JP2012518743A - ロータ鍛造物を事前回転させるための方法および装置 - Google Patents

ロータ鍛造物を事前回転させるための方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ロータ鍛造物の鍛造誘起残留応力を取り除くための方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】その方法およびシステムは、鍛造物が取り付けられた状態で事前回転機を第1の回転速度で釣り合わせ、次いでその機械に取り付けられた状態で鍛造物を実質的により大きな第2の速度で事前回転させる。1回転1パルスセンサは、重り配置角度を決定するために使用され、振動センサは、バンランスを取る間に鍛造物を含む回転アセンブリに追加すべき重りの量を決定するために使用される。鍛造物の内面にまたは回転アセンブリのどこかに接着付着される高密度非金属釣合い重りが、使用されてもよい。回転アセンブリの回転慣性は、回転加速対回転アセンブリに印加されるトルクの比率を決定することにより回転上昇期間中に照合されてもよく、それが大きすぎる場合、事前回転を停止するために使用されてもよい。
【選択図】図1

Description

この発明は、鍛造物からロータを製造するための方法および機械に関し、より詳細には、鍛造誘起残留応力を取り除くためにロータ鍛造物を事前回転させることに関する。
通常動作中に、ガスタービンエンジンは、高回転速度および比較的高い温度で動作する可能性がある。エンジンのタービンディスクを製作するときに使用される金属合金鍛造プロセスからの残留応力は、エンジン動作中に取り除かれる可能性があり、その結果タービンディスクは、望ましくないことに膨張することがある。そのようなディスク膨張は、エンジン動作中にロータと周囲のケーシングとの間のクリアランスに悪影響を及ぼすおそれがある。
ディスク膨張の発生および程度を低減するために、少なくともいくつかの周知のエンジンディスクは、ディスクまたは他のロータ鍛造物の残留応力を取り除くために製造プロセス中に完成品に近い条件で回転される。このプロセスは、ディスクの事前回転(pre spinning)として周知であり、一般に残留応力を取り除くのに実際のエンジン動作と同じ効果を有する。例えば、はめ合いまたは他の特徴および/もしくはラベットなどの最終機械加工は、事前回転プロセスの後に行われる。従来の事前回転プロセスは、時間とコストのかかるプロセスである。さらに、残留応力を取り除くために高回転速度が必要であるため、ロータ鍛造物およびその取り付け固定具を釣り合わせなければならず、このことは、事前回転プロセスの複雑さを増す。
事前回転機は、約13,000RPMである航空機用エンジンコア速度を超える速度で回転部品を回転させる能力を提供する。その機械が回転部品の不釣合いによって生じる量の力まで対応できるためには、回転部品、固定具、位置合わせ、およびスピンドルを、別個の釣合い試験機(balance machine)を使用して典型的には500グラム−インチ未満の値まで釣り合わせなければならない。事前回転機は、約5,000RPMから18,000RPMの速度範囲で動作するように設計され、釣合い試験機は、約100RPMから1200RPMの間である。事前回転機は、部品を強固に保持することが意図されており、一般に振動応答が速度の増加と共に変化することを意味するソフト型である。釣合い試験機は、部品を「ナイフエッジ」ベアリング上で転動させ、ベアリングを保持する台座内で不釣合い感度を最大にしようとする。事前回転機は、部品を釣り合わせるように設計されず、典型的には事前回転機は、部品を高速度に回転させるだけであり、部品が実際に故障するほど速く部品を回転させるように設計される。
