以下、エジェクタ式冷凍サイクルという。)が開示されている。
特許文献1のようなエジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタの昇圧作用を利用して圧縮機の消費動力を低減させることができるので、通常の冷凍サイクルに対して、サイクル効率(COP)を向上させることができる。さらに、特許文献1には、エジェクタを、冷媒を蒸発させる蒸発器に一体化することも開示されている。
特許第4259531号公報
ところで、上記の如く、エジェクタは幅広い用途の製品に利用されていることから、適用される製品の用途に応じて適切な性能を発揮できる寸法諸元のエジェクタを低コストかつ短時間で大量に生産可能とすることが期待されている。これに対して、本発明者らは、先に、特願2010−75119(以下、先願例という。)にて、大量生産に適したエジェクタを提案している。
具体的には、この先願例では、円筒状の母材にプレス加工を施すことによってノズルおよびボデーを形成し、プレス加工される母材のうちノズルあるいはボデーに対して余肉となる部分を外周側にリブとして張り出させることで、種々の寸法諸元のエジェクタを高い寸法制度で大量に生産可能としている。
ところが、先願例のエジェクタを、特許文献1に開示されているように蒸発器に一体化すると、エジェクタ式冷凍サイクルによるサイクル効率向上効果を充分に得られないことがあった。そこで、本発明者らが、その原因について調査したところ、特許文献1では、エジェクタと蒸発器とを一体化する際に、エジェクタを複数のチューブから流出した冷媒(流体)を集合させる冷媒タンク内に収容していることが原因であると判った。
その理由は、冷媒タンクのような筒状部材の内部に先願例のエジェクタを収容すると、ボデーの外周側に張り出したリブが、冷媒タンクとボデーとの間の空間によって形成される冷媒通路の通路抵抗を増加させ、エジェクタが流体吸引口から冷媒を吸引する際の圧力損失(以下、吸引圧損という)を増加させてしまうからである。
さらに、吸引圧損が増加してしまうと、冷媒を充分に吸引することができなくなり、混合冷媒(混合流体)の運動エネルギ量が減少してしまうので、昇圧部における混合冷媒の昇圧量が減少して、サイクル効率向上効果を充分に得られなくなってしまう。
本発明は、上記点に鑑み、外周側に張り出したリブを有するとともに、筒状部材の内部に収容されるエジェクタの吸引圧損の増加を抑制することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために案出されたもので、請求項1に記載の発明では、流体を減圧させて噴射するノズル(161)と、ノズル(161)から噴射される高速度の噴射流体によって流体が吸引される流体吸引口(162c)およびノズル(161)から噴射された噴射流体と流体吸引口(162c)から吸引された吸引流体とを混合させて昇圧させる昇圧部(162b)が形成されたボデー(162)とを備えるエジェクタであって、
ボデー(162)の外周には、外周側に向かって突出するリブ(162e)が形成されており、ボデー(162)は、筒状部材(23c)の内部に収容されており、筒状部材(23c)の側壁面には、流体吸引口(162c)から吸引される流体を外部から内部へ流入させる流入穴(23f)が形成されており、
筒状部材(23c)の内部には、流入穴(23f)から流入した流体を、筒状部材(23c)の内周側とリブ(162e)の先端部外周側との間の隙間を通過させることなく流体吸引口(162c)へ導く流体通路が設けられていることを特徴とする。
これによれば、流入穴(23f)から流入した流体を、通路断面積が縮小して通路抵抗を増加させてしまう筒状部材(23c)の内周側とリブ(162e)の先端部外周側との間の隙間を通過させることなく流体吸引口(162c)へ導くことができる。従って、流体吸引口(162c)から流体を吸引する際の吸引圧損の増加を抑制できる。
また、請求項2に記載の発明では、流体を減圧させて噴射するノズル(161)と、ノズル(161)から噴射される高速度の噴射流体によって流体が吸引される流体吸引口(162c)およびノズル(161)から噴射された噴射流体と流体吸引口(162c)から吸引された吸引流体とを混合させて昇圧させる昇圧部(162b)が形成されたボデー(162)とを備えるエジェクタであって、
ボデー(162)の外周には、外周側に向かって突出するリブ(162e)が形成されており、ボデー(162)は、筒状部材(23c)の内部に収容されており、筒状部材(23c)の側壁面には、流体吸引口(162c)から吸引される流体を外部から内部へ流入させる流入穴(23f)が形成されており、
ノズル(161)の軸線に垂直であって流入穴(23f)を通過する断面においてノズル(161)の軸中心と流入穴(23f)の開口縁部とを結んで形成される領域を第1領域(A1)とし、ノズル(161)の軸線に垂直であって流体吸引口(162c)を通過する断面においてノズル(161)の軸中心と流体吸引口(162c)の開口縁部とを結んで形成される領域を第2領域(A2)とし、ノズル(161)の軸線方向から見たときに、第1領域(A1)と第2領域(A2)が重合していることを特徴とする。
これによれば、ノズル(161)の軸線方向から見たときに、第1領域(A1)と第2領域(A2)が重合しているので、筒状部材(23c)の流入穴(23f)から流入した流体を、筒状部材(23c)の内周側とリブ(162e)の先端部外周側との間の隙間を通過させることなく流体吸引口(162c)へ導く流体通路を形成できる。従って、流体吸引口(162c)から流体を吸引する際の吸引圧損の増加を抑制できる。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のエジェクタにおいて、ボデー(162)は、筒状部材(23c)の内部に収容された状態で、筒状部材(23c)の外周側からノズル(161)の軸線へ向かって加圧されることによって、かしめ固定されていることを特徴とする。
これによれば、筒状部材(23c)とボデー(162)がかしめ固定されていることによって、筒状部材(23c)とボデー(162)との相対的な位置ずれが発生してしまうことを抑制できる。従って、筒状部材(23c)の内部に、流入穴(23f)から流入した流体を、通路抵抗を増加させてしまうことなく流体吸引口(162c)へ導く流体通路を確実に形成できる。
さらに、ノズル(161)の軸線に対して対象な複数の部位、あるいは、筒状部材(23c)の全周からノズル(161)の軸線に向かって加圧することで、かしめ固定時の荷重を分散させて、かしめ荷重による筒状部材(23c)、ボデー(162)さらにノズル(161)の変形を抑制できる。
また、請求項4に記載の発明のように、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエジェクタにおいて、ボデー(162)および筒状部材(23c)の一方の長手方向端部には、他方側に向かって突出した凸部(23j)が形成されており、ボデー(162)および筒状部材(23c)の他方の長手方向端部には、凸部(23j)が嵌め合わされる凹部(162g)が形成されていてもよい。
これにより、筒状部材(23c)とボデー(162)との相対的な位置ずれが発生してしまうことをより一層確実に抑制でき、筒状部材(23c)の内部に、流入穴(23f)から流入した流体を、通路抵抗を増加させてしまうことなく流体吸引口(162c)へ導く流体通路を確実に形成できる。
