JP2013011353A - 円筒ころ軸受及び工作機械用主軸装置 - Google Patents

円筒ころ軸受及び工作機械用主軸装置 Download PDF

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Abstract

【課題】グリース供給時に温度の脈動を生じない円筒ころ軸受、及びそれを用いた工作機械用主軸装置を提供する。
【解決手段】円筒ころ軸受10は、補給孔15が形成される外輪11と、内輪12と、外輪軌道面と内輪軌道面との間に転動自在に配置された複数の円筒ころ13と、一対の円環部16及び一対の円環部16を軸方向に連結する複数の柱部17とを有する保持器14と、を備え、補給孔15を介してグリースが補給される。外輪11の補給孔15は、保持器14の円環部16の外周面と対向する範囲内に開口し、円環部16の外周面には、ポケット部を画成する第1円弧領域と、柱部17が連結される第2円弧領域とが交互に設けられ、円環部16の外周面には、複数の凹状切欠部20が円周方向に離間して形成され、各凹状切欠部20は、第2円弧領域を介して複数の第1円弧領域に跨って、且つ、複数の第1円弧領域に亘って形成される。
【選択図】図10

Description

本発明は、円筒ころ軸受及び工作機械用主軸装置に関し、より詳細には、高速回転する工作機械の主軸や高速モータ等に用いられる円筒ころ軸受及びそれを用いた工作機械用主軸装置に関する。
工作機械主軸用の軸受には、工作精度向上のため、振動、音響等の特性が良好であることが求められる。また、工作機械主軸用の軸受には、取り扱いやすく、環境面やコスト面で有利な、グリース潤滑を採用し、かつ、高速回転性、高寿命を達成することが求められている。
工作機械主軸に用いられるグリース潤滑の転がり軸受は、発熱しないように、初期に封入したグリースのみで潤滑されるのが普通である。グリースを封入した初期段階で、グリースの慣らし運転を行わずに高速回転させると、グリースの噛み込みや攪拌抵抗により異常発熱を起こすため、数時間をかけて慣らし運転を行ってグリースを最適な状態にしている。
近年、工作機械主軸の高速化が益々進み、主軸を支持する軸受はdmN(=(軸受内径+軸受外径)÷2×回転速度(rpm))100万以上という環境で使用されることが珍しくなくなっている。グリース潤滑の転がり軸受は、オイルエアやオイルミスト等の油潤滑のものと比較すると高速回転における寿命が短い傾向がある。グリース潤滑の場合、軸受の転がり疲れ寿命よりも前に、グリース劣化により軸受が焼付いてしまう。回転数が著しく高い場合、短時間でグリースが劣化または油膜形成不足により、早期に焼付が発生する。
出願人は、この問題を解決するため、グリース潤滑されている転がり軸受であって、外輪に補給孔が設けられ、該補給孔を介して、一回の補給量が軸受空間容積の0.1〜4%となるようにグリースを補給する転がり軸受や、一回の補給量が0.004〜0.1ccとなるようにグリースを補給する転がり軸受を提案している(例えば、特許文献1及び2参照)。これらの転がり軸受によれば、回転している軸受の異常昇温が抑制され、焼付の発生を防ぐことが可能である。したがって、特許文献1及び2に記載の転がり軸受によれば、異常昇温を回避し、慣らし運転を実施しなくてもよい。
特開2003−113846号公報 特開2004−278645号公報
しかしながら、特許文献1に記載の転がり軸受では、一回の補給量が軸受空間容積の0.1〜4%となるようにグリースを補給することにより異常昇温を発生しないように構成することは可能であるが、グリースの一回の補給量が多い場合には、温度の脈動を生じてしまう可能性がある。
特に、円筒ころ軸受は接触角を有しないため、アンギュラ玉軸受や円すいころ軸受に比べてグリースの円滑な排出が行なわれ難く、軸受空間内に多量のグリースが滞留すると、温度の脈動が発生して異常昇温を生じるという問題が発生しやすかった。特許文献2では、一回の補給量が0.004〜0.1ccとなるようにグリースを補給することが記載されているが、短時間でグリースを補給する際、円筒ころ軸受における温度の脈動及び異常昇温の抑制についてさらなる改良が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、グリース供給時に温度の脈動を抑制することができる円筒ころ軸受、及びそれを用いた工作機械用主軸装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 内周面に外輪軌道面が形成されると共に、少なくとも一つの補給孔が形成される外輪と、
外周面に内輪軌道面が形成される内輪と、
前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間に転動自在に配置される複数の円筒ころと、
一対の円環部及び該一対の円環部を軸方向に連結する複数の柱部を有し、前記複数の円筒ころを回転自在にそれぞれ保持する複数のポケット部を形成する保持器と、
を備え、前記円筒ころの転動時に前記補給孔を介してグリースが補給される円筒ころ軸受であって、
前記外輪の補給孔は、前記保持器の円環部の外周面と対向する範囲内に開口し、
前記円環部の外周面には、前記ポケット部を画成する第1円弧領域と、前記柱部が連結される第2円弧領域とが交互に設けられ、
前記円環部の外周面には、複数の凹状切欠部が円周方向に離間して形成され、
前記各凹状切欠部は、前記第2円弧領域を介して前記複数の第1円弧領域に跨って、且つ、前記複数の第1円弧領域に亘って形成されることを特徴とする円筒ころ軸受。
