以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図4は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図1および図2は、それぞれ、表示装置および光学モジュールの概略構成を示す斜視図および側面図である。図3は、光学モジュールを示す平面図であり、偏光板と光源の発光体との位置関係を示している。図4は、光学モジュールの偏光板に含まれる保護フィルムを示す正面方向に沿った断面図である。
図1に示された表示装置10は、液晶表示装置であって、液晶表示パネル15と、液晶表示パネル15の背面側に、言い換えると、液晶表示パネルに関して観察者側とは反対側に配置された一対の光源25a,25bと、を有している。光源25a,25bは、発光体26を含んでおり、液晶表示パネル15を背面側(この意味において、入光側)から照明する。一方、液晶表示パネル15は、光源25a,25bからの光を透過または遮断することにより、カラフィルターの画素毎に制御するシャッターとして液晶部が機能し、連動して画像を形成する装置である。
液晶表示パネル15は、詳しくは後述するように、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板間に配置された液晶セル11と、を有している。そして、液晶表示パネル15の一対の偏光板のうちの入光側の偏光板40と、光源25と、によって、光学モジュール20が形成されている。なお、以下においては、液晶表示パネル15に含まれる一対の偏光板を区別するため、表示装置10の配置状態に関係なく、入光側の偏光板40を下偏光板と呼び、出光側の偏光板12を上偏光板と呼ぶ。なお、図3に示すように、本実施の形態において、液晶表示パネル15、並びに、液晶表示パネル15をなす構成要素としての一対の偏光板12,40および液晶セル12は、平面視において四角形形状となるように構成されており(図3参照)、結果として、第1方向d1に対向する一対の縁部40c1,40c2と、第2方向d2に対向するもう一対の縁部と、の二対の縁部を有している。第1方向d1と第2方向d2とは、互いに直交している。
図1〜図3に示すように、一対の光源25a,25bは、それぞれ、液晶表示パネル15(下偏光板40)の第1方向d1に対向する一対の縁部40c1,40c2に対応して設けられている。すなわち、一方の光源25aが、液晶表示パネル15(下偏光板40)の第1方向d1に対向する一対の縁部のうちの一方40c1の近傍に設けられ、他方の光源25bが、液晶表示パネル15(下偏光板40)の第1方向に対向する一対の縁部のうちの他方40c2の近傍に設けられている。
光源25をなす発光体26として、種々の既知な発光体、例えば冷陰極管、とりわけ配光方向を絞った冷陰極管を用いることもできる。ただし、図示する例では、複数の点状発光体26、典型的には、複数の発光ダイオード(LED)26によって各光源25a,25bが構成されている。各光源25a,25bをなす多数の点状発光体26は、対応する縁部40c1,40c2の長手方向に沿って並べて配置されている。すなわち、本実施の形態では、各光源25a,25bをなす多数の点状発光体26は、第2方向に並べて配置されている。
図3および図2によく示されているように、この表示装置10では、光源25a,25bをなす発光体26は、エッジライト型の液晶表示装置と同様に、液晶表示パネル15のパネル面に沿って液晶表示パネル15の外輪郭の外方に位置している。より詳細には、一対の光源25a,25bの発光体26は、それぞれ、第1方向d1に対向する一対の縁部40c1,40c2の両外方となる位置にそれぞれ配置されている。すなわち、図3に示すように、平面視において(偏光板40への法線方向ndから観察した場合において)、光源25a,25bをなす発光体26は、偏光板40と重ならない位置に配置されている。
また、この表示装置10では、図2に示すように、光源25a,25bをなす発光体26は、液晶表示パネル15から正面方向にずれた位置に配置されている。より詳細には、光源25a,25bをなす発光体26は、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40の入光側面40bよりも、偏光板40の板面への法線方向ndに沿って、液晶表示パネル15から離間する側(観察者側とは反対の側)へずれた位置に配置されている。このため、図2に示すように、光源25a,25bをなす発光体26で発光された光は、指向性を持ち、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40の入光側面40bに直接入射し得るようになっている。
ところで、LEDのような点状発光体26は、光を均一な光度で放射状に発光するのではなく、指向性を有している。すなわち、LEDのような点状発光体26は、各方向に異なる光度(単位:カンデラ)で光を放射する。一般的には、発光体26は、特定の方向にピーク光度を持つ。そして、当該特定の方向に対する傾斜角度が大きくなるにつれて、光度の値はしだいに低下していく。好ましくは、このような発光体26の指向特性(配光特性、さらに言い換えると、光度の角度(方向)分布)を考慮して、光源25a,25bをなす発光体26の配置が決定される。具体的には、偏光板40への法線方向ndと第1方向d1との両方向に沿った面(図2参照)において、偏光板40の一対の縁部40c1,40c2の中間P(0)となる領域に向けて最高光度で光を発光するように、発光体26の配置(位置、向き)が調節されることが好ましい。この場合、観察者によって最も明るさの増減が感知されやすくなる表示面10aの中央で映像の明るさを最も明るくすることができる。すなわち、発光体26で発光体された光を極めて効率的に使用することが可能となる。
