JP2003103199A - 高速回転試験装置 - Google Patents

高速回転試験装置

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JP2003103199A
JP2003103199A JP2001301480A JP2001301480A JP2003103199A JP 2003103199 A JP2003103199 A JP 2003103199A JP 2001301480 A JP2001301480 A JP 2001301480A JP 2001301480 A JP2001301480 A JP 2001301480A JP 2003103199 A JP2003103199 A JP 2003103199A
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spindle
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rotation
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Masanori Sueyoshi
正典 末吉
Akira Tezuka
明 手塚
Yasushi Shibazaki
康司 柴▲崎▼
Shinsho Ko
新▲勝▼ 黄
Toyotaka Osakabe
豊隆 長壁
Masao Ono
正雄 小野
Shigeru Mashita
茂 真下
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Japan Atomic Energy Agency
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MARUWA DENKI KK
Japan Atomic Energy Research Institute
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    • B04B9/12Suspending rotary bowls ; Bearings; Packings for bearings
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料を格納したロータのさらなる高速回転
化、及び、高速回転の長時間化を図ると共に、高速回転
時におけるロータの温度制御を図ること。 【解決手段】 所定の試料を格納する試料用穴部を有す
るロータ1と、このロータ1に連結されるスピンドル2
と、スピンドル2に所定のトルクを印加するトルク印加
手段3と、ロータ1を密閉する枠体4とを備えると共
に、枠体4に、減圧手段5と、スピンドル2を保持する
保持手段6とを備え、保持手段6は、スピンドル2を支
持するブッシング71と、当該ブッシング71を挿通し
て支持するブッシング支持部材72とを有し、少なくと
も一つのブッシング支持部材72の内径を、ブッシング
71の外径よりも大きく形成することにより、ブッシン
グ支持部材72がブッシング71を回転自在に支持す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速回転試験装置
にかかり、特に、ロータを高速回転して、その遠心力に
より当該ロータに格納される試料を高重力加速度場にて
処理することに好適な高速回転装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、二元素以上からなる凝縮系物
質の外力による原子や分子の沈降拡散を、高濃度にて実
現すべく非常に大きな重力加速度場を発生することがで
きる装置の開発が進められている。そして、図9に示す
ような高速回転試験装置が知られており、これは、ロー
タを高速回転させることによってその遠心力で高重力加
速度場を発生するものである。この装置について詳述す
る。
【0003】図9に示すように、この装置は、燃焼器
(図示せず)と、エアタービンモータ101と、試料容
器を収容するロータ102とを備えている。そして、燃
焼器からの燃焼ガスを矢印Aで示すようにエアタービン
モータ101に導入し、その回転トルクを回転軸103
に印加している。この回転軸103はオイルフロート軸
受け104及び固定式ブッシング105にて軸支されて
いる。そして、回転軸103の先端部には上記ロータ1
02が係合されている。
【0004】続いて、ロータ102の形状について図1
0を参照して説明する。図10(a)は、ロータ102
を正面から見た部分断面図を示し、図10(b)は、そ
の下方図である。ロータ102は、円錐の先端部を切除
した形状、すなわち、略円錐台形状である。そして、そ
の両端面である円の中心を上記回転軸103が貫通する
よう、ロータ102には軸穴102aが形成されてい
る。この軸穴102aに回転軸103が挿通して、当該
回転軸103の先端部にナット106を係合することに
より、ロータ102は、ナット106と固定式ブッシン
グ105とに挟まれて回転軸103先端部に固定され
る。また、ロータ102の一端面、すなわち、回転軸1
03の先端部側の面には、他端面(エアタービンモータ
側)に向かって稜線に沿った所定の深さを有する試料用
穴部107a,bが形成されている。この穴部107
a,bに試料である凝縮系物質Mを格納してロータ10
2を高速回転することにより、その遠心力による大きな
重力加速度下にて、試料を処理することができる。
【0005】具体的には、この高速回転試験装置では、
ロータの遠心力により、20万重力加速度(以下、g)
以上の加速度場を、60℃を越える温度下にて発生させ
ることができる。ここで、一般的には、回転軸周りの角
速度をω、物体から回転軸におろした垂線の長さをrと
