JP2013003488A - 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外線吸収性能を備え光学特性に優れた光学フィルム、偏光子の少なくとも片面に上記光学フィルムが設けられた偏光板、及び該偏光板を用いた画像表示装置を提供すること。
【解決手段】(A)プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂と、(B)2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体と、(C)ベンゾフェノン誘導体と、を含むポリプロピレン樹脂混合物から構成され、(B)と(C)の合計質量を100質量%としたときの、(C)の含有量が、8〜60質量%であり、(A)と(B)と(C)との合計質量を100質量%としたときの、(B)と(C)との合計含有量が、0.08〜5.5質量%である光学フィルムとすることで上記課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置に関し、より詳しくは、紫外線吸収性能を備え光学特性に優れた光学フィルム、偏光子の少なくとも片面に上記光学フィルムが設けられた偏光板、及び該偏光板を用いた画像表示装置に関する。
従来より、光学補償用に設けられる位相差フィルムや偏光子の保護に用いられる偏光子保護フィルムなどが光学フィルムとして知られている。位相差フィルムとしては、プロピレンを延伸して製造する位相差フィルムなどが知られている(特許文献1及び2参照)。また、これ以外の光学フィルムとしては、飛散防止フィルムや紫外線防止フィルムなどの窓用フィルム、反射防止フィルムなどのディスプレイ用フィルムや、キズ・汚れ防止のために鋼板や意匠建材などに用いられる表面保護フィルムなどの産業資材用フィルムがある。近時、液晶セルを含む液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、あるいはタッチパネルなどの画像表示装置の発達に伴い、これら画像表示装置を構成する偏光板の一部として用いられる光学フィルムに注目がされている。
偏光板は、特定の振動方向をもつ光のみを透過させ、その他の光を遮蔽する機能を有する光学部材であり、上記のような画像表示装置に広く使用されている。このような偏光板としては、偏光子の片面又は両面に偏光子保護用の光学フィルムが設けられた構成をもつものが一般に使用されている。このうち偏光子は、特定の振動方向をもつ光のみを透過させる機能を有するものであり、ヨウ素や二色性染料などで染色した一軸延伸型のポリビニルアルコール(以下「PVA」という)系フィルムが多く使用され、最近では塗布型のフィルムも使用されているが、一般に薄く強度面で弱いという問題がある。
また、偏光板に用いられる偏光子は、該偏光子が有機材料により構成される部材であるため、紫外線によって劣化されやすいという問題がある。偏光子を構成する有機材料(樹脂)の劣化は、波長280〜400nmの紫外線の照射により生じることが一般的であり、この領域における紫外線光を偏光子に届く前に吸収する、すなわち遮断することにより、偏光子の劣化、あるいは液晶の劣化を防止することが可能となる。紫外線は、その波長が短くなるほど光学フィルムに対する傷害性は強くなるが、オゾン層や大気中の酸素などが波長の短い太陽光線を吸収するため、波長280nm以下の紫外線は地上に到達する量が少ない。一方、上記したようにポリプロピレン樹脂の劣化は、波長280〜400nmの領域の紫外線の照射によるものが大半である。そこで、ポリプロピレン樹脂の劣化を防止するためには、当該範囲の光線を吸収する紫外線吸収剤によって、当該範囲の光線を吸収することが必要となる。そのため、偏光子の表面に設ける偏光子保護フィルムには、偏光子、偏光板の内側の液晶セル、位相差板、及びディスプレイ内部の各粘着剤層を、紫外線から保護する機能が要求される。また、偏光子保護フィルムも高温や紫外線光の照射により劣化する可能性があるため、該偏光子保護フィルム自体の劣化を防止する観点から、偏光子保護フィルム自体に紫外線吸収性能を付与することが必要となる。
特に、バックライトに蛍光管を用いた液晶表示装置においては、該装置に用いる光学フィルム、例えば、偏光子保護フィルムに紫外線吸収性能を付与することが必須となる。バックライトに蛍光管を用いる液晶表示装置は、液晶セルを挟んで二枚の偏光子を備え、該偏光子はその両側に光学フィルムを設ける構造とすることが一般的である。ここで、偏光板にバックライトの蛍光管から光が直接照射されるため、バックライトに近い方に設けられる偏光板に用いられる光学フィルムには、紫外線吸収性能を付与することが必須となっている。よって、バックライト側偏光板の偏光子にはバックライト側に紫外線吸収機能を付与した偏光子保護フィルムを貼りあわせることが一般的である。バックライト側偏光板の偏光子保護フィルムとしては、紫外線吸収剤を添加したポリエチレンテレフタレートフィルム(特許文献3参照)、(メタ)アクリル系樹脂フィルム(特許文献4参照)、環状オレフィン系重合体とビニル系重合体とを含有する樹脂フィルム(特許文献5参照)などが知られている。しかし、これらの樹脂フィルムは高価であり、より安価な材料が求められている。さらに、偏光子保護フィルムには、高い透明性を有し、かつ光学的な歪が少ないこと、すなわち面内の位相差が小さいことも要求されている。
偏光子保護フィルム以外の光学フィルム、例えば位相差フィルムや反射防止フィルムにおいても、ディスプレイ内部の偏光子やその他部材を保護する目的で紫外線吸収性能が必要とされている。また、窓用フィルムにおいても建物内部への紫外線の照射を防ぐ目的で高い紫外線吸収性能が必要とされている。
そこで、防湿性を備え、かつ低コストな光学フィルムの例として、ポリプロピレン樹脂を用いた偏光子保護用光学フィルムが提案されている(特許文献6及び7参照)。しかし、一般にポリプロピレン樹脂自体が高温や直射日光により劣化されやすい傾向があるため、偏光子保護フィルムにポリプロピレン樹脂を用いた場合は、該ポリプロピレン樹脂に紫外線吸収性能を付与することが必要となる。紫外線吸収性能を付与するために一般的に用いられる紫外線吸収剤としては、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、あるいはニッケル錯塩系化合物などの多種多様のものを挙げることができる。また、プロピレン系樹脂に上記のような紫外線吸収剤を添加した例も知られている(特許文献8参照)。しかし、紫外線吸収剤をポリプロピレン樹脂に混合させて偏光子保護フィルムを作製すると、多くの紫外線吸収剤が、ポリプロピレン樹脂の良好な透明度、ヘーズ、あるいは面内位相差などの光学特性を低下させてしまう。この紫外線吸収剤の使用による光学特性の低下は、他の用途では許容される程度の光学特性の低下であっても、偏光子保護用等に用いられる場合には高い光学特性が要求されているため、大きな問題となる。また、多量に添加しなければ紫外線吸収性能を発揮させることができない紫外線吸収剤や、少量添加しただけでフィルム成形加工時に紫外線吸収剤がフィルム表面に析出する現象、いわゆるブリードアウトが発生して加工適性や製品品質を損ねてしまう紫外線吸収剤も多い。さらに、二種類以上の紫外線吸収剤を併用するようなときには、その配合量や配合比、あるいは組み合わせる紫外線吸収剤の種類によって、ブリードアウトが発生する場合が多いといった問題もある。そのため、樹脂に添加した際にブリードするかしないか、すなわちブリード性能の観点から、紫外線吸収剤の種類や組み合わせだけでなく、その配合量や配合比を選定する必要がある。
本発明者らは、先の発明において、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系フェノールを用いたポリプロピレン樹脂が、該吸収剤のブリードアウトが少なく偏光子保護用フィルムに好適であることを見出した(特許文献9参照)。メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂は、ヘーズが小さく透明性に優れ、可視光線透過率が高く、複屈折が小さいなどの光学特性に優れるという点で良好である。
