JP2012511932A - 愛玩動物において抗ウイルス性免疫を増強する際に使用するための、抗酸化剤を含有する食物組成物 - Google Patents

愛玩動物において抗ウイルス性免疫を増強する際に使用するための、抗酸化剤を含有する食物組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、愛玩動物がウイルス感染症に抵抗し、および/またはそれらを克服する能力を増強するための組成物を包含する。本発明の組成物は、愛玩動物の抗ウイルス性免疫を増強するのに有効な量のリポ酸を含有する。
【選択図】なし

Description

関連出願の引照
[0001] 本出願は審査中のapplication Ser.No.11/154,210(2005年6月16日出願)の一部継続出願であり、これはapplication Ser.No.09/978,132(2001年10月16日出願)の継続出願であり、これはU.S.patent number 6,914,071として発行され、これはapplication Ser.No.09/922,660(2001年8月6日出願)の一部継続出願であり、これはProvisional Application Ser.No.60/253,448(2000年11月28日出願)およびProvisional Application Ser.No.60/244,504(2000年10月31日出願)に基づく優先権を主張する;これらをそれぞれ本明細書に援用する。
発明の分野
[0002] 本発明は、愛玩動物がウイルス感染症に抵抗し、および/またはそれらを克服する能力を増強するための組成物を包含する。本発明の組成物は、愛玩動物の抗ウイルス性免疫を増強するのに有効な量のリポ酸を含有する。
[0003] 愛玩動物、たとえばイヌおよびネコは、老化の問題をかかえていると思われる。これらのうち幾つかは決まり文句に現われている。これらのひとつは“高齢のイヌに新しい芸当を教えることはできない”である。この文句は、イヌが老化するのに伴ってそれらの精神能力は身体能力と同様に低下するらしいという所見から出ている。思考、学習および記憶に関連する精神活動が次第に低下するように思われる(Cummings, B. J., Head, E., Ruehl, W., Milgram, N. W. & Cotman, C. W. (1996): The canine as an animal model of aging and dementia. Neurobiology of Aging 17:259-268)。さらに、老化しつつある動物では、変化しつつある精神能力に付随して行動変化が発現する可能性がある。多くの原因がこの能力低下にあるとされてきた。
[0004] これらの能力喪失は高齢のイヌ類およびネコ類に一般にみられる。7歳以上のイヌおよび7歳以上のネコ類は高齢とみなされ、この問題を生じる可能性がある。
[0005] 有意レベルの少なくとも1種類の抗酸化剤が成体の愛玩用ペットの食事中に存在するか、あるいはペットにその食事以外に与えられることにより、高齢の愛玩用ペットの精神能力の衰退開始を阻止し、および/または成体の愛玩用ペットの精神能力をさらに高齢になるまで維持することができる。
Cummings, B. J., Head, E., Ruehl, W., Milgram, N. W. & Cotman, C. W. (1996): The canine as an animal model of aging and dementia. Neurobiology of Aging 17:259-268
[0006] 本発明によれば、成体ペットの通常の栄養要求を満たし、その愛玩用ペットの高齢期における精神能力の衰退開始を阻止するのに十分な量の抗酸化剤またはその混合物をさらに含む、愛玩用ペットの食事が提供される。
[0007] 他の態様は、高齢の愛玩用ペットの精神能力の衰退を阻止するための方法であって、ペットにその成体期に、この阻止を達成するのに十分なレベルの抗酸化剤またはその混合物を与えることを含む方法を包含する。
