JP2013006736A - 水硬性粉体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水硬性化合物の粉砕効率が良いこと、及び得られる水硬性組成物の硬化時の圧縮強度を向上させるセメント等の水硬性粉体が得られることを両立する水硬性粉体の製造方法を提供する。
【解決手段】グリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物(A)と、硫酸アルカリ金属塩(B)と、硫酸カルシウム(C)とを、特定条件で用いて水硬性化合物を粉砕する工程を経て水硬性粉体を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、粉砕助剤を用いて水硬性化合物を粉砕する工程を有する、水硬性粉体の製造方法に関する。
水硬性化合物、例えばポルトランドセメントクリンカ、高炉スラグ等を粉砕して種々の水硬性粉体が製造されている。例えば、ポルトランドセメントは、石灰石、粘土、鉄さい等の原料を焼成して得られたクリンカに適量の石膏を加え、粉砕して製造される。その際、水硬性化合物の粉砕効率を高めるために、ジエチレングリコールやトリエタノールアミンなどの粉砕助剤が用いられている。粉砕工程においては、得られる水硬性粉体を用いた硬化体の強度を低下させることなく、水硬性化合物をできるだけ能率良く所望の粒径にすることが望ましい。
水硬性化合物の粉砕助剤としてグリセリンが用いられている。例えば、特許文献1には、セメントの圧縮強さを向上させるためにセメント添加物として未処理グリセリンを使用し、未処理グリセリンが、重量%にして、1〜10%のアルカリ金属無機塩を含んでいることが記載されている。そして、その未処理グリセリンは、クリンカの粉砕処理中に添加することが記載されている。また、特許文献2には、粉砕助剤として、多価アルコールと硫酸化剤とを反応させて得られる化合物が開示されており、その比較としてグリセリンが用いられている。
また、コンクリートの早期強度発現の技術として、例えば特許文献3には、速硬性セメント組成物の凝結促進材として、チオ硫酸ナトリウム、乳酸カルシウム、炭酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウムの中から選ばれる技術が開示されている。
特表2008−519752号公報 特開2010−42986号公報 特開2010−150105号公報
しかしながら、水硬性粉体の生産性の向上、コンクリート二次製品の生産性向上及びコンクリート硬化体の強度向上等の理由により、水硬性粉体の製造方法では、水硬性化合物の粉砕性と得られる水硬性粉体を用いた水硬性組成物の硬化時の圧縮強度の双方において、さらなる向上が望まれる。
本発明の課題は、水硬性化合物の粉砕効率が良いこと、即ち、所望の粒径に到達するまでの時間を短縮することができること、及び得られる水硬性組成物の硬化時の圧縮強度(水硬性粉体が水に接してから24時間後の圧縮強度、以後24時間強度という)を向上させるセメント等の水硬性粉体が得られることを両立する水硬性粉体の製造方法を提供することである。例えば、24時間強度は、コンクリート二次製品の生産サイクルに関連する脱型可能な時間の指標となる。
本発明者は、グリセリン及び/又はグリセリンモノ酢酸エステルと、硫酸アルカリ金属塩とを粉砕助剤として用いて、硫酸カルシウムと共に特定条件で使用して水硬性化合物を粉砕することで、粉砕性と水硬性組成物の硬化時の圧縮強度の双方が大きく向上することを見出した。
本発明は、グリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物(A)〔以下、(A)成分という〕と、硫酸アルカリ金属塩(B)〔以下、(B)成分という〕と、硫酸カルシウム(C)〔以下、(C)成分という〕との存在下で、水硬性化合物を粉砕する工程を有する水硬性粉体の製造方法であって、
(A)のモル数(I)と、(B)及び(C)から計算される硫酸イオンのモル数(II)とのモル比(II)/(I)が2.0〜50であり、
(B)から計算されるアルカリ金属イオンが水硬性化合物100重量部に対して0.04重量部以上である、