すると、加速度場αは、α=rωで表される。試料容
器内径半径rの大小によって必要な回転速度が相違する
が、例えば、試料容器内径半径rが20mmの場合に、
81万gを発生させるには、最高回転速度20万rpm
以上の高速回転を実現する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例における高速回転試験装置では、以下のような不都
合があった。
【0007】まず、上述したロータには、その回転中心
部に軸穴が空いているため、高速回転時に高重力加速度
場による応力に軸穴が耐えられず、ロータの変形等を伴
う場合も生じうる。従って、ロータの回転速度を所定の
速度に制限しなければならないという問題が生じてい
た。
【0008】また、ロータ周囲の雰囲気は大気中であ
り、空気による摩擦抵抗が生じていた。従って、かかる
抵抗力により、回転速度が抑制されるという問題も生じ
ていた。そして、ロータ周囲の雰囲気を減圧して空気に
よる摩擦抵抗を抑制した場合には、ロータにかかる抵抗
力が減少して回転速度の上昇を図ることができるが、空
気による熱伝達を利用できず、ロータの加熱・冷却の効
率が低下するという不都合が生じる。従って、試料の温
度制御が困難であり、試料の試験内容が制限されるとい
う問題が生じていた。
【0009】さらに、回転軸を固定式ブッシングにて軸
支することにより、回転軸とブッシングと相対速度が増
し、かかる間に生じる摩擦により焼き付けを起こすとい
う不都合も生じ、ロータの高速回転を長時間維持するこ
とが困難であるという問題も生じていた。
【0010】
【発明の目的】本発明は、上記従来例の有する不都合を
改善し、特に、試料を格納したロータのさらなる高速回
転化、及び、高速回転の長時間化を図ると共に、高速回
転時におけるロータの温度制御を図ることができる高速
回転試験装置を提供すること、をその目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、所
定の試料を格納する試料用穴部を有するロータと、この
ロータの回転中心に一端部が連結されるスピンドルと、
このスピンドルの他端部に連結して当該スピンドルに所
定のトルクを印加するトルク印加手段と、ロータを密閉
して収容する枠体とを備えると共に、枠体に、当該枠体
内の気圧を減圧する減圧手段と、スピンドルを挿通して
当該スピンドルを保持する保持手段とを備えている。そ
して、保持手段は、スピンドルを支持する少なくとも一
つのブッシングと、当該ブッシングを挿通して支持する
ブッシング支持部材とを有し、少なくとも一つのブッシ
ング支持部材の内径を、当該ブッシング支持部材に挿通
されるブッシングの外径よりも大きく形成することによ
り、ブッシング支持部材がブッシングを回転自在に支持
する、という構成を採っている(請求項1)。
【0012】このような構成にすることにより、トルク
印加手段からスピンドルに印可されたトルクがロータへ
と伝達し、当該ロータは減圧下の雰囲気にて高速回転す
る。このとき、スピンドルは保持手段内のブッシングに
て軸支されているため、スピンドルとブッシングとの摩
擦により、スピンドルの回転方向と同一の方向にブッシ
ングも回転されるよう回転力が付勢される。そして、ブ
ッシングはブッシング支持部材に所定の隙間を有して軸
支されているため、当該ブッシングはブッシング支持部
材に対して回転しうる。従って、ブッシングがブッシン
グ支持部材に固定されている場合に対して、スピンドル
とブッシングとの相対的な回転速度が抑制されるため、
かかる部材間の摩擦が抑制され、焼き付けの発生を抑制
することができる。その結果、ロータのさらなる高速回
転を図ることができると共に、高速回転を長時間維持す
ることが可能となる。
【0013】そして、所定のブッシング支持部材に回転
自在に支持されているブッシングを、保持手段のトルク
付加手段側にのみ備えてもよい(請求項2)。すなわ
ち、スピンドルのロータ側に備えられているブッシング
を、ブッシング支持部材にて固定して支持してもよい。
これにより、ロータ付近にてスピンドルを安定して軸支
するため、当該スピンドルの揺動を抑制することがで
き、ロータの安定した高速回転を図ることができると共
に、トルク付加手段側では、スピンドルとブッシングと
間の摩擦を抑制する。従って、上述同様に、ロータの長
時間の高速回転を図ることができる。
【0014】また、ロータの回転中心に、当該ロータか
らトルク印加手段側に突出したスピンドルと連結するス
ピンドル連結部を形成すると望ましい(請求項3)。そ
して、このスピンドル連結部の突出端に、スピンドルを
挿入して連結する軸穴を形成すると共に、この軸穴の深
さを、スピンドル連結部を貫通しない深さとすると、な
お望ましい(請求項4)。
【0015】これにより、スピンドルを連結するスピン
ドル連結部がロータの回転中心から突出して形成され
る。すなわち、スピンドル連結部がロータと一体的に形
成される。そして、スピンドル連結部の突出端から所定
の深さに形成された軸穴にスピンドルが挿入して連結さ
れるため、ロータの回転中心にスピンドル連結部及びロ
ータ本体を貫通する軸穴を形成する必要がなくなる。従
って、ロータに軸穴である貫通孔がある場合には当該貫
通孔が高速回転による遠心力の応力に耐えられずにロー
タ形状が変形するなどの不都合が生じうるが、このよう
な不都合の発生を抑制することができる。すなわち、高
速回転時のロータの形状など、当該ロータの状態の安定
化を図ることができ、さらなる高速回転化を図ることが
できる。
【0016】さらに、従来はトルク印加手段として燃焼
ガスにて駆動するエアタービンを使用していたが、当該
トルク印加手段として、圧縮空気を供給することにより
回転駆動するエアタービンや(請求項5)、電動駆動モ
ータを用いると望ましい(請求項6)。これにより、燃
焼ガスを発生する燃焼器を用いることがないため、従来
