JP2013006531A - 可変ピッチプロペラ制御方法および可変プロペラ制御装置ならびに可変ピッチプロペラ制御装置を搭載した船舶 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主機燃料消費率特性記憶部41に記憶されている主機燃料消費率特性とプロペラ効率特性記憶部42に記憶されている可変ピッチプロペラ60のプロペラ効率特性とを考慮して、燃料消費量特性制御部43により求められた燃料消費量特性に基づいて、主機50と主機50により駆動される可変ピッチプロペラ60を制御する制御手段40を備えている。
【選択図】図5
Description
しかし、同文献に開示されているのは、設定した負荷で主機を運転するための補正計算手段を設けることのみであり、適切な回転数と出力の関係をどのようにして求めるかについては記載されていない。
しかし、この構成は大量の燃料を供給した場合、主機の運転がトルクリッチゾーン(サージングゾーン)に入って不完全燃焼による煙(黒煙)を上げることを避けるためのものである。これは、いわゆるオーバーロードコントロールの一部であり、煙を生じる過負荷条件以外の状況において燃料消費量を最適化することについては何ら考慮されていない。
しかし、同文献に記載の発明は、ハンドルを通常航行状態と微速航行状態とで切換える操作が煩雑であるという問題の解消を課題とするものであり、上記開示は、主機の燃料消費効率を最適に保つことに関する一般的な説明にすぎない。このため、燃料消費量を最適に保つための具体的な構成は何ら記載されていない。
しかし、この構成は、特許文献2同様、不完全燃焼による極端に燃費の悪い状態を避けることを目的として、プロペラのピッチ角を制御することにより、エンジンの出力が最高となる回転数域(パワーバンド)内となるようにエンジンの回転数を維持するものである。また、不完全燃焼の生じる過負荷条件以外の通常の運転状態において更に燃費を良くするための構成は記載されていない。
しかし、この構成は、可変ピッチプロペラを用いて船速を変えることにより周波数を一定(定回転)として、効率の悪いインバータ(周波数調整)を使用しないことにより、電力ロスを少なくして燃料費を節約するものであり、同文献には、燃費を良くするためのCPPの制御方法については何ら記載されていない。
そこで、本発明は、従来の方法より高い水準の省エネルギー化を実現することができる、可変ピッチプロペラ制御方法および可変プロペラ制御装置ならびに可変ピッチプロペラ制御装置を搭載した船舶を提供することを目的とする。
この構成により、プロペラ効率特性に加えて主機燃料消費率特性をも考慮して可変ピッチプロペラを制御することができる。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の可変ピッチプロペラ制御方法において、前記燃料消費量特性は、船体に搭載する主機の出力と回転数により決まる燃料消費量最少特性であることを特徴とする。
この構成により、燃料消費量最少特性に基づく制御を主機の出力あるいは回転数を基に行うことができる。
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の可変ピッチプロペラ制御方法において、前記燃料消費量最少特性は、船速を考慮して求めた特性であることを特徴とする。
この構成により、船速に応じて変化する燃料消費量最少特性に対応させて、可変ピッチプロペラを制御することができる。
請求項4に記載の本発明は、請求項2または請求項3に記載の可変ピッチプロペラ制御方法において、前記プロペラ効率特性は、前記可変ピッチプロペラのピッチ角を変えた性能を基に、前記船体の船体抵抗と船速の関係、自航要素および伝達効率を考慮して求めたことを特徴とする。
この構成により、可変ピッチプロペラ制御方法において、船体に備えられた可変ピッチプロペラの状態を反映させたプロペラ効率特性を用いることができる。
請求項5に記載の本発明は、請求項2から請求項4のうちの1項に記載の可変ピッチプロペラ制御方法において、前記プロペラ効率特性に対し、前記船体への海象の影響に基づく補正を行ったことを特徴とする。
