JP2009520819A - 固着強度を減少させる方法、歯科組成物及びその用途 - Google Patents

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Abstract

硬化性及び硬化歯科組成物並びに前記硬化性及び硬化歯科組成物を含む物品を提供する。実施形態によっては、硬化性歯科組成物は、酸発生構成成分と1つ以上の酸反応性基を含有する酸反応性構成成分を含む。放射線照射及び所望により加熱することで、例えば、硬化組成物は、硬化組成物で歯牙構造に付着された歯科矯正装具の固着強度を減少させるのに有用である。

Description

歯科矯正治療は、位置異常の歯の歯科矯正的に正しい位置への移動を包含する。ブラケットとして既知の極めて小さい歯科矯正装具が、患者の歯の外面に接続され、弧線が、各ブラケットのスロット内に定置される。弧線は、軌道を形成し、歯の移動を正しい咬合の所望の位置に誘導する。弧線の末端部は、多くの場合患者の大臼歯に固定されるバッカルチューブとして既知の装具内に受容される。近年、直接又は間接的な方法を用い、接着剤を使用し、歯科矯正装具を歯の表面に固着するのが一般的な手法となっている。施術者には、ブラケットを歯の表面に固着する様々な接着剤が入手でき、多数が、優れた固着強度を示す。高固着強度が、歯表面へのブラケットの接着を典型的に2年以上である治療プロセスの持続時間にわたって維持するのに望ましい。
しかし、高固着強度を有する歯科矯正接着剤は、他の困難をまねく場合がある。例えば、歯科矯正治療プロセスの最も困難な態様の1つは、治療完了後のブラケットの取り外しである。特定の剛性ブラケットと組合せて使用される特定の接着剤が、ある剥離条件のもとでエナメル質を破壊し得ることは業界で周知である。その結果、多くの市販のセラミックブラケットが、固着用に設計され、ブラケットと接着剤間の境界面で剥離プロセス時歯表面に対する損傷を防止し損なっている。しかし、この取り組みは、ブラケットが取り外された後、硬化接着剤パッドのほとんどが歯表面に置き去りにされるという結果になる。通常は硬く及び重度に架橋されている接着剤パッドの取り外しは、臨床医にとって手間を要し、患者に対しては不快な場合がある。
治療プロセス全体を通して歯表面へのブラケットの満足のゆく接着を提供し、且つ治療完了時より簡便な取り外しができる新しい接着剤と方法が必要である。
1つの態様において、本発明は、歯表面への硬化歯科組成物の付着力を減少させる方法を提供する。前記方法は、硬化歯科組成物に放射線を照射し付着力を減少させる工程を含む、ここで硬化歯科組成物は、酸発生構成成分と1つ以上の酸反応性基を含有する酸反応性構成成分とを含む。
別の態様において、本発明は、酸発生構成成分と1つ以上の酸反応性基を含有する酸反応性構成成分とを含む硬化歯科組成物(例えば、硬化性歯科矯正接着剤、硬化歯科矯正セメント及び/又は硬化プライマー)で歯牙構造に付着された歯科矯正装具の固着強度を減少させる方法を提供する。1つの実施形態では、前記方法は、硬化歯科組成物に放射線を照射し固着強度を減少させる工程を含む。所望により、前記方法は、硬化歯科組成物の少なくとも一部を少なくとも42℃に加熱する工程を更に含む。好ましくは、硬化歯科組成物は、放射線照射前に十分な固着強度を維持するが(例えば、治療の持続時間全体を通して)、放射線照射及び所望により加熱と同時に減少した固着強度を備え、歯牙構造から歯科矯正装具の簡便な取り外しを可能にする(例えば、装具の剥離に必要なより少ない力)。実施形態によっては、酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含む歯科組成物は、剥離時境界面(例えば、接着剤−歯境界面又は装具−接着剤境界面)で破壊する(例えば、接着破壊)又は剥離時硬化歯科組成物内で凝集破壊するように定置されてもよい。例えば、接着剤−歯境界面での破壊は、実質的に取り外された歯科矯正装具に保持される硬化接着剤をもたらすことができ、歯牙構造の簡便な清掃を提供する。
更に別の態様において、本発明は、硬化歯科組成物で歯牙構造に付着した歯科矯正装具の固着強度を減少させる方法を提供する。前記方法は、硬化歯科組成物に放射線を照射する工程と、その後放射線照射された硬化歯科組成物を加熱し、減少した固着強度をもたらす工程とを含む。
しかし別の態様において、本発明は、1つ以上の酸反応性基及び酸発生構成成分を有する硬化性構成成分を含む硬化性歯科組成物及び/又はその上に硬化性歯科組成物を有する物品(例えば、歯科矯正装具)を提供する。所望により、その上に硬化性歯科組成物を有する前記物品は、プレコート物品として提供される。実施形態によっては、1つ以上の酸反応性基を有する硬化性構成成分は、エチレン性不飽和化合物である。所望により、硬化性歯科組成物(例えば、歯科矯正プライマー又は歯科矯正接着剤)は、酸反応性基を有しない硬化性構成成分(例えば、エチレン性不飽和化合物)、歯科組成物の硬化を開始する反応開始剤、増感剤及び/又は充填剤を更に含む。所望により、その上に硬化性及び/又は硬化歯科組成物を有する物品は、更に異なる硬化性及び/又は硬化歯科組成物の1つ以上の層を含むことができる。前記硬化性歯科組成物を作製及び使用する方法及び/又はその上に前記硬化性及び/又は硬化歯科組成物を有する物品も提供する。
定義
本明細書で使用する時、「歯科組成物」は、歯牙構造に付着(すなわち、固着)できる材料(例えば、歯科又は歯科矯正材料)を指す。歯科組成物としては、例えば、接着剤類(例えば歯科及び/又は歯科矯正接着剤類)、セメント類(例えばガラスアイオノマーセメント類、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント類及び/又は歯科矯正セメント類)、プライマー類(例えば歯科矯正プライマー類)、修復材類、ライナー類、シーラント類(例えば歯科矯正シーラント類)並びにコーティング類が挙げられる。しばしば、歯科組成物は、歯科物品を歯牙構造に固着するため使用される場合がある。
本明細書で使用する時、「歯科物品」は、歯牙構造に付着(すなわち固着)できる物品を指す。歯科物品としては、例えばクラウン類、ブリッジ類、ベニヤ類、インレー類、オンレイ類、つめ物類、歯科矯正装具類及び機器類並びに義歯類(例えば部分的又は全体的な義歯類)が挙げられる。
本明細書で使用する時、「歯科矯正装具」は、歯科矯正ブラケット類、バッカルチューブ類、舌側維持装置類、歯科矯正バンド類、咬合挙上類、ボタン類及び滑り止め類が挙げられるがこれらに限定されない歯牙構造に固着されることが意図される全ての装置を指す。装具は、接着剤を受容するベースを有し、金属、プラスチック、セラミックス又はその組合せから作製されるフランジであってもよい。或いは、ベースは、硬化接着層(すなわち、単一又は多層接着剤)から形成されるあつらえのベースであってもよい。
本明細書で使用する時、「パッケージ化」物品は、容器内に受容される歯科矯正装具又はカードを指す。好ましくは、容器は、例えば水分及び光を含む環境条件から保護を提供する。
本明細書で使用する時、「リリース」基材は、物品の使用前又は使用時物品から取り外される物品と接触する基材を指す。
本明細書で使用する時、「放射線−熱変換体」は、入射光(例えば可視光線、紫外線(UV)、赤外線(IR)、近赤外線(NIR)及び/又は高周波(RF)放射線)を吸収し、入射光のかなりの部分(例えば少なくとも50%)を熱に変換する材料又は組成物を指し、熱感応性添加剤を軟化するのに有用な場合がある。
本明細書で使用する時、「軟化」は、材料の物理的及び/又は化学的変化の結果として起こり得る材料の弾性率の損失を指す。材料の柔軟性又は変形性の度合は、時として材料の「圧縮率」と呼ばれ、圧縮率は、材料のヤング率の逆数として定義される。
本明細書で使用する時、「歯牙構造」は、例えば、天然及び人工歯表面、骨、歯型等を含む表面を指す。
