以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図4は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1および図2は、それぞれ、表示装置および光学モジュールの概略構成を示す斜視図および側面図である。図3は、光学モジュールを示す平面図であり、偏向光学シートと光源の発光体との位置関係を示している。図4は、光学モジュールの偏向光学素子を示す斜視図である。
図1に示された表示装置10は、液晶表示装置であって、液晶表示パネル15と、液晶表示パネル15の背面側に、言い換えると、液晶表示パネルに関して観察者側とは反対側に配置された反射板(反射シート、反射素子、反射部材)21と、液晶表示パネル15を背面側(この意味において、入光側)から照明するための光を発光する光源25と、を有している。液晶表示パネル15は、光の透過または遮断をカラフィルターの画素毎に制御するシャッターとして機能して、画像を形成する装置である。
液晶表示パネル15は、詳しくは後述するように、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板間に配置された液晶セル11と、を有している。そして、液晶表示パネル15の最も入光側に位置する一方の偏光板40の偏向光学シート50と、光源25と、反射板21と、によって、光学モジュール20が形成されている。なお、以下においては、液晶表示パネル15に含まれる一対の偏光板を区別するため、表示装置10の配置状態に関係なく、入光側の偏光板40を下偏光板と呼び、出光側の偏光板12を上偏光板と呼ぶ。なお、図1〜図4に示すように、本実施の形態において、液晶表示パネル15、並びに、液晶表示パネル15をなす構成要素としての一対の偏光板12,40および液晶セル11、さらには、後述する下偏光板40において偏光子41の保護フィルムとしても機能する偏向光学シート50は、平面視において四角形形状となるように構成されており(図3参照)、結果として、各部材(各構成要素)は、第1方向d1に対向する一対の縁部と、第2方向d2に対向するもう一対の縁部と、の二対の縁部を有している。図1〜図3では、偏向光学シート50について、第1方向d1に対向する一対の縁部50c1,50c2が図示されている。本実施の形態において、第1方向d1と第2方向d2とは、互いに直交している。
詳しくは後述するように、光源25の発光体26で発光された光は、反射板21で反射されて或いは直接、液晶表示パネル15に背面側(入光側)から入射するようになる。以下、反射板21、光源25、液晶表示パネル15について、順に、説明していく。
なお、本明細書において、「出光側」とは、予定された光路、すなわち、光源25の発光体26から反射板21を経て或いは反射板21を経ることなく直接、液晶表示パネル15を透過し、観察者へ向かう光の光路における下流側(図1及び図2においては紙面の右側)、すなわち観察者側のことであり、「入光側」とは、この予定された光路における上流側のことである。また「背面側」とは、正面方向における「出光側」とは反対の側のことである。
また、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「偏向光学シート」には、「偏向光学フィルム」や「偏向光学板」と呼ばれ得る部材も含まれる。同様に、「反射板」には、「反射シート」や「反射フィルム」と呼ばれ得る部材も含まれる。
さらに、本明細書において、「正面方向」とは、光学モジュール20を構成する偏向光学シート50の後述する本体部55の入光側面(反射板に対面する側の面)55bへの法線方向ndのことを指している。本実施の形態での正面方向は、液晶表示パネル15の最も観察者に近い側(最出光側)の面によって形成される表示装置10の表示面10aへの法線方向、液晶表示パネル15のパネル面への法線方向、下偏光板40の板面への法線方向、偏向光学シート50のシート面への法線方向、偏向光学シート50の後述する本体部55のシート面への法線方向等と一致する。また、本明細書において、「パネル面(シート面、フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」や「直交」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
まず、反射板21について説明する。反射板21は、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40の偏向光学シート50に対面する面として、光を反射する反射面22を有している。反射板21は、光源25をなす発光体26で発光された光を受けて、当該光を液晶表示パネル15の入光側面に向けて反射する。
反射板21の少なくとも反射面22は、例えば金属等の高い反射率を有する材料から構成されている。本実施の形態における反射板21は、例えば図2に示すように、入射光を正反射させる機能を有している。ただし、反射板21での反射は、正反射に限られることなく、拡散反射(乱反射、散乱反射)でもよい。また、反射板21での反射が拡散反射の場合には、当該反射は、等方性拡散でもよく、あるいは、異方性拡散でもよい。例えば、エンボス加工等によって、反射板21の反射面22に凹凸を形成することによって、反射板21での反射を等方拡散とすることができる。また、例えば、反射板21の反射面22にヘアライン加工を及ぼすことによって、反射板21での反射を異方性拡散とすることができる。さらには、反射板21の平坦な反射面22上に、プリズム、レンズ、マイクロレンズといった透明な光学要素が設けられ、これらの光学要素に起因して、反射板21が、等方性拡散反射機能または異方性拡散反射機能を発現するようにしてもよい。
図1および図2に示すように、この反射板21は、液晶表示パネル15から正面方向にずれた位置に配置されている。より詳細には、反射板21は、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40の偏向光学シート50の入光側面50bよりも、正面方向に沿って、液晶表示パネル15の後述する液晶セル11から離間する側(観察者側とは反対の側となる背面側)へずれた位置に配置されている。これにより、反射板21の反射面22で反射された光は、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40の偏向光学シート50の入光側面50bに直接入射すること、言い換えると、他の部材を介すことなくそのまま入射すること、が可能となっている。
図1および図2に示すように、反射板21と液晶表示パネル15との間の正面方向へ沿った離間間隔は一定ではなく、第1方向d1に沿って変化している。より正確には、反射板21の反射面22から偏向光学シート50の詳しくは後述する本体部55の入光側面55bまでの、本体部55の入光側面55bへの法線方向に沿った距離sd(以下、単に「反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sd」とも呼ぶ)が、第1方向d1において、偏向光学シート50の一方の縁部50c1の側から他方の縁部50c2の側へ向け、小さくなるように変化する。なお、以下においては、図2に示すように、第1方向d1における偏向光学シート50の一方の縁部50c1の側を「第1方向d1における一側(第1方向d1に沿った一側)」とも呼び、第1方向d1における偏向光学シート50の他方の縁部50c2の側を「第1方向d1における他側(第1方向d1に沿った他側)」とも呼ぶ。
なおここで、「反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが、第1方向d1において、偏向光学シート50の一方の縁部50c1の側から他方の縁部50c2の側へ向け、小さくなっていく」とは、当該離間間隔sdが、第1方向d1に沿って変化し続けることのみではなく、反射面22上の一部の領域において、離間間隔sdが第1方向d1に沿って変化しない態様も含む。
図2に示された本実施の形態では、第1方向d1における一側から他側へ向けて、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが大きくなるように変化する箇所が存在していない。ただし、反射面22上の一部の領域において、より詳しくは、反射面22上の第1方向d1に沿った一側の領域において、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが第1方向d1に沿って一定となっており、反射面22上のそれ以外の第1方向d1に沿った他側の領域において、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが第1方向d1に沿って一側から離間するに連れてしだいに狭くなるように変化し続けている。
また、図1および図2に示すように、反射板21の反射面22の傾斜角度は一定ではなく、第1方向d1に沿って変化している。より正確には、正面方向ndおよび第1方向d1の両方に平行な断面、つまり図2の断面での反射面22の第1方向d1に対する傾斜角度θr(以下、単に「反射面22の傾斜角度θr」とも呼ぶ)は、第1方向d1において一側から他側へ向け、大きくなるように変化する。なおここで、「反射面22の傾斜角度θrが、第1方向d1において一側から他側へ向け、大きくなっていく」とは、当該傾斜角度θrが、第1方向d1に沿って変化し続けることのみではなく、反射面22上の一部の領域において、傾斜角度θrが第1方向d1に沿って変化しない態様も含む。
図2に示された本実施の形態では、第1方向d1における一側から他側へ向けて、反射面22の傾斜角度θrが小さくなるように変化する箇所が存在していない。ただし、反射面22上の一部の領域において、より詳しくは、反射面22上の第1方向d1に沿った一側の領域において、反射面22の傾斜角度θrが第1方向d1に沿って一定となっており、反射面22上のそれ以外の第1方向d1に沿った他側の領域において、反射面22の傾斜角度θrが第1方向d1に沿って一側から離間するに連れてしだいに大きくなっていくように変化し続ける。
なお、図示された実施の形態では、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40の偏向光学シート50の入光側面50b(本体部55の入光側面55b)は平らな面として形成されている。一方、反射板21の反射面22は曲がった面として形成されており、これにより、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが第1方向d1に沿って変化するようになり、あわせて、反射面22の傾斜角度θrが第1方向d1に沿って変化するようになっている。より具体的には、図示された形態では、反射板21の反射面22のうち、第1方向d1における一側の領域は、平らな面として形成され、偏向光学シート50の入光側面50b(本体部55の入光側面55b)と平行となるように配置されている。一方、反射板21の反射面22のうちのその他の領域は、曲面として形成され、偏向光学シート50の入光側面50bに対して傾斜している。