水硬性粉体の製造方法に関する。
また、本発明は、グリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物と硫酸アルカリ金属塩とを含有する水硬性化合物用の粉砕助剤に関する。
本発明によれば、グリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物と硫酸アルカリ金属塩とを含有する水硬性化合物用の粉砕助剤を、特定条件で硫酸カルシウムと共に用いることで、水硬性化合物の粉砕効率が良いこと、即ち、所望の粒径に到達するまでの時間を短縮することができること、及び得られる水硬性組成物の硬化時の圧縮強度を向上させるセメント等の水硬性粉体が得られることを両立する水硬性粉体の製造方法が提供される。
本発明では、グリセリン及び/又はグリセリンモノ酢酸エステルを用いることにより水硬性化合物の粉砕効率を向上させることができる。この理由としては空気中の水分、粉砕助剤の希釈水、添加する硫酸カルシウム結晶水からの脱水等による水分を介して被粉砕粒子同士が凝集する液架橋を抑制するものと推定される。そして、得られた水硬性粉体と水との混練時には、グリセリン及び/又はグリセリンモノ酢酸エステルが、カルシウムイオンを捕捉することにより、C3Aの水和反応速度及びC3Aの水和反応率の両者を向上し硬化強度を増加させると推定される。しかしながら、硫酸イオンが少ない条件下では、異常水和が進行し硬化強度が低下すると考えられるため、硫酸イオンとの特定比率の範囲内であることが必要となる。
また、硫酸アルカリ金属塩から生じるアルカリ金属イオンは、水硬性粉体と水との混練時には、C3Sの水和を促進し、水和反応率が高められ強度を向上させると推定される。グリセリンとは異なる強度増進機構であるため、さらなる圧縮強度の向上が可能となると推定される。そして、グリセリン及び/又はグリセリンモノ酢酸エステルと、硫酸カルシウムと共に水硬性化合物の粉砕時に存在させることで、グリセリン及び/又はグリセリンモノ酢酸エステルと、硫酸カルシウムと、アルカリ金属イオンが、偏りなく均一に付着することで、水硬性粉体と水との混練時に効果的に強度向上効果を発現することができると推定される。一方、水硬性化合物の粉砕時に硫酸アルカリ金属塩を存在させてもグリセリンやグリセリンモノ酢酸エステルによる粉砕効率の向上を阻害しないためと考えられる。
上記のメカニズムより、(A)成分及び(B)成分を併用して特定条件で(C)成分と共に用いることで、粉砕効率を一定以上で保ちつつ、初期強度を向上させることができる。
本発明に係る粉砕助剤は、グリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物(A)と、硫酸アルカリ金属塩(B)を含有する。
(A)成分であるグリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルは市販品を用いることができる。グリセリンとしては、市販品の精製グリセリン、例えば、ヤシ由来の油脂のエステル交換で得られたグリセリンを用いることができる。また、牛脂や植物油脂の加水分解によって得られた粗かん水、粗かん水から不純物を除去した精製かん水等を用いることができる。24時間強度を向上する観点から、粗かん水、精製グリセリンが好ましく、精製グリセリンがより好ましい。
グリセリン酢酸エステルとして、グリセリンモノ酢酸エステルよりも分子内のエステル基の数が多いグリセリンジ酢酸エステル(ジアセチン)及びグリセリントリ酢酸エステル(トリアセチン)では、水硬性化合物の粉砕性の向上及び圧縮強度の向上が劣る傾向がある。
(B)成分である硫酸アルカリ金属塩は、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム及び硫酸リチウムが挙げられる。中でも24時間強度を向上する観点から硫酸ナトリウムを用いることが好ましい。
(C)成分である硫酸カルシウムは石膏を用いることができ、無水物、水和物の何れも使用できる。中でも二水石膏を用いることが好ましい。