本明細書で使用する時、「多層」接着剤は、2つ又はそれ以上の明瞭に異なる層(例えば、組成物を異にする及び好ましくは異なる化学的及び/又は物理的性状を有する層)を有する接着剤を指す。
本明細書で使用する時、「層」は、層と異なる材料の全体若しくは一部にわたって延在する不連続(例えばパターン化層)又は連続(例えば非パターン化)材料を指す。層は、均一な又は色々な厚さを有してもよい。
本明細書で使用する時、「パターン化層」は、パターン化層と異なる材料の選択された部分だけにわたって(及び所望により付着されて)延在する不連続材料を指す。
本明細書で使用する時、「非パターン化層」は、非パターン化層と異なる材料の部分全体にわたって(及び所望により付着されて)延在する連続材料を指す。
広くは、層と異なる別の材料「上の」、「わたって延在する」又は「付着される」層は、所望により層と層と異なる材料間に1つ以上の追加の層を含むよう広く解釈されることを意図している。
本明細書で使用する時、「硬化性」は、例えば溶媒を除去する(例えば蒸発及び/又は加熱により)、加熱し重合及び/又は架橋を誘発する、放射線を照射し重合及び/又は架橋を誘発する、及び/又は1つ以上の構成成分を混合し重合及び/又は架橋を誘発することにより硬化(例えば重合又は架橋されて)又は固化され得る材料又は組成物の記述である。「混合」は、例えば2つ又はそれ以上の部分を組合わせ、混合し、均質な組成物を形成することにより実施されてもよい。或いは、2つ又はそれ以上の部分が、別々の層で提供され、境界面で内部混合し(例えば自然発生的に又は剪断応力を加えると同時に)重合を開始してもよい。
本明細書で使用する時、「硬化」は、硬化され(例えば重合又は架橋)又は固化された材料若しくは組成物を指す。
本明細書で使用する時、「硬化剤」は、樹脂の硬化を開始するあるものを指す。硬化剤としては、例えば重合開始剤系、光開始剤系及び/又は酸化還元開始剤系を挙げることができる。
本明細書で使用する時、「光漂白性」は、活性放射線に暴露すると色が減少することを指す。
本明細書で使用する時、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート又はその組合せの略称参照であり、「(メタ)アクリル」は、アクリル、メタクリル又はその組合せの略称参照である。
本明細書で使用する時、化学用語「基」は、置換を可能にする。
本明細書で使用する時、「a」又は「an」は、1つ又はそれ以上を表わす。
本発明は、硬化性歯科組成物及び前記組成物を含む物品を提供し、硬化と同時に歯牙構造に付着できる。更に、前記硬化組成物の歯牙構造への付着力(例えば固着強度)は、通常は便利な条件下で放射線照射及び所望により加熱と同時に減少され得る。減少した付着力は、硬化組成物を歯牙構造から取り外すことを所望の場合及び取り外すときに有用である場合がある。前記硬化性歯科組成物は、接着剤類(例えば歯科及び/又は歯科矯正接着剤類)、セメント類(例えばガラスアイオノマーセメント類、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント類)、プライマー類、修復材類、ライナー類、シーラント類及びにコーティング類などの歯牙構造に付着(すなわち固着)可能な材料(例えば歯科及び/又は歯科矯正材料)を包含する。しばしば、歯科組成物は、歯科物品(例えば歯科矯正装具)を歯牙構造に固着するのに使用される場合がある。
実施形態によっては、前記硬化性歯科組成物は、硬化と同時に十分な固着強度を付与し、歯科矯正治療時、歯科矯正装具を歯牙構造に付着でき、更に施術者が装具を歯牙構造から取り外す必要がある場合、例えば治療プロセスの最後で固着強度を減少させるのに更に有用である。組成物、物品及び方法は、放射線照射及び所望により加熱と同時に便利な条件で硬化歯科組成物の固着強度を減少させるように設計される。もたらされた減少した固着強度は、歯科矯正装具ばかりではなく装具の取り外し後歯牙構造に残る全ての硬化歯科組成物を簡便に取り除くのを可能にする。
実施形態によっては、本発明の硬化性及び硬化歯科組成物は、酸発生構成成分と酸反応性構成成分を含み、それらは本明細書に詳細に記載される。本明細書で使用する時、「酸発生構成成分」は、通常は酸発生化合物及び所望により増感剤を含む。好ましくは、酸発生構成成分は、放射線照射と同時に酸を発生する(すなわち光酸)。本明細書で使用する時、「酸反応性構成成分」は、1つ以上の酸反応性基を含む構成成分(通常は化合物)を指す。本明細書で使用する時、「酸反応性基」は、酸との反応後、しばしば高温(すなわち少なくとも42℃)に加熱と同時に基内部の化学結合のかなりの破断を受け2つ又はそれ以上の別々の基を形成する基を指す。
酸発生構成成分及び酸反応性構成成分は、例えば接着剤類、セメント類(例えばガラスアイオノマーセメント類、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント類)、プライマー類、修復材類、ライナー類、シーラント類及びコーティング類を放射線照射及び所望により加熱と同時に硬化組成物の固着強度を減少させるのに有効なレベルで含み、一方治療時歯牙構造に対する十分な接着(例えば歯科矯正装具の)を維持する幅広い歯科組成物(例えば歯科及び歯科矯正材料)に組み込まれてよい。治療は、1ケ月、1年、2年又は更に長く続く歯科及び/又は歯科矯正治療プロセスを含むことができる。
ある実施形態において、前記歯科組成物は、施術者により歯科矯正装具のベースに便利に適用できる。或いは、歯科矯正装具は、装具のベースにプレコートされた前記歯科組成物を有して提供される場合もある。通常は、前記プレコート装具は、例えば米国特許番号第6,183,249号(ブレナン(Brennan)ら)に記載されたものなどの剥離ライナー若しくはフォームパッドライナーを有し又は有しないパッケージ化物品として提供される。代表的な容器は、当該技術分野において周知であり、例えば米国特許番号第5,172,809号(ヤコブス(Jacobs)ら)及び米国特許番号第6,089,861号(ケリー(Kelly)ら)に開示されている。
本発明の硬化性歯科組成物は、通常はエチレン性不飽和化合物、反応開始剤、酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含む。酸反応性構成成分は、所望により硬化性構成成分であってもよい。実施形態によっては、硬化性歯科組成物は、充填剤も含む。実施形態によっては、硬化性歯科組成物は、酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物を更に含む、ここで硬化性歯科組成物は、例えば自己エッチング歯科矯正プライマー又は自己エッチング歯科矯正接着剤であってもよい。実施形態によっては、硬化性歯科組成物は、以下に記載する放射線−熱変換体を更に含む。所望により、本発明の硬化性歯科組成物は、以下に記載する熱反応活性構成成分及び/又は熱感応性添加剤を含むことができる。好ましくは、前記組成物は、硬化と同時に室温で少なくとも7MPaの固着強度(本明細書に記載の剪断力剥離試験方法を使用)で歯科矯正装具を歯牙構造に固着できる。
酸発生構成成分
実施形態によっては、本発明の硬化性歯科組成物は、酸発生構成成分を含む。酸発生構成成分は、通常は酸発生化合物及び所望により増感剤を含む。好ましくは、酸発生構成成分は、放射線照射と同時に酸を発生する(すなわち光酸)。典型的に、酸は、酸反応性基の化学量論的所要量を超えて反応できる。好ましくは、本発明の歯科組成物は、発生した酸と酸反応性構成成分との所望の反応に妨害を与えるのに十分な量の発生した酸を枯渇させる基を含有しない。
