JP2013020081A - 液晶ディスプレイ用保護フィルムおよび液晶ディスプレイ用保護板 - Google Patents

液晶ディスプレイ用保護フィルムおよび液晶ディスプレイ用保護板 Download PDF

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Abstract

【課題】透明で、液晶ディスプレイの保護に必要な衝撃吸収性を有し、液晶パネルの構成材料を侵すことがない液晶ディスプレイ用保護フィルムを提供すること。
【解決手段】液晶ディスプレイ用保護フィルムを、曲げ弾性率が700MPa以上で、かつメタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂により構成する。
【選択図】なし

Description

この発明は、液晶ディスプレイを保護するためにパネル表面に貼られる液晶ディスプレイ用保護フィルム、および液晶ディスプレイ用保護板に関する。
現在の大型液晶ディスプレイは、パネルの前面偏光板表面を反射低減のためにアンチグレア(AG)処理したものが一般的である。この構成の場合、特に衝撃吸収性に関する手立ては講じられておらず、パネル全体及びセットとしての構造で衝撃耐性を持たせている。この構成の課題はAG処理により画像が滲んで見えること、表面に触るとパネルがたわみ画像が乱れること、AG処理のため汚れが落ちにくく、強くこすると傷になりやすいことに加え、今後のパネルの大型化に伴い、パネルの衝撃耐性が低下し、衝撃耐性に問題が発生することが考えられる。
そこで、パネルの前にアンチリフレクション(AR)処理を施した前面板を置いてAG処理に由来する欠点の解消を図ることが考えられる。しかし前面板と液晶パネルとの間が空気の場合には、透過率の低下、2重映りによる画質の低下などが生じてしまうことが考えられる。この問題を解消するために、空間を樹脂等で埋めることが提案されてきている(特許文献1〜4)。また、本願発明者らは、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂は非常に透明性が高いことを見いだし、この特性を利用した提案もしている(特許文献5)。
特開平05−011239号公報 特開平03−204616号公報 特開平06−059253号公報 特開2004−125868号公報 特開2008−146023号公報
しかし、特許文献1で使用されているオイルは漏れを防ぐためのシールが難しく、また液晶パネルに使用されている材料を侵す可能性があり、また前面板が割れた場合にオイルが漏れ出すという問題ある。また特許文献2の不飽和ポリエステルは黄色に着色しやすくディスプレイ装置への適用は望ましくない。特許文献3のシリコーンは密着力が小さく固定のために別途粘着剤が必要になるためプロセスが煩雑になり、さらに粘着剤との接着力もあまり大きくないことから衝撃が加わった際に剥離して気泡が入ってしまうという問題がある。さらに、特許文献4のアクリルモノマの重合物は接着力が小さく、小型の機器であれば別途粘着剤を必要としないが、大型ディスプレイの前面板を支えるためには別途粘着剤が必要となり、プロセスが煩雑になる。また原料がモノマのみからなるため粘度が低く、硬化収縮が大きいため大面積のフィルムを均一に作製することが難しいという問題も発生する。
一方で特許文献5にあっては、偏光子の保護膜として所定のポリプロピレン系樹脂を用いることについての開示はされているものの、他の用途については特に言及されていない。
本発明は、このような状況においてなされたものであり、透明で、液晶ディスプレイの保護に必要な衝撃吸収性を有し、液晶パネルの構成材料を侵すことがない液晶ディスプレイ用保護フィルム、および液晶ディスプレイ用保護板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための第1の本発明は、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂からなり、曲げ弾性率が700MPa以上であることを特徴とする液晶ディスプレイ用保護フィルムである。
また、上記課題を解決するための第2の本発明は、透明基板と、前記透明基板の少なくとも一方の面に直接または間接的に設けられた保護フィルムと、を有する液晶ディスプレイ用保護板であって、前記保護フィルムが、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂からなり、曲げ弾性率が700MPa以上であることを特徴とする液晶ディスプレイ用保護板である。