回転部品および固定具は、独立型の釣合い試験機で別々に釣り合わせることができても、なお事前回転機で適切に位置合わせしなければならない。そうでない場合、適切な高速度に達することが、達成できないこともある。この問題はその結果、回転部品を事前回転させる前でさえ著しいコストを生じさせる。コストには、厳しい公差で回転部品を機械加工すること、固定具を釣り合わせること、固定具を適切に位置合わせすること、および事前回転スピンドルを適切に位置合わせすることが含まれる。不釣合いがなお高すぎる場合、プロセスは、事前回転速度を達成できるように何度も繰り返さなければならないこともある。
別の問題は、高い振動レベルをなお有する回転部品のために事前回転機が時間につれて磨耗することに関する。これは、特定の構成要素の早期故障またはこれらの故障を防止するための過度の予防保全コストを生じさせることもある。事前回転機内の故障は、回転部品、固定具、スピンドル、および機械に重大な損傷を引き起こす可能性がある。事前回転機で高い不釣合いおよび振動を有することに関するなお別の問題は、回転部品が固定具内で移動し、最高事前回転速度への加速中よりも減速中により高い振動を引き起こす可能性である。この懸念事項もまた、早期機械故障および回転部品損傷を引き起こす可能性がある。
このように、ロータ鍛造物から製造されるロータ部品の最大動作速度の近くまたはそれより上の回転速度で鍛造誘起応力を取り除くためにロータ鍛造物を釣り合わせ、ロータ鍛造物を事前回転させるための従来の機械および方法より安価で、時間のかからない機械である装置および方法を提供することは、極めて望ましいことである。
ロータ鍛造物の鍛造誘起残留応力を取り除くための方法およびシステムは、鍛造物が取り付けられた状態で事前回転機を第1の回転速度で釣り合わせ、次いでその機械に取り付けられた状態で鍛造物を実質的により大きい第2の回転速度で事前回転させる。1回転1パルスセンサ(one per rev sensor)は、重り配置角度を決定するために使用され、振動センサは、釣り合わせるステップ中に鍛造物を含む回転アセンブリに追加すべき重りの量を決定するために使用される。
ロータ鍛造物の鍛造誘起残留応力を取り除くためにロータ鍛造物を事前回転させるための例となる方法は、ロータ鍛造物を事前回転システムの事前回転機に取り付けるステップと、ロータ鍛造物が取り付けられた状態で事前回転機を第1の回転速度で釣り合わせるステップと、ロータ鍛造物を、事前回転機に取り付けられている状態で第1の回転速度より実質的に大きい第2の回転速度で事前回転させるステップとを含む。ロータ鍛造物が取り付けられた状態で事前回転機を釣り合わせるステップのための重り配置角度を決定するために1回転1パルスセンサを使用するステップをさらに含む。釣り合わせるステップ中にロータ鍛造物を含む回転アセンブリに追加すべき重りの量を決定するために振動センサを使用するステップをさらに含む。釣り合わせるステップ中にロータ鍛造物の内面にまたは事前回転システムの回転アセンブリのどこかに1つまたは複数の釣合い重りを配置するステップをさらに含み、回転アセンブリは、ロータ鍛造物を含む。内面に接着剤を使って配置される高密度非金属材料でできている釣合い重りを使用するステップをさらに含む。
事前回転のための方法のより具体的な実施形態は、第2の回転速度が第1の回転速度より約一桁分大きいこと、より具体的には第1の回転速度が約100RPMから1200RPMの間の第1の回転速度範囲であり、第2の回転速度が約5,000RPMから18,000RPMの間の第2の回転速度範囲であることをさらに含む。
過度の回転を防止するための例となる方法は最初に、回転加速対回転アセンブリに印加されるトルクの比率を決定することにより事前回転させるステップの回転上昇期間中にロータ鍛造物を含む回転アセンブリの回転慣性を決定し、決定された回転慣性をロータ鍛造物についての所定の回転慣性値と照合するステップを含む。次いで照合するステップ中に決定された回転慣性がロータ鍛造物についての所定の回転慣性値を超える場合、事前回転させるステップを停止しかつ/または操作者にエラーメッセージを提供するステップをさらに含む。
