JP2012504125A - 熱変性された鉱物を有する歯科矯正用組成物 - Google Patents

熱変性された鉱物を有する歯科矯正用組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、硬化性成分、硬化剤、及び熱変性された無機鉱物充填剤を含む、歯科矯正用組成物、関連方法、並びにパッケージ化物品を提供する。この組成物は、従来の硬質の鉱物充填剤を使用する組成物と比較して、硬化した残余物の清掃の改善を示す一方で、許容範囲の取扱い特性、接着強度特性、及び機械的特性を維持する。接着強度の増大は、軟質の鉱物充填剤を熱変性させ、鉱物のマイクロ構造から水和水を脱離させて非水和相を形成するプロセスによって達成される。ヒトのエナメル質と比べて軟質な、熱変性された鉱物充填剤を使用することによって、硬化した歯科矯正用組成物は、患者にとってより安全でより快適な、低速の研磨ディスク又は他の軽度の研磨プロセスを使用して簡便に取り除くことができる。この組成物は、歯科矯正用装具の歯への接着における使用に関して、特に有益である。
【選択図】図4b

Description

本発明は、広くは、歯科矯正の分野における、組成物、方法、及び物品に関する。より詳細には、本発明は、熱変性された無機鉱物充填剤を含有する歯科矯正用組成物、並びに関連する方法及びパッケージ化物品に関する。
関連技術の記載
歯科矯正は、位置異常の歯を診断し、口腔内の適切な位置へと誘導する、歯科学の一専門分野である。歯科矯正治療は、患者の噛み合わせ(咬合とも呼ばれる)における欠陥の矯正と共に、衛生状態の向上の促進、及び全体的な歯の美観の改善に一般的に使用される。
歯科矯正治療は、多くの場合、ブラケットとして知られる、小さなスロット付きの装具の使用を伴い、その装具は一般に、患者の前歯、犬歯、及び小臼歯に固定される。ブラケットを歯上に定置した後、アーチワイヤが、各ブラケットのスロット内に受容され、歯科学的に正しい位置へ各歯を誘導するために安定した持続的な力を加える。アーチワイヤの端部分は、典型的には、バッカルチューブとして知られる、患者の臼歯に接着される係留装具に受容される。ブラケット、アーチワイヤ及びバッカルチューブの組み合わせは一般に歯科矯正用ブレース又は「ブレース類」と称される。
接着剤を使用して歯の表面に歯科矯正用装具を接着することは、歯科矯正医にとって一般的な方法である。直接的な接着方法では、装具の基部に接着剤を塗布して、装具を歯上に装着し、余分な接着剤のはみ出しを除去して、最終的に接着剤を硬化させる。あるいは、間接的な方法を使用してもよく、この間接的な方法では、最初に、患者の歯のレプリカ(通常、石膏又は歯科矯正用石膏で形成される)、並びに装具及びレプリカの上に形成される弾性の転移トレーに、装具を接着結合する。次いで、転移トレーを使用して装具を慎重にレプリカから引き離し、同時に、再び適切な接着剤を用いて、装具を患者の歯に再接着する。好適な接着剤は、歯表面に対する装具の接着を、2年以上続き得る治療工程の持続時間にわたって維持するために、十分に高い接着強度を示すべきである。
歯科矯正治療の終了時に、装具は患者の歯から剥離される。しかしながら、歯科矯正治療が終了する前に、装具が歯から剥離される状況もある。例えば、位置異常の装具の矯正、又は特定の治療目標の達成のために、治療の途中で、1つ又は2つの装具のみを取り外し、再度位置決めする場合がある。患者が硬い食物を噛んだ時に、1つ以上の装具が偶発的に剥離されてしまう場合もある。
上記の各状況において、装具が剥離した歯表面上には接着剤の残余物が通常残り、この残余物は、治療専門家によって精細に除去する必要がある。従来の歯科矯正用接着剤は高度に架橋され、通常、例えばシリカなどの硬質の無機充填剤を含有している。更に、十分に高い強度及び許容範囲の接着剤の取扱い特性を達成するために、これらの充填剤は、接着剤の50重量%を越える量で存在することが多い。いったん硬化してしまうと、これらの材料は、患者の歯から除去することが困難で、時間がかかる傾向がある。現在、残余の接着剤は、回転手工具を使用して、例えば20,000〜200,000rpmの範囲で動作する溝付のタングステンカーバイドドリル錐を使用して、通常は除去する。タングステンカーバイドは、歯のエナメル質と比較して相対的に硬質な材料であるため、単なるこの手工具の使用は、その先端がエナメル質に損傷を与えるというリスクを伴う。この関連リスクのために、接着剤の残余を除去する作業は、広範囲の訓練及び/又は経験を有する治療専門家によって一般に実施される。
接着剤を歯から研削するには、相当量の時間と注意を要するため、治療専門家にとっては面倒な手順と見なされることが多い。この研削行為はまた、患者にとっても不快なものと一般に見なされている。高速の回転手工具を歯に対して使用することに関連する、他のリスクも存在する。高速の回転速度は、溝付ドリル錐によるエナメル質表面の摩擦加熱を引き起こす。この加熱は、冷却水流を使用して軽減することができるが、作業部位が乾燥している方がエナメル質上の残余の接着剤が見やすい場合が多いために、多くの臨床医はそのような冷却液の使用を避ける。最近の研究は、溝付ドリル錐を使用する研削によって引き起こされる歯髄室内の温度上昇が有意なものとなり得、またそうした温度では歯髄への損傷が発生し得ることを示唆している(JonkeらのWorld Journal of Orthodontics,Vol.7,p.357(2006年)、及びZachらのOral Surg.Oral Med.Oral Pathol.(1965年)Vol.19,pp.515〜530を参照)。
いくつかの参照文献は、歯科矯正用接着剤において、通常使用されるよりも少ない量の充填剤を使用することで、残余の接着剤の除去が容易になることを示唆している。こうした概念のいくつかは、Gwinnett及びGorelickのAm.J.Orthod.,Vol.71,No.6,pp.651〜665(1977年6月)、Retief及びDenysの「Finishing of Enamel Surfaces After Debonding of Orthodontic Attachments」,Angle Orthodontist,Vol.49,No.1,pp.1〜10(1979年1月)、並びに米国特許第3,629,187号(Wallerら)に記載されている。
しかしながら、残留する接着剤を削り取るためには硬化工具が一般に使用されるため、そうした充填剤を含有する残留接着剤の除去は、依然としてエナメル質の損傷をもたらす恐れがある。残余の接着剤の除去を容易にする一方で、歯のエナメル質及び歯髄を損傷するリスクを最小限に抑えることは、依然として難しい課題である。
本発明は、従来の硬質の鉱物充填剤を使用する組成物と比較して、残留残余物の清掃の改善を示す一方で、許容範囲の取扱い特性、接着強度特性、及び機械的特性を維持する、歯科矯正用組成物並びに関連方法を提供する。この利点は、熱変性された鉱物を含む組成物を使用することによって達成することができる。熱変性とは、鉱物のマイクロ構造から水和水を脱離させて、非水和相を形成するプロセスである。ヒトのエナメル質と比べて軟質な、熱変性された鉱物充填剤を使用することによって、硬化した歯科矯正用組成物は、エナメル質に対して穏やかかつ安全な、低速の研磨ディスク又は他の軽度の研磨プロセスを使用して簡便に除去することができる。
場合によって、熱変性のプロセスは、充填剤粒子を、概ね板状の(すなわち、平坦な)形状から概ね球形の形状へと変形させる付加的な効果を有する。これらの熱変性された充填剤は、変性されない未加工の充填剤と比較して、最大充填量において驚くべき増大をもたらすことが測定された。有利なことに、この最大充填量の増大によって、組成物中における充填剤の充填密度を最適化するための自由度が一層高められる。複合体の充填密度が、その複合体の強度と相関することは既知である。このことは、硬化したそれらの組成物についての試験測定値によって更に実証される。この発見以前には、熱変性された充填剤を使用する組成物が、熱変性された充填剤を使用しない組成物よりも有利であるという指摘はなかった。しかしながら、熱変性された軟質の鉱物粒子を使用する組成物は、熱変性前の、未加工の鉱物粒子を使用する組成物と比較して、優れた接着強度及び優れた直径方向引張り強度を生じさせることが示されている。
一態様において、本発明は、硬化性成分、硬化剤、及び熱変性された無機鉱物充填剤を含む、歯科矯正用組成物を目的とする。
別の態様において、本発明は、歯科矯正用組成物の作製方法であって、硬化性成分を提供する工程と、硬化剤を提供する工程と、水和相を含む未加工の無機鉱物充填剤を提供する工程と、熱変性された充填剤を作製するために、水和相の少なくとも一部分を非水和相に変化させるのに十分な温度まで、この未加工の無機鉱物充填剤を加熱する工程と、硬化性成分、硬化剤、及び熱変性された充填剤を組み合わせて歯科矯正用組成物を形成する工程と、を含む、方法を目的とする。
別の態様において、本発明は、歯科矯正用装具であって、この装具を歯に接着するための基部を有する、歯科矯正用装具と、装具の基部にわたって延在する組成物であって、この組成物は、硬化性成分、硬化剤、及び熱変性された無機鉱物充填剤を含む組成物と、歯科矯正用装具及び組成物を少なくとも部分的に包囲する容器と、を含む、パッケージ化物品を目的とする。
更に別の態様において、本発明は、硬化した歯科矯正用組成物を歯から除去する方法であって、硬化した歯科矯正用組成物を少なくともその一部分上に有する歯の表面を提供する工程であって、この組成物は、硬化性成分、硬化剤、及び熱変性された無機鉱物充填剤を含む、工程と、歯の表面に研磨材を塗布して組成物を歯から除去する工程であって、研磨材は5未満のモース硬度を有する、工程と、を含む、方法を目的とする。
本発明は添付の図面に関して説明される。
剥離基材と部分的に接触している例示的な組成物によって事前に被覆された、歯科矯正用装具の基部を見る斜視図。 着脱可能なカバーを有する容器内に、例示的な組成物によって被覆された歯科矯正用装具を含む、パッケージ化物品を示す、本発明の特定の実施形態の側面断面図。 未加工の亜塩素酸塩充填剤に関する、熱重量測定−示差熱分析のトレース。 800℃での焼成によって熱変性させた亜塩素酸塩充填剤に関する、熱重量測定−示差熱分析のトレース。 950℃での焼成によって熱変性させた亜塩素酸塩充填剤に関する、熱重量測定−示差熱分析のトレース。 未加工のタルク粉末に関する、熱重量測定−示差熱分析のトレース。 火炎溶融によって熱変性させたタルク充填剤に関する、熱重量測定−示差熱分析のトレース。
本明細書に記載される歯科矯正用組成物は複合材料であって、各材料は、熱変性された充填剤、硬化性成分、及び硬化剤を含む。所望により、歯科矯正用組成物は、フッ化物放出特性又は色変化特性のような二次機能を提供する添加剤を含む。本明細書に記載される硬化性組成物及び硬化した組成物は、歯牙構造に対して粘着(例えば、接着)可能な材料を使用する、様々な歯科用途及び歯科矯正の用途に使用することができる。歯科矯正用接着剤として特に有用である一方、これらの硬化性組成物及び硬化した組成物はまた、例えば、歯科用複合体、歯科用接着剤、セメント(例えば、ガラスアイオノマーセメント、樹脂修飾ガラスアイオノマーセメント、及び歯科矯正用セメント)、及びこれらの組み合わせとして使用することもできる。上記のそれぞれの組成物(充填剤、硬化性成分、硬化剤、及び任意の添加剤)は、以下の副題において明らかにされ、より詳細に記載される。
充填剤
熱変性された充填剤
本発明において開示される歯科矯正用組成物は、熱変性された無機充填剤を含む。本明細書で使用する時、用語「熱変性された」とは、充填剤材料が十分な量の熱に晒されて、水和水の一部又は全てが材料から不可逆的に脱離し、非水和相を形成することを意味する。本明細書で使用する時、非複合型の水分、すなわち、「間隙水」を材料の構造体から放出させる乾燥工程は、熱変性からは特に除外される。
熱変性は、例えば、粒子を可燃ガス混合物中に分散させて火炎面を通過させる、火炎溶融プロセスによって生じることができる。このプロセスによって、少なくとも粒子の表面内に、高い熱効率で部分的な溶融を発生させることができる一方、溶融中の粒子の凝集が阻止される。火炎溶融を使用して、タルク又は亜塩素酸塩のような、概ね板状の充填剤粒子を、概ね楕円形状を有するものに変化させることができる。このことを有利に使用して、これらの充填剤粒子を使用する複合体の取扱い特性を調整することができる。微粒子を融解又は軟化させて概ね楕円体粒子を形成することが可能な、他の制御された方法としては、霧化、ファイヤーポリッシュ、及び直接溶融が挙げられる。これらのプロセスのそれぞれは、米国特許第6,045,913号(Castle)に詳細に記載されている。
