JP2013006389A5 - - Google Patents
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上記課題を解決するために、本発明に係る複合成形体の製造方法は、予め成形した、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂からなる繊維強化樹脂Aを予備成形体として型内に配置し、該型内の前記繊維強化樹脂A周りに液状化した樹脂Bを供給して前記繊維強化樹脂Aをインサート成形する複合成形体の製造方法であって、前記繊維強化樹脂Aの前記樹脂Bに接触する側面として、互いに逆方向に凹型に傾斜する少なくとも2つの傾斜面を有する形状の側面で、かつ、その側面の少なくとも一部に、深さが前記繊維強化樹脂Aの厚みTに対し0.1T〜0.9Tの範囲内にあるアンダーカット形状を有する形状の側面を、インサート成形前に形成しておき、インサート成形前に前記繊維強化樹脂Aを型の内面上に配置し、前記繊維強化樹脂Aが複合成形体の少なくとも一方の表面に配置されるように前記樹脂Bを供給することを特徴とする方法からなる。
このような本発明に係る複合成形体の製造方法においては、インサート成形される繊維強化樹脂Aには、樹脂Bに接触する側面として、互いに異なる角度で、とくに互いに逆方向に、凹型に傾斜する少なくとも2つの傾斜面を有する形状の側面が、インサート成形前に形成されている。インサート成形時には、樹脂Bがこの傾斜面を有する繊維強化樹脂Aの側面部にも流れ込んでくることになるが、もしこの側面部に樹脂Bが流れ込みにくい閉空間が形成されてしまうと、前述の如く繊維強化樹脂Aと樹脂Bとの接着性を向上させる目的を達成し難くなり、その部位に望ましくない溝や空間が形成されて、水分の侵入などによる環境耐久性の問題を引き起こしたり、複合成形体の外観の品位を低下させたりする問題を招くおそれがある。しかし本発明では、繊維強化樹脂Aの側面が少なくとも2つの傾斜面を有する形状の側面に形成されており、これら2つの傾斜面は互いに逆方向に凹型に傾斜する傾斜面からなるので、両傾斜面間の角度は、例えば一つの面からなる側面(例えば一つの傾斜面からなる側面)と、繊維強化樹脂Aが配置された型の内面(例えば、繊維強化樹脂Aの上下面のいずれか一方の面が接する型の内面)との間の角度に比べ、容易にはるかに大きな角度とされる。したがって、両傾斜面間には、樹脂Bが流れ込みにくい閉空間は形成され難くなり、樹脂Bは繊維強化樹脂Aの側面全面にわたって良好に接触するまで流れ込むことが可能になる。その結果、繊維強化樹脂Aと樹脂Bとの接着性およびその信頼性が確保され、かつ、得られる複合成形体の外観の品位の低下も防止される。そして、繊維強化樹脂Aの側面が互いに逆方向に凹型に傾斜する少なくとも2つの傾斜面を有し、かつ、両傾斜面間には上記の如く樹脂Bが望ましくない閉空間を形成することなく良好に流れ込んでくるので、複合成形体として、樹脂Bから繊維強化樹脂A部が極めて脱落しにくい形態が達成され(つまり、繊維強化樹脂Aの側面部には繊維強化樹脂A本体側に入り込んだ凹型形状、とくに本発明ではアンダーカット形状が形成される形態が達成され)、繊維強化樹脂Aと樹脂Bとの間の接合強度が極めて高い複合成形体が実現される。
なお、上記繊維強化樹脂Aの側面に形成される、互いに異なる角度で凹型に傾斜する少なくとも2つの傾斜面は、両傾斜面の端部同士が直接接続されて両傾斜面間に角度の変曲点を有する形態とすることもできるし、両傾斜面間に両傾斜面の中間の角度の側面部分を有する形態とすることもできるし、両傾斜面間を断面形状が円弧状の側面部分で接続した形態とすることもできる。また、互いに異なる角度で凹型に傾斜する少なくとも2つの傾斜面は、必ずしも、逆方向に同じ角度で傾斜している必要はなく、互いに異なる角度で逆方向に傾斜していてもよい。
上記本発明に係る複合成形体の製造方法においては、前記繊維強化樹脂Aの側面として、互いに逆方向に傾斜する少なくとも2つの傾斜面を有し、該側面のいずれかの部分が多かれ少なかれ繊維強化樹脂A本体側に入り込んだアンダーカット形状が形成されることになるが、この側面の少なくとも一部に、深さが繊維強化樹脂Aの厚みTに対し0.1T〜0.9Tの範囲内にあるアンダーカット形状をインサート成形前に形成しておく。アンダーカット形状の深さが0.1T未満であると、上述の閉空間を形成する可能性が残るだけでなく、アンダーカット形状による樹脂Bの繊維強化樹脂Aの保持強度が低くなり、成形後における繊維強化樹脂Aと樹脂Bとの間の接合強度が低下するおそれがある。アンダーカット形状の深さが0.9Tを超えると、同様にアンダーカット形状による樹脂Bの繊維強化樹脂Aの保持強度が低くなるだけでなく、繊維強化樹脂Aの厚みTに対してアンダーカット形状の深さが深くなりすぎ、また、傾斜面の傾斜角も大きくなりすぎるおそれがあるため、この繊維強化樹脂Aの側面部に樹脂Bが流れ込みにくくなるおそれがある。
