JP2013006302A - ロール状スタンパ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】スタンパの外周面に形成した転写パターンを、継ぎ目のない状態でもってプレート、シートに転写することができ、かつ支持ロールに対して着脱交換可能なロール状スタンパ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】外周面に転写パターンを備えた円筒形状のスタンパ内に支持ロールを嵌入して備えたロール状スタンパであって、前記スタンパ3の熱膨張係数よりも前記支持ロール5の熱膨張係数の方が小さく、かつ前記スタンパ3と前記支持ロール5との嵌め合いは、常温において相対的に挿脱可能な嵌め合いであり、前記支持ロール5内に加熱手段11を備えており、前記スタンパ3はNi又はNi合金であり、前記支持ロール5はAl又はAl合金である。
【選択図】図1
【解決手段】外周面に転写パターンを備えた円筒形状のスタンパ内に支持ロールを嵌入して備えたロール状スタンパであって、前記スタンパ3の熱膨張係数よりも前記支持ロール5の熱膨張係数の方が小さく、かつ前記スタンパ3と前記支持ロール5との嵌め合いは、常温において相対的に挿脱可能な嵌め合いであり、前記支持ロール5内に加熱手段11を備えており、前記スタンパ3はNi又はNi合金であり、前記支持ロール5はAl又はAl合金である。
【選択図】図1
Description
本発明は、外周面に転写パターンを備えた円筒形状のスタンパ内に、支持ロールを嵌入して備えたロール状スタンパに係り、さらに詳細には、前記支持ロールに対してスタンパの着脱交換を容易に行うことのできるロール状スタンパ及びその製造方法に関する。
従来、樹脂製の板やシートの表面に微細な凹凸のパターンを転写加工する場合、ロール状のスタンパが使用されている。上記ロール状のスタンパは、電鋳加工方法によって形成されたシート状の電鋳スタンパを、ロールの外周面に固定することによって構成されている(特許文献1参照)。
上記構成においては、ロールを回転して電鋳スタンパのパターンを樹脂製の板やシートに転写する場合、継ぎ目部が転写されるという問題がある。そこで、継ぎ目のない転写を行うロール状スタンパが提案されている(例えば特許文献2、3参照)。
前記特許文献2に記載の発明は、円筒形状の元型の内周面に感光性樹脂であるレジストを所定厚さに塗布した後、レジスト層の表面にレーザヘッドによりレーザビームを照射して露光を行ってする。そして、前記元型の内周面に無電解メッキを施してコンタクト層を形成した後に、電鋳加工を行って反転型である円筒形状の金属層を形成し、この金属層を元型から分離している。そして、この円筒形状の金属層の内周部分に支持ロールを冷却嵌めすることによってロール状スタンパを製造している。
したがって、特許文献2に記載の発明によれば、ロール表面に継ぎ目のないパターンを形成することができる。しかし、円筒形状の金属層内に支持ロールを冷却嵌めするものであるから、支持ロールを冷却するための冷却装置が必要であると共に、前記金属層内に支持ロールを冷却嵌めした後は、支持ロールに対して前記金属層を着脱交換することが難しいという問題がある。
前記特許文献3に記載の発明においては、表面に凹凸のパターンを形成したシート状の可撓性マスターの裏面を円筒型の内周面に接する様に配置して円筒形状に形成する。そして、前記円筒型の内部を電鋳液で満たして電鋳加工を行い、前記可撓性マスターの内周面に所定厚さの電鋳膜を析出させた後、電鋳膜を円筒状(ロール状)のスタンパとして得るものである。その後、上記スタンパ内にロール基材を嵌入すると共に、上記スタンパとロール基材とを接着層を介して一体化してある。
上記構成においては、シート状の可撓性マスターを、円筒型の内周面に接するように円筒形に形成するものであるから、可撓性マスターの両端縁の接合部が、電鋳加工によって得られたロール状スタンパの外周面に表われるという問題がある。また、ロール状スタンパとロール基材が接着層を介して一体化してあることにより、ロール基材に対するロール状スタンパの着脱交換が難しいという問題がある。