この構成により、海象による船体への影響を可変ピッチプロペラ制御方法に反映させることができる。
請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の可変ピッチプロペラ制御方法において、船速と前記主機の出力の関係から、海象の影響としての波浪による抵抗増加量の程度を推定して、使用する前記燃料消費量特性を決めたことを特徴とする。
この構成により、直接評価することが困難な波浪の影響を取得の容易な情報に基づいて推定することができる。
この構成により、プロペラ効率特性に加えて主機燃料消費率特性をも考慮して可変ピッチプロペラを制御することができる。
請求項8に記載の本発明は、請求項7に記載の可変ピッチプロペラ制御装置において、前記燃料消費量特性は、前記船体に搭載する前記主機の出力と回転数により決まる燃料消費量最少特性であることを特徴とする。
この構成により、燃料消費量最少特性に対応して、可変ピッチプロペラを制御することができる。
請求項9に記載の本発明は、請求項8に記載の可変ピッチプロペラ制御装置において、前記燃料消費量最少特性は、船速を考慮して求めた特性であることを特徴とする。
この構成により、船速に応じて変化する燃料消費量最少特性を考慮して可変ピッチプロペラを制御することができる。
請求項10に記載の本発明は、請求項7から請求項9のうちの1項に記載の可変ピッチプロペラ制御装置において、前記可変ピッチプロペラの回転数とピッチ角の関係を示す可変ピッチプロペラ特性データに基づき制御を行ったことを特徴とする。
この構成により、ピッチ角の制御を可変ピッチプロペラ特性データに基づいて行うことができる。
請求項11に記載の本発明は、請求項7から請求項10のうちの1項に記載の可変ピッチプロペラ制御装置において、前記プロペラ効率特性は、前記可変ピッチプロペラのピッチ角を変えた性能を基に、前記船体の船体抵抗と船速の関係、自航要素および伝達効率を考慮して求めたことを特徴とする。
この構成により、可変ピッチプロペラ制御において考慮されるプロペラ効率特性に、船体に備えられたプロペラの状態を反映させることができる。
請求項12に記載の本発明は、請求項7から請求項11のうちの1項に記載の可変ピッチプロペラの制御装置において、前記プロペラ効率特性に対し、前記船体への海象の影響に基づく補正を行ったことを特徴とする。
この構成により、海象による船体への影響を可変ピッチプロペラ制御に反映させることができる。
請求項13に記載の本発明は、請求項12に記載の可変ピッチプロペラ制御装置において、前記燃料消費量最少特性を船体抵抗別に複数有しており、前記制御手段が船速と前記主機の出力の関係から波浪による抵抗増加量の程度を推定して、使用する前記燃料消費量最少特性を決めたことを特徴とする。
この構成により、直接評価することが困難な波浪の影響を取得の容易な情報に基づいて推定し、推定に基づいて使用する前記プロペラ効率特性を決めることができる。
この構成により、主機燃料消費率特性と可変ピッチプロペラのプロペラ効率特性とを考慮した燃料消費量特性に基づいて制御される可変ピッチプロペラにより、船舶を推進できる。
特に、主機の出力と回転数により決まる燃料消費量最少特性を用いることにより、出力あるいは回転数、あるいはその近似値を使用して燃料消費量が最少となる運転条件を得ることができる。
また、燃料消費量最少特性として船速を考慮して求めた特性を用いることにより、船速の維持を燃料消費量最少特性に対応させて制御することができる。
また、プロペラ効率特性として、可変ピッチプロペラのピッチ角を変えた性能を基に、船体の船体抵抗と船速の関係、自航要素および伝達効率を考慮して求めたものを用いることにより、主機燃料消費率特性との関連付けが容易にできる。
また、海象による船体への影響などを考慮して制御に反映させることにより、風や波のある実際の海面を航行する状況においても、平水中同様、高い水準の省エネルギー運行が可能となる。
