本明細書ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を例として説明しているが、本明細書に記載されたリソグラフィ装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁区メモリ用案内パターンおよび検出パターン、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。これらの代替的な適用に際して、本明細書において「ウエハ」あるいは「ダイ」という用語が使用される場合はいつでも、それぞれ「基板」あるいは「ターゲット部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされうると、当業者であれば理解するであろう。本明細書で言及される基板は露光前または露光後において例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像するツール)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにおいて処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は処理されている多数の層を既に含む基板をも意味してもよい。
本明細書で使用される「放射」及び「ビーム」という用語は、(例えば365nm、248nm、193nm、157nm、または126nmの波長を有する)紫外(UV)放射、(例えば5−20nmの範囲に含まれる波長を有する)極端紫外(EUV)放射を含むあらゆる電磁放射、及びイオンビームまたは電子ビーム等の粒子線を含む。
本明細書で使用される「パターニングデバイス」なる用語は、例えば基板のターゲット部分にパターンを生成するために放射ビームの断面にパターンを付与するのに使用される何らかのデバイスであると広義に解釈されるべきである。放射ビームに与えられるパターンは、基板のターゲット部分における所望のパターンと厳密に対応していなくてもよいことを注意しておく。一般には、放射ビームに付与されるパターンは、ターゲット部分に形成される集積回路などのデバイスの特定の機能層に対応する。
パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。EUVリソグラフィ装置では典型的にはパターニングデバイスは反射型である。パターニングデバイスの例としては、例えばマスク(透過型)やプログラマブルミラーアレイ(反射型)、プログラマブルLCDパネルなどがある。マスクはリソグラフィの分野では周知であり、バイナリマスクやレベンソン型位相シフトマスク、ハーフトーン型位相シフトマスク、更に各種のハイブリッド型マスクが含まれる。プログラマブルミラーアレイの一例としては、小型のミラーがマトリックス状に配列され、各ミラーが入射してくる放射ビームを異なる方向に反射するように個別に傾斜されるというものがある。この方法で反射ビームはパターン形成される。
サポート構造はパターニングデバイスを保持する。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置のデザイン、及びパターニングデバイスが真空環境で保持されるか否か等のその他の条件に応じた方式でパターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械的固定、真空固定、または、真空条件下での静電固定などの他の固定技術を用いてもよい。サポート構造は、例えばフレームまたはテーブルであってもよく、これらは固定されていてもよいし必要に応じて移動可能であってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスが例えば投影システムに対して所望の位置にあることを保証してもよい。本明細書では「レチクル」または「マスク」という用語を用いた場合には、より一般的な用語である「パターニングデバイス」と同義であるとみなされるものとする。
本明細書で使用される「投影システム」なる用語は、屈折光学システム、反射光学システム、反射屈折光学システムを含む種々のタイプの投影システムを指し示すものとして広義に解釈されるべきである。投影システムは、例えば使用される露光放射に応じて、あるいは特に真空の使用や液浸液の使用などのその他の要因に応じて適切とされる投影システムであってもよい。通常、EUV放射リソグラフィ装置では、投影システムの光学素子は反射型である。本明細書において「投影レンズ」という用語を使用する場合はいつでも、より一般的な用語である「投影システム」と同義であると見なされうる。
照明システムは反射素子(および/または屈折素子)を含むことができ、またオプションで放射ビームを方向付け、成形し、および制御するための各種の他の光学素子を含むことができる。
リソグラフィ装置は2つ(デュアルステージ)またはそれ以上の基板テーブル(及び/または2つ以上のサポート構造)を有するタイプのものであってもよい。このような「多重ステージ」型の装置においては、追加的なテーブルが並行して使用されてもよく、あるいは1以上のテーブルが露光に使用されている間に1以上の他のテーブルで準備工程が実行されてもよい。
例えば米国特許出願公開第2007−0013890号公報に記載されるように、リソグラフィ装置は2以上のパターニングデバイス間(または制御可能パターニングデバイスに設けられる複数のパターン間)での高速切り替えが可能なタイプのものであってもよい。
また、リソグラフィ装置は、基板が比較的屈折率の高い液体、たとえば水で覆われ、それにより投影システムの最終要素と基板との間の空間が充填されるタイプの装置であってもよい。液浸液は例えばマスクと投影システムの最初の要素との間などの、リソグラフィ装置の他の空間に与えられてもよい。液浸技術は、投影システムの開口数を大きくするため技術として周知である。
図1は、本発明の実施の形態に係るリソグラフィ装置を模式的に示す図である。この装置は、
−放射ビームB(例えばDUV放射やEUV放射)を調整する照明システムILと、
−パターニングデバイス(例えばマスク)MAを支持し、パターニングデバイスをアイテムPLに対して正確に位置決めする第1位置決め装置PMに接続されているサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、
−基板(例えば、レジストでコーティングされたウエハ)Wを保持し、基板をアイテムPLに対して正確に位置決めする第2位置決め装置PWに接続されている基板テーブル(例えば、ウエハテーブル)WTと、
−パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wの(例えば1つまたは複数のダイを含む)ターゲット部分Cに結像させる投影システム(例えば反射投影レンズ)PLと、
を備える。
図1に示される通り、本実施の形態に係るリソグラフィ装置は(例えば、上述のタイプの反射マスクまたはプログラマブルミラーアレイを使用する)反射型の装置である。あるいはまた、装置は(例えば透過マスクを使用する)透過型の装置であってもよい。
照明システムILは放射源SOから放射ビームBを受ける。例えば光源がエキシマレーザである場合には、光源とリソグラフィ装置とは別体であってもよい。この場合、光源はリソグラフィ装置の一部を構成しているとはみなされなく、放射ビームは光源SOからビーム搬送系を介して照明システムILへと到達する。このビーム搬送系は例えば適切な方向変更用ミラー及び/またはビームエキスパンダを含む。他の場合、例えば光源が水銀ランプである場合には、光源はリソグラフィ装置に一体に構成されていてもよい。光源SOと照明システムILとは、またビーム搬送系が必要とされる場合にはこれも合わせて、放射システムと称されることがある。
照明システムILは、放射ビームに所望の均一性および所望の照明モードを提供するように、放射ビームを調整する。照明システムILは、瞳面における放射ビームの空間強度分布を調整する(例えば、所望の照明モードを選択する)ための強度分布調整装置を含む。照明システムはインテグレータやカップリング光学素子などの種々の他の素子を有してもよい。
