JP2013010848A - 樹脂組成物、フィルム、積層体、硬化物、及び複合体 - Google Patents

樹脂組成物、フィルム、積層体、硬化物、及び複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】配線埋め込み性に優れ、表面粗度を小さく保ちながら、無電解めっきによる導体層を良好に形成可能なフィルム及び硬化物を与える樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】熱硬化性樹脂(A)と、平均粒径が5μm以下であり、前記熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基を有する表面処理剤Xで予め表面処理された球状の表面処理シリカ(B)と、前記表面処理シリカ(B)よりも小さい平均粒径を有し、表面処理剤Xで表面処理がされていない球状の未処理シリカ(C)とを含有してなる樹脂組成物を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物、フィルム、積層体、硬化物、及び複合体に関する。
電子機器の小型化、多機能化、通信高速化などの追求に伴い、電子機器に用いられる回路基板のさらなる高密度化が要求されており、このような高密度化の要求に応えるために、回路基板の多層化が図られている。このような多層回路基板は、例えば、電気絶縁層とその表面に形成された導体層とからなる内層基板の上に、電気絶縁層を積層し、この電気絶縁層の上に導体層を形成させ、さらに、これら電気絶縁層の積層と、導体層の形成と、を繰り返し行なうことにより形成される。
このような多層回路基板の電気絶縁層を構成するための材料としては、一般的にセラミックや熱硬化性樹脂が用いられている。熱硬化性樹脂としては、経済性と性能のバランスの点で優れるため、エポキシ樹脂が広く用いられている。また、電気絶縁層が十分な機械強度や低い線膨張率を有するものとなるように、通常、フィラーなどの充填剤を熱硬化性樹脂に添加して用いられている。
ところで、電気絶縁層の形成に用いられる樹脂組成物への充填剤の添加に関する技術として、たとえば、エポキシ樹脂と同様、電気絶縁層を構成しうる樹脂材料として知られるノルボルネン系樹脂を用いる場合について、特許文献1には、付加型ノルボルネン系樹脂と、表面処理剤により予め表面処理された平均粒径2μm以下の球状シリカとを含有してなる樹脂組成物が開示されている。
特開2007−269965号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上述した特許文献1に記載の技術では、得られる電気絶縁層は表面粗度が著しく低く、無電解めっきなどにより導体層を形成した場合に、金属めっき膜の形成性が低く、導体層を良好に形成できないという不具合があった。
本発明の目的は、配線埋め込み性に優れ、表面粗度を低く保ちながら、無電解めっきによる導体層を良好に形成可能なフィルム及び硬化物を与える樹脂組成物、ならびに、これを用いて得られるフィルム、積層体、硬化物、及び複合体を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、熱硬化性樹脂に、平均粒径が5μm以下であり、熱硬化性樹脂と反応可能な官能基を有する表面処理剤で予め表面処理された球状の表面処理シリカと、表面処理シリカよりも小さい平均粒径を有し、前記表面処理剤で表面処理がされていない球状の未処理シリカとを配合してなる樹脂組成物により、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、
〔1〕熱硬化性樹脂(A)と、平均粒径が5μm以下であり、前記熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基を有する表面処理剤Xで予め表面処理された球状の表面処理シリカ(B)と、前記表面処理シリカ(B)よりも小さい平均粒径を有し、表面処理剤Xで表面処理がされていない球状の未処理シリカ(C)とを含有してなる樹脂組成物、
〔2〕前記熱硬化性樹脂(A)が、エポキシ樹脂を少なくとも含む前記〔1〕に記載の樹脂組成物、
〔3〕前記表面処理シリカ(B)の表面処理剤Xが、前記熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基を有する、シラザン、アルコキシシラン、クロロシラン、オリゴシロキサン、ポリシロキサン、アルコキシチタン、及びオリゴチタネートから選択される少なくとも1つである前記〔1〕または〔2〕に記載の樹脂組成物、
〔4〕前記表面処理シリカ(B)の表面処理剤Xにおける、前記熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基が、エポキシ基、アミノ基、イミダゾール基及びイソシアネート基から選択される少なくとも1つである前記〔3〕に記載の樹脂組成物、
〔5〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム、
〔6〕前記〔5〕に記載のフィルムを基材に積層してなる積層体、
〔7〕前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物、前記〔5〕に記載のフィルム、又は前記〔6〕に記載の積層体を硬化してなる硬化物、
〔8〕前記〔7〕に記載の硬化物の表面に、無電解めっきにより、導体層を形成してなる複合体、ならびに、
〔9〕前記〔7〕に記載の硬化物、又は前記〔8〕に記載の複合体を構成材料として含む電子材料用基板、
が提供される。
本発明によれば、配線埋め込み性に優れ、表面粗度を小さく保ちながら、無電解めっきによる導体層を良好に形成可能なフィルム及び硬化物を与える樹脂組成物、ならびに、これを用いて得られるフィルム、積層体、硬化物、及び複合体が提供される。
本発明の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂(A)と、平均粒径が5μm以下であり、前記熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基を有する表面処理剤Xで予め表面処理された球状の表面処理シリカ(B)と、前記表面処理シリカ(B)よりも小さい平均粒径を有し、表面処理剤Xで表面処理がされていない球状の未処理シリカ(C)とを含有してなる。
(熱硬化性樹脂(A))
本発明で用いる熱硬化性樹脂(A)としては、加熱により反応し硬化する樹脂であればよく特に限定されないが、たとえば、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、フェノール化合物、脂環式オレフィン重合体、芳香族ポリエーテル重合体、ベンゾシクロブテン重合体、シアネートエステル重合体、ポリイミドなどが挙げられる。これらのなかでも、経済性と性能のバランスの点で優れるという点より、エポキシ樹脂が好ましい。本発明で用いる熱硬化性樹脂(A)としては、エポキシ樹脂を少なくとも含むのが好適であり、その場合、熱硬化性樹脂(A)中のエポキシ樹脂の含有量としては、通常、10〜100重量%、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは30〜80重量%である。