事前回転システムは、ロータ鍛造物の鍛造誘起残留応力を取り除くための動作可能な事前回転機と、事前回転機を釣り合わせるために重り配置角度を決定するための1回転1パルスセンサと、事前回転機を釣り合わせるために追加すべき重りの量を決定するための振動センサと、事前回転機を釣り合わせ、事前回転中に事前回転機を制御するための制御手段とを含み、その制御手段は、センサから信号を受け取るために振動センサおよび1回転1パルスセンサに動作可能に接続される。システムのより具体的な実施形態では、事前回転機は、約5,000RPMから18,000RPMの間の回転速度範囲で回転する動作が可能である。
システムの例となる実施形態は、事前回転中に事前回転機のロータ速度および振動レベルを制御し、表示するための動作可能な第1のコントローラと、事前回転の前に事前回転機を釣り合わせるための動作可能な第2のコントローラとを有する制御手段をさらに含み、第1のコントローラは、振動センサに動作可能に接続され、第2のコントローラは、振動センサおよび1回転1パルスセンサに動作可能に接続される。ロータ鍛造物は、事前回転機のスピンドルに取り付けられ、1つまたは複数の釣合い重りは、ロータ鍛造物の内面にまたは回転アセンブリのどこかに取り付けられる。1つまたは複数の釣合い重りは、ロータ鍛造物の内面にまたは回転アセンブリのどこかに接着剤を使って添着される高密度非金属材料でできている。
システムの別のより具体的な実施形態では、1回転1パルスセンサは、事前回転機のスピンドルに接続される回転可能なトリガと協働可能な静止ピックアップを含む。回転アセンブリは、事前回転機のスピンドルに接続される回転アーバと、固定具によって回転アーバに取り付けられるロータ鍛造物とを含んでもよい。
システムは、回転加速対回転アセンブリに印加されるトルクの比率を決定することにより事前回転の回転上昇期間中にロータ鍛造物を含む回転アセンブリの回転慣性を決定し、決定された回転慣性をロータ鍛造物についての所定の回転慣性値と照合するための動作可能な制御手段をさらに含んでもよい。制御手段はまた、照合中に決定された回転慣性がロータ鍛造物についての所定の回転慣性値を超える場合、事前回転を停止しかつ/または操作者にエラーメッセージを提供するための動作可能であってもよい。
ガスタービンエンジンロータ鍛造物がその中に取り付けられ、1回転1パルス振動ピックアップを含有する事前回転システムおよび機械の説明図である。 図1で例示されるガスタービンエンジンロータ鍛造物の横断面説明図である。 図1で例示されるガスタービンエンジンロータ鍛造物から作られるタービンロータの横断面説明図である。 図1で例示される事前回転システムおよび機械の回転アセンブリを釣り合わせるための第2のコントローラの表示の説明図である。 図1で例示される事前回転システムおよび機械のロータ速度および振動レベルを制御し、表示するための第1のコントローラの表示の説明図である。 図1で例示される事前回転システムおよび機械を釣り合わせた後の第1のコントローラの表示の説明図である。 図1で例示される事前回転システムおよび機械の事前回転実行中の第1のコントローラの表示の説明図である。 事前回転機およびその中に取り付けられるガスタービンエンジンロータ鍛造物を含む回転アセンブリの運動学的モデルの概略説明図である。 例となるガスタービンエンジンロータ鍛造物を含む回転アセンブリについてのロータ速度加速対時間のグラフによる説明図である。
図1で例示されるのは、事前回転機10のスピンドル14に接続される回転アーバ12を有する例となる事前回転機10を含む事前回転システム8である。スピンドル14は、回転軸75を有し、垂直に向けられ、当分野では周知であるような環状ロータ鍛造物18からいくらかの距離に保持される。回転アーバ12は、図2で横断面で例示される軸方向穴13を有するロータ鍛造物18を保持するための固定具20に取り付けられる。事前回転機10は、少なくとも1つのコントローラを含む(2つが、本明細書では例示される)。