ところで、光学フィルムの紫外線吸収性能については波長370〜400nmの領域においても十分な紫外線吸収性能を有する光学フィルムの開発が望まれている。しかしながら、現在まで種々の提案がなされている、紫外線吸収剤を添加したポリプロピレン樹脂で形成される光学フィルムでは、370〜400nmの波長領域における紫外線吸収性能が十分であるとはいえない。より具体的には、特許文献4や5で使用される紫外線吸収剤、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ペンチルフェノールでは、波長370〜400nmの領域では、十分な紫外線吸収性能が得られていない。さらにこの場合、波長370〜400nmの領域で紫外線吸収性能を高めるために紫外線吸収剤の添加量を増やすと、該吸収剤がブリードアウトし、フィルムの透明性や加工適性を損ねてしまうという場合があった。
国際公開第2007/108562号 特開2007−286615号公報 特開2009−169393号公報 特開2007−17555号公報 特開2006−188555号公報 特開2008−146023号公報 特開2007−334295号公報 特開2007−45070号公報 国際公開第2009/51188号
本発明は、かかる事情によりなされたものであり、光学特性と紫外線吸収性能に優れ、かつ紫外線吸収剤がブリードアウトせず外観にも優れる光学フィルムを提供すること、及びこの効果を奏する偏光板及び画像表示装置を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、光学フィルムであって、前記光学フィルムは、(A)プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂と、(B)2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体と、(C)下記一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体と、を含むポリプロピレン樹脂混合物から構成され、
Figure 2013003488
前記(B)と前記(C)の合計質量を100質量%としたときの、前記(C)の含有量が、8〜60質量%であり、前記(A)と前記(B)と前記(C)との合計質量を100質量%としたときの、前記(B)と前記(C)との合計含有量が、0.08〜5.5質量%であることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明は、偏光子の少なくとも片面に光学フィルムが形成されてなる偏光板であって、前記光学フィルムが、(A)プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂と、(B)2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体と、(C)上記一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体と、を含むポリプロピレン樹脂混合物から構成され、前記(B)と前記(C)の合計質量を100質量%としたときの、前記(C)の含有量が、8〜60質量%であり、前記(A)と前記(B)と前記(C)との合計質量を100質量%としたときの、前記(B)と前記(C)との合計含有量が、0.08〜5.5質量%であることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明は、偏光板が用いられてなる画像表示装置であって、前記偏光板が、偏光子の少なくとも片面に光学フィルムが形成されてなる偏光板であり、前記光学フィルムが、(A)プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂と、(B)2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体と、(C)上記一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体と、を含むポリプロピレン樹脂混合物から構成され、前記(B)と前記(C)の合計質量を100質量%としたときの、前記(C)の含有量が、8〜60質量%であり、前記(A)と前記(B)と前記(C)との合計質量を100質量%としたときの、前記(B)と前記(C)との合計含有量が、0.08〜5.5質量%であることを特徴とする。
本発明によれば、光学特性と紫外線吸収性能に優れ、かつ紫外線吸収剤がブリードアウトせず外観にも優れる光学フィルム、及びこの光学フィルムの効果を奏する偏光板、及び画像表示装置を提供することができる。
本発明の偏光板の構成例を示す図である。 本発明の偏光板を用いた液晶表示装置の構成例を示す図である。 実施例1及び比較例1の光線透過率を示すグラフである。
<<光学フィルム>>
以下、本発明の光学フィルムについて具体的に説明する。本発明の光学フィルムは、プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂、及び所定のベンゾトリアゾール系化合物の混合物(以下、単に「紫外線吸収剤混合物」と称する。)を含むポリプロピレン樹脂混合物を成形加工してなるものである。より具体的には、プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂(A成分)、紫外線吸収剤(B成分)及び、紫外線吸収剤(C成分)を含んでなるポリプロピレン樹脂混合物で構成され、紫外線吸収剤(B成分)が、2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体であり、紫外線吸収剤(C成分)が下記一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体であり、上記B成分とC成分の合計質量を100質量%としたときの、C成分の含有量が、8〜60質量%であり、上記A成分とB成分とC成分との合計質量を100質量%としたときの、上記B成分とC成分との合計含有量が、0.08〜5.5質量%であることを特徴とする。以下、プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂を単にA成分、2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体を単にB成分、下記一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体を単にC成分という場合がある。
Figure 2013003488
以下に、本発明の光学フィルムについて、詳細に説明する。
「A成分;プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂」
本発明において、ポリプロピレン樹脂とは、プロピレン系重合体、すなわちプロピレンの単独重合体、あるいはプロピレンと1種以上のコモノマーとの共重合体(以下「プロピレン系共重合体」と称する場合がある。)を含んでなるものである。本発明においては、プロピレン単独重合体、プロピレン系共重合体のいずれでもよく、これらを単独で用いてもよいし、プロピレン単独重合体と1種以上のプロピレン系共重合体とを混合したものを用いてもよいし、2種以上のプロピレン系共重合体を混合して用いてもよい。また、プロピレン由来の構成単位の割合、分子量、あるいはタクティシティーなどが異なるポリプロピレン単独重合体又はプロピレン系共重合体を混合して用いてもよい。
特に、本発明の光学フィルムを偏光子保護フィルムとして用いる場合には、面内位相差が小さく、すなわち光学歪が少なく、かつ高い透明性を有していることが望ましい。このような点を考慮すると、プロピレン系共重合体は、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であることが好ましい。