さらに、請求項5に記載の発明のように、請求項4に記載のエジェクタにおいて、凹部(162g)は、複数箇所に設けられていてもよい。これにより、同じ筒状部材(23c)およびボデー(162)を用いて、凹部(162g)と凸部(23j)との組み合わせを変化させることで、筒状部材(23c)の内部に形成される流体通路のバリエーションを多様化させることができる。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のエジェクタにおいて、流体吸引口(162c)の中心を含むノズル(161)の軸方向垂直断面における、ノズル(161)の外周側とボデー(162)の内周側との間に形成される流体吸引通路(162d)の通路断面積とボデー(162)の外周側と前記筒状部材(23c)の内周側との間に形成される流体流入通路(23k)の通路断面積が等しいことを特徴とする。
これによれば、後述する実施形態に詳述するように、流体吸引口(162c)から流体を吸引する際の吸引圧損の増加を効果的に抑制できる。なお、本請求項における「流体吸引口(162c)の中心」とは、ボデー(162)の外周側から見たときに、流体吸引口(162c)が円形状に形成されている場合はその中心としてもよいし、流体吸引口(162c)が円形状以外の形状に形成されている場合は重心を採用すればよい。
また、本請求項における、流体吸引通路(162d)の通路断面積と流体流入通路(23k)の通路断面積が「等しい」とは、流体吸引通路(162d)の通路断面積と流体流入通路(23k)の通路断面積が完全に一致していることのみを意味するものではなく、製造誤差あるいは組付誤差等によって流体吸引通路(162d)の通路断面積と流体流入通路(23k)の通路断面積が僅かに異なっている場合も含まれる意味である。
請求項7に記載の発明のように、具体的に、筒状部材(23c)は、熱交換器に一体化される部材であってもよいし、請求項8に記載の発明のように、筒状部材(23c)は、熱交換器において冷媒の分配あるいは集合を行うヘッダタンクであってもよい。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態のエジェクタが適用されたエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第1実施形態の蒸発器ユニットの外観斜視図である。 第1実施形態の蒸発器ユニットの上側集合分配用タンクの拡大図である。 (a)は、図3のA−A断面図であり、(b)は、(a)のB−B断面図であり、(c)は、(a)のC−C断面図であり、(d)は、(a)のD−D断面図である。 第1実施形態の図4(c)の拡大図である。 第1実施形態のエジェクタにおける昇圧量の変化を示すグラフである。 (a)は、第2実施形態におけるエジェクタおよびエジェクタタンクの断面図であり、(b)は、(a)のE矢視図である。 (a)は、第2実施形態の変形例におけるエジェクタおよびエジェクタタンクの断面図であり、(b)は、(a)のF矢視図である。 (a)は、第3実施形態におけるエジェクタおよびエジェクタタンクの断面図であり、(b)は、(a)の側面図であり、(c)は、第3実施形態の変形例の側面図である。 第4実施形態のエジェクタの軸方向垂直断面図である。 第4実施形態のエジェクタの面積比と吸引圧損との関係を示すグラフである。
(第1実施形態)
図1〜6により、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態では、本発明に係るエジェクタ16を、図1に示すエジェクタ式冷凍サイクル10に適用している。このエジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置に適用されており、車室内へ送風される送風空気を冷却する機能を果たす。なお、図1は、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の全体構成図である。
エジェクタ式冷凍サイクル10において、圧縮機11は、流体である冷媒を吸入し、圧縮して吐出するものである。圧縮機11は、車両のエンジンルーム内に配置されており、図示しない車両走行用のエンジンから駆動力が伝達されて回転駆動される。さらに、本実施形態では、圧縮機11として、吐出容量を変化させて冷媒吐出能力を調整することのできる可変容量型圧縮機を採用している。
圧縮機11の吐出容量(冷媒吐出能力)は、図示しない空調制御装置から圧縮機11の吐出容量制御弁に出力される制御信号によって制御される。もちろん、圧縮機として、電磁クラッチの断続により圧縮機作動の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機を採用してもよい。また、圧縮機として電動圧縮機を採用すれば、電動モータの回転数調整により冷媒吐出能力を調整できる。
なお、空調制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された後述する各種空調制御機器の作動を制御するための制御電圧、制御信号等を出力するものである。
圧縮機11の冷媒吐出側には、放熱器12の冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、エンジンルーム内に配置されており、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン12aにより送風される外気とを熱交換させて、高圧冷媒を放熱させる放熱用熱交換器である。冷却ファン12aは、空調制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
なお、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒としてHFC系冷媒(具体的には、R134a)を採用しており、圧縮機11の吐出口側から膨張弁13の入口側へ至るサイクルの高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。従って、放熱器12は冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する。もちろん、冷媒としてHFO系冷媒(例えば、R1234yf)等を採用してもよい。
また、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
放熱器12の冷媒出口側には可変絞り機構である膨張弁13の入口側が接続されている。膨張弁13は、放熱器12から流出した高圧冷媒を気液二相状態の中間圧冷媒となるまで減圧させる冷媒減圧手段であるとともに、その下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する流量調整手段である。
具体的には、本実施形態の膨張弁13は、温度式膨張弁で構成されており、蒸発器ユニット14出口側(具体的には、流出側蒸発器17出口側)の冷媒通路に配置された感温部13aを有している。そして、この感温部13aによって蒸発器ユニット14出口側冷媒の過熱度を検知して、蒸発器ユニット14出口側冷媒の過熱度が予め定めた所定の範囲となるように機械的機構により弁開度(冷媒流量)を調整する。
膨張弁13の出口側には、蒸発器ユニット14の冷媒流入口20aが接続されている。蒸発器ユニット14は、図1の細破線で囲まれたサイクル構成機器(具体的には、冷媒分配器15、エジェクタ16、流出側蒸発器17、固定絞り18、吸引側蒸発器19等)を一体的に構成したもので、車室内へ送風される送風空気の空気通路を形成する図示しない室内空調ユニットの内部に配置されている。