なお、特許文献3には、ロール状スタンパの内周面をテーパ状に形成すると共に、ロール基材の外周面をテーパ状に形成して、ロール基材に対してロール状スタンパを交換することが記載されている。しかし、この構成においては、ロール状スタンパが薄いことによりテーパ角は小さなものとなり、ロール状スタンパとロール基材とがテーパ嵌合すると、ロール状スタンパとロール基材とを分離するには大きな力を必要となり、ロール基材に対するロール状スタンパの着脱交換は難しいものである。
本発明は、前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、外周面に転写パターンを備えた円筒形状のスタンパ内に支持ロールを嵌入して備えたロール状スタンパであって、前記スタンパをなす材料の熱膨張係数よりも前記支持ロールをなす材料の熱膨張係数の方が大きく、かつ前記スタンパと前記支持ロールとの嵌め合いは、常温において相対的に挿脱可能な嵌め合いであることを特徴とするものである。
また、前記ロール状スタンパにおいて、前記支持ロール内に加熱手段を備えていることを特徴とするものである。
また、前記ロール状スタンパにおいて、前記スタンパはNi又はNi合金であり、前記支持ロールはAl又はAl合金であることを特徴とするものである。
また、外周面に転写パターンを備えた円筒形状のスタンパ内に支持ロールを嵌入して備えたロール状スタンパの製造方法であって、
(a)断面形状が円形状の基材の外周面に筒状の弾性部材を備え、この弾性部材の外周面に転写パターンを形成する工程、
(b)前記弾性部材の内外を裏返して前記基材に嵌合する工程、
(c)内外を裏返した前記弾性部材の外周面に円筒形状の保護管を備える工程、
(d)前記弾性部材内から前記基材を取り外す工程、
(e)前記基材を取り外した前記弾性部材の内周面に、電鋳加工によって円筒形状の電鋳スタンパを形成する工程、
(f)前記弾性部材の内周面から取り外した電鋳スタンパに支持ロールを嵌入する工程、
の各工程を備えていることを特徴とするものである。
(a)断面形状が円形状の基材の外周面に筒状の弾性部材を備え、この弾性部材の外周面に転写パターンを形成する工程、
(b)前記弾性部材の内外を裏返して前記基材に嵌合する工程、
(c)内外を裏返した前記弾性部材の外周面に円筒形状の保護管を備える工程、
(d)前記弾性部材内から前記基材を取り外す工程、
(e)前記基材を取り外した前記弾性部材の内周面に、電鋳加工によって円筒形状の電鋳スタンパを形成する工程、
(f)前記弾性部材の内周面から取り外した電鋳スタンパに支持ロールを嵌入する工程、
の各工程を備えていることを特徴とするものである。
本発明のよれば、支持ロールに対する円筒形状のスタンパの着脱交換が容易に行い得ると共に、スタンパは、外周面に継ぎ目のない構成とすることができるものである。
図1を参照するに、本発明の実施形態に係るロール状スタンパ1は、円筒形状のスタンパ3内に支持ロール5を相対的に着脱可能に嵌入してある。前記スタンパ3は、例えばアクリル、ポリカーボネート等の樹脂製の板(プレート)やシートの表面に微細な凹凸パターンを転写加工するものであって、スタンパ3の外周面には、微細な突出部7が所望のパターン(転写パターン)でもって備えられている。このスタンパ3は、電鋳加工によって得られるもので、その材質はNi又はNi合金である。なお、電鋳加工は既によく知られているので、電鋳加工についての詳細な説明は省略する。
前記支持ロール5は、前記スタンパ3の熱膨張係数よりも熱膨張係数が大きな材質、例えばAl又はAl合金から構成してあって、前記スタンパ3は、常温において支持ロール5に対して着脱交換可能に嵌合してある。すなわち、前記スタンパ3と支持ロール5は微小隙間9を保持して嵌合してある。この微少隙間(間隙)9は、前記スタンパ3の外周面に形成した転写パターンを樹脂製のプレート又はシートに転写すべく、支持ロール5を加熱したときに、前記スタンパ3をなす材料の熱膨張係数と前記支持ロール5をなす材料の熱膨張係数との差に基づいて、前記微小隙間9が消失して前記スタンパ3と支持ロール5とが不動状態に一体化する大きさである。