(2) 前記複数の凹状切欠部は、前記円環部の少なくともすべての前記第1円弧領域に亘って形成されることを特徴とする(1)に記載の円筒ころ軸受。
(3) 主軸が(1)または(2)に記載の円筒ころ軸受により回動自在に支持されることを特徴とする工作機械用主軸装置。
本発明の円筒ころ軸受によれば、グリースが早期に劣化または油膜形成不足により軸受が破損する前に、新たなグリースを補給することにより、軸受寿命の延長が可能となる。供給されたグリースは、補給孔を通って軸受空間に補給され、円筒ころや保持器に付着し、円筒ころや保持器の回転に伴って軸受内部全体に馴染む。このとき、軸受空間に多量のグリースが供給されると、回転している円筒ころがグリースを噛み込み、グリースの攪拌抵抗によって異常発熱する虞がある。
しかしながら、(1)の構成によれば、円環部の外周面には、ポケット部を画成する第1円弧領域と、柱部が連結される第2円弧領域とが交互に設けられ、円環部の外周面には、複数の凹状切欠部が円周方向に離間して形成され、各凹状切欠部は、第2円弧領域を介して複数の第1円弧領域に跨って、且つ、複数の第1円弧領域に亘って形成されるので、軸受空間に多量のグリースが供給されても、余剰のグリースは軸受空間から凹状切欠部を介して外部へ排出される。これにより、グリース補給時の温度の脈動を抑制することができ、また、異常昇温の発生を防止することができる。
また、外輪の補給孔は、保持器の円環部の外周面と対向する範囲内に開口するので、補給孔から補給されたグリースは、円環部の外周面と外輪の内周面との間でより慣らされてから軸受空間に供給される。これにより、一度に大量のグリースが塊として軸受空間に供給されることが阻止され、グリースの噛み込みや攪拌抵抗による温度の脈動や異常昇温を抑制することができる。
また、本発明の工作機械用主軸装置によれば、主軸が、異常昇温や温度の脈動が抑制された本発明の円筒ころ軸受によって回動自在に支持されるので、工作機械主軸装置の加工精度を高いレベルに保つことが可能である。
本発明の円筒ころ軸受が適用される工作機械用主軸装置を示す縦断面図である。 グリース補給器の模式図である。 図1のIII部に示した、本発明の第1実施形態である円筒ころ軸受の要部断面図である。 図3に示す円筒ころ軸受の要部破断斜視図である。 (a)は、供給されるグリースの長さを説明するための円筒ころ軸受の断面図であり、(b)は、補給孔形状を示すための外輪の部分上面図であり、(c)は、他の補給孔形状を示すための外輪の部分上面図である。 第1実施形態の変形例である円筒ころ軸受の要部断面図である。 第1実施形態の他の変形例である円筒ころ軸受の要部断面図である。 本発明の第2実施形態である円筒ころ軸受の要部断面図である。 本発明の第3実施形態である円筒ころ軸受の要部断面図である。 図9の円筒ころ軸受の要部破断斜視図である。 図9の保持器の断面図である。 (a)は、第3実施形態の第1変形例の保持器の断面図であり、(b)は、第3実施形態の第2変形例の保持器の断面図である。 第4実施形態の円筒ころ軸受の要部破断斜視図である。 図13の保持器の断面図である。 (a)は、第5実施形態の後側軸受ハウジングと円筒ころ軸受の外輪を外輪の補給孔が形成される軸方向位置で切断した断面図であり、(b)は(a)のXV−XV線に沿った断面図である。 第5実施形態の変形例を示す、図15の(b)に対応する図である。 第6実施形態の後側軸受ハウジングと円筒ころ軸受の断面図である。 第6実施形態の変形例を示す後側軸受ハウジングと円筒ころ軸受の断面図である。 第6実施形態の比較例を示す後側軸受ハウジングと円筒ころ軸受の断面図である。 第7実施形態の円筒ころ軸受の要部断面図である。 第7実施形態の効果を説明するための参考例としての円筒ころ軸受の要部断面図である。 第7実施形態の変形例を示す、円筒ころ軸受の要部断面図である。 (a)は、第8実施形態の円筒ころ軸受の要部断面図であり、(b)は第8実施形態の変形例を示す円筒ころ軸受の要部断面図である。 試験1の試験装置を示す断面図である。 試験2の比較例を示す断面図である。 試験3の各円筒ころ軸受を示し、(a)は補給孔が保持器の円環部外周面の軸方向範囲内に開口する円筒ころ軸受の断面図、(b)は補給孔が軸方向範囲から若干ずれて開口する円筒ころ軸受の断面図である。 (a)及び(b)は、試験3の各円筒ころ軸受を示し、補給孔が外輪軌道面上に開口する円筒ころ軸受の断面図である。 図26(a)の温度測定結果を示すグラフである。 図26(b)の温度測定結果を示すグラフである。 試験4の図9〜11の円筒ころ軸受の場合の温度測定結果を示すグラフである。 試験4の図13及び図14の円筒ころ軸受の場合の温度測定結果を示すグラフである。
以下、本発明に係る円筒ころ軸受及びそれを用いた工作機械用主軸装置の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態) 図1は、本発明の円筒ころ軸受が適用される工作機械用主軸装置の縦断面図である。図1に示すように、主軸装置100の主軸101は、転がり軸受であるアンギュラ玉軸受102及び本発明の円筒ころ軸受10によって主軸ハウジング103内に支持されている。
主軸ハウジング103は、ハウジング本体104と、ハウジング本体104の前端(図中左側)に内嵌固定された前側軸受ハウジング105と、ハウジング本体104の後側(図中右側)に内嵌固定された後側軸受ハウジング106とを備えている。前側軸受ハウジング105の端部には、外輪押さえ部材107及び内輪押さえ部材108が設けられており、外輪押さえ部材107と内輪押さえ部材108との間には、ラビリンスが形成されている。主軸ハウジング103の後端面は、カバー109によって覆われている。
