JP2013010070A - 膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法において、膜面閉塞の少ない高効率な膜面洗浄を行うことができると共に、過大な空気量の散気を伴わない省コストな膜面洗浄方法を提供する。
【解決手段】反応槽内1に浸漬された1つ以上の濾過膜を有する浸漬型膜モジュール3において、散気装置8から散気することによって膜面を洗浄する膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法であって、散気パターンが、N(N≧3の自然数)段の流量ステップを有し、1段目の流量ステップR1からN段目の流量ステップRNの間で、Rmaxを最大流量、Rminを最小流量として(ただし、RmaxおよびRminは、R1、R2、・・・RNのいずれかである。)、周期的に単調な増減を繰り返し行う散気パターンであり、|RN−RN−1|、|RN―1−RN−2|、・・・|R2−R1|のいずれもが0.5×Rmaxよりも小さく、散気パターンの周期Tを10秒以上120秒以下とする。
【選択図】図1
【解決手段】反応槽内1に浸漬された1つ以上の濾過膜を有する浸漬型膜モジュール3において、散気装置8から散気することによって膜面を洗浄する膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法であって、散気パターンが、N(N≧3の自然数)段の流量ステップを有し、1段目の流量ステップR1からN段目の流量ステップRNの間で、Rmaxを最大流量、Rminを最小流量として(ただし、RmaxおよびRminは、R1、R2、・・・RNのいずれかである。)、周期的に単調な増減を繰り返し行う散気パターンであり、|RN−RN−1|、|RN―1−RN−2|、・・・|R2−R1|のいずれもが0.5×Rmaxよりも小さく、散気パターンの周期Tを10秒以上120秒以下とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、活性汚泥を含む微生物含有液を、膜を用いて固液分離する浸漬型膜分離装置に関する。具体的には、下水等の汚水を、活性汚泥処理した後に膜分離処理する、いわゆる膜分離活性汚泥法を用いた廃水処理に関するものである。
廃水処理用の膜の重要性は急速に高まっている。今や周知のように、膜処理は汚水の有効な三次処理として利用することが可能であり、良質の排水を生じさせることが可能である。しかしながら、資本経費及び運転費用が法外に高くなる可能性がある。膜モジュールを大型給水タンクに浸漬させて、膜の濾過側に施される吸引または重力送りによって濾過水を集める水中膜処理の出現によって、生物学的処理と物理的処理を1つの工程に組み合わせる膜型バイオリアクタが、よりコンパクトで、効率よく、経済的になる見込みが生じた。その汎用性のため、膜型バイオリアクタのサイズは家庭用(浄化槽設備のような)から共同体用及び大規模汚水処理用までさまざまな可能性がある。
膜濾過の性能を十分に発揮させるためには、有効で効率的な膜面洗浄方法が必須である。一般に用いられている物理的洗浄方法には、透過液またはガスあるいはそれらの組合せを利用した逆洗(バックパルス、バックフラッシュ)、液体中で気液の形態をなすガスを利用した膜表面スクラビングまたはスカーリングが含まれている。
一般に、ガススカーリングシステムの場合、膜モジュールが浸漬している液体システムに通常ブロワによってガスを注入して、気泡を生じさせる。こうして生じた気泡は、上方に移動して、膜表面のスクラビングを行い、膜表面に形成されたファウリング物質を除去する。発生する剪断力は、気泡初速度、気泡サイズ、及び、気泡にかかる合成力に大きく依存する。スクラビング効果を高めるためには、より多くのガスを供給しなければならない。
しかしながら、この方法は大量のエネルギーを消費し、さらに、固体濃度が高い環境では、ガス供給システムが、脱水された固体によって徐々に詰まったり、あるいは、ガス流が偶発的に停止したりすると簡単に詰まってしまう場合がある。さらに、固体濃度が高い環境では、清浄な濾過水が膜を透過し、固体含有率の高い濃縮水が残される濾過中に、膜表面近くにおける固体濃度分極が顕著になり、膜抵抗の増大をもたらすことになる。これらの問題のいくつかについては、二相流を利用して、膜を洗浄することによって対処された。