放射ビームBは、照明システムILを放れると、サポート構造MTに保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射する。パターニングデバイスMAを通過した後、放射ビームBは投影システムPLを通過する。投影システムPLはビームを基板Wのターゲット部分Cに合焦させる。第2位置決めデバイスPWと位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ、静電容量センサなど)により基板テーブルWTは正確に移動される。例えば放射ビームBの経路に異なる複数のターゲット部分Cをそれぞれ位置決めするように移動される。同様に、第1位置決め装置PMおよび別の位置センサIF1を使用して、放射ビームBの経路に対してパターニングデバイスMAを正確に位置決めできる。この位置決めは例えばマスクライブラリからのマスクの機械検索後や走査中に行われる。一般に対象テーブルMTおよびWTの移動は、ロングストロークモジュール(粗い位置決め用)及びショートストロークモジュール(精細な位置決め用)により実現されうる。これらのモジュールは位置決めデバイスPMおよびPWの一部を形成する。しかしながら、ステッパでは(スキャナとは異なり)、サポート構造MTはショートストロークのアクチュエータにのみ接続されているか、あるいは固定されていてもよい。パターニングデバイスMAと基板Wとは、パターニングデバイスアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いてアライメントされてもよい。図においては基板アライメントマークが専用のターゲット部分を占拠しているが、基板アライメントマークはターゲット部分間のスペースに配置されてもよい(これはスクライブライン・アライメントマークとして公知である)。同様に、パターニングデバイスMAに複数のダイがある場合にはパターニングデバイスアライメントマークをダイ間に配置してもよい。
図1および図2の両方に示される装置は以下のモードで使用することができる。
1.ステップモードにおいては、放射ビームPBに付与されたパターンの全体が1回の照射で1つのターゲット部分Cに投影される間、サポート構造MT及び基板テーブルWTは実質的に静止状態とされる(すなわち単一の静的な露光)。そして基板テーブルWTがX方向及び/またはY方向に移動されて、異なるターゲット部分Cが露光される。ステップモードでは露光フィールドの最大サイズが単一静的露光で転写されるターゲット部分Cのサイズを制限することになる。
2.スキャンモードにおいては、放射ビームPBに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、サポート構造MT及び基板テーブルWTは同期して走査される(すなわち1回の動的な露光)。サポート構造MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPLの拡大(縮小)特性及び像反転特性により定められてもよい。スキャンモードでは露光フィールドの最大サイズが単一動的露光でのターゲット部分の(非走査方向の)幅を制限し、走査移動距離がターゲット部分の(走査方向の)高さを決定する。
3.別のモードにおいては、放射ビームPBに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影される間、サポート構造MTはプログラム可能パターニングデバイスを保持して実質的に静止状態とされ、基板テーブルWTは移動または走査される。このモードでは一般にパルス放射源が用いられ、プログラム可能パターニングデバイスは走査中に基板テーブルWTが移動するたびに、または連続する放射パルスと放射パルスの間に必要に応じて更新される。この動作モードは、上述のタイプのプログラム可能ミラーアレイなどのプログラム可能パターニングデバイスを使用するマスクレスリソグラフィに容易に適用可能である。
上記の使用モードを組み合わせて動作させてもよいし、使用モードに変更を加えて動作させてもよく、さらに全く別の使用モードを用いてもよい。
上述の通り、照明システムILは強度分布調整装置を備える。強度分布調整装置は、パターニングデバイスに入射する放射ビームの角強度分布を制御するために、照明システムの瞳面における放射ビームの空間強度分布を調整するよう構成される。強度分布調整装置を使用して、照明システムの瞳面において異なる照明モードを選択することができる。照明モードの選択は、例えばパターニングデバイスMAから基板W上へ投影されるべきパターンの性質に依存する。
照明システム瞳面における放射ビームの空間強度分布は、放射ビームがパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射する前に、角強度分布に変換される。言い換えると、照明システムの瞳面とパターニングデバイスMA(パターニングデバイスはフィールド面にある)との間にはフーリエ関係が存在する。照明システムの瞳面はパターニングデバイスMAが配置されている対物面のフーリエ変換面である。照明システムの瞳面は、投影システムの瞳面と共役となっている。
図2は、図1のリソグラフィ装置の部分をより詳細に示す模式図である。ソースSOは放射ビームBを生成し、放射ビームBは照明システムILに設けられた入り口アパーチャ20にある仮想ソース点収集フォーカス18へと集束される。放射ビームBは照明システムIL内で第1および第2反射素子22、24を介して反射され、サポート構造MTに保持されているパターニングデバイスMAへと導かれる。放射ビームBは次に、投影システムPL内で第1および第2反射素子28、30を介してイメージされ、基板テーブルWTに保持されている基板W上に投影される。
ソース、照明システムILおよび投影システムPLには一般に、図2に示されているよりも多くのまたは少ない要素が存在しうることは理解されるであろう。例えば、ある実施の形態では、リソグラフィ装置はひとつ以上の透過性または反射性スペクトル純度フィルタを備えてもよい。リソグラフィ装置には、より多くのまたはより少ない反射素子部分が存在してもよい。
図3は、照明システムの第1および第2反射素子を含むリソグラフィ装置の部分を模式的に示す図である。第1反射素子22は、複数の主反射要素22a−d(フィールドファセットミラーとして広く知られている)を含む。第2反射素子24は、複数の二次反射要素24a−d、a’−d’(瞳ファセットミラーとして広く知られている)を含む。主反射要素22a−dは二次反射要素24a−d、a’−d’に向けて放射を導く(反射する)よう構成される。4つの主反射要素22a−dのみが示されているが、任意の数の主反射要素を提供してもよい。主反射要素は、二次元アレイ(または他の二次元配列)に配列されてもよい。8つの二次反射要素24a−d、a’−d’のみが示されているが、任意の数の二次反射要素を提供してもよい。二次反射要素は、二次元アレイ(または他の二次元配列)に配列されてもよい。
主反射要素22a−dは調整可能な向きを有し、選択された二次反射要素24a−d、a’−d’に向けて放射を導くために使用されてもよい。
第2反射素子24は照明システムILの瞳面Pと一致する。したがって、第2反射素子24は、パターニングデバイスMA上に放射を導く仮想放射源として作用する。第2反射素子24とパターニングデバイスMAとの間にコンデンサミラー(不図示)が設けられてもよい。コンデンサミラーはミラーシステムであってもよい。コンデンサミラーは主反射要素22a−dをパターニングデバイスMA上に結像するよう構成されてもよい。
第2反射素子24における放射ビームBの空間強度分布は、放射ビームの照明モードを決定する。主反射要素22a−dは調整可能な向きを有しているので、それらを使用して、瞳面Pに異なる空間強度分布を形成し、それによって異なる照明モードを提供することができる。
使用中、放射ビームBは第1反射素子22の主反射要素22a−dに入射する。各主反射要素22a−dは、第2反射素子24の異なる二次反射要素24a−d、a’−d’に向けて放射のサブビームを反射する。第1サブビームBaは、第1主反射要素22aによって第1二次反射要素24aに導かれる。第2、第3および第4サブビームBb−dは、第2、第3および第4主反射要素22b−dによって第2、第3および第4二次反射要素24b−dに導かれる。
サブビームBa−dは、二次反射要素24a−dによってパターニングデバイスMAに向けて反射される。それらのサブビームはまとめて単一の放射ビームBを形成するものとみなされうる。この単一の放射ビームBはパターニングデバイスMAの露光領域Eを照らす。露光領域Eの形状は、主反射要素22a−dの形状によって決定される。露光領域Eは例えば矩形、湾曲バンド、または他の形状であってもよい。