なお、図2に二点鎖線で示すように、例えば発光体26が指向性を持たない又は弱い指向性しか持たない場合、光源25a,25bをなす発光体26の背面側に反射シート21を設けるようにしてもよい。図2に示す態様では、発光体26で発光された光は、発光体26の配置に起因して、まずは観察者側(液晶表示パネル15の側)に進む。ただし、液晶表示パネル15の入光側面で反射される光も存在する。反射シート21は、このように液晶表示パネル15に向けて進まくなった光を液晶表示パネル15の側へ向けるための部材である。反射シート21の少なくとも内側表面は、例えば金属等の高い反射率を有する材料からなっている。図2に二点鎖線で示す例では、反射シート21は、光源25a,25bをなす発光体26および液晶表示パネル15の下偏光板40を取り囲むようにして配置されている。
なお、本明細書において、「出光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25a,25bの発光体26から液晶表示パネル15を経て観察者へ向かう光の進行方向における下流側(観察者側、図2においては紙面の上側)のことであり、「入光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25の発光体26から液晶表示パネル15を経て観察者へ向かう光の進行方向における上流側のことである。
また、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「保護フィルム」には、「保護シート」と呼ばれる部材も含まれる。
さらに、本明細書において、「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。そして、本実施の形態においては、液晶表示パネル15のパネル面、下偏光板40の板面、下偏光板40の光源側の面(入光側面)、後述する下偏光板40の保護フィルム50のフィルム面等は、互いに平行となっている。また、本明細書において、「正面方向」とは、表示装置10の表示面10aへの法線方向ndと平行な方向のことを指し、本実施の形態においては、下偏光板40の板面への法線方向nd等と平行となっている。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
次に、液晶表示パネル15について説明する。液晶表示パネル15は、上述したように、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板12,40の間に配置された液晶セル11と、を有している。このうち偏光板12,40は、入射した光を直交する偏光成分に分解し、一方の偏光成分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収する機能(吸収型の偏光分離機能)を有している。
一方、液晶セル11は、一対の透明基板と、この透明基板間に設けられた液晶層と、を有している。液晶層に対して、一つの画素を形成する領域毎に、電界印加がなされ得るようになっている。そして、電界印加された液晶層の配向は変化するようになる。入光側に配置された下偏光板40を透過した特定方向(透過軸と平行な方向)の偏光成分は、一例として、液晶セル11のうちの電界印加されている液晶層の領域を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、電界印加されていない液晶層を通過する際にその偏光方向を維持する。このため、液晶層の各領域への電界印加の有無によって、下偏光板40を透過した特定方向の偏光成分が、下偏光板40の出光側に配置された上偏光板12をさらに透過するか、あるいは、上偏光板12で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。
ここで、図4を参照して、下偏光板40についてさらに詳述しておく。下偏光板40は、吸収型の偏光分離機能を発揮し得る偏光子41と、偏光子41と接着された保護フィルム50と、を有している。図4に示すように、保護フィルム50は、液晶セル11に対面しない側から、言い換えると入光側から偏光子41に積層されており、偏光子41を外部から保護用の部材として機能するようになっている。
また、偏光子41および保護フィルム50に隣接するようにして偏光子41および保護フィルム50の間に位置し、偏光子41および保護フィルム50を互いに接着する接着層(図示せず)を、設けるようにしてもよい。偏光子41および保護フィルム50の密着性を高めるための接着層は、従来からある種々の接着剤を用いて形成され得る。一具体例として、例えばポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水性接着剤を用いて接着層を形成することができる。なお、本明細書における接着は、粘着や糊付けを含む概念であり、同様に、本明細書における接着剤とは、粘着剤や糊を含む概念である。
今日まで種々の偏光子が開発されてきており、これらの任意の偏光子を偏光子41として用いることができる。一具体例として、ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41を用いることができる。ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や染料などの二色性色素を吸着あるいは染色させ、その後、一軸延伸して配向させることによって、光の吸収異方性がポリビニルアルコール系フィルムに付与され得る。
次に、保護フィルム50について説明する。図4に示されているように、保護フィルム50は、樹脂材料からなる主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有している。主部59aをなす樹脂材料として、優れた光学特性を有する種々の樹脂材料、例えば、ポリカーボネート系樹脂を用いることができる。