間欠的、もしくは低流量から高流量へ急激に気泡を増大させる、間欠式循環エアレーションシステムは、エネルギー消費を軽減し、その一方で膜表面の有効なスクラビングに十分なガスを供給することが求められる(特許文献1参照)。間欠式循環エアレーションシステムは、低流量ステップと高流量ステップの2段階の流量ステップを有し、所定のバルブシステムを制御して高低流量ステップの切り換えを周期的に行う。この場合、低流量ステップから高流量ステップ(又は高流量ステップから低流量ステップ)への急激なシフト効果が、ガス流量のスパイクを生み出し、それに対応する圧力サージを発生させる。この圧力サージ作用と、それに伴うエアリフトの非定常的な過渡流により膜面洗浄効果の向上が期待される。
特許文献1には、2段階の流量ステップからなる間欠式循環エアレーションシステムが開示されているが、流量シフトが低流量ステップから高流量ステップ(又は高流量ステップから低流量ステップ)への単一流量シフトにのみ限定されるため、膜洗浄性が十分でなかった。さらに、低流量ステップから高流量ステップへ急激に気泡を増大させるため、生起される気液二相流の急激なる流量、圧力変化に伴い、膜表面あるいは膜モジュールが傷つきやすいという問題もあった。
本発明の目的は、膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法において、膜面閉塞の少ない高効率な膜面洗浄を行うことができると共に、過大な空気量の散気を伴わない省コストな膜面洗浄方法であり、さらに生起される気液二相流によって膜表面あるいは膜モジュールがダメージを受けない膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法を提供することにある。
前記目的を達成するための本発明の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法は、以下の構成のいずれかからなる。
(1)被処理水が貯留された反応槽内に浸漬された1つ以上の濾過薄膜を有する浸漬型膜モジュールにおいて、浸漬型膜モジュールの下部に設置された散気装置から散気することによって濾過薄膜の膜面を洗浄する膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法であって、散気パターンが、N(N≧3の自然数)段の流量ステップを有し、1段目の流量ステップR1からN段目の流量ステップRNの間で、Rmaxを最大流量、Rminを最小流量として(ただし、RmaxおよびRminは、R1、R2、・・・RNのいずれかである。)、周期的に単調な増減を繰り返し行う散気パターンであり、|RN−RN−1|、|RN―1−RN−2|、・・・|R2−R1|のいずれもが0.5×Rmaxよりも小さく、散気パターンの周期Tが10秒以上120秒以下であることを特徴とする膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法。
(2)散気パターンの周期Tが20秒以上60秒以下である(1)に記載の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法。
(3)流量ステップの段数Nが3以上8以下である(1)または(2)に記載の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法。
(4)流量ステップの段数Nが無限大であり、散気パターンが正弦波で近似されることを特徴とする(1)または(2)に記載の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法。
(5)Rminがガス・オフである(1)〜(4)のいずれかに記載の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法。