また、主機の出力の関係から、海象の影響としての波浪による抵抗増加量の程度を推定して制御をおこなった場合は、直接評価することが困難な波浪の影響を取得の容易な情報に基づいて推定することができ、波浪の程度に応じて複数の燃料消費量最少特性を選択し得る。
さらに、船舶に本発明の可変ピッチプロペラ装置を搭載した場合は、主機燃料消費率特性と可変ピッチプロペラのプロペラ効率特性とを考慮した燃料消費量特性に基づいて制御される可変ピッチプロペラにより船舶を推進でき、従来よりも高い水準の省エネルギー運行が可能となる。
同図に示すように、自動負荷制御方法は、(N,P)の組み合わせをプロペラ回転数の3乗に所定の係数を乗じた式により表される曲線に乗せるように主機(原動機)の出力を制御するものである。この方法は、同図に示す3乗曲線(P=a×N3)とプロペラ効率が最高の点を結んだ曲線とが近似していることから、プロペラ効率に着目して推進効率が良くなるように制御する方法である。なお、上記所定の係数aとしては、船の形状や使用される状況に応じた値が適宜用いられる。
主機は、同図に縦方向の直線(実線)を用いて示すように主機許容回転数以下で用いられる。また、ある回転数において、出力を所定値以上に上げると不完全燃焼による煙(黒煙)をあげ、ひいては燃料を供給することができなくなる。このような現象は、図7に実線を用いて示した主機過負荷曲線の左側の領域において生じる。この主機過負荷曲線の左側の領域を過負荷領域(サージングゾーン)という。過負荷保護方法は、主機の出力とプロペラの回転数の関係を示す折れ線として記憶し、主機の運転状態が過負荷領域に入らないよう制御する方法である(特許文献2、特許文献4参照)。この制御方法は、不完全燃焼が生じる条件における運転を避けるためのものであり、主機が通常運転される過負荷領域ではない領域における燃費特性について何ら考慮するものではない。
上述した方法の機能以外の機能を持つ制御が行われる場合もあるが、従来の自動負荷制御方法において、主機の主機燃料消費率特性(より具体的には、図7における主機過負荷曲線と主機許容回転数を示す直線により挟まれる領域における主機の主機燃料消費率特性、図2参照)を考慮したものはない。
そこで、本発明は、プロペラの推進器性能のみならず主機の主機燃料消費率特性をも考慮し、両者のかけ算である燃料消費量の最低点を狙った制御を行う。このように主機の主機燃料消費率特性をも考慮して可変ピッチプロペラのピッチ角を制御することにより、従来の方法よりも高い水準の省エネルギー化を実現することができる。このことは、究極的な省エネルギー化につながるものである。
図1はCPPの性能特性曲線を示したグラフであり、横軸が可変ピッチプロペラの回転数(N)を示し、縦軸が主機の出力(P)を示している。なお、可変ピッチプロペラと主機の回転数は、主機直結の場合には等しく、減速機を装備している場合には、その減速比に比例する。また、主機の出力は可変ピッチプロペラとほぼ等しい。同グラフは、破線で示す曲線が基準ピッチ角p0である可変ピッチプロペラの特性を示す性能曲線であり、点線で示す曲線が基準ピッチ角とは異なるピッチ角(p0−dp、p0+dp、p0+2dp)である可変ピッチプロペラの特性を示す性能曲線である。図1のグラフから、可変ピッチプロペラのピッチ角を変えることにより回転数と出力との関係が変わることが分かる。
また、図1には、実線により等船速線(所定の速度となる回転数と出力の組み合わせを示す線)も記入している。この等船速線により、可変ピッチプロペラのピッチ角を変えると同じ船速を実現するために必要な出力(必要出力)が変化することが分かる。
なお、等ピッチ角での回転数と出力の関係を示す性能曲線は、P=a×N3により表される曲線(カーブ)に近い。ここでaは定数であり、プロペラの形状やピッチ角によって異なる値をとる。
ある船速(V0)で運航する場合、プロペラの回転数と主機の出力との間には図1に実線で示した関係がある。このため、回転数N(Q)を決めると、図1のグラフから回転数N(Q)に対応する必要出力P(Q)(kw)を読み取ることができる。そして、回転数N(Q)、必要出力P(Q)における燃料消費率Fr(Q)(g/kW/H)を図2から読み取ることができる。この結果として、1時間当たりの燃料消費量F(g/H)が必要出力P(Q)と燃料消費率E(Q)の積として得られる。