本発明では、グリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物(A)と硫酸アルカリ金属塩(B)を含有する粉砕助剤を、硫酸カルシウム(C)と共に用いる。
本発明では、水硬性化合物を粉砕する工程で存在させる(A)成分と(B)成分と(C)成分に関して、(A)成分のモル数(I)と、(B)成分及び(C)成分から計算される硫酸イオンのモル数(II)とのモル比(II)/(I)が2.0〜50である。モル比(II)/(I)は、粉砕性の向上と24時間強度を向上する観点から、2.5〜45が好ましく、3.0〜40がより好ましく、4.0〜30が更に好ましく、4.5〜25がより更に好ましく、5.0〜20がより更に好ましく、8.0〜15がより更に好ましく、10〜15がより更に好ましい。粉砕性の向上の観点から、モル比(II)/(I)は、5.0〜50、更に10〜50が好ましい。24時間強度を向上する観点から、モル比(II)/(I)は、2.0〜25が好ましく、4.0〜25がより好ましく、4.0〜15が更に好ましく、8.0〜13がより更に好ましい。
また、本発明では、水硬性化合物を粉砕する工程で存在させる(B)成分に関して、24時間強度を向上する観点から、(B)成分から計算されるアルカリ金属イオンが水硬性化合物100重量部に対して0.04重量部以上であり、0.05重量部以上が好ましく、0.07重量部以上がより好ましく、0.10重量部以上が更に好ましく、0.14重量部以上がより更に好ましい。また、24時間強度を向上する観点から、上限値は0.55重量部以下が好ましく、0.35重量部以下がより好ましく、0.30重量部以下が更に好ましく、0.25重量部以下がより更に好ましい。なお、水硬性化合物を粉砕する工程で、(B)成分以外に、アルカリ金属イオンを含む化合物を存在させる場合、それらから計算されるアルカリ金属イオンと(B)成分から計算されるアルカリ金属イオンとの合計が、前記範囲であることが好ましい。
本発明に係るグリセリン及び/又はグリセリンモノ酢酸エステルは、通常、その混合物が常温、例えば20℃において、液状であるので、水硬性化合物を粉砕に用いる際の秤量や添加操作等の作業性に優れるものである。水硬性化合物の粉砕時には、水を添加してグリセリン及び/又はグリセリンモノ酢酸エステルを含む液の粘度を調整することができる。グリセリン及び/又はグリセリンモノ酢酸エステルは、濃度100重量%の液状として用いることができるが、更に取扱いを容易にする観点から、水溶液として用いても良い。その場合のグリセリン及び/又はグリセリンモノ酢酸エステルの水溶液中の合計の濃度は30〜99重量%が好ましく、40〜99重量%がより好ましく、50〜99重量%が更に好ましい。なお、この水溶液には、硫酸アルカリ金属塩を配合することができる。
本発明の水硬性粉体の製造方法では水硬性化合物を粉砕し水硬性粉体を得る。水硬性化合物とは、水と反応して硬化する性質をもつ物質、及び単一物質では硬化性を有しないが2種以上を組み合わせると水を介して相互作用により水和物を形成し硬化する化合物をいう。一般に、水硬性化合物はアルカリ土類金属の酸化物とSiO2、Al23、Fe23、TiO2、P25、ZnOなどの酸化物が常温又は水熱条件下で水和物を形成する。水硬性化合物としては、例えば、セメントに含有される鉱物(C3S、C2S、C3A、C4AF)、スラグ、フライアッシュ、石灰石、鉄さい、アルミナ、焼却灰等を焼成したものが挙げられ、水硬性粉体の原料として用いることができる。
水硬性化合物としてクリンカが挙げられる。水硬性化合物を粉砕し水硬性粉体となる。
水硬性粉体としてポルトランドセメントを得る場合、例えば、ポルトランドセメントは、石灰石、粘土、鉄さい等の原料を焼成して得られた水硬性化合物であるクリンカを予備粉砕し、(C)成分である石膏を加え、仕上粉砕して、ブレーン値2500cm2/g以上の比表面積を有する粉体として製造される。
本発明の(A)成分及び(B)成分は、前記水硬性化合物、好ましくはクリンカ粉砕の際の粉砕助剤として用いることが好ましい。また、本発明の(A)成分及び(B)成分は、仕上粉砕での粉砕助剤として用いることが好ましい。