熱変性の別の方法は、焼成である。本明細書で使用する時、「焼成」とは、熱分解又は相転移反応を引き起こすために固体材料に適用される熱処理プロセスである。焼成は、一般的には、高温であるが、材料の融解点又は溶融点よりも低い温度にて実施される。焼成を使用して無機鉱物充填剤を熱変性させる場合、水和水を脱離させるために、鉱物をその解離温度を超えるまで加熱することが好ましい。この温度は、鉱物によっていくらか差異があり、代表的な材料に関する解離温度の例が、Parmelee,C.,Ceramic Glazes,Industrial Publications,2ndEdition,1951のp.86の表Iに提示されている。焼成された充填剤材料の走査電子顕微鏡検査法に基づくと、焼成は、充填剤粒子の寸法又は形状の全体分布に有意な影響を与える様子がないという点で火炎溶融とは異なっている。
鉱物充填剤の熱変性は、特定の利益をもたらし得る。水分の混入は、歯科矯正用接着における接着強度を低減するものとして知られている。熱変性は、鉱物充填剤粒子中に存在する複合型水分の量を低減することから、複合型水分の低減が接着強度を高め得ることが可能である。熱の存在はまた、鉱物粒子を緻密化して、より硬質、より強靭で、凝集破壊に対してより耐性の粒子にすることもできる。したがって充填剤粒子の緻密化は、樹脂マトリックス材料に対し、より大きな補強をもたらし得る。
更に、熱変性が火炎溶融によって達成される場合では、鉱物粒子の少なくとも一部は、板状粒子から楕円形粒子へと変形される。このことは、最大充填量の増大、すなわち、複合体ペーストが不安定になり相分離を起こす前まで複合体ペースト中に充填剤を充填し得る程度を増大させるという、付加的な予想外の利益をもたらすことが、経験的に見出されている(後述の実施例1〜2及び比較実施例CE−1、CE−2を参照)。最大充填量の増大が有利であるのは、歯科矯正用組成物の設計及び製造の双方における柔軟性がより高められるためである。充填量はまた、硬化した歯科矯正用組成物の接着強度及び凝集強度に影響し得る、充填剤の充填密度とも正の相関がある。この充填剤の、充填密度と総合的な強度との間の関係は、複合体一般に関して十分に立証されている。
様々な無機充填剤材料を熱変性させることができる。無機充填剤材料の例としては、限定されるものではないが、石英(すなわち、シリカ、SiO);窒化物(例えば窒化ケイ素);ガラス、並びに、例えばZr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、及びAlから誘導される充填剤;長石;ホウケイ酸ガラス;カオリン;タルク;ジルコニア;チタニア;米国特許第4,435,160号(Randklev)、同第4,695,251号(Randklev)、及び同第4,906,185号(Randklev)に記載されるような低モース硬度の充填剤;サブマイクロメートルのシリカ粒子(例えば、Degussa Corp.(Akron,OH)製の「OX 50」、「130」、「150」、及び「200」のシリカ、並びにCabot Corp.(Tuscola,IL)製のCAB−O−SIL M5及びTS−720のシリカを含む、商品名AEROSILとして提供されるもののような発熱性シリカ)が挙げられる。好ましくは、無機充填剤は、ヒトのエナメル質にほぼ一致する色を有し、グラファイトのような、充填剤を変色させて非審美的な結果を生み出す恐れのあるいずれの混入物質も含まない。また、選択した充填剤は、接着剤成分、歯科矯正用装具材料、口腔液、若しくは食物の吸収、又はこれらとの接触の結果として、有意に染色、あるいは変色しないことも好ましい。このことは、組成物を、3M Unitek(Monrovia,CA)製のCLARITYブランドのセラミックブラケットのような、審美的、半透明の装具の接着に使用する場合に特に関連する。
好適な熱変性された鉱物充填剤は、5以下のモース硬度を有し、硬化した残余の組成物の除去を容易にする。こうした充填剤としては、例えば、タルク、重晶石、アラゴナイト、方解石、及び亜塩素酸塩が挙げられる。ヒトのエナメル質は、4.5〜5の範囲のモース硬度を有し、関連する歯の年齢及び位置に応じて変化することに注意されたい。残余物を除去するための研磨システムの選択において最大の柔軟性を提供するために、エナメル質よりも有意に軟質な、例えば4以下のモース硬度を有する充填剤を選択することが好ましい。
一部の実施形態では、熱変性された鉱物充填剤は、制御された粒径(粒子の最大寸法、一般的には直径)及び/又は制御された粒径分布を有する。粒子は、平坦、楕円体、球形、ロッド状、又は何らかの他の非対称形状であってもよい。粒径分布は単峰性又は多峰性(例えば二峰性)であってもよい。好ましくは、充填剤の中央粒径は、25マイクロメートル以下、より好ましくは20マイクロメートル以下、最も好ましくは15マイクロメートル以下である。好ましくは、充填剤の中央粒径は、1マイクロメートル超、より好ましくは2マイクロメートル超、最も好ましくは4マイクロメートル超である。
本発明で使用する充填剤はまた、その「強熱減量」によって特徴付けることもできる。強熱減量は、水和物又は不安定ヒドロキシ化合物の存在を同定する手助けとなり得る試験である。この試験は、材料のサンプルを特定の温度で強く加熱する(すなわち、強熱する)ことと、揮発性物質を、その質量の変化が停止するまで放出させることから構成される。このことは、空気中で、又は他の何らかの反応性雰囲気中若しくは不活性雰囲気中で行なってもよい。一般的には、その簡易試験は、少量のグラム数の材料を、事前に強熱して秤量した坩堝内に入れ、その質量を測定することと、それを温度制御された炉の中に設定時間の間置くことと、それを制御された(例えば、水分を含まず、COを含まない)雰囲気中で冷却することと、質量を再測定することとから構成される。このプロセスを、質量変化の完了が示されるまで繰り返してもよい。一部の実施形態では、無機鉱物充填剤は、10〜15重量%の範囲の、熱変性前の強熱減量を有する。
温度が変化する際の重量変化を連続的にモニターする試験の一変種は、熱重量分析、すなわち、TGAである。この技術は、材料の加熱若しくは冷却の際に生じる、相転移、ガス発生、酸化プロセス、水和、及び様々な他の反応の存在を検出することが可能である。試験の間、重量の増加又は減少は連続的に記録され、X軸のサンプル材料温度に対するY軸の重量%変化へと変換される。TGA測定器はまた、示差熱分析(DTA)の機能も備える場合がある。DTAでは、サンプル材料の加熱又は冷却の際に、熱流量を同時にモニターして記録する。このように、発生する重量変化を測定するだけではなく、発熱プロセス又は吸熱プロセスが生じた場合の、熱発生又は熱消費もそれぞれ測定することが可能である。TGA及びDTAは、実施例の部分で更に説明するように、水和相の存在量の定量化において、及び熱変性された充填剤材料と未加工の充填剤材料の識別において有用であり得る。
熱変性された充填剤は、歯科矯正用組成物中に、組成物の全重量を基準として、好ましくは50重量%〜75重量%の範囲で存在し、より好ましくは66重量%〜72重量%の範囲で存在する。好ましくは、充填剤の全重量を基準として、充填剤の5重量%未満が水和し、より好ましくは、充填剤の3重量%未満が水和している。最も好ましくは、充填剤は本質的に全く水和しておらず、例えば、TGAは、熱変性された充填剤中に水和相が存在しないことを示す。2種以上の熱変性された無機充填剤のブレンドを使用することもできる。
ハイブリッド充填剤
熱変性された無機充填剤は、他の充填剤とブレンドしてハイブリッド充填剤系を形成することができる。例えば、熱変性された無機充填剤は、未加工の無機充填剤と、又は更には有機充填剤と混合することができる。無機充填剤成分を含有させることによって、均質な充填剤系の使用では不可能な、望ましい一連の特性又は機能を組成物に付与することができる。より詳細に後に説明するように、例えば、無機充填剤を使用してフッ化物放出特性を組成物に付与することができる。多くの歯科矯正医にとって、フッ化物の放出は望ましい機能である。無機充填剤はまた、臨床医又は歯科矯正助手による取扱いを最適化するための、組成物の弾性率若しくは強度の増大、又はそのレオロジー特性の変更にも有効な場合がある。
ポリマー性充填剤のような有機充填剤は、一般に軟質であり、清掃の容易さを有意に損なうことなく、充填剤混合物中に有利に含まれ得る。代表的なポリマー性充填剤としては、ポリメタクリレートポリマー、ポリスチレン、ポリシアノアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエポキシド、及びポリウレタンのような、天然及び合成ポリマー並びにコポリマーで構成されるものが挙げられる。好適なポリマー性充填剤は、2007年9月30日出願の、共有及び同時係属米国特許仮出願第60/976501号(Kalgutkarら)に記載されている。
しかしながら、組成物に添加し得る追加的な充填剤の量は、ある程度、無機充填剤の性質に依存する。比較的軟質の無機充填剤を選択する場合は、残余物の清掃の容易さを過度に損ねることなく、有意な量を組成物中に許容することができる。しかしながら、少なくとも5のモース硬度を有するもののような、硬質の充填剤は、大量に添加した場合、残余物の清掃の容易さに悪影響を及ぼす可能性がある。無機充填剤が少なくとも5のモース硬度を有する場合、その無機成分は、組成物の総重量の5重量%以下を構成することが好ましい。より好ましくは、少なくとも5のモース硬度を有するいずれの無機組成物も、組成物の総重量の2重量%以下を構成する。最も好ましくは、また上述の理由から、組成物は、少なくとも5のモース硬度を有するいずれの充填剤も含有しない。特定の実施形態では、組成物は、少なくとも6のモース硬度を有する充填剤、少なくとも7のモース硬度を有する充填剤、少なくとも8のモース硬度を有する充填剤、又は少なくとも9のモース硬度を有する充填剤のいずれをも含有しない。いずれの場合も、充填剤は無毒で、口内での使用に適するものとすべきである。充填剤は、放射線不透過性又は放射線透過性とすることができる。充填剤は一般に、実質的に水に不溶性である。
好適な非酸反応性充填剤粒子としては、石英(すなわち、シリカ)、サブマイクロメートルのシリカ、ジルコニア、サブマイクロメートルのジルコニア、及び米国特許第4,503,169号(Randklev)に記載されている種類の非ガラス質微小粒子が挙げられる。これら非酸反応性充填剤の混合物もまた、有機及び無機の材料から作製される混合充填剤と共に想到される。
充填剤はまた、酸反応性充填剤であってもよい。好適な酸反応性充填剤としては、金属酸化物、ガラス、及び金属塩が挙げられる。典型的な金属酸化物としては、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。典型的なガラスとしては、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、及びフルオロアルミノケイ酸(「FAS」)ガラスが挙げられる。FASガラスが特に好ましい。FASガラスは通常、溶出性カチオンを十分に含有するため、ガラスが組成物の成分と混合されると、硬化した組成物が形成される。フッ化物を放出する組成物において、このガラスは通常、溶出性のフッ素イオンを十分に含有するため、硬化した組成物は抗齲蝕特性を有する。このガラスは、フッ化物、アルミナ、及び他のガラス形成成分を含有する溶解物から、FASガラス製造技術における当業者に周知の技術を使用して作製することができる。FASガラスは通常、十分に超微粒子状の粒子の形態であるため、他の成分と簡便に混合することができ、結果得られる混合物を口内で使用する場合、良好に機能する。好ましくは、FASガラスは、組成物中に、組成物の全重量を基準として、最大40重量%の量で存在する。総充填剤含有量(モース硬度5未満を有する)は、組成物の全重量を基準として、好ましくは50重量パーセント〜75重量パーセントの範囲で存在し、より好ましくは、66重量パーセント〜72重量パーセントの範囲で存在する。
一般的に、FASガラスの平均粒径は、例えば沈降分析器を用いて測定した場合に、12マイクロメートル以下、典型的には10マイクロメートル以下、より典型的には5マイクロメートル以下である。好適なFASガラスは、当業者に周知であり、多種多様な商業的供給源から提供され、多くは、VITREMER、VITREBOND、RELY X LUTING CEMENT、RELY X LUTING PLUS CEMENT、PHOTAC−FIL QUICK、KETAC−MOLAR、及びKETAC−FIL PLUS(3M ESPE Dental Products,St.Paul,MN)、FUJI II LC、及びFUJI IX(G−C Dental Industrial Corp.,Tokyo,Japan)、並びにCHEMFIL Superior(Dentsply International,York,PA)の商品名で市販されているもののようなガラスアイオノマーセメント中に見出される。所望の場合、充填剤の混合物を使用することが可能である。FASガラス充填剤を含有する他の組成物に関する更なる記載は、以下の副題「硬化性成分/ガラスアイオノマー」において提供される。