[0008] 他の態様は、成体の愛玩用ペットの通常の栄養要求を満たし、そのペットの高齢期における精神能力の衰退を阻止するのに十分な量の、ビタミンE、ビタミンC、アルファ−リポ酸、L−カルニチンおよびその混合物からなる群から選択される抗酸化剤をさらに含む、成体の愛玩用ペットの食事を包含する。
[0009] 本発明の他の態様は、高齢の愛玩用ペットの精神能力を増強するための方法であって、ペットにその成体期に、精神能力を高めるのに十分な量の抗酸化剤またはその混合物を与えることを含む方法を包含する。
[0010] 他の態様は、成体の愛玩用ペットの精神能力を増強するための方法であって、ペットにそのペットの精神能力を高めるのに十分な量の抗酸化剤またはその混合物を与えることを含む方法を包含する。
[0011] 他の態様は、愛玩動物の抗ウイルス活性を増強するのに有効な量の1種類以上の抗酸化剤、たとえばリポ酸を含有する、ペットフード組成物を包含する。
全般的記載
[0012] 本発明は、愛玩動物において抗ウイルス活性を増強するのに有効な量である量のリポ酸を含有するペットフード組成物を包含する。特定の態様において、愛玩動物において抗ウイルス活性を増強するリポ酸の有効量は少なくとも約25ppmである。
[0013] 特定の態様において、有効量は少なくとも約50ppmである。
[0014] 特定の態様において、有効量は少なくとも約100ppmである。
[0015] 特定の態様において、有効量は約100ppm〜約600ppmである。
[0016] 特定の態様において、有効量は約100ppm〜約200ppmである。
[0017] 特定の態様において、愛玩動物はイヌである。
[0018] 特定の態様において、愛玩動物はネコである。
[0019] 特定の態様において、有効量は愛玩動物において先天性(innate)抗ウイルス活性を増強するのに有効である。
[0020] 特定の態様において、リポ酸を含むペットフード組成物を少なくとも15日間投与する。
[0021] 特定の態様において、リポ酸を含むペットフード組成物を少なくとも30日間投与する。
[0022] 特定の態様において、リポ酸を含むペットフード組成物を少なくとも45日間投与する。
[0023] 特定の態様において、リポ酸を含むペットフード組成物を少なくとも1日1回投与する。
[0024] 成体の愛玩用ペット、たとえばイヌ類およびネコ類に与える食事は、その年齢の動物に与える標準的な普通食である。下記は1〜6歳のイヌ類のための典型的な食事である:
Figure 2012511932
[0025] 有意量の抗酸化剤またはその混合物を成体の愛玩用ペットの食事に添加することにより、高齢のペットにおいて、立証できるほどの行動変化の開始、特に、具体的には問題解決能力により示されるような精神能力の衰退の開始の遅延をもたらすことができる。1種類以上の抗酸化剤を成体の愛玩用ペットの食事に添加することにより、愛玩動物における抗ウイルス活性の増強をもたらすこともできる。用語、成体は、一般に少なくとも1〜6歳のイヌ類および少なくとも1〜6歳のネコ類を意味するものとする。高齢のイヌまたはネコは、7歳以上である。
[0026] イヌ類およびネコ類の精神能力の喪失は、多年にわたって観察されている。この精神能力喪失は多数の形で発現する。たとえばイヌ類については、それは見当識障害、小屋の汚染、睡眠−起床パターンの変化、ヒトや他のペットとの交流の減少または変化、ならびに学習および集中する能力の障害として発現する可能性がある。これらの状態はネコ類にも発現する可能性がある。ヒトにおいて示されるようなアルツハイマー病はイヌ類およびネコ類にはみられない。
[0027] この精神能力喪失について多数の説が提示されている。現在まで、イヌおよびネコにおいてこの精神能力喪失を阻止するか、あるいは客観的パラメーターにより測定して実際に精神能力にプラスの変化をもたらすことができる、何らかの食事作用クールを本発明者らは知らない。