のように燃焼器からの熱がロータに格納された試料にま
で伝熱することを抑制できる。従って、高速回転時のロ
ータ、すなわち、試料の温度の上昇を抑制でき、当該試
料の温度制御を図ることができる。
【0017】そして、このとき、枠体の内部であってロ
ータの近傍に、所定の面積を有する輻射部材を設けると
共に、この輻射部材の温度を制御する輻射温度制御手段
を設けると望ましく(請求項7)、輻射部材を、ロータ
の回転周囲を覆うよう円環状に形成すると、なお望まし
い(請求項8)。これにより、温度制御手段にて輻射部
材を加熱・冷却することにより、当該輻射部材からの輻
射線にてロータに輻射熱が生じ、当該ロータを加熱ある
いは冷却することができる。このとき、輻射部材を円環
状にしてロータを覆うことにより、効率よく加熱・冷却
できる。従って、ロータ周囲の雰囲気が減圧下であって
も、ロータの温度を制御することができ、試料の処理温
度を設定することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】〈第1の実施形態〉以下、本発明
の第1の実施形態を、図1乃至図7を参照して説明す
る。図1は、本発明の構成を示す断面概略図である。図
2は、ロータの形状を説明する図である。図3は、保持
手段の構成を示す断面図である。図4乃至図7は、本装
置を用いて高速回転試験を行った実験結果を示す図であ
る。
【0019】(全体構成)図1に示すように、第1の実
施形態における高速回転試験装置は、所定の試料を格納
する試料用穴部を有するロータ1と、このロータ1の回
転中心に一端部が連結されるスピンドル2と、このスピ
ンドル2の他端部に連結して当該スピンドル2に所定の
トルクを印加するトルク印加手段3と、ロータ1を密閉
して収容する枠体4とを備えている。そして、枠体4
に、当該枠体4内の気圧を減圧する減圧手段5と、スピ
ンドル2を挿通して当該スピンドル2を保持する保持手
段6とを備えている。この図のように、スピンドル2に
吊り下げられて連結されたロータ1に、トルク印加手段
3からのトルクがスピンドル2を介して伝達され、当該
ロータ1の高速回転を図ることができる。以下、これを
詳述する。
【0020】(ロータ)図2を参照して、ロータ1を説
明する。図2(a)は、ロータ1を正面から見た部分断
面図である。図2(b)は、ロータ1を図2(a)にお
いて下方から見た図である。
【0021】ロータ1は、後述するように、トルク印加
手段3からのトルクがスピンドル2を介して伝達される
ことにより回転される回転体である。このロータ1は、
略円錐台形のロータ本体部1Aと、この本体部1Aの回
転中心に位置して回転軸方向に突出するスピンドル連結
部1Bとにより構成される。ここで、ロータ1は、ロー
タ本体部1Aとスピンドル連結部1Bとを結合したもの
ではなく、一体的に形成されたものである。従って、ロ
ータ1は、鍛造によるバルク材を削り加工することによ
り製造されると望ましい。但し、製造方法に限定され
ず、鋳物などによって製造されてもよい。このように一
体的に形成することにより、高速回転による遠心力に耐
えうるようロータ自体の強度の向上を図ることができ
る。ここでは、説明の便宜上、ロータ1をロータ本体部
1Aと、スピンドル連結部1Bとに分けて説明する。
【0022】ロータ本体部1Aは、上述したように略円
錐台であり、換言すると、円錐を底面から所定の高さに
て当該底面と平行な面にてカットし、先端部側を切除し
た形状である。そして、切除側を本装置の下部方向に向
けて配設されている。すなわち、元の円錐形状における
底面が上部側に位置し、切除側が下部側に位置する。そ
して、下部側の面はもちろん円形状であるが、その円周
から中心に向かって一様にくぼんだ形状になっている
(図2(a)の断面部分参照)。但し、その中心部は、
軸方向に突出している。従って、下部側の面には、円環
状の凹部が形成されている。
【0023】この凹部には、円錐台の稜線に沿って装置
の上部方向に延びる試料用穴部1Aa,1Abが形成さ
れている。この試料用穴部1Aa,1Abは、所定の深
さを有していて、左右対称に2つ形成されている(図2
(b)参照)。但し、その個数は2つに限定されるもの
ではない。
【0024】この試料用穴部1Aa,1Abは、回転試
験を行う凝縮系物質である試料Mを格納する穴部であ
る。この穴部1Aa,1Abには、試料Mを詰めて所定
の栓C1をねじ込んだ試料容器(カプセル)Vを挿入
し、さらに別の栓C2で穴部1Aa,1Abを塞ぐ。ま
た、この穴部1Aa,1Abは、回転軸に対して約30
°の傾斜を有するよう形成したが、これに限定されるも
のではない(図2(a)参照)。
【0025】また、上述したように、ロータ1には大き
な重力加速度が生じることと、本装置では、試料に遠心
力を与えるだけでなく拡散や相変化反応などを起こさせ
ることが目的であって加熱を行う必要があることから、
当該ロータ1は高強度であって、かつ、耐熱性に優れた
材料にて形成されることが望ましい。従って、本実施形
態では、チタン合金(Ti−6A1−4V)にて形成さ
れたロータ1を用いる。但し、ロータ1の材料はこれに
限定されるものではない。高温用として、鉄−ニッケル
合金(Inconel718)や、セラミックス製のも
のを用いてもよい。また、後述するように、ロータ1を
冷却する場合には、他の材料にて形成されたロータ1を
用いてもよい。
【0026】そして、スピンドル連結部1Bは、ロータ
本体部1Aの上部側に備えられる略円柱状の部材であ
る。この円柱部材は、当該円柱の中心軸とロータ本体部
1Aの回転軸とが一直線上に位置するようになってい
る。このスピンドル連結部1Bの上端部、すなわち、ロ
ータ本体部1Aから突出した突出端には、スピンドル2
を挿入して連結する軸穴1Baがロータ1の回転軸上に
形成されている。この軸穴1Baは、下部方向に向かっ