一方、拡散成分59bは、主部59aとは異なる屈折率を有した粒状物、あるいは、それ自体が反射性を有した粒状物等から構成され得る。この拡散成分59bをなす粒状物は、金属化合物であってもよいし、気体を含有した多孔質物であってもよいし、さらには、単なる気泡であってもよい。また、粒状物からなる拡散成分59bの形状は、特に問われることはない。したがって、拡散成分59bは、図示された例のように球状(粒子状)である必要はなく、例えば回転楕円体形状や線状等の種々の形状を有することができる。なお、図4以外の図において、拡散成分59bは図示を省略している。
このように主部59a中に分散された拡散成分59bに起因して、保護フィルム50は、光を拡散させる拡散機能を発現することができる。このように内添された拡散成分59bに起因した保護フィルム50の拡散機能の程度は、主部59aをなす樹脂材料、主部59aの厚み、拡散成分59bの構成(形状、大きさ(粒径)、屈折率等)、拡散成分59bの濃度等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で調節可能である。具体的には、単なる表層部をマット面化しただけでは通常到達することが不可能な程度、例えば60%以上90%以下の範囲内に、保護フィルム50のヘイズ値を設定することも可能である。
また、図4に示されているように、保護フィルム50の偏光子41に対面するようになる出光側面50aは、平坦面として形成されており。これにより、空気等の混入を防止しながら、保護フィルム50と偏光子41とを安定して積層および接着することが可能となる。その一方で、本実施の形態においては、保護フィルム50の偏光子41に対面する側とは反対側の入光側面50bは、凹凸面として形成されている。入光側面50bに設けられた凹凸は、主部59a中に分散された拡散成分59bに起因しており、より具体的には、拡散成分59bが露出して或いは拡散成分59bの輪郭が浮き出て形成されている。
保護フィルム50の入光側面50bは、下偏光板40の入光側面40bをなすだけでなく、液晶表示パネル15の入光側面を形成している。このため、本実施の形態による保護フィルム50は、上述した主部59a中に分散された拡散成分59bだけでなく、入光側面50bの凹凸にも起因して、拡散機能も発現するようになる。
なお、本明細書において、保護フィルム50の偏光子41に対面する側の面50aに対して用いる「平坦」とは、保護フィルム50と偏光子41との安定した積層および接着を確保し得る程度の平坦を指す。例えば、保護フィルム50の偏光子41に対面する側の面50aの表面粗さが、JISB0601(1982年)に準拠して十点平均粗さRzとして測定された場合に、1.0μm以下であれば平坦と言える。
このように保護フィルム50が拡散成分59bを内添されているにもかかわらず、保護フィルム50の出光側面50aが平坦であることから、いわゆる「水貼り」によって、保護フィルム50および偏光子41を積層および接着することができる。具体的には、水、或いは、界面活性剤等の好適な添加剤が混合された水溶液(または、懸濁液)を間に介在させた状態で、保護フィルム50および偏光子41を互いに重ね合わせていく。これにより、空気等の異物の混入を防止しながら、保護フィルム50および偏光子41を積層することができる。またこの際、水あるいは水溶液(または懸濁液)に接着剤(例えば糊等)を混合しておくことにより、あるいは、保護フィルム50および偏光子41の少なくとも一方に接着層を予め設けておき、保護フィルム50および偏光子41を積極的に接着するようにしてもよい。
なお、「水貼り」後に、保護フィルム50および偏光子41からの水分の除去を促進するため、保護フィルム50の透湿度が、温度40℃、湿度90%RHでの状況下で、10g/m2・24hr以上となっていることが好ましい。ただし、透湿度が高すぎると、吸湿に起因した反りや曲がりが発生し得るため、透湿度が、温度40℃、湿度90%RHで測定して400g/m2・24hr以下であることが好ましい。なお、本明細書における透湿度とは、JISZ0208に準拠してカップ法を用いて測定された数値を指す。
なお、以上のような構成からなる保護フィルム50は、一例として、押し出し成形によって押し出された押し出し材として作製され得る。具体的には、主部59aをなすようになる熱可塑性樹脂材料を、拡散成分59bをなすようになる粒状物とともに、押し出し機で押し出すことによって、保護フィルム50が得られる。そして、押し出し材をシート状に成形している間の当該押し出し材への一方の側からの冷却量と他方の側からの冷却量とを調節することによって、入光側面50bが凹凸面として形成され出光側面50aが平坦面として形成された保護フィルム50を作製することができる。なお、成形中における冷却量が多かった側が平坦面となり、冷却量が少なかった側が凹凸面となる。
次に、主として図2を参照しながら、光学フィルム50に起因した表示装置10の作用について説明する。
図2及び図3において、光源25a,25bの発光体26で発光された光は、液晶表示パネル15に入射する。液晶表示パネル15の最入光側には下偏光板40が設けられている。そして、下偏光板40の保護フィルム50が、液晶表示パネル15の最入光側面を形成している。
本実施の形態では、下偏光板40の保護フィルム50が拡散機能を発揮するようになっている。とりわけ、保護フィルム50は、主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有している。この内添された拡散成分59bに起因した保護フィルム50での拡散は、賦型によって表面をマット面化すること或いは表層部に粒状物を設けることによって表面をマット面化することに起因した拡散と比較して、程度(拡散の強さ)および質(拡散の均一性)において格段に優れる。具体的には、単に表面がマット化されたに過ぎない場合には、図4に二点鎖線で示すように、素抜けしてしまう光L43が生じてしまう。その一方で、本実施の形態による保護フィルム50には、平面方向だけでなく厚さ方向にも拡散成分59bが分散している。このため、保護フィルム50の入光側面50bでの凹凸形状によって十分に拡散されなかった光L41,L42も、その後において拡散成分59bに到達した際に、拡散成分59bと主部59aとの界面での屈折または拡散成分59bの表面での反射によって、進行方向を変更され得る。