(A)成分は、粉砕性の向上の観点と24時間強度を向上する観点とから、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物、例えばセメントクリンカ100重量部に対して、0.02〜1.50重量部用いることが好ましく、0.04〜1.00重量部用いることがより好ましく、0.11〜0.70重量部となるように用いることが更に好ましい。また、(A)成分は、粉砕性の向上の観点から、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物、例えばセメントクリンカ100重量部に対して、0.04重量部以上、更に0.11重量部以上となるように用いることが好ましく、また、1.20重量部以下が好ましく、0.60重量部以下がより好ましく、更に0.50重量部以下が更に好ましく、0.25重量部以下となるように用いることがより更に好ましい。また、(A)成分は、24時間強度を向上する観点から、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物、例えばセメントクリンカ100重量部に対して、0.12重量部以上が好ましく、0.15重量部以上がより好ましく、0.35重量部以上が更に好ましい。また、1.80重量部以下が好ましく、1.40重量部以下がより好ましく、1.20重量部以下が更に好ましい。
(B)成分は、粉砕性の向上の観点と24時間強度を向上する観点から、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物、例えばセメントクリンカ100重量部に対して、0.12〜1.70重量部となるように用いることが好ましく、0.25〜0.95重量部となるように用いることがより好ましく、0.35〜0.80重量部となるように用いることがより更に好ましい。
(A)成分と(B)成分は、(A)成分と(B)成分の合計量が、粉砕性の向上の観点と24時間強度を向上する観点から、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物、例えばセメントクリンカ100重量部に対して、合計の固形分で0.14〜3.2重量部となるように用いることが好ましく、0.30〜2.00重量部となるように用いることがより好ましく、0.40〜1.80重量部となるように用いることが更に好ましく、0.65〜1.30重量部となるように用いることがより更に好ましい。
また、(C)成分は、粉砕性の向上の観点と24時間強度を向上する観点から、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物、例えばセメントクリンカ100重量部に対して、2.0〜13.0重量部となるように用いることが好ましく、2.3〜12.0重量部となるように用いることがより好ましく、2.3〜7.0重量部となるように用いることがより更に好ましい。また、(C)成分は、24時間強度を向上する観点から、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物、例えばセメントクリンカ100重量部に対して、2.0〜10.0重量部となるように用いることが好ましく、5.0〜10.0重量部となるように用いることがより好ましく、5.5〜6.5重量部となるように用いることが更に好ましい。また、(C)成分は、粉砕性の向上の観点から、粉砕に用いられる原料の水硬性化合物、例えばセメントクリンカ100重量部に対して、2.3〜7.0重量部となるように用いることが好ましい。
(A)成分、(B)成分及び(C)成分の存在下で粉砕する方法として、水硬性化合物、例えばクリンカを含む原料に(A)成分、(B)成分及び(C)成分をそれぞれ個別に添加しても良い。また、(A)成分及び(B)成分の混合物と、(C)成分とを添加して行うことができる。他の成分としては、消泡剤、水、(A)成分及び(B)成分以外の公知の粉砕助剤等が挙げられる。