て形成されていて、スピンドル連結部1Bを貫通しない
所定の深さとなっている。従って、当然のことながら、
ロータ本体部1Aにも軸穴1Baは達していない。
【0027】また、この軸穴1Baに対して垂直に、ス
ピンドル連結部1B外部から貫通するねじ穴1Bbが形
成されている。そして、軸穴1Baにスピンドル2を挿
入して、ねじ穴1Bbからねじを締めることにより、ス
ピンドル2をスピンドル連結部1Baに連結することが
でき、トルク印加手段3からのトルクをロータ1に伝達
することができる。
【0028】ここで、従来例では、ロータ1の中心に貫
通孔を形成して、この貫通孔にスピンドル2を挿通し
て、ナットなどにより当該スピンドル2の先端部にロー
タ1を連結していた。しかし、かかる場合には、貫通孔
が高速回転による遠心力の応力に耐えられないこともあ
り、ロータ自体の形状が変形するという不都合が生じて
いた。本実施例では、このような不都合の改善を図るこ
とができ、強固なロータを提供でき、さらなる高速回
転、あるいは、高速回転の長時間化を図ることができ
る。
【0029】(スピンドル)スピンドル2は、上述した
ように、一端部がロータ1のスピンドル連結部1Bに連
結されていて、他端部はトルク印加手段3に連結されて
いる。また、その中央部は、後述する保持手段6にて軸
支されている。このようにして、ロータ1にトルクを伝
達すると共に、当該ロータ1の高速回転の安定化を図っ
ている。
【0030】(トルク印加手段)トルク印加手段3は、
圧縮空気を供給することにより回転駆動するエアタービ
ン3Aと、圧縮空気を供給するコンプレッサ3Bと、エ
アタービン3Aに導入された空気を排出するマフラ3C
とにより構成される。エアタービン3Aは、図1に示す
ように、コンプレッサ3Bによる圧縮空気をタービン3
Aの右方向(矢印L1)から導入して、その空気の風圧
にて回転される回転羽根(図示せず)を内部に有してい
る。そして、この回転羽根の回転中心は、当該エアター
ビン3Aの駆動軸(図示せず)そのものである。すなわ
ち、回転羽根は駆動軸の所定箇所に備えられている。そ
して、駆動軸は上記スピンドル2の他端部に連結してい
て、駆動力をスピンドル2に伝達する。
【0031】上記回転羽根は、図示しないが二段構造に
なっていて、それぞれの羽根は反対向きに備えられてい
る。そして、各回転羽根に圧縮空気を供給できるよう、
各回転羽根間には仕切りが設けられている。従って、圧
縮空気を一方の回転羽根に供給することによりロータ1
を高速回転することができるが、このときに他方の羽根
に圧縮空気を供給すると当該他方の羽根は反対方向に回
転するため、ロータ1の回転速度を減速することができ
る。従って、このように2つの回転羽根を設けると共
に、圧縮空気の導入を切り換えることにより、ロータ1
の回転速度を精度良く制御することができる。ここで、
上記のように、コンプレッサ3Bからの圧縮空気をいず
れかの回転羽根に導入されるよう切り換える切換制御手
段が、エアタービン3Aには備えられている(図示せ
ず)。
【0032】また、マフラ3Cは、エアタービン3Aか
ら排出される空気による騒音を吸収して、当該空気を排
出する。なお、上記エアタービン3A、コンプレッサ3
B、マフラ3Cの他の機能は、一般的に用いられるもの
と同様であるため、その詳細は省略する。
【0033】ここで、従来例では、トルク印加手段3と
して燃焼ガスにて駆動するエアタービンを使用してい
た。すなわち、ジェットエンジン型燃焼器からの燃焼ガ
スを用いて駆動するターボチャージャーを用いること
で、短時間にて高回転を得ることができた。しかしなが
ら、かかる場合には試験を行う上で最も重要な要素であ
る回転数の制御が困難であると共に、燃焼ガスからの熱
がロータ1に伝熱してしまうこともあり、種々の問題が
生じていた。一方、本発明では、圧縮空気によるエアタ
ービンを用いることで、駆動源の回転数制御が容易であ
り、駆動時の発熱も抑制できる。従って、ロータ1の回
転数及び温度等を容易に設定することができるため、種
々の条件にて試験を行うことでき、ユーザの利便性の向
上を図ることができる。このため、トルク印加手段3
は、駆動する際に発熱を抑制することができるものであ
ればよく、例えば、電動駆動モータを用いてもよい。か
かる場合にも、駆動源の回転数を精度よく制御すること
ができ、ロータ1の回転数の制御も容易となる。
【0034】(枠体)枠体4は、ロータ1を所定の雰囲
気中に収容する所定の厚さを有する枠体である。この枠
体4は、略直方体形状であり、その内部空間も同様であ
る。具体的には、各壁を形成する板状部材にて構成され
ていて、その結合部は図示しないシールが施されてい
る。なお、後述するように、枠体4による内部空間は密
閉空間になっている。
【0035】枠体4の上部には、後述するスピンドル2
を軸支する保持手段6を配置するよう、保持手段用穴部
4Aが形成されている。そして、この穴部4Aに保持手
段6がはめ込まれ、当該穴部4Aの外周はシールされ
る。これにより、保持手段6にて軸支されるスピンドル
の先端部が枠体4内部に挿入され、かかる先端部にロー
タ1が連結されることで、当該ロータ1を枠体4内に収
容することができる。
【0036】また、枠体4の側面には、排気口4Bが形
成されている。かかる排気口4Bは、通常は塞がれてい
る。但し、その先に真空ポンプなどの減圧手段5を備え
ることも可能である。かかる場合に、当該ポンプにて枠
体4の内部空間の空気を外部に排出することにより(図
1の矢印L2を参照)、当該枠体4内を真空状態又はこ
れに準ずる状態にすることができる。例えば、大気圧を
約10Paとすると、減圧により10Pa以下にす
ることができる。これにより、ロータ1周囲の雰囲気が
減圧状態となり、ロータ1と空気とによる摩擦抵抗の減
少を図ることができる。従って、ロータ1の高速回転時
の摩擦による損失を抑制することができるため、トルク
