JP2012506534A - トレーサーガス式リーク検出の校正システム及び方法 - Google Patents

トレーサーガス式リーク検出の校正システム及び方法 Download PDF

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Abstract

トレーサーガス式リーク検出が、ガス式リーク検出器を有する校正システムによって提供され、該ガス式リーク検出器は、トレーサーガスを含有する試料を受け取ると共に真空ポンプに接続されているテストポートと、トレーサーガスを含有する校正試料の校正リークと、操作モードではテスト試料を受け取るようにテストポートに接続されており、校正モードでは校正試料を受け取るように校正リーク弁を通じて校正リークに接続されており、トレーサーガスを制御可能に送出すると共にろ過された試料を提供する、マスフィルターと、ろ過された試料中のトレーサーガスを検出する検出器と、検出器信号に応答してリーク量の測定値を提供するプログラム可能ゲイン要素と、モード制御信号に応答して、該リーク検出器を、校正モードにおいて校正リークを用いて2つ以上の動作範囲にわたって動作させるように構成されるコントローラーとを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、トレーサーガスを用いる、密封された部品内のリークの検出に関し、より詳細には、リーク検出器を校正するシステム及び方法に関する。いくつかの実施の形態では、単一の校正リークを用いて2つ以上のリーク検出範囲が校正される。
トレーサーガスとしてヘリウム又は水素を用いるリーク検出が既知である。ヘリウムは、密封されたテストピース内のリークのうち最小のものを通過する。ヘリウムは、テストピース内のリークを通過した後、リーク検出機器内へ引き込まれて測定される。測定されたヘリウムの量はリーク量に相当する。1つの手法では、テストピースの内部を、リーク検出器のテストポートに接続する。ヘリウムは、テストピースの外面に噴霧されてリークを通じて内部へ引き込まれ、リーク検出器によって測定される。別の手法では、テストピースをヘリウムで加圧する。リーク検出器のテストポートに接続されているスニファープローブを、テストピースの外面の周りで移動させる。ヘリウムはテストピースのリークを通過してプローブ内へ引き込まれ、リーク検出器によって測定される。
産業界の厳しい要件を満たすために、トレーサーガス式リーク検出器は、正確に校正することが可能であると共に、所有コストが低い必要がある。リーク検出器の正確な校正は、リーク検出器が、既知のリーク量を有する校正リークとしても知られる校正リークスタンダードの所定値を示すまでシステムのゲイン値を調整することによって達成することができる。種々の用途において、リーク量を、数桁にわたって(例えば10−3std−cc/秒〜10−9std−cc/秒(E−03std−cc/秒〜E−09std−cc/秒、又は単にE−03〜E−09とも称されるように))測定することができる。
従来技術のトレーサーガス式リーク検出器を図1に概略的に示す。テストポート30が、逆流弁32及び34を通じてフォアポンプ36に接続されている。リーク検出器は、一定の回転速度を有するターボポンプ(ターボ分子真空ポンプ)40も含む。テストポート30は、中間ステージ(midstage)弁42及び44を通じて、フォアライン48と入口50との間のターボポンプ40に位置する中間ステージポート46に接続されている。フォアライン弁52が、フォアポンプ36をターボポンプ40のフォアライン48に接続する。ターボポンプ40の入口50は、質量分析計60の入口に接続されている。リーク検出器は、共にテストポート30に連結されているテストポート熱電対62及びベント弁64と、校正リーク弁68を通じてターボポンプ40の中間ステージポート46に接続されている校正リーク66と、フォアポンプ36に接続されているバラスト弁70とをさらに含む。