本発明の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法を用いれば、散気パターンが、N(N≧3の自然数)段の流量ステップを有するため、間欠式循環エアレーションシステムの2段流量ステップに制約されずに、より多くの圧力サージを発生させることができる。これにより、エアリフトの非定常的な過渡流も促進され、膜面全体に渡って更なる洗浄効果の向上が可能となる。
また、間欠式循環エアレーションシステムの問題であった、「運転経過に伴う膜の傷つき」について本発明は顕著な効果を発揮する。すなわち、間欠式循環エアレーションシステムにおける、低流量ステップRlから高流量ステップRh(又は高流量ステップRhから低流量ステップRl)への過大なるシフト量に比べ、本発明の膜面洗浄方法における、隣り合う単位流量ステップ間のシフト量|RN−RN−1|、|RN―1−RN−2|、・・・|R2−R1|のいずれをも低減させることにより、周期間における最大ガス供給量Rmaxを低減させることなく、相対的に膜表面への負荷を軽減させることが可能となる。
またさらに、1段の流量ステップR1からN段の流量ステップRNの間で、Rmaxを最大流量、Rminを最小流量として、周期的に単調な増減を繰り返し行うため、従来の一定曝気システムに比べ曝気動力を大幅に削減することが可能となる。また、間欠式循環エアレーションシステムと比べても、その周期特性上、同等程度の省エネ効果が見込まれる。
このように、膜表面に寄与する散気のパターンを多段的かつ周期的に可変させることで、より有効なスクラビング処理を施し、洗浄処理のためのエネルギー所要量、かつ膜表面への負荷を最小限に抑えることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、反応槽1には有機性汚水を供給する汚水供給系2が接続しており、反応槽1に浸漬型膜分離装置3を浸漬している。浸漬型膜分離装置3は、複数枚の平板状膜エレメント4をケース5の内部に鉛直方向に沿って配置し、かつ各平板状膜エレメント4を相互に所定間隔をあけて平行に配置したものであり、隣接する平板状膜エレメント4の間に、反応槽1内の活性汚泥混合液をクロスフローで通液する流路を形成している。ケース5は平板状膜エレメント4を収納する上方の膜ケース6と下方の散気ケース7とに分割形成しており、散気ケース7は内部に散気装置8を配置し、散気装置8より噴出するガスの全量が膜ケース6に入り込むように形成している。平板状膜エレメント4は、ABSに代表される樹脂製の濾板の両表面に濾過膜を配置接合し、濾板に形成した透過液流路を透過液導出管9に連通させている。
散気装置8は反応槽1の底部に配置され、粗大気泡または微細気泡を散気する。散気装置8にはブロワ10が接続され、ブロワ10にはインバータ装置11が備えられている。このインバータ装置11により、ブロワ10のモータ回転周波数、すなわちモータ回転速度を連続的かつ自在に制御し、所定ガス量を調整することが可能となる。なお、通常ガスには空気が用いられ、所定のガス量(空気量)は、反応槽1内の活性汚泥処理に必要な最低限の酸素量を供給すると共に、浸漬型膜分離装置3の平板状膜エレメント4の膜面を洗浄するのに効果的なエアリフト作用を生起させるためのものであって、流入する対象汚水の性状及び流入量によって異なるものである。
ここで、インバータ装置11にプログラム運転機能を付随させることにより、パラメータにモータの回転周波数(回転速度)、運転時間等の運転パターンを予め設定させることが可能である。これにより、所定の空気量、フローパターンを自在に調整することができ、したがって、散気パターンが、N(N≧3の自然数)段の流量ステップを有し、1段目の流量ステップR1からN段目の流量ステップRNの間で、Rmaxを最大流量、Rminを最小流量として、周期的に単調な増減を繰り返し行う制御システムを構築することが可能となる。なお、以下においては、R1を最小流量Rmin、RNを最大流量Rmaxとする場合を代表して説明するが、本発明はR1を最大流量Rmax、RNを最小流量Rminとした場合でも同様に適用できるものであるし、R1とRNが最小流量Rmin・最大流量Rmaxとならず、途中の流量ステップで最小流量Rmin・最大流量Rmaxとなる場合であっても、実質的に本発明と同様に流量ステップの周期的に単調な増減を繰り返し行う場合でも、本発明は適用できるものである。なお、インバータ装置11は、特に指定するものではなく、汎用的に使用されるモータ駆動用のインバータが使用される。
