JP2012529270A - ハイブリッド/キメラ細胞を生成する方法およびその使用 - Google Patents

ハイブリッド/キメラ細胞を生成する方法およびその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、ハイブリッド細胞およびハイブリッド細胞を生成するための方法に関する。特に、本発明は、少なくとも3つの細胞のハイブリダイゼーションから生成されたハイブリッド細胞に関し、ここで、少なくとも2つの細胞が異なる系統に由来するものである。本発明はさらに、診断、予防、治療および/または研究の様々な用途において有用なタンパク質の発現のためのハイブリット細胞の使用に関する。

Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は、ハイブリッド細胞およびハイブリッド細胞を生成するための方法に関する。特に、本発明は、少なくとも3つの細胞のハイブリダイゼーションから生成されたハイブリッド細胞に関し、ここで、少なくとも2つの細胞が異なる系統(lineage)に由来するものである。本発明はさらに、診断、予防、治療および/または研究の様々な用途において有用なタンパク質の発現のためのハイブリット細胞の使用に関する。
〔背景技術〕
本明細書の全体を通じての先行技術のあらゆる議論は、当該従来技術が広く公知であるか、または当該分野においてよく知られている一般的な知識の一部を形成していることの自認として決して見做されるべきではない。
現在、診断、予防、治療および/または研究の様々な用途において商業的に関連するタンパク質を発現させるために、種々の異なる細胞型が用いられている。現在、そのようなタンパク質の製造は、定法として、バクテリア、酵母、真菌、昆虫および非ヒト哺乳類の細胞といった細胞において実施されている。
細胞はしばしば、多くの翻訳後修飾(グリコシル化、アシル化、リン酸化、メチル化、硫酸化、プレニル化および脂質化が挙げられるが、これに限定されない)によってタンパク質を修飾する。これらの修飾は種特異的であるため、商業的に関連するタンパク質の製造に現在、使用されている細胞は、ヒト細胞から発現されたタンパク質または人体において自然に生じるタンパク質にみられる翻訳後修飾と全く異なる翻訳後修飾を示す。例えば、商業的に関連するタンパク質を製造するために用いられる多くの非哺乳類の種類の細胞は、タンパク質をグリコシル化する能力を欠いているか、またはヒト細胞において発現するタンパク質によって示されるグリコシル化の様式と異なるグリコシル化の様式を示す。
チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような非ヒトの哺乳類の発現系においてさえ、グリコシル化の様式における顕著な相違が、ヒト細胞の様式と比較して、実証されている。例えば、組換えタンパク質の発現に用いられるCHO細胞株は、ヒト細胞に存在している(α2,6)−結合の末端シアル酸の合成のための機能的な(α2,6)シアリルトランスフェラーゼ酵素を欠いている。さらに、CHO細胞に発現している糖タンパク質に存在しているシアル酸モチーフは、CHO細胞内在性シアリダーゼによって分解される傾向がある(Gramer et al. Biotechnology 13 (7):692-&, 1995)。
非ヒト発現系の全く異なる翻訳後修飾のレパートリの結果として、それらから発現されたタンパク質は、ヒト細胞に由来するタンパク質と全く異なる物理化学的特性および薬理学的特性(例えば、半減期、免疫原性、安定性および機能的な有効性)を示し得る。このことはこれらタンパク質の臨床的な有用性において実質的に影響を与え得る。
また、その種依存的な性質に加えて、翻訳後修飾は同種間において組織特異的であり得、細胞型特異的ですらあり得るという証拠が増えつつある。これは末端グリコシル化を示すタンパク質の、組織特異的および細胞型特異的な発現と特に関連している(Feizi Nature 314: 53-54, 1985; Rademacher et al Annu Rev Biochem 57: 785-838, 1988)。特に、末端シアル酸を糖タンパク質の糖鎖に付加する3つのシアリルトランスフェラーゼが、ラットの7つの組織において差別的な著しい発現を示すことが示されている(Paulson et al J. Biol. Chem. 264: 10931-10934, 1989)。これは、同じタンパク質の組織特異的なグリコシル化についての裏づけを与えている。さらに、骨髄由来のマウス繊維芽細胞およびマウス骨芽細胞によって発現された高度にリン酸化された糖タンパク質(マウスのオステオポンチン)の2つのアイソフォームに関する研究では、それらのリン酸化の程度における主要な相違が示され、生物学的活性における相違と相関していた。これらの結果は、異なる細胞型によって生産されたオステオポンチンの機能が全く異なっていることを示唆している(Christensen et al J Biol. Chem. 282(27): 19463-19472)。
完全にヒトの特性を示す生物製剤の製造に適した有効な細胞系は、理想的には、多数の基準(以下のa)〜k)が挙げられるが、これらに限定されない)を満たすべきである:
a)ヒトの組織からの派生:
b)培養における高密度の成長;
c)商業的に実行可能なタンパク質収量を示す;
d)外来性遺伝子の安定な導入が可能である;
e)遺伝子増幅法を適用できる;
f)ヒト−ヒトハイブリドーマの場合のように、モノクローナル抗体の産生のための親細胞が使用可能である;
g)長期間にわたる安定なタンパク質の発現を示す;
h)無血清および無グルタミン培地において成長する能力;
i)エンドペプチターゼ活性を欠いており、したがってタンパク質の分解が低下している;
j)病原性の物質(ウイルスDNAおよびマイコプラズマが挙げられる)がない;
k)天然に生じるヒトのタンパク質、好ましくは組織および細胞特異的なタンパク質にみられる翻訳後修飾と機能的に類似または同一である翻訳後修飾を示すタンパク質を生産する。これら翻訳後修飾としては、糖タンパク質の炭化水素部分が挙げられ得るが、これに限定されない。
多数のヒト宿主細胞またはヘテロハイブリドーマが、ヒトのタンパク質の発現用に存在しているが、それらのうちで上記に挙げた基準を全て首尾よく満たすものはない。とりわけ、既存のヒト細胞発現系から臨床的に有用な収量においてタンパク質を発現させ、単離する試みは、わずかに成功しているに過ぎない。
真核細胞におけるタンパク質の発現は複数の段階において制御される。当該複数の段階としては(a)クロマチンにおける遺伝子に対する調節因子の作用;(b)転写の開始の調節;および(c)翻訳後修飾が挙げられる。これら異なる段階は、発生段階および/または組織に特異的であると考えられる。このように、所望のタンパク質をコードしている外来性遺伝子が細胞の中に組み込まれている場合に、所望のタンパク質の発現は最適な状態より少なくあり得る。安定な発現の欠如(Li et al., Proc Natl Acad Sci USA 95: 3650-3654, 1998; Miyaji et al., Cytotechnology, 3: 133-140, 1990; Miyaji et al., Cytotechnology 4: 173-180, 1990; Miyaji et al., Cytotechnology 4: 39-43, 1990; Satoh et al., Cytotechnology 13: 79-88, 1993)、低い発現量(Airoldi et al, Cancer Research 61:1285-1290, 2001; Hosoi et al. Cytotechnology 7: 25-32, 1991)、および非最適条件である翻訳後修飾(Shinkawa et al., J. Biol. Chem. 278:3466-3473, 2003)のような問題が生じ得る。これら因子の全てが当該タンパク質の潜在的な商業的有用性に影響し得る。
一例として、ナマルバ細胞の亜系(懸濁培養において成長し、無血清およびアルブミンなしの培地に順応したヒトBリンパ芽球細胞)であるナマルバKJM−1は、バーキットリンパ腫細胞にとって内在性タンパク質であるα−インターフェロンの大規模な製造のために用いられた。しかし、バーキットリンパ腫細胞にとって外来性であるが、B細胞においては内在性であるG−CSFタンパク質がエレクトロポレーションによるトランスフェクションにとっての標的タンパク質として用いられた場合、多様なメトトレキサート(MTX)耐性クローンと、G−CSFを最も多く生産するクローンとの間において異なるG−CSFの発現レベルは、無血清条件に順応させたとき、わずかに2.4μg/ml/日の固有の生産性を有していた。
さらに、細胞数が7×10/mlを超える場合の高密度な培養において、固有の生産性は低下した(Hosoi et al. Cytotechnology 7: 25-32, 1991)。報告されたG−CSFの最大濃度は著しく向上し、41μg/mlに達したが、これを達成するために、非常に厳密なpHの調節をともなった、細胞培養条件の高価かつ煩瑣な操作を必要とした。最適な成長のために用いられた培地が最適な生産のために用いられた培地と異なっており、したがって所望される高密度と高生産率との間に顕著な不一致が生じ、工業的に実施できない系を結果として生じる。
真核生物における遺伝子発現は複数の段階において制御されているため、組織特異的な転写因子および発生に特異的な転写因子の存在が遺伝子の発現に対して大きな影響力を有している。当該複数の段階としては:(a)クロマチンにおける遺伝子に対する調節因子の有効性および接近可能性;(b)接近可能なプロモータに対する、特定の転写開始の速度の調節;および(c)その後の種々の段階における転写後の事象が挙げられる。さらに、特定の細胞型の遺伝子調節は、分子シグナルを遺伝子に伝達するタンパク質にとっての結合部位である種々のシス作用DNA調節配列の共働を必要とする(Blackwood et al., Science 281: 60-63, 1998)。これらの配列は調節タンパク質と結合して、エンハンセオソームとして知られている複合体を形成する(Marika et al., Curr Opin Genet Dev 11(2): 205-208, 2001)。したがって、ヒトの系統特異的な宿主細胞に導入された場合に、標的遺伝子がその通常の細胞の環境から離れているほど、高生産レベルにおける所望のタンパク質の安定な発現性および生産性は低下する。リンパ芽球細胞株にとって系統特異的なタンパク質(例えば、βインターフェロン(Miyaji et al., Cytotechnology, 3: 133-140, 1990; Miyaji et al., Cytotechnology 4: 173-180, 1990)、ヒトのリンホトキシン(Miyaji et al., Cytotechnology 4: 39-43, 1990)またはプロウロキナーゼ(Satoh et al., Cytotechnology 13: 79-88, 1993))とはさらにかけ離れている外来性のタンパク質の遺伝子を用いて、ナマルバKJM−1細胞がトランスフェクションされている場合、トランスフェクションの割合および細胞の生産性はさらに低いことがわかった。
ヒトの系統特異的な細胞株における外来性遺伝子の効率的な発現は同様に、ヒト宿主細胞から利用可能な核因子の結合部位を含み得る適切なエンハンサ/プロモータの、ときにひどく単調である、慎重な選択を必要とする。そのようなエンハンサ/プロモータの発見は、そのようなプロモータの限られた適合をいまだにもたらし得る。例えば、種々のエンハンサ/プロモータ(例えば、シミアンウイルス40(SV40)の初期遺伝子プロモータ、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)の主要な前初期遺伝子プロモータ、モロニーマウス白血病ウイルス(Mo−MuLV)のプロモータ、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のプロモータおよびニワトリβ−アクチンのプロモータ)が、ナマルバKJM−1細胞における外来性遺伝子のより効率的な発現に関して研究されたとき、Mo−MuLVプロモータは従来のSV40の初期プロモータより約10倍強力であり、高生産クローンは30〜40μg/10細胞/日の生産性に達することがわかった(Satoh et al., Cytotechnology 18:162-172, 1996)。しかし、Mo−MuLVといったレトロウイルスベクターの使用に関する問題は、核のスプライシング機構によるイントロンの除去のために、逆方向の配列(イントロン)をともなう遺伝子をトランスフェクションに使用することが困難なことである(Li et al., Proc Ntl Acad Sci USA 95: 3650-3654, 1998)。
細胞の環境と核の環境とのミスマッチは、2つの遺伝子によってコードされているタンパク質(例えば抗体)の場合においてさらに増幅される。さらに、ナマルバKJM−1細胞がヒト−ヒトハイブリドーマの生成に使用されたが、抗体の収量ために、この細胞株は工業的な製造にとって不適当であった。
他の例として、ヒト胎児腎臓の細胞株293は、外来性の起源の遺伝子を用いて、高度な安定性をともなって非常に容易に形質転換されることが証明されている。しかし、293細胞はヒトアデノウイルスAd5DNAを含んでいる(HEK293細胞)ため、293の形質転換体に由来するタンパク質は限られた用途しか有しておらず、一般的に研究目的のみに適する。しかし、商業的な環境における293細胞の使用に関する最大の制限は、その接着性である。費用的に有効なビヒクルを用いた懸濁液における効率的なトランスフェクションに293細胞を適合させる多数の試みがなされてきた。当該ビヒクルは、例えば、ポリエチレンイミン(Durocher et al., Nucleic Acids Res 30(2):e9, 2002; Schlaeger et al., Cytotechnology 30:71-83, 1999)またはリン酸カルシウム(Girard et al, Cytotechnology 38:15-21, 2002; Jordan et al., Cytotechnology 26:39-47, 1998; Meissner et al., Biotechnol Bioeng 75(2):197-203, 2001)である。しかし、これらのビヒクルは、組換えタンパク質の一過性発現のみをもたらし、それは、新たに継代された培養物ごとにトランスフェクションを繰り返されなければならないことを意味している。EBVのoriPがベクター骨格に存在する場合、懸濁培養およびより高いタンパク質発現を達成するためには、エプスタインバールウイルスのEBNA1タンパク質を安定して発現するように、293細胞を遺伝的に改変しなければならない(293E)(Durocher et al., Nucleic Acids Res 30(2):e9, 2002; Parham et al., Cytotechnology 35:181-187, 2001; Schlaeger et al., Cytotechnology 30:71-83, 1999)。EBNA1を用いたトランスフェクションの後でさえ、無血清培地において培養したときの293E細胞(HEK293 EBMA1)(大規模製造にとっての前提条件)は、細胞の凝集を防ぐために添加される多価陰イオン(ヘパリン、硫酸デキストラン)の存在にほとんどが起因している、非常に低いトランスフェクション率を示す。動物性の原料(例えば肉、ゼラチンおよびカゼイン)の酵素的な加水分解から得られたペプトンを培地に補うことによって、この問題を縮小させる試みがなされてきた(Pham et al., Biotechnol Bioeng 84(3):332-42, 2003)。Tie−2(アンジオポエチン成長因子に対する受容体チロシンキナーゼ)およびニューロピリン−1ED(神経性細胞誘導を仲介する受容体)の製造に、HEK293 EBNA1細胞株を用いた場合、タンパク質の発現は、トランスフェクションしていない培養物において得られた発現と比べて、得られた細胞密度の低い培養物によって、制限されていた。また、生じたタンパク質の>95%の純度は、研究品質の製品にのみ適している。その上、HEK293 EBNA1細胞はモノクローナル抗体(mAb)の製造に適していない。
治療用のmAbの製造に関する現在の方法としては、ヒトIg遺伝子を有している遺伝子導入マウス(異物性のマウス(xenomice))の免疫化、齧歯類mAbのヒト型化、またはヒトmAbライブラリのスクリーニングによって得られたmAbを組換えによって製造するための哺乳類細胞系(すなわちCHOまたはNS0トランスフェクトーマ)の使用が挙げられる(van Dijk et al., Curr. Opin. Chem. Biol. 5:368-374, 2001)。それらの配列について、治療用のmAbは、アレルギー反応を最小化するために、キメラ抗体(齧歯類の可変領域およびヒトの定常領域)、ヒト化抗体(齧歯類の相補性決定領域を除くヒトの配列)、および完全なヒト抗体(ヒトAb)に近年発展してきたが、治療用のmAbの重要な局面は、免疫エフェクター機能の誘導能である。当該免疫エフェクター機能は、例えば、抗体依存的な細胞傷害性であり、本来のグリコシル化パターンを変えている非ヒト宿主細胞においてmAbが製造される場合に損なわれている(Shinkawa et al., J. Biol. Chem. 278:3466-3473, 2003)。これらの事実を考慮すると、理想的な計画の概要は、治療用の抗体がヒトの細胞によって製造されることである。この場合において、完全なヒトのmAbは、それらのヒト本来の構造に起因して、ヒトのエフェクター機能を発揮し得、非常にわずかな免疫原性を有し得る。
ハイブリドーマまたはエプスタイン・バールウイルス(EBV)によって形質転換したヒトのB細胞に由来するリンパ芽球株が報告されている(Kirman et al., Hybrid. Hybridomics 21: 405-414, 2002; Boerner et al., J. Immunol. 147: 86-95, 1991; Zafiropoulos et al., J. Immunol. Methods 200: 181-190, 1997)。しかし、長期の安定性および製造処理に対する適合性(特にバッチ生産の全体における生産レベルおよびIg分泌の安定性)に関するこれらのmAbおよび株の特性について情報はわずかしかない。4日間にわたる稼動の間にヒトGM−CSFに対するヒトmAbを1.2g/リットルの累積性の力価において生産する細胞株が報告されているが、これらの細胞株はヘテロミエロリンパ腫(heteromyelolymphoma)K6H6/B5細胞による、初代培養された(primary)ヒトB細胞の体細胞ハイブリダイゼーション(融合)から得られた(すなわちヒトB細胞のリンパ腫とマウス骨髄腫細胞とのハイブリダイゼーションから得られたマウス−ヒト細胞株(Li et al., Proc Natl Acad Sci USA 103(10):3557-3562, 2006)。
EBV形質転換の場合における困難性は、安定した抗体の生産を維持しながら、完全に不死化されたB細胞株の樹立である。これは、低効率の不死化、細胞成長の静止、およびIgM産生細胞の優勢的な不死化に起因している。その上、ほとんどのEBVによって形質転換したB細胞は短縮されたテロメアおよびわずかな寿命(たいていは160の集団倍化レベルより前)を有していることが、近年の報告によって示されている(Sugimoto et al., J Virol 73:9690-9691, 1999; Toda et al., J Chromatogr B Analyt. Technol. Biomed. Life Sci. 787:197-206, 2003))。この問題を克服するために、EBVによって形質転換したB細胞を適切なパートナー細胞株(発現系)とハイブリダイズ(または融合)させる試みがなされてきたが、これらパートナー細胞株は、異種の混成物の種々の組合せを事実上、意味している(Ainai et al., Hum Antibodies 15:139-154, 2006; Kalantarov et al., Hum Antibodies 11: 85-96, 2002; Karpas et. al., Proc Natl Acad Sci USA 98:1799-1804, 2001)。当該組合せは、例えば、ヒトB細胞を用いてマウス−ヒトへテロハイブリドーマから得られたトリオーマである。破傷風毒素(TT)に対する抗体を生産する、EBVによって形質転換した初代培養されたB細胞と、そのようなトリオーマが融合されたとき、マウスの1/4の構成要素を有しているテトローマが得られた。TTに対するmAbの安定した生産は、3回にわたる連続するテトローマのクローニングの後に可能であったが、そのような繰り返しの細胞クローニング工程は、煩瑣であり、時間がかかる。その上、テトローマによって生産されたmAbの量は実験目的にとって十分であるが、そのレベルは、薬剤としてのmAbの大規模生産にとって不十分であった。多クローン性活性化因子CpG2006の存在またはCD19もしくはBCRのコライゲーション(co-ligation)における不死化が、治療用途にとって適切な量における特定のmAbの効率的な生産のための完全な系を生じ得るか否かは未だに不確かである(Hartman et al., J Immunol 164: 944-953, 2000; Hur et al., Cell Prolif 38: 35-45, 2005; Traggiai et al., Nat Med 10: 871-875, 2004)。
生体物質(例えば、成長因子、抗体および可溶性タンパク質)の生産にヒト細胞を使用するために、多数の研究方法が試みられている。
本発明の目的は、先行技術の不都合のうち少なくとも1つを解消するか、もしくは改善すること、または有用な代替物を提供することである。
〔発明の概要〕
多融合細胞(multi-fusion cells)は不安定であり、融合に関わる細胞が多いほど、得られたハイブリッド細胞の不安定性が高まると、一般的に考えられている。驚くべきことに、本発明において、複数の細胞(例えば3つの細胞)の融合から得られたハイブリッド細胞は機能的な安定性を示す。特に、異なる系統に由来する細胞が体細胞融合されるか、または体細胞ハイブリダイズされて、実質的に安定なキメラ/ハイブリッド細胞を形成し得ることがわかっている。とりわけ、本発明は、トリハイブリッド(tri-hybrid)を生じる少なくとも3つの親細胞のハイブリダイゼーションから生成された系統交雑の(cross-lineage)キメラ/ハイブリッド細胞であって、少なくとも2つの親細胞が異なる系統に由来しており、骨髄腫細胞がハイブリダイゼーションに含まれていない系統交雑のキメラ/ハイブリッド細胞に関する。
また驚くべきことに、本発明の安定なキメラ/ハイブリッド細胞は、例えば所望の翻訳後修飾(例えばヒトのグリコシル化パターンが挙げられるが、これに限定されない)を示すタンパク質の生産における用途を有していることがわかっている。
また驚くべきことに、本発明の安定なキメラ/ハイブリッド細胞からの所望のタンパク質の発現レベルは、第2の所望のタンパク質が本発明のキメラ/ハイブリッド細胞から同時に発現される場合に、増強され得ることがわかっている。さらに、2つの標的タンパク質の発現レベルは、本発明のキメラ/ハイブリッド細胞からの第3の所望のタンパク質の同時の発現によって増強され得る。
したがって、本発明は、ハイブリッド細胞の汎用性および安定性について、これまでに知られている系を超えて顕著な利点をもたらす。一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は。2つの同一の細胞もしくは2つの同一の系統の細胞、および異なる系統の細胞の融合によって生成される。そのようなハイブリッドは、ハイブリダイゼーションに用いた多数を占める細胞型に方向付けられた表現型になる傾向を有している。これらのハイブリッド細胞は、特に、組織特異的な翻訳後修飾がタンパク質の機能性にとって重要であることが知られているタンパク質の発現に用いられ得る。例えば、B細胞から発現している場合に特定の機能的な翻訳後修飾を有していることが知られているサイトカインは、B細胞系統に由来する少なくとも2つの細胞を含んでいる(したがって機能的な翻訳後修飾を保証している)ハイブリッド細胞から、より効率的に発現され得る。
タンパク質の翻訳後修飾は組織特異的または細胞型特異的であり得る。このため、本発明のハイブリッド細胞はまた、(特異的なCDマーカーの存在によって証明されるように)特定の細胞型または表現型に関して濃縮されて、特定の細胞型または表現型と関連している所望の翻訳後修飾または所望の機能性を示すタンパク質の発現を可能にし得ることが、当業者にとって明らかであろう。
一実施形態において、本発明は、少なくとも1つの不死化された細胞の使用を包含しているハイブリッド細胞に関する。しかし、また、本発明は、インビトロの形質転換処理(例えばウイルス遺伝子の導入)によって続いて不死化され得る、不死化されていない細胞の融合に関することが当業者にとって明らかであろう。当該ウイルス遺伝子は、例えば、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、シミアンウイルス40(SV40) T抗原、アデノウイルス E1AおよびE1B、ならびにヒトパピローマウイルス(HPV) E6およびE7である。代替的に、不死化されていない細胞は、テロメラーゼ逆転写酵素タンパク質(TERT)の発現によって不死化され得る。また、不死化された細胞は、発癌遺伝子の発現が調節されている細胞に由来し得る。さらに、不死化された細胞は、無制限な成長能を誘導する任意の処置(UV照射、または不死化の機構が不明である自然発生的な形質転換が挙げられるが、これらに限定されない)に由来し得る。
本発明は、一実施形態において、個々の細胞3つの融合に関することが明らかであろう。代替的な実施形態において、本発明は、細胞の3つの集団の融合に関し、当該集団のそれぞれが同一の細胞型を複数含んでいる。細胞の集団の融合は大量の細胞培養において行われ得ることを当業者は理解し得る。次いで、所望のハイブリダイズされた細胞は、当該技術分野において公知の方法(例えば選択培地を介した方法)によって、同定および単離され得る。当該選択培地は、例えばヘポキサンチンアミノプテリンチミジン(HAT)培地である。代替的に、融合細胞は、特異的な細胞マーカー(例えばCDマーカー)の同定を介して、同定および単離され得る。
特定の細胞型または表現型に関する細胞の濃縮だけでなく、マーカー(例えばCDマーカー)の発現に基づく細胞の単離は、当該技術分野において公知の方法(例えば蛍光標示式細胞分取(FACS)法)によって達成され得ることが明らかであろう。
また、本発明の細胞は、所望のタンパク質をコードしているDNAを用いて、一過性または安定にトランスフェクトされ得ることが明らかであろう。一過性または安定にトランスフェクトされたこれらの細胞は、当該技術分野において公知の方法(例えば、トランスフェクションに用いるDNAに選択レポーター遺伝子を含めること)によって同定され得る。そのようなレポーター遺伝子としては、化合物欠乏性の培地におけるトランスフェクトされた細胞の成長を可能にし得る遺伝子(例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhFr)遺伝子)が挙げられ得る。また、レポーターとしては、トランスフェクトされた細胞の視覚的な同定をもたらす遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ遺伝子または緑色蛍光タンパク質(gfp)遺伝子)が挙げられ得る。代替的に、レポーター遺伝子は特定の化合物(例えばG418)に対する耐性を付与し得る。そのようなレポーター遺伝子は当該技術分野において公知である。
好ましい一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は、モノクローナル抗体を発現するために用いられ得る。これまで、モノクローナル抗体の生産は、骨髄腫細胞、および免疫化された動物(例えばマウス)の脾臓に由来するB細胞の融合を介して実施されている。しかし、骨髄腫細胞の不安定性、特に遺伝子的な不安定性は、決して十分ではない所望の抗体の発現をもたらし得る。さらに、動物細胞がハイブリドーマの生成に用いられるため、生産された抗体は非ヒトの翻訳後修飾を示す。非ヒトの翻訳後修飾を有している抗体は、ヒトの治療薬として当該抗体が用いられるときに重大な問題を起こし得る。これらの問題としては、抗体のエフェクター機能および免疫原性の低下が挙げられ得、インビボにおける不十分な半減期をもたらし、したがってインビボにおける有効性を低下させる。また、骨髄腫細胞の非存在下において、ハイブリッドは首尾よく生成され得ないことを示唆する証拠がある。本発明のハイブリッド細胞は、驚くべきことに、骨髄腫細胞の非存在下において安定なハイブリッドが生成され得ることを示している。さらに、本発明のハイブリッド細胞から発現される抗体は、ハイブリドーマによって生産されたモノクローナル抗体の使用と関連する問題に対処する。これらの抗体は、ヒト型の翻訳後修飾を示し、機能的な安定性を示す細胞から発現される。
第1の局面によれば、本発明は、
未拘束(uncommitted)の前駆細胞に由来する細胞、または幹細胞であり、骨髄腫細胞ではない第1の細胞;
リンパ系の共通前駆細胞に由来する第2の細胞;ならびに
リンパ系の共通前駆細胞に由来する第3の細胞
のハイブリダイゼーションによって生成された、ハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、上記第2の細胞はBリンパ球系統に由来する細胞であり、上記第3の細胞はBリンパ球系統に由来する細胞である。
他の実施形態において、上記第2の細胞はTリンパ球系統に由来する細胞であり、上記第3の細胞はTリンパ球系統に由来する細胞である。
他の実施形態において、上記第2の細胞はBリンパ球系統に由来する細胞であり、上記第3の細胞はTリンパ球系統に由来する細胞である。
好ましくは、上記第1の細胞は骨髄性の共通前駆細胞に由来する細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供することが明らかである。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
好ましくは、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は、骨髄単球性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球である。したがって、本発明は、骨髄性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供することが明らかである。また、本発明は、骨髄単球性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球、Bリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
好ましくは、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は、以下のCD抗原:CD16、CD15またはCD14のうち少なくとも1つを提示している。したがって、本発明は、以下のCD抗原:CD16、CD15またはCD14のうち少なくとも1つを提示している骨髄性の共通前駆細胞、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供することが明らかである。また、本発明は、以下のCD抗原:CD16、CD15またはCD14のうち少なくとも1つを提示している骨髄性の共通前駆細胞、Bリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は単球である。したがって、本発明は、単球、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。また、本発明は、単球、Bリンパ球およびTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
他の実施形態において、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は初代培養された骨髄単球性の前駆細胞である。したがって、本発明は、初代培養された骨髄単球性の前駆細胞、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。また、本発明は、初代培養された骨髄単球性の前駆細胞、Bリンパ球およびTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
他の実施形態において、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は不死化された細胞である。したがって、本発明は、骨髄単球性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球から選択される不死化された細胞、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供することが明らかである。また、本発明は、骨髄単球性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球から選択される不死化された細胞、Bリンパ球およびTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
