JP2013007592A - フローセル及び流路チップ - Google Patents
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Abstract
【課題】流路を流れる液体試料に含まれている場合でも、流路のうち光が照射される光学的検査領域に気泡が侵入しないようにする。
【解決手段】フローセル12が、センサーチップ21に密着されるフローセル本体22と、フローセル本体22のセンサーチップ21側の面に凹設され、センサーチップ21によって閉じられることで液体試料流通用の流路30となる溝33と、流路30のうち光が照射される光学的検査領域34の上流側において溝33に設けられ、流路30を流れる液体試料89に含まれる気泡を捕捉する気泡トラップ40と、を備える。
【選択図】図1
【解決手段】フローセル12が、センサーチップ21に密着されるフローセル本体22と、フローセル本体22のセンサーチップ21側の面に凹設され、センサーチップ21によって閉じられることで液体試料流通用の流路30となる溝33と、流路30のうち光が照射される光学的検査領域34の上流側において溝33に設けられ、流路30を流れる液体試料89に含まれる気泡を捕捉する気泡トラップ40と、を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、フローセル及び流路チップに関する。
従来、抗原抗体反応などの生体分子同士の分子間相互作用や、有機高分子同士の分子間相互作用などの結合の測定は、一般的に、放射性物質や蛍光体などの標識を用いることで行われてきた。この標識には手間がかかり、特にタンパク質への標識は方法が煩雑な場合や標識によりタンパク質の性質が変化する場合があった。近年では、生体分子や有機高分子間の結合を、簡便に標識を用いることなく直接的に検出する手段として、光学薄膜の干渉色変化を利用したRIfS方式(Reflectometric interference spectroscopy:反射型干渉分光法)が知られている。
RIfS方式の測定方法では、マイクロ流路チップが用いられる。マイクロ流路チップの内部には、流路が形成されており、その流路の壁面にリガントが結合されている。液体試料をマイクロ流路チップの流路に流通させると、液体試料に含まれるアナライトがリガントに特異的に結合するから、アナライトが堆積してなる光学薄膜が流路の壁面に成長する。そのため、光学薄膜の膜厚が増加して、光学膜厚の光路長が増加するから、光学薄膜に照射された光の反射光の干渉波長も変化する。そこで、反射光の分光強度分布を測定し、ボトムピーク(最低強度)の波長の変化を検出する。時間経過に伴ったボトムピーク波長の変化から分子間相互作用を評価することができる。
マイクロ流路チップは二枚の基板を重ねたものであり、一方の基板に溝が形成されており、その溝が他方の基板によって閉じられることによって、その溝が流路となる。一方の基板をフローセルといい、フローセルには溝が形成されている。もう一方の基板をセンサーチップといい、センサーチップには光学薄膜が成膜されているとともに、その光学薄膜にリガントが結合されている。
ところで、マイクロ流路チップの流路に気泡が混入すると、反射光の分光強度分布を正確に測定することができない。特許文献1,2には、流路内の気泡の除去を目的とした発明が記載されている。
特許文献1には、流路内の気泡の発生を抑制するべく、流路に流す液体試料の速度を最適化した送液方法が提案されている。
特許文献2には、流路から気泡を脱気するマイクロ流路チップが提案されている。具体的には、親水性薄膜層(202)が第一基板(201)の表面に成膜され、撥水性粒子層(203)が親水性薄膜層(202)上に成膜され、流路となる溝(21)が撥水性微粒子層(203)に形成されて、親水性薄膜層(202)が溝(21)の底で露出し、第二基板(12)が撥水性粒子層(203)の上に積み重ねられ、第二基板(12)と撥水性粒子層(203)の間に隙間が形成されている。特許文献2に記載によれば、溝(21)を流れる液体試料に含まれる気泡が撥水性粒子層(203)によって隙間に逃げるとされている。
特許文献1には、流路内の気泡の発生を抑制するべく、流路に流す液体試料の速度を最適化した送液方法が提案されている。