各主反射要素22a−dは、第2反射素子24の異なる二次反射要素24a−d、a’−d’に、仮想ソース点収集フォーカス18の像を形成する。実際、フォーカス18は点ではないであろう。むしろフォーカス18は例えば4−6mmであってもよい有限の幅(例えば直径)を有する仮想ソースである。その結果、各主反射要素22a−dは、二次反射要素24a−d、a’−d’に、(例えば3−5mmの)有限の幅を有する仮想ソースの像を形成するであろう。二次反射要素24a−d、a’−d’は、像の幅よりも大きな幅を有してもよい(放射が二次反射要素間に落ちて失われないようにするためである)。図では説明を簡単とするために、フォーカス18およびフォーカスの像は点として描かれている。
主および二次反射要素は光学パワーを有する。各主反射要素22a−dは負の光学パワーを有する。各主反射要素22a−dは仮想ソース18の像を形成するのであるが、その像は仮想ソースよりも小さい。各二次反射要素24a−d、a’−d’は正の光学パワーを有する。各二次反射要素24a−d、a’−d’は主反射要素22a−dの像を形成するのであるが、その像は主反射要素よりも大きい。上述の通り、主反射要素22a−dの像は露光領域Eである。
主反射要素22a−dの向きは、瞳面Pに形成される照明モードを決定する。例えば、主反射要素22a−dは、放射サブビームが4つの最も内側の二次反射要素24c、d、a’、b’に導かれるように方向付けられてもよい。これは、標準(ディスク形状)照明モードの1次元等価物とみなされうる照明モードを提供する。代替的な例では、主反射要素22a−dは、放射サブビームが第2反射素子24の左端の2つの二次反射要素24a−bに導かれるように、かつ、放射サブビームが第2反射素子24の右端の2つの二次反射要素24c’−d’に導かれるように、方向付けられてもよい。これは、環状照明モードの1次元等価物とみなされうる照明モードを提供する。
主反射要素22a−dのそれぞれは、それが2つの向きすなわち第1向きおよび第2向きのうちのひとつに向けられうるように構成される。第1向きは、主反射要素が放射のサブビームを第2反射素子24上の第1の所望の箇所に向けて反射するような向きである。第2向きは、主反射要素が放射のサブビームを第2反射素子24上の第2の所望の箇所に向けて反射するような向きである。主反射要素は第3向きへ動くよう構成されてはおらず、代わりに第1向きと第2向きとの間でのみ可動である。
図4は、第1反射素子22の第1主反射要素22aを例として使用して、主反射要素の第1および第2向き間での動きを説明する。第1主反射要素22aが第1向きを向いているとき、その第1主反射要素22aは、第2反射素子24の第1二次反射要素24aに放射サブビームBaを導く。第1主反射要素22aが第2向きを向いているとき、その第1主反射要素22aは、第2反射素子24の第2二次反射要素24a’に放射サブビームBa’(点線により示されている)を導く。第1主反射要素22aは他のどの向きへも動かないよう構成され、したがって他のどの二次反射要素24b−d、b’−d’にも放射サブビームを導かないよう構成されている。
上記説明は、二次反射要素24a−d、a’−d’に放射サブビームを導く各主反射要素22a−dに当てはまる。任意の実施の形態において、所与のサブビームによって照らされる二次反射要素は、瞳面上のまたは第2反射素子上の単一の箇所内に全てが配置された二次要素のグループの要素であってもよい。その箇所は、照明モードに関連する。この理由で、「箇所」、「照明箇所」または「照明箇所グループ」という用語は、二次反射要素の代わりに使用されうる(「箇所」という用語は、単一の二次反射要素または複数の二次反射要素を包含することが意図されている)。
各主反射要素22a−dは、放射サブビームを2つの異なる箇所に導くよう構成される。各主反射要素24a−dに関連する第1箇所および第2箇所は、他の主反射要素から放射サブビームを受ける箇所とは異なる一意のものである。各主反射要素22a−dを適切に設定することにより、所望の照明モードに対応する空間強度分布を生成するよう第2反射素子24の瞳面Pにおける必要な箇所に放射を導くことができる。
図3および図4は4つの主反射要素22a−dのみを示しているが、第1反射素子22はより多くの主反射要素を含んでいてもよい。第1反射素子22は例えば100程度、200程度または400程度の主反射要素を含んでいてもよい。第1反射素子22は例えば100−800の範囲のなかの任意の数の主反射要素を含んでいてもよい。反射要素はミラーであってもよい。第1反射素子22は、1024(例えば32x32)のミラーからなるアレイまたは4096(例えば64x64)のミラーからなるアレイもしくは任意の適切な数のミラーを含んでいてもよい。主反射要素は、二次元格子形状に配列されてもよい。主反射要素は、放射ビームを横切る面に配列されてもよい。
第1反射素子22は主反射要素のひとつ以上のアレイを含んでいてもよい。例えば、主反射要素は、複数のアレイを形成するよう配列またはグループ化されていてもよい。各アレイは例えば32x32のミラーを有する。本明細書では、「アレイ」という用語は単一のアレイまたはアレイのグループを意味してもよい。
二次反射要素24a−d、a’−d’は二次反射要素の向きが固定されるように取り付けられてもよい。
図5および図6は、瞳面Pにおける空間強度分布を変更し所望の照明モードを得るために、放射を再方向付けする原理を模式的に示す。図5bおよび図6bの紙面は、図5aおよび図6aに示される瞳面Pと一致する。図の説明を容易とするため、図5bおよび図6bにおいて直交座標系が示されている。示されている直交座標系は、得られうる空間強度分布の向きに対する制限を暗示するよう意図されるものではない。空間強度分布の半径範囲はσinner(内側半径範囲)およびσouter(外側半径範囲)によって定義される。内側および外側半径範囲は円形であってもよく、または他の形状を有していてもよい。
上述の通り、瞳面Pにおける放射ビームの空間強度分布(およびしたがって照明モード)は、主反射要素22a−dの向きによって決定される。照明モードは、主反射要素22a−dのそれぞれを選択し選択された主反射要素22a−dを要求される通りにその第1向きまたは第2向きに動かすことによって制御される。
本例では16の主反射要素が存在し、そのうちの4つのみが示されている(22a−d)。図5aに示されているように、第1主反射要素22a−dが第1向きを向いているとき、放射のサブビームは関連する第1箇所24a−dに向けて反射される。図5bを参照すると、第1箇所24a−dは図5bの上部にあるかまたは上部に近い。他の主反射要素(不図示)もまた第1向きにあり、放射のサブビームを第1箇所に導く。これらの第1箇所には図5bの上部にあるかまたは上部に近いものがあり、また図5bの下部にあるかまたは下部に近いものもある。放射のサブビームを受ける箇所は点線を使用して網掛けされている。図5bから、主反射要素22a−dが第1向きにあるとき、極がy方向に分離されているダイポール照明モードが形成されることが分かる。
図6aに示されているように、第1主反射要素22a−dが第2向きを向いているとき、放射のサブビームは関連する第2箇所24a’−d’に向けて反射される。図6bを参照すると、第2箇所24a’−d’は図6bの右側にあるかまたは右側に近い。他の主反射要素(不図示)もまた第2向きにあり、放射のサブビームを第2箇所に導く。これらの第2箇所には図6bの右側にあるかまたは右側に近いものがあり、また図6bの左側にあるかまたは左側に近いものもある。放射のサブビームを受ける箇所は点線を使用して網掛けされている。図6bから、主反射要素22a−dが第2向きにあるとき、極がx方向に分離されているダイポール照明モードが形成されることが分かる。
y方向ダイポール照明モードからx方向ダイポール照明モードへの切り替えは、各主反射要素22a−dを第1向きから第2向きへ動かすことにより達成される。同様に、x方向ダイポール照明モードからy方向ダイポール照明モードへの切り替えは、各主反射要素22a−dを第2向きから第1向きへ動かすことにより達成される。
以下でさらに説明されるように、主反射要素22a−dのうちのいくつかを第1向きへと動かし、いくつかを第2向きへと動かすことによって、他のモードを形成することができる。各主反射要素の第1向きおよび第2向き(およびしたがって第1および第2関連箇所)は、生成されうる有益な照明モードの数を最大化するように選択されてもよい。
