JP2013006150A - 傾斜構造の形成方法及び分散液 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造体を構成する、マイクロ粒子とナノ粒子の比率として表記される「組成」が、作製される構造体の膜厚方向、底面側から表面側へと変化している「傾斜組成」を示す「傾斜構造」の形成方法を提供する。
【解決手段】マイクロ粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液を基材上に塗布し、静置後、乾燥処理を施すことで、前記マイクロ粒子を分散液中で沈降させることにより、下層部にマイクロ粒子の層を形成し、上層部にナノ粒子の層を形成する傾斜構造の形成方法;及びその方法に使用する為の分散液であって、平均粒子径が1μm以上のマイクロ粒子と平均粒子径が1nm〜100nmのナノ粒子を溶媒中に分散した分散液。
【選択図】図1

Description

本発明は、傾斜構造を形成する方法に関する。また、本発明は、傾斜構造の形成に利用可能なマイクロ粒子とナノ粒子を含む分散液に関する。
例えばバインダー樹脂成分を含み、導電性媒体として、平均粒子径0.5μm〜20μmの金属微粉末と、平均粒子径数nm〜数10nm程度の金属ナノ粒子を配合してなる導電性金属ペーストが提案されている(特許文献1)。平均粒子径数nm〜数10nm程度の金属ナノ粒子は、直接表面を接触させると相互に融着を生じて、金属ナノ粒子相互が集塊して、分散溶媒中における均一な分散性を失う。そのため、該導電性金属ペーストに配合される金属ナノ粒子は、その表面をアルキルアミンなどで均一に被覆し、表面被覆分子層を備えた状態として、高い分散性を示す金属ナノ粒子としている。このバインダー樹脂成分を含む導電性金属ペーストを用いて作製される低温焼結型導電体層では、平均粒子径0.5〜20μmの金属微粉末相互の隙間に、金属ナノ粒子が緻密に充填され、低温焼結体の充填層を構成している。低温焼結体の充填層中では、含有されているエポキシ樹脂等のバインダー樹脂成分の硬化収縮により、金属微粉末相互を物理的に接触させ、電気導通をとる形態とすることで良好な通電性を達成している。
バインダー樹脂成分を含み、金属微粉末と金属ナノ粒子とを併用する導電性金属ペーストでは、金属ナノ粒子の表面を被覆保護しているアルキルアミンなど表面被覆分子を、低温焼成処理中に除去する必要がある。そのため、低温焼成処理に用いる加熱温度、例えば250℃程度に達した際、アルキルアミンなど表面被覆分子と反応し、その除去を促進する目的で加熱した際、アミノ基に対する反応性を示す、酸無水物、カルボン酸あるいはそれらの誘導体を、導電性金属ペーストを構成するバインダー樹脂組成物中に配合している。低温焼成処理の進行に先立ち、アルキルアミンなど表面被覆分子は配合されている酸無水物との反応を起こし、金属ナノ粒子表面より離脱し、金属ナノ粒子表面が相互に接触し、併用されている金属微粉末間の隙間に充填された状態となる。その後、低温焼成に伴い、金属ナノ粒子相互が緻密な焼結体層を構成するとともに、バインダー樹脂に利用するエポキシ樹脂の熱硬化、収縮が進行する結果、金属微粉末間の隙間を圧縮して、金属微粉末間の隙間を金属ナノ粒子相互が緻密な焼結体層が充密した導電体層が形成される。
その他、例えば、平均粒子径100nm以下の金属ナノ粒子、酸化金属ナノ粒子の表面に、表面被覆層を設けている、乾燥粉末状の金属ナノ粒子あるいは酸化金属ナノ粒子と、その調製方法が提案されている(特許文献2)。さらには、酸化金属ナノ粒子に還元処理を施すことにより、金属ナノ粒子に変換する手法も提案されている。
さらには、導電体層以外にも、種々の機能性構造体層の作製を目的とする、ペースト状組成物の開発がなされている。例えば、前駆体化合物に加えて、平均粒子径が1〜10μmのマイクロサイズ微粒子と、平均粒子径が10〜100nmのナノ粒子が分散溶媒中に分散されているペースト状組成物が提案されている(特許文献3)。
平均粒子径が1〜10nmの金属ナノ粒子と、平均粒子径が0.5〜10μmの金属微粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる分散液と、導電体層の作製に該分散液を利用する手法も提案されている(特許文献4)。
国際公開第2002/035554号パンフレット 国際公開第2005/037465号パンフレット 米国特許出願公開第2003/0108664号公報 米国特許出願公開第2005/0207930号公報
先に述べた金属ナノ粒子と金属微粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる分散液あるいはペーストは、膜厚方向に金属ナノ粒子と金属微粒子が均一に含まれる導電体層の作製に利用されている。
一方、金属微粒子と金属ナノ粒子の含有比率は膜厚方向で変化することで、傾斜組成が形成されている「傾斜構造」を形成する手法は提案されていない。「傾斜構造」を形成すると、作製される膜の裏面側と表面側とで、例えば組成が相違するため、異なる性質を示す構造体が作製可能となる。
本発明は、上記の課題を解決するものである。本発明の目的は、底面側から表面側に向かって膜厚方向に「傾斜組成」を示し、その底面側と表面側とで異なる組成を有する「傾斜構造」を形成する手法を提供することにある。本発明の目的は、特には、微粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液を利用して、簡便に高い再現性で、「傾斜構造」を形成する手法を提供することにある。また、本発明の目的は、「傾斜構造」の形成に適合する、微粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液を提供することにある。
本発明者らは、微粒子とナノ粒子を分散溶媒中に分散してなる分散液において、微粒子の平均粒子径とナノ粒子の平均粒子径を種々に変え、裏面側と表面側とで、微粒子とナノ粒子の含有比率が相違する「傾斜構造」の形成が可能であるか否かを、先ず検討した。その検討の結果、下記の知見が得られた。
分散液中に配合する微粒子として、マイクロ粒子を採用し、このマイクロ粒子とナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる分散液を調製する。分散液を基材上に塗布すると、塗布された該分散液中では、当初マイクロ粒子とナノ粒子は均一に分散している。
塗布された分散液を静置し、その後乾燥処理を施すと、図1に「自己組織化」が進行することを本発明者らは見出した。静置している間に、塗布された分散液中でマイクロ粒子の沈降が進行する。その結果、静置後、乾燥処理を施すと、下層部にマイクロ粒子の層が形成される。一方、上層部にはナノ粒子の層が形成される。
具体的には、塗布直後、基材の表面近傍には、マイクロ粒子とナノ粒子が均一に存在している。静置する間に、マイクロ粒子の沈降が進行し、基材の表面にマイクロ粒子の集積層が形成される。一方、塗布された分散液の表面側では、マイクロ粒子は存在せず、分散溶媒中にナノ粒子のみが分散している状態となる。静置後乾燥処理を施すと、下層部にマイクロ粒子の層が形成され、また上層部にはナノ粒子の層が形成された状態となる。従って、マイクロ粒子とナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる分散液を使用することで、「傾斜構造」の形成が可能である。
本発明にかかる傾斜構造の形成方法では、図1に示す現象を利用している。
すなわち本発明は、マイクロ粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液を基材上に塗布し、静置後、乾燥処理を施すことで、前記マイクロ粒子を分散液中で沈降させることにより、下層部にマイクロ粒子の層を形成し、上層部にナノ粒子の層を形成する傾斜構造の形成方法である。
また本発明は、上記方法に使用する為の分散液であって、平均粒子径が1μm以上のマイクロ粒子と平均粒子径が1nm〜100nmのナノ粒子を溶媒中に分散した分散液である。
本発明の方法によれば、マイクロ粒子とナノ粒子を溶媒中に均一に分散した分散液を使用して、下層部にマイクロ粒子の層が形成され、また上層部にはナノ粒子の層が形成される「傾斜構造」を簡便に形成することが可能となる。作製される「傾斜構造」を有する構造体層は、裏面側の組成と、表面側の組成が相違しており、それぞれ異なる機能を発揮する、多機能な構造体層として利用できる。
本発明の方法による傾斜構造の生成過程を模式的に示す図である。 本発明の方法各工程の概要を模式的に示す図である。 実施例B−1の構造体の「傾斜組成」の測定例を示す図である。
本発明の方法では、マイクロ粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液(導電性ペースト等)を使用する。ナノ粒子の平均粒子径は1nm〜100nmの範囲、好ましくは3〜50nmの範囲、より好ましくは5〜20nmの範囲に選択される。一方、マイクロ粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上である。
マイクロ粒子としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、インジウム、ビスマス、チタン、スズ、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選択される一種の金属また二種の金属からなる合金あるいは二種以上の金属の混合物からなる金属マイクロ粒子を使用できる。また例えば、金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、シリコン、チタン、バナジウム、マンガン、ジルコニウム、カルシウム、マグネシウム、スズ、アンチモン、セリウム、タンタル、タングステン、ネオジウム、ビスマス、ハフニウム、インジウム及びイッテルビウムからなる群から選択される金属を含む一種の金属酸化物または二種以上の合金酸化物あるいは二種以上の金属酸化物の混合物からなる金属酸化物マイクロ粒子を使用できる。
ナノ粒子としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、インジウム、ビスマス、チタン、スズ、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選択される一種の金属または二種以上の金属からなる合金あるいは二種以上の金属の混合物からなる金属ナノ粒子を使用できる。また例えば、金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、シリコン、チタン、バナジウム、マンガン、ジルコニウム、カルシウム、マグネシウム、スズ、アンチモン、セリウム、タンタル、タングステン、ネオジウム、ビスマス、ハフニウム、インジウム及びイッテルビウムからなる群から選択される金属を含む一種の金属酸化物または二種以上の合金酸化物あるいは二種以上の金属酸化物の混合物からなる金属酸化物ナノ粒子を使用できる。
本発明の方法は、図1に示す3つの工程を含んでいる。塗布工程では、基材の表面に、マイクロ粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液を所定の膜厚で塗布する。静置工程では、所定の時間静置し、基材の表面にマイクロ粒子の集積層を形成させる。静置時間は、マイクロ粒子の沈降速度を考慮し、マイクロ粒子の集積層の形成が完了するに十分な時間を選択する。
静置工程の後、乾燥工程を実施し、塗布膜に含まれる溶媒を蒸散させ、下層部にマイクロ粒子の層が形成され、また、上層部にはナノ粒子の層が形成される「傾斜構造」を完成させる。この乾燥工程では、後述するように、加熱処理を施すことで、塗布膜に含まれる溶媒を速やかに蒸散させる形態を採用することが可能である。
以下に、本発明にかかる傾斜構造の形成方法について、下記の4つの形態を例に挙げ、具体的に説明する。
第一の形態は、マイクロ粒子として金属マイクロ粒子を、ナノ粒子として金属ナノ粒子を採用する形態である。第二の形態は、マイクロ粒子として金属酸化物マイクロ粒子を、ナノ粒子として金属ナノ粒子を採用する形態である。第三の形態は、マイクロ粒子として金属酸化物マイクロ粒子を、ナノ粒子として金属酸化物ナノ粒子を採用する形態である。第四の形態は、マイクロ粒子として金属マイクロ粒子を、ナノ粒子として金属酸化物ナノ粒子を採用する形態である。
第一の形態では、形成される「傾斜構造」を有する構造体は、金属マイクロ粒子と金属ナノ粒子とで構成され、全体として、導電体層として機能する。第二の形態では、形成される「傾斜構造」を有する構造体は、金属酸化物マイクロ粒子と金属ナノ粒子とで構成され、全体として、基板、導電性粒子の作製に利用可能な、機能性構造体層としての用途を有する。第三の形態では、形成される「傾斜構造」を有する構造体は、金属酸化物マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子とで構成され、全体として、基板、レンズの作製に利用可能な、機能性構造体層としての用途を有する。第四の形態では、形成される「傾斜構造」を有する構造体は、金属マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子とで構成され、全体として、配線、電線、琺瑯(Vitreous enamel)の作製に利用可能な、機能性構造体層としての用途を有する。
その際、金属ナノ粒子または金属マイクロ粒子より得られる傾斜構造を加熱焼成することにより金属膜を形成することも可能である。
以下に、本発明にかかる傾斜構造の形成方法について、その第一の形態をさらに詳しく説明する。
第一の形態においては、マイクロ粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液は、金属マイクロ粒子と金属ナノ粒子を含有しており、分散液の形態となる。その際、分散液中における、該金属ナノ粒子の凝集を防止するため、その表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を、分散溶媒中に均一に分散している。また、使用する分散液中には、バインダー樹脂成分が含有されていない。
第一の形態は、下記の二つの態様を採用することが可能である。
第一の形態の第一の態様では、マイクロ粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液は、金属マイクロ粒子、金属ナノ粒子、被覆剤分子、分散溶媒とで構成される。
第一の形態の第二の態様では、金属マイクロ粒子に代えて、金属マイクロ粒子に加えて、金属サブ・マイクロ粒子を併用する。従って、第一の形態の第二の態様では、分散液は、金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子、金属ナノ粒子、被覆剤分子、分散溶媒とで構成される。
(第一の形態)
まず、第一の形態の第一の態様で使用する分散液について、以下に説明する。
該分散液中に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率をVmetal-particle、金属ナノ粒子の体積比率をVmetal-nano-particle、被覆剤分子の体積比率をVcoating-molecule、分散溶媒の体積比率をVsolventとすると、その総和(Vmetal-particle+Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、100体積%となっている。目的の「傾斜構造」の形成に使用される、導電性フィラーは、金属マイクロ粒子と金属ナノ粒子である。
金属マイクロ粒子を構成する金属種は、金、銀、銅、白金、パラジウム、インジウム、ビスマス、チタン、スズ、ニッケル、アルミニウムからなる群から選択される。通常、一種の金属からなる金属マイクロ粒子を利用するが、二種以上の金属種からなる金属マイクロ粒子の混合物、あるいは、二種以上の金属種からなる合金からなる金属マイクロ粒子を利用することもできる。特に、金属マイクロ粒子として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される、一種の金属からなる金属マイクロ粒子を使用することが好ましい。
なお、金の抵抗率は2.35μΩ・cm(20℃)、密度は19.32g/cm3;銀の抵抗率は1.59μΩ・cm(20℃)、密度は10.49g/cm3;銅の抵抗率は1.673μΩ・cm(20℃)、密度は8.95g/cm3;白金の抵抗率は、9.85μΩ・cm(20℃)、密度は21.41g/cm3;パラジウムの抵抗率は、9.93μΩ・cm(20℃)、密度は11.99g/cm3;ニッケルの抵抗率は、6.89μΩ・cm(20℃)、密度は8.908g/cm3である。
インジウムの抵抗率は8.37μΩ・cm(20℃)、密度は7.31g/cm3、融点156.6℃;ビスマスの抵抗率は120μΩ・cm、密度は9.808g/cm3、融点271.4℃;チタンの抵抗率は42.0μΩ・cm(20℃)、密度は4.50g/cm3;金属スズの抵抗率は11μΩ・cm(20℃)、密度は7.265g/cm3、融点232℃;アルミニウムの抵抗率は2.655μΩ・cm(20℃)、密度は2.699g/cm3、融点660.37℃である。
金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleは、1μm〜10μmの範囲、好ましくは2μm〜8μmの範囲、より好ましくは、3μm〜6μmの範囲に選択することが望ましい。
例えば、目的の「傾斜構造」を有する導電性構造体の膜厚tconductive-layerを、60μm≧tconductive-layer≧20μmの範囲に選択する場合、「傾斜構造」を有する導電性構造体の膜厚tconductive-layerに対して、金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleは、(1/4・tconductive-layer)≧dmetal-particle≧(1/30・tconductive-layer)の範囲、好ましくは、(1/5・tconductive-layer)≧dmetal-particle≧(1/20・tconductive-layer)の範囲に選択することが望ましい。
通常、金属マイクロ粒子の形状は、その外形は、ほぼ球形を示すものを使用する。アトマイズ法で作製される、球形の金属マイクロ粒子、あるいは、湿式法で作製される、ほぼ球形の金属マイクロ粒子を使用することが望ましい。例えば、「湿式法」、「アトマイズ法」を利用して作製される、金属マイクロ粒子は、その外形はほぼ球形であり、その粒子の体積(質量)は、ポワソン分布に類する分布を示す。該金属マイクロ粒子の体積(質量)の分布は、重量平均値VW、標準偏差√VWの正規分布と近似することができる。その際、金属マイクロ粒子の粒子径分布も、例えば、重量平均粒子径を指標として、正規分布で近似することができる。
この重量平均粒子径に基づき、前記金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleの選択基準に従って、利用する金属マイクロ粒子を選択することができる。
金属ナノ粒子を構成する金属種は、通常、一種の金属からなる金属ナノ粒子を利用するが、二種以上の金属からなる金属ナノ粒子の混合物、あるいは、二種以上の金属からなる合金からなる金属ナノ粒子を利用することもできる。特に、金属ナノ粒子として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される一種の金属からなる金属ナノ粒子を使用することが好ましい。
金属ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-nano-particleは、1nm〜100nmの範囲、好ましくは、2nm〜50nmの範囲、より好ましくは、5nm〜20nmの範囲に選択する。
金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleに対して、金属ナノ粒子自体の平均粒子径dnano-particleは、(1/50・dmetal-particle)≧dmetal-nano-particle≧(1/1000・dmetal-particle)の範囲、好ましくは、(1/100・dmetal-particle)≧dmetal-nano-particle≧(1/1000・dmetal-particle)の範囲に選択することが望ましい。
一方、金属ナノ粒子の形状は、通常、球形である。第一の形態では、球形の金属ナノ粒子を使用する。
第一の形態では、金属マイクロ粒子を構成する金属種と、金属ナノ粒子を構成する金属種を、異なる金属種に選択する態様を採用する。「傾斜構造」を有する導電性構造体の底面側と、表面側では、該構造体を構成する、金属マイクロ粒子と金属ナノ粒子の比率として表記される「組成」が相違し、前記「組成」が、導電性構造体の膜厚方向、底面側から表面側へと、連続的に変化し、「傾斜構造」が形成される。
第一の形態の第一の態様で使用する分散液に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの和(Vmetal-particle+Vmetal-nano-particle)は、40体積%〜60体積%の範囲、好ましくは、45体積%〜60体積%の範囲、より好ましくは、50体積%〜60体積%の範囲に選択することが望ましい。その際、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleを、20体積%〜50体積%の範囲、好ましくは、25体積%〜50体積%の範囲、より好ましくは、30体積%〜50体積%の範囲に選択することが望ましい。
また、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの比(Vmetal-particle:Vmetal-nano-particle)は、90:10〜60:40の範囲、好ましくは、80:20〜60:40の範囲、より好ましくは、80:20〜65:35の範囲に選択することが好ましい。
「傾斜構造」を有する導電性構造体全体において、金属マイクロ粒子と金属ナノ粒子の比率として表記される「組成」を平均すると、当然、分散液に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの比(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particlepasteと等しい、平均組成となっている。
「傾斜構造」を有する導電性構造体の底面側の組成、金属マイクロ粒子と金属ナノ粒子の比率(体積比率);(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particlebottomと、表面側の組成、金属マイクロ粒子と金属ナノ粒子の比率(体積比率);(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particletopは、(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particletop>(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particlepaste>(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particlebottomの関係を満たす。
被覆剤分子層の形成に利用される被覆剤分子は、その沸点Tcoating-molecule-b.p.が、150℃〜250℃の範囲である、アルキルアミンからなる群から選択される。例えば、被覆剤分子は、その沸点Tcoating-molecule-b.p.が150℃〜250℃の範囲の第一アルキルアミンからなる群より選択されることが望ましい。具体的には、その沸点Tcoating-molecule-b.p.が、150℃〜250℃の範囲である、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C8〜C12の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが利用できる。具体的には、炭素数8のアルキルアミンである、オクチルアミン(沸点188℃)、炭素数10のアルキルアミンである、デシルアミン(沸点220.5℃)、炭素数12のアルキルアミンである、ドデシルアミン(沸点247℃)は、実際に沸点150℃〜250℃の条件を満たしている。例えば、前記C8〜C12の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、室温付近での蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
アルキルアミンは、アミノ基の窒素原子上に存在する孤立電子対を利用して、金属ナノ粒子の表面の金属原子と、非共有結合的に分子間結合を形成することで、被覆剤分子層を形成している。この非共有結合的に分子間結合は、配位的な結合に相当しており、加熱することにより、金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成している、アルキルアミンの離脱が進行する。
第一の形態で使用する分散液中に含有される、前記被覆剤分子の含有量は、金属ナノ粒子の含有量に基づき選択される。すなわち、分散液中に含有される、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleと、その被覆剤分子層の形成に利用される被覆剤分子の体積比率Vcoating-moleculeの比(Vmetal-nano-particle:Vcoating-molecule)は、1:1〜1:2の範囲、好ましくは、1:1.1〜1:2の範囲、より好ましくは、1:1.2〜1:2の範囲に選択することが望ましい。
第一の形態の第一の態様で使用する分散液は、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる「金属ナノ粒子分散液」を「液相」とし、該「液相」中に、金属マイクロ粒子が均一に分散されている状態と見做すことができる。
「液相」に相当する「金属ナノ粒子分散液」は、金属ナノ粒子、該金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成するための被覆剤分子、ならびに、分散溶媒で構成される。
分散溶媒は、室温(25℃)において、液体であるもの、すなわち、その融点Tsolvent-m.p.が、Tsolvent-m.p.<25℃の条件を満たす有機溶媒である。
分散液中に含有される、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particle、被覆剤分子の体積比率Vcoating-molecule、分散溶媒の体積比率Vsolventの和(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)と、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの比Vmetal-nano-particle:(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、前記「金属ナノ粒子分散液」中における、金属ナノ粒子の含有比率に相当する。比Vmetal-nano-particle:(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、10:100〜30:100の範囲、好ましくは、15:100〜30:100の範囲、より好ましくは、15:100〜25:100の範囲に選択することが望ましい。
