次に、本発明に係るタイヤ1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
本実施形態においては、(1)タイヤ1Aの概略構成、(2)乱流発生用突条10及び円周方向突条15の概略構成、(3)乱流発生用突条の冷却メカニズム、(4)作用・効果、(5)その他の実施形態、及び(6)比較評価について説明する。
まず、実施の形態1に係るタイヤ1A(1)の概略構成について図1及び図2を用いて説明する。図1〜図3は、実施の形態1に係るタイヤ1A(1)及びその要部を示している。図1は、タイヤ1Aの側面図である。図2は、図1のA−A断面を示す要部断面図である。すなわち、図2は、タイヤ1Aのタイヤ幅方向twd及びタイヤ径方向trdに沿った断面図である。図2は、タイヤ赤道線CLからタイヤ幅方向twdにおいて外側の部分を示す。
(1)タイヤ1Aの概略構成
図1および図2に示すように、タイヤ1Aは、路面と接触するトレッド部2と、タイヤ幅方向twdにおける両側のタイヤサイド部3と、それぞれのタイヤサイド部3の開口縁に沿って設けられたビード部4と、を備えて大略構成されている。図1に示すように、タイヤサイド部3の外側表面3Aには、複数の乱流発生用突条10が配置されている。また、タイヤサイド部3の外側表面3Aには、タイヤ周方向tcdに延在する円周方向突条15が配置される。したがって、タイヤ1Aは、乱流発生用突条10と円周方向突条15とを備える。なお、タイヤサイド部3の外側表面は、外側表面3A、外側表面3B及び外側表面3Cによって構成される。タイヤサイド部3の外側表面3Aは、タイヤ径方向trdにおける外側表面3B及び外側表面3Cの間の表面である。タイヤサイド部3の外側表面3Bは、乱流発生用突条10のタイヤ径方向trd内側に位置する表面である。タイヤサイド部3の外側表面3Cは、円周方向突条15のタイヤ径方向trd外側に位置する表面である。
図2に示すように、ビード部4は、タイヤサイド部3の開口部の縁部に沿って周回するように設けられた、ビードコア6Aおよびビードフィラー6Bを備えている。ビードコア6Aとしては、具体的にスチールコードなどが用いられている。
また、図2に示すように、タイヤ1Aは、タイヤの骨格となるカーカス層7を有している。カーカス層7は、1対のビードコア6A間に跨るトロイダル形状を有する。カーカス層7は、1対のビードコア6Aでタイヤ幅方向twdの外側に折り返される折り返し部分と、1対のビードコア6A間に跨るカーカス本体部とを有する。折り返し部分は、タイヤ径方向trdにおける外側の端部である折り返し端部を有する。カーカス層7の折り返し端部は、タイヤ径方向trdにおいて、タイヤ最大幅領域TRよりも外側に位置している。
タイヤサイド部3に位置するカーカス層7の内側(タイヤ径方向trd内側)には、補強ゴムとしてのサイドウォール補強層8が設けられている。このサイドウォール補強層8は、タイヤ幅方向twd及びタイヤ径方向trdに沿った断面において三日月形状のゴムストックによって形成されている。
カーカス層7のタイヤ径方向trd外側には、複数層のベルト層9が設けられている。ベルト層9のタイヤ径方向trd外側には、路面と接地する上記トレッド部2が設けられている。
タイヤ1Aは、タイヤ幅方向twdにおけるタイヤ1Aの長さが最大となるタイヤ最大幅を有する。なお、ここでいうタイヤ最大幅とは、例えば、リムガードを備えるタイヤにおいては、タイヤ幅方向twdにおけるリムガード間の最大幅を含まない。すなわち、タイヤ最大幅は、リムガードを含まない。タイヤ径方向trdにおけるビード部4の内側の端部の高さを基準として、タイヤ最大幅の最大幅高さSWHは、タイヤに空気を入れない状態においてタイヤ赤道線CL上のトレッド面までのトレッド面高さSWHの48%以上に位置する。
タイヤ1Aは、タイヤサイド部3において、タイヤ幅方向twdにおけるタイヤ1Aの長さが最大となる位置を含むタイヤ最大幅領域TRを有する。すなわち、最大幅領域TRは、タイヤ径方向trdにおいて、最大幅高さSWHを含む高さに位置するタイヤサイド部3の表面である。なお、タイヤ径方向trdにおけるタイヤ最大幅領域TRの範囲は、トレッド面高さSWHの25%以内の領域である。一般車両に用いられるランフラットタイヤであれば、タイヤ径方向trdにおいて、最大幅領域TRは、おおよそ60mmの範囲である。すなわち、タイヤ径方向trdにおけるタイヤ最大幅領域TRの範囲は、タイヤ最大幅位置を中心として、タイヤ径方向trd外側に30mm及びタイヤ径方向trd内側に30mmの範囲である。
タイヤ1Aにおいて、タイヤサイド部3は、薄ゲージであることが好ましい。これにより、パンク走行時(タイヤ内圧0kPa走行時)におけるタイヤサイド部3の発熱を低減することができる。
