JP2013007294A - ローリングピストン型圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】円周方向漏れを低減し、圧縮機効率を向上させた、クランク部を片持ち支持するローリングピストン型圧縮機を提供する。
【解決手段】クランク部を片持ち支持するローリングピストン型圧縮機において、前記ロータ(8)を前記シリンダ(3)に押付けるように、前記従動ピン中心軸(O2)回りのモーメントを前記クランク部(7a)に作用させるアンバランス質量を設けたことを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、ローリングピストン型圧縮機の公転駆動するクランク部を、従動ピンを介して別体構成としたローリングピストン型圧縮機に関する。
ローリングピストン型圧縮機は、特許文献1に見られるように、従来技術としてよく知られている。図1(a)は、特許文献1のローリングピストン型圧縮機の正面断面図であり、(b)は平面断面図である。この特許文献1のローリングピストン型圧縮機は次のようなものである。
本体ケーシング1の上部にモータ2を内装し、モータ2の下方位置に、シリンダ3、フロントヘッド4、リアヘッド5からなる圧縮要素6を内装している。フロントヘッド4、リアヘッド5には、それぞれ軸受筒4a、5aを形成し、これらに、クランクシャフト7を軸受支持している。クランクシャフト7の上部はモータ2に連結している。クランクシャフト7と一体連結した偏心軸部、すなわちクランク部7aには、シリンダ3の内面に回転自在に内接するロータ8が嵌装されている。
シリンダ3には、半径方向内外方向に進退自由にベーン9が設けられており、ベーン9の背面側にばね孔10、案内面10b、規制面10cが形成されている。ばね孔10の案内面10bには、コイルばね11の係合部11aが係合して、ベーン9の背面側に当接するコイルばね11が内装されている。このコイルばね11のベーン9に対する押圧力により、ベーン9の先端をロータ8に常時接触させ、ベーン9がシリンダ3を冷媒の吸入域と吐出域とに仕切っている。12は吸入孔であり、1bは吸入口である。13は吐出孔であり、シリンダ3の内部からフロントヘッド4の外面に至るように設置されている。圧縮要素6で圧縮された冷媒ガスは、モータ室を経由して、吐出口1aから本体ケーシング1の外部に吐出する。
このような従来技術のローリングピストン型圧縮機では、クランク部中心軸とシリンダ内周中心軸は公転半径分偏心しており、通常、クランクシャフトとクランク部は一体であるためこの公転半径は一定である。また、一般的にはシリンダ内周にロータ外周を当てないように設計しており、20ミクロン程度のクリアランスを設けるため、この部位において円周方向漏れが発生し、圧縮機の効率低下を招くという問題が生じていた。
一方、特許文献2には、ロータを片持ちで支持して、クランクシャフトとクランク部を別体で構成し従動ピンを用いて連結した、所謂、従動クランク機構を備えるローリングピストンが示されており、円周漏れが低減できることが言及されている。しかしながら、この従来技術でも、従動ピンに働くモーメントが、クランクシャフトの回転角によって反転する場合があり、ロータをシリンダに押付けることができない場合が生じて、期待するような効果を得ることができなかった。
実開昭61−114093号公報 特開平6−159278号公報
本発明は、上記問題に鑑み、円周方向漏れを低減し、圧縮機効率を向上させた、クランク部を片持ち支持するローリングピストン型圧縮機を提供するものである。
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、円筒内周面を有するシリンダ(3)と、シャフト中心軸(O1)回りに回転駆動されるクランクシャフト(7)と、該クランクシャフト(7)の端面に一体に設けられた従動ピン(51)であって、前記シャフト中心軸(O1)に対して偏心した従動ピン中心軸(O2)を有する従動ピン(51)と、前記クランクシャフト(7)とは別体に設けられて、前記従動ピン(51)を介して回転自在に連結され、クランク部中心軸(O3)を有するクランク部(7a)と、前記クランク部(7a)に回転自在に嵌合されるロータ(8)であって、前記クランクシャフト(7)の回転を受けて前記シリンダ(3)の内周面に対して公転運動を行うロータ(8)と、前記シリンダ(3)と前記ロータ(8)との間の作動室を、吸入側と吐出側とに仕切るベーン(9)と、を具備するローリングピストン型圧縮機において、前記ロータ(8)を前記シリンダ(3)に押付けるように、前記従動ピン中心軸(O2)回りのモーメントを前記クランク部(7a)に作用させるアンバランス質量を設けたことを特徴とするローリングピストン型圧縮機である。
