以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図4は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1および図2は、それぞれ、表示装置およびバックライトの概略構成を示す斜視図および側面図である。図3は、表示装置を示す平面図であり、偏光板と光源の発光体との位置関係を示している。図4は、光学モジュールの偏光板に含まれる偏光板保護フィルムを示す正面方向に沿った断面図である。
図1に示された表示装置10は、透過型の画像形成装置としての表示パネル15と、表示パネルを背面側から照明するバックライト20と、を有している。本実施の形態において、表示装置10は、液晶表示装置として構成され、表示パネル15は、液晶表示パネル(LCDパネル)として構成されている。バックライト20は、液晶表示パネル15の背面側に、言い換えると、液晶表示パネル15に関して観察者側とは反対側に配置され、面状に光を照明する面光源装置として構成されている。バックライト20は、液晶表示パネル15に直面する位置に配置された反射偏向シート(反射偏向素子)30と、発光体(発光部)26を含む光源25と、を有している。詳しくは後述するように、光源25の発光体26で発光された光は、反射偏向シート30を介して液晶表示パネル15を背面側(入光側)から照明するようになる。以下、液晶表示パネル15、バックライト20の光源25、バックライト20の反射偏向シート30について、順に、説明していく。
なお、本明細書において、「出光側」とは、予定された光路、すなわち、光源25の発光体26から反射偏向シート30を経て液晶表示パネル15を透過し、観察者へ向かう光の光路における下流側(観察者側、図1及び図2に示された図面の上側)のことであり、「入光側」とは、この予定された光路における上流側のことである。
また、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「反射偏向シート」には、「反射偏向フィルム」や「反射偏向板」と呼ばれ得る部材も含まれる。
さらに、本明細書において、「正面方向」とは、液晶表示パネル15の最も観察者に近い側(最出光側)の面によって形成される表示装置10の表示面10aへの法線方向ndのことを指し、本実施の形態では、液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndや下偏光板40の板面への法線方向nd等と平行な方向と一致する。また、本明細書において、「パネル面(シート面、フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。そして、本実施の形態においては、液晶表示パネル15のパネル面、下偏光板40の板面、下偏光板40の光源側の面(入光側面)、後述する下偏光板40の偏光板保護フィルム50のフィルム面等は、互いに平行となっている。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」や「直交」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
まず、液晶表示パネル15について説明する。液晶表示パネル15は、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板間に配置された液晶セル11と、を有している。そして、液晶表示パネル15の一対の偏光板のうちの入光側の偏光板40と、光源25と、反射偏向シート30と、によって、光学モジュール19が形成されている。なお、以下においては、液晶表示パネル15に含まれる一対の偏光板を区別するため、表示装置10の配置状態に関係なく、入光側の偏光板40を下偏光板と呼び、出光側の偏光板12を上偏光板と呼ぶ。
なお、図1〜図3に示すように、本実施の形態において、液晶表示パネル15、並びに、液晶表示パネル15をなす構成要素としての一対の偏光板12,40および液晶セル11、さらには、後に詳述する反射偏向シート30は、平面視において、四角形形状となるように構成されている。結果として、偏光板40は、第1方向d1に対向する一対の縁部40c1,40c2と、第2方向d2に対向するもう一対の縁部と、の二対の縁部を有している。本実施の形態において、第1方向d1と第2方向d2とは、互いに直交している。
偏光板12,40は、入射した光を直交する偏光成分に分解し、一方の偏光成分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収する機能(吸収型の偏光分離機能)を有している。一方、液晶セル11は、一対の透明基板と、この透明基板間に設けられた液晶層と、を有している。この液晶層に対して、一つの画素を形成する領域毎に、電界印加がなされ得るようになっており、電界印加された液晶層の配向は変化するようになる。入光側に配置された下偏光板40を透過した特定方向(透過軸と平行な方向)の偏光成分は、一例として、液晶セル11のうちの電界印加されている液晶層の領域を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、電界印加されていない液晶層を通過する際にその偏光方向を維持する。このため、液晶層の各領域への電界印加の有無によって、下偏光板40を透過した特定方向の偏光成分が、下偏光板40の出光側に配置された上偏光板12をさらに透過するか、あるいは、上偏光板12で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。
ここで、図4を参照して、下偏光板40についてさらに詳述しておく。下偏光板40は、吸収型の偏光分離機能を発揮し得る偏光子41と、偏光子41と接着(接合)された偏光板保護フィルム50と、を有している。図4に示すように、偏光板保護フィルム50は、液晶セル11に対面しない側から、言い換えると入光側から偏光子41に積層されており、偏光子41を外部から保護用の部材として機能するようになっている。とりわけ本実施の形態において、偏光板保護フィルム50は、光の進行方向を変化させる光制御機能を有した光学フィルムとして構成されている。
また、偏光子41および偏光板保護フィルム50に隣接するようにして偏光子41および偏光板保護フィルム50の間に位置し、偏光子41および偏光板保護フィルム50を互いに接着する接着層(図示せず)を、設けるようにしてもよい。偏光子41および偏光板保護フィルム50の密着性を高めるための接着層は、従来からある種々の接着剤を用いて形成され得る。一具体例として、例えばポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水性接着剤を用いて接着層を形成することができる。なお、本明細書における接着は、粘着や糊付けを含む概念であり、同様に、本明細書における接着剤とは、粘着剤や糊を含む概念である。
今日まで種々の偏光子が開発されてきており、これらの任意の偏光子を偏光子41として用いることができる。一具体例として、ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41を用いることができる。ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や染料などの二色性色素を吸着あるいは染色させ、その後、一軸延伸して配向させることによって、光の吸収異方性がポリビニルアルコール系フィルムに付与され得る。
次に、偏光板保護フィルム50について説明する。図4に示されているように、偏光板保護フィルム50は、樹脂材料からなる主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有している。主部59aをなす樹脂材料として、優れた光学特性を有する種々の樹脂材料、例えば、ポリカーボネート系樹脂を用いることができる。
一方、拡散成分59bは、主部59aとは異なる屈折率を有した粒状物、あるいは、それ自体が反射性を有した粒状物等から構成され得る。この拡散成分59bをなす粒状物は、金属化合物であってもよいし、気体を含有した多孔質物であってもよいし、さらには、単なる気泡であってもよい。また、粒状物からなる拡散成分59bの形状は、特に問われることはない。したがって、拡散成分59bは、図示された例のように球状(粒子状)である必要はなく、例えば回転楕円体形状や線状等の種々の形状を有することができる。なお、図4以外の図1から図3において、拡散成分59bは図示を省略している。
このように主部59a中に分散された拡散成分59bに起因して、偏光板保護フィルム50は、光を拡散させる拡散機能を発現することができる。このように内添された拡散成分59bに起因した偏光板保護フィルム50の拡散機能の程度は、主部59aをなす樹脂材料、主部59aの厚み、拡散成分59bの構成(形状、大きさ(粒径)、屈折率等)、拡散成分59bの濃度等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で調節可能である。具体的には、単なる表層部をマット面化しただけでは通常到達することが不可能な程度、例えば60%以上90%以下の範囲内に、偏光板保護フィルム50のヘイズ値を設定することも可能である。
また、図4に示されているように、偏光板保護フィルム50の偏光子41に対面するようになる出光側面50aは、平坦面として形成されており。これにより、空気等の混入を防止しながら、偏光板保護フィルム50と偏光子41とを安定して積層および接着することが可能となる。その一方で、本実施の形態においては、偏光板保護フィルム50の偏光子41に対面する側とは反対側の入光側面50bは、凹凸面として形成されている。入光側面50bに設けられた凹凸は、主部59a中に分散された拡散成分59bに起因しており、より具体的には、拡散成分59bが露出して或いは拡散成分59bの輪郭が浮き出て形成されている。