また、インバータ装置11について、圧力サージを特に発生させる必要がない、比較的付着物の少ない好適な汚水処理環境においては、流量ステップの段数が無限大であり、散気パターンが正弦波で近似される正弦波インバータの使用が好ましい。正弦波インバータは、モータ制御時に、パルス波形のノイズが発生しにくく、所定の空気量並びに理想の正弦波のフローパターンが得られやすい。なお、ここでの正弦波は余弦波を含むものとする。
なお、散気パターンのN(N≧3の自然数)段の流量ステップ制御について、図1に示すインバータ装置11に特に限定されるものではなく、バルブセットとバルブ制御装置、また、それに付随するタイマ、マイクロプロセッサ、又は、バルブに対して電気的、又は機械的に結合する1つ又はそれ以上のモータである制御装置も使用可能である。
散気装置8は反応槽1内の活性汚泥処理に必要な最低限の酸素量を供給すると共に、浸漬型膜分離装置3の平板状膜エレメント4の膜面を洗浄するのに効果的なエアリフト作用を生起すればよく、粗大気泡装置でもかまわないが、動力コストの観点から微細気泡散気装置がより好適に使用できる。粗大気泡散気装置は、所定口径の大散気孔(口径2〜15mm)が多数形成されてなるものが使用でき、微細気泡散気装置は、微細気泡を発生させることができる散気面を備えた散気装置であれば特に限定されず、所定口径の小散気孔(口径0.5〜2mm)が多数形成されてなるもの、また中心管及び中心管を覆う伸縮により開閉する散気孔が多数形成された弾性シートからなるものなどが使用できる。
また、オプションにより、酸素、塩素ガス、オゾン、窒素、メタン、または、特定の用途に適した任意の他のガスを含むことが可能である。スクラビング及び/またはエアレーションのためには空気が最も経済的である。塩素ガスは、膜表面における化学反応によってスクラビング、消毒、および洗浄効率の向上に用いることが可能である。また、給水タンクが密閉されていて、窒素を補角して再循環させる能力がある場合、窒素を利用することが可能である。
次に上記した構成における作用を、図2を用いて説明する。ブロワ10を、インバータ装置11を介して駆動させ、ガス流の散気パターンが、3段の流量ステップを有し、1段目の流量ステップR1から3段目の流量ステップR3の間で、R1を最小流量、R3を最大流量として周期的に単調な増減を繰り返し行う(低流量ステップR1、中流量ステップR2、高流量ステップR3とする。)。このガス流のエアリフト作用によって生起する気液二相の上昇流が隣接する平板状膜エレメント4の間に流入し、活性汚泥混合液をクロスフローで浸漬型膜分離装置3に供給して固液分離し、上昇流が掃流として浸漬型膜分離装置3の膜面に作用する。
このとき、ガス流の低流量ステップR1から中流量ステップR2、及び中流量ステップR2から高流量ステップR3(又は高流量ステップR3から中流量ステップR2、及び中流量ステップR2から低流量ステップR1)へのシフト作用によるサージ圧力の生起により、従来の一定散気と比べて浸漬型膜分離装置3に流入する気液二相の上昇流量、及び上昇圧力が増大する。このことにより、隣接する平板状膜エレメント4の間の流路に、高い速度エネルギーを持った気泡並びに水流が流入し、効果的なエアリフト作用を生起すると共に、膜表面に付着したケーキを気泡による剪断作用及び衝突作用により高効率に平板状膜エレメント4の膜面を洗浄できる。
また、間欠式循環エアレーションシステムの2段流量ステップ(低流量ステップRl、高流量ステップRh)に比べて、膜面洗浄がより効果的であることを見出した。これはすなわち、サージ圧力の生起による膜面洗浄には、シフト作用の絶対量より、周期T間のシフト回数がより効果的であることを意味する。最大流量ステップ:R3=Rh、最小流量ステップ:R1=Rl、かつ周期Tを同等とした条件において、本発明における3段の流量ステップ制御は、間欠式循環エアレーションシステムの2段流量ステップ制御に比べ、単位シフト時の流量差の絶対値は低減するが、流量ステップ数が1段多くなり、同周期間での単位シフト回数は2回多くなる。この効果は、ガス流のサージ回数の増加に伴い、平板状膜エレメント4の膜面近傍の流れのフローパターンが激しく変化し、反応槽1内により過渡的な流れ状態を形成させることが可能になったためと推定される。