代表的な酸発生構成成分としては、ヨードニウム塩類(例えばジアリールヨードニウム塩類)、スルホニウム塩類(例えばトリアリールスルホニウム塩類及びジアルキルフェナシルスルホニウム塩類)、セレノニウム塩類(例えばトリアリールセレノニウム塩類)、スルホキソニウム塩類(例えばトリアリールスルホキソニウム塩類、アリールオキシジアリールスルホキソニウム塩類及びジアルキルフェナシルスルホキソニウム塩類)、ジアゾニウム塩類(例えばアリールジアゾニウム塩類)、有機金属錯体カチオン類(例えばフェロセニウム塩類)、ハロ−S−トリアゼン類、トリハロケトン類、α−スルホニルオキシケトン類、シリルベンジルエーテル類及びこれらの組み合わせが挙げられる。酸発生構成成分が、カチオン性化学種(例えば「オニウム」塩)の塩の場合、その塩の典型的な対イオンとしては、例えばテトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキサフルオロヒ酸塩、ヘキサフルオロアンチモン酸塩及びこれらの組み合わせが挙げられる。代表的な酸発生構成成分としては、例えばクリベロ(Crivello)ら、「フリーラジカル、カチオン性及びアニオン性光重合の光開始剤(Photoinitiators for Free Radical, Cationic and Anionic Photopolymerization)G.ブラッドレイ(Bradley)、編集者、3巻、6章(1998年)並びに米国特許番号第6,187,833号(オクスマン(Oxman)ら)、米国特許番号第6,395,124号(Oxman)ら)、米国特許番号第6,765,036号(デデ(Dede)ら)、米国特許番号第3,775,113号(ボンハム(Bonham)ら)、米国特許番号第3,779,778号(スミス(Smith)ら)、米国特許番号第3,945,475号(ボンハム(Bonham)ら)、米国特許番号第4,329,384号(ベスレイ(Vesley)ら)、米国特許番号第4,330,570号(ギウリアニ(Giuliani)ら)、米国特許番号第5,089,374号(サエバ(Saeva))及び米国特許番号第5,141,969号(サエバ(Saeva)ら)に開示されたものが挙げられる。
好ましくは、酸発生構成成分は、スルホニウム塩を含む。代表的なスルホニウム塩類としては、例えばトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩(ArSbF 、商品名シラキュア(CYRACURE)CPI−6976としてオクラホマ州カトウサ(Catoosa)のアドバーンスドリサーチ社(Advanced Research Corporation)から入手可能);トリアリールスルホニウムヘキサフルオロリン酸塩(ArPF 、プロピレンカーボネートの50%溶液、商品名シラキュア(CYRACURE)CPI−6992としてニューヨーク州レイクサクセス(Lake Success)のアセト社(Aceto Corp.)から入手可能)、及び一般に米国特許番号第5,554,664号(ラマナ(Lamanna)ら)に記載されたように調製できるトリアリールスルホニウムN−(トリフルオロメタンスルホニル)トリフルオロメタン−スルホンアミドアニオン(ArN(SOCFが挙げられる。
代表的な増感剤としては、アントラセン誘導体類(例えば、2−メチルアントラセン(2−MA、シグマ・アルドリッチ)及び2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン(EDMOA、シグマ・アルドリッチ)、ペリレン、フェノチアジン(phenothiazene)及び例えば米国特許番号第6,765,036号(デデ(Dede)ら)及び米国特許出願番号2005/0113477(オクスマン(Oxman)ら)並びにこれらの組み合わせが挙げられる。当業者は、必要以上の実験を行うことなく特定の酸発生構成成分(例えばスルホニウム塩)を増感する適切な増感剤を、例えばクリベロ(Crivello)ら、「フリーラジカル、カチオン性及びアニオン性光重合の光開始剤(Photoinitiators for Free Radical, Cationic and Anionic Photopolymerization)G.ブラッドレイ(Bradley)、編集者、3巻、6章(1998年)に記載された原理に基づき選択できる。好ましくは、光開始剤と異なる波長を吸収し、酸発生構成成分の相当する一重項又は三重項状態よりエネルギーが高い一重項又は三重項状態を有し及び/又は酸発生構成成分の還元がエネルギー的に好ましいような酸化電位を有する増感剤が選択されてもよい。例えば、2−メチルアントラセンは、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩を増感するのに適切な増感剤である。
酸発生構成成分が、好ましくは放射線照射及び任意に所望の温度に加熱すると同時に硬化歯科組成物の固着強度を減少させるのに有効なレベルで本発明の歯科組成物に組込まれてもよい。好ましくは、酸発生構成成分の前記レベルは、治療プロセス時の十分な接着も可能にする。酸発生構成成分のレベルは、使用される具体的な歯科組成物によることになるが、通常は硬化性歯科組成物は、歯科組成物の全重量を基準として少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.1重量%、1重量%、3重量%又は更に10重量%の酸発生構成成分を含むことになる。
歯科組成物は、所望により少量の塩基(酸発生構成成分の当量の1当量未満、好ましくは0.1当量未満)を含み酸発生構成成分の早期分解を最小限にできる。代表的な塩基としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、エチル(4−ジメチルアミノ)ベンゾエート(EDMAB)及び光開始剤系の他の電子供与体、2−アミノエチルメタクリレートなどの重合可能な基を含む塩基類並びにこれらの組み合わせが挙げられる。塩基が存在している場合、通常は歯科組成物は、歯科組成物の全重量を基準として少なくとも0.01重量%、0.1重量%、1重量%又は更に5重量%の塩基を含む。
典型的に、酸発生構成成分を、例えば1つ以上のエチレン性不飽和化合物内に溶解、分散又は懸濁し、歯科組成物を形成する。
酸反応性構成成分
実施形態によっては、本発明の硬化性歯科組成物は、酸反応性構成成分を含む。本明細書で使用する時、「酸反応性構成成分」は、1つ以上の酸反応性基を含む構成成分(通常は化合物)を指す。本明細書で使用する時、「酸反応性基」は、酸との反応後、しばしば高温(すなわち少なくとも42℃)に加熱と同時に基内部の化学結合のかなりの破断(例えば分光技術で観察できる)を受け2つ又はそれ以上の別々の基を形成する基を指す。好ましくは、高温は、200℃以下、より好ましくは150℃以下、更により好ましくは100℃以下、最も好ましくは80℃以下である。構成成分と酸との反応後化学結合のかなりの破断が起こるかどうかを測定する好適な方法は、当業者には明らかであろう。好適な方法としては、例えば核磁気共鳴(NMR)分光法(H、13C及び/又は他の適切な原子核を含む)並びに紫外(UV)、可視及び近IR(NIR)分光法を含む赤外線(IR)分光法などの分光法が挙げられる。例えば、H及び/又は13CNMRスペクトルは、構成成分を非酸性溶媒(例えばCDCl)中に溶解し、酸(例えばCFCOD)を添加し、所望の温度で構成成分から生じるピークの消滅又は反応生成物から生じるピークの出現を観察することによりNMRチューブ内で簡便に実行できる。