ただし、反射板21の反射面22は、上述した構成に限られず、種々の構成を取るようにしてもよい。例えば、反射板21の反射面22が、偏向光学シート50の入光側面50b(本体部55の入光側面55b)に対して傾斜して配置された平らな面として構成されていてもよい。この例では、反射面22の傾斜角度θrは第1方向d1に沿って変化しないが、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdは第1方向d1に沿って変化する。また、反射板21の反射面22の全領域が曲面として構成されていてもよい。この例では、反射面22の傾斜角度θrおよび反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdの両方が第1方向d1に沿って変化する。さらに、反射板21の反射面22が折れ曲がった折れ面として構成されていてもよい。この例でも、反射面22の傾斜角度θrおよび反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdの両方が第1方向d1に沿って変化し得る。
以上のように、反射板21の反射面22が液晶表示パネル15の最入光側に位置する偏向光学シート50から正面方向にずれた位置に配置されている。とりわけ本実施の形態では、図2に示すように、反射板21は、少なくとも一部分が液晶表示パネル15と正面方向ndに直面するように、配置されている。すなわち、反射板21の少なくとも一部分は、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40と正面方向ndに直面するような位置に、配置されている。したがって、反射板21の少なくとも一部分と、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40と、の間には、他の部材が介在しておらず、反射板21の少なくとも一部分で反射された光は、直接、下偏光板40に入射することができる。
同様に、反射板21の反射面22上の各位置は、図1および図2に示すように、光源25をなす発光体26からも正面方向nd、および、正面方向ndに直交する面上の方向(例えば、第1方向d1)の少なくともいずれかにずれている。これにより、光源25の発光体26で発光された光は、反射板21の反射面22に直接入射すること、言い換えると、他の部材を介すことなくそのまま入射すること、が可能となる。
加えて、図示された形態では、正面方向ndに沿って、反射板21および光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15を基準として同じ側、具体的には、共に液晶表示パネル15の背面側に配置されている。結果として、光源25の発光体26で発光された光が反射板21の液晶表示パネル15(偏向光学シート50)に対面する反射面22へ直接入射し、且つ、反射板21へ入射して当該反射板21で反射した光は、反射板21での反射によって正面方向に沿った進行方向を折り返して、液晶表示パネル15(偏光板40)の反射板21に対面する側の面(入光面)へ直接入射し得るようにすることができる。
次に、光源について説明する。図1〜図3に示すように、光源25は、矩形状の平面形状を有した偏向光学シート50の一つの縁部に対応して、より詳細には、液晶表示パネル15の偏向光学シート50の第1方向d1に対向する一対の縁部50c1,50c2のうちの一つに対応して、当該縁部の近傍に設けられている。そして図3に示すように、発光体26は、平面視において、この縁部50c1を横切るように光を放射する。
光源25をなす発光体26として、種々の既知な発光体、例えば冷陰極管、とりわけ配光方向が絞られた冷陰極管を用いることができる。ただし、図示する例では、複数の点状の発光体26、典型的には、複数の発光ダイオード(LED)26によって光源25が構成されている。光源25をなす多数の点状発光体26は、対応する偏向光学シート50の縁部50c1の長手方向に沿って並べて配置されている。すなわち、本実施の形態では、光源25をなす多数の点状発光体26は、第1方向d1に直交する第2方向d2に並べて配置されている。
図3および図2によく示されているように、この表示装置10では、光源25をなす発光体26は、エッジライト型の液晶表示装置と同様に、液晶表示パネル15の外輪郭に沿って当該外輪郭の外方に位置している。より詳細には、光源25の発光体26は、正面方向からの観察において、偏向光学シート50の縁部50c1の外方となる位置に配置されている。すなわち、図3に示すように、正面方向からの観察において、光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15(より厳密には、液晶表示パネル15のうちの映像を形成する表示面10aをなすようになる領域)と重ならない位置に配置されている。
また、本実施の形態に係る表示装置10では、図2に示すように、光源25をなす発光体26が、液晶表示パネル15から正面方向にずれた位置に配置されている。より詳細には、光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15の最も入光側に位置する偏向光学シート50よりも、正面方向に沿って背面側へずれた位置に配置されている。図3に示すように、光源25の発光体26は、第1方向d1に沿った偏向光学シート50の一方の縁部50c1の近傍において、当該縁部50c1に沿うようにして配置されている。そして、第1方向d1に沿った一側において、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdは最も広くなっている。本実施の形態では、光源25をなす発光体26は、第1方向d1における一側において、反射板21の反射面22と、液晶表示パネル15の最入光側に位置する偏向光学シート50の入光側面50bと、の正面方向に沿った間に配置されている。
ところで、LEDのような点状発光体26は、光を均一な光度で放射状に発光するのではなく、指向性を有している。すなわち、LEDのような点状発光体26は、各方向に異なる光度(単位:カンデラ)で光を放射する。一般的には、発光体26は、特定の方向pdにピーク光度を持つ。そして、当該特定の方向pdに対する傾斜角度が大きくなるにつれて、光度の値はしだいに低下していく。好ましくは、このような発光体26の指向特性(配光特性、さらに言い換えると、光度の角度(方向)分布)を考慮して、光源25をなす発光体26の配置が決定される。なお、本明細書では、ピーク光度をもたらす上記特定の方向を「光軸」と呼ぶ。
図2に示すように、正面方向ndおよび第1方向d1の両方向に平行な断面において、発光体26の光軸pdが、偏向光学シート50の本体部55の入光側面55bに平行な方向から傾斜し、偏向光学シート50の側から反射板21の側へ向くように、すなわち、正面方向において観察者側から背面側へ向かうようになっている。さらに、発光体26は、その光軸pdが反射板21の反射面22上の位置へ向くよう、配置されている。
このような配置によれば、光源25の発光体26で発光された光の多くが、反射板21での反射によって正面方向における光路を折り返した後に、液晶表示パネル15へ入射するようになる。このような本実施の形態によれば、発光体26からの光が、反射板21で反射することなく、直接、液晶表示パネル15に入射する形態と比較して、同様の光学特性を呈する光学モジュール20および表示装置10を大幅に薄型化して構成することが可能となる。また、発光体26からの光の多くが、概ね第1方向d1に沿って進み、第1方向d1における他側において液晶表示パネル15と反射板21との間から漏れ出してしまうことを防止することができる。すなわち、発光体26で発光された光の損失を効果的に防止することができ、光学モジュール20および表示装置10のエネルギー効率を効果的に向上させることができる。
なお、例えば発光体26が指向性を持たない又は弱い指向性しか持たない場合等、発光体26で発光されたすべての光が、反射板21で反射されることによって、液晶表示パネル15に入射するようになる訳ではなく、例えば図2に示すように、発光体26で発光された光の一部(光路L2b参照)が、直接、反射板21を経由することなく液晶表示パネル15に入射することもある。また、液晶表示パネル15へ向けられた光がすべて液晶表示パネル15に入射する訳でなく、一部の光は液晶表示パネル15の入光側面で反射されることも予想される。このため、偏向光学シート50(液晶表示パネル15)に直面する位置に配置された反射板21とは別途に、或いは、反射板21の延長部として、図2に二点鎖線で示すように補助反射板23が、発光体26を囲むようにして、偏向光学シート50(液晶表示パネル15)と反射板21との間を塞ぐようにしてもよい。この補助反射板23によれば、液晶表示パネル15に入射し得なかった光を、再度、液晶表示パネル15へ向けることができ、光源25からの光の利用効率を効果的に向上させることができる。
次に、液晶表示パネル15について説明する。液晶表示パネル15は、上述したように、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板12,40の間に配置された液晶セル11と、を有している。このうち偏光板12,40は、入射した光を直交する偏光成分に分解し、一方の偏光成分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収する機能(吸収型の偏光分離機能)を有している。
偏光板12,40は、入射した光を直交する偏光成分に分解し、一方の偏光成分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収する機能(吸収型の偏光分離機能)を有している。一方、液晶セル11は、一対の透明基板と、この透明基板間に設けられた液晶層と、を有している。この液晶層に対して、一つの画素を形成する領域毎に、電界印加がなされ得るようになっており、電界印加された液晶層の配向は変化するようになる。入光側に配置された下偏光板40を透過した特定方向(透過軸と平行な方向)の偏光成分は、一例として、液晶セル11のうちの電界印加されている液晶層の領域を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、電界印加されていない液晶層を通過する際にその偏光方向を維持する。このため、液晶層の各領域への電界印加の有無によって、下偏光板40を透過した特定方向の偏光成分が、下偏光板40の出光側に配置された上偏光板12をさらに透過するか、あるいは、上偏光板12で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。
