JP2012520999A - 磁化ボールの回転を磁気測定するための装置およびそのボールの回転を測定する方法 - Google Patents

磁化ボールの回転を磁気測定するための装置およびそのボールの回転を測定する方法 Download PDF

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Abstract

回転を測定するための装置は少なくとも1つのボール(1)を備え、各ボールは、双極子磁化を示すように磁化されるかまたは一時磁化を有する。ボール(1)はフレーム(10)の受け部(6)の中で自由回転し、装置は、上記少なくとも1つのボール(1)によって、少なくとも3本の同一平面上にない異なる方向の軸に沿って作られる磁場の検出手段(5)を備える。

Description

本発明は、少なくとも1つのボールを備える測定装置に関する。
本発明は、ボールの回転を測定する方法も対象とする。
ボールの回転を測定するには様々な方法がある。第1の解決法が、例えば、従来のボールマウスに見られるものであり、ボールの表面に対して接線方向に配置されたローラを用いて接触によるボールの回転を測定することである。その場合、ローラの回転は、光学的測定や電気的測定などの様々な既知の方法によって測定される。
紙上に書かれたテキストは、スキャナを用いてデジタル化することができる。走査後、画像タイプのファイルが得られる。スキャナを使用せざるを得ない状態を回避するために、紙上に書いている間にそれ自体でデジタル取得を行うデジタルペンが開発されている。したがって、米国特許第6,479,768号明細書は、ユーザが紙上に書いたり描いたりしたものをデジタル転写するように回転が連続的に測定される磁化ボールを備えるペンについて記述している。磁化ボールは、対称軸を示さない合成磁場を生成する。したがって、図1に分解図で示されているように、磁化されたボール1が2つの半球1aおよび1bからなる形をとることができ、2つの半球1aおよび1bが磁化ボール1を形成するように組み立てられるときに半球1aおよび1bの間に磁化されたシート2が挿入される。この文献に記述されている、軸対称を示さない磁化ボールを得るための別の方法が図2に示されている。その場合、6本の磁気棒3が、ボールの中心Cを通る3本の別個の軸4a、4bおよび4cに沿って2個ずつ配置される。そのようなボールの製作は、精密に行われなければならない複数のステップが必要になるので、工業化を複雑にする。さらに、図1の実施形態によれば、2つの半球1a、1bの組立ては、書いているときにペンがひっかからないように完璧でなければならず、そのような組立ては高価でありかつ工業化するのが困難である。
米国特許第6,479,768号明細書
本発明の目的は、容易に工業化されうる、表面上での磁化ボールの回転を測定するための装置を提供することである。
この目的は、添付の特許請求の範囲によって達成され、より詳細には、各ボールが双極子磁化(dipole magnetization)を示すように磁化されかつフレームの受け部の中で自由回転することによって達成され、上記装置は、少なくとも1つの上記ボールによって、少なくとも3本の同一平面上にない異なる方向の軸に沿って作られる磁場の検出手段を備える。
本発明のもう一つの目的は、以下の連続的ステップ、すなわち
磁場の検出手段を形成する少なくとも1つの磁力計の可動基準座標系(mobile reference frame)においてボールによって作られた磁場ベクトルの3成分を決定するステップと、
磁場ベクトルから磁力計の基準座標系における磁化ベクトルを計算するステップと、
ボールの旋回がゼロであることを考慮して、ボールが転がっている平面を表す固定基準座標系(fixed reference frame)に対して磁力計の基準座標系における磁化ベクトルのデータからボールの回転ベクトルを計算するステップと、
平面内でのボールの移動をボールの回転ベクトルから計算するステップと
を含む、ボールの回転を測定する方法を提供することである。
他の利点および特徴は、非制限的な例示目的だけのために与えられかつ添付図面に示されている本発明の特定の実施形態の以下の説明からより明瞭に理解できるようになるであろう。