本実施形態では、本発明を船舶の可変ピッチプロペラ(CPP)制御方法として実施する場合について説明する。本実施形態の可変ピッチプロペラ制御方法は、主機と主機により駆動される可変ピッチプロペラを、主機の主機燃料消費率特性と可変ピッチプロペラのプロペラ効率特性とを考慮した燃料消費量特性に基づいて制御するものである。主機の主機燃料消費率特性を考慮することで、プロペラの性能のみを考慮した場合に比して、燃料消費効率を向上させることができる。
ここで「自航要素」としては、プロペラが船体の後ろに設けられることによる影響を反映する伴流係数や、プロペラの働きが船体におよぼす影響の程度を示す指数であるスラスト減少係数が挙げられる。
プロペラ効率特性として、可変ピッチプロペラのピッチ角を変えた性能を基に、船体の船体抵抗と船速の関係、自航要素および伝達効率を考慮して求めたものを用いることにより、プロペラへの必要入力と主機出力が対応させることができるので、主機燃料消費率特性との関連付けが容易にできる。
また、船体に対する海象の影響を特定する方法としては、「船速と前記主機の出力」の関係から海象の影響としての「波浪による抵抗増加量の程度を推定」して、使用するプロペラ効率特性を特定する方法を用いることができる。
(1)船員が主機出力Pを設定する。(主機の燃料噴射量を調節するガバナーを調節する。)
(2)制御手段で主機の出力Pを図4に適用し、燃料消費量最少曲線にぶつけ主機の回転数Nを得る。(主機とプロペラが直結されている場合、主機の回転数Nはプロペラの回転数Nと等しい。)
(3)次に制御手段で、図1に上記の出力Pと回転数Nを適用する。(図1の線図は、プロペラ単体効率に自航要素、伝達効率を加味した状態、要するに船体に実装された状態を想定して模型試験から得る。また、実績データ等より推定することも可能である。)
(4)現在の運転状況に対応する出力P’と回転数N’のP’に基づいて、図4にP=P’の直線を引き、この直線と燃料消費量最少曲線の交点からNを求め、このNに近づくようにCPPのピッチ角を制御する。次に運転状況をサンプリングする時間には、その時点における運転状況は変化しP”とN”になるので、更にP=P”の直線と燃料消費量最少曲線の交点からNを求める。時間の経過に伴い刻々と変化する運転状況に対応して、上述した制御と同様の制御を繰り返す。
(5)波浪中を航行している場合は、船体抵抗が増加するので出力Pと回転数Nを図1に相当する線図として複数用意する。また、同様な理由から図4の燃料消費量最少曲線も複数本用意する。
(6)船速と出力の関係から波浪による船体抵抗増加量を推定し、図1に相当する線図を複数本のうちから選択し、図4の燃料消費量最少曲線も複数本のうちから選択して適用する。
これにより、直接評価することが困難な波浪の影響を取得の容易な情報に基づいて推定することができ、波浪の程度に応じて複数の燃料消費量最少特性を選択し得る。
本実施形態では、可変ピッチプロペラ制御装置を備えた船舶として本発明を実施する場合について、図5を参酌して説明する。
図5は、可変ピッチプロペラ制御装置ならびに同制御装置を搭載した船舶の概略を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態の船舶1は、出力設定手段30、制御手段40、主機50および可変ピッチプロペラ60を有する可変ピッチプロペラ制御装置2を備えている。船舶1は、実際の速度を測定する船速計70を備えている。船速計70により測定された船速は、海象により船舶1が受けている抵抗を評価するためにも用いられる。
出力設定手段30の設定に基づいて、制御手段40が主機50および可変ピッチプロペラ60を制御する。出力設定手段30は、たとえば、主機50に燃料を供給するためのスロットル開閉に用いられる手段や、可変ピッチプロペラ60のピッチ角を設定するための手段などであってもよい。
