内燃エンジンは、可動性プラットフォームで、辺境の地において又は芝生及び庭園用具において、一般に用いられている。種々の型の内燃エンジンがある。スパーク型エンジンは、ガソリン等の揮発性燃料を点火前に圧縮する。圧縮型エンジンは空気を取り込み、それを圧縮してディーゼル等の燃料に点火するために必要な熱を発生させる。
燃料(ガソリン又はディーゼル)が燃焼されるとき、炭化水素(HC)、酸化硫黄(SOx)、酸化窒素(NOx)、一酸化炭素(CO)及び煤煙(粒子状物質)の形態の汚染物質を産出する。加えて、燃料は、温暖な気候では、揮発性有機化合物(VOC)の存在に起因して、蒸発しやすい。酸化窒素及び揮発性有機成分は太陽光中で一緒に反応して、地表レベルのオゾン、スモッグの成分を形成する。
炭化水素燃料は有力なエネルギー源であるが、アルコール、特にメタノール及びエタノールが燃料として用いられてきた。1970年代に、アラブの石油禁輸措置の間、大半のガソリンと幾ばくかのエタノールとの配合物であるガソホールが導入された。主要なアルコール燃料はエタノールである。エタノールは、様々な量で、通常10%で、ガソリン中に配合され、それによりレギュラーガソリンより高いオクタン価が一般にもたらされる。E−85燃料は、85%のエタノール、及び15%のガソリンを含有し、M−85は、85%のメタノール、及び15%のガソリンを有する。不幸なことに、当時、エラストマー系のエンジンシール、ホース及びガスケット部品の多くは、ガソリン、又はディーゼルのみを対象として設計され、エタノールの使用により劣化した。更には、エンジンには、エタノール系燃料を流すために、フッ素化エラストマーを備えなければならなかった。
エタノールは、しばしば、穀物から発酵法により作り出される。バイオ燃料は、しばしば、混合アルコールを、他の酸素性化合物と一緒に含有する。
穀物系燃料の使用に関して、さらなる制限が存在する。例えば、穀物エタノールは生産に費用がかかる。更には、運送業のニーズを満たすのに十分な量の穀物エタノールを生産することは、現実的ではない、何故なら、食用作物及び飼料作物が燃料に転用されており、転用されてきたからである。加えて、メタノール及びエタノールの両方は共に、体積ベースでガソリンと比較して、相対的にエネルギー含量が少ない。メタノールは約50,000Btu/ガロンを含有し、エタノールは約76,000Btu/ガロンを含有するが、一方、ガソリンは約113,000Btu/ガロンを含有する。
長鎖アルコールは、しばしば、エタノール燃料により引き起こされる金属の腐食、及びゴム/プラスチックの膨潤を防止するために防止剤としてのアミン/アニリンと一緒に用いられる。ドデカノール等のこれらの長鎖アルコールは、乳化剤としても用いられ得る。混合された低コストメタノール、エタノールは、アルコール配合ディーゼルを形成するために長鎖アルコールと一緒に用いられた、又は、ディーゼル乳化調節剤として用いられた。しかし、長鎖アルコールは、生産に相対的に費用がかかる。メタノール系及びエタノール系のディーゼルは、40を超える最小セタン価を維持するために、且つディーゼルが効率的に燃えることを保証するために、長鎖アルコール、アルキルエステル及び脂肪酸等の他の添加剤を必要とするという欠点にも悩まされている。
かつて、ガソリンに鉛を添加してそのオクタン価を高めることにより、ガソリンのアンチノック性を改善した。鉛は、ほとんどの国において、環境上の理由により、ガソリンから除かれている。鉛を廃止する必要に応えて、米国、及び多くの他の国で販売されたガソリンには、オクタン価を上げ、環境に有害な排気物質を減らすために、15体積%以下のメチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)、酸素化物質が配合された。
MTBEはそれ自体が、不愉快で強い臭い及び味を持ち、ヒトに対する潜在的発癌性物質に分類されている汚染物質である。特に、MTBEは、水に可溶(25℃で42g/L)で、生物分解性が低いことにより、地下水を汚染するので、地下の貯蔵タンクからのMTBEの漏れにより、代替製品への要求が作り出されている。カリフォルニアを含む、米国のいくつかの州は、MTBEの使用を廃止しつつある。
産業界は、MTBEを、発酵させた穀物エタノールの使用で代替しつつあるが、上で論じた通り、MTBEを代替するのに必要な量の穀物エタノールを生産することは、特定の地域においては問題となる。
