JP2013011096A - 建築物の建築装置及び建築物の建築工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】建築物に養生シートを短時間で容易に被せることができる建築物の建築装置及び建築物の建築工法を提供する。
【解決手段】建設予定地と住宅の周囲のいずれかに仮設される単管足場と、単管足場の四隅部に装着される滑車と、単管足場内に展開される養生シート20とを備え、養生シート20の一対の対角線上にロープ27を接続し、複数の滑車に、養生シート20のロープ27を巻回して引っ張ることにより、養生シート20を吊り上げて住宅の少なくとも一部を覆う装置等であり、養生シート20を、住宅の少なくとも上部を被覆する略矩形の被覆シート21と、被覆シート21の一対の対角線上に圧着される補強材22と、一対の補強材22に積層縫着されるテープ材23とから形成し、テープ材23を被覆シート21の略中心部24を中心に平面略X字を描くよう形成し、テープ材23の長手方向に、ロープ27用の複数の被接続部26を間隔をおいて配列する。
【選択図】図1

Description

本発明は、個人の住宅等の建築に用いられる建築物の建築装置及び建築物の建築工法に関するものである。
従来、個人の住宅を建築する場合には図示しないが、先ず、基礎に土台を敷設して一階用の床面を施工し、この一階用の床面に一階用の複数の壁を立て起こして垂直に固定する。このような作業要領で住宅の二階部分を構築し、最後に天井と屋根とを組めば、住宅を建築することができる。この住宅の建築には、多数の木材と断熱材とが使用され、木材として、寸法精度等に優れるランバー材が一般的に使用される。
ところで、住宅の建築工事には日数を要するので、住宅の完成までに太陽光、雨、雪等が影響すると、直射日光や湿気、汚れ等により住宅の品質が低下するおそれがある。例えば、住宅の外壁にモルタルを塗布して意匠性を向上させる場合に、モルタルが直射日光に晒されると、モルタルにひび割れの生じることがある。また、住宅を枠組壁工法(2×4工法)で建築する場合に、建築資材に雨や雪が降ると、気密性や断熱性が低下し、枠組壁工法による長所を喪失するおそれが少なくない。
そこで従来においては、天候に応じ、建築途中の住宅の全部あるいは一部に必要枚数の養生シートを被せ、環境を整備して建築途中の住宅を天候から保護するようにしている(特許文献1、2、3、4、5、6、7、8参照)。
特開2010‐196292号公報 特開2009‐180074号公報 特開2008‐169656号公報 特開2010‐216112号公報 特開2010‐159617号公報 特開2007‐327224号公報 特開2007‐39907号公報 特開2006‐118121号公報
従来における建築物の建築工法は、以上のように建築途中の住宅の上部や周囲等に複数枚の養生シートが全て手作業で重ねて被覆されるので、被覆作業に長時間を要し、しかも、手間がかかり煩雑であるという問題がある。
本発明は上記に鑑みなされたもので、建築物に養生シートを短時間で容易に被せることのできる建築物の建築装置及び建築物の建築工法を提供することを目的としている。
本発明においては上記課題を解決するため、建設予定地とそこに建築される建築物の周囲のいずれかに仮設される足場と、この足場の複数の隅部にそれぞれ取り付けられる滑車と、足場の内側に配置される略矩形の養生シートとを備え、養生シートの複数の略対角線上に線条体をそれぞれ接続し、複数の滑車に、養生シートに接続した線条体をそれぞれ巻きかけて引っ張ることにより、養生シートを吊り上げて建築物の少なくとも一部を覆う装置であって、
養生シートは、建築物の少なくとも上部を被覆する略矩形の被覆シートと、この被覆シートの複数の略対角線上にそれぞれ設けられる複数の補強材と、これら被覆シートと複数の補強材のうち少なくとも複数の補強材に積層して取り付けられるテープ材とを含み、テープ材を被覆シートの略中心部を中心に平面略X字を描くよう形成し、このテープ材の長手方向には、線条体用の複数の被接続部を間隔をおいて配列したことを特徴としている。
なお、建設予定地とそこに建築される建築物のいずれかに、吊り上げられた養生シートの中央部に接触する支持柱を立て設け、この支持柱により養生シートの中央部が凹むのを抑制することができる。