他の実施形態において、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は、脾臓、末梢血、臍帯血または骨髄に由来する。したがって、本発明は、脾臓、末梢血、臍帯血または骨髄に由来する骨髄性の共通前駆細胞、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供することが明らかである。また、本発明は、脾臓、末梢血、臍帯血または骨髄に由来する骨髄性の共通前駆細胞、Bリンパ球およびTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
他の実施形態において、Bリンパ球系統に由来する上記細胞は、プレB細胞、未成熟なB細胞、ナイーブB細胞、活性化B細胞またはエフェクターB細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびにプレB細胞、未成熟なB細胞、ナイーブB細胞、活性化B細胞またはエフェクターB細胞から選択される2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供することが明らかである。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、プレB細胞、未成熟なB細胞、ナイーブB細胞、活性化B細胞またはエフェクターB細胞から選択されるBリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、上記エフェクターB細胞は、抗原を経験した(antigen-experienced)B細胞またはプラズマ細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびに抗原を経験したB細胞またはプラズマ細胞から選択される2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、抗原を経験したB細胞またはプラズマ細胞、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、Bリンパ球系統に由来する上記細胞は、以下のCD抗原:CD19、CD20、CD72またはCD5のうち少なくとも1つを提示している。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびに以下のCD抗原:CD19、CD20、CD72またはCD5のうち少なくとも1つを提示している2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、以下のCD抗原:CD19、CD20、CD72またはCD5のうち少なくとも1つを提示しているBリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、Tリンパ球系統に由来する上記細胞は、前T細胞、未成熟T細胞、ナイーブT細胞、活性化T細胞またはエフェクターT細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球、ならびに前T細胞、未成熟T細胞、ナイーブT細胞、活性化T細胞またはエフェクターT細胞から選択されるTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびに前T細胞、未成熟T細胞、ナイーブT細胞、活性化T細胞またはエフェクターT細胞から選択される2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、Tリンパ球系統に由来する上記細胞は、以下のCD抗原:CD3、CD4、CD5またはCD8のうち少なくとも1つを提示している。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球、ならびに以下のCD抗原:CD3、CD4、CD5またはCD8のうち少なくとも1つを提示しているTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびに以下のCD抗原:CD3、CD4、CD5またはCD8のうち少なくとも1つを提示しているT細胞から選択される2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、Bリンパ球系統に由来する上記細胞は不死化された細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびに少なくとも1つが不死化された細胞であり得る2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、不死のBリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、Tリンパ球系統に由来する上記細胞は不死化された細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球、ならびに不死のTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、Bリンパ球系統に由来する上記細胞はリンパ組織に由来する。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびにリンパ組織に由来する2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、リンパ組織に由来するBリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、Tリンパ球系統に由来する上記細胞はリンパ組織に由来する。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球組織、ならびにリンパ組織に由来するTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
本発明のハイブリッド細胞に含まれているBリンパ球またはTリンパ球がリンパ系組織に由来している場合、当該リンパ組織は、好ましくは、末梢血、臍帯血、脾臓、骨髄、胸腺、扁桃腺、咽頭扁桃腺および所属リンパ節から選択される。
一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞の生成において含まれている細胞のうち少なくとも1つはヒト細胞である。また、一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は少なくとも1つのマウス細胞を含み得ることが明らかであろう。
一実施形態において、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞はK562細胞である。したがって、本発明は、K562細胞、および2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供することが明らかであろう。また、本発明は、K562細胞、不死のBリンパ球、およびTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、上記第2の細胞または第3の細胞は、WIL2−NS細胞またはMOLT4細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、WIL2−NS細胞、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供することが明らかであろう。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球、ならびにMOLT4細胞のハイブリダイゼーションによって生成されたハイブリッド細胞を提供する。
一実施形態において、上記第1の細胞はK562細胞であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞はMOLT4細胞である。
他の実施形態において、上記第1の細胞はK562細胞であり、上記第2の細胞は初代培養されたB細胞であり、上記第3の細胞は初代培養されたT細胞である。
他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養されたヒト単球であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞は初代培養されたT細胞である。
他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養されたヒト骨髄性の共通前駆細胞であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞は初代培養されたヒトT細胞である。
他の実施形態において、上記第1の細胞はK562細胞であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞は初代培養されたT細胞である。
他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養された単球であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞はWIL2−NS細胞である。
他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養されたマウス単球であり、上記第2の細胞はSP2細胞であり、上記第3の細胞は初代培養されたマウスT細胞である。
他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養されたマウス単球であり、上記第2の細胞はSP2細胞であり、上記第3の細胞はSP2細胞である。
他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養されたヒトまたはマウス単球であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞はSP2細胞である。
一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は所望のタンパク質の1つを発現している。他の実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は所望のタンパク質の2つ以上を発現している。特定の実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は所望のタンパク質の2つを発現している。他の実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は所望のタンパク質の3つを発現している。一実施形態において、上記所望のタンパク質は内在性タンパク質であり、所望のタンパク質の2つ以上が発現されている場合、所望のタンパク質のうち少なくとも1つが内在性タンパク質である。他の実施形態において、上記タンパク質は組換えタンパク質であり、所望のタンパク質の2つ以上が発現されている場合、所望のタンパク質のうち少なくとも1つが組換えタンパク質である。好ましくは、上記タンパク質は、サイトカイン、例えばコロニー刺激因子またはインターロイキンである。一実施形態において、上記タンパク質はGM−CSFである。他の実施形態において、上記タンパク質はインターロイキン2である。さらに他の実施形態において、上記タンパク質は受容体またはそのフラグメントである。一実施形態において、上記タンパク質は可溶性の受容体である。さらなる実施形態において、上記タンパク質は免疫グロブリンである。
一実施形態において、上記タンパク質はヒトIL−4受容体α鎖である。他の実施形態において、上記タンパク質はIgMである。さらに他の実施形態において、上記タンパク質はIgGである。またさらなる実施形態において、上記タンパク質はCD54である。
一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞が所望のタンパク質の2つ以上を発現している場合、好ましくは、所望タンパク質は、サイトカイン、コロニー刺激因子、インターロイキンまたは受容体もしくはそのフラグメントから選択される。特定の実施形態において、所望のタンパク質は、免疫グロブリン(例えば、IgM、詳細にはヒトの可溶性IgM);サイトカイン(例えばインターロイキン、詳細にはインターロイキン−2(IL−2)、より詳細にはヒトIL−2);および/または受容体(詳細にはインターロイキン受容体、より詳細にはヒトインターロイキン受容体、より詳細にはヒトインターロイキン−4受容体α(IL−4Rα))である。
本発明のハイブリッド細胞が、特定の所望のタンパク質を発現することに限定されないし、特定の数のタンパク質を発現することに限定されないことを当業者は理解するであろう。さらに、本発明のハイブリッド細胞からの所望のタンパク質の同時の発現が、所望のタンパク質の発現レベルの増強をもたらし得ることは、当業者にとって明らかであろう。
一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞を生成するために用いられる上記ハイブリダイゼーションは電気的手段によってなされる。他の実施形態において、本発明のハイブリッド細胞を生成するために用いられる上記ハイブリダイゼーションは化学的手段によってなされる。
一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は、目的のタンパク質を発現している細胞とさらにハイブリダイズされる。
特定の実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は、CD25抗原を提示しているBリンパ球とハイブリダイズされる。
特定の好ましい実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は、CD25抗原を提示しており、免疫グロブリンを発現している。さらなる実施形態において、本発明のハイブリッド細胞は、CD25抗原を提示しているBリンパ球とハイブリダイズされ、生じた細胞は免疫グロブリンを発現している。
一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞を生成するために用いられる上記ハイブリダイゼーションは個々の細胞3つをハイブリダイズすることによって行われる。
他の実施形態において、本発明のハイブリッド細胞を生成するために用いられる上記ハイブリダイゼーションは3つの細胞の集団を用いて行われ、それぞれの当該集団は同一の細胞型または表現型を複数含んでいる。
一実施形態において、本発明の上記ハイブリッド細胞は、所望の翻訳後修飾または所望の機能性を示するタンパク質の発現を可能にするための、細胞型を決定する特定のマーカーに関して濃縮されている。
他の局面において、本発明はタンパク質を製造する方法を提供する。当該方法は、本発明に係るハイブリッド細胞においてタンパク質の発現させる工程を包含している。
他の局面おいて、本発明は、本発明に係るハイブリッド細胞において生産される場合のタンパク質を提供する。
他の局面において、本発明は、本発明に係るハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。当該方法は、
未拘束の前駆細胞に由来する細胞、または幹細胞であり、骨髄腫細胞ではない第1の細胞;
リンパ系の共通前駆細胞に由来する第2の細胞;ならびに
リンパ系の共通前駆細胞に由来する第3の細胞
をハイブリダイズする工程を包含している。
本発明の方法の一実施形態において、上記第2の細胞はBリンパ球系統に由来する細胞であり、上記第3の細胞はBリンパ球系統に由来する細胞である。
本発明の方法の他の実施形態において、上記第2の細胞はTリンパ球系統に由来する細胞であり、上記第3の細胞はTリンパ球系統に由来している。
本発明の方法の他の実施形態において、上記第2の細胞はBリンパ球系統に由来する細胞であり、上記第3の細胞はTリンパ球系統に由来する細胞である。
好ましくは、上記第1の細胞は骨髄性の共通前駆細胞に由来する細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供することが明らかである。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
好ましくは、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は、骨髄単球性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球である。したがって、本発明は、骨髄単球性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供することが明らかである。また、本発明は、骨髄単球性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球、Bリンパ球ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
好ましくは、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は、以下のCD抗原:CD16、CD15またはCD14のうち少なくとも1つを提示している。したがって、本発明は、以下のCD抗原:CD16、CD15またはCD14のうち少なくとも1つを提示している骨髄性の共通前駆細胞、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供することが明らかである。また、本発明は、以下のCD抗原:CD16、CD15またはCD14のうち少なくとも1つを提示している骨髄性の共通前駆細胞、Bリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は単球である。したがって、本発明は、単球、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。また、本発明は、単球、Bリンパ球およびTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
他の実施形態において、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は初代培養された骨髄単球性の前駆細胞である。したがって、本発明は、初代培養された骨髄単球性の前駆細胞、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。また、本発明は、初代培養された骨髄単球性の前駆細胞、Bリンパ球およびTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は不死化された細胞である。したがって、本発明は、骨髄単球性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球から選択される不死化された細胞、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供することが明らかである。また、本発明は、骨髄単球性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球から選択される不死化された細胞、Bリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
他の実施形態において、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞は、脾臓、末梢血、臍帯血または骨髄に由来している。したがって、本発明は、脾臓、末梢血、臍帯血または骨髄に由来する骨髄性の共通前駆細胞、ならびに2つのBリンパ球または2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供することが明らかである。また、本発明は、脾臓、末梢血、臍帯血または骨髄に由来する骨髄性の共通前駆細胞、Bリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
他の実施形態において、Bリンパ球系統に由来する上記細胞は、プレB細胞、未成熟なB細胞、ナイーブB細胞、活性化B細胞またはエフェクターB細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびにプレB細胞、未成熟Bな細胞、ナイーブB細胞、活性化B細胞またはエフェクターB細胞から選択される2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供することが明らかである。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、プレB細胞、未成熟なB細胞、ナイーブB細胞、活性化B細胞またはエフェクターB細胞から選択されるBリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、上記エフェクターB細胞は、プラズマ細胞または抗原を経験したB細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびにプラズマ細胞または抗原を経験したB細胞から選択される2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、プラズマ細胞または抗原を経験したB細胞、およびTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、Bリンパ球系統に由来する上記細胞は、以下のCD抗原:CD19、CD20、CD72またはCD5のうち少なくとも1つを提示している。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、および以下のCD抗原:CD19、CD20、CD72またはCD5のうち少なくとも1つを提示している2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、以下のCD抗原:CD19、CD20、CD72またはCD5のうち少なくとも1つを提示しているBリンパ球、およびTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、Tリンパ球系統に由来する上記細胞は、前T細胞、未成熟T細胞、ナイーブT細胞、活性化T細胞またはエフェクターT細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球、ならびに前T細胞、未成熟T細胞、ナイーブT細胞、活性化T細胞またはエフェクターT細胞から選択されるTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびに前T細胞、未成熟T細胞、ナイーブT細胞、活性化T細胞またはエフェクターT細胞から選択される2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、Tリンパ球系統に由来する上記細胞は、以下のCD抗原:CD3、CD4、CD5またはCD8のうち少なくとも1つを提示している。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球、ならびに以下のCD抗原:CD3、CD4、CD5またはCD8のうち少なくとも1つを提示しているTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびに以下のCD抗原:CD3、CD4、CD5またはCD8のうち少なくとも1つを提示しているT細胞から選択される2つのTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、Bリンパ球系統に由来する上記細胞は不死化された細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびに少なくとも1つが不死化された細胞であり得る2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、不死のBリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、Tリンパ球系統に由来する上記細胞は不死化された細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球、ならびに不死のTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、Bリンパ球系統に由来する上記細胞はリンパ組織に由来している。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、ならびにリンパ組織に由来する2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、リンパ組織に由来するBリンパ球、ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、Tリンパ球系統に由来する上記細胞はリンパ組織に由来するものである。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球組織、ならびにリンパ組織に由来するTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
本発明のハイブリッド細胞を生成する方法において含まれているBリンパ球またはTリンパ球がリンパ組織に由来する場合、当該リンパ組織は、好ましくは、末梢血、臍帯血、脾臓、骨髄、胸腺、扁桃腺、咽頭扁桃腺および所属リンパ節から選択される。
一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞を生成する方法において含まれている細胞のうち少なくとも1つはヒト細胞である。また、一実施形態において、本発明のハイブリッド細胞を生成する方法は少なくとも1つのマウス細胞を含み得ることが明らかであろう。
一実施形態において、骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞はK562細胞である。したがって、本発明は、K562細胞、および2つのBリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供することが明らかであろう。また、本発明は、K562細胞、不死のBリンパ球、およびTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、上記第2の細胞または第3の細胞は、WIL2−NS細胞またはMOLT4細胞である。したがって、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、WIL2−NS細胞ならびにTリンパ球のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供することが明らかであろう。また、本発明は、骨髄性の共通前駆細胞または幹細胞、Bリンパ球、ならびにMOLT4細胞のハイブリダイゼーションによってハイブリッド細胞を生成する方法を提供する。
一実施形態において、上記第1の細胞はK562細胞であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞はMOLT4細胞である。
本発明の方法の他の実施形態において、上記第1の細胞はK562細胞であり、上記第2の細胞は初代培養されたB細胞であり、上記第3の細胞は初代培養されたT細胞である。
本発明の方法の他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養されたヒト単球であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞は初代培養されたT細胞である。
本発明の方法の他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養されたヒト骨髄性の共通前駆細胞であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞は初代培養されたヒトT細胞である。
本発明の方法の他の実施形態において、上記第1の細胞はK562細胞であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞は初代培養されたT細胞である。
本発明の方法の他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養された単球であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞はWIL2−NS細胞である。
本発明の方法の他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養されたマウス単球であり、上記第2の細胞はSP2細胞であり、上記第3の細胞は初代培養されたマウスT細胞である。
本発明の方法の他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養されたマウス単球であり、上記第2の細胞はSP2細胞であり、上記第3の細胞はSP2細胞である。
本発明の方法の他の実施形態において、上記第1の細胞は初代培養されたヒトまたはマウス単球であり、上記第2の細胞はWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞はSP2細胞である。
〔定義〕
本発明に照らして、「含んでいる(comprise)」および「含んでいる(comprising)」などは、それらの排他的な意味ではなく、「包含しているが、これに限定されない」というそれらの包括的な意味において解釈されるべきである。
(ハイブリッド細胞)
ハイブリッド細胞は、2以上のゲノムに由来する構成要素を含んでいる細胞(接合体およびそれらの派生物以外)である。それは、例えば2以上の生物学的な細胞(親細胞)の、体細胞ハイブリダイゼーション(または全細胞ハイブリダイゼーション)から構築される細胞である。親細胞は、同じ系統(または種)または異なる系統(または種)のいずれかから入手され得る。同じ系統および種から生成されたハイブリッド細胞は自己ハイブリッド(auto-hybrid)と呼ばれ、一方、異なる系統のハイブリッド細胞は異種ハイブリッドと呼ばれる。
(キメラ細胞)
キメラ細胞は、2以上の異なる種に由来するゲノムを有している、人工的に生成されたハイブリッド細胞である。
(系統交雑のハイブリッド細胞)
系統交雑のハイブリッド細胞は、異なる細胞系統に由来する2以上の細胞に由来するゲノムを有している人工的に生成されたハイブリッド細胞である。造血細胞は2つの主な系統:リンパ球系(T細胞、B細胞およびNK細胞)ならびに骨髄系(単球およびマクロファージ、好中球、好塩基球および好酸球、赤血球、巨核球/血小板、樹状細胞)に分けられる。
(トリハイブリッド細胞(tri-hybrid cell))
トリハイブリッド細胞は、3つの細胞に由来するゲノムを有している、人工的に生成されたハイブリッド細胞である。
(安定な)
細胞に言及するときに、「安定な」という用語は、所定の成長パラメータもしくは生産パラメーターの一貫性を証明する細胞の能力、または増加する世代数に対して細胞株の生産特性の一貫性を意味する。安定な形質転換体に言及して用いられるとき、それは、比較的に一定のレベルにおいて導入遺伝子を、実質的に無期限に発現する細胞株を意味する。
(体細胞ハイブリダイゼーション)
本明細書に照らして、「体細胞ハイブリダイゼーション」という用語は、細胞の原形質膜が良好に接触するよう誘導され、接触点において親細胞の原形質膜の可逆的な破壊が同時に誘導され、新たに形成された単一細胞の外膜の内部にそれぞれの親細胞の本体または細胞小器官が組み込まれるような方法において、単一の生細胞が2以上の二倍体(非生殖細胞)の細胞(親細胞)から生成される過程を指す。新たに形成された単一の細胞はハイブリダイズされた細胞またはハイブリッド細胞と呼ばれる。
(幹細胞)
「幹細胞」という用語は、有糸分裂による分裂能および種々の異なる細胞型への分化能を有している特殊化していない細胞(unspecialised cell)を指す。幹細胞は、胚性幹細胞、臍帯に由来する「成熟な」幹細胞または成体に由来する幹細胞を包含し得る。幹細胞は、すべての細胞型に分化する無制限の能力を有している細胞、すなわち全能細胞を包含している。また、幹細胞は、特殊化した細胞(例えば、全能性、多能性、低能性(oligopotent)または単能性幹細胞)への分化能に制限されている細胞を包含し得る。
(不死化された細胞)
「不死化された細胞」という用語は、無制限に成長する能力を有している細胞を指す。不死化された細胞はインビボの悪性腫瘍または胚に由来し得ることが明確であろう。代替的に、不死化された細胞は、無制限に成長する能力を誘導する処理を細胞に施すことによって入手し得る。これら処理は、例えば、インビトロの形質転換処理(例えばウイルス遺伝子の導入)を包含し得る。当該ウイルス遺伝子は、例えば、エプスタイン・バールウイルス(EBV)、シミアンウイルス40(SV40) T抗原、アデノウイルス E1AおよびE1B、ならびにヒトパピローマウイルス(HPV) E6およびE7である。代替的に、不死化された細胞はテロメラーゼ逆転写酵素タンパク質(TERT)の発現または他の方法を経た細胞に由来し得る。また、不死化された細胞は、発癌遺伝子の発現が改変されている細胞に由来し得る。不死化された細胞は無制限に成長する能力を誘導する任意の処理(UV照射、または不死化の機構が不明である任意の形質転換を包含しているが、これらに限定されない)に由来し得る。
(骨髄腫細胞)
「骨髄腫細胞」という用語は、プラズマ細胞の悪性腫瘍を指す。
(ハイブリドーマ)