使用する分散溶媒として、金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成している、アルキルアミンのアルキル基に対して、親和性を有する、炭化水素溶媒を採用する。一方、使用する分散溶媒は、加熱処理工程中、蒸散されるが、該加熱処理工程の加熱温度Theatingでは、気泡を発生しないことが望ましい。
従って、分散溶媒は、その沸点Tsolvent-b.p.が、150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、190℃〜300℃の範囲である、炭化水素溶媒からなる群から選択される。沸点が150℃〜350℃の範囲である、炭化水素溶媒には、沸点が150℃〜350℃の範囲の非芳香族炭化水素溶媒と、沸点が150℃〜350℃の範囲の芳香族炭化水素溶媒が含まれる。沸点が150℃〜350℃の範囲の非芳香族炭化水素溶媒の一例として、沸点が150℃〜350℃の範囲の鎖式炭化水素溶媒を挙げることができる。沸点が150℃〜350℃の範囲の芳香族炭化水素溶媒の例として、具体的に、メシチレン(沸点164.73℃)を挙げることができる。
例えば、分散溶媒を、沸点Tsolvent-b.p.が150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲の鎖式炭化水素溶媒からなる群より選択することが好ましい。
例えば、分散溶媒を、沸点Tsolvent-b.p.が150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜350℃の範囲の鎖式炭化水素溶媒からなる群より選択することが好ましい。
好適に利用可能な分散溶媒として、石油系ノンアロマ炭化水素溶剤である、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント7号(平均密度 0.82g/cm3、沸点259〜282℃)などを挙げることができる。
表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる「金属ナノ粒子分散液」自体は、その液粘度μmediumは、分散溶媒の粘度μsolventよりも高いが、通常、100mPa・sを超えない範囲である。一方、第一の形態の第一の態様で使用する分散液は、金属マイクロ粒子を「金属ナノ粒子分散液」中に分散した分散液に相当し、その液粘度μpasteは上昇している。分散液中に分散されている、金属マイクロ粒子が沈降する過程は、液粘度μmediumの「金属ナノ粒子分散液」中を金属マイクロ粒子が沈降する状態と見做すこともできる。
第一の形態の第一の態様で使用する分散液は、その液粘度μpasteは、10Pa・s〜150Pa・sの範囲、好ましくは、10Pa・s〜100Pa・sの範囲であることが望ましい。前記の液粘度とすることにより、例えば、スクリーン印刷法を適用して、膜厚が30μmから、最大110μmに達する塗布膜を形成することが可能となる。
次に、第一の形態の第一の態様において、分散液を使用して、傾斜構造を有する導電性構造体を形成するプロセスについて、以下に説明する。
「傾斜構造」を有する導電性構造体の形成プロセスは、分散液を、基材表面に塗布して、塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、該塗布膜を静置し、塗布膜中に含まれる金属マイクロ粒子を沈降させ、基材表面に金属マイクロ粒子の集積層を形成する、静置処理工程と、その後、150℃〜300℃の範囲、好ましくは、150℃〜250℃の範囲に選択する温度Theatingで加熱処理を施すことにより、金属ナノ粒子の低温焼結を進行させ、前記金属マイクロ粒子の集積層に由来する下層部と、その上部に前記金属ナノ粒子の低温焼結体に由来する表層部を具える、「傾斜構造」を有する導電性構造体を形成する、加熱処理工程を具えている。
塗布膜形成工程では、分散液を、基材表面に塗布して、塗布膜を形成する際、該塗布膜の膜厚tpaste-layer-0を均一にする。そのため、例えば、スクリーン印刷法を利用して、均一な厚さで、分散液を、基材表面に塗布することが望ましい。また、塗布する基材表面は、平坦であり、水平に保持されていることが望ましい。
静置処理工程では、該塗布膜を静置し、塗布膜中に含まれる金属マイクロ粒子を沈降させ、基材表面に金属マイクロ粒子の集積層を形成する。すなわち、分散液中に含有されている、金属マイクロ粒子は、分散溶媒中における分散性は劣るため、室温で静置する間に沈降する。一方、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子は、分散溶媒中における分散性は極めて高いため、室温で静置する間に実質的に沈降を起こさない。
分散液中に分散されている、金属マイクロ粒子は、分散溶媒による浮力を受けている。また、分散液中を沈降する際には、その沈降速度に起因する抗力を受ける。金属マイクロ粒子を構成する金属の密度ρbulk、分散溶媒の密度ρsolventを用いて、金属マイクロ粒子に加わる重力と浮力の差は、Fmetal-particle-gravity=g・(ρbulk−ρsolvent)・(4π/3)・(dmetal-particle/2)3と表記できる。
金属マイクロ粒子の沈降速度をVmetal-particle-fallingと表記する際、金属マイクロ粒子は、液粘度μmediumの「金属ナノ粒子分散液」中を移動することに起因する抗力を受ける。この抗力Fmetal-particle-dragは、「金属ナノ粒子分散液」の液粘度μmediumに比例し、金属マイクロ粒子の表面積4π・(dmetal-particle/2)2に比例し、さらに、沈降速度vmetal-particle-fallingの二乗(vmetal-particle-falling2に比例すると推定される。Fmetal-particle-drag∝μmedium・4π・(dmetal-particle/2)2・(vmetal-particle-falling2の比例関係があると推定される。
従って、Fmetal-particle- gravity=Fmetal-particle-dragに達すると、金属マイクロ粒子の沈降速度vmetal-particle-fallingは、vmetal-particle-terminal-velocityで一定となる。その際、Vmetal-particle-terminal-velocityは、次のような比例関係を示す。vmetal-particle-terminal-velocity∝{(1/μmedium)・(dmetal-particle)・(ρbulk−ρsolvent)}1/2
分散液中に分散されている、金属ナノ粒子は、その表面を被覆剤分子で被覆されている。そのため、被覆剤分子層に対する、分散溶媒の親和性が高く、金属ナノ粒子が分散溶媒中を移動する際、相対的に大きな抗力を受ける。そのため、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子は、分散溶媒中では、その沈降速度vmetal-nano-particle-terminal-velocityは、実質的にvmetal-nano-particle-terminal-velocity=0と見做すことが可能である。
metal-particle-terminal-velocity≫vmetal-nano-particle-terminal-velocity=0であるため、図2に模式的に示すように、金属マイクロ粒子のみが、選択的に沈降して、基材表面に金属マイクロ粒子の集積層が形成される。この集積層を構成する金属マイクロ粒子相互の隙間には、液相、すなわち、「金属ナノ粒子分散液」が浸潤している状態となっている。金属マイクロ粒子の沈降が完了すると、金属マイクロ粒子の集積層の上面に、余剰の「金属ナノ粒子分散液」からなる「分散液層」が形成される。
従って、静置処理工程を終了した時点では、「沈降処理済塗布膜」は、図2に示すように、金属マイクロ粒子の集積層に相当する下層と、金属マイクロ粒子の集積層の上面を覆う、「分散液層」に相当する上層で構成される、二層構造を示す。
金属マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerは、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0と、分散液中に含まれる、金属マイクロ粒子の体積比率:Vmetal-particleに比例する。形成される金属マイクロ粒子の集積層中、金属マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-particle-occupancyは、例えば、「立方最密充填」状態を仮定すると、Vmetal-particle-occupancy≒0.523と見積もられる。また、使用する金属マイクロ粒子のタップ密度ρtapと、バルク金属の密度ρbulkから、Vmetal-particle-occupancy=(ρtapbulk)程度と、見積もることもできる。
従って、金属マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerは、tprecipitate-layer≒tpaste-layer-0×(Vmetal-particle/100体積%)×(1/Vmetal-particle-occupancy)程度と推定される。
前記「分散液層」の厚さtsupernateと金属マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerの合計が、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1に相当している(tpaste-layer-1≒tsupernate+tprecipitate-layer)。
勿論、静置処理工程の間、塗布膜の上面から、分散溶媒が徐々に蒸散する。そのため、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0より薄くなっている。その差(tpaste-layer-0−tpaste-layer-1)は、「静置(沈降)処理」工程の間、塗布膜の表面から蒸散する分散溶媒の液量に比例している。
分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.は、150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、190℃〜300℃の範囲であるので、「静置処理」工程の間、塗布膜の表面から蒸散する分散溶媒の液量は僅かな量となっている。従って、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が十分に厚い場合には、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1は、金属マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerよりも有意に厚い範囲となっている。すなわち、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が十分に厚い場合には、実際に、「沈降処理済塗布膜」は、図2に示すように、金属マイクロ粒子の集積層に相当する下層と、金属マイクロ粒子の集積層の上面を覆う、「分散液層」に相当する上層で構成される、二層構造を示す。
前記の条件(tpaste-layer-1>tprecipitate-layer)を満たす上では、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0は、少なくとも、110μm≧tpaste-layer-0≧30μmの範囲、好ましくは、100μm≧tpaste-layer-0≧30μmの範囲に選択することが望ましい。
一方、静置処理工程では、室温、大気圧下において、放置し、その放置時間tsettlingは、300分間≧tsettling≧25分間の範囲、好ましくは、300分間≧tsettling≧30分間の範囲に選択することが望ましい。
当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0と、金属マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerとの差(tpaste-layer-0−tprecipitate-layer)は、(tpaste-layer-0−tprecipitate-layer)<vmetal-particle-terminal-velocity・tsettlingの条件を満たす必要がある。
加熱処理工程では、「沈降処理済塗布膜」に150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingで加熱処理を施す。その際、「沈降処理済塗布膜」の上面から、分散溶媒の蒸散が進行する。また、加熱に伴って、上層の「分散液層」中に含まれる、金属ナノ粒子の表面の被覆剤分子の離脱が進行する。その表面を覆う被覆剤分子層が消失するとともに、金属ナノ粒子の分散性は失われ、金属マイクロ粒子の集積層の上面に向かって、金属ナノ粒子の沈降が開始される。
また、金属マイクロ粒子の集積層の内部の隙間に浸潤している「金属ナノ粒子分散液」に含まれる、金属ナノ粒子の表面の被覆剤分子の離脱が進行する。その表面を覆う被覆剤分子層が消失するとともに、金属ナノ粒子の分散性は失われ、金属ナノ粒子の沈降が開始される。
金属マイクロ粒子の集積層内部の隙間は、狭い隘路となっており、沈降を開始した金属ナノ粒子は、金属マイクロ粒子の集積層を形成する、階層状の金属マイクロ粒子の表面に到達すると、その金属マイクロ粒子の表面に付着する。そのため、上層の「分散液層」中に含まれる、金属ナノ粒子は、金属マイクロ粒子の集積層を形成する、階層状の金属マイクロ粒子のうち、最上層に位置する金属マイクロ粒子の上面に優先的に付着する。一部は、さらに、下の階層まで到達するが、より下の階層に達する確率は、指数関数的に減少する。
金属マイクロ粒子の集積層内部の隙間に、当初から充填されている「金属ナノ粒子分散液」に含まれている、金属ナノ粒子の量と、沈降に起因して、上層から金属マイクロ粒子の集積層の内部に降下する金属ナノ粒子の量の合計は、金属マイクロ粒子の集積層の上面側から底面側に向かって、連続的に減少する。一方、金属マイクロ粒子の集積層を構成している、金属マイクロ粒子の量は、上面側と底面側の間で、実質的に差異はない。
結果的に、加熱処理工程で形成される導電性構造体は、金属マイクロ粒子と金属ナノ粒子の比率として表記される「組成」は、表面側の組成(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particletopから、底面側の組成(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particlebottomへと連続的に変化する、「傾斜組成」を有するものとなる。
分散液の組成が同じであれば、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1と、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0との差(tpaste-layer-0−tpaste-layer-1)は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0に殆ど依存しない。従って、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が減少するとともに、「沈降処理済塗布膜」において、「分散液層」の厚さtsupernateと金属マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerの比(tsupernate/tprecipitate-layer)が小さくなる。
分散液に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleが同じであっても、形成される金属マイクロ粒子の集積層中、金属マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-particle-occupancyが低くなると、金属マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerは、相対的に増加する。その結果、「沈降処理済塗布膜」において、「分散液層」の厚さtsupernateと金属マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerの比(tsupernate/tprecipitate-layer)は、相対的に小さくなる。例えば、使用する金属マイクロ粒子のタップ密度ρtapが相対的に小さいと、形成される金属マイクロ粒子の集積層中、金属マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-particle-occupancyが相対的に低くなる。
例えば、「湿式法」、「アトマイズ法」を利用して作製される、金属マイクロ粒子は、その外形はほぼ球形であり、その粒子の体積(質量)は、ポワソン分布に類する分布を示す。該金属マイクロ粒子の体積(質量)の分布は、重量平均値VW、標準偏差√VWの正規分布と近似することができる。その際、金属マイクロ粒子の粒子径分布も、例えば、重量平均粒子径を指標として、正規分布で近似することができる。金属マイクロ粒子の体積(質量)の分布が、ポワソン分布に類する分布を示す場合、重量平均粒子径が小さくなると、その金属マイクロ粒子のタップ密度ρtapは、相対的に小さくなる。従って、使用する金属マイクロ粒子の重量平均粒子径が小さくなると、形成される金属マイクロ粒子の集積層中、金属マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-particle-occupancyが相対的に低くなる。
分散液に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particle、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの比(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particlepaste、また、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が同じであっても、使用する金属マイクロ粒子のタップ密度ρtap、従って、使用する金属マイクロ粒子の重量平均粒子径(dmetal-particle)を小さくすることで、形成される金属マイクロ粒子の集積層中、金属マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-particle-occupancyが相対的に低くすることが可能である。その結果、「傾斜構造」を有する導電性構造体における、表面側の組成(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particletopと、底面側の組成(Vmetal-nano-particle/Vmetal-particlebottomの差を、相対的に小さくすることが可能である。
加熱処理工程では、分散溶媒の蒸散、金属ナノ粒子の沈降、金属ナノ粒子の低温焼成体の形成に加えて、金属マイクロ粒子の集積層を構成する、金属マイクロ粒子相互の電気的接触の形成が行われる。
加熱処理工程において、不活性ガス中に、水素ガスを0.5体積%〜5体積%の範囲、好ましくは、1体積%〜4体積%の範囲、例えば、2体積%の濃度で含む、還元性雰囲気下で、加熱処理を実施することが望ましい。
例えば、金属マイクロ粒子の表面の一部に、表面酸化膜が存在する際、前記還元性雰囲気下で、加熱処理を施すことで、表面酸化膜の還元除去を行うことが可能である。
また、加熱処理工程において、150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingは、前記分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.を超えない範囲に選択することが望ましい。一般に、加熱処理工程における加熱温度Theatingは、高いほど好ましい。従って、前記分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.を超えない範囲で、加熱温度Theatingを、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、200℃〜300℃の範囲に選択することが望ましい。
一方、加熱処理工程における、加熱時間tsinteringは、加熱温度Theatingに応じて、選択される。具体的には、分散溶媒の蒸散、金属ナノ粒子の沈降、金属ナノ粒子の低温焼成体の形成、金属マイクロ粒子の集積層を構成する金属マイクロ粒子相互の電気的接触の形成の各過程の進行速度は、加熱温度Theatingに依存するため、加熱時間tsinteringは、加熱温度Theatingに応じて、選択される。加熱温度Theatingを、150℃〜300℃の範囲に選択する場合、加熱時間tsinteringは、300分間≧tsintering≧25分間の範囲、好ましくは、300分間≧tsintering≧30分間の範囲に選択することが望ましい。
次いで、第一の形態の第二の態様で使用する分散液について、以下に説明する。
分散液中に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率をVmetal-particle、金属サブ・マイクロ粒子の体積比率をVmetal-fine-particle、金属ナノ粒子の体積比率をVmetal-nano-particle、被覆剤分子の体積比率をVcoating-molecule、分散溶媒の体積比率をVsolventとすると、その総和(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle+Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、100体積%となっている。目的の「傾斜構造」の形成に使用される、導電性フィラーは、金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子と金属ナノ粒子である。
第一の形態の第二の態様では、金属マイクロ粒子を構成する金属種と、金属サブ・マイクロ粒子を構成する金属種が、同じ金属種であるが、金属ナノ粒子を構成する金属種は、異なる金属種に選択する態様を採用する。「傾斜構造」を有する導電性構造体の底面側と、表面側では、該構造体を構成する、「金属マイクロ粒子+金属サブ・マイクロ粒子」と金属ナノ粒子の比率として表記される「組成」が相違し、前記「組成」が、導電性構造体の膜厚方向、底面側から表面側へと、連続的に変化し、「傾斜構造」が形成される。
金属マイクロ粒子を構成する金属種の具体例は先に述べた通りである。
金属サブ・マイクロ粒子を構成する金属は、通常、一種の金属からなる金属サブ・マイクロ粒子を利用するが、二種以上の金属種からなる金属サブ・マイクロ粒子の混合物、あるいは、二種以上の金属種からなる合金からなる金属サブ・マイクロ粒子を利用することもできる。特に、金属サブ・マイクロ粒子として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される、一種の金属からなる金属サブ・マイクロ粒子を使用することが好ましい。
金属マイクロ粒子を使用する場合、使用する金属マイクロ粒子の重量平均粒子径(dmetal-particle)を選択することで、金属マイクロ粒子のタップ密度ρtapを一定の範囲で調整することが可能である。すなわち、使用する金属マイクロ粒子の重量平均粒子径(dmetal-particle)を選択することで、形成される金属マイクロ粒子の集積層中、金属マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-particle-occupancyを一定の範囲で調整することが可能である。
金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子を併用する場合、分散液中に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと金属サブ・マイクロ粒子の体積比率Vmetal-fine-particleの比、Vmetal-particle:Vmetal-fine-particleを選択することで、(金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子)の混合物における、平均(見かけ)のタップ密度ρtap-mixtureを一定の範囲で調整することが可能である。すなわち、分散液中に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと金属サブ・マイクロ粒子の体積比率Vmetal-fine-particleの比、Vmetal-particle:Vmetal-fine-particleを選択することで、形成される金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層中、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vparticle-mixture-occupancyを一定の範囲で調整することが可能となる。具体的には、(金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子)の混合物では、金属マイクロ粒子相互の隙間に、金属サブ・マイクロ粒子が取り込まれた状態となると、平均(見かけ)のタップ密度ρtap-mixtureは、金属マイクロ粒子のタップ密度ρtapよりも、大きくなる。
金属マイクロ粒子のvmetal-particle-terminal-velocityは、次のような比例関係を示す。vmetal-particle-terminal-velocity∝{(1/μmedium)・(dmetal-particle)・(ρbulk−ρsolvent)}1/2。同様に、金属サブ・マイクロ粒子のvmetal-fine-particle-terminal-velocityは、次のような比例関係を示す。vmetal-fine-particle-terminal-velocity∝{(1/μmedium)・(dmetal-fine-particle)・(ρbulk−ρsolvent)}1/2。従って、vmetal-particle-terminal-velocity>vmetal-fine-particle-terminal-velocityとなっている。