また、養生シートの被覆シートを、ポリエステル樹脂製のシート、塩化ビニル樹脂製のシート、エチレン酢酸ビニル樹脂製のシート、ポリエステル樹脂製のシートに塩化ビニル樹脂製のシートがコーティングされたシート、あるいはメッシュシートとすることができる。
また、養生シートに接続した線条体を別体の吊り上げ滑車を介しそれぞれ巻きかけて引っ張ることができる。
また、テープ材の複数の被接続部をそれぞれ無端状に形成し、複数の被接続部に、養生シートの略対角線に沿う線条体をフックを介し着脱自在に接続することもできる。
また、本発明においては上記課題を解決するため、建設予定地とそこに建築される建築物の周囲のいずれかに足場を仮設してその四隅部には滑車をそれぞれ取り付け、足場の内側に略矩形の養生シートを配置してその複数の略対角線上に線条体をそれぞれ接続し、その後、足場の複数の滑車に、養生シートに接続した線条体をそれぞれ巻きかけて引っ張ることにより、養生シートを吊り上げて建築物の少なくとも一部を覆う建築工法であって、
養生シートは、建築物の少なくとも上部を被覆する略矩形の被覆シートと、この被覆シートの複数の略対角線上にそれぞれ設けられる複数の補強材と、これら被覆シートと複数の補強材のうち少なくとも複数の補強材に積層して取り付けられるテープ材とを含み、テープ材を被覆シートの略中心部を中心に平面略X字を描くよう形成し、このテープ材の長手方向には、線条体用の複数の被接続部を間隔をおいて配列し、
養生シートを吊り上げてその中央部を平面視で略矩形に形成し、この養生シートの中央部により建築物の少なくとも上部を被覆することを特徴としている。
なお、養生シートの中央部以外の残部に補助シートを着脱自在に接続し、この補助シートにより建築物の周囲を被覆することが可能である。
また、建設予定地とそこに建築される建築物のいずれかに、吊り上げられた養生シートの中央部に接触する支持柱を立て設け、この支持柱により養生シートの中央部が凹むのを抑制することが可能である。
さらに、養生シートを吊り上げてその中央部を前後左右いずれかの方向に傾け、この養生シートの中央部上に液体が溜まるのを抑制することも可能である。
ここで、特許請求の範囲における建築物は、個人の住宅が主ではあるが、特に限定されるものではなく、各種の建物や家屋(例えば、事務所、店舗、倉庫、畜舎等)が含まれ、建築途中の構造体でも良い。建築物が住宅の場合、住宅の建築には、木造軸組工法、枠組壁工法、鉄筋コンクリート工法等の工法が用いられる。また、足場には、枠組足場、単管足場、ブラケット一側足場、くさび緊結式足場、張出し足場等の種類があるが、特に限定されるものではない。
養生シートは、建築物の新築や改装時に使用することができる。この養生シートの線条体には、少なくともロープやワイヤ等が含まれる。被覆シートの一対の略対角線上には補強材をそれぞれ設け、各補強材にテープ材を積層して設け、この一対のテープ材を被覆シートの略中心部を中心に平面略X字を描くよう配列することができる。平面略X字には、少なくとも×字や+字等の類似形が含まれる。
本発明によれば、建築物を建築する場合には、建築物の建設予定地に足場を仮設してその複数の隅部に滑車をそれぞれ取り付け、足場内で養生シートを展開し、この養生シートの複数の被接続部に複数本の線条体を接続して養生シートの対角線上に線条体を沿わせるとともに、複数本の線条体を平面略X字に交差させる。そして、足場の複数の滑車に、養生シートから伸びた複数本の線条体を巻きかけて引っ張ることにより、養生シートを吊り上げる。複数本の線条体を引っ張り操作すると、吊り上げられた養生シートの中央部が平面視で略矩形を形成し、この中央部が建築物の少なくとも上部を外部環境から保護する。
本発明によれば、建築物に養生シートを従来よりも短時間で簡単に被せることができるという効果がある。また、天候等の影響により、建築資材の性能が低下するのを有効に防ぐことができるという効果がある。
また、請求項2又は請求項6記載の発明によれば、吊り上げられた養生シートの中央部を支持柱の先端部により突き上げ、養生シートの中央部が凹むのを防ぐことができるので、吊り上げた養生シートの中央部に水等が溜まるのを防ぐことができる。