偏光板保護フィルム50の入光側面50bは、下偏光板40の入光側面40bをなすだけでなく、液晶表示パネル15の入光側面を形成している。このため、本実施の形態による偏光板保護フィルム50は、上述した主部59a中に分散された拡散成分59bだけでなく、入光側面50bの凹凸にも起因して、拡散機能も発現するようになる。
なお、本明細書において、偏光板保護フィルム50の偏光子41に対面する側の面50aに対して用いる「平坦」とは、偏光板保護フィルム50と偏光子41との安定した積層および接着を確保し得る程度の平坦を指す。例えば、偏光板保護フィルム50の偏光子41に対面する側の面50aの表面粗さが、JISB0601(1982年)に準拠して十点平均粗さRzとして測定された場合に、1.0μm以下であれば平坦と言える。
このように偏光板保護フィルム50が拡散成分59bを内添されているにもかかわらず、偏光板保護フィルム50の出光側面50aが平坦であることから、いわゆる「水貼り」によって、偏光板保護フィルム50および偏光子41を積層および接着することができる。具体的には、水、或いは、界面活性剤等の好適な添加剤が混合された水溶液(または、懸濁液)を間に介在させた状態で、偏光板保護フィルム50および偏光子41を互いに重ね合わせていく。これにより、空気等の異物の混入を防止しながら、偏光板保護フィルム50および偏光子41を積層することができる。またこの際、水あるいは水溶液(または懸濁液)に接着剤(例えば糊等)を混合しておくことにより、あるいは、偏光板保護フィルム50および偏光子41の少なくとも一方に接着層を予め設けておき、偏光板保護フィルム50および偏光子41を積極的に接着するようにしてもよい。
なお、「水貼り」後に、偏光板保護フィルム50および偏光子41からの水分の除去を促進するため、偏光板保護フィルム50の透湿度が、温度40℃、湿度90%RHでの状況下で、10g/m2・24hr以上となっていることが好ましい。ただし、透湿度が高すぎると、吸湿に起因した反りや曲がりが発生し得るため、透湿度が、温度40℃、湿度90%RHで測定して400g/m2・24hr以下であることが好ましい。なお、本明細書における透湿度とは、JISZ0208に準拠してカップ法を用いて測定された数値を指す。
なお、以上のような構成からなる偏光板保護フィルム50は、一例として、押し出し成形によって押し出された押し出し材として作製され得る。具体的には、主部59aをなすようになる熱可塑性樹脂材料を、拡散成分59bをなすようになる粒状物とともに、押し出し機で押し出すことによって、偏光板保護フィルム50が得られる。そして、押し出し材をシート状に成形している間の当該押し出し材への一方の側からの冷却量と他方の側からの冷却量とを調節することによって、入光側面50bが凹凸面として形成され出光側面50aが平坦面として形成された偏光板保護フィルム50を作製することができる。なお、成形中における冷却量が多かった側が平坦面となり、冷却量が少なかった側が凹凸面となる。
次に、光源25について説明する。図1〜図3に示すように、光源25は、液晶表示パネル15の下偏光板40の第1方向d1に対向する一対の縁部40c1,40c2のうちの一方の縁部40c1に対応して設けられている。より詳細には、光源25の発光体26が、液晶表示パネル15の下偏光板40の第1方向d1における一方の縁部40c1の近傍に設けられている。そして図3に示すように、発光体26は、平面視において、この縁部40c1を横切るように光を放射する。
光源25をなす発光体26として、種々の既知な発光体、例えば冷陰極管、とりわけ配光方向が絞られた冷陰極管を用いることができる。ただし、図示する例では、複数の点状の発光体26、典型的には、複数の発光ダイオード(LED)26によって光源25が構成されている。光源25をなす多数の点状発光体26は、対応する縁部40c1の長手方向に沿って並べて配置されている。すなわち、本実施の形態では、光源25をなす多数の点状発光体26は、第1方向d1に直交する第2方向d2に並べて配置されている。
図3および図2によく示されているように、この表示装置10では、光源25をなす発光体26は、エッジライト型の液晶表示装置と同様に、液晶表示パネル15のパネル面に沿って液晶表示パネル15の外輪郭の外方に位置している。より詳細には、光源25の発光体は、それぞれ、第1方向d1に対向する一対の縁部40c1,40c2の外方となる位置に配置されている。すなわち、図3に示すように、平面視において(正面方向から観察した場合において)、光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15(より厳密には、液晶表示パネル15のうちの表示面10aをなすようになる領域)と重ならない位置に配置されている。
また、本実施の形態に係る表示装置10では、図2に示すように、光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15から正面方向にずれた位置に配置されている。より詳細には、光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15の最も光源に近い側(最入光側)に位置する下偏光板40の入光側面よりも、液晶表示パネル15のパネル面への法線方向nd(本実施の形態では、正面方向と平行な方向)に沿って、観察者側とは反対の側へずれた位置に配置されている。とりわけ本実施の形態では、光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15のパネル面への法線方向nd(本実施の形態では、正面方向と平行な方向)に沿って、反射偏向シート30と、液晶表示パネル15と、の間に配置されている。
次に、反射偏向シート30について説明する。反射偏向シート30は、光源25をなす発光体26で発光された光を受けて、当該光を液晶表示パネル15の入光面に向けて反射する働きを有している。図1および図2に示すように、反射偏向シート30は、液晶表示パネル15から正面方向にずれた位置に配置されている。より詳細には、反射偏向シート30は、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40よりも、液晶表示パネル15のパネル面への法線方向nd(本実施の形態では、正面方向と平行な方向)に沿って、観察者側とは反対の側へずれた位置に配置されている。
図1および図2に示すように本実施の形態において、反射偏向シート30は、液晶表示パネル15に直面する位置(偏光板保護フィルム50に直面する位置)に配置されている。すなわち、反射偏向シート30と液晶表示パネル15との間に他の部材が設けられておらず、これにより、反射偏向シート30で反射された光は、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40に直接入射すること、つまり、他の部材を介すことなくそのまま下偏光板40に入射すること、が可能となっている。
同様に、反射偏向シート30は、図2に示すように、光源25をなす発光体26からも正面方向にずれた位置に配置されている。これにより、光源25の発光体26で発光された光は、反射偏向シート30に直接入射すること、言い換えると、他の部材を介すことなくそのまま入射すること、が可能となっている。
さらに、図示された本実施の形態では、液晶表示パネル15のパネル面への法線方向nd(本実施の形態では、正面方向と平行な方向)に沿って、液晶表示パネル15および光源25をなす発光体26は、反射偏向シート30を基準として同じ側、具体的には、共に出光側に配置されている。結果として、光源25の発光体26で発光された光が反射偏向シート30の液晶表示パネル15(偏光板40)に対面する側の面へ直接入射し、且つ、反射偏向シート30へ入射して当該反射偏向シート30で反射した光は、反射偏向シート30での反射によって正面方向に沿った進行方向を折り返して、液晶表示パネル15(偏光板40)の反射偏向シート30に対面する側の面(入光面)へ直接入射し得るようにすることができる。
反射偏向シート30は、液晶表示パネル15に対面する側から受けた発光体26からの光を液晶表示パネル15へ向けて反射する反射面30aを有している。図2に示すように、反射偏向シート30の反射面30aの正面方向(法線方向nd)に対する傾斜角度θaは、発光体26からの距離に応じて変化している。この反射面30aでの反射によって、光源25の発光体26で発光された光の進行方向を正面方向へ偏向し、当該正面方向へ進行方向を絞り込まれた光によって液晶表示パネル15の入光面の各位置を照明するようになっている。すなわち、反射偏向シート30の反射面30aでの正面方向への集光機能(偏向機能)により、表示装置10の表示面10a(液晶表示パネル15の出光面)における正面方向輝度を改善している。
なお、反射偏向シート30の反射面30aの正面方向(法線方向nd)に対する傾斜角度θaが変化しているとは、反射面30aの傾斜角度θaが一定ではないことを意味している。そして、ここでいう、反射面30aの傾斜角度θaが変化するとは、発光体26からの距離に応じて連続的に変化することだけでなく、不連続的、言い換えると、段階的または階段状に変化することも含む。したがって、反射面30aの傾斜角度θaが発光体26からの距離に応じて変化しているとは、発光体26からの距離が異なる一部の領域において反射面30aの傾斜角度θaが一定となる態様を排除するものではない。