主軸101は、前側軸受ハウジング105に外嵌する2つのアンギュラ玉軸受102,102と、後側軸受ハウジング106に外嵌する1つの円筒ころ軸受10に内嵌することにより、主軸ハウジング103に対して回転自在に支承されている。2つのアンギュラ玉軸受102,102の外輪間には、外輪間座110が配置されており、また内輪間には、内輪間座111が配置されている。さらに、円筒ころ軸受10の外輪の軸方向両側にも、一対の外輪間座30,30が配置されており、内輪の軸方向両側にも内輪間座31,31が配置されている。
主軸101の軸方向の略中央部には、ロータ120が外嵌固定されている。ロータ120の外周面側には、ステータ121が所定距離離れて同軸配置されている。ステータ121は、ステータ121の外周面側に配置されたステータ固定部材122を介してハウジング本体104に固定されている。ハウジング本体104とステータ固定部材122との間には、主軸101の周方向に沿う方向に複数の溝123が形成されている。この複数の溝123内には、ステータ121の冷却用の冷媒が流される。
同様に、ハウジング本体104と前側軸受ハウジング105との間であって、アンギュラ玉軸受102の外周側にあたる部位には、ハウジング及び軸受冷却用の冷媒が流される複数の溝124が形成されている。
この主軸ハウジング103の後端面には、軸受102,102,10のそれぞれにグリース供給を行うためのグリースが供給される3個のグリース供給口132が周方向に沿って開口している(図1には一つのみ図示)。これらの3つのグリース供給口132は、ハウジング本体104、前側軸受ハウジング105及び後側軸受ハウジング106内に形成されたグリース供給路133a,133b,133cにそれぞれ連通している(図1では、便宜上、各グリース供給路133a,133b,133cを同一断面に図示している)。これにより、本実施形態の主軸装置100は、外部に設けられたグリース補給器130からグリース供給管131を介して主軸ハウジング103内にグリースを供給する。
グリース供給路133aは、円筒ころ軸受10の外輪側に対応して形成された開口140に連通しており、グリース供給路133bは、前側(図左側)に配置されたアンギュラ玉軸受102の外輪側に対応して形成された開口141に連通しており、またグリース供給路133cは、後側(図中央)に配置されたアンギュラ玉軸受102の外輪側に対応して形成された開口142に連通している。これにより、グリース補給器130から供給されたグリースは、各軸受102,102,10の外輪側まで独立に供給される。開口140,141,142は、各軸受102,102,10の外輪に形成された補給孔に連通しており、グリースは補給孔を介して軸受空間内部に独立して供給される。
グリース補給器130は、各軸受102,102,10に対して独立にグリース供給可能に構成されている。すなわち、グリース補給器130は、適宜なタイミングで(間欠的または定期的に)、各軸受102,102,10毎にグリースショットする。補給されたグリースは、アンギュラ玉軸受102内部の玉及び円筒ころ軸受10内部の円筒ころの転動に伴い、軸受102及び10内部全体に馴染み、不足したグリースを補う。なお、円筒ころ軸受10は、アンギュラ玉軸受102よりも温度の脈動が顕著に起こりやすいため、一回の補給量はアンギュラ玉軸受への補給量よりも少なくするとより良い。
また、アンギュラ玉軸受102,102を固定側、円筒ころ軸受10を自由側で使用する主軸装置100において、玉軸受102,102と円筒ころ軸受10では必要な供給量が異なり、従来のオイルエア潤滑の場合には、玉軸受102,102と円筒ころ軸受10の供給量は、3:1程度で円筒ころ軸受の方が少なくなるように設定している。
ここで、図2に示すグリース補給器130では、複数の玉軸受用吐出口135a及び円筒ころ軸受用吐出口135bが設けられており、それぞれ各グリース供給管131に接続される。このように構成されるグリース補給器130は、玉軸受用吐出口135a、円筒ころ軸受用吐出口135bから異なる吐出量のグリースを玉軸受102,102と円筒ころ軸受10にそれぞれ供給してもよい。また、グリース補給器130の吐出口135a,135b毎に供給タイミングを制御することで、玉軸受102,102と円筒ころ軸受10の補給間隔をずらし、補給量を各軸受102,102,10毎に異ならせて、最適な補給量を供給することもできる。
即ち、各軸受102,102,10への補給間隔を等しく制御して各吐出口135a,135bからの吐出量を異ならせてもよいし、各吐出口135a,135bからの吐出量を等しくして補給間隔をずらして制御してもよく、或いは、各軸受毎に異なる吐出量、異なる補給間隔でグリースを供給して、各軸受102,102,10毎の最適な補給量を供給すればよい。
また、本実施形態においては、各軸受102,102,10の軸受空間内部に連通したグリース排出路143が前側軸受ハウジング105及び後側軸受ハウジング106に形成されている。グリースは、このグリース排出路143を介して、グリース排出路143の外周側開口144から装置外に排出される。