これにより、押付け力がマイナスになる回転角ψの領域をなくすことができ、ロータとシリンダ間の円周漏れを低減させ、圧縮効率の向上を図ることができる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記シャフト中心軸(O1)から前記クランク部中心軸(O3)に至るベクトルと、前記クランク部中心軸(O3)から前記従動ピン中心軸(O2)に至るベクトルに挟まれる角度を公転方向に計った従動ピン角度(α)が、20〜90度であることを特徴とする。
これにより、押付け力がマイナスになる回転角ψの領域をなくすことができ、ロータとシリンダ間の円周漏れを低減させ、圧縮効率の向上を図ることができる。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記従動ピン角度(α)が、38〜48度であることを特徴とする。これにより、請求項1の発明と同様な効果が生じる。
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれか1項記載の発明において、前記アンバランス質量が、少なくとも完全バランスの取れるカウンタバランス質量の25%以上であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の発明において、前記アンバランス質量が、前記クランク部(7a)に付加したカウンタバランサ(53)であることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の発明において、前記アンバランス質量が、前記クランク部(7a)内部に設けた中空部(54)であることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の発明において、前記アンバランス質量が、前記クランク部(7a)内部に設けられた、クランク部と異なる比重を有する構成部分(55)であることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれか1項記載の発明において、前記ロータ(8)が、前記シリンダ(3)の内周面に押し付ける方向と反対側に所定許容量以上に動くことを防止するストッパ機能(59、59’)が設けられたことを特徴とする。
これにより、押付けモーメントMとは反対方向の反転モーメントM’がたまたま働いて、クランク部が、シリンダとの隙間を拡げるように動いた場合でも、ストッパ機能により隙間を一定以上拡がらないようにし、円周方向の漏れが大きくならないよう制御することができる。
請求項9の発明は、請求項1から8のいずれか1項記載の発明において、前記従動ピン(51)が、根元側の径が太くなっている段差ピン(61)であることを特徴とする。これにより、従動ピンの根元にかかる応力を低減することができる。
請求項10の発明は、請求項1から9のいずれか1項記載の発明において、クランクシャフト(7)の両端面に一体に設けられた一方と他方の従動ピン(51、51’)によって、2つのロータ(8、8’)を駆動させたことを特徴とする。
なお、上記に付した符号は、後述する実施形態に記載の具体的実施態様との対応関係を示す一例である。
(a)は、特許文献1のローリングピストン型圧縮機の正面断面図であり、(b)は平面断面図である。 (a)は、本発明の一実施形態を示す断面図であり、(b)は、クランク部に関する要部の分解図である。 本発明の一実施形態の作動図を示す説明図であり、(a)〜(d)はロータの90度ごとの図である。 クランクシャフト回転角ψ、従動ピン角α、シャフト中心軸O1、従動ピン中心軸O2、クランク部中心軸O3を説明する説明図である。 (a)は、基礎技術の場合のロータのシリンダへの押付け力と回転角ψとの関係を示すグラフであり、(b)は、本発明の一実施形態の押付け力と回転角ψとの関係を示すグラフである。 (a)は、本発明の一実施形態のクランク部7aに働く力を模式的に説明した図であり、(b)は、本発明の基礎となった基礎技術のクランク部7aに働く力を模式的に説明した図である。 不釣合いに基づく遠心力F3が有る場合と無い場合で、従動ピン回りのモーメントを模式的に比較した説明図である。 (a)〜(c)は、本発明の一実施形態におけるアンバランス質量の一例を示す説明図である。 押付けモーメントMとは反対方向の反転モーメントM’が、クランク部に働いた場合のストッパ機能を説明する図である。 段差ピンを従動ピンに用いた本発明の他の実施形態を示す断面図である。 ツインロータ型と呼ばれる本発明の他の実施形態を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。各実施態様について、同一構成の部分には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図2(a)は、本発明の一実施形態を示す断面図であり、(b)は、クランク部に関する要部の分解図である。図3は、本発明の一実施形態の作動図を示す説明図であり、(a)〜(d)はロータの90度ごとの図である。図4は、クランクシャフト回転角ψ、従動ピン角α、シャフト中心軸O1、従動ピン中心軸O2、クランク部中心軸O3を説明する説明図である。