また、充填剤と樹脂の結合を増強するために、充填剤粒子の表面をカップリング剤で処理することもできる。好適なカップリング剤としては、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。シラン処理されたタルク充填剤、シラン処理されたカオリン充填剤、シラン処理された粘土系充填剤、及びこれらの組み合わせは、特定の実施形態において特に好ましい。
他の好適な充填剤は、米国特許第6,387,981号(Zhangら)及び同第6,572,693号(Wuら)、並びに国際特許出願公開第01/30305号(Zhangら)、同第01/30306号(Windischら)、同第01/30307号(Zhangら)、及び同第03/063804号(Wuら)に記載されている。これらの参照文献に記載された充填剤成分としては、ナノサイズのシリカ粒子、ナノサイズの金属酸化物粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ナノ充填剤はまた、米国特許第7,090,721号(Craigら)、同第7,156,911号(Kangasら)、及び同第7,090,722号(Buddら)、並びに米国特許出願公開第2005/0256223(A1)号(Kolbら)にも記載されている。
硬化性成分
エチレン性不飽和化合物
本明細書で開示されるように、好適な組成物は、エチレン性不飽和化合物(フリーラジカル活性不飽和基を含有)を含む硬化性成分(例えば、光重合性化合物)を使用することができる。本発明の特定の実施形態では、硬化性成分は、組成物の全重量を基準として、好ましくは、20重量%〜60重量%の範囲で、より好ましくは30重量%〜45重量%の範囲で存在する。有用なエチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
この組成物(例えば、光重合性組成物)は、1つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを含み得るフリーラジカル活性官能基を有する化合物を含むことができる。好適な化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を受けることが可能である。このようなフリーラジカル重合性化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[l−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[l−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレートのようなモノ−、ジ−又はポリ−(メタ)アクリレート(すなわち、アクリレート及びメタクリレート);(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、及びジアセトン(メタ)アクリルアミドのような(メタ)アクリルアミド(すなわち、アクリルアミド及びメタアクリルアミド);ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(好ましくは分子量200〜500)のビス−(メタ)アクリレート;米国特許第4,652、274号(Boettcherら)のもののようなアクリレート化モノマーの共重合性混合物、米国特許第4,642,126号(Zadorら)のもののようなアクリレート化オリゴマー、及び米国特許第4,648,843号(Mitra)に開示されるもののようなポリ(エチレン性不飽和)カルバモイルイソシアヌレート;スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルサクシネート、ジビニルアジパート、及びジビニルブタレートのようなビニル化合物が挙げられる。他の好適なフリーラジカル重合性化合物としては、例えば、国際公開第00/38619号(Guggenbergerら)、同第01/92271号(Weinmannら)、同第01/07444号(Guggenbergerら)、同第00/42092号(Guggenbergerら)に開示されるシロキサン官能(メタ)アクリレート、並びに、例えば、米国特許第5,076,844号(Fockら)、同第4,356,296号(Griffithら)、欧州特許第0373 384号(Wagenknechtら)、同第0201 031号(Reinersら)、及び、同第0201 778号(Reinersら)に開示されるフルオロポリマー官能(メタ)アクリレートが挙げられる。所望の場合、2種以上のフリーラジカル重合性化合物の混合物を使用することができる。
硬化性成分はまた、単一分子内にヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基も含有することもできる。そのような材料の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ−、ジ−、及びトリ−(メタ)アクリレート;ソルビトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタ−(メタ)アクリレート;2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−エタアクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスGMA)が挙げられる。好適なエチレン性不飽和化合物はまた、Sigma−Aldrich(St.Louis)のような多種多様な商業的供給元から提供されている。所望の場合、エチレン性不飽和化合物の混合物を使用することができる。
特定の実施形態では、硬化性成分としては、PEGDMA(約400の分子量を有するポリエチレングリコールジメタクリレート)、ビスGMA、UDMA(ウレタンジメタクリレート)、GDMA(グリセロールジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、米国特許第6,030,606号(Holmes)に記載されるビスEMA6、及びNPGDMA(ネオペンチルグリコールジメタクリレート)が挙げられる。所望の場合、様々な組み合わせの硬化性成分を使用することができる。特定の実施形態では、UDMAのような架橋性モノマーが、組成物の硬化性成分全体を代表することができる。好ましくは本明細書で開示される組成物は、組成物の全重量を基準として、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%のエチレン性不飽和化合物(例えば、酸官能基を有するもの及び/又は有さないもの)を含む。更に、本明細書で開示される組成物は、組成物の全重量を基準として、最大60重量%、好ましくは最大50重量%、より好ましくは最大45重量%のエチレン性不飽和化合物(例えば、酸官能基を有するもの及び/又は有さないもの)を含む。
本明細書で開示される組成物はまた、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物の形態の、1つ以上の硬化性成分を含むこともできる。本明細書で使用する時、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物は、エチレン性不飽和並びに酸官能基及び/又は酸前駆体官能基を有する、モノマー、オリゴマー、及びポリマーを含むことを意味する。酸前駆体官能基としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、及びピロリン酸塩が挙げられる。酸官能基としては、カルボン酸官能基、リン酸官能基、ホスホン酸官能基、スルホン酸官能基、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、グリセロールリン酸モノ(メタ)アクリレート、グリセロールリン酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート(例えば、HEMA)リン酸、ビス((メタ)アクリロキシエチル)リン酸、((メタ)アクリロキシプロピル)リン酸、ビス((メタ)アクリロキシプロピル)リン酸、ビス((メタ)アクリロキシプロピル)プロピルオキシリン酸、(メタ)アクリロキシヘキシルリン酸、ビス((メタ)アクリロキシヘキシル)リン酸、(メタ)アクリロキシオクチルリン酸、ビス((メタ)アクリロキシオクチル)リン酸、(メタ)アクリロキシデシルリン酸、ビス((メタ)アクリロキシデシル)リン酸、カプロラクトンメタクリレートリン酸、クエン酸ジ−又はトリ−メタクリレート、ポリ(メタ)アクリレート化オリゴマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリクロロホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリスルホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリホウ酸などのα,β−不飽和酸性化合物が挙げられ、硬化性成分系の成分として使用することができる。(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリレート化酸(例えば、メタクリレート化トリメリット酸)などの不飽和炭酸のモノマー、オリゴマー、及びポリマー、並びにこれらの無水物を使用することもできる。本発明の好ましい実施形態で使用される特定の組成物としては、少なくとも1つのP−OH部分を有する酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
ある種のこれら化合物は、例えば、イソシアナトアルキル(メタ)アクリレートとカルボン酸との反応生成物として得られる。酸官能基及びエチレン性不飽和成分の両方を有するこの種類の更なる化合物は、米国特許第4,872,936号(Engelbrecht)及び同第5,130,347号(Mitra)に記載されている。エチレン性不飽和部分及び酸部分の両方を含有する多種多様のこのような化合物を使用することができる。所望の場合、このような化合物の混合物を使用することが可能である。
例えば、酸官能基を有する更なるエチレン性不飽和化合物としては、例えば米国特許出願第2004/0206932号(Abuelyamanら)に記載の重合性ビスホスホン酸;AA:ITA:IEM(例えば、米国特許第5,130,347号(Mitra)の実施例11に記載される、アクリル酸:イタコン酸のコポリマーを十分な2−イソシアナトエチルメタクリレートと反応させて、このコポリマーの酸基の一部分をペンダントのメタクリレート基に変化させることによって作製される、ペンダントのメタクリレートを有するAA:ITAコポリマー);並びに、米国特許第4,259,075号(Yamauchiら)、同第4,499,251号(Omuraら)、同第4,537,940号(Omuraら)、同第4,539,382号(Omuraら)、同第5,530,038号(Yamamotoら)、同第6,458,868号(Okadaら)、並びに欧州特許出願公開第712,622号(Tokuyama Corp.)及び同第1,051,961号(Kuraray Co.,Ltd.)に記載のものが挙げられる。