以上のようにして、液晶表示パネル15へ入射した光を偏光板40の保護フィルム50で或る程度拡散させることができる。これにより、明るさの面内ばらつき及び明るさの角度ばらつきを或る程度均一化させることができる。下偏光板40の保護フィルム50で拡散された光は、その後、保護フィルム50の出光側に配置された下偏光板40の偏光子41、液晶セル11および上偏光板12に向かうことになる。この際、液晶セル11は、画素毎に光を選択的に透過させ、これにより、表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
ところで、図25に示すように、従来の表示装置1に組み込まれていた光学シート類(図25の例では、導光板A、集光シートB、光拡散シートC)は、光の進行方向を補正するための部材であったが、その反面、入射光の一部を損失する原因となっていた。加えて、従来の表示装置1においては、多くの光が、いずれかの光学シートにおいて反射し、その進行方向を一回以上折り返した後に表示パネル内に入射していた。結果として、光源25a,25bとなる発光体26で発光された光の多くが、いずれかの光学シートに吸収され、映像の表示に使用され得なかった。
この点に関して、本実施の形態によれば、光源25a,25bをなす発光体26で発光された光が、偏光板(下偏光板)40の一方の表面(入光側面)へ直接入射し得るように、偏光板40と光源25a,25bとが配置されている。すなわち、光源25a,25bをなす発光体26と偏光板40の保護フィルム50との間に光学シートが配置されていない。このため、発光体26からの光の利用効率を格段に上げることができる。
また、本実施の形態によれば、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)の数量を大幅に減じることができ、表示装置の製造コストを直接的に大幅に低減することができる。また、表示装置あるいは面光源装置の組み立て時に必要となる光学シート類の位置決めといった煩雑な作業を省くことが可能となり、この点からも表示装置の製造コストを低減することができる。さらに、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)を省くことにより、表示装置の薄型化も可能となる。また、優れた光学機能を付与され表示装置10の輝度特性や視野角特性について大きな自由度を付与し得る保護フィルム50は、偏光子41を保護する保護用の部材として機能し、この保護用の部材は、従来、偏光板に必須の要素と考えられていた部材である。この点から、本実施の形態による製造コストの低減や薄型化といった効果は極めて有用であると考える。
さらに、本実施の形態によれば、光源25a,25bをなす発光体26と偏光板40の保護フィルム50との間に光学シートが配置されていないので、光学シートの曲がり、撓み、反り等の変形に起因した表示画質の劣化といった不具合を回避することができる。なお、従来の表示装置では、図25に示すように、発光体26に側方に配置され、発光体26からの光を導光する導光板Aが設けられていた。導光板Aは、導光方向に沿った光量分布を均一化させるため、所定の光学作用を光に及ぼし得るように構成されている。このため、導光板Aの厚みは他の光学シート類と比較して極端に厚くなっており、導光板Aの材料費や重量が嵩み、結果として、表示装置の製造コストが上昇してしまうといった不具合が生じていた。また、或る程度の厚みを有した導光板Aを面光源装置に組み込もうとすると、それなりの支持機構を設置する必要も生じていた。一方、本実施の形態によれば、導光板Aが組み込まれておらず、光源25a,25bをなす発光体26で発光された光が、偏光板(下偏光板)40の一方の表面(入光側面)へ直接入射し得るようになっているため、このような従来の不具合は生じ得ない。
ところで、本実施の形態では、導光板Aを排除しているため、明るさの面内ばらつきを十分に均一化させることができないとも予想され得る。この点について、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、光源25a,25bをなす発光体26の指向特性や偏光板40(液晶表示パネル15)の大きさ等を考慮にいれながら、偏光板40(液晶表示パネル15)と光源25a,25bをなす発光体26との位置関係を適宜設定することにより、観察者が明るさの面内ばらつきに違和感を覚えない程度にまで、明るさの面内ばらつきを均一化させ得ることを知見した。
表示装置10の表示面10aに表示される映像を観察する観察者は、表示面10a上の中央の領域における明るさの増減を敏感に感知することができる。その一方で、観察者は、表示面10a上の中央から離間した縁部における明るさの増減に対しては、鈍感となる。この傾向は、とりわけ、家庭用のテレビ受像機として用いられる表示装置10に対して顕著となる。本件発明者らの実験により得られた知見によれば、表示装置10の表示面10上の中心から、表示面10a上の縁部までの距離の三分の二までの範囲(図3において点線で囲まれる範囲)内における明るさが或る程度均一化されていれば、表示面10aに表示される映像を肉眼で観察する際に違和感を覚えることはなかった。平面視矩形状の表示面10aを採用した本実施の形態について言い換えると、表示装置10の表示面10上の中心に中心を揃えて位置する範囲であって、高さが表示面10の高さの三分の二であるとともに、幅が表示面10の幅の三分の二である範囲において、明るさの面内ばらつきを均一化させることが有効であると、知見された。