また、請求項3記載の発明によれば、被覆シートとして所定の樹脂シートを使用すれば、優れた強度や耐候性、耐水性、柔軟性、又は弾性等を得ることができる。また、被覆シートとして、メッシュシートを用いれば、日除け効果が期待できるので、建築物の壁にモルタルを塗る際、モルタルが日光で割れるのを抑制することができる。
また、請求項5記載の発明によれば、養生シートと補助シートの組み合わせにより、建築物に対する被覆範囲が拡大するので、建築物の上部のみならず、周囲をも太陽光、風雨、雪等から有効に保護することが可能になる。
さらに、請求項7記載の発明によれば、吊り上げた養生シートの中央部に水等が溜まるのを防止し、しかも、支持柱を省略して作業の簡素化や部品点数の削減を図ることが可能になる。
本発明に係る建築物の建築装置及び建築物の建築工法の実施形態における養生シートを模式的に示す平面説明図である。 本発明に係る建築物の建築装置及び建築物の建築工法の実施形態における住宅の一階部分に養生シートを使用する状態を模式的に示す説明図である。 本発明に係る建築物の建築装置及び建築物の建築工法の実施形態における住宅の二階部分に養生シートを使用する状態を模式的に示す説明図である。 本発明に係る建築物の建築装置及び建築物の建築工法の実施形態における単管足場と養生シートの一部とを模式的に示す説明図である。 本発明に係る建築物の建築装置及び建築物の建築工法の実施形態における養生シートを展開配置する状態を模式的に示す説明図である。 図5の養生シートにロープをフックを介して接続する状態を模式的に示す説明図である。 図6の養生シートにロープを接続した状態を模式的に示す説明図である。 図7の養生シートを吊り上げる作業の開始状態を模式的に示す説明図である。 図7の養生シートを吊り上げる作業状態を模式的に示す説明図である。 図8の養生シートを吊り上げ滑車を介して吊り上げる状態を模式的に示す説明図である。 養生シートの周縁部に補助シートを接続した状態を模式的に示す説明図である。 図10の部分断面説明図である。 図10の養生シートを吊り上げて複数本のロープを固定する状態を模式的に示す説明図である。 図10の養生シートの吊り上げ作業の完成状態を模式的に示す説明図である。 図14の養生シートを降ろす状態を模式的に示す説明図である。 図14の養生シートを降ろした状態を模式的に示す説明図である。 本発明に係る建築物の建築工法の第2の実施形態を模式的に示す説明図である。 本発明に係る建築物の建築工法の第3の実施形態を模式的に示す説明図である。
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における建築物の建築装置は、図1ないし図16に示すように、建設予定地1とそこに建築される住宅2の周囲のいずれかに仮設される単管足場10と、この単管足場10の四隅部にそれぞれ取り付けられる滑車15と、単管足場10内に展開される略矩形の養生シート20とを備え、養生シート20の対角線上にロープ27を伸ばして接続し、単管足場10の複数の滑車15に、養生シート20に接続したロープ27をそれぞれ巻回して引っ張ることにより、養生シート20を吊り上げて住宅2の少なくとも上部を被覆する装置である。
住宅2は、図2や図3に示すように、例えば建設予定地1に枠組壁工法で新築される二階建ての個人住宅からなり、一階部分3と二階部分4とが順次構築され、最後に天井と屋根5とが組まれる。この住宅2の建築には、多数の木材、断熱材、壁パネル、及び天井パネル等が使用され、木材として、強度や寸法精度等に優れる乾燥したランバー材が一般的に使用される。
各壁パネルは、図示しないが、例えば木製の壁枠と、寸法安定性等に優れ、壁枠の外面を下地材として被覆する複数の構造用合板と、壁枠の内面を被覆する安価な複数の石膏ボードと、壁枠に内蔵される配線パーツと、壁枠に複数内蔵される高性能のグラスウールと、壁枠と石膏ボードとの間に介在して挟まれる防湿気密フィルムとを備え、予め工場で製造された後に現場に複数枚輸送され、住宅2の床面等に締結具を介して接合固定される。
壁パネルは、建築現場への輸送前にユニット化され、壁枠の上下部間に第一の仕切り材が、壁枠の両側部間には第二の仕切り材がそれぞれ架設されており、これら第一、第二の仕切り材が組み合わされて複数の空間を区画するとともに、各空間に耐熱性のグラスウールが充填される。壁枠の下部と複数の石膏ボードの下部下面との間にはシール用の隙間が形成され、壁枠と複数の石膏ボードとの間から防湿気密フィルムの少なくとも下部が露出して構造用合板方向に伸長されており、防湿気密フィルムの少なくとも下部下端が壁枠の下部下面に重ねられる。