制御手段40は、出力設定手段30から入力された出力を目標出力として、主機50および可変ピッチプロペラ60の制御を行うものである。ただし、上述したとおり、出力設定手段30は、直接、出力を設定するものに限られない。このため、出力設定手段30により設定された出力ではなく、船速を設定し船速計70により測定された実際の船速を制御手段40による制御に用いることとしてもよい。
主機燃料消費率特性記憶部41は、主機50の主機燃料消費率特性に関する情報(図2)を記憶するものである。
また、燃料消費量特性制御部43から出力された回転数および船速の情報および可変ピッチプロペラ特性データ記憶部45に記憶されている情報に基づいて、可変ピッチプロペラ制御部46が可変ピッチプロペラ60を制御する。また、燃料消費量特性制御部43は、主機50の出力を直接計測する出力計51から入力された出力、または船速計70により計測され入力された船速のいずれを上述した制御に用いてもよい。
本発明の可変ピッチプロペラ制御方法を実施する際に用いられる燃料消費量特性の一例である燃料消費量最少曲線を求める方法の具体例について以下に説明する。ただし、本実施例の方法は一例であり、本発明は本実施例の方法により実施されるものに限られない。
(2)可変ピッチプロペラ(CPP)のピッチ角を変えた場合における回転数Nと出力Pとの関係を示す性能曲線を特定する。性能曲線の特定は、例えば、CPPのプロペラメーカから提供された情報に基づいて行う。
(3)(2)で性能曲線を特定したCPPを実際に船体に設置した場合に問題となる船体の抵抗と船速の関係、自航要素と通称される数値および伝達効率などは、一般に用いられる通常の推定法あるいは水槽試験により得る。
(4)上記(2)および(3)により、図1のCPPの性能特性曲線を示したグラフを描く。
(5)図1のグラフにおいて実線で示す同一船速線上における点を何点か選び、当該選んだ点の回転数Nと出力Pを読み取る。
(6)上記(5)の各点に対応する燃料消費率Frを図2上で読み取る(図1で選んだ点と同じ点(N、P)における燃料消費率を読み取る。)。
(7)各点(N、P)における燃料消費量Fは、下記の式に示すように、燃料消費率Frと出力Pの積として得られる。
F=FrxP
そして、図3に示すように、燃料消費量Fは各船速毎に回転数Nの関数となる。
(8)船速Vを変えて上記(5)から(7)の手順を繰り返し、各船速において燃料消費量Fが最少となる点を求め、当該求めた点を結ぶことにより図3に示す燃料消費量最少曲線が得られる。
(9)燃料消費量Fが最少となる回転数Nminは、図3の燃料消費量最少曲線から各船速Vごとに読み取ることができる。そこで、各船速Vにおける回転数Nminに対応するCPPの出力Pを図1から読み取る。このようにして得られた、図3の燃料消費量最少点に対応する回転数Nminと出力Pとの組み合わせにより特定される点を結んで得られる燃料消費量最少曲線を図2に追記したものが図4である。
以上により平穏な海面(平水)での燃料消費量最少曲線を描くことができる。
実施例1は平水すなわち風や波のない水面を想定している。しかしながら、風や波浪のある実際の海面を航行する状況では上記(3)における船体の抵抗が変わる。そこで、本実施例では、風や波浪などの海象の影響を考慮した燃料消費量最少曲線を作成する場合について説明する。すなわち、実施例1の(3)のプロセスに下記(10)(11)を追加することにより、船体の抵抗をも考慮した可変ピッチプロペラ制御方法を実施することができる。
(10)図1のCPPの性能特性曲線を得るために、例えば抵抗10%増し、20%増しなどの複数の条件において通常の推定法あるいは水槽試験を実施し、抵抗増加がある場合の燃料消費量最少曲線を作成する。
なお(3)に記載した自航要素や伝達効率などは海象による変化が少ないというのが定説なので、抵抗増加だけを考えておけば実用上は十分である。