より具体的な評価として、図5に示すように、偏光板40の入光側面40bのうちの第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の中間点P(0)が配置されるべき位置において偏光板40の板面への法線方向ndから測定される照度E(0)と、偏光板40の入光側面40bのうちの、第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の間の長さLの三分の一だけ中間点P(0)から第1方向d1に沿って一方の側(図5における左側)へずれた点P(−L/3)が配置されるべき位置において偏光板40の板面への法線方向ndから測定される照度E(−L/3)と、第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の間の長さLの三分の一だけ中間点P(0)から第1方向d1に沿って他方の側(図5における右側)へずれた点P(L/3)が配置されるべき位置において偏光板40の板面への法線方向ndから測定される照度E(L/3)と、が次の関係式を満たしていれば、保護フィルム50での光学機能(光拡散機能や後述する集光機能)も考慮して、明るさのばらつきを肉眼で感知できない程度にすることができた。
0.1≦(E(L/3)+E(−L/3))/(2×E(0))≦2.0
なお、言い換えると、照度E(L/3)は、偏光板40の入光側面40bのうちの、第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の間の長さLの六分の一だけ一方の側の縁部40c1から第1方向d1に沿って他方の側へずれた点P(L/3)が配置されるべき位置において偏光板40の板面への法線方向ndから測定される照度のことである。同様に、照度E(−L/3)は、偏光板40の入光側面40bのうちの、第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の間の長さLの六分の一だけ他方の側の縁部40c2から第1方向d1に沿って一方の側へずれた点P(−L/3)が配置されるべき位置において偏光板40の板面への法線方向ndから測定される照度のことである。
加えて、本件発明者らが、鋭意実験を重ねたところ、偏光板40の入光側面40bのうちの第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の中間点P(0)が配置されるべき位置において偏光板40の板面への法線方向ndから測定される照度E(0)が、偏光板40の入光側面40bが配置されるべき位置において偏光板40の板面への法線方向ndから測定され得る最高照度の0.5倍以上1倍以下となっていることが好ましいことが、知見された。中間点P(0)が配置されるべき位置において偏光板40の板面への法線方向ndから測定される照度E(0)が最高照度の0.5倍未満になると、表示面10aの中央での明るさの低下を肉眼で感知されるだけでなく、観察者によって明るさの増減を感知されやすい領域に有効に光を届けることができていないことになる。すなわち、発光体26で発光される光を有効利用できていないことになる。
そして、本件発明者らが鋭意研究を重ねたところ、光源25a,25bをなす発光体26および偏光板40の相対位置を調節することにより、導光板を含まない本実施の形態による光学モジュール20(表示装置10)で上述した理想的な照度の面内分布を実現することができた。具体的には、偏光板40の一対の縁部40c1,40c2間の第1方向d1に沿った長さLや発光体26の配光特性等に応じて、発光体26から、一対の縁部40c1,40c2のうちの当該発光体26に近接する側の縁部までの、偏光板40の板面に沿った長さa(図5参照)と、発光体26から偏光板40の入光側面40bまでの偏光板40の板面への法線方向ndに沿った長さb(図5参照)と、を適宜設定することにより、所望の照度分布を得ることができた。
ここで、表1並びに図6〜図12には、本件発明者らが、上述した長さaおよび長さbを種々変化させて光学モジュール20をモデリングし、当該モデルリングされた光学モジュール20について、偏光板40の入光側面40bが配置されるべき位置において偏光板40の法線方向ndから測定される照度の第1方向d1に沿った分布をシミュレーションした結果の一例を示している。
このうち、表1には、モデリングされたサンプルA〜Gについての上述した長さaおよび長さb(図5参照)と、中間点P(0)が配置されるべき位置において偏光板40の板面への法線方向ndから測定される照度E(0)に対する、偏光板40の入光側面40bのうちの、第1方向d1における一対の縁部40c1,40c2の間の長さLの三分の一だけ中間点P(0)から第1方向d1へずれた点P(L/3),P(−L/3)が配置されるべき位置において偏光板40の板面への法線方向ndから測定される照度E(L/3),E(−L/3)の平均値の比Z「(E(L/3)+E(−L/3))/(2×E(0))」と、を示している。さらに、表1には、比Zの値が、上述した望ましい範囲(0.1以上2.0以下)内に入っている場合に評価の欄に○を付し、上述した望ましい範囲外となっている場合に評価の欄に×を付している。
一方、図6〜図12には、それぞれ、各サンプルA〜Gについてシミュレーションした結果として得られた、偏光板40の入光側面40bが配置されるべき位置において偏光板40の法線方向ndから測定される照度の第1方向d1に沿った分布を示している。
