JP2013001723A - ポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】剛性と耐衝撃性を両立しながら、耐スクラッチ性に優れたポリ乳酸含有ポリプロピレン系樹脂組成物を与える。
【解決手段】ポリプロピレン40〜60重量%、ポリ乳酸15〜40重量%およびスチレン系エラストマー15〜35重量%を含む樹脂分100重量部に対して、脂肪酸アミド0.1〜1.0重量部を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
【選択図】 図4

Description

本発明は、剛性と耐衝撃性を両立しながら、耐スクラッチ性に優れたポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体からなる自動車内装用部品に関する。
自動車内装用のポリプロピレン樹脂は、インストルメントパネル、グローブボックス、ドアトリム、ピラートリム、コンソールボックスなど多種多様な用途で使用されており、そのほとんどが塗装なしで用いられている。中でも、人の手や靴などが触れるドアトリムや他自動車部品などと接触する可能性が高いピラートリムは、使用環境下で引掻き傷、すり傷、擦れ傷が発生し、車室内の美観を損なうことがある。
一般的に自動車内装用のポリプロプレン樹脂組成物は、剛性、耐熱性に優れ、且つ、安価な材料価格を達成するために、無機フィラーなどを含有する。しかし、無機フィラーは傷に対して白化しやすいため、樹脂組成物の耐スクラッチ特性に不利に作用する。例えば特許文献1にはアルミノシロキサンマスターバッチを用いて、屈曲弾性率の低下を防ぎながらも耐スクラッチ特性を選択的に改善したポリプロピレン樹脂組成物が開示されている。しかしながら、タルクに代表される無機充填剤を含有したポリプロプレン樹脂組成物であるため、白化が発生しやすく引掻き傷に対する恒久的な対策とは考えにくい。
他方、石油をはじめとする化石資源の枯渇が懸念されており、また、自動車には、CO2削減や省エネルギー化のために燃費向上などの環境性能向上だけでなく、製品に使用される素材そのものに環境負荷を低減する環境性能が求められている。したがって、自動車用部品の製造に、植物由来のバイオマスプラスチックが利用できれば、望ましいことはいうまでもない。例えば、特許文献2では、ポリ乳酸をはじめとする植物由来樹脂、オレフィン系樹脂、スチレン系エラストマーを含有する樹脂組成物が開示され、適度な弾力性、良好な耐スクラッチ特性、自然な艶を持った天然比較に近い外観と触感を持った表皮材が形成されるとされている。しかし、この樹脂組成物は、表皮材形成用とは言うものの、発泡樹脂層とポリウレタン樹脂製の表皮層との間にサンドイッチされる中間樹脂層を形成するものであり、人の手や靴などが触れる表皮層としての使用は予定していない。事実、エラストマー成分の含有により、一般的に樹脂組成物の硬度が低下するため、表皮層として用いる際の耐スクラッチ特性は考慮されていないと考えられる。
樹脂組成物およびその成形体の耐スクラッチ特性を向上させる手段としては、(i)樹脂組成物の表面硬度を増加させる、(ii)滑剤等を添加して表面特性を変化させる、(iii)成形体の表面形状(例えば、シボ形状を施す)など、が知られている(非特許文献1)。(i)の手段の適用として、ポリプロピレンに、より硬質のポリ乳酸を配合したポリマーブレンドが考えられる。しかし、ポリ乳酸はこれまで自動車に使用されている樹脂と比較して、耐衝撃性が劣るという課題を有している。よって、自動車内装部品のドアトリム、ピラートリムに挙げられるように、側面衝突時に成形品が脆性的に破壊しないほどの耐衝撃性を有するには、ポリ乳酸とポリプロピレン樹脂のポリマーブレンドでは到底達成できない。
特開2006−241454号公報 特開2010−285484号公報
杉浦基之: 「高機能耐擦傷性改良剤」, プラスチックス, Vol.57、No.9,37−40頁(2006)。
本発明の主要な目的は、剛性と耐衝撃性を両立しながら、耐スクラッチ性に優れたポリ乳酸含有ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体からなる自動車内装用部品を与えることにある。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上述の目的を達成するものであり、より詳しくは、ポリプロピレン40〜60重量%、ポリ乳酸15〜40重量%およびスチレン系エラストマー15〜35重量%を含む樹脂分100重量部に対して、脂肪酸アミド0.1〜1.0重量部を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の自動車内装用部品は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物の射出成形体から成ることを特徴とするものである。