本明細書で開示される組成物としてはまた、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物の組み合わせを含む組成物を挙げることもできる。好ましくは、組成物は、自己接着性であり、非水性である。例えば、このような組成物は、少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基及び少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基を含む第1の化合物(式中、xが1又は2であり、少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基がC1〜C4の炭化水素基によって結合している)と、少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基及び少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基を含む第2の化合物(式中、xが1又は2であり、少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基及び少なくとも1つの(メタ)アクリロキシ基がC5〜12の炭化水素基によって結合している)と、酸官能基を有さないエチレン性不法飽和化合物と、反応開始剤系と、充填剤とを含むことができる。そのような組成物は、例えば、2004年8月11日出願の米国仮出願第60/600,658号(Luchterhandtら)に記載されている。好ましくは、本明細書で開示される組成物は、組成物の全重量を基準として、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を含む。本明細書で開示される組成物は、組成物の総重量を基準として、最大60重量%、好ましくは最大50重量%、より好ましくは最大45重量%の、酸官能基を有するエチレン性不飽和化合物を含む。
エポキシ(オキシラン)化合物又はビニルエーテル化合物
本明細書で開示される組成物はまた、エポキシ(オキシラン)化合物(カチオン活性エポキシ基を含有)の形態、又はビニルエーテル化合物(カチオン活性ビニルエーテル基を含有)の形態の、1つ以上の硬化性成分を含むこともできる。
エポキシモノマー又はビニルエーテルモノマーは、組成物中の硬化性成分として単独で、又は他のクラスのモノマー(例えば本明細書に記載されるエチレン性不飽和化合物)と組み合わせて使用することができ、また芳香族基、脂肪族基、脂環式基、及びこれらの組み合わせを、化学構造の部分として含むことができる。
エポキシ(オキシラン)化合物の例としては、開環により重合できるオキシラン環を有する有機化合物が挙げられる。これらの材料としては、モノマー性のエポキシ化合物、及びポリマー型のエポキシドが挙げられ、脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式であってもよい。これらの化合物は、一般に平均で1分子当たり少なくとも1つの重合性エポキシ基を有し、一部の実施形態では、1分子当たり少なくとも1.5の、また他の実施形態では、1分子当たり少なくとも2つの重合性エポキシ基を有する。ポリマー性のエポキシドとしては、末端エポキシ基を有する直鎖状のポリマー(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格にオキシラン単位を有するポリマー(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、及びペンダントのエポキシ基を有するポリマー(例えば、グリシジルメタクリレートポリマー又はコポリマー)が挙げられる。エポキシドは、純粋な化合物であってもよく、又は1分子当たり1つ、2つ若しくはそれ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物であってもよい。1分子当たりのエポキシ基の「平均」数は、エポキシ含有材料中のエポキシ基の総数を、存在するエポキシ含有分子の総数で割ることにより決定する。
これらのエポキシ含有材料は、低分子量のモノマー材料から高分子量のポリマーまで様々であり、それらの主鎖及び置換基の性質において大きく異なってもよい。許容できる置換基の例としては、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホネート基、シロキサン基、カルボシラン基、ニトロ基、ホスフェート基などが挙げられる。エポキシ含有材料の分子量は、58〜100,000以上と様々であってもよい。
本発明の特定の実施形態で使用する樹脂系反応成分として有用な、好適なエポキシ含有材料は、米国特許第6,187,836号(Oxmanら)及び同第6,084,004号(Weinmannら)に記載されている。
樹脂系反応成分として有用な他の好適なエポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−メチル)アジパートにより代表されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのシクロヘキセンオキシド基を含有するものが挙げられる。この性質を持つ有用なエポキシドの、より詳細なリストに関しては、米国特許第6,245,828号(Weinmannら)、同第5,037,861号(Crivelloら)、及び同第6,779,656号(Klettkeら)を参照されたい。
本明細書に開示される組成物において有用であり得る他のエポキシ樹脂としては、グリシジルエーテルモノマーが挙げられる。例は、多価フェノールをエピクロロヒドリン(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)プロパンのジグリシジルエーテル)などの過剰のクロロヒドリンと反応させることにより得られる多価フェノールのグリシジルエーテルである。この種類のエポキシドの更なる例は、米国特許第3,018,262号(Schroeder)に記載されている。
樹脂系反応成分として有用な他の好適なエポキシドは、シリコンを含有するものであり、その有用な例は、国際特許出願公開第01/51540号(Klettkeら)に記載されている。
樹脂系反応成分として有用な更なる好適なエポキシドとしては、オクタデシレンオキシド、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジフリシジルエーテル、及び、米国特許第7,262,228号(Oxmanら)に記載の、その他の市販のエポキシドが挙げられる。
様々なエポキシ含有材料のブレンドも想到される。このようなブレンドの例は、低分子量(200未満)、中間分子量(200〜10,000)、及び高分子量(10,000超)のような、エポキシ含有化合物の重量平均分子量分布を2つ以上含む。あるいは、又は更に、エポキシ樹脂は、脂肪族及び芳香族のような異なる化学的性質、あるいは極性及び非極性のような異なる官能性基を有する、エポキシ含有材料のブレンドを含有してもよい。
カチオン活性官能基を有する、他の種類の有用な硬化性成分としては、ビニルエーテル、オキセタン、スピロ−オルトカーボネート、スピロ−オルトエステルなどが挙げられる。
所望の場合、カチオン活性官能基及びフリーラジカル活性官能基の双方が単一分子内に含有されてもよい。そのような分子は、例えばジ−又はポリ−エポキシドをエチレン性不飽和カルボン酸の1当量以上と反応させることにより得ることができる。そのような材料の一例は、UVR−6105(Midland,MIのDow Chemical Company製)と1当量のメタクリル酸との反応生成物である。エポキシ及びフリーラジカル活性官能基を有する市販材料としては、Daicel Chemical,Japan製の、CYCLOMER M−100、M−101、又はA−200のようなCYCROMERシリーズ、及びRadcure Specialties、UCB Chemicals(Atlanta,GA)製のEBACRYL−3605が挙げられる。
カチオン硬化性成分としては、ヒドロキシル含有有機材料を更に挙げることができる。好適なヒドロキシル含有材料は、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有するいずれの有機材料であってもよい。好ましくは、ヒドロキシル含有材料は、一級又は二級脂肪族ヒドロキシル基(すなわち、ヒドロキシル基は非芳香族炭素原子に直接結合している)を2つ以上含有する。ヒドロキシル基は、末端に位置してもよく、又はポリマー若しくはコポリマーからのペンダントであってもよい。ヒドロキシル含有有機材料の分子量は、非常に低い(例えば、32)から非常に高い(例えば、100万以上)まで、様々であってもよい。好適なヒドロキシル含有材料は、低分子量(すなわち、32〜200)、中間分子量(すなわち、200〜10,000)、又は高分子量(すなわち、10,000超)を有することができる。本明細書で使用する時、全ての分子量は、重量平均分子量である。
ヒドロキシル含有材料は、その性質において非芳香族であってもよく、又は芳香族官能基を含有してもよい。ヒドロキシル含有材料は、所望により分子の主鎖内に窒素、酸素、硫黄などのような、へテロ原子を含有してもよい。ヒドロキシル含有材料は、例えば、天然起源のセルローズ系材料、又は合成的に調製されるセルローズ系材料から選択することができる。ヒドロキシル含有材料は、熱的に又は光分解的に不安定であり得る基を実質的に含まないものとするべきであり、すなわち、その材料は、100℃未満の温度で、又は重合性組成物に関して所望の光重合条件時に発生し得る化学線の存在下で、揮発性成分を分解又は遊離してはならない。
本発明の特定の実施形態で有用な、好適なヒドロキシル含有材料は、米国特許第6,187,836号(Oxmanら)に記載されている。
硬化性成分はまた、単一分子内にヒドロキシル基及びカチオン活性官能基を含有してもよい。一例は、ヒドロキシル基及びエポキシ基の双方を含む単一分子である。
ガラスアイオノマー
本明細書に記載される組成物は、典型的にはその主成分として、エチレン性不飽和カルボン酸のホモポリマー又はコポリマー(例えば、ポリアクリル酸、コポリ(アクリル酸、イタコン酸)など)、フルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラス、水、並びに酒石酸のようなキレート化剤を用いる、従来のガラスアイオノマーセメントのような、ガラスアイオノマーセメントを含み得る。従来のガラスアイオノマー(すなわち、ガラスアイオノマーセメント)は、一般に、使用直前に混合される粉末/液体処方で供給される。この混合物は、ポリカルボン酸の酸性反復単位と、ガラスから浸出するカチオンとのイオン反応によって、暗所で自己硬化する。
ガラスアイオノマーセメントとしてはまた、樹脂修飾ガラスアイオノマー(「RMGI」)セメントも挙げることができる。従来のガラスアイオノマーのように、RMGIセメントは、FASガラスを使用する。しかしながら、RMGIの有機部分が異なる。RMGIの1つの種類では、例えば米国特許第5,130,347号(Mitra)に記載されるように、ポリカルボン酸は、その酸性反復単位の一部が、ペンダント硬化性基によって置換されるか、又はエンドキャップされるように変性され、また、光開始剤が添加されて第2の硬化メカニズムが提供される。アクリレート基又はメタクリレート基が、ペンダント硬化性基として通常使用される。別の種類のRMGIでは、セメントは、例えばMathisらの「Properties of a New Glass Ionomer/Composite Resin Hybrid Restorative」(Abstract No.51,J.Dent Res.,66:113(1987))、並びに米国特許第5,063,257号(Akahaneら)、同第5,520,725号(Katoら)同第5,859,089号(Qian)、同第5,925,715号(Mitra)、及び同第5,962,550号(Akahaneら)に記載されるように、ポリカルボン酸、アクリレート官能性モノマー若しくはメタクリレート官能性モノマー、及び光開始剤を含む。別の種類のRMGIでは、セメントは、例えば米国特許第5,154,762号(Mitraら)、同第5,520,725号(Katoら)、及び同第5,871,360号(Katoら)に記載されるように、ポリカルボン酸、アクリレート官能性モノマー若しくはメタクリレート官能性モノマー、及び酸化還元硬化系若しくは他の化学硬化系を含むことができる。別の種類のRMGIでは、セメントは、米国特許第4,872,936号(Engelbrecht)、同第5,227,413号(Mitra)、同第5,367,002号(Huangら)、及び同第5,965,632号(Orlowski)に記載されるような、様々なモノマー含有成分又は樹脂含有成分を含むことができる。RMGIセメントは、好ましくは粉末/液体系、又はペースト/ペースト系として配合され、混合及び塗布時に水を含有する。組成物は、ポリカルボン酸の酸性反復単位と、ガラスから浸出するカチオンとのイオン反応によって暗所で硬化可能であり、また一般に市販のRMGI製品は、セメントを歯科用硬化ランプからの光に暴露する時にも硬化する。酸化還元硬化系を含有し、化学線を使用せずとも暗所で硬化可能なRMGIセメントは、米国特許第6,765,038号(Mitra)に記載されている。
硬化剤
光開始剤系