図3及び図4に示す円筒ころ軸受10は、内周面に外輪軌道面11aが形成されると共に、径方向に貫通する補給孔15が形成される外輪11と、外周面に内輪軌道面12aが形成されると共に、内輪軌道面12aの両側に鍔部12bを有する内輪12と、外輪軌道面11aと内輪軌道面12aとの間に転動自在に配置された複数の円筒ころ13と、一対の円環部16及び一対の円環部16を軸方向に連結する複数の柱部17を有し、複数の円筒ころ13を回転自在にそれぞれ保持する複数のポケット部18を形成する外輪案内型の樹脂製保持器14と、を備えている。
外輪11は、後側軸受ハウジング106に内嵌されており、補給孔15は、ハウジング106内に形成されたグリース供給路133aの開口140と連通し、保持器14の円環部16の外周面16aに向けて開口している。
内輪12は、内周面12cをテーパ状に形成しており、内輪12を主軸101に対して内周面12cの大径側(図3において左方向)に相対移動させることにより、主軸101のテーパ部101aに外嵌される。また、同時に、内輪12を主軸101に対して大径側に押し込むことにより、内輪12を径方向に移動させて円筒ころ軸受10の内部隙間を調整している。なお、内輪12の軸方向位置は、大径側に配置された内輪間座31の軸方向寸法によって調整される。
保持器14は、円環部16の外周面16aを案内面とし、外輪11の内周面と摺接することで保持器14を案内する。また、この円環部16の外周面16aは、外輪11の補給孔15から補給されたグリースを外輪11の内周面との間で潰して保持器14になじませる。なお、図中、符号19は、柱部17の円周方向側面から連続した側面を有し、円筒ころ13を確実に保持するためのころ止め部である。
円筒ころ軸受10の軸受空間には、軸受空間容積の8〜15%の量のグリースが初期封入される。そして、軸受使用時には、適宜なタイミングで(間欠的、定期的に)、補給孔15を介して、軸受に対する一回の補給総量が0.02cc以下、好ましくは0.01cc以下、より好ましくは0.005cc以下で、且つ、軸方向片側の補給孔15を通過する一回の補給総量が0.01以下、好ましくは、0.005cc以下のグリースが補給される。なお、図5(a)は、呼び番号N1011(内径:55mm)の円筒ころ軸受10において、グリースの補給量が0.01cc、0.02ccの場合に補給孔15から吐出するグリースの量を、保持器や内輪を無視してグリースの長さとして模式的に示したものである。このようにグリースの補給量を規制することで、一度に多量のグリースが軸受空間に供給されることが防止され、グリースの噛み込みや攪拌抵抗による温度の脈動や異常昇温が抑制される。
また、グリースを補給する際、グリースを数秒かけて軸受内に徐々に入れてあげることで温度の安定性をさらに得ることができる。この場合、グリース補給器130のピストン(図示せず)の駆動方式をモータねじ、又はカム駆動にすることでグリースを少しずつ押し出すことが可能になり、温度の安定性が確保される。また、外輪11の補給孔15自体を、図5(b)に示す丸孔から図5(c)に示す長孔とすることで、吐出するグリースが一箇所から集中して出ずに、グリースの長さを短くして(吐出面積を広くして)保持器14でならしやすくすることができる。また、図5(a)〜(c)においては、外輪11の外周面において後述する環状溝40が形成されている。
なお、外輪11の補給孔15は、図6に示すように、一対の円環部16の両方の外周面16aに向けて開口するように、軸方向に離間して両側に設けられてもよい。この場合、各補給孔15から供給されるグリースの量は、軸方向片側に設けられた補給孔15の場合の補給総量に対して半分の量に設定される。また、軸方向片側の補給孔15における一回の補給総量は、第5実施形態のように補給孔15が円周方向に複数形成されている場合においても変わらないものとする。
また、内輪12の軸方向両側に配置された一対の内輪間座31は、それぞれ内輪12と当接する側にフランジ部32を有する。フランジ部32の外径Dは、保持器14の内径
より大径に設定されており、円筒ころ13の軸方向両側は、保持器14の円環部16
と内輪間座31のフランジ部32とによりカバーされた状態となっている。
これにより、円環部16の外周面16aと外輪11の内周面により慣らされて円環部16の外側に排出されたグリースが軸受空間に戻ることを防止でき、グリースの噛み込みや攪拌抵抗による温度の脈動や異常昇温を抑制することができる。特に、主軸装置100を縦置きとして、工具が下方に位置する場合には、円環部16の外部に排出されたグリースが重力により軸受空間に戻ることを効果的に防止することができる。
なお、フランジ部32の外径Dは、余剰のグリースが円環部16の外側に排出されるのを阻害しないように、外輪軌道面11aの内径より1mm以上小さく設定される。また、本実施形態では、一対の内輪間座31の両方のフランジ部32の外径Dを保持器14
の内径Dより大径としたが、少なくとも補給孔15と対向する円環部側に配置された内輪間座31のフランジ部32の外径Dが保持器14の内径Dより大径であればよい。
勿論、図6のように、軸方向両側に補給孔15が形成される場合には、一対の内輪間座31のフランジ部32の外径Dを保持器14の内径Dより大径とする。
さらに、図7に示すように、保持器14に対向する側の内輪間座31のフランジ部32の端面32aをテーパ形状に形成し、回転中に内輪間座31に付着した余剰のグリースをスムーズに排出するようにしてもよい。
(第2実施形態)
次に、図1の工作機械の主軸装置に適用される本実施形態の円筒ころ軸受10Aについて図8を参照して詳細に説明する。なお、上記実施形態と同等部分については同一符号を付して、説明を省略或は簡略化する。