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレンに、より硬度の高いポリ乳酸の特定量を配合し、得られるポリプロピレン−ポリ乳酸ブレンドの耐衝撃性および耐スクラッチ性の不足を、特定量のスチレン系エラストマーおよび脂肪酸アミドの配合によりそれぞれ改善することが、上述の目的の達成のために極めて有効であるとの知見に基づく。より詳しくは、以下のような要因が総合的に寄与していると考えられる。(イ)ポリプロピレンに配合されたポリ乳酸は、ポリプロピレンよりも親水性に優れるため、選択的に表面配向し、耐スクラッチ特性が向上するだけではなく、樹脂組成物の剛性の向上にも寄与する。(ロ)得られたポリプロピレン−ポリ乳酸ブレンドの耐衝撃性の不足は特定量のスチレン系エラストマーの配合により解決される。(ハ)更に添加された滑剤成分としての脂肪族アミドは、ポリプロピレンに比べてポリ乳酸に近い溶解度パラメータを持つため、脂肪酸アミドがポリ乳酸に引き寄せられる形でより樹脂成形体の表面に偏在しやすくなり、耐スクラッチ特性の向上に絶大な効果を発揮する(後記実施例、比較例参照)。このようにして総合的に改善された剛性、耐衝撃性および耐スクラッチ性は、上述のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成型することにより得られる本発明の自動車内装用部品の性能向上に寄与する。
また、ポリ乳酸は植物資源から発酵により得られる乳酸を原料としており、現在では商業プラントで量産され、最も利用しやすいバイオマスプラスチックであることから、本発明のポリ乳酸の有効利用によるポリプロピレン使用量の低減は、環境負荷ならびに石油資源の使用量の低減につながり、この面でもきわめて有用と解される。
耐スクラッチ性評価のための碁盤目試験に用いた自動クロスカット試験機の概要図。 上記試験機に装着した引掻き針の先端形状を示す側面図。 上記試験に用いた碁盤目形状の説明図。 実施例1および比較例1の組成物における、滑剤:脂肪酸アミド量の変化による耐スクラッチ性(ΔL*)の変化を示すグラフ。 実施例1〜3および比較例1の滑剤:脂肪酸アミドをそれぞれ0.5重量部加えた組成物と滑剤なしの組成物における耐スクラッチ性(ΔL*)の変化を示す棒グラフ。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、ポリプロピレン、ポリ乳酸およびスチレン系エラストマーを主たる樹脂成分とし、これに脂肪酸アミドを配合することにより得られるものである。
(ポリプロピレン)
本発明の樹脂組成物の主たる成分であるポリプロピレンとしては、共重合体に比べて剛性および表面硬度に優れたホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)が好ましく、特に曲げ弾性率(ISO178:1993)が2000MPa以上のものが好ましく用いられる。曲げ弾性率が2000MPa未満であると、ポリ乳酸を含んだポリプロピレン樹脂組成物の曲げ弾性率が低下する傾向にあり、また耐スクラッチ性にも影響を与える。230℃、2.16kgfで測定したメルトフロー値(MFR)(JIS K7210)は20g/10分以上が好ましく、より好ましくは30g/10分以上のものが用いられる。
(ポリ乳酸)
ポリ乳酸は、D-乳酸ユニット(D体)が5モル%未満、特に、2モル%以下、のものが好ましい。D-乳酸ユニットが5モル%以上であると、樹脂組成物の表面硬度、曲げ弾性率が低下する傾向にある。曲げ弾性率が、3500MPa以上のものが好ましい。MFR(JIS K7210、190℃、2.16kgf)が、20g/10分以上、特に30g/10分以上のものが好ましい。好ましい市販品の例としては、NatureWorks社製「3001D」(射出成形用グレード)、海正生物材料社製「REVODE 110」などがある。
(スチレン系エラストマー)
スチレン系エラストマーとしては、スチレン−ブタジエン共重合体およびスチレン−イソプレン共重合体の水素添加物が用いられる。その中でも、ブタジエンあるいはイソプレンに起因する二重結合の水素添加度が90モル%以上、特に95モル%以上であり、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)およびスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)と通称されるものが、例えば自動車使用環境下での耐候(光)性能に優れるために好ましい。