従来技術の磁気測定装置で使用される磁化ボールの代替実施形態を示す図である。 従来技術の磁気測定装置で使用される磁化ボールの代替実施形態を示す図である。 本発明による装置を断面で示す図である。 強磁性ボールを磁化する方法を示す図である。 ボールの他の実施形態を示す図である。 ボールの他の実施形態を示す図である。 表面センサを形成する本発明による装置を示す図である。 デジタルペンの形をした装置の一実施形態による使用法を断面で示す図である。 測定装置のボールの回転の解析アルゴリズムを示す図である。 図6に示されているボールを用いたデジタルペンを示す図である。
図3に示されている回転を測定するための装置は、フレーム10の受け部6の中で自由回転する少なくとも1つのボール1を備える。ボールは、その外表面が通常の使用では変形することのない球体である。通常の使用が意味するものは、平坦であってもなくてもよい表面上でボールを転がすことによる制約された動きである。
各ボール1は、双極子磁化を示すように磁化されるかまたは一時磁化特性を含む。すべての場合において、ボールが一時磁化タイプのものであっても、ボールは所与の時間に双極子磁化を含む。装置は、ボールによって生成される磁場の変化を研究することによって各ボール1の回転を測定するように設計される。ボール1によって誘起される磁場の変化は、少なくとも3本の同一平面上にない異なる方向の軸に沿って磁場の検出手段5によって測定される。磁場の検出手段は、磁力計タイプ5であることが好ましく、測定装置に組み込まれる。磁場の検出手段は、ボール1の中心Cから固定距離または半固定距離のところに置かれることが好ましい。
半固定が意味するものは、中心Cと磁場検出手段との間の距離がわずかに変化しうるということである。その距離を精密にしようとするほど、この変化を小さくしなければならない。ボール1は実際には受け部6の中で自由回転するので、ボール1の重心は、この自由回転を可能にする隙間に必要なわずかな移動を伴う可能性がある。この移動は、ボール1によって誘起された磁場を測定する際のノイズと見なされ、それが非常に小さいままであれば、測定の品質に影響を及ぼすことはない。
ボール1は、受け部6のレベルに配置された固定手段6a、6b(図3)によって受け部6の中に固定することができる。受け部6はまた、その中にボール1をしっかりと保持するように適切な方法で形づくることもできる。受け部6はボール1の回転を許容するだけなので、受け部6は、ボール1の中心Cが磁力計5から半固定距離Rのところに保持されることを可能にする。
装置の一実施形態では、双極子磁化を有するボール1は、均一な磁化分布を有する、実現するのが非常に容易な完全軸対称を示す。このため、図4に示されているように、磁化に必要な強磁性特性を示すボール1は、単純に、十分に強い外部分極磁場(polarizing external magnetic field)ベクトルHの中に入れられなければならない。例えば、ボール1の磁化に必要な磁場ベクトルHは磁石の空隙によって生成される。この種の磁化は、工業化に関する限り、否定できない利点を含む。空隙のサイズによっては、実際に図4のように多数のボール1を同時に磁化することが可能である。
ボール1の残留磁化は、ボール1の回転運動が認識されていることである場合、局所磁場の残留磁化に比べて大きくなければならない。局所磁場は、地磁場と測定装置が使用される場所に存在する磁場との合成に相当する。
強磁性特性を示すボール1は、コバルトを含有するタングステンカーバイドまたは他の強磁性化合物で製作することができる。ボール1は、成形時に強磁性金属、例えば、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)またはそれらの合金の磁石または粒子、すなわち強磁性粒子が組み込まれる複合材料または非磁性材料で製作することもできる。
ボール1の磁化は、それが磁気双極子に同化させられることを可能にする他の手段、例えば、磁化がその中に誘起されるボール1の中に置かれたコイルによって行うことができる。
したがって、図5に示されている装置の第2の実施形態では、誘導コイル11をボール1の中に置くことができ、このコイルは直流または交流電源を提供する供給マイクロバッテリ(supply microbattery)12に接続され、マイクロバッテリ12もまたボール1に組み込まれる。この変形形態は、バッテリ12がコイル11に電力供給する限り、磁化ボールの磁場に同化させられうる一定磁場または交番磁場が永久的に生成されることを可能する。この磁場は、上記に示したように双極子である。