本明細書で例示される事前回転機10は、ロータ鍛造物の鍛造誘起残留応力を取り除くために5,000RPMから18,000RPMの間の範囲の非常に高い回転速度までロータ鍛造物を回転させ、ロータ鍛造物18、スピンドル14、回転アーバ12、および固定具20を含む回転アセンブリ22を、事前回転機10に取り付けられている状態で釣り合わせるように設計され、かつその能力があるので、独特のものである。本明細書で例示される事前回転機10は、回転アセンブリ22を釣り合わせ、ロータ鍛造物18を事前回転させるための制御手段を有する。正しいロータ鍛造物が装着されたことを保証するための自動化照合方法およびシステムは、ロータ鍛造物18を含む回転アセンブリ22の加速率を決定し、決定された加速率を事前回転させているロータ鍛造物についての所定の加速率と照合する。本明細書で例示される制御手段は、図1および5で例示されるように、事前回転中に事前回転機10のロータ速度sおよび振動レベルを制御し、表示するための第1のコントローラ11を含む。本明細書で例示される制御手段は、図1および4で例示されるように、回転アセンブリ22を事前回転させる前に回転アセンブリ22を釣り合わせるための第2のコントローラ15をさらに含む。
本明細書で例示される例となるロータ鍛造物18は、図3で例示されるように、航空機用高バイパス比ガスタービンエンジンで見られることもある高圧タービン34の第1の段32のディスク30を形成するために使用される。図2で例示されるロータ鍛造物18は、正味の形状に近く、図3で例示されるディスク30の最終機械加工特徴に対応するさまざまな特徴を含む。これらの特徴には、穴13、ハブ40、ウェブ42、リム44、および円筒状アーム46が含まれる。タービンブレード48は、ロータ鍛造物18を回転させて鍛造誘起残留応力を取り除いた後にディスク30のリム44に機械加工されるスロット50に取り付けられる。
事前回転システム8は、市販の事前回転機10を組み込んでもよい。1つの例となる事前回転機10は、事前回転機10のロータ速度sおよび振動レベルvを制御し、表示するための第1のコントローラ11としての役割を果たすM385コントローラを含むSchenck Trebel Pre−Spin Machineである。Schenck Trebel Pre−Spin MachineおよびM385コントローラは、事前回転システムでの使用について業界で周知である。図4で例示されるSchenckから入手できるCAB920コントローラなどの第2のコントローラ15は、図1および2で例示されるように、どのくらいの重量またはいくつの釣合い重り56を回転アセンブリ22に追加すべきかおよび図4で例示されるようにどの重り配置角度66かを決定することにより回転アセンブリ22を釣り合わせるために使用される。回転アセンブリ22を釣り合わせる事前回転システム8および方法は、図1で例示されるように、事前回転機の既存の振動センサ58および追加の1回転1パルスセンサ60を使用する。事前回転は、高回転速度事前回転中の過度のまたは危険な振動を警告しかつ/または回避するために事前回転機の振動センサ58を使用する。
1回転1パルスセンサ60は、重り配置角度66を決定する元になる基準角度を決定するために使用され、機械の振動センサ58は、釣り合わせる間にどのくらいの重量またはいくつの釣合い重り56を回転アセンブリ22に追加すべきかを決定するために使用される。本明細書で例示される1回転1パルスセンサ60は、静止ピックアップ72と、回転アセンブリ22に周知の角度で設定される回転トリガ74とを含む。本明細書で例示される静止ピックアップ72は、静電容量プローブであり、回転トリガ74は、回転アーバ12中にねじ込まれるボルトである。静電容量プローブは、回転ごとにボルトを検出し、信号をコントローラに送って、重り配置角度66を決定するのを助ける。他の種類の静止ピックアップ72には、振動センサ、近接スイッチ、または光センサが含まれる。ボルトに加えて、他の種類のトリガには、位置決めねじ、反射テープ、および反射スポットが含まれる。