エポキシ樹脂の具体例としては、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、クレゾール型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ポリフェノール型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、臭素化ビスフェノールF型エポキシ化合物、水素添加ビスフェノールA型エポキシ化合物等のグリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルエステル型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、イソシアヌレート型エポキシ化合物や、脂環式オレフィン構造又はフルオレン構造を有するエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのなかでも、得られるフィルム、積層体及び硬化物の機械物性を良好なものとすることができるという点より、ビスフェノールA型エポキシ化合物や、脂環式オレフィン構造又はフルオレン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。また、エポキシ樹脂としては、本発明の樹脂組成物の硬化性を良好なものとする観点から、エポキシ基当量が50〜500のものを用いることが好ましい。なお、これらは1種を単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
ビスフェノールA型エポキシ化合物としては、たとえば、商品名「jER827、jER828、jER828EL、jER828XA、jER834」(以上、三菱化学社製)、商品名「エピクロン840、エピクロン840−S、エピクロン850、エピクロン850−S、エピクロン850−LC」(以上、大日本インキ化学工業社製、「エピクロン」は登録商標)などが挙げられる。脂環式オレフィン構造又はフルオレン構造を有するエポキシ樹脂としては、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂〔たとえば、商品名「エピクロンHP7200L、エピクロンHP7200、エピクロンHP7200H、エピクロンHP7200HH」(以上、大日本インキ化学工業社製);商品名「Tactix558」(ハンツマン・アドバンスト・マテリアル社製);商品名「XD−1000−1L、XD−1000−2L」(以上、日本化薬社製)〕や、フルオレン骨格を有するエポキシ樹脂〔たとえば、商品名「オンコートEX−1010、オンコートEX−1011、オンコートEX−1012、オンコートEX−1020、オンコートEX−1030、オンコートEX−1040、オンコートEX−1050、オンコートEX−1051」(以上、長瀬産業社製、「オンコート」は登録商標);商品名「オグソールPG−100、オグソールEG−200、オグソールEG−250)」(以上、大阪ガスケミカル社製)、「オグソール」は登録商標〕などが挙げられる。
また、本発明においては、熱硬化性樹脂(A)として、エポキシ樹脂と、フェノール化合物とを併用して用いることが好ましい。フェノール化合物としては、分子中にフェノール性水酸基を有するものであれば特に限定するものではない。このようなフェノール化合物としては、たとえば、フェノールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン樹脂、又はこれらの変性樹脂が挙げられる。また、フェノール化合物としては、本発明の樹脂組成物の硬化性を良好なものとする観点から、フェノール化合物の水酸基当量が50〜500のものを用いることが好ましい。
エポキシ樹脂と、フェノール化合物とを併用する場合における、エポキシ樹脂のエポキシ当量とフェノール化合物の水酸基当量との割合は「エポキシ当量:水酸基当量」の当量比で、10:90〜90:10とすることが好ましく、より好ましくは20:80〜80:20、さらに好ましくは30:70〜70:30の範囲である。「エポキシ当量:水酸基当量」の当量比を上記範囲とすることにより、樹脂表面の表面粗度を小さく、更に樹脂組成物の耐熱性を向上させることができる。
(表面処理シリカ(B))
本発明で用いる表面処理シリカ(B)は、平均粒径が5μm以下であり、上述した熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基を有する表面処理剤Xで予め表面処理された球状のシリカである。表面処理シリカ(B)を添加することにより、フィルム及び硬化物とした場合における、配線埋め込み性を向上させることができる。
球状のシリカとしては、公知の方法によって得られるものを特に制限なく使用することができ、たとえば、乾式シリカ、湿式シリカ、ゾル−ゲル法シリカなどのいずれも用いることができる。
乾式シリカは、ヒュームドシリカとも呼ばれ、金属ケイ素粉末を酸素の気流中に分散させ、着火することで酸化させ、その反応熱で金属及び酸化物を蒸気または液体にし、冷却したり、四塩化ケイ素などのケイ素化合物を酸素を含む雰囲気中で燃焼させることにより得られる。湿式シリカとしては、たとえば、ケイ酸ソーダを鉱酸で中和することによって溶液中でシリカを析出させる沈殿法シリカが代表的である。また、ゾル−ゲル法シリカは、テトラメトキシシランやテトラエトキシシランなどのアルコキシシランを酸性あるいはアルカリ性の含水有機溶媒中で加水分解することで生成させることができ、この方法によれば、極めて高純度のシリカが得られる。得られるシリカ微小粒子の純度、表面の滑らかさなどの観点からは乾式法が好ましく、特にケイ素単体と酸素とを反応させる方法にて製造されることが望ましい。
本発明で用いる表面処理シリカ(B)は、球状のシリカを表面処理剤Xにより予め表面処理してなるものである。表面処理剤Xにより予め表面処理することにより、熱硬化性樹脂(A)に対する分散性が向上し、樹脂組成物の溶融粘度を効果的に低下させることができ、これにより、フィルム及び硬化物とした場合における、配線埋め込み性を向上させることが可能となる。球状のシリカを予め表面処理するための表面処理剤Xとしては、上述した熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基を有する表面処理剤であればよく特に限定されないが、たとえば、上述した熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基を有するシラザン、アルコキシシラン、クロロシラン、オリゴシロキサン、ポリシロキサン、アルコキシチタン、及びオリゴチタネートなどが挙げられ、これらのなかでも、熱硬化性樹脂に対する分散性の向上効果及び樹脂組成物の溶融粘度低下効果に優れるという点より、アルコキシシラン及びクロロシランが好ましい。
また、球状のシリカを予め表面処理するための表面処理剤Xの官能基としては、上述した熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基であればよく特に限定されないが、たとえば、熱硬化性樹脂(A)としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ基、アミノ基、イミダゾール基及びイソシアネート基が好ましく、これらのなかでも、エポキシ樹脂との反応性の観点から、アミノ基が好ましい。
球状のシリカを予め表面処理し、表面処理シリカ(B)を得る方法としては、公知の方法を用いることができるが、たとえば、球状のシリカをミキサーに入れ、窒素雰囲気下、攪拌しながら表面処理剤Xを噴霧し、所定温度で一定時間保持する方法などが挙げられる。なお、上記方法においては、上記攪拌を溶剤を添加した状態で行なってもよいし、また、表面処理剤Xは予め溶剤に溶解させた状態として噴霧してもよい。また、上記方法に代えて、表面処理剤Xの蒸気を直接球状のシリカに接触させることで表面処理を行なってもよい。
本発明で用いる表面処理シリカ(B)の平均粒径は、5μm以下であり、好ましくは4μm以下、より好ましくは3μm以下である。表面処理シリカ(B)の平均粒径が大きすぎると、絶縁不良を起こすため、薄い絶縁層を作成することができない。なお、表面処理シリカ(B)の平均粒径の下限は特に限定されず、後述する未処理シリカ(C)の平均粒径よりも大きなものであればよいが、通常、0.01μm以上である。また、表面処理シリカ(B)の平均粒径は、たとえば、レーザー回折法により測定することができる。