特許文献2には、流路から気泡を脱気するマイクロ流路チップが提案されている。具体的には、親水性薄膜層(202)が第一基板(201)の表面に成膜され、撥水性粒子層(203)が親水性薄膜層(202)上に成膜され、流路となる溝(21)が撥水性微粒子層(203)に形成されて、親水性薄膜層(202)が溝(21)の底で露出し、第二基板(12)が撥水性粒子層(203)の上に積み重ねられ、第二基板(12)と撥水性粒子層(203)の間に隙間が形成されている。特許文献2に記載によれば、溝(21)を流れる液体試料に含まれる気泡が撥水性粒子層(203)によって隙間に逃げるとされている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法で液体試料を送液したものとしても、気泡の発生を完全に抑えることができず、気泡が発生した後の対応策は採用されていない。
一方、特許文献2に記載の技術では、元々隙間が空洞となって、その隙間に気体が存在するから、液体試料に含まれる気泡は隙間に逃げることができず、気泡が液体試料とともに流れてしまう。
一方、特許文献2に記載の技術では、元々隙間が空洞となって、その隙間に気体が存在するから、液体試料に含まれる気泡は隙間に逃げることができず、気泡が液体試料とともに流れてしまう。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、流路を流れる液体試料に含まれている場合でも、流路のうち光が照射される光学的検査領域に気泡が侵入しないようにすることである。
以上の課題を解決するための請求項1に係る発明は、基板に密着されるフローセル本体と、前記フローセル本体の前記基板側の面に凹設され、前記基板によって閉じられることで液体試料流通用の流路となる溝と、前記流路のうち光が照射される光学的検査領域の上流側において前記溝に設けられ、前記流路を流れる前記液体試料に含まれる気泡を捕捉する気泡トラップと、を備えるフローセルである。
請求項2に係る発明は、前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記溝の底に形成された一又は複数の気泡捕捉溝を有する、請求項1に記載のフローセルである。
請求項3に係る発明は、前記気泡捕捉溝が前記液体試料の流れの向きに対して交差する方向に延在するよう前記溝の底に形成されている、請求項2に記載のフローセルである。
請求項4に係る発明は、前記気泡捕捉溝が前記溝を幅方向に横切るように前記溝の底に形成されている、請求項3に記載のフローセルである。
請求項5に係る発明は、前記気泡捕捉溝の延在方向に直交する断面における前記気泡捕捉溝の形状が三角形である、請求項3又は4に記載のフローセルである。
請求項6に係る発明は、前記気泡捕捉溝の上流側内面が前記液体試料の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜している、請求項5に記載のフローセルである。
請求項7に係る発明は、前記気泡捕捉溝の下流側内面が前記液体試料の流れの向きに対して垂直である、請求項5又は6に記載のフローセルである。
請求項8に係る発明は、前記気泡捕捉溝の下流側内面が前記液体試料の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜している、請求項5又は6に記載のフローセルである。
請求項9に係る発明は、前記気泡捕捉溝の数が複数であり、前記気泡トラップが、前記気泡捕捉溝のそれぞれの下流側において前記溝の底に形成され、前記液体試料の流れる向きへ段階的に浅くなるよう階段状に設けられた複数の段面を更に有する、請求項3から8の何れか一項に記載のフローセルである。
請求項10に係る発明は、前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記溝の底に形成され、前記液体試料の流れる向きへ段階的に浅くなるよう階段状に設けられた複数の段面を有する、請求項1に記載のフローセルである。
請求項11に係る発明は、前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記溝に設けられたメッシュを有する、請求項1に記載のフローセルである。
請求項12に係る発明は、前記メッシュが親水化処理された、請求項11に記載のフローセルである。
請求項13に係る発明は、請求項1から12の何れか一項に記載のフローセルと、
前記基板と、を備え、前記フローセル本体の前記溝が形成された面が前記基板に対向し、前記フローセル本体が前記基板の鉛直方向上から前記基板に重ねられて前記基板に密着された、流路チップである。