主反射要素を軸の周りで回転させることによって主反射要素を第1向きと第2向きとの間で動かしてもよい。アクチュエータを使用して主反射要素を動かしてもよい。
ひとつ以上の主反射要素は、同じ軸の周りに回転するよう駆動されてもよい。ひとつ以上の他の主反射要素は、ひとつ以上の他の軸の周りに回転するよう駆動されてもよい。
ある実施の形態では、主反射要素は、その主反射要素を第1向きと第2向きとの間で動かすよう構成されたアクチュエータを含む。アクチュエータは例えばモータであってもよい。第1および第2向きはエンドストップによって決められてもよい。第1エンドストップは、主反射要素が第1向きを越えて動くのを防ぐ機械装置を含む。第2エンドストップは、主反射要素が第2向きを越えて動くのを防ぐ機械装置を含む。エンドストップを含む、主反射要素のための適切なマウントが以下に説明される。
主反射要素の動きはエンドストップによって制限されるので、主反射要素の位置を監視する必要はなく(例えば、位置監視センサおよびフィードバックシステムを使用する必要はなく)、主反射要素を正確に第1向きまたは第2向きへ動かすことができる。パターニングデバイスから基板上へのパターンのリソグラフィ投影において使用されるのに十分な質を有する照明モードを主反射要素が形成するのに十分な正確さで、主反射要素を方向付けることができる。
アクチュエータに供給される駆動信号はバイナリ信号であってもよい。アクチュエータは主反射要素を第1エンドストップまたは第2エンドストップへ動かしさえすればよいので、可変アナログ電圧や可変デジタル電圧などのより複雑な信号を使用する必要はない。より複雑なシステムではなくむしろアクチュエータに対してバイナリ(2値)駆動信号を使用することにより、そうでない場合よりもシンプルな制御システムを使用することができる。
図5および図6に関連して上述された装置は、16の主反射要素を含む。実際は、より多くの主反射要素が設けられてもよい。しかしながら、いくつかの異なる照明モードを得ることができる方法の説明を可能とするには、16の主反射要素で十分である。以下の照明モードは16の主反射要素を使用して得られうる:環状、cクアッド(c-quad)、クエーサー(quasar)、ダイポールyおよびダイポールx。放射を照明システムの瞳面における32の関連する箇所に適切に導くよう16の主反射要素を構成することによって、これらの照明モードを形成することができる。
図7は、5つの異なる所望の照明モードを生成するよう構成された照明システム内の瞳面Q1の第1象限を示す。第1象限の各セグメント24a−d、a’−d’は照明箇所(すなわち、フィールドファセットミラーから放射サブビームを受ける箇所)に対応する。照明箇所は、瞳面を回る周状に(例えば周方向に沿って)環状に配列される。照明箇所の内側半径範囲はσinnerと表記される。照明箇所の外側半径範囲はσouterと表記される。
各照明箇所に複数の二次反射要素が設けられてもよい。各照明箇所に、例えば10から20の間の二次反射要素が設けられてもよい。この場合、主反射要素の数はそれにしたがって増減する。例えば、所与の照明箇所に10の二次反射要素が存在する場合、その照明箇所へ放射を導くよう構成された10の主反射要素が存在する(各主反射要素は放射を異なる二次反射要素に導くよう構成される)。以下の説明では、「主反射要素」という用語が使用される場合、これは一斉に動くよう構成された複数の主反射要素を包含してもよい。
照明箇所の瞳面に亘る相対表面積は
になる。したがって、エタンデュ比X(すなわち、相対的に使用されている瞳面面積の逆数)は、
となる。
図7に示される象限Q1には8の照明箇所24a−d、24a’−d’が存在する(瞳面全体では32の照明箇所に対応する)。各照明箇所は、主反射要素によって反射された放射のサブビームによって照らされるようサイズが規定されまた形状が規定される。各主反射要素は、同じ象限の異なる部分から選択された2つの照明箇所を個々に照明するよう構成される。より具体的には、各主反射要素は、第1向きと第2向きとの間で動くことによって、同じ象限にある第1関連照明箇所または第2関連照明箇所のいずれかに放射を導き照らすよう構成される。
図7の同じ象限Q1に一対の照明箇所24a、a’(および他のもの)が提供されているが、これに限られる必要はない。例えば、第1照明箇所はひとつの象限に設けられ、その対は異なる象限に設けられてもよい。照明箇所の対に含まれる第1照明箇所と第2照明箇所との距離が増えると、放射サブビームをそれらの照明箇所に導くために主反射要素によって要求される回転量もまた増える。照明箇所の位置は、主反射要素に要求される回転量が最小化されるまたはどの主反射要素に対しても所定の最大回転量以上回転することが要求されないように選択されてもよい。照明箇所の位置は、照明モードの所望の組が得られうるような(例えば、図8に関連して後述されるような)ものであってもよい。
第1主反射要素22a(図5および図6参照)は、第1向きを向いている場合に象限Q1の第1関連照明箇所24aを照らし、第2向きを向いている場合にその象限の第2関連照明箇所24a’を照らすよう構成される。第2主反射要素22bは、第1向きを向いている場合に第1関連照明箇所24bを照らし、第2向きを向いている場合に第2関連照明箇所24b’を照らすよう構成される。第3主反射要素22cは、第1向きを向いている場合に第1関連照明箇所24cを照らし、第2向きを向いている場合に第2関連照明箇所24c’を照らすよう構成される。第4主反射要素22dは、第1向きを向いている場合に第1関連照明箇所24dを照らし、第2向きを向いている場合に第2関連照明箇所24d’を照らすよう構成される。
他の象限(不図示)にも、照明箇所および関連する主反射領域についての同等な構成が適用されてもよい。
各主反射要素を所定の軸の周りで回転させることによってその主反射要素を第1向きと第2向きとの間で動かしてもよい。複数の主反射要素は、同じ軸の周りに回転するよう構成されてもよい。例えば、瞳面の同じ象限の隣接する照明箇所に関連する主反射要素は、同じ軸の周りで回転するよう構成されてもよい。説明されている例では、第1および第2主反射要素22a、22bは第1軸AAの周りで回転するよう構成され、第3および第4主反射要素22c、22dは第2軸BBの周りで回転するよう構成される。第1軸AAはQ1のx軸に対して56.25°をなすよう設けられ、第2軸BBはQ1のx軸に対して33.75°をなすよう設けられる。図7の面には第1および第2軸AA、BBが示されているが、これは説明の容易化のみを目的とする。それらの軸は主反射要素22a−dの面に存在するであろう。
追加的にまたは代替的に、瞳面の対向する象限において対応する照明箇所に関連する主反射要素は同じ軸の周りで回転するよう構成されてもよい。例えば、第1象限Q1に関連する主反射要素22a、bおよび第3象限に関連する対応する主反射要素は第1軸AAの周りで回転するよう構成されてもよい。同様に、第1象限Q1に関連する主反射要素22c、dおよび第3象限に関連する対応する主反射要素は第2軸BBの周りで回転するよう構成されてもよい。
第2象限に関連する主反射要素および第4象限に関連する主反射要素は第3軸(例えば、x軸に対して123.75°をなすよう設けられた軸)の周りで回転してもよい。加えて、第2象限に関連する主反射要素および第4象限に関連する主反射要素は第4軸(例えば、x軸に対して146.25°をなすよう設けられた軸)の周りで回転してもよい。これらの象限のいずれも図7に示されていない。
主反射要素は、同じ軸の周りで同じ向きまたは反対の向きに回転するよう構成されてもよい。
主反射要素が一緒に同じ軸の周りで同じ向きに回転するようグループ化されている場合、主反射要素を第1向きと第2向きとの間で動かすよう構成されたアクチュエータは単純化されうる。例えば、同じ軸の周りで回転するようグループ化された主反射要素に関連するアクチュエータは、それらの主反射要素を一斉に動かすよう構成されてもよい。したがって、4つの回転軸が存在する実施の形態では、4つのアクチュエータが存在する。
図8は、5つの異なる照明モードが、説明された装置を使用して(すなわち16の主反射要素および4つの回転軸を使用して)、照明システムの瞳面においてどのように形成されうるかを示す。照明モードは以下の通りである:環状照明モード(図8a)、ダイポールx照明モード(図8b)、ダイポールy照明モード(図8c)、クエーサー照明モード(図8d)、cクアッド照明モード(図8e)。