本発明の樹脂組成物中における、表面処理シリカ(B)の配合量は、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは80〜230重量部、より好ましくは110〜200重量部、さらに好ましくは130〜180重量部の範囲である。表面処理シリカ(B)の配合量が少なすぎると、フィルム及び硬化物とした場合における、配線埋め込み性が悪くなり、一方、配合量が多すぎると、銅めっきの析出性が低くなるおそれがある。
(未処理シリカ(C))
未処理シリカ(C)は、上述した表面処理シリカ(B)よりも平均粒径が小さく、かつ、表面処理剤Xで表面処理がされていない球状のシリカである。本発明においては、上述した平均粒径が5μm以下の表面処理シリカ(B)と、これよりも平均粒径の小さい未処理シリカ(C)とを併用することにより、得られるフィルム及び硬化物を配線埋め込み性に優れたものとしながら、表面粗度が小さく、かつ、無電解めっきにより導体層を良好に形成可能なものとすることができる。
未処理シリカ(C)としては、公知の方法によって得られる球状のシリカを特に制限なく使用することができ、たとえば、乾式シリカ、湿式シリカ、ゾル−ゲル法シリカなどのいずれも用いることができる。
また、未処理シリカ(C)の平均粒径は、表面処理シリカ(B)の平均粒径よりも小さいものであればよいが、好ましくは2μm以下、より好ましくは1μm以下である。また、未処理シリカ(C)の平均粒径の下限は特に限定されないが、通常、0.01μm以上である。未処理シリカ(C)の平均粒径が、大きすぎると、得られるフィルム及び硬化物の表面粗度が大きくなってしまい、その結果、フィルムや硬化物の表面に導体層を形成した際における、フィルムや硬化物と導体層との密着性が低下してしまうおそれがある。なお、未処理シリカ(C)の平均粒径は、たとえば、レーザー回折法により測定することができる。また、未処理シリカ(C)として、表面処理シリカ(B)の平均粒径以上の平均粒径を有するものを使用した場合には、得られるフィルム及び硬化物の表面粗度が大きくなり、その結果、フィルムや硬化物の表面に導体層を形成した際における、フィルムや硬化物と導体層との密着性が低下してしまうこととなる。
また、本発明においては、未処理シリカ(C)としては、表面処理を全く行なっていないシリカの他、表面処理剤X以外の表面処理剤で表面処理されたものを用いてもよい。その場合の未処理シリカ(C)の平均粒径は、表面処理剤X以外の表面処理剤で表面処理された後の平均粒径をいう。
本発明の樹脂組成物中における、未処理シリカ(C)の配合量は、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは5〜110重量部、より好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは20〜50重量部の範囲である。未処理シリカ(C)の配合量が少なすぎても多すぎても、フィルムや硬化物とした場合における、導体層に対する密着性の向上効果が得難くなる。
また、本発明において、表面処理シリカ(B)と、未処理シリカ(C)との配合割合を、「表面処理シリカ(B):未処理シリカ(C)」の重量比で、99:1〜40:60とすることが好ましく、より好ましくは、95:5〜50:50、さらに好ましくは90:10〜60:40である。表面処理シリカ(B)の配合割合が少なすぎると、導体層に対する密着性の向上効果が得難くなるおそれがあり、一方、未処理シリカ(C)の配合割合が少なすぎると、銅めっきの析出性が低下するおそれがある。
(その他の成分)
また、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、硬化剤を含有していてもよい。硬化剤としては特に限定されないが、たとえば、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、第2級アミン、第3級アミン、酸無水物、イミダゾール誘導体、有機酸ヒドラジド、ジシアンジアミド及びその誘導体、尿素誘導体などが挙げられるが、これらのなかでも、イミダゾール誘導体が特に好ましい。
イミダゾール誘導体としては、イミダゾール骨格を有する化合物であればよく、特に限定されないが、たとえば、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ビス−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのアルキル置換イミダゾール化合物;2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、ベンズイミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−(2’−シアノエチル)イミダゾールなどのアリール基やアラルキル基などの環構造を含有する炭化水素基で置換されたイミダゾール化合物などが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
硬化剤を配合する場合における配合量は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは、0.01〜2重量部、より好ましくは0.05〜1.5重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部である。
さらに、本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、分子内にオキサゾリン基を有するオキサゾリン基含有化合物を含有していてもよい。オキサゾリン基含有化合物を含有させることにより、フィルムや硬化物とした場合における、導体層に対する密着性を向上させることができる。
オキサゾリン基含有化合物としては、たとえば、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物が好ましく挙げられる。
Figure 2013010848
(上記一般式(1)中、Rは付加重合性不飽和結合を有する非環状の有機基、水素原子、アルキル基、アラルキル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基を示し、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)
Figure 2013010848
(上記一般式(2)中、R、R、R、R、R10、R11、R12及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基を示す。)
Figure 2013010848
(上記一般式(3)中、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20及びR21は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アラルキル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基を示し、R22は2価の脂肪族基、又は、置換基を有していてもよいフェニレン基を示す。)
また、本発明において、オキサゾリン基含有化合物としては、フィルムや硬化物とした場合における、導体層に対する密着性をより向上させることができるという観点より、側鎖及び/又は末端にオキサゾリン基を有する高分子化合物であることが好ましい。側鎖及び/又は末端にオキサゾリン基を有する高分子化合物の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜300,000であり、より好ましくは20,000〜150,000である。