前記基板と、を備え、前記フローセル本体の前記溝が形成された面が前記基板に対向し、前記フローセル本体が前記基板の鉛直方向上から前記基板に重ねられて前記基板に密着された、流路チップである。
請求項14に係る発明は、チップ本体と、前記チップ本体の内部に形成された液体試料流通用の流路と、前記流路のうち光が照射される光学的検査領域の上流側において前記流路に設けられ、前記流路を流れる前記液体試料に含まれる気泡を捕捉する気泡トラップと、を備える流路チップである。
請求項15に係る発明は、前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記流路の天井に形成された一又は複数の気泡捕捉溝を有する、請求項14に記載の流路チップである。
請求項16に係る発明は、前記気泡捕捉溝が前記液体試料の流れの向きに対して交差する方向に延在するよう前記流路の天井に形成されている、請求項15に記載の流路チップである。
請求項17に係る発明は、前記気泡捕捉溝が前記流路を幅方向に横切るように前記流路の天井に形成されている、請求項16に記載の流路チップである。
請求項18に係る発明は、前記気泡捕捉溝の延在方向に直交する断面における前記気泡捕捉溝の形状が三角形である、請求項16又は17に記載の流路チップである。
請求項19に係る発明は、前記気泡捕捉溝の上流側内面が前記液体試料の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜している、請求項18に記載の流路チップである。
請求項20に係る発明は、前記気泡捕捉溝の下流側内面が前記液体試料の流れの向きに対して垂直である、請求項18又は19に記載の流路チップである。
請求項21に係る発明は、前記気泡捕捉溝の下流側内面が前記液体試料の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜している、請求項18又は19に記載の流路チップである。
請求項22に係る発明は、前記気泡捕捉溝の数が複数であり、前記気泡トラップが、前記気泡捕捉溝のそれぞれの下流側において前記流路の天井に形成され、前記液体試料の流れる向きへ段階的に低くなるよう段状に設けられた複数の段面を更に有する、請求項16から21の何れか一項に記載の流路チップである。
請求項23に係る発明は、前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記流路の天井に形成され、前記液体試料の流れる向きへ段階的に低くなるよう段状に設けられた複数の段面を有する、請求項14に記載の流路チップである。
請求項24に係る発明は、前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記流路に設けられたメッシュを有する、請求項14に記載の流路チップである。
請求項25に係る発明は、前記メッシュが親水化処理された、請求項24に記載の流路チップである。
本発明によれば、光学的検査領域の上流側に設けられた気泡トラップによって気泡が捕捉されるから、気泡が光学的検査領域に侵入することを防止することができる。よって、正確な光学的な検査を行うことができる。
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1は、流路チップ10の使用状態を示す模式図である。図1に示すように、流路チップ10は、測定装置1にセッティングされて用いられる。測定装置1は、流路チップ10、光源80、分光器81、光ファイバー82,83、試料供給部84及びテーブル88等を有する。テーブル88の上には、流路チップ10が載置される。試料供給部84は、テーブル88の上方に設けられているとともに、テーブル88に対して接離する。試料供給部84には、流路チップ10に接続して液体試料89を流通させるための射出口85及び吸引口86が設けられている。更に、試料供給部84には、流路チップ10に対して光を投光・受光するための測定窓87が設けられている。光ファイバー82の一方の端部は、光源80に接続されている。光ファイバー82の他方の端部は、試料供給部84に接続されて、測定窓87に面している。光ファイバー83の一方の端部は、試料供給部84に接続されて、測定窓87に面している。光ファイバー83の他方の端部は、分光器81に接続されている。