図8aに示されるような環状照明モードを生成するために、第1象限に関連する主反射要素22a−dは、照明箇所24b、24d、24a’、24c’(図7参照)が照らされるように方向付けられる。これは、第1主反射要素22aを第1軸AAの周りで第2向きへ回転させ、第2主反射要素22bを第1軸AAの周りで第1向きへ回転させ、第3主反射要素22cを第2軸BBの周りで第2向きへ回転させ、第4主反射要素22dを第2軸BBの周りで第1向きへ回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
図8b(図6bも参照)に示されるようなダイポールx照明モードを生成するために、第1象限に関連する主反射要素は、照明箇所24b’、24a’24d’、24c’が照らされるように方向付けられる。これは、第1主反射要素22aを第1軸AAの周りで第2向きへ回転させ、第2主反射要素22bを第1軸AAの周りで第2向きへ回転させ、第3主反射要素22cを第2軸BBの周りで第2向きへ回転させ、第4主反射要素22dを第2軸BBの周りで第2向きへ回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
図8c(図5bも参照)に示されるようなダイポールy照明モードを生成するために、第1象限に関連する主反射要素は、照明箇所24a、24b、24c、24dが照らされるように方向付けられる。これは、第1主反射要素22aを第1軸AAの周りで第1向きへ回転させ、第2主反射要素22bを第1軸AAの周りで第1向きへ回転させ、第3主反射要素22cを第2軸BBの周りで第1向きへ回転させ、第4主反射要素22dを第2軸BBの周りで第1向きへ回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
図8dに示されるようなクエーサー照明モードを生成するために、第1象限に関連する主反射要素は、照明箇所24c、24d、24b’、24a’が照らされるように方向付けられる。これは、第1主反射要素22aを第1軸AAの周りで第2向きへ回転させ、第2主反射要素22bを第1軸AAの周りで第2向きへ回転させ、第3主反射要素22cを第2軸BBの周りで第1向きへ回転させ、第4主反射要素22dを第2軸BBの周りで第1向きへ回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
図8eに示されるようなcクアッド照明モードを生成するために、第1象限に関連する主反射要素は、照明箇所24a、24b、24d’、24c’が照らされるように方向付けられる。これは、第1主反射要素22aを第1軸AAの周りで第1向きへ回転させ、第2主反射要素22bを第1軸AAの周りで第1向きへ回転させ、第3主反射要素22cを第2軸BBの周りで第2向きへ回転させ、第4主反射要素22dを第2軸BBの周りで第2向きへ回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
図8に示される照明モードの上記説明では、第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は第1象限のそれと同様に方向付けられることは言及された。以下にこれがどのようになされるかが説明される。図8から、ダイポール、クエーサーおよびcクアッドモードはxおよびy軸について対称であることが分かる。しかしながら、図8の環状モードはx軸、y軸のいずれについても対称ではない。環状モードは(90°またはその倍数の回転について)回転対称である。
照明モードが同じ対称性を共有しないという事実により、照明箇所の位置に対して制限が課される。その制限とは、照明箇所の各対は照明箇所の関連する対を有しており、その2つの対は象限を二等分する線SS(図7参照)について対称となっていることである。例えば、照明箇所24a、a’の第1対は、照明箇所24c、c’の第3対に関連する。これら2つの対は線SSについて対称となっている。照明箇所24b、b’の第2対は、照明箇所24d、d’の第4対に関連する。これら2つの対もまた線SSについて対称となっている。他の象限に対しても同じ制限が課される。
第2象限は第1象限の鏡像である。第3および第4象限は第1および第2象限の鏡像である。照明箇所をこのように配置することにより、図8に示される全ての照明モードを得ることが可能となる。図8b−dに示される照明モードのいずれかが生成されるとき、各象限の対応する主反射要素の向きは同じである。図8aの環状モードが生成されるとき、第1および第3象限の主反射要素の向きは、第2および第4象限の主反射要素に適用される向きと反対である。
主反射要素は、2つの軸の周りでの回転を許すマウンティング上に設けられてもよい。図9に、使用されてもよいマウンティング40が示される。マウンティングを説明するのを助けるために、図9には直交座標系が示される。主反射要素22aはマウンティング40に保持される。マウンティング40は、x方向に延びる2つのレバーアーム41a,41bと、y方向に延びる2つのレバーアーム42a,42bと、を有する。柱部43はz方向に延び、板バネを介してレバーアーム41a、b、42a、bの内側の端部を互いに接続する。レバーアーム41a、bの第1対の外側の端部は第1ロッド44によって接続され、第1ロッド44はそれらの外側の端部の間を一定距離に保つ。レバーアーム42a、bの第2対の外側の端部は第2ロッド45によって接続され、第2ロッド45はそれらの外側の端部の間を一定距離に保つ。
レバーアーム41a、bの第1対は、主反射要素22aを第1軸の周りで回転させるよう構成される。エンドストップ46a、bは、レバーアーム41a、bの第1対の移動範囲を制限する。エンドストップ46a、bは2つの位置を確立し、最下部のレバーアーム41bはそれら2つの位置の間で動きうる。2つの位置は、高位置(H1と称される)および低位置(L1と称される)である。最下部のレバーアーム41bが高位置H1にあるとき、そのレバーアームは上側エンドストップ46aと接触する。最下部のレバーアーム41bが低位置L1にあるとき、そのレバーアームは下側エンドストップ46bと接触する。
第1ロッド44によって提供される、最上部のレバーアーム41aと最下部のレバーアーム41bとの間の接続は、最上部および最下部のレバーアームの動きを一緒にしてリンクさせる。したがって、最上部のレバーアーム41aの動きはエンドストップ46a、bによって制限される。主反射要素22aは最上部のレバーアーム41aと接続されているので、これは第1軸の周りでの主反射要素22aの回転がエンドストップ46a、bによって制限されることを意味する。したがって、第1軸の周りでの主反射要素22aの回転は、最下部のレバーアーム41bが上側エンドストップ46aと接触する位置および最下部のレバーアーム41bが下側エンドストップ46bと接触する位置へと制限される。
レバーアーム42a、bの第2対は、主反射要素22aを第1軸と直交する第2軸の周りで回転させるよう構成される。エンドストップ47a、bは、レバーアーム42a、bの第2対の動きを制限するために使用される。レバーアームの第2対は、高位置(H2)と低位置(L2)との間を動く。したがって、第2軸の周りでの主反射要素22aの回転は、最下部のレバーアーム42bが上側エンドストップ47aと接触する位置および最下部のレバーアーム42bが下側エンドストップ47bと接触する位置へと制限される。
レバーアーム41a、b、42a、bの両方の対が同じ向きに同じ量だけ動いた場合、x軸の周りでの主反射要素22aの回転が得られる。レバーアーム41a、b、42a、bの対が反対の向きに同じ量だけ動いた場合、y軸の周りでの主反射要素22aの回転が得られる。
フレキシブルロッド50はリジッドアーム51から延びる。リジッドアーム51はレバーアーム41a、bの第1対によって定義される面内にある。等価なフレキシブルロッド(符号は付されていない)はリジッドアーム(符号は付されていない)から延びる。リジッドアームはレバーアーム42a、bの第2対によって定義される面内にある。フレキシブルロッドはマウンティングのピボット点を定めるために使用される。ピボット点はフレキシブルロッドが交差する位置に設けられる。