本明細書において、ゲージの厚みは、カーカス層7の表面から垂直に厚みを測ったときの最も薄い部分である。すなわち、カーカス層7の表面からタイヤサイド部3の外側表面までの最も薄い厚み部分である。本実施の形態に係るタイヤ1Aにあっては、カーカス層7の折り返し部分のタイヤ径方向における外側の端部からの厚みであり、タイヤサイド部3のゲージ厚は、3.0mmであった。なお、タイヤサイド部3のゲージ厚は、2〜4mmであることが好ましい。
(2)乱流発生用突条10及び円周方向突条15の概略構成
乱流発生用突条10の概略構成について、図1から図5を用いて説明する。図3は、図1に示す乱流発生用突条10の部分拡大図である。図4(a)は、図1に示す乱流発生用突条10の部分拡大図である。図4(b)は、図4(a)に示す乱流発生用突条10の延在方向に直交する断面図である。具体的には、図4(b)は、図4(a)のC−C断面図である。図5(a)は、タイヤ1Aのタイヤ幅方向twd及びタイヤ径方向trdに沿った一部断面図である。図5(b)は、タイヤ1Aのタイヤ幅方向twd及びタイヤ径方向trdに沿った一部断面図である。具体的には、図5(a)及び図5(b)は、図3におけるB−B断面図である。
本実施形態のように、三日月形状の補強ゴムでなるサイドウォール補強層8が設けられたタイヤサイド部3を有するタイヤ1Aにおいては、特にタイヤサイド部3の温度を低減させることが、耐久性向上の観点から有効になる。そこで、本実施形態のタイヤ1Aでは、上述したように、タイヤサイド部3の外側表面3Aに複数の乱流発生用突条10を突設して、乱流を発生させる若しくは乱流を促進することによって、このタイヤサイド部3における冷却効果を高めるようにしている。
複数の乱流発生用突条10は、タイヤサイド部3の外側表面3Aから突出し、タイヤ径方向trdに沿って延在し、且つタイヤ周方向tcdに沿って間隔を隔てて配置されている。乱流発生用突条10は、図1に示すように、タイヤサイド部3の外側表面3Aに、タイヤ回転軸を中心として放射状に配置されている。タイヤ幅方向twdから見て、乱流発生用突条10は、タイヤ径方向trdに対して傾斜して延在する。したがって、乱流発生用突条10の延在方向における長さは、乱流発生用突条10のタイヤ径方向trdに沿った長さに比べて長い。タイヤ径方向における乱流発生用突条10の端部は、タイヤ径方向trdにおける乱流発生用突条10の外側に位置する突条外側端部11と、タイヤ径方向trdにおける乱流発生用突条10の内側に位置する突条内側端部12とを有する。また、円周方向突条15は、タイヤサイド部3の外側表面3Aから突出し、タイヤ周方向tcdに沿って延在する。タイヤ径方向trdから見て、円周方向突条15は、環状である。
乱流発生用突条10は、タイヤ1Aの回転時にタイヤサイド部3の外側表面に乱流を発生させたり、乱流を促進させたりするための長尺状の突起である。図2に示すように、乱流発生用突条10のタイヤ径方向trdにおいて外側端部となる突条外側端部11は、タイヤ最大幅領域TRに位置する。突条外側端部11は、円周方向突条15に連なる。突条外側端部11と円周方向突条15とが連なる部分において、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する円周方向突条15の高さ15Hは、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する突条外側端部11の高さ11Hよりも高い。すなわち、突条外側端部11と円周方向突条15とが連なる部分において、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する突条外側端部11の高さ11Hは、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する円周方向突条15の高さ15Hよりもよりも低い。したがって、突条外側端部11と円周方向突条15とが連なる部分には、タイヤ幅方向twdに沿った高さが異なる段差が形成される。
乱流発生用突条10の突条内側端部12は、乱流発生用突条10のタイヤ径方向trd内側にあるタイヤサイド部3の外側表面3Bに対して滑らかに連なる。すなわち、突条内側端部12と外側表面3Bとが連なる部分には、タイヤ幅方向twdに沿った高さが異なる段差が形成されない。突条内側端部12と外側表面3Bとが連なる部分において、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する突条内側端部12の高さは、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する外側表面3Bの高さと同じである。言い換えると、乱流発生用突条10の突条内側端部12は、外側表面3Bに面一になるように連続している。したがって、突条内側端部12の剛性を向上させて、欠けやもげ等の破損を抑制することができるとともに、製造時のベアの発生を抑制して形状不良や外観不良になる可能性を低くすることができる。
円周方向突条15のタイヤ径方向trd外側にあるタイヤサイド部3の外側表面3Cには、情報伝達のための文字及び記号が付されている。