流路チップ10をテーブル88上に載置し、試料供給部84をテーブル88に近づけて、流路チップ10を試料供給部84とテーブル88の間に挟み込む。そうすると、測定窓87が流路チップ10の上面に対向し、射出口85及び吸引口86が流路チップ10の内部流路に連通する。
流路チップ10は、板状のチップ本体20と、チップ本体20の内部に形成された流路30と、流路30に設けられ、流路30を流れる液体試料89に含まれる気泡を捕捉する気泡トラップ40と、を備える。
流路30の一端部が流入口31としてチップ本体20の上面において開口し、流路30の他端部が流出口32としてチップ本体20の上面において開口している。流路チップ10が試料供給部84とテーブル88の間に挟まれると、射出口85が流入口31に接続され、流出口32が吸引口86に接続される。射出口85から射出された液体試料89が流入口31に流れ込むと、その液体試料89が流路30の流入口31から流出口32へ流通して、液体試料89が流出口32から吸引口86に流れ込む。流路30の内壁には、リガンド90が形成されており、液体試料89に含まれるアナライト89aが特異的に結合する。アナライト89aは、例えば、例えばタンパク質、核酸、脂質及び糖などの生体分子や、生体分子と結合する外来物質(例えば、薬剤物質、内分泌錯乱化学物質)等である。なお、液体試料89にアナライトが含まれていないこともある。
液体試料89が流通していると、アナライト89aがリガンド90に結合するから、光学膜が光学薄膜21bの上に成長していく。光学膜の厚さが変化すると、光学膜の光路長が変化するから、光ファイバー82から出射された光の反射光の干渉波長が変化する。反射光の波長ごとの強度分布(スペクトル)が分光器81によって所定期間測定され、干渉波長の変化量が分光器81の測定結果から算出される。その変化量から分子間相互作用を評価することができる。
気泡トラップ40は、流入口31と流出口32の間において流路30に設けられている。気泡トラップ40が設けられた位置は、流路30のうち、測定窓87に対向する部分(以下、光学的検査領域34という。)よりも流入口31側(上流側)である。光学的検査領域34は、測定窓87から出射された光が照射される領域である。
図2は、流路チップ10の縦断面図である。図2に示すように、チップ本体20は、矩形薄板状を呈した基板であるセンサーチップ21と、センサーチップ21に積み重ねられて、センサーチップ21に密着するフローセル本体22と、を有する。図1に示すように、流路チップ10(チップ本体20)をテーブル88上に載置する際には、センサーチップ21を下にし、フローセル本体22を上にする。ここでいう「下」とは、重力の働く向きであり、「上」とは、その反対向きである。
図2に示すように、センサーチップ21はシリコン基板21a及び光学薄膜21bを有する。シリコン基板21aが、シリコンからなるとともに、矩形薄板状を呈している。なお、シリコン基板21aの代わりに他の素材の基板を用いてもよい。
光学薄膜21bは、シリコン基板21a上に成膜されている。光学薄膜21bは、例えば窒化シリコンからなり、気相成長法(例えば、蒸着法)によってシリコン基板21a上に成長したものである。光学薄膜21b上には、リガンド90が結合されている(図1参照)。なお、光学薄膜21bは他の素材からなるものとしてもよい。
センサーチップ21の両面のうち、光学薄膜21bによってコーティングされた面にフローセル本体22が密着される。フローセル本体22はセンサーチップ21から剥離可能であり、フローセル本体22はディスポーザブル(使い捨て)使用が可能となっており、フローセル本体22を新たなフローセル本体に貼り替え可能となっている。センサーチップ21の表面がシランカップリング剤等によって表面装飾され、センサーチップ21からフローセル本体22の剥離が容易になっている。
図3は、フローセル12の平面図である。なお、図2は、図3に示されたII−IIに沿った断面を示す。
図2及び図3に示すように、フローセル本体22は、フローセル12の本体であって、薄板状の透明板である。フローセル本体22は、シリコーンゴムからなり、ゴム弾性を有する。フローセル本体22には、溝33が形成されている。溝33が形成された面がセンサーチップ21に密着される。溝33の長手方向両端部において流入口31及び流出口32がフローセル本体22を溝33の底33aから反対側の面まで貫通している。フローセル本体22、溝33、流入口31及び流出口32は、射出成形法、特にインモールド成形法によって成型される。