マウンティング40のこの構成によると、主反射要素22aの4つの可能な第1向きおよび対応する4つの第2向きを得ることができる。これらは以下のようなものである。
瞳面P(図3−6参照)において照らされる箇所は、主反射要素22aの向きによって変わる。これにより、上述された通り、異なる照明モードを選択することが可能となる。
4つの主反射要素22a−dのそれぞれが図9のマウンティングを使用して回転される場合、レバーアームの位置は以下の通りであってもよい。
エンドストップ46a、b、47a、b、50の位置を調整することによって、第1主反射要素22aの回転軸を調整することが可能である。例えば、第1主反射要素の回転軸が図7の軸AAに対応するようにエンドストップを配置してもよい。同様に、例えば、第3主反射要素22cの回転軸が図7の軸BBに対応するようにエンドストップを配置してもよい。
レバーアーム41a、b、42a、bはアクチュエータ(不図示)によって駆動されてもよい。アクチュエータは例えばモータであってもよい。各レバーアーム対41a、b、42a、bは異なる専用のアクチュエータによって駆動されてもよい。したがって、図7の象限Q1の照明箇所24a−d、24a’−d’に関連する4つの主反射要素22a−dを回転させるようにレバーアームを駆動するために、8つのアクチュエータが使用されてもよい。
あるいはまた、両方のレバーアーム対41a、b、42a、bは単一のアクチュエータによって駆動されてもよく、この場合単一のアクチュエータは例えば順方向および逆方向動作の両方を提供するよう構成されてもよい。この場合、図7の象限Q1の照明箇所24a−d、24a’−d’に関連する4つの主反射要素22a−dを回転させるようにレバーアームを駆動するために、4つのモータが使用されてもよい。
第1主反射要素22aの代わりに複数の主反射要素が使用されてもよい。この場合、複数の主反射要素のそれぞれはマウンティング40上に設けられてもよい。マウンティング40はアクチュエータによって駆動されてもよく、そのアクチュエータは、複数の主反射要素が一斉に動くように構成されてもよい。他の主反射要素22b−dにも同じことが当てはまる。
アクチュエータには主反射要素を2つの位置に向けて駆動することのみが求められるので、アクチュエータをシンプルにすることが可能である。反射要素をより多くの位置へと駆動するアクチュエータはより正確な制御を要求する。アクチュエータには主反射要素を2つの位置に向けて駆動することのみが求められるので、主反射要素の向きを決定するためのセンシングシステムは不要である。さらに、反射要素の位置を制御するために、多値(アナログ)信号を使用するのではなくむしろバイナリ信号を使用することができる。
アクチュエータは例えば圧電アクチュエータ、静電アクチュエータ、バイメタルアクチュエータまたはモータであってもよい。
主反射要素を、従来一般の反射要素のアレイよりも密に配列することが可能である。これは、各主反射要素が2つの位置の間でのみで動かされるものであり、したがって他の異なる位置へと動くものであったならばそれを可能としたであろう周囲のスペース、を必要としないからである。主反射要素のこのより密な配列は、リソグラフィ装置における放射損失を低減する。これは、放射が通過してしまうような主反射要素間のスペースがより小さくなるからである。
上述の実施の形態では、放射サブビームによって照らされる照明箇所は全て同じ内側半径範囲(σinner)および外側半径範囲(σouter)を有する(例えば、それらはすべて単一のリング上に存在する)。これは例えば図7において示されており、そこでは象限Q1の全ての照明箇所24a−d、24a’−d’は同じ内側および外側半径範囲と共に示されている。加えて、主反射要素の回転軸は全て象限の原点(すなわち、照明システムの光軸)を通過する。
別の実施の形態では、放射サブビームによって照らされる照明箇所は例えばディスクおよびリングとして提供されてもよい。リングはディスクに隣接して設けられる。図10は、照明箇所のこの配置での瞳面の第1象限Q1を示す。象限Q1には24の照明箇所A1、A2〜L1、L2が存在する(瞳面全体では96の照明箇所となる)。12の主反射要素A〜L(不図示)は、象限Q1の関連する24の照明箇所を照らすよう構成される(48の主反射要素が全ての照明箇所を照らすよう構成される)。
各照明箇所に複数の二次反射要素が設けられてもよい。各照明箇所に、例えば10から20の間の二次反射要素が設けられてもよい。この場合、主反射要素の数はそれにしたがって増減する。例えば、所与の照明箇所に10の二次反射要素が存在する場合、その照明箇所へ放射を導くよう構成された10の主反射要素が存在する(各主反射要素は放射を異なる二次反射要素に導くよう構成される)。本説明では、「主反射要素」という用語が使用される場合、これは一斉に動くよう構成された複数の主反射要素を包含してもよい。
照明箇所は、内側照明箇所グループと外側照明箇所グループとに分類されてもよい。内側照明箇所グループの照明箇所は、関連する主反射要素が第1向きにあるときに照らされる。外側照明箇所グループの照明箇所は、関連する主反射要素が第2向きにあるときに照らされる。
内側照明箇所グループは内側半径範囲σinnerおよび外側半径範囲σ2を有する。外側照明箇所グループは内側半径範囲σ2および外側半径範囲σ3を有する。
照明箇所の瞳面に亘る相対表面積は
になる。したがって、エタンデュ比X(すなわち、相対的に使用されている瞳面面積の逆数)は、
となる。
各主反射要素は、同じ象限(例えば、Q1)の異なる部分から選択された2つの照明箇所を個々に照明するよう構成される。より具体的には、各第1反射要素は、第1向きと第2向きとの間で動くよう構成される。第1反射要素が第1向きを向いているとき、放射サブビームは外側照明箇所グループの第1関連照明箇所に導かれる。第1反射要素が第2向きを向いているとき、放射サブビームは内側照明箇所グループの第2関連照明箇所に導かれる(両方の箇所は同じ象限にある)。
図3および図10を参照すると、主反射要素22aは第1向きを向いている場合に第1関連照明箇所A1を照らし、第2向きを向いている場合に第2関連照明箇所A2を照らすよう構成されてもよい。異なる主反射要素22bは、第1向きを向いている場合に第1関連照明箇所B1を照らし、第2向きを向いている場合に第2関連照明箇所B2を照らすよう構成されてもよい。他の主反射要素も同様に構成されてもよい。
照明箇所の位置に対して制限が課される。その制限とは、照明箇所の各対は照明箇所の関連する対を有しており、その2つの対は象限を二等分する線SSについて対称となっていることである。例えば、照明箇所A1、A2の第1対は、照明箇所G1、G2の第7対に関連する。これら2つの対は線SSについて対称となっている。第2の例では、照明箇所B1、B2の第2対は、照明箇所H1、H2の第4対に関連する。これら2つの対もまた線SSについて対称となっている。照明箇所の他の対に対しても同じ制限が課される。さらに、他の象限に対しても同じ制限が課される。
照明箇所および関連する主反射領域の構成は、瞳面の各象限について同じであってもよい。例えば、第2象限は第1象限の鏡像であってもよい。第3および第4象限は第1および第2象限の鏡像であってもよい。
各主反射要素を軸の周りで回転させることによってその主反射要素を第1向きと第2向きとの間で動かしてもよい。回転はエンドストップによって制限されてもよい。外側照明グループの照明箇所および内側照明グループの照明箇所を照らすために、軸は照明システムの光軸を通過しなくてもよい。
図3および図10を参照すると、第1主反射要素22aは第1関連照明箇所A1、A2を照らし、第1軸AAの周りで回転してもよい。第2主反射要素22bは第2関連照明箇所L1、L2を照らし、第2軸BBの周りで回転してもよい。他の主反射要素は他の軸(不図示)の周りで回転してもよい。第1象限Q1には全部で12の回転軸が存在する。第3象限の回転軸は第1象限の回転軸と平行である。第2象限には12の回転軸が存在し、これらの回転軸は第4象限の回転軸と平行である。したがって、全部で24の回転軸が存在する。
瞳面の対向する象限において対応する照明箇所に関連する主反射要素は同じ軸の周りで回転するよう構成されてもよい。図10に示される例では、例えば全部で12の回転軸が存在してもよい。これは、Q1およびQ3に亘って延びる6つの軸とQ2およびQ4に亘って延びる6つの軸とを含む。