分散液中に分散されている、金属ナノ粒子は、その表面を被覆剤分子で被覆されている。そのため、被覆剤分子層に対する、分散溶媒の親和性が高く、金属ナノ粒子が分散溶媒中を移動する際、相対的に大きな抗力を受ける。そのため、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子は、分散溶媒中では、その沈降速度vmetal-nano-particle-terminal-velocityは、実質的にvmetal-nano-particle-terminal-velocity=0と見做すことが可能である。
metal-particle-terminal-velocity>vmetal-fine-particle-terminal-velocity≫vmetal-nano-particle-terminal-velocity=0であるため、図2に模式的に示すように、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子が、選択的に沈降して、基材表面に「金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層」が形成される。この集積層を構成する金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子の隙間には、液相、すなわち、「金属ナノ粒子分散液」が浸潤している状態となっている。金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子の沈降が完了すると、「金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層」の上面に、余剰の「金属ナノ粒子分散液」からなる「分散液層」が形成される。
金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleは、1μm以上、例えば、3μm〜6μmの範囲、好ましくは、4μm〜6μmの範囲に選択することが望ましい。
例えば、目的の「傾斜組成」を有する導電性構造体の膜厚tconductive-layerを、60μm≧tconductive-layer≧20μmの範囲に選択する場合、該「傾斜組成」を有する導電性構造体の膜厚tconductive-layerに対して、金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleは、(1/5・tconductive-layer)≧dmetal-particle≧(1/20・tconductive-layer)の範囲、好ましくは、(1/6・tconductive-layer)≧dmetal-particle≧(1/15・tconductive-layer)の範囲に選択することが望ましい。
通常、金属マイクロ粒子の形状は、その外形は、ほぼ球形を示すものを使用する。アトマイズ法で作製される、球形の金属マイクロ粒子、あるいは、湿式法で作製される、ほぼ球形の金属マイクロ粒子を使用することが望ましい。例えば、「湿式法」、「アトマイズ法」を利用して作製される、金属マイクロ粒子は、その外形はほぼ球形であり、その粒子の体積(質量)は、ポワソン分布に類する分布を示す。該金属マイクロ粒子の体積(質量)の分布は、重量平均値VW、標準偏差√VWの正規分布と近似することができる。その際、金属マイクロ粒子の粒子径分布も、例えば、重量平均粒子径を指標として、正規分布で近似することができる。
この重量平均粒子径に基づき、前記金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleの選択基準に従って、利用する金属マイクロ粒子を選択することができる。
金属サブ・マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-fine-particleは、例えば、0.5μm〜1.5μmの範囲、好ましくは、0.6μm〜1.2μmの範囲に選択することが望ましい。
金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleに対して、金属サブ・マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-fine-particleは、(1/3・dmetal-particle)≧dmetal-fine-particle≧(1/8・tconductive-layer)の範囲、好ましくは、(1/4・dmetal-particle)≧dmetal-fine-particle≧(1/7・tconductive-layer)の範囲に選択することが望ましい。
金属サブ・マイクロ粒子の形状は、その外形は、ほぼ球形を示すものを使用する。アトマイズ法で作製される、球形の金属サブ・マイクロ粒子、あるいは、湿式法で作製される、ほぼ球形の金属サブ・マイクロ粒子を使用することが望ましい。例えば、「湿式法」、「アトマイズ法」を利用して作製される、金属サブ・マイクロ粒子は、その外形はほぼ球形であり、その粒子の体積(質量)は、ポワソン分布に類する分布を示す。該金属サブ・マイクロ粒子の体積(質量)の分布は、重量平均値VW、標準偏差√VWの正規分布と近似することができる。その際、金属サブ・マイクロ粒子の粒子径分布も、例えば、重量平均粒子径を指標として、正規分布で近似することができる。
この重量平均粒子径に基づき、前記金属サブ・マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-fine -particleの選択基準に従って、利用する金属サブ・マイクロ粒子を選択することができる。
金属ナノ粒子を構成する金属種は、金、銀、銅、白金、パラジウム、インジウム、ビスマス、チタン、スズ、ニッケル、アルミニウムからなる群から選択される。通常、一種の金属からなる金属ナノ粒子を利用するが、二種以上の金属種からなる金属ナノ粒子の混合物、あるいは、二種以上の金属種からなる合金からなる金属ナノ粒子を利用することもできる。特に、金属ナノ粒子として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される、一種の金属からなる金属ナノ粒子を使用することが好ましい。
金属ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-nano-particleは、1nm〜100nmの範囲、好ましくは、2nm〜50nmの範囲、より好ましくは、5nm〜20nmの範囲に選択する。
金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleに対して、金属ナノ粒子自体の平均粒子径dnano-particleは、(1/50・dmetal-particle)≧dmetal-nano-particle≧(1/1000・dmetal-particle)の範囲、好ましくは、(1/100・dmetal-particle)≧dmetal-nano-particle≧(1/1000・dmetal-particle)の範囲に選択することが望ましい。
一方、金属ナノ粒子の形状は、通常、球形である。第一の形態の第二の態様でも、球形の金属ナノ粒子を使用する。
第一の形態の第二の態様で使用される分散液に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particle、金属サブ・マイクロ粒子の体積比率Vmetal-fine-particle、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの和(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle+Vmetal-nano-particle)は、40体積%〜60体積%の範囲、好ましくは、45体積%〜60体積%の範囲、より好ましくは、50体積%〜60体積%の範囲に選択することが望ましい。
その際、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと金属サブ・マイクロ粒子の体積比率Vmetal-fine-particleの比Vmetal-particle:Vmetal-fine-particleは、100:17〜100:54の範囲、好ましくは、100:17.6〜100:53.8の範囲に選択される。
また、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと金属サブ・マイクロ粒子の体積比率Vmetal-fine-particleの合計(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle)と、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの比Vmetal-nano-particle:(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle)は、10:100〜25:100の範囲、好ましくは、12:100〜25:100の範囲、より好ましくは、15:100〜25:100の範囲に選択することが好ましい。
一方、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleを、20体積%〜46体積%の範囲、好ましくは、25体積%〜46体積%の範囲、より好ましくは、30体積%〜46体積%の範囲に選択することが望ましい。
「傾斜構造」を有する導電性構造体全体において、(金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の合計)と金属ナノ粒子の比率として表記される「組成」を平均すると、当然、分散液に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと金属サブ・マイクロ粒子の体積比率Vmetal-fine-particleの合計(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle)と、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの比(Vmetal-nano-particle/(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle))pasteと等しい、平均組成となっている。
「傾斜構造」を有する導電性構造体の底面側の組成、(金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の合計)と金属ナノ粒子の比率(体積比率);(Vmetal-nano-particle/(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle))bottomと、表面側の組成、(金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の合計)と金属ナノ粒子の比率(体積比率);(Vmetal-nano-particle/(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle))topは、(Vmetal-nano-particle/(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle))top>(Vmetal-nano-particle/(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle))paste>(Vmetal-nano-particle/(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle))bottomの関係を満たす。
第一の形態の第二の態様でも、分散液中における、金属ナノ粒子の凝集を防止するため、その表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を、分散溶媒中に均一に分散している。
被覆剤分子層の形成に利用される被覆剤分子は、その沸点Tcoating-molecule-b.p.が、150℃〜250℃の範囲である、アルキルアミンからなる群から選択される。例えば、被覆剤分子は、その沸点Tcoating-molecule-b.p.が150℃〜250℃の範囲の第一アルキルアミンからなる群より選択されることが望ましい。具体的には、その沸点Tcoating-molecule-b.p.が、150℃〜250℃の範囲である、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C8〜C12の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが利用できる。具体的には、炭素数8のアルキルアミンである、オクチルアミン(沸点188℃)、炭素数10のアルキルアミンである、デシルアミン(沸点220.5℃)、炭素数12のアルキルアミンである、ドデシルアミン(沸点247℃)は、実際に沸点150℃〜250℃の条件を満たしている。例えば、前記C8〜C12の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、室温付近での蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
前記アルキルアミンは、アミノ基の窒素原子上に存在する孤立電子対を利用して、金属ナノ粒子の表面の金属原子と、非共有結合的に分子間結合を形成することで、被覆剤分子層を形成している。この非共有結合的に分子間結合は、配位的な結合に相当しており、加熱することにより、金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成している、アルキルアミンの離脱が進行する。
第一の形態の第二の態様でも、分散液中に含有される、前記被覆剤分子の含有量は、金属ナノ粒子の含有量に基づき選択される。すなわち、該分散液中に含有される、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleと、その被覆剤分子層の形成に利用される被覆剤分子の体積比率Vcoating-moleculeの比(Vmetal-nano-particle:Vcoating-molecule)は、1:1〜1:2の範囲、好ましくは、1:1.1〜1:2の範囲、より好ましくは、1:1.2〜1:2の範囲に選択することが望ましい。
第一の形態の第二の態様でも、分散液中、その「液相」に相当する、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる「金属ナノ粒子分散液」は、金属ナノ粒子、該金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成するための被覆剤分子、ならびに、分散溶媒で構成される。
分散溶媒は、室温(25℃)において、液体であるもの、すなわち、その融点Tsolvent-m.p.が、Tsolvent-m.p.<25℃の条件を満たす有機溶媒である。
分散液中に含有される、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particle、その被覆剤分子層の形成に利用される被覆剤分子の体積比率Vcoating-molecule、分散溶媒の体積比率Vsolventの和(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)と、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの比Vmetal-nano-particle:(Vnano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、前記「金属ナノ粒子分散液」中における、金属ナノ粒子の含有比率に相当する。
該比Vmetal-nano-particle:(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、10:100〜30:100の範囲、好ましくは、15:100〜30:100の範囲、より好ましくは、15:100〜25:100の範囲に選択することが望ましい。
使用する分散溶媒として、金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成している、アルキルアミンのアルキル基に対して、親和性を有する、炭化水素溶媒を採用する。一方、使用する分散溶媒は、加熱処理工程中、蒸散されるが、該加熱処理工程の加熱温度Theatingでは、気泡を発生しないことが望ましい。
従って、分散溶媒は、その沸点Tsolvent-b.p.が、150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、190℃〜300℃の範囲である、炭化水素溶媒からなる群から選択される。沸点が150℃〜350℃の範囲である、炭化水素溶媒には、沸点が150℃〜350℃の範囲の非芳香族炭化水素溶媒と、沸点が150℃〜350℃の範囲の芳香族炭化水素溶媒が含まれる。沸点が150℃〜350℃の範囲の非芳香族炭化水素溶媒の一例として、沸点が150℃〜350℃の範囲の鎖式炭化水素溶媒を挙げることができる。沸点が150℃〜350℃の範囲の芳香族炭化水素溶媒の例として、具体的に、メシチレン(沸点164.73℃)を挙げることができる。
例えば、分散溶媒を、沸点Tsolvent-b.p.が150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜350℃の範囲の鎖式炭化水素溶媒からなる群より選択することが好ましい。
好適に利用可能な分散溶媒として、石油系ノンアロマ炭化水素溶剤である、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント7号(平均密度 0.82g/cm3、沸点259〜282℃)などを挙げることができる。
表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる「金属ナノ粒子分散液」自体は、その液粘度μmediumは、分散溶媒の粘度μsolventよりも高いが、通常、100mPa・sを超えない範囲である。一方、第一の形態の第二の態様で使用される分散液は、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子を「金属ナノ粒子分散液」中に分散した分散液に相当し、その液粘度μpasteは上昇している。
例えば、分散液は、その液粘度μpasteは、30Pa・s〜150Pa・sの範囲、好ましくは、30Pa・s〜100Pa・sの範囲であることが望ましい。前記の液粘度μpasteとすることにより、例えば、スクリーン印刷法を適用して、膜厚が30μmから、最大110μmに達する塗布膜を形成することが可能となる。
次に、第一の形態の第二の態様において、分散液を使用して、傾斜構造を有する導電性構造体を形成するプロセスについて、以下に説明する。
その「傾斜構造」を有する導電性構造体の形成プロセスは、
分散液を、基材表面に塗布して、塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、
該塗布膜を静置し、塗布膜中に含まれる金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子を沈降させ、基材表面に金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層を形成する、静置処理工程と、
その後、150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingで加熱処理を施すことにより、金属ナノ粒子の低温焼結を進行させ、前記金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層に由来する下層部と、その上部に前記金属ナノ粒子の低温焼結体に由来する表層部を具える、傾斜構造を有する導電性構造体を形成する、加熱処理工程を具えている。
前記塗布膜形成工程では、分散液を、基材表面に塗布して、塗布膜を形成する際、該塗布膜の膜厚tpaste-layer-0を、均一にする。そのため、例えば、スクリーン印刷法を利用して、均一な厚さで、分散液を、基材表面に塗布することが望ましい。また、塗布する基材表面は、平坦であり、水平に保持されていることが望ましい。
静置処理工程では、該塗布膜を静置し、塗布膜中に含まれる金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子を沈降させ、基材表面に金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層を形成する。すなわち、分散液中に含有されている、金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子は、分散溶媒中における分散性は劣るため、室温で静置する間に沈降する。一方、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子は、分散溶媒中における分散性は極めて高いため、室温で静置する間に実質的に沈降を起こさない。結果的に、金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子が、選択的に沈降して、基材表面に金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層が形成される。この集積層を構成する金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子相互の隙間には、液相、すなわち、「金属ナノ粒子分散液」が浸潤している状態となっている。金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の沈降が完了すると、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層の上面に、余剰の「金属ナノ粒子分散液」からなる「分散液層」が形成される。
従って、図2に示すように、静置処理工程を終了した時点では、「沈降処理済塗布膜」は、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層に相当する下層と、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層の上面を覆う、「分散液層」に相当する上層で構成される、二層構造を示す。
金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerは、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0と、分散液中に含まれる、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと金属サブ・マイクロ粒子の体積比率Vmetal-fine-particleの和(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle)に比例する。金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子が同じ金属種で形成される場合、該集積層中、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vparticle-mixture-occupancyは、例えば、「立方最密充填」状態を仮定すると、Vparticle-mixture-occupancy>0.523と見積もられる。また、使用する(金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子)の混合物の平均(見かけ)のタップ密度ρtap-mixtureと、バルク金属の密度ρbulkから、Vparticle-mixture-occupancy=(ρtap-mixturebulk)程度と、見積もることもできる。
従って、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerは、tprecipitate-layer≒tpaste-layer-0×((Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle)/100体積%)×(1/Vparticle-mixture-occupancy)程度と推定される。
前記「分散液層」の厚さtsupernateと、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerの合計が、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1に相当している(tpaste-layer-1≒tsupernate+tprecipitate-layer)。
勿論、静置処理工程の間、塗布膜の上面から、分散溶媒が徐々に蒸散する。そのため、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0より薄くなっている。その差(tpaste-layer-0−tpaste-layer-1)は、「沈降処理」工程の間、塗布膜の表面から蒸散する分散溶媒の液量に比例している。
分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.は、150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、190℃〜300℃の範囲であるので、「沈降処理」工程の間、塗布膜の表面から蒸散する分散溶媒の液量は僅かな量となっている。従って、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が十分に厚い場合には、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1は、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerよりも有意に厚い範囲となっている。すなわち、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が十分に厚い場合には、実際に、「沈降処理済塗布膜」は、図1に示すように、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層に相当する下層と、該集積層の上面を覆う、「分散液層」に相当する上層で構成される、二層構造を示す。
前記の条件(tpaste-layer-1>tprecipitate-layer)を満たす上では、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0は、少なくとも、110μm≧tpaste-layer-0≧30μmの範囲、好ましくは、100μm≧tpaste-layer-0≧30μmの範囲に選択することが望ましい。
一方、静置処理工程では、室温、大気圧下において、放置し、その放置時間tsettlingは、300分間≧tsettling≧25分間の範囲、好ましくは、300分間≧tsettling≧30分間の範囲に選択することが望ましい。