(11)海上を航行しているときにおいて、船体の抵抗が平水中と比べてどの程度増加しているかを正確に判断することは困難である。しかし、図1から分かるとおり、必要出力に対する海象(抵抗増加)の影響は、プロペラピッチ(回転数)よりも船速の方に大きく現れる。また抵抗増加量が多少変っても燃料消費量最少曲線の変化は大きくないことが分かっているので、抵抗増加量を正確に特定する必要性は小さい。そこで、回転数と出力の組み合わせから、複数の燃料消費量最少曲線のうちのどの曲線上に位置するかを判断し、上記(10)の異なる抵抗増加量における燃料消費量最少曲線のうちどの曲線を使うかを決めればよい。
2 可変ピッチプロペラ制御装置
30 出力設定手段
40 制御手段
41 主機燃料消費率特性記憶部
42 プロペラ効率特性記憶部
43 燃料消費量特性制御部
44 主機制御部
45 可変ピッチプロペラ特性データ記憶部
46 可変ピッチプロペラ制御部
50 主機
51 出力計
60 可変ピッチプロペラ
70 船速計
Claims (14)
- 主機と前記主機により駆動される可変ピッチプロペラを、前記主機の主機燃料消費率特性と前記可変ピッチプロペラのプロペラ効率特性とを考慮した燃料消費量特性に基づいて制御したことを特徴とする可変ピッチプロペラ制御方法。
- 前記燃料消費量特性は、船体に搭載する主機の出力と回転数により決まる燃料消費量最少特性であることを特徴とする請求項1に記載の可変ピッチプロペラ制御方法。
- 前記燃料消費量最少特性は、船速を考慮して求めた特性であることを特徴とする請求項2に記載の可変ピッチプロペラ制御方法。
- 前記プロペラ効率特性は、前記可変ピッチプロペラのピッチ角を変えた性能を基に、前記船体の船体抵抗と船速の関係、自航要素および伝達効率を考慮して求めたことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の可変ピッチプロペラ制御方法。
- 前記プロペラ効率特性に対し、前記船体への海象の影響に基づく補正を行ったことを特徴とする請求項2から請求項4のうちの1項に記載の可変ピッチプロペラ制御方法。
- 船速と前記主機の出力の関係から、海象の影響としての波浪による抵抗増加量の程度を推定して、使用する前記燃料消費量特性を決めたことを特徴とする請求項5に記載の可変ピッチプロペラ制御方法。
- 船体を推進する原動機としての主機と、
前記主機により駆動される可変ピッチプロペラと、
前記主機の出力を設定する出力設定手段と、
前記出力設定手段の設定と前記主機の主機燃料消費率特性と前記可変ピッチプロペラのプロペラ効率特性とを考慮した燃料消費量特性に基づいて前記主機と前記可変ピッチプロペラを制御する制御手段を備えたことを特徴とする可変ピッチプロペラ制御装置。 - 前記燃料消費量特性は、前記船体に搭載する前記主機の出力と回転数により決まる燃料消費量最少特性であることを特徴とする請求項7に記載の可変ピッチプロペラ制御装置。
- 前記燃料消費量最少特性は、船速を考慮して求めた特性であることを特徴とする請求項8に記載の可変ピッチプロペラ制御装置。
- 前記制御手段は、前記可変ピッチプロペラの回転数とピッチ角の関係を示す可変ピッチプロペラ特性データに基づき制御を行ったことを特徴とする請求項7から請求項9のうちの1項に記載の可変ピッチプロペラ制御装置。
- 前記プロペラ効率特性は、前記可変ピッチプロペラのピッチ角を変えた性能を基に、前記船体の船体抵抗と船速の関係、自航要素および伝達効率を考慮して求めたことを特徴とする請求項7から請求項10のうちの1項に記載の可変ピッチプロペラ制御装置。
- 前記プロペラ効率特性に対し、前記船体への海象の影響に基づく補正を行ったことを特徴とする請求項7から請求項11のうちの1項に記載の可変ピッチプロペラの制御装置。
- 前記燃料消費量最少特性を船体抵抗別に複数有しており、前記制御手段が船速と前記主機の出力の関係から波浪による抵抗増加量の程度を推定して、使用する前記燃料消費量最少特性を決めたことを特徴とする請求項12に記載の可変ピッチプロペラ制御装置。
- 請求項7から請求項13のうちの1項に記載の可変ピッチプロペラ制御装置を搭載したことを特徴とする船舶。
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