本実施形態の円筒ころ軸受10Aは、外輪11に設けられた軸方向両側の補給孔15A,15Bと保持器14の円環部16との相対位置を規制したもので、外輪11の補給孔15A,15Bが保持器14の円環部16の外周面16aと対向する軸方向範囲L内に開口するように構成される。本実施形態では、補給孔15A,15Bの開口は、直径0.1〜5mm、好ましくは、1〜2.5mmの円形断面に形成されている。
具体的に、内輪12は、ポケット部18に円筒ころ13が組み込まれた保持器14と共にテーパ大径側に移動し、テーパ状の内周面12cを主軸101のテーパ部101aに外嵌させると共に、円筒ころ軸受10Aの内部隙間を調整すべく大径側に押し込まれる。このため、各補給孔15A,15Bは、内輪12の押し込みにより内輪12と外輪11との間にずれeが生じる場合を考慮して位置決めされることが望ましい。なお、補給孔15を軸方向片側とする場合には、内輪12を押し込んだ際に円筒ころ13から遠ざかるテーパ小径側に補給孔15Aを配置するのが望ましい。
また、保持器14は、円筒ころ13に対して軸方向に0.2〜0.3mm程度移動可能であるため、この保持器14の移動量も考慮して補給孔15の開口が軸方向範囲Lから外れないように形成されることがより望ましい。
このように補給孔15A,15Bの開口が円環部16の外周面16aの軸方向範囲L内に位置することで、軸受使用時に、適宜なタイミングで(間欠的、定期的に)、補給孔15A,15Bを介して所定の補給量(例えば、軸受に対する一回の補給総量が0.02cc以下、好ましくは0.01cc以下)のグリースを補給すると、グリースは円環部16の外周面16aと外輪11の内周面との間で十分に慣らされる。このため、グリースの塊が円筒ころ13に直接付着することが確実に防止され、グリースの噛み込みや攪拌抵抗による温度の脈動や異常昇温の発生を抑制することができる。
(第3実施形態)
次に、図1の工作機械の主軸装置に適用される本実施形態の円筒ころ軸受10Bについて図9〜11を参照して詳細に説明する。なお、上記実施形態と同等部分については同一符号を付して、説明を省略或は簡略化する。
本実施形態の円筒ころ軸受10Bでは、保持器14の円環部16の外周面16aには、複数の凹状切欠部20が円周方向に離間して形成されている。図11に示すように、複数の凹状切欠部20は、隣接する柱部17間、即ち、複数のポケット部18を画成する円弧領域Aに形成されており、柱部17が連結される円弧領域Bには、径方向に突出する複数の案内突片21が形成されている。
この保持器14では、案内突片21の外周面が、外輪11の内周面と摺接することで保持器14を案内する案内面を構成すると共に、外輪11の補給孔15から補給されたグリースを外輪11の内周面との間で潰してなじませる。また、凹状切欠部20は、軸受空間内の余剰のグリースを外側に排出するように作用する。
円筒ころ軸受10Bの軸受空間には、軸受空間容積の8〜15%の量のグリースが初期封入される。そして、軸受使用時には、適宜なタイミングで(間欠的、定期的に)、補給孔15を介して所定の補給量(例えば、軸受に対する一回の補給総量が0.02cc以下、好ましくは0.01cc以下)のグリースが補給される。軸受空間に供給されたグリースの余剰分は、円筒ころ軸受10Bの回転に伴って凹状切欠部20から軸受空間外に円滑に排出される。これにより、グリースの噛み込みや攪拌抵抗による温度の脈動や異常昇温が抑制される。
尚、本実施形態では、凹状切欠部20の外周面は、柱部17の外周面と連続するように同じ外径寸法に形成されているが、これに限定されず、図11の一点鎖線に示すように、柱部17の外周面より径方向外方に形成されてもよい。
また、凹状切欠部20は、ポケット部18を画成する円弧領域Aに亘って形成されているが、必ずしも円弧領域A全域に亘って形成される必要はなく、図12(a)の第1変形例に示すように、少なくとも外輪軌道面11aと円筒ころ13との接触部Cに対応する円弧領域を含んで設けられていればよく、その大きさや数は任意に設定可能である。
さらに、図12(b)に示す第2変形例のように、凹状切欠部20は、案内突片21の間隔を柱部17の間隔より大きくして、複数の円弧領域Aに跨って形成されてもよく、少なくとも複数のポケット部18を画成するすべての円弧領域Aにおいて形成されるようにしてもよい。但し、外輪11によって保持器14が安定して案内されるためには、外輪11の内周面と摺接する案内突片21は、少なくとも3個形成される必要がある。
(第4実施形態)
次に、図1の工作機械の主軸装置に適用される本実施形態の円筒ころ軸受10Cについて図13,14を参照して詳細に説明する。なお、上記実施形態と同等部分については同一符号を付して、説明を省略或は簡略化する。
図13及び図14に示す円筒ころ軸受10Cでは、保持器14の複数の案内突片21が円環部16の外周面のうち、ポケット部18を画成する円弧領域Aの中間部にそれぞれ設けられ、複数の凹状切欠部20は、柱部17が連結される円弧領域Bから円弧領域Aの一部に亘って形成されている。
このような円筒ころ軸受10Cにおいても、軸受空間に供給されたグリースの余剰分は、円筒ころ軸受10Cの回転に伴って凹状切欠部20から円滑に排出される。これにより、グリースの噛み込みや攪拌抵抗による温度の脈動や異常昇温が抑制される。
なお、この円筒ころ軸受10Cにおいても、凹状切欠部20や案内突片21の大きさや数は任意に設定可能であるが、外輪11によって保持器14が安定して案内されるためには、外輪11の内周面と摺接する案内突片21は、少なくとも3個形成される必要がある。