加熱処理工程では、「沈降処理済塗布膜」に150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingで加熱処理を施す。その際、「沈降処理済塗布膜」の上面から、分散溶媒の蒸散が進行する。また、加熱に伴って、上層の「分散液層」中に含まれる、金属ナノ粒子の表面の被覆剤分子の離脱が進行する。その表面を覆う被覆剤分子層が消失するとともに、金属ナノ粒子の分散性は失われ、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層の上面に向かって、金属ナノ粒子の沈降が開始される。
また、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層の内部の隙間に浸潤している「金属ナノ粒子分散液」に含まれる、金属ナノ粒子の表面の被覆剤分子の離脱が進行する。その表面を覆う被覆剤分子層が消失するとともに、金属ナノ粒子の分散性は失われ、金属ナノ粒子の沈降が開始される。
金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層内部の隙間は、狭い隘路となっており、沈降を開始した金属ナノ粒子は、該集積層を形成する、階層状の金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子の表面に到達すると、その金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子の表面に付着する。そのため、上層の「分散液層」中に含まれる、金属ナノ粒子は、該集積層を形成する、階層状の金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子のうち、最上層に位置する金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の上面に優先的に付着する。一部は、さらに、下の階層まで到達するが、より下の階層に達する確率は、指数関数的に減少する。
金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層内部の隙間に、当初から充填されている「金属ナノ粒子分散液」に含まれている、金属ナノ粒子の量と、沈降に起因して、上層から該集積層の内部に降下する金属ナノ粒子の量の合計は、「金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層」の上面側から底面側に向かって、連続的に減少する。一方、該集積層を構成している、「金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子」の合計量は、上面側と底面側の間で、実質的に差異はない。
結果的に、加熱処理工程で形成される導電性構造体は、(金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の合計)と金属ナノ粒子の比率として表記される「組成」は、表面側の組成(Vmetal-nano-particle/(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle))topから、底面側の組成(Vmetal-nano-particle/(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle))bottomへと連続的に変化する、「傾斜構造」を有するものとなる。
分散液の組成が同じであれば、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1と、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0との差(tpaste-layer-0−tpaste-layer-1)は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0に殆ど依存しない。従って、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が減少するとともに、「沈降処理済塗布膜」において、「分散液層」の厚さtsupernateと、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerの比(tsupernate/tprecipitate-layer)が小さくなる。
加熱処理工程では、分散溶媒の蒸散、金属ナノ粒子の沈降、金属ナノ粒子の低温焼成体の形成に加えて、金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子の集積層を構成する、金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子相互の電気的接触の形成が行われる。
加熱処理工程において、不活性ガス中に、水素ガスを0.5体積%〜5体積%の範囲、好ましくは、1体積%〜4体積%の範囲、例えば、2体積%の濃度で含む、還元性雰囲気下で、加熱処理を実施することが望ましい。
例えば、金属マイクロ粒子、金属サブ・マイクロ粒子の表面の一部に、表面酸化膜が存在する際、前記還元性雰囲気下で、加熱処理を施すことで、表面酸化膜の還元除去を行うことが可能である。
また、加熱処理工程において、150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingは、前記分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.を超えない範囲に選択することが望ましい。一般に、加熱処理工程における加熱温度Theatingは、高いほど好ましい。従って、前記分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.を超えない範囲で、加熱温度Theatingを、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、200℃〜300℃の範囲に選択することが望ましい。
一方、加熱処理工程における、加熱時間tsinteringは、加熱温度Theatingに応じて、選択される。具体的には、分散溶媒の蒸散、金属ナノ粒子の沈降、金属ナノ粒子の低温焼成体の形成、集積層を構成する金属マイクロ粒子と金属サブ・マイクロ粒子相互の電気的接触の形成の各過程の進行速度は、加熱温度Theatingに依存するため、加熱時間tsinteringは、加熱温度Theatingに応じて、選択される。加熱温度Theatingを、150℃〜300℃の範囲に選択する場合、加熱時間tsinteringは、360分間≧tsintering≧10分間の範囲、好ましくは、300分間≧tsintering≧15分間の範囲に選択することが望ましい。
(第二の形態)
第二の形態で使用する分散液について、以下に説明する。
分散液中に含有される、金属酸化物マイクロ粒子の体積比率をVmetal-oxide-particle、金属ナノ粒子の体積比率をVmetal-nano-particle、被覆剤分子の体積比率をVcoating-molecule、分散溶媒の体積比率をVsolventとすると、その総和(Vmetal-oxide -particle+Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、100体積%となっている。目的の「傾斜構造」の形成に使用される、フィラーは、金属酸化物マイクロ粒子と金属ナノ粒子である。
金属酸化物マイクロ粒子は、金(Au),銀(Ag),銅(Cu),鉄(Fe),コバルト(Co),ニッケル(Ni),アルミニウム(Al),シリコン(Si),チタン(Ti),バナジウム(V),マンガン(Mn),ジルコニウム(Zr),カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg),スズ(Sn),アンチモン(Sb),セリウム(Ce),タンタル(Ta),タングステン(W),ビスマス(Bi)からなる群から選択される金属種を含む、一種の金属酸化物または二種以上の合金酸化物あるいは二種以上の酸化物の混合物からなる金属酸化物マイクロ粒子である。
例えば、金属酸化物マイクロ粒子は、Au23,Ag2O,Cu2O,CuO,FeO,Fe34,Fe23,CoO,Co34,Co23,NiO,CaO,MgO,Al23,SiO2,ZnO,TiO2,VO,VO2,V23,V35,V25,MnO,Mn34,Mn23,MnO4,ZrO2,SnO,SnO2,Sb23,Sb24,Ce23,CeO2,Ta2O,TaO2,Ta25,W3O,WO2,WO3,NbO,Nb25,Bi23,HfO2,In23,Yb23,Zn2In25,ZnSnO3,Zn2In25,In4Sn3O,In23−SnO2(ITO),ATO(アンチモン添加酸化スズ)からなる群から選択される、一種の金属酸化物からなる金属酸化物マイクロ粒子であることが望ましい。
なお上記のうち、代表的な金属酸化物の密度は以下の通りである。Au23(密度11.34g/cm3),Ag2O(密度7.22g/cm3),Cu2O(密度6.04g/cm3),CuO(密度6.315g/cm3),FeO(密度5.7g/cm3),Fe34(密度5.17g/cm3),Fe23(密度5.242g/cm3),CoO(密度6.1g/cm3),Co34(密度6.11g/cm3),Co23(密度5.7g/cm3),NiO(密度6.67g/cm3),CaO(密度3.37g/cm3),MgO(密度3.65g/cm3),Al23(密度3.97g/cm3),SiO2(密度2.2g/cm3),ZnO(密度5.606g/cm3),TiO2(密度4.23g/cm3),VO(密度5.758g/cm3),VO2(密度4.26g/cm3),V23(密度4.84g/cm3),V25(密度3.357g/cm3),MnO(密度5.18g/cm3),ZrO2(密度5.49g/cm3),SnO(密度6.44g/cm3),SnO2(密度6.95g/cm3),Sb23(密度5.2g/cm3),Ce23(密度6.9〜7.0g/cm3),CeO2(密度7.3g/cm3),Ta25(密度8.73g/cm3),WO2(密度12.1g/cm3),WO3(密度7.15g/cm3),NbO(密度6.26g/cm3),Nb25(密度4.47g/cm3),Bi23(密度9.2g/cm3),HfO2(密度9.68g/cm3),In23(密度7.18g/cm3),Yb23(密度9.17g/cm3),In23−SnO2(ITO)(密度7.120〜7.160g/cm3),ATO(アンチモン添加酸化スズ)(比重6.6)。
金属酸化物マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-oxide-particleは、1μm以上、例えば、5μm〜20μmの範囲、好ましくは、7μm〜15μmの範囲、より好ましくは、8μm〜13μmの範囲に選択することが望ましい。
例えば、目的の「傾斜構造」を有する構造体の膜厚tcomposite-layerを、60μm≧tcomposite-layer≧20μmの範囲に選択する場合、該「傾斜組成」を有する構造体の膜厚tcomposite-layerに対して、金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-oxide-particleは、(1/2・tcomposite-layer)≧dmetal-oxide-particle≧(1/20・tcomposite-layer)の範囲、好ましくは、(1/4・tcomposite-layer)≧dmetal-oxide-particle≧(1/10・tcomposite-layer)の範囲に選択することが望ましい。
通常、金属酸化物マイクロ粒子の形状は、その外形は、ほぼ球形を示すものを使用する。例えば、「湿式法」を利用して作製される、金属酸化物マイクロ粒子では、その粒子の体積(質量)は、ポワソン分布に類する分布を示す。該金属酸化物マイクロ粒子の体積(質量)の分布は、重量平均値VW、標準偏差√VWの正規分布と近似することができる。その際、金属酸化物マイクロ粒子の粒子径分布も、例えば、重量平均粒子径を指標として、正規分布で近似することができる。
この重量平均粒子径に基づき、前記金属酸化物マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-oxide-particleの選択基準に従って、利用する金属酸化物マイクロ粒子を選択することができる。
金属ナノ粒子を構成する金属種の具体例は先に述べた通りである。金属ナノ粒子を構成する金属種は、通常、一種の金属からなる金属ナノ粒子を利用するが、二種以上の金属からなる金属ナノ粒子の混合物、あるいは、二種以上の金属からなる合金からなる金属ナノ粒子を利用することもできる。特に、金属ナノ粒子として、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケルからなる群から選択される一種の金属からなる金属ナノ粒子を使用することが好ましい。
なお、金の抵抗率は2.35μΩ・cm(20℃)、密度は19.32g/cm3;銀の抵抗率は1.59μΩ・cm(20℃)、密度は10.49g/cm3;銅の抵抗率は1.673μΩ・cm(20℃)、密度は8.95g/cm3;白金の抵抗率は、9.85μΩ・cm(20℃)、密度は21.41g/cm3;パラジウムの抵抗率は、9.93μΩ・cm(20℃)、密度は11.99g/cm3;ニッケルの抵抗率は、6.89μΩ・cm(20℃)、密度は8.908g/cm3である。
インジウムの抵抗率は8.37μΩ・cm(20℃)、密度は7.31g/cm3、融点156.6℃;ビスマスの抵抗率は120μΩ・cm、密度は9.808g/cm3、融点271.4℃;チタンの抵抗率は42.0μΩ・cm(20℃)、密度は4.50g/cm3;金属スズの抵抗率は11μΩ・cm(20℃)、密度は7.265g/cm3、融点232℃;アルミニウムの抵抗率は2.655μΩ・cm(20℃)、密度は2.699g/cm3、融点660.37℃である。
金属ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-nano-particleは、1nm〜100nmの範囲、例えば、2nm〜50nmの範囲、好ましくは、3nm〜30nmの範囲、より好ましくは、5nm〜20nmの範囲に選択する。
金属酸化物マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-oxide-particleに対して、金属ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-nano-particleは、(1/50・dmetal-oxide-particle)≧dmetal-nano-particle≧(1/2000・dmetal-oxide-particle)の範囲、好ましくは、(1/100・dmetal-oxide-particle)≧dmetal-nano-particle≧(1/1000・dmetal-oxide-particle)の範囲に選択することが望ましい。
一方、金属ナノ粒子の形状は、通常、球形である。第二の形態でも、球形の金属ナノ粒子を使用する。
金属酸化物マイクロ粒子を構成する金属種と、金属ナノ粒子を構成する金属種を、異なる金属種に選択する態様を採用することができる。また、金属酸化物マイクロ粒子を構成する金属酸化物に含まれる金属種と、金属ナノ粒子を構成する金属種を、同一の金属種に選択する態様を採用することもできる。
いずれの態様においても、「傾斜構造」を有する構造体の底面側と、表面側では、該構造体を構成する、金属酸化物マイクロ粒子と金属ナノ粒子の比率として表記される「組成」が相違し、前記「組成」が、構造体の膜厚方向、底面側から表面側へと、連続的に変化し、「傾斜構造」が形成されている。
「傾斜構造」を有する構造体全体において、金属酸化物マイクロ粒子と金属ナノ粒子の比率として表記される「組成」を平均すると、当然、前記金属酸化物分散液に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-oxide-particleと、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの比(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particlepasteと等しい、平均組成となっている。
「傾斜構造」を有する構造体の底面側の組成、金属酸化物マイクロ粒子と金属ナノ粒子の比率(体積比率);(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particlebottomと、表面側の組成、金属酸化物マイクロ粒子と金属ナノ粒子の比率(体積比率);(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particletopは、(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particletop>(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particlepaste>(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particlebottomの関係を満たす。
第二の形態で使用される分散液でも、金属ナノ粒子の凝集を防止するため、その表面に被覆剤分子層を有する金属ナノ粒子を、分散溶媒中に均一に分散している。
被覆剤分子層の形成に利用される被覆剤分子は、その沸点Tcoating-molecule-b.p.が、150℃〜250℃の範囲である、アルキルアミンからなる群から選択される。例えば、被覆剤分子は、その沸点Tcoating-molecule-b.p.が150℃〜250℃の範囲の第一アルキルアミンからなる群より選択されることが望ましい。具体的には、その沸点Tcoating-molecule-b.p.が、150℃〜250℃の範囲である、アルキルアミンとして、そのアルキル基は、C8〜C12の範囲に選択され、アルキル鎖の末端にアミノ基を有するものが利用できる。具体的には、炭素数8のアルキルアミンである、オクチルアミン(沸点188℃)、炭素数10のアルキルアミンである、デシルアミン(沸点220.5℃)、炭素数12のアルキルアミンである、ドデシルアミン(沸点247℃)は、実際に沸点150℃〜250℃の条件を満たしている。例えば、前記C8〜C12の範囲のアルキルアミンは、熱的な安定性もあり、また、室温付近での蒸気圧もさほど高くなく、室温等で保管する際、含有率を所望の範囲に維持・制御することが容易であるなど、ハンドリング性の面から好適に用いられる。
アルキルアミンは、アミノ基の窒素原子上に存在する孤立電子対を利用して、金属ナノ粒子の表面の金属原子と、非共有結合的に分子間結合を形成することで、被覆剤分子層を形成している。この非共有結合的な分子間結合は、配位的な結合に相当しており、加熱することにより、金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成している、アルキルアミンの離脱が進行する。
第二の形態で使用する分散液中、その「液相」に相当する、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる「金属ナノ粒子分散液」は、金属ナノ粒子、該金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成するための被覆剤分子、ならびに、分散溶媒で構成される。
分散溶媒は、室温(25℃)において、液体であるもの、すなわち、その融点Tsolvent-m.p.が、Tsolvent-m.p.<25℃の条件を満たす有機溶媒である。
分散液中に含有される、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particle、その被覆剤分子層の形成に利用される被覆剤分子の体積比率Vcoating-molecule、分散溶媒の体積比率Vsolventの和(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)と、金属ナノ粒子の体積比率Vnano-particleの比Vmetal-nano-particle:(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)は、前記「金属ナノ粒子分散液」中における、金属ナノ粒子の含有比率に相当する。
使用する分散溶媒として、金属ナノ粒子の表面に被覆剤分子層を形成している、アルキルアミンのアルキル基に対して、親和性を有する、炭化水素溶媒を採用する。一方、使用する分散溶媒は、加熱処理工程中、蒸散されるが、該加熱処理工程の加熱温度Theatingでは、気泡を発生しないことが望ましい。
従って、分散溶媒は、その沸点Tsolvent-b.p.が、150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、190℃〜300℃の範囲である、炭化水素溶媒からなる群から選択される。沸点が150℃〜350℃の範囲である、炭化水素溶媒には、沸点が150℃〜350℃の範囲の非芳香族炭化水素溶媒と、沸点が150℃〜350℃の範囲の芳香族炭化水素溶媒が含まれる。沸点が150℃〜350℃の範囲の非芳香族炭化水素溶媒の一例として、沸点が150℃〜350℃の範囲の鎖式炭化水素溶媒を挙げることができる。沸点が150℃〜350℃の範囲の芳香族炭化水素溶媒の例として、具体的に、メシチレン(沸点164.73℃)を挙げることができる。
例えば、分散溶媒を、沸点Tsolvent-b.p.が150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲の鎖式炭化水素溶媒からなる群より選択することが好ましい。
例えば、分散溶媒を、沸点Tsolvent-b.p.が150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜350℃の範囲の鎖式炭化水素溶媒からなる群より選択することが好ましい。
好適に利用可能な分散溶媒として、石油系ノンアロマ炭化水素溶剤である、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント7号(平均密度 0.82g/cm3、沸点259〜282℃)などを挙げることができる。
表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる「金属ナノ粒子分散液」自体は、その液粘度μmediumは、分散溶媒の粘度μsolventよりも高いが、通常、100mPa・sを超えない範囲である。一方、第二の形態で使用する分散液は、金属酸化物マイクロ粒子を「金属ナノ粒子分散液」中に分散した分散液に相当し、その液粘度μpasteは上昇している。
第二の形態で使用される分散液は、その液粘度μpasteは、10Pa・s〜150Pa・sの範囲、好ましくは、10Pa・s〜100Pa・sの範囲であることが望ましい。前記の液粘度とすることにより、例えば、スクリーン印刷法を適用して、膜厚が30μmから、最大110μmに達する塗布膜を形成することが可能となる。
次に、第二の形態において、分散液を使用して、傾斜構造を有する構造体を形成するプロセスについて、以下に説明する。
その「傾斜構造」を有する構造体の形成プロセスは、分散液を、基材表面に塗布して、塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、該塗布膜を静置し、塗布膜中に含まれる金属酸化物マイクロ粒子を沈降させ、基材表面に金属マイクロ粒子の集積層を形成する、静置処理工程と、その後、150℃〜300℃の範囲、好ましくは、150℃〜250℃の範囲に選択する温度Theatingで加熱処理を施すことにより、金属ナノ粒子の低温焼結を進行させ、前記金属酸化物マイクロ粒子の集積層に由来する下層部と、その上部に前記金属ナノ粒子の低温焼結体に由来する表層部を具える、傾斜構造を有する構造体を形成する、加熱処理工程を具えている。
塗布膜形成工程では、分散液を、基材表面に塗布して、塗布膜を形成する際、該塗布膜の膜厚tpaste-layer-0を、均一にする。そのため、例えば、スクリーン印刷法を利用して、均一な厚さで、分散液を、基材表面に塗布することが望ましい。また、塗布する基材表面は、平坦であり、水平に保持されていることが望ましい。
静置処理工程では、該塗布膜を静置し、塗布膜中に含まれる金属マイクロ粒子を沈降させ、基材表面に金属マイクロ粒子の集積層を形成する。すなわち、分散液中に含有されている、金属マイクロ粒子は、分散溶媒中における分散性は劣るため、室温で静置する間に沈降する。一方、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子は、分散溶媒中における分散性は極めて高いため、室温で静置する間に実質的に沈降を起こさない。
分散液中に分散されている、金属酸化物マイクロ粒子は、分散溶媒による浮力を受けている。また、分散液中を沈降する際には、その沈降速度に起因する抗力を受ける。金属酸化物マイクロ粒子を構成する金属酸化物の密度ρbulk、分散溶媒の密度ρsolventを用いて、金属酸化物マイクロ粒子に加わる重力と浮力の差は、Fmetal-oxide-particle-gravity=g・(ρbulk−ρsolvent)・(4π/3)・(dmetal-oxide-particle/2)3と表記できる。
金属酸化物マイクロ粒子の沈降速度をVmetal-oxide-particle-fallingと表記する際、金属酸化物マイクロ粒子は、液粘度μmediumの「金属ナノ粒子分散液」中を移動することに起因する抗力を受ける。この抗力Fmetal-oxide-particle-dragは、「金属ナノ粒子分散液」の液粘度μmediumに比例し、金属酸化物マイクロ粒子の表面積4π・(dmetal-oxide-particle/2)2に比例し、さらに、沈降速度vmetal-oxide-particle-fallingの二乗(vmetal-particle-falling2に比例すると推定される。Fmetal-particle-drag∝μmedium・4π・(dmetal-oxide-particle/2)2・(vmetal-oxide-particle-falling2の比例関係があると推定される。
従って、Fmetal-oxide-particle-gravity=Fmetal-oxide-particle-dragに達すると、金属酸化物マイクロ粒子の沈降速度vmetal-oxide-particle-fallingは、vmetal-oxide-particle-terminal-velocityで一定となる。その際、Vmetal-oxide-particle-terminal-velocityは、次のような比例関係を示す。vmetal-particle-terminal-velocity∝{(1/μmedium)・(dmetal-oxide-particle)・(ρbulk−ρsolvent)}1/2
分散液中に分散されている、金属ナノ粒子は、その表面を被覆剤分子で被覆されている。そのため、被覆剤分子層に対する、分散溶媒の親和性が高く、金属ナノ粒子が分散溶媒中を移動する際、相対的に大きな抗力を受ける。そのため、表面に被覆剤分子層を形成している金属ナノ粒子は、分散溶媒中では、その沈降速度vmetal-nano-particle-terminal-velocityは、実質的にvmetal-nano-particle-terminal-velocity=0と見做すことが可能である。