溝33が形成された面を光学薄膜21bが形成された面に向けて、フローセル本体22をセンサーチップ21に密着させる。そうすると、溝33がセンサーチップ21によって閉じられ、流路30が形成されるとともに、チップ本体20が組まれる。流路30を流れる液体試料89の流れの向きは、溝33の長手方向となる。流路30を流れる液体試料89の流れの向きは、図2及び図3に示す矢印の向きである。
気泡トラップ40は、光学的検査領域34の上流側において溝33に設けられている。気泡トラップ40の幾つかの具体例について説明する。
〔気泡トラップの具体的な構成(1)〕
気泡トラップ40は、複数の気泡捕捉溝41,…を有する。なお、気泡捕捉溝41の数が単数でもよい。
気泡トラップ40は、複数の気泡捕捉溝41,…を有する。なお、気泡捕捉溝41の数が単数でもよい。
気泡捕捉溝41,…は、光学的検査領域34の上流側において溝33の底33aに凹設されている。気泡捕捉溝41,…は、溝33の長手方向、つまり液体試料89の流れの向きに並設されている。気泡捕捉溝41,…は、溝33の長手方向(液体試料89の流れの向き)に対して交差する方向に延在している。具体的には、気泡捕捉溝41,…は、溝33を幅方向に横切るよう溝33の底33aに形成されている。
気泡捕捉溝41,…の延在方向(溝33の幅方向)に直交する断面における気泡捕捉溝41の形状が三角形である。気泡捕捉溝41,…の上流側の内面41aは、液体試料89の流れの向き(溝33の長手方向)に直交する面に対して下流側に傾斜している。気泡捕捉溝41,…の下流側の内面41bは、液体試料89の流れの向きに対して垂直であるか、又は液体試料89の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜している。
気泡捕捉溝41,…は深さが互いに等しい。なお、これらの気泡捕捉溝41,…の中に深さの異なるものが1つ以上あってもよいし、全ての気泡捕捉溝41,…の深さが相違していてもよい。
センサーチップ21を鉛直方向の下にし、フローセル本体22を鉛直方向の上にして、チップ本体20がテーブル88の上に載置されているから、溝33が形成された面が下向きになり、気泡捕捉溝41,…が形成された溝33の底33aが流路30の天井になる。
液体試料89が流路30を上流から下流へ流れている際に、液体試料89に含まれる気泡が浮力によって気泡捕捉溝41,…に入り込む。これにより、気泡が気泡捕捉溝41,…に捕捉される。気泡捕捉溝41,…の上流側内面41aが液体試料89の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜しているから、液体試料89に含まれる気泡が気泡捕捉溝41,…入り込みやすい。そのため、気泡の捕捉効率が向上し、特に、液体試料89の流速が速い場合でも、効率的に気泡を捕捉することができる。
また、気泡捕捉溝41,…の下流側内面41bが液体試料89の流れの向きに対して垂直であるから、気泡捕捉溝41,…に入り込んだ気泡が気泡捕捉溝41から溢れ出にくい。よって、気泡の捕捉効率が向上する。気泡捕捉溝41,…の下流側内面41bが液体試料89の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜している場合でも、同様である。
気泡が光学的検査領域34の上流側で気泡捕捉溝41,…に捕捉されるから、流路30内の気泡が光学的検査領域34に侵入することを防止することができる。よって、分光器81によって測定された波長ごとの強度分布にノイズが発生せず、正確な測定を行うことができる。
気泡捕捉溝41,…というシンプルな構造で気泡を捕捉することができるから、流路チップ10やフローセル12の製造コストが高くならない。
なお、気泡捕捉溝41,…の断面形状は三角型でなくてもよい。但し、気泡捕捉溝41,…の断面形状は、成型性と気泡捕捉効率の観点から三角型であることが好ましい。
〔気泡トラップの具体的な構成(2)〕