まず、蒸発器ユニット14の一体化構造の説明に先立って、蒸発器ユニット14を構成する各サイクル構成機器の機能および概略構成について説明する。
冷媒分配器15は、蒸発器ユニット14の内部で膨張弁13にて減圧された中間圧冷媒の流れを分岐して、分岐された一方の冷媒をエジェクタ16のノズル161側へ供給し、分岐された他方の冷媒をエジェクタ16の冷媒吸引口162c側へ供給する機能を果たすとともに、ノズル161側へ供給される冷媒の乾き度および冷媒吸引口162c側へ供給される冷媒の乾き度を調整する機能を果たす。
具体的には、本実施形態の冷媒分配器15では、円筒状空間内で冷媒を旋回させ、この旋回流れによって生じる遠心力の作用により円筒状空間内の冷媒に乾き度分布を生じさせる。さらに、比較的乾き度の高い旋回中心側の冷媒をノズル161側へ供給し、比較的乾き度の低い外周側の冷媒を冷媒吸引口162c側へ供給するようになっている。
エジェクタ16は、冷媒分配器15にて分岐された一方の中間圧冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる冷媒減圧手段としての機能を果たすとともに、高速で噴出する冷媒流の吸引作用によって冷媒を吸引(輸送)して循環させる冷媒輸送手段(冷媒循環手段)としての機能を果たすものである。
このエジェクタ16は、冷媒を減圧させて噴射するノズル161、並びに、ノズル161から噴射される高速度の噴射冷媒によって冷媒を吸引する冷媒吸引口(流体吸引口)162cおよび噴射冷媒と冷媒吸引口162cから吸引された吸引冷媒とを混合させて昇圧させるディフューザ部(昇圧部)162bとを形成するボデー162を有して構成されている。なお、エジェクタ16のより詳細な構成については後述する。
流出側蒸発器17は、エジェクタ16のディフューザ部162bから流出した冷媒と送風ファン17aによって送風された送風空気とを熱交換させて、ディフューザ部162bから流出した冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。送風ファン17aは、空調制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。
さらに、流出側蒸発器17の出口側は、蒸発器ユニット14の冷媒流出口20bを介して、圧縮機11の冷媒吸入側に接続されている。
一方、冷媒分配器15にて分岐された他方の中間圧冷媒は、蒸発器ユニット14の内部にて固定絞り18および吸引側蒸発器19を介してエジェクタ16の冷媒吸引口162cへ供給される。固定絞り18は、冷媒分配器15にて分岐された他方の中間圧冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる冷媒減圧手段であり、蒸発器ユニット14内の冷媒通路に配置されたオリフィスによって構成されている。
従って、冷媒分配器15へ流入する冷媒流量Gnのうち、エジェクタ16のノズル161側へ供給されるノズル側冷媒流量Gnozおよび冷媒分配器15からエジェクタ16の冷媒吸引口162c側へ供給される吸引側冷媒流量Geは、ノズル161および固定絞り18の流量特性により決定することができる。
吸引側蒸発器19は、固定絞り18によって減圧された低圧冷媒と送風ファン17aから送風されて流出側蒸発器17を通過した送風空気とを熱交換させて、固定絞り18から流出した低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。吸引側蒸発器19の冷媒出口側は、蒸発器ユニット14の内部にてエジェクタの冷媒吸引口162cに接続されている。
次に、図2〜図5を用いて、蒸発器ユニット14を構成する各サイクル構成機器の一体化構造について説明する。
なお、図2は、蒸発器ユニット14の外観斜視図であり、図3は、蒸発器ユニット14の上側集合分配用タンク23の模式的な拡大図である。また、図2、図3の上下左右の各矢印の方向は、蒸発器ユニット14を車両に搭載した状態の方向を示しており、矢印Xは送風ファン17aによって送風される送風空気の流れ方向を示している。図2では、蒸発器ユニット14における冷媒の流れを太実線矢印で記載している。
まず、本実施形態の流出側蒸発器17および吸引側蒸発器19は、いずれも冷媒が流通する複数本のチューブと、この複数本のチューブの長手方向両端側に配置されて冷媒の集合および分配を行う一対の分配集合用タンクとを有して構成される、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器である。そして、流出側蒸発器17用の分配集合用タンクおよび吸引側蒸発器19用の分配集合用タンクを一体的に形成することによって、蒸発器17、19が一体化されている。
より具体的には、流出側蒸発器17および吸引側蒸発器19は、それぞれ冷媒と送風空気とを熱交換させる熱交換コア部17a、19aを有して構成されている。この熱交換コア部17a、19aは、図2に示すように、それぞれ上下方向に延びる複数本のチューブ21を左右方向に積層配置し、隣り合うチューブ21間に形成される送風空気の空気通路に熱交換促進用のフィン22を配置することによって形成されている。
チューブ21は、長手方向垂直断面の形状が扁平形状となった扁平チューブであり、その外表面に形成された平坦面(扁平面)が、送風空気の流れ方向Xと平行に配置されている。フィン22は、金属薄板材を波状に曲げ成形したコルゲートフィンであり、その頂部がチューブ21の平坦面にろう付け接合されている。
なお、図2では、チューブ21とフィン22の積層構造の一部のみを図示しているが、流出側蒸発器17および吸引側蒸発器19の左右方向全域に、チューブ21とフィン22の積層構造が構成されて、熱交換コア部17a、19aが形成されている。
熱交換コア部17a、19aを構成するチューブ21の長手方向一端側(図2では上方側)には、上側集合分配用タンク23が配置されている。この上側集合分配用タンク23は、複数の構成部材をろう付け接合することによって、図3に示すように、筒状に形成された3本のタンク部材23a〜23cを一体的に形成したものである。
これらの3本のタンク部材23a〜23cは、それぞれチューブ21の積層方向へ延びて、その長手方向が互いに平行となるように配置されている。また、この3本のタンク部材としては、流出側蒸発器用上側タンク23a、吸引側蒸発器用上側タンク23bおよびエジェクタタンク23cが設けられている。
流出側蒸発器用上側タンク23aは、流出側蒸発器17の熱交換コア部17aを構成する複数のチューブ21が接続される流出側蒸発器17用の集合分配用タンクである。流出側蒸発器用上側タンク23aの内部には、その内部空間を上下方向あるいは左右方向に仕切るセパレータが配置されており、セパレータによって仕切られた各内部空間によって、複数のチューブ21から流出した冷媒を集合させる集合空間および複数のチューブ21へ冷媒を分配する分配空間が形成されている。
吸引側蒸発器用上側タンク23bは、吸引側蒸発器19の熱交換コア部19aを構成する複数のチューブ21が接続される吸引側蒸発器19用の集合分配用タンクである。この吸引側蒸発器用上側タンク23bの内部にも、流出側蒸発器用上側タンク23aと同様にセパレータが配置されており、このセパレータによって仕切られた各内部空間によって、集合空間および分配空間等が形成されている。
エジェクタタンク23cは、その内部に前述した冷媒分配器15として機能する円筒状空間を形成するとともに、内部にエジェクタ16を収容して保持する筒状部材である。これにより、冷媒分配器15およびエジェクタ16が、流出側蒸発器17および吸引側蒸発器19に一体化されることになる。