[0028] 本発明者らは、この衰退の開始の遅延を達成するのに成功した。本発明の食事を成体の愛玩用ペットに使用することにより、高齢のペットの精神能力をより長期間維持しうることを示すことができる。本質的に、精神能力の衰退を停止または遅延させることができる。記憶および学習能力を改善することができる。全体的な精神覚醒状態を向上させることができる。加齢性認知低下を遅らせることができる。認知機能障害症候群に関して、高齢のイヌにおいてそれの進行を遅らせることができ、この症候群に関連する臨床徴候を抑制することができる。適切な場合には予防、およびこれらの成分を必要とするペットが目標グループである。
[0029] 本発明者らは意外にも、1種類以上の抗酸化剤、たとえばリポ酸の添加が、愛玩動物、たとえばイヌおよびネコにおいて、先天性抗ウイルス免疫機能を増強するのに有用であることも見出した。本明細書中で用いる用語“増強する(enhance)”または“増強(enhancing)”は、抗ウイルス免疫機能について述べる場合、愛玩動物が抗原に対して増大した免疫応答をもち、これによって感染症に対してより抵抗性となり、または愛玩動物の身体からより速やかにウイルス感染症を消失させる能力を表わす。したがって、抗酸化剤、たとえばリポ酸を含有するペットフードを食べている愛玩動物、たとえばイヌは、抗酸化剤を摂取していない動物よりウイルス感染症に対して抵抗性であり、それをより速やかに消失させるであろう。
[0030] これを達成する食事の成分は、抗酸化剤またはその混合物である。抗酸化剤は、フリーラジカルを消滅させる物質である。そのような物質の例には、イチョウ(ginkgo biloba)、柑橘類果肉、ブドウ搾りかす、トマト搾りかす、ニンジンおよびホウレンソウなどの食物(すべて、好ましくは乾燥したもの)、ならびに他の多様な物質、たとえばベータ−カロテン、セレン、コエンザイムQ10(ユビキノン)、ルテイン、トコトリエノール類、ダイズイソフラボン類、S−アデノシルメチオニン、グルタチオン、タウリン、N−アセチルシステイン、ビタミンE、ビタミンC、アルファ−リポ酸、L−カルニチンなどが含まれる。ビタミンEはトコフェロールまたはトコフェロール混合物、およびその多様な誘導体、たとえばエステル、たとえばビタミンE酢酸、コハク酸、パルミチン酸などとして投与できる。アルファ形が好ましいが、ベータ、ガンマおよびデルタ形が含有されていてもよい。D形が好ましいが、ラセミ混合物も許容される。これらの形態および誘導体は、ペットが摂取した後、ビタミンE様の活性で機能するであろう。ビタミンCはこの食事にアスコルビン酸およびその多様な誘導体、たとえばリン酸カルシウム塩、コレステリル塩、2−モノホスフェートなどとして投与でき、これらはペットが摂取した後にビタミンC様の活性で機能するであろう。それらは、液体、半固体、固体および熱安定形態など、いかなる形態であってもよい。アルファ−リポ酸は、この食事にアルファ−リポ酸として、またはそのリポエート誘導体(U.S.Pat.No.5,621,117の場合のような)、ラセミ混合物、塩類、エステルもしくはアミドとして投与できる。L−カルニチンを食事に投与でき、カルニチンの多様な誘導体、たとえば塩類、たとえば塩酸塩、フマル酸塩およびコハク酸塩、ならびにアセチル化カルニチンなどを使用できる。
[0031] 食事に投与する量−すべて食事に対するwt%(乾燥物質基準)として−は、遊離物質として測定される有効物質自体として計算される。最大使用量は毒性をもたらすべきでない。
[0032] 少なくとも約100ppmまたは少なくとも約150ppmのビタミンEを使用できる。特定の態様においては、約500〜約1,000ppmの範囲を使用できる。必ずしもそうではないが、約2,000ppmまたは約1,500ppmの最大量を一般に超えない。
[0033] ビタミンCに関しては、少なくとも約50ppm、望ましくは少なくとも約75ppm、より望ましくは少なくとも約100ppmを使用する。無毒性である最大量を使用できる。