主反射要素は7つの異なる照明モードを生成するために使用されてもよい。図11に照明モードが示される。照明モードは、通常(ディスク)モード、環状モード、第2ディスクモード、ダイポールモードおよび四極モードである。
図11aに示されるような通常(ディスク)モードを生成するために、象限Q1に関連する主反射要素は、照明箇所A1〜L1が照らされるように方向付けられる。これは、全ての主反射要素をその軸の周りで第1向きへと回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。内側半径範囲σinnerがゼロでなく代わりに有限値である場合、このモードは通常(ディスク)モードではなくむしろ環状モードとなるであろう。
図11bに示されるような環状照明モードを生成するために、象限Q1に関連する主反射要素は、照明箇所A2〜L2が照らされるように方向付けられる。これは、全ての主反射要素をその軸の周りで第2向きへと回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
図11cに示されるような第2ディスク照明モードを生成するために、象限Q1に関連する主反射要素は、照明箇所A2、B1、C2、D1、E2、F1、G2、H1、I2、J1、K2およびL1が照らされるように方向付けられる。これは、照明箇所A、C、E、G、IおよびKに関連する主反射要素をその軸の周りで第2向きへと回転させ、照明箇所B、D、F、H、JおよびLに関連する主反射要素をその軸の周りで第1向きへと回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
図11dに示されるようなyダイポールモード照明モードを生成するために、象限Q1に関連する主反射要素は、照明箇所A2〜F2およびG1〜L1が照らされるように方向付けられる。これは、照明箇所A〜Fに関連する主第1反射要素をその軸の周りで第2向きへと回転させ、照明箇所G〜Lに関連する主反射要素をその軸の周りで第1向きへと回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
図11eに示されるようなxダイポール照明モードを生成するために、象限Q1に関連する主反射要素は、照明箇所A1〜F1およびG2〜L2が照らされるように方向付けられる。これは、照明箇所A〜Fに関連する主反射要素をその軸の周りで第1向きへと回転させ、照明箇所G〜Lに関連する主反射要素をその軸の周りで第2向きへと回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
図11fに示されるような四極照明モードを生成するために、象限Q1に関連する第1反射要素は、照明箇所D1〜I1、J2〜L2およびA2〜C2が照らされるように方向付けられる。これは、照明箇所D〜Iに関連する主反射要素をその軸の周りで第1向きへと回転させ、照明箇所J〜LおよびA〜Cに関連する主反射要素をその軸の周りで第2向きへと回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
図11gに示されるような代替的な四極照明モードを生成するために、象限Q1に関連する主反射要素は、照明箇所A1〜C1、G2〜I2、J1〜L1およびD2〜F2が照らされるように方向付けられる。これは、照明箇所A〜CおよびJ〜Lに関連する主反射要素をその軸の周りで第1向きへと回転させ、照明箇所G〜IおよびD〜Fに関連する主反射要素をその軸の周りで第2向きへと回転させることにより達成される。第2、第3および第4象限の照明箇所に関連する主反射要素は同様に方向付けられる。
瞳面において他の所望の照明モードを生成するために主反射要素を方向付けてもよい。
別の実施の形態では、放射サブビームによって照らされる照明箇所はディスク、第1リングおよび第2リングとして提供されてもよい。第1リングはディスクに隣接し、第2リングは第1リングに隣接してもよい。図12は、照明箇所のこの配置での瞳面の第1象限Q1を示す。象限Q1には36の照明箇所が存在する(瞳面全体では144の照明箇所となる)。12の主反射要素(不図示)は、象限Q1の関連する36の二次反射要素を照らすよう構成される(48の主反射要素が全ての照明箇所を照らすよう構成される)。
各照明箇所に複数の二次反射要素が設けられてもよい。各照明箇所に、例えば10から20の間の二次反射要素が設けられてもよい。この場合、主反射要素の数はそれにしたがって増減する。例えば、所与の照明箇所に10の二次反射要素が存在する場合、その照明箇所へ放射を導くよう構成された10の主反射要素が存在する(各主反射要素は放射を異なる二次反射要素に導くよう構成される)。以下の説明では、「主反射要素」という用語が使用される場合、これは一斉に動くよう構成された複数の主反射要素を包含してもよい。
各主反射要素は、放射を3つの異なる照明箇所に導くために、3つの異なる向きの間で可動となるよう構成される。例えば、第1主反射要素は、放射を第1照明箇所A1に導く第1向きと、放射を第2照明箇所A2に導く第2向きと、放射を第3照明箇所A3に導く第3向きと、の間で可動となるよう構成される。他の主反射要素は同様に動作する。しかしながら、図を過度に複雑とすることを避けるために、図12では大抵の照明箇所に符号は付されていない。
照明箇所の各トリオは照明箇所の関連するトリオを有しており、その2つのトリオは象限を二等分する線SSについて対称となっている。例えば、第1トリオA1−3は第12トリオL1−L3に関連する。このトリオの対は線SSについて対称である。他のトリオは同様にして対とされる。
照明箇所および関連する主反射領域の構成は、瞳面の各象限について同じであってもよい。第2象限は第1象限の鏡像であってもよい。第3および第4象限は第1および第2象限の鏡像であってもよい。
照明箇所は、内側照明箇所グループと中間照明箇所グループと外側照明箇所グループとに分類されてもよい。内側照明箇所グループの照明箇所は、関連する主反射要素が第1向きにあるときに照らされる。中間照明箇所グループの照明箇所は、関連する主反射要素が第2向きにあるときに照らされる。外側照明箇所グループの照明箇所は、関連する主反射要素が第3向きにあるときに照らされる。
内側照明箇所グループは内側半径範囲σinnerおよび外側半径範囲σ2を有する。中間照明箇所グループは内側半径範囲σ2および外側半径範囲σ3を有する。外側照明箇所グループは内側半径範囲σ2および外側半径範囲σouterを有する。
照明箇所の瞳面に亘る相対表面積は
になる。したがって、エタンデュ比X(すなわち、相対的に使用されている瞳面面積の逆数)は、
となる。
図12に示される構成では、内側照明箇所グループの内側半径範囲σinnerはゼロである。内側照明グループの照明箇所は中心点まで延び、ディスクを形成する。他の構成では、内側照明箇所グループの内側半径範囲σinnerはゼロでない数であってもよく、この場合、内側照明グループの照明箇所はディスクではなくむしろ環を形成する。
主反射要素は3つの異なる向きの間で動く。このため、この主反射要素の向きの制御は、主反射要素が2つの異なる向きのみの間で動く場合のものよりも難しくなりうる。例えば、主反射要素は複数のミラーを有してもよく、これらのミラーは2つの異なる軸の周りで独立に回転しうるように取り付けられる。例えば、ミラーを支持する基板上に設けられたプレートに電圧を印加することによって、ミラーの向きを制御してもよい。この種のミラーやそのようなミラーを制御するために使用される制御システムは周知であり、したがってここでは詳述しない。
図12に示される実施の形態は、図13に示されるような種々の照明モードを生成するために使用されてもよい。主反射要素に要求される向きについては非常に長い説明となるので説明しない。図12および図13を組み合わせて参照することにより向きを決定してもよい。図13に示される照明モードは以下の通りである:
異なる直径の通常(ディスク)照明モード(図13a−c);
異なる内側半径範囲σinnerおよび外側半径範囲σouterを有する環状照明モード(図13d−f);
異なる内側半径範囲σinnerおよび外側半径範囲σouterを有するダイポール照明モード(図13g−j);
四極照明モード(図13k−l);
Cクアッド照明モード(図13m−n)。