印加手段3にかかる負担を抑制することができ、さらな
る高速回転化を図ることができる。また、このことか
ら、ロータ1の回転速度の維持に必要なトルクの抑制を
図ることができ、長時間の高速回転の維持を図ることが
できる。
【0037】そして、かかる枠体は、高速回転試験に際
して破断して飛び散った場合のロータ1の破片を外部に
漏らさず回収する機能を有する。従って、枠体4の壁面
は、破片の衝突に耐えうる強度設計が施されている。
【0038】(保持部材)保持手段6は、スピンドル2
を挿通して、その中央部にて軸支する軸受けの役割を果
たす機構である。この保持手段6は、上述したように、
枠体4の上壁に嵌合されて備えられている。以下、保持
手段6を、図3を参照して説明する。図3は、保持手段
6の構成を示す断面図である。
【0039】この図に示すように、保持手段6は、スピ
ンドル2がその中心を貫通する円筒状であって、当該円
筒形状を形成するケーシング61を備えている。このケ
ーシング61は内部に所定の空間部を有していて、この
空間部は種々の部品が格納される格納室61aとして形
成されている。そして、当該格納室61aにはスピンド
ル2を軸支する所定の部品が収容されていると共に、潤
滑油にて常に満たされた状態になっている。従って、ケ
ーシング61の内部、具体的には、格納室61aを形成
する壁には、当該格納室61aに隣接した状態で外部か
ら潤滑油の供給が可能な潤滑油室61bが設けられてお
り、かかる潤滑油室61bから格納室61aに潤滑油を
供給する二つの供給口61c,61dが設けられてい
る。また、ケーシング61には格納室61a内から外部
に潤滑油を排出可能な排出口61eが設けられている。
従って、本装置の使用時には、格納室61a内を常に潤
滑油が満たすように循環することが可能となっている。
【0040】また、格納室61aには、スピンドル2を
上部にて軸支するブッシング71と、当該ブッシング7
1を挿通して支持するブッシング支持部材72とが備え
られている。また、スピンドル2の下部には、当該スピ
ンドル2を軸支するすべり軸受け73と、格納室61a
内に満たされた潤滑油をケーシング61の下部に漏らさ
ないようシールするオイルシール74とが備えられてい
る。そして、上記ブッシング支持部材72やすべり軸受
け73及びオイルシール74などを保持するハウジング
75も備えられている。
【0041】ハウジング75は上部に位置する上部筒状
体75aと、下部に位置する下部筒状体75bとにより
構成されている。そして、これらの筒状体75a,75
bの間には、当該筒状態75a,75bを離間するよう
上下方向に沿って押圧する押圧ばね76が介挿されてい
る。
【0042】上部筒状体75aは、上部に天板を備えた
筒状を呈し、その天板の中央にブッシング支持部材72
が嵌合される貫通孔が設けられている。このとき、貫通
孔の内径は、ブッシング支持部材72を固定して支持す
ることができるよう、当該ブッシング支持部材72の外
径とほぼ同一の径である。そして、この上部筒状体75
aの上部には、ワッシャ76が載置されている。なお、
後述するように、ブッシング支持部材72には、ブッシ
ング71が遊挿される。
【0043】下部筒状体75bは、底部に底板を備えた
筒状を呈し、その底板の中央にスピンドル2が遊挿され
る貫通孔が設けられている。また、底板より上部には、
上記貫通孔よりも径の大きいオイルシール74を嵌合す
る凹部が、同様にさらに上部には、すべり軸受け73を
嵌合する凹部が形成されている。そして、オイルシール
74やすべり軸受け73は、下部筒状体75bにて固定
されて嵌合される。この下部筒状体75bは、その底板
を格納室61aの下部内壁面にほぼ当接させた状態で格
納室45内に配設されている。
【0044】また、下部筒状体75bの周壁には、その
内部に潤滑油を供給する貫通穴61fが設けられてい
る。この貫通穴61fは上述した格納室61a内に潤滑
油を供給する供給口61cに対応する位置に設けられて
いる。このとき、図3に示す矢印L3の方向に、潤滑油
が供給される。
【0045】そして、押圧ばね76を介して上部筒状体
75aはその天板を格納室61aの上部内壁面方向に押
圧され、その一方で、下部筒状体75bはその底板を格
納室61aの下部内壁面方向に押圧される。このとき、
下部筒状体75bの底板と格納室61aの下部内壁面と
の間にはOリング77が介挿されており、ハウジング7
5の周囲と格納室61aの内壁面との間に介在する潤滑
油の下部側への漏れが防止される。また、下部筒状体7
5bの下部には、上述したように、スピンドル2の周囲
を取り囲むようにして設けられたオイルシール74が格
納されているため、ハウジング75内の潤滑油がスピン
ドル2を伝って下方に漏れることが防止されている。
【0046】ここで、上述したブッシング71及びブッ
シング支持部材72について詳述する。このブッシング
71の内径は、スピンドル2の軸径とほぼ同一の径であ
る。但し、完全に一致しているわけではなく、スピンド
ル2をブッシング71に挿通した際には、微少な隙間が
生じる。そして、この隙間には潤滑油が侵入するように
なっている。そして、潤滑油は下方から上方に流れ(矢
印L4を参照)、ケーシング61上部に形成された排出
口61eから排出される(矢印L5を参照)。また、ブ
ッシング71はその上端部付近のみの外径が大きく形成
されている。但し、その外径は上部筒状体75aの中心
部に形成された貫通孔よりも小さい径である。
【0047】そして、ブッシング支持部材72は、上記
ブッシング71の上端部部分を当該支持部材72の上端
部に引っかかるように支持し、その他の外径部分を軸支
する。このとき、ブッシング支持部材72は、ブッシン
グ71を軸支する部分の内径が、ブッシング71の外径
よりも大きく形成されている。すなわち、ブッシング支