ここで、下偏光板40についてさらに詳述しておく。下偏光板40は、吸収型の偏光分離機能を発揮し得る偏光子41と、偏光子41と接着された偏向光学シート50と、を有している。図3に示すように、偏向光学シート50は、液晶セル11に対面しない側から、言い換えると入光側から偏光子41に積層されており、偏光子41を外部から保護する保護フィルムとして機能するようになっている。
また、偏光子41および偏向光学シート50に隣接するようにして偏光子41および偏向光学シート50の間に位置し、偏光子41および偏向光学シート50を互いに接着する接着層(図示せず)を、設けるようにしてもよい。偏光子41および偏向光学シート50の密着性を高めるための接着層は、従来からある種々の接着剤を用いて形成され得る。一具体例として、例えばポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水性接着剤を用いて接着層を形成することができる。なお、本明細書における接着は、粘着や糊付けを含む概念であり、同様に、本明細書における接着剤とは、粘着剤や糊を含む概念である。
今日まで種々の偏光子が開発されてきており、これらの任意の偏光子を偏光子41として用いることができる。一具体例として、ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41を用いることができる。ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や染料などの二色性色素を吸着あるいは染色させ、その後、一軸延伸して配向させることによって、光の吸収異方性がポリビニルアルコール系フィルムに付与され得る。
次に、偏向光学シート50について説明する。ここで説明する偏向光学シート50は、光の進行方向を変化させる光制御機能を有している。具体的な構成として、偏向光学シート50の入光側面50bが、図2および図4によく示されているように、並べて配置された単位光学要素(単位プリズム)60によって形成された光学要素面(プリズム面)として構成されている。この光学要素面によって、偏向光学シート50は集光機能(偏向機能)を発現するようになっている。また、偏向光学シート50は、バインダー樹脂中に分散された拡散成分59bを含んでおり、この拡散成分59bによって、偏向光学シート50は光拡散機能を発現するようになっている。なお上述したように、偏向光学シート50は、液晶表示パネル15の最も入光側に位置しており、偏向光学シート50の入光側面50bは、液晶表示パネル15の入光側面を形成している。以下、偏向光学シート50の構成について、さらに詳述する。
なお、本明細書における「単位光学要素」とは、屈折や反射等の光学的作用を光に及ぼして、当該光の進行方向を変化させる機能を有した要素のことを指し、「単位形状要素」、「単位プリズム」および「単位レンズ」といった要素と呼称の違いのみに基づいて区別されるものではない。同様に、「プリズム」および「レンズ」は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
図4によく示されているように、偏向光学シート50は、シート状の本体部55と、本体部55の入光側面55bに並べて配置された単位光学要素60と、を有している。各単位光学要素60は、その配列方向と交差する方向であって且つ偏向光学シート50のシート面と平行な方向に、延びている。また、偏向光学シート50に含まれる単位光学要素60は、互いに同一に構成されている。図1〜図3に示すように、本実施の形態において、単位光学要素60の配列方向は、第1方向d1と平行となっている。
ところで、液晶表示パネル15は、多数の画素を画成する。液晶表示パネル15は、この画素毎に光の透過および遮断を制御することによって、映像を形成する。そして、単位光学要素60の配列方向は、正面方向ndから観察した場合、液晶表示パネル15の液晶セル11の画素の配列方向と交差、すなわち、画素の配列方向に対して傾斜または直交していることが好ましい。具体的には、正面方向から観察した場合に、単位光学要素60の配列方向と液晶セル11の画素の配列方向とが、1°以上45°未満の角度で傾斜していることが好ましく、5°以上30°以下の角度で傾斜していることがさらに好ましい。この場合、画素の規則的な配列に起因した周期性と、単位光学要素60の規則的な配列に起因した周期性と、の干渉によって生じるモアレ(干渉縞)を効果的に目立たなくさせることができる。また、モアレを目立たなくさせる観点からすれば、単位光学要素60の配列ピッチが、30μm以下となっていることが好ましい。
図2に示された断面は、単位光学要素60の配列方向とシート状からなる本体部55への法線方向との両方向に沿った断面(以下、単に「主切断面」とも呼ぶ)にも相当する。図2に示すように、各単位光学要素60は、主切断面において、三角形形状となっている。とりわけ図示する例においては、単位光学要素60の主切断面における断面形状は、偏向光学シート50のシート面への法線方向を中心として左右対称に配置された二等辺三角形状となっている。この二等辺三角形形状の頂角の角度θx(図2参照)は、集光機能を考慮して、例えば15°以上100°以下とすることができる。また、二等辺三角形状の配列方向に沿った幅W(図2参照)は、例えば5μm以上250μm以下とすることができ、二等辺三角形状の正面方向に沿った高さH(図2参照)は、例えば2.5μm以上250μm以下とすることができる。
また、偏向光学シート50は、上述したように、拡散成分59bを有しており、この拡散成分59bによって、偏向光学シート50は光拡散機能を発現するようになっている。より厳密には、偏向光学シート50は、樹脂からなる主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有する光拡散層51aを含んでいる。
本実施の形態における偏向光学シート50は、図4によく示されているように、光拡散層51aと、拡散成分59bを含有していない樹脂層51bと、を有している。図示する例において、樹脂層51bは、光拡散層51aよりも入光側に配置されている。すなわち、光拡散層51aは、樹脂層51bよりも偏光子41の側に配置されている。樹脂層51bは、上述した単位光学要素60と、本体部55の入光側の部分と、を構成している。一方、光拡散層51aは、樹脂層51bに隣接する本体部55の出光側の部分を構成している。
このような偏向光学シート50は、一例として、共押し出し成形により、光拡散層51aおよび樹脂層51bを二層押し出しし、さらに、成形時に単位光学要素60を賦型することによって、製造され得る。このような製造方法で作製された偏向光学シート50では、光拡散層51aの主部59aと樹脂層51bとの間に、光学界面が存在しない。すなわち、光は、偏向光学シート50内において樹脂層51bから光拡散層51aへ、光学作用を及ぼされることなく入射する。
樹脂層51bをなす樹脂材料および光拡散層51aの主部59aをなす樹脂材料として、優れた光学特性を有する種々の樹脂材料、例えば、ポリカーボネート系樹脂を用いることができる。
一方、光拡散層51aに分散された拡散成分59bは、主部59aとは異なる屈折率を有した粒状物、あるいは、それ自体が反射性を有した粒状物等から構成され得る。この拡散成分59bをなす粒状物は、金属化合物であってもよいし、気体を含有した多孔質物であってもよいし、さらには、単なる気泡であってもよい。また、粒状物からなる拡散成分59bの形状は、特に問われることはない。したがって、拡散成分59bは、図示された例のように球状(粒子状)である必要はなく、例えば回転楕円体形状や線状等の種々の形状を有することができる。
偏向光学シート50は、拡散成分59bを含んだ光拡散層51aに起因して、光を拡散させる拡散機能を発現することができる。このように内添された拡散成分59bに起因した偏向光学シート50の光拡散機能の程度は、主部59aをなす樹脂材料、主部59aの厚み、拡散成分59bの構成(形状、大きさ(粒径)、屈折率等)、拡散成分59bの濃度等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で調節可能である。具体的には、単なる表層部をマット面化(粗面化)しただけでは通常到達することが不可能な程度、例えば60%以上90%以下の範囲内に、光拡散層51aのヘイズ値を設定することも可能である。
ところで、下偏光板40の入光側面、さらには液晶表示パネル15の入光側面をなす偏向光学シート50の入光側面50bは、単位光学要素60からなる光学要素面として形成されている。一方、偏向光学シート50の出光側面50aは、平坦面として形成されている。これにより、空気等の混入を防止しながら、偏向光学シート50と偏光子41とを安定して積層および接着することが可能となる。
なお、本明細書において、偏向光学シート50の偏光子41に対面する側の面50aに対して用いる「平坦」とは、偏向光学シート50と偏光子41との安定した積層および接着を確保し得る程度の平坦を指す。例えば、偏向光学シート50の偏光子41に対面する側の面50aの表面粗さが、JISB0601(1982年)に準拠して十点平均粗さRzとして測定された場合に、1.0μm以下であれば平坦と言える。
このように偏向光学シート50が拡散成分59bを内添されているにもかかわらず、偏向光学シート50の出光側面50aが平坦であることから、いわゆる「水貼り」によって、偏向光学シート50および偏光子41を積層および接着することができる。具体的には、水、或いは、界面活性剤等の好適な添加剤が混合された水溶液(または、懸濁液)を間に介在させた状態で、偏向光学シート50および偏光子41を互いに重ね合わせていく。これにより、空気等の異物の混入を防止しながら、偏向光学シート50および偏光子41を積層することができる。またこの際、水あるいは水溶液(または懸濁液)に接着剤(例えば糊等)を混合しておくことにより、あるいは、偏向光学シート50および偏光子41の少なくとも一方に接着層を予め設けておき、偏向光学シート50および偏光子41を積極的に接着するようにしてもよい。