[0034] リポ酸の量は、少なくとも約25ppm、望ましくは少なくとも約50ppm、より望ましくは約100ppmから変更できる。種々の態様において、イヌに投与できるリポ酸の範囲は約150ppm〜約4500ppmである。種々の態様において、ネコに投与できるリポ酸の範囲は約65ppm〜約2600ppmである。最大量は約100ppmから600ppmまで、またはペットに対して無毒性のままである量まで変更できる。特定の態様において、範囲は約100ppmから約200ppmまでである。
[0035] L−カルニチンについては、イヌ類には約50ppm、望ましくは約200ppm、より望ましくは約300ppmが有用な最小量である。ネコ類には、これよりわずかに高い最小量のL−カルニチン、たとえば約100ppm、200ppm、および500ppmを使用できる。無毒性最大量、たとえば約5,000ppm未満を使用できる。イヌ類には、これより低い量、たとえば約5,000ppm未満を使用できる。イヌ類には、好ましい範囲は約200ppm〜約400ppmである。ネコ類には、好ましい範囲は約400ppm〜約600ppmである。
[0036] ベータ-カロテンは約1〜15ppmで使用できる。
[0037] セレンは約0.1から約5ppmまでで使用できる。
[0038] ルテイン:少なくとも約5ppmを使用できる。
[0039] トコトリエノール類:少なくとも約25ppmを使用できる。
[0040] コエンザイムQ10:少なくとも約25ppmを使用できる。
[0041] S−アデノシルメチオニン:少なくとも約50ppmを使用できる。
[0042] タウリン:少なくとも約1000ppmを使用できる。
[0043] ダイズイソフラボン類:少なくとも約25ppmを使用できる。
[0044] N−アセチルシステイン:少なくとも約50ppmを使用できる。
[0045] グルタチオン:少なくとも約50ppmを使用できる。
[0046] イチョウ:少なくとも50ppmの抽出物を使用できる。
[0047] 以下は、ORAC(Oxygen radical absorbing capacity、酸素ラジカル吸収能)含量の高い原料成分である:食事に1%の含有率(トウモロコシのように低ORAC成分については合計5%の置換)として添加した場合、それらは食事全体のORAC含量を増大させ、これらの成分を含有する食事を食べた動物の血漿のORAC含量を増大させた。好ましくは、乾燥物質のグラム当たりORAC含量>25.mu.moleをもついずれかのTrolox均等成分を、1%で他の4種類の1%成分と組み合わせて合計5%を食事に添加すれば使用できる。
[0048] ホウレンソウ搾りかす、トマト搾りかす、柑橘類果肉、ブドウ搾りかす、ニンジン顆粒、ブロッコリ、緑茶、イチョウ、およびトウモロコシグルテンミール。
実施例1
[0049] 2〜4歳の成体ビーグル犬17匹(対照n=8、抗酸化剤強化n=9)を、ランダムに対照食または強化食のグループに入れた。対照食は59ppmのビタミンEおよび<32ppmのビタミンCを含有していた。試験食は900ppmのビタミンEおよび121ppmのビタミンC、260ppmのL−カルニチンならびに135ppmのアルファ−リポ酸を含んでいた。この食事の開始後、約1カ月目に、イヌに課された最初の問題解決作業はランドマーク識別学習作業であった;これは空間注意(spatial attention)試験である(Milgram, N. W., Adams, B., Callahan, H., Head, E., Mackey, B., Thirlwell, C. & Cotman, C. W. (1999): Landmark discrimination learning in the dog. Learning & Memory, 6:54-61)。
[0050] ランドマーク識別学習には、被験体が、ある物体との近接に基づいて特定の物体を選択することが要求される。しかし、最初の学習はイヌが物体識別作業を学習する能力に基づく。本発明者らは、識別学習に対する年齢の影響は作業の困難度に依存することを以前に見出した。