そして、繊維強化樹脂Aが成形されるべき複合成形体中のどの位置に配置されるかについては、本発明では、インサート成形前に上記繊維強化樹脂Aを型の内面上に配置し、上記繊維強化樹脂Aが複合成形体の少なくとも一方の表面に配置されるように前記樹脂Bを供給することとしている。すなわち、上記繊維強化樹脂Aが複合成形体の少なくとも一方の表面に配置されていると、インサート成形前に繊維強化樹脂Aを型の内面上に配置すればよいことになるので、型内への繊維強化樹脂Aの配置、ひいては、樹脂Bの供給によるインサート成形が容易化される。
本発明に係る複合成形体は、互いに逆方向に凹型に傾斜する少なくとも2つの傾斜面を有する形状の側面で、かつ、その側面の少なくとも一部に、厚みTに対し深さが0.1Tから0.9Tの範囲内にあるアンダーカット形状を有する形状の側面を有する、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂からなる繊維強化樹脂Aが、液状化した樹脂Bの供給により複合成形体の少なくとも一方の表面に配置されるようにインサート成形されていることを特徴とするものからなる。このような複合成形体は、上述したような方法により製造できる。
また、本発明に係る複合成形体においては、上記繊維強化樹脂Aが繊維強化樹脂を積層・一体化されたものであることも好ましい形態である。
Claims (16)
- 予め成形した、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂からなる繊維強化樹脂Aを予備成形体として型内に配置し、該型内の前記繊維強化樹脂A周りに液状化した樹脂Bを供給して前記繊維強化樹脂Aをインサート成形する複合成形体の製造方法であって、前記繊維強化樹脂Aの前記樹脂Bに接触する側面として、互いに逆方向に凹型に傾斜する少なくとも2つの傾斜面を有する形状の側面で、かつ、その側面の少なくとも一部に、深さが前記繊維強化樹脂Aの厚みTに対し0.1T〜0.9Tの範囲内にあるアンダーカット形状を有する形状の側面を、インサート成形前に形成しておき、インサート成形前に前記繊維強化樹脂Aを型の内面上に配置し、前記繊維強化樹脂Aが複合成形体の少なくとも一方の表面に配置されるように前記樹脂Bを供給することを特徴とする、複合成形体の製造方法。
- 前記繊維強化樹脂Aが繊維強化樹脂を積層・一体化して得られたものである、請求項1に記載の複合成形体の製造方法。
- 前記繊維強化樹脂Aが、数平均繊維長2mm以上の強化繊維を含む繊維強化樹脂からなる、請求項1または2に記載の複合成形体の製造方法。
- 前記繊維強化樹脂Aの強化繊維が連続繊維であり、かつ、一方向に配向されている、請求項1〜3のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記液状化した樹脂Bが射出成形または射出圧縮成形により型内に供給される、請求項1〜4のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記樹脂Bが熱可塑性樹脂からなる、請求項1〜5のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記樹脂Bが数平均繊維長2mm未満の強化繊維を含む樹脂からなる、請求項1〜6のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 前記繊維強化樹脂Aの強化繊維、および/または、前記樹脂Bの強化繊維が炭素繊維を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
- 互いに逆方向に凹型に傾斜する少なくとも2つの傾斜面を有する形状の側面で、かつ、その側面の少なくとも一部に、厚みTに対し深さが0.1Tから0.9Tの範囲内にあるアンダーカット形状を有する形状の側面を有する、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂からなる繊維強化樹脂Aが、液状化した樹脂Bの供給により複合成形体の少なくとも一方の表面に配置されるようにインサート成形されていることを特徴とする複合成形体。
- 前記繊維強化樹脂Aが繊維強化樹脂を積層・一体化されたものである、請求項9に記載の複合成形体。
- 前記繊維強化樹脂Aが、数平均繊維長2mm以上の強化繊維を含む繊維強化樹脂からなる、請求項9または10に記載の複合成形体。
- 前記繊維強化樹脂Aの強化繊維が連続繊維であり、かつ、一方向に配向されている、請求項9〜11のいずれかに記載の複合成形体。
- 前記液状化した樹脂Bが射出成形または射出圧縮成形により型内に供給される、請求項9〜12のいずれかに記載の複合成形体。
- 前記樹脂Bが熱可塑性樹脂からなる、請求項9〜13のいずれかに記載の複合成形体。
- 前記樹脂Bが数平均繊維長2mm未満の強化繊維を含む樹脂からなる、請求項9〜14のいずれかに記載の複合成形体。
- 前記繊維強化樹脂Aの強化繊維、および/または、前記樹脂Bの強化繊維が炭素繊維を含む、請求項9〜15のいずれかに記載の複合成形体。
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