本実施の形態では、図3に示すように、互いに隣接する乱流発生用突条10同士は所定の間隔に設定されている。乱流発生用突条10のタイヤ周方向tcdにおける幅である突条幅は、タイヤ径方向外側(トレッド部2側)に向かって広がるように変化する。したがって、タイヤの回転や車両の走行に伴う遠心力によりタイヤ径方向trd内側からタイヤ径方向trd外側に向かう流体が乱流発生用突条10にあたり、タイヤサイド部3の温度の冷却効果を高めることが可能となる。また、タイヤ径方向trd外側に移動する流体をタイヤ周方向tcdにおいて隣接する乱流発生用突条10に導きやすくなり、タイヤサイド部3全体における冷却効果を高めることが可能となる。
また、乱流発生用突条10の長手方向(すなわち、乱流発生用突条10の延在方向)に沿った両側辺の形状は、一方の側辺と他方の側辺とによって異なっている。一方の側辺の形状は、長手方向と略平行であって略直線状である。また、他方の側辺の形状は、一方の側辺と略平行な緩傾部13と、緩傾部13よりも長手方向に対して傾斜した急傾部14と、を有する。突条外側端部11の近傍は、急傾部14である。よって、乱流発生用突条10は、突条外側端部11に向かって、突条幅が大きくなっている。
乱流発生用突条10の突条外側端部11のタイヤ周方向における端部である幅端部11A、11Bのうち、一方の幅端部11Aは、タイヤ周方向に延びる周方向辺E1とタイヤ径方向trdに延びる径方向辺E2とが交わる角度θeが90度以下となるように形成されている。
乱流発生用突条10の突条内側端部12は、タイヤ周方向tcdにおける端部である幅端部12A、12Bを含む。タイヤ幅方向twdから見て、幅端部12A、12Bのタイヤ周方向tcdにおける略中心を通り、タイヤ周方向tcdにおける幅端部12B側の側面と略平行な直線を直線mとする。緩傾部13と急傾部14との境界を通り、直線mに平行な直線を直線nとする。直線mと直線nとの距離11Waは、本実施の形態において、1.4mmである。幅端部11Bと直線mとの距離11Wbは、1.2mmである。乱流発生用突条10の突条外側端部11の突条幅11Wは、4.7〜7.1mmである。
乱流発生用突条10の突条内側端部12のタイヤ周方向における端部である幅端部12A、12Bのうち、一方の幅端部12Aと直線mと距離12Waは、本実施の形態において、0.7mmである。他方の幅端部12Bと直線mとの距離12Wbは、本実施の形態において、0.8mmである。突条内側端部12の突条幅12Wは、1.2〜1.5mmである。なお、突条外側端部11の突条幅11W及び突条内側端部12の突条幅12Wは、タイヤサイズ毎に適宜調整することができる。
乱流発生用突条10の突条外側端部11と突条内側端部12とのタイヤ径方向trdにおける長さ10Lは、8〜30mmの範囲が好ましい。
本実施の形態において、タイヤ幅方向twdから見て、乱流発生用突条10の一片の側辺は、円弧状である。乱流発生用突条10の一片の側辺の曲率半径Raは、180mmで一定である。タイヤ幅方向twdから見て、緩傾部13は、円弧状の側面を有する。緩傾部13の側面の曲率半径Rbは、180mmで一定である。タイヤ幅方向twdから見て、急傾部14は、円弧状の側面を有する。急傾部14の側面の曲率半径Rcは、長さ10Lの0.8倍である。曲率半径Rcは、12mm〜20mmの範囲が好ましい。タイヤサイド部3の外側表面3Bのタイヤ径方向trdにおける端部は、タイヤ周方向tcdに沿って延びる。
タイヤ幅方向twdから見た外側表面3Bのタイヤ径方向trdにおける端部は、円弧状である。外側表面3Bのタイヤ径方向trdにおける端部の曲率半径Rdによって、乱流発生用突条10の本数及びピッチ角度θpを決定してもよい。例えば、曲率半径Rdが147.2mm〜165.4mmの場合、乱流発生用突条10は、90本であり、ピッチ角度θpは、4度である。曲率半径Rdが165.5mm〜176.5mmの場合、乱流発生用突条10は、96本であり、ピッチ角度θpは、3.8度である。曲率半径Rdが176.6mm〜183.8mmの場合、乱流発生用突条10は、100本であり、ピッチ角度θpは、3.6度である。曲率半径Rdが183.9mm〜220.6mmの場合、乱流発生用突条10は120本であり、ピッチ角度θpは、3度である。曲率半径Rdが220.7mm〜229.8mmの場合、乱流発生用突条10は、125本であり、ピッチ角度θpは、2.9度である。曲率半径Rdが229.9mm〜264.7mmの場合、乱流発生用突条10は、144本であり、ピッチ角度θpは、2.5度である。曲率半径Rdが264.8mm〜275.7mmの場合、乱流発生用突条10は、150本であり、ピッチ角度θpは、2.4度である。曲率半径Rdが275.8mm〜294.1mmの場合、乱流発生用突条10は、160本であり、ピッチ角度θpは、2.3度である。曲率半径Rdが294.2mm〜330.9mmの場合、乱流発生用突条10は、180本であり、ピッチ角度θpは、2度である。曲率半径Rdが331.0mm〜352.9mmの場合、乱流発生用突条10は、192本であり、ピッチ角度θpは、1.9度である。曲率半径Rdが353.0mm〜367.6mmの場合、乱流発生用突条10は、200本であり、ピッチ角度θpは、1.8度である。