[0051] ランドマーク0試験を学習させた場合、強化食を与えた成犬は対照食を与えた成犬よりエラーが少なかった(対照平均=31.1、強化平均=15.1)。成犬をランドマーク1および2試験へ進めた;これらの場合、ランドマークをプラスのウェルからさらに遠くへ移動させる。強化食を与えた成犬は、対照を与えた成犬より少ないエラーでランドマーク0〜2を学習した(ランドマーク0+1+2の平均エラー回数(対照)=132.9;ランドマーク0+1+2の平均エラー回数(強化食を与えたイヌ)=87.1)。
実施例2
[0052] ランダムな供給源の成犬30匹をこの試験に用いた。イヌは、試験開始前に少なくとも1カ月齢であり、妊娠しておらず、授乳しておらず、かつ妥当な体重のものであった。動物を食事処理についてランダムに、各グループ当たり雄3匹および雌3匹を含む5グループに分けた。
[0053] すべてのイヌに、American Association of Feed Control Officials(AAFCO 2000)が提唱する栄養素に関するすべての推奨を満たすかまたはそれらを上回る対照食(0ppmのDL−アルファ−リポ酸を添加)を、2週間の前給餌期間中に与えた(表1)。この前給餌期間後、イヌをランダムに、下記のDL−アルファ−リポ酸目標含有率のいずれかひとつを含む5つの処置グループに分けた(乾燥物質基準):0ppm、150ppm、1,500ppm、3,000ppm、4,500ppm。対照およびアルファ−リポ酸のすべての食事にビタミンEが添加されて600〜1000国際単位のレベルで存在し、かつビタミンCを少なくとも100〜200ppmのレベルで添加した。
[0054] 水以外は試験食が唯一の栄養素源であった。新鮮な水が適宜与えられた。イヌを選択し、初期体重を測定した後、食物の予想MEに基づいて各イヌにつき食物量を計算した。初期食物量の計算は、次式により計算される、普通の活動をの説明となる係数を掛けたそのイヌについての維持エネルギー要求量(maintenance energy requirement)(MER)に基づいた:
MER(kcal/日)=1.6×RER(Resting Energy Requirement、安静時エネルギー要求量)
式中:RER(kcal/日)=70×体重(kg).sup.0.75。
[0055] イヌを週1回、体重測定し、それらの最適体重を維持するのに十分な食物を与えるために必要に応じて食物量を調整した。最適体重を5点スケールで3と決定した。食物量を調整した後にイヌが初期体重の−10%以内の体重を維持しなかった場合、それを試験から除外した。体重および食物摂取量のすべての測定値を記録した。
[0056] 試料を粉砕し、0.100±0.001gの試料を5.0mlのリン酸緩衝液(10mMのNaHPO、2mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.9%のNaCl、pH7.4)中へ2回抽出した。250μLの抽出液を、テフロン(Teflon)内張り蓋付きの5mlガラス製遠心管に入れた。15μLのEDTA溶液(100mM EDTA;約1MのNaOHでpH7.8に調整)および50.mu.lの調製したばかりの5mMジチオトレイトール(DTE)を添加した。溶液を渦攪拌し、室温で5分間インキュベートした。次いで10.mu.lの1M HPOおよび2.0mlのジエチルエーテルを添加した。遠心管に蓋をし、渦攪拌し、1500×gで3分間、室温において遠心した。エーテル層を別の5mlガラス製遠心管へ移し、一方、水層をさらに2回、1.5mlのエーテルで抽出した。同一試料からのすべての抽出液を合わせた。次いで抽出液を室温の水浴内の窒素蒸発器で乾燥させる。この時点で、試料に蓋をし、一夜凍結させた。
[0057] 乾燥した抽出液を次いで融解し、70.mu.lのSDS/EDTA溶液(0.11%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、15mMのEDTA、0.9%のNaCl)および5μLの調製したばかりの1mM DTEで再構成した。50μLの調製したばかりのNaBHを次いで各試験管に添加した。試験管を渦攪拌し、室温で10分間インキュベートした。10分後、試料を−70℃で凍結した。溶液を融解する前に、20μLの2M HClを添加した。溶液を融解した後、800μLの100mM NHHCOを添加した。溶液を渦攪拌し、5.mu.lのアセトニトリル中100mMモノブロモビマン(monobromobimane)溶液(mBBr)を添加した。次いで溶液を暗所で90分間、室温においてインキュベートした。