またさらに、間欠式循環エアレーションシステムの2段流量ステップに比べて、膜の傷つきを格段に抑えられることを見出した。すなわち、間欠式循環エアレーションシステムにおける、低流量ステップRlから高流量ステップRh(又は高流量ステップRhから低流量ステップRl)へのシフト量|Rh−Rl|は、少なくともRhの50%を超える過大な流量差があったのに対し、図2における、隣り合う単位流量ステップ間のシフト量|R3−R2|及び|R2−R1|をRmaxの50%未満に低減させることにより、周期間における最大ガス供給量を低減させることなく、相対的に膜表面への負荷を軽減させることが可能となった。
ここで述べる膜表面とは、ABSに代表される樹脂製の濾板と膜を接合する上辺界面部を意味する。間欠式循環エアレーションシステムは、濾過停止時などの無吸引・無減圧期間において、過度な圧力サージに伴い、上辺界面部の膜に屈曲を生じさせやすい。膜の屈曲が過度に生じ続けると、膜の物性疲労に伴い、膜の破断へと進展し、当該部からの濁質混入など処理水質に多大な影響を与える。本発明における膜面洗浄方法については、単位シフト回数を増加させる一方、膜の屈曲に影響する単位シフト量を低減させることが可能であるため、過度な圧力サージを発生させることがなく、すなわち、膜の屈曲、傷つきを軽減することが可能となる。なお、ここでは、平板状膜エレメント4の支持体と膜との接合境界部を例示したが、中空糸膜エレメントのような、接着樹脂、いわゆるポッティング部と膜との接合境界部においても同様の効果が期待される。
ここで、上記した、「膜面洗浄効果」と「運転経過に伴う膜の傷つき」については、N(N≧3の自然数)段の流量ステップ制御における、流量ステップ数Nに深く関係する。「運転経過に伴う膜の傷つき」は、流量ステップ数Nが多ければ多いほど、その効果は発揮され、流量ステップの段数が無限大であり、散気パターンが正弦波で近似される場合において、最良の形態となる。ただし、この場合、流量シフト効果によるサージ圧力が生起されなくなるため、「膜面洗浄効果」は低減してしまう。「膜面洗浄効果」を最大限得るためには、流入する対象汚水の性状及び流入量によって異なるものであるが、流量ステップ数Nは3以上8以下に設定するのが好ましい。
また、周期Tは、反応槽1の深さ、浸漬型膜分離装置3のデザイン、処理パラメータ、及び処理される供給水の条件によって変動し得るが、反応槽1が深さ1メートルと10メートルとの間の一般的な地方自治体用タンクの場合、少なくとも10秒で、120秒以下であることが好ましい。周期Tの長さは、20秒以上60秒以下がより好適である。10秒未満の短い周期は、反応槽1の深さに比べて非常に長い距離を通じて気泡を上昇させるのにその周期が不十分である場合、深い反応槽1中の汚泥水の種々の密度領域を確立するのに十分でないおそれがある。120秒を超える長い周期は、浸漬型膜分離装置3が部分的に長時間気泡を低流量で受ける可能性があり、また旋回流の慣性作用が停止する可能性もあるため、膜面への急激なケーキ付着を引き起こすおそれがある。
なお、ここでの周期Tとは、定期的に同じことが繰り返される事象において、任意のある時点の状態に一度循環して戻るまでの期間、時間のことである。図2の場合、t0から、t1、及びt1からt2を周期Tとする。また、各流量ステップの時間は個々に調整可能であり、上記周期を満足するのであれば、波形パターンは特に限定されず、任意で構わない。
また、最小流量Rminは、特に限定するものではないが、省エネの観点から、条件が許せばガス・オフ状態であることが好ましい。
なお、明らかに、本明細書に記載された洗浄方法は、中空糸膜を使用した浸漬型中空糸膜分離装置のような他の形態の膜にも同様に適用可能である。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