ある実施形態では、酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含む硬化歯科組成物は、放射線照射及び温度(例えば200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、最も好ましくは80℃以下)に加熱と同時に酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含まない硬化歯科組成物を超える程度に軟化する。実質的な軟化が起こり始める温度(例えば「開始」温度)は、例えば酸発生構成成分により発生する酸のpKa並びに発生した酸の濃度の選択により変わる場合がある。具体的には、放射線を照射し及び高温(すなわち少なくとも42℃)加熱すると同時に高温の硬化歯科組成物の貯蔵弾性率は、同じ高温で酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含まない硬化歯科組成物の貯蔵弾性率に比べて減少する。好ましくは、高温での歯科組成物の貯蔵弾性率は、同じ高温で酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含まない硬化歯科組成物の貯蔵弾性率の多くて60%、より好ましくは約40%、20%、10%、5%、1%、0.1%又は更に0.01%である。
典型的に及び好ましくは、酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含む硬化歯科組成物は、放射線照射及び高温(例えば200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、最も好ましくは80℃以下)でより低い固着強度を示す。具体的には、放射線を照射し及び高温(すなわち少なくとも42℃)加熱すると同時に高温での硬化歯科組成物の固着強度は、同じ高温で酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含まない硬化歯科組成物の固着強度に比べて減少する。好ましくは、高温(例えば70℃)での歯科組成物の固着強度は、同じ高温(例えば70℃)で酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含まない硬化歯科組成物の固着強度の多くて80%、50%、30%、20%、又は更に10%である。更に、ある実施形態では、高温での固着強度が、十分なレベルで維持されることが好ましい(例えば施術者により圧力が加えられる前にブラケットが患者の口腔内に離れて落ちるのを避けるため)。前記実施形態では、高温(例えば、高温の食物に曝露されると同時に)での歯科組成物の固着強度が、高温で少なくとも6MPaであることが好ましい。
好ましくは、多くて50重量%、より好ましくは多くて30重量%、20重量%、10重量%、5%重量又は更に1重量%の荷重の酸反応性構成成分を含む歯科組成物は、高温で固着強度のそのような減少を示す場合がある。更に、酸反応性構成成分の同じ荷重で、好ましくは室温(例えば25℃)での硬化歯科組成物の固着強度は、同じ温度で酸反応性構成成分を含まない硬化歯科組成物の固着強度の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、90%、100%又は更に100%を超える。
本発明の硬化性歯科組成物に使用されて好適な酸反応性構成成分は、好ましくは1つ以上の酸反応性基を含む硬化性構成成分である。典型的に、各酸反応性基は、複数(すなわち2つ又はそれ以上)の硬化性基を結合する多価基である。ある実施形態では、硬化性酸反応性構成成分は、エチレン性不飽和化合物である。例えば、そのような実施形態では、酸反応性基は、2個のエチレン性不飽和化合物を結合する二価の基であってもよい。
酸反応性基は、当該技術分野において周知である。前記基は、例えば、典型的に有機合成の保護方法論に使用される官能性を含み、保護基は、酸性条件下で取り外すように設計されてもよい。例えば、グリーン(Greene)ら、有機合成の保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)ワイリー−インターサイエンス(Wiley-Interscience)(1999年)、テイラー(Taylor)ら、Chem.Mater.、3巻1031〜1040頁(1991年)及び米国特許番号第6,652,970号(エバラーツ(Everaerts)ら)を参照のこと。
1つの実施形態では、酸反応性構成成分は、炭酸エステル基を含む。炭酸エステル基を含む代表的な酸反応性構成成分は、式(式I):
Figure 2009520819
式中、R及びRは、それぞれ独立して所望により1つ又はそれ以上の炭酸エステルを含むことができる有機基を表し;R及びRは、それぞれ独立して水素又は有機基を表し、但しR及びRの1方のみが水素であってもよく;E及びEは、それぞれ独立してエチレン性不飽和基を表し;並びにm及びnは、それぞれ独立して0又は1である。R及びEは、所望により組合されて1つ以上の環及び/又はR、R、Rの間で2つ又はそれ以上の基を形成でき、並びにEは所望により組合されて1つ以上の環を形成できる。
ある実施形態では、R及びRは、それぞれ独立してC1〜C10有機基(例えば、C1〜C10脂肪族基及びしばしばC1〜C10脂肪族部分)を表す。ある実施形態では、R及びRは、R及びRの1つだけが水素という条件でそれぞれ独立して水素又は有機基(例えば、C1〜C10脂肪族基及びしばしばC1〜C10脂肪族部分)を表す。
本明細書で使用する時、「エチレン性不飽和基」は、1つ以上のエチレン性不飽和を含む基を指す。従って、エチレン性不飽和基は、1つ以上のエチレン性不飽和に加えて他の置換基を含むことができる。各E及びEは、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基(ジビニルベンゼン基などのスチリル基を含む)アリル基及びこれらの組み合わせを含む広い範囲のエチレン性不飽和基から選択されるエチレン性不飽和基(すなわち炭素−炭素二重結合を含有する基)を独立して表わすことができる。
別の実施形態では、酸反応性構成成分は、アセタール基を含む。アセタール基を含む代表的な酸反応性構成成分は、式(式II):
Figure 2009520819
式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して所望により1つ以上のアセタールを含むことができる有機基を表し;E及びEは、それぞれ独立してエチレン性不飽和基(本明細書において上記に定義したような)を表し;並びにx、y及びzは、それぞれ独立して0又は1を表わし、但し、z=0の場合、R及びRの少なくとも1つはエチレン性不飽和基を表し、このとき、酸に暴露された際に、Rに結合した酸素原子の少なくとも部分がアセタールから開裂されるようにR及びRは選択されている。ある実施形態では、Rに結合した酸素原子は、Rに結合した酸素原子に比べアセタールから優先的に開裂される。例えば、Rは、電子供与性基であるように選択されRに結合され酸素原子の電子密度を増加させ、及び/又はRは、電子求引性基であるように選択されRに結合され酸素原子の電子密度を減少させ、Rに結合された酸素原子のアセタールから所望の開裂を行うことができる。R、R、R、R、E及び/又はEの2つ又はそれ以上が、1つ以上の環が酸反応性基の性能の干渉をせず酸との反応と同時に2つ又はそれ以上の別々の基を形成するという条件で所望により組合され1つ以上の環を形成できる。
本明細書で使用する時、用語「電子供与性基」は、電子を供与できる基を指す。好適な例としては、例えばアミノ官能性(例えば一級アミノ、二級アミノ及び/又は三級アミノ)、ヒドロキシ官能性、アルコキシ官能性、アリールオキシ官能性、アルキル官能性及びこれらの組み合わせ含有する基が挙げられる。電子供与性基が存在する場合、好ましくは、Rは、α−位に電子供与性官能性を含む(例えば、酸素原子に結合されたRの炭素に結合される)。