本発明の水硬性粉体の製造方法では、原料、用途等により、適当な粒径の粉体が得られるよう、粉砕の条件を調整すればよい。得られる水硬性粉体の硬化時の圧縮強度、及び製造コストの観点から、比表面積、ブレーン値が2000〜5000cm2/gが好ましく、2500〜5000cm2/gがより好ましく、3000〜4000cm2/gが更に好ましい。比表面積が前記範囲を満たす粉体となるまで、水硬性化合物、例えばクリンカの粉砕を行うことが好ましい。目的のブレーン値は、例えば粉砕時間を調整することにより得ることができる。粉砕時間を長くするとブレーン値が大きくなり、短くするとブレーン値が小さくなる傾向がある。
本発明において、水硬性化合物の粉砕に使用される粉砕装置は、特に限定されないが、例えばセメントなどの粉砕で汎用されているボールミルを挙げることができる。該装置の粉砕媒体(粉砕ボール)の材質は、被粉砕物(例えばセメントクリンカの場合、カルシウムアルミネート)と同等又はそれ以上の硬度を有するものが望ましく、一般に入用可能な市販品では、例えば鋼、ステンレス、アルミナ、ジルコニア、チタニア、タングステンカーバイド等を挙げることができる。
本発明に係るグリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物と、硫酸アルカリ金属塩とは、水硬性化合物用の粉砕助剤として、水硬性化合物の粉砕に用いられ、粉砕効率が良く、水硬性組成物の圧縮強度を向上させることができる。
グリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物と、硫酸アルカリ金属塩とを含有する水溶液を用いる場合は、粉砕性の向上の観点と水硬性化合物の粉砕に用いる際の秤量や添加操作等の作業性の観点から、水硬性化合物100重量部に対して当該水溶液の水の量が0.001〜3重量部であること好ましい。
水硬性組成物中の空気量増大現象による強度低下を抑制する観点から、更に消泡剤を併用することができる。また、消泡剤を、水硬性化合物の粉砕時に存在させることで、得られる水硬性粉体の表面に消泡剤を均一に分布させ、前記抑制効果をより効果的に発現させることもできる。
消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤及びエーテル系消泡剤が好ましく、シリコーン系消泡剤ではジメチルポリシロキサンがより好ましく、脂肪酸エステル系消泡剤ではポリアルキレングリコール脂肪酸エステルがより好ましく、エーテル系消泡剤ではポリアルキレングリコールエーテルがより好ましい。
本発明の製造方法により得られた水硬性粉体を用いた水硬性組成物は圧縮強度が向上されたものとなる。水硬性粉体としては、ポルトランドセメント、高炉スラグ、アルミナセメント等のセメント、フライアッシュ、石灰石、石膏等が挙げられる。
本発明の製造方法により得られた水硬性粉体は、コンクリート構造物やコンクリート製品の材料として用いることができる。本発明の製造方法により得られた水硬性粉体を用いたコンクリートは、接水から24時間後の圧縮強度が向上するので、例えば、本発明の製造方法により得られた水硬性粉体に、接水後の初期材齢強度が低い水硬性粉体(高炉スラグ、フライアッシュ、石灰石等)を配合・置換しても、本発明未実施の水硬性粉体を用いた場合と比較して、同等以上の、24時間後の圧縮強度を得ることが出来る、等の利点を有する。
以下の使用材料を以下の配合量で用いて、一括仕込みし、ボールミルにより粉砕したときの粉砕効率(目標ブレーン値までの到達粉砕時間)と、得られたセメントを使用した水硬性組成物の硬化時の圧縮強度試験を以下のように評価した。結果を表1に示す。
(1−1)使用材料
・クリンカ:成分が、CaO:約68%、SiO2:約25%、Al23:約4%、Fe23:約3%、MgO他:約3%(重量基準)となるように、石灰石、粘土、けい石、酸化鉄原料等を組み合わせて焼成したものを、クラッシャー及びグラインダーにより一次粉砕して得た、普通ポルトランドセメント用クリンカ(3.5mmふるい通過物)
・粉砕助剤:表1参照。
・硫酸カルシウム:二水石膏(SO3量45.93重量%の二水石膏)
(1−2)配合量
・クリンカ:1000g
・粉砕助剤:表1の化合物を、水硬性化合物(クリンカ)100重量部に対する添加量が表1で示した重量部となるように用いた。(A)成分は50重量%水溶液でクリンカに添加し、(B)成分は直接クリンカに添加した。