本発明の液晶ディスプレイ用保護フィルムや液晶ディスプレイ用保護板によれば、高い透明性を担保でき、かつ液晶ディスプレイの保護に必要な衝撃吸収性をも担保することができ、さらに液晶パネルの構成材料を侵すこともない。
以下、本発明の液晶ディスプレイ用保護フィルム、およびこの液晶ディスプレイ用保護板について説明する。
本実施形態における液晶ディスプレイ用保護フィルムは、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂からなり、曲げ弾性率が700MPa以上であることに特徴を有している。以下に、このポリプロピレン系樹脂について説明する。
(ポリプロピレン系樹脂)
ポリプロピレン系樹脂は、メタロセン触媒により製造されるものであり、より具体的には、メタロセン触媒によって重合されたプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体である。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を構成するα−オレフィンとしては、エチレン、炭素数4〜18の1−オレフィンが用いられ、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1,4−メチル−ヘキセン−1,4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。共重合体中のプロピレン単位の割合は、好ましくは80モル%以上であり、コモノマーは20モル%以下である。コモノマーとして、上記のα−オレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上を用いた多元系共重合体とすることもできる。
メタロセン触媒としては、ポリプロピレン系樹脂が得られる限りいかなるものであってもよいが、一般的には、Zr、Ti、Hf等の4〜6族遷移金属化合物、特に4族遷移金属化合物と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体の基を有する有機遷移金属化合物を使用することができる。
シクロペンタジエニル誘導体の基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等で結合されたものが望ましい。
助触媒としては、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、層状ケイ酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である。また、必要に応じてこれら化合物と共に有機アルミニウム化合物を添加することができる。
層状ケイ酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとるケイ酸塩化合物を言う。本実施形態では、層状ケイ酸塩は、イオン交換性であることが好ましい。ここでイオン交換性とは、層状ケイ酸塩の層間陽イオンが交換可能なことを意味する。大部分の層状ケイ酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら層状ケイ酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
層状ケイ酸塩の具体例としては、公知の層状ケイ酸塩であって、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、テニオライト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
これらの層状ケイ酸塩は化学処理を施したものであることが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
重合法としては、これらの触媒の存在下不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法や、溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
このようなポリプロピレン系樹脂を用いた保護フィルムは、曲げ弾性率が700MPa以上であることが必要であり、好ましくは700〜1000MPaである。そして、このような曲げ弾性率を得るためにはDSCで求めた主たる融解ピーク温度(Tm)が120℃以上であることが好ましい。融解ピーク温度(Tm)が120℃より低いときは、未延伸フィルムとして、曲げ弾性率も低くなり、700MPaより小さくなり、衝撃吸収用フィルムとして強度が不足し、後加工に影響を与える。通常、当該フィルムを接着剤層を介して上面ガラスに張り合わせる時に、ロール・ツウ・ロールで貼り合せるが、引張強度が弱いと、加工時のハンドリングが悪くなる。また、曲げ弾性率が1000MPaを超えると保護フィルムとしては剛性が高すぎクッション性が悪く問題となる場合がある。なお、曲げ弾性率は、JIS K7171「プラスチック−曲げ特性の求め方」に準拠して測定する。保護フィルムの曲げ弾性率の調整方法としては、たとえば、ポリプロピレン系樹脂の結晶化度や平均分子量を調節する方法、ポリプロピレン系樹脂に充填剤や可塑剤を添加する方法、曲げ弾性率が異なる2以上の樹脂を混合する方法などが挙げられる。
