JP4051563B2 - スピンドル装置,工作機械主軸用スピンドルおよび高速モータ用スピンドル - Google Patents
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Description
(1)ハウジング内に、転がり軸受と、前記転がり軸受に回転可能に軸支された主軸と、前記主軸を駆動するモータとが収容され、グリースで潤滑された前記転がり軸受が、転動体のピッチ円径dmと回転速度nとの積が120万以上で回転するスピンドル装置であって、前記ハウジングの外部に設けられ、回転中の主軸を軸支する前記転がり軸受の軸受空間に、一回の補給量が0.004cc〜0.1ccのグリースを適宜なタイミングで補給するグリース補給手段と、前記ハウジングに形成された冷却通路に冷却液を供給して、少なくとも、前記転がり軸受の前記ハウジングに固定された外輪と、前記モータの前記ハウジングに固定されたステータと、を冷却する冷却手段と、を備えることを特徴とするスピンドル装置。
(2)前記冷却手段が、前記冷却液を前記主軸内部に供給し、かつ、前記冷却液を前記主軸の長手方向に沿って流通させることにより前記主軸を冷却することを特徴とする(1)に記載のスピンドル装置。
(3)前記冷却手段から供給された前記冷却液を回収する冷却液回収手段を有することを特徴とする(1)または(2)に記載のスピンドル装置。
(4)上記(1)〜(3)のうちのいずれかに記載したスピンドル装置を用いた工作機械主軸用スピンドル。
(5)上記(1)〜(3)のうちのいずれかに記載したスピンドル装置を用いた高速モータ用スピンドル。
図1は、本発明の第1実施形態のスピンドル装置1を示す図である。このスピンドル装置1は、スピンドル10と、グリース供給装置17と、冷却液供給源18と、清浄空気供給源45とを備えている。
スピンドル10は、図2に示すように、複数の転がり軸受11〜14を外嵌するハウジング15と、上記の転がり軸受11〜14に軸通される主軸16とを備えている。
また、スピンドル10は、上記主軸16に設けられたロータ20およびこのロータ20に対向するように、ハウジング15aの内周面に設けられたステータ21を備えている。
また、ハウジング15cには、軸心冷却液回収穴26、清浄空気供給穴27、グリース排出用穴28が形成されている。主軸16には、その中心軸線方向に伸びる冷却通路29、30が設けられている。なお、図2中の符号31は外輪押し蓋である。
また、冷却液供給源18から送出された冷却液は、主軸16の冷却通路30に供給される。この冷却液供給源18から送出された冷却液は、ハウジング15に設けられたステータ冷却用溝22にも供給される。
また、清浄空気供給源45から送出された清浄空気は、スピンドル10のハウジング15c(図2参照)とグリース供給装置17に供給される。
更に、このスピンドル装置1は、冷却液が主軸16内部の冷却通路30に供給され、かつ、冷却液が主軸16の長手方向に沿って流通され、冷却通路29にも供給されるので、主軸16も冷却される。
また、オイルエア潤滑やオイルミスト潤滑での風切り音が抑制されるため、騒音レベルを押えることもできる。
転がり軸受11〜14として、円筒ころ軸受を使用した場合には、ラジアル予圧(負のすきま)を抑制でき、グリース潤滑での早期焼付きを防ぐ事ができる。更に、グリース潤滑での長寿命化で絶大な効果が得られる。
図3は、本発明に係る第2実施形態のスピンドル装置2を示す。なお、以下の説明では、上記のスピンドル装置1(図1,2参照)と同一の部分には、同一の符号をつけて詳細な説明を省略した。
このスピンドル装置2は、主軸16の冷却通路30に冷却液を供給する第1の冷却液供給源18aと、ハウジング15のステータ冷却用溝22、軸受冷却用溝23に冷却液を供給する第2の冷却液供給源18bとを備えている。
このスピンドル装置2は、主軸16とステータ21の冷却液温度管理を別々に行うことができ、軸受の内軸と外軸の温度差をさらに抑制することが可能となる。すなわち、冷却液供給源18aの冷却液温度を冷却液源18bの冷却液温度よりも低く設定することにより、主軸16の温度を低くすることができ、軸受の予圧荷重増加を抑制できるので、さらに効果があがる。
図4は、本発明に係る第3実施形態のスピンドル装置3を示す。このスピンドル装置3は、冷却液供給源18から供給された冷却液が、主軸16の冷却通路30、29を通過した後、軸受冷却用溝23、ステータ冷却用溝22に供給される。
ステータ冷却用溝22から排出された冷却液は、冷却液供給源18に回収される。
なお、上記スピンドル装置1,2,3は、工作機械主軸用スピンドル、高速モータ用スピンドルに好適である。
図5は、本発明に係る第4実施形態のスピンドル装置4を示す。このスピンドル装置4は、冷却液供給源18から供給された冷却液が、軸側およびハウジング側に供給される。
図6は、本発明に係る第5実施形態のスピンドル装置5を示す。このスピンドル装置5は、2個の冷却液供給源18a,18bが設けられている。そして、これらの冷却液供給源18a,18bの温度管理が別々に行われる。これ以外は、図5のスピンドル装置4と同一である。
図7は、本発明に係る工作機械用主軸装置としてのスピンドル装置160を示す図である。このスピンドル装置160は、主軸ハウジング161内に外輪溝付きタイプのアンギュラ玉軸受100及び補給孔片側1本の円筒ころ軸受110を用いて主軸171を支持している。なお、図7の主軸装置は、例示のために異種の軸受を用いているが、同種の軸受のみから構成するようにしてもよい。