操作時に、フォアライン弁52及びベント弁64を閉めると共に逆流弁32及び34を開くことによって、フォアポンプ36が最初にテストポート30及びテストピース(又はスニファープローブ)を排気する。テストポート30における圧力がターボポンプ40のフォアライン圧力と適合するレベルに達すると、テストポート30をターボポンプ40のフォアライン48に接続しているフォアライン弁52を開く。ヘリウムトレーサーガスを、テストポート30を通じて引き込み、ターボポンプ40によって質量分析計60へ逆方向に拡散させる。ターボポンプ40は、試料中のより重いガスに関してはかなり低い逆拡散速度を有するため、これらのガスが質量分析計60に達するのをブロックすることによってトレーサーガスを効率的に分離し、トレーサーガスは、ターボポンプ40を通して質量分析計60へ拡散して測定される。
図1の従来技術のリーク検出器では、測定範囲の各桁に関して異なる校正リーク66を用いることによって校正を行う。すなわち、校正される測定範囲の桁に従って適切なリーク量を有する校正リークを選択する。選択した校正リークをシステムに取り付け、質量分析計60からの信号を測定する。測定値と校正リークの既知の値との差によって、測定範囲の選択された桁に関する校正値が与えられる。
図1のリーク検出器では、異なる校正リークを用いて測定範囲の各桁を校正する。すなわち、ユーザーがE−05リーク量範囲の一部をリークテストする場合、テストシステムはE−05範囲の校正リークを用いて校正される。ユーザーがE−06リーク量範囲においてリークテストする場合、E−06範囲の校正リークが用いられる。多くの様々な部品のリークテストを行う生産工場では、様々なリークテストシステムが様々なリーク量範囲で同時に作用し得る。
上述のように、リーク検出器の校正プロセスは、測定リーク量が既知のリーク基準と等しくなるように補償するシステムゲイン値を設定することを必要とする。リーク測定性能は、特定の校正点を上回るか又は下回る或る範囲にわたって線形にスケーリングすることができる。しかし、精度が重要である場合、特定の測定する桁に対して或る校正リークスタンダードが用いられる。校正リークスタンダードはそれぞれ数百ドルのコストがかかり、定期的な校正を必要とする。リークスタンダードを作製すると共に再校正し、かつ校正追跡記録を維持するコストは、産業的ユーザーにとってかなりのコストとなる。
したがって、トレーサーガス式リーク検出の改善された校正方法及びシステムが必要とされている。
本発明の第1の態様によれば、トレーサーガス式リーク検出器が、
トレーサーガスを含有するテスト試料を受け取るテストポートと、
前記テストポートに接続されている真空ポンプと、
前記トレーサーガスを含有する校正試料を提供する校正リークと、
操作モードでは前記テスト試料を受け取るように前記テストポートに接続され、校正モードでは前記校正試料を受け取るように校正リーク弁を通じて前記校正リークに接続されるマスフィルターであって、前記トレーサーガスを制御可能に送出し、ろ過された試料を提供する、マスフィルターと、
前記ろ過された試料中の前記トレーサーガスを検出し、検出器信号を提供する検出器と、
前記検出器信号に応答してリーク量の測定値を提供するプログラム可能ゲイン要素と、
モード制御信号に応答して、前記校正モードにおいて該リーク検出器を動作させるように構成されるコントローラーであって、前記校正リークを用いて2つ以上の動作範囲にわたって該リーク検出器を校正するように構成される、コントローラーと、
を含む。
本発明の第2の態様によれば、トレーサーガス式リーク検出器の校正方法が、
校正リークからの校正試料を校正リーク弁を通じてマスフィルターへ供給するステップであって、該マスフィルターが前記校正試料に応じてろ過された試料を提供する、ステップと、
前記ろ過された試料を検出し、検出器信号を提供するステップと、
リーク量の測定値を提供するために、プログラム可能ゲイン要素によって前記検出器信号を調整するステップと、
前記校正リークに対して第1の測定値を校正することによって第1の動作範囲の第1の校正値を求めるステップと、
前記校正リークに対して第2の測定値を校正することによって第2の動作範囲の第2の校正値を求めるステップと、
を含む。
本発明をより良く理解するために、参照によって本明細書に援用される図面を参照する。
従来技術のトレーサーガス式リーク検出器の概略的なブロック図である。 本発明の実施形態によるトレーサーガス式リーク検出器の概略的なブロック図である。 本発明の実施形態による、図2に示されるシステムコントローラーのブロック図である。 様々なリーク検出動作範囲の校正パラメーター及び動作パラメーターを示す表である。 本発明の実施形態による、図2に示されるリーク検出器の動作を示すフローチャートである。