[実施例1・比較例1]
図1の汚水処理装置を2台用いて有機性排水の処理を行った(以下、汚水処理装置A、汚水処理装置B)。この排水処理装置は1台当たり、反応槽1(容積3m3)、及びこれと連通した嫌気槽(図示せず/容積3m3)により構成されている。有機性排水として一般下水(BOD100〜300mg/L)を約30m3/day流入させ、連続的に膜分離活性汚泥処理を行った。浸漬型膜分離装置3には平板状膜エレメント4(PVDF製平膜、孔径0.1μm)が50枚隣接設置されており、透過液導出管9に連通した所定の吸引ポンプ(図示せず)により連続的に処理水を得ている。なお、反応槽1における生物濃度(MLSS)は約10000mg/Lで一定となるように、汚泥の引き抜きを適宜行った。
図1の汚水処理装置を2台用いて有機性排水の処理を行った(以下、汚水処理装置A、汚水処理装置B)。この排水処理装置は1台当たり、反応槽1(容積3m3)、及びこれと連通した嫌気槽(図示せず/容積3m3)により構成されている。有機性排水として一般下水(BOD100〜300mg/L)を約30m3/day流入させ、連続的に膜分離活性汚泥処理を行った。浸漬型膜分離装置3には平板状膜エレメント4(PVDF製平膜、孔径0.1μm)が50枚隣接設置されており、透過液導出管9に連通した所定の吸引ポンプ(図示せず)により連続的に処理水を得ている。なお、反応槽1における生物濃度(MLSS)は約10000mg/Lで一定となるように、汚泥の引き抜きを適宜行った。
膜面洗浄装置Aは、散気装置8(口径1mm孔が多数形成されてなる微細気泡管)、及びブロワ10(定格出力0.75kw、空気量450NL/min、30kPa)と、インバータ装置(汎用インバータ、容量0.75kW、プログラム運転機能付き)から構成される。流量ステップ数を3段(低流量ステップR1:0NL/min、中流量ステップR2:250NL/min、高流量ステップR3:500NL/min)、周期は24秒(低流量ステップR1:8秒(4秒×2)、中流量ステップR2:8秒(4秒×2)、高流量ステップR3:8秒(4秒×2))、に設定し連続運転を行った。
対照系として運転した膜面洗浄装置Bは、散気装置8(口径1mm孔が多数形成されてなる微細気泡管)、及びブロワ10(定格出力0.75kw、空気量450NL/min、30kPa)から構成される。散気量を500NL/min一定に設定し連続運転を行った。試験は各装置2010年5月から2010年8月の約3ヶ月間実施した。なお、平板状膜エレメント4は同性能のものを使用した。
その結果、汚水処理装置Aの全平板状膜エレメント4の膜間差圧(単位:kPa)に大きな上昇は見られず、その平均差圧上昇速度は約0.05kPa/day(フラックス0.6〜1.2m/day)と長期安定運転が可能であった。一方、汚水処理装置Bの全平板状膜エレメント4の膜間差圧(単位:kPa)には上昇がみられ、その平均差圧上昇速度は約1.5kPa/day(フラックス0.6〜1.2m/day)と長期安定運転が不可能であった。
また、消費動力について、汚水処理装置別に積算消費電力より算出したところ、汚水処理装置Aについて、3ヶ月間、総処理水量2700m3(30m3/day×90day)当たり、3768.5kwhであり、原単位当たりの電力使用量は1.40kwh/m3であった。一方、汚水処理装置Bについて、同処理水量当たり、4586.9kwhであり、原単位当たりの電力使用量は1.70kwh/m3であった。
このように、同期間、同汚泥を用いた比較試験を行ったところ、従来の一定散気パターンより、本発明の3段の流量ステップ制御を用いた散気パターンの方が、長期安定運転可能であり、かつ省エネルギーであることが示された。
[実施例2・比較例2]
図1の汚水処理装置を用いて有機性排水の処理を行った。汚水処理装置の構成、及び処理条件については実施例1・比較例1と同様とした。なお、平板状膜エレメント4は同性能のものを使用した。
図1の汚水処理装置を用いて有機性排水の処理を行った。汚水処理装置の構成、及び処理条件については実施例1・比較例1と同様とした。なお、平板状膜エレメント4は同性能のものを使用した。