重り配置角度66は、コントローラが操作者に釣合い重り56を配置するように指示する場所である。釣合い重り56は、好ましくはロータ鍛造物18の内面62に配置されるが、しかし回転アセンブリ22のどこかに配置されてもよい。釣合い重り56は好ましくは、15,000RPMより大きい高事前回転速度での金属の破損の可能性および結果としてハードウェアに生じることもある損傷の理由から金属片ではない。高密度非金属材料が、代わりに推奨される。非金属材料は、外れるのを防止するために接着剤を使ってロータ鍛造物18の内面62または回転アセンブリ22または回転部品もしくはアセンブリに添着することができるようなものである。高速度では、非金属材料は、内面62に外側へ押し付けられ、回転角に平行な表面上であれば適当な位置にとどまることになる。
コントローラは、事前回転機10の振動センサ58からの振動信号および1回転1パルスセンサ60からの1回転1パルス信号についてフーリエ解析を行うようにプログラムされる。その結果は、どのくらいの重量またはいくつの釣合い重り56を回転アセンブリ22に追加すべきか、およびどの重り配置角度66かまたは図4で例示されるようにロータ鍛造物18の周りもしくは回転アセンブリ22のどこかにおけるどの角度位置かについてのコントローラからの指示である。
それぞれの別個のロータ鍛造物18を、事前回転させる前に釣り合わせなければならない。本明細書で例示される事前回転システム8のために開発された、釣り合わせる方法に使用される較正プロセスは、反復プロセスである。それぞれの別個のロータ鍛造物18は、事前回転の前に釣り合わせられるが、しかし部品またはロータ鍛造物の種類についての較正は、通常一度だけ行われる。例えば高圧タービン34の第1の段32のためのロータ鍛造物18をすべて釣り合わせなければならず、その種類の部品について、すなわち特定の種類のエンジン、例えばGE90のための高圧タービン34の第1の段32のためのロータ鍛造物18について単一の較正を使用してもよい。
較正は最初に、図5で例示される第1のコントローラ11を使用して振動の大きさ(%振動レベルまたは数ミルの振動)に関連する不釣合いの大きさ(グラム−インチ単位で)を決定するために試験重りを使って行われる。位相角もまた、重り配置の場所を決定するために第2のコントローラ15を使用して1回転1パルスセンサ60から送られる信号と比較して決定される。振動は、構成要素(スピンドル、固定具、回転部品)内に曲げを生じさせるので、振動レベル当たりの不釣合いの大きさ(グラム−インチ)は、変わることもある。この相関を最適化するために、感度は、アセンブリが見る最も一般的な不釣合いに設定される。
非線形較正を使用し、釣り合わせるためにシステム8を較正することができる。線形較正については、線形較正を組み込む第2のコントローラ15は、例えばグラム単位の漸進的な重りを必要とすることになる(漸進的な振動レベルについて事前回転機10のスピンドル14の回転軸75に沿った所定の場所Zの所定の半径Rに)。釣り合わせるために非線形較正を使用することは、漸進的な振動レベルについて非漸進的な重りが追加されることを必要とする。
非線形較正を使用し、釣り合わせるためにシステム8を較正することができる。線形較正については、線形較正を組み込む第2のコントローラ15は、例えばグラム単位の漸進的な重りを必要とすることになる(漸進的な振動レベルについて事前回転機10のスピンドル14の回転軸75に沿った所定の場所Zの所定の半径Rに)。釣り合わせるために非線形較正を使用することは、漸進的な振動レベルについて非漸進的な重りが追加されることを必要とする。
非線形較正は、反復プロセスである。従ってより高い振動レベルについては、較正定数は、より低い振動レベルの場合よりも振動レベル当たり少ない質量または重りを必要とする。非線形較正方法を使用する例では、次のように指示が事前回転機10の操作者に表示されることになる。
