JP2013004937A - 高密度実装用基板、高密度実装用基板の判定方法と高密度実装用基板の実装方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数個の個片の高密度実装用基板と、捨て桟とからなる高密度実装用基板シートの場合、半導体チップや電子部品等を実装する良品部分と、これらの実装に適さない課題品部分とを区別するために、マーキング法が使われていたが、めっき層の周縁部の散乱光の影響を受けやすく、光学的な自動認識に課題があった。
【解決手段】複数個の個片の高密度実装用基板11と、捨て桟12とからなる高密度実装用基板シート13の場合、半導体チップや電子部品等を実装する良品部分と、これらの実装に適さない課題品部分とを区別するための識別マーク15を、配線19で形成し、この配線19の周縁部をレジスト17で覆うことで、周縁部からの散乱光32を低減し、光学的な自動認識性を高める。
【選択図】図1
【解決手段】複数個の個片の高密度実装用基板11と、捨て桟12とからなる高密度実装用基板シート13の場合、半導体チップや電子部品等を実装する良品部分と、これらの実装に適さない課題品部分とを区別するための識別マーク15を、配線19で形成し、この配線19の周縁部をレジスト17で覆うことで、周縁部からの散乱光32を低減し、光学的な自動認識性を高める。
【選択図】図1
Description
本発明は、携帯電話等に使われる、半導体や電子部品等を高密度に実装するに当たって使われる高密度実装用基板、高密度実装用基板の判定方法と、高密度実装用基板の実装方法に関する。詳しくは、複数層の絶縁層と、複数層の配線層と、配線層間を接続するめっきや導電ペーストによる層間接続ビアと、レジストパターンと、を有する配線基板を用いた高密度実装用基板の改良に関する。
従来、半導体が微細化、高性能化するにつれて、半導体(あるいは半導体パッケージ)を、直接、マザー基板に実装するのではなくて、半導体(QFP等のパッケージ化された半導体素子のみならず、特にベアチップ)を、直接、高密度実装用基板と呼ばれる、一種の配線基板の上に実装することが行われている。
こうした用途で用いられる高密度実装用基板は、半導体の微細化に伴い、配線の微細化や高密度化、多層化が要望されると共に、低コスト化、実装容易化が求められている。
こうした課題に対して、高密度実装用基板は、あらかじめ所定の製品形状として切断した状態(以下、個片と呼ぶ)で、お客様に提供する場合は、出荷検査時点で、良品、課題品を識別し、良品だけをお客様に提供することができる。
しかしこうした個々に切断済みの所定の製品形状に切断済みの高密度実装用基板は、製品形状に合わせるために外形が異型であり、取り扱いにくい。そのため、お客様からは、外形が異型である高密度実装用基板を、複数個(例えば、4〜100個程度)、1枚のシート状(例えば、十数cm角〜数十cm角程度の外形が一定の四角形となるような枚葉、あるいはミシン目を介して一体化した切手シート状態)に連結した状態(以下、シートと呼ぶ)として、供給されることが求められている。
しかし、シート中に含まれる複数個の、製品の外形形状(あるいは製品の内部寸法や内部構造)に対応した複雑な外形形状を有する個々の高密度実装用基板の、個片を良品とすることは、技術的にも困難でありコストアップとなる。そのため多少の課題品が残った状態であっても、お客様にシートを提供し、お客様側でシートに含まれる個片の中で、良品となる個片にのみ半導体チップを実装し、課題品には半導体チップを実装しないようにすることが行われている。
従来より、シートにおいて、良品、課題品の区別は大きく分けて、シール法、マーキング法、打抜き法の、3通りで行われていた。
シール法とは、シート中に課題品が含まれていた場合、この課題品となる個片の上に、シール(シールは、色付きの粘着シールが望ましい)を事前に貼り付けておくことで、お客様側でシール付きの個片には、半導体を実装しないようにするものである。しかし、シールは一定の厚み(例えば、0.1〜1.0mm程度)を有しているため、シールが貼り付けられたシートを、複数枚、積み重ねた場合、シールの厚みによる凹凸が発生し、シート(更には良品の個片)に、シールの厚みによる凹凸、あるいは反りやウネリ等の変形を与えてしまう可能性がある。