ハウジング1は、フロントハウジング1’、仕切り板4、リアハウジング1’’、エンドプレート5からなる。シリンダ3、ロータ7a、サイドプレート14、仕切り板4とにより作動室が形成されている。クランクシャフト7の両端は、すべり軸受4a、5aに回転支持されており、フロントハウジング1に固定されたステータモータ2aと、クランクシャフト7に固定されたロータモータ2bにより、回転駆動される。
図2(b)に示すように、クランクシャフト7の端面に従動ピン51が一体に設けられている。クランク部7aには、従動ピン51の嵌合穴52が設けられており、クランク部7aにはロータ8が回転自在に嵌合している。クランクシャフト7のシャフト中心軸O1、従動ピン51の従動ピン中心軸O2、クランク部7aのクランク部中心軸O3は、図4に示すような位置関係にある。クランクシャフト7のシャフト中心軸O1は、シリンダ3の中心軸でもあり、クランク部中心軸O3は、ロータ8の公転運動の中心でもある。図4(a)のSは、クランク部中心軸O3の公転運動の軌跡を示している。また、Tは従動ピン中心軸O2の軌跡を示している。
図4(b)に示すように、シャフト中心軸O1に対するクランクシャフトの回転角は、ベーン9の位置をゼロとして、公転方向に、ロータ8とシリンダ3との接点Cまでの角度ψを指している。従動ピン角度は、図4(a)に示すように、クランクシャフトの回転角ψ=0のときに、クランク部中心軸O3に対する従動ピン中心軸O2の角度を指している。
従動ピン角度は、言い換えると、シャフト中心軸O1からクランク部中心軸O3に至るベクトルと、クランク部中心軸O3から従動ピン中心軸O2に至るベクトルに挟まれる角度を、公転方向に計った角度のことである。
ロータ8は、従動ピン51の従動ピン中心軸O2回りに揺動自在である。しかしながら、ロータ8をシリンダ3に押付ける方向のモーメントが働く場合には、押し付けられた状態で、シリンダ44の内周面に沿って公転する。このようにして、クランクシャフト7の回転を受けると、ロータ8は、シャフト中心軸O1に対して、クランク部6の偏心量(O1−O3)に応じた公転運動(公転運動の軌跡S)を行うことになる。
吸入口1aから吸入孔12(図示せず)を経由して、吸入された冷媒は、ベーン9で吸入側と吐出側に仕切られた作動室で圧縮され、吐出孔13、連通孔24を経由して、モータ室25に流入し、吐出口1bから外部に送出される。図3(a)〜(d)のロータの90度ごとの図に示すように、冷媒は圧縮される。
従来技術のローリングピストン型圧縮機では、クランク部とクランクシャフトは一体化されている。クランク部中心軸とシリンダ内周中心軸は偏心し、シリンダ内周にロータ外周を当てないようにクリアランスを設けるため、円周方向漏れが発生してしまう。
これに対して、本発明では、図2(b)に示すように、ロータを片持ち支持しており、さらにロータ8を嵌合したクランク部7aは、従動ピン51の従動ピン中心軸O2回りに揺動自在であり(これを従動クランク機構という)、ロータがシリンダに押し付けられた状態で、シリンダ44の内周面に沿って公転する。本発明の基礎となった基礎技術において、このようなクランク部を従動クランク機構とする場合に、ロータやクランク部の質量によって発生するアンバランス(回転不釣合い、公転運動による遠心力が発生して、軸受荷重や振動の増大を招く)を補償するために、新たな質量(カウンタバランサ)を偏心方向から180度ずれた位置などに設置してアンバランスをゼロにしている。ここで基礎技術とは、従動クランク機構を持つローリングピストン型圧縮機において、アンバランスをゼロにしたものを指す。
図5(a)は、基礎技術の場合のロータのシリンダへの押付け力と回転角ψとの関係を示すグラフであり、(b)は、本発明の一実施形態の押付け力と回転角ψとの関係を示すグラフである。
基礎技術においては、本来、円周漏れを低減させるためにわざわざ従動ピン51を用いて片持ち支持としたはずであった。しかしながら、図5(a)に示すように、これまでの研究によって、基礎技術では、押付け力がマイナスになって円周漏れが一部発生してしまうという問題があることがわかってきた。
基礎技術におけるこの問題は、次のような理由によって発生している。基礎技術では、遠心力を働かないようにするためにバランサを付けているため、遠心力はゼロである。一方、吸入完了の回転角ψを0度とすると、0度の時には圧縮反力F1が0であるので、クランク部7aにはベーン力F2のみが働く。このため、0度付近で、圧縮反力F1とベーン力F2のベクトルとの合力Ftotalは、ベクトル方向が大きく変化し、従動ピン51の角度をまたいで変化して、押付け力がマイナスとなってしまうのである(後述の図7参照)。すなわち、円周漏れは、ロータのシリンダへの押付け力が、0度付近でマイナス(離れる方向)となっていることに原因している。