線形較正に基づいて第2のコントローラ15によって決定される重りの数は、非線形較正を使用して操作者が導入するように指示される重りの数を次のように決定する。
5つの場合、4つを導入する
4つの場合、3つを導入する
3つの場合、3つを導入する
2つの場合、3つを導入する
1つの場合、2つを導入する
非線形較正では、典型的には、釣り合わせる実行数およびロータ鍛造物18を釣り合わせるのに必要な時間が少なくなる。図5および6で例示されるのは、非線形較正方法の速さおよび有用性を例示する単一の較正実行の前および後の振動レベルの例である。非線形較正は、第2のコントローラ15に記憶され、同じ部品番号を有するものなど同じ種類の各ロータ鍛造物18を釣り合わせるために使用される。この方法の有効性は、低い許容振動を維持しながら非常に高い回転速度での事前回転実行を例示する図7でさらに例示される。
上で述べたように、事前回転プロセスは、鍛造誘起残留応力を除去するために高回転速度を必要とする。航空機用ガスタービン業界では、このプロセスは、可変速度のためのいくつかの異なるロータについて使用される。ロータが、より高い速度を必要とする異なるロータプログラムに従って不正確に実行される場合、ロータ、機械設備(tooling)、および事前回転機に損傷を与える危険性がある。この問題は現在、手動で対処されている。操作者は、正しいプログラムを読み込ませ、そのプログラムにとって正しいロータ鋳造物を装着することを要求される。正しいロータが装着されたことを保証するためのオンマシン照合はない。
回転アセンブリ22を釣り合わせ、ロータ鍛造物18を事前回転させる例となる方法は、ロータ鍛造物の加速率を照合することにより正しいロータが装着されたことを保証するための自動照合方法およびシステムを組み込む。ロータ鍛造物18を含む回転アセンブリ22の運動学的モデルは、図8で例示される。各ロータ鍛造物は、特有の回転慣性Jを有し、その結果各ロータ鍛造物についての所与のトルクTは、異なるロータ鍛造物を異なる比率で加速させることになる。
図8で例示される運動学的モデルの回転慣性Jのロータ速度加速率A倍は、損失Lを引いたトルクTに等しい。損失Lは、モデルで例示されるダンパDを介した振動およびベアリングBのベアリング抗力によって生じる損失を含み、方程式1、J×A=T−Lによって表すことができる。損失Lは、損失が低い、またはロータ鍛造物間で非常に一致している場合、無視することができ、従って方程式1を簡単にして、方程式2、J×A=Tにすることができる。このように、回転慣性Jは、トルクTをロータ速度加速率Aで割ったものに等しい。事前回転機10に取り付けられるロータ鍛造物18についてのロータ速度加速率Aは、事前回転機10からの、そのコントローラを介した情報から導き出される。この情報は、ロータ速度sが測定される時間tにわたる回転アセンブリ22のロータ速度sの関数である。事前回転機10が加速されるにつれて、回転アセンブリ22のロータ速度sは、時間tにわたって変化する。ロータ速度加速率Aは、図9で例示されるように、方程式3、A=(デルタs)/(デルタt)で表されるように、ロータ速度変化デルタsを時間間隔デルタtで割ったものである。
照合システムは、回転加速対ロータ鍛造物に印加されるトルクの比率を照合することにより回転慣性を自動的に計算する。計算された回転慣性は次いで、所定の記憶された、実行されるプログラムに必要とされる値と照合される。回転慣性が、記憶された、実行されるプログラムに必要とされる値に一致しない場合、機械は、プログラムを安全に停止し、操作者にエラーメッセージを提供することになる。照合システムは、回転慣性を自動的に計算し、それを、所定の記憶された、実行されるプログラムに必要とされる値と照合するためにコントローラの1つを使用してもよい。
本発明の好ましくかつ例となる実施形態であると考えられるものが本明細書で述べられたが、本発明の他の変更形態は、本明細書の教示から当業者には明らかであり、従って、本発明の真の精神および範囲に入るようなすべてのそのような変更形態が、添付の特許請求の範囲で保護されることが望まれる。それに応じて、米国の特許証によって保護されることが望まれるものは、次の特許請求の範囲で規定され、区別されるような本発明である。