「ハイブリドーマ」という用語は、免疫化された動物の脾臓に由来するB細胞と、骨髄腫細胞とのハイブリダイゼーションによって生成される細胞を指す。ハイブリドーマはモノクローナル抗体の産生能を有している不死化された細胞である。
(未拘束の前駆細胞)
「未拘束の前駆細胞」という用語は、任意の特定の系統に拘束されることなく、一部の種類の細胞にのみ分化し得るが、自己をもはや回復し得ない幹細胞の初期の子孫を指す。
(骨髄性の共通前駆細胞)
骨髄性の共通前駆細胞は、骨髄系統に制限された造血幹細胞の子孫であり、巨核球/赤血球または顆粒球/マクロファージ前駆細胞のいずれかになり得るが、リンパ球系細胞になり得ない。
(リンパ系の共通前駆細胞)
リンパ系の共通前駆細胞は、リンパ球系統に制限された造血幹細胞の子孫であり、B、T細胞およびナチュラルキラー細胞になり得るが、骨髄細胞になり得ない。
(Bリンパ球系統に由来する細胞)
Bリンパ球系統に由来する細胞は、B細胞の任意の型になるB系統の分化の後の、リンパ系の共通前駆細胞に由来する任意の細胞である。
(Tリンパ球系統に由来する細胞)
Tリンパ球系統由来の細胞は、T細胞の任意の型になるT系統の分化の後の、リンパ球共通前駆体に由来する任意の細胞である。
(顆粒球−マクロファージ前駆細胞)
顆粒球−マクロファージ前駆細胞は、骨髄性の共通前駆細胞に由来しており、顆粒球および単球の系統に分化するが、巨核球および赤血球の系統には分化しない前駆細胞である。
(巨核球−赤血球前駆細胞)
巨核球−赤血球前駆細胞は、骨髄性の共通前駆細胞に由来しており、巨核球および赤血球の系統に分化するが、顆粒球および単球の系統には分化しない前駆細胞である。
(プレB細胞)
プレB細胞は、膜結合型IgMの重鎖が代替軽鎖と共に発現している段階において発達中のB細胞である。
(未成熟なB細胞)
未成熟なB細胞は、抗体の位置の組換え段階においてVJがL鎖上に再構成され、VDJがH鎖上(IgM受容体の発現がみられる)に再構成される骨髄において発達中のB細胞を指す。
(ナイーブB細胞)
ナイーブB細胞は、その表面の免疫グロブリンの無作為な遺伝子再構成を経て骨髄において分化し、成熟しているが、末梢において対応する抗原といまだに接触していない成熟B細胞である。
(活性化B細胞)
T依存性の様式または非依存性の様式におけるクローン性増殖、およびプラズマ細胞への最終分化の組合せを生じるBCRを介した抗原認識を通じて、末梢において対応する抗原に接触した成熟B細胞型である。
(エフェクターB細胞)
エフェクターB細胞は、特定の抗原に特異的な抗体および免疫系の他の細胞を機能させるために過剰のサイトカインを分泌する短期生存型のB細胞の一種である、抗体分泌プラズマ細胞としばしば同義である。
(記憶B細胞)
記憶B細胞は、初期の免疫反応の間に接触した抗原に特異的である活性化B細胞から形成された長期生存型のB細胞であり、同じ抗原に対する2回目のばくろに続く迅速な応答が可能である。
(プラズマ細胞)
プラズマ細胞は、最終的な有糸分裂後の短期生存型の免疫系の細胞であり、CD4リンパ球(Th細胞)による刺激によってB細胞から分化し、大量の抗体を分泌する。
(前T細胞)
前T細胞は、TCRのβ鎖が二重陰性(CD4CD8)のT細胞(CD3)において発現しており、VbDbJbが揃いっている段階において発達中のT細胞である。
(未成熟T細胞)
未成熟T細胞は、骨髄から胸腺に移動しているが、そのTCRの再構成もしくは自己の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子上に提示された自己ペプチドに対するTCR結合能についての選択が完了していないか、またはそれぞれMHCクラスIもしくはII分子に対する細胞のTCR特異性と正確に相互関係を示すTキラー系統もしくはTヘルパー系統への分化を経ていない発達中のT細胞である。系統分化は補助受容体分子であるCD8またはCD4の一方の発現を喪失することによって表現型として特徴付けられる。
(ナイーブT細胞)
骨髄において分化し、そのTCRの再構成を伴う胸腺における中心的な選択のポジティブおよびネガティブな過程および補助受容体分子の1つの喪失を首尾よく経ているが、末梢において対応する抗原といまだに接触していない成熟T細胞。
(活性化T細胞)
活性化T細胞は、抗原提示細胞上における主要組織適合遺伝子複合体ペプチド(ペプチド:MHCの複合体)およびB7ファミリーメンバーのそれぞれによる、細胞表面上のTCRおよびCD28の両方の結合を通して、抗原特異的なエフェクターT細胞になりつつあるT細胞である。
(エフェクターT細胞)
エフェクターT細胞は、細胞に適切なペプチド:MHCの複合体を有している当該細胞との接触によって即座に応答可能な短期生存型のTリンパ球の一種である。
〔図面の簡単な説明〕
図1.同定および分取−精製したCD71K562細胞。
図2.CD15およびCD71陽性のK562細胞のFACSプロファイル;(a)CD71に関して濃縮されている元のK562細胞集団の約18%がCD15について陽性であった(R1領域)、(b)培養物における2ヶ月後の、CD15陽性のK562細胞の再分析。
図3.CD34AML単核細胞上におけるCD15の発現。
図4.CD16のFACSプロファイルおよびCD14磁気ビーズ(MACS)によって単離したCD14細胞の異なる集団のための分取ゲート。
図5.マウス抗ヒトCD19抗体およびマウス抗ヒトCD5抗体を用いて染色した臍帯血単核細胞のFACSプロファイル。
図6.マウス抗ヒトCD3抗体およびマウス抗ヒトCD5抗体を用いて染色した単核の臍帯血細胞のFACSプロファイル。
図7.マウス抗ヒトCD20抗体およびマウス抗ヒトCD72抗体を用いて染色した骨髄単核細胞のFACSプロファイル。
図8.CD3およびCD54についての扁桃単核細胞の典型的なFACSプロファイル。
図9.IgMおよびIgG陽性の培養したリンパ球の同定;(A)5日間の培養の後にCD19細胞の18%がIgM陽性であり、1%が細胞表面上に検出可能なIgGを有していた;(B)培養10日後にIgM陽性リンパ球の割合は2%まで低下し、IgG陽性細胞の割合は15%まで増加した。
図10.骨髄およびリンパ球起源の発癌遺伝子を有しているKMWトリハイブリッド細胞上におけるCDの発現のFACSプロファイル。
図11.初代培養された混合の脾臓リンパ球、分取したCD4およびCD19の集団、ならびに得られたKBTトリハイブリッド細胞株上におけるCD4およびCD19の発現;(a)初代培養された脾臓リンパ球上におけるCD4およびCD19の発現;(b)分取したCD19細胞の純度プロファイル(98.1%);(c)分取したCD4細胞の純度プロファイル(96.8%);(d)トリハイブリッド細胞上におけるCD19およびCD4の共発現。99%を超えるトリハイブリッド細胞集団がB細胞およびT細胞の両方についてのマーカーを共発現している。
図12.不死の骨髄細胞および抗原を経験した初代培養された2つのリンパ球に由来するKBTトリハイブリッド上におけるCD19、CD3およびCD5の発現;(a)KBTトリハイブリッド細胞の表面上におけるCD19およびCD5の発現、(b)KBTトリハイブリッド上におけるCD3およびCD5の発現。
図13.不死の骨髄細胞、ならびに骨髄および胸腺に由来する初代培養された2つのリンパ細胞に由来するKBTトリハイブリッド上におけるCD4、CD8、CD72およびCD20の表面発現;(a)CD4およびCD8の発現、(b)CD4およびCD72の発現、(c)CD20およびCD8の発現。
図14.リンパ球起源の発癌遺伝子、ならびに初代培養された細胞に由来するCD4およびCD14を有しているWTMトリハイブリッド株上におけるCDの発現のFACSプロファイル;(a)高レベルのCD4の発現を有しているCD19細胞(CD19CD4)の集団および低レベルのCD4の発現を有しているCD19細胞(CD19CD4)の集団を示すトリハイブリッド細胞上におけるCD19およびCD4の共発現;(b)CD14の高発現または低発現に基づく細胞集団(CD4CD14、CD4CD14、CD4CD14)の不均質性をさらに示す同じCD19陽性トリハイブリッド集団上におけるCD4およびCD14の共発現。
図15.リンパ球起源のWIL2−NSの発癌遺伝子、抗原を経験したT細胞に由来するCD5、および初代培養された単球細胞に由来するCD14を有しているWTMトリハイブリッド細胞上におけるCDの発現の典型的なFACSプロファイル。
図16.リンパ球起源のWIL2NSの発癌遺伝子、細胞傷害性T細胞に由来するCD8、および初代培養された単球細胞に由来するCD14を有しているWTMトリハイブリッド細胞上におけるCDの発現のFACSプロファイル。
図17.二重のCD陽性なT細胞に由来するWTMトリハイブリッド細胞上におけるCD4およびCD8の共発現のFACSプロファイル。
図18.骨髄単球性の前駆細胞に由来するWTMトリハイブリッド細胞の表面上におけるCDの発現;(A)CD19、CD4およびCD15による三色の染色、ならびに(B)骨髄単球性の前駆体に由来するCD34およびCD15、ならびにエフェクターT細胞に由来するCD4による三色の染色(tri-colour staining)。
図19.CD4エフェクターT細胞に由来するKWTトリハイブリッド細胞の系統特異的なマーカーの発現。
図20.二重陽性CD4CD8T細胞に由来するKWTトリハイブリッド細胞の系統特異的なマーカーの発現。
図21.CD5抗原を経験したT細胞に由来するKWTトリハイブリッド細胞の系統特異的なマーカーの発現。
図22.それぞれリンパ球の発癌遺伝子を含んでいる2つの細胞、および初代培養された1つの単球細胞に由来するWWMトリハイブリッド細胞の典型的なCD発現プロファイル;(a)CD14を発現していないCD19陽性細胞(R2領域)と全く異なる集団を示すトリハイブリッド細胞上におけるCD19およびCD14の共発現(R1領域);(b)R1におおいて分取した細胞に由来するトリハイブリッド細胞、および2ヶ月間の培養において増殖させたトリハイブリッド細胞上におけるCD14の発現;(c)R2領域の分取した集団に由来するトリハイブリッド細胞上の2ヶ月後における表面のCD14の欠如。
図23.WWMトリハイブリッド細胞の異なる亜集団から得たCD14についての代表的なRT−PCR。
図24.K562細胞の単一クローンの核型分類。この結果は、K562細胞株が69本の染色体数を有している三倍体であることを示した。以下の染色体異常を検出した:1本のX染色体の欠損;バンドq33およびq35を含んでいる第2染色体の長腕の偏動原体逆位:第3染色体の欠損、q11.2からの断片を置換している由来不明の過剰な染色体部分を有している過剰な第5染色体の派生物;第6染色体の短腕のバンドp21.2およびp23の間における断片の重複;バンドp13およびp22を含んでいる第7染色体の短腕の偏動原体逆位を伴う過剰な第7染色体;1本の第9染色体の欠損;第9染色体の短腕のバンドp13からの末端部欠失;2つの第9染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第9染色体の派生物;第3染色体および第10染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第10染色体の派生物;第13染色体の欠損;1本の第13染色体の短腕上の由来不明の過剰な染色体部分;第14染色体の欠損;2つの第17染色体上のp13からの断片と置換している由来不明の過剰な部分;第1染色体および第18染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第18染色体の派生物;第20染色体の欠損;第1染色体および第21染色体の断片を含んでいる、転座に起因する第21染色体の派生物;1本の第22染色体の欠損;5本の過剰な異なる標識染色体。
図25.WIL2NS細胞株の5つのクローンのうちの1つの核型分類。このクローン(クローン1)において、以下の異常を検出した;第1染色体および第8染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第8派生染色体;第13染色体の過剰なホモログ;第5染色体および第14染色体の断片を含んでいる、転座に起因する第14染色体の派生物;第17染色体におけるq22〜q23由来の断片の重複。
図26.KBT−1(CD19)&(CD4)トリハイブリッド株の核型分類であり、近三倍体である単一細胞クローンを示す。染色体の総数はランダムな欠損に起因して65〜66本と異なっていたが、分類群における典型的染色体数(a modal number of chromosomes)が66であった。以下の染色体異常を検出した:X染色体の短腕およびおそらく2本の他の由来不明の染色体を含んでいる複合型転座から形成された派生X染色体;バンドq33およびq35を含んでいる第2染色体の長腕における偏動原体逆位;第3染色体の欠損;3p染色体の欠失;第4染色体および他の由来不明の染色体の断片を含んでいる、第4染色体の派生物;q11.2からの断片を置換している由来不明の過剰な染色体部分を有している過剰な第5染色体の派生物;第6染色体の短腕のバンドp21.2およびp23の間における断片の重複;第7染色体の長腕およびマーカー3の長腕を含んでいる過剰な第7染色体の派生物;1本の第13染色体の欠損;1本の第13染色体の短腕上の由来不明の過剰な染色体部分;1本の第14染色体の欠損;1本の第15染色体の欠損;2つの第17染色体上のp13からの断片を置換している由来不明の過剰部分;第1染色体および第18染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第18染色体の派生物;1本の第20染色体の欠損;第1染色体および第21染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第21染色体の派生物;第22染色体の欠損;4本の過剰な異なる標識染色体。
図27.KBT(K562、CD20CD72およびCD4CD8細胞)系統交雑のトリハイブリッド(すなわちKBT−2系統交雑の)の核型分類であり、近三倍体である4つのクローンを示しており、(A)クローン1は、67本の染色体数を有し、以下の染色体異常を有している:X染色体の短腕およびおそらく2本の他の由来不明の染色体を含んでいる複合型転座から形成されたX染色体の派生物;1本のX染色体の欠損;第1染色体および第4染色体の可能性が最も高いもの由来の断片を含んでいる、第1染色体の派生物;バンドq33およびq35を含んでいる第2染色体の長腕における偏動原体逆位;1本の第3染色体の欠損;小さい第4染色体の派生物であろう欠失した第4染色体の可能性が最も高いもの;q11.2からの断片を置換している由来不明の過剰な染色体部分を有している過剰な第5染色体の派生物;第6染色体の短腕のバンドp21.2およびp23の間における断片の重複;第7染色体の長腕およびマーカー3の長腕を含んでいる過剰な第7染色体の派生物;1本の第9染色体の欠損;第9染色体の短腕におけるバンドp13からの末端部欠失;2本の第9染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第9染色体の派生物;第3染色体および第10染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第10染色体の派生物;1本の第13染色体の欠損;1本の第13染色体の短腕上の由来不明の過剰な染色体部分;1本の第14染色体の欠損;2本の第17染色体上のp13からの断片と置換された由来不明の過剰部分;第1染色体および第18染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第18染色体の派生物;1本の第20染色体の欠損;第1染色体および第21染色体の断片を含んでいる、転座に起因する第21染色体の派生物;1本の第22染色体の欠損;4本の過剰な異なる標識染色体、(B)クローン2はランダムな欠損に起因して65から67本の染色体を含んでおり(分類群における典型的染色体数は67)、クローン1の第4染色体の欠損が第4染色体および他の由来不明の染色体の断片を含んでいる明確な第4染色体の派生物に代替されていることを除いて、クローン1と類似している染色体特性を有している、(C)クローン3は基本的にクローン1と同様であるが、第1染色体の派生物が欠損し、第1染色体および第4染色体の断片に由来する異なる第4染色体の派生物が存在する。クローン3は67の分類群における典型的染色体数を伴って、ランダムな欠損に起因して67から68本の染色体を含んでいる、(D)クローン4は基本的にクローン1と同様であるが、第1染色体の欠損、ならびに第1染色体および第4染色体の断片を含んでいる、転座に起因する異なる第1染色体の派生物が存在する。2つのみの正常な第5染色体およびサテライトされた5qとみられる第5染色体の派生物が存在する。
図28.KWT−1トリハイブリッド株(不死の骨髄細胞およびBリンパ球ならびに初代培養された成熟CD4Tヘルパー細胞に由来するKWTトリハイブリッド)の核型分類であり、分類群における129から140の典型的染色体数および以下の染色体異常を有している近六倍体である単一クローンを示す:2本のX染色体の欠損;1本の第1染色体の欠損;1本の第2染色体の欠損;バンドq33およびq35を含んでいる第2染色体の長腕における偏動原体逆位;2本の第3染色体の欠損;1本の第4染色体の欠損;q35からの断片を置換している由来不明の過剰な染色体部分を有している第4染色体の派生物;1本の過剰な第5染色体のホモログ;q11.2からの断片を置換している由来不明の過剰な染色体部分を有している2つの過剰な第5染色体の派生物;1本の過剰な第6染色体のホモログ;第6染色体の短腕のバンドp21.2およびp23の間における断片の重複を有している過剰な第6染色体;1本の過剰な第7染色体のホモログ;バンドp13およびp22を含んでいる第7染色体の短腕における偏動原体逆位を有している2つの第7染色体;第1染色体および第8染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第8染色体の派生物;2本の第9染色体の欠損;第9染色体の短腕におけるバンドp13からの末端部欠失;2本の第9染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する2本の第9染色体の派生物;第3染色体および第10染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第10染色体の派生物;1本の第12染色体の欠損;1本の第13染色体の短腕上の由来不明の過剰な染色体部分を有している1本の第13染色体;2本の第14染色体の欠損;第5染色体および第14染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第14染色体の派生物;1本の第15染色体の欠損;1本の第17染色体の欠損;2本の第17染色体上のp13からの断片と置換している由来不明の過剰部分を有している2本の第17染色体;q22〜q23由来の断片における重複を有している2本の第17染色体;2本の第18染色体の欠損;過剰な第20染色体;第1染色体および第21染色体の断片を含んでいる、転座に起因する第21染色体の派生物;1本の第22染色体の欠損;2コピーの標識第2染色体を有している7本の過剰な標識染色体。
図29.KWT−2(不死の骨髄細胞およびBリンパ球ならびに初代培養された記憶CD3CD5T細胞に由来するKWTトリハイブリッド株)の核型分類であり、分類群における135から142の典型的染色体数および以下の染色体異常を有している近六倍体である単一クローンを示す:2本のX染色体の欠損;1本の第1染色体の欠損;1本の第2染色体の欠損;バンドq33およびq35を含んでいる第2染色体の長腕における偏動原体逆位;2本の第3染色体の欠損;1本の第4染色体の欠損;q35からの断片を置換している由来不明の過剰な染色体部分を有している第4染色体の派生物;1本の過剰な第5染色体のホモログ;q11.2からの断片を置換している由来不明の過剰な染色体部分を有している2つの過剰な第5染色体の派生物;1本の過剰な第6染色体の相同物;第6染色体の短腕のバンドp21.2およびp23の間における断片の重複を有している過剰な第6染色体;バンドp13およびp22を含んでいる第7染色体の短腕における偏動原体逆位を有している2つの第7染色体;第1染色体および第8染色体の断片を含んでいる、転座に起因する第8染色体の派生物;2本の第9染色体の欠損;第9染色体の短腕におけるバンドp13からの末端部欠失;2本の第9染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する2本の第9染色体の派生物;第3染色体および第10染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第10染色体の派生物;1本の第12染色体の欠損;1本の第13染色体の短腕上の由来不明の過剰な染色体部分を有している1本の第13染色体;2本の第14染色体の欠損;第5染色体および第14染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第14染色体の派生物;1本の第15染色体の欠損;1本の第17染色体の欠損;2本の第17染色体上のp13からの断片と置換された由来不明の過剰部分を有している2本の第17染色体;q22〜q23由来の断片における重複を有している2本の第17染色体;2本の第18染色体の欠損;過剰な第20染色体;第1染色体および第21染色体の断片を含んでいる、転座に起因する第21染色体の派生物;1本の第22染色体の欠損;標識第2番染色体の2つのコピーを有している8本の過剰な標識染色体。
図30.KWT−3トリハイブリッド株(不死の骨髄細胞およびBリンパ球ならびに初代培養された二重陽性CD4CD8T細胞に由来するKWTトリハイブリッド)の核型分類であり、分類群における124から139の典型的染色体数を有している高五倍体である3つのクローンを示す。(A)クローン1は以下の染色体異常を有している:3本のX染色体および1本のY染色体;過剰な第1染色体;2本の過剰な第2染色体;バンドq33およびq35を含んでいる第2染色体の長腕における偏動原体逆位;1本の第3染色体の欠損;第5染色体および由来不明の染色体を含んでいる転座に起因する第5染色体の過剰な派生物;過剰な第6染色体;第6染色体の短腕のバンドp21.2およびp23の間における断片の重複;バンドp13およびp22を含んでいる第7染色体の短腕の過剰な偏動原体逆位;第1染色体および第8染色体の断片を含んでいる、転座に起因する第8染色体の派生物;第9染色体の短腕におけるバンドp13からの末端部欠失;2本の第9染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第9染色体の派生物;2本の過剰な第10染色体;第3染色体および第10染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する2本の第10染色体の派生物;2本の過剰な第13染色体;1本の第13染色体の短腕上の由来不明の過剰な染色体部分;1本の第14染色体の欠損;第5染色体および第14染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第14染色体の派生物;3本の第17染色体上のp13からの断片と置換された由来不明の過剰部分;q22〜q23由来の断片における第17染色体の重複の2本の染色体;過剰な第18染色体;第1染色体および第18染色体の断片を含んでいる、転座に起因する第18染色体の派生物;過剰な第19染色体;1本の第20染色体の欠損;第1染色体および第21染色体の断片を含んでいる、転座に起因する第21染色体の派生物;標識第4染色体および標識第5染色体のそれぞれの2つのコピーを有している5本の過剰な標識染色体。(B)クローン2は1本の第9染色体を欠損していることを除いて、クローン1と類似の染色体異常を有している。(C)クローン3は第2染色体の長腕における偏動原体逆位がバンドq33およびq35を含んでいる長腕における偏動原体逆位によって生じた第2染色体の派生物を含んでいる同腕染色体の形成に起因する第2染色体の同腕派生物に代替されていることを除いて、クローン2と同様の染色体異常を含んでいる。
図31.WWMトリハイブリッド(A)およびそのCD14に関して濃縮されている亜系統(B)の核型分類であり、元のWWMトリハイブリッドにおける55%からそのCD14に関して濃縮されている亜系統における95%までその存在が増加している単一優性クローン(a single dominant clone)を示する。それぞれ分類群における47の典型的染色体数および以下の染色体異常を有している:第1染色体および第8染色体に由来する断片を含んでいる、転座に起因する第8染色体の派生物;過剰な第13染色体の相同物;転座に起因する第14染色体が第5染色体および第14染色体に由来する断片を含んでいる場合の派生物;q22〜q23由来の断片の第17染色体における重複;第3染色体および第21染色体由来の断片を含んでいる、転座に起因する第21染色体の派生物。元のWWMトリハイブリッドとそのCD14に関して濃縮されている亜系統との間における唯一の違いは、これらの異常が元のWWTトリハイブリッドにおいては55%の細胞だけに存在し、CD14に関して濃縮されている亜系統の95%の細胞に存在していることである。WWMトリハイブリッドにおける残りの細胞は、近三倍体(ランダムな染色体欠損を伴う)から近四倍体(ランダムな染色体欠損を伴う)までに分布している。
図32.ProGM培養物に由来する上清のウェスタンブロット。レーン1および2はそれぞれ非活性化および活性化の4日目のヒトTリンパ球の培養物の上清がロードされている。レーン4および5はそれぞれツニコマイシンの非存在下または存在下において成長させたProGMの培養物の上清を含んでいる。GM−CSFを発現していない細胞の上清をレーン3において用いた。参考として、大腸菌から得られた組換えhGM−CSF(10ng)をレーン6に用いた。
図33.ProGMハイブリッド株によって産生されたヒトGM−CSFのゲル電気泳動。ツニカマイシンと共に培養した(レーン3および4)およびツニカマイシンなしで培養した(レーン1および2)サンプルから得たProGMハイブリッド株の細胞上清を、ラット抗ヒトGM−CSF抗体(レーン1および3)およびラット抗マウスGM−CSF抗体(レーン2および4)を用いて免疫沈降させた。タンパク質を銀染色によって可視化した。
図34.ProCD54細胞株、およびそのCD54に関して濃縮されている亜系統であるProCD54EXの表面上におけるCD4およびCD54の発現;(a)ProCD54細胞の100%がCD4の発現を保持していた。細胞集団の約72%が同様にCD54について陽性であり、低レベルから高レベルの発現に分布していた。中間レベルから高レベルのCD54の発現を有しているCD4CD54表現型の特性を有している細胞集団の42%をゲートして分取した、また(b)元のProCD54の分取したCD4CD54亜系統の表面上におけるCD4およびCD54の発現の分析は、98%の細胞が6ヶ月を超える培養の後も依然として両方のマーカーについて陽性であることを示す。
図35.ProCD54およびProCD54EX細胞によって分泌された可溶性のヒトCD54のウェスタンブロット。KWTトリハイブリッドパートナー細胞株の細胞を対照として用いた。ProCD54およびProCD54EX細胞の両方が約82kDaの可溶型のCD54を放出している。
図36.ProCD54およびProCD54EX細胞におけるICAM−1遺伝子発現のRT−PCR分析。
図37.hIL4−Rα鎖を一過性にトランスフェクトしたKBTトリハイブリッド細胞株(トランスフェクションから24、48および72時間後における)に由来する細胞抽出物のウェスタンブロット分析。100ng/mlのhIL4によって刺激されたヒトPBMLおよびトランスフェクトしていないKBT細胞をそれぞれhIL4−Rα鎖についての陽性対照および陰性対照として用いた。
図38.hIL−2をトランスフェクトしたKBTトリハイブリッド細胞におけるhIL−2のmRNAの検出についてのPCR産生量。発現のレベルはCD8ヒトTリンパ球およびジャーカット細胞から得られたものと類似している。トランスフェクトしていないKBT細胞およびK562細胞を陰性対照として用いた。
図39.(a)元のKBTトリハイブリッド細胞および(b)KBT TR−IL2細胞における細胞内hIL−2についてのFACS分析。KBT細胞の約41%がCD69活性化分子について陽性であった。KBT TR−IL2細胞の92%が細胞内hIL−2について陽性に染色された(R1+R2)。hIL−2陰性細胞はCD69陽性集団の一部である。一方、CD69陰性細胞は細胞内hIL2について全て陽性であった。
図40.RP−HPLCに続く、hGM−CSFに対するアフィニティー吸収の後の得られた溶出プロファイル。
図41.RP−HPLCに続く、hGM−CSFに対するアフィニティー免疫吸収の後に回収された画分のSDS−PAGE(下図)およびウェスタンブロット(上図)。ウェスタンブロットは、Pro−GM−SFによって分泌されたhGM−CSFの分子量プロファイルにおける画分間の変化を明らかにした。24から28分において溶出された画分は、RP−HPLC溶出プロファイルにおける第1のピークと一致し、29から31分の間に回収された画分は第2のピークに相当する。一方、第3のピークは34から36分の間に回収された画分に滴下した。
図42.PHA活性化ヒトリンパ球の培養の培養物由来のCD4細胞の分離:(A)抗ヒトCD4−FITCを用いて標識した細胞をゲートして(R1)、残りの細胞集団から分取した。分取した細胞をさらに純度について分析した;(B)分取した集団における細胞の100%がCD4陽性であった。
図43.Pro−GMsfに由来する脱グリコシル化hGM−CSFのゲル電気泳動。精製したhGM−CSFを、PHGase F消化に対して異なる期間にわたってさらした。レーン1−0分間にわたって、レーン2−10分間にわたって、レーン3−20分間にわたって、レーン4−40分間のインキュベーション。レーン5−大腸菌から得られた組換えヒトGM−CSF。タンパク質を銀染色によって可視化した。分子量マーカーを示す。
図44.マウス骨髄腫Sp2細胞株のTfR細胞の同定および分取。
図45.抗マウスCD4および抗マウスCD8を用いて染色した(a)末梢血および(b)脾臓に由来するマウス単核細胞のFACSプロファイル。ゲートした領域R1およびR3は単独陽性のエフェクターヘルパー(CD4CD8)および細胞傷害性(CD8CD4)T細胞に相当する。一方、R2は二重陽性(CD4CD8)のT細胞を含んでいる。
図46.磁気ビーズを用いた負の選択によって末梢血から単離したマウス単球の純度プロファイル。単離した細胞の100%がCD11bについて陽性であったが、同時に、これら細胞が98%を超えて、B220、CD90、CD49bおよびNK1.1について陰性であった。CD11b細胞の約38%が低いレベルにおいてそれらの表面上にLy5Gを発現していた。
図47.リンパ球の不死の1つの細胞Sp2、初代培養されたマウスCD4T細胞およびCD11b単球に由来するSTmMmトリハイブリッド上におけるCD138、CD4およびCD11bの発現のFACSプロファイル。Bリンパ球系統の核型をトリハイブリッド細胞の100%におけるCD138の発現によって確かめた、(a)および(b)細胞集団の少なくとも82%が3つのCDマーカーの全てを発現しており、わずか5%の細胞がCD4またはCD11bのいずれかを共発現することなくCD138陽性であった。
図48.マウスリンパ球の不死の1つの細胞Sp2、初代培養されたマウス細胞傷害性CD8T細胞およびマウスCD11b単球に由来するSTmMmトリハイブリッド上におけるCD138、CD8およびCD11bの発現の典型的なFACSプロファイル。マウスCD138の発現がトリハイブリッド細胞(a)および(b)の97〜100%において確認されたが、T細胞および単球マーカーの共発現はそれぞれトリハイブリッド細胞集団の56%および57%において検出された。トリハイブリッド集団全体の約40%が3つのマーカーの全てを共発現しており、(c)14%のみがそれらの表面上にCD8およびCD11bの何れも発現していなかった。
図49.マウスリンパ球の不死の1つの細胞Sp2、初代培養された1つのマウス二重陽性CD4CD8T細胞、および初代培養された1つのマウスCD11b単球に由来するSTmMmトリハイブリッド上におけるCD138、CD8およびCD11bの発現の典型的なFACSプロファイル。トリハイブリッド細胞集団の98〜100%がCD138について陽性であり、集団の93%が同様にCD8について陽性であった(b)。細胞集団全体の約57〜60%がCD138、CD8およびCD11bについて同時に陽性であった。
図50.マウスリンパ球の不死の1つの細胞Sp2、初代培養された1つのマウス二重陽性CD4CD8T細胞、および初代培養された1つの単球に由来するSTmMmトリハイブリッドの表面上におけるCD4およびCD8の発現の典型的なプロファイル。細胞の95%がCD8について陽性であったが、トリハイブリッド集団の50%のみがCD4およびCD8を共発現していた。特に、実質的にCD4集団全体がCD8についても陽性であった。
図51.SSMmトリハイブリッドの表面上におけるCD138およびCD11bの発現の典型的なプロファイルであり、トリハイブリッド集団の93%がCD138について陽性の染色を示し、70%の細胞がCD11bを共発現している。
図52.SWMm(a)およびSWMh(b)トリハイブリッドの表面上のヒトCD71およびマウスTfRの発現の典型的なプロファイル。単球の起源がマウスまたはヒトであるかに関わらず、トリハイブリッドの100%がヒトおよびマウスの両方のトランスフェリン受容体について陽性であった。