なお、図1〜図3に示されているように、また上述したように、本実施の形態では、光源25の発光体26は、第1方向d1に直交する第2方向d2に並べて配置されている。したがって、反射偏向シート30の反射面30aの正面方向(法線方向nd)に対する傾斜角度θaは、第1方向d1に沿って、連続的または不連続的に変化することになる。
図示された本実施の形態に係る反射偏向シート30は、各々が反射面30aの一部分を形成する複数の単位要素32を有している。そして、単位要素32によって形成される反射面30aの一部、すなわち単位反射面32aの傾斜角度は、複数の単位要素32のうちの少なくとも二つの単位要素の間で、異なっている。これにより、反射面30aの傾斜角度θaが一定ではなくなる。ただし図示された形態では、各単位要素32によって形成される単位反射面32aの傾斜角度は、すべての複数の単位要素32の間で異なっている。
反射偏向シート30は、シート状の本体部34を有している。本実施の形態において、本体部34は、そのシート面が液晶表示パネル15のパネル面と平行になるように配置されている。この本体部34は、複数の単位要素32を支持している。すなわち、複数の単位要素32は本体部34上に設けられている。本実施の形態において、複数の単位要素32は、本体部34の液晶表示パネル15に対面する側の面上に設けられている。そして、反射偏向シート30の液晶表示パネル15に対面する側の表面を形成している。したがって、単位反射面32aを有した単位要素32によってなされている反射偏向シート30の液晶表示パネル15に対面する側の面により、反射偏向シート30の反射面30aが形成されている。
図示された本実施の形態において、複数の単位要素32は、本体部34のシート面と平行な方向に並べられて、本体部34上に配列されている。各単位要素32は、本体部34上を、その配列方向と交差する方向に線状に延びている。とりわけ図示する例において、各単位要素32は、第1方向d1を配列方向として、第1方向d1に並べられている。また、各単位要素32は、第1方向d1(配列方向)と直交する第2方向d2に沿って、直線状に延びている。さらに、各単位要素32は、柱状に形成され、その長手方向に沿って、つまり第2方向d2に沿って同一の断面形状を有するようになっている。
図2に示す断面、つまり、単位要素32の配列方向および本体部34のシート面への法線方向ndの両方向に平行な断面(以下においては、単に「反射偏向シートの主切断面」とも呼ぶ)において、各単位要素32は、本体部34上に一辺が位置する三角形形状となっている。図示する例において、各単位要素32は、発光体26に対面するように配置され発光体26からの光を反射する反射面30aを形成する単位反射面32aと、発光体26に対面しない側に配置された接続面32bと、を有している。
接続面32bは、隣り合う二つの単位反射面32aを接続する面をなしている。接続面32bは、同一の単位要素32に含まれる単位反射面32aよりも急斜面として、言い換えると、正面方向に対する傾斜角度が小さくなるように、形成されている。とりわけ、図示する例では、各単位要素32の接続面32bは、正面方向に延びる面として形成されている。したがって、反射偏向シートの主切断面において、各単位要素32は直角三角形形状を有している。
一方、単位反射面32aの傾斜角度θaは、その単位反射面32aを含む単位要素32が設けられる位置に応じて、言い換えると、当該単位要素32が配置される位置の光源25をなす発光体26からの距離に応じて決定されている。より具体的には、単位反射面32aの傾斜角度θaは、光源25をなす発光体26から当該単位反射面32aへ入射するようになる光の当該単位反射面32aへの入射角度θbを考慮して決定されている。このため、光源25をなす発光体26からの距離が異なる位置へ配置される各単位要素32の単位反射面32aでの反射によって、発光体26からの光を観察者側に向けて正面方向に偏向させることが可能となっている。
図1および図2に示すように、本実施の形態では、光源25をなす発光体26から各単位要素32への光の入射角度(当該光の進行方向が正面方向に対してなす角度)θbは、単位要素の位置が発光体26から離間するにつれて、0°の側から90°の側へ向けて、大きくなっていく。したがって、発光体26からの光を正面方向へ偏向する単位要素32の単位反射面32aの傾斜角度θa(反射面)は、単位要素の位置が発光体26から離間するにつれて、90°の側から0°の側へ向けて、小さくなっていく。
なお、図2に示すように、図示された一実施の形態では、単位要素32の幅W、すなわち、本体部34のシート面に沿った単位要素32の長さは、複数の単位要素32の間で同一となっている。したがって、上述した単位反射面32aの変化を実現するため、単位要素32の高さH、より厳密に表現すると、本体部34のシート面への法線方向ndに沿った単位要素32の高さは、単位要素32の位置が発光体26から離間するにつれて高くなっていく。このため、反射偏向シートの主切断面である図2から理解され得るように、同一の発光体26からの光が、第1方向d1に沿って並べられた全ての単位要素32に入射するようにすることがより確実に実現されるようになる。これにより、第1方向d1に沿った反射偏向シート30の実質的な全域に光源25からの光を照射することが可能となり、結果として、第1方向d1に沿った液晶表示パネル15の実質的な全域を、反射偏向シート30からの反射光によって、照明することが可能となる。
なお、図示された例に限られることなく、単位要素32の幅Wが、複数の単位要素32の間で、一定でなくてもよい。例えば、単位要素32の幅Wが、単位要素32の位置が発光体26から離間するにつれて、長くなっていくようにしてもよい。このような態様によれば、光源25からの光が、発光体26から離間して配置された単位要素32に入射しやすくなる。その一方で、光源25からの光が発光体26から離間して配置された単位要素32に入射することを確保しながら、単位要素32の幅Wが、単位要素32の位置が発光体26から離間するにつれて、短くなっていくようにしてもよい。このような態様によれば、複数の単位要素32の間で高低差を低減することができる。この場合、反射偏向シート30の厚みが薄くなり、バックライト20および表示装置10の薄型化を可能にすることができる。
具体的な寸法として、反射偏向シート30の単位要素32の幅Wを50μm以上50mm以下とすることができる。また、反射偏向シート30の単位要素32の高さHを5μm以上20mm以下とすることができる。さらに、反射偏向シート30のシート状の本体部34の厚みを50μm以上2mm以下とすることができる。
なお、以上の反射偏向シート30は、液晶表示パネル15に対面する側の面を反射面30aとして構成されている。したがって、少なくとも反射偏向シート30の液晶表示パネル15に対面する側の面は、反射性を有した材料からなる層、例えば金属からなる層、あるいは、反射性粒子を含有したインキ層として、構成され得る。すなわち、材料費や加工費等を考慮して、反射偏向シート30が、その全体を反射性材料から形成されるのではなく、図1に示すように、加工性、とりわけ成形性に優れ且つ材料費の比較的安価な材料を用いて上述した形状に形成された基材部36aと、基材部36a上の少なくとも一分部を被覆する反射性層36bから構成されるようにしてもよい。この場合、反射性層36bの一部または全部が、上述した反射面30a並びに単位反射面32aを構成するようになる。
ここで、基材部36aは、例えば、アクリル、スチレン、ポリカーボネート、アクリロニトリル等の一以上を主成分とする樹脂を原料とした押し出し成形によって、作製され得る。あるいは、基材部36aを、ポリエチレンテレフタレート等からなるシート状基材上に、エポキシアクリレートやウレタンアクリレート系の反応性樹脂(電離放射線硬化型樹脂等)を用いて単位要素32をなすようになる部分を賦型することにより、作製することもできる。また、反射性層36bは、アルミニウムや銀のような高い反射性を有した材料を、基材部36a上に蒸着やスパッタすることによって、形成され得る。あるいは、反射性層36bは、反射性を呈するアルミなどの金属フレークや粒子を含有したインキを基材部36a上に塗工することによって、形成され得る。
なお、反射偏向シート30の反射面30a(単位要素32の単位反射面32a)での反射は、正反射であってもよいし、拡散反射(乱反射、散乱反射)であってもよい。また、反射偏向シート30の反射面30a(単位要素32の単位反射面32a)での反射が拡散反射の場合には、当該反射は、等方性拡散でもよく、あるいは、異方性拡散でもよい。例えば、反射性を呈する粒子を含有したインキ層によって反射偏向シート30の反射面30aを形成した場合、当該反射面30aでの反射を拡散反射とすることができる。また、この際、反射性粒子が、長手方向を有するとともに特定の方向への配向性を持つようにして分散されている場合、当該反射面30aでの反射を異方性拡散反射とすることができる。さらには、反射偏向シート30の反射面30a(単位要素32の単位反射面32a)上に、プリズム、レンズ、マイクロレンズといった透明な光学要素を設け、これにより、反射偏向シート30が、これらの光学要素に起因して、等方性拡散反射機能または異方性拡散反射機能を発現するようにしてもよい。
