JP2013014654A - 鉄系重金属固定化剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第二鉄塩水溶液と還元剤とを接触させて第二鉄塩の一部を還元して第一鉄塩を生成することにより、鉄系重金属固定化剤を製造することを提案する。
【選択図】図1
Description
このような有機キレート重金属固定化剤は、鉛、水銀、カドミウムなどの陽イオンを形成する重金属類の固定化は可能であるが、砒素又はセレンなどの重金属類を固定化することができない。その理由として、砒素又はセレンは、集塵灰中で砒酸イオン、亜砒酸イオン、セレン酸イオン、亜セレン酸イオンなどの陰イオンの形態で存在するためにキレート形成反応が起こらないことが考えられる。
しかも、本薬剤の使用現場並びに輸送途中で、第二鉄塩水溶液と還元剤を接触させて還元反応させることで、本薬剤を製造することができるため、簡単な製造装置で製造することができる。
本実施形態で製造する鉄系重金属固定化剤(「本薬剤」と称する)は、第一鉄塩と第二鉄塩を含む水溶液からなる鉄系重金属固定化剤である。
溶出防止の対象となる重金属元素としては、例えば鉛、カドミウム、水銀、クロム、砒素、セレンなどの有害な重金属類や、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、バナジウム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、スズ、アンチモン、モリブデン、ホウ素、フッ素などが挙げられる。
本実施形態に係る鉄系重金属固定化剤の製造方法(「本製造方法」と称する)は、第二鉄塩水溶液と還元剤を接触させて第二鉄塩の一部を還元して第一鉄塩を生成することにより、生成した第一鉄塩と前記一部の残りの第二鉄塩とを含む水溶液からなる鉄系重金属固定化剤を製造することを特徴とする方法である。
本製造方法で使用可能な第二鉄塩水溶液としては、例えば硫酸第二鉄水溶液、塩化第二鉄水溶液、粉末の硝酸第二鉄を水に溶解して製造した硝酸第二鉄水溶液などを挙げることができる。いずれも強酸性鉄塩水溶液である。
中でも、硫酸第二鉄水溶液としてのポリ硫酸第二鉄水溶液は、入手し易い点で特に好ましい。例えばその市販品として日鉄鉱業株式会社製「ポリテツ」を挙げることができる。
鉄系還元剤の場合には、鉄1質量部に対して、100%
硫酸換算で0.5〜5.0質量部、中でも1.0〜3質量部、特に1.5〜2.5質量部の硫酸乃至希硫を加えるように調整するのが好ましい。
亜鉛系還元剤の場合には、亜鉛1質量部に対して、100% 硫酸換算で0.5〜5.0質量部、中でも2.0〜3.0質量部、特に1.0〜2.0質量部の硫酸乃至希硫を加えるように調整するのが好ましい。
本製造方法で使用可能な還元剤は、上述のように第二鉄塩水溶液が強酸性であるため、酸性条件下で第二鉄塩を還元することのできる還元剤である必要がある。
これらの中でも、優れた還元効率を得られる観点から、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸塩、エリソルビン酸及びエリソルビン酸塩、塩酸ヒドロキシルアミン、チオ尿素、錫系還元剤の2価錫化合物又は鉄系還元剤が好ましい。
その中でも、鉄濃度をより一層維持することができるという観点からは、鉄系還元剤が好ましい。
他方、金属亜鉛及び金属鉄以外の還元剤は、例えば10分間程度で還元処理は完了して、本薬剤の製造作業は完了することになる。
このように瞬間的に還元反応が完結するので、撹拌時間は短くてよい。
本製造方法を実施するための具体的方式として、1)薬剤製造槽による混合方式、2)移動槽による方式、3)充填層通液方式の3種類を挙げることができる。但し、これらの方式に限定するものではない。
以下、ここで挙げた各方式について順次詳細に説明する。
本製造方法は、薬剤製造槽を製造装置として用いて実施することができる。すなわち、薬剤製造槽内において、第二鉄塩水溶液と還元剤を接触させて第二鉄塩の一部を還元させる反応を実施することができる。
この際、還元剤は、市販の液状還元剤をポンプで添加したり、L-アスコルビン酸などの粉末品を水道水などの溶解した水溶液をポンプで添加したり、L-アスコルビン酸などの粉末品や粉末状の亜鉛末や粉末状の金属鉄を適宜添加したりすることができる。但し、液状還元剤と、粉末状の亜鉛末や金属鉄は、還元条件である量や撹拌時間などが異なるために同時に使用することはない。