膜面洗浄装置Aは、散気装置8(口径1mm孔が多数形成されてなる微細気泡管)、及びブロワ10(定格出力0.75kw、空気量450NL/min、30kPa)と、インバータ装置(汎用インバータ、容量0.75kW、プログラム運転機能付き)から構成される。流量ステップ数を6段(流量ステップR1:0NL/min、流量ステップR2:100NL/min、流量ステップR3:200NL/min、流量ステップR4:300NL/min、流量ステップR5:400NL/min、流量ステップR6:500NL/min)、周期は36秒(流量ステップR1:6秒(3秒×2)、流量ステップR2:6秒(3秒×2)、流量ステップR3:6秒(3秒×2)、流量ステップR4:6秒(3秒×2)、流量ステップR5:6秒(3秒×2)、流量ステップR6:6秒(3秒×2))、に設定し連続運転を行った。
対照系として運転した膜面洗浄装置Bは、散気装置8(口径1mm孔が多数形成されてなる微細気泡管)、及びブロワ10(定格出力0.75kw、空気量450NL/min、30kPa)から構成される。間欠式循環エアレーションシステムを模して、ブロワ10をオン・オフ制御により間欠的に曝気を行った。散気量を500NL/min、周期を36秒(オン:18秒、オフ:18秒)に設定し連続運転を行った。試験は各装置2010年11月から2011年1月の3ヶ月間実施した。
その結果、汚水処理装置Aの全平板状膜エレメント4の膜間差圧(単位:kPa)に大きな上昇は見られず、その平均差圧上昇速度は0.07kPa/day(フラックス0.4〜1.2m/day)と長期安定運転が可能であった。一方、汚水処理装置Bの全平板状膜エレメント4の膜間差圧(単位:kPa)には上昇がみられ、その平均差圧上昇速度は0.66kPa/day(フラックス0.4〜1.0m/day)と長期安定運転が不可能であった。
また、汚水処理装置A及び汚水処理装置Bの運転後の各平板状膜エレメントについて、膜の傷つき程度を定量評価するため、上辺界面部の引張り破断強度を測定した。その結果、間欠循環システムを模したオン・オフ制御による間欠式曝気方法(汚水処理装置B)では、初期値に対する引張り破断強度保持率は約87%(初期値:約120N/15mm、運転後:約105N/15mm(各N=15平均値))であったのに対し、本発明の6段の流量ステップ制御を用いた曝気方法(汚水処理装置A)では、同強度保持率は約98%(初期値:約120N/15mm、運転後:約118N/15mm(各N=15平均値))であった。
このように、同期間、同汚泥を用いた比較試験を行ったところ、間欠式循環システムを模したオン・オフ制御による間欠的散気パターンより、本発明の6段の流量ステップ制御を用いた散気パターンの方が、膜表面を傷つけることなく、長期安定運転可能であった。
[実施例3・比較例3]
図1の汚水処理装置を用いて有機性排水の処理を行った。汚水処理装置の構成、及び処理条件については実施例1・比較例1と同様とした。なお、平板状膜エレメント4は同性能のものを使用した。
図1の汚水処理装置を用いて有機性排水の処理を行った。汚水処理装置の構成、及び処理条件については実施例1・比較例1と同様とした。なお、平板状膜エレメント4は同性能のものを使用した。
膜面洗浄装置Aは、散気装置8(口径1mm孔が多数形成されてなる微細気泡管)、及びブロワ10(定格出力0.75kw、空気量450NL/min、30kPa)と、インバータ装置(汎用インバータ、容量0.75kW、プログラム運転機能付き)から構成される。流量ステップ数を3段(低流量ステップR1:0NL/min、中流量ステップR2:250NL/min、高流量ステップR3:500NL/min)、周期は約24秒(低流量ステップR1:8秒(4秒×2)、中流量ステップR2:8秒(4秒×2)、高流量ステップR3:8秒(4秒×2))、に設定し連続運転を行った。