特定の実施形態では、本発明の組成物は光重合性であり、すなわち、硬化性成分が光重合性で、硬化剤は光開始剤(又は光開始剤系)を含み、化学線照射によって組成物の重合(すなわち、硬化)を開始する。このような光重合性組成物は、フリーラジカル重合又はカチオン重合によって硬化し得る。
フリーラジカル光重合を誘発するための好適な光開始剤(すなわち、1種以上の化合物を含む光開始剤系)としては、二成分系及び三成分系が挙げられる。典型的な三成分系光開始剤は、米国特許第5,545,676号(Palazzottoら)に記載されるように、ヨードニウム塩、光増感剤、及び電子供与体化合物を含む。好ましいヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩、例えばジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、及びトリクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。好ましい光増感剤は、400nm〜520nm(好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内の光の一部を吸収するモノケトン及びジケトンである。より好ましい化合物は、400nm〜520nm(更により好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内の光の一部を吸収するαジケトンである。好ましい化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン及び他の1−アリール−2−アルキル−1,2−エタンジオン、並びに環状αジケトンである。カンファーキノンが最も好ましい。好ましい電子供与体化合物としては、置換アミン、例えばエチルジメチルアミノベンゾエートが挙げられる。カチオン重合性樹脂の光重合に有用な他の好適な三成分系光開始剤は、例えば米国特許第6,765,036号(Dedeら)に記載されている。
フリーラジカル光重合性組成物の重合に好適な他の光開始剤としては、380nm〜1200nmの機能波長範囲を一般に有するホスフィンオキシドのクラスが挙げられる。380nm〜450nmの機能波長範囲を有する好ましいホスフィンオキシドフリーラジカル開始剤は、米国特許第4,298,738号(Lechtkenら)、同第4,324,744号(Lechtkenら)、同第4,385,109号(Lechtkenら)、同第4,710,523号(Lechtkenら)、及び同第4,737,593号(Ellrichら)、同第6,251,963号(Kohlerら)、並びに欧州特許出願第0173567(A2)号(Ying)に記載されるもののような、アシルホスフィンオキシド又はビスアシルホスフィンオキシドである。
380nm超〜450nmの波長範囲で照射した場合に、フリーラジカル反応開始が可能な市販のホスフィンオキシド光開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819,Ciba Specialty Chemicals,Tarrytown,NY)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI 403,Ciba Specialty Chemicals)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの25:75重量混合物(IRGACURE 1700,Ciba Specialty Chemicals)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンとの1:1重量混合物(DAROCUR 4265,Ciba Specialty Chemicals)、及びエチル2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィネート(LUCIRIN LR8893X,BASF Corp.,Charlotte,NC)が挙げられる。
一般的には、ホスフィンオキシド開始剤は、光重合性組成物中に、組成物の総重量を基準として、0.1重量%〜5.0重量%のような触媒有効量で存在する。
三級アミン還元剤を、アシルホスフィンオキシドと組み合わせて使用してもよい。本発明の特定の実施形態で有用な三級アミンの例としては、エチル−4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート、及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。存在する場合、このアミン還元剤は、光重合性組成物中に、組成物の総重量を基準として、0.1重量%〜5.0重量%の量で存在する。他の開始剤の有用な量は、当業者には周知である。
カチオン光重合性組成物の重合に好適な光開始剤としては、二成分系、及び三成分系が挙げられる。典型的な三成分光開始剤は、欧州特許第0 897 710号(Weinmannら)、米国特許第5,856,373号(Kaisakiら)、同第6,084,004号(Weinmannら)、同第6,187,833号(Oxmanら)、及び同第6,187,836号(Oxman ら)、並びに同第6,765,036号(Dedeら)に記載されるように、ヨードニウム塩、光増感剤、及び電子供与体化合物を含む。本発明の特定の実施形態の組成物は、電子供与体として1つ以上のアントラセン系化合物を含むことができる。一部の実施形態では、この組成物は、多重置換アントラセン化合物、又は置換アントラセン化合物と非置換アントラセンとの組み合わせを含む。光開始剤系の部分としてのこれらの混合アントラセン電子供与体の組み合わせは、同一のマトリックスにおける同等の単一供与体光開始剤系と比較した場合、有意に増強された硬化深さ、硬化速度、及び温度不感応性をもたらす。アントラセン系電子供与体を有するこのような組成物は、米国特許第7,262,228号(Oxmanら)に記載されている。
好適なヨードニウム塩としては、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−フェニル)ボレート)、並びにジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、及びジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレートが挙げられる。好適な光増感剤は、450nm〜520nmナノメートル(好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内の一部の光を吸収するモノケトン及びジケトンである。より好適な化合物は、450nm〜520nm(更により好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内の光の一部を吸収するαジケトンである。好ましい化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、及び他の環状αジケトンである。カンファーキノンが最も好ましい。好適な電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、エチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、及び2−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート、並びに多縮合芳香族化合物(例えばアントラセン)が挙げられる。
開始剤系又は硬化剤は、所望の硬化(例えば、重合及び/又は架橋)速度をもたらすのに十分な量で存在する。光開始剤に関しては、この量は、光源、放射エネルギーに暴露される層の厚さ、及び光開始剤の吸光係数にある程度依存することになる。好ましくは、硬化剤は、組成物の全重量を基準として、少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.03重量%、最も好ましくは少なくとも0.05重量%の総量で存在する。好ましくは、硬化剤は、組成物の全重量を基準として、10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、最も好ましくは2.5重量%以下の総量で存在する。
酸化還元開始剤系
特定の実施形態では、本発明の組成物は、化学的に硬化性であり、すなわち、この組成物は、化学線の照射に依存することなく、重合、硬化、又は別の方法で組成物を硬化させることが可能な化学的硬化性成分及び化学的開始剤(すなわち、開始剤系)を含有する。このような化学組成物は、「2元」又は「自己硬化」組成物と称される場合があり、ガラスアイオノマーセメント、樹脂修飾ガラスアイオノマーセメント、酸化還元硬化系、及びこれらの組み合わせを含み得る。
この化学的硬化性組成物としては、硬化性成分(例えば、エチレン性不飽和重性成分)と、酸化剤及び還元剤を含めた酸化還元剤とを含む、酸化還元硬化系を挙げることができる。硬化性成分、酸化還元剤、及び任意の酸官能性成分の例は、米国特許第6,982,288号(Mitraら)及び同第7,173,074号(Mitraら)に記載されている。
還元剤及び酸化剤は、共に反応すべきであるか、さもなくば、お互いに協同して樹脂系(例えば、エチレン性不飽和成分又は硬化性成分)の重合を開始する能力のあるフリーラジカルを生成すべきである。この種類の硬化は、暗反応であり、すなわち、光の存在に依存せずに、光が存在しない状態下で進行可能である。この還元剤及び酸化剤は、好ましくは、十分な貯蔵安定性があり、かつ望ましくない着色を含まないことにより、保存、及び典型的な歯の状態下での使用が可能になる。これらは、組成物の他の成分中に容易に溶解可能な(かつ分離し難い)ように、樹脂系と十分に混和性(好ましくは水溶性)でなければならない。
有用な還元剤としては、米国特許第5,501,727号(Wangら)に記載されているようなアスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、及び金属錯体アスコルビン酸化合物;アミン、特に4−t−ブチルジメチルアニリンのような三級アミン;p−トルエンスルフィン酸塩及びベンゼンスルフィン酸塩のような、芳香族スルフィン酸塩;1−エチル−2−チオ尿素、テトラエチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、1,1−ジブチルチオ尿素、及び1,3−ジブチルチオ尿素のような、チオ尿素;並びにこれらの混合物が挙げられる。他の二級還元剤としては、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に依存する)、亜ジチオン酸塩又は亜硫酸塩アニオンの塩、並びにこれらの混合物を挙げてもよい。好ましくは、還元剤はアミンである。
好適な酸化剤はまた、当業者に周知であり、限定されるものではないが、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、セシウム、及びアルキルアンモニウム塩のような、過硫酸、並びにその塩が挙げられる。追加の酸化剤としては、過酸化ベンゾイル、ヒドロペルオキシド(例えば、クミルヒドロペルオキシド)、t−ブチルヒドロペルオキシド、及びアミルヒドロペルオキシドのような過酸化物の他にも、塩化コバルト(III)及び塩化第二鉄のような遷移金属の塩、硫酸セリウム(IV)、過ホウ酸及びその塩、過マンガン酸及びその塩、過リン酸及びその塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
1つ以上の酸化剤、又は1つ以上の還元剤を使用することが望ましい場合がある。少量の遷移金属化合物を添加して、酸化還元硬化速度を速めてもよい。一部の実施形態では、米国特許第6,982,288号(Mitraら)に記載されているように、重合性組成物の安定性を増強するために、二次的なイオン性塩を含むことが好ましい場合がある。
還元剤及び酸化剤は、適切なフリーラジカル反応速度を得るのに十分な量で存在する。このことは、充填剤を除く組成物の全成分を組み合わせ、硬化した塊が得られるか否かを観察することにより評価することができる。
好ましくは、還元剤は、組成物の成分の総重量(水を含む)を基準として、少なくとも0.01重量%の量で、より好ましくは少なくとも0.1重量%の量で存在する。好ましくは、還元剤は、組成物の成分の全重量(水を含む)を基準として、10重量%以下の量で、より好ましくは5重量%以下の量で存在する。