いくつかの場合、ボール1は、供給バッテリ12とその電気回路とを組み込むには小さすぎるかもしれない。その場合、ボールは、図6に示されているように、例えば、らせん巻きの形をとることができるコイル11を備える。磁場を誘起することができるコイルの場合、コイルは、ボール1の外部の磁場を生成するための手段13によって励磁されなければならず、上記生成手段13は、例えばフレーム10の中に配置される。得られる双極子は一定ではなく、1つまたは複数の磁力計5によって測定された値を修正するために、コイル内の電流の瞬時強度を知ることが必要になる。この強度は、計算によって決定することができる。この場合、ボールは、一時的に双極子の態様で磁化することができる。
図7に示されている特定の実施形態によれば、測定装置は、表面センサを形成するために、平面8に対して接線方向に転がるように配置された3個の異なる直径のボール1を備える。表面センサは、ボールが動く平面8の粗さがこの平面の正確なマッピングを確立するように決定されることを可能にする。図7では、各ボール1が磁力計5と関連している。複数のボールを使用することにより、複数の異なる測定値を得ること、および、入射磁場の値を調査して平面8の表面をマッピングすることが可能になる。
センサの場合、ボール1は交流双極子に同化させられることもでき、すなわち、各ボール1によって作られた磁場は所与の周波数で静磁型とすることができる。これは、例えば、ボール1の中に置かれたコイルによって得られ、交番励起磁場(alternating excitation field)ベクトルHを作るために交流電圧によって供給される。次いで、励起磁場は、各ボール1の中に交番双極子磁化(alternating dipole magnetization)を誘起する。したがって、1つまたは複数のボールの回転運動は、磁場検出手段を用いて、関係するそれぞれの周波数で同期検波を行うことによって決定することができる。その場合、単一の磁力計が複数のボールの移動を決定するために使用されうる。
交番双極子の原理は、測定装置だけが単一のボールを備える場合にも適用することができる。したがって、複数の別個の測定装置は、外乱の危険性が全くなしに、互いに近接して動作することができる。
図7の実施形態は、3個のボールに限定されるものではなく、所要のマッピング精度に応じて当業者によって必要とされる通りに適合することができる。一般的な態様では、センサは、1つの同一平面に対して接線方向に転がるように配置された複数の異なる直径のボールを備える。
上記に示したように、磁場検出手段は、磁場が少なくとも3本の軸に沿って測定されることを可能にする磁力計5とすることができる。3本の軸に沿った測定は、ボール1によって生成される磁場を表すベクトルの3成分を与える。これらの軸は互いに直交することが好ましい。磁力計5は、ホール効果型、フラックスゲート型、巨大磁気抵抗(GMR)型、異方性磁気抵抗(AMR)型、誘導型などとすることができる。これらの磁力計のうちのいくつかは、消費電力が低く、それを組み込んだ装置がかさばりすぎるようにならずに自律的であることを可能にする。核磁気共鳴磁力計や光ポンピング磁力計などのずっと感度のよい磁力計を使用することも可能である。磁力計5の感度がよくなるほど、ボール1の磁場が低減されうる範囲が大きくなるか、またはこの磁力計5がボール1から遠ざけることができる距離が長くなる。磁力計5の感度を上げることにより、強磁性材料や反強磁性材料などの弱磁性材料がボールを製造するために使用されることも可能になる。
磁気測定装置は、車両またはカムシャフトボールベアリングなどの車輪の回転速度を測定するための流量測定に使用することができる。磁気測定装置は、手書き文字認識の分野で使用することもできる。したがって、測定装置のフレーム10は、図8に示されているように、好ましくはそれの両端部の一方に受け部6を備えるデジタルペンを形成するように細長い本体7の形をとることができ、受け部6の中にはボール1が収容される。言い換えると、単一のボール1が上記細長い本体7の一端に配置される。細長い本体7は、書いているときのペンの位置を知るために、細長い本体7の傾き(図示せず)を検出するための手段をさらに備える。その場合、装置は自律的なデジタルボールペンを構成する。