そして、本薬剤の製造完了後は、薬剤製造槽から排出管を経由して、本薬剤を輸送用容器に充填して荷姿別の製品形態とすればよい。
また、薬剤製造槽の容量は、製造量などを考慮して有効容量を適宜選択するのが好ましい。その際、小規模の水槽を複数基配備して有効容量に対応することもできる。
機械撹拌を採用する場合、水槽部の上部は開放しているのが好適である。
他方、ポンプ循環による撹拌では、薬剤製造槽での薬剤の滞留時間は10〜30分間とするのが好ましい。10分間以上の滞留時間であれば、ポンプ流量を顕著に高くする必要がないから、過大なポンプが必要になることもない。他方、30分間以下であれば、作業時間がそれほど長くなることもない。
ポンプによる循環撹拌を作用する場合は、水槽部の上部はマンホールなどで密閉できるものでもよい。
なお、空気撹拌は、薬剤が空気酸化するため好ましくない。
本製造方法は、上記のように薬剤製造槽のような固定された反応槽で実施することができるほか、輸送用コンテナやタンクローリーなどのように移動可能な反応槽(「移動槽」と称する)で実施することもできる。
このような移動槽で本製造方法を実施するようにすれば、本製造方法を実施するための大型設備を準備する必要がないばかりか、例えば第二鉄塩水溶液を積み込む際に還元剤を添加することにより、移動槽を移動している間に本薬剤を製造することもできるし、また、本薬剤の使用場所に移動槽を移動させることで、本薬剤の使用場所において本薬剤を適宜調整しながら製造することもできる。よって、薬剤の貯蔵設備をも無くすことができる。
輸送用コンテナとしては、例えばポリエチレン製コンテナ(有効容量0.5m3〜1m3)を例示することができる。
市販の液状の還元剤としては、例えば塩化第一錫水溶液がある。粉末のL−アスコルビン酸などの水溶液を挙げることができる。
このような液状還元剤を反応槽内に添加する方法としては、コンテナのマンホールから、液状還元剤のポリ缶などを用いて手作業で直接投入してもよいし、液状還元剤の貯留設備から耐酸ポンプで所定量をコンテナに供給するようにしてもよい。
本製造方法は、図3及び図4に示すように、還元剤を充填してなる充填層を備えた設備を用いて実施することもできる。すなわち、還元剤を充填してなる充填層に第二鉄塩水溶液を通液することで実施することもできる。
このような充填層通液方式によれば、酸化鉄や合金鉄でない安価な還元剤である鉄材を充填した充填層に第二鉄塩水溶液を通液することで、充填層の鉄材表面で第二鉄塩水溶液の第二鉄イオンの一部を還元させることができ、第二鉄塩水溶液中に第一鉄イオンを生成させることができる。
図3に示すような下向流方式を採用する場合には、充填塔の上部から第二鉄塩水溶液を供給し、充填塔下部から本薬剤を流出させるようにすればよい。
逆に、図4に示すような上向流方式を採用する場合には、充填塔の下部から第二鉄塩水溶液を供給し、充填塔上部から本薬剤を流出させるようにすればよい。
また、還元時に発生する水素ガスを充填層から追い出すために、第二鉄塩水溶液の供給方向を上下交互に繰り返すようにして通液してもよい。
この際、平均粒径(D50)が2mm以下の鉄材では、細かすぎるため、第二鉄塩水溶液を充填層内に均一に接触させることが難しくなる。
充填層への第二鉄塩水溶液供給量は、SV2h−1〜30h−1が好適である。
SV2h−1未満では、充填層で滞留時間が長いので還元処理が過度に起こり、第二鉄塩水溶液の第二鉄イオンの全部を還元する可能性が高い。
また、100h−1を超えると、供給される第二鉄塩水溶液が充填層で短絡が起こり、第二鉄塩水溶液の第二鉄イオンの十分な還元が得られない。
このように第二鉄塩水溶液の供給量をSV(空塔速度)で調整することにより、第一鉄(Fe2+)+第二鉄(Fe3+)に対する第一鉄(Fe2+)のモル比〔Fe2+/(Fe2++Fe3+)〕の比率を任意に調整することができ、本薬剤を容易に製造することができる。
例えば、酸度調整剤として希硫酸を用いる場合であれば、希硫酸を貯留するための希硫酸貯留タンク、希硫酸注入ポンプ、第二鉄塩水溶液酸度調整部などを上記設備に付設すればよい。
第二鉄塩水溶液酸度調整部は、ラインミキサーのほか、耐酸性の水槽を用いることもでき、当該水槽内に第二鉄塩水溶液を一定量又は一定流量で供給し、希硫酸を一定量又は一定流量で添加して混合すればよい。