マーキング法とは、シート中に課題品が含まれていた場合、この課題品となる個片の上に、マーキングペン(油性染料を使ったフェルトペンは、油性顔料を用いたペイントマーカー等が文房具用品等として市販されている)等を用いて、マーキング(例えば、×印)を行っておくことで、お客様側でマーキングした個片には、半導体を実装しないようにするものである。しかし、マーキングペンによってマーキングしたシートを、複数枚、積み重ねた場合、マーキングペンのインクが、上下の基板に裏移りしてしまう可能性がある。なおマーキングペンのインキに水性のものを用いた場合、個片に綺麗にマーキングできない場合がある。インキに硬化型(例えば、熱硬化、紫外線硬化等)のものを用いれば、裏移りは解消できるが、新たに硬化反応等が必要となる。
打抜き法とは、シート中に課題品が含まれていた場合、この課題品となる個片を、金型等で打抜き、除去してしまうものである。こうすることで、シートに含まれる個片は、全て良品となるが、打抜いた部分から(特に側面部から)基材の一部が脱落し、この脱落した基材の一部が、良品となる個片の上に付着し、半導体チップの実装性に影響を与える。またこの脱落した基材を除去するために、新たな洗浄工程が必要となる。
こうした課題に対して、従来より、シート中の個片の、良品、課題品を簡単に識別できる方法が求められていた。例えば、特許文献1では、良品、課題品の識別ではないが、配線パターンと、その上に形成したマーク用のシルク印刷との印刷ズレに関する技術が提案されている。
特許文献1に開示された技術では、シート中の良品や課題品を簡単に識別することができない。これはシート中の良品や課題品はシートとして完成した後の電気的検査等において判断することができないためである。
こうした課題に対して、本発明における高密度実装用基板や高密度実装用基板シートにおける判定等は、お客様に商品を提供する前に、完成後の電気検査結果を元に行い、シート中の複数の高密度実装用基板シートの中から個々の高密度実装用基板個片の良品、課題品をお客様側で簡単かつ確実に識別することができる高密度実装用基板、高密度実装用基板シート、高密度実装用基板の判定方法と高密度実装用基板の実装方法を提供することを目的とする。
本発明の一局面である高密度実装用基板は、絶縁層と、配線と、レジストと、前記配線の一部からなる識別マークと、を有する回路基板からなる高密度実装用基板であって、前記識別マークは、直径0.3mm以上3.0mm以下の、独立した円または多角形であり、前記識別マークの全周縁は、前記レジストで覆われ、前記識別マークの略中央に、前記配線のめっき部が表出する円または多角形の開口部を備えた高密度実装用基板である。
本発明の一局面である高密度実装用基板シートは、絶縁層と、配線と、レジストと、前記配線の一部からなる識別マークと、を有する回路基板からなる高密度実装用基板と、この高密度実装用基板を複数個、保持する捨て桟と、からなる高密度実装用基板シートであって、前記識別マークは、前記高密度実装用基板に略同一に設けられ、前記識別マークは、直径0.3mm以上3.0mm以下の、独立した円または多角形であり、前記識別マークの全周縁は、前記レジストで覆われ、前記識別マークの略中央に、前記配線のめっき部が表出する円または多角形の開口部を備えた高密度実装用基板シートである。
本発明の一局面である識別方法は、絶縁層と、配線と、レジストと、前記配線の一部からなる識別マークと、を有する回路基板からなる高密度実装用基板であって、前記識別マークは、直径0.3mm以上3.0mm以下の、独立した円または多角形であり、前記識別マークの全周縁は、前記レジストで覆われ、前記識別マークの略中央に、前記配線のめっき部が表出する円または多角形の開口部を備えた高密度実装用基板の判定方法であって、前記開口部のめっき部が着色剤で覆われているか、覆われていないかを光学的に判定する判定方法である。
本発明の一局面である実装方法は、絶縁層と、配線と、レジストと、前記配線の一部からなる識別マークと実装部と、を有する回路基板からなる高密度実装用基板であって、前記識別マークは、直径0.3mm以上3.0mm以下の、独立した円または多角形であり、前記識別マークの全周縁は、前記レジストで覆われ、前記識別マークの略中央に、前記配線のめっき部が表出する円または多角形の開口部を備えた高密度実装用基板の実装方法であって、前記開口部のめっき部が着色剤で覆われているか、覆われていないかを光学的に判定する判定工程と、前記判定工程で得られた判定結果を元に、前記実装部に半導体または電子部品のいずれか一つ以上を実装する実装工程と、を有する高密度実装用基板への実装方法である。