α−オレフィンとしては、エチレン、炭素数4〜18のα−オレフィンが好ましく、より好ましくは炭素数4〜12のα−オレフィンが挙げられ、共重合性の観点から、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などが好ましく、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンがより好ましく、1−ブテン及び1−ヘキセンがさらに好ましい。共重合体中のプロピレン単位の割合は、透明性と耐熱性のバランスの観点から、好ましくは80モル%以上100モル%未満であり、コモノマーは0超〜20モル%以下である。コモノマーとして、前記のα−オレフィンは1種類に限られず、2種類以上を用いることができ、共重合体をターポリマーのような多元系共重合体とすることもできる。なお、共重合体におけるコモノマー由来の構成単位の含量は、赤外線(IR)吸収スペクトルの測定により求めることができる。
また、ポリプロピレン樹脂は、紫外線吸収剤混合物のブリードアウトのしにくさを考慮すると、チーグラー・ナッタ触媒、あるいはメタロセン触媒などの公知の重合触媒を用いて重合されたプロピレン系重合体からなるものであることが好ましく、より透明性に優れる観点からメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン系重合体からなるものであることが好ましい。メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン系重合体は、一般的に分子量と結晶性が均一で、低分子量・低結晶性成分が少ないという特長を有するので、該プロピレン系重合体を光学フィルムとして用いた場合には、透明性が高く、複屈折が小さいものが得られる。
(メタロセン触媒)
メタロセン触媒としては、公知のものを適宜用いることができる。一般的には、Zr、Ti、Hfなどの4〜6族遷移金属化合物、特に4族遷移金属化合物と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体の基を有する有機遷移金属化合物を使用することができる。
シクロペンタジエニル誘導体の基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニルなどのアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基などで結合されたものも好適に挙げることができる。
(助触媒)
プロピレン重合体の製造において、メタロセン触媒とともに、助触媒を使用することができる。助触媒としては、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、層状ケイ酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を用いることができる。また、必要に応じてこれらの化合物と共に有機アルミニウム化合物を添加することができる。
(メタロセン触媒を用いたプロピレン重合体の重合方法)
前記メタロセン触媒を用いてプロピレン系重合体を合成する方法(重合方法)としては、これらの触媒の存在下、不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法、溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法などが挙げられる。
(プロピレン系重合体の物性)
本発明で用いられるプロピレン系重合体は、その融点(Tm)が120〜170℃であることが好ましい。融点(Tm)が上記範囲内であれば、光学フィルムの耐熱性が向上し、偏光板のような耐熱を要する用途への使用が可能となる。ここで融点とは、示差走査型熱量計(DSC)によって測定された融解曲線において最高強度のピークが現われている温度で評価され、プロピレン系重合体のプレスフィルム10mgを、窒素雰囲気下、230℃で5分間熱処理後、降温速度10℃/分で30℃まで冷却して30℃において5分間保温し、さらに30℃から230℃まで昇温速度10℃/分で加熱した際の融解ピーク温度として求めた値である。
プロピレン系重合体は、光学的に等方性が高い光学フィルムを得るために、下記の樹脂選定試験により測定された面内位相差が20nm以下のものが好ましい。特に、プロピレン系ランダム共重合体は、複屈折が小さいため、本発明における光学フィルムに好ましく用いることができる。
(樹脂選定試験)
ペレット状のサンプルを熱プレス成形して、大きさ10cm角・厚さ100μmのフィルムを作製する。熱プレス成形では、樹脂を220℃で5分間予熱後、3分間かけて100kgf/cm2まで昇圧し、100kgf/cm2で2分間保圧し、その後、30℃で30kgf/cm2の圧力で5分間冷却する。このようにして作製したフィルムの面内位相差を求めることで、複屈折の小さいプロピレン系共重合体を選定することができる。なお、本願明細書中における面内位相差とは、位相差測定機(「KOBRA−WR(型番)」、王子計測機器(株)製)を用いて、波長589.3nm、入射角0度の条件で測定される値である。
また、プロピレン系重合体は、メルトフローレート(MFR)が、0.5〜50g/10分であることが好ましく、より好ましくは7g/10分以上である。プロピレン系重合体のMFRが上記範囲内であれば、未延伸フィルム製膜時にひずみが発生しにくいので、複屈折が小さい光学フィルムを得ることができるからである。また、光学フィルムとして十分な強度が得られ、後加工を容易に行うことができるからである。さらに、MFR調整剤などの添加剤の添加量をおさえることができるので、物性に悪影響を与えることがないからである。なお、混合物のMFRの調整は、例えば有機過酸化物などの一般的なMFR調整剤などによって行うこともできる。なお、MFRの値は、JIS K7210に準拠し、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定される値である。
プロピレン系重合体の分子量分布の幅は、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比(分散度)で評価することができ、Mw/Mn=1〜20であることが好ましい。なお、Mn及びMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)にて、溶媒に140℃のo−ジクロロベンゼンを用い、標準サンプルにポリスチレンを用いた条件で測定する。
「紫外線吸収剤混合物」
光エネルギーである紫外線は、波長400nm以下の電磁波であり、本発明の光学フィルムを、偏光子や液晶セルの紫外線による劣化を抑制するための偏光子保護フィルムとして使用するためには、特に波長280〜400nmの領域における紫外線を遮断する必要がある。これらの点を考慮した本発明は、ポリプロピレン樹脂混合物に、(B成分)2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体、及び(C成分)下記一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体が含まれていることを特徴とするものである。以下、B成分、C成分について具体的に説明する。
Figure 2013003488
(B成分;2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体)
本発明の光学フィルムを構成するポリプロピレン樹脂混合物には、B成分としてベンゾトリアゾール誘導体が含有されている。B成分を含有せしめることで、本発明の光学フィルムに280〜400nm、特に280〜370nmの波長範囲における高い紫外線吸収性能を付与することができる。ベンゾトリアゾール誘導体は、ベンゾトリアゾール骨格にフェノールが結合した構造を有する2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体であれば、特に限定されることはない。B成分の好ましい例としては、(i)下記一般式(2)〜(5)に示される誘導体のように、tert−アルキル基などの三級炭素を有する官能基を有するもの、(ii)下記一般式(6)に示される誘導体のような、炭素数が1〜10程度のオキシアルキル基を有するもの、(iii)下記一般式(7)に示される誘導体のような、それ自体も紫外線吸収性能を有する官能基を有するもの、(iv)下記一般式(5)に示される誘導体のような、連結基を介した二量体あるいは三量体、(v)上記一般式(1)で示される誘導体のような、ベンゾトリアゾール骨格を形成するベンゼン環がハロゲン原子で置換されている、あるいはアルキル基などの炭化水素基で置換されているもの、といった構造を有する紫外線吸収剤は、280〜400nm、特に280〜370nmの波長範囲において紫外線吸収性能の向上効果が高く、特に好ましく使用可能である。