双極子の態様で磁化されるかまたは一時的に磁化されたボール1と少なくとも3本の軸との関係、および磁力計5と少なくとも3本の軸との関係により、固定平面8上に作られたテキストおよび/または描画がこの平面上でペンを移動させることによって(ボール1を転がすことによって)デジタル化されることが可能になる。ペン(例えば、ボールの磁場およびペンの傾きの測定)によってデジタル化されたデータは、ペンの内部メモリ(図示せず)に保存され、次いで、配線で接続されていてもいなくてもよい接続手段によってパーソナルコンピュータに転送することができる。例示の目的で、接続手段は、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、WIFIトランシーバなどの形をとることができる。
実際には、測定は、ボール1が平面8または表面と接触しこの平面またはこの表面上で摺動せずに転がったときに、いつでも行われる。したがって、ボール1は自転し、ボール1の磁化の対称軸を中心に回転する可能性は低い。したがって、センサまたはデジタルペンとして使用するにはボールの単純な双極子磁化で十分である。
ペンが使用される場合、図8に示されているように、磁化ボール1は固定平面8上で転がる。ボール1によって作られた磁力線9は空間中にループを形成して、磁化軸(2極を通る軸)上で閉じる。ボール1の回転は、細長い本体7に対する磁力線の位置を修正する。得られた磁場は測定され、次いで解析されて、平面8上のボール1によって行われた移動を決定する。解析により、ユーザが書いたものおよび/または描いたものを推定することが可能になる。
一般的な態様では、任意の装置のボールの回転を測定する方法は、前述のように、磁場検出手段を形成する少なくとも1つの磁力計の移動基準座標系においてボール1によって作られた磁場ベクトルの3成分を決定するステップを含むことができる。次いで、磁場ベクトルから磁力計の基準座標系における磁化ベクトルを計算することが可能である。次いで、ボール1の回転は、ボール1の旋回がゼロであることを考慮して、ボール1が転がっている平面または表面を表す固定基準座標系に対して磁力計の基準座標系における磁化ベクトルのデータからボール1の回転ベクトルを計算することによって決定することができる。旋回が意味するものは、ボールがそれ自体の軸を中心にしてのみ回転するということである。平面は、例えば、ユーザが書くかつ/または描く対象の紙とすることができる。最後に、平面内でのボールの移動がボール1の回転ベクトルから計算される。
ボールの移動が文字および/または描画に変換されることを可能にする第1の特定の計算アルゴリズムが、図9に示されている。ボールの磁場の第1の測定ステップE1において、磁力計は、磁力計の移動基準座標においてボールによって作られた磁場ベクトルB(t)の3成分を記録する。次いで、ステップE2において、磁力計の基準座標系における磁化ベクトルM(t)が、式ベクトルM(t)=K・ベクトルB(t)から計算され、式中、Kは未知の定数行列である。行列Kは、式
Figure 2012520999
で与えられ、
上式中、μは真空の透磁率であり、
rは磁力計の基準座標系におけるボールの中心の座標を表すベクトルであり、
Idは恒等行列であり、
はボールの中心を磁力計から隔てる距離である。
次いで、磁化ベクトルM(ステップE3)が、固定基準座標系、例えばボールが転がっている紙または平面において決定される。固定基準座標系に対する磁力計の向きは、基準変換行列(reference change matrix)N(t)の形で知られており、固定基準座標系における磁化ベクトルMは、式ベクトルM(t)=N(t)・ベクトルM(t)の形で書くことができる。基準変換行列N(t)は、装置が平面に対して接線方向に移動する表面センサである場合に一定とすることができ、あるいは、装置が使用中にその傾きが変化しうるデジタルペンである場合に、加速度計やアルコール水準器などの方向測定手段によって決定することができる。さらに、ステップE3において、固定基準座標系における時間を有する磁化の導関数が計算される。ステップE3のデータ(ベクトルM(t)および時間導関数)から、ステップE4において固定基準座標系に対するボールの回転ベクトルωが計算される。例示の目的で、ボールの旋回がゼロ(ω=0)である場合、すなわち、ボールの回転ベクトルが、ボールが転がっている表面に相当する平面0xyと平行であるときに、固定基準座標系に対するボールの回転ベクトルωが、次式