[0058] インキュベーション後、1.5mlのジクロロメタンで抽出することにより、過剰のmBBrおよびDTE誘導体を試料から除去した。水層をHPLCに乗せた。30%アセトニトリル、1%酢酸からなる、約2MのNHOHでpH3.95に調整した移動相を用い、これを1.0mL/分の流速で送出し、注入当たり15分間のイソクラティック溶離で、リポ酸を分離した。この調製により、押出し飼料の密度が1g/mlであることが確認される。
[0059] 完全血球計数および血液生化学的分析のために、開始の2週間前、ならびに再び試験の0、28、56、84、112、140および168日目に、血液を無菌的に採集した。さらに、リンパ球の単離のために、食事介入の0、28および84日目に15mlの全血を採集した。
[0060] ヘパリン添加した全血を50l Accuspinコニカル遠心管(Sigma Chemical)に積層し、等体積のリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を添加した。試料を700×gで30分間、ブレーキをかけずに遠心した。単球層を収穫し、15mlコニカル遠心管に移し、1〜3mlのPBSに再懸濁し、前記と同様に遠心した(1回目の洗浄)。2回目の洗浄を1回目の洗浄と同様に実施した。最後に、細胞を収穫し、過塩素酸(10% w/v)に懸濁し、分析するまで70℃で凍結した。
[0061] 試料を−70℃のフリーザーから、ドライアイスを入れたクーラーに移した。バイアルを冷却遠心機内において12,000rpmで5分間遠心した。グルタチオン(GSH)分析用の部分上清をコニカル試験管へ移した。
[0062] 酸可溶性抽出物の誘導体化は、Reedおよび協同研究者らの方法(Fariss et al)により、Jonesが改変したもの(Jones et al)に従って行なわれた。
[0063] 要約すると、150μLの抽出液または外部標準品を1.5mlエッペンドルフチューブに添加し、続いて20μLのガンマ−glu−glu内部標準品および50μLのIAAを添加し、続いて混合した。この溶液を、KOH−KHCO作業溶液を用いてpH約10に調整した(紫色)。溶液を室温で暗所において1時間インキュベートした。サンガー試薬を全体積と同体積で添加し、溶液を室温で暗所において一夜(20時間)インキュベートした。
[0064] インキュベーション後、溶液を12,000rpmで5分間遠心し、上清を他の1.5mlエッペンドルフチューブに移した。HPLC分析のために200μLの上清を容量300μLのこはく色オートバイアルに添加し、クリンパーで上を固定した。
[0065] 溶剤および分離条件は記載に従った(Fariss,Jones)。GSHおよびGSSGのレベルを基準品と対比して定量した。誘導体化効率を評価するために、ガンマ−グルタリル−グルタメートを内部標準品として用いた。
[0066] 臨床化学、血液学および体重の数値とベースラインとの対比を、Windows用SASでの対t−検定により、有意性をP<0.05に設定して分析した。各測定時点における数値の平均を一元ANOVAにより、有意性をP<0.05に設定して分離した。84日目とベースラインの間のGSH:GSSGの差をグループ間でWindows用SASにより一元ANOVAで、有意性をP<0.05に設定して分析した。
結果
[0067] 連続7回のアッセイ(0、28、56、84、112、140、168日目)にわたって測定した飼料中のリポ酸濃度(ppm)は、予想アッセイ感度および本発明者らの施設で一般に遭遇する生産パラメーターの範囲内であった(表2)。