MMT、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニルは、長年、議論を呼んでいるガソリン添加剤である。MMTは、オクタン価を上げることができるが、健康に悪影響を与えることがあり触媒コンバータシステムを消耗することがある排出物質を増やす。
ガソリンに比べて改善されたオクタン価を有し、燃焼効率が増大された添加剤又は燃料が求められている。燃焼時に、非希釈形態で、又は燃料構成成分としてのいずれかで、有害な排出物質及び空中浮遊の煤煙を減らす燃料が求められている。
ガソリンと似たオクタン価及びBTUの値であるが、四エチル鉛、MTBE、メタノール、エタノール又はMMTを使用しない燃料を提供することも求められている。少なくとも、燃料のリード蒸気圧を低めるが、それとともにMTBEを使用しない燃料添加剤を提供することも望ましいであろう。
本発明の実施形態として、環境に優しく、MTBE及び/又はエタノール系の燃料に匹敵する性能を有する燃料組成物が提供される。この実施形態において、燃料組成物は、燃料成分及び燃料添加剤を含む。燃料成分は、燃焼エンジン又は圧縮エンジンにおける使用に適切なBTU含量を提供するのに十分な量で存在する。燃料添加剤は、ブタノールを含み、燃料組成物についてのオクタン価を改善するのに十分な量で存在する。一態様において、ブタノールは、2−ブタノール及びtert−ブタノール、又はそれらの組合せから本質的になる。一態様において、ブタノールはn−ブタノールを除外する。
一態様において、燃料添加剤に含まれるブタノールには、n−ブタノールが挙げられる。別の態様において、ブタノールには、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、又はそれらの組合せが挙げられる。本発明の実施形態において、ブタノールには、2−ブタノール及びtert−ブタノールが挙げられる。2−ブタノールは、約5体積%から約95体積%の範囲内で存在し、tert−ブタノールは、約5体積%から約95体積%の範囲内で存在する。2−ブタノールは、約40体積%から約60体積%の範囲内で存在し、tert−ブタノールは、約40体積%から約60体積%の範囲内で存在する。他の適切な混合ブタノールの種類、及びブタノールの量は、当業者に明白であり、本発明の範囲内とみなされるべきである。
本発明の燃料組成物はエタノール系又はMTBE系のオクタン価向上剤を含有する燃料組成物に匹敵する物性を有するが、そのような燃料組成物に伴う不利点の多くがない。燃料組成物に重要な物性には、RON値、BTU値、RVP値、MON値、セタン指数値、燃焼熱、曇り点値、流動点値及び煙点値等が挙げられる。一態様において、本発明の燃料組成物は、非ブタノールのアルコールの使用を除外する。例えば、本発明の燃料組成物は、メタノール、エタノール又はプロパノールの使用を除外する。しかし、混合ブタノール系燃料中に任意の比率で他のアルコールを添加することは、当業者に明白であり、本発明の範囲内とみなされるべきである。
本発明の実施形態において、本明細書において説明されている燃料組成物は、四エチル鉛、MTBE、メタノール、エタノール又はMMTの使用を除外する。
オクタン価の測定法
オクタン価は、燃料における任意の1種の構成成分の濃度に対応しないが、むしろ、標準燃料混合物と比べたときの燃料の点火前性質に対応する。オクタン価は、スパーク点火の内燃エンジンの中で用いられるガソリン(ペトロール)及び他の燃料の自己発火耐性の尺度である。オクタン価は、イソオクタン(2,2,4−トリメチルペンタン、オクタンの異性体)及びn−ヘプタンの混合物と比較して測定される。例えば、87オクタンのガソリンは、87体積%のイソオクタン及び13体積%のn−ヘプタンの混合物と同じノッキング耐性を有する。しかし、これは、ガソリンがこれらの割合でこれらの化学物質を実際に含有するべきであることを意味せず、単にガソリンが記載した混合物と同じ自己発火耐性を有することを意味するに過ぎない。自己発火の高い傾向、すなわち低いオクタン価は、ガソリンエンジンにおいて望ましくない(しかし、ディーゼルエンジンにおいては望ましい)。
世界的に最も一般的な種類のオクタン価はリサーチオクタン価(RON)である。RONは、制御された条件下において可変の圧縮比をもつ特定の試験エンジンを通して燃料を流し、これらの結果をイソオクタン及びn−ヘプタンの混合物についての結果と比較することにより定まる。ほとんどの国において、ポンプ上に示されている「見出し」のオクタン価はRONである。
オクタン価の効果