本明細書で使用する時、用語「電子求引性基」は、電子を求引できる基を指す。好適な例としては、例えばハロ官能性、シアノ官能性、フルオロアルキル官能性、ペルフルオロアルキル官能性、カルボキシ官能性、アルコキシカルボニル官能性、アリールオキシカルボニル官能性、ハロカルボニル官能性、ホルミル官能性、カルボニル官能性、スルホ官能性、アルコキシスルフォニル官能性、アリールオキシフォニル官能性、ペルフルオロアルキルスルフォニル官能性、アルキルスルフォニル官能性、アゾ官能性、アルケニル官能性、アルキニル官能性、ジアルキルホスホネート(dialkylphosphonato)官能性、ジアリールホスホネート官能性及びこれらの組み合わせを含有する基が挙げられる。電子求引性基が存在する場合、好ましくは、Rは、α−位に電子求引性官能性を含む(例えば、酸素原子に結合されたRの炭素に結合される)。
ある実施形態では、R、R、R及びRは、それぞれ独立してC1〜C10有機基(例えば、C1〜C10脂肪族基及びしばしばC1〜C10脂肪族部分)を表す。
本明細書で使用する時、用語「有機基」は、この発明の目的のため、脂肪族基、環状基又は脂肪族と環状基の組合せとして分類される炭化水素基を表わすのに使用される。本発明の文脈の中で、好適な基は、歯科組成物の硬化又は接着剤の長期経時変化を干渉しないものである。本発明の文脈の中で、用語「脂肪族基」は、飽和若しくは不飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素基を表す。この用語は、例えば、アルキル、アルケニル及びアルキニル基を包含するのに使用される。用語「アルキル基」は、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、第三級ブチル、アミル、ヘプチル等を含む飽和直鎖又は分枝鎖一価炭化水素基を表す。用語「アルケニル基」は、ビニル基などの1つ以上のオレフィン性不飽和基(すなわち炭素−炭素二重結合)を有する不飽和直鎖又は分枝鎖一価炭化水素基を表す。用語「アルキニル基」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する不飽和直鎖又は分枝鎖一価炭化水素基を表す。用語「環状基」は、脂環式基、芳香族基又は複素環式基として分類される閉じた環状炭化水素基を表す。用語「脂環式基」は、脂肪族基のものと類似した性状を有する環状炭化水素基を表す。用語「芳香族基」又は「アリール基」は、モノ−又は多核芳香族炭化水素基を表す。用語「複素環式基」は、環の1つ以上の原子が炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、硫黄等)である閉じた環状炭化水素を表す。
この明細書全体を通して使用される特定の専門用語の議論及び詳細説明を簡単にする方法として、用語「基」及び「部分」(例えば、「有機基」及び「有機部分)が使用され、置換ができる又は置換されてもよい化学種とそのように置換ができない又はそのように置換されなくてもよいものを区別する。従って、用語「基」が化学置換基を記載するのに使用される場合、記載される化学物質としては、非置換基及び分子鎖の中に、例えば非過酸化物のO、N、S、Si又はF原子を有するその基並びにカルボニル基又はその他の従来の置換基が挙げられる。用語「部分」が化学化合物又は置換基を記載するのに使用される場合、非置換化学物質だけが含まれることが意図される。例えば、成語「アルキル基」は、メチル、エチル、プロピル、第三級ブチル等などの純粋な開鎖飽和炭化水素アルキル置換基ばかりではなく、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルスルフォニル、ハロゲン原子、シアノ、アミノ、カルボキシル等などの当該技術分野において既知の置換基を更に有するアルキル置換基も含むことが意図される。従って、「アルキル基」は、エーテル基、ハロアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、スルホアルキル等を含む。他方、成語「アルキル部分」は、メチル、エチル、プロピル、第三級ブチル等などの純粋な開鎖飽和炭化水素アルキル置換基に限定される。
酸反応性構成成分は、好ましくは放射線を照射し及び所望により所望の温度に加熱すると同時に硬化歯科組成物の固着強度を減少させるのに有効なレベルで本発明の歯科組成物に組み込まれてもよい。酸反応性構成成分は、典型的に、例えば1つ以上のエチレン性不飽和化合物に溶解、分散又は懸濁され歯科組成物を形成する。好ましくは、酸反応性構成成分の前記レベルは、治療プロセス時、十分な接着も可能にする。酸反応性構成成分のレベルは、使用される具体的な歯科組成物によることになるが、典型的に硬化性歯科組成物は、歯科組成物の全重量を基準として少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも10重量%、20重量%、30重量%又は更に50重量%の酸反応性構成成分を含むことになる。典型的に、歯科組成物は、歯科組成物の全重量を基準として多くて95重量%、好ましくは多くて90重量%、80重量%、70重量%又は更に50重量%の酸反応性構成成分を含むことになる。
酸反応性構成成分は、通常は、例えば1つ以上のエチレン性不飽和化合物に溶解、分散又は懸濁され歯科組成物を形成する。
実施形態によっては、酸発生構成成分及び/又は酸反応性構成成分は、硬化性及び/又は硬化歯科組成物全体にわたって均一に分配される。他の実施形態では、特に硬化性歯科組成物が歯科矯正装具のベースにプレコートされる実施形態の場合、酸発生構成成分及び/又は酸反応性構成成分は、硬化性歯科組成物の一部に集められてもよい。例えば、酸発生構成成分及び/又は酸反応性構成成分は、1つの表面(例えば、歯牙構造に接触することになる外表面)の近くに集められ、剥離と同時に歯牙構造に近接して起こる破壊に影響を及ぼすことができる。1つの表面の近くに集められた酸発生構成成分及び/又は酸反応性構成成分は、硬化性又は硬化歯科組成物の表面に付着した酸発生構成成分及び/又は酸反応性構成成分を含んで表わされる。
硬化性構成成分
本発明の硬化性歯科組成物は、通常は硬化性(例えば重合可能な)構成成分(所望により酸反応性構成成分であってもよい)を含み、それにより硬化性(例えば重合可能な)組成物を形成する。硬化性構成成分としては、エチレン性不飽和化合物類(酸官能性を有し又は有しない及び好ましくは酸官能性を有しない)、エポキシ(オキシラン)樹脂類、ビニルエーテル類、光重合系、酸化還元硬化系、ガラスアイオノマーセメント類、ポリエーテル類、ポリシロキサン類、及びその類などの広い範囲の化学物質を挙げることができる。実施形態によっては、組成物は、硬化歯科組成物を適用する前に硬化される場合がある(例えば、従来の光重合及び/又は化学重合技術で重合される)。他の実施形態では、歯科組成物は、歯科組成物を適用後硬化される場合がある(例えば、従来の光重合及び/又は化学重合技術で重合される)。
ある実施形態では、組成物は、光重合可能である、すなわち組成物は、化学線を照射すると同時に組成物の重合(又は硬化)を開始する光開始剤を含有する。前記光重合可能組成物は、フリーラジカル重合可能又はカチオン重合可能であってもよい。他の実施形態では、前記組成物は化学的に硬化性である。即ち、前記組成物は、化学線による放射に依存することなく、前記組成物を重合、硬化、ないしは別の方法で硬化性の化学的反応開始剤(即ち、反応開始剤系)を含有する。このような化学的硬化性組成物は、「自己硬化」組成物と呼ばれることもあり、且つガラス・アイオノマー・セメント(例えば、従来型であり樹脂変性されたガラス・アイオノマー・セメント)、酸化還元硬化系、及びこれらの組み合わせを包含してよい。
本発明の歯科組成物に使用されてもよい好適な光重合可能な構成成分としては、例えばエポキシ樹脂類(カチオン活性ビニルエーテル基を含有する)、エチレン性不飽和化合物(フリーラジカル活性不飽和基、例えばアクリレート類及びメタクリレート類を含有する)及びそれらの組合せが挙げられる。又、好適なのは、単一化合物内にカチオン活性官能基とフリーラジカル活性官能基の両方を含有する重合可能な物質である。例としては、エポキシ官能アクリレート類、エポキシ官能メタクリレート類及びこれらの組み合わせが挙げられる。