ところで、LEDのような点状発光体26は、光を均一な光度で放射状に発光するのではなく、指向性を有している。すなわち、LEDのような点状発光体26は、各方向に異なる光度(単位:カンデラ)で光を放射する。一般的には、発光体26は、特定の方向にピーク光度を持つ。そして、当該特定の方向に対する傾斜角度が大きくなるにつれて、光度の値はしだいに低下していく。好ましくは、このような発光体26の指向特性(配光特性、さらに言い換えると、光度の角度(方向)分布)を考慮して、光源25をなす発光体26の配置が決定される。具体的には、液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndと第1方向d1との両方向に沿った面、つまり、図2の断面において、反射偏向シート30での反射を介し、下偏光板40の一対の縁部40c1,40c2の中間点となる領域に向けて最高光度で光を発光するように、発光体26の配置(位置、向き)が調節されることが好ましい。この場合、観察者によって最も明るさの増減が感知されやすくなる表示面10aの中央で映像の明るさを最も明るくすることができる。すなわち、発光体26で発光体された光を極めて効率的に使用することが可能となる。
また、例えば発光体26が指向性を持たない又は弱い指向性しか持たない場合等、発光体26で発光されたすべての光が、反射偏向シート30に入射するようになる訳ではない。また、反射偏向シート30での反射によって液晶表示パネル15へ向けられた光がすべて液晶表示パネル15に入射する訳でなく、一部の光は液晶表示パネル15の入光側面で反射されることも想定される。このため、反射偏向シート30と液晶表示パネル15との間に、好ましくは発光体26を取り囲むようにして、補助反射板(図示せず)を設けるようにしてもよい。このような補助反射板によれば、光源25からの光の利用効率を向上させることができる。また、別の方法として、補助反射板を設けることに代えて、あるいは、補助反射板を設けることに加えて、反射偏向シート30が、光源25をなす発光体26を取り囲むようにして液晶表示パネルの縁部まで延びるようにしてもよい。このような形態によっても、発光体26で発光された光の利用効率を向上させることができる。
次に、主として図2を参照しながら、表示装置10の作用について説明する。
図2に示すように、光源25の発光体26は、反射偏向シート30の反射面30aに向けて光を発光する。すなわち、光源25の発光体26で発光された光は、直接、すなわち他の部材に入射することなく反射偏向シート30へ入射し、反射偏向シート30の反射面30aでの反射によって、進行方向を変更される。図2に示すように、反射偏向シート30で反射された当該光は、直接、すなわち他の部材に入射することなく、液晶表示パネル15に入射する。
なお、上述したように、反射偏向シート30の反射面30aの傾斜角度θaは、光源25の発光体26からの距離に応じて、すなわち第1方向d1に沿って、連続的または不連続的に変化するようになっている。このような反射面30aの傾斜角度θaの変化によれば、反射偏向シート30の第1方向に沿った各位置に互いに異なる入射角度θbで入射した光を、それぞれ、各光の進行方向をその入射角度θbに応じて適切に変化させることが可能となる。すなわち、反射偏向シート30の第1方向d1に沿った各位置に互いに異なる入射角度θbで入射した光を、それぞれ、正面方向へ向けて反射することが可能となる。
以上のようにして、バックライト20は、その進行方向が正面方向に対してなす角度が小さくなるように偏向されている光によって、液晶表示パネル15を照明するようになる。液晶表示パネル15の最入光側には下偏光板40が設けられている。そして、下偏光板40の偏光板保護フィルム50が、液晶表示パネル15の最も光源側に近い面を形成している。
本実施の形態では、下偏光板40の偏光板保護フィルム50が、光制御機能として拡散機能を発揮するようになっている。とりわけ、偏光板保護フィルム50は、主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有している。この内添された拡散成分59bに起因した偏光板保護フィルム50での拡散は、賦型によって表面をマット面化すること或いは表層部に粒状物を設けることによって表面をマット面化することに起因した拡散と比較して、程度(拡散の強さ)および質(拡散の均一性)において格段に優れる。具体的には、単に表面がマット化されたに過ぎない場合には、図4に二点鎖線で示すように、素抜けしてしまう光L43が生じてしまう。その一方で、本実施の形態による偏光板保護フィルム50には、平面方向だけでなく厚さ方向にも拡散成分59bが分散している。このため、偏光板保護フィルム50の入光側面50bでの凹凸形状によって十分に拡散されなかった光L41,L42も、その後において拡散成分59bに到達した際に、拡散成分59bと主部59aとの界面での屈折または拡散成分59bの表面での反射によって、進行方向を変更され得る。
以上のようにして、液晶表示パネル15へ入射した光を偏光板40の偏光板保護フィルム50で或る程度拡散させることができる。これにより、明るさの面内ばらつき及び明るさの角度ばらつきを或る程度均一化させることができる。下偏光板40の偏光板保護フィルム50で拡散された光は、その後、偏光板保護フィルム50の出光側に配置された下偏光板40の偏光子41、液晶セル11および上偏光板12に向かうことになる。この際、液晶セル11は、画素毎に光を選択的に透過させ、これにより、表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。上述したように、バックライト20は正面方向へ集光された光によって液晶表示パネル15を照明するため、表示面10aでの正面方向輝度は高く、観察者が明るく感じる映像を表示面10a上に表示することができる。
ところで、図26に示すように、従来の表示装置1に組み込まれていた光学シート類(図26の例では、導光板A、集光シートB、光拡散シートC)は、光の進行方向を補正するための部材であったが、その反面、入射光の一部を損失する原因となっていた。従来の表示装置1においては、多くの光が、いずれかの光学シートにおいて反射し、その進行方向を複数回折り返した後に表示パネル内に入射していた。結果として、光源25a,25bとなる発光体26で発光された光の多くが、いずれかの光学シートに吸収され、映像の表示に使用され得なかった。
この点に関して、本実施の形態によれば、バックライト20の反射偏向シート30と液晶表示パネル15との間には、光学シート類が設けられていない。そして、光源25をなす発光体26で発光された光は、反射偏向シート30での反射を経るだけで、液晶表示パネル15へ直接入射し得るように、液晶表示パネル15、光源25の発光体26および反射偏向シート30が位置決めされている。このため、光源25の発光体26からの光の利用効率を格段に上げることができる。
また、本実施の形態によれば、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)の数量を大幅に減じることができ、表示装置の製造コストを直接的に大幅に低減することができる。また、表示装置あるいはバックライトの組み立て時に必要となる光学シート類の位置決めといった煩雑な作業を省くことが可能となり、この点からも表示装置の製造コストを低減することができる。さらに、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)を省くことにより、表示装置の薄型化および軽量化も可能となる。また、優れた集光機能(偏向機能)を付与され表示装置10の輝度特性の改善、とりわけ正面方向輝度の向上を実現し得る反射偏向シート30は、液晶表示パネルを背面側から覆っていた従来の反射板に代わるものであり、この反射板はこれまで必須の要素と考えられていた部材である。この点から、本実施の形態による製造コストの低減や薄型化および軽量化といった効果は、極めて有用であると考える。
加えて、本実施の形態によれば、光源25の発光体26からの光は、反射偏向シート30での反射によってその進行方向を正面方向において一回折り返された後に、液晶表示パネル15に入射する。このため、光源25を、正面方向において液晶表示パネル15と反射偏向シート30との間に配置することができる。したがって、本実施の形態によれば、反射偏向シート30を用いて積極的に光路調節を図りながら、正面方向に沿った表示装置10の寸法を大幅に小型化すること、すなわち、表示装置を薄型化することが可能となる。
さらに、本実施の形態によれば、反射偏向シート30が、正面方向において、液晶表示パネル15と直面する位置に配置されており、バックライト20の反射偏向シート30と液晶表示パネル15との間に光学シート類が配置されていない。したがって、光学シートの曲がり、撓み、反り等の変形に起因した表示画質の劣化といった従来の不具合を効果的に回避することができる。なお、従来の表示装置では、図26に示すように、発光体26に側方に配置され、発光体26からの光を導光する導光板Aが設けられていた。導光板Aは、導光方向に沿った光量分布を均一化させるため、所定の光学作用を光に及ぼし得るように構成されている。その結果として、導光板Aの厚みは他の光学シート類と比較して極端に厚くなっており、導光板Aの材料費や重量が嵩み、表示装置の製造コストが上昇してしまうといった不具合が生じていた。また、或る程度の厚みを有した導光板Aをバックライトに組み込もうとすると、それなりの支持機構を設置する必要も生じていた。一方、本実施の形態によれば、導光板Aが組み込まれておらず、光源25をなす発光体26で発光された光は、反射偏向シート30で反射されることによって、液晶表示パネル15へ直接入射し得るようになっているため、このような従来の不具合は生じ得ない。
ところで、本実施の形態では、導光板Aを排除しているため、明るさの面内ばらつきを十分に均一化させることができないとも予想され得る。この点について、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、光源25をなす発光体26の指向特性や液晶表示パネル15の大きさ等を考慮にいれながら、液晶表示パネル15、光源25をなす発光体26および反射偏向シート30の位置関係を適宜設定することにより、観察者が明るさの面内ばらつきに違和感を覚えない程度にまで、明るさの面内ばらつきを均一化させ得ることを知見した。