本発明の樹脂組成物中における、オキサゾリン基含有化合物の配合量は、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは、1〜30重量部、より好ましくは5〜25重量部、さらに好ましくは10〜20重量部の範囲である。オキサゾリン基含有化合物の配合量が多すぎると、耐熱性が低下するおそれがある。
さらに、本発明の樹脂組成物には、フィルムや硬化物とした際における難燃性を向上させる目的で、例えば、ハロゲン系難燃剤やリン酸エステル系難燃剤などの一般の電気絶縁膜形成用の樹脂組成物に配合される難燃剤を配合してもよい。本発明の樹脂組成物に難燃剤を配合する場合の配合量は、熱硬化性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは100重量部以下であり、より好ましくは60重量部以下である。
また、本発明の樹脂組成物には、さらに必要に応じて、難燃助剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、老化防止剤、紫外線吸収剤(レーザー加工性向上剤)、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、天然油、合成油、ワックス、乳剤、磁性体、誘電特性調整剤、靭性剤などの任意成分を配合してもよい。これらの任意成分の配合割合は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択すればよい。
本発明の樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではなく、上記各成分を、そのまま混合してもよいし、有機溶剤に溶解もしくは分散させた状態で混合してもよいし、上記各成分の一部を有機溶剤に溶解もしくは分散させた状態の組成物を調製し、当該組成物に残りの成分を混合してもよい。
(フィルム)
本発明のフィルムは、上述した本発明の樹脂組成物をシート状又はフィルム状に成形してなる成形体である。
本発明の樹脂組成物を、シート状又はフィルム状に成形して成形体とする際には、本発明の樹脂組成物を、必要に応じて有機溶剤を添加して、支持体に塗布、散布又は流延し、次いで乾燥することより得ることが好ましい。
この際に用いる支持体としては、樹脂フィルムや金属箔などが挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリアリレートフィルム、ナイロンフィルムなどが挙げられる。これらのフィルムのうち、耐熱性、耐薬品性、剥離性などの観点からポリエチレンテレフタレートフィルム又はポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい。金属箔としては、銅箔、アルミ箔、ニッケル箔、クロム箔、金箔、銀箔などが挙げられる。
シート状又はフィルム状の成形体の厚さは、特に限定されないが、作業性などの観点から、通常、1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜80μmである。また、支持体の表面粗度Raは、通常、300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。
本発明の樹脂組成物を塗布する方法としては、ディップコート、ロールコート、カーテンコート、ダイコート、スリットコート、グラビアコートなどが挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物を、支持体上に塗布した後、必要に応じて、乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、本発明の樹脂組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、通常、20〜200℃、好ましくは30〜150℃である。乾燥温度が高すぎると、硬化反応が進行しすぎて、得られる成形体が未硬化又は半硬化の状態とならなくなるおそれがある。また、乾燥時間は、通常、30秒間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間である。
そして、このようにして得られる本発明のフィルムは、支持体上に付着させた状態で、又は支持体からはがして、使用される。
あるいは、本発明のフィルムとしては、本発明の樹脂組成物を、繊維基材に含浸させることにより、シート状又はフィルム状の複合成形体の形態として得られるものであってもよい。
この場合に用いる繊維基材としては、たとえば、ロービングクロス、チョップドマット、サーフェシングマットなどの織布、不織布;繊維の束や塊などが挙げられる。これら繊維基材の中で、寸法安定性の観点からは織布が好ましく、加工性の観点からは不織布が好ましい。
シート状又はフィルム状の複合成形体の厚さは、特に限定されないが、作業性などの観点から、通常、1〜150μm、好ましくは2〜100μm、より好ましくは5〜80μmである。また、複合成形体中の繊維基材の量は、通常、20〜90重量%、好ましくは30〜85重量%である。
本発明の樹脂組成物を、繊維基材に含浸させる方法としては、特に限定されないが、粘度などを調整するために本発明の樹脂組成物に有機溶剤を添加し、有機溶剤を添加した樹脂組成物に繊維基材を浸漬する方法、有機溶剤を添加した樹脂組成物を繊維基材に塗布や散布する方法などが挙げられる。塗布又は散布する方法においては、支持体の上に繊維基材を置いて、これに、有機溶剤を添加した樹脂組成物を塗布又は散布することができる。なお、本発明においては、シート状又はフィルム状の複合成形体としては、上述したシート状又はフィルム状の成形体と同様に、本発明の樹脂組成物が未硬化又は半硬化の状態で含有されていることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物を、繊維基材に含浸させた後、必要に応じて、乾燥を行ってもよい。乾燥温度は、本発明の樹脂組成物が硬化しない程度の温度とすることが好ましく、通常、20〜200℃、好ましくは30〜150℃である。乾燥温度が高すぎると、硬化反応が進行しすぎて、得られる複合成形体が未硬化又は半硬化の状態とならなくなるおそれがある。また、乾燥時間は、通常、30秒間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間である。
そして、このようにして得られる本発明のフィルムは、これを加熱し、硬化させることにより硬化物とすることができる。
硬化温度は、通常、30〜400℃、好ましくは70〜300℃、より好ましくは100〜200℃である。また、硬化時間は、0.1〜5時間、好ましくは0.5〜3時間である。加熱の方法は特に制限されず、例えば電気オーブンなどを用いて行えばよい。
(積層体)
本発明の積層体は、上述した本発明のフィルムを基材に積層してなるものである。本発明の積層体としては、少なくとも、上述した本発明のフィルムを積層してなるものであればよいが、表面に導体層を有する基板と、上述した本発明のフィルムからなる電気絶縁層とを積層してなるものが好ましい。
表面に導体層を有する基板は、電気絶縁性基板の表面に導体層を有するものである。電気絶縁性基板は、公知の電気絶縁材料(たとえば、脂環式オレフィン重合体、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、トリアジン樹脂、ポリフェニルエーテル、ガラス等)を含有する樹脂組成物を硬化して形成されたものである。導体層は、特に限定されないが、通常、導電性金属等の導電体により形成された配線を含む層であって、更に各種の回路を含んでいてもよい。配線や回路の構成、厚み等は、特に限定されない。表面に導体層を有する基板の具体例としては、プリント配線基板、シリコンウェハー基板等を挙げることができる。表面に導体層を有する基板の厚みは、通常、10μm〜10mm、好ましくは20μm〜5mm、より好ましくは30μm〜2mmである。