エチレン性不飽和化合物類
本発明の組成物は、酸官能性を有し又は有さないエチレン性不飽和化合物類の形態の1つ以上の硬化性構成成分を含んでもよく、それにより硬化性組成物を形成する。
好適な硬化性組成物は、エチレン性不飽和化合物類(フリーラジカル活性不飽和基を含有する)を含有する硬化性構成成分(例えば光重合可能化合物)を含んでもよい。有用なエチレン系不飽和化合物の例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性アクリル酸エステル、ヒドロキシ官能性メタクリル酸エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
組成物(例えば、光重合可能な組成物)は、1以上のエチレン性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーを包含してもよいフリーラジカル的に活性な官能基を有する化合物を包含してもよい。好適な化合物は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含有し、付加重合を受けることが可能である。このようなラジカル重合可能な化合物としては、モノ−、ジ−又はポリ−(メタ)アクリレート類(即ち、アクリレート類及びメタクリレート類)例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、ステアリルアクリレート、アリルアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ビス[1−(2−アクリロキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[1−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニルジメチルメタン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、及びトリスヒドロキシエチル−イソシアヌレートトリメタクリレート;(メタ)アクリルアミド(即ち、アクリルアミド及びメタクリルアミド)例えば、(メタ)アクリルアミド、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、並びにジアセトン(メタ)アクリルアミド;ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール類のビス−(メタ)アクリレート類(好ましくは、分子量200〜500)、米国特許第4,652,274号(ボッチャー(Boettcher)ら)に記載されているような、アクリレート化されたモノマー類の共重合性混合物米国特許第4,642,126号(ザドール(Zador)ら)に記載されているような、アクリレート化されたオリゴマー類、並びに米国特許第4,648,843号(ミトラ(Mitra))米国特許番号に開示されているもののような、ポリ(エチレン部が不飽和の)カルバモイルイソシアヌレート類、並びにビニル化合物例えば、スチレン、ジアリルフタレート、ジビニルサクシネート、ジビニルアジパート及びジビニルフタレートが挙げられる。他の好適なフリーラジカル的に重合可能な化合物としては、例えば、PCT国際公開特許WO00/38619(グーゲンベーガー(Guggenberger)ら)、PCT国際公開特許WO01/92271(ウェインマン(Weinmann)ら)、PCT国際公開特許WO01/07444(グーゲンベーガーら)、PCT国際公開特許WO00/42092(グーゲンベーガーら)に開示されているようなシロキサン官能(メタ)アクリレート、並びに、例えば、米国特許第5,076,844号(フォック(Fock)ら)、米国特許第4,356,296号(グリフス(Griffith)ら)、EP0373384(ワゲンネクト(Wagenknecht)ら)、EP0201031(レイナーズ(Reiners)ら)、及びEP0201778(レイナーズ(Reiners)ら)に開示されているようなフルオロポリマー官能(メタ)アクリレートが挙げられる。必要であれば、2つ以上のフリーラジカル重合性化合物の混合物を使用することができる。
硬化性構成成分は、単一分子内にヒドロキシル基及びエチレン性不飽和基も含有する。こうした物質の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリセロールモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンモノ−又はジ−(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールモノ−、ジ−、及びトリ−(メタ)アクリレート;ソルビトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、又はペンタ−(メタ)アクリレート;及び2,2−ビス[4−(2−ヒドロキシ−3−エタアクリロキシプロポキシ)フェニル]プロパン(ビスGMA)が挙げられる。好適なエチレン系不飽和化合物は又、多種多様な民間の供給元、例えばシグマ・アルドリッチ社(Sigma-Aldrich)(セントルイス)から入手可能である。必要であれば、エチレン性不飽和化合物の混合物を使用できる。
ある実施形態では、硬化性構成成分としては、PEGDMA(約400の分子量を有するポリエチレングリコールジメタクリレート)、ビスGMA、UDMA(ウレタンジメタクリレート)、GDMA(グリセロールジメタクリレート)、TEGDMA(トリエチレングリコールジメタクリレート)、米国特許番号第6,030,606号(ホルメス(Holmes))に記載されたようなビスEMA6及びNPGDMA(ネオペンチルグリコールジメタクリレート)が挙げられる。所望の場合、種々の組合せの硬化性構成成分が使用されてもよい。
好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準として少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%及び最も好ましくは少なくとも15重量%のエチレン性不飽和化合物を含む。好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準として多くて95重量%、より好ましくは多くて90重量%及び最も好ましくは多くて80重量%のエチレン性不飽和化合物を含む。
好ましくは、本発明の組成物は、酸官能性を有しないエチレン性不飽和化合物を含む。好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準として少なくとも5重量%、より好ましくは少なくとも10重量%及び最も好ましくは少なくとも15重量%の酸官能性を有しないエチレン性不飽和化合物を含む。好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準として多くて95重量%、より好ましくは多くて90重量%及び最も好ましくは多くて80重量%の酸官能性を有しないエチレン性不飽和化合物を含む。
酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物類
本発明の組成物は、酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物類の形態の1つ以上の硬化性構成成分を含んでもよく、それにより硬化性組成物を形成する。