また、硫酸注入ポンプとしては、例えばイワキ社製「イワキマグネットポンプ MD−F型(流量130リットル/分)」などを挙げることができる。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」および「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
有効容量1m3のダイライトタンク(ポリエチレン内容器付鋼製タンクMD-1000型、ダイライト(株)製、直径1m、高さ1.5m、以下、薬剤製造槽)に、ポリ硫酸第二鉄水溶液(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)1000kgを投入し、薬剤製造槽に付帯した混合装置(サタケポータブルミキサーA520型、佐竹化学機械工業(株)製、0.2kw)で薬剤製造槽を撹拌しつつ、塩化第一錫二水和物(和光純薬工業(株)製品、試薬一級品、粉体)を塩化第一錫換算で19kg〜168kgを添加し、液温15℃で60分間撹拌して鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。
表1の結果から、ポリ硫酸第二鉄と塩化第一錫二水和物を各割合で混合することで、第一鉄イオン(Fe2+)と第二鉄イオン(Fe3+)のモル比を容易に調整できることが分かった。
実施例1のNo1及びNo.3で得られた鉄系重金属固定化剤(サンプル)を、製造直後に容量250ccのポリエチレン製容器に充填し、20℃の恒温槽にて450日間保管し、30日、300日及び450日経過時点で鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成をそれぞれ測定し、表2に示した。
その結果、実施例1で得られた鉄系重金属固定化剤(サンプル)を長期間保管しても組成に変化が認められないことが分かった。
実施例1で用いた還元剤、すなわち塩化第一錫二水和物(和光純薬工業(株)製品、試薬一級品、粉体)を水道水に溶解して、塩化第一錫含有率10〜45%wt/wtに調整した塩化第一錫水溶液を作製した。
そして、実施例1の混合装置付きの薬剤製造槽に、実施例1と同様にポリ硫酸第二鉄(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)1000kgを投入し、薬剤製造槽に付帯した混合装置(サタケポータブルミキサーA520型、佐竹化学機械工業(株)製、0.2kw)で薬剤製造槽を撹拌しつつ、上記のように調製した塩化第一錫水溶液を塩化第一錫換算で19kg〜168kg添加し、液温15℃で10分間撹拌して鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。
還元剤としての塩化第一錫の添加量と製造条件と鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を表3に示した。
実施例1の混合装置付きの薬剤製造槽に、実施例1と同様にポリ硫酸第二鉄(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)1000kgとL-アスコルビン酸(ビタミンC、和光純薬工業(株)製品、試薬一級品、粉体)17kg〜156kgを添加し、液温15℃で30分間撹拌して鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。
還元剤としてのL-アスコルビン酸添加量と鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を表4に示した。
実施例1の薬剤製造槽に、実施例1と同様にポリ硫酸第二鉄(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)1000kgとエリソルビン酸ナトリウム一水和物(和光純薬工業(株)製品、試薬一級品、粉体)20kg〜176kgを添加し、液温15℃で30分間撹拌して鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。
還元剤としてのエリソルビン酸ナトリウム一水和物添加量と鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を表5に示した。