本発明の実施形態によるトレーサーガス式リーク検出器が図2に概略的に示されている。テストポート130が、テストポート弁132を通じて、制御可能なマスフィルターとして機能するターボポンプ(ターボ分子真空ポンプ)140のフォアライン148に接続されている。テストポート130はフォアポンプ136にも接続されている。被試験ユニット134又はスニファープローブ(図示せず)をテストポート130に接続することができる。ターボポンプ140の入口150が、トレーサーガス検出器として機能する質量分析計160の入口に接続されている。検出器信号180が、質量分析計160によってシステムコントローラー182へ供給される。校正リーク166が、校正リーク弁168を通じてターボポンプ140の中間ポート146に接続されている。フィードバック制御を有する可変速ターボポンプコントローラー190が、後述するようにターボポンプ140の速度を制御する。システムコントローラー182は、後述するように検出器信号180を受信してプログラム可能なゲインを適用するプログラム可能ゲイン要素192を含む。システムコントローラー182は、後述するような操作モード(operating mode)及び校正モード中に、質量分析計160、ターボポンプ140、校正リーク弁168、ターボポンプコントローラー190及び校正リーク166を含むリーク検出器の要素を制御する。
他の実施形態では、任意選択的な外部校正リーク170を、弁172を通じてテストポート130に接続することができる。弁172は、テストポート130に直接接続することもできるし、又は被試験ユニット134に接続することもできる。外部校正リーク170は、校正中に使用されることになる代替的なリークスタンダードを提供する。
本発明の実施形態によるシステムコントローラー182の簡略化されたブロック図を図3に示す。システムコントローラー182は、後述するように操作モード及び校正モードの両方の期間中にリーク検出器を制御するコントローラー220を含む。コントローラー220は、マイクロプロセッサー若しくはプロセスコントローラー等のプログラム可能なデジタルプロセッサーとすることもできるし、又はASIC若しくはハードワイヤード回路等のハードワイヤードコントローラーとすることもできる。必要であれば、コントローラー220へのアナログ入力を、1つ又は複数のアナログ/デジタル変換器によってデジタル入力信号に変換することができ、また、コントローラー220のデジタル出力を、1つ又は複数のデジタル/アナログ変換器によってアナログ信号に変換することができる。
プログラム可能ゲイン要素222が、質量分析計160からの検出器信号180を受信し、ゲイン調整デジタル値をコントローラー220へ供給する。コントローラー220は、ゲイン制御信号をプログラム可能ゲイン要素222へ供給する。プログラム可能ゲイン要素222は、シグマデルタ変換器、デュアルスロープ逐次近似変換器(dual slope successive approximation converter)又はフラッシュ変換器等のアナログ/デジタル変換器(ADC)とすることができ、これらはいずれも、コントローラー220からの命令を受けてからミリ秒以内において、単一の校正リークのみを用いて数桁の動作範囲にわたり正確なリーク検出器の校正を達成する高い精度でシステムゲインを変更する能力を有する。
コントローラー220は、リーク検出器の操作モード又は校正モードを選択するモード制御信号を受信する。操作モードはユーザーが選択可能とすることができる。コントローラー220はまた、校正リーク166又は校正リーク170の既知のリーク量を表す校正リーク値と、校正リークのその時点の温度を表す温度値とを受信する。校正リーク166のリーク量は温度の関数として変化し得ることが理解される。コントローラー220はまた、ユーザーが選択した動作範囲を受信する。後述するように、リーク検出器は、リーク量のいくつかの動作範囲にわたって動作することができ、これらの動作範囲はすべて単一の校正リークを用いて校正することができる。