好ましくは、酸化剤は、組成物の成分の総重量(水を含む)を基準として、少なくとも0.01重量%の量で、より好ましくは少なくとも0.10重量%の量で存在する。好ましくは、酸化剤は、組成物の成分の全重量(水を含む)を基準として、10重量%以下の量で、より好ましくは5重量%以下の量で存在する。
還元剤又は酸化剤は、米国特許第5,154,762号(Mitraら)に記載されるように、マイクロカプセル化することができる。このことは、一般に、組成物の貯蔵安定性を増強し、必要な場合、還元剤及び酸化剤の同梱を可能にする。例えば、カプセル材料を適切に選択することにより、酸化剤及び還元剤を、酸官能性成分及び任意の充填剤と組み合わせることができ、安定した保管状態に維持することができる。同様に、非水溶性カプセル材料を適切に選択することにより、還元剤及び酸化剤を、FASガラス及び水と組み合わせることができ、安定した保管状態に維持することができる。
酸化還元硬化系は、他の硬化系、例えば、米国特許第5,154,762号(Mitraら)に記載されるような組成物と組み合わせることができる。
任意の添加剤
光退色性及び示温性染料
一部の実施形態では、本発明の組成物は、好ましくは、患者の歯の色とは著しく異なる初期色を有する。色は、好ましくは、光退色性又は示温性染料を使用することによって組成物に付与される。組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準として、少なくとも0.001重量%の光退色性又は示温性染料、より好ましくは少なくとも0.002重量%の光退色性又は示温性染料を含む。組成物は、好ましくは、組成物の総重量を基準として、最大1重量%の光退色性又は示温性染料、より好ましくは最大0.1重量%の光退色性又は示温性染料を含む。光退色性及び/又は示温性染料の量は、その吸光係数、人間の目が初期色を識別する能力、及び所望の色変化に応じて変えることができる。好適な示温性染料は、例えば米国特許第6,670,436号(Burgathら)に開示されている。
光退色性染料を含む実施形態の場合、光退色性染料の色形成特性及び退色特性は、例えば、酸強度、誘電率、極性、酸素の量、及び雰囲気中湿分含量を含む、様々な要因に応じて変化する。しかしながら、染料の退色特性は、組成物を放射線照射し、色の変化を評価することによって容易に判定できる。好ましくは、少なくとも1つの光退色性染料は、硬化性樹脂に少なくとも部分的に可溶性である。
光退色性染料の代表的なクラスは、例えば、米国特許第6,331,080号(Coleら)、同第6,444,725号(Tromら)、及び同第6,528,555号(Nikutowskiら)に開示されている。好ましい染料としては、例えば、ローズベンガル、メチレンバイオレット、メチレンブルー、フルオレセイン、エオシンイエロー、エオシンY、エチルエオシン、エオシンブルイッシュ、エオシンB、エリスロシンB、エリスロシンイエロー調ブレンド、トルイジンブルー、4’,5’−ジブロモフルオレセイン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の組成物の色変化は、光により開始される。この組成物の色変化は、例えば可視光又は近赤外(IR)光を十分な時間放射する歯科用硬化照明を使用した化学線を用いて開始させるのが好ましい。本発明の特定の実施形態の組成物における色変化を開始させるメカニズムは、樹脂を硬化させる硬化メカニズムとは別個であっても、又は実質的に同時であってもよい。例えば、化学的(例えば、酸化還元開始)又は熱的に重合が開始されると組成物は硬化し、初期色から最終色への色変化は、この硬化プロセスの後に化学線に暴露されて発生してもよい。
初期色から最終色への組成物の色変化は、好ましくは比色試験により定量化される。比色試験を用いて、3次元の色空間における全体的な色変化を示す、ΔEの値を決定する。人間の目は、通常の照明条件下で、約3ΔE単位の色変化を検知することができる。本発明の特定の実施形態の組成物は、好ましくは、少なくとも20の色変化ΔEを有することが可能であって、より好ましくは、ΔEは少なくとも30であり、最も好ましくは、ΔEは少なくとも40である。
各種の添加剤
所望により、本発明の組成物は、溶媒(例えば、アルコール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、他の非水溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロリジノン))、及び水を含有してもよい。
所望の場合、本発明の組成物は、指示薬、染料、色素、阻害物質、促進剤、粘度調整剤、湿潤剤、緩衝剤、安定剤、及び当業者には明白であろう他の類似の成分のような、添加剤を任意に含有することができる。粘度調整剤としては、熱感応性粘度調整剤(例えば、BASF Wyandotte Corporation(Parsippany,NJ)製のPLURONIC F−127及びF−108)が挙げられ、調整剤上の重合性部分、又は調整剤と異なる重合性成分を任意に含み得る。このような熱感応性粘度調整剤は、米国特許第6,669,927号(Tromら)、及び米国特許出願公開第2004/0151691号(Oxmanら)に記載されている。
更に、薬剤又は他の治療用物質を、任意に組成物に添加することができる。例としては、限定されるものではないが、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどのフッ化物源、白色剤、虫歯予防剤(例えば、キシリトール)、カルシウム源、リン源、ミネラル補給剤(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素、呼気清浄化剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫応答調節剤、チキソトロープ、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤(抗菌性脂質成分に加えて)、抗真菌剤、口内乾燥治療のための薬剤、脱感作剤などの、組成物においてしばしば使用される種類のものが挙げられる。上述のいずれの添加剤の組み合わせもまた使用することができる。このような添加剤のいずれか1つの選択及び量は、必要以上の実験をすることなく所望の結果を達成するために、当業者によって選択することができる。
パッケージ化物品、キット、及び方法
更なる実施形態では、本発明によるパッケージ化装具及びキットは、本発明の組成物によって被覆された歯科矯正用装具を含む。このような例示的な実施形態の1つを図1に示す。図1において、例示的な物品10は、歯牙構造に接着するための基部14を有する歯科矯正用装具12を含む。本明細書の例示的な装具12は、歯科矯正用ブラケット、バッカルチューブ、リンガルボタン、リンガルシース、クリート、及び歯科矯正用バンドを含む様々な歯科矯正用装具の1つを代表する。これらの装具は、金属、プラスチック、セラミック、及びそれらの組み合わせで作製することができる。好ましくは、基部14の底表面は、患者の歯表面の凸状複合輪郭(図示せず)に一致する凹状複合輪郭を有する。所望により、基部14の底表面には、患者の歯への装具12の直接的な接着を容易にする、溝、粒子、凹部、アンダーカット、化学結合増強材料、又は任意の他の材料若しくは構造、あるいはこれらの組み合わせが設けられる。物品10は、基部14に接触する組成物16を更に含む。組成物16の特徴に関する詳細は、すでに詳細に記載されており、ここでは繰り返さない。
物品10は、基部14及び/又は組成物16に接触する1つ以上の追加的な組成物の層(例えば、図1には図示されない、歯科矯正用接着剤、歯科矯正用プライマー、又はそれらの組み合わせ)を任意に含み得ることを理解されたい。具体的には、そのような追加層は、基部14と組成物16との間、基部14とは反対側の組成物16上、又はその双方にあってもよい。そのような層は、同一の領域を覆っても、覆わなくてもよく、また個別に、基部14の全体若しくは一部にわたって延在する不連続的な(例えば、パターン化された層)材料、又は連続的な(例えば、非パターン化の)材料であってもよい。
好ましくは、また図示のように、物品10はまた、組成物16と接触する表面27を含む、剥離基材25も含む。剥離基材25は、例えば、ポリオレフィン、ポリ(塩化ビニル)、ポリウレタン、及びポリ(テトラフルオロエチレン)を含む多数の材料から選択することができる。所望により、剥離基材25の表面27は多数の孔を含み、好ましくは組成物16の50重量%以下が、その孔内にある。特定の実施形態では、剥離基材25は、例えば米国特許第6,183,249号(Brennanら)に開示されるような独立気泡発泡体材料を含む。
物品10は、好ましくは、光及び/又は水蒸気の透過に対するバリアを提供する容器内にパッケージ化される。本発明の一部の実施形態では、物品10は、好ましくはキットとして提供される。他の実施形態では、本発明は、好ましくは歯科矯正用装具12を歯に接着する方法を提供し、組成物16は、記載される種類の充填剤を1つ以上含む。
本発明の組成物はまた、間接的な接着方法にも適用することができる。間接的な接着方法に関しては、歯科矯正用装具は典型的には、例えば患者の歯列弓のレプリカモデル(歯科矯正用石膏又は硬化したエポキシから作製されるもののような)上に定置され、通常は装着装置又は転移トレーを使用して患者の歯牙構造へと後に装着される、特注の基部を提供する。一実施形態では、歯科矯正用装具は、レプリカモデルへの接着のために、対応する基部上に被覆された組成物を有する。したがって、この組成物をレプリカモデルに対して密着させることにより、例えば組成物の硬化後に、特注の基部を形成することができる。例示的な間接的接着方法は、米国特許第7,137,812号(Clearyら)に、より詳細に記載されている。
別の実施形態では、図2を参照すると、本発明は、歯科矯正用装具12aを含むパッケージ化物品10aを提供する。装具12aは、装具12aを患者の歯牙構造(図示せず)に直接接着するための基部14aを有する。組成物16aは、ブラケット12aの基部14aにわたって延在する。ブラケット12a及び組成物16aは、容器18aによって少なくとも部分的に包囲される。図3(FIG.3)に示す容器18aは、凹部すなわち、窪み20aを画定する内壁部分を有する一体成形された本体を含む。窪み20aは側壁及び底面22aを含む。追加的な選択肢として、窪み20aの側壁は、支持材料24aの端構造と係合するための水平に延在する凹部を含む。好適な支持材料24aに関する追加情報は、米国特許第5,328,363号(Chesterら)に提示されている。好ましくは、窪み20aの底面22aは、剥離基材25aを含む。好ましくは、容器18aはまた、タブ28aを有するカバー26aも含み、カバー26aは、容器18aに、例えば接着剤30aによって剥離可能に接合される。
好ましい実施形態では、容器18aは、長期間の後でさえも、組成物(例えば、光重合性化合物)の分解に対する優れた保護を提供する。このような容器18aは、前述のように、組成物が、色変化の特性を組成物に付与する染料を含む実施形態に関して特に有用である。容器18aは、広範なスペクトル域にわたる化学線の通過を効果的に遮断し、その結果、組成物が保管中に早まって退色しないことが更に好ましい。
好ましい実施形態では、容器18aはポリマー及び金属粒子を含む。一例として、容器18aは、例えば米国特許出願公開第2003/0196914(A1)号(Tzouら)に開示されているように、アルミニウム充填剤と配合されるか、又はアルミニウム粉末の被覆を施されたポリプロピレンで作製することができる。ポリマーと金属粒子との組み合わせは、色変化染料が光に対して高感度であることは既知であるにも関わらず、色変化染料への化学線の通過の遮断に非常に有効である。この容器はまた、良好な蒸気バリア特性も示す。結果として、組成物のレオロジー的特性は、長期間にわたって変化しにくい。例えば、このような容器の、改善された蒸気バリア特性は、歯科矯正用組成物の取扱い特性の悪化に対して実質的な保護を提供するため、組成物は早期に硬化又は乾燥することがなく、他の不具合を生じることもない。そのような容器に好適なカバー26aは、化学線に対して実質的に不透過性の任意の材料で作製することができるため、内部の組成物は早期に硬化しない。カバー26aの好適な材料の例としては、アルミホイルとポリマーの積層体が挙げられる。例えば、この積層体は、ポリエチレンテレフタレート、接着剤、アルミホイル、接着剤、及び延伸ポリプロピレンの層を含むことができる。