なお、流出側蒸発器用上側タンク23aおよび吸引側蒸発器用上側タンク23bは、上側集合分配用タンク23の長手方向から見たときに、送風空気の流れ方向Xに並べて配置され、エジェクタタンク23cは、流出側蒸発器用上側タンク23aおよび吸引側蒸発器用上側タンク23bの筒状側壁面同士の間に形成される谷間の上側に配置されている。
さらに、流出側蒸発器用上側タンク23aおよびエジェクタタンク23cの内部空間の一部同士、並びに、吸引側蒸発器用上側タンク23bおよびエジェクタタンク23cの内部空間の一部同士は、それぞれの筒状側壁面に形成された連通穴を介して連通している。
一方、熱交換コア部17a、19aを構成するチューブ21の長手方向他端側(図2では下方側)には、下側集合分配用タンク24が配置されている。この下側集合分配用タンク24は、複数の構成部材をろう付け接合することによって、図2に示すように、筒状に形成された2本のタンク部材24a、24bを一体的に形成したものである。
これらの2本のタンク部材24a、24bは、それぞれチューブ21の積層方向へ延びて、その長手方向が互いに平行となるように配置されている。また、この2本のタンク部材としては、流出側蒸発器用下側タンク24aおよび吸引側蒸発器用下側タンク24bが設けられている。
流出側蒸発器用下側タンク24aは、流出側蒸発器17の熱交換コア部17aを構成する複数のチューブ21が接続される流出側蒸発器17用の集合分配用タンクである。この流出側蒸発器用下側タンク24aの内部にも、流出側蒸発器用上側タンク23aと同様にセパレータが配置されており、このセパレータによって仕切られた各内部空間によって、集合空間および分配空間等が形成されている。
吸引側蒸発器用上側タンク24bは、吸引側蒸発器19の熱交換コア部19aを構成する複数のチューブ21が接続される吸引側蒸発器19用の集合分配用タンクである。また、流出側蒸発器用下側タンク24aおよび吸引側蒸発器用上側タンク24bは、下側集合分配用タンク24の長手方向から見たときに、送風空気の流れ方向Xに並べて配置されている。
上記の如く、上側集合分配用タンク23では、流出側蒸発器用上側タンク23aおよび吸引側蒸発器用上側タンク23bが一体化され、下側集合分配用タンク24では、流出側蒸発器用下側タンク24aおよび吸引側蒸発器用上側タンク24bが一体化されているので、それぞれのタンク23a、23b、24a、24bにチューブ21が接続されることによって、流出側蒸発器17および吸引側蒸発器19が一体化されている。
この際、本実施形態では、流出側蒸発器17が吸引側蒸発器19に対して送風空気の流れ方向Xの風上側に配置されるとともに、送風空気の流れ方向Xから見たときに、流出側蒸発器17の熱交換コア部17aの全域が、吸引側蒸発器19の熱交換コア部19aの全域に重合するように一体化されている。
次に、図4を用いて、上側集合分配用タンク23のエジェクタタンク23cの詳細構成およびエジェクタタンク23に収容されるエジェクタ16の詳細構成について説明する。なお、図4(a)は、図3のA−A断面図であり、図4(b)は、図4(a)のB−B断面図であり、図4(c)は、図4(a)のC−C断面図であり、図4(d)は、図4(a)のD−D断面図である。
まず、前述の如く、エジェクタ16は、ノズル161およびボデー162を有して構成されている。ノズル161は、金属(本実施形態では、ステンレス合金)で形成された円筒状の母材をプレス加工することによって形成されたもので、略円筒状で冷媒の流れ方向に向かって先細形状の先端部を有している。そして、内部に形成される冷媒通路面積を変化させ、冷媒を等エントロピ的に減圧させるように形成されている。
具体的には、ノズル161の内部に形成される冷媒通路には、上流側から軸線方向に延びる円筒状空間、円筒状空間から冷媒流れ下流側に向かって冷媒通路面積が徐々に縮小する先細空間、先細空間の先端部に形成されて冷媒通路面積が最も縮小した喉部、さらに、喉部から冷媒流れ下流側に向かって冷媒通路面積が徐々に拡大する末広部が形成されている。
換言すると、本実施形態のノズル161は、ラバールノズルとして構成されており、喉部における冷媒の流速が音速以上となるようにしている。もちろん、ノズル161を先細ノズルで構成してもよい。また、ノズル161の末広部の先端部には、冷媒を噴射する冷媒噴射口161aが形成されている。
さらに、ノズル161には、その軸線方向に延びるとともに外周側に突出する複数(本実施形態では4つ)のノズル側のリブ161bが、ノズル161の軸線の周方向に等間隔(本実施形態では90°間隔)に形成されている。このノズル側のリブ161bは、ノズル161をプレス加工によって形成する際に、母材のうちノズル161に対して余肉となる一部の部位を、母材の外周側から山折り状に挟み込むように荷重をかけることによって形成されるものである。
ボデー162は、ノズル161と同様に金属(本実施形態では、アルミニウム合金)で形成された母材をプレス加工することによって略円筒状に形成されており、その内部には、ノズル161が収容される収容空間162aおよびディフューザ部(昇圧部)162bが形成されている。
収容空間162aは、ノズル161の外側形状に適合するように、冷媒流れ上流側からノズル161の軸線方向に延びる円筒状空間、および、円筒状空間から冷媒流れ方向に向かってノズル161の軸線方向に垂直な断面積が徐々に縮小する先細空間によって形成されている。収容空間162aの円筒状空間には、ノズル161の円筒状空間を形成する部位の外周側が圧入固定される。
この際、図4(a)に示すように、ノズル161の円筒状空間を形成する部位の外周側およびボデー162の収容空間162aを形成する部位の内周側には、それぞれ径方向寸法を変化させることによって形成された段差部が形成されており、これらの段差部同士が当接することによって、ボデー162に対するノズル161の軸方向の位置決めがなされる。
そして、ノズル161がボデー162内に圧入固定された状態で、ボデー162の収容空間162aおよびノズル161の円筒状空間によって形成される略円筒状の空間15a(図4(a)の網掛けハッチング領域)によって、前述した冷媒分配器15の冷媒に旋回流れを生じさせる円筒状空間が形成される。
さらに、ボデー162のうち、この略円筒状の空間15aを形成する部位の筒上側壁面には、その内外を貫通する小径孔で形成された固定絞り18(オリフィス)が形成されている。この固定絞り18の冷媒出口側は、エジェクタタンク23cおよび吸引側蒸発器用上側タンク23bの筒状側壁面に形成された連通穴を介して、吸引側蒸発器用上側タンク23b内に形成された分配空間に連通している。
一方、ディフューザ部162bは、冷媒流れ方向に向かってノズル161の軸線方向に垂直な断面積が徐々に拡大する形状に形成された空間である。さらに、ボデー162の収容空間162a側には、ボデー162の内外を貫通する複数(本実施形態では4つ)の冷媒吸引口162cが、ノズル161の軸線の周方向に等間隔(本実施形態では90°間隔)に形成されている。
この冷媒吸引口162cは、吸引側蒸発器19から流出した冷媒を収容空間162a内へ導く貫通穴であり、ノズル161の冷媒噴射口161aと連通するように設けられている。従って、収容空間162aのうち、ノズル161の先細形状の外周側とボデー162の内周側の間には、冷媒吸引口162cから収容空間162a内へ流入した吸引冷媒をディフューザ部162b側へ導く冷媒吸引通路162dが形成されている。