より高いオクタン価はより高い活性化エネルギーと相関する。活性化エネルギーは、化学反応を開始するために必要なエネルギーの量である。より高いオクタン価の燃料は、より高い活性化エネルギーを有するので、所与の圧縮がノッキングを引き起こしにくい。ノッキングは、エンジンを損傷することがある。より低いオクタン価のガス(例えば、87オクタンのガソリン)は、点火前に最小量の圧縮を扱うことができる。
圧縮は、力と直接的に関係する(エンジンのチューニングを参照されたい)ので、より高いオクタン価を要求するエンジンは、通常、より大きい力を伝達する。エンジンの力は、燃料、及びエンジンの設計の関数であり、燃料のオクタン価に関連する。力は、燃焼室の中に入れることができる燃料−空気混合物の最大量により制限される。部分的な負荷において、マニホールドは大気よりはるかに低い圧力で作動しているので、利用可能な力全体のほんの一部だけが生成される。この場合において、必要オクタン価は、利用可能なものよりはるかに少ない。完全必要オクタン価に達するのは、スロットルが全開であり、マニホールドの圧力が大気(又はスーパーチャージエンジン若しくはターボチャージエンジンの場合においては大気より高い)に近づいたときだけである。
多くの高性能エンジンは、高い最大圧縮により作動するように設計され、故に高いオクタン価を通常伴う高品質(高エネルギー)の燃料を必要とし、故に高オクタン価のプレミアムガソリンを要求する。
エンジンは、それらが設計された対象のオクタン価をもつ燃料を用いたときに、最も良好な性能を示す。異なるオクタン価をもつ燃料を用いることにより、おそらく、性能の増大が最小になることがある。
前述のように、最も一般的な種類のオクタン価はリサーチオクタン価(RON)である。RONは、制御された条件下において可変の圧縮比をもつ特定の試験エンジンに燃料を流し、その結果をイソオクタン及びn−ヘプタンの混合物についての結果と比較することにより定まる。一態様において、本発明の燃料組成物は約85と約110の間の範囲のRON値を有する。
一態様において、本発明の燃料組成物は約105,000BTU/ガロンと約120,000BTU/ガロンの間の範囲のBTU値を有する。
一態様において、本発明の燃料組成物は約0.2psiから約20psiの範囲のRVPを有する。
別の種類のオクタン価、いわゆるモーターオクタン価(MON)、すなわち航空リーンオクタン価は、一般に、測定がRONの600rpmの代わりに900rpmで行われるときに、負荷の下においてどのようにいつ燃料が挙動するかのより良好な尺度である。MON試験は、一般に、RON試験において用いられるものと似た試験エンジンを用いるが、燃料のノッキング耐性にさらにストレスを加えるために、あらかじめ加熱された燃料混合物、より速いエンジン速度、及び可変の点火タイミングを用いる。燃料の組成に応じて、現代のガソリンのMONはRONより約8から10ポイント低いであろう。通常、燃料の仕様は最小のRON及び最小のMONの両方を要求する。一態様において、本発明の燃料組成物は約75から約100の範囲のMON値を有する。
セタン価、すなわちCNは、圧縮点火中におけるディーゼル燃料の燃焼の質の測定である。セタン価は、燃料の点火遅延、すなわち燃料の注入の開始と燃焼(点火)の開始の間の時間の尺度である。特定のディーゼルエンジンにおいて、より高いセタン価燃料は、一般に、より低いセタン価燃料より短い点火遅延期間を有するであろう。一態様において、本発明の燃料組成物は約48から約55の範囲のセタン指数値を有する。
燃料の分析において重要な別の性質は、燃料のエネルギー含量である。ディーゼル燃料のエネルギー含量(熱量とも呼ばれる)は、その燃焼熱、すなわち既知の量の燃料が特定の条件下で燃やされたときに放出される熱である。一態様において、本発明の燃料組成物は約118,000BTU/ガロンから約130,000BTU/ガロンの範囲の燃焼熱値を有する。
燃料の曇り点は、溶解されたパラフィンがもはや完全には溶解できず、曇りの外観を燃料にもたらす第2の相として析出する温度である。一態様において、本発明の燃料組成物は、約−40℃から約5℃の範囲、或いは約4.5℃から約5.75℃の範囲の曇り点値を有する。
使用するための燃料を決定するときに考慮される別の性質は、燃料の流動点である。燃料の流動点は燃料の曇り点より低い温度である。燃料は流動点未満で流れることを止める。一態様において、本発明の燃料組成物は、曇り点より約5〜12℃低い範囲の流動点値を有する。