なお、表1並びに図6〜図12に結果を示したシミュレーションにおいて、第1方向に沿った偏光板40の一対の縁部40c1,40c2の間の長さLを720mmとした。また、光源25a,25bをなす発光体26は、図13に示された指向特性(光度(カンデラ)の角度分布)を呈するLEDとした。なお、図13に示された指向特性(配光特性)は、実際に市販されているLEDの指向特性を採用した。さらに、このLEDからなる発光体26を、偏光板40への法線方向ndと第1方向d1との両方向に沿った断面(図5の断面)において、偏光板40の一対の縁部40c1,40c2の中間点P(0)に向けて最高光度で光を発光するように、配置することとした。
表1に示すように、サンプルA〜Cについて、比の値Zが理想的な範囲(0.1以上2.0以下)内となった。
以上のように本実施の形態によれば、発光体26からの指向性を持った光が、偏光板40の入光側面40bへ直接入射し得るように、偏光板40と光源25a,25bの発光体26とが位置関係を調節されて配置されている。すなわち、本実施の形態によれば、偏光板40と発光体26との間に光学シート類が配置されていないので、当該光学シート類に起因して生じる不具合の発生を防止することができる。
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、保護フィルム50の入光側面50bに凹凸が形成されている例を示したが、これに限られず、図14に示すように、保護フィルム50の入光側面50bが平坦面となっていてもよい。例えば、上述した保護フィルム50を押し出し成形で製造する際に。成形中における押し出し材への両側からの冷却を強めることにより、保護フィルム50の出光側面50aだけでなく、保護フィルムの入光側面50bも平坦にすることができる。
また、上述した実施の形態において、保護フィルム50の入光側面50bに、拡散成分59bの存在に起因して形成された凹凸が設けられている例、すなわち、拡散成分59bの輪郭が浮かび上がって凹凸が形成されている例を示したが、これに限られない。例えば、図15に示すように、保護フィルム50の入光側面50bに、賦型により形成された凹凸が設けられていてもよい。例えば、保護フィルム50を押し出し成形で製造する際に、成形中に凹凸を賦型することによって、図15に示された保護フィルム50を製造することができる。
さらに、保護フィルム50の入光側面50bが、図16および図17に示すように、並べて配置された単位光学要素(単位プリズム、単位レンズ)60によって形成された光学要素面(プリズム面、レンズ面)として構成されていてもよい。以下、図16および図17に示された変形例について説明する。
図16に示された例において、保護フィルム50は、シート状の本体部55と、本体部55の入光側面55bに並べて配置された単位光学要素60と、を有している。各単位光学要素60は、その配列方向と交差する方向であって且つ保護フィルム50のフィルム面と平行な方向に、延びている。また、保護フィルム50に含まれる単位光学要素60は、互いに同一に構成されている。図17に示すように、単位光学要素60の配列方向は、第1方向d1と平行となっている。
ところで、液晶表示パネル15は、多数の画素を画成する。液晶表示パネル15は、この画素毎に光の透過および遮断を制御することによって、映像を形成する。そして、単位光学要素60の配列方向は、下偏光板40の板面への法線方向と平行な方向から観察した場合、液晶表示パネル15の液晶セル11の画素の配列方向と交差、すなわち、画素の配列方向に対して傾斜または直交していることが好ましい。具体的には、下偏光板40の板面への法線方向と平行な方向から観察した場合に、単位光学要素60の配列方向と液晶セル11の画素の配列方向とが、1°以上45°未満の角度で傾斜していることが好ましく、5°以上30°以下の角度で傾斜していることがさらに好ましい。この場合、画素の規則的な配列に起因した周期性と、単位光学要素60の規則的な配列に起因した周期性と、の干渉によって生じるモアレ(干渉縞)を効果的に目立たなくさせることができる。また、モアレを目立たなくさせる観点からすれば、単位光学要素60の配列ピッチが、30μm以下となっていることが好ましい。
図17に示された断面は、単位光学要素60の配列方向と保護フィルム50のフィルム面への法線方向との両方向に沿った断面である。各単位光学要素60は、主切断面において、三角形形状となっている。とりわけ図示する例においては、単位光学要素60の主切断面における断面形状は、保護フィルム50のフィルム面への法線方向を中心として左右対称に配置された二等辺三角形状となっている。この二等辺三角形形状の頂角の角度θa(図17参照)は、集光機能を考慮して、例えば15°以上100°以下とすることができる。
また、図16に示されているように、保護フィルム50は、上述した実施の形態と同様に、拡散成分59bを有しており、この拡散成分59bによって、保護フィルム50は光拡散機能を発現するようになっている。より厳密には、保護フィルム50は、樹脂からなる主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有する光拡散層51aを含んでいる。
図16に示された保護フィルム50は、拡散成分59bを含有した光拡散層51aと、拡散成分59bを含有していない樹脂層51bと、を有している。図示する例において、樹脂層51bは、光拡散層51aよりも入光側に配置されている。すなわち、光拡散層51aは、樹脂層51bよりも偏光子41の側に配置されている。樹脂層51bは、上述した単位光学要素60と、本体部55の入光側の部分と、を構成している。一方、光拡散層51aは、樹脂層51bに隣接する本体部55の出光側の部分を構成している。
このような保護フィルム50は、共押し出し成形により、光拡散層51aおよび樹脂層51bを二層押し出し、さらに、成形時に単位光学要素60を賦型することによって、製造され得る。このような製造方法で作製された保護フィルム50では、光拡散層51aの主部59aと樹脂層51bとの間に、光学界面が存在しない。すなわち、光は、保護フィルム50内において樹脂層51bから光拡散層51aへ、光学作用を及ぼされることなく入射する。