本発明の目的、特徴、局面、及び利点は、以下の詳細な説明及び添付する図面により、より明白となる。
本発明によれば、少なくとも、携帯電話等のマザー基板等に使われる外形が異型の高密度実装用基板において、その実装性を高められるため、高密度実装用基板の取扱い性やその実装性を高められる。
[実施の形態1]
図1〜図2を用いて、本発明の高密度実装用基板と、高密度実装用基板シートの一例について説明する。
図1〜図2を用いて、本発明の高密度実装用基板と、高密度実装用基板シートの一例について説明する。
図1(A)は、本発明の高密度実装用基板及び高密度実装用基板シートの斜視図、(B)は矢印A−A’における、本発明の識別マークの断面図である。
図1において、11は高密度実装用基板であり、半導体チップや各種電子部品が実装された半導体実装体(図示していない)となった後、必要に応じて所定形状に切断あるいは分割され、携帯電話等の製品(図示していない)に組み込まれる。
12は捨て桟であり、複数の高密度実装用基板の隙間や、その外部に額縁状に形成されたものであり、個々の高密度実装用基板の取扱い性を高め、高密度実装用基板が薄層化した際の変形を防止する。また高密度実装用基板の外形を製品形状に合わせて、色々変形させた場合であっても、この捨て桟12の形状を、一定形状(例えば、数十cm角の定型)とすることで、取り扱い性を高める。
13は高密度実装用基板シートであり、高密度実装用基板シート13は、少なくとも、複数の高密度実装用基板11と、個々の高密度実装用基板11を保持する捨て桟12と、を有している。高密度実装用基板シート13は、ガラス繊維にエポキシ樹脂等を含浸してなるガラスエポキシ樹脂を用いた多層配線基板としても良いが、ALIVH(ALIVHはパナソニック株式会社の登録商標)を用いることは有用である。特に、アラミド繊維を用いたALIVH技術を用いて、本発明の高密度実装用基板11や高密度実装用基板シート13を作成することは有用である。なおALIVH技術を用いる、本発明の高密度実装用基板11や高密度実装用基板シート13の作成方法については、ALIVHに関して出願された特許公報(例えば、特許第2603053号公報等)を参考にすることは有用である。
14は点線であり、高密度実装用基板シート13の内部における、高密度実装用基板11を個々の個片に分割するための切断部(あるいは分割部)を示す。
15は本発明の高密度実装用基板における識別マーク、16は開口部、17はレジストである。レジスト17としてはソルダーレジストを用いても良いし、部品図や密番等(密番とは、高密度実装用基板シート13の中に含まれている、個々の高密度実装用基板11の位置情報や、ロット番号、半導体等の番号等を示すものである)の文字印刷等に使われるシルク印刷(例えば、白色、黄色の文字印刷用の硬化型インク)を用いても良い。またソルダーレジストと、密番印刷に用いるインキとを、併用しても良い。18は矢印、19は配線、20は銅層、21はめっき層、22は絶縁層、23は配線基板である。なお図1(A)(B)において、高密度実装用基板11の表面に設けた、半導体チップや各種電子部品の実装用の実装部(あるいは実装用電極)や、実装用電極の一部を覆うレジスト等は図示してない。なお点線14における高密度実装用基板11の分割は、高密度実装用基板シート13に、半導体チップ等を実装した後に行うことが望ましい。高密度実装用基板シート13の一部を点線14に沿って、切断(あるいは分割)した場合、その切断面から脱落した高密度実装用基板シート13の構成基材が、異物となる可能性がある。
図1(B)は、図1(A)における矢印18のA−A’における断面の一部であり、特に識別マーク15付近を拡大して示す断面図である。
図1(B)に示すように、識別マーク15は、ガラスエポキシ樹脂やアラミド樹脂等からなる絶縁層22の表面に表出するように設けられた、銅層20と、銅層20の上に設けられためっき層21とからなる配線19と、少なくとも配線19の周縁部を覆うレジスト17と、開口部16と、から構成されている。開口部16は、識別マーク15を構成する配線19の、少なくとも全周縁を覆うレジスト17の一部を、現像等で除去してなる部分である。開口部16の内部には、配線19(特にめっき層21)が表出している。本発明では、開口部16の内部に見えるめっき層21の光反射の状況を光学的に検出し、良品か課題品かの判定を助ける。開口部16を囲うレジスト17の厚みを厚くすることは、この開口部16の内部に塗布等で設ける着色剤のメニスカス(メニスカスは、界面張力によって細管中の液体の表面が作る凸状または凹状の曲面を意味する)を形成する上で有用である。