[0068] 食物摂取データに目立つ点はなかった。6カ月目に、すべてのグループの大部分の動物が平均して試験開始時より多量の食物を摂取した。体重データに目立つ点はなかった;ただし、4,500ppm接種グループで最初に若干の体重減少が起きたけれども、その変化は6カ月目の時点までに元に戻るのが見られた。体重状態スコアはこのわずかな体重減少により影響されたようには見えなかった。
[0069] ルーティンな身体検査により栄養関係の異常またはDL−アルファ−リポ酸毒性の何らかの証拠は明らかにならなかった。被験集団のすべての動物が試験期間全体を通して正常なままであった。試験期間中に数匹の動物に時に嘔吐がみられた;しかし、この嘔吐がリポ酸に起因する可能性があるという結論に導く趨勢はみられなかった。最高含有率グループの1匹の動物を、体重減少および白血球増多症のため21日目に試験から脱落させた。この動物における白血球増多症は試験終了時まで回復せず、他の何らかの疾患プロセスに起因する疑いがある。
[0070] 28、56、84、112、140および168日目の血清生化学的数値を同一グループのイヌについての初期値と比較すると、幾つかの統計的な差が認められたが、これらの数値は実験室基準範囲内またはそのごく近辺であって数ヶ月間にわたって一貫した趨勢が認められたので、これらはいずれも生物学的に有意であるとはみなされなかった。各期間における対照と他の処置グループとの比較によっても幾つかの統計的な差が見られたが、これらの数値は臨床実験室基準範囲内またはそのごく近辺であって何ら趨勢は存在しなかったので、これらはいずれも生物学的に有意であるとはみなされなかった。
[0071] 28、56、84、112、140および168日目の血液学的数値を同一グループのイヌについての初期値と比較すると、幾つかの統計的な差が認められた;しかし、これらの数値は実験室基準範囲内またはそのごく近辺であって何ら趨勢は存在しなかったので、これらはいずれも生物学的に有意であるとはみなされなかった。各期間における対照と他の処置グループとの比較によっても幾つかの統計的な差が見られた;しかし、これらの数値は臨床実験室基準範囲内またはそのごく近辺であって何ら趨勢は存在しなかったので、これらはいずれも生物学的に有意であるとはみなされなかった。
GSH:GSSG比
[0072] 84日間の給餌にわたるGSH:GSSG比の変化は食事の有意の全般的影響を示し(P=0.024)、すべての補給グループがこの比の上昇を伴った(表3)。ANOVAにより基礎食物と比較して最低および最高含有率の食物について有意差が見られたが、数値の最大上昇は最低含有率レベルにおいてであった。すなわち、最高および最低含有率の食物についてのGSH:GSSG比の変化は、この同一期間にわたって基礎食物にみられた変化と有意に異なっていた。84日目には4点について比率を判定できなかった;これらの試料(1つの対照グループ、3つの処置グループ)のいずれにおいてもGSSGを検出できなかったからである。したがって、84日目のこの低レベルのGSSGを検出するのに十分なほどアッセイが高感度であれば、補給グループについての数値はより高いGSH:GSSG比を示した可能性すらある。
Figure 2012511932
Figure 2012511932
* 対照および4,500ppmグループの1匹のイヌは84日目に検出可能なGSSGがなく、一方、3,000ppmグループの2匹のイヌは84日目に検出可能なGSSGがなかった。
[0073] アルファ-リポ酸に関するさらに他の所見を適用できる。食事におけるアルファ-リポ酸の長期給餌は、安全かつ有効である。それは還元型グルタチオン(GSH):酸化型グルタチオン(GSSG)比を改善する。食事におけるアルファ−リポ酸の長期投与は、最低1、2、3、4、5もしくは6カ月の期間から1、2、3、4、5もしくは6年の期間まで、または動物の生涯を含めてさらにそれ以上であってもよい。アルファ−リポ酸は封入など特別な保護をしなくても食事において機能し、錠剤、丸剤、カプセル剤など医薬において用いるような単位剤形で食事に存在する必要がない。リポ酸は食事に食事の約25、50、75または100ppmの最小量で供給される。最大範囲はその毒性レベルの直下からそれよりはるかに低く、食事の約400、300または200ppmである。一般に1日当たり約6または7mg/kg(動物の体重)を超えず、より一般的には約5mg/kgを超えない。アルファ−リポ酸は抗酸化剤の防御能を改善し、かつ動物が酸化的損傷に抵抗する能力を改善する。これはすべて、存在する適正な量の他の抗酸化剤、たとえばビタミンEおよびビタミンCについて行われる。これは、アルファ−リポ酸の作用がビタミンCおよび/またはビタミンEの作用を超えることを証明する。