なお、本実施形態の冷媒吸引口162cの開口形状は、エジェクタ16の軸線方向に長辺を有する略長方形状となっている。
また、ボデー162には、その軸線方向に延びるとともに外周側に突出する複数(本実施形態では4つ)のボデー側のリブ162eが軸線の周方向に等間隔(本実施形態では90°間隔)に形成されている。より具体的には、図4(c)に示すように、ボデー側のリブ162eは、ノズルの軸線方向から見たときに、隣り合う冷媒吸引口162c同士の間に形成されている。
このボデー側のリブ162eも、ノズル側のリブ161bと同様に、プレス加工時に、母材のうちボデー162に対して余肉となる一部の部位を、母材の外周側から山折り状に挟み込むように荷重をかけることによって形成されるものである。
さらに、ボデー162の冷媒入口側端部には、収容空間162aの円筒状空間を形成する部位よりもさらに外周側に突出する鍔部162fが全周にわたって設けられている。そして、エジェクタ16をエジェクタタンク23cの内部に収容した際に、この鍔部162fがエジェクタタンク23cの入口側端部に当接することで、エジェクタタンク23cに対するエジェクタ16の軸線方向の位置決めがなされる。
次に、エジェクタタンク23cは、ボデー162と同種の金属(本実施形態では、アルミニウム合金)で形成された円筒状部材である。エジェクタタンク23cの内径は、エジェクタ16の外殻を形成するボデー162のうち鍔部162fを除く収容空間162aの最大外径およびディフューザ部162bの最下流部の外径に対して、隙間バメの寸法関係となっている。
そして、内部にエジェクタ16がろう付け接合されることによって、エジェクタタンク23cの内部空間は、ディフューザ部162bを形成する部位の最下流部によって、エジェクタ16の冷媒吸引口162cに連通する吸引側空間23dおよびエジェクタ16のディフューザ部162bに連通する流出側空間23eに区画される。
エジェクタタンク23cの筒状側壁面のうち、吸引側空間23dを形成する部位には、図4(c)に示すように、その内外を貫通する流入穴23fが形成されている。流入穴23fは、吸引側蒸発器用上側タンク23b内に形成された集合空間内(すなわち、エジェクタタンク23cの外部)の冷媒を、エジェクタタンク23cの内部へ流入させる連通穴であり、その開口形状は円形状に形成されている。
ここで、図5を用いて、エジェクタタンク23c内におけるエジェクタ16の配置態様、より具体的には、エジェクタタンク23cの流入穴23fとエジェクタ16の冷媒吸引口162cとの位置関係について説明する。なお、図5は、図4(c)の拡大図、すなわち図4(a)のC−C断面図である。
また、このC−C断面は、図4(a)の断面指示線に示すように、冷媒吸引口162cの中心および流入穴23fの中心を含むノズル161の軸方向垂直断面である。なお、本実施形態における冷媒吸引口162cの中心とは、長方形状の開口形状の重心を意味している。
本実施形態では、エジェクタタンク23c内にエジェクタ16を配置する際に、図5に示すように、C−C断面において、ノズル161の軸中心と流入穴23fの開口縁部とを結んで形成される扇状の領域を第1領域A1とし、ノズル161の軸中心と冷媒吸引口162cの開口縁部とを結んで形成される扇状の領域を第2領域A2とし、第1領域A1と第2領域A2が重合するように配置している。
これにより、エジェクタタンク23cの吸引側空間23には、流入穴23fから流入した冷媒を、エジェクタタンク23cの内周側とボデー側のリブ162eの先端部外周側との間の隙間を通過させることなく、少なくとも1つの冷媒吸引口162cへ直接導く冷媒通路(流体通路)が形成されることになる。
また、エジェクタタンク23cの筒状側壁面のうち、流出側空間23eを形成する部位には、図2、3に示すように、その内外を貫通する複数の連通穴23gが形成されている。この連通穴23gは、エジェクタ16ディフューザ部162bから流出した冷媒を、流出側蒸発器用上側タンク23a内に形成された分配空間内に流出させる連通穴である。
さらに、エジェクタタンク23cにおいてエジェクタ16の入口側となる一端側(図2、3では、左側)には、図2に示すように、冷媒流入口20aおよび冷媒流出口20bが形成された接続部材としてのブロックジョイント20が配置されている。
ブロックジョイント20は、金属ブロック体あるいは金属板を積層して形成した金属ブロックの内部に冷媒通路を設けて構成したもので、冷媒流入口20aは、エジェクタタンク23cの一端側に連通し、冷媒流出口20bは、流出側蒸発器用上側タンク23aの一端側に連通している。また、ブロックジョイント20は、吸引側蒸発器用上側タンク23bの一端側を閉塞する閉塞部材としての機能も果たしている。
蒸発器ユニット14を構成する各サイクル構成機器の一体化構造は、上記の如く実現されており、本実施形態では、エジェクタ16の一部を除く各サイクル構成機器を、熱伝導正やろう付け性に優れた金属であるアルミニウム合金で形成し、これらの各サイクル構成機器をろう付け接合により一体化している。
次に、上記構成における本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の作動を説明する。まず、圧縮機11を作動させると、圧縮機11が冷媒を吸入して、圧縮して吐出する。圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒は、放熱器12にて放熱する。放熱器12にて放熱した高圧冷媒は、膨張弁13にて減圧膨張される。この際、膨張弁13では、蒸発器ユニット14(具体的には、流出側蒸発器17)出口冷媒の過熱度が所定値となるように弁開度(冷媒流量)が調整される。
膨張弁13にて減圧膨張された中間圧冷媒は、ブロックジョイント20の冷媒流入口20aを介して蒸発器ユニット14へ流入する。蒸発器ユニット14へ流入した中間圧冷媒の流れは、エジェクタタンク23c内の円筒状空間によって形成される冷媒分配器15にて、エジェクタ16のノズル161側へ流れる冷媒流れと、固定絞り18側へ流れる冷媒流れとに分流される。
エジェクタ16のノズル161側へ流入した冷媒は、ノズル161にて、等エントロピ的に減圧膨張されて、冷媒噴射口161aから冷媒が高速度の冷媒流となって噴射される。そして、この噴射冷媒の吸引作用により、吸引側蒸発器19から流出した冷媒が、エジェクタタンク23cの流入穴23fを介してエジェクタタンク23c内の吸引側空間23d内へ流入し、エジェクタ16の冷媒吸引口162cから吸引される。
ここで、前述の如く、冷媒分配器15からノズル161側へ供給される冷媒は、比較的乾き度の高い気液二相冷媒となるので、ノズル161では、冷媒の沸騰が促進されて高いノズル効率を発揮できる。なお、ノズル効率とは、ノズル161において冷媒の圧力エネルギを運動エネルギに変換する際のエネルギ変換効率である。
ノズル161から噴射された噴射冷媒と冷媒吸引口162cより吸引された吸引冷媒は、ディフューザ部162bへ流入する。ディフューザ部162bでは噴射冷媒と吸引冷媒が混合されるとともに、冷媒通路面積の拡大により、冷媒の速度エネルギが圧力エネルギに変換されるため、冷媒の圧力が上昇する。エジェクタ16のディフューザ部162bから流出した冷媒は、連通穴23gを介して流出側蒸発器17へ流入する。
流出側蒸発器17では、ディフューザ部162bから流出した冷媒が送風ファン17aによって送風された送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、送風空気が冷却される。流出側蒸発器17から流出した気相冷媒は、ブロックジョイント20の冷媒流出口20bを介して蒸発器ユニット14から流出する。蒸発器ユニット14から流出した冷媒は、圧縮機11に吸入されて、再び圧縮される。