なお、ピッチ角度θpとは、タイヤの回転軸を中心として、一の乱流発生用突条10と一の乱流発生用突条10に隣接する他の乱流発生用突条10とのなす角度である。具体的には、ピッチ角度θpは、隣接する乱流発生用突条10それぞれの直線m上における長さ10Lを二等分した点との各交点とタイヤの回転軸とのなす角度である。
タイヤ径方向trdに平行な直線と直線mとの角度θaは、10〜45度の範囲が好ましい。本実施の形態において、タイヤ径方向trdに平行な直線と直線mとの角度θaは、27度である。
図4(b)に示されるように、乱流発生用突条10の延在方向に直交する断面において、乱流発生用突条10とタイヤサイド部3の外側表面3Aとは、円弧状に連なることが好ましい。本実施の形態において、円弧の曲率半径Reは、0.4mmである。また、タイヤ周方向tcdに面する乱流発生用突条10の側面とタイヤ幅方向twdに平行な線とのなす角度θbは、3〜15度の範囲が好ましい。本実施の形態において、角度θbは、10度である。
図5(b)に示されるように、タイヤサイド部3の外側表面3Aからの高さ10Hは、0.5mm〜1.5mmの範囲にあることが好ましい。高さ10Hが0.5mm以上であることにより、冷却効果が高まる。高さ10Hが1.5mm以下であることにより、乱流発生用突条10を形成するモールドの凹部の底までの深さが深くならないため、乱流発生用突条10を形成するモールドの凹部の底にまで、ゴム材料が入りやすくなる。このため、乱流発生用突条10にベアが発生することを抑制できる。本実施の形態において、高さ10Hは、0.7mmであり、一定である。
円周方向突条15の外側表面3Aからの高さ15Hは、0.5mm〜1.5mmの範囲にあることが好ましい。高さ15Hが0.5mm以上であることにより、円周方向突条15を形成するモールドの凹部に溜まった空気が突条外側端部11を形成するモールドの凹部に移動しにくくなる。このため、乱流発生用突条10のベアの発生を抑制できる。高さ15Hが1.5mm以下であることにより、円周方向突条15を形成するモールドの凹部の底までの長さが短くなるため、突条外側端部11を形成するモールドの凹部の底にまで、ゴム材料が入りやすくなる。このため、円周方向突条15にベアが発生することを抑制できる。本実施の形態において、高さ15Hは、0.9mmである。上述の通り、本実施の形態において、高さ15Hは、高さ10Hよりも高い。
本実施の形態において、タイヤ径方向trdにおける円周方向突条15の幅は、タイヤ幅方向twdによって異なる。具体的には、タイヤ幅方向twd外側に向かうに連れ、円周方向突条15の幅は、狭くなる。したがって、タイヤ径方向trdにおける円周方向突条15の上面15a(タイヤ径方向trdに面する面)の幅15Laは、タイヤ径方向trdにおけるタイヤサイド部3の外側表面3上の円周方向突条15の幅15Lbよりも狭くなる。すなわち、タイヤ径方向trd及びタイヤ幅方向twdに沿った断面において、円周方向突条15の形状は、台形状である。幅15La及び幅15Lbは、0.2mm≦幅15La≦3mm、1.5mm≦幅15Lb≦5.0mmを満たすことが好ましい。幅15Laが0.2mm以上であり、幅15Lbが1.5mm以上であることにより、円周方向突条15を形成するモールドの凹部に、円周方向突条15を構成するゴム材料が入りやすくなる。これにより、円周方向突条15にベアが発生することを抑制できる。幅15Laが3mm以下であり、幅15Lbが5.0mm以下であることにより、ゴム材料の使用量を減らすことができ、タイヤサイド部3の軽量化をより図ることができる。
タイヤ径方向trdにおける円周方向突条15の幅は、タイヤ周方向tcdにおける乱流発生用突条10の最大幅よりも狭い。本実施の形態において、タイヤ周方向tcdにおける乱流発生用突条10の最大幅は、突条外側端部11のタイヤ周方向tcdにおける幅である。すなわち、乱流発生用突条10の突条外側端部11の突条幅11Wである。具体的には、タイヤ周方向tcdにおける乱流発生用突条10の最大幅は、一方の幅端部11Aから他方の幅端部11Bまでのタイヤ周方向tcdにおける長さである。本実施の形態において、円周方向突条15の幅15Laは、突条外側端部11のタイヤ周方向tcdにおける幅よりも狭い。また、円周方向突条15の幅15Lbは、突条外側端部11のタイヤ周方向tcdにおける幅よりも狭い。具体的には、突条外側端部11のタイヤ周方向tcdにおける幅は、5mmである。円周方向突条15の幅15Laは、1.0mmである。円周方向突条15の幅15Lbは、2.6mmである。なお、円周方向突条15の幅15Laは、突条内側端部12のタイヤ周方向tcdにおける幅よりも狭い。すなわち、円周方向突条15の幅15Laは、乱流発生用突条10の突条外側端部12の突条幅12Wよりも狭い。