本実施形態においては、更に透明性を向上させるため、透明核剤を添加しても良い。核剤としては、例えばジベンジリデンソルビトール系核剤、ロジン系有機物、1,2,3−プロパントリカルボン酸アミド化合物及び/又は1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸アミド化合物などのカルボン酸アミド化合物、あるいはリン酸エステル金属塩などが好ましく挙げられる。この中では、透明性能が良く、ポリプロピレンからのブリードも少ないリン酸エステル金属塩が好ましく使用される。透明核剤は、通常、ポリプロピレン樹脂に対し0.05〜0.3wt%添加され、フィルム厚み等により添加量を調整する。
(混合樹脂、添加剤)
以上説明したポリプロピレン系樹脂にあっては、得られるフィルムの所望物性に応じて、必要な透明性を損なわない範囲で、各種オレフィン樹脂や添加剤を配合することができる。オレフィン樹脂としては、チグラー触媒のホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン等を、重量比率50%を超えない範囲でブレンドしても良い。また、添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
耐摩耗性向上剤としては、例えば無機物ではα−アルミナ、シリカ、カオリナイト、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の球状粒子が挙げられる。粒子形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、球状が好ましい。有機物では架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。粒径は、通常膜厚の30〜200%程度とする。これらの中でも球状のα−アルミナは、硬度が高く、耐摩耗性の向上に対する効果が大きいこと、また、球状の粒子を比較的得やすい点で特に好ましいものである。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
(加工方法)
次にこのようなポリプロピレン系樹脂を液晶ディスプレイ用保護フィルムに加工する方法について説明する。加工方法としては、押出し成形法、キャスト法、Tダイ法、水冷インフレーション法、射出成形等の各種成形法によって、フィルム状にすればよく、特にその加工方法を限定することはない。また、当該フィルムを先に作製しておき、その後、接着剤層を介して透明保護板(ガラス板)や偏光板に貼り合わせても良い。各部材に貼り合せるため、収縮の少ない延伸のかからない押出し成形、Tダイ成形が望ましい。当該フィルムの厚さは、60〜300μmで製造する。好ましいのは、100〜200μmである。60μmを薄いと衝撃吸収材として機能が劣り、300μmを超えると透明性が低下し、重量が増しハンドリングが困難となり、コストにも悪影響を与える。
(液晶ディスプレイ用保護板)
また、本実施形態にかかる液晶ディスプレイ用保護フィルムにあっては、上記で説明したポリプロピレン系樹脂フィルムからなる単層構造のみならず、他の層と積層された構造であってもよい。たとえば、透明な基板、つまり保護板(ガラス板)や偏光板と接する面に接着性向上のために易接着処理を施したり、易接着処理層を設けることができる。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、低圧UV処理、ケン化処理等の表面処理を挙げることができ、易接着処理層としては、アンカー層を挙げることができる。また、これらを併用することもできる。これらの中でも、コロナ処理、プラズマ処理、アンカー層を形成する方法、およびこれらを併用する方法が好ましい。