一方、膜面洗浄装置Bは、散気装置8(口径1mm孔が多数形成されてなる微細気泡管)、及びブロワ10(定格出力0.75kw、空気量450NL/min、30kPa)と、インバータ装置(汎用インバータ、容量0.75kW、プログラム運転機能付き)から構成される。流量ステップ数を3段(低流量ステップR1:0NL/min、中流量ステップR2:250NL/min、高流量ステップR3:500NL/min)、周期は150秒(低流量ステップR1:50秒(25秒×2)、中流量ステップR2:50秒(25秒×2)、高流量ステップR3:50秒(25秒×2))、に設定し連続運転を行った。試験は各装置2010年8月から2010年11月の約2.5ヶ月間実施した。
その結果、汚水処理装置Aの全平板状膜エレメント4の膜間差圧(単位:kPa)に大きな上昇は見られず、その平均差圧上昇速度は0.07kPa/day(フラックス0.4〜1.2m/day)と長期安定運転が可能であった。一方、汚水処理装置Bの全平板状膜エレメント4の膜間差圧(単位:kPa)には上昇がみられ、その平均差圧上昇速度は1.05kPa/day(フラックス0.4〜0.75m/day)と長期安定運転が不可能であった。
また、消費動力について、汚水処理装置別に積算消費電力より算出したところ、汚水処理装置Aについて、2.5ヶ月間、総処理水量2250m3(30m3/day×60day)当たり、3286.5kwhであり、原単位当たりの電力使用量は1.46kwh/m3であった。一方、汚水処理装置Bについて、同処理水量当たり、3165.1kwhであり、原単位当たりの電力使用量は1.41kwh/m3であった。
このように、同期間、同汚泥を用いた比較試験を行ったところ、本発明の3段の流量ステップ制御を用いた散気パターンにおいて、周期150秒に比べ周期25秒の方が長期安定運転可能であった。なお、消費電力はほぼ同等であった。
本発明の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法及び膜面洗浄装置は、有機性汚水を含有する下水処理等の分野において利用することができる。
1:反応槽
2:汚水供給系
3:浸漬型膜分離装置
4:平板状膜エレメント
5:ケース
6:膜ケース
7:散気ケース
8:散気装置
9:透過液導出管
10:ブロワ
11:インバータ装置
2:汚水供給系
3:浸漬型膜分離装置
4:平板状膜エレメント
5:ケース
6:膜ケース
7:散気ケース
8:散気装置
9:透過液導出管
10:ブロワ
11:インバータ装置
Claims (5)
- 被処理水が貯留された反応槽内に浸漬された1つ以上の濾過薄膜を有する浸漬型膜モジュールにおいて、浸漬型膜モジュールの下部に設置された散気装置から散気することによって濾過薄膜の膜面を洗浄する膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法であって、散気パターンが、N(N≧3の自然数)段の流量ステップを有し、1段目の流量ステップR1からN段目の流量ステップRNの間で、Rmaxを最大流量、Rminを最小流量として(ただし、RmaxおよびRminは、R1、R2、・・・RNのいずれかである。)、周期的に単調な増減を繰り返し行う散気パターンであり、|RN−RN−1|、|RN―1−RN−2|、・・・|R2−R1|のいずれもが0.5×Rmaxよりも小さく、散気パターンの周期Tが10秒以上120秒以下であることを特徴とする膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法。
- 散気パターンの周期Tが20秒以上60秒以下である請求項1に記載の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法。
- 流量ステップの段数Nが3以上8以下である請求項1または2に記載の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法。
- 流量ステップの段数Nが無限大であり、散気パターンが正弦波で近似されることを特徴とする請求項1または2に記載の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法。
- Rminがガス・オフである請求項1〜4のいずれかに記載の膜分離活性汚泥法の膜面洗浄方法。
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