銅層20は、高密度実装用基板シート13を構成する配線基板の製造途中に、配線や半導体チップ等の実装部(共に図示していない)の形成と共に、銅箔等で形成すれば良い。また銅層20の表面には、半田めっき、スズめっき、金めっき、ニッケルめっき、あるいは防錆めっき等からなるめっき層21を形成することが望ましい。めっき層21を形成することで、配線19への、半導体チップ等の実装性を高める。また配線19の酸化防止(特に変色防止)が可能となり、個々の高密度実装用基板11の光学的自動識別が容易となる。
まず図1(A)に示す高密度実装用基板シート13の電気検査等を行い、良品、課題品を識別する。そして課題品が見つかった場合、課題品となる高密度実装用基板11の識別マーク15の、開口部16に、フェルトペン等を用いて着色剤を注入し、図2(A)(B)の状態とする。
図2(A)は、本発明の高密度実装用基板及び高密度実装用基板シートの斜視図、(B)は、矢印18aのA−A’における、本発明の識別マークの断面図であって、共に課題品となる高密度実装用基板11の識別マーク15に、着色剤を付着している。
図2(A)(B)において、24は着色剤である。着色剤24としては、市販のフェルトペン(油性染料や油性顔料を用いたもの)を用いることが有用である。特に油性染料を有機溶剤に溶解してなる着色剤24は、めっき層21やレジスト17に対する濡れ性が良く、乾燥(あるいはレジスト17への浸透)が早い。25は半導体素子であり、QFP等のプラスチックパッケージ品であっても、ベアチップであっても良い。なお半導体素子25は、チップ部品等の電子部品、あるいはモジュール部品、インターポーザ等に実装済みの半導体素子であっても良い。一つの個片状態の、高密度実装用基板11に、複数の半導体素子25を高密度実装することは有用である。なおこの半導体素子25を実装するか、実装しないかは、識別マーク15の上に、着色剤24が塗布されているか、されていないかで判別できる。
また図2(B)に示すように、着色剤24の表面張力を活かし(更には親油性のレジスト17との濡れ性を活かし)、開口部16の縁の部分(あるいはレジスト17と接する部分)を、開口部16の略中央付近に比べ、厚くすることができる。
図3(A)〜(C)は、共に識別マークを構成する配線の一例を示す上面図である。図3に示すように、識別マーク15を構成する配線19(あるいはめっき層21)は、半導体チップや各種電子部品との接続配線に影響を与えない、電気的に独立した独立パターンとすることが望ましい。
図3(A)に示すように、識別マーク15を構成する配線19は、直径0.3mm以上3.0mm以下の円とすることが望ましい。なお楕円も円の一種である。直径0.3mm未満の場合は、光学的認識性に影響を与える場合がある。また直径3.0mmを超えた場合、半導体チップ等の実装性に影響を与える可能性がある。
図3(B)に示すように、識別マーク15を構成する配線19は、外形(すなわちその多角形が入る円の直径)が0.3mm以上3.0mm以下の多角形(3角形以上、特に6角形以上)とすることが望ましい。外形0.3mm未満の場合は、光学的認識性に影響を与える場合がある。また外形3.0mmを超えた場合、半導体チップ等の実装性に影響を与える可能性がある。
図3(C)は、他の識別マーク15の一例を示すものである。これ以外に、円や多角形を互いに複数個組み合わせた形状としても良い。
これは本発明が、従来課題となった識別マーク15を構成する配線19の周縁部の、光の乱反射を抑えられるためである。そのため識別マーク15を構成する配線19の周縁部の長さが長くなっても(長くなる分、光が乱反射する可能性が高くなる)、本発明では対処可能となる。
図4(A)〜(C)は、共に識別マークを構成する開口部の一例を示す上面図である。図4において、点線14は、レジスト17に覆われた配線19(あるいはめっき層21)の周縁部を示す。図4に示すように、識別マーク15を構成する配線19は、開口部16より大きいことが望ましい。