(3)乱流発生用突条の冷却メカニズム
ここで、図6を用いて乱流の発生のメカニズムを説明する。図6は、乱流発生用突条10のタイヤ幅方向twd及びタイヤ径方向trdに沿った断面図である。タイヤ1Aの回転に伴い、乱流発生用突条10が形成されていないタイヤサイド部3の外側表面3Aに接触していた空気の流れS1が乱流発生用突条10によって外側表面3Aから剥離されて乱流発生用突条10を乗り越える。この乱流発生用突条10の背面側には、空気の流れが滞留する部分(領域)S2が生じる。
そして、空気の流れS1は、次の乱流発生用突条10の間の外側表面3Aに再付着して、次の乱流発生用突条10で再び剥離される。このとき、空気の流れS1と次の乱流発生用突条10等との間には、空気の流れが滞留する部分(領域)S3が生じる。ここで、乱流S1が接触する領域上の速度勾配(速度)を速くすることが冷却効果を高めるために優位となると考えられる。つまり、タイヤサイド部3の外側表面3Aに乱流発生用突条10を突設して流速の速い空気の流れS1と滞留部分S2,S3を生じさせて、タイヤサイド部3の外側表面3Aにおいて乱流の発生を促進させることによって、タイヤサイド部3の冷却効果が高められる。
(4)作用・効果
実施の形態に係るタイヤ1Aによれば、突条外側端部11は、円周方向突条15に連なる。すなわち、タイヤ径方向trdにおいて、突条外側端部11の外側には、円周方向突条15が位置する。
モールドで生タイヤを加硫する際に、突条外側端部11を形成するモールドの凹部の角部に溜まりやすかった空気は、円周方向突条15を形成するモールドの凹部へ移動する。したがって、空気に妨げられずに、乱流発生用突条10の突条外側端部11を形成するモールドの凹部の底にまでゴム材料が入り込むため、突条外側端部11にベアが発生することを抑制できる。
タイヤの軽量化やコスト低減化を目的として、薄ゲージ化したタイヤでは、タイヤサイド部3を構成するゴム材料の使用量を減らすため、モールドに押し付けられるゴム材料が少なくなる。実施の形態に係るタイヤ1Aのように、薄ゲージ化したタイヤであっても、突条外側端部11を形成する凹部の底にまでゴム材料を入り込ませることができるため、突条外側端部11にベアが発生することを抑制できる。更に、タイヤ径方向trdにおける円周方向突条15の幅は、タイヤ周方向tcdにおける乱流発生用突条10の最大幅よりも狭いため、タイヤサイド部3を構成するゴム材料の使用量を大幅に増加させることがない。このため、タイヤサイド部3の薄ゲージ化を図りつつ、突条外側端部11にベアが発生することを抑制できる。
タイヤサイド部3に乱流発生用突条10が設けられているため、乱流発生用突条10によってタイヤサイド部3の温度低減を図ること可能となる。さらに、タイヤサイド部3に円周方向突条15が設けられている。このため、タイヤ径方向trdに向かう径方向成分を有する空気は、円周方向突条15を乗り越える。乗り越えた空気は、円周方向突条15の背面側で外側表面3Cに対して略垂直方向に流れ、円周方向突条15のタイヤ径方向trdの外側に位置する外側表面3Cに突き当たる。そのため、外側表面3Cに突き当たった空気流が、円周方向突条15のタイヤ径方向trdの外側に位置する外側表面3Cに停留する空気流と熱交換を行う。これらの結果、タイヤサイド部3の外側表面3の温度上昇を抑制し、タイヤ耐久性を向上させることができる。
タイヤ径方向trd及びタイヤ幅方向twdに沿った断面において、タイヤサイド部3の外側表面は、曲率を持った形状を有しているため、タイヤ径方向trd外側に向かう径方向成分を有する空気流は、タイヤ最大幅領域TR付近において、タイヤ1Aの外側表面から離れやすい。しかしながら、タイヤ最大幅領域TRにおい・BR>ト、突条外側端部11が円周方向突条15に連なるため、径方向成分を有する空気流が、円周方向突条15を乗り越えると、タイヤ径方向trdにおける円周方向突条15の外側において、タイヤ1Aの外側表面3Cに対して鉛直方向に流れる(いわゆる下降流となる)。これにより、径方向成分を有する空気流がタイヤの外側表面3Cから離れることを抑制し、タイヤ径方向trdにおける円周方向突条15の外側において、タイヤ1Aの外側表面3Cの温度上昇を抑制し、タイヤ耐久性を向上させることができる。
また、突条外側端部11と円周方向突条15とが連なる部分において、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する突条外側端部11の高さ11Hは、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する円周方向突条15の高さ15Hよりも低いため、円周方向突条15を形成する凹部の底と突条外側端部11を形成する凹部の底との間にタイヤ幅方向twdに沿った高さが異なる段差が形成される。したがって、モールドで生タイヤを加硫する際に、円周方向突条15を形成する凹部に溜まった空気が、突条外側端部11を形成する凹部へ移動するためには、段差を超えなければならない。円周方向突条15を形成する凹部に溜まった空気は、円周方向突条15を形成する凹部に入り込むゴム材料によって、凹部の底へと押し付けられる。このため、円周方向突条15を形成する凹部に溜まった空気は、段差を超えにくく、乱流発生用突条10を形成する凹部に移動しにくくなる。更に、突条外側端部11の高さ11Hは、円周方向突条15の高さ15Hよりも低いため、突条外側端部11を形成する凹部の底にまで、ゴム材料が入り込みやすい。