より具体的には、下記一般式(2)で示される誘導体は2−[2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール(CAS番号:3147−75−9)であり、下記一般式(3)で示される誘導体は2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール(CAS番号:25973−55−1)であり、下記一般式(4)で示される誘導体は2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール(CAS番号:70321−86−7)であり、下記一般式(5)で示される誘導体は2,2'−メチレンビス[3−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ビス(ベンゾトリアゾール)(CAS番号:103597−45−1)であり、下記一般式(6)で示される誘導体は2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール(CAS番号:3147−77−1)であり、下記一般式(7)で示される誘導体は2−[2−ヒドロキシ−3−[(1,3,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イル)メチル]−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール(CAS番号:59129−18−9)である。これらのなかでも、下記一般式(3)で示される2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
Figure 2013003488
(C成分;一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体)
上述したように、光学フィルムを偏光子や液晶セルの紫外線による劣化を抑制するための偏光子保護フィルムとして使用するには280〜400nmの領域における紫外線を遮断する必要がある。ここで、紫外線吸収剤としてB成分のみ用いた場合には、370〜400nmの波長領域における紫外線吸収性能が満足であるとはいえず、紫外線吸収剤としてB成分のみが含有されてなる光学フィルムを偏光子保護フィルムとして用いた場合には、偏光子の劣化を効果的に防止することができない。そこで、本発明では、B成分とともに使用することにより、370〜400nmの波長領域における紫外線吸収性能を満足させることができるC成分が含有されている。
C成分は、下記一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体を含むものであり、B成分とは異なる紫外線吸収剤である。
Figure 2013003488
本発明では、上記の構造を持つベンゾフェノン誘導体を、ポリプロピレン樹脂混合物に含有せしめることで、C成分の紫外線吸収剤を含有しない場合や、他の構造のベンゾフェノン誘導体を添加した場合と比較して、370〜400nmの波長領域において良好な紫外線吸収性能を付与することができる。C成分に使用されるベンゾフェノン誘導体としては、添加した際の紫外線吸収性能の点を考慮すると、上記一般式(1)中のR1〜R4のいずれか1つ、または複数が水酸基であるものが好ましい。
上記一般式(1)中のR1〜R4のいずれか1つ、または複数が水酸基であるベンゾフェノン誘導体としては、下記一般式(1−1)で示される2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン(CAS番号:131−55−5)や、下記一般式(1−2)で示される2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン(CAS番号131−54−4)などが知られている。本発明においては、下記一般式(1−1)で示される2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
Figure 2013003488
(C成分の含有量)
以上説明したように、本発明では、B成分とC成分の紫外線吸収剤を併せて用いることで、偏光子や液晶セルの劣化につながる、280〜400nmの波長領域における紫外線吸収性能を満足させている。ところで、本発明の光学フィルムを構成するB成分、C成分の配合量によっては、A成分であるプロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂の良好な透明度、ヘーズ、あるいは面内位相差などの光学特性を低下させてしまう場合や、紫外線吸収剤がブリードアウトし外観の低下を引き起こす場合がある。また、C成分の含有量によっては、370〜400nmの波長領域における紫外線吸収性能を十分に満足できないといった問題も生じうる。具体的には、B成分とC成分とを併せて用いる本発明において、B成分とC成分の合計質量を100質量%としたときに、C成分の含有量が60質量%よりも大きい場合には、光学フィルムの作成時にブリードアウトが発生し、フィルムの透明性や加工適性が損なわれてしまう。一方、C成分の含有量が8質量%未満である場合には、波長280〜400nmの領域、とりわけ波長370〜400nmの領域における紫外線吸収性能が損なわれてしまう。このような点を考慮した本発明は、B成分とC成分の合計質量を100質量%としたときのC成分の含有量が8〜60質量%の範囲内に規定されている。
B成分とC成分の合計質量に対するC成分の含有量は、この範囲内であればよいが、フィルム製膜後の紫外線吸収剤成分のブリードアウトや370〜400nmの波長領域における紫外線吸収性能を考慮すると、C成分の含有量は、B成分とC成分の合計質量を100質量%としたときに、20〜60質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。C成分の含有量が60質量%を超える場合には、C成分がブリードアウトするおそれがあり、20質量%未満である場合には、370〜400nmの波長領域における紫外線吸収性能が低下するおそれがあるためである。
(紫外線吸収剤の合計含有量)
また、A成分と、B成分と、C成分との合計質量を100質量%としたときの、紫外線吸収剤であるB成分とC成分との合計質量が、5.5質量%をこえる場合には、光学フィルムを作成する際に、ブリードアウトが発生し、外観の低下を引き起こすおそれがある。また、0.08質量%未満である場合には、所望の紫外線吸収性能を付与することができないおそれがある。このような点を考慮した本発明は、A成分とB成分とC成分の合計質量を100質量%としたときのB成分とC成分の合計含有量が0.08〜5.5質量%の範囲内に規定されている。
A成分と、B成分と、C成分との合計質量に対する、B成分とC成分との合計含有量は、上記範囲内であれば特に限定されることはないが、製造コストを考慮すると、その上限値は1.5質量%以下であることが好ましく、1.2質量%以下であることが特に好ましい。また、より高品質の光学特性、すなわち優れた紫外線吸収性能を付与するためには、その下限値は、0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上であることが特に好ましい。以上の点から、高品質の光学フィルムを得るために、ポリプロピレン樹脂混合物中の紫外線吸収剤(B)及び(C)の合計含有量は、0.08〜5.5質量%であることが好ましく、0.3〜1.5質量%がより好ましく、さらに好ましくは、0.4〜1.2質量%である。なお、A成分の含有量は、A成分と、B成分と、C成分との合計質量から、B成分及びC成分を除いた残部であり、94.5〜99.92質量%、好ましくは98.5〜99.7質量%、さらに好ましくは98.8〜99.6質量%である。
(その他の成分)