持部材72は、ブッシング71を回転自在に支持する。
そして、当然のことながらブッシング支持部材72とブ
ッシング71との間に潤滑油が挿入するようになってい
て、これらの相対的な回転が円滑となる。なお、ブッシ
ング支持部材72の下端部は、その外径が大きく形成さ
れている(図3参照)。
【0048】これにより、まず、スピンドル2が回転す
ることにより、当該スピンドル2とブッシング71との
間には潤滑油が挿入されるものの、その量は微量である
ため摩擦が生じうる。これにより、スピンドル2の回転
方向と同一方向にブッシング71が回転されるようトル
クが生じる。このとき、ブッシング71とこれを軸支す
るブッシング支持部材72とは所定の間隙を有していて
潤滑油にて満たされているため、ブッシング71もスピ
ンドル2と同一方向に回転される。なお、このときのブ
ッシング71とブッシング支持部材72との摩擦は低減
されている。従って、スピンドル2の回転と同一方向に
ブッシング71も回転することにより、当該スピンドル
2とブッシング71との相対回転速度が低速に抑制され
るため、摩擦による焼き付けを抑制することができる。
【0049】さらには、ブッシング71とブッシング支
持部材72とが所定の間隙を有していることにより、当
該間隙に挿入している潤滑油にて、スピンドル2の揺動
を減衰することができ、当該スピンドル2の回転の安定
化を図ることができる。
【0050】これに対し、スピンドル2を下部にて軸支
しているすべり軸受け73は、当該スピンドル2の外径
とほぼ同一の内径を有する軸受けである。従って、スピ
ンドル2を下部にて確実に軸支しているため、当該スピ
ンドル2の揺動すなわちロータ1の揺動を抑制すること
ができる。このように、ロータ1付近の軸受けを、上記
のようなすべり軸受けを用いることにより、ロータ1の
高速回転の安定化を図ることができる。
【0051】ここで、本実施形態では、保持手段6の上
部側にのみ、上述のようなブッシング71及びブッシン
グ支持部材72を設ける場合を例示したが、必ずしもこ
れに限定されない。かかるブッシング71及びブッシン
グ支持部材72を、複数箇所に設けてもよい。すなわ
ち、ロータ1付近の軸受けを上記ブッシング71等にて
形成してもよい。
【0052】(輻射部材)また、枠体4の内部であって
ロータ1の近傍には、所定の面積を有する輻射部材8が
設けられている。具体的には、この輻射部材8は、所定
の厚みを有する板状の部材を、ロータ1の回転周囲を覆
うよう円環形状に形成したものである(図1参照)。そ
して、この輻射部材8は、図示しないが、枠体4の上部
から吊り下げられて配設されている。
【0053】また、この枠体4には、上記輻射部材8の
温度を制御する輻射温度制御手段9が設けられている。
この輻射温度制御手段9は、本実施形態では輻射部材8
を加熱するものであり、シーズヒータにて形成されてい
る。具体的には、輻射部材8の外周には、複数のコイル
91が当接して備えられていて、これらコイル91は、
所定の電流を流す電源である加熱手段92に接続されて
いる。また、輻射温度制御手段9は、図示しない温度セ
ンサや電源の電力供給量を制御するコンピュータをも備
えていて、ロータ1の温度を測定しつつ輻射部材8の温
度を調節することにより、当該ロータ1が所定の温度に
なるよう制御している。
【0054】また、輻射部材8は、ロータ1を加熱する
際には、カーボン製であると望ましい。さらに、輻射部
材8を加熱するには、ジュール加熱の他、高周波加熱を
用いてもよい。
【0055】このようにすることにより、輻射温度制御
手段9にて輻射部材8を加熱することにより、当該輻射
部材8からの輻射線にてロータ1に輻射熱が生じ、当該
ロータ1を加熱することができる。そして、ロータ周囲
の雰囲気が減圧下であって空気の対流等によりロータ1
に熱量を供給することが困難な場合であっても、上記の
ように輻射熱を用いることで、ロータ1を加熱してその
温度を制御することができ、所望の処理温度にて試料を
処理することができる。
【0056】(動作)次に、本実施形態における装置の
動作を説明する。まず、ロータ1を回転させる前に、真
空ポンプ(減圧手段)5にて枠体4内の気圧を10
a以下に減圧する。そして、コンプレッサ3Bを稼働
し、圧縮空気をエアタービン3Aに導入する(図1の矢
印L1を参照)。これにより、エアタービン3Aが回転
駆動し、これによるトルクがスピンドル2を介してロー
タ1に伝達する。なお、エアタービン3Aに回転力を付
勢した圧縮空気は、マフラ3Cを介して外部に排出され
る。
【0057】そして、スピンドル2が回転すると、スピ
ンドル2を軸支するブッシング71に当該スピンドル2
のトルクが摩擦により付勢される。このとき、スピンド
ル2とブッシング71との間には、潤滑油による薄膜が
形成されるが、かかる場合であっても摩擦が生じるた
め、スピンドル2の回転する方向にブッシング71にも
回転力が付勢される。そして、ブッシング71とこれを
軸支するブッシング支持部材72との間には、所定の隙
間が形成されていて潤滑油にて満たされているため、ブ
ッシング71はスピンドル2と同一の回転方向に回転す
る。これにより、スピンドル2とブッシング71との相
対的な回転速度は減少するため、かかる部材間における
摩擦は減少し、焼き付けの抑制を図ることができる。
【0058】このスピンドル2のトルクは、その端部に
連結されたロータ1に伝達され、当該ロータ1は回転す
る。そして、ロータ1周囲の雰囲気は減圧されているた
め、空気抵抗が少なく回転時の損失が抑制され、当該ロ
ータ1の高速回転を図ることができる。
【0059】また、ロータ1が回転中あるいは回転前か
ら、輻射部材8は輻射温度制御手段9にて加熱されてい
る。加熱された輻射部材8からは輻射線がロータ1に発
せられ、当該ロータ1に輻射熱が発生する。そして、加
熱されたロータ1内では、その熱が内部に格納された試