これらの結果、突条外側端部11を形成するモールドの凹部の角部に空気が溜まりにくくなり、突条外側端部11を形成するモールドの凹部の可動にゴム材料が入り込みやすくなる。このため、突条外側端部11にベアが発生することを抑制できる。
乱流発生用突条10は、タイヤ径方向trdに対して傾斜して延在しているため、国際公開公報WO2009/017167に記載されているように、遠心力により外側に流れる空気流と、滞留している空気との関係で乱流の発生が促進され、冷却効果が高まる。
また、タイヤ幅方向twd及びタイヤ径方向trdに沿った断面において、タイヤ1Aは、タイヤサイド部3に三日月状であるサイドウォール補強層8を備える。乱流発生用突条10の突条外側端部11は、タイヤ最大幅領域TRに位置するため、パンク走行時(タイヤ内圧0kPa走行時)において、タイヤサイド部3が撓んでも、乱流発生用突条10が路面に接触し難くなる。これにより、乱流発生用突条10の欠けやもげ等の破損を抑制することができる。加えて、乱流発生用突条10と路面との摩擦により、タイヤサイド部3の温度が上昇することもなくなる。これらの結果、パンク走行時においても、乱流発生用突条10による冷却効果を得ることができる。
(5)その他の実施形態
次いで、図7及び図8に基づいて実施の形態2に係るタイヤについて詳細に説明する。図7及び図8は、実施の形態2に係るタイヤ1B(1)及びその要部を示している。図7はタイヤ1Bの側面図である。図8は、図7に示す乱流発生用突条10の部分拡大図である。なお、実施の形態2の説明においては、実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、実施の形態1と同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。
図7及び図8に示すように、実施の形態2に係るタイヤ1Bは、ベントスピュー18を円周方向突条15に有する。ベントスピュー18は、乱流発生用突条10の延在方向に位置する。ベントスピュー18は、加硫に用いられるモールドに設けられた孔部(いわゆるベントホール)によって形成される。生タイヤを加硫する際に、孔部は、モールドと生タイヤとの間の空気を排気するためのものである。空気と一緒に生タイヤを構成するゴム材料の一部が孔部に入ることにより、ベントスピュー18は、形成される。実施の形態2に係るタイヤ1Bにおいて、ベントスピュー18は、複数形成される。具体的には、タイヤ周方向tcdに沿って等間隔に10個形成される。
ベントスピュー18は、乱流発生用突条10の延在方向に位置することにより、モールドで生タイヤを加硫する際に、乱流発生用突条10の突条外側端部11を形成する凹部から円周方向突条15の凹部に移動した空気は、円周方向突条15の凹部に設けられた孔部から排気される。これにより、乱流発生用突条10の突条外側端部11にベアが発生することをより抑制できる。
円周方向突条15は、環状であるため、円周方向突条15を形成するモールドの凹部は、タイヤ周方向tcdにおける角部が存在しない。このため、円周方向突条15のモールドの凹部に移動した空気は、円周方向突条15の凹部に設けられた孔部から排気されやすい。
タイヤ1Bは、円周方向突条15にベントスピュー18を有することにより、乱流発生用突条10の形状が変わることを抑制できる。これにより、ベントスピュー18を有していても、乱流発生用突条10の冷却効果の低下を抑制できる。
本実施の形態において、孔部によって、空気を抜くことが目的である。したがって、ベントスピュー18は、一般的に、タイヤ幅方向twdに延びるゴム状のものであるが、製造したタイヤが製品として出荷前に、ベントスピュー18が処理される場合も多いため、ベントスピュー18が形成された跡が残っていればよい。すなわち、本発明において、ベントスピューが切断された跡であるベントスピュー切断痕もベントスピュー18とみなす。
図8に示すように、タイヤ径方向における円周方向突条15の幅がベントスピュー18よりも狭い場合、ベントスピュー18は、突条外側端部11及びタイヤサイド部3の外側表面3Cに跨って形成されてもよい。
なお、円周方向突条15にベントスピュー18を必ずしも有する必要はなく、例えば、突条外側端部11の近傍にある急傾部14にベントスピュー18を有してもよい。