図4は、流路チップ10の縦断面図である。図4に示すように、気泡トラップ40は、気泡捕捉溝41,…に加えて、溝33の底33aに形成された段面42,…を有する。段面42,…が気泡捕捉溝41,…のそれぞれの下流側に配置されて、段面42,…と気泡捕捉溝41が液体試料89の流れる向きへ交互に配列されている。段面42,…は、液体試料89の流れる向きへ段階的に浅くなるよう階段状に設けられている。また、段面42,…が流路30の天井に形成されているから、段面42,…は、液体試料89の流れる向きへ段階的に低くなるよう段状に設けられていることになる。なお、気泡捕捉溝41,…については、図2及び図3に示す場合と同様である。
図4は、流路チップ10の縦断面図である。図4に示すように、気泡トラップ40は、気泡捕捉溝41,…に加えて、溝33の底33aに形成された段面42,…を有する。段面42,…が気泡捕捉溝41,…のそれぞれの下流側に配置されて、段面42,…と気泡捕捉溝41が液体試料89の流れる向きへ交互に配列されている。段面42,…は、液体試料89の流れる向きへ段階的に浅くなるよう階段状に設けられている。また、段面42,…が流路30の天井に形成されているから、段面42,…は、液体試料89の流れる向きへ段階的に低くなるよう段状に設けられていることになる。なお、気泡捕捉溝41,…については、図2及び図3に示す場合と同様である。
段面42,…が階段状に設けられているから、気泡捕捉溝41の下流側内面41bが上流側内面41aよりも突き出たようになっている。そのため、液体試料89に含まれる気泡が気泡捕捉溝41,…により入り込み易く、気泡捕捉溝41,…に入り込んだ気泡が気泡捕捉溝41,…からより溢れ出にくい。よって、気泡捕捉効率が非常に高い。
〔気泡トラップの具体的な構成(3)〕
図5は、フローセル12の平面図であり、図6は、図5に示されたVI−VIに沿った断面を示した流路チップ10の断面図である。図5及び図6に示すように、気泡トラップ40は、光学的検査領域34の上流側において溝33の底33aに形成された段面42,…を有する。段面42,…は、液体試料89の流れる向きへ段階的に浅くなるよう階段状に設けられている。段面42,…の間には立壁43,…が形成され、立壁43,…が液体試料89の流れる向きの反対を向いている。段面42,…が流路30の天井に形成されているから、段面42,…は液体試料89の流れる向きへ段階的に低くなるよう段状に設けられていることになる。
図5は、フローセル12の平面図であり、図6は、図5に示されたVI−VIに沿った断面を示した流路チップ10の断面図である。図5及び図6に示すように、気泡トラップ40は、光学的検査領域34の上流側において溝33の底33aに形成された段面42,…を有する。段面42,…は、液体試料89の流れる向きへ段階的に浅くなるよう階段状に設けられている。段面42,…の間には立壁43,…が形成され、立壁43,…が液体試料89の流れる向きの反対を向いている。段面42,…が流路30の天井に形成されているから、段面42,…は液体試料89の流れる向きへ段階的に低くなるよう段状に設けられていることになる。
段面42,…が階段状に設けられているから、液体試料89に含まれる気泡の流れが立壁43,…によって阻害され、流路30内の気泡が段面42,…及び立壁43に捕捉される。特に、段面42,…及び立壁43が流路30の天井に形成されているから、液体試料89に含まれる気泡がその浮力によって段面42,…及び立壁43に捕捉される。よって、流路30内の気泡が光学的検査領域34に侵入することを防止することができる。
〔気泡トラップの具体的な構成(4)〕
図7は、フローセル12の平面図であり、図8は、図6に示されたVIII−VIIIに沿った段面を示した流路チップ10の断面図である。図7及び図8に示すように、気泡トラップ40は、光学的検査領域34の上流側において溝33に設けられたメッシュ45を有する。メッシュ45は、金網であってもよいし、樹脂製の網であってもよい。メッシュ45は、平織(Plain Weave)、綾織(Twilled Weave)、平畳織(Plain Dutch Weave)、綾畳織(Twilled Dutch Weave)その他の織物である。なお、メッシュ45は、多数の微小貫通孔が穿孔された多孔シート又は多孔薄板であってもよい。
図7は、フローセル12の平面図であり、図8は、図6に示されたVIII−VIIIに沿った段面を示した流路チップ10の断面図である。図7及び図8に示すように、気泡トラップ40は、光学的検査領域34の上流側において溝33に設けられたメッシュ45を有する。メッシュ45は、金網であってもよいし、樹脂製の網であってもよい。メッシュ45は、平織(Plain Weave)、綾織(Twilled Weave)、平畳織(Plain Dutch Weave)、綾畳織(Twilled Dutch Weave)その他の織物である。なお、メッシュ45は、多数の微小貫通孔が穿孔された多孔シート又は多孔薄板であってもよい。