コントローラー220は、校正リーク弁制御信号を校正リーク弁168へ出力し、校正モードにおける動作を制御する。ターボポンプ速度制御信号がターボポンプコントローラー190へ供給され、操作モード及び校正モードにおけるターボポンプ140の回転速度を制御する。質量分析計調節(tuning)信号が質量分析計160へ供給され、質量分析計の調節を制御して検出器信号を最大にする。測定されたリーク量は、後述するように校正されると、ディスプレイ230へ出力される。
図2を再び参照すると、ターボポンプ140は、ヘリウム等のトレーサーガスを質量分析計160へ送出して試料中のより重いガスを実質的にブロックするマスフィルターの一実施形態である。ターボポンプ140のトレーサーガスの送出は、その回転速度を調整することによって変えることができる。回転速度が速くなるほど、質量分析計160へ送出されるトレーサーガスは少なくなり、逆に、回転速度が遅くなるほど質量分析計160へ送出されるトレーサーガスは多くなる。ターボポンプ140は、いわゆる「逆流」構成で動作し、この構成において、軽いトレーサーガスはフォアライン148からターボポンプ140の入口150へ逆方向に通過し、より重いガスは実質的にブロックされる。
ターボポンプコントローラー190は、実際のRPMを測定すると共に報告し、かつターボポンプを通るヘリウムの流れが選択された回転速度において一定であるように、選択された設定を非常に正確に維持するソフトウエア制御フィードバックループを有する。通常のリークテスト動作中、ターボポンプRPMは、コントローラー220により、所与の動作範囲に関して所定の回転速度に自動的に設定される。選択された速度は、所望の動作範囲で動作するためにヘリウムの適切な程度の質量フィルタリングを提供する。
本発明の範囲内でマスフィルターの他の実施形態を用いることもできる。例えば、逆流構成の他のタイプの真空ポンプを用いることができる。好適な真空ポンプは、トレーサーガス等の軽いガスに関しては低圧縮比を、重いガスに関しては高圧縮比を特徴とする。例としては、分子ドラッグ真空ポンプ、ターボ分子ステージ及び分子ドラッグステージの組み合わせを用いるハイブリッド真空ポンプ、並びに拡散ポンプが挙げられる。各場合において、マスフィルターによるトレーサーガスの送出は、リーク検出器の様々な動作範囲に対して回転速度等のマスフィルターのパラメーターを調整することによって変えることができる。
さらなる実施形態では、マスフィルターは、透過性膜等のトレーサーガス透過性部材とすることができる。この透過性部材はヘリウムに対して透過性を有することができ、透過性部材のヘリウム透過率は制御可能とすることができる。いくつかの実施形態では、透過性部材は石英部材を含む。マスフィルターは、透過性部材と熱的に接触する加熱素子をさらに含むことができ、コントローラーは加熱素子を制御するように構成することができる。透過性部材は、トレーサーガスを実質的に通す、すなわち透過させるが、他のガス、液体及び粒子は実質的にブロックする。示されるように、石英は、ヘリウムに対して透過性である材料の一例である。石英のヘリウム透過率は温度に伴って変化する。300℃〜900℃の範囲の高温では、石英は比較的高いヘリウム透過率を有する。室温では、石英は比較的低いヘリウム透過率を有する。透過性部材の温度を調整して、リーク検出器の様々な動作範囲におけるヘリウムの透過率、すなわち送出を制御することができる。
マスフィルターは、トレーサーガスを検出システム内に流すのに用いることができるが、他のガスの流れは実質的にブロックするため、信号を測定するために検出器において高濃度のトレーサーガスを形成する。中間ポート146は、フォアライン148と比較して約10倍超のトレーサーガスの流れを検出器に提供する。マスフィルターは、トレーサーガスの送出を制御する電子フィードバックループによって制御される。回転真空ポンプの場合には回転速度を制御することができ、透過性膜の場合には温度を制御することができる。
質量分析計160は、リーク検出システムにおいて一般的に用いられている検出器である。しかし、コールドカソードセンサー(cold cathode sensors)、イオンポンプ、水素センサー、及び試料中のトレーサーガス濃度を検出することができる他の検出器等、他の検出器を用いることができる。