一部の実施形態では、パッケージ化物品は、2つ以上の歯科矯正用装具からなる1セットを含むことができ、装具の少なくとも1つは、その表面上に歯科矯正用組成物を有する。装具及び装具のセットの追加的な例は、米国特許出願公開第2005/0133384(A1)号(Cinaderら)に記載されている。パッケージ化された歯科矯正用装具は、例えば米国特許出願公開第2003/0196914(A1)号(Tzouら)、並びに米国特許第4,978,007号(Jacobsら)、同第5,015,180号(Randklev)、同第5,328,363号(Chesterら)、及び同第6,183,249号(Brennanら)に記載されている。
更に別の実施形態は、硬化した組成物を歯の表面から除去する方法を提供する。この実施形態では、歯表面が提供され、硬化した本発明の組成物は、この歯表面の少なくとも一部分上に残留する。この場合の用語「歯」は、患者の実際の歯ばかりではなく、歯科矯正用石膏又は硬化したエポキシモデルによって提供されるもののような、患者の歯の物理的なレプリカをも表す場合がある。この方法は、硬化した組成物を歯から除去するために、5未満のモース硬度を有する研磨材を歯表面に塗布することを更に含む。特定の実施形態では、研磨材は4.5未満、4未満、又は3.5未満のモース硬度を有する。
この研磨材は、仕上げ用ディスク、又は砂で粗粒状サンドペーパーのような、基材上に被覆された研磨粒子の形態をとることができる。好適な被覆研磨材の一例は、3M Company(St.Paul,MN)製のSOF−LEX仕上げ用ディスクである。仕上げ用ディスクには、10,000rpmの回転速度を用いることができる。別の方法として、通常は接着前に患者の歯を清掃するために使用される、予防的(すなわち、プロフィー)処置を使用することができる。プロフィー処置としては、歯科用品販売業者から入手可能なもののような、軽石粉を挙げることができる。プロフィーカップ及びプロフィーアングルと共に、微粒、中粒、又は粗粒の軽石(プロフィーペースト)を使用することができる。仕上げ用ドリル錐、又は歯石除去器のような刃付の歯科用手工具もまた使用可能である。
本発明の追加的態様を、以下の実施例によって更に説明する。しかしながら、これらの実施例に記載される特定の材料及びその量は、他の条件及び詳細と共に、本発明を過度に制限するものと解釈されるべきではない。特に注記されない限り、全ての部及び百分率は重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。特に注記されない限り、全ての試薬は、Sigma−Aldrich Corp.(St.Louis,MO)から入手した。
本明細書で使用する時、
「ビスGMA」は、2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]プロパンを指し、
「BHT」は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを指し、
「CM−111」は、3M Companyより提供される、火炎溶融されたタルク充填剤を指し、
「CPQ」は、カンファーキノンを指し、
「EDMAB」は、エチル−4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートを指し、
「ヨードニウムPF 」は、ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、
「HEMA」は、3M Companyより提供される、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを指し、
「TEGDMA」は、3M Companyより提供される、テトラエチレングリコールジメタクリレートを指し、
「UDMA」は、3M Companyより提供される、ウレタンジメタクリレートを指し、
「Sierralite 402HS」は、Luzenac(Greenwood Village,CO)製の亜塩素酸塩を指し、
「S/T」は、材料がシラン処理されていることを意味し、
「Schott Glass」は、国際特許出願公開第00/69393号(Brennanら)の準備実施例1で調製され記載されている、フルオロアルミノシリケートガラスを指し、
以下は、実施例に引用される様々な実験手順の説明である。
焼成プロセス
対象の水和鉱物100gを、Technical Glass Products,Inc(Painesville Twp.,OH)より提供される6”×3.5”の溶融シリカトレー内に均等に散布し、Barnstead International(Dubuque,Iowa)より提供されるF48025−80 Thermolyne Type 4800炉内で、6℃/分で950℃まで加熱した。この鉱物を、950℃で所望の時間(典型的には2時間)放置し、その時点で炉を室温まで自然冷却させた。トレーを室温の炉から取り出し、熱処理された鉱物を再計量して強熱減量を判定した。強熱減量=(初期質量(100g)−加熱後質量)/初期質量(100g)
シラン処理
IPA及び水の50/50(v/v)混合物中にこの粒子を懸濁させることによって、シラン処理を実施した。次いで、好適な量のA−174シラン(Ward Hill,MAのAlfa Aesar製)を、典型的には、総充填剤量の1〜5重量%の範囲の量で添加した。特に注記されない限り、これらの実施例で使用した、熱変性された充填剤は、A−174シランの1%水溶液を使用してシラン処理した。次いで、pHを〜9に調節し、室温で一夜攪拌した。次いで、この材料を85℃で6時間、及び100℃で2時間、トレー乾燥させる。次いで、この材料を74マイクロメートルのメッシュを通して篩い分けし、粒塊を除去して、そのまま使用した。
充填剤−樹脂配合
全ての感光性材料の取扱いは、黄色照明下で実施した。CPQ、EDMAB、及びヨードニウムPF を、対応する樹脂中に、65℃のオーブン内での混合物の加熱とその後の機械的混合とを、固体が視認されなくなるまで交互に繰り返すことによって、溶解させた。この複合体ペーストの調製は、DAC−150FZ SpeedMixer(Flaktec Corp.Landrum,SC)を使用して実施した。各バッチを、回転速度3000rpmで、3回の1分間の時間間隔で混合した。安定で均一な複合体ペーストを提供する、最大充填量を超えることがないように注意を払った。
剪断接着強度試験
全ての剪断接着強度測定は、洗浄して、円形ポリメチルメタクリレートディスクに唇側の歯表面を露出させて部分的に埋め込んだ、未切断のウシの歯に対して実施した。全ての歯に、ORAL−Bブランドの中間寸法の軽石粉(St.Paul,MNのPatterson Companies,Inc.製)を使用して30秒間の更なるプロフィー処置を施し、接着の直前に、水ですすぎ、エアシリンジを使用して乾燥させた。次いで、TRANSBOND PLUSブランドのセルフエッチングプライマー(Monrovia,CAの3M Unitek製)を、このプライマーの使用説明に従い、各歯に3秒間擦り付けることによって、乾燥エナメル質にエッチング及び下地処理をした。穏やかな空気の噴出を使用して、接着する歯の表面上にプライマーを薄く塗布して乾燥させた。
各試験試料を調製するために、約10mgの試験組成物をVICTORY SERIESブランドの上部左側中央ブラケット(部品番号017〜401、3M Unitek製)の基部に塗布し、この被覆されたブラケットを歯の表面上にしっかりと着座させた。続いて、ブラケット基部の周縁部にはみ出た余分な組成物を、0/1 Marquette Condenser(部品番号PLG 0/1、Chicago,ILのHu−Friedy製)を使用し、誤ってブラケットの位置を乱さないように注意しながら除去した。次いで、この組成物を、3M ESPE ELIPARブランドのTRILIGHT硬化照明装置(St.Paul,MNの3M ESPE製)をブラケットの2つの両側に対して10秒間使用して、化学線に暴露することによって光硬化させた。上記のプロセスを、複製サンプルの完全なセットを得るために、接着試験試料の数に応じて必要なだけ繰り返した。全ての試料を完全に接着した後、37℃に維持した水中に24時間浸漬した。
各試験試料に、500 Nの荷重計を装備したInsight 5試験装置(Eden Prairie,MNのMTS製)を使用して剥離を実施した。各剥離に関して、試験試料を固定具に取り付け、次いでクロスヘッドに固定した直径0.017インチ(0.44mm)のステンレススチールのワイヤーを、ブラケットの咬合タイウイングの下を通して輪にし、剪断破壊が観察されるまで、クロスヘッドを1分当たり0.20インチ(5.1mm)で上方に移動させた。力の生データを、既知のブラケット基部面積(使用したVICTORY SERIESブランドの上部左側中央ブラケットに関しては、10.6mm、又は0.0164インチ)を使用して、単位面積当たりの力(kg/cm、又はメガパスカルの単位)へと変換した。
接着剤の残余指数(ARI)もまた、剥離後の各組成物に関して評価した。この評定は、ブラケット上に残った接着剤の残余量を以下の通り示す。
0、歯上に残る接着剤なし
1、半分未満の接着剤が歯上に残る
2、半分超の接着剤が歯上に残る
3、全ての接着剤が歯上に残り、ブラケットメッシュの明確な跡を有する
試験中の一貫性を維持するために、1つの系列実験内の全ての組成物は、単一のオペレーターによって並列して遂行し、周囲温度及び湿度は、試験中を通じて可能な限り一定に保った。試験した各組成物に関して、少なくとも5回の反復試験測定から構成される1セットについて、剪断接着強度の平均及び標準偏差、並びに平均ARIを記録した。
熱重量測定−示差熱分析
熱重量測定−示差熱分析を、充填剤サンプルに対して、熱変性の前及び後の双方において実行し、温度変化に関連する重量変化を測定した。これらの実施例では、試験されるサンプルは、典型的には15〜30mgの範囲の重量に調整し、次いで小型のプラチナパン内に置く。次いでこの皿を、半自動のPYRIS DIAMONDブランドの熱重量測定−示差熱分析器(TG−DTA)(Waltham,MAのPerkin Elmer製)内に載置し、空気でパージして点火生成物の除去を補助する。分析は、最初にサンプルを摂氏50度で1分間の安定状態で保持し、次いで1分当たり10度の温度勾配率で加熱して50度から1170度へと温度を上昇させることによって実施した。温度が摂氏1170度に到達すると、試験を終了してサンプルを周囲温度まで戻した。この熱サイクルの実行中に、熱流量及びサンプル重量の双方をモニターし、温度の関数としてプロットした。
直径方向引張り強度試験
準備として、試験する組成物サンプルを、内径4mmのガラス管内に入れ、35 PSIの圧力下に置いて気泡を全て除去し、ハロゲン硬化光で60秒間かけて硬化させる。次いで硬化したサンプルを、ダイヤモンドソーを使用して〜2mm長の円筒に切り出し、試験の前に37℃で24時間、水中で保管する。次いで、サンプルを乾燥させて直径及び長さを測定し、2枚のスチール製圧縮プレートの間に定置する。次いで、サンプルに、0.05インチ/分(0.127cm/分)の速度で、破壊が生じるまで応力を加える。次いで、記録された力から、次式を使用することによって、直径方向引張り強度を算出することができる。
引張(PSIでの)=(重量ポンド)(2)/(L)(D)(3.1416)
実施例
実施例1〜2及び比較実施例CE−1、CE−2
実施例1及び実施例2は、未加工のタルク充填剤を含有する対照組成物、及び市販の対照物と比較した、熱変性されたタルク充填剤を含有する組成物の剪断接着強度性能を実証する。この比較において、実施例1は、前述の手順(「焼成プロセス」)に従って焼成されたタルク粉末(純度99%の直径2.4マイクロメートル)を使用し、一方実施例2は、火炎溶融されたタルク粉末の、CM−111を使用する。比較実施例CE−1は、未加工のタルク粉末を使用し、一方CE−2は、TRANSBOND XT(TBXT)ブランドの歯科矯正用接着剤を表す。TBXTは、実質的にタルクよりも硬質の石英から誘導された充填剤を含有することに注意されたい。全てのタルク充填剤を、前述のように、使用前にシラン処理した(「シラン処理」を参照)。次いで、前述の手順に従って、複合体ペーストを調製し、接着強度測定を行なった(「充填剤−樹脂配合」及び「剪断接着強度試験」を参照)。
試験した組成物の処方を、対応する剪断接着強度に関する平均及び標準偏差、並びに接着剤の残余指数(ARI)の平均と共に、表1に記載する。調製の間に、未加工タルク(CE−1)及び焼成タルク(実施例1)の双方が約60重量%のみの最大充填量を示す一方で、火炎溶融されたタルク(実施例2)は、約70%の最大充填量を示すことが認められた。剪断接着強度のデータは、焼成タルク充填剤、及び火炎溶融されたタルク充填剤の双方が、非変性のタルク充填剤の場合よりも優れた接着剤組成物を提供することを示している。このデータは、実施例2の火炎溶融された充填剤が、ベンチマークのTransbond XT接着剤の場合と同等の接着強度を支援することを更に示唆している。