水素添加スチレン系エラストマーは、それ自体でポリプロピレンとポリ乳酸との間の親和性を改良する効果を有する。化学的な変性処理をしたものを用いることもできるが、耐スクラッチ性に悪影響を与える傾向があるので未変性のものが好ましい。スチレン含有量(より詳しくは、重合したブロック共重合体エラストマー中のポリスチレンセグメンの含有量)は、小なるほどエラストマー性が強く、大になるほどエラストマー性を失う。本発明では、スチレン含有量が、14〜21重量%、特に15〜18重量%のものを用いることは好ましい。スチレン含有量が21重量%を超えると、得られる樹脂組成物の衝撃値が低下する傾向を示し、スチレン含有量が14重量%を下回ると樹脂組成物の剛性が低下する傾向となる。
水素添加スチレン系エラストマーは、分子量判定の目安となるメルトフロー値(MFR:JIS K7210、230℃、2.16kgf)が、2〜10g/10分、好ましくは4〜6g/10分のものが好ましく用いられる。上記のメルトフロー値範囲内において、スチレン系エラストマーのポリプロピレンマトリクス中への分散粒子径が、剛性(曲げ弾性率)と耐衝撃性の両立に寄与するに最適なサイズ、約0.3〜3μmとなる。
(樹脂組成)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物における主たる樹脂三成分、すなわち:ポリプロピレン、ポリ乳酸およびスチレン系エラストマー、の間で維持されるべき組成は以下の通りである。
ポリプロピレンは、上記三成分のうち40〜60重量%、好ましくは45〜55重量%、を占める量で用いられる。40重量%未満であると樹脂組成物においてポリプロピレンがマトリックス相とならず、成形性および耐久性の面で低下する傾向が見られる。一方、60重量%を越えるとポリ乳酸やスチレン系エラストマーの含有量が低下し、樹脂組成物の剛性、耐衝撃性の両立が困難となる。
ポリ乳酸は15〜40重量%、好ましくは20〜35重量%である。15重量%未満であると樹脂組成物の剛性が低下し、40重量%を越えると成形加工性が低下する。
スチレン系エラストマーの含有量は、含まれるスチレン含有量の値により変化するエラストマー性の強弱により変化するが、15〜35重量%、好ましくは18〜33重量%の範囲とする。15重量%未満であると樹脂組成物の耐衝撃性が低下し、35重量%を越えると剛性が低下する。
(脂肪酸アミド)
本発明に用いる脂肪酸アミドとしては、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等、ポリプロピレン系樹脂用滑剤として用いられる脂肪酸アミドがいずれも好適に用いられるが、なかでも揮発性が低く、高温加工が可能なため、表面硬度および耐衝撃性の低下が少ないエルカ酸アミドが最も好ましい。上記樹脂成分100重量部に対して、これら脂肪酸アミドを0.1〜1.0重量部、好ましくは0.2〜0.7重量部、配合することにより、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物が得られる。0.1重量部未満では添加効果が乏しく、1.0重量%を超えて添加すると耐衝撃性の低下が無視できなくなる。
(その他成分)
内装品の用途によっては、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に、上記3樹脂成分のそれぞれの下限量を維持する範囲での他の樹脂、有機結晶核剤、脂肪酸石鹸、パラフィンワックス、脂肪酸エステル等の脂肪酸アミド以外の滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤(顔料、金属粉等)、発泡剤、難燃剤等の添加物が、本発明の目的を損なわない範囲で含まれていても良い。
(組成物)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記各成分を、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ニーダー等の混練機を用いて、例えば180〜230℃の温度で混練し、造粒(ペレット化)することにより形成できる。生産性を考慮すると、二軸混練押出機を用い、滞留時間を10分間以下とすることが好ましい。
(自動車用内装部品の製造)
上記で得られた本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を、所望の部品成形に適した形状のキャビティを有する金型を備えた射出成形機により、型締め圧100〜2000トン、成形温度180〜200℃の条件で、射出成型することにより、本発明の自動車用内装部品が得られる。
以下、実施例および比較例を参照して、本発明をより具体的に説明する。以下の記載において、組成の規定に関する「比」、「%」および「部」は、特に断らない限りいずれも重量基準とする。また、以下の記載を含めて本明細書に記載する物性値は、以下の方法による測定値に基づく。
1)テストピースの成形