一方、冷媒分配器15から固定絞り18側へ流出した冷媒は、固定絞り18で等エンタルピ的に減圧膨張されて、吸引側蒸発器19へ流入する。吸引側蒸発器19へ流入した冷媒は、流出側蒸発器17通過後の室内送風空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内送風空気がさらに冷却されて室内へ送風される。吸引側蒸発器19から流出した冷媒は、冷媒吸引口162cからエジェクタ16内へ吸引される。
ここで、前述の如く、冷媒分配器15から固定絞り18を介して吸引側蒸発器19側へ供給される冷媒は、比較的乾き度の低い気液二相冷媒となるので、吸引側蒸発器19へ比較的エンタルピの低い冷媒を流入させることができる。これにより、吸引側蒸発器19出口側冷媒のエンタルピと入口側冷媒のエンタルピとのエンタルピ差を拡大して、吸引側蒸発器19にて発揮される冷凍能力を増大させることができる。
以上の如く、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、送風空気を流出側蒸発器17→吸引側蒸発器19の順に通過させて同一の冷却対象空間を冷却できる。この際、ディフューザ部162bの昇圧作用によって流出側蒸発器17の冷媒蒸発温度を吸引側蒸発器19の冷媒蒸発温度よりも上昇させることができるので、流出側蒸発器17および吸引側蒸発器19の冷媒蒸発温度と送風空気との温度差を確保して、効率的に送風空気を冷却できる。
また、流出側蒸発器17下流側を圧縮機11吸入側に接続しているので、ディフューザ部162bで昇圧された冷媒を圧縮機11に吸入させることができる。その結果、圧縮機11の吸入圧を上昇させて、圧縮機11の駆動動力を低減させることができ、サイクル効率(COP)を向上させることができる。
さらに、本実施形態では、図5を用いて説明したように、流入穴23fから流入した冷媒を、エジェクタタンク23cの内周側とボデー側のリブ162eの先端部外周側との間の隙間を通過させることなく、少なくとも1つの冷媒吸引口162cへ直接導くことのできる冷媒通路を形成しているので、上述したエジェクタ式冷凍サイクル10のサイクル効率向上効果を充分に得ることができる。
このことを図6を用いて説明する。図6は、流量比Ge/Gnを変化させた際のディフューザ部162bにおける昇圧量の変化を示すグラフである。なお、図6において、流量比Ge/Gnが増加することは、冷媒吸引口162cから吸引される冷媒流量が増加することを意味している。
また、図6では、エジェクタタンク23cの流入穴23fに対するノズル側のリブ161bの突出方向および冷媒吸引口162cの開口方向を以下の4つの条件の配置態様に変化させた例を示している。
条件a:本実施形態の配置態様
条件b:本実施形態に対して、ノズル側のリブ161bの突出方向をボデー側のリブ162eの突出方向に一致させた配置態様
条件c:本実施形態に対して、ボデー側のリブ162eをエジェクタタンク23cの流入穴23f側へ向けて第1領域A1と第2領域A2を重合させない配置態様
条件d:条件cに対して、ノズル側のリブ161bの突出方向をボデー側のリブ162eの突出方向に一致させて第1領域A1と第2領域A2を重合させない配置態様
なお、図6の条件a〜dを示す各図は、上述した図4(c)のC−C断面図に対応する図面である。また、図6のグラフに示す破線は、ノズル側のリブ161bおよびボデー側のリブ162eを設けていないエジェクタ161の昇圧量の変化を示している。
図6から明らかなように、条件a(本実施形態)および条件bの如く、ノズル161の軸線方向から見たときに、第1領域A1と第2領域A2とを重合させる配置態様では、条件cおよび条件dの如く、第1領域A1と第2領域A2とを重合させない配置態様に対して、流量比Ge/Gnの変化によらず、ディフューザ部162bにおける冷媒の昇圧量が大きくなる。
一方、条件aと条件bとの比較、および、条件cと条件dとの比較から、ノズル側のリブ161bの突出方向については、ディフューザ部162bにおける冷媒の昇圧量に大きな影響を及ぼさないことが判る。
従って、本実施形態の如く、流入穴23fから流入した冷媒を、通路断面積が縮小して通路抵抗を増加させてしまうエジェクタタンク23c内周側とボデー側のリブ162eの先端部外周側との間の隙間を通過させることなく、少なくとも1つの冷媒吸引口162cへ直接導くことのできる冷媒通路を形成すれば、ノズル側のリブ161bの突出方向によらず、吸引圧損の増加を抑制して、ディフューザ部162bにおける昇圧量を増加させることができる。
その結果、本実施形態の如く、外周側に張り出したボデー側のリブ162eを有するエジェクタ16を、筒状のエジェクタタンク23cに収容して利用する構成であっても、ディフューザ部162bにおける冷媒の昇圧量が低下してしまうことを抑制でき、上述したエジェクタ式冷凍サイクル10のサイクル効率向上効果を充分に得ることができる。
(第2実施形態)
第1実施形態で説明したように、外周側に張り出したボデー側のリブ162eを有するエジェクタ16を、筒状のエジェクタタンク23cに収容する構成では、エジェクタタンク23の流入穴23fとエジェクタ16の冷媒吸引口162cとの位置関係を適切に調整することで、冷媒吸引口162cから冷媒を吸引する際の吸引圧損の増加を効果的に抑制できる。
これに対して、第1実施形態の如く、エジェクタタンク23c内にエジェクタ16を収容した状態でろう付け接合する場合等には、ろう付け接合時にエジェクタタンク23cとエジェクタ16が、ノズル161の軸線方向のみならず、軸線の周方向に位置ズレを生じてしまうことを抑制する必要がある。
そこで、本実施形態では、エジェクタ16のボデー162をエジェクタタンク23cの内部に収容した状態で、エジェクタタンク23cの外周側からノズル161の軸線へ向かって加圧することで、エジェクタ16とエジェクタタンク23cとをかしめ固定している。
具体的には、本実施形態では、図7に示すように、エジェクタタンク23cの筒状側壁面のうち、ノズル161の円筒状空間を形成する部位の外周側であって、ノズル161の軸線に対して対象な位置の2箇所にかしめ部23hを設けている。また、ノズル161のかしめ荷重を受ける部位には、その内外を貫通する貫通穴161cが形成されている。
これにより、ろう付け接合時に、エジェクタタンク23cとエジェクタ16との相対的な位置ズレが発生してしまうことを抑制できる。従って、流入穴23fから流入した冷媒を、通路断面積が縮小して通路抵抗を増加させてしまうエジェクタタンク23c内周側とボデー側のリブ162eの先端部外周側との間の隙間を通過させることなく、冷媒吸引口162cへ直接導くことのできる冷媒通路を確実に形成できる。
なお、図7(a)は、本実施形態のエジェクタ16およびエジェクタタンク23cの軸方向断面図であり、図4(a)に対応する図面である。図7(b)は、図7(a)のE矢視図である。また、図7では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面でも同様である。
さらに、本実施形態では、ノズル161の軸線に対して対象な位置に形成された複数のかしめ部23から均等に加重をかけることができる。また、アルミニウム合金で形成されたエジェクタタンク23cおよびボデー162に対して強度の高いノズル161によってかしめ荷重を受けることができる。さらに、エジェクタタンク23cおよびボデー162のうち、かしめ荷重によって変形した部位を貫通穴161cへ逃がすことができる。