本発明で用いる表面に導体層を有する基板は、電気絶縁層との密着性を向上させるために、導体層表面に前処理が施されていることが好ましい。前処理の方法としては、公知の技術を、特に限定されず使用することができる。例えば、導体層が銅からなるものであれば、強アルカリ酸化性溶液を導体層表面に接触させて、導体表面に酸化銅の層を形成して粗化する酸化処理方法、導体層表面を先の方法で酸化した後に水素化ホウ素ナトリウム、ホルマリンなどで還元する方法、導体層にめっきを析出させて粗化する方法、導体層に有機酸を接触させて銅の粒界を溶出して粗化する方法、及び導体層にチオール化合物やシラン化合物などによりプライマー層を形成する方法等が挙げられる。これらの内、微細な配線パターンの形状維持の容易性の観点から、導体層に有機酸を接触させて銅の粒界を溶出して粗化する方法、及び、チオール化合物やシラン化合物などによりプライマー層を形成する方法が好ましい。
本発明の積層体は、通常、表面に導体層を有する基板上に、上述した本発明のフィルム(すなわち、本発明の樹脂組成物を、シート状又はフィルム状に成形してなる成形体、又は本発明の樹脂組成物を、繊維基材に含浸させてなる複合成形体)を加熱圧着することにより、製造することができる。
加熱圧着の方法としては、支持体付きの成形体又は複合成形体を、上述した基板の導体層に接するように重ね合わせ、加圧ラミネータ、プレス、真空ラミネータ、真空プレス、ロールラミネータなどの加圧機を使用して加熱圧着(ラミネーション)する方法が挙げられる。加熱加圧することにより、基板表面の導体層と成形体又は複合成形体との界面に空隙が実質的に存在しないように結合させることができる。
加熱圧着操作の温度は、通常、30〜300℃、好ましくは70〜250℃であり、加える圧力は、通常、10kPa〜20MPa、好ましくは100kPa〜10MPaであり、時間は、通常、30秒〜5時間、好ましくは1分〜3時間である。また、加熱圧着は、配線パターンの埋め込み性を向上させ、気泡の発生を抑えるために減圧下で行うのが好ましい。加熱圧着を行う減圧下の圧力は、通常100kPa〜1Pa、好ましくは40kPa〜10Paである。
(硬化物)
本発明の硬化物は、上述した方法により得られる本発明の積層体について、本発明のフィルムを硬化する処理を行なうことで、硬化物とすることができる。硬化は、通常、導体層上に、本発明のフィルムが形成された基板全体を加熱することにより行う。硬化は、上述した加熱圧着操作と同時に行うことができる。また、先ず加熱圧着操作を硬化の起こらない条件、すなわち比較的低温、短時間で行った後、硬化を行ってもよい。
(複合体)
本発明の複合体は、上述した本発明の積層体の電気絶縁層上に、無電解めっきにより、さらに別の導体層を形成してなるものである。以下、本発明の複合体の製造方法を、本発明の複合体の一例としての多層回路基板を例示して、説明する。
まず、積層体に、電気絶縁層を貫通するビアホールやスルーホールを形成する。ビアホールは、多層回路基板とした場合に、多層回路基板を構成する各導体層を連結するために形成される。ビアホールやスルーホールは、フォトリソグラフィ法のような化学的処理により、又は、ドリル、レーザー、プラズマエッチングなどの物理的処理などにより形成することができる。これらの方法の中でもレーザーによる方法(炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー、UV−YAGレーザーなど)は、より微細なビアホールを電気絶縁層の特性を低下させずに形成できるので好ましい。
次に、積層体の電気絶縁層(すなわち、本発明の硬化物)の表面を粗化する表面粗化処理を行う。表面粗化処理は、電気絶縁層上に形成する導電層との接着性を高めるために行う。
電気絶縁層の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下であり、かつ表面十点平均粗さRzjisは、好ましくは5μm未満、より好ましくは3μm以下である。なお、本明細書において、RaはJIS B0601−2001に示される算術平均粗さであり、表面十点平均粗さRzjisは、JIS B0601−2001付属書1に示される十点平均粗さである。
表面粗化処理方法としては、特に限定されないが、電気絶縁層表面と酸化性化合物とを接触させる方法などが挙げられる。酸化性化合物としては、無機酸化性化合物や有機酸化性化合物などの酸化能を有する公知の化合物が挙げられる。電気絶縁層の表面粗度の制御の容易さから、無機酸化性化合物や有機酸化性化合物を用いるのが特に好ましい。無機酸化性化合物としては、過マンガン酸塩、無水クロム酸、重クロム酸塩、クロム酸塩、過硫酸塩、活性二酸化マンガン、四酸化オスミウム、過酸化水素、過よう素酸塩などが挙げられる。有機酸化性化合物としてはジクミルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、m−クロロ過安息香酸、過酢酸、オゾンなどが挙げられる。
無機酸化性化合物や有機酸化性化合物を用いて電気絶縁層表面を表面粗化処理する方法に格別な制限はない。例えば、上記酸化性化合物を溶解可能な溶媒に溶解して調製した酸化性化合物溶液を電気絶縁層表面に接触させる方法が挙げられる。
酸化性化合物溶液を、電気絶縁層の表面に接触させる方法としては、特に限定されないが、たとえば、電気絶縁層を酸化性化合物溶液に浸漬するディップ法、酸化性化合物溶液の表面張力を利用して、酸化性化合物溶液を、電気絶縁層に載せる液盛り法、酸化性化合物溶液を、電気絶縁層に噴霧するスプレー法、などいかなる方法であってもよい。表面粗化処理を行うことにより、電気絶縁層の、導体層など他の層との間の密着性を向上させることができる。
これらの酸化性化合物溶液を電気絶縁層表面に接触させる温度や時間は、酸化性化合物の濃度や種類、接触方法などを考慮して、任意に設定すればよいが、温度は、通常、25〜95℃、好ましくは30〜85℃であり、時間は、通常、0.5〜60分間、好ましくは1〜40分間である。
なお、表面粗化処理後、酸化性化合物を除去するため、表面粗化処理後の電気絶縁層表面を水で洗浄する。また、水だけでは洗浄しきれない物質が付着している場合には、その物質を溶解可能な洗浄液でさらに洗浄したり、他の化合物と接触させたりすることにより水に可溶な物質にしてから水で洗浄する。例えば、過マンガン酸カリウム水溶液や過マンガン酸ナトリウム水溶液などのアルカリ性水溶液を電気絶縁層と接触させた場合は、発生した二酸化マンガンの皮膜を除去する目的で、硫酸ヒドロキシアミンと硫酸との混合液などの酸性水溶液により中和還元処理した後に水で洗浄することができる。
次いで、積層体の電気絶縁層について表面粗化処理を行った後、電気絶縁層の表面及びビアホールやスルーホールの内壁面に、導体層を形成する。導体層の形成方法は、密着性に優れる導体層を形成できるという観点より、無電解めっき法により行なう。
たとえば、無電解めっき法により導体層を形成する際においては、まず、金属薄膜を電気絶縁層の表面に形成させる前に、電気絶縁層上に、銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの触媒核を付着させるのが一般的である。触媒核を電気絶縁層に付着させる方法は特に制限されず、例えば、銀、パラジウム、亜鉛、コバルトなどの金属化合物やこれらの塩や錯体を、水又はアルコールもしくはクロロホルムなどの有機溶剤に0.001〜10重量%の濃度で溶解した液(必要に応じて酸、アルカリ、錯化剤、還元剤などを含有していてもよい。)に浸漬した後、金属を還元する方法などが挙げられる。