単一の温度補償型校正リーク166が、真空システム及び検出器へのトレーサーガスの流れを活性化するか又は不活性化するための校正リーク弁168と共にリーク検出器内に設置されている。図2の実施形態では、校正リーク166はターボポンプ140の中間ポートに設置されている。中間ポート146は、フォアライン148と中間ポート146との間でおよそ10倍の信号強度が実現されるように設計されている。既知の校正リークを用いるリーク検出器の校正の際、正確な絶対リーク量の精度を与えるために正確な「システムゲイン」値が求められる。
本明細書において記載される実施形態では、校正リーク166は、低コスト製造に便利であると共に工業的動作範囲のおよそ中間にあるE−07ヘリウムリークである。校正リークは、周囲温度と、校正リークの値が測定された時点の温度との差を調整するためにコントローラー220によって温度補償される。他の校正リークの値を用いて特定の適用要件を満たすことができる。
プログラム可能ゲイン要素222は、操作モード及び校正モードの両方の期間中に検出器信号180を制御するのに用いられる。プログラム可能ゲイン要素は、シグマデルタ変換器、デュアルスロープ逐次近似変換器又はフラッシュ変換器等のアナログ/デジタル変換器とすることができ、これらはいずれも、コントローラー220からの命令を受けてからミリ秒以内において、単一の校正リークのみを用いて数桁の動作範囲にわたり正確なリーク検出器の校正を達成する高い精度でシステムゲインを変更する能力を有する。
リーク検出器のいくつかの動作範囲と、操作モード及び校正モードの対応するパラメーターとを示す表を図4に示す。図4では、各動作範囲は4つのリーク量の桁をカバーし、各動作範囲の右欄は測定には用いられない。図4の実施形態では、ユーザーは、E−03〜E−06のリーク量をカバーする第1の動作範囲、E−04〜E−07のリーク量をカバーする第2の動作範囲、E−05〜E−08のリーク量をカバーする第3の動作範囲、及びE−06〜E−09のリーク量をカバーする第4の動作範囲を選択することができる。各動作範囲の場合のターボポンプ回転速度が図4に示される。加えて、各動作範囲は、プログラム可能ゲイン要素222の動作ゲイン及び校正ゲインと関連する。ターボポンプ140の回転速度及びプログラム可能ゲイン要素222のゲインは、校正リーク166によって生成されるデジタル値224がコントローラー220内の処理回路部のダイナミックレンジ内にあるように選択される。上記で示したように、ターボポンプ140の回転速度が低下すると、ターボポンプを通って質量分析計160へ向かうトレーサーガスの送出が増す。場合によっては、校正ゲインは動作ゲインよりも低い。これは少なくとも一部には、校正リーク166がターボポンプ140の中間ポート146に接続されているということに起因し得るものであり、その結果、フォアライン148から質量分析計160へのトレーサーガスの送出と比較して校正リーク166から質量分析計160へのトレーサーガスの送出の方が多くなる。
本発明の実施形態による、校正モードにおけるリーク検出器の動作を示すフローチャートを図5に示す。リーク検出器は、所望の機能、例えば通常の動作又は校正を行うようにセットアップされる。ブロック310によって示されるように、コントローラー220内のソフトウエアが、通常のリークテスト動作中に用いられる所定の動作ゲイン値を維持する。動作ゲイン値は、図4に示されるように、ユーザーによって選択される動作範囲に従って変化する。ブロック312によって示されるように、コントローラー220内のソフトウエアが、所定の校正ゲイン値を維持し、ユーザーが選択した動作範囲に従って校正ゲイン値を調整する。ソフトウエアは、選択される操作モード及び選択される動作範囲に応じて動作ゲインから校正ゲインへゲイン値を自動的に変更する。ブロック316によって示されるように、コントローラー220は、動作範囲の各々におけるリークテスト動作に必要なマスフィルターのトレーサーガス送出(マスフィルターを通過して検出器へ向かうトレーサーガスの量)を制御する。可変の質量ろ過は、広範なあり得るリーク量をリーク検出器システムの動作範囲にスケーリングする。マスフィルターのトレーサーガス送出は、例えばターボ分子ポンプの回転速度又は透過性膜の温度を変えることによって達成することができる。ブロック314によって示されるように、ユーザーの入力に応答して操作モード又は校正モードを選択する。ブロック318に示されるように、選択されたモードに従って校正リーク弁168を制御して、校正プロセスの種々のステップ中に開くか又は閉めることができる。これらのセットアップ動作によって、リーク検出器が選択された動作範囲で校正を行うことが可能になる。