また、本発明では、所望に応じて各種の添加剤や添加樹脂等のその他の成分を、ポリプロピレン樹脂混合物の任意成分として添加することができる。例えば、本発明の光学フィルムを位相差フィルムとして用いる場合には、位相差フィルムとして必要な複屈折や透明性を損なわない範囲で、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン以外の各種オレフィン樹脂を添加樹脂として配合することができ、また、耐候性改善剤、光安定剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などを添加することができる。
本発明の光学フィルムの厚みについても特に限定はないが、35μm以上160μm以下であることが好ましく、60〜120μmがより好ましい。同じ吸光度の紫外線吸収剤をフィルムに用いた場合、該フィルムの紫外線吸収性能は、下記式で示されるランベルトベールの法則により、フィルムの厚みに比例することが知られている。
−log(I/IO)=ε×c×d
ここで、IOは入射光の強度、Iは透過光の強度、−log(I/IO)は吸光度、εは光係数、cは物質の濃度、dは吸収物質の厚みである。この式から分かるように、光学フィルムの厚さが上記範囲内であれば優れた紫外線吸収性能が得られ、かつ透明性の低下を招くことがないので、好ましい。
また、厚さが35μm以上であれば、光学フィルムとしての強度を確保することができる。また、厚さが160μm以下であれば、十分な可とう性が得られ、軽量であることからハンドリングが容易であり、かつコスト的にも有利である。
本発明の光学フィルムの曲げ弾性率についても特に限定はないが、本発明の光学フィルムを偏光子保護フィルムとして使用する場合には、曲げ弾性率は、700MPa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が700MPaであれば、フィルム状態で取り扱う際の十分な剛性が得られ、後加工を容易に行うことができ、偏光子保護フィルムとして機能させるために十分な耐擦過性が得られるからである。中でも、本発明の光学フィルムの曲げ弾性率は、900MPa以上であることがより好ましい。900MPa以上であれば、Tダイ押出し成形で製造した場合に、面内位相差を安定させることができる。なお、本発明において曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して測定されるものとする。
光学フィルムの曲げ弾性率の調整方法としては、特に制限はなく、以下のような方法により調整することができる。例えば、ポリプロピレン本来の特性(結晶化度、平均分子量など)で選択する方法、樹脂に無機質あるいは有機質の充填剤から選ばれた充填剤を添加する方法、架橋剤などを添加する方法、弾性率の異なる2種類以上の樹脂を混合する方法、硬化性樹脂の可塑剤組成分を選択する方法などを用いて、あるいはこれらの方法を適宜複数組み合わせて用いる方法などが挙げられる。
光学フィルムの引張強度は、20MPa以上であることが好ましい。20MPa以上であると、光学フィルムの成形加工に際して、該光学フィルムを接着剤層を介して偏光子にロール・ツウ・ロールの方法で貼り合わせる時に、配向がかからず、位相差のばらつきが発生しにくいので、偏光板の性能を良好なものにできるからである。なお、本発明において引張強度は、ASTM D638(Type4条件)に準拠して測定されるものとする。
また、本発明の光学フィルムを、偏光子保護フィルムや位相差フィルムとして用いる場合には、偏光子と接する面に接着性向上のために易接着処理を施すこととしてもよい。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理などの表面処理やアンカー層を形成する方法が挙げられ、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
また、光学フィルムの表面には、機能層を積層して、各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
(光学フィルムの製造方法)
次に、本発明の光学フィルムの製造方法の一例について説明するが、本発明の光学フィルムは以下の実施形態に限定されるものではない。本発明の光学フィルムを製造するにあたっては、プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂(A成分)と、2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体(B成分)と、一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体(C成分)と、所望に応じて各種の添加剤や添加樹脂とを混合し、加熱溶融させた後、押出しコーティング成形法、キャスト法、Tダイ押出し成形法、水冷方式インフレーション法、空冷方式インフレーション法、射出成形法などの各種成形法で、フィルム形状に成形加工して、製造することができる。本発明においては、偏光子上に設けられる光学フィルムが配向しないことが好ましいため、延伸のかからない未延伸のTダイ押出し成形法、あるいはインフレーション法が好ましい。
加工時の加熱温度は、通常160〜250℃の範囲であり、好ましくは190〜250℃である。加熱温度が上記範囲内であれば、より性能安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。このようにして得られた本発明の光学フィルムは、光学特性と紫外線吸収性能に優れ、かつ紫外線吸収剤がブリードアウトせず外観にも優れる。さらには、偏光子や液晶セルの劣化の要因とされる、280〜400nmの波長領域の紫外線吸収性能にも優れる。したがって、本発明の光学フィルムは、偏光子保護フィルムとして特に好適に用いられる。
<<偏光板>>
次に、本発明の偏光板について説明する。本発明の偏光板は、偏光子の少なくとも片面に光学フィルムが形成されてなる偏光板であって、光学フィルムが、上記で説明した光学フィルムである点に特徴を有する。本発明の偏光板を構成する光学フィルムについては、上記「本発明の光学フィルム」で説明したものをそのまま用いることができ、ここでの説明は省略する。
図1に、本発明の偏光板の構成例を示す。なお、本発明の偏光板は、上記で説明した本発明の光学フィルムが用いられている点に特徴を有するものであり、この構成例に限定されるものではない。図1において、2は偏光子であり、その片面側に接着剤層(図示しない。)を介して、本発明の光学フィルム1が設けられ、全体として偏光板3を構成している。そして、本発明の偏光板は、液晶表示装置に用いられ、後述するバックライト側の片面に本発明の光学フィルムが設けられるという構成を有するものである。
(偏光子)
偏光板で用いる偏光子としては、特定の振動方向をもつ光のみを透過する機能を有する偏光子であればいかなるものでもよく、一般的にはPVA系偏光子が好ましく用いられる。PVA系偏光子としては、例えばPVA系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したものが挙げられる。これらのなかでもPVA系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適に用いられる。これら偏光子の厚さは特に制限されず、一般的に、1〜100μm程度である。
(偏光板の製造方法)
偏光板は、例えば、上述のようなPVA系フィルムを一軸延伸する工程、PVA系樹脂フィルムを二色性色素で染色して、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたPVA系フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、ホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程、及びこれらの工程が施されて二色性色素が吸着配向された一軸延伸PVA系フィルムに、本発明の光学フィルムを貼り付ける工程を経て、製造される。
光学フィルムの貼り付けは、光学フィルムか偏光子のいずれかの側又は両側に接着剤を塗布して設けた接着剤層により行うことができる。接着剤層の形成には、公知のPVA系接着剤を用いることが好ましい。