上述された通り、3つの異なる向きに可動な主反射要素のアレイを提供することのコストおよび複雑さは、2つのみの向きに可動な主反射要素のアレイを提供することのコストおよび複雑さよりもはるかに大きい。さらに、2つの向きに可動な主反射要素のアレイを提供することのコストは、固定された主反射要素のアレイを提供することのコストおよび複雑さよりもはるかに大きい。したがって、リソグラフィ装置のユーザは、固定された主反射要素のアレイを有するリソグラフィ装置を購入し、後にそのリソグラフィ装置を2つの向きの間で可動な主反射要素のアレイを有するものに「アップグレード」することを望む場合がある。次に、そのユーザは、リソグラフィ装置を3つの向きの間で可動な主反射要素のアレイを有するものにアップグレードすることを望むかもしれない。したがって、リソグラフィ装置のユーザがしたがうであろう「アップグレード経路」が提供されうる。
アップグレード経路の第1ポイントは、固定された主反射要素のアレイを含んでもよい。この主反射要素は、図14に示される通常(ディスク形状)照明モードを生成するよう方向付けられる。
各照明箇所は、図10から13に関連して上述された各照明箇所の表面積の2倍の表面積を有する。このため、各二次反射要素は、図10から13に関連して説明された実施の形態で提供された二次反射要素の表面積の2倍の表面積を有してもよい。二次反射要素はより大きいので、放射を二次反射要素に導くために必要な、主反射要素が方向付けられるときの正確さは低減される。
一例では、アップグレード経路の第1ポイントにおいて、350の二次反射要素が使用される。これは350の主反射要素に対応する。
アップグレード経路の第2ポイントは、第1向きと第2向きとの間で可動な主反射要素のアレイである。これらの主反射要素は、図11に示される種々の照明モードを形成するために使用されてもよい。可動主反射要素を使用して得られうる照明モードのひとつは、図11cに示される通常(ディスク形状)照明モード(すなわち、アップグレード経路の第1ポイントの固定主反射要素によって提供されるモード)である。これは以下の理由により有利である。
図11cの照明モードは、図14に示される照明モードと同じ外側半径範囲σ3を有する。このモードの全ての照明箇所が照らされる訳ではない。しかしながら、この照明モードは図14の照明モードと事実上同じ性質を有する。
アップグレード経路の第2ポイントにおいて、各照明箇所は、図14に関連して上述された各照明箇所の表面積の2分の1の表面積を有する。このため、各二次反射要素は、図14に関連して説明された実施の形態で提供された二次反射要素の表面積の2分の1の表面積を有してもよい。二次反射要素はより小さいので、放射を二次反射要素に導くために必要な、主反射要素が方向付けられるときの正確さは増大する。
一例では、アップグレード経路の第2ポイントにおいて、700の二次反射要素が使用される。これは350の主反射要素に対応する。
アップグレード経路の第3ポイントは、3つの向きの間で可動な主反射要素のアレイである。これらの主反射要素は、図13に示される種々の照明モードを形成するために使用されてもよい。得られうる照明モードは、第1向きと第2向きとの間で可動な主反射要素のアレイを使用して得られうる照明モードを含む。これは後述の理由により有利である。
アップグレード経路の第3ポイントには、アップグレード経路の第2ポイントでは照らされなかった追加的な照明箇所が存在する。このため、追加的な二次反射要素が存在してもよい。
一例では、アップグレード経路の第3ポイントにおいて、1050の二次反射要素が使用される。これは350の主反射要素に対応する。
リソグラフィ装置のユーザにとって、種々の異なるパターン(例えば、異なるマスクに設けられた各パターン)を形成するようリソグラフィ装置を使用することは一般的である。ユーザは、特定のパターンを結像するとき、使用すべき最も良い照明モードを決定してもよい。いったんこの決定がなされると、ユーザはそのパターンを結像するときはいつでもその照明モードを使用し続けるであろう。ユーザはその照明モードの性質を変えないであろう。仮にユーザが照明モードの性質を変えたとすると、これはパターンが基板上に投影される態様を変えることとなる。照明モードの性質を変えると、例えば基板上に形成されるパターンフィーチャの厚さが変わりうる。ユーザは常に同じパターンフィーチャ厚さでパターンを形成したいと望むものであるから、これは望ましくない。
ユーザは、例えば2つの向きの間で可動な主反射要素のアレイから3つの向きへ可動な主反射要素のアレイへ(すなわち、アップグレード経路の第2ポイントからアップグレード経路の第3ポイントへ)と変えることによって、リソグラフィ装置をアップグレードすることを望むかもしれない。このアップグレードにより、ユーザは例えばより広い直径を有する照明モードを提供することによって、より小さなクリティカルディメンジョンを有するフィーチャを有する新たなパターンを投影することができる。しかしながら、新たなパターンを投影することに加えて、ユーザは、そのリソグラフィ装置を使用して過去に投影されていた(すなわちアップグレード前の)パターンを投影することを望む可能性がある。したがって、アップグレードされたリソグラフィ装置は、アップグレード前に使用されていた照明モードと同じ照明モードを提供することができる必要がある。本発明の実施の形態はこの能力を提供する。これにより、ユーザはアップグレードされた主反射要素のアレイを使用して新たなパターンを投影できるだけでなく、アップグレード前に投影されていたパターンを投影することもできる。
上記の例はアップグレード経路の第2ポイントからアップグレード経路の第3ポイントへとアップグレードすることに関するが、同じことが、アップグレード経路の第1ポイントからアップグレード経路の第2ポイントへとアップグレードする場合にも当てはまる。例えば、3つの向きに可動な主反射要素のアレイを、固定された主反射要素のアレイによって提供されていた照明モードを形成するために使用してもよい。
照明モードの内側および外側半径範囲を適切に選択することにより、アップグレード前に達成可能であった照明モードを提供する能力を失わずにリソグラフィ装置をアップグレードすることが可能となる。
中間箇所グループの内側半径範囲σ
2および外側半径範囲σ
3は、各照明箇所グループに等量の放射が提供されるように選択される。放射が瞳面において一様なエネルギ密度を有する場合、各照明箇所グループは同じ面積を有すべきである。これは以下のように表現される。
式(1)の用語をまとめる。内側照明箇所グループは内側半径範囲σ
innerおよび外側半径範囲σ
2を有する。中間照明箇所グループは内側半径範囲σ
2および外側半径範囲σ
3を有する。外側照明箇所グループは内側半径範囲σ
2および外側半径範囲σ
outerを有する。
中間箇所グループの内側半径範囲σ
2および外側半径範囲σ
3の計算を提供するために、式(1)を再構成してもよい。
説明される実施の形態では、内側照明箇所グループの内側半径範囲σ
innerはゼロであり、外側照明箇所グループの外側半径範囲σ
outerは1に規格化されている。この場合、式(2)は以下の値を与える。
上述の通り、内側照明箇所グループの内側半径範囲σinnerがゼロとなる必要はない。ゼロでない値を有することにより、中間箇所グループの内側半径範囲σ2および外側半径範囲σ3について異なる値が導かれるであろう。
σ
2およびσ
outをσ
inおよびσ
3で表すことが可能である。
本発明の説明された実施の形態は、16の主反射要素または48の主反射要素について言及したが、任意の適切な数の主反射要素が使用されてもよい。同様に、任意の適切な数の二次反射要素が使用されてもよい。アップグレード経路の第2ポイントでは、主反射要素の2倍の数の二次反射要素が存在する。アップグレード経路の第3ポイントでは、主反射要素の3倍の数の二次反射要素が存在する。
上記説明は反射型の照明システム(例えば、EUVリソグラフィ装置の一部を含む)について言及した。しかしながら、本発明の実施の形態は、屈折要素を含む照明システムに提供されてもよい。例えば、本発明の実施の形態はDUVリソグラフィ装置に提供されてもよい。反射光学素子に代えてまたは加えて、屈折光学素子が照明システムの瞳面に提供されてもよい。
本発明の具体的な実施の形態が上述のように説明されたが、本発明は上述の形式以外の形式でも実施可能であると理解されたい。説明は本発明を限定することを意図するものではない。
本明細書で説明された特徴は本発明の全ての態様に適用可能であり、任意の組み合わせで使用可能である。