料にまで伝熱し、当該試料を所定の温度に設定しつつ、
所定の重力場にて処理することができる。
【0060】(実験)次に、本実施形態における装置を
用いて行った高速回転実験について、図4乃至図7を参
照して説明する。このとき、ロータ1は直径70mmの
ものを用いている。
【0061】図4は、ロータ1周囲の雰囲気が常温・減
圧下であって、ロータ1にチタン合金製(Ti−6A1
−4V)のものを用いて、回転試験を行ったときの結果
を示す図である。横軸は時間(分)、縦軸は回転数(r
pm)である。この図より、8分経過後にはロータ1の
回転数が19万rpmに達し、高速回転を図ることがで
きた。このとき、試料である凝縮系物質Mにかかる重力
加速度は、その最大径において111万136gであっ
た。従って、本装置では、ロータ1の高速回転を図るこ
とができ、100万gを越える高重力加速度場にて試料
を処理することができる。
【0062】図5は、上記同様の条件にて、ロータ1を
17万rpmで24時間連続回転したときの結果を示す
図である。横軸は時間(時間)、縦軸は回転数(rp
m)である。この図より、24時間ほぼ17万rpmを
保つことができ、長時間に渡って高速回転を保持した場
合であっても、回転数を安定して維持することができ
る。また、このときの試料の最大径における重力加速度
場は、88万8724gであった。従って、本装置は、
高重力場の発生を長時間維持することができるため、耐
久性にも優れていることがわかる。
【0063】図6は、ロータ1に鉄−ニッケル合金製
(Inconel718)のものを用いて、ロータ1周
囲の雰囲気が200℃、減圧下にて、当該ロータ1の加
熱試験を行った結果を示す図である。横軸は時間(時
間)、縦軸は温度(℃)である。このとき、ロータ1は
静止させた状態であり、当該ロータ1には熱電対が取り
付けてある。これにより、ロータ1の温度を測定した。
この図より、ロータ1の温度は9時間経過したときには
200℃に達しているため、輻射熱にてロータ1を加熱
することが可能であることがわかる。従って、ロータ1
を減圧下にて回転する場合であっても、当該ロータ1の
温度を制御することができる。
【0064】図7は、ロータ1周囲の雰囲気が150℃
・減圧下であって、ロータ1にチタン合金製(Ti−6
A1−4V)のものを用いて、回転試験を行ったときの
結果を示す図である。この試験では、ロータ1を15万
5000rpmにて回転し、当該回転数を100時間保
持した。そして、かかる場合における回転数(一点鎖
線)と、ロータ1の温度(実線)とを測定した。横軸は
時間(秒)、縦軸は回転数(rpm)と温度(℃)であ
る。また、温度制御は、PID制御にて行った。この図
より、所定の回転速度を維持しつつ、ロータ1の温度を
も同時に制御することが可能であることがわかる。そし
て、かかる制御を高精度にて可能であることもわかる。
なお、このときの試料の最大径における重力加速度場
は、73万8809gであった。
【0065】以上のように、第1の実施形態における高
速回転試験装置は、試料を格納したロータ1を高速回転
することができ、具体的には、周速600m/s以上に
て回転することができる。これにより、100万g以上
の重力加速度場を発生させることができ、かかる高重力
場にて試料を処理することができる。そして、高速回転
を長時間維持することも可能であり、試料を高重力場に
て長時間処理することもできる。さらには、高速回転時
にロータ1を輻射熱にて加熱することができるため、試
料の温度を設定して高重力場にて処理することができ
る。具体的には、400℃以上の加熱も可能である。
【0066】〈第2の実施形態〉次に、本発明の第2の
実施形態について、図8を参照して説明する。本実施形
態では、その構成は第1の実施形態のものとほぼ同一で
ある。但し、第1の実施形態では輻射部材8を加熱する
ものであった輻射温度制御手段9を、本実施形態では、
輻射部材180を冷却する手段190としている点で異
なる。具体的には、輻射温度制御手段190は、輻射部
材180に取り付けられた伝熱部材191と、この伝熱
部材191を冷却する冷却手段192とにより構成され
ている。このとき、輻射部材8の材質は銅であると望ま
しく、冷却手段192は、ヘリウム冷却にて伝熱部材1
91を冷却する装置であると望ましい。但し、これらに
限定されるものではない。
【0067】これにより、冷却手段192にて冷却され
た伝熱部材191により、輻射部材180が冷却され
る。そして、この輻射部材180による輻射冷却によ
り、ロータ1を冷却することができ、当該ロータ1の温
度を下げることができる。従って、ロータ1内の試料を
冷却しつつ、高重力場にて処理を行うことができる。実
験では、−20℃以下に冷却することが可能であった。
【0068】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成され機能す
るので、これによると、スピンドルを軸支するブッシン
グをブッシング支持部材にて固定せずに軸支したため、
当該ブッシングはスピンドルの回転方向と同一の方向に
回転可能となり、スピンドルとブッシングとの間におけ
る摩擦が低減され、焼き付けを抑制できるので、ロータ
のさらなる高速回転を図ることができると共に、高速回
転を長時間維持することが可能となる、という従来にな
い優れた効果を有する。
【0069】また、ロータ周囲に輻射部材を配設した場
合には、輻射によりロータを加熱・冷却することがで
き、かかる場合には真空状態であってもロータの温度制
御を行うことができるため、ロータ周囲の雰囲気を減圧
することにより回転時の空気抵抗を抑制して高速回転化
を図り、高重力場において試料を処理しつつ、当該試料
の処理温度の制御を図ることができ、種々の処理条件を
設定することができる。
【0070】さらに、ロータの駆動源として圧縮空気に