また、液晶ディスプレイ用保護フィルムに接着剤層を積層してもよい。接着剤層を形成する場合は、接着剤を透明保護板(ガラス板)や偏光板に貼り合せる両側に塗布することにより行う。易接着処理を行った面もしくは接着層を形成した面を介して、透明保護板(ガラス板)や偏光板に貼り合せた後に、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着剤層を形成する。接着剤層を形成した後にこれを貼り合わせることもできる。液晶ディスプレイ用保護フィルムと透明保護板(ガラス板)や偏光板偏光子との貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。加熱乾燥温度、乾燥時間は接着剤の種類に応じて適宜決定される。
接着剤層の厚みは、乾燥後の厚みで厚くなりすぎると、液晶ディスプレイ用保護フィルムの接着性の点で好ましくないことから、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.03〜5μmである。
本実施形態における液晶ディスプレイ用保護フィルムは、透明保護板と併用し、ディスプレイ表面、又は光学フィルタの基材等に貼り合せた後、その両側に設けた接着剤層を紫外線等の光線、電子線などの放射線を照射して硬化接着させる。光学フィルタを作製する場合、光学フィルタの基材又は機能層の上に液晶ディスプレイ用保護フィルムを貼り合せた後、更に、光学フィルタの基材、機能層又は保護層を積層してから固定してもよい。
液晶ディスプレイ用保護フィルムを接着する場合における接着剤を、紫外線等を照射して重合させる場合、酸素が存在すると重合が阻害される場合には、樹脂表面を酸素を遮断するための透明フィルム又は透明ガラスで覆うことが好ましい。紫外線照射装置としては枚葉式、コンベア式等の紫外線照射装置を使用することができる。また、紫外線照射用の光源としては低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプ等が使用できるが、高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましい。本実施形態における液晶ディスプレイ用保護フィルムは厚く成膜した場合であってもコポリマーを含むので、適度な硬さがを維持することができる、衝撃に対して塑性変形しにくく、従って、厚さを増すことによって衝撃吸収性を向上させやすい。
本実施形態の液晶ディスプレイ用保護フィルムは、反射防止層、防汚層、色素層、ハードコート層などの機能性を有する層をトリアセテートフィルム等の基材フィルムなどに積層した多層物、あるいはガラス、アクリル、ポリカーボネートなどの板、あるいはこれらの板に機能性を有する層を積層した多層物と組み合わせて、また、このような多層物からなる光学用フィルタとして使用することができる。
たとえば反射防止層は、可視光反射率が5%以下となる反射防止性を有している層であればよく、透明なプラスチックフィルム等の透明基材に既知の反射防止方法で処理された層を用いることができる。防汚層は表面に汚れがつきにくくするためのもので、表面張力を下げるためにフッ素系樹脂やシリコン系樹脂等の層が使用されるが、これら既知の層を使用することができる。
また、色素層は色純度を高めるために使用されるもので、液晶表示セルから発する光の色純度が低い場合に不要な光を低減するために使用される。不要な部分の光を吸収する色素を樹脂に溶解させ、トリアセテートフィルム等の基材フィルムなどに積層したりして形成する。
ハードコート層は表面硬度を高くするために使用される。ハードコート層としてはウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等のアクリル樹脂やエポキシ樹脂等をトリアセテート等の基材フィルムなどに製膜又は積層したものを使用することができる。同様に表面硬度を高めるためにガラス、アクリル、ポリカーボネートなどの板、あるいはこれらの板にハードコート層を製膜又は積層したものを使用することもできる。
このように、本実施形態の液晶ディスプレイ用保護フィルムは、反射防止層等の機能性を有する層と、適宜必要なものを積層して使用することができる。この場合、機能性を有する層は、透明基材の一方に積層されていてもよく、透明基材の両側に機能の異なる層が別々に、また、その両側に機能の同じ層が積層されていても良い。機能性を有する層の積層順序は任意である。これら機能性を有する層と組み合わせる場合、液晶ディスプレイ用保護フィルムはこれらの層よりも液晶パネル側に使用することが好ましい。また偏光板と積層して使用することもできる。この場合偏光板の視認面側に使用することもでき、偏光板と液晶セルの間に使用することもできる。偏光板の視認面側に使用する場合には液晶ディスプレイ用保護フィルムのさらに視認面側に反射防止層、防汚層、ハードコート層を積層することができ、偏光板と液晶セルの間に使用する場合には、偏光板の視認面側に機能性を有する層を積層することができる。