図4(A)に示すように、開口部16は、直径0.2mm以上2.7mm以下の円とすることが望ましい。なお楕円も円の一種である。直径0.2mm未満の場合は、光学的認識性に影響を与える場合がある。また直径2.7mmを超えた場合、半導体チップ等の実装性に影響を与える可能性がある。
図4(B)に示すように、開口部16は、外形(すなわちその多角形が入る円の直径)が0.2mm以上2.7mm以下の多角形(3角形以上、特に6角形以上)とすることが望ましい。外形0.2mm未満の場合は、光学的認識性に影響を与える場合がある。また外形2.7mmを超えた場合、半導体チップ等の実装性に影響を与える可能性がある。
図4(C)は、他の開口部16の一例を示すものである。これ以外に、円や多角形を互いに複数個組み合わせた形状としても良い。
図5(A)(B)は、共に識別マークを構成するレジストに着色剤が染み込む(あるいは乾燥する)様子を示す断面図である。図5(A)に示すように、着色剤24をフェルトペンやインクジェット装置、筆等を用いて塗布する。塗布された着色剤24の一部は、レジスト17に浸透し(あるいは乾燥し)、次第に膜厚を低減し、図5(B)の状態となり、最後に図2(B)の状態となる。
前述の図2(B)に示すように、めっき層21に対する着色剤24の付着強度が低い場合であっても、開口部16内部の着色剤24は、互いに積み重ねた場合でもはがれにくく、裏移りもしにくい。これはその周囲を厚みのあるレジスト17で保護しているためである。また開口部16付近のレジスト17の表面も、着色剤24の一部で覆うことは有用である。またレジスト17に染み込みやすい、油性の着色剤24を用いることも有用である。
なお、銅層20を、銅箔から形成する場合、銅層20の厚みは18μm、更には12μmと、薄くすることは有用である。
またレジスト17の厚みは銅層20の厚みより厚くすることは有用であるが、銅箔の厚みの3倍以下(更には2倍以下)とすることが望ましい。例えば、レジスト17の厚みを20〜25μmとすることは有用である。
銅層20の厚みより、レジスト17の厚みを厚くすることで、開口部16の形成が容易となる。また開口部16の中に設けた着色剤24の外部(特に、半導体チップ等の実装部)への流れ出しを防止できる。また図2(B)に示すように、着色剤24に液状のもの(液状であって、乾燥して皮膜を形成するもの)を用いた場合、開口部16の、レジスト17と接するに、メニスカスを形成することができる。
なお着色剤24としては、油溶性(いわゆる有機溶剤系の、あるいは親油性)インキを用いることは有用である。これはレジスト17が親油性を有しているためである。またレジストの表面に付着した着色剤であっても、着色剤の下地となるレジスト17に着色剤24中の油成分(あるいは有機溶剤等)が染み込むため、乾燥時間が早くなり、複数の高密度実装用基板シートを積層した場合であっても、裏移りしにくい。またレジスト17に着色剤24が染み込むことで、着色剤24の膜厚が薄くなり、他の部材へ裏移りしにくくなる。
[実施の形態2]
実施の形態2を用いて、本発明の作用効果について説明する。
実施の形態2を用いて、本発明の作用効果について説明する。
まず、第1の実施の形態で説明した本発明の高密度実装用基板と、比較するために作成した比較例について、図面を用いて説明する。
図6(A)は、第1比較例の高密度実装用基板及び高密度実装用基板シートの斜視図、(B)は、矢印A−A’における、第1比較例の識別マークの断面図である。
図6(A)(B)において、30は第1比較例となる高密度実装用基板シートである。31は第1比較例識別マークである。図6(B)に示すように、第1比較例識別マーク31の周縁部は、レジストで覆われていない。
図7(A)は、着色剤を付与した後の第1比較例の高密度実装用基板及び高密度実装用基板シートの斜視図、(B)は、矢印A−A’における、第1比較例の識別マークの断面図である。図7(A)(B)において、30は第1比較例、31は第1比較例識別マークである。
図7(B)において、32は散乱光を示す。図7(B)の第1比較例30の、第1比較例識別マーク31に示すように、配線19の周縁部が露出している場合、この周縁部から散乱光32が発生し、配線19の上に塗布した着色剤24の有無の認識に影響を与える。特に配線19の表層をめっき層21とした場合、その周縁部で着色剤24の厚みが薄くなってしまう(原因は、液状の着色剤24の表面張力によるメニスカスが作用するためと思われる)ことも、散乱光32の影響を大きくしてしまう大きな要因となる。