二軸押出機(神戸製鋼(株)製、スクリュー径D:32mm、スクリュー長L/D=44)を用いて、200℃、滞留時間20分で溶融混練してペレット化した後、型締め圧130トンの射出成形機を用いて、成形温度200℃の条件で、各種テストピース(耐スクラッチ特性評価用、曲げ弾性率測定用、シャルピー衝撃強さ測定用、ロックウェル硬さ測定用)を成形した。
2)測定試験
<耐スクラッチ性>
自動車用内装部品を想定した耐スクラッチ特性の評価手法として、使用環境下で発生する可能性が高い引掻き傷を取り上げた。図1の概要図が示すような形態となる株式会社安田精機製作所製の自動クロスカット試験機「No.551−AUTO」を使用し、図2に示すサファイア製の引掻き針を装着した。そして、図3に示すような碁盤目間隔1mm、引掻き本数11×11本の碁盤目状の引掻き傷を発生させた。発生させた引掻き傷は試験前後の明度値Lを測定し、その明度値の差として得られる変化量ΔLを求めた。ΔLが大きいほど耐スクラッチ特性が劣り、使用環境下で傷が発生し車室内の美観を著しく損なうと判定される。明度値の測定には、コニカミノルタ製の分光測色計CM-2600dを使用した。従来の自動車内装用ポリプロピレン樹脂の明度値変化量ΔLは7以上となる。本発明の組成物によれば、目視にて著しい傷が発生しない明度値変化(ΔL)3未満、更には自動車使用環境下でユーザーが傷を不快に感じないと思われる1.0未満、が容易に達成可能である。
<曲げ弾性率>
曲げ弾性率は、ISO178(JIS K7171「プラスチック−曲げ特性の求め方-」)に準拠し、80mm×10mm×4mmtのテストピースを使用し、雰囲気温度23℃の環境下において曲げ速度2mm/分で測定した。曲げ弾性率は、自動車内装用ポリプロピレン系樹脂で平面部分の面積が大きい部品に適用されるものと同等の耐凹み性を保持する1500MPa以上が好ましいが、平面部分の面積が小さいもので耐スクラッチ性を要求する内装品用途には、1000MPa以上でも充分使用可能である。
<シャルピー衝撃強さ>
シャルピー衝撃強さはJIS K7111−2「プラスチック−シャルピー衝撃特性の求め方-」に準拠し、タイプAノッチ(ISO 179/1eA)を設けた80mm×10mm×4mmtのテストピースを使用して、雰囲気温度23℃の環境下において評価した。シャルピー衝撃強さは、耐衝撃試験において、脆性破壊を起さないために15kJ/m以上であることが好ましい。
<ロックウェル硬さ>
樹脂組成物の表面硬度は、JIS G 0202に準拠してロックウェル硬さ試験法で評価した。試験は1/2インチ鋼球を使用し、60kgfの荷重を掛けるRスケールで測定した。前述したように、樹脂成形体の表面硬度が高いほど、一般的に耐スクラッチ特性には有利に作用する。
(実施例1)
基本樹脂組成として、ポリプロピレン(プライムポリプロ『J137M』((株)プライムポリマー製; 結晶核剤を約0.1%の割合で含むホモポリプロピレン;MFR=30g/10分、曲げ弾性率=2300MPa、シャルピー衝撃強さ(23℃)=1.0kJ/m)50重量部、ポリ乳酸(NatureWorks社製、射出成形用グレード『3001D』;MFR=30g/10分、曲げ弾性率=3500MPa、シャルピー衝撃強さ(23℃)=2.0kJ/m)30重量部およびスチレン系エラストマーとしてスチレン・エチレン・プロピレン・スチレン(SEPS)共重合体((株)クラレ製「セプトン2004」;MFR=5g/10分、破断強度=16MPa)を含む基本組成物(比較例)を用意した。
次いで上記基本組成物に滑剤:脂肪酸アミドとしてエルカ酸アミド(日本精化製「ニュートロンS」)を0.2重量部、0.5重量部あるいは1.0重量部を加えて3種の組成物(いずれも実施例)を調製した。
(実施例2)
上記実施例1において、組成をポリプロピレン50重量部、ポリ乳酸25重量部およびスチレン系エラストマー25重量部に変更した基本組成物(比較例)を用意し、さらにこれに実施例1の滑剤:脂肪酸アミド0.5重量部を加えた組成物(実施例)を調製した。
(実施例3)
上記実施例1において、組成をポリプロピレン50重量部、ポリ乳酸20重量部およびスチレン系エラストマー30重量部に変更した基本組成物(比較例)を用意し、さらにこれに実施例1の滑剤:脂肪酸アミド0.5重量部を加えた組成物(実施例)を調製した。
(比較例1)
上記実施例1において、組成をポリプロピレン80重量部およびスチレン系エラストマー20重量部のみを含み、ポリ乳酸を除いた基本組成物(比較例)を用意し、さらにこれに実施例1の滑剤:脂肪酸アミド0.2重量部、0.5重量部あるいは1.0重量部を加えて3種の組成物(いずれも比較例)を調製した。
(組成物の評価)
上記実施例1〜3および比較例1で得られた各基本組成物に、滑剤:脂肪酸アミドをそれぞれ0.5重量部加えた組成物について、それぞれ曲げ弾性率、シャルピー衝撃値、およびロックウェル硬度を測定し、また全組成物について、碁盤目試験によるスクラッチ試験前後の明度変化を測定した。結果をまとめて表1に示す。更に実施例1および比較例1の組成物における、滑剤:脂肪酸アミド量の変化による耐スクラッチ性(ΔL*)の変化を図4に、また実施例1〜3および比較例1の滑剤:脂肪酸アミドをそれぞれ0.5重量部加えた組成物と滑剤なしの組成物における耐スクラッチ性(ΔL*)の変化を図5に、それぞれ示す。