無電解めっき法に用いる無電解めっき液としては、公知の自己触媒型の無電解めっき液を用いればよく、めっき液中に含まれる金属種、還元剤種、錯化剤種、水素イオン濃度、溶存酸素濃度などは特に限定されない。例えば、次亜リン酸アンモニウム、次亜リン酸、水素化硼素アンモニウム、ヒドラジン、ホルマリンなどを還元剤とする無電解銅めっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−リンめっき液;ジメチルアミンボランを還元剤とする無電解ニッケル−ホウ素めっき液;無電解パラジウムめっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解パラジウム−リンめっき液;無電解金めっき液;無電解銀めっき液;次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする無電解ニッケル−コバルト−リンめっき液などの無電解めっき液を用いることができる。
金属薄膜を形成した後、基板表面を防錆剤と接触させて防錆処理を施すことができる。また、金属薄膜を形成した後、密着性向上などのため、金属薄膜を加熱することもできる。加熱温度は、通常、50〜250℃、好ましくは80〜200℃である。
このようにして形成された金属薄膜上にめっき用レジストパターンを形成し、更にその上に電解めっきなどの湿式めっきによりめっきを成長させ(厚付けめっき)、次いで、レジストを除去し、更にエッチングにより金属薄膜をパターン状にエッチングして導体層を形成する。従って、この方法により形成される導体層は、通常、パターン状の金属薄膜と、その上に成長させためっきとからなる。
以上のようにして得られた多層回路基板を、上述した積層体を製造するための基板とし、これを上述した成形体又は複合成形体とを加熱圧着し、硬化して電気絶縁層を形成し、さらにこの上に、上述した方法に従い、導電層の形成を行い、これらを繰り返すことにより、更なる多層化を行うことができ、これにより所望の多層回路基板とすることができる。
このようにして得られる本発明の複合体(及び本発明の複合体の一例としての多層回路基板)は、本発明の樹脂組成物からなる電気絶縁層(本発明の硬化物)を有してなり、該電気絶縁層は、配線埋め込み性に優れ、しかも、表面粗度が低く、無電解めっきによる導体層を良好に形成できるものであるため、該電気絶縁層に導体層を形成し、形成した導体層をパターン化し、微細配線を形成した際に、導体層のパターン化を良好に行なうことができるものである。そのため、本発明の複合体(及び本発明の複合体の一例としての多層回路基板)は、各種用途に好適に用いることができる。
(電子材料用基板)
本発明の電子材料用基板は、上述した本発明の硬化物又は複合体からなるものである。このような本発明の硬化物又は複合体からなる本発明の電子材料用基板は、携帯電話機、PHS、ノート型パソコン、PDA(携帯情報端末)、携帯テレビ電話機、パーソナルコンピューター、スーパーコンピューター、サーバー、ルーター、液晶プロジェクタ、エンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャ、ワードプロセッサ、テレビ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置などの各種電子機器に好適に用いることができる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、各例中の部及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。各種の物性については、以下の方法に従って評価した。
(1)フィルム成形性
樹脂組成物を用いてフィルム成形体を形成した際における成形性について、下記の基準で評価した。
○:問題なくフィルム化できた。
×:フィルム状に成形することができなかった。
(2)配線埋め込み性
内層回路基板(IPC MULTI−PURPOSE TESTBOARD No.IPC−B−25、導体厚35μm、0.8mm厚)の両面に、樹脂組成物のフィルム成形体が接するように積層した。具体的には、一次プレスを、耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータにて、200Paの減圧下で温度110℃、圧力0.1MPaで90秒間の加熱圧着で行い、さらに、金属製プレス板を上下に備えた油圧プレス装置を用いて、圧着温度110℃、1MPaで90秒間、加熱圧着することで、積層体を得た。そして、この積層体から支持フィルムを剥がし、180℃で60分間硬化した。硬化後、導体幅165μm、導体間隔165μmのくし型パターン部分の導体がある部分とない部分との段差を触針式段差膜厚計(Tencor Instruments製 P−10)にて測定し、以下の基準で、配線埋め込み性を評価した。
○:段差が4μm未満
×:段差が4μm以上
(3)無電解めっき膜析出性
無電解めっき膜を形成した積層体について、無電解めっきを行った面積に対する、実際に無電解めっき膜が生成した面積の割合(単位は%)を算出することで、無電解めっき膜析出性を算出した。実際に無電解めっき膜が生成した面積の割合が高いほど、無電解めっき膜析出性に優れると評価することができる。
(4)絶縁層と金属層との密着性(ピール強度)
多層プリント配線板における絶縁層と銅めっき層との引き剥がし強さをJIS C6481−1996に準拠して測定した。なお、本実施例では、実施例1のピール強度を100%とした場合における割合を算出し、以下の基準で評価を行った。
○:実施例1のピール強度に対して75%以上
△:実施例1のピール強度に対して50%以上、75%未満
×:実施例1のピール強度に対して50%未満、又は銅めっき面少なく測定不可
(5)絶縁層の表面粗度(算術平均粗さRa)
配線パターン付き多層プリント配線板の導体回路が形成されていない部分における電気絶縁層の表面を、表面形状測定装置(ビーコインスツルメンツ社製、WYKO NT1100)を用いて、測定範囲91μm×120μmで表面粗度(算術平均粗さRa)を測定した。
実施例1
(樹脂組成物)
熱硬化性樹脂(A)としてのビスフェノールA型エポキシ樹脂(「jER 828EL」、三菱化学社製、エポキシ当量184〜194)10部、同じく熱硬化性樹脂(A)としてのジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂(「エピクロン(登録商標) HP7200L」、大日本インキ化学工業社製、エポキシ当量240〜250)10部、同じく熱硬化性樹脂(A)としてのジシクロペンタジエン骨格を有するノボラック型フェノール樹脂(「レヂトップ (登録商標)GDP−6095LR」、群栄化学工業社製、水酸基当量160〜175)10部、オキサゾリン基含有ポリスチレン(「エポクロス(登録商標) RPS−1005」日本触媒社製)5部、表面処理シリカ(B)としてのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカ(「アドマファイン(登録商標) SC2500−SXJ」、アドマテックス社製、平均粒径0.5μm)52部、未処理シリカ(C)としての表面未処理シリカ(「アドマファイン(登録商標) SO−C1」、アドマテックス社製、平均粒径0.25μm)13部、老化防止剤としてのトリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート(「Irganox3114」、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.2部、紫外線吸収剤としての2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール0.1部、及び硬化剤としての1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール0.14部を、アニソールに混合して、配合剤濃度が65%になるように混合することで、樹脂組成物のワニスを得た。