metal-oxide-particle-terminal-velocity≫vmetal-nano-particle-terminal-velocity=0であるため、図2に模式的に示すように、金属酸化物マイクロ粒子のみが、選択的に沈降して、基材表面に金属酸化物マイクロ粒子の集積層が形成される。この集積層を構成する金属酸化物マイクロ粒子相互の隙間には、液相、すなわち、「金属ナノ粒子分散液」が浸潤している状態となっている。金属酸化物マイクロ粒子の沈降が完了すると、金属酸化物マイクロ粒子の集積層の上面に、余剰の「金属ナノ粒子分散液」からなる「分散液層」が形成される。
従って、静置処理工程を終了した時点では、「沈降処理済塗布膜」は、図2に示すように、金属酸化物マイクロ粒子の集積層に相当する下層と、金属酸化物マイクロ粒子の集積層の上面を覆う、「分散液層」に相当する上層で構成される、二層構造を示す。
金属酸化物マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerは、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0と、分散液中に含まれる、金属酸化物マイクロ粒子の体積比率:Vmetal-oxide-particleに比例する。形成される金属酸化物マイクロ粒子の集積層中、金属酸化物マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-oxide-particle-occupancyは、例えば、「立方最密充填」状態を仮定すると、Vmetal-oxide-particle-occupancy≒0.523と見積もられる。また、使用する金属酸化物マイクロ粒子のタップ密度ρtapと、金属酸化物自体の密度ρbulkから、Vmetal-oxide-particle-occupancy=(ρtapbulk)程度と、見積もることもできる。
従って、金属酸化物マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerは、tprecipitate-layer≒tpaste-layer-0×(Vmetal-oxide-particle/100体積%)×(1/Vmetal-oxide-particle-occupancy)程度と推定される。
前記「分散液層」の厚さtsupernateと金属酸化物マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerの合計が、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1に相当している(tpaste-layer-1≒tsupernate+tprecipitate-layer)。
勿論、静置処理工程の間、塗布膜の上面から、分散溶媒が徐々に蒸散する。そのため、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0より薄くなっている。その差(tpaste-layer-0−tpaste-layer-1)は、「静置処理」工程の間、塗布膜の表面から蒸散する分散溶媒の液量に比例している。
分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.は、150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、190℃〜300℃の範囲であるので、「静置処理」工程の間、塗布膜の表面から蒸散する分散溶媒の液量は僅かな量となっている。従って、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が十分に厚い場合には、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1は、金属酸化物マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerよりも有意に厚い範囲となっている。すなわち、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が十分に厚い場合には、実際に、「沈降処理済塗布膜」は、図2に示すように、金属酸化物マイクロ粒子の集積層に相当する下層と、金属酸化物マイクロ粒子の集積層の上面を覆う、「分散液層」に相当する上層で構成される、二層構造を示す。
前記の条件(tpaste-layer-1>tprecipitate-layer)を満たす上では、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0は、少なくとも、110μm≧tpaste-layer-0≧30μmの範囲、好ましくは、100μm≧tpaste-layer-0≧30μmの範囲に選択することが望ましい。
一方、静置処理工程では、室温、大気圧下において、放置し、その放置時間tsettlingは、300分間≧tsettling≧25分間の範囲、好ましくは、300分間≧tsettling≧30分間の範囲に選択することが望ましい。
加熱処理工程では、「沈降処理済塗布膜」に150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingで加熱処理を施す。その際、「沈降処理済塗布膜」の上面から、分散溶媒の蒸散が進行する。また、加熱に伴って、上層の「分散液層」中に含まれる、金属ナノ粒子の表面の被覆剤分子の離脱が進行する。その表面を覆う被覆剤分子層が消失するとともに、金属ナノ粒子の分散性は失われ、金属酸化物マイクロ粒子の集積層の上面に向かって、金属ナノ粒子の沈降(あるいは凝集)が開始される。
また、金属酸化物マイクロ粒子の集積層の内部の隙間に浸潤している「金属ナノ粒子分散液」に含まれる、金属ナノ粒子の表面の被覆剤分子の離脱が進行する。その表面を覆う被覆剤分子層が消失するとともに、金属ナノ粒子の分散性は失われ、金属ナノ粒子の凝集、沈降が開始される。
金属酸化物マイクロ粒子の集積層内部の隙間は、狭い隘路となっており、凝集、沈降を開始した金属ナノ粒子は、金属酸化物マイクロ粒子の集積層を形成する、階層状の金属酸化物マイクロ粒子の表面に到達すると、その金属酸化物マイクロ粒子の表面に付着する。そのため、上層の「分散液層」中に含まれる、金属ナノ粒子は、金属酸化物マイクロ粒子の集積層を形成する、階層状の金属酸化物マイクロ粒子のうち、最上層に位置する金属酸化物マイクロ粒子の上面に優先的に付着する。一部は、さらに、下の階層まで到達するが、より下の階層に達する確率は、指数関数的に減少する。
金属酸化物マイクロ粒子の集積層内部の隙間に、当初から充填されている「金属ナノ粒子分散液」に含まれている、金属ナノ粒子の量と、沈降に起因して、上層から金属酸化物マイクロ粒子の集積層の内部に降下する金属ナノ粒子の量の合計は、金属酸化物マイクロ粒子の集積層の上面側から底面側に向かって、連続的に減少する。一方、金属酸化物マイクロ粒子の集積層を構成している、金属酸化物マイクロ粒子の量は、上面側と底面側の間で、実質的に差異はない。
結果的に、加熱処理工程で形成される構造体は、金属酸化物マイクロ粒子と金属ナノ粒子の比率として表記される「組成」は、表面側の組成(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particletopから、底面側の組成(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particlebottomへと連続的に変化する、「傾斜構造」を有するものとなる。
分散液の組成が同じであれば、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1と、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0との差(tpaste-layer-0−tpaste-layer-1)は、静置処理工程中に、単位面積当たり、表面から蒸散する、分散溶媒の量に依存する。静置処理工程の所要時間が等しい場合、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0に殆ど依存しない。従って、静置処理工程の所要時間が等しい場合、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が減少するとともに、「沈降処理済塗布膜」において、「分散液層」の厚さtsupernateと金属酸化物マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerの比(tsupernate/tprecipitate-layer)が小さくなる。
分散液に含有される、金属酸化物マイクロ粒子の体積比率Vmetal-oxide-particleが同じであっても、形成される金属酸化物マイクロ粒子の集積層中、金属酸化物マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-oxide-particle-occupancyが低くなると、金属酸化物マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerは、相対的に増加する。その結果、「沈降処理済塗布膜」において、「分散液層」の厚さtsupernateと金属酸化物マイクロ粒子の集積層の厚さtprecipitate-layerの比(tsupernate/tprecipitate-layer)は、相対的に小さくなる。例えば、使用する金属酸化物マイクロ粒子のタップ密度ρtapが相対的に小さいと、形成される金属酸化物マイクロ粒子の集積層中、金属酸化物マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-oxide-particle-occupancyが相対的に低くなる。
例えば、「湿式法」を利用して作製される、金属酸化物マイクロ粒子において、その粒子の体積(質量)は、ポワソン分布に類する分布を示す。該金属酸化物マイクロ粒子の体積(質量)の分布は、重量平均値VW、標準偏差√VWの正規分布と近似することができる。その際、金属酸化物マイクロ粒子の粒子径分布も、例えば、重量平均粒子径を指標として、正規分布で近似することができる。金属酸化物マイクロ粒子の体積(質量)の分布が、ポワソン分布に類する分布を示す場合、重量平均粒子径が小さくなると、その金属酸化物マイクロ粒子のタップ密度ρtapは、相対的に小さくなる。従って、使用する金属酸化物マイクロ粒子の重量平均粒子径が小さくなると、形成される金属酸化物マイクロ粒子の集積層中、金属酸化物マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-oxide-particle-occupancyが相対的に低くなる。
金属酸化物分散液に含有される、金属酸化物マイクロ粒子の体積比率Vmetal-oxide-particle、金属酸化物マイクロ粒子の体積比率Vmetal-oxide-particleと、金属ナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの比(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particle)、また、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が同じであっても、使用する金属酸化物マイクロ粒子のタップ密度ρtap、従って、使用する金属酸化物マイクロ粒子の重量平均粒子径(dmetal-oxide-particle)を小さくすることで、形成される金属酸化物マイクロ粒子の集積層中、金属酸化物マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-oxide-particle-occupancyが相対的に低くすることが可能である。その結果、「傾斜構造」を有する構造体における、表面側の組成(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particletopと、底面側の組成(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particlebottomの差を、相対的に小さくすることが可能である。
なお、底面側の組成(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particlebottomの下限、近似的に、次のように見積もられる。前記「金属ナノ粒子分散液」中における、金属ナノ粒子の含有比率を、{Vmetal-nano-particle/(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)}とすると、底面側の組成(Vmetal-nano-particle/Vmetal-oxide-particlebottomの下限は、[(1−Vmetal-oxide-particle-occupancy)・{Vmetal-nano-particle/(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)}]/(Vmetal-oxide-particle-occupancy)と見積もることが可能である。
加熱処理工程では、分散溶媒の蒸散、金属ナノ粒子の沈降、金属ナノ粒子の低温焼成体の形成に加えて、金属酸化物マイクロ粒子の集積層を構成する、金属酸化物マイクロ粒子相互の低温焼結が行われる。
加熱処理工程において、大気雰囲気下で、加熱処理を実施することが望ましい。
例えば、金属酸化物マイクロ粒子の表面の一部に、被覆剤分子が吸着している場合、前記被覆剤分子との反応により、金属酸化物マイクロ粒子の表面の一部が還元される場合がある。大気雰囲気下で、加熱処理を施すことで、還元を受けた部分の表面を再酸化することが可能である。
その他、金属酸化物マイクロ粒子を構成する金属酸化物(MO)と、金属ナノ粒子を構成する金属(M’)が接する部分では、金属種Mより金属種M’が卑な金属である場合、加熱処理を進める間に、MO + M’ → M + M’O の酸化・還元反応が進行する。このような酸化・還元反応を回避する上では、金属酸化物マイクロ粒子を構成する金属酸化物(MO)と、金属ナノ粒子を構成する金属(M’)は、金属種Mより金属種M’が貴な金属である組み合わせを選択することが好ましい。
さらには、金属酸化物マイクロ粒子を構成する金属酸化物(MO)は、場合によっては、加熱処理時、酸素分子(O2)と反応して、より酸化数が高い金属酸化物へと変換される場合もある。例えば、M(II)O + 1/4O2 → M(III)23 のような酸化反応が進行する場合もある。加熱処理時、酸素分子(O2)と反応して、より酸化数が高い金属酸化物へと変換が生じない金属酸化物を選択することで、かかる反応を回避することができる。
また、加熱処理工程において、150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingは、前記分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.を超えない範囲に選択することが望ましい。一般に、加熱処理工程における加熱温度Theatingは、高いほど好ましい。従って、前記分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.を超えない範囲で、加熱温度Theatingを、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、200℃〜300℃の範囲に選択することが望ましい。
一方、加熱処理工程における、加熱時間tsinteringは、加熱温度Theatingに応じて、選択される。具体的には、分散溶媒の蒸散、金属ナノ粒子の沈降、金属ナノ粒子の低温焼成体の形成、金属酸化物マイクロ粒子の集積層を構成する金属酸化物マイクロ粒子相互の低温焼結の各過程の進行速度は、加熱温度Theatingに依存するため、加熱時間tsinteringは、加熱温度Theatingに応じて、選択される。加熱温度Theatingを、150℃〜300℃の範囲に選択する場合、加熱時間tsinteringは、300分間≧tsintering≧25分間の範囲、好ましくは、300分間≧tsintering≧30分間の範囲に選択することが望ましい。
以下に、本発明にかかる傾斜構造の形成方法について、その第三の形態と第四の形態をさらに詳しく説明する。
第三の形態と第四の形態においては、マイクロ粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液では、ナノ粒子として、金属酸化物ナノ粒子を採用する。その際、金属ナノ粒子と異なり、金属酸化物ナノ粒子に対しては、その表面に被覆剤分子層は形成していない。その代り、分散溶媒として、金属酸化物の表面に溶媒和可能な、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(HO−CH2CH2−O−CH2CH2−O−R)を利用し、金属酸化物ナノ粒子の沈降速度を低減している。すなわち、使用される分散液中、金属酸化物ナノ粒子と分散溶媒により、「スラリー状の液相」が形成され、該「スラリー状の液相」中に、マイクロ粒子が分散された状態となっている。その結果、使用される分散液は、高い液粘度を示す状態となっている。
(第三の形態)
第三の形態で使用する分散液について、以下に説明する。
分散液中に含有される、金属酸化物マイクロ粒子の体積比率をVmetal-oxide-particle、金属酸化物ナノ粒子の体積比率をVmetal- oxide-nano-particle、分散溶媒の体積比率をVsolventとすると、その総和(Vmetal-oxide -particle+Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)は、100体積%となっている。目的の「傾斜構造」の形成に使用される、フィラーは、金属酸化物マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子である。また、使用する分散液中には、バインダー樹脂成分が含有されていない。
金属酸化物マイクロ粒子及び金属酸化物ナノ粒子の具体例は先に述べた通りである。
金属酸化物マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-oxide-particleは、1μm以上、例えば、5μm〜20μmの範囲、好ましくは、7μm〜15μmの範囲、より好ましくは、8μm〜13μmの範囲に選択する。
例えば、目的の「傾斜構造」を有する構造体の膜厚tcomposite-layerを、60μm≧tcomposite-layer≧20μmの範囲に選択する場合、該「傾斜組成」を有する構造体の膜厚tcomposite-layerに対して、金属酸化物マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-oxide -particleは、(1/2・tcomposite-layer)≧dmetal-oxide-particle≧(1/20・tcomposite-layer)の範囲、好ましくは、(1/4・tcomposite-layer)≧dmetal-oxide-particle≧(1/10・tcomposite-layer)の範囲に選択することが望ましい。
通常、金属酸化物マイクロ粒子の形状は、その外形は、ほぼ球形を示すものを使用する。例えば、「湿式法」を利用して作製される、金属酸化物マイクロ粒子では、その粒子の体積(質量)は、ポワソン分布に類する分布を示す。該金属酸化物マイクロ粒子の体積(質量)の分布は、重量平均値VW、標準偏差√VWの正規分布と近似することができる。その際、金属酸化物マイクロ粒子の粒子径分布も、例えば、重量平均粒子径を指標として、正規分布で近似することができる。
この重量平均粒子径に基づき、前記金属酸化物マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-oxide-particleの選択基準に従って、利用する金属酸化物マイクロ粒子を選択することができる。
金属酸化物ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-oxide-nano-particleは、1nm〜100nmの範囲、例えば、2nm〜50nmの範囲、好ましくは、3nm〜30nmの範囲、より好ましくは、5nm〜20nmの範囲に選択する。
金属酸化物マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-oxide-particleに対して、金属酸化物ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-oxide-nano-particleは、(1/100・dmetal-oxide-particle)≧dmetal-oxide-nano-particle≧(1/2000・dmetal-oxide-particle)の範囲、好ましくは、(1/200・dmetal-oxide-particle)≧dmetal-oxide-nano-particle≧(1/1000・dmetal-oxide-particle)の範囲に選択することが望ましい。
一方、金属酸化物ナノ粒子の形状は、通常、球形である。第三の形態でも、球形の金属酸化物ナノ粒子を使用する。
第三の形態で使用される分散液では、金属酸化物ナノ粒子を構成する金属酸化物に含有される金属種と、金属酸化物マイクロ粒子を構成する金属酸化物に含有される金属種を、異なる金属種に選択することが望ましい。
「傾斜構造」を有する構造体の底面側と、表面側では、該構造体を構成する、金属酸化物マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子の比率として表記される「組成」が相違し、前記「組成」が、構造体の膜厚方向、底面側から表面側へと、連続的に変化し、「傾斜構造」が形成されている。
「傾斜構造」を有する構造体全体において、金属酸化物マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子の比率として表記される「組成」を平均すると、当然、分散液に含有される、金属酸化物マイクロ粒子の体積比率Vmetal-oxide-particleと、金属酸化物ナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleの比(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-oxide-particlepasteと等しい、平均組成となっている。
「傾斜構造」を有する構造体の底面側の組成、金属酸化物マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子の比率(体積比率);(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-oxide-particlebottomと、表面側の組成、金属酸化物マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子の比率(体積比率);(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-oxide-particletopは、(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-oxide-particletop>(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-oxide-particlepaste>(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-oxide-particlebottomの関係を満たす。
第三の形態で使用する分散液中、その「スラリー状の液相」に相当する、金属酸化物ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる「金属酸化物ナノ粒子分散液」は、金属酸化物ナノ粒子と分散溶媒で構成される。
分散溶媒は、室温(25℃)において、液体であるもの、すなわち、その融点Tsolvent-m.p.が、Tsolvent-m.p.<25℃の条件を満たす有機溶媒である。
分散液中に含有される、金属酸化物ナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particle、分散溶媒の体積比率Vsolventの和(Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)と、金属酸化物ナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleの比Vmetal-oxide-nano-particle:(Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)は、前記「金属酸化物ナノ粒子分散液」中における、金属酸化物ナノ粒子の含有比率に相当する。
使用する分散溶媒として、金属酸化物ナノ粒子の表面に親和性を有する、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(HO−CH2CH2−O−CH2CH2−O−R)系溶媒を採用する。一方、使用する分散溶媒は、加熱処理工程中、蒸散されるが、該加熱処理工程の加熱温度Theatingでは、気泡を発生しないことが望ましい。
例えば、分散溶媒には、その沸点Tsolvent-b.p.が、150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、190℃〜300℃の範囲である、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(HO−CH2CH2−O−CH2CH2−O−R)系溶媒を採用することができる。
「スラリー状の液相」として機能する、金属酸化物ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる「金属酸化物ナノ粒子分散液」自体は、その液粘度μmediumは、分散溶媒の粘度μsolventよりも高い。一方、第三の形態で使用する分散液は、金属酸化物マイクロ粒子を「金属酸化物ナノ粒子分散液」中に分散した分散液に相当し、その液粘度μpasteは上昇している。
第三の形態で使用する分散液は、その液粘度μpasteは、30Pa・s〜150Pa・sの範囲、好ましくは、30Pa・s〜100Pa・sの範囲であることが望ましい。前記の液粘度とすることにより、例えば、スクリーン印刷法を適用して、膜厚が30μmから、最大110μmに達する塗布膜を形成することが可能となる。
次に、第三の形態における、分散液を使用して、傾斜構造を有する構造体を形成するプロセスについて、以下に説明する。