なお、「水貼り」後に、偏向光学シート50および偏光子41からの水分の除去を促進するため、偏向光学シート50の透湿度が、温度40℃、湿度90%RHでの状況下で、10g/m2・24hr以上となっていることが好ましい。ただし、透湿度が高すぎると、吸湿に起因した反りや曲がりが発生し得るため、透湿度が、温度40℃、湿度90%RHで測定して400g/m2・24hr以下であることが好ましい。なお、本明細書における透湿度とは、JISZ0208に準拠してカップ法を用いて測定された数値を指す。
ところで、図1および図2に示されているように、本実施の形態において、表示装置10および光学モジュール20は、第1方向d1が水平方向と直交し、この結果、第2方向d2が水平方向と平行となるようにして、配置されている。とりわけ図2によく示されているように、本実施の形態では、表示装置10および光学モジュール20は、第1方向d1が鉛直方向と平行となり且つ第2方向d2が水平方向と平行となるようにして、配置されている。すなわち、図示された例において、表示装置10の表示面10aは、水平面に直交するとともに鉛直面と平行となっている。そして、偏向光学シート50の一方の縁部50c1が他方の縁部50c2よりも鉛直方向において下方に位置している。すなわち、光源25の発光体26が近傍に設けられている偏向光学シート50の一方の縁部50c1が、鉛直方向下方の位置において水平方向に延びている。
表示装置および光学モジュールの使用中、光源の発光体から熱が発生してしまう。そして、従来の表示装置および光学モジュールでは、発光体での発熱によって、光学シート類が局所的に加熱されることがあった。局所的に加熱された光学シート類には熱応力が発生し、当該光学シート類に反りや曲がり等の変形が発生してしまっていた。このとき、多数の光学シートが設けられている表示装置および光学モールでは、隣り合う光学シート同士が接触または擦れ合うこともある。光学シート同士が変形し密着している箇所は、もはや期待した光学機能を発揮することができず、さらに、密着箇所が視認されてしまうこともある。また、光学シート同士が擦れ合うと、光学シートに傷が生じたり、さらには、カスが生じることもあり、著しく表示画質が劣化することになる。
これに対して本実施の形態によれば、図1および図2によく示されているように、上述した光学モジュール20および表示装置10の配置により、光源25の発光体26が表示装置10および光学モジュール20の下方に位置することになる。この場合、発光体26から生じる熱が、上方に拡散されることになる。また、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdは、鉛直方向における下側から上側に向けて、狭くなっていっている。すなわち、熱源となる発光体26が直面している反射板21と偏向光学シート22との間の領域は、発光体26から離間するにつれて、言い換えると、鉛直方向に沿って下側から上側に向かうにつれて、しだいに狭くなっていく。すなわち、ここで説明した光学モジュール20および表示装置10によれば、発光体26での発熱に起因した熱を、反射板21と偏向光学シート22との間の領域により均一に拡散させることが可能となる。このため、反射板21および偏向光学シート50および反射板21には、局所的に加熱されることに起因した変形が生じにくくなる。
加えて、本実施の形態によれば、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが鉛直方向における下側から上側に向けて狭くなっていく。したがって、反射板21を、偏向光学シート50へ寄り掛けるようにして、支持することができる。このため、曲がった反射面22を有するため支持構造が複雑化しがちな反射板21を、偏向光学シート50を利用して安定して支持することができる。これにより、後述する反射板21での所望の光学作用に起因した照度分布の均一化を、安定して確保することが可能となる。このような作用効果の有用性は、表示装置10が大型化した場合に、より顕著となる。
とりわけ、本実施の形態によれば、偏向光学シート50が液晶表示パネル15の一部として構成されている。すなわち、偏向光学シート50が、液晶セル11を含んだ高剛性の液晶表示パネル15の一部として、液晶表示パネル15をなす他の部分と接合されている。このため、大型の表示装置10であったとしても、偏向光学シート50を支持するための特別の支持構造を設けることなく、偏向光学シート50を安定して支持することができる。これにともない、上述した反射板21を、高剛性を有した液晶表示パネル15に寄りかからせながら支持することができ、結果として、反射板21を、極めて簡略された構造により、極めて安定して支持することが可能となる。
次に、主として図2を参照しながら、表示装置10および光学モジュール20での作用について説明する。
上述したように、図2に示された断面において、発光体26の光軸pdは、偏向光学シート50の本体部55の入光側面55bから傾斜して、反射板21の側へ向いている。とりわけ、本実施の形態において、発光体26の光軸pdは、反射板21の反射面22上の位置へ向いており、このため、光源25の発光体26は、反射板21の反射面22に向けて光を発光する。すなわち、光源25の発光体26で発光されたほとんどの光L2aは、直接、つまり他の部材に入射することなく反射板21へ入射し、反射板21の反射面22での反射によって、進行方向を変更される。図2に示すように、反射板21の反射面22で反射された光の多くは、直接、つまり他の部材に入射することなく、液晶表示パネル15に入射することができる。
なお、本実施の形態では、発光体25からの光の照射方向(導光方向)に沿った光量分布を均一化させるための、導光板A(図27参照)が設けられていない。この点について、本実施の形態では、図2に示すように、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが、第1方向d1における一側から他側に向けて、言い換えると、光源25の発光体26から離間するにつれて、狭くなっていく。このため、光量が少なくなってしまう傾向のある発光体26から離間した領域、すなわち、第1方向d1における他側の領域において液晶表示パネル15に入射する光線の密度を上昇させることができる。これにより、液晶表示パネル15の第1方向d1に沿った各位置に入射する光量の分布を均一化させることができる。この点について、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、後述する実施例でも実証されているように、本実施の形態の構成によれば、導光板を用いなくとも、液晶表示パネル15(偏向光学シート50)への入射光量の第1方向d1に沿った分布を適宜調節することができ、さらには、実際の表示装置の用途、とりわけ、大型のテレビ受像器の用途において要望される程度にまで、液晶表示パネル15(偏向光学シート50)への入射光量の第1方向d1に沿った分布を十分に均一化することができた。
液晶表示パネル15の最入光側には、偏向光学シート50と偏光子41とを有した下偏光板40が設けられている。そして、下偏光板40の偏向光学シート50が、液晶表示パネル15の最入光側面を形成している。
偏向光学シート50は、上述したように、光の進行方向が正面方向ndに対してなす角度を全体的に小さくするように当該光の進行方向を変化させる集光機能と、光を拡散させる光拡散機能を有している。このうち集光機能は、偏向光学シート50の単位光学要素60によって発現され、光拡散機能は、偏向光学シート50の光拡散層51aによって主として発現される。そして、単位光学要素60が、偏向光学シート50の入光側面を形成し、光拡散層51aは、偏向光学シート50の出光側に設けられている。このため、偏向光学シート50に入射した光には、まず、集光機能が及ぼされ、その後に光拡散機能が及ぼされるようになる。
図2によく示されているように、断面三角形状を有する単位光学要素60による集光機能の基本原理は、単位光学要素60の一方の面(入射面)60b1から入射した光L2a,L2bを、他方の面(全反射面)60b2において全反射させることにより、当該光の進行方向が正面方向ndに対してなしている角度を減じるものである。すなわち、単位光学要素60による集光機能は、主として、単位光学要素60の配列方向と平行な光の成分に対して及ぼされる。そして、単位光学要素60の断面形状を適宜設計しておくことにより、図2に示すように、偏向光学シート50の単位光学要素60での集光機能が効果的に発揮されるようになる。具体的には、単位光学要素60の形状、単位光学要素60の屈折率等を適宜設定することにより、偏向光学シート50内における集光機能の程度を極めて広い範囲内で調節可能である。
このように、偏向光学シート50の単位光学要素60は、正面方向輝度の向上に役立つ。とりわけ本実施の形態においては、単位光学要素60中に拡散成分59bが分散されていないため、入射面60b1および全反射面60b2として機能する単位光学要素60の表面(プリズム面)が、拡散成分59bに起因した凹凸のない平坦面として高精度に形成され得る。これにより、偏向光学シート50の単位光学要素60が、期待された所望の光学機能を発揮することができる。
また、反射板21の反射面22上の各位置へ入射する光の入射角度は、発光体26から当該入射位置までの第1方向d1に沿った距離に応じて変化する。その一方で、本実施の形態では、反射面22の傾斜角度θrが、第1方向d1における一側から他側に向けて、言い換えると、光源25の発光体26から離間するにつれて、大きくなっていく。このような反射面22の傾斜角度θrの変化は、異なる入射角度で反射板21へ入射した光の、反射面22で反射された後における進行方向を、揃えるように働く。すなわち、液晶表示パネル15(偏向光学シート50)の各位置に入射する光の入射角度のバラツキを緩和して、液晶表示パネル15(偏向光学シート50)へ入射する光の入射角度を、狭い角度範囲に、絞り込むことができる。この結果、第1方向d1に沿って配列された同一構成の単位光学要素60が、優れた集光機能を発揮することができる。
単位光学要素60を介して偏向光学シート50へ入射した光は、その後、本体部55内を、樹脂層51bから、光拡散機能を有した光拡散層51aへと進む。この光拡散層51aは、主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有しており、この内添された拡散成分59bに起因して光拡散機能を発現する。このような内添された拡散成分59bに起因した光拡散層51aでの光拡散機能は、例えば賦型によって表面をマット面化すること或いは表層部に粒状物を設けることによって表面をマット面化することに起因した光拡散機能と比較して、程度(拡散の強さ)および質(拡散の均一性)において格段に優れる。