図8(A)は、第2比較例の高密度実装用基板及び高密度実装用基板シートの斜視図、(B)は、矢印A−A’における、第2比較例の識別マークの断面図である。
図8(A)(B)において、40は第2比較例となる高密度実装用基板シートである。41は第2比較例識別マークである。42は隙間に相当するクリアランス部である。図8(B)に示すように、第2比較例40の第2比較例識別マーク41の周縁部は、レジスト17で覆われていない。第2比較例識別マーク41の周縁部と、レジスト17との間には、互いが重ならないようにクリアランス部42を設けている。
図9(A)は、着色剤を付与した後の第2比較例の高密度実装用基板及び高密度実装用基板シートの斜視図、(B)は、矢印A−A’における、着色剤を付与した後の第2比較例の識別マークの断面図を示す。
図9(B)に示すように、配線19の周縁部が露出している場合、この周縁部から散乱光32が発生し、配線19の上に塗布した着色剤24の有無の認識に影響を与える。特に配線19の表層をめっき層21とした場合、その周縁部で着色剤24の厚みが薄くなってしまうことも、散乱光32の影響を大きくしてしまう。また周囲に形成したレジスト17による散乱光32の低減効果は限定的である。
これの結果を、以下の[表1]にまとめる。
[表1]において、本発明品とは、図1、図2で説明したものである。第1比較例品とは図6、図7で説明したものである。第2比較例品とは図8、図9で説明したものである。シール法品とは、市販のシール材を用いたものである。打抜き法品とは、課題品となる高密度実装用基板を金型やレーザーで個別に打抜き等で除去したものである。これらは、共に社内の評価用の高密度実装用基板シート13(数cm角に、数個の個片状の高密度実装用基板11が捨て桟12で連結されたもの)の試作結果である。
自動認識性とは、部品実装機に取り付けてある画像処理装置による自動認識結果(二値化時の閾値)は、各認識マークを照射する光源装置の位置や強度で最適化した。シート変形とは、高密度実装用基板シートを自動的に取扱う際に変形する可能性があるかどうかについて調べたものである。基材の脱落とは、切断部等からの異物発生の可能性の有無を評価したものである。裏移りとは、市販の油性マーカーを着色剤24とし、識別マーク15上に塗布した後、一定時間保持し、互いに厚み方向に積み重ねた場合の裏移り性について評価したものである。判断とは、これらの評価結果を元に、総合的に実用性について判断したものである。また表中の○は課題が発生しなかった場合を、×は課題が発生した場合を示す。△は一部に課題が発生した場合を示す。また()内には特徴的な事象を記載した。
[表1]の結果より、本発明品は、各比較例品や従来品に比べ、全ての評価項目において優れた効果を示すことが判る。
なお識別マーク15を構成する配線19(あるいは銅層20、あるいはめっき層21)の全周縁は、レジスト17で覆われることが望ましい。レジスト17は、緑色や赤色、黒色等の着色されたもの(透明を除く)を用いることが望ましい。また着色剤24にも、緑色や赤色、黒色等の着色されたもの(透明を除く)を用いることが望ましい。
着色剤24の厚みは、開口部16の略中央部より、開口部16の周縁部(すなわちレジスト17に接する側)をより厚くすることは有用である。また着色剤24の一部をレジスト17の上に重ねる(はみ出させる)ことで、開口部16への塗布時の位置ずれを防止する。
また開口部16のめっき層21が、着色剤24で覆われているか、覆われていないかを、光学的に自動認識することは有用である。光学的な自動認識には、TVカメラからの画像を二値化し、その結果を元に識別することは有用である。そしてその光学的な認識(あるいは識別)結果を元に、高密度実装用基板11、あるいは高密度実装用基板シート13に所定の半導体(半導体ベアチップを含む)や電子部品(チップ部品等を含む)のいずれか一つ以上を実装することで、高密度実装用基板への部品実装の生産性を高める。
またここで説明した高密度実装用基板11の上に、各種半導体素子25等を実装した後、更に他の配線基板(あるいはプリプレグ等)等に埋め込むことで、部品内蔵基板(図示していない)を製造することも可能である。