使用するための燃料を決定するときに考慮されるなお別の性質は、燃料の煙点値である。一態様において、本発明の燃料組成物は、約10mmから約25mmの範囲の煙点値を有する。煙点は、炎が煙を発する直前の炎の高さとして定義される。煙点は、煤煙を形成する燃料の尺度として認識されており、種々の液体燃料の品質を判断するために用いられてきた。
本発明の実施形態において、燃料組成物は燃料成分を含む。一態様において、燃料成分には、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、航空ガソリン、暖房用オイル、バンカーオイル、又はそれらの組合せが挙げられる。本発明の実施形態において用いられ得る他の種類の燃料は、当業者に明白であり、本発明の範囲内とみなされるべきである。
一態様において、燃料成分は約40体積%から約99体積%の範囲内で存在し、燃料添加剤は約1体積%から約60体積%の範囲内で存在する、或いは、燃料成分は約80体積%から約99体積%の範囲内で存在し、燃料添加剤は約1体積%から約20体積%の範囲内で存在する。それぞれの成分の量は、結果として得られる燃料組成物の所望の物性に応じて変化することができる。それぞれの成分の他の適切な量は、当業者に明白であり、本発明の範囲内とみなされるべきである。
本発明の別の実施形態として、環境に優しく、アルコール系燃料に匹敵する性能を有する非希釈燃料組成物が提供される。この実施形態において、非希釈燃料組成物は混合ブタノール燃料を含む。一実施形態において、混合ブタノール燃料は、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、又はそれらの組合せを含む。一実施形態において、混合ブタノール燃料は、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、又はそれらの組合せのみから本質的になる。一態様において、混合ブタノール燃料はn−ブタノールを除外する。
本明細書に記載されている組成の実施形態の他に、燃焼エンジン又は圧縮エンジンにおける使用のための燃料組成物を調製する方法も提供される。この実施形態において、混合ブタノール組成物は燃料成分と合わせられる。混合ブタノール組成物は、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、又はそれらの組合せを含み、燃料組成物についてのオクタン価を改善するのに十分な量で存在する。燃料成分は、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、航空ガソリン、暖房用オイル、バンカーオイル、又はそれらの組合せを含む。燃料成分は、燃焼エンジン又は圧縮エンジンにおける使用に適切なBTU含量を提供するのに十分な量で存在する。本発明の他の実施形態と同様に、燃料成分は約40体積%から約99体積%の範囲内で存在し、燃料添加剤は約1体積%から約60体積%の範囲内で存在する、或いは、約80体積%から約99体積%の範囲内で、燃料添加剤は約1体積%から約20体積%の範囲内で存在する。
別の実施形態において、組成物のRON値は、85と110の間、或いは、67.4と101.1の間である。別の実施形態において、組成物のBTU値は105,000BTU/ガロンと120,000BTU/ガロンの間である。
本発明の別の実施形態として、ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料、航空ガソリン、暖房用オイル、バンカーオイル、又はそれらの組合せにおける、可燃性非希釈燃料、及び/又は酸素性燃料構成成分として、混合ブタノール組成物を使用する方法が提供される。本発明の他の実施形態と同様に、混合ブタノール組成物は、n−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール及びtert−ブタノール、好ましくは、2−ブタノール、イソブタノール及びtert−ブタノールの少なくとも2種から構成される。一実施形態において、混合ブタノール燃料は、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、又はそれらの組合せを含む。一態様において、混合ブタノール組成物は、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、又はそれらの組合せのみから本質的になる。一態様において、混合ブタノール組成物はn−ブタノールを除外する。