その「傾斜構造」を有する構造体の形成プロセスは、分散液を、基材表面に塗布して、塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、該塗布膜を静置し、塗布膜中に含まれる金属酸化物マイクロ粒子を沈降させ、基材表面に金属酸化物マイクロ粒子の集積層を形成する、静置処理工程と、その後、150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingで加熱処理を施すことにより、金属酸化物ナノ粒子の沈降、凝集、ならびに低温焼結を進行させ、前記金属酸化物マイクロ粒子の集積層に由来する下層部と、その上部に前記金属酸化物ナノ粒子の低温焼結体に由来する表層部を具える、傾斜構造を有する構造体を形成する、加熱処理工程を具えている。
前記塗布膜形成工程では、分散液を、基材表面に塗布して、塗布膜を形成する際、該塗布膜の膜厚tpaste-layer-0を、均一にする。そのため、例えば、スクリーン印刷法を利用して、均一な厚さで、分散液を、基材表面に塗布することが望ましい。また、塗布する基材表面は、平坦であり、水平に保持されていることが望ましい。
静置処理工程では、該塗布膜を静置し、塗布膜中に含まれる金属酸化物マイクロ粒子を沈降させ、基材表面に金属酸化物マイクロ粒子の集積層を形成する。
分散液中に分散されている、金属酸化物マイクロ粒子は、分散溶媒による浮力を受けている。また、分散液中を沈降する際には、その沈降速度に起因する抗力を受ける。金属酸化物マイクロ粒子を構成する金属酸化物の密度ρbulk、分散溶媒の密度ρsolventを用いて、金属酸化物マイクロ粒子に加わる重力と浮力の差は、Fmetal-oxide-particle-gravity=g・(ρbulk−ρsolvent)・(4π/3)・(dmetal-oxide-particle/2)3と表記できる。
金属酸化物マイクロ粒子の沈降速度をVmetal-oxide-particle-fallingと表記する際、金属酸化物マイクロ粒子は、液粘度μmediumの「金属酸化物ナノ粒子分散液」中を移動することに起因する抗力を受ける。この抗力Fmetal-oxide-particle-dragは、「金属酸化物ナノ粒子分散液」の液粘度μmediumに比例し、金属酸化物マイクロ粒子の表面積4π・(dmetal-oxide-particle/2)2に比例し、さらに、沈降速度vmetal-oxide-particle-fallingの二乗(vmetal-oxide-particle-falling2に比例すると推定される。Fmetal-oxide-particle-drag∝μmedium・4π・(dmetal-oxide-particle/2)2・(vmetal-oxide-particle-falling2の比例関係があると推定される。
従って、Fmetal-oxide-particle-gravity=Fmetal-oxide-particle-dragに達すると、金属酸化物マイクロ粒子の沈降速度vmetal-oxide-particle-fallingは、vmetal-oxide-particle-terminal-velocityで一定となる。その際、Vmetal-oxide-particle-terminal-velocityは、次のような比例関係を示す。vmetal-particle-terminal-velocity∝{(1/μmedium)・(dmetal-oxide-particle)・(ρbulk−ρsolvent)}1/2
分散液中に分散されている、金属酸化物ナノ粒子の沈降速度vmetal-oxide-nano-particle-fallingも、vmetal-oxide-nano-particle-terminal-velocityで一定となる。その際、Vmetal-oxide-nano-particle-terminal-velocityは、次のような比例関係を示す。vmetal-oxide-nann-particle-terminal-velocity∝{(1/μsolvent)・(dmetal-oxide-nano-particle)・(ρbulk−ρsolvent)}1/2
従って、vmetal-oxide-particle-terminal-velocity>vmetal-oxide-nano-particle-terminal-velocity>0の関係と推測され、金属酸化物マイクロ粒子の沈降が進行する際、金属酸化物ナノ粒子の沈降も相当に進行すると推断される。但し、金属酸化物マイクロ粒子の沈降は、金属酸化物ナノ粒子の沈降よりも早く進行するため、結果的に、金属酸化物マイクロ粒子が、選択的に沈降して、基材表面に金属酸化物マイクロ粒子の含有比率の高い集積層が形成される。
従って、静置処理工程を終了した時点では、「沈降処理済塗布膜」は、金属酸化物マイクロ粒子の含有比率の高い集積層に相当する下層と、この集積層の上面を覆う、「分散液層」に相当する上層で構成される、二層構造を示す。
集積層の厚さtprecipitate-layerの下限は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0と、分散液中に含まれる、金属酸化物マイクロ粒子の体積比率Vmetal-oxide-particleに比例する。該集積層中、金属酸化物マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-oxide-particle-occupancyは、例えば、「立方最密充填」状態を仮定すると、Vmetal-oxide-particle-occupancy>0.523と見積もられる。また、使用する金属酸化物マイクロ粒子のタップ密度ρtapと、該金属酸化物自体の密度ρbulkから、Vmetal-oxide-particle-occupancy=(ρtapbulk)程度と、見積もることもできる。
従って、集積層の厚さtprecipitate-layerの下限は、tprecipitate-layer≧tpaste-layer-0×((Vmetal-oxide-particle)/100体積%)×(1/Vmetal-oxide-particle-occupancy)程度と見積もることができる。
「分散液層」の厚さtsupernateと、集積層の厚さtprecipitate-layerの合計が、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1に相当している(tpaste-layer-1≒tsupernate+tprecipitate-layer)。
勿論、静置処理工程の間、塗布膜の上面から、分散溶媒が徐々に蒸散する。そのため、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0より薄くなっている。その差(tpaste-layer-0−tpaste-layer-1)は、「静置処理」工程の間、塗布膜の表面から蒸散する分散溶媒の液量に比例している。
分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.は、150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、190℃〜300℃の範囲であるので、「静置処理」工程の間、塗布膜の表面から蒸散する分散溶媒の液量は僅かな量となっている。従って、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が十分に厚い場合には、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1は、集積層の厚さtprecipitate-layerよりも有意に厚い範囲となっている。すなわち、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が十分に厚い場合には、実際に、「沈降処理済塗布膜」は、図2に示すように、集積層に相当する下層と、該集積層の上面を覆う、「分散液層」に相当する上層で構成される、二層構造を示す。
前記の条件(tpaste-layer-1>tprecipitate-layer)を満たす上では、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0は、少なくとも、110μm≧tpaste-layer-0≧30μmの範囲、好ましくは、100μm≧tpaste-layer-0≧30μmの範囲に選択することが望ましい。
一方、静置処理工程では、室温、大気圧下において、放置し、その放置時間tsettlingは、300分間≧tsettling≧25分間の範囲、好ましくは、300分間≧tsettling≧30分間の範囲に選択することが望ましい。
加熱処理工程では、「沈降処理済塗布膜」に150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingで加熱処理を施す。その際、「沈降処理済塗布膜」の上面から、分散溶媒の蒸散が進行する。また、加熱に伴って、上層の「分散液層」中に含まれる、金属酸化物ナノ粒子の沈降が促進される。
結果的に、加熱処理工程で形成される構造体は、金属酸化物マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子の比率として表記される「組成」は、表面側の組成(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-oxide-particletopから、底面側の組成(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-particlebottomへと連続的に変化する、「傾斜構造」を有するものとなる。
分散液の組成が同じであれば、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1と、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0との差(tpaste-layer-0−tpaste-layer-1)は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0に殆ど依存しない。従って、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が減少するとともに、「沈降処理済塗布膜」において、「分散液層」の厚さtsupernateと、集積層の厚さtprecipitate-layerの比(tsupernate/tprecipitate-layer)が小さくなる。
加熱処理工程では、分散溶媒の蒸散、金属酸化物ナノ粒子の沈降、金属酸化物ナノ粒子の低温焼成体の形成に加えて、集積層を構成する、金属酸化物マイクロ粒子相互の低温焼結も進行する。
加熱処理工程において、大気雰囲気下で、加熱処理を実施することが望ましい。
また、加熱処理工程において、150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingは、前記分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.を超えない範囲に選択することが望ましい。一般に、加熱処理工程における加熱温度Theatingは、高いほど好ましい。従って、前記分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.を超えない範囲で、加熱温度Theatingを、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、200℃〜300℃の範囲に選択することが望ましい。
一方、加熱処理工程における、加熱時間tsinteringは、加熱温度Theatingに応じて、選択される。具体的には、分散溶媒の蒸散、金属酸化物ナノ粒子の沈降、金属酸化物ナノ粒子の低温焼成体の形成、集積層を構成する金属酸化物マイクロ粒子相互の低温焼結の各過程の進行速度は、加熱温度Theatingに依存するため、加熱時間tsinteringは、加熱温度Theatingに応じて、選択される。加熱温度Theatingを、150℃〜300℃の範囲に選択する場合、加熱時間tsinteringは、360分間≧tsintering≧10分間の範囲、好ましくは、300分間≧tsintering≧15分間の範囲に選択することが望ましい。
(第四の形態)
第四の形態で使用する分散液について、以下に説明する。
分散液中に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率をVmetal- particle、金属酸化物ナノ粒子の体積比率をVmetal- oxide-nano-particle、分散溶媒の体積比率をVsolventとすると、その総和(Vmetal-particle+Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)は、100体積%となっている。目的の「傾斜構造」の形成に使用される、フィラーは、金属マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子である。また、使用する分散液中には、バインダー樹脂成分が含有されていない。
マイクロ粒子やナノ粒子を構成する金属種や金属酸化物の具体例は先に述べた通りである。
金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleは、1μm以上、例えば、5μm〜20μmの範囲、好ましくは、7μm〜15μmの範囲、より好ましくは、8μm〜13μmの範囲に選択することが望ましい。
例えば、目的の「傾斜構造」を有する構造体の膜厚tcomposite-layerを、60μm≧tcomposite-layer≧20μmの範囲に選択する場合、該「傾斜組成」を有する構造体の膜厚tcomposite-layerに対して、金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal- -particleは、(1/2・tcomposite-layer)≧dmetal-particle≧(1/20・tcomposite-layer)の範囲、好ましくは、(1/4・tcomposite-layer)≧dmetal-particle≧(1/10・tcomposite-layer)の範囲に選択することが望ましい。
通常、金属マイクロ粒子の形状は、その外形は、ほぼ球形を示すものを使用する。例えば、「湿式法」を利用して作製される、金属マイクロ粒子では、その粒子の体積(質量)は、ポワソン分布に類する分布を示す。該金属マイクロ粒子の体積(質量)の分布は、重量平均値VW、標準偏差√VWの正規分布と近似することができる。その際、金属マイクロ粒子の粒子径分布も、例えば、重量平均粒子径を指標として、正規分布で近似することができる。
この重量平均粒子径に基づき、前記金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal-particleの選択基準に従って、利用する金属マイクロ粒子を選択することができる。
金属酸化物ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-oxide-nano-particleは、1nm〜100nmの範囲、例えば、2nm〜50nmの範囲、好ましくは、3nm〜30nmの範囲、より好ましくは、5nm〜20nmの範囲に選択することが望ましい。
金属マイクロ粒子の平均粒子径dmetal- particleに対して、金属酸化物ナノ粒子自体の平均粒子径dmetal-oxide-nano-particleは、(1/100・dmetal-particle)≧dmetal-oxide-nano-particle≧(1/2000・dmetal-particle)の範囲、好ましくは、(1/200・dmetal-particle)≧dmetal-oxide-nano-particle≧(1/1000・dmetal-particle)の範囲に選択することが望ましい。
一方、金属酸化物ナノ粒子の形状は、通常、球形である。第四の形態でも、球形の金属酸化物ナノ粒子を使用する。
第四の形態で使用される分散液では、金属酸化物ナノ粒子を構成する金属酸化物に含有される金属種と、金属マイクロ粒子を構成する金属酸化物に含有される金属種を、異なる金属種に選択することが望ましい。なお、金属酸化物ナノ粒子を構成する金属酸化物に含有される金属種と、金属マイクロ粒子を構成する金属酸化物に含有される金属種を、同じ金属種に選択することもできる。
「傾斜構造」を有する構造体の底面側と、表面側では、該構造体を構成する、金属マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子の比率として表記される「組成」が相違し、前記「組成」が、構造体の膜厚方向、底面側から表面側へと、連続的に変化し、「傾斜構造」が形成されている。
「傾斜構造」を有する構造体全体において、金属マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子の比率として表記される「組成」を平均すると、当然、分散液に含有される、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleと、金属酸化物ナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleの比(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-particlepasteと等しい、平均組成となっている。
「傾斜構造」を有する構造体の底面側の組成、金属マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子の比率(体積比率);(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-particlebottomと、表面側の組成、金属マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子の比率(体積比率);(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-particletopは、(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-particletop>(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-particlepaste>(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-particlebottomの関係を満たす。
第四の形態で使用する分散液中、その「スラリー状の液相」に相当する、金属酸化物ナノ粒子を分散溶媒中に均一に分散してなる「金属酸化物ナノ粒子分散液」は、金属酸化物ナノ粒子と分散溶媒で構成される。
分散溶媒は、室温(25℃)において、液体であるもの、すなわち、その融点Tsolvent-m.p.が、Tsolvent-m.p.<25℃の条件を満たす有機溶媒である。
分散液中に含有される、金属酸化物ナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particle、分散溶媒の体積比率Vsolventの和(Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)と、金属酸化物ナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleの比Vmetal-oxide-nano-particle:(Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)は、前記「金属酸化物ナノ粒子分散液」中における、金属酸化物ナノ粒子の含有比率に相当する。
使用する分散溶媒として、金属酸化物ナノ粒子の表面に親和性を有する、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(HO−CH2CH2−O−CH2CH2−O−R)系溶媒を採用する。一方、使用する分散溶媒は、加熱処理工程中、蒸散されるが、該加熱処理工程の加熱温度Theatingでは、気泡を発生しないことが望ましい。
例えば、分散溶媒には、その沸点Tsolvent-b.p.が、150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、190℃〜300℃の範囲である、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル(HO−CH2CH2−O−CH2CH2−O−R)系溶媒を採用することができる。
第四の形態で使用する分散液は、その液粘度μpasteは、30Pa・s〜150Pa・sの範囲、好ましくは、30Pa・s〜100Pa・sの範囲であることが望ましい。前記の液粘度とすることにより、例えば、スクリーン印刷法を適用して、膜厚が30μmから、最大110μmに達する塗布膜を形成することが可能となる。
次に、第四の形態における、分散液を使用して、傾斜構造を有する構造体を形成するプロセスについて、以下に説明する。
その「傾斜構造」を有する構造体の形成プロセスは、分散液を、基材表面に塗布して、塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、該塗布膜を静置し、塗布膜中に含まれる金属マイクロ粒子を沈降させ、基材表面に金属マイクロ粒子の集積層を形成する、静置処理工程と、その後、150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingで加熱処理を施すことにより、金属酸化物ナノ粒子の沈降、凝集、ならびに低温焼結を進行させ、前記金属マイクロ粒子の集積層に由来する下層部と、その上部に前記金属酸化物ナノ粒子の低温焼結体に由来する表層部を具える、傾斜構造を有する構造体を形成する、加熱処理工程を具えている。
塗布膜形成工程では、分散液を、基材表面に塗布して、塗布膜を形成する際、該塗布膜の膜厚tpaste-layer-0を、均一にする。そのため、例えば、スクリーン印刷法を利用して、均一な厚さで、分散液を、基材表面に塗布することが望ましい。また、塗布する基材表面は、平坦であり、水平に保持されていることが望ましい。
静置処理工程では、該塗布膜を静置し、塗布膜中に含まれる金属マイクロ粒子を沈降させ、基材表面に金属マイクロ粒子の集積層を形成する。
分散液中に分散されている、金属マイクロ粒子は、分散溶媒による浮力を受けている。また、分散液中を沈降する際には、その沈降速度に起因する抗力を受ける。金属マイクロ粒子を構成する金属の密度ρbulk、分散溶媒の密度ρsolventを用いて、金属マイクロ粒子に加わる重力と浮力の差は、Fmetal-particle-gravity=g・(ρbulk−ρsolvent)・(4π/3)・(dmetal-particle/2)3と表記できる。
金属マイクロ粒子の沈降速度をVmetal-particle-fallingと表記する際、金属マイクロ粒子は、液粘度μmediumの「金属酸化物ナノ粒子分散液」中を移動することに起因する抗力を受ける。この抗力Fmetal-particle-dragは、「金属酸化物ナノ粒子分散液」の液粘度μmediumに比例し、金属マイクロ粒子の表面積4π・(dmetal-particle/2)2に比例し、さらに、沈降速度vmetal-particle-fallingの二乗(vmetal-particle-falling2に比例すると推定される。Fmetal-particle-drag∝μmedium・4π・(dmetal-particle/2)2・(vmetal-particle-falling2の比例関係があると推定される。
従って、Fmetal-particle-gravity=Fmetal-particle-dragに達すると、金属マイクロ粒子の沈降速度vmetal-particle-fallingは、vmetal-particle-terminal-velocityで一定となる。その際、Vmetal-particle-terminal-velocityは、次のような比例関係を示す。vmetal-particle-terminal-velocity∝{(1/μmedium)・(dmetal-particle)・(ρbulk−ρsolvent)}1/2
分散液中に分散されている、金属酸化物ナノ粒子の沈降速度vmetal-oxide-nano-particle-fallingも、vmetal-oxide-nano-particle-terminal-velocityで一定となる。その際、Vmetal-oxide-nano-particle-terminal-velocityは、次のような比例関係を示す。vmetal-oxide-nann-particle-terminal-velocity∝{(1/μsolvent)・(dmetal-oxide-nano-particle)・(ρbulk−ρsolvent)}1/2
従って、vmetal-oxide-particle-terminal-velocity>vmetal-oxide-nano-particle-terminal-velocity>0の関係と推測され、金属マイクロ粒子の沈降が進行する際、金属酸化物ナノ粒子の沈降も相当に進行すると推断される。但し、金属マイクロ粒子の沈降は、金属酸化物ナノ粒子の沈降よりも早く進行するため、結果的に、金属マイクロ粒子が、選択的に沈降して、基材表面に金属マイクロ粒子の含有比率の高い集積層が形成される。
従って、静置処理工程を終了した時点では、「沈降処理済塗布膜」は、金属マイクロ粒子の含有比率の高い集積層に相当する下層と、この集積層の上面を覆う、「分散液層」に相当する上層で構成される、二層構造を示す。
集積層の厚さtprecipitate-layerの下限は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0と、分散液中に含まれる、金属マイクロ粒子の体積比率Vmetal-particleに比例する。該集積層中、金属マイクロ粒子の占める体積比率(充填率)Vmetal-particle-occupancyは、例えば、「立方最密充填」状態を仮定すると、Vmetal-particle-occupancy>0.523と見積もられる。また、使用する金属マイクロ粒子のタップ密度ρtapと、該金属自体の密度ρbulkから、Vmetal-particle-occupancy=(ρtapbulk)程度と、見積もることもできる。
従って、集積層の厚さtprecipitate-layerの下限は、tprecipitate-layer≧tpaste-layer-0×((Vmetal-particle)/100体積%)×(1/Vmetal-particle-occupancy)程度と見積もることができる。
「分散液層」の厚さtsupernateと、集積層の厚さtprecipitate-layerの合計が、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1に相当している(tpaste-layer-1≒tsupernate+tprecipitate-layer)。
勿論、静置処理工程の間、塗布膜の上面から、分散溶媒が徐々に蒸散する。そのため、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0より薄くなっている。その差(tpaste-layer-0−tpaste-layer-1)は、「静置処理」工程の間、塗布膜の表面から蒸散する分散溶媒の液量に比例している。