その結果、エジェクタタンク23c、ボデー162およびノズル161の不必要な変形を抑制できる。
また、本実施形態の変形例として、図8に示すように、エジェクタタンク23cの筒状側壁面のうち、ボデー162およびノズル161と軸線方向に重合する部位の全周に亘って設けられた帯状のかしめ部23iから、ノズル161の軸線に向かって加圧するようにしてもよい。なお、図8(a)は、図7(a)に対応する図面であり、図8(b)は、図8(a)のF矢視図である。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図9に示すように、エジェクタタンク23cの一方の長手方向端部となる入口側端部に、エジェクタ16のボデー162の鍔部162fに向かって突出する凸部23jを設け、ボデー162の一方の長手方向端部に設けられている鍔部162fに凸部23jが嵌め合わされる凹部162gを形成している。
そして、凸部23jと凹部162gを嵌合させ、ボデー162および筒状部材23cの相対位置を固定した状態で、ろう付け接合を行うようにしている。これにより、ろう付け接合時に、エジェクタタンク23cとエジェクタ16との相対的な位置ズレが発生してしまうことを抑制でき、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、図9(a)は、第3実施形態におけるエジェクタおよびエジェクタタンクの断面図であり、(b)は、(a)の側面図であり、(c)は、第3実施形態の変形例として示す側面図である。この変形例は、鍔部162fに複数(本例では、2つ)の凹部162gを形成している。これにより、エジェクタ16の適用対象に応じて、凸部23jに嵌め合わせる凹部162gを選択することによって、エジェクタタンク23cに対する嵌合状態を変化させることができる。
このことは、例えば、車両用空調装置のように仕向地に応じて製品仕様(例えば、左ハンドル用と右ハンドル用)が異なる場合に、共通するエジェクタ16を採用しながらも、凸部23jに嵌め合わせる凹部162gを変更することによって、エジェクタタンク23の流入穴23fとエジェクタ16の冷媒吸引口162cとの位置関係を適切に調整することができる点で極めて有効である。
また、本実施形態による凸部23jと凹部162gとの嵌合による位置ズレ防止と、第2実施形態で説明したかしめ固定による位置ズレ防止との双方を組み合わせて用いてもよい。
(第4実施形態)
ところで、上述の第1〜第3実施形態では、流入穴23fから流入した冷媒を、エジェクタタンク23c内周側とボデー側のリブ162eの先端部外周側との間の隙間を通過させることなく、冷媒吸引口162cへ直接導くことのできる冷媒通路を形成することで、吸引圧損の増加を抑制しているが、当該冷媒通路において、通路抵抗を増加させてしまう要因を排除することによって、より一層、吸引圧損の抑制を期待できる。
そこで、本実施形態では、図10に示すように、冷媒吸引口162cの中心を含むノズル161の軸方向垂直断面における、ノズル161の外周側とボデー162の内周側との間に形成される冷媒吸引通路(流体吸引通路)162dの通路断面積(図10の点ハッチング部)とボデー162の外周側とエジェクタタンク23cの内周側との間に形成される冷媒流入通路(流体流入通路)23kの通路断面積(図10の網掛けハッチング部)とを略同等としている。
ここで、エジェクタタンク23cの内径が一定であれば、図10に示す断面において、冷媒流入通路23kの通路断面積と冷媒吸引通路162dの通路断面積との合計値は略一定となるため、冷媒流入通路23kの通路断面積を縮小させると、冷媒吸引通路162dの通路断面積が拡大し、逆に、冷媒流入通路23kの通路断面積を拡大させると、冷媒吸引通路162dの通路断面積が縮小する。
さらに、冷媒流入通路23kの通路断面積を縮小させると、流入穴23fから冷媒吸引口162cへ冷媒を導く冷媒通路の通路抵抗が増加してしまうので、吸引圧損が増加する。一方、冷媒吸引通路162dの通路断面積を縮小させると、冷媒吸引口162cからディフューザ部162bへ冷媒を導く冷媒通路の通路抵抗を増加させて、冷媒吸引口162cから吸引される吸引冷媒流量が減ってしまうので、吸引圧損が増加した場合と同様にディフューザ部162bにおける昇圧量が減少してしまう。
従って、冷媒吸引通路162dの通路断面積と冷媒流入通路23kの通路断面積との面積比を適切な値に調整することで、吸引圧損を低減させることができる。そこで、本発明者らは、冷媒吸引通路162dの通路断面積と冷媒吸引通路162dの通路断面積との面積比を変化させた際の吸引圧損の変化を調査した。
図11は、その調査結果を示すグラフである。図11から明らかなように、冷媒吸引通路162dの通路断面積と冷媒流入通路23kの通路断面積を略同等になると吸引圧損が最小値となることが判った。
従って、本実施形態の如く、冷媒吸引通路162dの通路断面積と冷媒流入通路23kの通路断面積とを略同等にすることで、より一層、吸引圧損の増加を抑制できる。延いては、ディフューザ部162bにおける冷媒の昇圧量を増加させて、エジェクタ式冷凍サイクル10のサイクル効率向上効果を、より一層充分に得ることができる。
なお、冷媒吸引通路162dの通路断面積と冷媒流入通路23kの通路断面積とを略同等とすることによる吸引圧損の抑制効果は、ボデー側のリブ162eの有無によらず得られるものである。従って、ボデー側のリブ162eを有していないエジェクタ16を筒状部材であるエジェクタタンク23cに収容した場合にも適用可能である。
すなわち、本実施形態は、
流体を減圧させて噴射するノズル161と、
前記ノズル161から噴射される高速度の噴射流体によって流体が吸引される流体吸引口162cおよび前記ノズル161から噴射された噴射流体と前記流体吸引口162cから吸引された吸引流体とを混合させて昇圧させる昇圧部162bが形成されたボデー162とを備えるエジェクタであって、
前記ボデー162は、筒状部材23cの内部に収容されており、
前記筒状部材23cの側壁面には、前記流体吸引口162cから吸引される流体を外部から内部へ流入させる流入穴23fが形成されており、
前記流体吸引口162cの中心を含む前記ノズル161の軸方向垂直断面における、前記ノズル161の外周側と前記ボデー162の内周側との間に形成される冷媒吸引通路162dの通路断面積と前記ボデー162の外周側と前記筒状部材23cの内周側との間に形成される冷媒流入通路23kの通路断面積が等しいエジェクタについて説明したものと表現することもできる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、ボデー側のリブ162eとしてボデー162をプレス加工によって製造する際に形成されたものについて説明したが、ボデー側のリブ162eはこれに限定されない。また、ボデー側のリブ162eは、軸線方向に延びるものに限定されることなく、例えば、螺旋状等に形成されたものであってもよい。
この場合は、流入穴23fから流入した冷媒を、エジェクタタンク23c内周側とボデー側のリブ162eの先端部外周側との間の隙間を通過させることなく、冷媒吸引口162cへ直接導くことのできる冷媒通路として、螺旋状の冷媒通路を形成することで、吸引圧損の増加を抑制できる。
(2)上述の実施形態では、ボデー162の冷媒吸引口162cの開口形状をエジェクタ16の軸線方向に長辺を有する長方形としているが、冷媒吸引口162cの開口形状はこれに限定されない。例えば、円形、楕円形、長穴形としてもよい。さらに、エジェクタ式冷凍サイクル10を作動させた際に、冷媒を充分に吸引できる程度の合計開口面積が確保できれば、冷媒吸引口162cを設ける数を変更してもよい。