図8に示すように、光学的検査領域34の上流側において、係合窪み33b,33bが溝33の両側壁に形成され、メッシュ45の両側部が係合窪み33b,33bに差し込まれ、メッシュ45が溝33の底33aに対して立てられている。メッシュ45の高さは溝33の深さに等しく、流路30がメッシュ45によって上流側と下流側に仕切られている。メッシュ45は、例えばエキシマレーザー照射処理又はプラズマ処理によって親水化処理されたものである。
液体試料89が上流から下流へメッシュ45を通過して、流路30を流れる。液体試料89に含まれる気泡はメッシュ45を通過せずに、メッシュ45によって捕捉される。特に、気泡が疎水性であるため、メッシュ45が親水性処理されているから、気泡がメッシュ45に捕捉されやすい。
また、メッシュ45が親水性処理されていると、液体試料89に含まれる組成成分(例えば、タンパク質)がメッシュ45に非特異吸着しにくい。よって、メッシュ45の目詰まりが防止される。
なお、メッシュ45がアセンブリーによって溝33に組み込まれるものとしたが、メッシュ45がフローセル本体22に一体成型されたものでもよい。また、図8の場合、センサーチップ21がフローセル本体22の鉛直方向上側になるように、流路チップ10を上下の向きを変えてもよい。
本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、溝33が直線状であったが、曲線状に曲げられていてもよい。
また、上述の説明では、図1に示すように、光ファイバー83の一端部が試料供給部84に接続されていた。それに対して、光ファイバー83の一端部がテーブル88に接続されてテーブル88の上面に面していてもよい。その場合、光学的検査領域34を透過した光のスペクトルが分光器81によって測定される。
例えば、溝33が直線状であったが、曲線状に曲げられていてもよい。
また、上述の説明では、図1に示すように、光ファイバー83の一端部が試料供給部84に接続されていた。それに対して、光ファイバー83の一端部がテーブル88に接続されてテーブル88の上面に面していてもよい。その場合、光学的検査領域34を透過した光のスペクトルが分光器81によって測定される。
20 チップ本体
21 センサーチップ(基板)
22 フローセル本体
30 流路
33 溝
33a 溝の底
34 光学的検査領域
40 気泡トラップ
41 気泡補足溝
41a 上流側の内面
41b 下流側の内面
42 段面
45 メッシュ
89 液体試料
21 センサーチップ(基板)
22 フローセル本体
30 流路
33 溝
33a 溝の底
34 光学的検査領域
40 気泡トラップ
41 気泡補足溝
41a 上流側の内面
41b 下流側の内面
42 段面
45 メッシュ
89 液体試料
Claims (25)
- 基板に密着されるフローセル本体と、
前記フローセル本体の前記基板側の面に凹設され、前記基板によって閉じられることで液体試料流通用の流路となる溝と、
前記流路のうち光が照射される光学的検査領域の上流側において前記溝に設けられ、前記流路を流れる前記液体試料に含まれる気泡を捕捉する気泡トラップと、を備えるフローセル。 - 前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記溝の底に形成された一又は複数の気泡捕捉溝を有する、請求項1に記載のフローセル。
- 前記気泡捕捉溝が前記液体試料の流れの向きに対して交差する方向に延在するよう前記溝の底に形成されている、請求項2に記載のフローセル。
- 前記気泡捕捉溝が前記溝を幅方向に横切るように前記溝の底に形成されている、請求項3に記載のフローセル。
- 前記気泡捕捉溝の延在方向に直交する断面における前記気泡捕捉溝の形状が三角形である、請求項3又は4に記載のフローセル。
- 前記気泡捕捉溝の上流側内面が前記液体試料の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜している、請求項5に記載のフローセル。
- 前記気泡捕捉溝の下流側内面が前記液体試料の流れの向きに対して垂直である、請求項5又は6に記載のフローセル。