またここで説明した、個々の個片状態の高密度実装用基板11の上に、数mm角の角孔やキャビティ等が形成された他の高密度実装用基板11を積み重ねることで、3次元化することも可能である。
本発明によれば、携帯電話等に使われる高密度実装用基板を、お客様側により良い利便性を有した状態で提供できるため、携帯電話等の電子機器の低コスト化、小型化、高機能化、高信頼性化が実現できる。
11 高密度実装用基板(個片)
12 捨て桟
13 高密度実装用基板シート
14 点線
15 識別マーク
16 開口部
17 レジスト
18 矢印
19 配線
20 銅層
21 めっき層
22 絶縁層
23 配線基板
24 着色剤
25 半導体素子
30 第1比較例
31 第1比較例識別マーク
32 散乱光
40 第2比較例
41 第2比較例識別マーク
42 クリアランス部
12 捨て桟
13 高密度実装用基板シート
14 点線
15 識別マーク
16 開口部
17 レジスト
18 矢印
19 配線
20 銅層
21 めっき層
22 絶縁層
23 配線基板
24 着色剤
25 半導体素子
30 第1比較例
31 第1比較例識別マーク
32 散乱光
40 第2比較例
41 第2比較例識別マーク
42 クリアランス部
Claims (7)
- 絶縁層と、配線と、レジストと、前記配線の一部からなる識別マークと、を有する回路基板からなる高密度実装用基板であって、
前記識別マークは、直径0.3mm以上3.0mm以下の、独立した円または多角形であり、
前記識別マークの全周縁は、前記レジストで覆われ、
前記識別マークの略中央に、前記配線のめっき部が表出する円または多角形の開口部を備えた高密度実装用基板。 - 絶縁層と、配線と、レジストと、前記配線の一部からなる識別マークと、を有する回路基板からなる高密度実装用基板と、
この高密度実装用基板を複数個、保持する捨て桟と、からなる高密度実装用基板シートであって、
前記識別マークは、前記高密度実装用基板に略同一に設けられ、
前記識別マークは、直径0.3mm以上3.0mm以下の、独立した円または多角形であり、
前記識別マークの全周縁は、前記レジストで覆われ、
前記識別マークの略中央に、前記配線のめっき部が表出する円または多角形の開口部を備えた高密度実装用基板シート。 - 絶縁層と、配線と、レジストと、前記配線の一部からなる識別マークと、を有する回路基板からなる高密度実装用基板であって、
前記識別マークは、直径0.3mm以上3.0mm以下の、独立した円または多角形であり、
前記識別マークの全周縁は、前記レジストで覆われ、
前記識別マークの略中央に、前記配線のめっき部が表出する円または多角形の開口部を備え、
前記開口部に表出しためっき部は、着色剤で覆われている高密度実装用基板。 - 前記着色剤の厚みは、前記開口部の略中央部より、前記開口部の周縁部の方が厚いことを特徴とする請求項3に記載の高密度実装用基板。
- 着色剤は、前記開口部を構成する前記レジストの一部も覆っている請求項3に記載の高密度実装用基板。
- 絶縁層と、配線と、レジストと、前記配線の一部からなる識別マークと、を有する回路基板からなる高密度実装用基板であり、
前記識別マークは、直径0.3mm以上3.0mm以下の、独立した円または多角形であり、
前記識別マークの全周縁は、前記レジストで覆われ、
前記識別マークの略中央に、前記配線のめっき部が表出する円または多角形の開口部を備えた高密度実装用基板の判定方法であって、
前記開口部のめっき部が着色剤で覆われているか、覆われていないかを光学的に判定する判定方法。 - 絶縁層と、配線と、レジストと、前記配線の一部からなる識別マークと実装部と、を有する回路基板からなる高密度実装用基板であり、
前記識別マークは、直径0.3mm以上3.0mm以下の、独立した円または多角形であり、
前記識別マークの全周縁は、前記レジストで覆われ、
前記識別マークの略中央に、前記配線のめっき部が表出する円または多角形の開口部を備えた高密度実装用基板の実装方法であって、
前記開口部のめっき部が着色剤で覆われているか、覆われていないかを光学的に判定する判定工程と、
前記判定工程で得られた判定結果を元に、前記実装部に半導体または電子部品のいずれか一つ以上を実装する実装工程と、
を有する高密度実装用基板への実装方法。
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