(フィルム成形体の作製)
次いで、上記にて得られた樹脂組成物を、ダイコーターを用いて、厚さが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体:ルミラー(登録商標)T60 東レ社製)上に塗工し、次いで、窒素雰囲気下、80℃で10分間乾燥し、支持体上に厚さ40μmの樹脂組成物のフィルム成形体を得た。得られた樹脂組成物のフィルム成形体について、上記方法に従い、フィルム成形性の測定を行った。結果を表1に示す。
(積層体の作製)
次いで、上記とは別に、ガラスフィラー及びハロゲン不含エポキシ樹脂を含有するワニスをガラス繊維に含浸させて得られたコア材の表面に、厚みが18μmの銅が貼られた、厚み0.8mm、150mm角(縦150mm、横150mm)の両面銅張り基板表面に、配線幅及び配線間距離が50μm、厚みが18μmで、表面が有機酸との接触によってマイクロエッチング処理された導体層を形成して内層基板を得た。
この内層基板の両面に、上記にて得られたフィルム成形体を150mm角に切断したものを、樹脂成形体フィルム面が内側となるようにして貼り合わせた後、一次プレスを行った。一次プレスは、耐熱ゴム製プレス板を上下に備えた真空ラミネータにて、200Paの減圧下で温度110℃、圧力0.1MPaで90秒間の加熱圧着である。さらに、金属製プレス板を上下に備えた油圧プレス装置を用いて、圧着温度110℃、1MPaで90秒間、加熱圧着した。次いで支持体を剥がすことにより、樹脂組成物の樹脂層と内層基板との積層体を得た。さらに積層体を空気雰囲気下、180℃で60分間放置し、樹脂層を硬化させて内層基板上に電気絶縁層を形成した。
(膨潤処理工程)
得られた積層体を、膨潤液(「スウェリング ディップ セキュリガント P」、アトテック社製、「セキュリガント」は登録商標)500mL/L、水酸化ナトリウム3g/Lになるように調製した60℃の水溶液に15分間揺動浸漬した後、水洗した。
(粗化処理工程)
次いで、過マンガン酸塩の水溶液(「コンセントレート コンパクト CP」、アトテック社製)500mL/L、水酸化ナトリウム濃度40g/Lになるように調製した70℃の水溶液に15分間揺動浸漬をした後、水洗した。
(中和還元処理工程)
続いて、硫酸ヒドロキシアミン水溶液(「リダクション セキュリガント P 500、アトテック社製」100mL/L、硫酸35mL/Lになるように調製した40℃ の水溶液に、積層体を5分間浸漬し、中和還元処理をした後、水洗した。
(クリーナー・コンディショナー工程)
次いで、クリーナー・コンディショナー水溶液(「アルカップ MCC−6−A」、上村工業社製)を濃度50mL/Lとなるよう調整した50℃の水溶液に積層体を5分間浸漬し、クリーナー・コンディショナー処理を行った。次いで40℃の水洗水に積層体を1分間浸漬した後、水洗した。
(ソフトエッチング処理工程)
次いで、硫酸濃度100g/L、過硫酸ナトリウム100g/Lとなるように調製した水溶液に積層体を2分間浸漬しソフトエッチング処理を行った後、水洗した。
(酸洗処理工程)
次いで、硫酸濃度100g/Lとなるよう調製した水溶液に積層体を1分間浸漬し酸洗処理を行った後、水洗した。
(触媒付与工程)
次いで、アルカップ アクチベータ MAT−1−A(商品名、上村工業社製)が200mL/L、アルカップ アクチベータ MAT−1−B(上商品名、村工業社製)が30mL/L、水酸化ナトリウムが0.35g/Lになるように調製した60℃のPd塩含有めっき触媒水溶液に積層体を5分間浸漬した後、水洗した。
(活性化工程)
続いて、アルカップレデユーサ− MAB−4−A(商品名、上村工業社製)が20mL/L、アルカップレデユーサ− MAB−4−B(商品名、上村工業社製)が200mL/Lになるように調整した水溶液に積層体を35℃で、3分間浸漬し、めっき触媒を還元処理した後、水洗した。
(アクセレレータ処理工程)
次いで、アルカップ アクセレレーター MEL−3−A(商品名、上村工業社製)が50mL/Lになるように調製した水溶液に積層体を25℃で、1分間浸漬した。
(無電解めっき工程)
このようにして得られた積層体を、スルカップ PEA−6−A(商品名、上村工業社製)100mL/L、スルカップ PEA−6−B−2X(商品名、上村工業社製)50mL/L、スルカップ PEA−6−C(商品名、上村工業社製)14mL/L、スルカップ PEA−6−D(商品名、上村工業社製)15mL/L、スルカップ PEA−6−E(商品名、上村工業社製)50mL/L、37重量%ホルマリン水溶液5mL/Lとなるように調製した無電解銅めっき液に空気を吹き込みながら、温度36℃で、20分間浸漬して無電解銅めっき処理して積層体表面に無電解めっき膜を形成した。そして、無電解めっき膜を形成した積層体について、無電解めっき膜析出性を、上記方法にしたがって評価した。結果を表1に示す。
次いで、無電解めっき膜を形成した積層体を、AT−21(商品名、上村工業社製)が10mL/Lになるよう調製した防錆溶液に室温で1分間浸漬した後、水洗した。さらに、乾燥することで、防錆処理積層体を作製した。この防錆処理が施された積層体を空気雰囲気下において150℃で30分間アニール処理を行った。
アニール処理が施された積層体に、電解銅めっきを施し厚さ30μmの電解銅めっき膜を形成させた。次いで当該積層体を180℃で60分間加熱処理することにより、積層体上に前記金属薄膜層及び電解銅めっき膜からなる導体層で回路を形成した両面2層の多層プリント配線板Aを得た。そして、得られた回路基板のピール強度を、上記方法にしたがって測定した。結果を表1に示す。
また、アニール処理が施された積層体に、市販の感光性レジストのドライフィルムを熱圧着して貼り付け、次いで、このドライフィルム上に評価用パターンのマスクを密着させ露光した後、現像してレジストパターンを得た。次に硫酸50mL/Lの水溶液に25℃で1分間浸漬させ防錆剤を除去し、レジスト非形成部分に電解銅めっきを施し厚さ18μmの電解銅めっき膜を形成させた。その後、積層体上のレジストパターンを、剥離液を用いて除去し、塩化第二鉄と塩酸混合溶液によりエッチング処理を行った。次いで当該積層体を180℃で60分間加熱処理することにより、積層体上に前記金属薄膜層及び電解銅めっき膜からなる導体層で回路を形成した両面2層の配線パターン付き多層プリント配線板Bを得た。得られた配線パターン付き多層プリント配線板Bについて、導体回路が形成されていない部分における電気絶縁層の表面平均粗さRaを、上記方法にしたがって測定した。結果を表1に示す。
実施例2
表面処理シリカ(B)として、平均粒径0.5μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカに代えて、平均粒径2.2μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカを使用した以外には、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及び多層プリント配線板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。なお、実施例2では、平均粒径2.2μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカとして、シリカ(「アドマファイン SO−C6」、アドマテックス社製、平均粒径2.2μm、「アドマファイン」は登録商標)を、アミノ基含有シランカップリング剤で処理したものを使用した。
比較例1