単管足場10は、図2ないし図5、図8ないし図14に示すように、住宅2の建設予定地1あるいは住宅2周囲の地面にベースを介し立設されて横方向に間隔をおいて配列される複数本の支柱11と、この複数本の支柱11間に水平に架設されて上下方向に間隔をおいて並ぶ複数本の単管12と、これら複数本の支柱11と単管12とに水平に架設支持される複数枚の踏み板13と、上下に隣接する複数本の単管12間に斜めに架設される複数本の筋交14とを備え、平面略枠形に仮設される。
複数の支柱11、単管12、踏み板13、及び筋交14は、金具により着脱自在に螺着固定される。また、複数本の支柱11のうち、少なくとも単管足場10の四隅部にそれぞれ位置する支柱11の上部には、養生シート20用の滑車15がそれぞれ装着され、この複数の滑車15に養生シート20が複数本(本実施形態では2本)のロープ27を介して吊持される。各滑車15としては、いずれのタイプでも良いが、複数のプーリを並べ備えたダブルタイプ等を使用することができる。
養生シート20は、図1、図6、図7等に示すように、例えば住宅2の上部と周囲のうち、少なくとも上部を被覆する矩形の被覆シート21と、この被覆シート21の一対の対角線上にそれぞれ設けられて平面略X字を描く一対の補強材22と、各補強材22に縫着される一対のテープ材23とを備えた大型の三層構造に形成される。
被覆シート21は、特に限定されるものではないが、例えば可撓性を有する各種の樹脂シートや日除け用で樹脂製のメッシュシートにより平面長方形あるいは正方形に形成される。樹脂シートは、具体的には、強度や耐候性等に優れる安価なポリエステル樹脂製のシート、耐水性等に優れる塩化ビニル樹脂製のシート、柔軟性や弾性等に優れるエチレン酢酸ビニル樹脂製のシート、又はこれらを適宜積層してコーティングされたシート(例えば、ポリエステル樹脂製のシートの表裏面、表面、又は裏面に塩化ビニル樹脂製のシートがコーティングされたシート)等が使用される。
メッシュシートとしては、例えばポリエステル樹脂製、高弾性のポリプロピレン製、塩化ビニル樹脂製の目の細かいシート等が使用される。このようなメッシュシートを被覆シート21として用いれば、住宅2に対する直射日光を弱めることができるので、真夏等に住宅2の外壁にモルタルを塗着する際、直射日光でモルタルにひび割れが生じるのを有効に防ぐことができる。
被覆シート21の大きさは、住宅2の上部を一枚で被覆可能な大きさ、具体的には10m×10m〜15m×17m〜20m×30mのサイズが好ましい。また、被覆シート21の周縁部には、図示しない複数の取付孔が間隔をおき並べて穿孔され、この複数の取付孔に別体の補助シート30が必要に応じて接続される(図11や図12参照)。
補助シート30は、例えば被覆シート21と同様の材料により形成され、住宅2の周囲を一枚又は複数枚で被覆可能な大きさの横長に形成される。この補助シート30の上下端部のうち、少なくとも上端部には、被覆シート21用の複数の取付孔が間隔をおき並べて穿孔される。
各補強材22は、長いテープ形に形成され、被覆シート21表面の一対の対角線上に一体成形されたり、熱圧着される。この補強材22の材料は、特に限定されるものではなく、例えば被覆シート21と同様の材料を使用することができる。
一対のテープ材23は、被覆シート21の略中心部24を中心に平面略X字を描くよう一対の補強材22の表面に積層縫着され、被覆シート21の略中心部24を含む中央部25(図1の点線枠部参照)に位置する。各テープ材23は、例えば強化ナイロン樹脂やポリエステル樹脂等により細長いテープ形に形成され、表面長手方向に、ロープ27用の複数の被接続部26が間隔をおいて配列されており、各被接続部26が無端状のループに形成される。このテープ材23は、補強材22よりも短く形成され、複数の被接続部26に、ロープ27が着脱自在のフック28を介し選択的に接続される。
被覆シート21の中央部25は、新築される住宅2の表面積に応じ、拡大されたり、縮小される。また、ロープ27については、市販のタイプが適宜使用される。フック28としては、特に限定されるものではないが、例えば被接続部26に嵌通される略C字形や略U字形等のフック本体を備え、このフック本体の一端部に、フック本体の他端部に圧接する係止片がバネを介して揺動可能に支持されたタイプ等が適宜使用される。