換言すれば、スタンパ3の転写パターンを樹脂製のプレートやシートに転写するときには、前記支持ロール5は、樹脂を軟化する温度、例えば120℃〜150℃に加熱した状態にあり、前記スタンパ3と支持ロール5は相互の熱膨張係数の差に基づいて互に一体化した状態にある。上述のように、前記支持ロール5を加熱するために、前記支持ロール5の軸心部には、適宜のヒータなどのごとき加熱手段11が備えられている。したがって、前記加熱手段11から支持ロール5の外周面への熱伝導は均等に行われることとなり、支持ロール5の外周面は全面に亘って均等に加熱されるものである。
既に理解されるように、常温においては、前記支持ロール5に対する円筒形状のスタンパ3の着脱交換が容易に行われ得ると共に、樹脂製のプレートやシート等に転写パターンを転写するときには、支持ロール5に対するスタンパ3の固定(一体化)も容易に行い得るものである。なお、スタンパ3における外周縁の一部に、スタンパ3の周方向の基準位置を示すマークを付し、かつ支持ロール5の周面の一部に周方向の基準位置を示すマークを付しておき、両マークの位置を合せることにより、支持ロール5の周方向の基準位置とスタンパ3の周方向の基準位置とを容易に一致させることができるものである。
ところで、前記スタンパ3は、次のようにして製造されるものである。すなわち、図2(A)に示すように、断面形状が円形状の金属円柱などの基材13の外周面に、例えばシリコーンゴム等の均等厚の筒状の弾性部材15を被せる。換言すれば、前記基材13の外周面を覆った状態に弾性部材15を備える。その後、適宜手段によって、例えば超音波振動した加工工具によって、或はレーザ光線によって、前記弾性部材15の外周面に、前記突出部7に対応した微細な凹部17を備えたパターンを加工する。この凹部17のパターンは、前記スタンパ3のパターンを転写された製品のパターンと同じパターン(正パターン)である。
前述のように、弾性部材15の外周面に凹部17のパターンを加工した後、前記基材13から弾性部材15を取り外し、弾性部材15の内外を裏返して基材13に再び被せるように装着する(図2(B)参照)。次に、前記弾性部材15の外周面に、例えば無電解法や真空蒸着などの適宜手段によって導電体を形成する。なお、弾性部材15が、例えば導電性シリコーンゴムなどのごとく導電性が付与されている場合には、前記導電体を形成する工程を省略することができるものである。
その後、電鋳加工によって前記弾性部材15の外周面にNi又はNi合金からなる適宜厚さの保護管19を形成する。このように、弾性部材15の外周面に、電鋳加工によって保護管19を備えることにより、弾性部材15は外力から保護されることとなり、直径が一定の円筒形状を維持することになる。前述のように、弾性部材15の外周面に保護管19を形成した後、前記弾性部材15から前記基材13を抜き出すと、すなわち基材13を取り外すと、前記弾性部材15の内周面は中空状に開放されることになる(図2(C)参照)。
前述のように、弾性部材15内から基材13を取り外した後、電鋳加工によって前記弾性部材15の内周面に、内径が前記スタンパ3に等しい円筒形状の電鋳スタンパ21を形成する(図3(A)参照)。この電鋳スタンパ21はNi又はNi合金からなるものであって、前記スタンパ3に相当するものである。このように、形成された電鋳スタンパ21を前記弾性部材15から取り外し、この電鋳スタンパ21内に支持ロール5を嵌入することにより、ロール状スタンパ1が製造されるものである。
そして、ロール状スタンパ1を用いて樹脂製のプレート、シート材にスタンパ3のパターンを転写するときには、支持ロール5に備えた加熱手段11によって支持ロール5及びスタンパ3を、樹脂が軟化する温度、例えば120℃〜150℃に加熱するものである。この際、支持ロール5とスタンパ3との熱膨張係数の差によって、支持ロール5とスタンパ3は一体的に固定した状態となるものである。したがって、スタンパ3の外周面に形成したパターンを樹脂プレート等に転写するとき、樹脂がスタンパ3に接触した部分は軟化された状態となり、この軟化した状態においてスタンパ3のパターンが転写されるものである。よって、パターンの転写が正確に行われ得るものである。