て駆動するトルク印加手段を用いた場合には、駆動源か
らの発熱が抑制されると共にその熱によりロータが加熱
されることを抑制することができるため、より容易にロ
ータすなわち試料の温度制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における構成の概略を
示す断面図である。
【図2】図1に開示したロータを示す図である。図2
(a)は、ロータを正面から見た部分断面図であり、図
2(b)は、図2(a)におけるロータを下方から見た
図である。
【図3】図1に開示した保持手段の構成を示す断面図で
ある。
【図4】第1の実施形態における装置を用いて、高速回
転試験を行ったときの結果を示す図である。
【図5】第1の実施形態における装置を用いて、連続回
転試験を行ったときの結果を示す図である。
【図6】第1の実施形態における装置を用いて、ロータ
の加熱実験を行ったときの結果を示す図である。
【図7】第1の実施形態における装置を用いて、回転数
及び温度制御試験を行ったときの結果を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における構成の一部を
示す概略図である。
【図9】従来例における高速回転試験装置の構成を示す
断面図である。
【図10】従来例におけるロータの形状を示す図であ
る。図10(a)は、ロータを正面から見た部分断面図
であり、図10(b)は、図10(a)を下方から見た
図である。
【符号の説明】
1 ロータ 2 スピンドル 3 トルク印加手段 4 枠体 5 減圧手段 6 保持手段 8 輻射部材 9 輻射温度制御手段 71 ブッシング 72 ブッシング支持部材 73 すべり軸受け 1A ロータ本体部 1B スピンドル連結部 1Ba 軸穴 M 凝縮系物質(試料)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 末吉 正典 千葉県柏市正連寺253 丸和電機株式会社 内 (72)発明者 手塚 明 千葉県柏市正連寺253 丸和電機株式会社 内 (72)発明者 柴▲崎▼ 康司 千葉県柏市正連寺253 丸和電機株式会社 内 (72)発明者 黄 新▲勝▼ 茨城県那珂郡東海村白方白根2−4 日本 原子力研究所 東海研究所内 (72)発明者 長壁 豊隆 茨城県那珂郡東海村白方白根2−4 日本 原子力研究所 東海研究所内 (72)発明者 小野 正雄 熊本県熊本市九品寺3丁目15−12 パレッ ト九品寺401号 (72)発明者 真下 茂 熊本県熊本市高平3丁目21−45 Fターム(参考) 2G058 BA06 BB02 BB11 BB12 4D057 AA03 AB01 AB03 AC01 AC05 AD01 AE11 AF03 BA03 BA05 BA21 BA33 BA38 CA07 CB04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の試料を格納する試料用穴部を有す
    るロータと、このロータの回転中心に一端部が連結され
    るスピンドルと、このスピンドルの他端部に連結して当
    該スピンドルに所定のトルクを印加するトルク印加手段
    と、前記ロータを密閉して収容する枠体とを備えると共
    に、 前記枠体に、当該枠体内の気圧を減圧する減圧手段と、
    前記スピンドルを挿通して当該スピンドルを保持する保
    持手段とを備え、 前記保持手段は、前記スピンドルを支持する少なくとも
    一つのブッシングと、当該ブッシングを挿通して支持す
    るブッシング支持部材とを有し、 前記少なくとも一つのブッシング支持部材の内径を、当
    該ブッシング支持部材に挿通される前記ブッシングの外
    径よりも大きく形成することにより、前記ブッシング支
    持部材が前記ブッシングを回転自在に支持することを特
    徴とする高速回転試験装置。
  2. 【請求項2】 前記所定のブッシング支持部材に回転自
    在に支持されている前記ブッシングを、前記保持手段の
    前記トルク付加手段側にのみ備えたことを特徴とする請
    求項1記載の高速回転試験装置。
  3. 【請求項3】 前記ロータの回転中心に、当該ロータか
    ら前記トルク印加手段側に突出した前記スピンドルと連
    結するスピンドル連結部を形成したことを特徴とする請
    求項1又は2記載の高速回転試験装置。
  4. 【請求項4】 前記スピンドル連結部の突出端に、前記
    スピンドルを挿入して連結する軸穴を形成すると共に、
    この軸穴の深さを、前記スピンドル連結部を貫通しない
    深さとしたことを特徴とする請求項3記載の高速回転装
    置。
  5. 【請求項5】 前記トルク印加手段は、圧縮空気を供給
    することにより回転駆動するエアタービンであることを
    特徴とする請求項1,2,3又は4記載の高速回転試験
    装置。
  6. 【請求項6】 前記トルク印加手段は、電動駆動モータ
    であることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の
    高速回転試験装置。
  7. 【請求項7】 前記枠体の内部であって前記ロータの近
    傍に、所定の面積を有する輻射部材を設けると共に、こ
    の輻射部材の温度を制御する輻射温度制御手段を設けた
    ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載
    の高速回転試験装置。
  8. 【請求項8】 前記輻射部材を、前記ロータの回転周囲
    を覆うよう円環状に形成したことを特徴とする請求項7
    記載の高速回転試験装置。
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