図53.SWMm(a)およびSWMh(b)トリハイブリッド上のマウスCD138の発現およびマウスCD11bまたはヒトCD14の典型的なプロファイル。マウスCD138の発現は単球のマウスまたはヒト起源に依存的なようである。SWMmトリハイブリッドの84%がマウスCD138について陽性であったが、SWMhの29%のみがそれらの表面上にマウスCD138を有していた。
図54.SWMhキメラトリハイブリッドの表面上のヒトCD19およびヒトCD14の発現のFACSプロファイルは、96%の細胞がヒトCD19を発現しており、66%がヒトCD14を共発現していることを示す。
図55.単一細胞の操作/供給系。
図56.ガラスのマイクロピペット。
図57.微小電極。
図58.平行な2つの微小電極。
図59.組織培養プレートのウェルにおける2つの微小電極。
図60.2つの微小電極の中間に3つの細胞を含んでいるウェルの上面図。
図61.図60のウェルの側面図。
図62.1つのKBT細胞および1つのsIgMCD25B細胞のハイブリダイゼーションによって生成したハイブリッド細胞の表面上におけるCD25およびsIgMの発現(第2のタンパク質hIL−2の安定的トランスフェクションの前(A)および後(B))。
〔発明の詳細な記載〕
本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して、以下の非限定的な実施例によってさらに記載する。
<実施例1>
1.細胞の選択、細胞の操作および単一細胞のクローニング
以下の実施例は、系統交雑のトリハイブリッドの生成および所望のタンパク質の発現に用いる哺乳類細胞株および初代培養された細胞の、選択および単離(または分取)を包含している細胞の調製について記載している。特定の特性を有している細胞の単一集団を得るための特定の選択法の選択、または特定の表現型の細胞を単離するための特定の(複数の)マーカーの使用は、まったく限定的ではなく、むしろ暗示的である。他の細胞マーカーまたは分取の手順は、同様の結果を出すために用いられ得る。
1.1.発癌遺伝子の供給源としての細胞の、哺乳類細胞株からの選択
NaHCO(JRH Biosciences)、20mMのHepes(Sigma)、4mMのL−グルタミン(Sigma)によって改変し、10%のウシ胎児血清FCS(JRH Biosciences)を補ったRPMI1640(Roswell Park Memorial Institute培地)を用いて、加湿した5%のCO雰囲気の37℃のCOインキュベーターにおいて、標準的な(通常の)条件下において、すべての不死の細胞株(下記を参照)を懸濁培養において成長させた。特に記載がない限り、本明細書に記載の組織培養培地(TC培地)は、本発明に関するすべての不死の細胞株、初代培養された癌細胞、初代培養された細胞培養および樹立したトリハイブリッド細胞株を培養するための標準培地である。一般的に、用いたすべての不死の細胞株、初代培養された癌細胞および初代培養された細胞を抗生物質のない環境において培養した。しかし、危険性の高いバクテリアおよび/または真菌による汚染の疑いがある場合、2%のアンピシリン(5000ユニット)/ストレプトマイシン(5mg)溶液(Sigma)を標準培地に加えた。
ヒト細胞株
本発明において用いられ得るヒト細胞株は、以下のとおりである:
a)骨髄性の共通前駆細胞系統、K562(ヒト慢性骨髄性白血病に由来する細胞株)、
b)Tリンパ球系統、MOLT4(ヒトTリンパ球芽球)、および
c)Bリンパ球系統、WIL2NS(ヒトBリンパ球芽球)。
非ヒト細胞株
本発明において用いられ得る非ヒト細胞株は、マウス骨髄腫細胞株−Sp2(Bリンパ球プラズマ細胞)である。
1.1.1.単一細胞の供給系(single-cell delivering system)
細胞の単離または分取、細胞の操作および単一細胞のクローニングは、本発明を通して重要な工程である。ここには、我々は目的の単一細胞の操作および/またはクローニングのために確立した単一細胞の供給系について説明する。単一細胞の供給系(図55)は、ガラスのマイクロピペット、1mlのシリンジおよび1次元簡易操作装置(one-dimensional coarse manipulator)から主に構成される。図56は、目的の単一細胞を拾い上げるために用いられるガラスのL字型マイクロピペットを示す。このピペットを、ヘマトクリットキャピラリーチューブ(75ミリメートル(mm)の長さ、それぞれ1.5mmおよび1.10mmの外径および内径)から作製した。熱を用いることによって、チューブの一端を、約250〜300マイクロメートル(μm)の内径および約30μmの先端の壁厚を有している先端(1)が得られるように引っ張った。マイクロピペットの他端には手を加えなかった(2)。細胞供給系(図55)において、シリンジ(4)を簡易操作装置上に載せ、同様に簡易操作装置を磁気スタンド(16)に載せている。この系は、シリンジのピストン(6)がシリンジに対して前方または後方に非常にゆっくりと動かされ得るように機能する。目的の単一細胞を操作するために、柔軟性のある医療用品質のチューブ(3)を用いて、図に示されるようにシリンジをマイクロピペット(2)の手を加えていない端に接続しなければならない。この単一細胞の供給系は、任意の細胞操作の前に、70%のアルコールを用いて数回にわたって洗浄することによって殺菌し、最終的に、必要なあらゆる適切な組織培養培地または溶液によって気泡を含ずに満たされる必要がある。
1.1.2.単一細胞のクローニング
各細胞株由来の細胞のクローンを単一細胞のクローニングによって樹立した。本発明において用いられる任意の生物学的な細胞(例えば、K562細胞株の細胞)の単一細胞のクローニングまたは操作の方法を以下に記載する。
5μlのK562細胞の細胞懸濁液を、対数期においてその培養物から採取し、150μlのTC培地が入っている組織培養96ウェルプレート(TCプレート, Becton and DickinsonまたはBD)のウェルの中に入れた。このウェルを「細胞保存ウェル」と称した。このプレートを倒立顕微鏡(Axiovert 40C, Carl Zeiss)のXY顕微鏡ステージの上に置いた。単一細胞の操作/クローニング工程の前に、気泡を含んでいないTC培地によってマイクロピペット(図56)を完全に満たした。単一細胞の供給系(図55)のマイクロピペット、チューブおよびシリンジを、1次元簡易操作装置(Narishege)の上に載せた。マイクロピペットの先端(1)を、顕微鏡の視野の中心に位置するように配置した。K562の単一細胞の操作およびクローニングのために、マイクロピペットを細胞保存ウェルの中へ挿入した。シリンジのピストンを吸い込む方向へ非常にゆっくりと動かすことによって、K562の単一細胞をマイクロピペットの中に入れた。マイクロピペットを細胞保存ウェルから引き出した。顕微鏡のステージを細胞保存ウェルから隣接したウェル(「クローニングウェル」と称する)へ横方向に動かし、その後マイクロピペットをこのクローニングウェルに挿入することによって、マイクロピペット中の単一細胞をマイクロピペットから静かに放出した。シリンジのピストンを放出する方向へ非常にゆっくりと動かすことによって、これを行った。細胞保存ウェルから単一細胞を採取し、この単一細胞をクローニングウェルに入れる工程を、TCプレートあたり60個の単一細胞クローンを得るまで複数回にわたって繰り返した。37℃、5%COにおいて管理した加湿したインキュベーター(Thermoline Scientific)において、このクローニングプレートを10日間にわたってインキュベートした。インキュベーションの期間中、定期的に各クローニングウェル中の培地を新鮮なTC培地と交換した。各クローニングウェルからの各クローンの細胞増殖を24時間毎に記録した。インキュベーションの期間の終了時において、K562細胞のクローン数を決めた。増殖速度が最大であるクローンまたは細胞表面上に発現している目的のマーカー(例えば、K562細胞上におけるCD71トランスフェリン受容体)のレベルが最大であるクローンを、トリハイブリッドの生成またはさらなる実験のために選択した。
1.1.3.CD71細胞の分取
一例として、以下の方法は、蛍光標示式細胞分取器(fluorescence-activated cell sorter (FACS))を用いた、K562細胞株からのCD71陽性細胞の細胞選択および分取について説明する。
2%のウシ血清アルブミンBSA(Sigma)を含んでいる100μlのリン酸緩衝溶液(Dulbeco PBS)に懸濁させた1×10個のK562細胞を、20μlの抗CD71(BD Pharmingen)に結合させたフィコエリスリン(PE)またはPEを結合させた同位体対照抗体IgG2a,κ(BD Pharmingen)のいずれかとともに、30分間にわたって、室温の暗所においてインキュベートした。インキュベーション混合物を1mlのPBSを用いて希釈し、染色した細胞を300gにおいて10分間にわたって遠心することによって回収した。1mlのPBSを用いてさらに洗浄した後、染色した細胞を1mlのPBSに懸濁して、直ちにFACS(BD FACSCalibur)を用いて分析した。図1はK562細胞株のCD71細胞のプロファイルを示す。CD71陽性細胞を絞り込み(gate)、分取した(図1a)。元のK562集団の約65%がCD71について陽性であった。さらなる実験のために、分取した細胞を300gにおいて10分間にわたって遠心分離し、1mlのPBSに懸濁させた。図1bにおいて示されるような純度分析のために、100mlの懸濁したCD71の分取した細胞を回収した。99%の純度のCD71の分取した細胞を得た。細胞分取の後、このK562細胞株のCD71細胞をさらなる実験に用いたか、または標準的な培養条件下の培養に置き、CD71に関して濃縮されているK562細胞として特徴付けた。CD71に関して濃縮されているWIL2NSおよびCD71に関して濃縮されているMOLT4の培養を確立するために、同様の方法論を用いた。
1.1.3.1.K562培養物からの、骨髄単球系統のCD71細胞の分取
細胞ハイブリダイゼーション実験のための細胞の骨髄単球の表現型を確認するために、FACS分析に続く分取およびを用いてCD71K562細胞をさらにCD15細胞に関して濃縮し、続いて分取した。
この目的のために、項目1.1.3において記載した工程から得たCD71に関して濃縮されているK562細胞を、PE抗ヒトCD71およびFITC抗ヒトCD15(BD Pharmingen)を用いて標識した。2%のBSAを含んでいる100μlのPBSに懸濁させた1×10個の洗浄したCD71に関して濃縮されているK562細胞を、20μlの(1)抗ヒトCD71−PEおよび抗ヒトCD15−FITC抗体、(2)陰性の同位体対照抗体、または(3)FITCおよびPEを用いて標識した陰性の同位体対照抗体のいずれかとともに、30分間にわたって室温の暗所においてインキュベートした。インキュベーション混合物を1mlのPBSを用いて希釈し、染色した細胞を300gにおいて10分間にわたって遠心することによって回収した。1mlのPBSを用いてさらに洗浄した後、染色した細胞を1mlのPBSに懸濁して、直ちにFACSCalibur(BD)を用いて分析した。
典型的なFACSプロファイルを図2aに示す。培養において5ヶ月後、CD71に関して濃縮されているK562細胞の99%がCD71について陽性のままであり、その約18%が表面のCD15を発現していた。CD71およびCD15の両方について陽性な細胞を絞り込み(図2a)、分取した。さらなる実験のために、分取した細胞を300gにおいて10分間にわたって遠心分離し、1mlのPBSに懸濁させた。純度分析のために、100mlの懸濁したCD71CD15の分取した細胞を回収した。2ヶ月間の培養の後、分取した細胞をCD71およびCD15の共発現について再分析した(図2b)。この結果は、その精製した細胞の約98%がCD71およびCD15の両方を保持していたことを示している。表面上にCD71およびCD15の両方を以前に発現していた細胞の一部が、それらのCD15の発現を消失していたことがわかり(図2b)、K562細胞における骨髄単球系統への分化が安定的ではなく、可逆的であることを暗示している。
1.1.4.マウスSp2細胞株からの、トランスフェリン受容体陽性細胞の選択
マウス骨髄腫細胞株Sp2をトリハイブリッドの生成において用いたとき、その集団を、ヒトCD71のアナログであるマウストランスフェリン受容体(TfR)を発現している細胞に関して濃縮した。
PEを結合させたマウス抗ヒトCD71の代わりにFITCを結合させたラット抗マウスTfR抗体(Abcam)を用いたことを除いて、基本的には、ヒト細胞株のCD71細胞に関する濃縮について記載している項目1.1.3と同様の手順にしたがった。同位体対照をそれに応じて適合させた。
図44はSp2細胞株のTfR細胞のプロファイルを示す。TfR陽性細胞を絞り込み、分取した(図44a)。元のSp2集団の約45%がTfRについて陽性であった。さらなる実験のために、分取した細胞を300gにおいて10分間にわたって遠心分離し、1mlのPBSに懸濁させた。図44bにおいて示されるような純度分析のために、100mlの懸濁したTfRの分取した細胞を回収した。99.5%の純度のTfRの分取した細胞を得た。細胞分取の後、Sp2細胞株のTfR細胞をさらなる実験に用いたか、または標準的な培養条件下の培養に置き、TfRに関して濃縮されているSp2細胞として特徴付けた。
1.2.初代培養された癌細胞からの、発癌遺伝子の供給源としての細胞の選択
一例として、下記の方法は、急性骨髄性白血病(AML)の患者から得られた骨髄のサンプルからの、骨髄系統の形質転換細胞の選択について説明する。対応する血液悪性腫瘍の骨髄のサンプルから他の系統の細胞を選択するために、同様の方法を適用し得る。
説明および同意の後、AMLの患者から骨髄を吸引物を得た。実験の実施前にAMLであると明らかに診断されている患者からサンプルを抽出した。項目1.3.1に記載のように同じ密度勾配遠心分離手法を用いてAMLの単核細胞を単離し、FACSを用いてサンプルからCD34細胞を分取するか、または単離した。
上記において得られた単核細胞を染色するか、または標識するために、マウス抗ヒトCD34−PE抗原(BD Pharmingen)またはPE同位体対照抗体(BD Pharmingen)の10μlを、染色培地(PBS+5%のBSA)における1×10の単核細胞の所定の分取物の100μlに加えた。所定の分取物について、染色混合物を30分間にわたって氷上においてインキュベートした。10mlの氷冷した染色培地を細胞のペレットに加え、350gおよび4℃において7分間にわたって遠心分離した。上清を吸出し、それから同じ体積の氷冷した染色培地を加えたチューブを軽く叩くことによって細胞のペレットを再懸濁させた。染色した細胞を遠心分離し、もう一度、氷冷した染色培地において洗浄した。標識した細胞を染色培地に懸濁させ、FACSにかけた。CD34細胞の集団について適切に分取するゲートを設定した後に、細胞の画分を回収した。
集積培養のために、40×10の濃縮されたCD34細胞を、合成細胞外マトリクスを用いてあらかじめ被覆された12ウェルのプレートに播いた。57mMのβ−メルカプトエタノール(Sigma)、1mMのヒドロコルチゾン、20ng/mlのヒトのインターロイキン−3(IL−3)および20ng/mlのヒトの顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を補った完全TC培地において細胞を広げた。培養の48時間後に、細胞をFACSを用いてCD15発現についてさらに選択した。
細胞の蛍光染色のために、マウス抗ヒトCD15−FITC(BD Pharmingen)およびマウス抗ヒトCD34−PE(BD Pharmingen)を使用し、また、この項目の前半に記載した類似の細胞染色方法を採用した。FACSを用いて染色したサンプルを分析した。CD34およびCD15陽性の細胞集団(CD34CD15)およびCD34陽性およびCD15陰性の細胞集団(CD34CD15)について適切に分取するゲートを設定した後に、画分を回収した。
培養して48時間後のCD34AML細胞上におけるCD15の発現プロファイルを図3に示す。AML単核細胞の約54%はそれらのCD34の発現を保持しているがCD15について陽性であるとわかり、一方で、残りの細胞集団は骨髄単球系統へと分化することなくそのCD34の発現を保持していた。CD34CD15細胞をトリハイブリッドの生成のための実験において用いた。
1.3.初代培養された細胞
初代培養された細胞は任意のリンパ組織(例えば、末梢血、臍帯血、脾臓、骨髄、胸腺、扁桃腺、および所属リンパ)に由来し得る。第1の段階において、単核細胞を単離するためにすべてのリンパ組織を処理した。
1.3.1.骨髄、末梢血または臍帯血からのヒト単核細胞の単離
説明および同意の後に、末梢血のサンプルを健康な個人から収集した。各血液サンプルはヘパリン処理されたチューブ(Vacutainer, BD)に回収し、プールし、RPMI1640を用いて希釈した。
骨髄生検を受け、血液異常のない正常な骨髄を有している患者から、ヒト骨髄の吸引物を得た。このサンプルをRPMI1640を用いて1:3の割合に希釈した。
ヒト臍帯血のサンプルを、説明および同意の後、正常な満期経膣出産児から得た。乳児の出産および臍帯の結さつの後、胎盤の娩出の前に、各臍帯血をヘパリン処理した60mlのシリンジを用いて収集した。各サンプルをRPMI1640を用いて希釈した。
末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄単核細胞(BMMC)および臍帯血単核細胞(UCBMC)をFicoll-Paque(Amersham Pharmacia)による密度遠心分離によって調製した。要約すると、20mlのシリンジに取り付けたカニューレチューブを用いて、10mlのFicoll-Paqueを20mlの細胞懸濁液の下に層化した。サンプルの細胞を4℃、1700rpm(700g)において、40分間にわたって遠心分離した。境界面にある細胞を回収し、50mlのRPMI1640、2000rpm(1000g)における10分間にわたる遠心によって洗浄した。上清を捨て、ペレット化した細胞を40mlのRPMI1640に再懸濁させ、1300rpm(400g)において10分間にわたって遠心分離した。赤血球および血小板を、それぞれ0.83%(wt/vol)のNHClを用いた溶解およびPBSを用いて1:2の割合に希釈したFicoll-Paqueによる2回目の遠心によって除去した。
単離した単核細胞を、培養、またはFACSまたは磁気ビーズ分離方法を介した細胞の特異的な画分への分析および分取に用いた。
1.3.2.固形のリンパ組織からのヒト単核細胞の単離
以下の方法は、脾臓、胸腺、扁桃腺または所属リンパ節から単核細胞を単離するために、本発明に使用された手法を説明する。
脾臓のサンプルを、国際的な倫理指針にしたがって、臓器移植ドナーから得た。脾臓細胞を単離するまでの間、約2×2×3cmの脾臓のブロックのそれぞれを、4℃のRPMI1640に保存した。シリンジのピストンを用いて無菌のふるいのメッシュに各ブロックを通して、小さい断片に切断した。それから、20U/mlのタイプVIIコラーゲナーゼ(Sigma)および20U/mlのDNase(Sigma)を用いて、室温の完全培地において30分間にわたって消化することによって、細胞を酵素的に分離した。10mMになるようEDTAを加えて、室温において5分間にわたって攪拌することによって、この細胞集団をさらに分離した。それから、酵素消化を停止させるために完全培地を用いて脾臓細胞を2回にわたって洗浄し、RPMI1640に再懸濁させた。これらの条件は非酵素的な分離工程と比べて表面分子の発現に影響を与えなかった(McIlroy et al 1995)。赤血球の除去を除いて、項目1.3.1に記載のように、密度勾配遠心分離によってこれらの脾臓細胞の懸濁液から脾臓の単核細胞を単離した。この脾臓の単核細胞をRPMI1640に再懸濁させ、細胞濃度を1mlあたり1×10に調節した。細胞の生存率は、トリパンブルー排除によって決定したところ、98%を超えていた。
胸腺を、親の説明および同意の後、心臓外科手術を受けた子供達から得た。胸腺組織を破砕し、RPMI1640を満たしたシリンジを用いて、組織から胸腺細胞を取り出すことによって、胸腺細胞を胸腺から単離した。胸腺細胞を上記のように密度勾配遠心分離によって精製した。
扁桃腺を、説明および同意の後、炎症性疾患に対する扁桃切除術を受けた患者から得た。組織サンプルを完全培地および250μg/mlのゲンタマイシンに入れて、氷上において保存し、3時間以内にわたって処理した。上皮層を除去した後、扁桃組織を小片に切断し、切断したホールピペットを用いて組織ブロックを静かに吸引した。次いで、脾臓の単核細胞の単離について上述と同じ工程を用いて、扁桃細胞を単離した。
1.3.3.種々の組織に由来する単核細胞からの系統特異的な初代培養された細胞の単離
Bリンパ球系統、Tリンパ球系統および骨髄系統のヒト細胞を、FACS分析および細胞分取または磁気細胞分取を用いて標準的な手順によって単離した。系統特異的な初代培養された細胞を種々の組織から単離するための細胞染色および分取の非限定的な例を以下に示す。
1.3.3.1.ヒトの脾臓および末梢血からの、B細胞、ヘルパーT細胞および骨髄単球細胞の単離
組織サンプルをまず、項目1.3.1に記載のように単核細胞集団を抽出するために処理した。次いで、蛍光細胞染色、続いて細胞分取を、単核細胞集団の単離から4時間以内に行った。この細胞を、染色するまで標準的な培養条件(項目1.1参照)下に完全培地に懸濁させた。
1.3.3.1.1.種々の組織に由来する初代培養された成熟B細胞、エフェクターT細胞および骨髄単球細胞の細胞染色および分取
以下は、初代培養された細胞からのB細胞およびT細胞の染色および分取の例である。通常、B細胞およびヘルパーT細胞の選択はそれぞれCD19およびCD4の表面発現に基づいており、一方で、骨髄単球細胞はCD14および/またはCD16の表面発現に基づいていた。
要約すると、それぞれ10μlのマウス抗ヒトCD19−FITC抗体(BD Pharmingen)およびマウス抗ヒトCD4−PE抗体(BD Pharmingen)または適切な同位体対照を、染色用培地(PBS+5%BSA)における単核細胞の100μlの分取物(1×10の細胞を含んでいる)に加えた。分取物の単核細胞集団のために、染色混合物を氷上で30分間にわたってインキュベートした。10mlの氷冷した染色用培地を染色混合物に加え、350g、4℃において7分間にわたって遠心分離した。上清を吸引し、次いで同じ容積の氷冷した染色用培地を加えたチューブを軽くたたくことによって細胞ペレットを再懸濁させ。染色した細胞を遠心分離し、氷冷した染色用培地において再び洗浄した。この工程を他の分取物に対して繰り返した。FACSを用いて染色した細胞を分析した。少なくとも20000の絞り込んだ結果を各サンプルに関して分析した。CD19陽性B細胞集団(CD19CD4)またはCD4陽性T細胞集団(CD4CD19)にとって適切な分取ゲートを設定し、画分を回収した。各画分のうち1mlを純度分析のために回収し、各画分の残りをさらなる実験のために完全培地に懸濁させた。
1.3.3.1.2.分取した細胞集団の回復および分析
適切なアダプターを備えているマイクロ遠心チューブに少数の細胞(≦5×10個)を直接分取した。分取の前に、補完したRPMI1640の少量(0.1から0.2ml)を回復チューブに加えて、分取したサンプルと混合させ、分取した細胞の生存性を向上させた。許容される回復した細胞の数が供給された分取の後、20μlの分取した細胞の各サンプルをその純度の変化を再分析するために染色用培地を用いて1:10に希釈した。許容可能な純度は≧95%であった。分取したサンプルの1mlにつき、20から40μlのFCSをさらに加え、続いて350g、4℃において7分間にわたって遠心分離した。次いで、細胞を標準的な組織培養培地に再懸濁させた。十分な細胞が利用可能であれば、収量を決定するためにその数を数えた。
抗ヒトCD19−FITCおよび抗ヒトCD4−PEによって標識した脾臓のサンプルのFACSプロファイルを図11aに示し、分取したCD19B細胞およびCD4T細胞の純度分析のプロファイルを図11bおよび図11cに示す(KBTハイブリッドの性質決定を参照)。画分における細胞の純度は、CD19細胞については98%を超え、CD4細胞については96%を超えた。
末梢血由来のCD19およびCD4細胞についての分取および純度のプロファイルは基本的に脾臓のサンプル由来のものと同様であるが、わずかな数の各細胞集団を得たのみであった。
ヒトの単球および骨髄単球細胞の分離のために、単核細胞集団をまず、ヒトCD14磁気ビーズ、MACS(Miltenyi Biotec GmbH)を用いて、製造者の手順にしたがって、CD14陰性細胞を枯渇させた。マウス抗ヒトCD16−PE(BD Pharmingen)およびマウス抗ヒトCD14−PerCP(BD Pharmingen)抗体を用いて、陽性として選択されたCD14細胞をさらに染色するか、または標識した。細胞染色および分取、ならびに分取した細胞の回復の方法は上述されている(項目1.3.3.1.1および項目1.3.3.1.2参照)。
FACSを用いて染色した細胞を分析した。少なくとも20000の絞り込んだ結果を分析した。MACSビーズを用いてCD14について陽性として選択された全細胞の約86%がCD14について陽性であった。CD14集団をCD16の発現に基づいて3つのグループ(CD14細胞の大多数に相当しているCD14CD16;少数のCD14CD16およびCD14CD16細胞)にさらに分けた。画分における細胞の純度は、CD14CD16については98%を超え、CD14CD16については96%を超え、CD14CD16については92%を超えた。適切な分取ゲートを設定した後、以下の細胞集団を回収した:CD14CD16、CD14CD16およびCD14CD16細胞の画分。図4はマウス抗ヒトCD16−PEおよびマウス抗ヒトCD14−PerCPを用いて標識したCD14に関して濃縮されているサンプルのFACSプロファイルを示す。
脾臓組織からのCD14細胞の細胞分取および精製の方法は、少数の各細胞集団を得たことを除いて、基本的に末梢血のサンプルからのものに関する方法と同様である。
1.3.3.2.ヒトの臍帯血からの、CD5陽性(抗原を経験した)B細胞およびCD5陰性(ナイーブ)B細胞の単離
項目1.3.1に記載のように、単核細胞を臍帯血のサンプルから調製した。蛍光細胞染色、続く細胞分取を単核細胞集団の単離から4時間以内に行った。この特定の例において、上述の方法(項目1.3.3.1.1)にしたがって、ヒトの臍帯血からのCD5陰性(ナイーブ)B細胞およびCD5陽性(抗原を経験した)B細胞の分取を、マウス抗ヒトCD5−FITC抗体(BD Pharmingen)、マウス抗ヒトCD19−PE抗体(BD Pharmingen)または適切な同位体対照を用いて行った。
FACSを用いて染色した細胞を分析した。少なくとも20000のゲートした結果を各サンプルについて分析した。CD5陰性B細胞集団(CD19CD5)またはCD5陽性B細胞集団(CD19CD5)にとって適切な分取ゲートを設定し、多数の画分を回収した。図5はマウス抗ヒトCD19およびマウス抗ヒトCD5を用いて染色したサンプルの典型的なプロファイルを示す。
サンプル中のB細胞の割合は4から19.2%に及び、CD5B細胞は移動した全リンパ球の0.8から7.2%に及んだ。
1.3.3.3.ヒトの臍帯血からの、CD5陽性(抗原を経験した)T細胞およびCD5陰性(ナイーブ)T細胞の単離
項目1.3.1の記載と同様の方法を用いて、単核細胞を臍帯血のサンプルから調製した。蛍光細胞染色、続いて細胞分取を単核細胞集団の単離から4時間以内に行った。この特定の実施例において、上述した細胞の方法(項目1.3.3.1.1)にしたがって、ヒトの臍帯血からのCD5陽性(抗原を経験した)T細胞およびCD5陰性(ナイーブ)T細胞の分取を、マウス抗ヒトCD5−FITC抗体(BD Pharmingen)、マウス抗ヒトCD3−PE抗体(BD Pharmingen)または適切な同位体対照を用いて行った。FACSを用いて染色した細胞を分析した。少なくとも20000の絞り込んだ結果を分析した。CD5陰性T細胞(CD3CD5)またはCD5陽性T細胞(CD3CD5)のいずれか一方を含んでいる画分を回収するために、分取ゲートを設定した。図6はマウス抗ヒトCD3抗体およびマウス抗ヒトCD5抗体を用いて染色したサンプルの典型的なプロファイルを示す。
分取した集団の回復および分析
分取した集団を回復および分析するために用いた実質的に同様の方法については、項目1.3.3.1.2に記載している。
サンプルにおけるT細胞の割合は1.7から13.5%に及び、CD5T細胞は移動した全リンパ球の0.4から1.3%に及んだ。
1.3.3.4.CD20およびCD72の発現に基づく、ヒト骨髄単核性集団からの、初期B細胞、活性化B細胞および休止B細胞の単離
上述の方法(項目1.3.1)を用いて、単核細胞を骨髄から抽出した。蛍光細胞染色に続く細胞分取を単核細胞集団の単離から4時間以内に行った。活性化B細胞の染色および分取は、上記の項目1.3.3.1.1に記載されている。すなわち、10μlのマウス抗ヒトCD72−FITC抗体(BD Pharmingen)および20μlのマウス抗ヒトCD20−PE抗体(BD Pharmingen)または適切な同位体対照(PEマウスIgG2b,κ抗体)を用いた。FACSを用いて染色した細胞を分析した。プレB細胞、休止B細胞、活性化B細胞、濾胞樹状細胞からなるCD20陽性集団(CD20CD72)、または初期B細胞(CD20CD72)もしくは活性化B細胞(CD20CD72)からなるCD72陽性細胞のいずれか一方を含んでいる画分を回収するために、分取ゲートを設定した。図7はマウス抗ヒトCD20およびマウス抗ヒトCD72抗体を用いて染色したサンプルの典型的なプロファイルを示す。
分取した集団の回復および分析
項目1.3.3.1.2の記載と実質的に同様の方法を、分取した細胞を回復および分析するために用いた。
代表的に、骨髄単核細胞集団の約10〜15%がCD20およびCD72の両方について陽性であり;細胞の9〜12%がCD20について陽性であるが、CD72について陰性であり;約8%がCD72のみについて陽性であった。
1.3.3.5.磁気ビーズ分取による胸腺細胞亜集団の単離
MACS CD4 Multisortキット(Miltenyi Biotec GmbH)を用いて、CD4CD8二重陰性の胸腺細胞、CD4CD8二重陽性の胸腺細胞、ならびにCD4およびCD8単独陽性の胸腺細胞の集団を、製造者の手順にしたがって分取した。要約すると、項目1.3.2の記載と同様の方法を用いて回収した胸腺細胞をCD4 Multisort CD4マイクロビーズと共に30分間にわたってインキュベートした。5mMのEDTAおよび0.5%のBSAを含んでいるPBSを用いて洗浄した後、標識した細胞を磁気カラムによって分離した。陽性として選択された胸腺細胞(磁気カラム上に保持された)はCD4単独陽性およびCD4CD8二重陽性の細胞集団を含んでいた。一方、CD4が減少した細胞集団(カラムから逃れた)はCD8単独陽性およびCD4CD8二重陰性の細胞を含んでいた。CD4陽性として選択された細胞集団からマイクロビーズを除去するために、MACS Multisort分離試薬と共に細胞をインキュベートした。20分後に消化を止め、細胞をCD8マイクロビーズによって30分間にわたって標識した。CD4CD8二重陽性の胸腺細胞を正の選択によって得た。一方、CD4単独陽性細胞は細胞集団が枯渇したことがわかった。CD4の枯渇した細胞集団をCD8マイクロビーズと共に30分間にわたってインキュベートした。標識した細胞を磁気カラムにかけた後、CD8単独陽性の細胞を、CD4CD8二重陰性の胸腺細胞から分離できた。4つの異なる胸腺細胞亜集団の純度をフローサイトメトリー解析によって評価した。許容される純度は95%より高いものである。
1.3.3.6.ヒト扁桃腺からのCD54T細胞の単離
項目1.3.2に記載の方法を用いて、単核細胞をヒト扁桃腺から抽出した。蛍光細胞染色に続く細胞分取を単核細胞集団の単離から4時間以内に行った。CD54T細胞(細胞間接着分子−1またはICAM−1)を単核扁桃細胞集団から抽出し、マウス抗ヒトCD3−PE抗体(BD Pharmingen)およびマウス抗ヒトCD54−FITC抗体(BD Pharmingen)または適切な同位体対照の使用は項目1.3.3.1.1に記載のような細胞染色/分取方法を用いて選択した。FACSを用いて染色した細胞を分析した。CD3T細胞(すなわちCD3CD54細胞)または活性化CD54T細胞(すなわちCD3CD54細胞)のいずれか一方を含んでいる画分を回収するために、分取ゲートを設定した。図8はマウス抗ヒトCD3案乳亜およびマウス抗ヒトCD54抗体を用いて染色したサンプルのFACSプロファイルを示す。CD3細胞を系統交雑のトリハイブリッドの生成のために用い、一方でCD54活性化T細胞を発現実験のために用いた。
その結果は、T細胞が扁桃腺から単離した単核細胞の大部分(82%)を構成しているが、9%のみがCD54T細胞であることを示した。
1.3.4.マウス単核細胞の単離
8〜12週齢のBALB/cマウスを特定の病原体のない動物施設において飼育した。組織抽出の前に、マウスをCOにさらすことによって安楽死させた。末梢血を腋窩または大腿動脈の穿刺によって得、ヘパリン処理されたチューブの中に回収した。単核細胞集団の単離は、ヒト末梢血単核細胞の単離に関する項目1.3.1の記載と同様の手順を用いて行った。マウス脾臓を機械的に破砕し、項目1.3.2に記載のようなヒト脾臓の単核細胞の単離のための手順を用いて単離した。
1.3.5.マウス単核細胞からの、初代培養された系統特異的な細胞の単離
Tリンパ球系統および骨髄系統のマウス細胞をFACS分析および細胞分取または磁気細胞分取を用いて、標準的な工程によって単離した。初代培養された系統特異的なマウス細胞の単離のための細胞染色および分取の非限定的な例を以下に示す。
1.3.5.1.マウスの脾臓および末梢血からの、エフェクターT細胞の単離