分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.は、150℃〜350℃の範囲、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、190℃〜300℃の範囲であるので、「静置処理」工程の間、塗布膜の表面から蒸散する分散溶媒の液量は僅かな量となっている。従って、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が十分に厚い場合には、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1は、集積層の厚さtprecipitate-layerよりも有意に厚い範囲となっている。すなわち、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が十分に厚い場合には、実際に、「沈降処理済塗布膜」は、図2に示すように、集積層に相当する下層と、該集積層の上面を覆う、「分散液層」に相当する上層で構成される、二層構造を示す。
前記の条件(tpaste-layer-1>tprecipitate-layer)を満たす上では、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0は、少なくとも、110μm≧tpaste-layer-0≧30μmの範囲、好ましくは、100μm≧tpaste-layer-0≧30μmの範囲に選択することが望ましい。
一方、静置処理工程では、室温、大気圧下において、放置し、その放置時間tsettlingは、300分間≧tsettling≧25分間の範囲、好ましくは、300分間≧tsettling≧30分間の範囲に選択することが望ましい。
加熱処理工程では、「沈降処理済塗布膜」に150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingで加熱処理を施す。その際、「沈降処理済塗布膜」の上面から、分散溶媒の蒸散が進行する。また、加熱に伴って、上層の「分散液層」中に含まれる、金属酸化物ナノ粒子の沈降が促進される。
結果的に、加熱処理工程で形成される構造体は、金属酸化物マイクロ粒子と金属酸化物ナノ粒子の比率として表記される「組成」は、表面側の組成(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-oxide-particletopから、底面側の組成(Vmetal-oxide-nano-particle/Vmetal-particlebottomへと連続的に変化する、「傾斜構造」を有するものとなる。
分散液の組成が同じであれば、「沈降処理済塗布膜」の膜厚tpaste-layer-1と、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0との差(tpaste-layer-0−tpaste-layer-1)は、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0に殆ど依存しない。従って、当初の塗布膜の膜厚tpaste-layer-0が減少するとともに、「沈降処理済塗布膜」において、「分散液層」の厚さtsupernateと、集積層の厚さtprecipitate-layerの比(tsupernate/tprecipitate-layer)が小さくなる。
加熱処理工程では、分散溶媒の蒸散、金属酸化物ナノ粒子の沈降、金属酸化物ナノ粒子の低温焼成体の形成に加えて、集積層中に含まれる、金属マイクロ粒子相互の低温焼結も進行する。
加熱処理工程において、大気雰囲気下で、加熱処理を実施することが望ましい。
また、加熱処理工程において、150℃〜300℃の範囲に選択する温度Theatingは、前記分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.を超えない範囲に選択することが望ましい。一般に、加熱処理工程における加熱温度Theatingは、高いほど好ましい。従って、前記分散溶媒の沸点Tsolvent-b.p.を超えない範囲で、加熱温度Theatingを、好ましくは、170℃〜300℃の範囲、より好ましくは、200℃〜300℃の範囲に選択することが望ましい。
一方、加熱処理工程における、加熱時間tsinteringは、加熱温度Theatingに応じて、選択される。具体的には、分散溶媒の蒸散、金属酸化物ナノ粒子の沈降、金属酸化物ナノ粒子の低温焼成体の形成、集積層中に含まれる金属マイクロ粒子相互の低温焼結の各過程の進行速度は、加熱温度Theatingに依存するため、加熱時間tsinteringは、加熱温度Theatingに応じて、選択される。加熱温度Theatingを、150℃〜300℃の範囲に選択する場合、加熱時間tsinteringは、360分間≧tsintering≧10分間の範囲、好ましくは、300分間≧tsintering≧15分間の範囲に選択することが望ましい。
以下に、具体例を示し、本発明をより具体的に説明する。これらの具体例は、本発明にかかる最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明は、これら具体例の形態に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例1の分散液は、下記の原料を用いて調製されている。
金属マイクロ粒子として、湿式法で作製される三井金属(株)製の銅粉末1400YM(平均粒子径4μm)を使用する。公表されている、その粒度分布は、D10は、3.32μm、D50は、4.21μm、D90は、5.63μmである。また、タップ密度は、5.5g/cm3と公表されており、金属銅の密度8.95g/cm3の61.5%に相当している。従って、該銅粉末1400YMを「最密充填」に類する状態とすると、その隙間の体積比率は、38.5体積%程度となると推定される。
金属ナノ粒子分散液として、ハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液を利用する。該分散液中に分散されている、Agナノ粒子の平均粒子径は、12nmである。このAgナノ粒子の表面には、被覆剤分子ドデシルアミンの表面被覆分子層が形成されている。該ヘプタン分散液は、ヘプタン(沸点98.42℃)を60.8質量部、Agナノ粒子を35質量部、被覆剤分子ドデシルアミンを4.2質量部含んでいる。
高沸点の非極性有機溶媒として、石油系ノンアロマ炭化水素溶剤である、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント7号を使用する。該AFソルベント7号の沸点は、259〜282℃である。
ハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液5質量部(Ag固形分で2質量部)、三井金属(株)製1400YM 8質量部、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント7号0.5質量部を均一に混合する。得られる分散液中に含まれる、ヘプタンを、ロータリーエバポレーターで脱溶剤する。ヘプタンを除去した後、得られるペースト状の分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、銅粉末を均一に分散させ、分散液を得る。
調製された分散液は、銅粉末1400YM 8質量部当たり、Agナノ粒子2質量部、その被覆剤分子のドデシルアミン0.24質量部、分散溶媒のAFソルベント7号0.5質量部を含有している。銅:銀の比率(質量比)、8質量部:2質量部は、原子数比に換算すると、87:13に相当している。
体積比率に換算すると、銅粉末1400YMの体積比率Vmetal-particleは44.9体積%、Agナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleは9.6体積%、被覆剤分子ドデシルアミンの体積比率Vcoating-moleculeは14.9体積%、分散溶媒AFソルベント7号の体積比率Vsolventは30.6体積%となっている。
該実施例1の分散液中における、銅粉末1400YMの体積比率Vmetal-particleとAgナノ粒子の体積比率Vnano-particleの総和(Vmetal-particle+Vmetal-nano-particle)は、54.5体積%である。該実施例1の分散液の液粘度は、15 Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
調製された分散液を、スライドガラス上に、5mm×30mmのパターンで塗布した。該分散液塗布膜の平均厚さtpaste-layer-0は、80μmであった。該分散液塗布膜を、室温で60min静置した後、N2-4vol%H2水素雰囲気下、250℃、30min加熱処理して、焼成処理を施した。
得られた焼成物の平均膜厚は、58μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、6μΩ・cmであった。なお、金属銅の抵抗率は、1.673μΩ・cm(20℃)であり、金属銀の抵抗率は、1.59μΩ・cm(20℃)である。
焼成物の平均膜厚と分散液塗布膜の平均厚さの比は、58/80=0.725である。なお、銅粉末が、「最密充填」に類する状態で集積層を構成すると仮定すると、該集積層中、銅粉末が占める体積比率は、61.5体積%と推定される。その仮定条件における、該銅粉末の集積層の厚さtprecipitate-layerは、80×(Vmetal-particle/100)×(100/61.5)≒58.4μmと推定される。また、該銅粉末の集積層の隙間空間の体積は、該集積層中、銅粉末が占める体積を基準として、その(38.5/61.5)に相当すると推定される。一方、「沈降処理」工程中、分散溶媒は僅かに蒸散するので、該銅粉末の集積層の上部に残る「分散液層」の厚さtsupernateは、(80−tprecipitate-layer r)を超えないと推定される。この「分散液層」中に含まれる、Agナノ粒子の体積比率は、Vmetal-nano-particle/(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)≒0.17と見積もられる。
EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)装置を利用し、得られた焼成膜の裏面と表面の組成分析を行った。EDXを利用する特性X線分析の結果、裏面における平均組成において、銅と銀の比率(質量比)は82:18であった。一方、表面における平均組成において、銅と銀の比率(質量比)は54:46であった。なお、分散液中に含有される、銅粉末とAgナノ粒子の質量比は、8質量部:2質量部(80:20)である。
従って、得られた焼成膜中、銅と銀の比率(質量比)は裏面から表面に向かって、82:18から54:46へと連続的に変化していると判断され、傾斜組成を有する構造体となっている。
(実施例2)
本実施例2の分散液は、下記の原料を用いて調製されている。
金属マイクロ粒子として、湿式法で作製される三井金属(株)製の銅粉末1400YM(平均粒子径4μm)を使用する。
前記金属マイクロ粒子に加えて、湿式法で作製される三井金属(株)製の銅微細粉末1050Y(平均粒子径1μm)を使用する。公表されている、その粒度分布は、D10は、0.53μm、D50は、0.75μm、D90は、1.11μmである。
ハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液5質量部(Ag固形分で2質量部)、三井金属(株)製1400YM 6.56質量部、1050Y 1.44質量部、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント7号0.5質量部を均一に混合する。得られる分散液中に含まれる、ヘプタンを、ロータリーエバポレーターで脱溶剤する。ヘプタンを除去した後、得られるペースト状の分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、銅粉末、銅微細粉末を均一に分散させ、分散液を得る。
調製された分散液は、銅粉末1400YM 6.56質量部と銅微細粉末1050Y 1.44質量部の合計、8質量部当たり、Agナノ粒子2質量部、その被覆剤分子のドデシルアミン0.24質量部、分散溶媒のAFソルベント7号0.5質量部を含有している。従って、銅:銀の比率(質量比)、8質量部:2質量部は、原子数比に換算すると、87:13に相当している。
体積比率に換算すると、銅粉末1400YMの体積比率Vmetal-particleは36.8体積%、銅微細粉末1050Yの体積比率Vmetal-fine-particleは8.1体積%、Agナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleは9.6体積%、被覆剤分子ドデシルアミンの体積比率Vcoating-moleculeは14.9体積%、分散溶媒AFソルベント7号の体積比率Vsolventは30.6体積%となっている。
実施例2の分散液中における、銅粉末1400YMの体積比率Vmetal-particle、銅微細粉末1050Yの体積比率Vmetal-fine-particle、Agナノ粒子の体積比率Vnano-particleの総和(Vmetal-particle+Vmetal-fine-particle+Vmetal-nano-particle)は、54.5体積%である。該実施例2の分散液の液粘度は、20Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
調製された分散液を、スライドガラス上に、5mm×30mmのパターンで塗布した。該分散液塗布膜の平均厚さは、78μmであった。該分散液塗布膜を、室温で60min静置した後、N2-4vol%H2水素雰囲気下、250℃、30min加熱処理して、焼成処理を施した。
得られた焼成物の平均膜厚は、55μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、5.6μΩ・cmであった。なお、金属銅の抵抗率は、1.673μΩ・cm(20℃)であり、金属銀の抵抗率は、1.59μΩ・cm(20℃)である。
焼成物の平均膜厚と分散液塗布膜の平均厚さの比は、55/78≒0.705である。なお、沈降する銅粉末が、「最密充填」に類する状態で集積層を構成すると仮定すると、該集積層中、銅粉末が占める体積比率は、61.5体積%と推定される。その際、銅微細粉末も同時に沈降し、銅粉末の隙間に、銅微細粉末が取り込まれると仮定する。その仮定条件における、該銅粉末と銅微細粉末の集積層の厚さtprecipitate-layerは、78×(Vmetal-particle/100)×(100/61.5)≒46.7μmと推定される。該銅粉末と銅微細粉末の集積層中、銅粉末と銅微細粉末が占める体積比率の合計は、61.5体積%×(8/6.56)≒75.0体積%と推定される。また、該銅粉末と銅微細粉末の集積層の隙間空間の体積は、該集積層中、銅粉末と銅微細粉末が占める体積の合計を基準として、その(25.0/75.0)に相当すると推定される。一方、「沈降処理」工程中、分散溶媒は僅かに蒸散するので、該銅粉末の集積層の上部に残る「分散液層」の厚さtsupernateは、(78−tprecipitate-layer)を超えないと推定される。この「分散液層」中に含まれる、Agナノ粒子の体積比率は、Vmetal-nano-particle/(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)≒0.17と見積もられる。
EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)装置を利用し、得られた焼成膜の裏面と表面の組成分析を行った。EDXを利用する特性X線分析の結果、裏面における平均組成において、銅と銀の比率(質量比)は82:18であった。一方、表面における平均組成において、銅と銀の比率(質量比)は57:43であった。なお、分散液中に含有される、銅粉末とAgナノ粒子の質量比は、8質量部:2質量部(80:20)である。
従って、得られた焼成膜中、銅と銀の比率(質量比)は裏面から表面に向かって、82:18から57:43へと連続的に変化していると判断され、傾斜組成を有する構造体となっている。
(参考例)
参考例の分散液は、下記の原料を用いて調製されている。
三井金属(株)製の銅粉末1400YM(平均粒子径4μm)に代えて、三井金属(株)製の銅微細粉末1050Y(平均粒子径dmetal-particle1μm)を使用する。なお、タップ密度ρCu-bulkは、4.3g/cm3と公表されており、金属銅の密度ρCu8.95g/cm3の48.0%に相当している。従って、該銅微細粉末を「最密充填」に類する状態とすると、その隙間の体積比率は、52.0体積%程度となると推定される。
ハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液5質量部(Ag固形分で2質量部)、三井金属(株)製1050Y 8質量部、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント7号0.5質量部を均一に混合する。得られる分散液中に含まれる、ヘプタンを、ロータリーエバポレーターで脱溶剤する。ヘプタンを除去した後、得られるペースト状の分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、銅粉末、銅微細粉末を均一に分散させ、分散液を得る。
調製された分散液は、銅微細粉末1050Y 8質量部当たり、Agナノ粒子2質量部、その被覆剤分子のドデシルアミン0.24質量部、分散溶媒のAFソルベント7号0.5質量部を含有している。従って、銅:銀の比率(質量比)、8質量部:2質量部は、原子数比に換算すると、87:13に相当している。
前記組成を、体積比率に換算すると、銅微細粉末1050Yの体積比率Vmetal-fine-particleは44.9体積%、Agナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleは9.6体積%、被覆剤分子ドデシルアミンの体積比率Vcoating-moleculeは14.9体積%、分散溶媒AFソルベント7号の体積比率Vsolventは30.6体積%となっている。
該参考例の分散液中における、銅微細粉末1050Yの体積比率Vmetal-fine-particle、Agナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの総和(Vmetal-fine-particle+Vmetal-nano-particle)は、54.5体積%である。該参考例の分散液の液粘度は、35Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
調製された分散液を、スライドガラス上に、5mm×30mmのパターンで塗布した。該分散液塗布膜の平均厚さは、58μmであった。該分散液塗布膜を、室温で60min静置した後、N2-4vol%H2水素雰囲気下、250℃、30min加熱処理して、焼成処理を施した。
得られた焼成物の平均膜厚は、35μmであった。該焼成物を前記平均膜厚の均一な導電体と仮定して、測定したシート抵抗値から、体積固有抵抗率を算出した。算出された体積固有抵抗率は、6.5μΩ・cmであった。なお、金属銅の抵抗率は、1.673μΩ・cm(20℃)であり、金属銀の抵抗率は、1.59μΩ・cm(20℃)である。
焼成物の平均膜厚と分散液塗布膜の平均厚さの比は、35/58≒0.603である。なお、沈降する銅微細粉末が、「最密充填」に類する状態で集積層を構成すると仮定すると、該集積層中、銅粉末が占める体積比率は、48.0体積%と推定される。その仮定条件における、該銅微細粉末の集積層の厚さtprecipitate-layerは、58×(Vmetal-fine-particle/100)×(100/48.0)≒54.2μmと推定される。また、該銅微細粉末の集積層の隙間空間の体積は、該集積層中、銅微細粉末が占める体積の合計を基準として、その(52.0/48.0)に相当すると推定される。一方、「沈降処理」工程中、分散溶媒は僅かに蒸散するので、該銅粉末の集積層の上部に残る「分散液層」の厚さtsupernateは、(58−tprecipitate-layer)を超えないと推定される。この「分散液層」中に含まれる、Agナノ粒子の体積比率は、Vmetal-nano-particle/(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)≒0.17と見積もられる。
EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)装置を利用し、得られた焼成膜の裏面と表面の組成分析を行った。EDXを利用する特性X線分析の結果、裏面における平均組成において、銅と銀の比率(質量比)は81:19であった。一方、表面における平均組成において、銅と銀の比率(質量比)は74:26であった。なお、分散液中に含有される、銅微細粉末とAgナノ粒子の質量比は、8質量部:2質量部(80:20)である。
従って、得られた焼成膜中、銅と銀の比率(質量比)は裏面から表面に向かって、81:19から74:26へと僅かに変化していると判断される。変化量は極僅かであるが、一応、傾斜組成を有する構造体となっている。
(実施例B−1)
本実施例B−1の分散液は、下記の原料を用いて調製されている。
金属酸化物マイクロ粒子として、宇部マテリアルズ(株)製の酸化マグネシウム粉末RF−10Cを使用する。公表されている、平均粒子径dmetal-oxide-particleは10.6μmである。また、タップ密度ρMgO-bulkは、1.9g/cm3と測定され、酸化マグネシウムの密度ρMgO3.65g/cm3の52.5%に相当している。従って、該酸化マグネシウムを「最密充填」に類する状態とすると、その隙間の体積比率は、47.5体積%程度となると推定される。
金属ナノ粒子分散液として、ハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液を利用する。該分散液中に分散されている、Agナノ粒子の平均粒子径dmetal-nano-particleは、12nmである。このAgナノ粒子の表面には、被覆剤分子ドデシルアミンの表面被覆分子層が形成されている。該ヘプタン分散液は、ヘプタン(沸点98.42℃)を60.9質量部、Agナノ粒子を34質量部、被覆剤分子ドデシルアミンを4.1質量部含んでいる。金属銀の密度ρAgは、10.49g/cm3である。
高沸点の非極性有機溶媒として、石油系ノンアロマ炭化水素溶剤である、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント7号を使用する。該AFソルベント7号の沸点Tsolventは、259〜282 ℃である。
ハリマ化成製Agナノ粒子ヘプタン分散液2.95質量部(Ag固形分で1質量部)、酸化マグネシウム1.77質量部、JX日鉱日石エネルギー製AFソルベント7号0.4質量部を均一に混合する。得られる分散液中に含まれる、ヘプタンを、ロータリーエバポレーターで脱溶剤する。ヘプタンを除去した後、得られるペースト状の分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、酸化マグネシウム粉末を均一に分散させ、分散液を得る。
調製された分散液は、酸化マグネシウム粉末1.77質量部当たり、Agナノ粒子1質量部、その被覆剤分子のドデシルアミン0.12質量部、分散溶媒のAFソルベント7号0.4質量部を含有している。脱溶剤処理の間における、AFソルベント7号の蒸散は起こっていない。
酸化マグネシウムの分子量:40.3044、銀の原子量:107.8682を考慮すると、酸化マグネシウム:銀の比率(質量比)、1.77質量部:1質量部は、原子数比に換算すると、83:17に相当している。
体積比率に換算すると、酸化マグネシウムの体積比率Vmetal-oxide-particleは39.9体積%、Agナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleは7.8体積%、被覆剤分子ドデシルアミンの体積比率Vcoating-moleculeは12.2体積%、分散溶媒AFソルベント7号の体積比率Vsolventは40.1体積%となっている。
該実施例B−1の金属酸化物分散液中における、酸化マグネシウム粉末の体積比率Vmetal-oxide-particleとAgナノ粒子の体積比率Vnano-particleの総和(Vmetal-oxide-particle+Vnano-particle)は、47.7 体積%である。分散液の液粘度は、15 Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
調製された分散液を、スライドガラス上に、5mm×30mmのパターンで塗布した。該分散液塗布膜の平均厚さtpaste-layer-0は、80μmであった。該分散液塗布膜を、室温で60min静置した後、大気雰囲気下、250℃、30min加熱処理して、焼成処理を施した。
得られた焼成物の平均膜厚tsintered-filmは、65μmであった。
焼成物の平均膜厚tsintered-filmと分散液塗布膜の平均厚さtpaste-layer-0の比は、65/80=0.813である。分散液中における、酸化マグネシウム粉末の体積比率Vmetal-oxide-particleとAgナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの総和(Vmetal-oxide-particle+Vmetal-nano-particle)は、47.7体積%であるので、該焼成物中、酸化マクネシウム粉末とAgナノ粒子が占める体積比率は、47.7体積%/81.3体積%≒0.587(58.7体積%)と見積もられる。
なお、酸化マグネシウム粉末が、「最密充填」に類する状態で集積層を構成すると仮定すると、該集積層中、酸化マグネシウム粉末が占める体積比率は、52.5体積%と推定される。その仮定条件における、該酸化マグネシウム粉末の集積層の厚さtprecipitate-layerは、80×(Vmetal-oxide-particle/100)×(100/52.5)≒60.8 μmと推定される。また、該酸化マグネシウム粉末の集積層の隙間空間の体積は、該集積層中、酸化マグネシウム粉末が占める体積を基準として、その(47.5/52.5)に相当すると推定される。一方、「沈降処理」工程中、分散溶媒は僅かに蒸散するので、該酸化マグネシウム粉末の集積層の上部に残る「分散液層」の厚さtsupernateは、(80−tprecipitate-layer)を超えないと推定される。この「分散液層」中に含まれる、Agナノ粒子の体積比率は、Vmetal-nano-particle/(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)≒0.13と見積もられる。
EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)装置を利用し、得られた焼成膜の裏面と表面の組成分析を行った。EDXを利用する特性X線分析の結果、裏面における平均組成において、酸化マグネシウムと銀の比率(質量比)は70:30であった。一方、表面における平均組成において、酸化マグネシウムと銀の比率(質量比)は4:96であった。なお、分散液中に含有される、酸化マグネシウム粉末とAgナノ粒子の質量比は、1.77質量部:1質量部(64:36)である。