8 事前回転システム
10 事前回転機
11 第1のコントローラ
12 回転アーバ
13 軸方向穴
14 スピンドル
15 第2のコントローラ
18 ロータ鍛造物
20 固定具
22 回転アセンブリ
30 ディスク
32 高圧タービンの第1の段
34 高圧タービン
40 ハブ
42 ウェブ
44 リム
46 円筒状アーム
48 タービンブレード
50 スロット
56 釣合い重り
58 振動センサ
60 1回転1パルスセンサ
62 ロータ鍛造物の内面
66 重り配置角度
72 静止ピックアップ
74 回転トリガ
75 回転軸

Claims (25)

  1. ロータ鍛造物の鍛造誘起残留応力を取り除くために前記ロータ鍛造物を事前回転させるための方法であって、
    前記ロータ鍛造物を事前回転システムの事前回転機に取り付けるステップと、
    前記ロータ鍛造物が取り付けられた状態で前記事前回転機を第1の回転速度で釣り合わせるステップと、
    前記ロータ鍛造物を、前記事前回転機に取り付けられている状態で前記第1の回転速度より実質的に大きい第2の回転速度で事前回転させるステップとを含む前記方法。
  2. 前記ロータ鍛造物が取り付けられた状態で前記事前回転機を前記釣り合わせるステップのための重り配置角度を決定するために1回転1パルスセンサを使用するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記釣り合わせるステップ中に前記ロータ鍛造物を含む回転アセンブリに追加すべき重りの量を決定するために振動センサを使用するステップをさらに含む、請求項2記載の方法。
  4. 前記釣り合わせるステップ中に前記ロータ鍛造物の内面にまたは前記事前回転システムの回転アセンブリのどこかに1つまたは複数の釣合い重りを配置するステップをさらに含み、前記回転アセンブリが前記ロータ鍛造物を含む、請求項3記載の方法。
  5. 前記内面に接着剤を使って配置される高密度非金属材料でできている釣合い重りを使用するステップをさらに含む、請求項4記載の方法。
  6. 回転加速対回転アセンブリに印加されるトルクの比率を決定することにより前記事前回転させるステップの回転上昇期間中に前記ロータ鍛造物を含む前記回転アセンブリの回転慣性を決定し、前記決定された回転慣性を前記ロータ鍛造物についての所定の回転慣性値と照合するステップをさらに含む、請求項1記載の方法。
  7. 前記照合するステップ中に前記決定された回転慣性が前記ロータ鍛造物についての前記所定の回転慣性値を超える場合、前記事前回転させるステップを停止しかつ/または操作者にエラーメッセージを提供するステップをさらに含む、請求項6記載の方法。
  8. 前記第2の回転速度が、前記第1の回転速度より約一桁分大きいことをさらに含む、請求項1記載の方法。
  9. 前記第1の回転速度が、約100RPMから1200RPMの間の第1の回転速度範囲であり、前記第2の回転速度が、約5,000RPMから18,000RPMの間の第2の回転速度範囲であることをさらに含む、請求項1記載の方法。
  10. 前記ロータ鍛造物が取り付けられた状態で前記事前回転機を釣り合わせるための重り配置角度を決定するために1回転1パルスセンサを使用するステップをさらに含む、請求項9記載の方法。
  11. 前記釣り合わせるステップ中に前記ロータ鍛造物を含む回転アセンブリに追加すべき重りの量を決定するために振動センサを使用するステップをさらに含む、請求項10記載の方法。
  12. 前記釣り合わせるステップ中に前記ロータ鍛造物の内面にまたは前記事前回転システムの回転アセンブリのどこかに1つまたは複数の釣合い重りを配置するステップをさらに含み、前記回転アセンブリが前記ロータ鍛造物を含む、請求項11記載の方法。