異なるエフェクターT細胞の選択はCD4およびCD8の表面発現に基づいた。
それぞれ10μlのマウス抗マウスCD4−PE抗体(BD Pharmingen)およびラット抗マウスCD8−FITC抗体(BD Pharmingen)または適切な同位体対照を、染色用培地(PBS+5%BSA)における脾臓または末梢血の単核細胞の100μlの分取物(1×10の細胞を含んでいる)に加えた。所定の分量の単核細胞集団のために、染色混合物を氷上において30分間にわたってインキュベートした。10mlの氷冷した染色用培地をこの染色混合物に加え、350g、4℃において7分間にわたって遠心分離した。上清を吸引し、次いで同じ容積の氷冷した染色用培地を加えたチューブを軽くたたくことによって細胞ペレットを再懸濁した。染色した細胞を遠心分離し、氷冷した染色用培地において再度洗浄した。この工程を他の分取物に対して繰り返した。FACSを用いて染色した細胞を分析した。少なくとも20000の絞り込んだ結果を各サンプルに関して分析した。染色したマウスの末梢血および脾臓の単核細胞の典型的なFACSプロファイルを、それぞれ図45(a)および図45(b)に示す。いずれのリンパ組織も単独陽性のCD4またはCD8T細胞および二重陽性のT細胞を含んでいたが、細胞表現型において異なっていた。例えば、末梢血において最も多い集団はCD8CD4細胞傷害性T細胞(43%)を含んでいたが、一方、脾臓単核細胞は主にCD4CD8ヘルパーT細胞または制御性T細胞(42%)に相当した。CD4陽性集団(領域R1)、CD8陽性集団(領域R3)または二重陽性の細胞集団(領域R2)にとって適切な分取ゲートを設定した後、画分を回収した。各画分のうち1mlを純度分析のために回収し、各画分の残りをさらなる実験のために完全培地に懸濁させた。各画分についての純度は98%より高かった。
1.3.5.2.マウス末梢血からの、単球の単離
磁気ビーズ(Miltenyi Biotec)による負の選択を用いることによって、マウス単球を末梢血単核集団から単離した。単核細胞を磁気細胞分取緩衝液(PBS、0.1%wt/volのBSA、0.5mMのEDTA)に懸濁し、製造業者の手順にしたがって、T細胞(CD90)、B細胞(B220)およびNK細胞(CD49b)に対する抗体を含んでいる抗体MicroBeadsの混合物と共にインキュベートした。次いで、この細胞をLD−ネガティブセレクションカラムに通した。陰性の(単球)画分を回収した。純度を決定するために、この細胞をCD11bに対する抗体と結合させたPEならびにCD90、B220、CD49b、NK1.1およびLy6G(BD Pharmingen)に対する抗体と結合させたFITCを用いて染色した。単球をCD11bCD90B220CD49bNK1.1Ly6G−/(low)であるとみなし、純度のプロファイルをFACSによって確認した。マウス単球集団の純度のプロファイルを図46に示す。100%の細胞がCD11bについて陽性である一方、98%を超える細胞がB220、CD90、CD49bおよびNK1.1について陰性であった。CD11b陽性細胞の約38%が、Ly6Gを低いレベルにおいて発現していた。
<実施例2>
2.所望のタンパク質を分泌している初代培養された細胞の生成
所望のタンパク質を分泌する初代培養されたヒト細胞の生成のために用いた方法を以下に示す。細胞ハイブリダイゼーション実験のために、または分析実験における対照としてか、もしくはトリハイブリッド発現系において発現しているタンパク質の分析のための参照として、これらの細胞を用いた。
2.1.ヒトGM−CSFを分泌しているリンパ球の生成
臍帯血のリンパ球をまず項目1.3.1に記載のように密度勾配遠心によって分離し、次いで培養液においてフィトヘマグルチニン(PHA)によって活性化させ、続いてIL−2(1000U/ml)について細胞発現させた。ヒトGM−CSFの産生をELISAによって分析した。この産生に基づく濃度は15から40ng/ml/10細胞に分布した。
300000のPHA活性化ヒト単球の全てを、製造者の手順にしたがった濃度においてFITC(Sigma)を結合させたマウス抗ヒトCD4抗体と共に、4℃の暗所において30分間にわたってインキュベートした。活性化ヒトT細胞をFACS(FACS VantageSE, BD)を用いて分析し、選択した。図42(a)は、PHA活性化リンパ球培養物におけるCD4T細胞の典型的なプロファイルを示し、図42(b)はCD4の分取した細胞について100%の純度を示す。
2.2.IgMおよびIgGを分泌しているヒト単球の生成
マウス抗ヒトCD154抗体(BD Pharmingen)によって被覆した丸底96ウェルプレート(Corning)のウェルに、精製したB細胞(項目1.3.3.1参照)を3.75×10/mlにおいて播いた。10%の熱不活性化尿素−低IgG FBS(Gibco/BRL)ならびに100U/mlのインターロイキン4(IL−4)(R&D systems)および50ng/mlのインターロイキン10(IL10)を補った(培養3日目の後に加えた)完全RPMI2640培地において、この細胞を培養した。培養物を2から3日毎に培養培地の半分を交換することによって新しく補給した。細胞生存率および細胞数を、血球計算板を用いて、トリパンブルー排除によって3回にわたって評価した。5日目および10日目において、培養したリンパ球を、回収し、PBSにおいて2回にわたって洗浄して、マウス抗ヒトCD19−PE抗体、マウス抗ヒトIgM−FITC抗体またはマウス抗ヒトIgG−FITC抗体(全てBD Pharmingen製)を用いたFACSによって分析した。すべての染色を、1×10の細胞あたり1μgの各抗体を用いて4℃において行った。すべての分析において、95%を超える細胞が同位体適合の陰性対照の染色にしたがったマーカーの組について二重陰性であった。死細胞および残骸を含んでいる領域を分析から排除した。すべての分析を5000から10000の生細胞を絞り込むことによって行った。
培養したリンパ球におけるIgMおよびIgG陽性細胞の典型的なプロファイルを図9に示す。5日間の培養の後、CD19細胞の18%がIgM陽性であり、わずか1%が表面上に検出可能なIgGを有していた。一方、10日後には、IgG陽性細胞の割合は15%まで増加したが、IgM陽性単球の割合はわずか2%まで減少した。適切なゲートを設定した後、IgM陽性およびIgG陽性な画分をIg発現実験のために分取した。
培養物におけるIgMおよびIgGの濃度を96ウェルのELISAプレートおよびプラスチックに吸着させたヒトμ鎖およびγ鎖に対するヤギの親和性精製した抗体を用いた標準的なELISAによって決定した。結合した抗体をHRPを結合させたヒツジ抗ヒトIg抗体によって明確にした。すべての抗体はSigma製であった。ABTSを基質として用い、405nmにおける吸光度を測定した。表1は、5日後および10日後にBリンパ球の培養物において検出されたIgMおよびIgGのレベルを要約したものである。
Figure 2012529270
IgMの生産は5日間の培養の後に低下した一方で、IgGの生産は増加した。
<実施例3>
3.体細胞ハイブリダイゼーション
体細胞ハイブリダイゼーションの種々の方法が当該技術において周知である。これらとしては、例えば、センダイウイルスのような融合性(fusagenic)ウイルスを用いる生物学的方法(Kohler and Milstein, 1975)、ポリエチレングリコール(PEG)を用いる化学的方法(Wojciezsyn, et al, 1983)、および電界を用いる電気的方法(Neil, and Zimmermann, 1993)が挙げられるが、これらに限られない。各方法は目的の細胞の原形質膜が可逆的に透過可能となり、ハイブリダイズすることを誘導し得るか、または引き起こし得る。
上述した細胞ハイブリダイゼーション法とは関係なく、細胞ハイブリダイゼーションを達成するために、2つの不可欠な段階が原則として必要とされる。第一に、ハイブリダイズさせたい細胞の原形質膜を、良好に細胞膜と接触させる必要がある。第二に、接触点における原形質膜の可逆的な破壊が同時に誘導される必要がある。
電気的な細胞ハイブリダイゼーション法に関して、目的の細胞を、適切なフィールド周波数を有している交流電界(AC電界)を用いて良好に細胞膜と接触させ、次いでAC電界と同時に短い電気パルスにさらしたときにハイブリダイズを誘導し得る。
さらに詳しく述べると、電気的な細胞ハイブリダイゼーションは次の物理現象;誘電泳動(DEP)および原形質細胞膜の電気的な破壊を伴う。
誘電泳動(Pohl,1978)は、生物学な細胞のような誘電体粒子が適切な溶液に懸濁され、適切な周波数の不均一なAC電界にさらされる場合に、その誘電体粒子の運動を説明する現象である。細胞の運動は、(i)例えば100mMのソルビトールに懸濁されているSp2細胞に対する0.5〜2.0メガヘルツ(MHz)のフィールド周波数における、誘電体粒子の転移または移動(Mahaworasilpa, 1992)、および(ii)例えば100mMのソルビトールに懸濁されているSp2細胞に対する2〜10キロヘルツ(kHz)のフィールド周波数における、誘電体粒子の回転(Mahaworasilpa, 1992)として説明され得ることがよく報告される。不均一電界は1対の電極(例えば、多数の配置において設計され得る電気的な円筒形の金属線)を横切る電界を印加することによって発生させ得る。最も広く用いられている配置は平行な電極配置(図58)である。不均一電界の存在において、DEPは誘電体粒子(すなわち生物細胞)を互いに引きつけさせ、同時に最も強い電界の領域に向かって移動させ得る。その結果、一続きの細胞(a chain or string of cells)を形成し、次は良好な細胞膜の接触を誘引する。細胞が適度に低い電気伝導度の溶液に懸濁されている場合に、細胞の引き合いは強く促進される。
適切なハイブリダイゼーション溶液に懸濁されている細胞が適切なパルス振幅およびパルス幅を伴っている電気パルスにさらされる場合に、細胞膜の電気的な破壊が誘導され得る(Zimmermann, 1982)。様々なパルス幅、例えば1から200マイクロ秒(μ秒)の方形波パルスが、ハイブリダイズされる細胞のタイプに依存して広く用いられる。
3.1.電気的な細胞ハイブリダイゼーション系
本発明のいくつかの実施形態において、電気的な細胞技術をトリハイブリッドのようなハイブリダイズされた細胞の生成に用い得る。
3.1.1.細胞操作系
細胞ハイブリダイゼーションの前に目的の個々の細胞を増殖させるため、上述した単一細胞の増殖/供給系(項目1.1.1)を本発明を通じて用いた。
3.1.2.微小電極
本発明において、2つのL字型の微小電極を用いた。図57は被覆されていない直径128μmのニッケル合金から作製した微小電極(7)を示す。微小電極の柄を、外径1.5mmのヘマトクリットキャピラリーチューブ(8)によって覆った。微小電極のL字型部(9および10)を、電極の水平な部分および垂直な部分の両方の表面の一致する領域が、培地または適切な溶液にさらされるように配置した(Mahaworasilpa, 1992)。細胞ハイブリダイゼーションの工程の前に、2つの微小電極を2つの微細マイクロマニピュレーター(fine micromanipulators)(各微小電極について1つずつ)の上に載せた。これらの微小電極を各電極の平行な電極配置が得られるような方法において設計した(図58)。各微細マイクロマニピュレーターを水圧によって駆動させし、0.5μmの精度の動きがX、YまたはZ方向において行えるようにした。
3.1.3.細胞チャンバーおよび配置
図59は標準的な96ウェルTCプレートのウェルにおける2つの平行な電極を示す。このウェルは本発明のいくつかの実施形態において、細胞ハイブリダイゼーションのチャンバーの役割を果たす。細胞ハイブリダイゼーションを行うため、微小電極を標準的な96ウェル組織培養プレートのウェル(12)に入っている適切な培地(11)に沈めた。図60および図61はそれぞれ、平行な電極配置の上面図および側面図を示す。ここでは、例えば、ハイブリダイズされるべくあらかじめ選択された3つの細胞をそれらが適切なAC電界の存在において一続きの細胞に整列するまたは形成することを誘導し得るようにおいて、平行な電極の間に置く。
<実施例4>
4.電気的な細胞ハイブリダイゼーション法による系統交雑のトリハイブリッドの生成の実施例
以下の項目は、異なる系統もしくは細胞型であるか、または同じ系統/もしくは細胞型であるが異なる表現型である、いずれかに由来する細胞のハイブリダイゼーションによって得たトリハイブリッド細胞株の生成の例を提供する。安定な各トリハイブリッドが親細胞の表現型の特性を同時に有していることを確認するために分析を行った。この確認は系統特異的な細胞表面マーカー、系統特異的なマーカーの細胞内発現、系統特異的なマーカーのRNA転写産物の存在、核型分類、および/または系統特異的なタンパク質の分泌の分析に基づいた。以下の例は系統交雑のトリハイブリッドの最も典型的な表現型の特性について説明する。しかし、これらの例は、選択した特定のマーカーに限定されない。
4.1.骨髄系統、Tリンパ球系統およびBリンパ球系統に由来する3つの不死の細胞からの系統交雑のトリハイブリッドの生成−KMW
この種の系統交雑のトリハイブリッドを1つの骨髄K562細胞、1つのTリンパ球MOLT4細胞および1つのBリンパ球WIL2NS細胞をハイブリダイズすることによって生成した。このようにして得られた系統交雑のトリハイブリッドをKMW株と名付けた(続いてその識別番号を付与した)。KMWの系統交雑のトリハイブリッドの生成の工程に関する以下の段階、溶液(ハイブリダイゼーション、培養および回復培地)および本発明に用いるパラメーターを以下に記載する。
4.1.1.KMW系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞の調製
K562、WIL2NS、およびMOLT4細胞株を我々の標準培地(項目1.1参照)において培養した。定法にしたがって、各細胞株を3日毎に継代した。細胞ハイブリダイゼーションの前に、最も速い増殖速度を有している細胞型の安定な各クローンを、項目1.1.2に記載の手順を用いて樹立した。いくつかの実験において、項目1.1.3に記載のように樹立したCD71に関して濃縮されている細胞集団を用いた。また、いくつかの事例において、CD71に関して濃縮されているK562集団のCD15細胞(項目1.1.3.1)を用いた。
4.1.2.KMW系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順
TC96ウェルプレートの少数のウェルを細胞ハイブリダイゼーションウェルとして用いた。各ウェルを約150μlのハイブリダイゼーション培地によって満たした。この培地は、240mMのソルビトール(Sigma)、2.0mMのKHPO(Sigma)、0.4mMのCaCl(Sigma)、0.2mMのMg(C(Sigma)および0.2mMのCa(C(Sigma)を含んでおり、0.2%のウシ血清アルブミン、BSA(Sigma)によって補われていた。電気的な細胞ハイブリダイゼーションの前に、あらかじめ選択した細胞型の各クローンの細胞を一度ハイブリダイゼーション培地において数分間にわたって洗浄し、新鮮なハイブリダイゼーション培地を含んでいるウェルに移した。このウェルはプレハイブリダイゼーションウェルとして設計した。細胞ハイブリダイゼーションの工程の前に、選択した各クローンの単一の洗浄した細胞を項目1.1.1にしたがって、3つの細胞(選択した各クローンから1つずつ)のみを1対の同一の平行な電極(ウェルの底に沈めた(図61において示されるように))の間に置くように操作した。電極の距離は400マイクロメートル(すなわち400μm)において設定した。
電気的な細胞ハイブリダイゼーションを実施するために、まず、0.8MHzの周波数および1メートルあたり約50〜60キロボルト(例えば50〜60kV/m)の場の強度を有している交流(AC)電界を、誘電泳動,DEPによって3つの細胞の互いにおける引き合いを誘導するまで、数秒間にわたって電極の間に印加し、一続きの細胞を形成させた。この工程は良好な細胞膜接触をこれら細胞に起こさせた。細胞をK562細胞が細胞の列の中央にあるような方法において配置した(図60または61参照)。次いで、3秒間隔の2回にわたる電気的方形波パルスをAC電界と同時に印加した。約170kV/mの強度および75マイクロ秒(例えば75μ秒)のパルス幅を伴う各パルスを用いた。2回目の方形波パルスの終了後、AC電界をさらに5秒間にわたって連続的に維持し、単一の系統交雑のトリハイブリダイズされた細胞への細胞ハイブリダイゼーションが得られた。本発明のいくつかの実施形態に関して、3つの細胞のハイブリダイゼーションは同時に起こり得ないことが観察された。すなわち、まず3つのうち2つの細胞のハイブリダイゼーションがしばしば起こり、続いて3つ目の細胞のハイブリダイゼーションが起こる。いくつかの事例において、3つの細胞の完全なハイブリダイゼーションを得るために、さらなる方形波パルスを必要とした。新しく生成した系統交雑のトリハイブリッド細胞を次いで、ハイブリダイゼーションウェルから回復ウェルに移した。1つの回復ウェルはハイブリダイゼーションウェルの列と異なる列に位置していた。各回復ウェルは150μlの標準TC培地(項目1.1参照)を含んでいた。新しく樹立した各系統交雑のトリハイブリッド細胞を、回復ウェルあたり1つの系統交雑のトリハイブリッド細胞において、37℃、5%のCO容量に制御された加湿インキュベーターにおいて数日間にわたってインキュベートした。大多数の系統交雑のトリハイブリッドは細胞ハイブリダイゼーションの実施後36時間以内に分裂することがわかった。インキュベーション期間の終了時において、各回復ウェル中の培地を新鮮な標準培地と適切に交換した。このことは各系統交雑のトリハイブリッドのクローンの細胞増殖を刺激した。2または3日後、分裂している細胞または生き残っている細胞を各回復ウェルから同定し、標準的な24ウェルTCプレートのウェルに播き、1組の系統交雑のトリハイブリッドクローンの基とした。各系統交雑のトリハイブリッドのクローンを、10ミリリットル(ml)の我々の標準培養培地(項目1.1参照)を入れた25cmTCフラスコに移してさらなる分析のために適切に標識する前に、24ウェルプレートにおいてさらに1週間にわたって培養した。一群の安定な系統交雑のトリハイブリッド細胞を生成するために、電気的な細胞ハイブリダイゼーションの全工程および系統交雑のトリハイブリッドの回復の工程を複数回にわたって繰り返した。
4.1.3.KMW系統交雑のトリハイブリッドの状態の確認
CDマーカーの発現
樹立したKMW系統交雑のトリハイブリッド細胞株の確認の例を以下に示す。
KMW系統交雑のトリハイブリッド細胞株を通常の培養条件下において6ヶ月間にわたって樹立した後、系統交雑のトリハイブリッド細胞集団を系統特異的なCDマーカーの発現について分析した。
次のCDマーカー:WIL2NS由来のCD19、K562由来のCD15およびMOLT4由来のCD4の共発現を確認するために、三色のFACS分析(tri-colour FACS analysis)を用いた。
要約すると、5%のBSAを含んでいるPBSにおいて1×10/mlの濃度であるKMW系統交雑のトリハイブリッド細胞のうち100μlを、100μlのPBSに懸濁させ、0.5mg/100mlのマウス抗ヒトCD15−PerCP抗体、0.25mg/100mlのマウス抗ヒトCD4−PE抗体および1.0mg/100mlのマウス抗ヒトCD19−FITC抗体、または適切な同位体対照と共に、4℃において30分間にわたってインキュベートした。すべてのマウス抗ヒト抗体はBD Pharmingenから入手した。PBSを用いた十分な洗浄の後、標識した細胞をFACSCaliburフローサイトメーターおよびCellQuest Proソフトウェアを用いて分析した。
図10はKMW系統交雑のトリハイブリッド細胞株のFACSプロファイルを示す。KMW系統交雑のトリハイブリッド細胞は系統特異的な特性が不死化表現型に由来するが、骨髄が支配的である、混合表現型(mixed phenotypes)の異種の細胞集団を含んでいることを、このFACSプロファイルは示唆している。しかし、62%のKMW細胞が骨髄およびTリンパ球の表現型を共有し、28%のKMW細胞がTおよびBリンパ球の表現型を発現している。
4.2.1つの不死の骨髄細胞および初代培養された2つのリンパ球からの系統交雑のトリハイブリッドの生成−KBT
系統交雑のトリハイブリッドを、1つの骨髄K562細胞、初代培養された1つのヒトB細胞および初代培養された1つのヒトT細胞の体細胞ハイブリダイゼーションによって生成した。この系統交雑のトリハイブリッドをKBTと名付け、その後ろに識別番号を付与した。
4.2.1.KBT系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞の調製
KBT系統交雑のトリハイブリッドの生成前のK562細胞の調製については、上述の通りである(項目4.1.1)。(i)脾臓、末梢血または臍帯血に由来する成熟B細胞(CD19);骨髄に由来する初期B細胞(CD20CD72);骨髄に由来する活性化B細胞(CD20CD72);臍帯血に由来する、抗原を経験したB細胞(CD19CD5)、および(ii)脾臓、末梢血、臍帯血および胸腺に由来するヘルパーT細胞(CD4)、脾臓、末梢血、臍帯血および胸腺に由来する細胞傷害性T細胞(CD8);臍帯血に由来する、抗原を経験したT細胞(CD3CD5);臍帯血に由来するCD3T細胞;胸腺に由来する二重陰性T細胞(CD3CD4CD8)、胸腺に由来する二重陽性のT細胞(CD3CD4CD8)を含んでいるKBT系統交雑のトリハイブリッドの生成に用いた初代培養された細胞を実験において用いた。初代培養された種々のリンパ球の、種々のリンパ組織からの単離は、項目1.3に上述されている。
4.2.2.KBT系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順
KBT系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順は、培地ならびにAC電界およびパルスを変更したことを除いて、KMW系統交雑のトリハイブリッドの生成のために用いたもの(項目4.1.2)と同様である。これらの実験において用いたハイブリダイゼーション培地は、230mMのソルビトール、1.8mMのKHPO、0.5mMのCaCl、0.2mMのMg(Cおよび0.3mMのCa(Cを含んでおり、0.3%のBSAによって補われていた。0.5MHzおよび65〜75kV/mのAC電界を、それぞれ100μ秒のパルス幅および175〜185kV/mの強度を伴う3秒間隔における3回にわたる連続した方形波パルスと同時に印加した。3回目の方形波パルスの終了後、AC電界をさらに5秒間にわたって連続的に出力し、細胞のハイブリダイゼーションが系統交雑のトリハイブリッドを生成するという結果になった。この新しく作り出した系統交雑のトリハイブリッド細胞の安定な株の回復および樹立のための手順は、4.1.2に記載されている。
4.2.3.KBT系統交雑のトリハイブリッドの状態の確認
細胞表面上におけるCDマーカーの発現
1つの不死の骨髄(K562)細胞、初代培養された1つの成熟B細胞、および初代培養された1つのエフェクターTヘルパー細胞から樹立したKBT系統交雑のトリハイブリッド細胞株
系統交雑のトリハイブリッド細胞株を、例えば、通常の培養条件下において数ヶ月間にわたって樹立した後、この細胞株を系統特異的なCDマーカーの発現について分析した。ハイブリダイゼーション前の細胞の調製(項目1.3.1.1)についての記載と同様の手順を用いて、KBT細胞株の細胞をマウス抗ヒトCD19およびCD4抗体を用いて標識した。図11(d)は、1つの不死の骨髄単球細胞および初代培養された2つの細胞から樹立したKBT系統交雑のトリハイブリッド細胞株のFACSプロファイル(CD19およびCD4標識)を示す。代表的に、このような安定な系統交雑のトリハイブリッドにおける95%より多い細胞が、親である初代培養された細胞と同様の密度を伴って、BおよびT細胞の両方に関するCDマーカーを発現していた。
1つの不死の骨髄細胞(K562)および抗原を経験した、初代培養された2つのリンパ球(BおよびT細胞)から樹立したKBT系統交雑のトリハイブリッド細胞株
他の実施形態において、1つのK562細胞、抗原を経験した1つのB細胞および抗原を経験した1つのT細胞に由来するKBT細胞株を樹立した。この細胞をFACSを用いてCD19、CD3およびCD5の共発現について分析した。
要約すると、細胞ハイブリダイゼーション前の細胞の調製(項目1.3.1.1)と同様の手順を用いて、この細胞をマウス抗ヒトCD5−FITC抗体およびマウス抗ヒトCD19−PE抗体またはマウス抗ヒトCD4−PE抗体を用いて標識した。図12はこのようなKBT系統交雑のトリハイブリッド細胞株の細胞のFACSプロファイルを示す。この結果は、KBT細胞集団の5〜10%がCD5分子の細胞表面発現を維持する一方で、CD3または/およびCD19について陽性であることによって、その抗原ばくろの記憶を保持していたことを示す。また、CD5陰性細胞集団の少なくとも83%がB系統(CD19)およびT系統(CD3)マーカーの両方を共発現していた。
1つの不死の骨髄細胞(K562)、1つの活性化B細胞および初代培養された1つの二重陰性の未拘束のエフェクターT細胞から樹立したKBT系統交雑のトリハイブリッド細胞株
他の実施形態において、1つのK562、胸腺から単離した1つのT細胞(CD4CD8について二重陽性)および骨髄から単離した1つの活性化B細胞(CD20およびCD72)(項目1.3.3.4に記載されている)の細胞ハイブリダイゼーションに由来するKBT細胞株を樹立した。この細胞を細胞表面上におけるCD4、CD8、CD20およびCD72の共発現について分析した。
要約すると、初代培養されたリンパ球の単離(項目1.3.3.1.1)についての記載と同様の手順を用いて、KBT系統交雑のトリハイブリッド細胞を、(1)マウス抗ヒトCD4−PEおよびマウス抗ヒトCD72−FITC抗体の組合せ、(2)マウス抗ヒトCD20−PEおよびマウス抗ヒトCD8−FITC抗体の組合せ、または(3)マウス抗ヒトCD4−PEおよびマウス抗ヒトCD8−FITC抗体の組み合わせのいずれかを用いて標識した。図13はこのような系統交雑のトリハイブリッド細胞のFACSプロファイルを示す。
この結果(図13参照)は、KBT系統交雑のトリハイブリッド細胞の99%がその表面上に二重陽性のT細胞由来のCD4またはCD8のいずれかを発現しており、66〜71%の細胞がCD4について陽性であり、88〜89%の細胞がCD8について陽性であった。これらの細胞の60%において、CD4およびCD8の発現は同時に起こっていた。二重陽性の胸腺細胞に由来するCD4について陽性であるが、61%の細胞が同様に骨髄の活性化B細胞に由来するCD72について陽性であった。しかし、系統交雑のトリハイブリッド集団の94%がそれらの表面上にCD72を発現していた。一方、CD8陽性の系統交雑のトリハイブリッド細胞の31%がCD20を共発現していた。CD20陽性細胞の総数は39%であった。
4.3.1つの不死のリンパ球、初代培養された1つのリンパ球、および初代培養された1つの骨髄単球細胞からの系統交雑のトリハイブリッドの生成−WTM
この記載は、1つの不死のヒトBリンパ球(WIL2NS)、初代培養された1つのヒトT細胞、および初代培養された1つのヒト単球からの系統交雑のトリハイブリッド細胞の生成の例である。この系統交雑のトリハイブリッド株をWTMと名付け、その後ろに識別番号を付与した。
4.3.1.WTM系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞の調製
WTM系統交雑のトリハイブリッドの生成において用いられるWIL2NS細胞の調製については、上述の項目4.1.1に記載されている。脾臓および末梢血に由来するCD14CD16またはCD14CD16単球;脾臓、末梢血、臍帯血および胸腺に由来するヘルパーT細胞(CD4);脾臓、末梢血、臍帯血および胸腺に由来する細胞傷害性T細胞(CD8);臍帯血に由来する、抗原を経験したT細胞(CD3CD5)およびCD3T;胸腺に由来する二重陰性のT細胞(CD3CD4CD8)および二重陽性のT細胞(CD3CD4CD8)を包含している、初代培養された細胞をこれらの実験において用いた。初代培養された種々のリンパ球の、種々のリンパ組織からの単離については上述の通りである(項目1.3.3)。いくつかの実施形態において、骨髄に由来するCD34CD15骨髄単球性の前駆細胞をCD14陽性単球の代わりに用いた。
4.3.2.WTM系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順
WTM系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順は、培地を変更したことを除いて、KMW系統交雑のトリハイブリッドの生成のために用いたもの(項目4.1.2参照)と同様であった。これらの実験において用いたハイブリダイゼーションの培地は、235mMのソルビトール、1.8mMのKHPO、0.5mMのCaCl、0.3mMのMg(Cおよび0.25mMのCa(C(Sigma)を含んでおり、0.3%のBSAによって補われていた。項目4.2.2の記載とまったく同じ電気的な手順をWTMの生成のために用いた。この新しく作り出した系統交雑のトリハイブリッド細胞の安定な株の回復および樹立のための手順については、項目4.1.2に記載されている。
4.3.3.WTM系統交雑のトリハイブリッドの状態の確認
CDマーカーの発現
1つの不死のリンパ球(WIL2NS)、初代培養された1つのT細胞および初代培養された1つの単球から樹立したWTM系統交雑のトリハイブリッド細胞株
1つのWIL2NS細胞、初代培養された1つのT細胞、および1つの単球の細胞ハイブリダイゼーションに由来するWTM細胞株を樹立した。系統交雑のトリハイブリッド細胞株を通常の条件(項目1.1参照)下において6ヶ月間にわたって培養した後、系統交雑のトリハイブリッド細胞集団を系統特異的なCDマーカーの発現について分析した。初代培養されたこれらのT細胞をハイブリダイゼーションのために用いたときの、WIL2NSから生じたCD19、初代培養された単球に由来するCD14、および初代培養されたT細胞に由来するCD4の共発現について確認するために、三色のFACS分析を用いた。
要約すると、5%のBSAを含んでいるPBSにおける1×10/mlの濃度であるWTM系統交雑のトリハイブリッド細胞のうち100μlを、100μlのPBSに懸濁し、標識したモノクローナル抗体(0.5mg/100mlのCD14−PerCP、0.25mg/100mlのCD4−PE、および1.0mg/100mlのCD19−FITC、全てBD Pharmingenから入手した)または適切な同位体対照と共に、4℃において30分間にわたってインキュベートした。PBSを用いた十分な洗浄の後、標識した細胞をFACSCaliburフローサイトメーターおよびCellQuest Proソフトウェアを用いて分析した。
WTM系統交雑のトリハイブリッド細胞のFACSプロファイルを図14に示す。不死の細胞に由来するマーカーであるCD19の発現のレベルは系統交雑のトリハイブリッド細胞集団の間で一貫しているようであったが、初代培養された細胞に由来するマーカーの発現は異なるようであった。この特定の例において、CD14およびCD4の発現の強さに基づいて細胞集団を3つのサブグループに分け得る:(i)CD4CD14;(ii)CD4CD14;(iii)CD4CD14。その後、これらの各集団をFACS、MACSまたは単一細胞クローニングなどの標準的な方法によって単離し、培養物の均質性を維持しながら表現型の特性を互いに異なるものにする、別々の系統交雑のトリハイブリッドの培養物に展開し得る。
1つの不死のリンパ球(WIL2NS)、抗原を経験した、初代培養された1つのT細胞および初代培養された1つの単球から樹立したWTM系統交雑のトリハイブリッド細胞株
WTM系統交雑のトリハイブリッド細胞株を生成するためにCD5抗原を経験したT細胞を用いたときに、三色のFACS分析を用いることによって、CD19およびCD14と同時にCD5の発現を確認した。手順は、マウス抗ヒトCD19−PE抗体およびマウス抗ヒトCD5−FITC抗体を、マウス抗ヒトCD19−FITC抗体およびマウス抗ヒトCD4−PE抗体の代わりに用いたことを除いて、基本的に上記の通りである。系統交雑のトリハイブリッド細胞上におけるこれらのCDの発現のFACSプロファイルを図15に示す。不死の細胞に由来し、B細胞の表現型の要因となるCD19の発現のレベルは細胞集団の約91〜99%において一貫しているようであるが、抗原を経験したT細胞に由来するCD5、および初代培養された単球に由来するCD14の発現はWMTハイブリッド細胞の間で異なっていることが、この分析によって示された。CD19陽性細胞のわずか63%が同様にCD5について陽性であり、CD19陽性細胞の79%がCD14について陽性であった。特に、CD14の発現のレベルはこのようなWMT系統交雑のトリハイブリッド細胞の間で低いレベルから高いレベルまで異なっていた。一方、細胞集団はCD5およびCD5系統交雑のトリハイブリッド細胞に明確に分かれた。
1つの不死のリンパ球(WIL2NS)、初代培養された1つの細胞傷害性T細胞、および初代培養された1つの単球から樹立したWTM系統交雑のトリハイブリッド細胞株
WTM系統交雑のトリハイブリッド株を生成するために細胞傷害性CD8陽性T細胞を用いたとき、CD19、CD8およびCD14の共発現を確認するために、この項目において記載したものと同様の三色の標識の手順を用いて、FACS分析を行った。図16は、このWTM系統交雑のトリハイブリッド細胞株の細胞上におけるCD19、CD8およびCD14の発現のFACSプロファイルを示す。CD19の発現およびそのレベルはこれらWMT系統交雑のトリハイブリッド細胞の間で一定に維持されている一方で、これら細胞のわずか46%が初代培養された細胞傷害性T細胞に由来するCD8を低レベルにおいて共発現しており、41%が初代培養された単球に由来するCD14を共発現していた。特に、これらWMT細胞の間におけるCD14の発現のレベルは低レベルから高レベルまで異なっていた。