具体的には、単に表面がマット化されたに過ぎない場合には、素抜けしてしまう光(進行方向を変化させられない)が必然的に生じてしまう。その一方で、内添された拡散成分59bによれば、平面方向だけでなく厚さ方向にも拡散成分59bが分散することになる。このため、光拡散層51aに入射した光は、高い確率で、一回以上拡散成分59bに衝突して、その進行方向を変化させるようになる。また、上述したように、主部59aをなす樹脂材料、主部59aの厚み、拡散成分59bの構成(形状、大きさ(粒径)、屈折率等)、拡散成分59bの濃度等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で光拡散層51aの光拡散機能の程度を調節することができる。
以上のようにして、面光源装置20からの光を偏向光学シート50の光拡散層51aで或る程度拡散させることができる。これにより、偏向光学シート50の単位光学要素60によって集光された後での、輝度の角度分布を滑らかに変化させるようにすることができる。
偏向光学シート50の光拡散層51aで拡散された光は、その後、偏向光学シート50の出光側に配置された下偏光板40の偏光子41、液晶セル11および上偏光板12に向かうことになる。この際、液晶セル11は、画素毎に光を選択的に透過させ、これにより、表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
以上のように、本実施の形態における表示装置10に組み込まれた光学モジュール20によれば、光源25をなす発光体26を、正面方向ndの観察において表示領域から第1方向d1にずれた位置に配置しながら、導光板A(図27参照)に依らなくとも、しかも光源25が第1方向d1における一側にしか設けられていない場合であっても、第1方向d1に沿った光量分布を十分に均一化させることができる。これにより、光学モジュール20および表示装置10から導光板を排除することができ、導光板の存在に起因した不具合を解消することができる。すなわち、厚みが厚いことに起因して材料費が高額となってしまう導光板の費用を、削減することができる。また、厚みが厚いことから必要となることのある導光板を支持するための特別な支持構造を、光学モジュール20および表示装置10から排除することができる。さらに、導光板を排除することによって、光学モジュール20および表示装置10を薄型化および軽量化させることができる。
加えて、本実施の形態において、偏光子41に接合されて偏光板(下偏光板)40をなすようになる偏向光学シート50が、光の進行方向を変化させ得る優れた光制御機能を有している。具体的には、偏向光学シート50は、樹脂材料中に分散された拡散成分59bに起因した優れた光拡散機能と、発光体26の側へ向けて突出し偏向光学シート50の入光面をなす複数の単位光学要素60に起因した優れた集光機能と、を発揮することができる。この偏向光学シート50による優れた光制御機能により、導光板だけでなく、図27に示された従来の表示装置1の面光源装置内に組み込まれていた偏向シートBおよび光拡散シートC等の光学シート類も削除することが可能となる。
これにより、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)の数量を大幅に減じることができ、表示装置の製造コストを直接的に大幅に低減することができる。また、表示装置あるいは面光源装置の組み立て時に必要となる光学シート類の位置決めといった煩雑な作業を省くことが可能となり、この点からも表示装置の製造コストを低減することができる。また、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)を省くことにより、表示装置の薄型化も可能となる。さらに、光源25をなす発光体26から偏光板40の保護フィルム50までの光源光の光路中に反射板21しか配置されていないので、光学シートの曲がり、撓み、反り等の変形に起因した表示画質の劣化の程度を大幅に低減することができる。
加えて、従来の表示装置に組み込まれていた光学シート類は、光の進行方向を補正するための部材であったが、その反面、入射光の一部を吸収してしまっていた。そして、従来の表示装置においては、多くの光が、液晶表示パネルに入射する前に、多数設けられた光学シート類のいずれかで反射していたものと予想される。結果として、光源25となる発光体26で発光された光の多くが、いずれかの光学シートに吸収され、映像の表示に使用され得なかった。一方、本実施の形態では、光源25の発光体26で発光された光は、反射板21の反射面22における一回の反射で、液晶表示パネル15の偏光板40へ入射することができる。このため、発光体26で発光された光の利用効率を大幅に上昇させることができる。この結果、例えば、従来の表示装置と比較して光源25の出力を増強することなく、正面方向輝度を維持しながら視野角を大幅に広げることも可能となる。
さらに、本実施の形態では、発光体26は、第1方向d1における一側に配置され、第1方向d1に沿って一側から他側に向けて反射板21と液晶表示パネル15(偏向光学シート50)との間に光を照射する。そして、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdは、第1方向d1において、発光体26が配置された一側で最も広く、発光体26から照射された光が向かう他側において最も狭くなる。したがって、発光体26から照射された光が、第1方向d1における他側において、反射板21と液晶表示パネル15(偏向光学シート50)との間から漏出して映像の形成に使用され得なくなることを、効果的に防止することができる。したがって、光学モジュール20のこのような構成面からも、発光体26で発光された光の利用効率を効果的に上昇させることができる。
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、偏向光学シート50が、樹脂材料からなる主部59aおよび主部59a中に分散された拡散成分59bからなる光拡散層51aと、拡散成分59bを含有せず樹脂材料のみからなる樹脂層51bと、を有していた。言い換えると、拡散成分59bは、偏向光学シート50の一部分のみに分散されていた。しかしながら、例えば図5および図6に示すように、拡散成分59bが偏向光学シート50の全域に分散されるようにしてもよい。このような例においては、偏向光学シート50が、樹脂材料からなる主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有する光拡散層51aのみから構成されることになり、単位光学要素60は光拡散層51aの一部として構成される。この場合、偏向光学シート50の光拡散機能の程度を、さらに自由に調節することができる。
その一方で、光学モジュール20および表示装置10に求められる光学特性や、光学モジュール20および表示装置10の他の構成要素の構成等に応じて、偏向光学シート50に光拡散機能を付与する必要はない。すなわち、偏向光学シート50に拡散成分59bを分散させず、偏向光学シート50が、樹脂材料のみからなる樹脂層51bのみによって構成されるようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、偏向光学シート50の単位光学要素60の主切断面における断面形状が、三角形形状からなる例を示したが、これに限られず、偏向光学シート50の単位光学要素60の主切断面における断面形状は種々の形状に設計され得る。例えば、偏向光学シート50の主切断面における単位光学要素60の断面形状をなす三角形形状の頂部が面取りされていてもよい。また、図2に二点鎖線で示すように、保護フィルムの主切断面において、上述した三角形形状の本体部55から延び出る二辺のうちの少なくとも一辺が、外方に膨出した曲線となるように変形されてもよい。
さらに、図5に示すように、偏向光学シート50の主切断面において、単位光学要素60が、曲線状の外輪郭を有するようにしてもよい。すなわち、単位光学要素60の入光面が曲面として構成されてもよい。具体的な形状の例として、偏向光学シート50の主切断面において、単位光学要素60が、楕円の一部(一例として半楕円)または円の一部(一例として半円)に相当する形状を有するようにしてもよい。さらに、図6に示すように、偏向光学シート50の主切断面において、単位光学要素60が、上述した主切断面における三角形形状の頂部を取り除いてなる形状を有するようにしてもよい。具体的な形状の例として、偏向光学シート50の主切断面において、単位光学要素60が、図6に示すように等脚台形形状となるようにしてもよいし、或いは、当該等脚台形形状の上底を曲線に変更してなる形状を持つようにしてもよい。なお、図5および図6に示された偏向光学シート50は、上述の実施の形態の偏向光学シート50と同様に、押し出し成形によって作製され得る。
また、図7および図8には、偏向光学要素50に含まれる単位光学要素60の一変形例が示されている。ここで、図7および図8を参照して、この一変形例について説明する。なお、図7および図8に示された変形例は、上述の実施の形態と、単位光学要素60の断面形状が異なるだけであって、単位光学要素60の配列等、他の構成は同一に構成され得る。
ここで説明する単位光学要素60の外輪郭62は、その長手方向に直交する断面において、異なる複数の放物線をつなぎ合わせてなる形状を有している。とりわけ図8および図9に示された例では、単位光学要素60の長手方向に直交する断面(上述した主切断面に相当する断面)において、単位光学要素60の外輪郭62は、本体部55から最も離間した頂部61aの側と、本体部55に接続する基端部61bの側と、に区分けされ、異なる二つの放物線に沿って延びている。具体的には、単位光学要素60の外輪郭62のうちの頂部61aを中心として含む頂部側区間62aが放物線P1に沿って延び、単位光学要素60の外輪郭のうちの基端部61bを含む一対の基端部側区間62bが放物線P2に沿って延びている。
この構成によれば、放物線P1および放物線P2の交点61cが、単位光学要素60の外輪郭62上の頂部61aと基端部61bとの間に存在することになる。放物線P1および放物線P2によって画定されるそのままの交点は、微分不可能な外側に尖った尖点となるが、輝度の角度分布を滑らかにする観点から、放物線P1および放物線P2の交点を含む領域にいて、単位光学要素60の外輪郭62が、放物線P1および放物線P2とそれぞれ微分可能に接続する線分、例えば、円、楕円、放物線、双曲線、スプライン曲線等の一部分や、その他自由曲線分に沿って延びるようにしてもよい。
なお、放物線P1および放物線P2をつなぐ線分の範囲は、正面方向において、単位光学要素60の高さHの50%以下とすることができる。そして、「単位光学要素の外輪郭が放物線に沿って延びている」とは、単位光学要素の外輪郭が、異なる二つの放物線の接続部分において、当該二つの放物線を滑らかに接続することを目的として、正面方向において単位光学要素60の高さHの50%以下となる範囲において、放物線以外の他の線分に沿って延びていることを含む。