本発明では、遠心力F3を意図的に働かせて、押付け力がマイナスにならないようにしたことを特徴とする。通常、これまで遠心力が働かないようにするためにバランサを付けてきたことに対して、敢えて遠心力をゼロとはせず、アンバランスを意図的に残すようにしたものである。これにより、図5(b)に示すように、押付け力がマイナスになる回転角ψの領域をなくすことができ、円周漏れを低減させることができるのである。
以下、押付け力がマイナスにならないことを、模式的にわかりやすいようにして説明する。図6(a)は、本発明の一実施形態のクランク部7aに働く力を説明した図であり、(b)は、本発明の基礎となった基礎技術のクランク部7aに働く力を模式的に説明した図である。図7は、不釣合いに基づく遠心力F3が有る場合と無い場合で、従動ピン回りのモーメントを模式的に比較した説明図である。
基礎技術において、クランク部7a及びロータ8に働く力は、図6(b)のように、圧縮反力F1、ベーン力F2の2つである。圧縮反力F1、ベーン力F2の合力をFtotalとする。一方、本発明の一実施形態のクランク部7a及びロータ8に働く力は、図6(a)のように、圧縮反力F1、ベーン力F2、不釣合いに基づく遠心力F3の3つである。圧縮反力F1、ベーン力F2、遠心力F3の3つの合力をFtotalとする。
なお、図6(a)は、説明のためにシャフトの回転角ψ=90°としてあり、遠心力F3は、ロータ8とシリンダ3との接点Cに向けて働いており、遠心力F3が押付け力に貢献していることがわかりやすい。
図6(a)における、h1は、O2からFtotalに下ろした垂線の距離であり、h2は、O2から押付け力ベクトル(O3からCへ向かうベクトル)に下ろした垂線の距離である。押付けモーメントM=Ftotal*h1となる。この押付けモーメントMによって、接点Cにおいて、発生する法線方向の力が、押付け力Fである。押付け力F=M/h2となる。
本発明の一実施形態では、遠心力F3を働かせて、3つの合力Ftotalが、基礎技術の場合と比べて従動ピン中心軸を跨がないように変化させて、合力Ftotalによるモーメント(=押付けモーメント)の向きを逆転させないようにしている。これにより、図7に示すように、ロータのシリンダへの押付け力が、常にプラス側に働くようにできる。本発明では、遠心力F3がゼロにならないようにアンバランスが残るようなバランス重量としており、0度付近においても遠心力によって、ロータのシリンダへの押付け力をプラス側に働くようにしている。
次に、ロータ8をシリンダ3に押付けるように、従動ピン中心軸O2回りのモーメントをクランク部7aに作用させるアンバランス質量は、様々な実施形態で実現することができる。図8(a)〜(c)は、本発明の一実施形態におけるアンバランス質量の一例を示す説明図である。図8(a)においては、クランク部7aに付加したカウンタバランサ53を設けている。また、図8(b)においては、クランク部7a内部に設けた中空部54である。図8(c)においては、クランク部7a内部に設けられた、クランク部と異なる比重を有する構成部分55である。このようなアンバランス質量は、少なくとも完全バランスの取れるカウンタバランス質量の25%以上であることが好ましい。
前述した従動ピン角度αは、これまでの研究結果において、少なくとも20〜90度であることが好ましい。さらに、α=43°の前後5°の範囲において好ましい押付け力を発生させる。
図9は、押付けモーメントMとは反対方向の反転モーメントM’が、クランク部に働いた場合のストッパ機能を説明する図である。本発明の他の実施形態として、ロータ8及びクランク部7aが、前記シリンダの内周面と反対側に動くことを防止するストッパピン59を設けても良い。押付けモーメントMとは反対方向の反転モーメントM’がたまたま働いて、クランク部7aが、シリンダ3との隙間を拡げるように動いた場合でも、ストッパピン59(ストッパ機能)がごく僅か大きい穴59’に接触して、隙間を一定以上拡がらないようにすることができる。ストッパ機能としては、ストッパピン59だけに限定されずに、ロータ8が、シリンダの内周面に押し付ける方向と反対側に所定許容量以上に動くことを防止するようなストッパが設置されていれば良い。
図10は、段差ピンを従動ピンに用いた本発明の他の実施形態を示す断面図である。従動ピン51は、先端部61’’より根元61’の径が太く形成されている段差ピン61とすれば、従動ピン51の根元にかかる応力を低減することができる。