- 前記気泡捕捉溝の下流側内面が前記液体試料の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜している、請求項5又は6に記載のフローセル。
- 前記気泡捕捉溝の数が複数であり、
前記気泡トラップが、前記気泡捕捉溝のそれぞれの下流側において前記溝の底に形成され、前記液体試料の流れる向きへ段階的に浅くなるよう階段状に設けられた複数の段面を更に有する、請求項3から8の何れか一項に記載のフローセル。 - 前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記溝の底に形成され、前記液体試料の流れる向きへ段階的に浅くなるよう階段状に設けられた複数の段面を有する、請求項1に記載のフローセル。
- 前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記溝に設けられたメッシュを有する、請求項1に記載のフローセル。
- 前記メッシュが親水化処理された、請求項11に記載のフローセル。
- 請求項1から12の何れか一項に記載のフローセルと、
前記基板と、を備え、
前記フローセル本体の前記溝が形成された面が前記基板に対向し、前記フローセル本体が前記基板の鉛直方向上から前記基板に重ねられて前記基板に密着された、流路チップ。 - チップ本体と、
前記チップ本体の内部に形成された液体試料流通用の流路と、
前記流路のうち光が照射される光学的検査領域の上流側において前記流路に設けられ、前記流路を流れる前記液体試料に含まれる気泡を捕捉する気泡トラップと、を備える流路チップ。 - 前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記流路の天井に形成された一又は複数の気泡捕捉溝を有する、請求項14に記載の流路チップ。
- 前記気泡捕捉溝が前記液体試料の流れの向きに対して交差する方向に延在するよう前記流路の天井に形成されている、請求項15に記載の流路チップ。
- 前記気泡捕捉溝が前記流路を幅方向に横切るように前記流路の天井に形成されている、請求項16に記載の流路チップ。
- 前記気泡捕捉溝の延在方向に直交する断面における前記気泡捕捉溝の形状が三角形である、請求項16又は17に記載の流路チップ。
- 前記気泡捕捉溝の上流側内面が前記液体試料の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜している、請求項18に記載の流路チップ。
- 前記気泡捕捉溝の下流側内面が前記液体試料の流れの向きに対して垂直である、請求項18又は19に記載の流路チップ。
- 前記気泡捕捉溝の下流側内面が前記液体試料の流れの向きに直交する面に対して下流側に傾斜している、請求項18又は19に記載の流路チップ。
- 前記気泡捕捉溝の数が複数であり、
前記気泡トラップが、前記気泡捕捉溝のそれぞれの下流側において前記流路の天井に形成され、前記液体試料の流れる向きへ段階的に低くなるよう段状に設けられた複数の段面を更に有する、請求項16から21の何れか一項に記載の流路チップ。 - 前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記流路の天井に形成され、前記液体試料の流れる向きへ段階的に低くなるよう段状に設けられた複数の段面を有する、請求項14に記載の流路チップ。
- 前記気泡トラップが、前記光学的検査領域の上流側において前記流路に設けられたメッシュを有する、請求項14に記載の流路チップ。
- 前記メッシュが親水化処理された、請求項24に記載の流路チップ。
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JP2011139069A JP2013007592A (ja) | 2011-06-23 | 2011-06-23 | フローセル及び流路チップ |
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-
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- 2011-06-23 JP JP2011139069A patent/JP2013007592A/ja not_active Withdrawn
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