1つの不死のリンパ球(WIL2NS)、初代培養された1つの二重陽性T細胞および初代培養された1つの単球に由来するWTM系統交雑のトリハイブリッド細胞株
WTM系統交雑のトリハイブリッド細胞株の生成のために胸腺に由来するCD二重陽性のT細胞(CD4CD8)を用いたとき、CD19、CD8およびCD14の発現を分析に加えて、CD4およびCD8の共発現の分析を用いた。図17は、系統交雑のトリハイブリッド細胞株の細胞上におけるCD4およびCD8の共発現についてのFACSプロファイルを示す。二重陽性のT細胞を用いたこの例において、WTM系統交雑のトリハイブリッド細胞の96%がCD4およびCD8の両方について陽性であった。CD4CD8陽性のT細胞に由来するWTM系統交雑のトリハイブリッド細胞上におけるCD19およびCD14の発現プロファイルは、細胞傷害性CD8陽性エフェクターT細胞に由来するWTM系統交雑のトリハイブリッド細胞と基本的に類似していた。
1つの不死のリンパ球(WIL2NS)、初代培養された1つのT細胞、および初代培養された1つの骨髄単球性の前駆細胞から樹立したWMT系統交雑のトリハイブリッド細胞株
WTM系統交雑のトリハイブリッド細胞株を生成するために骨髄に由来するCD34CD15骨髄単球細胞を用いたとき、CD19(B系統)、CD3(T系統)、CD15(骨髄系統)およびCD34(前駆細胞)について表面マーカーを分析した。要約すると、マウス抗ヒトCD19−PE抗体、マウス抗ヒトCD4−FITC抗体(BD Pharmingen)およびマウス抗ヒトCD15−PerCP抗体の組合せ、またはマウス抗ヒトCD34−PE抗体、マウス抗ヒトCD4−FITC抗体およびマウス抗ヒトCD15−PerCP抗体の組合せによって、このWTM系統交雑のトリハイブリッド細胞株の細胞を標識した。上述の手順(項目1.3.3.1.1)にしたがって、細胞染色を行った。CD34CD15骨髄単球性の前駆細胞に由来するWTM系統交雑のトリハイブリッド細胞の典型的な発現プロファイルを図18に示す。この分析は、WTM系統交雑のトリハイブリッド細胞の約81%がB系統および骨髄単球の表現型(CD19CD15)を共有しており、CD19の61%がT系統のマーカーであるCD4についても陽性であることを示した。CD4系統交雑のトリハイブリッド細胞の34%がそれらの表面上にCD34も保持しており、CD34トリハイブリッド細胞の68%がCD15を発現していた。面白いことに、CD34およびCD15はどちらも同じ起源(骨髄単球性の前駆細胞)に由来するにも関わらず、CD34系統交雑のトリハイブリッド細胞の28%がCD15の発現を維持していなかった。
4.4.1つの不死の骨髄細胞、1つの不死のリンパ球、および初代培養された1つのリンパ球T細胞からの系統交雑のトリハイブリッドの生成−KWT
この種の系統交雑のトリハイブリッドの生成を、1つの不死の骨髄細胞(K562)、1つの不死のBリンパ球(WIL2NS)および初代培養された1つのヒトT細胞によって生成した。この種の系統交雑のトリハイブリッドをKWTと名付け、その後ろに識別番号を付与した。
4.4.1.KWT系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞の調製
これら細胞ハイブリダイゼーション実験のためのK562およびWIL2NS細胞の調製については、項目4.1.1に記載されている。細胞ハイブリダイゼーションの前に、最も速い増殖速度を示している細胞型の安定な各クローンを、項目1.1.1に記載されている工程を用いて樹立した。いくつかの実施形態において、項目1.1.3に記載のようなCD71に関して濃縮されている細胞集団を用いた。さらなる実施形態において、項目1.1.3.1に記載のように選択したCD71に関して濃縮されているK562集団のCD15細胞を用いた。脾臓、末梢血、臍帯血および胸腺に由来するヘルパーT細胞(CD4);脾臓、末梢血、臍帯血および胸腺に由来する細胞傷害性T細胞(CD8);臍帯血に由来する抗原を経験したT細胞(CD3CD5)およびCD3T細胞;胸腺に由来する二重陰性のT細胞(CD3CD4CD8)および二重陽性のT細胞(CD3CD4CD8)を包含しているKWT系統交雑のトリハイブリッドの生成のために用いた初代培養された細胞をこれらの実験に用いた(項目1.3参照)。
4.4.2.KWT系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順
KWT系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順は、KMW系統交雑のトリハイブリッドの生成のために用いたもの(項目4.1.2参照)と類似であった。
4.4.3.KWT系統交雑のトリハイブリッドの状態の確認
CDマーカーの発現
1つの不死の骨髄細胞(K562)、1つの不死のリンパ球系(WIL2NS)および初代培養された1つのT細胞から樹立したKWT系統交雑のトリハイブリッド細胞株
1つのK562細胞、1つのWIL2NS細胞、および初代培養された1つのT細胞の細胞ハイブリダイゼーションに由来するKWT細胞株を樹立した。系統交雑のトリハイブリッド細胞株が通常の培養条件下において6ヶ月間にわたって安定であった後、系統交雑のトリハイブリッド細胞集団を系統特異的なCDマーカーの発現について分析した。K562に由来するCD15、WIL2NSに由来するCD19、および初代培養されたエフェクターTヘルパー細胞に由来するCD4の共発現について確認するために、三色のFACS分析を用いた。KWT系統交雑のトリハイブリッド細胞の細胞染色のための手順は、基本的にKWT系統交雑のトリハイブリッドについての記載(項目4.1.3)と同様であった。CD4エフェクターT細胞に由来するKWT系統交雑のトリハイブリッド細胞のFACSプロファイルを図19に示す。KWT系統交雑のトリハイブリッド細胞の大多数は、骨髄単球、BおよびTリンパ球系統の混合表現型の特性を明らかに示した。KWT系統交雑のトリハイブリッド細胞の100%が細胞表面上に、初代培養されたエフェクターT細胞に由来する、Tリンパ球系統のマーカーであるCD4を発現した一方で、これら細胞の54%が同時にWIL2NS株の不死の細胞に由来するB系統マーカーCD19について陽性であり、これらCD4CD19細胞の24%が不死の骨髄単球性の前駆細胞株K562に由来するCD15について陽性であった。
1つの不死の骨髄細胞(K562)、1つの不死のリンパ球(WIL2NS)および1つの二重陽性のT細胞から樹立したKWT系統交雑のトリハイブリッド細胞株
KWT系統交雑のトリハイブリッド株を生成するために二重陽性のT細胞(CD4CD8細胞)を用いたとき、初代培養された胸腺細胞に由来するCD4およびCD8の両方の発現プロファイルを同様に分析した。CDプロファイリングのための手順は、マウス抗ヒトCD19−FITC抗体の代わりにマウス抗ヒトCD8−FITC抗体を用いたことを除いて、基本的にCD4T細胞に由来するKWT系統交雑のトリハイブリッドに関して上述したものと同様であった。二重陽性(CD4CD8細胞)のT細胞に由来する系統交雑のトリハイブリッド細胞の典型的なCD発現プロファイルを図20に示す。この結果は、KWT系統交雑のトリハイブリッド細胞の99%がCD4について陽性であり、69%がCD8について陽性であり、CD4細胞の26%がCD15骨髄単球細胞マーカーについて陽性であり、CD8細胞の23%がCD15について陽性であることを示し、これはCD4CD8CD15細胞が全細胞集団の約23%に相当することを意味した(細胞のほぼ100%がCD4であるため、二重陽性CD8CD15集団はCD4に対しても陽性であり得る)。CD4エフェクターT細胞に由来するKWTトリハイブリッドの場合と同様に、CD19細胞は全細胞集団の52%に相当し、そのうちの22%がCD15を共発現していた。したがって、22〜23%に相当する全CD15細胞集団はCD4、CD8およびCD19を共発現していた。
1つの不死の骨髄細胞(K562)、不死のリンパ球(WIL2NS)および抗原を経験したCD5陽性のT細胞から樹立したKWT系統交雑のトリハイブリッド細胞株
KWT系統交雑のトリハイブリッド株を生成するために抗原を経験したCD5陽性のT細胞を用いた際、CD5の発現を分析した。マウス抗ヒトCD19抗体およびマウス抗ヒトCD5抗体の間において結合させた蛍光体を入れ替えたことを除いて、WTM系統交雑のトリハイブリッドの分析のために用いたもの(項目4.6)と同様の手順を用いて、マウス抗ヒトCD19−FITCおよびマウス抗ヒトCD5−PE抗体を用いて、KWTハイブリッド細胞を標識した。図21に示される結果は、KWT系統交雑のトリハイブリッド細胞の90%が抗原を経験したT細胞に由来するCD5について陽性であり、CD5細胞の49%がWIL2NS細胞(B細胞)に由来するCD19に対しても陽性であることを示した。系統交雑のトリハイブリッド細胞の間のCD19細胞の全割合は約56%であった。
4.5.2つの不死のリンパ球(WIL2NS)および初代培養された1つの単球からの系統交雑のトリハイブリッドの生成−WWM
この種の系統交雑のトリハイブリッドの生成を2つの不死のリンパ球(WIL2NS)および初代培養された1つのヒト単球の体細胞ハイブリダイゼーションによって行った。この系統交雑のトリハイブリッドをWWMと名付け、その後ろに識別番号を付与した。
4.5.1.WWM系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞の調製
WIL2NS細胞株を項目4.1.1の記載と同様の手順において培養した。
いくつかの実施形態において、項目1.1.3に記載のように樹立したCD71に関して濃縮されている細胞集団を用いた。ヒト単球を脾臓、末梢血または臍帯血に由来する混合リンパ球から単離した。単球の単離はCD14マーカーの発現およびいくつかの実施例においては低いレベルのCD16の発現に基づいており、項目1.3.3.1.1に記載のようなFACSまたは磁気ビーズのいずれかに基づいた。異なるリンパ組織由来の単球を用いたとき、ハイブリダイゼーションのパラメーターまたは得られた系統交雑のトリハイブリッドにおいて違いはないようであった。
4.5.2.WWM系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順
WWM系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順は、KBT系統交雑のトリハイブリッドの生成のために用いたもの(項目4.2.2参照)と同様であった。
4.5.3.WWM系統交雑のトリハイブリッドの状態の確認
CDマーカーの発現
WWT系統交雑のトリハイブリッド細胞株が通常の培養条件(項目1.1参照)下において6ヶ月間にわたって安定であった後、系統交雑のトリハイブリッド細胞集団を系統特異的なCDマーカーの発現について分析した。
マウス抗ヒトCD19−FITC抗体およびマウス抗ヒトCD14−PE抗体による二重染色または標識を、得られた系統交雑のトリハイブリッドの系統交雑のマーカーの発現をプロファイルするために使用した。図22aはこのような系統交雑のトリハイブリッド細胞の典型的なCDプロファイルを示す。発癌遺伝子関連マーカーのCD19の発現が系統交雑のトリハイブリッドにおいて一貫しているようであった。いくらかの割合の細胞(23.5%)はそれらの表面上にCD14を発現していたが、残りの72.7%はCD14の表面発現について陰性であった。
4.6.非ヒト哺乳類細胞を用いた系統交雑のトリハイブリッドの生成
以下の例は、ヒト以外の哺乳類細胞(特にマウス細胞)を用いて系統交雑のトリハイブリッドを生成し得ることを示す。他の哺乳類細胞からの系統交雑のトリハイブリッドの生成において同様の原理を適用し得ることがわかった。
4.6.1.1つの不死のマウスリンパ球、初代培養された1つのマウスリンパ球、および初代培養された1つのマウス単球からの系統交雑のトリハイブリッドの生成
ここでは、1つの不死のマウスBリンパ球(Sp2)、初代培養された1つのマウスT細胞、および初代培養された1つのマウス単球からの系統交雑のトリハイブリッド細胞の生成について説明する。この系統交雑のトリハイブリッド株をSTmMmと名付け、その後ろに識別番号を付与した。
4.6.1.1.STmMm系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞の調製
STmMm系統交雑のトリハイブリッドの生成において用いたSp2細胞の調製については、項目1.1.4に記載されている。末梢血に由来するCD11bCD90B220CD49bNK1.1Ly6G−/low単球;脾臓または末梢血に由来するマウスヘルパーT細胞(CD4);脾臓または末梢血に由来するマウス細胞傷害性T細胞(CD8);脾臓または末梢血に由来する二重陽性のT細胞(CD4CD8)を包含している、初代培養されたマウス細胞をこれらの実験に用いた。初代培養された種々のマウスリンパ球の、脾臓または末梢血からの単離については上述の通りである(項目1.3.5)。
4.6.1.2.STmMm系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順
STmMm系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順は、培地ならびにAC電界およびパルスを変更したことを除いて、WTM系統交雑のトリハイブリッドの生成のために用いたもの(項目4.3.2参照)と同様であった。これらの実験において用いたハイブリダイゼーション培地は、265mMのソルビトール、1.5mMのKHPO、0.4mMのCaClおよび0.3mMのMg(C(Sigma)を含んでおり、0.2%のBSAによって補われていた。0.5MHzおよび65〜75kV/mのAC電界を、それぞれ70μ秒のパルス幅および250〜280kV/mの強度を伴う3秒間隔における3回にわたる連続した方形波パルスと同時に印加した。この新しく作り出した系統交雑のトリハイブリッド細胞の安定な株の回復および樹立のための手順については、項目4.1.2に記載されている。
4.6.1.3.STmMm系統交雑のトリハイブリッドの状態の確認
1つのSp2細胞、初代培養された1つのマウスT細胞および1つのマウス単球に由来するSTmMm細胞株を樹立した。系統交雑のトリハイブリッド細胞株を通常の培養条件(項目1.1参照)下において6ヶ月間にわたって培養した後、系統交雑のトリハイブリッド細胞集団を系統特異的なCDマーカーの発現について分析した。初代培養されたこれらのT細胞をハイブリダイゼーションのために用いたときの、Sp2細胞に由来するCD138、初代培養されたマウス単球に由来するCD11b、および初代培養されたマウスT細胞に由来するCD4の共発現について確認するために、三色のFACS分析を用いた。
要約すると、5%のBSAを含んでいるPBSにおける1×10/mlの濃度であるSTmMm系統交雑のトリハイブリッド細胞のうち100μlを、100μlのPBSのに懸濁し、マウスCD138−PE、CD11b−FITCおよびCD4−PerCP(BD Pharmingen)に対する標識したラットのモノクローナル抗体、または適切な同位体対照と共に、4℃において30分間にわたってインキュベートした。PBSを用いた十分な洗浄の後、標識した細胞をFACSCaliburフローサイトメーターおよびCellQuest Proソフトウェアを用いて分析した。
STmMm系統交雑のトリハイブリッド細胞のFACSプロファイルを図47に示す。B系統の不死の細胞に由来するマーカーであるCD138の発現のレベルは系統交雑のトリハイブリッド細胞集団の間で一貫しているようであったが、初代培養された細胞に由来するマーカーの発現は異なるようであった。この特定の例において、CD4またはCD11bのいずれかがCD138と共発現してい比較的に少ない割合の細胞が存在していた(図47aおよびb参照)。STmMm細胞をCD4およびCD11bの共発現について分析した際(図47c参照)、細胞の約82%がCD4およびCD11bを共発現していた。事実上、細胞集団の82%が3つすべてのCDマーカーを発現していており、細胞のわずか5%がCD4またはCD11bのいずれかと共発現することなくCD138陽性であった。その後、これらの各集団をFACS、MACSまたは単一細胞クローニングなどの標準的な方法によって続いて単離し、培養物の均質性を維持しながら表現型の特性を互いに異なるものにする、別々の系統交雑のトリハイブリッドの培養物に展開し得る。
STmMm系統交雑のトリハイブリッドの生成において細胞傷害性CD8陽性リンパ球を用いたとき、得られたトリハイブリッド細胞上におけるCDの共発現に関して、抗CD4−PerCp抗体の代わりにラット抗マウスCD8−PerCp抗体を用いた。図48からみられるように、このトリハイブリッド細胞の97から100%がCD138(図48aおよびb)について陽性である一方、これら細胞の56%または57%がCD8(図48b)またはCD11b(図48a)を共発現していた。トリハイブリッド集団の少なくとも40%が3つのマーカーCD138、CD8およびCD11bの全てを発現していた(図48c)。
二重陽性のCD4CD8T細胞の場合において、第1の分析を細胞傷害性T細胞に関するものと同様の方法において行った。図49は、得られたトリハイブリッド上におけるCD138、CD11bおよびCD8の発現のFACSプロファイルを示す。トリハイブリッド細胞の98〜100%がCD138について陽性であり、全集団の57〜60%が3つの系統マーカーの全てについて陽性であった(図49c)。CD138およびCD8の共発現を93%の細胞において検出した(図49b)。第2の段階において、トリハイブリッド細胞をCD8およびCD4の共発現について確認した。この細胞をラット抗マウスCD8−PE抗体およびラット抗マウスCD4−FITC抗原(BD Pharmingen)を用いて標識した。図50は、CD8およびCD4の発現のFACSプロファイルを示す。トリハイブリッド細胞の95%が表面上にCD8を発現していたが、細胞の50%のみが同時にCD4を共発現していた。特に、CD4陽性集団の全体がCD8に対しても実際に陽性であった。
4.6.2.2つの不死のマウスリンパ球および初代培養された1つのマウス単球からの系統交雑のトリハイブリッドの生成
この例は、2つの不死のマウスBリンパ球(Sp2)および初代培養された1つのマウス単球からの系統交雑のトリハイブリッド細胞株の生成を詳細について説明する。この系統交雑のトリハイブリッド株をSSMmと名付け、その後ろに識別番号を付与した。
4.6.2.1.SSMm系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞の調製
SSMm系統交雑のトリハイブリッドの生成において用いたSp2細胞の調製については、項目1.1.4に記載されている。末梢血に由来するマウスCD11bCD90B220CD49bNK1.1Ly6G−/low単球をこれら実験に用いた。初代培養されたマウス単球の、末梢血からの単離については上述の通りである(項目1.3.5)。
4.6.2.2.SSMm系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順
SSMm系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順は、STmMm系統交雑のトリハイブリッドの生成のために用いたもの(項目4.6.1.2参照)と同様であった。
4.6.2.3.SSMm系統交雑のトリハイブリッドの状態の確認
SSMm系統交雑のトリハイブリッド細胞株が通常の培養条件(項目1.1参照)下において6ヶ月間にわたって安定であった後、系統交雑のトリハイブリッド細胞集団を系統特異的なCDマーカーの発現について分析した。
得られた系統交雑のトリハイブリッドの系統特異的なマーカーの発現をプロファイルするために、ラット抗マウスCD138−PE抗体およびラット抗マウスCD11b−FITC抗体(BD Pharmingen)による二重染色または標識を適用した。図51はこのような系統交雑のトリハイブリッド細胞の典型的なCDプロファイルを示す。発現遺伝子関連マーカーのCD138の発現は系統交雑のトリハイブリッド細胞において一貫しているようであり、わずか7%の細胞がCD138について陰性であった。高い割合の細胞(70%)がそれらの表面上にCD11bも発現していた一方、CD138陽性細胞の残りの23%がCD11bの表面発現について陰性であった。
4.7.ヒトおよび非ヒト哺乳類細胞を用いた系統交雑のキメラトリハイブリッド(cross-lineage chimeric tri-hybrid)の生成
この例は、ヒトおよび非ヒト哺乳類細胞(特にマウス)を用いた系統交雑のキメラトリハイブリッドの生成について詳細に説明する。他の哺乳類細胞からの系統交雑のトリハイブリッドの生成において同様の原理を適用し得ることがわかった。
4.7.1.1つの不死のマウスリンパ球、1つの不死のヒトリンパ球、ならびに初代培養された1つのマウス単球または初代培養されたヒト単球からの系統交雑のキメラトリハイブリッドの生成
1つの不死のマウスBリンパ球(Sp2)、1つの不死のヒトBリンパ球(WIL2NS)、ならびに初代培養された1つのマウス単球または初代培養されたヒト単球からの系統交雑のキメラトリハイブリッド細胞株の生成。系統交雑のトリハイブリッド株をSWMm(マウス単球を用いた)およびSWMh(ヒト単球を用いた)と名付けた。各例において、トリハイブリッドの略称に続いて、識別番号を付与した。
4.7.1.1.SWMmおよびSWMh系統交雑のキメラトリハイブリッドの生成のための細胞の調製
SWMmおよびSWMh系統交雑のキメラトリハイブリッドの生成において用いたSp2およびWIL2NS細胞の調製については、項目1.1.4および項目1.1.3のそれぞれに記載されている。CD11bCD90B220CD49bNK1.1Ly6G−/lowの、初代培養された末梢血に由来するマウス単球をこれらの実験に用いた。初代培養されたマウス単球の、末梢血からの単離については上述されている(項目1.3.5)。ヒト単球を脾臓、末梢血または臍帯血に由来する混合リンパ球から単離した。単球の単離はCD14マーカーの発現およびいくつかの実施例においては低いレベルのCD16の発現に基づいており、項目1.3.3.1.1に記載のようなFACSまたは磁気ビーズのいずれかに基づいた。異なるリンパ組織からの単球を用いたとき、ハイブリダイゼーションのパラメーターまたは得られた系統交雑のトリハイブリッドにおいて違いはないようであった。
4.7.1.2.SWMmおよびSWMh系統交雑のキメラトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順
SWMmおよびSWMh系統交雑のトリハイブリッドの生成のための細胞ハイブリダイゼーションの手順は、STmMm系統交雑のトリハイブリッドの生成のために用いたものと同様であった(項目4.6.1.2.参照)。
4.7.1.3.SWMmおよびSWMh系統交雑のキメラトリハイブリッドの状態の確認
SWMmおよびSWMh系統交雑のキメラトリハイブリッド細胞株が通常の培養条件(項目1.1参照)下において6ヶ月間にわたって安定であった後、系統交雑のキメラトリハイブリッド細胞集団を系統特異的なCDマーカーの発現について分析した。
ヒトCD71およびマウスTfRの発現についての二重染色を、得られたトリハイブリッドのキメラ化を証明するために行った。図52は、このような分析の典型的なFACSプロファイルを示し、100%の細胞がヒトおよびマウス両方のトランスフェリン受容体について陽性であったことを示す。これは、マウスおよびヒト両方の細胞分裂の制御におけるトリハイブリッドな依存を示す。
得られた系統交雑のキメラトリハイブリッドの系統マーカーの発現をプロファイルするために、初代培養された単球のマウスまたはヒト起源にしたがって、(1)ラット抗マウスCD138−PE抗体およびラット抗マウスCD11b−FITC抗体(BD Pharmingen)、(1)またはラット抗マウスCD138−PE抗体およびマウス抗ヒトCD14−FITC抗体(BD Pharmingen)による二重染色または標識を適用した。図53は、このような、系統交雑のキメラトリハイブリッド細胞の典型的なCDプロファイルを示す。マウスSp2細胞に由来する発癌遺伝子関連マーカーのCD138の発現は、単球のマウスまたはヒト起源に依存しているようであった。マウスCD138陽性細胞の割合は、SWMmトリハイブリッドにおける84%からSWMhトリハイブリッドにおける29%まで低下した。しかし、SWMhキメラトリハイブリッド細胞の96%がWIL2NSに由来するヒトCD19について陽性であった(図54参照)。一方、SWMmキメラトリハイブリッドにおける何れの細胞もヒトCD19を発現していなかった。
<実施例5>
5.CDマーカーの分布に基づいた、特異的な異系統の表現型を有している細胞についての、系統交雑のトリハイブリッドの濃縮
以下の項目は、異なる表現型特性に基づいて系統交雑のトリハイブリッド細胞株の亜系統を樹立する一例をもたらす。この試みは、系統特異的な細胞表面マーカー、系統特異的なマーカーの細胞内発現、系統特異的なマーカーのRNA転写産物の存在、核型分類、および/または系統特異的なタンパク質の分泌の分析に基づいた。所望の特性を有している系統交雑のトリハイブリッド細胞を、FACSによって全体の集団から単離した。以下の例は、CD14の発現に基づいている2つのトリハイブリッド集団を有しているWWM系統交雑のトリハイブリッドに基づいている。しかし、この例は、選択した特定の系統交雑のトリハイブリッドまたはマーカーには決して限定されない。
WWM系統交雑のトリハイブリッド細胞をCD14陽性およびCD14陰性の画分に分取し、各画分を増殖させ、3ヶ月間にわたって別々に培養に維持した。図22bは系統交雑のトリハイブリッド細胞の95%よりも多くがCD14の発現を保持していたことを示す一方、図22cにおける細胞集団はCD14について陰性であり続けた。このことは、同じ系統交雑のトリハイブリッド株に由来する、異なる均質性の細胞集団を単離および樹立することが可能であることを証明する。
RT−PCRによる系統交雑のトリハイブリッドの確認
生成した亜系統の系統交雑のトリハイブリッドの性質を確認するため、元の系統交雑のトリハイブリッド細胞、CD19CD14に関して濃縮されている継代培養物およびCD14陰性の継代培養物を、CD14についてRT−PCR分析にかけた。ヒトCD14単球を陽性対照として用いた。上述のようにFACSを用いて、対照細胞を末梢血から単離した(項目1.3.3)。
要約すると、RNeasyキット(RNeasy Mini kit, Qiagen)を用いて、培養した細胞から総RNAを調製した。cDNAの合成をcDNA-Kit(Amersham Pharmacia)を用いて、製造者の手順にしたがって行い、PCRを基本的にSewingらの記載の通りに行った。PCR反応混合物をアガロースゲル(2%)電気泳動によって分析し、エチジウムブロマイド染色によって可視化した。オリゴヌクレオチドプライマー対は、450bpのPCR産物を増幅するための配列、5’−プライマー
5’ - CACACTCGCCTGCCTTTTCC - 3’(配列番号1)および
3’−プライマー 5’ GATTCCCGTCCAGTGTCAGG - 3’(配列番号2)を有していた。
図23において示されるように、RT−PCRは、細胞を含んでいる元のWWM培養物の両方および元のWWM培養物のCD14に関して濃縮されている継代培養物おいてCD14のmRNA転写産物の存在を明らかにした。CD14のmRNAを表面のCD14が消失しているWWM継代培養物においても、ヒトCD14単球のものと同等のレベルにおいて検出した。
<実施例6>
6.核型分類
系統交雑のトリハイブリッドの、ハイブリッドの起源を確認するためだけでなく、細胞発生特性を確立するために、系統交雑のトリハイブリッドの核型分類を行った。
6.1.元の細胞株の核型分類
一例として、元の細胞株の任意の染色体の不安定性を記録するために、K562の細胞およびWIL2NS細胞株を、初期および後期の継代について核型分類した。所定の細胞株(例えばK562株)について、新たに解凍した株の核型は、通常の培養条件下において数ヶ月間にわたって維持した細胞株と同一であることがわかった。
図24および25は、それぞれK562およびWIL2NS細胞の典型的な核型を表している。両方の場合に、全部で20のGバンドを形成した分裂中期の細胞を400bphsにおいて調べた。
核型分類の結果は、K562細胞株が、三倍体の特性を有している(すなわち種々の染色体異常を伴う分類群における69の典型的染色体数を有している)単一クローンを含んでいることを示した。それに対して、WIL2NS細胞株はK562細胞と比較した場合に明らかに異なる染色体異常を伴う分類群における47から48の典型的染色体数を有している5つの二倍体クローン含んでいた。WIL2NS細胞株におけるクローンの説明
は以下のとおりである:
クローン1が10%を占める
クローン2が55%を占める
クローン3が10%を占める
クローン4が20%を占める
クローン5が5%を占める。
Figure 2012529270
6.2.タンパク質の発現のために用いる系統交雑のトリハイブリッドの核型分類
系統の異なる3つの不死の細胞および初代培養された細胞の種々の組合せに由来しており、さらに所望のタンパク質の発現のために用いる系統交雑のトリハイブリッドを核型分類した。また、これらの核型を元の不死の細胞株(系統交雑のトリハイブリッドの生成に用いた)のものと比較した。
6.2.1.KBT系統交雑のトリハイブリッド株の核型分類
K562不死の骨髄細胞株および初代培養されたBリンパ球およびTリンパ球に由来する2つのKBT系統交雑のトリハイブリッド株を核型分類した。活性化B細胞(CD20CD72)および二重陽性のT細胞(CD4CD8)に由来し、CD発現特性に基づいた種々の型の細胞を有しているKBT系統交雑のトリハイブリッド(項目4.2.3)も比較のために核型分類した。図26は、K562+B(CD19)+T(CD4)ハイブリダイゼーションに由来するKBT系統交雑のトリハイブリッド株(KBT−1株と称する)の典型的な核型を示す。KBT−1の単一細胞クローンが、分類群における66の典型的染色体数を有している近三倍体であることを示した。
K562細胞、B(CD20CD72)細胞およびT(CD4CD8)細胞の細胞ハイブリダイゼーションに由来するKBT系統交雑のトリハイブリッド株(KBT−2株と称する)を核型分類したところ、KBT−2株(前の項目において種々のCD発現が示されていた株)の核型分類が近三倍体である4つのクローンからなることがわかった。クローン1、クローン2、クローン3およびクローン4は、それぞれ細胞集団の45%、30%、15%および10%に相当した。クローン4は分類群における66の典型的染色体数を有していた。一方、他のクローンはそれぞれ分類群における67の典型的染色体数を有していた。図27はKBT−2株のクローンのうち1つの核型分類を示す。
KBT−1およびKBT−2株の核型分類を表3に要約している。この表の最初の列は染色体の番号を表した。del(3)(p14)、der(4)t(4;?)(q25;?)、+der(7)t(7;mar3)(q10;q10)およびder(X)t(X;?;?)(q13;?;?)のようないくつかの染色体変化が、初代培養されたリンパ球の亜型と無関係にすべての系統交雑のトリハイブリッドによって共有されているが、K562細胞とは共有されていない。
Figure 2012529270
6.2.2.KWT系統交雑のトリハイブリッド株の核型分類
不死の骨髄細胞株K562、不死のBリンパ球株WIL2NS、および初代培養されたTリンパ球に由来する3つのKWT系統交雑のトリハイブリッド株を核型分類した。二重陽性のT細胞(CD4CD8)に由来し、CD発現特性(項目4.2.3)に基づいた種々のタイプの細胞を有しているKWT系統交雑のトリハイブリッド(KWT−3と称する)も比較のために核型分類した。
図28、29および30はそれぞれKWT−1、KWT−2およびKWT−3系統交雑のトリハイブリッド株の典型的な核型を示す。それぞれの場合において、全部で20個のGバンドを形成した分裂中期の細胞を400bphsにおいて分析した。KWT−1は近六倍体(6n=138染色体)である単一クローンを含んでいた。分類群の典型的染色体数は核型の不均質性を伴って129から140に分布した。すなわち、すべての分析した細胞がいくつかの染色体異常を共有していた。KWT−2は同様に近六倍体である単一クローンを含んでいた。分類群の典型的染色体数は核型の不均質性を伴って135から145本に分布した。KWT−3は高七倍体(n>115)である3つのクローンを含んでいた。クローン1、クローン2および3は、それぞれ細胞集団の55%、20%および25%に相当した。KWT系統交雑のトリハイブリッドの核型は、K562およびWIL2NS細胞株の両方の遺伝的特徴がすべてのKWT系統交雑のトリハイブリッドにおいて、それらの生成において用いた初代培養されたT細胞の型と無関係に保持されることを裏付けた。表4は、これらKWT系統交雑のトリハイブリッド(すなわち、KWT−1、KWT−2およびKWT−3株)の核型の比較分析を要約するものである。
Figure 2012529270
6.2.3.WWM系統交雑のトリハイブリッド株の核型分類