接着剤層は、光学フィルム又は偏光子のいずれかの側または両側に、接着剤を塗布することにより形成する。接着剤層の厚みは、乾燥後の厚みで厚くなりすぎると接着性の点で好ましくないことから、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
また、光学フィルムを偏光子と接着させるに際し、光学フィルムの偏光子と接する面に接着性向上のためにコロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理などの表面処理やアンカー層を形成する方法などの易接着処理を施すことができる。なかでもコロナ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
次いで、上記のようにして易接着処理を行った面に接着剤層を形成し、前記接着剤層を介して、偏光子と光学フィルムとを貼り合せる。偏光子と光学フィルムとの貼り合わせは、ロールラミネーターなどにより行うことができる。なお、加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
(その他)
本発明の光学フィルムが偏光子の一方の面に形成された偏光板には、必要に応じて偏光子の他方の面に、本発明の光学フィルムを形成することもできるし、その他の樹脂からなるフィルムを形成することもできる。その他の樹脂からなるフィルムとしては、例えばセルロース系フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム、環状ポリオレフィンフィルム、マレイミド系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルムなどが挙げられる。なかでもトリアセチルセルロースなどのセルロース系フィルムは水蒸気透過度が高いため水抜けが良いことが知られており、また、本発明のポリプロピレン樹脂を用いた光学フィルムの水蒸気透過度は低く水を通しにくいため、他方の面にセルロース系フィルムを貼りあわせると、偏光板製造時の乾燥工程での水の除去が容易となるため望ましい。なお、上記その他の樹脂からなるフィルムは特定の位相差を持つ位相差フィルムであってもよく、この位相差フィルムが本発明の光学フィルムであってもよい。
偏光板は、表面性、耐傷付き性を向上させるため、あるいは必要に応じて反射防止や低反射処理などの公知の防眩機能を付与するために、光学フィルムに対して少なくとも一層以上のハードコート層あるいは反射防止層を有する積層体とすることが好ましい。この場合、光学フィルムに対するハードコート層や反射防止層の積層の順は問わない。積層体は、光学フィルムにハードコート層や反射防止層を設けて作製することができる。当該ハードコート層及び反射防止層としては、例えば紫外線硬化型アクリルウレタン、紫外線硬化型エポキシアクリレート、紫外線硬化型(ポリ)エステルアクリレート、紫外線硬化型オキセタンなどの紫外線硬化型樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系ハードコート剤などよりなるハードコート層が挙げられ、透明性、耐傷付き性、耐薬品性の点から、紫外線硬化型樹脂よりなるものであることが好ましい。これらのハードコート層及び反射防止層は、一種類以上で用いることができる。
ハードコート層及び反射防止層の厚みは、0.1〜100μmが好ましく、特に好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは2〜20μmである。また、ハードコート層あるいは反射防止層の間にプライマー処理をすることもできる。また、当該積層体は、光学フィルムにハードコートフィルムや反射防止フィルムを積層して作製することもできる。該ハードコートフィルムや反射防止フィルムは、例えば紫外線吸収剤を含まないポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、前記ハードコート層や反射防止層を設けて作製することができる。
<<画像表示装置>>
次に本発明の画像表示装置について説明する。本発明の画像表示装置は、偏光板が用いられてなる画像表示装置であって、前記偏光板が、偏光子の少なくとも片面に光学フィルムが形成されてなる偏光板であり、この光学フィルムが、上記で説明した本発明の光学フィルムである点に特徴を有する。本発明の偏光板を構成する光学フィルムについては、上記「本発明の光学フィルム」で説明したものをそのまま用いることができ、ここでの説明は省略する。
画像表示装置としては、本発明の光学フィルムを備える偏光板であるとの要件を満たすものであれば、画像表示装置の種類等について限定されることはなく、例えば液晶セルを含む液晶表示装置、有機EL表示装置、タッチパネルなどを挙げることができる。なかでも本発明の光学フィルムの特長をいかす観点からは、該光学フィルムを用いた偏光板は、液晶表示装置に用いることが好ましい。また、液晶ディスプレイの場合、画像表示装置は、一般に、液晶セル、光学フィルム、及び必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては、上記した偏光板を使用する点を除いて、画像表示装置の構成には特に限定はない。例えば、液晶セルの片側又は両側に偏光板を配置した画像表示装置や、照明システムとしてバックライト又は反射板を用いたものなどの適宜な画像表示装置が例示される。また、液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。なお、画像表示装置を構成するに際しては、例えば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
(液晶セルを含む液晶表示装置)
以下に、本発明の画像表示装置の例として、本発明の偏光板を含む液晶表示装置の構成例を示す。図2において、8は液晶セルを示す。この液晶セル8は、例えば、薄膜トランジスタ型に代表されるアクティブマトリクス駆動型などや、ツイストネマチック型、スーパーツイストネマチック型に代表される単純マトリクス駆動型などのものが例示される。この液晶セル8の一方の面に、粘着剤層(図示せず)及び位相差板15を介して上偏光板7(液晶セルに対してパネル上面側の偏光板)が積層され、液晶セル8のもう一方の面に下偏光板12(液晶セルに対してバックライト側の偏光板)が積層されている。そして、上偏光板7は、中心に偏光子5を有し、該偏光子5の両面に偏光子保護膜4及び6が積層され、下偏光板12は、中心に偏光子10を有し、該偏光子10の両面に偏光子保護膜9及び11が積層されている。また、図2に示す構成例では、上偏光板のパネル上面側に設けられる偏光子保護膜4の上にさらに反射防止層(または反射防止フィルム)14が設けられている。
本発明の光学フィルムは、偏光子保護膜4、6、9及び11のいずれに使用することができるが、偏光子保護膜4及び11として用いることが好ましい。偏光子保護膜4として使用すると、太陽光及び外光(液晶表示装置の外側からの光)の紫外線を遮断することができ、偏光子保護膜11として使用すると、バックライトからの紫外線を遮断することができるからである。また、本発明の光学フィルムは、その性能を十分にいかす観点から、バックライトに蛍光管が用いられる液晶表示装置に用いられることが好ましい。蛍光管は紫外線を多く発するため、本発明の光学フィルムの優れた紫外線吸収性能が有効となる。
上偏光板7あるいは下偏光板12と液晶セル8との積層に際しては、上偏光板7、下偏光板12あるいは液晶セル8に予め粘着剤層を設けておくこともできる。ここで用いられる粘着剤としては特に限定されず、例えばアクリル系粘着剤が、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れているので好ましく挙げられる。
前記粘着剤には、光学的透明性、適度な濡れ性、凝集性、接着性などの粘着特性、耐候性、耐熱性などに優れることが求められる。さらに吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差などによる光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる画像表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層が求められる。