グリース供給スピンドルにおける最適な仕様を確立すべく、以下の検証を行うための要素試験を実施した。
(1)グリースの量による耐久寿命を検証
(2)運転時軸受温度による耐久寿命を検証
(3)運転時予圧荷重と耐久寿命を検証
(4)一回の補給量を検証
試験軸受:NSK製軸受65BNR10HTDB P4相当(7013相当の高速タイプ軸受)
回転速度:22000min-1
潤滑:MTEグリース(NSK製)
予圧形式:定圧予圧
駆動方式:ベルト駆動
試験構造:図8に示す試験機40を使用した。
試験条件および試験結果を図9,図10に示す。
試験条件における定圧予圧荷重は、定位置予圧組込時KA(アキシアルばね定数)=125N/μm相当における22000min-1での運転時予圧荷重とほぼ等しい。
また、冷却条件は実機における設定温度とほぼ等しい。
試験の結果から、そのばらつきを見越した安全も考慮し、グリース封入量から推定される耐久時間を以下のように定義する。
初期グリース封入量1%・・・20hr以下
初期グリース封入量5%・・・100hr以下
初期グリース封入量15%・・・250hr以下
また、5%以下の封入量においては、封入量−耐久時間において、一次の比例
関係が制すると仮定する。
試験条件および試験結果を図11,図12に示す。
試験条件における定圧予圧荷重は、それぞれ、定位置予圧組込時KA=125N/μm相当における22000min-1での運転時予庄荷重とほぼ等しい。
グリース封入量1%として試験時間を短縮した。
試験の結果から、そのばらつきを見越した安全も考慮し、グリース封入量1%、運転時予圧荷重1870Nにおける冷却条件と、22000min-1での耐久時間を以下の様に定義する。
軸受温度60℃以上・・・10hr以下
軸受温度40〜60℃・・・20hr以下
軸受温度30〜40℃・・・50hr以下
試験条件および試験結果を図13,14に示す。回転数22000min-1、グリース封入量5%、冷却条件は実機における設定温度とほぼ等しい。試験の結果から、そのばらつきを見越した安全も考慮し、
運転時予圧荷重 1870N・・・100hr以下
2200N・・・50hr以下
2600N・・・40hr以下
3000N・・・20hr以下
要素試験の結果よりグリースの量、温度、予圧荷重が耐久寿命に大きく影響することがわかる。高速回転で安定した性能を保つためには軸受温度を低く保ち、運転時の予圧荷重を抑えることが重要である。本発明が有効であることが確認できる。
次にグリースの一回当たりの最適供給量を求めるため、図15に示した形態の円筒ころ軸受80を用いて、次の実験を行った。この円筒ころ軸受80は、内輪81、外輪82、内輪81の内輪軌道81aと外輪82の外輪軌道82aとの間に複数配置された円筒ころ83及び外輪案内の保持器84を備えている。また、保持器84は、外輪82の外輪軌道82aが案内しており、外輪案内形式となっている。
そして、この円筒ころ軸受80は、内径95mm、外径145mm、ころ径11mm、ころ長さ11mm、ころ数27個、軸受空間容積31cm3で、外輪軌道に浸炭窒化処理を施した円筒ころ軸受を用い、グリース(イソフレックスNBU15:NOKクリューバー(株)製)を初期封入量として軸受空間容積の10%充填し、慣らし運転を行った。慣らし運転後の9000min-1での外輪温度は35℃であった。その後、イソフレックスNBU15を供給量を変えて供給した後、0から9000min-1に2秒で立ち上げて、外輪温度を測定する実験を5回(n1〜n5)行った。尚、供給孔は、図16(a)に示すように1箇所に設けた。実験結果を表1に示す。
10 スピンドル
11 軸受
15 ハウジング
16 主軸
17 グリース供給装置
18,18a,18b 冷却液供給源
20 ロータ
21 ステータ
22 ステータ冷却用溝
23 軸受冷却用溝
24、25 孔
26 軸心冷却液回収穴
27 清浄空気供給穴
28 グリス排出用穴
29 軸心冷却穴
30 冷却液通路
40 試験用模型
41 グリス通路
45 清浄空気供給源
Claims (5)
- ハウジング内に、転がり軸受と、前記転がり軸受に回転可能に軸支された主軸と、前記主軸を駆動するモータとが収容され、グリースで潤滑された前記転がり軸受が、転動体のピッチ円径dmと回転速度nとの積が120万以上で回転するスピンドル装置であって、
前記ハウジングの外部に設けられ、回転中の主軸を軸支する前記転がり軸受の軸受空間に、一回の補給量が0.004cc〜0.1ccのグリースを適宜なタイミングで補給するグリース補給手段と、
前記ハウジングに形成された冷却通路に冷却液を供給して、少なくとも、前記転がり軸受の前記ハウジングに固定された外輪と、前記モータの前記ハウジングに固定されたステータと、を冷却する冷却手段と、
を備えることを特徴とするスピンドル装置。 - 前記冷却手段が、前記冷却液を前記主軸内部に供給し、かつ、前記冷却液を前記主軸の長手方向に沿って流通させることにより前記主軸を冷却することを特徴とする請求項1に記載のスピンドル装置。
- 前記冷却手段から供給された前記冷却液を回収する冷却液回収手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスピンドル装置。
- 請求項1〜請求項3のうちのいずれかに記載したスピンドル装置を用いた工作機械主軸用スピンドル。
- 請求項1〜請求項3のうちのいずれかに記載したスピンドル装置を用いた高速モータ用スピンドル。
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