次に、図7および図8に示された単位光学要素60の外輪郭62を画成する放物線P1,P2について説明する。まず、図8に示すように、単位光学要素60の長手方向に沿った断面において、本体部55の入光側面55bと平行なX軸と、このX軸に直交するZ軸を用いた座標軸を定義する。このX軸およびZ軸で画定される座標系において、単位光学要素60の頂部61aの位置をX軸およびZ軸の原点Oとするとともに、原点Oから見て本体部55の側をZ軸の負の側とする。この座標系を用いた場合、頂部側区間62aを画成する放物線P1は「Z=−aX2」で表され、基端部側区間62bを画成する放物線P2は「Z=−bX2+h」で表される。ここで、式中の「a」、「b」および「h」は、次の式(x)および式(y)を満たす。
0<a<b ・・・式(x)
0<h ・・・式(y)
一例として、放物線P1,P2中の変数「X」および「Y」の単位を〔μm〕として単位光学要素60を設計する場合、放物線P1を表す関数の係数aを、0.01以上0.06以下の範囲の数値、例えば0.02とすることができる。同様に、放物線P1,P2中の変数「X」および「Y」の単位を〔μm〕として単位光学要素60を設計する場合、放物線P2を表す関数の係数bを、0.01以上0.06以下の範囲の数値、例えば0.05とすることができる。
放物線P1と放物線P2との交点61cは、Z軸方向において(正面方向において)、本体部55の入光側面55bから、正面方向ndに沿った単位光学要素60の高さHの25〜75%の範囲内に位置するようにしてもよい。また、放物線P2を特定する関数における係数hは、放物線P1および放物線P2同士が交差するように設定する。放物線同士の交点の位置は、放物線P1および放物線P2を特定する関数中の係数a、b、hの値によって変えることが可能である。
また、図7および図8に示された単位光学要素60の断面形状は、単位光学要素60の幅Wおよび高さHがW/2≧Hを満たすように設定されていることが好ましい。ただし、広い視野角を確保する観点からは、図7および図8に示された単位光学要素60の断面形状は、単位光学要素60の幅Wおよび高さHがW/2≦Hを満たすように設定されていることが好ましい。なお、単位光学要素60は、素抜けを防止する観点から隙間なく配置されることが好ましく、この場合、単位光学要素60の配列ピッチと単位光学要素60の幅Wは等しくなる。
以上のような図7および図8に示された単位光学要素の寸法の一例として、幅Wを20〜200μm、高さHを10〜100μmとすることができる。
なお、図7および図8に示された単位光学要素の断面外輪郭を特定するための「放物線」とは、数学的概念としての厳密な意味での放物線には限定されない。厳密な意味での放物線に僅かな変調を加えた線も、ここでいう放物線に包含される。例えば、(1)厳密な意味での放物線を接線近似したもの、具体的には、(1−1)放物線上に配列した離散的な複数(好ましくは10以上)の点について、隣り合う点同士を線分で結んだ多角形;(1−2)放物線に内接する多角形(好ましくは10角形以上)。(1−3)放物線に外接する多角形(好ましくは10角形以上);(2)放物線の一区間または全区間において変形を加えて放物線を僅かに変位(好ましくは各座標値の5%以内)させた曲線、等が挙げられる。これらの厳密な意味での放物線を変調させた線によって特定される単位光学要素を含んだ偏向光学シートが、厳密な放物線によって特定される単位光学要素を含んだ偏向光学シートの光学特性および光学作用と、実用上において有意差の無い光学特性および光学作用を有する場合、厳密な意味での放物線を変調させた線を「放物線」とみなす。
以上のような図7および図8に示された偏向光学シート50によれば、単位光学要素60の断面外輪郭が複数の放物線によって画成されているため、正面方向輝度を適度に維持しながら、さらに視野角を拡大することができる。
引き続き他の変形例について説明する。上述した実施の形態において、偏向光学シート50が押し出し成形によって得られた押し出し材からなる例を示したが、これに限られない。射出成型等のその他の製造方法によって製造された偏向光学シートを用いることもできる。ここで、図9〜図12には、一例として、基材フィルム53上に塗布された樹脂、例えば電離放射放射線を所望の形状に成型することによって作製され得る偏向光学シート50の一例が示されている。図9に示された偏向光学シート50は、基材フィルム53上に、拡散成分59bを含有させた樹脂を賦型することにより、作製され得る。図9に示された偏向光学シート50では、入光側面50bをなす単位光学要素60が光拡散層51aの一部として形成され、当該光拡散層51aの出光側に基材フィルム53からなる樹脂層51bが設けられている。
図10に示された偏向光学シート50では、拡散成分59bを含有して光拡散層51aをなす基材フィルム53上に、樹脂を賦型することにより、作製され得る。この拡散成分59bを含む基材フィルム53として、例えば押し出し材を用いることができ、この基材フィルム53が光拡散層51aを構成する。
図11に示された例においては、基材フィルム53上に樹脂を賦型して単位光学要素60が形成されているが、基材フィルム53の単位光学要素60が形成されていない出光側面50aには、凹凸面を有したマット層54が形成されている。このマット層54は、拡散成分59bと、バインダー樹脂として機能する樹脂材料(例えば電離放射線樹脂)と、から構成されており、バインダー樹脂としての樹脂材料が主部59aとして機能することによって光拡散層51aを構成する。マット層54は、単位光学要素60の賦型前または賦型後のいずれかに基材フィルム53上に作製され得る。
図12に示された例においては、基材フィルム53と単位光学要素60をなす樹脂材料との間に、拡散成分59bおよびバインダー樹脂として機能する樹脂材料(主部59a)からなるマット層54が形成されている。図12に示された態様では、基材フィルム53上にマット層54が形成され、当該マット層54上に単位光学要素60が賦型されている。
なお、基材フィルム53上に塗布した樹脂を成型して偏向光学シート50を形成する場合には、図9〜図12に示されているように、基材フィルム53上に塗布された樹脂が、複数の単位光学要素60だけでなく、基材フィルム53と単位光学要素60との間に配置され基材フィルム53を覆うランド部52と、を形成するようにしてもよい。この場合、偏向光学シート50の本体部55の一部をランド部52が構成することになる。
また、上述した実施の形態において、偏向光学シート50の単位光学要素60の配列方向が第1方向d1と平行である例を示したが、これに限られない。光学モジュール20および表示装置10に要望される光学特性等に応じて、偏向光学シート50の単位光学要素60の配列方向が、第1方向d1と交差する、例えば図13に示すように第1方向d1と直交して第2方向d2と平行となるようにしてもよい。また、上述した実施の形態においては、偏向光学シート50の単位光学要素60が直線状に延びる例を示したが、これに限られず、例えば、図14および図15に示すように、単位光学要素60が曲線状に延びるようにしてもよい。さらに、単位光学要素60は、一次元配列された線状の要素に限られることなく、二次元配列されてマイクロレンズ(フライアイレンズ)を構成する点状の要素であってもよい。
さらに、上述した実施の形態における偏向光学シート50の光拡散機能は、等方性光拡散機能であってもよいし、異方性光拡散機能であってもよい。偏向光学シート50が異方性光拡散機能を有している場合、偏向光学シート50が、第1方向d1よりも第2方向d2により強い光拡散機能を発揮するようにしてもよいし、第2方向d2よりも第1方向d1により強い光拡散機能を発揮するようにしてもよい。さらに、偏向光学シート50が、第1方向d1および第2方向d2以外の方向に最も強い光拡散機能を発揮するようにしてもよい。このような形態によれば、例えば、表示装置10に要求される光学特性(例えば視野角特性)をより高い自由度で実現することができる。
一例として、図16に示すように、長手方向ldを有する拡散成分59bを、所定の方向odへの配向を持つようにして、偏向光学シート50の光拡散層51a内に配置することにより、異方性光拡散機能を偏向光学シート50に付与することができる。ここで、拡散成分59bの長手方向とは、対象となる拡散成分59bの最も長さが長くなる方向として特定することができる。また、「長手方向ldを有する拡散成分59bが、所定の方向odへの配向を持つ」とは、各拡散成分59bの長手方向ldが所定の方向odに対してなす角度が、0°以上45°以下となることであり、拡散成分59bが、所定の方向odを基準とした方向的な規則性を持って配置されることを意味している。
なお、図16に示された偏向光学シート50の光拡散層51aは、長手方向を有する拡散成分59bを、主部59aをなすようになる樹脂材料とともに、原料として用いた押し出し成形によって、製造され得る。長手方向を有する拡散成分59bは、押し出し機のダイを樹脂材料とともに通過する際に、高圧下でその長手方向ldが押し出し方向(機械方向)に沿うように、向けられる。これにより、押し出し材中の拡散成分59bが、特定の方向odへの配向を持つようにして、偏向光学シート50内に分散されるようになる。
長手方向ldを有する拡散成分59bの形状としては、一例として、板状、粒状(米粒状)、針状、鱗状、微細板状等の種々の形状を採用することができる。また、具体的な例として、平均アスペクト比(長手方向ldに沿った拡散成分59bの長さの、長手方向ldに直交する方向に沿った当該拡散成分59bの長さに対する比の平均値)が、1.5以上50以下であって、拡散成分59bの平均粒径(体積相当法で算出された粒径、すなわち体積相当径の算術平均、以下同様)が0.5μ以上100μm以下の気泡を、長手方向ldを有した拡散成分59bとして、用いることができる。また、有機繊維からなる拡散成分59b、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維等の耐熱性有機繊維からなる拡散成分59bを用いることもできる。また、無機繊維からなる拡散成分59b、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維等の繊維状フィラーからなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、薄板状フィラー(マイカ)からなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、不定形フィラーからなる拡散成分59b、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等の無機系白色顔料からなる拡散成分59bを用いることもできる。