実施例3
実験条件
[0074] 20匹のイヌに30日間給餌した。10匹にはAAFCOレベルの対照食、他の10匹のイヌには150ppmのアルファ−リポ酸を含有するAAFCOレベルの対照食を与えた。30日間の終了時に各イヌから全血試料をPaxgenチューブに採集した。
[0075] 全血試料からPAXgene RNA単離キットを用いて全RNAを単離した。すべての測定をcanine 2 Affymetrix遺伝子チップにより行なった。統計分析のために、すべての測定値をRMAで正規化した。すべての分析をPartekにより実施した。対照食と試験食の間で差次発現する遺伝子(<0.05の数値を伴う少なくとも20%の発現変化)についてANOVA t−検定を実施した。
[0076] 差次発現する遺伝子をGeneGoパスウェイ分析ソフトウェアで分析した。リポ酸を30日間与えたイヌはインターフェロン仲介による抗ウイルス応答を示した。イヌにリポ酸を30日間与えることによりアップレギュレートされた遺伝子であってインターフェロン仲介による抗ウイルス応答に関与するものを表4に挙げる。
Figure 2012511932
Figure 2012511932
[0077] リポ酸を30日間与えたイヌの試験に基づいて、本発明者らは意外にも、インターフェロンアルファ/ベータおよびガンマに対する細胞表面受容体が増加し、これによって全体的なインターフェロン仲介による抗ウイルス防御機序を増大させる効力が生じることを見出した。JAK2、すなわちSTAT1およびSTAT2の重要なアクチベーターがアップレギュレートされることを本発明者らは見出した。インターフェロン調節因子9(IFR9)がアップレギュレートされる。IFR9、STAT1およびSTAT2は複合体(ISFG3)を形成し、これは核へ移行し、抗ウイルス遺伝子、インターフェロン誘導による二本鎖RNA活性化プロテインキナーゼ(PKR)、および2−5A−依存性リボヌクレアーゼ(RnaseL)をアップレギュレートする。PKRはelF2S1をリン酸化により阻害し、これによりウイルスタンパク質合成を阻害する。RnaseLはウイルスRNAを開裂し、その結果、ウイルスの複製および機能を阻害する。
[0078] 本発明の範囲は実施例に開示した特定の態様により限定されるべきでない;実施例は本発明の幾つかの観点の説明のためのものであり、機能的に均等ないずれの態様も本発明の範囲に含まれる。実際に、本明細書に提示および記載したもののほか本発明の多様な改変が当業者に明らかであろう;それらは特許請求の範囲に含まれるものとする。
[0079] 引用したいずれの文献についてもその開示内容全体を本明細書に援用する。

Claims (8)

  1. 愛玩動物において抗ウイルス活性を増強するのに有効な量のリポ酸を含むペットフード組成物であって、愛玩動物において抗ウイルス活性を増強するリポ酸の有効量が少なくとも約25ppmである組成物。
  2. 有効量が少なくとも約50ppmである、請求項1に記載の組成物。
  3. 有効量が少なくとも約100ppmである、請求項1に記載の組成物。
  4. 有効量が約100ppm〜約600ppmである、請求項1に記載の組成物。
  5. 有効量が約100ppm〜約200ppmである、請求項1に記載の組成物。
  6. 愛玩動物がイヌである、請求項1に記載の組成物。
  7. 愛玩動物がネコである、請求項1に記載の組成物。
  8. 有効量が愛玩動物において先天性抗ウイルス活性を増強するのに有効である、請求項1に記載の組成物。
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