これらの結果は、下記の表2に提示の、観察された接着強度の差異における統計的有意性の程度を指し示すp値によって裏付けられる。本明細書の開示において、0.05以下のp値は、統計的に有意な差異を指し示すものと見なされる。この基準に基づけば、実施例1及び実施例2の双方は、CE−1よりも、接着強度において統計的に有意な改善を示している。実施例2は、CE−2(TBXT)の場合と統計的に同等の接着強度を示すことに更に注意されたい。火炎溶融された充填剤系に関するARIデータは、平均3.0であり、ブラケット基部と組成物との境界面における接着破壊を指し示している。これに対し、対照組成物のCE−1及びCE−2に関するARIデータは、組成物自体による凝集破壊を指し示している。
Figure 2012504125
Figure 2012504125
実施例3〜4及び比較実施例CE−3、CE−4
第2の系列の測定では、焼成された亜塩素酸塩充填剤の使用効果を検証した。亜塩素酸塩充填剤のSierralite 402HSをインハウスで焼成し、実施例3の組成物の調製に使用した。未加工の(焼成されていない)Sierralite 402HSを、比較実施例CE−3の組成物の調製のために、入手時のままで使用した。CM−111火炎溶融されたタルク充填剤を充填剤として使用する実施例4、及び比較実施例CE−4(TBXT)の、2つの追加的サンプルを、この比較対象に含めた。剪断接着強度のデータ及び接着剤残余指数のデータを、下記の表4(Table 4)に示す。
剪断接着強度のデータは、この場合も、焼成された充填剤又は火炎溶融された充填剤を含有する組成物が、未処理の亜塩素酸塩充填剤を含有する組成物と比較して、高い接着強度を示すことを実証している。更に、実施例3及び実施例4は、ベンチマークのCE−4(TBXT)と同等の接着強度の値を示している。実施例3及び実施例4に関するARIデータは、凝集破壊及び接着破壊の双方の混合と一致する。この系列のデータに関するp値は、表4に示され、また、焼成された亜塩素酸塩と未加工の亜塩素酸塩との間には統計的な有意差が存在することも実証している。その一方で、実施例3及び実施例4は、CE−4と統計的に類似の接着強度を生じさせた。
Figure 2012504125
Figure 2012504125
実施例5〜6及び比較実施例CE−5、CE−6
実施例5及び実施例6は、焼成された亜塩素酸塩充填剤及び未加工の亜塩素酸塩充填剤の双方を使用する組成物の直径方向引張り強度を実証する。実施例5は、焼成後にシラン処理したSierralite充填剤を含有する組成物を示す。実施例6は、類似の組成物を示すが、約8重量%のビスGMA樹脂を含む点で実施例5とは異なる。比較実施例CE−5、及び比較実施例CE−6は、焼成したSierralite充填剤を未加工のSierralite充填剤に置き換える点を除き、実施例5及び実施例6と同一の処方を使用する。実施例5〜6、及び比較実施例CE−5、CE−6に関する、組成物及び直径方向引張り強度を以下の表5に記載する。
Figure 2012504125
これらの結果は、亜塩素酸塩充填剤の焼成が、直径方向引張り強度において有意な改善をもたらすことを示している。この観察結果は、ビスGMAを含有する処方、及び含有しない処方のいずれにも当てはまる。焼成に起因する統計的有意性は、実施例5とCE−5との間で得られたp値(P=0.003)、及び実施例6とCE−6との間で得られたp値(P=0.044)によって更に検証された。実施例5及び実施例6はまた、ビスGMA樹脂ブレンドを使用して、直径方向引張り強度に有意な影響を与えることなく、取扱い特性を変更できることも示唆している。
実施例7及び比較実施例CE−7
実施例7は、CM−111及びフッ化物アイオノマーガラスの双方を含むハイブリッド充填剤系における、火炎溶融されたタルクの使用を実証する。濃度1%でシラン処理する先行の処方とは異なり、この実施例におけるタルク充填剤は、濃度5%でシラン処理した。この組成物の処方、及び比較実施例CE−7(TBXT)と比較した接着強度性能を、以下の表6に示す。平均ARI値もまた、表6に記載した。
Figure 2012504125
実施例7は、比較実施例CE−7の場合と同等の平均剪断接着強度を示した(P=0.112)。この結果は、FASガラスの含有が、結果得られる歯科矯正用組成物の剪断接着強度に悪影響を及ぼさなかったことを示す。双方の組成物に関するARI値は、剥離の際の凝集破壊及び接着破壊の双方の混合と一致した。
実施例8及び比較実施例CE−8
除去速度に関する試験のために、指定組成物の硬化した円筒(直径4mm)を、Sof−Lex Medium Coarseディスクを使用し、20,000rpmで15秒間、この研磨材に対して20グラムの垂直力を加えることによって、研磨した。この試験では、残余物除去に関しては短時間であることがより良好とされる。下記の表7は、測定された質量除去速度、及び10mgスラグの硬化した組成物を磨耗させる推定時間の双方を示す。2つの組成物の間で比較を行なった。実施例8は、火炎溶融されたCM−111タルク充填剤を含有する、硬化したUDMA系組成物を表し、比較実施例CE−8は、硬化したTransbond XT接着剤を表す。示されるように、実施例8は、対照例のCE−8よりも約1桁速い除去速度を示した。
Figure 2012504125
実施例9〜11及び比較実施例CE−9、CE−10
試験した、未加工充填剤材料と熱変性された充填剤材料との差異をより深く理解するために、代表的な亜塩素酸塩充填剤材料及びタルク充填剤材料に対して、熱変性の前及び後に、熱重量測定−示差熱分析(TG−DTA)を実施した。TG−DTA法についての詳細は、先に説明した(「熱重量測定−示差熱分析」を参照)。亜塩素酸塩充填剤についての試験は、未加工状態(比較実施例CE−9)、摂氏800度での焼成(実施例9)、及び摂氏950度での焼成(実施例10)の、3つのSierralite 402HS充填剤を含むものとした。試験するタルク充填剤は、未加工のタルク粉末(比較実施例CE−10)及び火炎溶融されたCM−111充填剤(実施例11)を含むものとした。全ての充填剤を、前述のようにシラン処理した。CE−9及び実施例9〜10に対応するTG−DTAのトレースを、図3a、図3b、及び図3cに示す。CE−10及び実施例11に対応するトレースを、図4a及び図4bに示す。ピーク位置及び対応する重量喪失の百分率のデータを、以下の表8に記載する。
Figure 2012504125
図3aの未加工の亜塩素酸塩充填剤材料に関するTG−DTAのトレース及び表8のデータは、590℃付近の吸熱遷移、及び875℃付近の発熱遷移を明らかにし、これらは本明細書で、それぞれ「ピーク1」及び「ピーク2」として同定される。実施例10(図3c)では、いずれのピークも存在せず、一方、実施例9(図3b)は、発熱ピークを示すが吸熱ピークを示さない。吸熱遷移は、亜塩素酸塩の水和相を示唆する、約9重量%の重量喪失の測定を伴ったことを、更に注意されたい。実施例9及び実施例10における吸熱ピークの消失は、焼成の結果としての水和相の脱離と一致する。これに対し、CE−9及び実施例9では観察されるが実施例10では存在しない発熱ピークは、0.5〜1.5重量%の範囲の遙かに小さい重量喪失を伴った。このピークは、何らかの他の高温相転移を指し示すものと推定される。要約すれば、TG−DTAデータは、水和相が未加工の亜塩素酸塩に存在し、その水和相は焼成によって脱離させることができ、更なる発熱相転移が約875℃で生じることを実証している。
タルク充填剤もまた、熱変性の結果としての高温相転移の兆候を示す。CE−10に関するTG−DTAのトレース(図4a)によって示されるように、未加工のタルク充填剤は、885℃付近で発熱「ピーク2」の遷移を示す。この遷移に対応する重量喪失は、約3.8重量%と測定された。この遷移は、実施例11(図4b)に示されるように、充填剤を火炎溶融した後では消失した。
本明細書で引用した全ての特許、特許出願、及び刊行物の開示は、その全体を参照によって援用される。前述の、発明を実施するための形態及び実施例は、理解を明確化するためにのみ提示した。それらから無用の限定を解するべきでない。本発明は図示され記載された厳密な詳細に限定されず、当業者にとって明白な変更は以下の請求項により定義される本発明内に包含される。

Claims (17)

  1. 硬化性成分、
    硬化剤、及び
    熱変性された無機鉱物充填剤を含む、歯科矯正用組成物。
  2. 前記充填剤の全重量を基準として、前記無機鉱物充填剤の5重量%未満が水和している、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記無機鉱物充填剤が、本質的に全く水和していない、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記無機鉱物充填剤が、5以下のモース硬度を有する、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記無機鉱物充填剤が、タルク、カオリン、重晶石、アラゴナイト、方解石、及び亜塩素酸塩からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記無機鉱物充填剤が、火炎溶融された無機鉱物充填剤、霧化された無機鉱物充填剤、ファイヤーポリッシュされた無機鉱物充填剤、及び直接溶融された無機鉱物充填剤からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記無機鉱物充填剤が、焼成された無機鉱物充填剤である、請求項1に記載の組成物。
  8. 前記無機鉱物充填剤が、1〜25マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
  9. 前記無機鉱物充填剤が、2〜20マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
  10. 前記無機鉱物充填剤が、4〜15マイクロメートルの範囲の平均粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
  11. 前記無機鉱物充填剤が、前記組成物の総重量を基準として、50〜75重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
  12. 前記無機鉱物充填剤が、前記組成物の総重量を基準として、66〜72重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
  13. 歯科矯正用組成物の作製方法であって、
    硬化性成分を提供する工程と、
    硬化剤を提供する工程と、
    水和相を含む未加工の無機鉱物充填剤を提供する工程と、
    熱変性された充填剤を作製するために、前記水和相の少なくとも一部分を非水和相に変化させるのに十分な温度まで、前記未加工の無機鉱物充填剤を加熱する工程と、
    前記硬化性成分、硬化剤、及び熱変性された充填剤を組み合わせて前記歯科矯正用組成物を調製する工程と、を含む、方法。
  14. 前記未加工の無機鉱物充填剤が、水和水を脱離させるために、その解離温度を超えるまで加熱される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記未加工の無機鉱物充填剤が、前記未加工の充填剤の全重量に対して、10〜15重量%の範囲の強熱減量を有する、請求項13に記載の方法。
  16. 歯科矯正用装具であって、前記装具を歯に接着するための基部を有する、歯科矯正用装具と、
    前記装具の前記基部にわたって延在する組成物であって、前記組成物は、
    硬化性成分、
    硬化剤、及び
    熱変性された無機鉱物充填剤を含む、組成物と、
    前記歯科矯正用装具及び前記組成物を少なくとも部分的に包囲する容器と、を含む、パッケージ化物品。
  17. 硬化した歯科矯正用組成物を歯から除去する方法であって、
    前記硬化した歯科矯正用組成物を少なくともその一部分上に有する歯の表面を提供する工程であって、前記組成物は、
    硬化性成分、
    硬化剤、及び
    熱変性された無機鉱物充填剤を含む、工程と、
    前記歯の表面に研磨材を塗布して前記組成物を前記歯から除去する工程であって、前記研磨材は5未満のモース硬度を有する、工程と、を含む、方法。
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