表示装置10の表示面10aに表示される映像を観察する観察者は、表示面10a上の中央の領域における明るさの増減を敏感に感知することができる。その一方で、観察者は、表示面10a上の中央から離間した縁部における明るさの増減に対しては、鈍感となる。この傾向は、とりわけ、家庭用のテレビ受像機として用いられる表示装置10に対して顕著となる。本件発明者らの実験により得られた知見によれば、表示装置10の表示面10上の中心から、表示面10a上の縁部までの距離の三分の二までの範囲(図3において点線で囲まれる範囲)内における明るさが或る程度均一化されていれば、表示面10aに表示される映像を肉眼で観察する際に違和感を覚えることはなかった。平面視矩形状の表示面10aを採用した本実施の形態について言い換えると、表示装置10の表示面10上の中心に中心を揃えて位置する範囲であって、高さが表示面10の高さの三分の二であるとともに、幅が表示面10の幅の三分の二である範囲において、明るさの面内ばらつきを均一化させることが有効であると、知見された。
より具体的な評価として、偏光板40の入光側面(バックライトに対面する側の面、観察者側とは反対側の面)のうちの第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の中間点が配置されるべき位置において液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndから測定される照度E(0)と、偏光板40の入光側面のうちの、第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の間の長さLの三分の一だけ前記中間点から第1方向d1に沿って一方の側へずれた点が配置されるべき位置において液晶表示パネル15のパネル板面への法線方向ndから測定される照度E(−L/3)と、第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の間の長さLの三分の一だけ前記中間点から第1方向d1に沿って他方の側へずれた点が配置されるべき位置において液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndから測定される照度E(L/3)と、が次の関係式を満たしていれば、偏光板保護フィルム50での光制御機能(光学機能、光拡散機能、後述する集光機能)も考慮して、表示装置10を観察する観察者が表示面10aでの明るさのばらつきを肉眼で感知できない程度にすることができた。
0.1≦(E(L/3)+E(−L/3))/(2×E(0))≦2.0
なお、言い換えると、照度E(L/3)は、偏光板40の入光側面のうちの、第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の間の長さLの六分の一だけ一方の側の縁部40c1から第1方向d1に沿って他方の側へずれた点が配置されるべき位置において液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndから測定される照度のことである。同様に、照度E(−L/3)は、偏光板40の入光側面のうちの、第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の間の長さLの六分の一だけ他方の側の縁部40c2から第1方向d1に沿って一方の側へずれた点が配置されるべき位置において液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndから測定される照度のことである。
加えて、本件発明者らが、鋭意実験を重ねたところ、偏光板40の入光側面のうちの第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の中間点が配置されるべき位置において液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndから測定される照度E(0)が、液晶表示パネル15の入光側面が配置されるべき位置において液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndから測定され得る最高照度の0.5倍以上1倍以下となっていることが好ましいことが、知見された。前記中間点が配置されるべき位置において液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndから測定される照度E(0)が最高照度の0.5倍未満になると、表示面10aの中央での明るさの低下を肉眼で感知されるようになり、したがって、観察者によって明るさの増減を感知されやすい領域に有効に光を届けることができていないことになる。すなわち、発光体26で発光される光を有効利用できていないことになる。
そして、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、光源25をなす発光体26、反射偏向シート30および液晶表示パネル15(偏光板40)の相対位置を調節することにより、導光板を含まない本実施の形態によるバックライト20(表示装置10)で上述した理想的な照度の面内分布を実現することができた。具体的には、偏光板40の一対の縁部40c1,40c2間の第1方向d1に沿った長さLや発光体26の配光特性等に応じて、発光体26から、一対の縁部40c1,40c2のうちの当該発光体26に近接する側の縁部までの、偏光板40の板面に沿った長さと、発光体26から偏光板40の入光側面までの液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndに沿った長さと、発光体26から反射偏向シート30(例えば、反射偏向シート30の本体部34)までの液晶表示パネル15のパネル面への法線方向ndに沿った長さと、を適宜設定することにより、所望の照度分布を得ることができた。
以上のように本実施の形態によれば、発光体26からの光を受ける反射偏向シート30が、液晶表示パネル15の偏光板保護フィルム50に対面する位置に配置され、液晶表示パネル15の偏光板保護フィルム50に対面する側から受けた発光体26からの光を液晶表示パネル15の偏光板保護フィルム50に向けて反射する反射面30aを有している。そして、反射偏向シート30の反射面30aの正面方向に対する傾斜角度θaは、発光体26からの距離に応じて、連続的または不連続的に変化している。この結果、光源25をなす発光体26からの距離に応じて異なる入射角度θbで偏向反射シート30の各位置へ入射する発光体26からの光を、正面方向へ集光(偏向)して液晶表示パネル15に向けることができる。このように、本実施の形態によれば、極めて簡単な構成により、発光体26で発光された光の進行方向を調節して、液晶表示パネル15を照明する光の光学特性を制御し得るようになっている。また、偏光子41に接合されて偏光板(下偏光板)40をなすようになる偏光板保護フィルム50は、光の進行方向を変化させ得る優れた光制御機能を有している。具体的には、偏光板保護フィルム50は、樹脂材料中に分散された拡散成分59bに起因した優れた光拡散機能を発揮することができる。結果として、液晶表示パネル15とバックライト20の反射偏向シート30との間に配置されていた光学シート類の数を低減すること、或いは、光学シート類を排除することができ、これにより、当該光学シート類に起因して生じる不具合の発生を効果的に抑制または防止することができる。
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
(偏光板保護フィルムの変形例)
上述した実施の形態において、偏光板保護フィルム50の入光側面50bに凹凸が形成されている例を示したが、これに限られず、図5に示すように、偏光板保護フィルム50の入光側面50bが平坦面となっていてもよい。例えば、上述した偏光板保護フィルム50を押し出し成形で製造する際に、成形中における押し出し材への両側からの冷却を強めることにより、偏光板保護フィルム50の出光側面50aだけでなく、偏光板保護フィルムの入光側面50bも平坦にすることができる。
また、上述した実施の形態において、偏光板保護フィルム50の入光側面50bに、拡散成分59bの存在に起因して形成された凹凸が設けられている例、すなわち、拡散成分59bの輪郭が浮かび上がって凹凸が形成されている例を示したが、これに限られない。例えば、図6に示すように、偏光板保護フィルム50の入光側面50bに、賦型により形成された凹凸が設けられていてもよい。例えば、偏光板保護フィルム50を押し出し成形で製造する際に、成形中に凹凸を賦型することによって、図6に示された偏光板保護フィルム50を製造することができる。
さらに、偏光板保護フィルム50の入光側面50bが、図7から図9に示すように、並べて配置された単位光学要素(単位プリズム、単位レンズ)60によって形成された光学要素面(プリズム面、レンズ面)として構成されていてもよい。図7は、偏光板保護フィルムのさらに他の変形例を説明するための斜視図である。図8は、図7の偏光板が組み込まれた表示装置の概略構成を示す斜視図である。図9は、図7の偏光板が組み込まれた表示装置の概略構成を示す断面図である。以下、図7から図9に示された変形例について説明する。