得られた焼成膜は、酸化マグネシウム粉末とAgナノ粒子で形成されていると仮定すると、裏面における平均組成;酸化マグネシウムと銀の比率(質量比)70:30は、酸化マグネシウム粉末とAgナノ粒子の比率(体積比)に換算すると、(70/3.65):(30/10.49)≒19.18:2.86≒75.1:24.9である。
表面における平均組成;酸化マグネシウムと銀の比率(質量比)4:96は、酸化マグネシウム粉末とAgナノ粒子の比率(体積比)に換算すると、(4/3.65):(96/10.49)≒1.096:9.152≒10.69:89.31である。
なお、分散液中の酸化マグネシウム粉末の体積比率Vmetal-oxide-particleとAgナノ粒子の体積比率Vmetal-nano-particleの比(Vmetal-oxide-particle:Vmetal-nano-particlepasteは、83.65:16.35である。裏面における体積比率(Vmetal-oxide-particle:Vmetal-nano-particlebottom≒(75.1:24.9)と表面における体積比率(Vmetal-oxide-particle:Vmetal-nano-particletop≒(10.69:89.31)は、(Vmetal-oxide-particle/Vmetal-nano-particlebottom>(Vmetal-oxide-particle/Vmetal-nano-particlepaste>(Vmetal-oxide-particle/Vmetal-nano-particletopの条件を満足している。
従って、得られた焼成膜では、その表面にも酸化マグネシウム粉末が実質的に存在していない状態であると判断される。換言すると、静置工程を設け、酸化マグネシウム粉末の集積層を形成しており、その結果、図2に示すような、マイクロ粒子の集積層と、ナノ粒子と分散溶媒からなる上層との分離が達成されていると判断される。
なお、(1−Vmetal-oxide-particle-occupancy)/(Vmetal-oxide-particle-occupancy)=(47.5/52.5)、{Vmetal-nano-particle/(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)}≒0.13の場合、(Vmetal-oxide-particle-occupancy)/[(1−Vmetal-oxide-particle-occupancy)・{Vmetal-nano-particle/(Vmetal-nano-particle+Vcoating-molecule+Vsolvent)}]は、約88.2/11.8となる。裏面における体積比率(Vmetal-oxide-particle/Vmetal-nano-particlebottom≒(75.1:24.9)は、(88.2/11.8)より小さく、酸化マグネシウム粉末の集積層が形成される際、Agナノ粒子の沈降も若干進行していると推断される。
従って、得られた焼成膜中、酸化マグネシウムと銀の比率(質量比)は裏面から表面に向かって、70:30から4:96へと連続的に変化している、傾斜組成を有する構造体となっている。
実際に作製された傾斜組成を有する構造体中の組成変化の測定結果を、図3に示す。
(実施例B−2)
本実施例B−2の分散液は、下記の原料を用いて調製されている。
金属酸化物マイクロ粒子として、日進ケムコ(株)製の酸化第二銅粉末(商品名:N−130)を使用する。公表されている、平均粒子径dmetal-oxide-particleは5μm、タップ密度ρCuO-bulkは、2.6g/cm3であり、酸化第二銅の密度ρCuO6.31g/cm3の41.2%に相当している。従って、該酸化第二銅粉末を「最密充填」に類する状態とすると、その隙間の体積比率は、58.8体積%程度となると推定される。
金属酸化物ナノ粒子として、日本アエロジル(株)製の酸化アルミニウム粉末(商品名:AEROXIDE(R) AluC)を使用する。公表されている、平均粒子径dmetal-oxide-nano-particleは15nmである。酸化アルミニウムの密度ρAl2O3は、3.97g/cm3である。
高沸点の有機溶媒として、ヘキシルカルビトールを使用する。該ヘキシルカルビトールの沸点Tsolventは、258℃であり、密度ρsolventは0.935g/cm3である。
なお、ヘキシルカルビトール(ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル:HO−CH2CH2−O−CH2CH2−O−C613)は、少なくとも、200℃以上に加熱すると、酸化第二銅(CuO)と反応し、酸化第二銅(CuO)を金属銅(Cu)に還元することが可能である。但し、ヘキシルカルビトールは、酸化アルミニウム(Al23)を金属アルミニウム(Al)に還元する反応性はない。
(6.31−0.935)/5=1.08(g/cm3/μm)は、(3.97−0.935)/0.015=202(g/cm3/μm)よりも小さいので、酸化第二銅粉末は、酸化アルミニウム粉末よりも、沈降速度が速いと推断される。
酸化第二銅粉末1質量部、酸化アルミニウム粉末2質量部、ヘキシルカルビトール1質量部、メタノール10質量部を均一に混合する。得られる分散液中に含まれる、メタノールを、ロータリーエバポレーターで脱溶剤する。メタノールを除去した後、得られるペースト状の分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、酸化第二銅粉末を均一に分散させ、分散液を得る。
調製された分散液は、酸化第二銅粉末1質量部当たり、酸化アルミニウム粉末2質量部、分散溶媒のヘキシルカルビトール1質量部を含有している。脱溶剤処理の間における、ヘキシルカルビトールの蒸散は起こっていない。
体積比率に換算すると、酸化第二銅粉末の体積比率Vmetal-oxide-particleは、9.2体積%、酸化アルミニウムナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleは、29.1体積%、分散溶媒ヘキシルカルビトールの体積比率Vsolventは、61.7体積%となっている。
該実施例B−2の分散液中における、酸化第二銅粉末の体積比率Vmetal-oxide-particleと酸化アルミニウムナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleの総和(Vmetal-oxide-particle+Vmetal-oxide-nano-particle)は、38.3体積%である。分散液の液粘度は、50Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm、25℃)であった。
調製された分散液を、スライドガラス上に、5mm×30mmのパターンで塗布した。該分散液塗布膜の平均厚さtpaste-layer-0は、80μmであった。該分散液塗布膜を、室温で60min静置した後、大気雰囲気下、250℃、30min加熱処理して、焼成処理を施した。
得られた焼成物の平均膜厚tsintered-filmは、50μmであった。
焼成物の平均膜厚tsintered-filmと分散液塗布膜の平均厚さtsintered-filmの比は、50/80=0.625である。金属酸化物分散液中における、酸化第二銅粉末の体積比率Vmetal-oxide-particleと酸化アルミニウムナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleの総和(Vmetal-oxide-particle+Vmetal-oxide-nano-particle)は、38.3体積%であるので、該焼成物中、酸化第二銅粉末と酸化アルミニウムナノ粒子が占める体積比率は、38.3体積%/62.5体積%≒0.613(61.3体積%)と見積もられる。
なお、酸化第二銅粉末が、「最密充填」に類する状態で集積層を構成すると仮定すると、該集積層中、酸化第二銅粉末が占める体積比率は、41.2体積%と推定される。その仮定条件における、該酸化第二銅粉末の集積層の厚さtprecipitate-layerは、80×(Vmetal-oxide-particle/100)×(100/41.2)≒17.9μmと推定される。また、該酸化第二銅粉末の集積層の隙間空間の体積は、該集積層中、酸化第二銅粉末が占める体積を基準として、その(58.8/41.2)に相当すると推定される。
一方、「静置(沈降処理)」工程中、分散溶媒は僅かに蒸散するので、該酸化第二銅粉末の集積層の上部に残る「分散液層」の厚さtsupernateは、(80−tprecipitate-layer)を超えないと推定される。この「分散液層」中に含まれる、酸化アルミニウムナノ粒子の体積比率は、Vmetal-oxide-nano-particle/(Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)≒0.32と見積もられる。
EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)装置を利用し、得られた焼成膜の裏面と表面の組成分析を行った。EDXを利用する特性X線分析の結果、裏面における平均組成において、銅とアルミニウムの比率(質量比)は78:22であった。一方、表面における平均組成において、銅とアルミニウムの比率(質量比)は41:59であった。なお、分散液中に含有される、酸化第二銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子の質量比は、1質量部:1質量部(50:50)であり、銅とアルミニウムの質量比は、0.8質量部:0.53質量部(60:40)である。
得られた焼成膜は、酸化第二銅(CuO)粉末と酸化アルミウム(Al23)ナノ粒子で形成されていると仮定すると、裏面における平均組成;銅とアルミニウムの比率(質量比)78:22は、酸化第二銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子の比率(質量比)に換算すると、(79.55/63.546)×78:(101.9/(2×26.98))×22≒97.64:41.55≒70.15:29.85となる。酸化第二銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子の比率(体積比)に換算すると、(70.15/6.31):(29.85/3.97)≒11.12:7.52≒59.66:40.34である。
表面における平均組成;銅とアルミニウムの比率(質量比)41:59は、酸化第二銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子の比率(質量比)に換算すると、(79.55/63.546)×41:(101.9/(2×26.98))×59≒51.32:111.42≒31.53:68.47となる。酸化第二銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子の比率(体積比)に換算すると、(31.53/6.31):(68.47/3.97)≒5.00:17.25≒22.47:77.53である。
なお、分散液中の酸化第二銅粉末の体積比率Vmetal-oxide-particleと酸化アルミニウムナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleの比(Vmetal-oxide-particle:Vmetal-oxide-nano-particlepasteは、24.02:75.98である。裏面における体積比率(Vmetal-oxide-particle:Vmetal-oxide-nano-particlebottom≒(59.66:40.34)と表面における体積比率(Vmetal-oxide-particle:Vmetal-oxide-nano-particletop≒(22.47:77.53)は、(Vmetal-oxide-particle/Vmetal-oxide-nano-particlebottom>(Vmetal-oxide-particle/Vmetal-oxide-nano-particlepaste>(Vmetal-oxide-particle/Vmetal-oxide-nano-particletopの条件を満足している。
さらに、得られた焼成膜では、その表面にも酸化第二銅粉末が存在している状態であると判断される。換言すると、静置工程を設け、酸化第二銅粉末の集積層を形成しているが、図2に示すような、マイクロ粒子の集積層と、ナノ粒子と分散溶媒からなる上層との分離は達成されていないと判断される。
なお、(1−Vmetal-oxide-particle-occupancy)/(Vmetal-oxide-particle-occupancy)=(58.8/41.2)、{Vmetal-oxide-nano-particle/(Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)}≒0.32の場合、(Vmetal-oxide-particle-occupancy)/[(1−Vmetal-oxide-particle-occupancy)・{Vmetal-oxide-nano-particle/(Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)}]は、約68.7/31.3となる。裏面における体積比率(Vmetal-oxide-particle/Vmetal-oxide-nano-particlebottom≒(59.66/40.34)は、(68.7/31.3)より小さく、酸化第二銅粉末の集積層が形成される際、酸化アルミニウムナノ粒子の沈降も進行していると推断される。
従って、得られた焼成膜中、酸化第二銅と酸化アルミニウムに由来する、銅とアルミニウムの比率(質量比)は、裏面から表面に向かって、78:22から41:59へと連続的に変化していると判断され、傾斜構造を有する構造となっている。
(実施例B−3)
本実施例B−3の分散液は、下記の原料を用いて調製されている。
金属マイクロ粒子として、三井金属鉱業(株)製の銅粉末(商品名:1400YM)を使用する。公表されている、平均粒子径dmetal-particleは4μm、タップ密度ρCu-bulkは、4.3g/cm3であり、金属銅の密度ρCu8.95g/cm3の48%に相当している。従って、該銅粉末を「最密充填」に類する状態とすると、その隙間の体積比率は、52体積%程度となると推定される。
金属酸化物ナノ粒子として、日本アエロジル(株)製の酸化アルミニウム粉末(商品名:AEROXIDE(R) AluC)を使用する。公表されている、平均粒子径dmetal-oxide-nano-particleは15nmである。酸化アルミニウムの密度ρAl2O3は、3.97g/cm3である。
高沸点の有機溶媒として、ヘキシルカルビトールを使用する。該ヘキシルカルビトールの沸点Tsolventは、258℃であり、密度ρsolventは0.935g/cm3である。
なお、ヘキシルカルビトールは、酸化アルミニウム(Al23)を金属アルミニウム(Al)に還元する反応性はない。
(8.95−0.935)/4=2.00(g/cm3/μm)は、(3.97−0.935)/0.015=202(g/cm3/μm)よりも格段に小さいので、銅粉末は、酸化アルミニウム粉末よりも、沈降速度が速いと推断される。
銅粉末1質量部、酸化アルミニウム粉末2質量部、ヘキシルカルビトール1質量部、メタノール 10質量部を均一に混合する。得られる分散液中に含まれる、メタノールを、ロータリーエバポレーターで脱溶剤する。メタノールを除去した後、得られるペースト状の分散液を、撹拌脱泡機で撹拌して、銅粉末を均一に分散させ、分散液を得る。
調製された分散液は、銅粉末1質量部当たり、酸化アルミニウム粉末2質量部、分散溶媒のヘキシルカルビトール1質量部を含有している。脱溶剤処理の間における、ヘキシルカルビトールの蒸散は起こっていない。
体積比率に換算すると、銅粉末の体積比率Vmetal-particleは6.6体積%、酸化アルミニウムナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleは29.9体積%、分散溶媒ヘキシルカルビトールの体積比率Vsolventは63.5体積%となっている。
該実施例B−3の分散液中における、銅粉末の体積比率Vmetal-particleと酸化アルミニウムナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleの総和(Vmetal-particle+Vmetal-oxide-nano-particle)は、36.5体積%である。分散液の液粘度は、50 Pa・s(スパイラル回転粘度計 10rpm 25℃)であった。
調製された分散液を、スライドガラス上に、5mm×30mmのパターンで塗布した。該分散液塗布膜の平均厚さtpaste-layer-0は、80μmであった。該分散液塗布膜を、室温で60min静置した後、大気雰囲気下、250℃、30min加熱処理して、焼成処理を施した。
得られた焼成物の平均膜厚tsintered-filmは、50μmであった。
焼成物の平均膜厚tsintered-filmと分散液塗布膜の平均厚さtpaste-layer-0の比は、50/80=0.625である。該分散液中における、銅粉末の体積比率Vmetal-particleと酸化アルミニウムナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleの総和(Vmetal-particle+Vmetal-oxide-nano-particle)は、31.3体積%であるので、該焼成物中、銅粉末と酸化アルミニウムナノ粒子が占める体積比率は、36.5体積%/62.5体積%≒0.584(58.4体積%)と見積もられる。
なお、銅粉末が、「最密充填」に類する状態で集積層を構成すると仮定すると、該集積層中、銅粉末が占める体積比率は、52体積%と推定される。その仮定条件における、該銅粉末の集積層の厚さtprecipitate-layerは、80×(Vmetal-particle/100)×(100/52)≒10.2μmと推定される。また、該銅粉末の集積層の隙間空間の体積は、該集積層中、銅粉末が占める体積を基準として、その(52/48)に相当すると推定される。一方、「沈降処理」工程中、分散溶媒は僅かに蒸散するので、該銅粉末の集積層の上部に残る「分散液層」の厚さtsupernateは、(80−tprecipitate-layer)を超えないと推定される。この「分散液層」中に含まれる、酸化アルミニウムナノ粒子の体積比率は、Vmetal-oxide-nano-particle /(Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)≒0.32と見積もられる。
EDX(Energy Dispersive X-ray spectroscopy)装置を利用し、得られた焼成膜の裏面と表面の組成分析を行った。EDXを利用する特性X線分析の結果、裏面における平均組成において、銅とアルミニウムの比率(質量比)は78:22であった。一方、表面における平均組成において、銅とアルミニウムの比率(質量比)は41:59であった。なお、分散液中に含有される、銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子の質量比は、1質量部:2質量部(33.3:66.67)であり、銅とアルミニウムの質量比は、1質量部:1.06質量部(48.5:51.5)である。
得られた焼成膜は、銅粉末と酸化アルミウム(Al23)ナノ粒子で形成されていると仮定すると、裏面における平均組成;銅とアルミニウムの比率(質量比)78:22は、酸化銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子の比率(質量比)に換算すると、78:(101.9/(2×26.98))×22≒78:41.55≒65.24:34.76となる。銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子の比率(体積比)に換算すると、(65.24/8.95):(34.76/3.97)≒7.29:8.76≒45.42:54.58である。
表面における平均組成;銅とアルミニウムの比率(質量比)41:59は、銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子の比率(質量比)に換算すると、41:(101.9/(2×26.98))×59≒41:111.42≒26.90:73.10となる。銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子の比率(体積比)に換算すると、(26.90/8.95):(73.10/3.97)≒3.01:18.41≒14.05:85.95である。
なお、分散液中の銅粉末の体積比率Vmetal-particleと酸化アルミニウムナノ粒子の体積比率Vmetal-oxide-nano-particleの比(Vmetal-particle:Vmetal-oxide-nano-particlepasteは、18.08:81.92である。裏面における体積比率(Vmetal-particle:Vmetal-oxide-nano-particlebottom≒(45.42:54.58)と表面における体積比率(Vmetal-particle:Vmetal-oxide-nano-particletop≒(14.05:85.95)は、(Vmetal-particle/Vmetal-oxide-nano-particlebottom>(Vmetal-particle/Vmetal-oxide-nano-particlepaste>(Vmetal-particle/Vmetal-oxide-nano-particletopの条件を満足している。
さらに、得られた焼成膜では、その表面にも銅粉末が存在している状態であると判断される。換言すると、静置工程を設け、銅粉末の集積層を形成しているが、図2に示すような、マイクロ粒子の集積層と、ナノ粒子と分散溶媒からなる上層との分離は達成されていないと判断される。
なお、(1−Vmetal-particle-occupancy)/(Vmetal particle-occupancy)=(52/48)、{Vmetal-oxide-nano-particle/(Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)}≒0.32の場合、(Vmetal-particle-occupancy)/[(1−Vmetal-particle-occupancy)・{Vmetal-oxide-nano-particle/(Vmetal-oxide-nano-particle+Vsolvent)}]は、約74.3/25.7となる。裏面における体積比率(Vmetal-particle/Vmetal-oxide-nano-particlebottom≒(45.42/54.58)は、(88.2/11.8)より大幅に小さく、銅粉末の集積層が形成される際、酸化アルミウムナノ粒子の沈降も相当に進行していると推断される。
実際、銅粉末を「最密充填」に類する状態とすると、銅粉末とその隙間の体積比率は、(52/48)と推定される。裏面における体積比率(Vmetal-particle/Vmetal-oxide-nano-particlebottom≒(45.42/54.58)は、前記(52/48)よりも小さい。

従って、得られた焼成膜中、銅粉末と酸化アルミウムナノ粒子に由来する、銅とアルミニウムの質量比の比率(質量比)は裏面から表面に向かって、78:22から41:59へと連続的に変化していると判断され、傾斜構造を有する構造体となっている。
本発明にかかる傾斜構造の形成方法は、マイクロ粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液を利用して、膜厚方向に傾斜構造を有する構造体層の作製に適用できる。作製される膜厚方向に傾斜構造を有する構造体層は、使用するマイクロ粒子とナノ粒子の組み合わせによって、種々の機能を発揮する、機能性構造体層として利用できる。

Claims (9)

  1. マイクロ粒子とナノ粒子を溶媒中に分散した分散液を基材上に塗布し、静置後、乾燥処理を施すことで、前記マイクロ粒子を分散液中で沈降させることにより、下層部にマイクロ粒子の層を形成し、上層部にナノ粒子の層を形成する傾斜構造の形成方法。
  2. マイクロ粒子は、金、銀、銅、白金、パラジウム、インジウム、ビスマス、チタン、スズ、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選択される一種の金属また二種の金属からなる合金あるいは二種以上の金属の混合物からなる金属マイクロ粒子である請求項1記載の傾斜構造の形成方法。
  3. マイクロ粒子は、金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、シリコン、チタン、バナジウム、マンガン、ジルコニウム、カルシウム、マグネシウム、スズ、アンチモン、セリウム、タンタル、タングステン、ネオジウム、ビスマス、ハフニウム、インジウム及びイッテルビウムからなる群から選択される金属を含む一種の金属酸化物または二種以上の合金酸化物あるいは二種以上の金属酸化物の混合物からなる金属酸化物マイクロ粒子である請求項1記載の傾斜構造の形成方法。
  4. ナノ粒子は、金、銀、銅、白金、パラジウム、インジウム、ビスマス、チタン、スズ、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選択される一種の金属または二種以上の金属からなる合金あるいは二種以上の金属の混合物からなる金属ナノ粒子である請求項1記載の傾斜構造の形成方法。
  5. ナノ粒子は、金、銀、銅、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、シリコン、チタン、バナジウム、マンガン、ジルコニウム、カルシウム、マグネシウム、スズ、アンチモン、セリウム、タンタル、タングステン、ネオジウム、ビスマス、ハフニウム、インジウム及びイッテルビウムからなる群から選択される金属を含む一種の金属酸化物または二種以上の合金酸化物あるいは二種以上の金属酸化物の混合物からなる金属酸化物ナノ粒子である請求項1記載の傾斜構造の形成方法。
  6. ナノ粒子の平均粒子径は、1nm〜100nmである請求項1〜5の何れか一項記載の傾斜構造の形成方法。
  7. マイクロ粒子の平均粒子径は、1μm以上である請求項1〜6の何れか一項記載の傾斜構造の形成方法。
  8. 金属ナノ粒子または金属マイクロ粒子より得られる傾斜構造を加熱焼成することにより金属膜を形成する請求項1に記載の傾斜構造の形成方法。
  9. 請求項1記載の方法に使用する為の分散液であって、平均粒子径が1μm以上のマイクロ粒子と平均粒子径が1nm〜100nmのナノ粒子を溶媒中に分散した分散液。
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