動作(act)320において、校正リーク166の温度を測定して記憶し、動作322において、校正リークの温度補償値を計算する。コントローラー220は、校正リークの温度の関数としてのリーク量の変化を記憶し、校正の時点で周囲温度に対して校正リークの値を自動的に補償する。ステップ324において、コントローラーは、電子機器のノイズレベルに基づいてオフセット値を測定すると共に記憶する。動作326において校正リーク弁168を開き、動作328において質量分析計160を調節して検出器信号を最大にする。調節は、スリットを通過して検出されるトレーサーガスイオンの数を最大にするために、トレーサーガスイオンに適用される磁場を変えるか又は質量分析計内のイオン電圧を調整することによって達成することができる。
動作330において校正リーク弁168を閉め、動作332において周囲のバックグラウンド信号を測定して記憶する。トレーサーガスのバックグラウンド信号を用いて、通常動作中にバックグラウンド信号を効果的に補償することができる。動作334において、プログラム可能ゲイン要素222のゲインを、選択された動作範囲の校正ゲイン値に変更し、動作336において校正リーク弁168を開く。動作338において、校正リーク166によって生成されるトレーサーガス信号を測定する。動作340において、測定されたトレーサーガス信号を用いてリーク検出器システムを校正する。特に、校正リークの測定値及び校正リークの既知の値を用いて、バックグラウンド信号及び電子オフセットに関して補正された、測定されたリーク量によって除算した温度補償された既知のリーク量として定義される「システムゲイン」を求めることによってシステムを校正する。動作348において、操作モードにおけるテストピースの測定中に、測定値に計算されたシステムゲインを乗算して、実際のリーク量を表示する。
動作342において校正リーク弁168を閉め、動作344において、プログラム可能ゲイン要素222のゲインを動作ゲイン値に変更する。コントローラーは、リーク量動作範囲のユーザーの選択に基づいて、デフォルトの動作ゲイン値及び校正ゲイン値を自動的に設定する。ユーザーが動作範囲を選択すると、コントローラーは、その範囲内で機能することが要求される動作パラメーターのすべてを調整する。ユーザーが新たな動作範囲を選択すると、コントローラーは、その新たな動作範囲についての動作パラメーターを自動的に再調整する。
動作ゲイン値への変更は、動作346における校正手順の終了を表す。動作348において、正しい校正された測定リーク量を表示する。コントローラーは、上述の検出器信号及びパラメーターを用いて、適切な動作範囲にスケーリングされた測定リーク量を計算する。
単一の動作範囲についての校正手順を示し説明した。校正手順は、図4に示されるようなターボポンプ回転速度及び校正ゲインの対応する設定を用いて、用いられる動作範囲ごとに繰り返すことができる。校正手順は、リーク検出器をオンにしたときに最初に、選択された間隔で、又は新たな動作範囲へ変更するとき等、任意の時点で行うことができる。
様々な動作範囲、様々な校正リーク値及び様々なリーク検出器パラメーターを本発明の範囲内で用いることができることが理解されるであろう。加えて、校正手順は、外部校正リーク170を用いて、校正リーク170の異なる位置を考慮するためにターボポンプ回転速度及び校正ゲイン値に適切な変更を加えることによって行うこともできる。
開始時に、コントローラー220内のソフトウエアが動作のための初期パラメーターを自動的にロードする。ユーザーは、グラフィックディスプレイスクリーン又はホストコンピューターからの電子信号入力を介して動作範囲を選択する。ソフトウエアは、システムを構成するために、上述の動作パラメーターをすべて自動的に設定する。図4に示されるように、プログラム可能ゲイン要素のゲインは動作ゲイン値に設定され、ターボポンプ回転速度は選択されたリークテスト動作用に設定される。一実施形態の動作ゲイン値及び校正ゲイン値は、図4の表中にターボポンプ回転速度と共に示されている。