このような養生シート20は、複数本のロープ27により吊り上げられると、中央部(被覆シート21の中央部25でもある)が平面視で略矩形(例えば、5m×8m〜10m×20mの大きさを有する矩形)に区画形成され、この中央部で住宅2の上部を被覆するとともに、中央部以外の残部の周縁部で住宅2の周囲の少なくとも一部を外部環境から被覆保護する。
なお、養生シート20は、0.25mm〜0.35mmの厚さを有することが好ましい(1m当たり/270g)。また、建築現場における手作業を容易にするため、50kg〜150kgの範囲の質量であるのが望ましい。
上記において、住宅2を養生シート20で保護しながら新築する場合には、先ず、住宅2の建設予定地1に単管足場10を組んで仮設し、この単管足場10の四隅部上方に滑車15をそれぞれ取り付け、単管足場10内に梱包状態の一枚の養生シート20を搬入して平面矩形に展開配置し、この養生シート20の位置を新築する住宅2の大きさに応じて調整する(図5参照)。
次いで、位置を調整した養生シート20の複数の被接続部26に複数のフック28を嵌入(図6参照)し、この複数のフック28に吊り上げ用のロープ27をそれぞれ挿通して養生シート20の対角線上にロープ27を沿わせ、一対のロープ27を平面略X字形に交差させる(図7参照)。この際、各被接続部26にフック28をそれぞれ嵌入するのではなく、養生シート20の中央部が平面略長方形あるいは略正方形を区画して新築する住宅2の上部を適切な大きさで覆うよう、複数の被接続部26に複数のフック28を選択的に嵌入する。
次いで、単管足場10の四隅部に人員を配置し、四隅部の複数の滑車15に、養生シート20の四隅部から伸びたロープ27をそれぞれ巻回(図8参照)して徐々に引っ張る(図9参照)ことにより、養生シート20を吊り上げる。この際、単管足場10の四隅部に人員をそれぞれ配置し、巻回したロープ27を同時に引っ張り操作しても良いが、少人数の場合には、単管足場10の四隅部に人員を順次配置し、隅部の滑車15にロープ27を巻回して一箇所ずつ引っ張り操作しても良い。
また、単管足場10の滑車15に、養生シート20の隅部から伸びたロープ27を折り返して別のシングルタイプの吊り上げ滑車29を介して巻回し、引っ張り操作の負担を軽減しても良い(図10参照)。このようにして養生シート20の一対の対角線上のロープ27をそれぞれ引っ張り操作すると、吊り上げられた養生シート20の中央部が平面視で略矩形を呈し、この中央部以外の残部である周縁部が垂れ下がることとなる(図13参照)。
次いで、養生シート20の高さを調整し、各ロープ27の両端部を単管足場10の支柱11に固定金具を介して固定すれば、住宅2を養生シート20で保護しながら新築する準備を整えることができる(図14参照)。こうして準備を整えたら、建設予定地1に基礎に打設して土台を敷設し、住宅2の一階部分3、二階部分4を順次構築し、その後、天井と屋根5とを組めば、住宅2を新築することができる。
この際、住宅2の建築状況に応じて養生シート20の高さを調整し、建築途中の住宅2を保護することができる。具体的には、住宅2の一階部分3を構築する場合には、一対のロープ27を緩めて養生シート20の高さを低く(図2参照)し、住宅2の二階部分4を構築する場合には、養生シート20を高く吊り上げて調整(図3参照)すれば、建築途中の住宅2の資材を保護することができる。
住宅2の二階部分4を養生シート20で保護しながら構築する場合、養生シート20の長さが足りずに住宅2の一階部分3が露出し、直射日光や汚れ等により住宅2の品質が低下する事態が考えられる。この場合には図11や図12に示すように、養生シート20の垂れ下がった周縁部に横長の補助シート30をS字フック31等により着脱自在に接続して垂下すれば、被覆範囲が拡大するので、住宅2の一階部分3の周囲を太陽光、風雨、雪からきわめて有効に被覆保護することができる。
全ての建築作業が終了したら、単管足場10に固定した複数の固定金具を順次取り外して各ロープ27の固定を解除(図15参照)し、各ロープ27を緩めて養生シート20を降ろし(図16参照)、養生シート20の複数の被接続部26からフック28やロープ27を取り外した後、養生シート20を梱包して運搬すれば良い。