偏光板への上記粘着剤の塗工は、例えば、トルエンや酢酸エチルなどの適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒に、ベースポリマー又はその組成物を溶解又は分散させた10〜40質量%程度の粘着剤溶液を調製し、それをグラビアコート、バーコート、ロールコートなどの塗工方式や流延方式などの適宜な展開方式で偏光板上に直接塗工する方法、あるいはこの方法に準じ離型性ベースフィルム上に粘着剤層を形成してそれを偏光板に移着する方法などが挙げられる。
粘着剤層は、異なる組成又は種類などのものの重畳層として偏光板の片面側又は両面側に設けることもできる。また、両面側に設ける場合、偏光板の表裏において、粘着剤が同一組成である必要はなく、また同一の厚さである必要もない。異なる組成、異なる厚さの粘着剤層とすることもできる。
また、粘着剤層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1μm〜500μmであり、5μm〜200μmが好ましく、特に10μm〜100μmが好ましい。
粘着剤層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止などを目的に、プラスチックフィルムなどの適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系などの適宜な剥離剤でコート処理した離型性フィルムが仮着されてカバーされることが好ましい。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層に接触することを防止できる。
以上、本発明の光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
プロピレン系共重合体(メタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン系共重合体(「ウィンテック(登録商標)」,日本ポリプロ(株)製,曲げ弾性率:900MPa,融点:142℃,MFR:30g/10分)であり、以下「PP−A」と表記する。)を99質量部に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF株式会社製「TINUVIN328(商品名)」。以下、「UV−B」と表記する。)0.5質量部及び2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン(シプロ化成株式会社製「SEESORB106(商品名)」。以下、「UV−C」と表記する。)0.5質量部を加えて混合して得られたポリプロピレン樹脂混合物を加熱溶融させた。加工温度200℃、引取りロール温度50℃の条件で、該樹脂混合物をフィルム厚み100μmでTダイ単層押し出し成形することにより、実施例1の光学フィルムを得た。
(実施例2)
実施例1において、PP−Aを、プロピレン系共重合体(チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン系共重合体(「J−3021GR(商品名)」,プライムポリマー株式会社製,曲げ弾性率:1000MPa,融点:150℃,MFR:33g/10分)であり、以下「PP−B」と表記する。)とした以外は実施例1と同様にして実施例2の光学フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1において、PP−Aを99.5質量部、UV−B及びUV−Cを各々0.25質量部とした以外は、実施例1と同様にして実施例3の光学フィルムを得た。
(実施例4)
実施例1において、PP−Aを99質量部、UV−Bを0.9質量部、UV−Cを0.1質量部とした以外は、実施例1と同様にして実施例4の光学フィルムを得た。
(実施例5)
実施例1において、PP−Aを99質量部、UV−B及びUV−Cを各々0.5質量部とし、光学フィルムの厚みを40μmとした以外は、実施例1と同様にして実施例5の光学フィルムを得た。
(実施例6)
実施例1において、PP−Aを99質量部、UV−B及びUV−Cを各々0.5質量部とし、光学フィルムの厚みを150μmとした以外は、実施例1と同様にして実施例6の光学フィルムを得た。
(実施例7)
実施例1において、PP−Aを、ホモポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ(株)製「ノバテック(登録商標)MA3U」,MFR:15g/10分,曲げ弾性率:1700MPa,融点:160℃,重合触媒:チーグラー・ナッタ触媒、であり、以下「PP−C」と表記する。)とした以外は実施例1と同様にして実施例7の光学フィルムを得た。
(実施例8)
実施例1において、UV−Cを2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシベンゾフェノン(シプロ化成株式会社製「SEESORB107(商品名)」。以下UV−Dと表記する。)とした以外は、実施例1と同様にして実施例8の光学フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1において、PP−Aを99質量部とし、UV−Bを1.0質量部とし、UV−Cを用いなかった以外は、実施例1と同様にして比較例1の光学フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1において、PP−Aを99.5質量部、UV−Bを0.5質量部とし、UV−Cを用いなかった以外は、実施例1と同様にして比較例2の光学フィルムを得た。
(比較例3)
実施例1において、PP−Aを99質量部とし、UV−Cを1質量部とし、UV−Bを用いなかった以外は、実施例1と同様にして比較例3の光学フィルムを得た。
(比較例4)
実施例1において、PP−Aを99質量部、UV−Bを0.95質量部とし、UV−Cを0.05質量部とした以外は、実施例1と同様にして比較例4の光学フィルムを得た。
(比較例5)
実施例1において、PP−Aを99質量部、UV−Bを0.2質量部とし、UV−Cを0.8質量部とした以外は、実施例1と同様にして比較例5の光学フィルムを得た。
(比較例6)
実施例1において、UV−Cを2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン(BASFジャパン株式会社製「CHIMASSORB81(商品名)」。以下UV−Eと表記する。)とした以外は、実施例1と同様にして比較例6の光学フィルムを得た。
(光線透過率の測定)
分光光度計((株)島津製作所製「UV−2400(型番)」JIS K0115準拠)を用いて、280nm、330nm、370nm、375nm、380nm、385nm、390nm、395nm、400nmの各波長領域における、実施例、及び比較例の光学フィルムの、光線透過率を測定した。なお、光の透過率が小さいほど、各波長での紫外線吸収性能が高いことを意味する。光線透過率の測定結果を表1に示す。また、実施例1、及び比較例1の280nm〜400nmにおける光線透過率を図3に示す。
(波長380nmにおける紫外線吸収性能の評価)
上記紫外線吸収性能の測定において測定された380nmにおける光線透過率を用いて、以下の基準により評価した。評価結果を表1の380nmの光線透過率の下欄に併せて示す。
「評価基準」
○:紫外線透過率が40%以下である
×:紫外線透過率が40%を超える
(波長380〜400nmにおける紫外線吸収性能の向上効果の評価)
各実施例、比較例において、波長370〜400nmにおける紫外線吸収性能指数を求め、その指数を用いて評価した。波長370〜400nmにおける紫外線吸収性能指数の求め方は、以下の通りとした。
実施例1〜8及び比較例2〜5については、比較例1の光線透過率を100として、以下の(i)式により紫外線吸収性能指数を求めた。指数が小さい程、基準とする比較例1の光学フィルム(従来品相当)と比べて紫外線吸収性能が良好であることを示す。具体的には、指数が90以下であれば優れた紫外線吸収性能の向上効果が認められると判断する。