図7に示された例において、偏光板保護フィルム50は、シート状の本体部55と、本体部55の入光側面55bに並べて配置された単位光学要素60と、を有している。各単位光学要素60は、その配列方向と交差する方向であって且つ偏光板保護フィルム50のフィルム面と平行な方向に、延びている。また、偏光板保護フィルム50に含まれる単位光学要素60は、互いに同一に構成されている。この例では、図8及び図9に示すように、単位光学要素60の配列方向は、第1方向d1と平行となっている。つまり、図8によく示されているように、単位光学要素60の配列方向と、反射偏向シート30の単位要素32の配列方向は、同一である。
ところで、液晶表示パネル15は、多数の画素を画成する。液晶表示パネル15は、この画素毎に光の透過および遮断を制御することによって、映像を形成する。そして、単位光学要素60の配列方向は、下偏光板40の板面への法線方向と平行な方向から観察した場合、液晶表示パネル15の液晶セル11の画素の配列方向と交差、すなわち、画素の配列方向に対して傾斜または直交していることが好ましい。具体的には、下偏光板40の板面への法線方向と平行な方向から観察した場合に、単位光学要素60の配列方向と液晶セル11の画素の配列方向とが、1°以上45°未満の角度で傾斜していることが好ましく、5°以上30°以下の角度で傾斜していることがさらに好ましい。この場合、画素の規則的な配列に起因した周期性と、単位光学要素60の規則的な配列に起因した周期性と、の干渉によって生じるモアレ(干渉縞)を効果的に目立たなくさせることができる。また、モアレを目立たなくさせる観点からすれば、単位光学要素60の配列ピッチが、30μm以下となっていることが好ましい。
図9に示された断面は、単位光学要素60の配列方向と偏光板保護フィルム50のフィルム面への法線方向との両方向に沿った断面である。各単位光学要素60は、主切断面において、三角形形状となっている。とりわけ図示する例においては、単位光学要素60の主切断面における断面形状は、偏光板保護フィルム50のフィルム面への法線方向を中心として左右対称に配置された二等辺三角形状となっている。この二等辺三角形形状の頂角の角度θx(図9参照)は、集光機能を考慮して、例えば15°以上100°以下とすることができる。
また、図7に示されているように、偏光板保護フィルム50は、上述した実施の形態と同様に、拡散成分59bを有しており、この拡散成分59bによって、偏光板保護フィルム50は光拡散機能を光制御機能として発現するようになっている。より厳密には、偏光板保護フィルム50は、樹脂からなる主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有する光拡散層51aを含んでいる。
図7に示された偏光板保護フィルム50は、拡散成分59bを含有した光拡散層51aと、拡散成分59bを含有していない樹脂層51bと、を有している。図示する例において、樹脂層51bは、光拡散層51aよりも入光側に配置されている。すなわち、光拡散層51aは、樹脂層51bよりも偏光子41の側に配置されている。樹脂層51bは、上述した単位光学要素60と、本体部55の入光側の部分と、を構成している。一方、光拡散層51aは、樹脂層51bに隣接する本体部55の出光側の部分を構成している。
このような偏光板保護フィルム50は、共押し出し成形により、光拡散層51aおよび樹脂層51bを二層押し出しし、さらに、成形時に単位光学要素60を賦型することによって、製造され得る。このような製造方法で作製された偏光板保護フィルム50では、光拡散層51aの主部59aと樹脂層51bとの間に、光学界面が存在しない。すなわち、光は、偏光板保護フィルム50内において樹脂層51bから光拡散層51aへ、光学作用を及ぼされることなく入射する。
図7に示された偏光板保護フィルム50は、拡散成分59bに起因した光拡散機能だけでなく、単位光学要素60に起因した集光機能も光制御機能として発揮し得る。図9には、集光機能を期待された偏光板保護フィルム50の使用態様の一例が示されている。図9に示すように、偏光板保護フィルム50の単位光学要素60は、その長手方向が、第1方向d1に交差するようにして、配置されている。そして、正面方向ndから傾斜した方向に沿って液晶表示パネル15に向かう光は、単位光学要素60を介して進行方向を正面方向nd側へ偏向する。このようにして、偏光板保護フィルム50は集光機能を発揮することができる。すなわち、単位光学要素60による集光機能は、主として、単位光学要素60の配列方向である第1方向d1と平行な光の成分に対して及ぼされる。従って、反射偏向シート30で反射された光が、正面方向ndから傾斜した方向に沿って液晶表示パネル15に向かう光を含んでいても、この集光機能によって、第1方向d1と平行な光の成分に対して進行方向を補正することができる。これにより、表示装置10の輝度特性の改善、とりわけ正面方向輝度の向上を実現し得る。
なお、単位光学要素60の主切断面における断面形状は、三角形形状に限られることなく、種々の形状に適宜設計され得る。例えば、偏光板保護フィルム50の主切断面における単位光学要素60の断面形状をなす三角形形状の頂部が面取りされていてもよい。また、偏光板保護フィルムの主切断面において、本体部55から延び出る三角形形状の二辺が、外方に膨出した曲線となるように変形されてもよい(図示せず)。
また、図10に示すように、偏光板保護フィルム50の単位光学要素60の配列方向が第2方向d2と平行となるように表示装置10を構成しても良い。つまり、この例では、単位光学要素60の配列方向と、反射偏向シート30の単位要素32の配列方向は、直交している。図10に示す反射偏向シート30は、単位要素32の配列方向が第1方向d1であるため、前述の様に第1方向d1と平行な光の成分に対して効果的に偏向機能を発揮するが、第2方向d2と平行な光の成分に対しては、ほとんど偏向機能を発揮しない。しかし、図10に示した構成によれば、偏光板保護フィルム50の単位光学要素60の集光機能によって、第2方向d2と平行な光の成分に対して進行方向を補正することができる。これにより、表示装置10の輝度特性の改善、とりわけ正面方向輝度の向上を実現し得る。
なお、偏光板保護フィルム50の単位光学要素60の配列方向と、反射偏向シート30の単位要素32の配列方向が、同一または直交している一例について説明したが、任意の角度をなしていても良い。
さらに、図11に示すように、偏光板保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、曲線状の外輪郭を有するようにしてもよい。すなわち、単位光学要素60の入光面が曲面として構成されてもよい。具体的な形状の例として、偏光板保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、楕円の一部(一例として半楕円)または円の一部(一例として半円)に相当する形状を有するようにしてもよい。さらに、図12に示すように、偏光板保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、上述した主切断面における三角形形状の頂部を取り除いてなる形状を有するようにしてもよい。具体的な形状の例として、偏光板保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、図12に示すように等脚台形形状となるようにしてもよいし、或いは、当該等脚台形形状の上底を曲線に変更してなる形状を持つようにしてもよい。
さらに、単位光学要素は、一次元配列された線状の要素に限られることなく、二次元配列されてマイクロレンズ(フライアイレンズ)を構成する点状の要素であってもよい。
さらに、上述した実施の形態において、偏光板保護フィルム50が、光拡散機能を有している例を示したが、光拡散機能は必須ではない。
さらに、上述した実施の形態において、偏光板保護フィルム50が押し出し成形によって得られた押し出し材からなる例を示したが、これに限られない。射出成型等のその他の製造方法によって製造された偏光板保護フィルムを用いることもできる。ここで、図13〜図16には、一例として、基材フィルム53上に塗布された樹脂、例えば電離放射放射線を所望の形状に成型することによって作製され得る偏光板保護フィルム50の一例が示されている。図13に示された偏光板保護フィルム50は、基材フィルム53上に、拡散成分59bを含有させた樹脂を賦型することにより、作製され得る。図13に示された偏光板保護フィルム50では、入光側面50bをなす単位光学要素60が光拡散層51aの一部として形成され、当該光拡散層51aの出光側に基材フィルム53からなる樹脂部51bが設けられている。
図14に示された偏光板保護フィルム50では、拡散成分59bを含有して光拡散層51aをなす基材フィルム53上に、樹脂を賦型することにより、作製され得る。この拡散成分59bを含む基材フィルム53として、例えば押し出し材を用いることができ、この基材フィルム53が光拡散層51aを構成する。
図15に示された例においては、基材フィルム53上に樹脂を賦型して単位光学要素60が形成されているが、基材フィルム53の単位光学要素60が形成されていない出光側面50aには、凹凸面を有したマット層54が形成されている。このマット層54は、拡散成分59bと、バインダー樹脂として機能する樹脂材料(例えば電離放射線樹脂)と、から構成されており、バインダー樹脂としての樹脂材料が主部59aとして機能することによって光拡散層51a構成する。マット層54は、単位光学要素60の賦型前または賦型後のいずれかに基材フィルム53上に作製され得る。