また、上記各実施形態の円筒ころ軸受10,10A,10B,10Cでは、保持器14は外輪案内型としたが、ころ案内型としてもよい。また、ころ案内型の保持器に凹状切欠部を構成する場合は、円環部に径方向に突出する複数の突片を設けることで、複数の突片間に凹状切欠部が形成される。この場合も、複数の突片によって外輪の補給孔から供給されたグリースが均一に慣らされ、凹状切欠部によって余剰のグリースが円滑に排出される。但し、ころ案内型の保持器とするためには、突片の外径と外輪の内径との隙間は、ころの案内隙間より大きく設定する必要がある。
また、上記各実施形態の円筒ころ軸受10,10A,10B,10Cでは、保持器14は軸方向両側の円環部16の外周面16aで案内されているが、外輪案内型及びころ案内型いずれの保持器においても、補給孔15が軸方向片側のみ形成されている場合には、補給孔15が形成された側の円環部16の外周面16aのみで案内してもよい。
(第5実施形態)
次に、図1の工作機械の主軸装置に適用される本実施形態の円筒ころ軸受10Dについて図15及び図16を参照して詳細に説明する。なお、上記実施形態と同等部分については同一符号を付して、説明を省略或は簡略化する。
図15(a)は、後側軸受ハウジング106と円筒ころ軸受10Dの外輪11のみを、外輪の補給孔15が形成される軸方向位置で切断した断面図であり、図15(b)は、図15(a)のXII−XII線に沿った断面図である。本実施形態の円筒ころ軸受10Dでは、外輪11は、円周方向に180°離間した位置に2つの補給孔15が形成されており、また、これら補給孔15が形成される軸方向位置の外周面には環状溝40が形成されている。外輪11以外の構成は、上記実施形態のものと同様である。
これにより、後側軸受ハウジング106のグリース供給路133aから供給されたグリースは、外輪11の環状溝40を介して補給孔15へと供給される。従って、例えば、特許文献1に記載の軸受に比べて、グリース供給路133aの開口140と補給孔15との位相合わせを行なわずに後側軸受ハウジング106と外輪11とを嵌合することができ、組付け性が向上する。
また、この場合に、外輪11に補給孔15が円周方向に一本しか形成されていない場合、組み付けによってはグリース供給路133aと補給孔15の位相が最大180°異なり、増調剤等、グリースの一部が補給経路の途中で固化して十分なグリース補給ができなくなる可能性がある。一方、本実施形態の場合には、外輪11には、180°離間して2つの補給孔15が設けられているので、グリース供給路196と最も近い補給孔15との位相のずれは最大で90°となり、補給経路の途中でのグリースが固化することを抑制することができる。
なお、外輪11に設ける補給孔15の数が多いほど、グリース供給路133aから最も近い補給孔15までの距離を短くできる。例えば、6つの補給孔15(60°間隔)を円周方向に等間隔に設けると、グリース供給路133aと最も近い補給孔15の位相のずれは最大30°となる。従って、少なくとも2つの補給孔15を円周方向に等間隔で設けることが望ましい。
また、本実施形態では、環状溝40は外輪11に形成されているが、図16に示すように、後側軸受ハウジング106の内周面でグリース供給路133aの開口140が形成される軸方向位置に環状溝40´が形成されてもよい。さらに、上記構成はアンギュラ玉軸受などの玉軸受にも適用することができ、同様に効果を奏する。
(第6実施形態)
次に、テーパ小径側と大径側の両側に補給孔を有する円筒ころ軸受10が適用される工作機械の主軸装置について図17及び図18を参照して詳細に説明する。なお、上記実施形態と同等部分については同一符号を付して、説明を省略或は簡略化する。
本実施形態では、図17に示すように、後側軸受ハウジング106は径方向に分割され、メインハウジング106Aとサブハウジング106Bによって構成される。メインハウジング106Aには、1本のグリース供給路133a1が軸方向両側の補給孔15A,15Bの軸方向中間位置に形成される。また、サブハウジング106Bには、グリース供給路133a1に連通するグリース溜り50、及び該グリース溜り50と外輪11の軸方向両側の補給孔15A,15Bとをそれぞれ連通させる2本のサブグリース供給路133a2が形成されている。
例えば、図19に示すように、後側軸受ハウジング106に形成したグリース供給路133aを小径内周面側の補給孔15Aの軸方向位置で分岐して、軸方向両側の補給孔15A,15Bにグリースを供給することが考えられる。この場合、小径内周面側の補給孔15Aとグリース供給路133aの開口140の互いの位相が同じ場合には、補給孔15Aにすべてのグリースが供給されてしまって大径内周面側の補給孔15Bにはグリースが供給されず、互いの位相が約90度異なっている場合に大径内周面側の補給孔15Bにもグリースが供給される。
このため、図17に示すように、二分割された二つのハウジング106A,106Bにグリース供給路133a1,133a2及びグリース溜り50を構成することで、補給孔15A,15Bとグリース供給路133a1,133a2との位相に関わらず、各補給孔15A,15Bに略均一にグリースを供給することができる。
また、図17のような構成では、補給孔15A,15Bに対するハウジング本体104及びメインハウジング106Aのグリース供給路を一本で構成することができる。一方、図18に示すように、ハウジング本体104や後側軸受ハウジング106に補給孔15A,15Bと対応する別々のグリース供給路133a,133a´を位相を変えて形成してもよい。この場合、後側軸受ハウジング106を分割せずに、各補給孔15A,15Bに略均一にグリースを供給することができる。