上記によれば、建築途中の住宅2に複数数の養生シート20を重ねて被覆するのではなく、一枚の養生シート20を上方から被覆保護するので、被覆作業の迅速化が大いに期待でき、しかも、従来よりも作業の円滑化、簡素化、容易化を図ることができる。また、一枚の養生シート20により被覆保護するので、隣接する養生シート20の間から雨等が侵入して木材や断熱材、壁パネルに悪影響を及ぼし、これらの性能が低下するのを抑制防止することができる。
具体的には、土台、壁パネル、天井等を構成する木材が水分を吸収して寸法に狂いを生じたり、反りを招いたり、あるいは断熱材の熱伝導率が増大するおそれを有効に払拭することができる。また、住宅2の建設予定地1が狭い道等に面する場合には、狭い道をクレーン車が通行できないことがあるので、クレーン車により養生シート20を吊り上げることができないが、建築に必要不可欠な単管足場10を仮設して利用すれば、道の広狭にかかわらず、養生シート20を確実に吊り上げることが可能になる。
また、単管足場10の滑車15にロープ27を巻回して引っ張り操作するので、作業員の人数や労力を軽減することが可能になる。また、養生シート20を専用の装置等により膨張させて展開するのではなく、手作業によるロープ27の引っ張り操作により養生シート20を展開するので、複雑高価な専用装置やコストを大幅に削減することが可能になる。また、養生シート20の略対角線上にロープ27を沿わせて接続するので、養生シート20を吊り上げる際、養生シート20の中央部を平面略矩形に整えて建築する住宅2の上部を上方から有効に保護することが可能になる。
また、養生シート20の被接続部26にロープ27を緊縛等により直接接続するのではなく、フック28により間接的に接続するので、ロープ27の脱着が実に容易になる。さらに、養生シート20の被覆シート21にテープ材23を直接設けるのではなく、テープ材23を補強材22を介して設けるので、テープ材23を直接縫着することにより、薄い被覆シート21が破れて損傷したり、破れて雨漏りするのを防止することが期待できる。
次に、図17は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、住宅2の少なくとも一階部分3の建築時に建設予定地1とそこに建築される住宅2の一階部分3内のいずれかに、吊り上げられた養生シート20の中央部、換言すれば、被覆シート21の略中心部24等に接触する支持柱40を立設し、この支持柱40の上端部の圧接作用により、養生シート20の中央部が凹むのを抑制するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、雨天時に養生シート20の中央部が凹んでその表面に雨水が溜まるのを防止することができるのは明らかである。
次に、図18は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、養生シート20を吊り上げてその中央部を略水平に維持するのではなく、中央部を前後左右のいずれかの方向に傾斜させ、雨天時に養生シート20の中央部上の雨水を傾斜方向に排水し、養生シート20の中央部に雨水が溜まるのを抑制するようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、支持柱40を省略して作業の簡素化や部品点数の削減を図ることができるのは明らかである。
なお、上記実施形態では、養生シート20を吊持した後に住宅2を新築したが、何らこれに限定されるものではない。例えば、建設予定地1に単管足場10を仮設してその四隅部上方に滑車15をそれぞれ取り付け、建設予定地1に基礎を設けた後、単管足場10内に一枚の養生シート20を搬入して平面矩形に展開配置しても良い。
また、土台を設けた後、単管足場10内に一枚の養生シート20を搬入して平面矩形に展開配置しても良い。また、単管足場10内に養生シート20を搬入して展開した後、単管足場10の四隅部上方に滑車15をそれぞれ取り付けても良い。さらに、養生シート20の被覆シート21に、各種の広告を印刷して広告媒体とすることができる。
本発明に係る建築物の建築装置及び建築物の建築工法は、建築や土木の分野で使用される。
1 建設予定地
2 住宅(建築物)
3 一階部分
4 二階部分
5 屋根