図16に示された保護フィルム50は、拡散成分59bに起因した光拡散機能だけでなく、単位光学要素60に起因した集光機能も発揮し得る。図17には、集光機能を期待された保護フィルム50の使用態様の一例が示されている。図17に示すように、保護フィルム50の単位光学要素60は、その長手方向が、一対の光源25a,25b間を結ぶ第1方向に交差するようにして、配置されている。そして、正面方向ndから大きく傾斜した方向に沿って液晶表示パネルに向かう光は、単位光学要素60の一方の面60b1を介して保護フィルム50へ入射し、その後、単位プリズム60の他方の面60b2で反射(とりわけ、全反射)して進行方向を正面方向nd側へ偏向する。このようにして、保護フィルム50は集光機能を発揮することができる。
なお、単位光学要素60の主切断面における断面形状は、三角形形状に限られることなく、種々の形状に適宜設計され得る。例えば、図19で示されるように保護フィルム50の主切断面における単位光学要素60の断面形状をなす三角形形状の頂部が面取りされていてもよい。また、保護フィルムの主切断面において、本体部55から延び出る三角形形状の二辺が、外方に膨出した曲線となるように変形されてもよい(図示せず)。
さらに、図18に示すように、保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、曲線状の外輪郭を有するようにしてもよい。すなわち、単位光学要素60の入光面が曲面として構成されてもよい。具体的な形状の例として、保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、楕円の一部(一例として半楕円)または円の一部(一例として半円)に相当する形状を有するようにしてもよい。さらに、図19に示すように、保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、上述した主切断面における三角形形状の頂部を取り除いてなる形状を有するようにしてもよい。具体的な形状の例として、保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、図19に示すように等脚台形形状となるようにしてもよいし、或いは、当該等脚台形形状の上底を曲線に変更してなる形状を持つようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、保護フィルム60が、光拡散機能を有している例を示したが、光拡散機能は必須ではない。
さらに、上述した実施の形態において、保護フィルム50が押し出し成形によって得られた押し出し材からなる例を示したが、これに限られない。射出成型等のその他の製造方法によって製造された保護フィルムを用いることもできる。ここで、図20〜図23には、一例として、基材フィルム53上に塗布された樹脂、例えば電離放射放射線を所望の形状に成型することによって作製され得る保護フィルム50の一例が示されている。図20に示された保護フィルム50は、基材フィルム53上に、拡散成分59bを含有させた樹脂を賦型することにより、作製され得る。図20に示された保護フィルム50では、入光側面50bをなす単位光学要素60が光拡散層51aの一部として形成され、当該光拡散層51aの出光側に基材フィルム53からなる樹脂部51bが設けられている。
図21に示された保護フィルム50では、拡散成分59bを含有して光拡散層51aをなす基材フィルム53上に、樹脂を賦型することにより、作製され得る。この拡散成分59bを含む基材フィルム53として、例えば押し出し材を用いることができ、この基材フィルム53が光拡散層51aを構成する。
図22に示された例においては、基材フィルム53上に樹脂を賦型して単位光学要素60が形成されているが、基材フィルム53の単位光学要素60が形成されていない出光側面50aには、凹凸面を有したマット層54が形成されている。このマット層54は、拡散成分59bと、バインダー樹脂として機能する樹脂材料(例えば電離放射線樹脂)と、から構成されており、バインダー樹脂としての樹脂材料が主部59aとして機能することによって光拡散層51a構成する。マット層54は、単位光学要素60の賦型前または賦型後のいずれかに基材フィルム53上に作製され得る。
図23に示された例においては、基材フィルム53と単位光学要素60をなす樹脂材料との間に、拡散成分59bおよびバインダー樹脂として機能する樹脂材料(主部59a)からなるマット層54が形成されている。図23に示された態様では、基材フィルム53上にマット層54が形成され、当該マット層54上に単位光学要素60が賦型されている。
なお、基材フィルム53上に塗布した樹脂を成型して保護フィルム50を形成する場合には、図20〜図23に示されているように、基材フィルム53上に塗布された樹脂が、複数の単位光学要素60だけでなく、基材フィルム53と単位光学要素60との間に配置され基材フィルム53を覆うランド部52と、を形成するようにしてもよい。この場合、保護フィルム50の本体部55の一部をランド部52が構成することになる。
さらに、上述した実施の形態における保護フィルム50の光拡散機能は、等方性光拡散機能であってもよいし、異方性光拡散機能であってもよい。一例として、図24に示すように、長手方向ldを有する拡散成分59bを、所定の方向odへの配向を持つようにして、保護フィルム50内に配置することにより、異方性光拡散機能を保護フィルム50に付与することができる。ここで、拡散成分59bの長手方向とは、対象となる拡散成分59bの最も長さが長くなる方向として特定することができる。また、「長手方向ldを有する拡散成分59bが、所定の方向odへの配向を持つ」とは、各拡散成分59bの長手方向ldが所定の方向odに対してなす角度が、0°以上45°以下となることであり、拡散成分59bが、所定の方向odを基準とした方向的な規則性を持って配置されることを意味している。