未処理シリカ(C)としての平均粒径0.25μmの表面未処理シリカを使用せず、かつ、表面処理シリカ(B)としての平均粒径0.5μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカの配合量を52部から65部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及び多層プリント配線板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
表面処理シリカ(B)としての平均粒径0.5μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカを使用せず、かつ、未処理シリカ(C)としての平均粒径0.25μmの表面未処理シリカの配合量を13部から65部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、及びフィルム成形体を得たところ、比較例2においては、フィルム成形性に著しく劣り、フィルム状に成形することができなかった。
比較例3
未処理シリカ(C)として、平均粒径0.25μmの表面未処理シリカの代わりに、平均粒径0.5μmの表面未処理シリカ(「アドマファイン SO−C2」、アドマテックス社製、平均粒径0.5μm、「アドマファイン」は登録商標)を使用した以外は、比較例2と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及び多層プリント配線板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
未処理シリカ(C)としての平均粒径0.25μmの表面未処理シリカを使用せず、表面処理シリカ(B)として、平均粒径0.5μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカ52部に加えて、平均粒径0.25μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカ13部を使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及び多層プリント配線板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。なお、比較例4では、平均粒径0.25μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカとして、シリカ(「アドマファイン SO−C1」、アドマテックス社製、平均粒径0.25μm、「アドマファイン」は登録商標)を、アミノ基含有シランカップリング剤で処理したものを使用した(比較例5も同様)。
比較例5
表面処理シリカ(B)として、平均粒径0.5μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカ52部の代わりに、平均粒径0.25μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカ13部を使用し、未処理シリカ(C)として、平均粒径0.25μmの表面未処理シリカ13部の代わりに、平均粒径0.5μmの表面未処理シリカ(「アドマファイン SO−C2」、アドマテックス社製、平均粒径0.5μm、「アドマファイン」は登録商標)52部を使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、フィルム成形体及び多層プリント配線板を得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例6
表面処理シリカ(B)として、平均粒径0.5μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカ52部の代わりに、平均粒径7μmのアミノ基含有シランカップリング剤処理シリカ(溶融シリカ、商品名「エクセリカUF−725」、トクヤマ社製、平均粒径7μm、「エクセリカ」は登録商標)52部を使用し、未処理シリカ(C)として、平均粒径0.25μmの表面未処理シリカ13部の代わりに、平均粒径0.5μmの表面未処理シリカ(「アドマファイン SO−C2」、アドマテックス社製、平均粒径0.5μm、「アドマファイン」は登録商標)13部を使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂組成物のワニス、及びフィルム成形体を得たところ、比較例6においては、フィルム成形性に著しく劣り、フィルム状に成形することができなかった。
Figure 2013010848
表1に示すように、本発明の樹脂組成物を用いることにより、得られる電気絶縁層(樹脂層)を、配線埋め込み性に優れ、表面粗度を小さく抑えながら、無電解めっき膜の析出性に優れたものとすることができ、さらには、絶縁層と金属層との密着性(ピール強度)も良好であった(実施例1,2)。
一方、未処理シリカ(C)を配合しない場合には、表面粗度が著しく低く、無電解めっき膜の析出性に劣り、さらには、絶縁層と金属層との密着性(ピール強度)にも劣る結果となった(比較例1,4)。
平均粒径0.25μmの表面未処理シリカのみを用いた場合には、フィルム成形性に著しく劣るものとなり、フィルム状に成形することができず、各種評価を行うことができなかった(比較例2)。
また、平均粒径0.5μmの表面未処理シリカのみを用いた場合、及び表面未処理シリカとして、表面処理シリカよりも平均粒径が大きなものを用いた場合には、表面粗度が大きくなり、絶縁層と金属層との密着性(ピール強度)に劣る結果となった(比較例3,5)。
さらに、平均粒径が7μmの表面処理シリカを配合した場合には、フィルム成形性に著しく劣るものとなり、フィルム状に成形することができず、各種評価を行うことができなかった(比較例6)。

Claims (9)

  1. 熱硬化性樹脂(A)と、平均粒径が5μm以下であり、前記熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基を有する表面処理剤Xで予め表面処理された球状の表面処理シリカ(B)と、前記表面処理シリカ(B)よりも小さい平均粒径を有し、表面処理剤Xで表面処理がされていない球状の未処理シリカ(C)とを含有してなる樹脂組成物。
  2. 前記熱硬化性樹脂(A)が、エポキシ樹脂を少なくとも含む請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記表面処理シリカ(B)の表面処理剤Xが、前記熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基を有する、シラザン、アルコキシシラン、クロロシラン、オリゴシロキサン、ポリシロキサン、アルコキシチタン、及びオリゴチタネートから選択される少なくとも1つである請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記表面処理シリカ(B)の表面処理剤Xにおける、前記熱硬化性樹脂(A)と反応可能な官能基が、エポキシ基、アミノ基、イミダゾール基及びイソシアネート基から選択される少なくとも1つである請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
  6. 請求項5に記載のフィルムを基材に積層してなる積層体。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物、請求項5に記載のフィルム、又は請求項6に記載の積層体を硬化してなる硬化物。
  8. 請求項7に記載の硬化物の表面に、無電解めっきにより、導体層を形成してなる複合体。
  9. 請求項7に記載の硬化物、又は請求項8に記載の複合体を構成材料として含む電子材料用基板。
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