長手方向ldを有する拡散成分59bは、その長手方向と平行な方向よりも、その長手方向に直交する方向へ、強い光拡散機能を呈するようになる。例えば、上述した実施の形態において、光源25は、多数の発光体26を第2方向d2に並べることによって構成されている。つまり、光源25の構成によって、一例として、発光体26の配置ピッチによって、第2方向d2に沿った明るさの分布を制御することができ、とりわけ本実施の形態においては、光源25からの光は多数の光学シート類を経由することなく液晶表示パネル15(偏向光学シート50)へ入射するため、光源25の構成に起因した明るさの分布はそのまま維持されるやすくなっている。
したがって、上述した実施の形態において、光源25の構成によって第2方向d2に沿った明るさの分布が十分に均一化されている場合には、第1方向d1に主として拡散させることが好ましい。この点から、長手方向ldを有する拡散成分59bの配向方向odが、光源25をなす発光体26の配列方向である第2方向と平行であることが好ましい。この場合、偏向光学シート50へ入射した光を必要以上に拡散することが効果的に防止され、光のさらなる有効利用を図ることが可能なる。
その一方で、偏向光学シート50の単位光学要素60は、主として入射する光のうちの第1方向d1に沿った成分に対して、集光機能を発揮する。加えて、例えば図14や図15に示す例のように、発光体26の数量が少ない場合には、第2方向d2に沿った明るさのむらが生じる。この場合、長手方向ldを有する拡散成分59bの配向方向odが、光源25をなす発光体26が配列されている第2方向d2と直交する第1方向d1と平行となり、拡散成分59bが、第2方向d2に主として拡散させることが好ましい。偏向光学シート50の光拡散層51aが、第1方向d1への光拡散能よりも第1方向d2と直交する第2方向d2へ強い光拡散能を呈する異方性拡散機能を有している場合には、単位光学要素60によって集光された第1方向d1に沿った光の成分の進行方向を維持しながら、第2方向d2に沿った光の成分を集中的に拡散することができる。これにより、単位光学要素60に起因した集光機能よって正面方向輝度を上昇させながら、光拡散層51aに起因した異方性拡散機能によって発光体26の構成(配列)に応じた明るさのバラツキを解消することも可能となる。
さらに、上述した実施の形態において、偏向光学シート50が水貼りによって偏光子41に接合される例を示したが、これに限られず、接着層が偏向光学シート50と偏光子41との間に配置されるようにしてもよい。この変形例において、接着層が、接着剤と、接着剤内に分散された拡散成分と、を含むようにしてもよい。この場合、偏向光学シート50における光拡散機能の有無あるいは偏向光学シート50の光拡散機能の程度から独立して、接着層よる光拡散機能の程度を適宜調節することができる。これにより、下偏光板40が発揮し得る光拡散機能の程度をより自由に設計することができる。なお、接着層に含有される拡散成分は、偏向光学シート50に含まれ得る拡散成分59bとして例示したものを同様に用いることができる。また、接着層による光拡散機能の程度は、偏向光学シート50における光拡散機能の程度と同様の手法により、適宜調節され得る。さらに、接着層の光拡散機能は、等方性であってもよいし、異方性であってもよい。接着層の光拡散機能が異方性である場合には、接着層が、第1方向d1、第2方向d2、第1方向d1および第2方向d2以外のいずれかの方向に、最も強い光拡散機能を発揮するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、下偏光板40が、偏光子41と、偏光子41に入光側から接合された機能する偏向光学シート50と、からなる例を示したが、これに限られない。例えば、偏光子41の出光側にも、TACフィルム等からなる保護シートが設けられていてもよい。また、光の位相差を補償するための位相差板が下偏光板40と液晶セル11との間に設けられることもがあるが、この場合、下偏光板40の出光側の保護シートが、位相差板の入光側の保護シートを兼ねるようにしてもよい。
また、偏向光学シート50と偏光子41との間の中間フィルムとして、特定の偏光成分を透過させるとともに、その他の偏光成分を反射して再び光源側へ戻す機能を有した偏光分離フィルムが設けられていてもよい。この例によれば、偏光分離フィルムを設けることによって、偏光子41を透過し得る偏光成分の光を選択的に偏光子41へ入射させ、その他の光を光源側に戻すことができる。光源側に戻された光は、その後の反射等によって、偏光状態を変化させて偏光分離フィルムへ再度入射し得る。輝度の向上に役立ち得る偏光分離フィルムとして、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、韓国Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」や、あるいは、ワイヤーグリッド偏光子等を、偏光分離フィルムとして用いることができる。
さらに、下偏光板40の偏光子41と偏向光学シート50との間の中間フィルムとして、光拡散機能を有した光拡散シートが設けられていてもよいし、或いは、単なる樹脂フィルム、例えば、一対の平行な主面を有するトリアセチルセルロース製フィルム(TAC製フィルム)が設けられてもよい。
さらに、反射板21に対しても種々の変更が可能である。例えば、上述した実施の形態では、反射板21の反射面22のうちの第1方向d1における一側の領域が平らな面として形成され、反射板21の反射面22のうちのその他の領域が曲面として形成されている例を示した。この点について、既に説明したように、反射板21の反射面22が、偏向光学シート50の入光側面50bに対して傾斜して配置された平らな面のみから構成されていてもよい。また、反射板21の反射面22の全領域が曲面として構成されていてもよい。さらに、反射板21の反射面22が折れ曲がった折れ面として構成されていてもよい。
さらに、既に言及したように、反射板21が、正反射機能ではなく、拡散反射機能(乱反射機能、散乱反射機能)を有していてもよい。反射板21が光源25の発光体26からの光を拡散反射させる場合には、偏向光学シート50の入光側面50bをより均一な明るさの分布で照明することが可能となる。また、反射板21が拡散反射機能を有する場合、反射板21での反射による拡散は、等方性拡散でもよいし、異方性拡散であってもよい。反射板21の拡散反射機能が異方性の拡散反射機能である場合には、反射板21は、第1方向d1、第2方向d2、第1方向d1および第2方向d2以外のいずれかの方向に、最も強い拡散反射機能を発揮するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、光源25の発光体26で発光された光が、直接、反射板21へ入射する例、すなわち、光源25の発光体26で発光された光が、他の部材を介することなく反射板21へ入射する例を示したが、この例に限られない。光源25の発光体26で発光された光を受けて反射板21に向ける光学素子が、設けられてもよい。光学素子は、種々の目的、例えば、発光体で発光された光の進行方向を反射板21に向けること、さらには反射板21のみに向けることを目的として、あるいは、発光体26の指向特性(配光特性、さらに言い換えると、光度の角度(方向)分布)を解消または補正して、反射板21の各位置に入射する光の光量分布を調節することを目的として、設けられ得る。
また、上述した実施の形態において、光源25の点状発光体26として、LEDを例示したが、これに限られず、その他の点状発光体を用いてもよい。例えば、点状発光体として、レーザ光を生成するレーザ光源を用いてもよい。また、上述した実施の形態では、図3によく示されているように、液晶表示パネル15の一つの縁部の全長に沿って、発光体26を並べて配置した例を示したが、これに限られない。例えば、レーザ光源に代表されるような高出力の発光体(発光部)を用いる場合には、既に言及した図14および図15に示すように、光源25をなす発光体26の数を減らすことができる。
ここで、図14および図15は、偏向光学シート50とともに光源25を示す平面図である。図14に示す例においては、光源25は、一つの発光体26によって形成されている。図14に示す例において、偏向光学シート50は、正面方向からの観察において光源25をなす単一の発光体26を中心とした同心円上を延びる複数の単位光学要素60を有している。一方、図15に示す例においては、第1方向d1に直交する第2方向d2に並べられた三つの点状の発光体26によって、光源25が形成されている。図15に示す例において、偏向光学シート50は、正面方向からの観察において三つの発光体26のうちの真ん中の発光体を中心とした同心円上を延びる複数の単位光学要素60を有している。また、最も内側の単位光学要素60は、平面視において三つの発光体26を全て取り囲むような大きさの円上を延びるように形成されている。
さらに、光源25の発光体26は、点状発光体に限られず、例えば冷陰極管等の線状発光体を用いてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、偏向光学シート50が偏光子41と接合されて液晶表示パネル15の一部分をなす例を示したが、これに限られない。偏向光学シート50が液晶表示パネル15から分離して設けられていてもよい。この例において、液晶表示パネル15と偏向光学シート50との間に、偏光分離フィルム、等方性光拡散シート、異方性等光拡散シート、集光シート等の光学シートが設けられていてもよい。また、上述した実施の形態において、反射板21が偏向光学シート50と正面方向に直面する位置に配置されている例を示したが、これに限られない。反射板21と偏向光学シート50との間に、等方性光拡散シート、異方性等光拡散シート、集光シート等の光学シートが設けられていてもよい。
同様に、液晶表示パネルが、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板12,40の間に位置する液晶セル11と、からなる例を示したが、これに限られない。例えば、反射防止フィルム、防眩フィルム、耐電防止フィルム、ハードコートフィルム等の種々の機能性光学シート類が液晶表示パネル15に設けられていてもよい。