Figure 2012520999
(式中、Λはベクトル積である)
すなわち
Figure 2012520999
の逆関数をとることによって推定される。
ボール1の回転ベクトルの計算のステップE4の結果から、平面8上でのボール1の移動が計算されうる。実際、ボール1が摺動することなく転がった場合、磁場は修正され、面上のボールの接触点は、デカルト座標(x,y)で参照されて、
dx=R・ωdt
dy=−R・ωdt
によって得られ、
式中、dxおよびdyは軸xおよび軸yに沿った基本移動を表し、Rはボールの半径を表し、ωおよびωは軸xおよび軸yに沿った回転成分を表し、dtは測定時間ステップを表す。
上述のアルゴリズムに関係するかかるペンまたはセンサは、ボール1の回転が使用される紙または平面8以外と接触することなく測定されることを可能にし、それによって、従来技術と同様に、ボール1のスクロール型測定手段上でのボールの摩擦によるいかなる寄生の測定(parasitic measurement)も回避する。摺動しないかつ旋回しないという前提が与えられるこのアルゴリズム関数は実証され、このことは、1つまたは複数のボールが平面上で転がることによって移動する場合に当てはまる。
センサの場合、それを形成する両方のボールが、第1のボールが第2のボールの磁力計を妨害しないようにするために互いに離されなければならないか、あるいは信号の適切なフィルタリングが実行されなければならない。例示の目的で、第1のボールの半径をRb1とし、第2のボールの半径をRb2とすると、センサが速度Vで移動した場合、第1のボールは速度V/Rb1で回転する磁気信号を生成し、第2のボールは速度V/Rb2で回転する磁気信号を生成する。
ボール1の中に置かれた誘導コイル11を使用するが、一定磁場を生成するための関連マイクロバッテリ12は設けられない一実施形態によれば、フレーム10は、ベクトルHで図10に表されている励起磁場を生成しかつコイルターン内で誘起される磁化ベクトルMを作るための手段13を備える。ベクトルHは既知であり、ベクトルMは時刻tごとに測定される。実際、ボールは磁気励起場ベクトルHの中で回転するので、コイルは誘導電流の中心部になり、誘導電流は、磁力計5によって測定可能な磁場ベクトルBを発生させる誘導磁化ベクトルMを生成する。
図10のベクトルvは、時間dtの間のボールの移動ベクトルに相当する表現である。
永久磁化を有するボールの場合のように、ボールの磁化による磁場ベクトルBの測定は、次式
Figure 2012520999
によって磁化を求めるのに十分である。
一方、ボールの永久磁化とは異なり、磁化強度は一定ではなく、ボール内に入れられたコイル、例えばターンによって受け取られる磁束の変化に依存する。これは、次式
Figure 2012520999
によって変換することができ、
式中、Iは、時刻tにコイルターンに流れる電流であり、
ベクトルSは、時刻tにおけるコイルターンの面ベクトルである。
面ベクトルSは、コイルターンと直交しかつコイルターンの面に相当するノルムを有するベクトルに対応する。したがって、誘導磁化ベクトルMはベクトルSに対して常に同一線上にある。
レンツの法則を用いてかつコイルの抵抗Rsおよびコイルを貫通する磁束φに留意してI(t)を決定することが可能である。したがって、
Figure 2012520999
すなわち
Figure 2012520999
が得られる。
ベクトルS(t)をベクトルM(t)/I(t)に置き換えることにより、ベクトルM(t)の関数としてI(t)の進行の式
Figure 2012520999
が得られ、
この式を展開することにより、
Figure 2012520999
が得られる。
誘導場ベクトルHおよびベクトルHによってコイル内に誘導される磁化ベクトルMはそれぞれ既知であり測定されるので、この微分方程式はIについて簡単に解かれなければならない。これはベルヌーイの方程式であり、この方程式の解法よく知られている。
磁気励起ベクトルHは、時間に関して一定または可変とすることができる。時間に関する可変励起は、正弦波励起(sinusoidal excitation)とすることができる。いずれにしても(一定または可変励起)、磁力計は、ボール1を回転させずに信号ベクトルHを測定することによって較正されなければならず、信号ベクトルHは、ボール1が転がったときの測定値から減じられなければならない。