Figure 2013001723
表1ならびに図4に示すように、樹脂組成物にポリ乳酸樹脂を含有することで、樹脂組成物の明度値変化ΔLが低下し、耐スクラッチ特性が向上する結果となった。また、脂肪酸アミドの含有量を増加するに伴い、樹脂組成物の明度値変化ΔLが顕著に低下する傾向を示した。特に、脂肪酸アミド(D)の含有量が0.5重量%において、明度値変化ΔLは0.5未満となり、目視では傷がほとんど確認できない状態となった。また脂肪酸アミドの添加量が1.0重量部となると、明度値変化ΔLは若干上昇し、耐スクラッチ特性が悪化した。本現象は、ロックウェル硬さ試験から示唆されるように、脂肪酸アミドの添加量が増加すると、樹脂組成物の表面硬度が低下するのが影響していると考えられるが、ポリ乳酸添加系では脂肪酸アミドがよりよく表面近傍に保持されるために、ポリ乳酸非添加系に比べ脂肪酸アミド量の増大に伴う悪影響は極めて効果的に抑制されていることが示唆される。したがって、本発明の組成物において、脂肪酸アミドの添加量は、0.2〜0.7重量部が最も好ましいが、0.1〜1.0重量部の範囲でも充分効果が発揮できている。また表1および図5は、ポリ乳酸添加量が変化する場合にも、脂肪酸アミドの添加による耐スクラッチ性の向上(ΔLの低下)効果が顕著に認められることを示す。
本発明によれば、従来の自動車用ポリプロピレン樹脂組成物と比較して、耐スクラッチ特性に優れ、且つ、剛性と耐衝撃性のバランスに優れるため、従来の自動車用内装樹脂部品に適用でき、特に、ドアトリム、ピラートリムに好適なポリ乳酸含有ポリプロピレン系樹脂組成物及びその射出成形による自動車内装用部品が提供される。また、上記の部品例と併せて、コンソールボックス、無塗装仕様のバンパなどについても従来のポリプロピレン樹脂組成物からの代替が可能となる。また、構成成分が市販品であり、特殊な化学変性処理を施していない成分でも効果が発揮されるため、一般的にコスト面が懸念されるバイオマスプラスチックにおいて安価な材料費で実現できる。よって、従来のバイオマスプラスチックよりもより汎用性が高い。本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、自動車内外装部品や二輪部品だけではなく、家電、AV機器、OA機器、化粧品、生活用品、事務用品など幅広い応用が期待される。

Claims (8)

  1. ポリプロピレン40〜60重量%、ポリ乳酸15〜40重量%およびスチレン系エラストマー15〜35重量%を含む樹脂分100重量部に対して、脂肪酸アミド0.1〜1.0重量部を含むことを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
  2. ポリプロピレンは曲げ弾性率が2000MPa以上のホモポリプロピレンであり、ポリ乳酸のD体含有量は5モル%未満である請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  3. 脂肪酸アミドが、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミドおよびオレイン酸アミドから選ばれる請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  4. スチレン系エラストマーは、スチレン含有量が14〜21重量%かつメルトフロー値が2〜10g/10分である請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  5. スチレン系エラストマーは、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)またはスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)である請求項4に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  6. 耐スクラッチ特性評価において、明度値変化(ΔL)が3未満である請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  7. 曲げ弾性率が1500MPa以上且つシャルピー衝撃強さが15kg/cm以上である請求項1〜6のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂組成物を射出成形してなる自動車内装用部品。
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