一例として、図17には、液晶表示パネル15が、上偏光板12の出光側に配置された光制御部材70を有する例が開示されている。光制御部材70は、光の進行方向を変化させる機能を有した部材であって、光透過部(主部)71と、間部(充填部)72と、を有している。図17に示された例において、間部72は、柱状に形成されており、図17の紙面の奥/手前側に延びている。そして、光透過部71は、間部72の両側方に隣接して設けられており、略台形形状の断面を有して柱状に延びている。
光透過部71は、光を透過させることを主要な機能とする部位である。図17に示すように、光透過部71の断面台形形状は、長い下底が入光側を向くとともに短い上底が出光側を向くように、配置されている。光透過部71は、液晶表示パネル15のパネル面に沿って所定の間隔で配列されている。そして、隣り合う二つの光透過部71の間に、略三角形断面を有した間部72が形成されている。したがって、間部72によってなされる断面三角形形状は、光透過部71によってなされる断面台形形状の上底側に底辺を有し、光透過部71によってなされる断面台形形状の下底側に頂点を有する。
このような光制御部材は、次のようにして作製され得る。まず、電離放射線硬化型樹脂を透明基材73上に賦型することによって、光透過部71を形成する。次に、光透過部71の間に、電離放射線硬化型樹脂を塗布および硬化させることによって、間部72を形成する。これにより、透明基材73と、透明基材73上に形成された光透過部71および間部72と、を有した光制御部材70が得られる。
この光制御部材70は、光透過部71および間部72を異なる屈折率の材料から形成されることにより、光透過部71と間部72との界面における反射や屈折等に起因した光拡散機能を発現するようになる。
なお、間部72の断面形状は、三角形形状に限られることなく種々の形状に変更することができ、また、間部72の断面形状に応じて、光透過部71の断面形状を台形形状から変更してもよい。例えば、間部72の断面形状を、台形形状としてもよいし、間部72の断面形状における斜辺が折れ線状または曲線状となるようにしてもよい。
以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
以下に説明するようにして、実施例1、実施例2および比較例1に係る光学モジュールを設計し、各光学モジュールについての光学特性をシミュレーションした。
〔光学モジュール〕
シミュレーションの対象とした各光学モジュールは、図18〜図20に示した構成を有するようにした。図18および図19に示すように、実施例1および実施例2に係る光学モジュールは、反射板21の反射面22が折れ面状に構成されていることと、偏向光学シート50の単位光学要素60の断面形状を図7および図8を参照しながら説明した単位光学要素の断面形状と同一にしたことと、において、上述した実施の形態に係る光学モジュールと異なり、他の点において、上述した実施の形態に係る光学モジュールと同様に構成した。
したがって、図18および図19にそれぞれ示された光学モジュールにおいては、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが、第1方向(鉛直方向)に沿った一側(下側)から他側(上側)に向けて、小さくなるように変化するようにした。具体的には、第1方向(鉛直方向)に沿った一側端(下側端)において、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが30mmとなるようにし、第1方向(鉛直方向)に沿った他側端(上側端)において、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが10mmとなるようにした。また、図18および図19にそれぞれ示された光学モジュールにおいては、反射面22の傾斜角度θrが、第1方向(鉛直方向)に沿った一側(下側)から他側(上側)に向けて、大きくなるように変化するようにした。光学モジュールは、偏向光学シート50の本体部55の入光側面55bが鉛直面と平行となり、発光体26が設けられている第1方向d1に沿った一側が鉛直方向における下側となるように、配置した。
実施例1に係る光学モジュールと、実施例2に係る光学モジュールとは、反射面22の折れ曲がる位置が異なる点において互いから異なっており、他の点において互いに同一に構成した。具体的には、実施例1に係る光学モジュールでは、第1方向に沿った一側端から140mmの位置までの区域で、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが一定となるようにし、実施例2に係る光学モジュールでは、第1方向に沿った一側端から160mmの位置までの区域で、反射板21と液晶表示パネル15との間の離間間隔sdが一定となるようにした。
一方、比較例に係る光学モジュールでは、反射板21の反射面22を、偏向光学シート50の本体部55の入光側面55bと平行な平らな面とした。その他の点においては、実施例に係る光学モジュールと同様に構成した。
実施例および比較例に係る光学モジュールにおいて、偏向光学シート50の単位光学要素60の幅W(図8参照)および配列ピッチを50μmとし、偏向光学シート50の単位光学要素60の高さH(図8参照)を33.2μmとした。また、図8と同様に断面における、偏向光学シート50の単位光学要素60の外輪郭の底角θbを74°とした。実施例および比較例に係る光学モジュールのその他の具体的な構成および寸法は、図18〜図20に示す通りとした。例えば、実施例および比較例に係る光学モジュールにおいて、光源をなす発光体は、偏向光学シートの第1方向における一側端から、第1方向に沿って20mm外方の位置であって、偏向光学シートの本体部の入光側面から、正面方向に沿って15mm背面側の位置に配置した。発光体の光軸pdが第1方向に対してなす角度θpを8°として、発光体の光軸pdが反射板21の反射面22上の位置に向くようにした。発光体は、図26に示された指向特性(光度(カンデラ)の角度分布)を呈するLEDとした。各光学モジュールにおいて、偏向光学シートおよび反射板の第1方向に沿った長さを400mmとした。
〔評価1:照度分布〕
各光学モジュールに対して、偏向光学シートの各位置への入射光量の分布を調査するため、偏向光学シートの入光側面が配置されるようになる位置での照度を調査した。図21が、実施例1の光学モジュールについて得られた第1方向に沿った照度分布であり、図22が、実施例2の光学モジュールについて得られた第1方向に沿った照度分布であり、図23が、比較例1の光学モジュールについて得られた第1方向に沿った照度分布である。図21〜図23に示されたグラフでは、縦軸に照度が示され、横軸に照度を測定した位置が示されている。図21〜図23に示された各グラフでは、各光学モジュールに対して計算された最低の照度の値が縦軸における0にプロットされ、最高の照度の値が縦軸における1にプロットされるようにして、第1方向に沿った各位置での照度の分布が示されている。
実施例1および実施例2に係る光学モジュールでは、照度のピークが、第1方向に沿った中央位置よりも他側の位置で得られた。一方、比較例に係る光学モジュールでは、照度のピークは、第1方向における中央位置と一側端との略中央で得られた。実施例1および実施例2に係る光学モジュールでは、ピーク照度の半分以上の照度が、第1方向沿った半分以上の領域で得られた。一方、比較例に係る光学モジュールでは、ピーク照度の半分以上の照度が得られた領域は、狭くて、第1方向において発光体近傍となる一側に偏っていた。
〔調査2:輝度〕
実施例1および比較例1に係る光学モジュールに対して、偏向光学シートの出光側面上での輝度を調査した。各光学モジュールについて、第1方向に沿って一側端(下側端)から100mmの位置、第1方向に沿って一側端(下側端)から200mmの位置(第1方向に沿った中央位置)、並びに、第1方向に沿って一側端(下側端)から300mmの位置において、偏向光学シートの出光側面上での輝度の水平面内における角度分布(以下、単に水平角度分布とも呼ぶ)および偏向光学シートの出光側面上での輝度の鉛直面内における角度分布(以下、単に鉛直角度分布とも呼ぶ)を調査した。なお、輝度の水平角度分布とは、鉛直方向に直交する水平面に沿った種々の方向での輝度の分布であり、輝度の鉛直角度分布とは、水平方向に直交する鉛直面に沿った種々の方向での輝度の分布である。
一例として、実施例1の光学モジュールについて得られた、第1方向に沿って一側端(下側端)から200mmの位置での、輝度の水平角度分布、並びに、鉛直角度分布を図24に示す。また、比較例1の光学モジュールについて得られた、第1方向に沿って一側端(下側端)から100mmの位置での、輝度の水平角度分布および鉛直角度分布を図25に示す。図24および図25に示されたグラフでは、第1方向に沿って一側端(下側端)から略200mmの位置での実施例1に係る光学モジュールの正面方向輝度に対する割合、すなわち、第1方向に沿って一側端(下側端)から略200mmの位置での実施例1に係る光学モジュールの正面方向輝度に対する輝度比(百分率:%)として、輝度が縦軸に示されている。また、図24および図25に示されたグラフの横軸には、輝度を測定された方向の正面方向に対する角度が示されている。なお、図24および図25に示された輝度の鉛直角度分布を示すグラフにおいて、正面方向から下方側に傾斜した計測方向の角度を正の値とし、正面方向から上方側に傾斜した計測方向の角度を負の値としている。
実施例1の各位置で得られた輝度の水平角度分布は、互いに同様の傾向を有していた。また、実施例1の各位置で得られた輝度の水平角度分布は、正面方向を中心して対称的であって、略正面方向に輝度のピークが現れた。実施例1の各位置で得られた輝度の鉛直角度分布は、概ね互いに同様の傾向を有していた。また、実施例1の各位置で得られた輝度の鉛直角度分布では、略正面方向に輝度のピークが現れた。
比較例1の各位置で得られた輝度の水平角度分布は、互いに同様の傾向を有していた。また、比較例1の各位置で得られた輝度の水平角度分布は、正面方向を中心して対称的であって、略正面方向に輝度のピークが現れた。比較例1の各位置で得られた輝度の鉛直角度分布は、概ね互いに同様の傾向を有していた。
図21に示されているように、実施例1に係る光学モジュールにおいて、第1方向において最も照度が高くなっていたのは、第1方向に沿って一側端(下側端)から略200mmの位置であり、図23に示されているように、比較例1に係る光学モジュールにおいて、第1方向において最も照度が高くなっていたのは、第1方向に沿って一側端(下側端)から略100mmの位置であった。そして、図24および図25の比較から理解されるように、第1方向に沿って一側端(下側端)から略200mmの位置での実施例1に係る光学モジュールの正面方向輝度は、第1方向に沿って一側端(下側端)から略100mmの位置での比較例1に係る光学モジュールの正面方向輝度と比較して、非常に高い値となっていた。