本実施形態の液晶ディスプレイ用保護フィルムは、液晶ディスプレイの液晶表示セルより、視認者側の適当な位置に配置される。液晶表示セルと透明保護基板の間に適用されることが特に好ましい。また、液晶ディスプレイ用保護フィルムを積層する透明基板としては、一般的にな光学用透明基板を使用することができる。具体的にはガラス板、アクリル板、ポリカーボネート板等の板や、厚手のポリエステルシート等が挙げられる。その厚さは、1.0〜5.0mmで液晶ディスプレイの大きさ、仕様により適宜選択される。高い表面硬度が必要な場合にはガラス、アクリル等の板が好ましく、ガラス板がより好ましい。これらの透明保護板の表面には反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていても良い。これらの表面処理は透明保護板の片面でも良く、両面に処理されていても良い。これらの透明保護板は複数を組み合わせて使用することもできる。偏光板は一般的な偏光板を使用することができる。これらの偏光板の表面には反射防止、防汚、ハードコート等の処理がなされていても良い。これらの表面処理は偏光板の片面でも良く、両面に処理されていても良い。本発明における液晶表示セルは一般的な液晶表示セルを使用することができる。液晶表示セルは液晶の制御方法によりTN、STN、VA、IPS等に別けられるが、いずれの制御方法を使用した液晶表示セルでも使用することができる。
次に、上述した実施の形態の具体的実施例を、比較例とともに説明する。
(実施例1〜9)
以下の表1に示す種々のポリプロピレン系樹脂を用いて、実施例1〜9の液晶ディスプレイ用保護フィルムを作成した。なお、メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン系樹脂は、日本ポリプロ(株)製,ウィンテック(登録商標)シリーズから曲げ弾性率の違いで選択した。なお、実施例3は、前記メタロセン触媒を用いて重合されたポリプロピレン樹脂に、リン酸エステル金属塩として環状リン酸エステルリチウム塩(アデカ(株)製,アデカスタブ(登録商標)NAシリーズ)を0.1質量部配合した。
(比較例1〜3)
以下の表1に示す種々のポリプロピレン系樹脂を用いて、比較例1〜3の液晶ディスプレイ用保護フィルムを作成した。
実施例1〜9および比較例1〜3それぞれの液晶ディスプレイ用保護フィルムを、横幅100mm、縦幅100mmに裁断し、前面ガラス用の2.8mm厚のフロートガラスに貼合し更にさらに0.7mm厚のガラスに貼り合わせて耐衝撃性試験と、前面ガラスから見た外観を検査した。
(耐衝撃性試験)
耐衝撃性試験は、作製したシートの一方の面に前面ガラスを貼合し、さらに他面に厚さ0.7mmの液晶パネルに通常使用されているものと同等のガラスを貼合した後に、前面ガラス側に510gの鋼球を落下させることによって実施した。5cm、7cm、8cm、10cm、12cm、15cmで、前面ガラスから鋼球の中心までの高さを変えて鋼球を落下させ、前面ガラスが割れるか否かの判定を行った。衝撃強さは下式に基づいて計算した。
衝撃強さ=鋼球重さ(kg)×高さ(m)×9.8(m/s2
例えば、高さ5cmから落下させた場合、0.51×0.05×9.8=0.25Jとなる。
(耐衝撃性試験の評価)
前面ガラスが破損したときの衝撃強さが0.35J以上の場合を ○
衝撃強さが0.35Jの時に前面ガラスの端部等にわずかなひびがでた場合を △
衝撃強さが0.25J以下で前面ガラスが破損した場合を ×
(外観検査の評価)
パネル表面から目視により乱反射や虹状の外観不良の有無を確認し、
問題がない場合を○
若干のくすみ、乱反射はあるが製品としてはOKレベルの場合を△
乱反射や虹状の外観不良がある場合を×
とした。
その結果を以下の表1に示す。
Figure 2013020081
以上からも、実施例にかかる液晶ディスプレイ用保護フィルムは、比較例のそれとくらべて、衝撃に強く、かつ透明性も高く外観に優れていることがわかった。

Claims (2)

  1. メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂からなり、曲げ弾性率が700MPa以上であることを特徴とする液晶ディスプレイ用保護フィルム。
  2. 透明基板と、
    前記透明基板の少なくとも一方の面に直接または間接的に設けられた保護フィルムと、
    を有する液晶ディスプレイ用保護板であって、
    前記保護フィルムが、メタロセン触媒により合成されたポリプロピレン系樹脂からなり、曲げ弾性率が700MPa以上であることを特徴とする液晶ディスプレイ用保護板。
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