図11は、2段圧縮型と呼ばれる本発明の他の実施形態を示す断面図である。本実施形態においては、クランクシャフト7の両端面に一体に設けられた一方と他方の従動ピン51、51’によって、それぞれ低段用と高段用の2つのロータ8、8’を駆動させている。吸入口1aから吸入孔12(図示せず)を経由して、吸入された冷媒は、ベーン9で吸入側と吐出側に仕切られた低段側の作動室で圧縮され、吐出孔13、低段吐出口21から外部配管で高段吸入口22に入り、高段側の作動室で圧縮され、高段吐出孔23から高圧室27、連通孔24を経由して、モータ室25に流入し、吐出口1bから外部に送出される。この場合、中間室26が、吐出マフラーとして吸入加熱や吸入脈動の低減に寄与する。その他の点は、図2のシングルロータ型の実施形態と同じである。
ここで、2段圧縮型とは、低段で圧縮した後、高段で圧縮するタイプである。この他の実施形態のように、クランクシャフト7の片側端面でなく、両側端面を活用すれば、圧縮部を2個持つことができる。両側の圧縮部は必ずしも高段、低段とした場合に限らず、両者が同容積であるツイン型としてもよい。この場合には位相を180°ずらして配置することで吐出脈動やトルク変動の低減を計ることができる。図11の両側の圧縮機をツイン型としたものも、本発明の実施形態として含まれる。
3 シリンダ
7 クランクシャフト
8 ロータ
9 ベーン
51 従動ピン
1 シャフト中心軸
2 従動ピン中心軸
3 クランク部中心軸

Claims (10)

  1. 円筒内周面を有するシリンダ(3)と、
    シャフト中心軸(O1)回りに回転駆動されるクランクシャフト(7)と、
    該クランクシャフト(7)の端面に一体に設けられた従動ピン(51)であって、前記シャフト中心軸(O1)に対して偏心した従動ピン中心軸(O2)を有する従動ピン(51)と、
    前記クランクシャフト(7)とは別体に設けられて、前記従動ピン(51)を介して回転自在に連結され、クランク部中心軸(O3)を有するクランク部(7a)と、
    前記クランク部(7a)に回転自在に嵌合されるロータ(8)であって、前記クランクシャフト(7)の回転を受けて前記シリンダ(3)の内周面に対して公転運動を行うロータ(8)と、
    前記シリンダ(3)と前記ロータ(8)との間の作動室を、吸入側と吐出側とに仕切るベーン(9)と、を具備するローリングピストン型圧縮機において、
    前記ロータ(8)を前記シリンダ(3)に押付けるように、前記従動ピン中心軸(O2)回りのモーメントを前記クランク部(7a)に作用させるアンバランス質量を設けたことを特徴とするローリングピストン型圧縮機。
  2. 前記シャフト中心軸(O1)から前記クランク部中心軸(O3)に至るベクトルと、前記クランク部中心軸(O3)から前記従動ピン中心軸(O2)に至るベクトルに挟まれる角度を公転方向に計った従動ピン角度(α)が、20〜90度であることを特徴とする請求項1に記載のローリングピストン型圧縮機。
  3. 前記従動ピン角度(α)が、38〜48度であることを特徴とする請求項2に記載のローリングピストン型圧縮機。
  4. 前記アンバランス質量が、少なくとも完全バランスの取れるカウンタバランス質量の25%以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のローリングピストン型圧縮機。
  5. 前記アンバランス質量が、前記クランク部(7a)に付加したカウンタバランサ(53)であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のローリングピストン型圧縮機。
  6. 前記アンバランス質量が、前記クランク部(7a)内部に設けた中空部(54)であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のローリングピストン型圧縮機。
  7. 前記アンバランス質量が、前記クランク部(7a)内部に設けられた、クランク部と異なる比重を有する構成部分(55)であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のローリングピストン型圧縮機。
  8. 前記ロータ(8)が、前記シリンダ(3)の内周面に押し付ける方向と反対側に所定許容量以上に動くことを防止するストッパ機能(59、59’)が設けられたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のローリングピストン型圧縮機。
  9. 前記従動ピン(51)が、根元側の径が太くなっている段差ピン(61)であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のローリングピストン型圧縮機。
  10. クランクシャフト(7)の両端面に一体に設けられた一方と他方の従動ピン(51、51’)によって、2つのロータ(8、8’)を駆動させたことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のローリングピストン型圧縮機。
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