2つの不死のBリンパ球(2つのWIL2NS株)および初代培養された単球(CD14)に由来するWWM系統交雑のトリハイブリッド株も核型分類した。CD14細胞に関して濃縮されているこの系統交雑のトリハイブリッドの亜系統を同様に核型分類した。図31Aおよび31Bは、それぞれ元のWWM系統交雑のトリハイブリッドおよびそのCD14に関して濃縮されている亜系統の核型を示す。それぞれの場合において、全部で20の細胞に由来するGバンドを形成した分裂中期の染色体を、400bphsにおいて分析した。元のWWM系統交雑のトリハイブリッドは47本の染色体(11の細胞(55%)においてみられた)を有している単一優性クローン(a single dominant clone)を含んでいた。しかし、分析した残りの9の細胞は近三倍体(ランダムな染色体欠損を伴う)から近四倍体(ランダムな染色体欠損を伴う)に分布する。これら細胞の何れの間でも一貫性はなかった。一方、CD14に関して濃縮されているWWM系統交雑のトリハイブリッドの核型は、19の細胞において検出された単一クローンの異常を示した。たった1個の四倍体細胞が検出された。
Figure 2012529270
<実施例7>
7.PCRによるEBVゲノムの検出
PCR分析のためにおよび所定の系統交雑のトリハイブリッド細胞株のために、ゲノムDNAを5×10の系統交雑のトリハイブリッドから抽出した。製造者の手順にしたがってQIAamp DNA Micro kit(Qiagen)を用いて、MOLT−4細胞を陰性対照として使用し、一方でCO88BV59−1を陽性対照として使用した。定性PCR分析において、EBVゲノムのBamHI W領域を特異的プライマーを用いて増幅した。上流および下流のプライマー配列は、それぞれ、5’-CAAGAACCCAGACGAGTCCGTAGAA-3’(配列番号3)および5’-AAGAAGCATGTATACTAAGCCTCCC-3’(配列番号4)である(Kimura, et al., 1999)。10mMのTris−HCl(pH8.3)、1.5mMのMgCl、50mMのKCl、200μMのdNTP、0.6μMの各プライマーおよび0.5UのTaqポリメラーゼ(Lomb Life Science)を含んでいる反応混合物に、10ngの抽出したDNAを加えた。GeneAmp PCR system 9600(Perkin Elmer)を用いて、95℃における2分間の最初の変性に続いて、95℃における15秒間および60℃における1分間を28サイクル行った。増幅させたサンプルを2%アガロースゲルにおいて分離した。
上記分析による結果は、本発明において樹立したすべての系統交雑のトリハイブリッドがEBVゲノムについて陰性であることを示した。
<実施例8>
8.マイコプラズマ試験
本発明において用いた任意の細胞株および生成した系統交雑のトリハイブリッド株に対するマイコプラズマ試験を、製造者の手順にしたがってマイコプラズマPCR検出キット(Lomb Scientific)を用いて行った。この試験による結果は、すべての細胞株および系統交雑のトリハイブリッドがマイコプラズマを有していないことを示した。
<実施例9>
9.系統交雑のトリハイブリッドの発現系におけるタンパク質の発現およびそれらのキャラクタリゼーション
本発明のおいて具体化したトリハイブリッドの異系統細胞系は、種々の生体物質の調製に用いられ得る。当該生体分子としては、生体分子(例えば、タンパク質、ペプチド、炭化水素、脂質およびそれらのキメラ分子)が挙げられるが、これらに限定されない。特に、生体分子としては、サイトカイン、成長因子ホルモン、受容体またはそれらのフラグメントもしくはキメラ分子が挙げられ得る。トリハイブリッドの異系統細胞から発現したタンパク質のような所望の生体分子が、分泌、膜結合またはその両方を受け得ることを、当業者は理解し得る。さらに、種々のタンパク質のサブユニットが系統交雑のトリハイブリッド細胞において共発現(例えば免疫グロブリンの発現および特にモノクローナル抗体の生産)され得ることを、当業者は理解し得る。また、トリハイブリッドの異系統細胞が種々の機能的タンパク質またはペプチドフラグメントを発現させるために用いられ得ることを、当業者はさらに理解し得る。免疫グロブリンの場合に、当該機能的タンパク質またはペプチドフラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)およびFvフラグメント(単鎖Fvフラグメントが挙げられる)断片である。
所望のタンパク質を発現しているパートナー細胞とのトリハイブリッド細胞の体細胞ハイブリダイゼーションによって、所望のタンパク質の発現がトリハイブリッド細胞系においてなされ得る(項目9.1)。代替的に、所望のタンパク質の発現を促進するために従来の遺伝子導入の手順に、トリハイブリッド細胞を供し得る(項目9.2.1および項目9.2.2)。さらなる実施形態において、体細胞ハイブリダイゼーションもしくは従来の遺伝子トランスフェクションのいずれか一方またはその両方を用いることによって、トリハイブリッド細胞は複数の標的タンパク質を同時に発現し得る(項目9.3)。
以下の例は、系統交雑のトリハイブリッド細胞における、複数の異なる種類のタンパク質の発現について説明する。また、これらの例は、特定の分化した細胞型に特有のタンパク質が同じ系統交雑のトリハイブリッド細胞において発現され得ることを証明する(たとえば、免疫グロブリンおよびCD54)。
9.1.トリハイブリッド異系統細胞の、所望のタンパク質を発現している細胞とのハイブリダイゼーション
9.1.1.ヒトGM−CSFの発現
CD14陽性細胞を濃縮したWWM系統交雑のトリハイブリッド株(項目5に記載されている)を、この特定の例においてパートナー細胞として用いた。項目1.3.3.1.1に記載のように単離した活性化ヒトCD4陽性リンパ球を、ヒトGM−CSFの起源として用いた。電気的な細胞ハイブリダイゼーションの手順は、基本的に項目4.3.2に記載されているWWM系統交雑のトリハイブリッドの生成のために用いたものと同様であった。得られたWWMとCD4培養T細胞とのハイブリッドが安定になった後、細胞株として維持し、ProGMと名付けた。
ヒトGM−CSFの発現の結果
ProGMの上清をサンドイッチ型のELISAによってヒトGM−CSFについて試験した。96ウェルELISAプレート(Corning)を、50μlの精製したウサギポリクローナル抗GM−CSF抗体(10μg/ml)により、4℃において一晩にわたって被覆した。抗体溶液を除去した後、プレート上の残っているタンパク質の結合部位を5%のBSAを含んでいる100μlのPBS(5%BSA−PBS)によってブロックした。次いで、ProGMハイブリッド細胞株由来の50μlの培養上清をウェルに加え、37℃において2時間にわたってインキュベートした。0.05%のTween20を含んでいるPBS(Tween−PBS)を用いて3回にわたって洗浄した後、50μlのウサギ抗GM−CSF抗体(10μg/ml)と共に室温において1時間にわたってインキュベートした。Tween−PBSによって3回にわたって洗浄した後、ペルオキシダーゼを結合させた、200倍希釈の抗ウサギ免疫グロブリンと共に室温において2時間にわたってインキュベートした。Tween−PBSによって3回にわたってリンスした後、ABTSおよび0.01%の過酸化水素と共にインキュベートすることによって最後の反応を可視化した。415nmにおける吸収を測定した。組換えヒトGM−CSFを基準として用いた。すべての分析を、所定のサンプルに関して2回にわたって行った。その結果は、ProGMが最適化されていない培養条件下においてヒトGM−CSFを0.7から1.1μg/ml/10細胞の範囲において産生することを示した。
ウェスタンブロットおよび免疫沈降による、ProGMハイブリッドに由来するhGM−CSFの性質決定は、ProGMハイブリッドがヒトリンパ球によって天然に分泌される糖鎖型と一致する糖タンパク質型を示している完全なヒトGM−CSFを産生することを裏付けた。ProGMハイブリッドから回収した上清を分析前に100倍希釈した。ウェスタンブロット分析用の免疫ブロットNC膜(Millipore)および0.1μg/mlの濃度におけるビオチン化されたラット抗ヒトGM−CSF抗体(R&D systems)を、ウェスタンブロット検出のために用いた。図32において、ProGMハイブリッドによって分泌されたhGM−CSFのウェスタンブロット(レーン4)は、PHA活性化ヒトリンパ球の培養物によって分泌されたGM−CSF(レーン2)と同様の、型の不均質性を示した。ProGMおよびリンパ球の培養物の両方において発現したGM−CSFの分子量分布は、18kDaから35kDaに及んでいた。ツニカマイシン(アスパラギン残基への炭化水素鎖の付加を示す)の存在において、より分子量の大きい分子(すなわち35kDa)は検出されず、認められる不均質性が異なるグリコシル化の程度に起因していることを示した(レーン5)。PHA活性化リンパ球またはProGMハイブリッドの発現系のいずれか一方によって産生されたGM−CSF型の分子量は、大腸菌(E.coli)に由来するGM−CSF(レーン6)より大きかった。
10μg/mlのツニカマイシンを補ってか、または補わずに培養したProGMハイブリッドの上清を回収し、それぞれ大腸菌に由来するヒトまたはマウスGM−CSFに対するラット抗ヒトGM−CSF抗体またはウサギ抗マウスGM−CSF抗体と共に40℃において一晩にわたってインキュベートした。Protein A-Sepharose(Invitrogen)を加え、さらに室温において3時間にわたってインキュベートした。回収した樹脂を0.15MのNaCl、0.5%のNP−40、10mMのTris−HCl、pH8.0によって完全に洗浄した。結合しているタンパク質をLaemmliサンプル緩衝液によって可溶化し、SDS−PAGEにかけた。図33において示されるように、ProGMハイブリッドによって分泌されたGM−CSFの分子量は、天然に存在している型と類似している18kDaから35kDaに分布する。この不均質性は、2つのN−グリコシル化部位およびいくつかのO−グリコシル化部位における異なるグリコシル化に起因している。ツニカマイシンの存在下において、より大きい分子量のバンドは検出されず、より小さい分子量(18〜22kDa)のタンパク質が蓄積した。このデータは、ProGMハイブリッドに由来するhGM−CSFがヒト糖タンパク質として分泌されることを裏付けている。
9.1.2.ヒト免疫グロブリンの発現
FACSによって決定したとおりの表現型マーカー(さらなる詳細については項目4.4.3参照)有し、項目6.2.2に記載のように核型分類した、抗原を経験したT細胞(CD3CD5)に由来するKWT系統交雑のトリハイブリッド株(KWT−2と称する)を、電気的な細胞ハイブリダイゼーションを介したヒト免疫グロブリンの発現のために用いた。特に、KWT−2系統交雑のトリハイブリッドをこの特定の例においてパートナー細胞株として用いた。項目1.3.3に記載のように単離した、初代培養されたCD40活性化IgM陽性またはIgG陽性B細胞を、ヒトIgの起源として用いた。電気的な細胞ハイブリダイゼーションの手順は項目4.4.2に記載されているKWT系統交雑のトリハイブリッド株の生成のために用いたものと基本的に同様であった。得られたハイブリッドが安定になった後、それらを維持し、ProIMまたはProIG細胞株と名付けた(項目1.1参照)。
ヒト免疫グロブリンの発現の結果
ProIMまたはProIG由来の上清を、IgMまたはIgGの存在について、上述したELISA(項目1.3.3参照)によって分析した。細胞を丸底96ウェルプレートにおいて、1ウェルあたり1×10に播き、標準的な条件下において24時間にわたって培養した。血球計算板およびトリパンブルー排除を用いて、細胞のカウントおよび生存率を行った。その結果を表6Aおよび6Bに要約している。各値は3回にわたる独立した計測の平均値±標準偏差(SD)として示されている。
Figure 2012529270
IgGサブクラスおよび軽鎖の亜型を、ビオチン化されたマウス抗ヒトIgG1(クローンHP6069)、IgG2(クローンHP6002)、IgG3(クローンHP6047)、IgG4(クローンHP6025)(ICN Biomedicals)およびビオチン化されたヤギ抗ヒトκおよびλ鎖(Biosource)を用いて検出した。結合しているビオチン化抗体を、ALPを結合させたストレプトアビジンによって検出した。
その結果は、ProIMおよびProIG細胞によってそれぞれ産生されたIgMおよびIgGの両方がκ軽鎖を有し、IgGがIgG2クラスに属することを示した。
9.1.3.ヒトCD54の発現
ヒトCD54の発現についての方法論
FACSによって決定したとおりの表現型マーカー(さらなる詳細については項目4.4.3参照)を有し、項目6.2.2に記載のように核型分類した、成熟TヘルパーT細胞(CD4)に由来するKWT系統交雑のトリハイブリッド(KWT−1と称する)を、電気的な細胞ハイブリダイゼーションを介したヒトCD54の発現のためにさらに用いた。特に、KWT系統交雑のトリハイブリッドをこの特定の例においてパートナー細胞株として用いた。項目1.3.3に記載のように単離した、初代培養されたヒトCD54陽性のT細胞を、ヒトCD54分子の起源として用いた。ハイブリダイゼーションの手順はKWT系統交雑のトリハイブリッド株の生成のために用いたもの(項目4.4.2参照)と基本的に同様であった。得られたハイブリッドが安定になった後、それらを標準的な培養条件(項目1.1参照)下において細胞株として維持し、ProCD54と名付けた。
hCD54の発現の結果
ProCD54細胞の表面上におけるCD54の発現を、FACS分析を用いることによって確認した。元のKWT系統交雑のトリハイブリッド細胞の100%が、それらの表面上にCD4を発現していた(図19参照)。そのため、ProCD54細胞の表面上におけるCD4の発現を、得られた細胞株の安定性のための基準として用いた。要約すると、100μlの分量あたり1×10の細胞をマウス抗ヒトCD54−FITCおよびマウス抗ヒトCD4−PE抗体を用いて標識し、続いて項目1.3.3.1(CD54T細胞の単離)における記載と同様の手順を行った。ProCD54細胞の表面上におけるCD4およびCD54の発現の典型的なプロファイルを図34aに示す。元のProCD54細胞の約72%が、CD54について陽性であった。一方、CD4の発現のレベルはKWT系統交雑のトリハイブリッド細胞のものよりもやや低いようであったが、100%の細胞がそのCD4の発現を維持していた。適切なゲートを設定した後、中間から高いレベルのCD54の発現を有しているCD4CD54細胞集団(全細胞集団の約42%)を絞り込み、分取した(図34a)。分取した細胞を標準培養培地に再懸濁し、数ヶ月間にわたって培養において維持した。得られた亜系統をProCD54EXと名付けた。次いで、本項目において上述した同様の手順を用いて、この亜系統をそのCD4およびCD54の発現について分析した。ProCD54EXの表面上におけるCD4およびCD54の発現の典型的なプロファイルを図34bに示す。図からわかるように、標準的な条件下における6ヶ月間の培養後、細胞の少なくとも98%がCD4およびCD54の両方の発現を維持していた。さらに、CD54の発現は中間のレベルにおいて均質になった。
製造者の手順にしたがってヒトCD54(ICAM−1)ELISA(R&D systems)を用いることによって、ProCD54およびProCD54EXを同様に、組織培養上清における可溶性のCD54の存在について分析した。培養7日目において少なくとも3回、上清を回収した。KWT系統交雑のトリハイブリッドのパートナー細胞株の上清を陰性対照として用いた。すべての測定を同じサンプルを用いて2回にわたって行った。要約すると、ヒト可溶性ICAM−1に直接的に対するマウスモノクローナル抗体によってマイクロタイタープレートを被覆した。対照、サンプルまたは適切に希釈した基準と共にインキュベートした後、ヒト可溶性ICAM−1に対するセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)を結合させたポリクローナル抗体を加えた。基質および反応停止溶液の添加後、450nmに設定したマイクロプレートリーダーを用いて、各ウェルの吸光度を30分以内に決定した。その結果を表7に要約する。
Figure 2012529270
ProCD54およびProCD54EXから放出された可溶性CD54の分子量をゲル電気泳動およびウェスタンブロット分析によって決定した。要約すると、上清におけるタンパク質の濃度をタンパク質分析(R&D systems)によって決定し、1.8mg/mlに合わせた。電気泳動をSDS−PAGEによって行った。合計30mlのサンプルを、非還元サンプル緩衝液としてゲルにロードした。電気泳動後、タンパク質をフッ化ポリビニリデン膜(Bio-Rad)に転写した。ブロットした膜をTBS−Tween緩衝液(TBST)中の脱脂粉乳(5%)によってブロックし、マウス抗ヒトICAM−1抗体(TBSTにおいて1:100希釈)と共に2時間にわたって振とうした。サンプルをTBSTによって洗浄した後、二次試薬であるHRPを結合させたヤギ抗マウスIgG(1:10000希釈)を加えた。TBSTによる洗浄を繰り返した後、膜を水を用いてリンスした。すべてのインキュベーションを室温において行った。図35は、CD54がProCD54およびProCD54EXの両方の上清において約82kDa(ヒト血清において検出された可溶性のCD54のものと一致する)の単一分子種として存在していることを示す。
ProCD54およびProCD54EX細胞の両方におけるヒトCD54のmRNAの発現をRT−PCRによって確認した。項目5に上述したように、市販のキットを用いて総RNAを抽出し、遺伝子発現のRT−PCR検出を行った。ヒトICAM−1プライマー対[センス鎖、5’-CCGGAAGGTGTATGAACTG-3’;(配列番号5) アンチセンス鎖、5’-TCCATGGTGATCTCTCCTC-3’(配列番号6)]を、実験用および対照のRNAサンプルから逆転写されたcDNAを探すために用いた。シクロフィリンについてのプライマー対を内部対照として各アッセイに含めた[センス鎖、5’- TGTTCTTCGACATTGCCGTCGAC-3’;(配列番号7) アンチセンス鎖、5’- GCATTTGCCATGGACAAGATGCCAGGA-3’(配列番号8)]。PCR反応産物を3%アガロースゲルにおいてエチジウムブロマイドを含んでいるTris−酢酸緩衝液において電気泳動して、UVに誘導された蛍光バンドを撮影し、デジタル化した。図36は、ProCD54およびProCD54EXにおけるヒトICAM−1のmRNAのRT−PCR分析を示す。KWT系統交雑のトリハイブリッド細胞は細胞表面上にCD54を発現していないが、ICAM−1遺伝子の非常に低量の転写を示す。
9.2.所望のタンパク質をコードしている遺伝子によるトリハイブリッドの系統交雑の細胞株のトランスフェクション
多数の従来技術(ベクターを介した遺伝子移入が挙げられる)によって、特定の遺伝子を培養した細胞へ導入し得る。本発明の一実施形態において、トリハイブリッドの系統交雑の細胞に、所望のタンパク質をコードしている遺伝子を一過性にトランスフェクトした。これにより、DNAの取込みから数時間以内に、遺伝子産物(RNAまたはタンパク質のいずれか一方)が得られる。本発明の代替の実施形態において、トリハイブリッドの系統交雑の細胞に、所望のタンパク質をコードしている遺伝子を安定にトランスフェクトした。これは宿主細胞のクロマチンに融合されているプラスミドベクターDNAを含んでいる。
9.2.1.一過性トランスフェクション
成熟B細胞(CD19)および成熟Tヘルパー細胞(CD4)に由来するKBT系統交雑のトリハイブリッド(系統交雑のトリハイブリッド細胞の100%が、FACS(項目4.2.3参照)によって決定されたようにBおよびT細胞の表現型マーカーの両方を共有しており、項目6.2.1に記載のように核型分類された)を、遺伝子トランスフェクション実験のために用いた。系統交雑のトリハイブリッド株の細胞における、所望のタンパク質の一過性トランスフェクションの一実施例として、KBT系統交雑のトリハイブリッドの細胞にヒトIL−4受容体α鎖(hIL4−Rα)をトランスフェクトした。
方法
骨髄サンプルからのPBML細胞の調製については、項目1.3.1に記載されている。100ng/mlの組換えヒトIL−4(R&D systems)と共に標準的な培養条件下において24時間にわたってインキュベートした合計1×10のPBML細胞からhIL4−RαのcDNAをクローンとして増幅させた。総RNAを抽出し(RNeasy Mini Kit,Qiagen)、First Strand cDNA精製キット(Amersham Pharmacia)を用いてcDNAを合成した。hIL4−RαのcDNAを増幅するためにPCRを用いた。センス鎖のプライマー5’-AGGGGCGCGCAGATAATTAAA-3’(配列番号9)
およびアンチセンス鎖のプライマー5’-AGTGGGGCCAATCACCTTCATA-3’(配列番号10)を用いて増幅を行った。2つのBamHI制限部位をhIL4−Rαフラグメントに付加するためにネステッドPCRを用いた[センス鎖のプライマー 5’-GGATCCGCGCAGATAATTAAAGA-3’、(配列番号11) アンチセンス鎖のプライマー 5’-GGATCCAAATCACCTTCATACCAT-3’(配列番号12]。増幅されたcDNAを希釈し、94℃において1分間の最初の変性を行い、続いて94℃において20秒、59℃において45秒、72℃において3分を31サイクル行った。IL4RのcDNAフラグメントをクローニングベクターpGEM−T(Promega)にライゲーションし、JM109コンピテント細胞(Promega)にトランスフェクトした。Plasmid Mini Kit(Qiagen)を用いることによって、プラスミドDNAを調製した。
エレクトロポレーションのために、350μlの完全TC培地(項目1.1参照)に懸濁した7×10のKBT細胞を、30μgのcDNAプラスミドと混合した。Eurogentec Easyject Pulserからの単パルス(25kV/m、1050μF、34〜37m秒のパルス幅)によって、トランスフェクションを行った。その後、6ウェル組織培養プレートにおいて、100ng/mlの組換えhIL4を補った完全TC培地において細胞をインキュベートした。
トランスフェクション後24、48および72時間後に、凍結融解の処理によって細胞抽出物を調製した。トランスフェクトしていないKBTおよびPBML細胞を、それぞれ陰性対照および陽性対照として用いた。細胞抽出物の総タンパク質量をBio-Radタンパク質アッセイ(Bio-Rad Laboratories)を用いて決定した。等しい量の細胞抽出物(約2mg)を、Sapharose 4B fast flow(Sigma)において不溶化された20mgのタンパク質Aを用いて、3μgの抗hIL4−Rα鎖(BD Pharmingen 551894)と共に免疫沈降させた。免疫沈降物を希釈緩衝液において2回にわたって洗浄した(TSA溶液中の0.1%のTriton X−100およびウシヘモグロビン、TSA溶液において1回、およびLaemmli緩衝液によって可溶化させた0.05MのTRIS−Cl(pH6.8)溶液において1回、沸騰させ、TRIS−グリシン4%〜12%のSDS−PAGEによって分離させた。TSA溶液は0.01MのTRIS−Cl(pH8.0)、0.14MのNaClおよび0.025%のアジ化ナトリウムを含んでいた)。いくつかの実験において、細胞抽出物のタンパク質含有物の75μgを、あらかじめの免疫沈降をせずにSDS−PAGEによって直接分離した。
25mMのTRIS、192mMのグリシン、0.1%のSDS、100μMのバナジン酸ナトリウムおよび20%のメタノールを含んでいるTRIS−グリシン緩衝液において、25Vにおいて2時間にわたって、タンパク質をポリアクリルアミドゲルからHybond-ECLニトロセルロース膜(Amersham)上に転写することによって、ウェスタンブロット分析を行った。ブロッキング緩衝液(2.5%の脱脂粉乳、10mMのTRIS−Cl(pH7.5)、100mMのNaClおよび0.1%のTween20)を用いてブロットを1時間にわたって処理し、次いで、ブロッキング緩衝液において2μg/mlのマウス抗hIL4−Rα抗体と共に1時間にわたってインキュベートした。セイヨウワサビペルオキシダーゼを結合させたヒツジ抗マウス免疫グロブリンと共にブロットを1時間にわたってインキュベートし、続いてヨウ素化された基質と共に1分間にわたってインキュベートし、次いで促進された化学発光を検出することによって、結合している抗体を検出した。
結果
図37は、hIL4−Rα鎖を一過性にトランスフェクトしたKBT系統交雑のトリハイブリッド細胞株(トランスフェクション後24、48および72時間)からの細胞抽出物のウェスタンブロット分析を示す。トランスフェクションから24時間後の、hIL4−Rα鎖をトランスフェクトしたKBT細胞においてhIL4−Rα鎖を検出し、hIL4−Rα鎖の発現レベルはトランスフェクションから48および72時間後において次第に増加していた。トランスフェクトしていないKBT細胞をhIL4−Rα鎖に対する陰性対照として用いた。hIL4−RαのcDNAの調整のため用いたヒトPBML細胞からの細胞抽出物を、hIL4−Rα鎖に対する陽性対照として用いた。
9.2.2.安定的トランスフェクション
系統交雑のトリハイブリッド株の細胞における、所望のタンパク質の安定なトランスフェクションの一として、KBT細胞株の細胞にヒトインターロイキン2(hIL−2)遺伝子をトランスフェクトした。
方法
RSVの長い末端繰り返し配列の制御下にラットプレプロインスリンII遺伝子を含んでいるhIL−2発現ベクターpBC12/RSV/IL2(IS)を、トランスフェクションのために用いた。全長のインスリンのリーダー領域および翻訳開始コドンをコードしているインスリン配列が組み込まれている。このキメラのhIL−2のmRNAは、天然型のhIL−2のリーダーおよび開始コドンを含んでいるhIL−2のmRNAよりも、非常に大量のhIL2タンパク質を産生する(Cullen, 1988)。
ジヒドロ葉酸還元酵素の遺伝子配列(dhFr)を、SV40/dhFr遺伝子フラグメントとのライゲーションによって、pBC12/RSV/IL2ベクターに挿入して(Subramani et al., Mol. Cell. Biol. 1:854, 1981)、SV40ウイルス初期領域プロモータの制御下に全長のマウスdhFr遺伝子を含んでいるpBC12/RSV/IL2/dhFrプラスミドを得た。このプラスミドにおいて、hIL−2およびdhFr遺伝子は同じ向きに配置されている。
トランスフェクションの前に、0.1mMのポリサイクリック芳香族炭化水素ラセミ体3a,4b−ジヒドロキシ−1a,2a−エポキシ−1,2,3,4−テトラヒドロベンゼゾ[c]フェナントレン(B[c]PHDE)を用いた90分間にわたる突然変異生成に、培養したKBT細胞を供した(Carothers et al., Proc. Natl. Acad. Sci 87:5464-68, 1990)。dhFr−クローンの選択は、ヒポキサンチンおよびチミジンに対する依存性に基づいており、6日間にわたる発現期間をおいた(Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 77(7): 4216-20, 1980)。得られたdhFr欠損KTB細胞(KBTdhFr−)を、10−4Mのヘポキサンチンおよび10−5Mのチミジンを補った標準培地に維持した。
トランスフェクションにおいて、培養したKBTdhFr−細胞を、PBSを用いて3回にわたって洗浄し、0.8mlのPBSに再懸濁させた。60μgのpBC12/RSV/IL2/dhFrベクターを細胞上清に加え、この上清をプラスチック製のエレクトロポレーションキュベットに移し、氷上において10分間にわたってインキュベートした。Gene-pulserエレクトロポレーション装置(Bio-Rad)による標準的なエレクトロポレーションの手順を用いて75kV/m、25μFにおいて、エレクトロポレーションを行った。パルスを与えた後、キュベットを氷上において10分間にわたってインキュベートした。次いで、細胞をフラスコの中へ移し、ヘポキサンチンおよびチミジンを含んでいない標準培地において培養した。生き残った細胞を単一細胞クローニング技術(項目1.1.2参照)を用いてクローン化させ、樹立した株をhIL−2に分泌について評価した。
結果
トランスフェクトしたKBT(KBT TR−IL2)細胞におけるhIL−2のmRNAの発現を、hIL−2に特異的なプライマーを用いたPCRによって確認した。磁気ビーズ分取によってPBMLから得たヒトCD8T細胞(項目1.3.3.5に記載されている)、およびジャーカット細胞株、クローンE6−1を、陽性対照として用いた。K562細胞、およびトランスフェクトしていないKBTハイブリッド細胞を、陰性対照として用いた。製造者の手順にしたがってRNeasy Miniキット(Qiagen)における種々の処理をした後、トランスフェクトしたKBT細胞から総RNAを抽出した。次のプライマーは、公知の配列に基づいて用いたhIL−2プライマーである(Wang et al, 1989):
5’プライマー= 5’-GAATGGAATTAATAATTACAAGAATCCC-3’(配列番号13)
3’プライマー= 5’-TGTTTCAGATCCCTTTAGTTCCAG-3’(配列番号14)
増幅を35サイクルにわたって行った。PCRサイクルは、94℃において40秒、hIL2に対する55℃のアニーリング温度、続く72℃における40秒間の伸長からなっていた。PCR産物を2%のアガロースゲルにおいてエチジウムブロマイドによって可視化した。その結果を図38に示す。発現のレベルは、CD8ヒトTリンパ球およびジャーカット細胞から得られたものと類似している。トランスフェクトしていないKBT細胞およびK562細胞を陰性対照として用いた。
BD FastImmune(登録商標) CD4 intracellular IL-2 Detection Kit(BD Pharmingen)を製造者の手順にしたがって用いて、細胞内IL−2を検出した。BD FACSCaliburを用いて、FACS分析を行った。まず、前方散乱および側方散乱だけでなく前方散乱および蛍光閾値に基づいて、CD4細胞を絞り込んだ。続いて、CD69(活性化CD4T細胞)および細胞内IL−2の発現に基づいて絞り込んだ集団を分析した。KBT TR−IL2細胞におけるIL−2発現のFACSプロファイルを図39に示す。トランスフェクトしていないKBT細胞を対照として用いた。KBT細胞の約41%がCD69活性化分子について陽性であった。KBT TR−IL2細胞の92%が、細胞内hIL−2について陽性に染色されていた(R1+R2)。hIL−2陰性細胞はCD69陽性集団の一部であったが、CD69陰性細胞は細胞内hIL2に対して全て陽性であった。
トランスフェクションから30日後および90日後におけるhIL−2の分泌をELISAによって確認した。要約すると、hIL−2をトランスフェクトした1×10のKBT細胞を、24ウェル組織培養プレートにおいて、37℃において24時間にわたってインキュベートした。上清を回収し、hIL−2の活性をhIL−2 ELISAキット(R&D systems)によって測定した。上清を希釈して、hIL−2 ELISAキットの検出範囲に合わせた。組換えhIL−2(R&D systems)を陽性対照として用いた。ELISA分析は、hIL−2の分泌速度が660ng/10/24時間から3300ng/10/24時間に分布していることを示した。
hIL2を安定的にトランスフェクトされhIL2を分泌している得られたKBT細胞株をProL2と名付けた。
9.3.ハイブリダイゼーションおよびトランスフェクションを組み合わせた標的タンパク質の同時発現
トリハイブリッド系を用いる同時のタンパク質発現の一例として、hIgMを発現させるためにトリハイブリッド細胞をヒトsIgMCD25Bリンパ球とハイブリダイズし、続いてhIL−2を用いて安定にトランスフェクトした。hIgMおよびhIL−2の両方を安定に発現しているハイブリッド細胞系に、さらにhIL−4Rαを一過性にトランスフェクトした。この実施例において、hIgMは第1のタンパク質に相当し、hIL−2は同時に発現される第2のタンパク質に相当し、hIL−4Rαは同時に発現される第3のタンパク質に相当した。代替的に、トリハイブリッド細胞に対してhIL−2を安定にトランスフェクトし、続いてヒトshIgMCD25B細胞との体細胞ハイブリダイゼーションを行った。hIL−2およびhIgMの両方がハイブリッド細胞系から発現されることを確認した後、このハイブリッド細胞系に、さらにhIL−4Rαを一過性にトランスフェクトした。この実施例において、hIL−2は第1のタンパク質に相当し、hIgMは同時に発現される第2のタンパク質に相当し、hIL−4Rαは同時に発現される第3のタンパク質に相当した。
9.3.1.細胞の調製
成熟B細胞(CD19)および成熟TヘルパーT細胞(CD4)に由来するKBT系統交雑のトリハイブリッド(系統交雑のトリハイブリッド細胞の100%が、FACSによって決定したようにB細胞およびT細胞の両方の表現型マーカーを共有しており(項目4.2.3参照)、項目6.2.1に記載のように核型分類された)を、これらの実験に用いた。いくつかの実施例において、項目9.2.2に記載されている突然変異生成の工程に由来し、10−4Mのヘポキサンチンおよび10−5Mのチミジンを補った標準培地に維持したdhFr欠損KBT細胞(KBTdhFr−)を実験に用いた。また、hIL−2をトランスフェクトした細胞株KBT TR−IL2(項目9.2.2参照)もいくつかの例に用いた。
項目1.3.3に記載のようにPBMCから単離し、項目2.2に記載のようにCD40の経路によって活性化された、初代培養されたCD40活性化sIgM陽性B細胞を、ハイブリダイゼーションのためのヒトsIgM B細胞の起源として用いた。また、これら特定の実験のために、sIgMB細胞の単離は、培養の5日後におけるCD25(ヒトIL−2受容体)の同時の、FACSを用いた表面発現に基づいていた。項目1.3.3.5に記載のようにMACS CD4 Multisortキットを用いて、CD8T細胞を胸腺から単離した。