  13. 前記内面に接着剤を使って配置される高密度非金属材料でできている釣合い重りを使用するステップをさらに含む、請求項12記載の方法。
  14. 回転加速対回転アセンブリに印加されるトルクの比率を決定することにより前記事前回転させるステップの回転上昇期間中に前記ロータ鍛造物を含む前記回転アセンブリの回転慣性を決定し、前記決定された回転慣性を前記ロータ鍛造物についての所定の回転慣性値と照合するステップをさらに含む、請求項9記載の方法。
  15. 前記照合するステップ中に前記決定された回転慣性が前記ロータ鍛造物についての前記所定の回転慣性値を超える場合、前記事前回転させるステップを停止しかつ/または操作者にエラーメッセージを提供するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
  16. ロータ鍛造物の鍛造誘起残留応力を取り除くための動作可能な事前回転機と、
    前記事前回転機を釣り合わせるために重り配置角度を決定するための1回転1パルスセンサと、
    前記事前回転機を釣り合わせるために追加すべき重りの量を決定するための振動センサと、
    前記事前回転機を釣り合わせ、事前回転中に前記事前回転機を制御するための制御手段とを備える事前回転システムであって、
    前記制御手段が、前記センサから信号を受け取るために前記振動センサおよび1回転1パルスセンサに動作可能に接続される、事前回転システム。
  17. 事前回転中に前記事前回転機のロータ速度および振動レベルを制御し、表示するための動作可能な第1のコントローラと、事前回転の前に前記事前回転機を釣り合わせるための動作可能な第2のコントローラとを含む前記制御手段をさらに備え、
    前記第1のコントローラが、前記振動センサに動作可能に接続され、
    前記第2のコントローラが、前記振動センサおよび1回転1パルスセンサに動作可能に接続される、請求項16記載のシステム。
  18. 前記事前回転機のスピンドルに取り付けられる前記ロータ鍛造物と、前記ロータ鍛造物の内面にまたは回転アセンブリのどこかに取り付けられる1つまたは複数の釣合い重りとを含む前記回転アセンブリをさらに備える、請求項16記載のシステム。
  19. 前記ロータ鍛造物の前記内面にまたは前記回転アセンブリのどこかに接着剤を使って添着される高密度非金属材料でできている前記1つまたは複数の釣合い重りをさらに備える、請求項18記載のシステム。
  20. 約5,000RPMから18,000RPMの間の回転速度範囲で回転する動作が可能である前記事前回転機をさらに備える、請求項16記載のシステム。
  21. 回転加速対回転アセンブリに印加されるトルクの比率を決定することにより前記事前回転の回転上昇期間中に前記ロータ鍛造物を含む前記回転アセンブリの回転慣性を決定し、前記決定された回転慣性を前記ロータ鍛造物についての所定の回転慣性値と照合するための動作可能な前記制御手段をさらに備える、請求項16記載のシステム。
  22. 前記照合中に前記決定された回転慣性が前記ロータ鍛造物についての前記所定の回転慣性値を超える場合、前記事前回転を停止しかつ/または操作者にエラーメッセージを提供するための動作可能な前記制御手段をさらに備える、請求項21記載のシステム。
  23. 前記事前回転機のスピンドルに接続される回転可能なトリガと協働可能な静止ピックアップを含む前記1回転1パルスセンサをさらに備える、請求項16記載のシステム。
  24. 前記事前回転機のスピンドルに接続される回転アーバと、固定具によって前記回転アーバに取り付けられるロータ鍛造物とを含む回転アセンブリをさらに備える、請求項16記載のシステム。
  25. 静止ピックアップと、前記回転アセンブリに取り付けられる回転可能なトリガとを含む前記1回転1パルスセンサをさらに備える、請求項24記載のシステム。
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