10 単管足場(足場)
11 支柱
15 滑車
20 養生シート
21 被覆シート
22 補強材
23 テープ材
24 略中心部
26 被接続部
27 ロープ
28 フック
29 吊り上げ滑車
30 補助シート
40 支持柱
一対のテープ材23は、被覆シート21の略中心部24を中心に平面略X字を描くよう一対の補強材22の表面に積層縫着され、被覆シート21の略中心部24を含む中央部25(図1の点線枠部参照)に位置する。各テープ材23は、例えば強化ナイロン樹脂やポリエステル樹脂等により細長いテープ形に形成され、表面長手方向に、ロープ27用の複数の被接続部26が間隔をおいて配列されており、各被接続部26が無端状のループに形成される。このテープ材23は、補強材22よりも短く形成され、複数の被接続部26にロープ27が着脱自在のフック28を介し選択的に接続される(図4、図6、図7、図9参照)。
なお、フック28については、都合上、図1には示さず、図4、図6、図7、図9等に示すこととする。

Claims (7)

  1. 建設予定地とそこに建築される建築物の周囲のいずれかに仮設される足場と、この足場の複数の隅部にそれぞれ取り付けられる滑車と、足場の内側に配置される略矩形の養生シートとを備え、養生シートの複数の略対角線上に線条体をそれぞれ接続し、複数の滑車に、養生シートに接続した線条体をそれぞれ巻きかけて引っ張ることにより、養生シートを吊り上げて建築物の少なくとも一部を覆う建築物の建築装置であって、
    養生シートは、建築物の少なくとも上部を被覆する略矩形の被覆シートと、この被覆シートの複数の略対角線上にそれぞれ設けられる複数の補強材と、これら被覆シートと複数の補強材のうち少なくとも複数の補強材に積層して取り付けられるテープ材とを含み、テープ材を被覆シートの略中心部を中心に平面略X字を描くよう形成し、このテープ材の長手方向には、線条体用の複数の被接続部を間隔をおいて配列したことを特徴とする建築物の建築装置。
  2. 建設予定地とそこに建築される建築物のいずれかに、吊り上げられた養生シートの中央部に接触する支持柱を立て設け、この支持柱により養生シートの中央部が凹むのを抑制するようにした請求項1記載の建築物の建築装置。
  3. 養生シートの被覆シートを、ポリエステル樹脂製のシート、塩化ビニル樹脂製のシート、エチレン酢酸ビニル樹脂製のシート、ポリエステル樹脂製のシートに塩化ビニル樹脂製のシートがコーティングされたシート、あるいはメッシュシートとした請求項1又は2記載の建築物の建築装置。
  4. 建設予定地とそこに建築される建築物の周囲のいずれかに足場を仮設してその四隅部には滑車をそれぞれ取り付け、足場の内側に略矩形の養生シートを配置してその複数の略対角線上に線条体をそれぞれ接続し、その後、足場の複数の滑車に、養生シートに接続した線条体をそれぞれ巻きかけて引っ張ることにより、養生シートを吊り上げて建築物の少なくとも一部を覆う建築物の建築工法であって、
    養生シートは、建築物の少なくとも上部を被覆する略矩形の被覆シートと、この被覆シートの複数の略対角線上にそれぞれ設けられる複数の補強材と、これら被覆シートと複数の補強材のうち少なくとも複数の補強材に積層して取り付けられるテープ材とを含み、テープ材を被覆シートの略中心部を中心に平面略X字を描くよう形成し、このテープ材の長手方向には、線条体用の複数の被接続部を間隔をおいて配列し、
    養生シートを吊り上げてその中央部を平面視で略矩形に形成し、この養生シートの中央部により建築物の少なくとも上部を被覆することを特徴とする建築物の建築工法。
  5. 養生シートの中央部以外の残部に補助シートを着脱自在に接続し、この補助シートにより建築物の周囲を被覆する請求項4記載の建築物の建築工法。
  6. 建設予定地とそこに建築される建築物のいずれかに、吊り上げられた養生シートの中央部に接触する支持柱を立て設け、この支持柱により養生シートの中央部が凹むのを抑制する請求項4又は5記載の建築物の建築工法。
  7. 養生シートを吊り上げてその中央部を前後左右いずれかの方向に傾け、この養生シートの中央部上に液体が溜まるのを抑制する請求項4又は5記載の建築物の建築工法。
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