9.3.2.第1のタンパク質の産生または第2のタンパク質の共発現のための体細胞ハイブリダイゼーション
KBT細胞またはKBTdhFr−細胞もしくは株KBT TR−IL2細胞とshIgMCD25B細胞(記憶B細胞の一部)との間の電気的な細胞ハイブリダイゼーションの手順は、基本的に、項目4.4.2に記載されているKBT系統交雑のトリハイブリッド株の生成のために用いたものと同様であった。得られたハイブリッドが安定になった後、それらを項目1.1に記載のように維持した。得られたハイブリッドによるshIgMおよびCD25の共発現をFACS分析によって確認し(図62参照)、hIgMの産生をELISAによって分析した。また、KBT TR−IL2細胞をshIgMCD25B細胞とのハイブリダイゼーションに用いた場合において、hIL−2の産生をhIgMと同時に分析した。
9.3.3.第2のタンパク質の安定なトランスフェクション
hIL−2を用いた系の安定なトランスフェクションの前に体細胞ハイブリダイゼーションを行うときに、hIgM産生系に、項目9.2.2に記載の方法論を用いてhIL−2をトランスフェクトした。hIgMおよびhIL−2の両方の同時産生をELISAによって確認した。
9.3.4.第3のタンパク質の一過性トランスフェクション
hIgMおよびhIL−2の両方を分泌している安定なハイブリッド系をさらに、項目9.2.1の記載と同様の方法を用いて、hIL−4Rα遺伝子を用いたエレクトロポレーションによって、一過性にトランスフェクトした。hIgM、hIL−2およびhIL−4Rαの共発現をELISAによって確認した。
結果
同じハイブリッド細胞系の細胞によって同時に発現および共発現されている3つのタンパク質の産生レベルを、表7aおよび表7bに要約している。分析のために、細胞を24ウェルプレートにおいて、1つのタンパク質の発現のために0.5×10/mlの密度まで成長させ、2つのタンパク質の発現のために1.2×10/mlの密度まで成長させ、3つのタンパク質の発現のために3.2×10/mlの密度まで成長させた。この系は3つのタンパク質を同時に産生可能なだけでなく、第1のタンパク質の産生レベルを第2のタンパク質の共発現にしたがって増加させ、第3のタンパク質の発現によってさらに増加させた。同様の方法において、第2のタンパク質の産生は第3のタンパク質の発現によって増加した。
Figure 2012529270
<実施例10>
10.ProGMハイブリッドの生成のための無血清培養条件への順応
市販の製品としてのProGMハイブリッド細胞の頑強性を証明するために、1.2Lの使用可能量(working volume)を有しているスピナーフラスコに培養量を拡大し、無血清の環境に培養的に順応させた。
方法論
FCS含有量を7.5、5.0、2.5、1.0、0.5および0%まで徐々に減らすことによって、hGM−CSFを最も多く産生しているProGMハイブリッドのクローンを、無血清の環境において成長するように順応させた。最も頑強な細胞成長および上記hGM−CSFの産生を示している継代培養物のみを、連続して低くなる血清の環境に移した。選択した各継代培養物を、保存用の5%のDMSOを含んでいる我々の標準培地において冷凍した。2つの無血清培養培地を順応の目的のために用いた。市販の無血清および無タンパク質の限定培地Hybri-Max(Sigma)またはExcel(JHR)をいくつか改変して用いた。細胞の生存率を7日目にトリパンブルー排除によって評価した。hGM−CSFの濃度を同日にELISAによって決定した。
結果
無血清培養条件への順応の結果を表8に示す。
Figure 2012529270
ProGMハイブリッドのすべての継代培養物において、hGM−CSFの産生は、血清およびタンパク質含有量の減少と共に増加した。無血清培養における低い細胞密度にもかかわらず、無血清培地中のhGM−CSFの量は、標準的な培養条件下において得られたものよりも約4倍多かった。細胞濃度に対して標準化すると、hGM−CSFの産生速度は15倍まで増加した。
<実施例11>
11.1.スピナーフラスコにおける産生
方法論
1.2Lの使用可能量を有しているスピナーフラスコを、50rpmにおいて攪拌した。無血清の環境における成長について順応したProGMハイブリッド細胞(ProGMsf)を1×10/mlの濃度において播いた。5%のCOを含んでいる加湿した雰囲気、37℃において、培養物をインキュベートした。達成した最大の細胞密度は5×10/mlであった。トリパンブルー排除法を用いて生細胞を判定した。毎日の培地交換を、9日目まで行った。細胞上清(600ml)を1000rpmにおいて10分間にわたって遠心分離し、培地を除去して新鮮な培地と交換し、細胞をスピナーフラスコに戻した。分泌されたhGM−CSFの濃度をELISAによって決定した。1:500に希釈した100μlのラット抗ヒトGM−CSF(R&D)を用いて、各ウェルを被覆した。0.05%v/vのTween20を含んでいるPBT(PBS−T)を用いて洗浄した後、100μlのPBS−5%v/vのBSAにおける標準のrhGM−CSF(Invitrogen)(0.195〜200ng/mlの範囲に及ぶ)またはそれぞれ100倍希釈した100μlのサンプルを、ウェルに加えた(2回分ずつ)。すべてのインキュベーションを37℃において1時間行った。その後、PBS−Tを用いてプレートを洗浄し、PBS−BSA−Tにおいて1:1000に希釈した100μlのウサギ抗ヒトGM−CSF(R&D)抗体を加え、インキュベーションおよび洗浄をした後、同じ緩衝液において1:1000に希釈した100μlのヤギ抗ウサギ免疫グロブリン−HRP結合体を加えた。もう一度、プレートをインキュベートおよび洗浄し、100μlの基質を加えた。450nmにおける吸光度を測定した。
結果
1mlあたり5×10という比較的に低い細胞密度は、ProGMsfの細胞成長に対する最適下限の培養条件を示している。より高い密度(10細胞/mlの次数の)を得るためには、グルコース含有量および他の補完物を含んでいる培養条件のさらなる最適化を必要とし得る。また、乳酸塩およびアンモニウムの含有量の綿密なモニタリング(close monitoring)が妥当とされている。最適下限の成長にもかかわらず、培養上清中のhGM−CSFの濃度は、1mlあたり2.8から4.2μgの間に分布した。細胞密度および時間について標準化した場合、ProGMsfは、0.6から0.9μgのhGM−CSF/ml/10/24時間の産生速度を示した。比較として、CHO細胞における0.3μgのタンパク質/ml/10/24時間の産生は高いとみなされている。
11.2.ProGMハイブリッド細胞株によって産生されたヒトGM−CSFの精製
方法論
ProGMsf培養物由来の上清を40℃においてPM−10膜(Amicon)を用いて約10倍に濃縮した。大腸菌由来のヒトGM−CSFに対するラット抗ヒトGM−CSFをAffi−Gel 10(Bio-Rad)に対して製造者の手順にしたがって結合させ、PBS(137mMのNaCl、3mMのKCl、8mMのNaHPO、1.5mMのKHPO)を用いて平衡化させることによって調製した免疫アフィニティーカラムに、サンプル濃縮物をロードした。0.1mMのクエン酸ナトリウム、pH2.8を用いて、結合させタンパク質を溶出させた。次いで、アフィニティーカラムから溶出したタンパク質を、RP 300 HPLCカラムにロードし、0.1ml/分の流速において、60分間にわたって、0〜60%のアセト硝酸塩勾配を用いて溶出させた。得られた溶出プロファイルを図40に示す。RP−HPLCから回収された部分をELISA、銀染色およびウェスタンブロット分析のために集めた。
結果
表9は、典型的な二段階精製からのhGM−CSFの回収を示す。アフィニティーカラムからの最初の回収率はわずか59%であり、わずか2%のhGM−CSFがRPHPLC後に失われた。アフィニティー精製後の低い回収率の原因となっている複数の可能性が存在する。hGM−CSFの13%が貫流および洗浄の段階において失われたため、アフィニティーカラムの結合容量がProGMsfの上清中のhGM−CSFの量より小さくなり得る。低い回収率は、ProGMsfハイブリッドによって産生されたhGM−CSFのグリコシル化型と比較して、大腸菌由来のhGM−CSFに対するラット抗体の親和性が低いことにも起因し得る。最終的な収率についての考え得る他の改良は、より最適化された溶出条件の開発であり得る。図41において(項目12参照)、RP−HPLC後に回収した画分のウェスタンブロットは、hGM−CSfが画分24〜36(24〜36分において溶出している)において溶出したことを明らかにした。高い分子量型(28〜32kDa)は画分24から27において溶出し、一方で、より低い分子量の分子(18〜22kDa)は画分34から36において溶出した。これらのクロマトグラフィーの条件は、hGM−CSFの異なる分子量型を(特に高い分子量および中間の分子量の画分において)完全には分離しなかった。
銀染色によって得られたプロファイルおよびウェスタンブロットプロファイルは基本的に同一であり、hGM−CSF関連タンパク質のみがアフィニティーカラムに結合することを示唆していた。天然のhGM−CSFにおいて様々な分子量の分子種がみられた。
Figure 2012529270
<実施例12>
12.グリコシダーゼによる消化
方法論
ProGMsfハイブリッドに由来する精製したヒトGM−CSFを、1%のSDS、1MのP−メルカプトエタノール、100mMのリン酸ナトリウム、pH7.0において、100℃において3分間にわたって熱変性させ、0.8UのシークエンスグレードのPNGアーゼF(Sigma)を加え、37℃においてさらなる長時間にわたってインキュベートした。
結果
図43にみられるように、N−消化後、ProGMsfハイブリッドに由来するhGM−CSF型は時間に依存して、大腸菌に由来するhGM−CSFに近い位置に移動した。しかし、消化後の何れのバンドも大腸菌によって産生された非グリコシル化型と一致しなかった。これらの結果は、ProGMsfハイブリッドに由来するhGM−CSFがN−グリコシル化部位およびO−グリコシル化部位の両方においてグリコシル化されること、ならびに分子量の分布が不均質なグリコシル化によって引き起こされることを示唆する。hGM−CSFのすべての分子におけるO−グリコシル化のこの発見は、保護されていないO−グリコシル化部位の免疫原性の観点から重要である;O−グリコシル化を欠いている組換えヒトGM−CSFは、臨床試験において抗体を発達させることが報告されている。
このデータは、ProGMsfハイブリッド細胞がN−グリコシル化部位に依存して3つのクラスのhGM−CSFを分泌することを示唆する:両方の部位がグリコシル化されている分子(25〜35kDa、2N型);一方の部位がグリコシル化されている分子(20〜25kDa、1N型);および何れの部位もグリコシル化されていない分子(18〜20kDa、0N型)。
特定の例を参照して本発明について説明しているが、本明細書に記載の本発明の広範な原理および精神にしたがって、本発明は多くの他の形態として具体化され得ることが、当業者によって適切に理解されるであろう。
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同定および分取−精製したCD71K562細胞を示す図である。 CD15およびCD71陽性K562細胞のFACSプロファイルを示す図である。 CD34AML単核細胞上におけるCD15の発現を示す図である。 CD16のFACSプロファイルおよびCD14磁気ビーズ(MACS)によって単離したCD14細胞の異なる集団に対する分取ゲートを示す図である。 マウス抗ヒトCD19およびマウス抗ヒトCD5抗体を用いて染色した臍帯血単核細胞のFACSプロファイルを示す図である。 マウス抗ヒトCD3およびマウス抗ヒトCD5抗体を用いて染色した単核の臍帯血細胞のFACSプロファイルを示す図である。 マウス抗ヒトCD20およびマウス抗ヒトCD72抗体を用いて染色した骨髄単核細胞のFACSプロファイルを示す図である。 CD3およびCD54に対する扁桃単核細胞の典型的なFACSプロファイルを示す図である。 IgMおよびIgG陽性な培養したリンパ球の同定を示す図である。 骨髄およびリンパ球起源の発癌遺伝子を有しているKMWトリハイブリッド細胞上におけるCDの発現のFACSプロファイルを示す図である。 初代培養された混合の脾臓リンパ球、分取したCD4およびCD19の集団、ならびに得られたKBTトリハイブリッド細胞株上におけるCD4およびCD19の発現を示す図である。 不死の骨髄細胞、および抗原を経験した、初代培養された2つのリンパ球に由来するKBTトリハイブリッド上におけるCD19、CD3およびCD5の発現を示す図である。 骨髄および胸腺に由来する不死の骨髄細胞および初代培養された2つのリンパ球に由来するKBTトリハイブリッド上におけるCD4、CD8、CD72およびCD20の表面発現を示す図である。 リンパ球供給源の発癌遺伝子ならびに初代培養された細胞由来のCD4およびCD14を有しているWTMトリハイブリッド株上におけるCDの発現のFACSプロファイルを示す図である。 リンパ球供給源WIL2−NSの発癌遺伝子、抗原を経験したT細胞に由来するCD5および初代培養された単球細胞に由来するCD14を有しているWTMトリハイブリッド細胞上におけるCDの発現の典型的なFACSプロファイルを示す図である。 リンパ球供給源WIL2NSの発癌遺伝子、細胞傷害性T細胞に由来するCD8および初代培養された単球細胞に由来するCD14を有しているWTMトリハイブリッド細胞上におけるCDの発現のFACSプロファイルを示す図である。 ダブルCDポジティブなT細胞に由来するWTMトリハイブリッド細胞上におけるCD4およびCD8の共発現のFACSプロファイルを示す図である。 骨髄単球性の前駆細胞に由来するWTMトリハイブリッド細胞の表面上におけるCDの発現を示す図である。 CD4エフェクターT細胞に由来するKWTトリハイブリッド細胞の系統特異的なマーカーの発現 二重陽性CD4CD8T細胞に由来するKWTトリハイブリッド細胞の系統特異的なマーカーの発現を示す図である。 CD5の抗原を経験したT細胞に由来するKWTトリハイブリッド細胞の系統特異的なマーカーの発現を示す図である。 それぞれリンパ球の発癌遺伝子を含んでいる2つの細胞および初代培養された1つの単球細胞に由来するWWMトリハイブリッド細胞の典型的なCD発現プロファイルを示す図である。 WWMトリハイブリッド細胞の異なる亜集団から得たCD14についてのリプレセンティブRT−PCR(representative RT-PCR)を示す図である。 K562細胞の単一クローンの核型分類を示す図である。 WIL2NS細胞株の5つのクローンのうちの1つの核型分類を示す図である。 KBT−1(CD19)および(CD4)トリハイブリッド株の核型分類を示す図である。 KBT(K562、CD20CD72およびCD4CD8細胞)系統交雑のトリハイブリッド(すなわちKBT−2系統交雑の)のクローン1の核型分類を示す図である。 KBT(K562、CD20CD72およびCD4CD8細胞)系統交雑のトリハイブリッド(すなわちKBT−2系統交雑の)のクローン2の核型分類を示す図である。 KBT(K562、CD20CD72およびCD4CD8細胞)系統交雑のトリハイブリッド(すなわちKBT−2系統交雑の)のクローン3の核型分類を示す図である。 KBT(K562、CD20CD72およびCD4CD8細胞)系統交雑のトリハイブリッド(すなわちKBT−2系統交雑の)のクローン4の核型分類を示す図である。 KWT−1トリハイブリッド株(不死の骨髄細胞およびBリンパ球ならびに初代培養された成熟CD4Tヘルパー細胞に由来するKWTトリハイブリッド)の核型分類を示す図である。 KWT−2(不死の骨髄細胞およびBリンパ球ならびに初代培養された記憶CD3CD5T細胞に由来するKWTトリハイブリッド株)の核型分類を示す図である。 KWT−3トリハイブリッド株(不死の骨髄細胞およびBリンパ球ならびに初代培養された二重陽性CD4CD8T細胞に由来するKWTトリハイブリッド)のクローン1の核型分類を示す図である。 KWT−3トリハイブリッド株(不死の骨髄細胞およびBリンパ球ならびに初代培養された二重陽性CD4CD8T細胞に由来するKWTトリハイブリッド)のクローン2の核型分類を示す図である。 KWT−3トリハイブリッド株(不死の骨髄細胞およびBリンパ球ならびに初代培養された二重陽性CD4CD8T細胞に由来するKWTトリハイブリッド)のクローン3の核型分類を示す図である。 WWMトリハイブリッドの核型分類を示す図である。 WWMトリハイブリッドのCD14に富んでいる亜系統の核型分類を示す図である。 ProGM培養物由来の上清のウェスタンブロットを示す図である。 ProGMハイブリッド株によって産生されたヒトGM−CSFのゲル電気泳動を示す図である。 ProCD54細胞株およびそのCD54に富んでいる亜系統であるProCD54EXの表面上におけるCD4およびCD54の発現を示す図である。 ProCD54およびProCD54EX細胞によって分泌された可溶性のヒトCD54のウェスタンブロットを示す図である。 ProCD54およびProCD54EX細胞におけるICAM−1遺伝子発現のRT−PCR分析を示す図である。 hIL4−Rα鎖を一過性にトランスフェクトしたKBTトリハイブリッド細胞株(トランスフェクションから24、48および72時間後における)由来の細胞抽出物のウェスタンブロット分析を示す図である。 hIL−2をトランスフェクトしたKBTトリハイブリッド細胞におけるhIL−2のmRNAの検出についてのPCR量を示す図である。 (a)元のKBTトリハイブリッド細胞および(b)KBT TR−IL2細胞における細胞内hIL−2についてのFACS分析を示す図である。 RP−HPLC続いてhGM−CSFに対するアフィニティー吸収の後の得られた溶出プロファイルを示す図である。 RP−HPLC続いてhGM−CSFに対するアフィニティー免疫吸収の後に回収された画分のSDS−PAGE(下図)およびウェスタンブロット(上図)を示す図である。 PHA活性化ヒトリンパ球の培養の培養物由来のCD4細胞の分離を示す図である。 Pro−GMsfに由来する脱グリコシル化hGM−CSFのゲル電気泳動を示す図である。 マウス骨髄腫Sp2細胞株のTfR細胞の同定および分取を示す図である。 抗マウスCD4およびCD8を用いて染色した(a)末梢血および(b)脾臓由来のマウス単核細胞のFACSプロファイルを示す図である。 磁気ビーズを用いた負の選択によって末梢血から単離したマウス単球の純度プロファイルを示す図である。 1つのリンパ球の不死の細胞Sp2、初代培養されたマウスCD4T細胞およびCD11b単球に由来するSTmMmトリハイブリッド上におけるCD138、CD4およびCD11bの発現のFACSプロファイルを示す図である。 1つのマウスリンパ球の不死の細胞Sp2、初代培養されたウス細胞傷害性CD8T細胞およびマウスCD11b単球に由来するSTmMmトリハイブリッド上におけるCD138、CD8およびCD11bの発現の典型的なFACSプロファイルを示す図である。 1つのマウスリンパ球の不死の細胞Sp2、初代培養された1つのマウス二重陽性CD4CD8T細胞および初代培養された1つのマウスCD11b単球に由来するSTmMmトリハイブリッド上におけるCD138、CD8およびCD11bの発現の典型的なFACSプロファイルを示す図である。 1つのマウスリンパ球の不死の細胞Sp2、初代培養された1つのマウス二重陽性CD4CD8T細胞および初代培養された1つの単球に由来するSTmMmトリハイブリッドの表面上におけるCD4およびCD8の発現の典型的なプロファイルを示す図である。 SSMmトリハイブリッドの表面上におけるCD138およびCD11bの発現の典型的なプロファイルを示す図である。 SWMm(a)およびSWMh(b)トリハイブリッドの表面上のヒトCD71およびマウスTfRの発現の典型的なプロファイルを示す図である。 SWMm(a)およびSWMh(b)トリハイブリッド上のマウスCD138の発現およびマウスCD11bまたはヒトCD14の典型的なプロファイルを示す図である。 SWMhキメラトリハイブリッドの表面上のヒトCD19およびヒトCD14の発現のFACSプロファイルを示す図である。 単一細胞の操作/供給系を示す図である。 ガラス製マイクロピペットを示す図である。 微小電極を示す図である。 2つの平行な微小電極を示す図である。 組織培養プレートのウェルにおける2つの微小電極を示す図である。 2つの微小電極の中間に3つの細胞を含んでいるウェルの上面図を示す図である。 図60のウェルの側面図を示す図である。 1つのKBT細胞および1つのshIgMCD25B細胞のハイブリダイゼーションによって生成したハイブリッド細胞の表面上におけるCD25およびsIgMの発現(第2のタンパク質hIL−2の安定的トランスフェクションの前(A)および後(B))を示す図である。

Claims (65)

  1. 未拘束の前駆細胞に由来する細胞、または幹細胞であり、骨髄腫細胞ではない第1の細胞;
    リンパ系の共通前駆細胞に由来する第2の細胞;ならびに
    リンパ系の共通前駆細胞に由来する第3の細胞
    のハイブリダイゼーションによって生成された、ハイブリッド細胞。
  2. 上記第2の細胞がBリンパ球系統に由来する細胞であり、上記第3の細胞がBリンパ球系統に由来する細胞である、請求項1に記載のハイブリッド細胞。
  3. 上記第2の細胞がTリンパ球系統に由来する細胞であり、上記第3の細胞がTリンパ球系統に由来する細胞である、請求項1に記載のハイブリッド細胞。
  4. 上記第2の細胞がBリンパ球系統に由来する細胞であり、上記第3の細胞がTリンパ球系統に由来する細胞である、請求項1に記載のハイブリッド細胞。
  5. 上記第1の細胞が骨髄性の共通前駆細胞に由来する細胞である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  6. 骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞が、骨髄単球性の前駆細胞、単球、マクロファージ、好酸球、好中球、樹状細胞または好塩基球である、請求項5に記載のハイブリッド細胞。
  7. 骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞が、以下のCD抗原:CD16、CD15またはCD14のうち少なくとも1つを提示している、請求項5に記載のハイブリッド細胞。
  8. 骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞が単球である、請求項5に記載のハイブリッド細胞。
  9. 骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞が初代培養された骨髄単球性の前駆細胞である、請求項5に記載のハイブリッド細胞。
  10. 骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞が不死化された細胞である、請求項5に記載のハイブリッド細胞。
  11. 骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞が、脾臓、末梢血、臍帯血または骨髄に由来するものである、請求項5に記載のハイブリッド細胞。
  12. Bリンパ球系統に由来する上記細胞が、プレB細胞、未成熟なB細胞、ナイーブB細胞、活性化B細胞またはエフェクターB細胞である、請求項2または4に記載のハイブリッド細胞。
  13. 上記エフェクターB細胞が、抗原を経験したB細胞またはプラズマ細胞である、請求項12に記載のハイブリッド細胞。
  14. Bリンパ球系統に由来する上記細胞が、以下のCD抗原:CD19、CD20、CD72またはCD5のうち少なくとも1つを提示している、請求項2または4に記載のハイブリッド細胞。
  15. Tリンパ球系統に由来する上記細胞が、前T細胞、未成熟T細胞、ナイーブT細胞、活性化T細胞またはエフェクターT細胞である、請求項3または4に記載のハイブリッド細胞。
  16. Tリンパ球系統に由来する上記細胞が、以下のCD抗原:CD3、CD4、CD5またはCD8のうち少なくとも1つを提示している、請求項3または4に記載のハイブリッド細胞。
  17. Bリンパ球系統に由来する上記細胞が不死化された細胞である、請求項2または4に記載のハイブリッド細胞。
  18. Tリンパ球系統に由来する上記細胞が不死化された細胞である、請求項3または4に記載のハイブリッド細胞。
  19. Bリンパ球系統に由来する上記細胞がリンパ組織に由来するものである、請求項2または4に記載のハイブリッド細胞。
  20. Tリンパ球系統に由来する上記細胞がリンパ組織に由来するものである、請求項3または4に記載のハイブリッド細胞。
  21. 上記リンパ組織が、末梢血、臍帯血、脾臓、骨髄、胸腺、扁桃腺、咽頭扁桃腺および所属リンパ節から選択される、請求項19または20に記載のハイブリッド細胞。
  22. 上記細胞の少なくとも1つがヒト細胞である、請求項1〜21のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  23. 上記細胞の少なくとも1つがマウス細胞である、請求項1〜22のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  24. 骨髄性の共通前駆細胞に由来する上記細胞がK562細胞である、請求項5に記載のハイブリッド細胞。
  25. 上記第2の細胞または上記第3の細胞が、WIL2−NS細胞またはMOLT4細胞である、請求項1に記載のハイブリッド細胞。
  26. Bリンパ球系統に由来する上記細胞が、WIL2−NS細胞である、請求項2または4に記載のハイブリッド細胞。
  27. 上記Tリンパ球系統に由来する上記細胞が、MOLT4細胞である、請求項3または4に記載のハイブリッド細胞。
  28. 上記第1の細胞がK562細胞であり、上記第2の細胞がWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞がMOLT4細胞である、請求項1または4に記載のハイブリッド細胞。
  29. 上記第1の細胞がK562細胞であり、上記第2の細胞が初代培養されたB細胞であり、上記第3の細胞が初代培養されたT細胞である、請求項1または4に記載のハイブリッド細胞。
  30. 上記第1の細胞が初代培養されたヒト単球であり、上記第2の細胞がWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞が初代培養されたT細胞である、請求項1または4に記載のハイブリッド細胞。
  31. 上記第1の細胞が初代培養されたヒト骨髄性の共通前駆細胞であり、上記第2の細胞がWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞が初代培養されたヒトT細胞である、請求項1または4に記載のハイブリッド細胞。
  32. 上記第1の細胞がK562細胞であり、上記第2の細胞がWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞が初代培養されたT細胞である、請求項1または4に記載のハイブリッド細胞。
  33. 上記第1の細胞が初代培養された単球であり、上記第2の細胞がWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞がWIL2−NS細胞である、請求項1または2に記載のハイブリッド細胞。
  34. 上記第1の細胞が初代培養されたマウス単球であり、上記第2の細胞がSP2細胞であり、上記第3の細胞が初代培養されたマウスT細胞である、請求項1または4に記載のハイブリッド細胞。
  35. 上記第1の細胞が初代培養されたマウス単球であり、上記第2の細胞がSP2細胞であり、上記第3の細胞がSP2細胞である、請求項1または2に記載のハイブリッド細胞。
  36. 上記第1の細胞が初代培養されたヒトまたはマウス単球であり、上記第2の細胞がWIL2−NS細胞であり、上記第3の細胞がSP2細胞である、請求項1または2に記載のハイブリッド細胞。
  37. 所望のタンパク質の1つを発現している、請求項1〜36のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  38. 所望のタンパク質の2つ以上を発現している、請求項1〜36のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  39. 所望のタンパク質の2つを発現している、請求項38に記載のハイブリッド細胞。
  40. 所望のタンパク質の3つを発現している、請求項38に記載のハイブリッド細胞。
  41. 上記タンパク質が内在性タンパク質である、請求項37に記載のハイブリッド細胞。
  42. 上記タンパク質のうち少なくとも1つが内在性タンパク質である、請求項38〜40のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  43. 上記タンパク質が組換えタンパク質である、請求項37に記載のハイブリッド細胞。
  44. 上記タンパク質のうち少なくとも1つが組換えタンパク質である、請求項38〜40のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  45. 上記タンパク質がサイトカインである、請求項36〜44のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  46. 上記タンパク質がコロニー刺激因子である、請求項37〜44のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  47. 上記タンパク質がインターロイキンである、請求項37〜44のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  48. 上記タンパク質がGM−CSFである、請求項37〜44のいずれか1項または46に記載のハイブリッド細胞。
  49. 上記タンパク質がインターロイキン2である、請求項37〜44のいずれか1項または47に記載のハイブリッド細胞。
  50. 上記タンパク質が受容体またはそのフラグメントである、請求項37〜44のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  51. 上記タンパク質が可溶性の受容体である、請求項37〜44のいずれか1項または50に記載のハイブリッド細胞。
  52. 上記タンパク質がヒトIL−4受容体α鎖である、請求項36〜44のいずれか1項または50に記載のハイブリッド細胞。
  53. 上記タンパク質が免疫グロブリンである、請求項36〜44のいずれか1項または50に記載のハイブリッド細胞。
  54. 上記免疫グロブリンがIgMである、請求項53に記載のハイブリッド細胞。
  55. 上記免疫グロブリンがIgGである、請求項53に記載のハイブリッド細胞。
  56. 上記タンパク質がCD54である、請求項37〜44のいずれか1項または51に記載のハイブリッド細胞。
  57. 上記ハイブリダイゼーションが電気的手段によってなされる、請求項1〜56のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  58. 上記ハイブリダイゼーションが化学的手段によってなされる、請求項1〜56のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  59. 所定のタンパク質を発現している細胞とさらにハイブリダイズされた、請求項1〜58のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  60. 上記ハイブリダイゼーションが個々の細胞3つをハイブリダイズすることによって行われる、請求項1〜58のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  61. 上記ハイブリダイゼーションが3つの細胞集団を用いて行われ、当該集団のそれぞれが同一の細胞型を複数含んでいる、請求項1〜58のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  62. 所望の翻訳後修飾または所望の機能性を示すタンパク質の発現を可能にするために、特定の細胞型を特徴付けるマーカーに関して濃縮されている、請求項1〜61のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞。
  63. 請求項1〜62のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞を生成する方法であって、
    未拘束の前駆細胞に由来する細胞または幹細胞であり、骨髄腫細胞ではない第1の細胞;
    リンパ系の共通前駆細胞に由来する第2の細胞;ならびに
    リンパ系の共通前駆細胞に由来する第3の細胞
    をハイブリダイズする工程を包含している、方法。
  64. 請求項1〜62のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞においてタンパク質を発現させる工程を包含している、タンパク質を製造する方法。
  65. 請求項1〜62のいずれか1項に記載のハイブリッド細胞において生産された、タンパク質。
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