紫外線吸収性能指数=(実施例1〜8及び比較例2〜6の紫外線光線透過率/比較例1の紫外線光線透過率)×100・・・(i)
表1の370nm、375nm、380nm、385nm、390nm、395nm、400nmの上欄に各波長における紫外線吸収性能指数を表示し、上記の基準により波長370〜400nmにおける紫外線吸収性能の向上効果を評価した。
(ヘーズの評価)
JIS K7105に準拠して、実施例及び比較例で得られた光学フィルムのヘーズを測定し、下記の基準で評価した。評価結果を表2に示す。
「評価基準」
○:ヘーズが10%以下
×:ヘーズが10%をこえる
(可視光透過率の評価)
分光光度計((株)島津製作所製「UV−2400(型番)」JIS K0115準拠)を用いて、波長550nm及び750nmの条件で光線透過率を測定した。また、以下の基準に基づいて可視光透過率の評価を行った。光線透過率の測定結果及び評価結果を表2に併せて示す。
「評価基準」
◎:光線透過率が90%〜100%
○:光線透過率が80%以上90%未満
×:光線透過率が80%未満
(外観の評価)
実施例、及び比較例の光学フィルムを、条件1:温度80℃・相対湿度10〜40%の条件(ドライ条件)、条件2:温度60℃・相対湿度90%の環境下に、1000時間放置した。条件1及び2による放置後の光学フィルムの外観(紫外線吸収剤のブリードアウトの有無)について、下記の基準で目視評価した。評価結果を表2に併せて示す。
「評価基準」
○:ブリードによる白化などの外観不良は確認されなかった
△:ブリードによる白化などの外観不良が若干確認されたものの実用上問題なかった
×:著しいブリードによる白化などの外観不良が確認された。
Figure 2013003488
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表1、2からも明らかなように、実施例1〜8の光学フィルムは、ポリプロピレン樹脂(A)に所定の割合で紫外線吸収剤(B)及び(C)を混合したポリプロピレン樹脂混合物を用いることで、優れた紫外線吸収性能に加えて、ヘーズの評価、透明性の評価及び外観の評価においても優れた性能を示した。また、実施例1〜8においては、波長390〜400nmの範囲の領域において、紫外線性能向上指数が100を下回っており、当該波長範囲において、明確な効果が認められる。なお、実施例1〜8の波長370nm〜390nmの領域において、光線透過率が比較例1を上回ることがあるが、いずれも380nmの領域における光線透過率は40%以下であり、光学フィルムとしては優れた性能を有しているものといえる。以上から370〜390nmの波長範囲において、トータルの紫外線吸収性能は増えているものと考えられる。
一方、UV−C(紫外線吸収剤(C))を用いなかった比較例1、2は、実施例と比較して、波長390nm〜400nmの範囲における紫外線吸収性能が不十分である。また、UV−C(紫外線吸収剤(C))の含有量が本発明の範囲外である比較例4は、波長395nm〜400nmにおける紫外線吸収性能指数が90以上であり、この波長範囲における紫外線吸収性能の向上効果は不十分である。また、UV−B(紫外線吸収剤(B))を用いずUV−C(紫外線吸収剤(C))を単独で用いた比較例3、UV−B(紫外線吸収剤(B))の含有量が本発明の範囲外である比較例5では、ブリードアウトによる白化などの外観不良が顕著であった。また、UV−C(紫外線吸収剤(C))の代わりに、上記一般式(1)以外のベンゾフェノン誘導体であるUV−Eを使用した比較例6では、波長370nm〜400nmの範囲において、紫外線吸収性能指数が100を超えており、当該波長範囲における紫外線吸収性能が十分ではなかった。
また、図3からも明らかなように、紫外線吸収剤(B)及び(C)を組み合わせることにより、特に波長390nm〜400nmの領域における紫外線吸収性能の向上効果が確認された。なお、図3は、実施例1の光学フィルム及び比較例1の光学フィルムの光線透過率を示す図である。
本発明の光学フィルムは、光学特性と紫外線吸収性能に優れ、かつ紫外線吸収剤がブリードアウトせず外観にも優れているので、産業資材用の光学フィルムとして特に好適である。本発明の光学フィルムは、飛散防止フィルムや紫外線防止フィルムなどの窓用フィルム、偏光子保護フィルム、光学補償フィルム、反射防止フィルムなどのディスプレイ用フィルムや、キズ・汚れ防止のために鋼板や意匠建材などに用いられる表面保護フィルムなどに有効に利用することができる。また、本発明の光学フィルムは、偏光子保護フィルムとして使用する場合には、偏光子や液晶セルの劣化につながる280〜400nmの波長領域における紫外線吸収性能に優れることから、偏光子保護フィルムとして特に好適に使用可能である。
1:光学フィルム
2:偏光子
3:偏光板
4:上偏光板の偏光子保護膜(パネル上面側)
5:上偏光板の偏光子
6:上偏光板の偏光子保護膜(液晶セル側)
7:上偏光板
8:液晶セル
9:下偏光板の偏光子保護膜(液晶セル側)
10:下偏光板の偏光子
11:下偏光板の偏光子保護膜(バックライト側)
12:下偏光板
13:バックライト部
14:反射防止層(または反射防止フィルム)
15:位相差板

Claims (3)

  1. 光学フィルムであって、
    前記光学フィルムは、(A)プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂と、(B)2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体と、(C)下記一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体と、を含むポリプロピレン樹脂混合物から構成され、
    Figure 2013003488
    前記(B)と前記(C)の合計質量を100質量%としたときの、前記(C)の含有量が、8〜60質量%であり、
    前記(A)と前記(B)と前記(C)との合計質量を100質量%としたときの、前記(B)と前記(C)との合計含有量が、0.08〜5.5質量%であることを特徴とする光学フィルム。
  2. 偏光子の少なくとも片面に光学フィルムが形成されてなる偏光板であって、
    前記光学フィルムが、(A)プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂と、(B)2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体と、(C)下記一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体と、を含むポリプロピレン樹脂混合物から構成され、
    Figure 2013003488
    前記(B)と前記(C)の合計質量を100質量%としたときの、前記(C)の含有量が、8〜60質量%であり、
    前記(A)と前記(B)と前記(C)との合計質量を100質量%としたときの、前記(B)と前記(C)との合計含有量が、0.08〜5.5質量%であることを特徴とする偏光板。
  3. 偏光板が用いられてなる画像表示装置であって、
    前記偏光板が、偏光子の少なくとも片面に光学フィルムが形成されてなる偏光板であり、
    前記光学フィルムが、(A)プロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂と、(B)2−(ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体と、(C)下記一般式(1)で示されるベンゾフェノン誘導体と、を含むポリプロピレン樹脂混合物から構成され、
    Figure 2013003488
    前記(B)と前記(C)の合計質量を100質量%としたときの、前記(C)の含有量が、8〜60質量%であり、
    前記(A)と前記(B)と前記(C)との合計質量を100質量%としたときの、前記(B)と前記(C)との合計含有量が、0.08〜5.5質量%であることを特徴とする画像表示装置。
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