既に理解されるように、前記電鋳スタンパ21は継ぎ目のない円筒形状に形成されるものであるから、上記電鋳スタンパ21(スタンパ3)を回転して樹脂製のプレートやシートに転写パターンを転写するとき、継ぎ目のない転写を行うことができるものである。また、常温においては、支持ロール5に対してスタンパ3を容易に着脱交換することができる。したがって、複数種のスタンパ3に対して支持ロール5を共通に使用することが可能であり、多種少量生産に効果的に利用することができるものである。
1 ロール状スタンパ
3 スタンパ
5 支持ロール
9 微小隙間
11 加熱手段
13 基材
15 弾性部材
21 電鋳スタンパ
3 スタンパ
5 支持ロール
9 微小隙間
11 加熱手段
13 基材
15 弾性部材
21 電鋳スタンパ
Claims (4)
- 外周面に転写パターンを備えた円筒形状のスタンパ内に支持ロールを嵌入して備えたロール状スタンパであって、前記スタンパをなす材料の熱膨張係数よりも前記支持ロールをなす材料の熱膨張係数の方が大きく、かつ前記スタンパと前記支持ロールとの嵌め合いは、常温において相対的に挿脱可能な嵌め合いであることを特徴とするロール状スタンパ。
- 請求項1に記載のロール状スタンパにおいて、前記支持ロール内に加熱手段を備えていることを特徴とするロール状スタンパ。
- 請求項1又は2に記載のロール状スタンパにおいて、前記スタンパはNi又はNi合金であり、前記支持ロールはAl又はAl合金であることを特徴とするロール状スタンパ。
- 外周面に転写パターンを備えた円筒形状のスタンパ内に支持ロールを嵌入して備えたロール状スタンパの製造方法であって、
(a)断面形状が円形状の基材の外周面に筒状の弾性部材を備え、この弾性部材の外周面に転写パターンを形成する工程、
(b)前記弾性部材の内外を裏返して前記基材に嵌合する工程、
(c)内外を裏返した前記弾性部材の外周面に円筒形状の保護管を備える工程、
(d)前記弾性部材内から前記基材を取り外す工程、
(e)前記基材を取り外した前記弾性部材の内周面に、電鋳加工によって円筒形状の電鋳スタンパを形成する工程、
(f)前記弾性部材の内周面から取り外した電鋳スタンパに支持ロールを嵌入する工程、
の各工程を備えていることを特徴とするロール状スタンパの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011139223A JP2013006302A (ja) | 2011-06-23 | 2011-06-23 | ロール状スタンパ及びその製造方法 |
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2013006302A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013014098A (ja) * | 2011-07-05 | 2013-01-24 | Will Co Ltd | 電鋳ロール及びその製造方法 |
JP2015501550A (ja) * | 2011-12-06 | 2015-01-15 | エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー | ナノ構造スタンプ、型押しロール、ナノ構造部を連続型押しする装置および方法 |
JP2019043012A (ja) * | 2017-08-31 | 2019-03-22 | 富士フイルム株式会社 | 型ロール及び型ロールの製造方法 |
-
2011
- 2011-06-23 JP JP2011139223A patent/JP2013006302A/ja not_active Withdrawn
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