また、エジェクタタンク23cの流入穴23fの開口形状を円形としているが、流入穴23fの開口形状はこれに限定されない。例えば、長方形、楕円形、長穴形としてもよい。さらに、流入穴23fを複数個設けてもよい。なお、長穴形とは平行な2辺の端部同士を円弧で結んだ形状であるから、上述の実施形態では、軸線方向に延びる形状とすることで、エジェクタタンク23cに流入穴23fを容易に形成できる。
(3)上述の実施形態では、流入穴23fから流入した冷媒を、エジェクタタンク23c内周側とボデー側のリブ162eの先端部外周側との間の隙間を通過させることなく、冷媒吸引口162cへ直接導くことのできる冷媒通路を形成するために、第1領域A1と第2領域A2が重合するように配置しているが、第1領域A1と第2領域A2は完全に重合する配置であってもよいし、一部同士が重合する配置であってもよい。
(4)上述の実施形態では、筒状部材として流出側蒸発器17および吸引側蒸発器19に一体化されるエジェクタタンク23c採用した例を説明したが、筒状部材はこれに限定されない。例えば、流出側蒸発器17あるいは吸引側蒸発器19において冷媒の分配あるいは集合を行うヘッダタンクを筒状部材としてもよい。その他にも、エジェクタ式冷凍サイクルにおいて、冷媒の気液を分離する気液分離器に一体化されたタンク部材あるいは気液分離器そのものを筒状部材としてもよい。
(5)上述の実施形態では、複数のサイクル構成機器をろう付け接合することによって一体化した例を説明したが、蒸発器ユニット14の一体化はこれに限定されない。例えば、流出側蒸発器17および吸引側蒸発器19を一体化する際にボルト締め等の機械的係合手段によって一体化してもよい。また、エジェクタ16をエジェクタタンク23cに収容する際に、接着、溶接等の接合手段によって一体化してもよい。
(6)上述の実施形態では、エジェクタ16を空調装置用のエジェクタ式冷凍サイクル10に適用した例を説明したが、本発明のエジェクタの適用対象はこれに限定されない。例えば、冷蔵・冷凍装置あるいは冷温保存庫用のエジェクタ式冷凍サイクル(ヒートポンプサイクル)に適用してもよいし、流体吸引口(冷媒吸引口162c)に生じる負圧を利用して真空を発生させる真空ポンプ等に適用してもよい。
また、エジェクタ式冷凍サイクル10の冷媒として、炭化水素系冷媒、二酸化炭素等を採用してもよい。また、エジェクタ式冷凍サイクル10が、圧縮機11吐出冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える超臨界冷凍サイクルを構成していてもよい。
16 エジェクタ
161 ノズル
162 ボデー
162b ディフューザ部
162c 冷媒吸引口
162d 冷媒吸引通路
162e リブ
162g 凹部
23c エジェクタタンク
23f 流入穴
23j 凸部
23k 冷媒流入通路
A1 第1領域
A2 第2領域

Claims (8)

  1. 流体を減圧させて噴射するノズル(161)と、
    前記ノズル(161)から噴射される高速度の噴射流体によって流体が吸引される流体吸引口(162c)および前記ノズル(161)から噴射された噴射流体と前記流体吸引口(162c)から吸引された吸引流体とを混合させて昇圧させる昇圧部(162b)が形成されたボデー(162)とを備えるエジェクタであって、
    前記ボデー(162)の外周には、外周側に向かって突出するリブ(162e)が形成されており、
    前記ボデー(162)は、筒状部材(23c)の内部に収容されており、
    前記筒状部材(23c)の側壁面には、前記流体吸引口(162c)から吸引される流体を外部から内部へ流入させる流入穴(23f)が形成されており、
    前記筒状部材(23c)の内部には、前記流入穴(23f)から流入した流体を、前記筒状部材(23c)の内周側と前記リブ(162e)の先端部外周側との間の隙間を通過させることなく前記流体吸引口(162c)へ導く流体通路が設けられていることを特徴とするエジェクタ。
  2. 流体を減圧させて噴射するノズル(161)と、
    前記ノズル(161)から噴射される高速度の噴射流体によって流体が吸引される流体吸引口(162c)および前記ノズル(161)から噴射された噴射流体と前記流体吸引口(162c)から吸引された吸引流体とを混合させて昇圧させる昇圧部(162b)が形成されたボデー(162)とを備えるエジェクタであって、
    前記ボデー(162)の外周には、外周側に向かって突出するリブ(162e)が形成されており、
    前記ボデー(162)は、筒状部材(23c)の内部に収容されており、
    前記筒状部材(23c)の側壁面には、前記流体吸引口(162c)から吸引される流体を外部から内部へ流入させる流入穴(23f)が形成されており、
    前記ノズル(161)の軸線に垂直であって前記流入穴(23f)を通過する断面において前記ノズル(161)の軸中心と前記流入穴(23f)の開口縁部とを結んで形成される領域を第1領域(A1)とし、
    前記ノズル(161)の軸線に垂直であって前記流体吸引口(162c)を通過する断面において前記ノズル(161)の軸中心と前記流体吸引口(162c)の開口縁部とを結んで形成される領域を第2領域(A2)とし、
    前記ノズル(161)の軸線方向から見たときに、前記第1領域(A1)と前記第2領域(A2)が重合していることを特徴とするエジェクタ。
  3. 前記ボデー(162)は、前記筒状部材(23c)の内部に収容された状態で、
    前記筒状部材(23c)の外周側から前記ノズル(161)の軸線へ向かって加圧されることによって、かしめ固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエジェクタ。
  4. 前記ボデー(162)および前記筒状部材(23c)の一方の長手方向端部には、他方側に向かって突出した凸部(23j)が形成されており、
    前記ボデー(162)および前記筒状部材(23c)の他方の長手方向端部には、前記凸部(23j)が嵌め合わされる凹部(162g)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  5. 前記凹部(162g)は、複数箇所に設けられていることを特徴とする請求項4に記載のエジェクタ。
  6. 前記流体吸引口(162c)の中心を含む前記ノズル(161)の軸方向垂直断面における、前記ノズル(161)の外周側と前記ボデー(162)の内周側との間に形成される流体吸引通路(162d)の通路断面積と前記ボデー(162)の外周側と前記筒状部材(23c)の内周側との間に形成される流体流入通路(23k)の通路断面積が等しいことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  7. 前記筒状部材(23c)は、熱交換器に一体化される部材であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  8. 前記筒状部材(23c)は、熱交換器において冷媒の分配あるいは集合を行うヘッダタンクであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のエジェクタ。
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