したがって、I(t)およびベクトルM(t)、ならびにベクトルM(t)=I(t)・ベクトルS(t)によるコイルターンの向きベクトルS(t)を知ることにより、ボールの回転ベクトルΩは、それらから次の回転方程式
Figure 2012520999
によって推定することができる。
上記式は、前記の
Figure 2012520999
で規定されている永久磁化の進行の式と同じである。したがって、I(t)を知ることにより、先のアルゴリズムを同様に適用することができる。
言い換えると、ボールが一時的双極子磁化を有する場合、磁力計の基準座標系における磁化ベクトルは、第1のアルゴリズム(ステップE2)と同様に決定することができる。磁力計の基準座標系におけるこの磁化ベクトルM(t)もまたI(t)・ベクトルS(t)に等しく、式中、Iは時刻tにコイルに流れる電流であり、ベクトルSは時刻tにおけるコイルの面ベクトルであり、I(t)はレンツの法則を用いて既知である。次いで、ボールが移動している平面を表す固定基準座標系におけるボールの回転ベクトルΩは、式
Figure 2012520999
の逆数をとることによって推定される。
適切な測定を行列N(t)のレベルで実行するために、好ましくはペンの傾きを知る必要がある。この傾きは、前述のように加速度計によって決定することができる。ある特定の場合、加速度計は必ずしも十分ではなく、地磁場を測定する、例えばフレーム内に位置する地球磁力計を使用することによって測定を向上させることが可能である。しかし、地磁場は、ボール1によって生成される磁場によって妨害されてはならない。この制約は、地磁場の10倍の磁場を有するボール1を使用することによって回避することができ、ボール1を地球磁力計から隔てる距離は、ボール1をボール1の磁場の検出手段から隔てる距離の5倍でなければならない。実際、Rをボールの半径とすると、ボールの誘導場は1/RΛ3減少し、その結果、われわれがボールの中心を磁力計から隔てる距離の5倍の距離にわれわれ自身を置いた場合、125倍弱い磁場が得られる。
ボールの磁気モーメントの測定は、単一の磁力計(3軸)によって異なる時刻に小さなステップで行うことができる。その場合、固定平面に対するボールの方向および回転強度を高精度で測定することが可能である。
既知の方法では、光学式文字認識(OCR)タイプのプロセッサを用いて、ペンは文字認識を行い、既知のワード・プロセシング・ソフトと互換性のあるファイルを生成することができる。この認識は、テキストファイルを生成するペン自体によって、あるいは、ペンの消費電力を抑える理由で、低消費電力での動作に問題のないパーソナルコンピュータにインストールされたソフトウェアによって行うことができ、次いで、データは適切な接続手段を介して伝送される。

Claims (16)

  1. 少なくとも1つのボール(1)を備える測定装置であって、各ボールが、双極子磁化を示すように磁化され、フレーム(10)の受け部(6)の中で自由回転し、前記少なくとも1つのボール(1)によって、少なくとも3本の同一平面上にない異なる方向の軸に沿って作られた磁場を検出する検出手段(5)を備える測定装置。
  2. 前記ボール(1)が、コバルトを含有するタングステンカーバイドで製作されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  3. 前記ボール(1)が、強磁性金属の粒子を含有する非磁性材料で製作されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  4. 前記ボールが、磁場を生成するためにコイル(11)と前記コイル(11)に接続されたマイクロバッテリ(12)とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  5. 前記ボール(1)がコイル(11)を備え、前記フレーム(10)に前記コイル(11)を励磁する磁場を生成するための手段(13)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
  6. 平面に対して接線方向に転がるように配置された複数の異なる直径のボール(1)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