校正が選択されると、ソフトウエアはハードウエア及び上述したパラメーターを自動的に制御し、動作範囲がそれに応じて選択された、ユーザーが要求した校正を行う。プログラム可能ゲイン要素のハードウエアゲインは、動作ゲイン値から校正ゲイン値に自動的に変更される。このゲインの変更は、高い精度でミリ秒で達成されるため、4つの可能なリーク量動作範囲のいずれかにおいてE−07範囲のリークを読み取ることができる。校正リークは、フォアラインと比べて低い圧縮比を有するターボポンプの上部付近で中間ポートに接続されているため、校正リーク信号は、通常の動作信号よりも10倍大きい。このことが、図4の表において校正リーク信号を1桁だけ効果的にシフトする。校正モードにおける10倍の信号とソフトウエアによるゲインの正確な自動制御との組み合わせによって、広範なリーク量の桁における正確な校正に1つの校正リークを用いることが可能となる。ゲイン値の自動的な変更によって、4つの動作範囲内の正確な絶対校正のためにE−07校正リークを用いた校正が可能となる。したがって、E−07校正リークは、ユーザーが選択するいくつかの動作範囲における正確な校正を提供する。
例えば、システムがE−04〜E−07動作範囲で動作しながら或る校正が選択される場合、所望の範囲の正確な絶対校正を達成するために、ターボポンプ回転速度は60000RPMに設定され、ゲイン値は1の校正ゲインに自動的にスイッチされ、新たなオフセット値が計算され、検出器が自動的に調節され、適切なシステムゲインが計算される。校正が完了すると、ソフトウエアは、ゲイン値を2の動作ゲイン値に自動的にスイッチして戻す。動作ゲインから校正ゲインへのゲインの変更及びその戻す変更は、ユーザーに対してトランスペアレントに変更され、ミリ秒で行われる。
このように本発明の少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明したが、種々の変形、変更及び改良が当業者には容易に想到されるであろうことを理解するべきである。そのような変形、変更及び改良は、本開示の一部であることが意図され、本発明の精神及び範囲内にあることが意図される。したがって、前述の説明及び図面は例示にすぎない。

Claims (20)

  1. トレーサーガスを含有するテスト試料を受け取るテストポートと、
    前記テストポートに接続される真空ポンプと、
    前記トレーサーガスを含有する校正試料を提供する校正リークと、
    操作モードでは前記テスト試料を受け取るように前記テストポートに接続され、校正モードでは前記校正試料を受け取るように校正リーク弁を通じて前記校正リークに接続されるマスフィルターであって、前記トレーサーガスを制御可能に送出し、ろ過された試料を提供する、マスフィルターと、
    前記ろ過された試料中の前記トレーサーガスを検出し、検出器信号を提供する検出器と、
    前記検出器信号に応答してリーク量の測定値を提供するプログラム可能ゲイン要素と、
    モード制御信号に応答して、前記校正モードにおいて該リーク検出器を動作させるように構成されるコントローラーであって、前記校正リークを用いて2つ以上の動作範囲にわたって該リーク検出器を校正するように構成される、コントローラーと、
    を含む、トレーサーガス式リーク検出器。
  2. 前記コントローラーが、前記動作範囲のそれぞれに関して前記マスフィルターの送出値及び前記プログラム可能ゲイン要素のゲイン値を設定すると共に、前記範囲のそれぞれにおいて前記校正リークに対して測定値を校正することによって、前記校正リークを用いて2つ以上の動作範囲にわたって前記リーク検出器を校正するように構成される、請求項1に記載のトレーサーガス式リーク検出器。
  3. 前記マスフィルターが、制御可能な速度を有するターボ分子ポンプを含み、該ターボ分子ポンプが、前記検出器に接続される入口と、前記テストポートに接続されるフォアラインとを有する、請求項1に記載のトレーサーガス式リーク検出器。
  4. 前記コントローラーと前記ターボ分子ポンプとの間に接続されるポンプコントローラーをさらに含み、該ポンプコントローラーが、前記ターボ分子ポンプの速度をフィードバック制御する、請求項3に記載のトレーサーガス式リーク検出器。
  5. 前記校正リークが、前記校正リーク弁を通じて前記ターボ分子ポンプの中間ポートに接続される、請求項3に記載のトレーサーガス式リーク検出器。