(第7実施形態)
次に、図1の工作機械の主軸装置に適用される円筒ころ軸受10Eについて図20〜図22を参照して詳細に説明する。なお、上記実施形態と同等部分については同一符号を付して、説明を省略或は簡略化する。
本実施形態では、図20に示すように、一対の補給孔15Cは、保持器14の円環部16の外周面16aに向けて開口すると共に、径方向外方に向かうにつれて軸方向中心側寄りとなるように傾斜して穿孔されている。これにより、補給孔15Cの外径側と軸方向同位置で外輪11の外周面に形成された環状溝40Aも軸方向中心側寄りに形成される。
図21に示すように、補給孔15が径方向に沿って形成される場合には、外輪11の面取り許容差範囲内で環状溝40と面取り部11bとの間の距離aが十分に確保できない場合があり、距離aが1mm以下になるとグリースが面取り部11bから漏れやすくなることが実験的に確認されている。
このため、上記構成とすることで、図20に示すように、環状溝40と面取り部11bとの間の距離aを十分に確保することができ、面取り部11b側からの漏れを防止することが出来る。なお、補給孔15が径方向に沿って形成されている上記実施形態において、距離aが1mm以下となるような場合には、面取り部11bの許容差を変更、もしくは面取り部11b自体の寸法を小さくすることで、漏れを防止しても良い。
また、本実施形態の変形例として、図22に示すように、外輪11の外周面で、環状溝40Aの軸方向両側に、Oリング150を配置して、面取り部11bからの漏れを確実に防止するようにしてもよい。
(第8実施形態)
次に、図1の工作機械の主軸装置に適用される円筒ころ軸受10Fについて図23を参照して詳細に説明する。なお、上記実施形態と同等部分については同一符号を付して、説明を省略或は簡略化する。
本実施形態では、図23(a)に示すように、外輪11の外周面には、一対の補給孔15Cの両方が外径側において開口する単一の環状溝40Bが一本のグリース供給路133aと連通するように設けられている。この環状溝40Bは、円筒ころ13の軸方向幅よりも軸方向において幅広に形成されている。
これにより、円筒ころ13からの転動体荷重を受けた際に、環状溝40Bの有無による外輪11の変形量が均一となることから、エッジロードの発生を効果的に抑えることができる。また、環状溝40Bは、円筒ころ13の軸方向幅より幅広なため、外輪11が変形しやすくなり、運転時の予圧を軽減する効果を奏し、焼付きや寿命延長に有効である。
また、本実施形態の変形例として、図23(b)に示すように、図22と同様、外輪11の外周面で、環状溝40Bの軸方向両側に、Oリング150を配置して、面取り部11bからの漏れを確実に防止するようにしてもよい。
なお、本発明は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形、改良等が可能である。また、本発明の各実施形態は、実施可能な範囲において組み合わせて適用可能である。
本発明の工作機械用主軸装置100では、モータの前側に2つのアンギュラ玉軸受102,102を配置し、後側に1つの円筒ころ軸受10を配置した例を挙げたが、使用される軸受は上記の配列、個数に限定されるものではなく、任意に設定可能である。例えば、モータの前側に1つの円筒ころ軸受と2つのアンギュラ玉軸受を配置し、後側に1つの円筒ころ軸受を配置してもよく、また、前側に4つのアンギュラ玉軸受を配置し、後側に1つの円筒ころ軸受を配置してもよい。
以下、本発明の効果を確認するため各実施形態についての試験を行った。
(試験1)
まず、第1実施形態の図3及び図4に示した円筒ころ軸受10を図24に示すような縦型の試験装置に組み込んで試験を行なった。試験に使用された円筒ころ軸受10は、内輪内径55mm、外輪外径90mm、幅18mm、ころ径8mm、ころ幅8mm、ころ数18の単列円筒ころ軸受(NSK製、呼び番号N1011)とし、軸受に対する一回のグリース補給総量及び補給間隔は、0.02cc/4時間、0.005cc/4時間、0.005cc/6時間の3種類とした。尚、組み込み時のラジアル隙間は0μmであり、回転数は22000min−1(dmn=160万)である。また、グリースは、MTEグリース(Baコンプレックス+エステル油(動粘度20mm/sec))を使用しており、
以下の試験も同様である。
試験結果は、0.02cc/4時間の補給条件では、運転開始してから100時間経過後のグリースショット直後に異常な温度上昇が認められた。一方、グリース供給量を少なくした0.005cc/4時間、0.005cc/6時間の条件では、いずれも2000時間の間支障なく運転することができた。また、2000時間の運転後、円筒ころ軸受を分解して細部を詳細に調査したが、軸受の損傷はどこにも認められず、良好であった。
(試験2)
次に、図3に示した内輪間座31を用いた場合と、図25に示すようなスリンガー間座31Aを用いた場合について比較試験を行なった。スリンガー間座31Aは、フランジ部32Aの外径が円環部16の外周面16a近傍に設計されている。試験は、実施例1と同じ呼び番号N1011の円筒ころ軸受10を使用し、軸受に対する一回のグリース補給総量及び補給間隔は0.01cc/1時間、回転数は20000min−1とした。
図25に示すスリンガー間座31Aを使用した場合にはグリースの排出が悪いため、慣らし運転時に異常昇温が発生し、運転を停止した。一方、図3に示した内輪間座31を用いた場合には、100時間経過しても異常昇温は見られず、支障なく運転することができた。