図16に示された例においては、基材フィルム53と単位光学要素60をなす樹脂材料との間に、拡散成分59bおよびバインダー樹脂として機能する樹脂材料(主部59a)からなるマット層54が形成されている。図16に示された態様では、基材フィルム53上にマット層54が形成され、当該マット層54上に単位光学要素60が賦型されている。
なお、基材フィルム53上に塗布した樹脂を成型して偏光板保護フィルム50を形成する場合には、図13〜図16に示されているように、基材フィルム53上に塗布された樹脂が、複数の単位光学要素60だけでなく、基材フィルム53と単位光学要素60との間に配置され基材フィルム53を覆うランド部52と、を形成するようにしてもよい。この場合、偏光板保護フィルム50の本体部55の一部をランド部52が構成することになる。
さらに、上述した実施の形態における偏光板保護フィルム50の光拡散機能は、等方性光拡散機能であってもよいし、異方性光拡散機能であってもよい。偏光板保護フィルム50が異方性光拡散機能を有している場合、偏光板保護フィルム50が、第1方向d1よりも第2方向d2により強い光拡散機能を発揮するようにしてもよいし、第2方向d2よりも第1方向d1により強い光拡散機能を発揮するようにしてもよい。さらに、偏光板保護フィルム50が、第1方向d1および第2方向d2以外の方向に最も強い光拡散機能を発揮するようにしてもよい。このような形態によれば、例えば、表示装置10に要求される光学特性(例えば視野角特性)をより高い自由度で実現することができる。
一例として、図17に示すように、長手方向ldを有する拡散成分59bを、所定の方向odへの配向を持つようにして、偏光板保護フィルム50内に配置することにより、異方性光拡散機能を偏光板保護フィルム50に付与することができる。ここで、拡散成分59bの長手方向とは、対象となる拡散成分59bの最も長さが長くなる方向として特定することができる。また、「長手方向ldを有する拡散成分59bが、所定の方向odへの配向を持つ」とは、各拡散成分59bの長手方向ldが所定の方向odに対してなす角度が、0°以上45°以下となることであり、拡散成分59bが、所定の方向odを基準とした方向的な規則性を持って配置されることを意味している。
なお、図17に示された偏光板保護フィルム50は、長手方向を有する拡散成分59bを、主部59aをなすようになる樹脂材料とともに、原料として用い、押し出し成形で製造され得る。長手方向を有する拡散成分59bは、押し出し機のダイを樹脂材料とともに通過する際に、高圧下でその長手方向ldが押し出し方向(機械加工時において製品の進行方向)に沿うように、向けられる。これにより、押し出し材中の拡散成分59bが、特定の方向odへの配向を持つようにして、偏光板保護フィルム50内に分散されるようになる。
長手方向ldを有する拡散成分59bの形状としては、一例として、板状、粒状(米粒状)、針状、鱗状、微細板状等の種々の形状を採用することができる。また、具体的な例として、平均アスペクト比(長手方向ldに沿った拡散成分59bの長さの、長手方向ldに直交する方向に沿った当該拡散成分59bの長さに対する比の平均値)が、1.5以上50以下であって、拡散成分59bの平均粒径(体積相当法で算出された粒径、すなわち体積相当径の算術平均、以下同様)が0.5μ以上100μm以下の気泡を、長手方向ldを有した拡散成分59bとして、用いることができる。また、有機繊維からなる拡散成分59b、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維等の耐熱性有機繊維からなる拡散成分59bを用いることもできる。また、無機繊維からなる拡散成分59b、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維等の繊維状フィラーからなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、薄板状フィラー(マイカ)からなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、不定形フィラーからなる拡散成分59b、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等の無機系白色顔料からなる拡散成分59bを用いることもできる。
長手方向ldを有する拡散成分59bは、その長手方向と平行な方向よりも、その長手方向に直交する方向へ、強い光拡散機能を呈するようになる。例えば、上述した実施の形態において、各光源25a,25bは、多数の発光体26を第2方向d2に並べることによって構成され、その一方で、一対の光源25a,25bは、第1方向d1に対向して配置されている。つまり、光源25a,25bの構成によって第2方向d2に沿った明るさの分布を制御することができ、とりわけ本実施の形態においては、光源25a,25bからの光は多数の光学シート類を経由することなく偏光板40に入射するため、光源25a,25bの構成に起因した明るさの分布はそのまま維持されるやすくなっている。したがって、上述した実施の形態において、光源25a,25bの構成によって第2方向d2に沿った明るさの分布が均一化されている場合には、第1方向d1に沿った成分を主として拡散させることが好ましい。この点から、長手方向ldを有する拡散成分59bの配向方向odが、一対の光源25a,25bの間を結ぶ第1方向d1と直交していることが好ましい。この場合、偏光板保護フィルム50へ入射した光を必要以上に拡散することが効果的に防止され、光のさらなる有効利用を図ることが可能なる。しかしながらこの例に限られず、所望の光学特性を実現するため、長手方向ldを有する拡散成分59bの配向方向odが、一対の光源25a,25bの間を結ぶ第1方向d1と平行または第1方向d1に対して傾斜していてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、偏光板保護フィルム50が水貼りによって偏光子41に接合される例を示したが、これに限られない。例えば、接着剤と、接着剤内に分散された拡散成分と、を含有した接着層が、偏光板保護フィルム50と偏光子41との間に配置されるようにしてもよい。この態様によれば、偏光板保護フィルム50における光拡散機能の有無あるいは偏光板保護フィルム50の光拡散機能の程度から独立して、接着層よる光拡散機能の程度を適宜調節することができる。これにより、下偏光板40が発揮し得る光拡散機能の程度をより自由に設計することができる。なお、接着層に含有される拡散成分は、偏光板保護フィルム50に含まれ得る拡散成分59bとして例示したものを同様に用いることができる。また、接着層による光拡散機能の程度は、偏光板保護フィルム50における光拡散機能の程度と同様の手法により、適宜調節され得る。さらに、接着層の光拡散機能は、等方性であってもよいし、異方性であってもよい。接着層の光拡散機能が異方性である場合には、接着層が、第1方向d1、第2方向d2、第1方向d1および第2方向d2以外のいずれかの方向に、最も強い光拡散機能を発揮するようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、下偏光板40が、偏光子41と、偏光子41に入光側から接合された偏光板保護フィルム50と、からなる例を示したが、これに限られず、偏光子41の出光側にも、例えばTACフィルムからなる偏光板保護フィルムが設けられていてもよい。また、光の位相差を補償するための位相差板が下偏光板40と液晶セル11との間に設けられることもがあるが、この場合、下偏光板40の出光側の偏光板保護フィルムが、位相差板の入光側の偏光板保護フィルムを兼ねるようにしてもよい。
また、偏光板保護フィルム50と偏光子41との間の中間フィルムとして、特定の偏光成分を透過させるとともに、その他の偏光成分を反射して再び光源側へ戻す機能を有した偏光分離フィルムが設けられていてもよい。この例によれば、偏光分離フィルムを設けることによって、偏光子41を透過し得る偏光成分の光を選択的に偏光子41へ入射させ、その他の光を光源側に戻すことができる。光源側に戻された光は、その後の反射等によって、偏光状態を変化させて偏光分離フィルムへ再度入射し得る。輝度の向上に役立ち得る偏光分離フィルムとして、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、韓国Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」や、あるいは、ワイヤーグリッド偏光子等を、偏光分離フィルムとして用いることができる。
さらに、下偏光板40の偏光子41と光学フィルム50との間の中間フィルムとして、光拡散機能を有した光拡散シートが設けられていてもよいし、或いは、単なる樹脂フィルム、例えば、一対の平行な主面を有するトリアセチルセルロース製フィルム(TAC製フィルム)が設けられてもよい。
(バックライトの変形例)
上述した実施の形態において、光源25の発光体26で発光された光が、直接、反射偏向シート30へ入射する例、すなわち、光源25の発光体26で発光された光が、他の部材を介することなく反射偏向シート30へ入射する例を示したが、この例に限られない。光源25の発光体26で発光された光を受けて反射偏向シート30に向ける光学素子21が、設けられてもよい。光学素子21は、種々の目的、例えば、発光体26で発光された光の進行方向を反射偏向シート30に向けること、さらには反射偏向シート30のみに向けることを目的として、あるいは、発光体26の指向特性(配光特性、さらに言い換えると、光度の角度(方向)分布)を解消または補正して、反射偏向シート30の各位置に入射する光の光量分布を均一化させることを目的として、設けられ得る。