  6. 前記校正リークからの前記中間ポートを通じた前記検出器への前記トレーサーガスの送出が、前記テストポートからの前記ターボ分子ポンプの前記フォアラインを通じた前記検出器への前記トレーサーガスの送出よりも多い、請求項5に記載のトレーサーガス式リーク検出器。
  7. 前記プログラム可能ゲイン要素が、プログラム可能なゲインを有するアナログ/デジタル変換器を含む、請求項1に記載のトレーサーガス式リーク検出器。
  8. 質量分析計を含む、請求項3に記載のトレーサーガス式リーク検出器。
  9. 前記マスフィルターが、軽いガスに関しては比較的低い圧縮比を、重いガスに関しては比較的高い圧縮比を特徴とする真空ポンプを含む、請求項1に記載のトレーサーガス式リーク検出器。
  10. 前記マスフィルターがトレーサーガス透過性部材を含む、請求項1に記載のトレーサーガス式リーク検出器。
  11. 校正が、前記モード制御信号に応答して、前記校正リーク弁、前記マスフィルターの前記送出及び前記プログラム可能ゲイン要素の前記ゲインを制御することによって自動的に行われる、請求項1に記載のトレーサーガス式リーク検出器。
  12. 校正リークからの校正試料を校正リーク弁を通じてマスフィルターへ供給するステップであって、該マスフィルターが前記校正試料に応じてろ過された試料を提供する、ステップと、
    前記ろ過された試料を検出し、検出器信号を提供するステップと、
    リーク量の測定値を提供するために、プログラム可能ゲイン要素によって前記検出器信号を調整するステップと、
    前記校正リークに対して第1の測定値を校正することによって第1の動作範囲の第1の校正値を求めるステップと、
    前記校正リークに対して第2の測定値を校正することによって第2の動作範囲の第2の校正値を求めるステップと、
    を含む、トレーサーガス式リーク検出器を校正する方法。
  13. 前記第1の動作範囲に対応するように、前記マスフィルターの送出及び前記プログラム可能ゲイン要素のゲインを第1の校正値に設定するステップと、
    前記第2の動作範囲に対応するように、前記マスフィルターの前記送出及び前記プログラム可能ゲイン要素の前記ゲインを第2の校正値に設定するステップと、
    をさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記マスフィルターがターボ分子ポンプを含み、前記マスフィルターの前記送出を前記第1の校正値及び前記第2の校正値に設定するステップが、前記ターボ分子ポンプを第1のポンプ速度及び第2のポンプ速度に設定するステップを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記プログラム可能ゲイン要素の前記ゲインを前記第1の校正値及び前記第2の校正値に設定するステップが、プログラム可能なゲインを有するアナログ/デジタル変換器のゲインを設定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記校正リークの周囲温度に関して前記第1の校正値及び前記第2の校正値を補正するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  17. 電子ノイズに起因するオフセットに関して前記第1の校正値及び前記第2の校正値を補正するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  18. バックグラウンドトレーサーガスに関して前記第1の校正値及び前記第2の校正値を補正するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  19. 前記検出器を調節して検出器信号を最大にするステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  20. モード制御信号に応答して前記リーク検出器の校正を自動的に行うステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
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