本明細書で使用する時、酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物とは、エチレン性不飽和並びに酸及び/又は酸前駆体官能性を有するモノマー、オリゴマー、及びポリマーが包含されることを意味する。酸前駆体官能基としては、例えば、無水物、酸ハロゲン化物、及びピロリン酸塩が挙げられる。酸官能性としては、カルボン酸官能性、リン酸官能性、ホスホン酸官能性、スルホン酸官能性、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物類としては、例えばグリセロールホスフェートモノ(メタ)アクリレート類、グリセロールホスフェートジ(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(例えばHEMA)ホスフェート類、ビス((メタ)アクリルオキシエチル)ホスフェート類、((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシプロピル)ホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシ)プロピルオキシホスフェート、(メタ)アクリルオキシヘキシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシヘキシル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシオクチルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシオクチル)ホスフェート、(メタ)アクリルオキシデシルホスフェート、ビス((メタ)アクリルオキシデシル)ホスフェート、カプロラクトンメタクリレートホスフェート、クエン酸ジ−又はトリ−メタクリレート類、ポリ(メタ)アクリレート化オリゴマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリマレイン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリカルボキシル−ポリホスホン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリクロロリン酸、ポリ(メタ)アクリレート化ポリスルホネート、ポリ(メタ)アクリレート化ポリホウ酸及びその類などのα、β−不飽和酸性化合物が挙げられ、硬化性構成成分系の構成成分として使用されてもよい。また、(メタ)アクリル酸、芳香族(メタ)アクリル化酸(aromatic (meth) acrylated acids)(例えば、メタクリル化トリメリット酸)、及びこれらの無水物のような不飽和炭酸のモノマー、オリゴマー、及びポリマーも使用することができる。本発明の特定の好ましい組成物としては、少なくとも1つのP−OH部分を有する酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
これらの化合物のいくつかは、例えば、イソシアナートアルキル(メタ)アクリレートとカルボン酸との反応生成物として得られる。酸官能性及びエチレン性不飽和成分の両方を有するこの種類のさらなる化合物は、米国特許第4,872,936号(エンゲルブレクト(Engelbrecht))及び同第5,130,347号(ミトラ(Mitra))に記載されている。エチレン性不飽和及び酸部分の両方を含有する多種多様なこうした化合物を使用することができる。任意に、こうした化合物の混合物を使用することができる。
酸官能性を有するさらなるエチレン性不飽和化合物としては、例えば、米国公開特許出願2004/0206932(アブエルヤマン(Abuelyaman)ら)において開示された重合可能なビスホスホン酸;AA:ITA:IEM(例えば、米国特許第5,130,347号(ミトラ(Mitra))の実施例11に記載されたように、AA:ITAコポリマーと十分な2−イソシアネートエチルメタクリレートとを反応させて、コポリマーの一部の酸基をペンダントメタクリレート基に変換させることにより、製造されたアクリル酸をペンダントメタクリレートを有するイタコン酸のコポリマー);並びに米国特許第4,259,075号(ヤマウチ(Yamauchi)ら)、同第4,499,251号(オムラ(Omura)ら)、同第4,537,940号(オムラ(Omura)ら)、同第4,539,382号(オムラ(Omura)ら)、同第5,530,038号(ヤマモト(Yamamoto)ら)、同第6,458,868号(オカダ(Okada)ら)、及び欧州公開特許出願EP712,622(トクヤマ社(Tokuyama Corp.))及びEP1,051,961(クラレイ社(Kuraray Co., Ltd.))に列挙されたものが挙げられる。
また本発明の組成物は、酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物の組合せを包含する組成物も包含することができる。好ましくは、組成物は、自己接着性であり、非水性である。例えば、このような組成物は、少なくとも1つの(メタ)アクリルオキシ基及び少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基を包含する第1化合物で、式中、x=1又は2で、且つ前記少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基及び前記少なくとも1つの(メタ)アクリルオキシ基が、C1〜C4炭化水素基によって互いに結合しているもの;少なくとも1つの(メタ)アクリルオキシ基及び少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基を包含する第2化合物で、式中、x=1又は2で、且つ前記少なくとも1つの−O−P(O)(OH)基及び前記少なくとも1つの(メタ)アクリルオキシ基が、C5〜C12炭化水素基によって互いに結合しているもの;酸性官能基を持たないエチレン系不飽和化合物;反応開始剤系;並びに充填剤を包含することができる。このような組成物は、例えば米国仮出願番号第60/600,658号(ルヒターハント(Luchterhandt)ら)(2004年8月11日出願)に記載されている。
好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準として少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも3重量%及び最も好ましくは少なくとも5重量%の酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物を含む。好ましくは、本発明の組成物は、未充填組成物の全重量を基準として多くて80重量%、より好ましくは多くて70重量%及び最も好ましくは多くて60重量%の酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物を含む。
エポキシ(オキシラン)又はビニルエーテル化合物類
本発明の硬化性組成物は、エポキシ(オキシラン)化合物類(カチオン活性エポキシ基を含有する)又はビニルエーテル化合物類(カチオン活性ビニルエーテル基)の形態の1つ以上の硬化性構成成分を含んでもよく、それにより硬化性組成物を形成する。
エポキシ又はビニルエーテルモノマー類は、歯科組成物中に硬化性構成成分として単独で又は他のモノマー部類、例えば本明細書に記載したようなエチレン性不飽和化合物と組合せて使用される場合があり、それらの化学構造の一部として芳香族基、脂肪族基、シクロ脂肪族基及びこれらの組合せを含むことができる。