図18に示された例では、光学素子21はレンズ22として構成されている。図18に示された例では、光源25の発光体26が弱い指向特性しか有していないため、発光体26で発光された光は、広い角度範囲内の方向へ放射されるようになっている。図18に示された例において、光学素子21は、発光体26に対面する位置に配置されたレンズ22、とりわけ凸レンズとして形成されている。このレンズ22からなる光学素子21によれば、発光体26から発散される光をある程度まとめて、反射偏向シート30に向けることが可能となる。
また、図19に示された例において、光学素子21は、反射板23として構成されている。図19に示された例では、反射板23が、曲面状の反射面23aを有している。したがって、曲面状の反射面23aによって光源25の発光体26で発光された光を反射することにより、単に発光体26で発光された光の進行方向を変化させるだけでなく、発光体26で発光された光を発散させること(発散角度を広げること)、収束させること(発散角度を狭めること)が可能となる。図19に示した例では、反射板23が凹面状の反射面23aを有しており、発光体26で発光された光をより広い発散角度を有した光束に整形している。加えて、反射板23の反射面23aが、平坦面および曲面を適宜つなぎ合わせて形成されている場合には、反射偏向シート30の各位置に入射する光の光量バラツキを均一化させることも可能となる。
図18および図19に示された例において、光学素子21は、光源25をなす発光体26の近傍に配置されている。また、光学素子21は、第1方向d1において、液晶表示パネル15の外方となる位置に配置されている。
また、上述した実施の形態において、光源25の点状発光体26として、LEDを例示したが、これに限られず、その他の点状発光体を用いてもよい。例えば、点状発光体として、レーザ光を生成するレーザ光源を用いてもよい。また、上述した実施の形態では、図3に示すように、偏光板40の一つの縁部40c1の全長に沿って、発光体26を並べて配置した例を示したが、これに限られない。例えば、レーザ光源に代表されるような高出力の発光体(発光部)を用いる場合には、例えば、図20および図21に示すように、光源25をなす発光体26の数を減らすことができる。
ここで、図20および図21は、反射偏向シート30とともに光源25を示す平面図である。図20に示す例においては、光源25は、一つの発光体26によって形成されている。図20に示す例において、反射偏向シート30は、光源25をなす単一の発光体26を中心とした同心円上を延びる複数の単位要素32を有している。一方、図21に示す例においては、第1方向d1に直交する第2方向d2に並べられた三つの点状の発光体26によって、光源25が形成されている。図21に示す例において、反射偏向シート30は、三つの発光体26のうちの真ん中の発光体を中心とした同心円上を延びる複数の単位要素32を有している。また、最も内側の単位要素32は、その外周が平面視において三つの発光体26を全て取り囲むような大きさに形成されている。
さらに、光源25の発光体26は、点状発光体に限られず、例えば冷陰極管等の線状発光体を用いてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、光源が一つだけ設けられている例を示したが、これに限られない。例えば、図22〜図24に示すように、第1方向d1における偏光板40の一つの縁部40c1,40c2のそれぞれに対応して、一対の光源25a,25bが設けられているようにしてもよい。図22〜図24に示された例では、すなわち、一方の光源25aが、偏光板40の第1方向d1に対向する一対の縁部のうちの一方の縁部40c1の近傍に設けられ、他方の光源25bが、偏光板40の第1方向d1に対向する一対の縁部のうちの他方の縁部40c2の近傍に設けられている。
図22〜図24に示された例において、一つの光源25a,25bは、反射偏向シート30を挟んで対称的に構成されている。同様に、反射偏向光学シート30は、第1方向d1における中心を中心として、対称的に構成されている。図22〜図24に示された形態は、それぞれ、図2、図18及び図19に示された形態に対応している。すなわち、図22は、上述した実施の形態において一つの光源25a,25bを採用した変形例であり、図23は、レンズ22からなる光学素子21を含んだ図18の形態において、一つの光源25a,25bを採用した変形例であり、図24は、反射板23からなる光学素子21を含んだ図19の形態において、一つの光源25a,25bを採用した変形例である。図23および図24に示された変形例において、光学素子21は、一対の光源25a,25bのそれぞれに対応して一対設けられている。
また、反射偏向シート30に対して種々の変更が可能である。例えば、既に言及したように、反射偏向シート30の反射面30aが、正反射機能ではなく、拡散反射機能(乱反射機能、散乱反射機能)を有していてもよい。反射偏向シート30が光源25の発光体26からの光を拡散反射させる場合には、液晶表示パネル15の入光側面をより均一な明るさの分布で照明することが可能となる。また、反射偏向シート30が拡散反射機能を有する場合、反射偏向シート30での反射による拡散は、等方性拡散でもよいし、異方性拡散であってもよい。反射偏向シート30の拡散反射機能が異方性の拡散反射機能である場合には、反射偏向シート30は、第1方向d1、第2方向d2、第1方向d1および第2方向d2以外のいずれかの方向に、最も強い反射機能を発揮するようにしてもよい。
また、既に言及したように、反射面30aを画成する単位要素32が、直線状に延びている必要はなく、図20および図21に示すように、曲線状に延びるようにしてもよい。さらには、線状の単位要素32が本体部34上に配列されている例を示したが、これに限られず、点状の単位要素32が本体部34上に配列されてもよい。すなわち、反射偏向シート30の反射面30aを画成する単位要素32が、二次元配列されてマイクロレンズ(フライアイレンズ)を構成する点状の要素であってもよい。
また、上述した実施の形態において、反射面30aを画成する単位要素32が、反射偏向シートの主切断面において断面三角形形状として構成されている例を示したが、これに限られず、種々の形状に適宜設計され得る。例えば、反射偏向シートの主切断面における単位要素32の断面形状をなす三角形形状の頂部が面取りされていてもよい。また、反射偏向シートの主切断面において、単位反射面32aが、外方に膨出した曲線となるように変形されてもよい(図示せず)。すなわち、反射偏向シート30の反射面30aは、平面(平坦な面)である必要はなく、曲面として構成されてもよいし、二以上の平面(平坦な面)からなる折れ面として構成されていてもよいし、一以上の曲面および一以上の平面(平坦な面)の組み合わせとして構成されていてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、反射偏向シート30の液晶表示パネル15に対面する側に突出する面によって、反射面30aが形成されている例を示したが、これに限られない。図25に示す例のように、反射偏向シート30の液晶表示パネル15に対面する側とは反対側の面によって、反射面30aが形成されるようにしてもよい。すなわち、図25に示された例においては、発光体で発光された光は、反射偏向シート30の液晶表示パネル15に対面する側の面から、当該反射偏向シート30に入射する。そして、反射偏向シート30へ入射した光は、反射偏向シート30内を厚み方向に進み、反射偏向シート30の液晶表示パネル15に対面する側とは反対側の面によってなされる反射面30aで反射されて、液晶表示パネル15へ向けて進むようになる。
図25に示された例において、反射偏向シート30は、シート状の本体部34と、本体部34の液晶表示パネル15に対面する側とは反対側の面上に設けられた複数の単位要素32と、を有している。そして、単位要素32は、反射偏向シート30の液晶表示パネル15に対面する側とは反対側の表面を形成している。この単位要素32は、上述した実施の形態と同様に、反射面30aを形成する単位反射面32aと、隣り合う二つの単位反射面32aを接続する接続面32bと、を有している。また、図25に示された反射偏向シート30は、図1に示した例と同様に、成形性に優れ且つ材料費の比較的安価な材料を用いて上述した所定形状に形成された基材部36aと、基材部36a上の一分部を被覆する反射性を有した反射性層36bと、から構成されるようにしてもよい。金属層等からなる反射性層36bが、反射偏向シート30(基材部36a)の液晶表示パネル15に対面する側とは反対側の面上に形成されるとともに反射偏向シート30(基材部36a)の液晶表示パネル15に対面する側の面上には形成されていない場合、光源25からの光が、液晶表示パネル15に対面する側の面を介して反射偏向シート30内に入射し、且つ、液晶表示パネル15に対面しない側の面によって形成された反射面30aで反射されるようにすることができる。
以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
なお、バックライトの反射板Dと、液晶表示パネル15と、の間に多数の光学シートが含まれた従来の表示装置1との比較において、本発明の一実施の形態に係るバックライト20および表示装置10の利点を説明してきたが、このような記載は、本発明の一実施の形態に係るバックライト20および表示装置10が、バックライトの反射偏向シート30と液晶表示パネル15との間に配置された光学シートを含むことを排除するものではない。すなわち、本発明は、バックライトの反射偏向シート30と液晶表示パネル15との間に、一以上の光学シートが配置されている態様をも含み、このような態様においても、上述した優れた作用効果を享受することができる。