次いで、図9に基づいて実施の形態3に係るタイヤについて詳細に説明する。図9(a)は、タイヤ1Cのタイヤ幅方向twd及びタイヤ径方向trdに沿った一部断面図である。図9(b)は、タイヤ1Cのタイヤ幅方向twd及びタイヤ径方向trdに沿った一部断面図である。上述した実施の形態と異なる構成を中心に説明し、上述した実施の形態と同様の構成については同符号を用いて説明を省略する。
図9(b)に示すように、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する乱流発生用突条10の高さ10Hは、タイヤ径方向trdで変化し、突条外側端部11に向けて漸次減少するように形成されている。すなわち、突条外側端部11は、端縁に向けて漸次高さ10Hが低くなるように傾斜して形成される。したがって、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する突条外側端部11の高さ11Hは、乱流発生用突条10の高さ10Hに比べて低い。これにより、突条外側端部11を形成するモールドの凹部の底までの長さが短くなるため、ゴム材料が入りやすくなる。これにより、円周方向突条15を形成する凹部の底の深さを深くしなくても、円周方向突条15を形成する凹部の底と突条外側端部11を形成する凹部の底との間にタイヤ径方向trdに沿った高さが異なる段差を形成しやすくなる。円周方向突条15を形成する凹部の底の深さが浅ければ、円周方向突条15を形成するモールドの凹部の底にまで、ゴム材料が入り込みやすくなる。加えて、タイヤ径方向trdにおける突条外側端部11に向けて、乱流発生用突条10の高さ10Hが減少しているため、突条外側端部11を形成する凹部の底にも、ゴム材料が入り込みやすくなる。これらの結果、突条外側端部11にベアが発生することを抑制できる。
図示していないが、上述した実施形態と同様に、タイヤ幅方向twdから見て、乱流発生用突条10は、タイヤ径方向trdに対して傾斜して延在する。
なお、上述した実施の形態の開示の一部をなす論述および図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
例えば、上述した実施の形態では、円周方向突条15は、タイヤ周方向tcdに沿って延びていたが、これに限られない。円周方向突条15は、蛇行しながらタイヤ周方向tcdに延びてもよい。また、円周方向突条15は、タイヤ径方向trdから見て環状であったが、部分的に断続して、タイヤ周方向tcdに沿って延びてもよい。すなわち、円周方向突条15は、円弧形状であってもよい。断続する円周方向突条15のそれぞれにベントスピュー18を設けることが好ましい。
また、上述した実施の形態では、突条外側端部11のみが円周方向突条15に連なっていたが、これに限られない。突条内側端部12のみが円周方向突条15に連なっていてもよい。この場合、突条内側端部12は、最大幅領域TRに位置する。
また、タイヤ径方向trdにおける乱流発生用突条10の突条内側端部12と円周方向突条15とが連なる部分において、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する突条内側端部12の高さは、タイヤサイド部3の外側表面3Aに対する円周方向突条15の高さ15Hよりも低くなってもよい。また、突条外側端部11及び突条内側端部12のそれぞれが円周方向突条15に連なっていてもよい。また、タイヤ幅方向twd及びタイヤ径方向trdに沿った断面において、タイヤ幅方向twdに面する突条外側端部11の上面とタイヤ径方向trdにおける円周方向突条15の側面とが滑らかに連なっていてもよい。具体的には、タイヤ幅方向twdに面する突条外側端部11の上面とタイヤ径方向trdにおける円周方向突条15の側面とが円弧状に連なってもよい。
また、カーカス層7の折り返し端部は、タイヤ径方向trdにおいて、タイヤ最大幅領域TRよりも外側に位置していたが、これに限られない。カーカス層7の折り返し端部が、タイヤ最大幅領域TRに位置していてもよい。より具体的には、カーカス層7の折り返し端部のタイヤ幅方向twdにおける外側には、円周方向突条15に連なる突条外側端部11が位置するように、カーカス層7を配置してもよい。このような構成であれば、カーカス層7の折り返し部分をタイヤ幅方向twdにおけるベルト9の端部付近まで巻き上げるよりも、乗り心地性が向上する。なお、この場合も、タイヤサイド部3のゲージ厚は、2〜4mmであることが好ましい。
タイヤ最大幅領域TRよりもタイヤ径方向trd内側にカーカス層7の折り返し端部がある場合、ビードフィラー6Bをタイヤ内部において固定しにくくなる。ビードフィラー6Bが小さければ、タイヤ最大幅領域TRよりもタイヤ径方向trd内側にカーカス層7の折り返し端部があっても、ビードフィラー6Bを固定できるが、ビードフィラー6Bの剛性が下がるため、タイヤサイド部3が倒れ込みやすくなる。さらに、上述した実施の形態のような三日月形状のサイドウォール補強層8によるランフラットタイヤにおいて、ビードフィラー6Bを小さくした場合、ビードフィラー6Bとサイドウォール補強層8との間で強度が不連続な部分が存在することになり、強度が不連続な部分に応力が集中するおそれがある。したがって、ビード部4の耐久性が低下するおそれがある。