・硫酸カルシウム:水硬性化合物(クリンカ)100重量部に対する硫酸カルシウムの添加量が表1で示した重量部となるように二水石膏を使用し、直接クリンカに添加した。
(1−3)ボールミル
株式会社セイワ技研製AXB−15を用い、ステンレスポット容量は18リットル(外径300mm)とし、ステンレスボールは30mmφ(呼び1・1/4)を30個、20mmφ(呼び3/4)を70個の合計100個を使用し、ボールミルの回転数は、35rpmとした。また、粉砕途中で粉砕物を一部排出しサンプリングした。
(1−4)粉砕到達時間
目標ブレーン値を3300±100cm2/gとし、粉砕開始から60分、75分、90分後のサンプルについてブレーン値を測定し、目標ブレーン値3300cm2/gに達する時間をマイクロソフト社製マイクロソフトエクセル2003の二次回帰式により求めた。その時間を最終到達時間(粉砕到達時間)として粉砕を終了し、セメントを得た。なおブレーン値の測定は、セメントの物理試験方法(JIS R 5201)に定められるブレーン空気透過装置を使用した。この試験での粉砕到達時間の相違は、実機レベルではより大きな差となってあらわれる。粉砕時間が短いほど粉砕性に優れることを示す。
(1−5)圧縮強度試験
圧縮強度の測定は、セメントの物理試験方法(JIS R 5201)附属書2(セメントの試験方法−強さの測定)に従った。用いたセメントは、前記で得られたブレーン値3300±100cm2/gのものである。コンクリート製品や構造物の製造の観点から、圧縮強度は大きいほど望ましい。
Figure 2013006736
表中の成分は以下のものである。なお、表中には、(A)成分、(B)成分に該当しないものも、便宜的にそれらの欄に示した。
・グリセリン:花王(株)製、精製グリセリン
・モノアセチン:グリセリンモノ酢酸エステル、和光純薬工業(株)製、試薬
・エチレングリコール:和光純薬工業(株)製、試薬
・ジエチレングリコール:和光純薬工業(株)製、試薬
・トリエタノールアミン:シグマアルドリッチ社製、試薬
・ジアセチン:和光純薬工業(株)製、試薬
・トリアセチン:和光純薬工業(株)製、試薬
・硫酸ナトリウム:和光純薬工業(株)製、試薬
・硫酸リチウム:和光純薬工業(株)製、試薬
・硫酸カリウム:シグマアルドリッチ社製、試薬
・MgSO4・7H2O:硫酸マグネシウム七水和物、和光純薬工業(株)製、試薬
・Na2SO3:亜硫酸ナトリウム、シグマアルドリッチ社製、試薬
表1より、グリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物(A)と硫酸アルカリ金属塩(B)を併用して、硫酸カルシウム(C)と共に特定条件で用いることで、粉砕効率と圧縮強度の両方が大きく向上することがわかる。
なお、表1の値はいずれも粉砕助剤を用いない場合を基準値(100)とする相対値である。また、基準の粉砕到達時間は140分、24時間後の圧縮強度は15.0N/mm2であった。

Claims (4)

  1. グリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物(A)と、硫酸アルカリ金属塩(B)と、硫酸カルシウム(C)との存在下で、水硬性化合物を粉砕する工程を有する水硬性粉体の製造方法であって、
    (A)のモル数(I)と、(B)及び(C)から計算される硫酸イオンのモル数(II)とのモル比(II)/(I)が2.0〜50であり、
    (B)から計算されるアルカリ金属イオンが水硬性化合物100重量部に対して0.04重量部以上である、
    水硬性粉体の製造方法。
  2. (C)の存在量が、水硬性化合物100重量部に対して2.0〜13.0重量部である、請求項1に記載の水硬性粉体の製造方法。
  3. (A)の存在量が、水硬性化合物100重量部に対して0.02〜1.50重量部である請求項1又は2に記載の水硬性粉体の製造方法。
  4. グリセリン及びグリセリンモノ酢酸エステルから選ばれる1種以上の化合物と硫酸アルカリ金属塩とを含有する水硬性化合物用の粉砕助剤。
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