前述のように、本発明により、混合ブタノールの高いBTU/ガロンの値に起因して利点が作り出される。メタノールは約57,250Btu/ガロンを含有し、エタノールは約76,330Btu/ガロンを含有するが、一方、ガソリンは約116,100Btu/ガロンを含有する。混合ブタノールはガソリンのBtu/ガロン値により近い。
表1は、本発明の実施形態に従って作製された燃料を試験するために用いた試験方法のリストを含む。試験結果を表2に示す。
最初の試験ランにおいて、ガソリン成分、ペンタン、リフォーメート及び軽質直留ナフサ、並びにディーゼルを、Saudi Aramcoの精油所から、いかなる他の添加剤も含まずに得た。それぞれのガソリン成分を個々に試験した。各成分の比率を表2に列挙する。ブタノールを、化学物質の供給市場から直接的に購入し、いかなる精製もせずに用いた。10%の混合ブタノール、及び90%のディーゼル燃料を含有する混合ブタノール−ディーゼル燃料配合物を試験した。
試験結果に基づいて、21.6%のペンタン、64.7%のリフォーメート、及び13.7%のLSRNを含むガソリンを、標準ガソリンとして用いた。2つの試料、すなわちMTBEを含む1つ及び1−ブタノールを含むもう1つを、同じ酸素含量レベル(O%=2.8)で比較した。試験結果を表3に示す。次いで、45%のLSRN及び55%のリフォーメートを含むガソリンを、標準ガソリンとして用いて、同じ体積(15%)でのブタノール(単一のブタノール、又は混合ブタノール)の挙動を試験した。成分の比率及び試験結果を表4に列挙する。
実験のために用いたディーゼルを、Aramco精油所の一つから、いかなる他の添加剤も含まずに得た。10%のブタノール及び90%のディーゼル燃料を含有する、ディーゼル及びブタノールを、表5に列挙するように配合した。試験結果を表6に列挙する。
実験6〜8は、1−ブタノールがMTBEの代わりにガソリン中に配合され得ることを示している。1−ブタノール配合のガソリンは、MTBE配合のガソリンの性能との類似性、並びにより低いRONを伴うRVP及びBTUの特徴を示した。
ラン10、12及び14に特に注意すると、純粋なブタノールについての試験により、2−ブタノール及びイソブタノールの両方が、MTBEのRONに比べて、似たRONを有することが示された。しかし、ブタノールのMONはMTBEのMONより小さい。ブタノールをガソリンと配合することにより、この影響は克服される。これは、特に、2−ブタノール及びイソブタノールについて当てはまる(ラン15、16及び17)。同時に、RVPの減少及びBTUの増加が観察された。ブタノールの配合により、燃料の燃焼効率を向上させることができる。ブタノールのうちで、2−ブタノール、イソブタノール及びtert−ブタノールが、望ましい結果をもたらしているように、特に有効であった。混合ブタノールの配合特性は、線形でなかったので、予測不可能と考えられる。それ故、混合ブタノールによりもたらされる混合オクタン価は、配合される燃料製品、混合ブタノールの体積パーセンテージに依存するであろう。
ラン21〜26により、混合ブタノールを10%のレベルでディーゼルに添加したときに導かれる著しく否定的な影響(曇り点、煙点、BTU)がないことが示される。セタン価及びRVPの両方はわずかに減少する。
実験により、非希釈混合ブタノールは、100を超える無類のオクタン価(RON)をもたらすことが示された。前述のように、混合ブタノールの配合特性は線形ではなく、それ故予測可能ではない。
本発明を、その実施形態のいくつかのみにより示し又は説明したが、一方、当業者には、それがそのように限定されず、本発明の範囲から逸脱することなしに種々の変更が可能であることが明白であるはずである。
当業者は、多くの変更及び改変が、本発明の範囲から逸脱することなしに本発明を実施する方法に応じてなされ得ることを認めるであろう。本明細書において、本発明の実施形態が開示されており、特定の語を用いているが、それらは、一般的で説明的な意味のみで、限定の目的のためではなく用いられており、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に示される。本発明を、これらの例証された実施形態を具体的に参照して、かなり詳細に説明した。しかし、種々の改変及び変更が、前述の本明細書で説明したように、本発明の精神及び範囲内でなされ得ることは明白であろう。更には、第1及び第2等の順序を指す語は、例示的な意味であり、限定する意味ではないと理解すべきである。例えば、特定のステップを合わせて単一のステップにすることができることは、当業者により認められ得る。