上述したように、カーカス層7の折り返し端部のタイヤ幅方向twdにおける外側には、円周方向突条15に連なる突条外側端部11が位置するように、カーカス層7を配置すれば、タイヤ最大幅領域TRよりもタイヤ径方向trd内側にカーカス層7の折り返し端部がある場合よりも、ビードフィラー6Bを充分に固定することができるため、ビード部4の耐久性が低下することを抑制できる。
カーカス層7の折り返し端部のタイヤ幅方向twdにおける外側には、円周方向突条15に連なる突条外側端部11が位置する場合、生タイヤを加硫する際に、カーカス層7の折り返し端部のタイヤ径方向trd外側とタイヤ径方向trd内側とでは、カーカス層7からモールドの凹部の底までのタイヤ幅方向twdにおける長さが異なる。具体的には、カーカス層7からモールドの凹部の底までのタイヤ幅方向twdにおける長さは、折り返し端部のタイヤ径方向trd外側では、カーカス本体部からモールドの凹部の底までのタイヤ幅方向twdにおける長さであり、折り返し端部のタイヤ径方向trd内側では、折り返し部分からモールドの凹部の底までのタイヤ幅方向twdにおける長さである。したがって、折り返し端部のタイヤ径方向trd内側では、折り返し部分の厚みの分だけ、ゴム材料がモールドに押し付けられやすく、折り返し端部のタイヤ径方向trd外側では、相対的にゴム材料がモールドに押し付けられにくい。このため、折り返し端部よりもタイヤ径方向trd外側の部分では、モールドの凹部の底にまで、ゴム材料が入り込みにくい。このような構成のタイヤであっても、突条外側端部11を形成するモールドの凹部の底にゴム材料を入り込ませることができるため、突条外側端部11にベアが発生することを抑制できる。このため、カーカス層7の折り返し端部が、タイヤ最大幅領域TRにあるタイヤに、本発明を適用すると、製造不良を低減できる。
また、乱流発生用突条10は、ランフラットタイヤだけでなく、種々のタイヤに適用することができる。例えば、オフザロードラジアル(ORR)タイヤ、トラックバスラジアルタイヤ(TBR)などの他のタイプのタイヤに適用できることは勿論である。また、薄ゲージのタイヤを製造する際に、本発明を適用することにより、ベアの発生による製造不良を低減することができる。特に、タイヤサイド部のゲージ厚が2〜4mmであるタイヤを製造する際に、本発明を好適に適用できる。
また、タイヤ1は、空気入りタイヤであってもよいし、ゴムが充填されたタイヤであってもよい。また、アルゴン等の希ガスが入れられた空気以外の気体入りタイヤであってもよい。
また、上述した実施の形態は、本発明の特徴を損なわない範囲において、適宜組み合わせることが可能である。
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態などを含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められる。
(6)比較評価
次に、本発明の効果を更に明確にするために、以下の比較例及び実施例に係るタイヤを用いて行った比較評価について説明する。なお、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
比較例及び実施例に係るタイヤを用いて、タイヤサイド部におけるベアの発生率の評価を行った。タイヤサイズは、155/65RF14 RR02BZのものを用いた。実施例では、図7と同じ形状のタイヤを用いた。すなわち、実施例に係るタイヤは、乱流発生用突条と円周方向突条とを備えている。タイヤ径方向における乱流発生用突条の外側端部は、円周方向突条と連なっている。一方、比較例に係るタイヤは、乱流発生用突条を備えており、円周方向突条は備えていない。したがって、円周方向突条の有無以外の構成は、同様の構成である。
実施例及び比較例に係るタイヤをそれぞれ複数作成した。作成したタイヤにおいて、ベアが発生した乱流発生用突条の本数及び乱流発生用突条の合計本数を計測し、タイヤサイド部に発生したベア(サイドベアと略す)の発生率(ベアが発生した乱流発生用突条の本数/乱流発生用突条の合計本数)を求めた。
実施例に係るタイヤでは、サイドベアの発生率は、0%であったのに対し、比較例に係るタイヤでは、32%であった。これは、実施例に係るタイヤでは、乱流発生用突条の突条外側端部に連なる円周方向突条を備えていたため、突条外側端部に空気が溜まらなかったため、ベアが発生しなかったと考えられる。一方、比較例に係るタイヤでは、乱流発生用突条の突条外側端部に溜まった空気は、移動できず、空気が溜まったまま、加硫が進んだことにより、ベアが発生したと考えられる。以上より、本発明によれば、突条外側端部がタイヤ最大幅領域に位置するタイヤにおいて、製造時のベアの発生を抑制できることが確認できた。