実施例1の薬剤製造槽に、実施例1と同様にポリ硫酸第二鉄(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)1000kgと塩酸ヒドロキシルアミン(和光純薬工業(株)製品、試薬一級品、粉体)7kg〜61kgを添加し、液温15℃で30分間撹拌して鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。
還元剤としての塩酸ヒドロキシルアミン添加量と鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を表6に示した。
実施例1の薬剤製造槽に、実施例1と同様にポリ硫酸第二鉄(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)1000kgとチオ尿素(和光純薬工業(株)製品、試薬一級品、粉体)15kg〜135kgを添加し、液温15℃で30分間撹拌して鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。
還元剤としてのチオ尿素添加量と鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を表7に示した。
実施例1の混合装置付きの薬剤製造槽に、塩化第二鉄水溶液(純度37%wt/wt、昭和化学工業(株)製品)1000kgを投入し、実施例1と同様に塩化第一錫二水和物(和光純薬工業(株)製品、試薬一級品、粉体)を、塩化第一錫換算で22kg〜195kg添加し、液温15℃で60分間撹拌して鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。
還元剤としての塩化第一錫二水和物の添加量と鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を表8に示した。
実施例1の混合装置付きの薬剤製造槽に、実施例1と同様にポリ硫酸第二鉄水溶液(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)1000kgを投入し、硫酸第一鉄七水和物(硫酸第一鉄七水和物として92%以上、富士チタン工業(株)製)を61〜990kg添加し、液温15℃で8時間又は30℃で3時間の溶解作業を行って鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。
表9に示すように、液温15℃では8時間の溶解作業時間が必要であり、8時間未満では硫酸第一鉄七水和物の未溶解分が残留したために、製造物である鉄系重金属固定化剤(サンプル)中に沈殿物が確認された。
また、表10に示すように、30℃では3時間の溶解作業時間が必要であり、3時間未満では硫酸第一鉄七水和物の未溶解分が残留した。添加した硫酸第一鉄七水和物質量に対し55〜20%残留した。製品液量を半分にして撹拌強度をアップさせても、溶解時間の短縮はできなかった。
有効容量1m3のポリエチレン製コンテナ容器に、実施例1と同様にポリ硫酸第二鉄水溶液(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)1000kgを投入し、その液面に、実施例2と同様に調製した塩化第一錫水溶液(45%wt/wt)を42kg〜373kg添加して鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。10分間経過後に、別の空の有効容量1m3のポリエチレン製コンテナに薬剤全量を移し替えた。その後、物性測定用のサンプルを液面表層、中間部から採取したものを同量コンポジットとして物性測定した。
還元剤としての塩化第一錫水溶液の添加量と、鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を、表11に示した。
実施例1の混合装置付きの薬剤製造槽に、実施例1と同様にポリ硫酸第二鉄水溶液(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)1000kgを投入し、亜鉛末(和光純薬工業(株)製、亜鉛純度95%、平均粒径(D50)5μm〜8μm)を6.4kg〜58kgを添加し、液温15℃で30分間撹拌して鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。
還元剤としての亜鉛末の添加量と鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を表12に示す。