(試験3)
次に、図26及び図27に示す位置に補給孔を設けて、第2実施形態の効果を確認した。なお、補給孔の位置以外は、図8に示した円筒ころ軸受10Aと同様であり、図26(a)では、小径側のみに補給孔15が設けられ、この補給孔15は軸方向範囲L内に開口する。図26(b)では、大径側のみに補給孔15が設けられ、この補給孔15は、軸方向範囲Lから円筒ころ13側に若干ずれて開口している。試験は、内輪内径60mm、外輪外径95mm、幅18mm、ころ径8mm、ころ幅8mm、ころ数20の単列円筒ころ軸受(NSK製、呼び番号N1012)を使用し、軸受に対する一回のグリース補給総量及び補給間隔は0.01cc/1時間、回転数は19000min−1とした。
図29に示すように、図26(b)に示す位置に補給孔15が設けられた場合には、10時間後から脈動が発生し(X1部)、18時間後にグリースショット直後に異常昇温が発生している(X2部)。一方、図28に示すように、図26(a)に示す位置に補給孔15を設けた場合には、500時間の間支障なく運転することができた。なお、図28のY部の温度上昇は、10ショット連続でグリースを供給して供給確認を行なったものである。また、図27(a)や図27(b)に示すように、補給孔15を外輪軌道面上で開口させた場合には、いずれも慣らし運転中に異常昇温及び異常音を発生した。
(試験4)
次に、図3及び図4の円筒ころ軸受10、図9〜11の円筒ころ軸受10B、図13及び図14の円筒ころ軸受10Cを用いて、凹状切欠部20の効果を確認する試験を行なった。試験は、上述の呼び番号N1012の単列円筒ころ軸受を使用し、いずれの円筒ころ軸受10,10B,10Cも、補給孔15を内輪12の大径内周面側に形成し、補給孔15は軸方向範囲Lから円筒ころ13側に若干ずれて開口している。軸受に対する一回のグリース補給総量及び補給間隔は0.01cc/1時間、回転数は19000min−1とした。
図3及び図4の円筒ころ軸受10を使用した場合は、上述の図26(b)のものと同条件となることから、図29に示した測定結果のように脈動、異常昇温が発生する。
一方、円筒ころ軸受10Bでは、図30に示すように、試験開始後520時間経過した後も温度の脈動は観測されず、良好な結果であった。なお、温度の全体的なふら付きは、室温の影響によるものである。また、円筒ころ軸受10Cでは、図31に示すように、試験開始後24時間程度経過した時点から脈動と思われる温度変化が出現し(W1部)、次第に脈動が大きくなる傾向が見られたが(W2部)、500時間経過後も異常昇温は発生せず、円筒ころ軸受10と比較して良好であることがわかる。従って、凹状切欠部20を外輪軌道面11aと円筒ころ13との接触部Cに対応する位置、即ち、ポケット部18を画成する円弧領域Aに形成することで、軸受空間からのグリース排出が良好となり、温度の脈動を抑制できることがわかる。
(試験5)
次に、図15及び図16に示す円筒ころ軸受10Dを用いて、各補給孔15から供給されるグリースの補給量を確認するための試験を行なった。なお、外輪11には、180°間隔で2箇所に形成された補給孔15を軸方向両側に形成し、グリース供給路からの供給量を0.01ccとした。表1は、各補給孔からのグリース補給量を示す。
Figure 2013011353
表1から分かるように、各補給孔からのグリース供給量の平均値は0.0016〜0.023ccと略均一に供給されることが確認された。
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F 円筒ころ軸受
11 外輪
11a 外輪軌道面
12 内輪
12a 内輪軌道面
13 円筒ころ
14 保持器
15,15A,15B,15C 補給孔
16 円環部
16a 外周面
17 柱部
18 ポケット部
20 凹状切欠部
21 案内突片
31 内輪間座
32 フランジ部
100 主軸装置
101 主軸
L 軸方向範囲
フランジの外径
保持器の内径

Claims (3)

  1. 内周面に外輪軌道面が形成されると共に、少なくとも一つの補給孔が形成される外輪と、
    外周面に内輪軌道面が形成される内輪と、
    前記外輪軌道面と前記内輪軌道面との間に転動自在に配置される複数の円筒ころと、
    一対の円環部及び該一対の円環部を軸方向に連結する複数の柱部を有し、前記複数の円筒ころを回転自在にそれぞれ保持する複数のポケット部を形成する保持器と、
    を備え、前記円筒ころの転動時に前記補給孔を介してグリースが補給される円筒ころ軸受であって、
    前記外輪の補給孔は、前記保持器の円環部の外周面と対向する範囲内に開口し、
    前記円環部の外周面には、前記ポケット部を画成する第1円弧領域と、前記柱部が連結される第2円弧領域とが交互に設けられ、
    前記円環部の外周面には、複数の凹状切欠部が円周方向に離間して形成され、
    前記各凹状切欠部は、前記第2円弧領域を介して前記複数の第1円弧領域に跨って、且つ、前記複数の第1円弧領域に亘って形成されることを特徴とする円筒ころ軸受。
  2. 前記複数の凹状切欠部は、前記円環部の少なくともすべての前記第1円弧領域に亘って形成されることを特徴とする請求項1に記載の円筒ころ軸受。
  3. 主軸が請求項1または2に記載の円筒ころ軸受により回動自在に支持されることを特徴とする工作機械用主軸装置。
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