なお、図24に示された保護フィルム50は、長手方向を有する拡散成分59bを、主部59aをなすようになる樹脂材料とともに、原料として用い、押し出し成形で製造され得る。長手方向を有する拡散成分59bは、押し出し機のダイを樹脂材料とともに通過する際に、高圧下でその長手方向ldが押し出し方向(機械方向)に沿うように、向けられる。これにより、押し出し材中の拡散成分59bが、特定の方向odへの配向を持つようにして、保護フィルム50内に分散されるようになる。
長手方向ldを有する拡散成分59bの形状としては、一例として、板状、粒状(米粒状)、針状、鱗状、微細板状等の種々の形状を採用することができる。また、具体的な例として、平均アスペクト比(長手方向ldに沿った拡散成分59bの長さの、長手方向ldに直交する方向に沿った当該拡散成分59bの長さに対する比の平均値)が、1.5以上50以下であって、拡散成分59bの平均粒径(体積相当法で算出された粒径、すなわち体積相当径の算術平均、以下同様)が0.5μ以上100μm以下の気泡を、長手方向ldを有した拡散成分59bとして、用いることができる。また、有機繊維からなる拡散成分59b、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維等の耐熱性有機繊維からなる拡散成分59bを用いることもできる。また、無機繊維からなる拡散成分59b、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維等の繊維状フィラーからなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、薄板状フィラー(マイカ)からなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、不定形フィラーからなる拡散成分59b、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等の無機系白色顔料からなる拡散成分59bを用いることもできる。
長手方向ldを有する拡散成分59bは、その長手方向と平行な方向よりも、その長手方向に直交する方向へ、強い光拡散機能を呈するようになる。例えば、上述した実施の形態において、各光源25a,25bは、多数の発光体26を第2方向d2に並べることによって構成され、その一方で、一対の光源25a,25bは、第1方向d1に対向して配置されている。したがって、上述した実施の形態においては、第1方向d1に沿った成分を主として拡散させることが好ましい。この点から、長手方向ldを有する拡散成分59bの配向方向odが、一対の光源25a,25bの間を結ぶ第1方向d1と直交していることが好ましい。結果として、保護フィルム50へ入射した光を必要以上に拡散することが効果的に防止され、光のさらなる有効利用を図ることが可能なる。
さらに、上述した実施の形態において、保護フィルム50が水貼りによって偏光子41に接合される例を示したが、これに限られない。例えば、接着剤と、接着剤内に分散された拡散成分と、を含有した接着層が、保護フィルム50と偏光子41との間に配置されるようにしてもよい。この態様によれば、保護フィルム50における光拡散機能の有無あるいは保護フィルム50の光拡散機能の程度から独立して、接着層よる光拡散機能の程度を適宜調節することができる。これにより、下偏光板40が発揮し得る光拡散機能の程度をより自由に設計することができる。なお、接着層に含有される拡散成分は、保護フィルム50に含まれ得る拡散成分59bとして例示したものを同様に用いることができる。また、接着層による光拡散機能の程度は、保護フィルム50における光拡散機能の程度と同様の手法により、適宜調節され得る。さらに、接着層の光拡散機能は、等方性であってもよいし、異方性であってもよい。
さらに、上述した実施の形態において、下偏光板40が、偏光子41と、偏光子41に入光側から接合された保護フィルム50と、からなる例を示したが、これに限られず、偏光子41の出光側にも、例えばTACフィルムからなる保護フィルムが設けられていてもよい。また、光の位相差を補償するための位相差板が下偏光板40と液晶セル11との間に設けられることもがあるが、この場合、下偏光板40の出光側の保護フィルムが、位相差板の入光側の保護フィルムを兼ねるようにしてもよい。
また、保護フィルム50と偏光子41との間の中間フィルムとして、特定の偏光成分を透過させるとともに、その他の偏光成分を反射して再び光源側へ戻す機能を有した偏光分離フィルムが設けられていてもよい。この例によれば、偏光分離フィルムを設けることによって、偏光子41を透過し得る偏光成分の光を選択的に偏光子41へ入射させ、その他の光を光源側に戻すことができる。光源側に戻された光は、その後の反射等によって、偏光状態を変化させて偏光分離フィルムへ再度入射し得る。輝度の向上に役立ち得る偏光分離フィルムとして、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、韓国Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」や、あるいは、ワイヤーグリッド偏光子等を、偏光分離フィルムとして用いることができる。
さらに、下偏光板40の偏光子41と光学フィルム50との間の中間フィルムとして、光拡散機能を有した光拡散シートが設けられていてもよいし、或いは、単なる樹脂フィルム、例えば、一対の平行な主面を有するトリアセチルセルロース製フィルム(TAC製フィルム)が設けられてもよい。
以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。