実施例1の混合装置付きの薬剤製造槽に、実施例1と同様にポリ硫酸第二鉄水溶液(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)1000kgを投入し、次に示す鉄粉を所定量添加し、液温15℃で30分間撹拌して鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。
電解鉄粉:和光純薬工業(株)製化学品、金属鉄純度90%以上、
還元鉄粉:パウダーテック工業(株)製、カイロ用鉄粉金属鉄純度92%以上、平均粒径(D50)45μm〜75μm
還元剤としての鉄粉の添加量製造条件と鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を表13に示す。
フレーク状電解鉄(鉄粒子の長さ3mm〜155mm、鉄粒子の厚さ3mm〜7mm、純度99%以上、東邦亜鉛(株)製)20kgを、薬剤製造塔(直径0.5m、充填高さ1.0m、塔長2m)の内部に充填した。当該薬剤製造塔の上部から、ポリ硫酸第二鉄水溶液(鉄換算の純度11%の硫酸第二鉄水溶液、日鉄鉱業(株)製品「ポリテツ」)をSV2〜50h−1で液温15〜35℃で連続的に通液し、塔下部からして鉄系重金属固定化剤(サンプル)を得た。通液により充填した金属鉄が消費されるので、充填高さ1.0m±0.2mで、電解鉄を上部から補給した。
なお、充填層に供給するポリ硫酸第二鉄水溶液には、予め所定量の希硫酸(75%)を添加した後、充填層に連続的に通液した。
製造条件と鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を表14に示す。
SV2h−1と、SV5h−1で一定、その他実施例11と同じ条件でポリ硫酸第二鉄を上向流で通液し、時間経過後に上向流から下向流に切り替えて通液した。この繰り返しで連続的に充填層に通液し、条件変更から約2時間の全製品を容器に受けて、この製品の物性を調査し、その結果を表15に製造条件と鉄系重金属固定化剤(サンプル)の組成を示す。
希硫酸(75%)添加量は、SV2h−1で52kg/h、SV5h−1で130kg/hであった。
なお、例えばNo.1については、上向流で10分間通液した後、下向流で10分間通液を行い、この繰り返しで上向流と下向流を交互に行った。他のNo.2−8についても同様である。
産業廃棄物焼却飛灰(集塵灰)に対し、上記実施例で得た鉄系重金属固定化剤(「本薬剤」と称する)を用いて溶出抑制試験を行った。
試験に使用した集塵灰の性状は、鉛(PbO)含有量が0.2%、鉛(Pb)溶出濃度15mg/L、溶出液pHが11.9であった。
含有量の分析方法は蛍光X線分析により行い、溶出濃度は、環境庁告示13号法により調製した溶出液を測定した。
500mLのプラスチック製ビーカーに、飛灰100g、水30g及び所定量の本薬剤を添加して5分間混練し、粘土状にした後、常温で24時間養生した。その後、サンプルを5mm以下に粉砕し、環境庁告示第13号試験法に基づいて重金属類の溶出試験を行った。表16に重金属溶出試験結果を示す。
本薬剤は、従来品と同等の重金属溶出抑制効果を確認することができた。
Claims (5)
- 第二鉄塩水溶液と還元剤を接触させて第二鉄塩の一部を還元して第一鉄塩を生成することにより、生成した第一鉄塩と前記一部の残りの第二鉄塩とを含む水溶液からなる鉄系重金属固定化剤を製造することを特徴とする鉄系重金属固定化剤の製造方法。
- 前記還元剤として、酸性条件下で第二鉄塩を還元する物質を用いることを特徴とする請求項1記載の鉄系重金属固定化剤の製造方法。
- 前記還元剤として、2価錫化合物、L―アスコルビン酸、エリソルビン酸塩、塩酸ヒドロキシルアミン、チオ尿素を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄系重金属固定化剤の製造方法。
- 前記還元剤として、金属鉄を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄系重金属固定化剤の製造方法。
- 第二鉄塩水溶液と還元剤を接触させる方法として、還元剤を充填してなる充填層に第二鉄塩水溶液を通液する方法を用いることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の鉄系重金属固定化剤の製造方法。
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