  7. 前記フレーム(10)がそれの傾きを検出するための手段を設けた細長い本体(7)を形成し、単一のボール(1)が前記細長い本体(7)の一端に配置されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
  8. 地磁場を測定する地球磁力計を備えることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
  9. 前記ボールが地磁場の10倍の磁場を有し、前記ボール(1)を前記地球磁力計から隔てる距離が、前記ボール(1)を前記ボール(1)の磁場の前記検出手段から隔てる距離の5倍に等しいことを特徴とする、請求項8に記載の装置。
  10. 請求項1に記載の装置のボールの回転を測定する方法であって、以下の連続的なステップ、すなわち
    磁場の検出手段を形成する少なくとも1つの磁力計の可動基準座標系において前記ボール(1)によって作られた磁場ベクトルの3成分を決定するステップと、
    前記磁場ベクトルから前記磁力計の基準座標系における磁化ベクトルを計算するステップと、
    前記ボール(1)の旋回がゼロであることを考慮して、前記ボール(1)が転がっている平面(8)を表す固定基準座標系に対して磁力計の基準座標系における磁化ベクトルのデータから前記ボール(1)の回転ベクトルを計算するステップと、
    前記平面(8)内での前記ボール(1)の移動を前記ボール(1)の回転ベクトルから計算するステップと
    を含むことを特徴とする方法。
  11. 磁力計の基準座標系における磁化ベクトルM(t)が、式ベクトルM(t)=K・ベクトルB(t)によって得られ、式中、ベクトルB(t)が磁場ベクトルであり、Kが式
    Figure 2012520999
    によって与えられる定数行列であり、式中、μが真空の透磁率であり、rが座標を前記磁力計の基準座標系における前記ボールの中心座標の表すベクトルであり、Idが恒等行列であり、Rが前記ボールの中心を前記磁力計から隔てる距離であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ボール(1)の回転ベクトルを計算する前に、固定基準座標系における磁化ベクトルM(t)が、磁化ベクトルM(t)に基準変換行列を乗じることによって得られることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  13. 固定基準座標系に対する前記ボール(1)の回転ベクトルωが、式
    Figure 2012520999
    の逆数をとることによって推定されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
  14. 前記ボール(1)の移動の計算が、前記平面(8)上の前記ボール(1)の接触点から確立され、前記接触点が、デカルト座標xおよびyで参照されて、
    dx=R・ωdt
    dy=−R・ωdt
    によって得られ、式中、dxおよびdyが軸xおよび軸yに沿った基本移動を表し、ωおよびωが軸xおよび軸yに沿った回転成分を表し、Rが前記ボールの半径を表し、dtが測定時間ステップを表すことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
  15. 前記ボールがコイルによって生成された一時的双極子磁気化を有し、前記磁力計の基準座標系における磁化ベクトルM(t)もまたI(t)・ベクトルS(t)に等しく、式中、Iが時刻tに前記コイルに流れる電流であり、ベクトルSが時刻tにおける前記コイルの面ベクトルであり、I(t)がレンツの法則を用いて既知であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
  16. 固定基準座標系に対する前記ボール(1)の回転ベクトルΩが、式
    Figure 2012520999
    の逆数をとることによって推定されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
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