エポキシ(オキシラン)化合物類の例としては、開環により重合できるオキシラン環を有する有機化合物類が挙げられる。これらの物質としては、単量体のエポキシ化合物類及び高分子型のエポキシド類が挙げられ、脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族又は複素環式であってもよい。これらの化合物類は、一般に平均で1分子当たり少なくとも1個の重合可能なエポキシ基、実施形態によっては、少なくとも1.5、他の実施形態では、1分子当たり少なくとも2個の重合可能なエポキシ基を有する。ポリマー性のエポキシド類としては、末端エポキシ基を有する直鎖状のポリマー類(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル)、骨格にオキシラン単位を有するポリマー類(例えば、ポリブタジエンポリエポキシド)、およびペンダントになったエポキシ基を有するポリマー類(例えば、グリシジルメタクリレートポリマーまたはコポリマー)などが挙げられる。エポキシド類は、純粋な化合物であってもよく又は1分子当たり1個、2個又はそれ以上のエポキシ基を含有する化合物の混合物であってもよい。1分子当たりのエポキシ基の「平均」数は、エポキシ含有物質中のエポキシ基の合計数を存在するエポキシ含有分子の合計数で除すことにより決定される。
これらのエポキシ含有物質は、低分子量単量体物質から高分子量高分子まで多様であり、それらの主鎖及び置換基の性質が大きく異なっていてもよい。許容できる置換基の実例としては、ハロゲン類、エステル基類、エーテル類、スルホネート基類、シロキサン基類、カルボシラン基類、ニトロ基類、ホスフェート基類等が挙げられる。エポキシ含有物質の分子量は、58から100,000以上まで異なっていてもよい。
本発明の樹脂系反応性構成成分として有用な好適なエポキシ含有物質が、米国特許番号第6,187,836号(オックスマン(Oxman)ら)及び米国特許番号第8,084,004号(ウェインマン(Weinmann)ら)にリストアップされている。
樹脂系反応性構成成分として有用な他の好適なエポキシ樹脂としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−メチルシクロヘキサンカルボキシレート及びビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−メチル)アジパートにより代表されるエポキシシクロヘキサンカルボキシレート類などのシクロヘキセンオキシド基類を含有するものが挙げられる。この性質の有用なエポキシド類のより詳細なリストについては、米国特許番号第6,245,828号ウェインマン(Weinmann)ら)、米国特許番号第5.037,861号(クリベロ(Crivello)ら)及び米国特許出願番号2003/035899(クレック(Klettke)ら)を参照のこと。
この発明の組成物に有用である場合があるその他のエポキシ樹脂としては、グリシジルエーテルモノマーが挙げられる。例は、多価フェノールをエピクロロヒドリン(例えば、2,2−ビス−(2,3−エポキシプロポキシフェノール)プロパンのジグリシジルエーテル)などの過剰のクロロヒドリンと反応させることにより得られる多価フェノールのグリシジルエーテル類である。この種類のエポキシドの更なる例が、米国特許番号第3,018,262号(シュロエダー(Schroeder)及び「エポキシ樹脂便覧(Handbook of Epoxy Resins)」リー(Lee)及びネビル(Neville)、マックグロウ−ヒルブック社(McGraw-Hill Book Co.)ニューヨーク(1967年)に記載されている。
樹脂系反応性構成成分として有用な他の好適なエポキシド類が、シリコンを含有するもので、その有用な例がPCT国際公開特許WO01/51540(クレック(Klettke)ら)に記載されている。
樹脂系反応性構成成分として有用な追加の好適なエポキシド類としては、オクタデシレンオキシド(octadecylene oxide)、エピクロロヒドリン、スチレンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシド、グリシドール、グリシジルメタクリレート、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及び米国特許出願番号2005/0113477に提供されているような他の市販のエポキシド類が挙げられる。
種々のエポキシ含有物質のブレンドも考えられる。前記ブレンドの例は、低分子量(200未満)、中間分子量(200〜10,000)及び高分子量(10,000を超える)などのエポキシ含有化合物の2つ又はそれ以上の分子量分布を含む。或いは又は更に、エポキシ樹脂は、脂肪族及び芳香族又は極性及び非極性等の官能性などの異なる化学的性質を有するエポキシ含有物質のブレンドを含有してもよい。
カチオン活性官能基を有する有用な硬化性構成成分の他の種類としては、ビニルエーテル類、オキセタン類、スピロ−オルトカーボネート類、スピロ−オルトエステル類等が挙げられる。
所望の場合、カチオン活性及びフリーラジカル基の両方が単一分子内に包含されてもよい。前記分子は、例えばジ−又はポリ−エポキシドをエチレン性不飽和カルボン酸の1当量以上と反応させることにより得られてもよい。前記物質の例は、UVR−6105(ユニオンカーバイド(Union Carbide)から入手可能)と1当量のメタクリル酸との反応生成物である。エポキシ及びフリーラジカル活性官能性を有する市販の物質としては、日本のダイセル化学(Daicel Chemical)から入手可能なシクロマー(CYCLOMER)M−100、M−101又はA−200などのシクロマー(CYCLOMER)シリーズ並びにジョージア州アトランタ(Atlanta)のUSBケミカルズ(UCB Chemicals)、ラドキュアスペシャリティーズ(Radcure Specialties)から入手可能なエベクリル(EBECRYL)−3605が挙げられる。
カチオン硬化可能な構成成分は、更にヒドロキシル含有有機物質を含んでもよい。好適なヒドロキシル含有有機物質は、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つのヒドロキシル官能価を有するいかなる有機物質であってもよい。好ましくは、ヒドロキシル含有物質は、2つ又はそれ以上の一級又は二級脂肪族ヒドロキシル基を含有する(すなわちヒドロキシル基は、直接非芳香族炭素原子に結合される)。ヒドロキシル基は、末端に位置される場合があり、又はポリマー若しくはコポリマーからのペンダントである場合もある。ヒドロキシル含有有機物資の分子量は、非常に低い(例えば、32)から非常に高い(例えば、百万以上)まで変更できる。好適なヒドロキシル含有物資は、低分子量(すなわち32〜200)、中間分子量(すなわち200〜10,000)又は高分子量(すなわち10,000を超える)を有することができる。本明細書で使用する時、全ての分子量は、重量平均分子量である。
ヒドロキシル含有物資は、性質が非芳香族であってもよく、又は芳香族官能性を包含していてもよい。ヒドロキシル含有物資は、所望により分子の主鎖内に窒素、酸素、硫黄及びその類などのへテロ原子を含有してもよい。ヒドロキシル含有物資は、例えば、自然に発生する又は合成的に調製されるセルローズ系物質から選択されてもよい。ヒドロキシル含有物資は、熱的に又は光分解的に不安定であり得る基が実質的に存在しないものでなければならない、すなわち、その物資は、100℃未満の温度、又は重合可能組成物の場合所望の重合条件時遭遇する場合がある化学線の存在で揮発性成分を分解又は遊離してはならない。
本発明に有用な好適なヒドロキシル含有物資が、米国特許番号第6,187,836号(オックスマン(Oxman)ら)にリストアップされている。
硬化性構成成分は、単一分子内にヒドロキシル基及びカチオン活性官能基を含有してもよい。1つの例は、ヒドロキシル基及びエポキシ基の両方を含む単一分子である。
ガラスアイオノマー類
本発明の硬化性構成成分は、典型的に主成分としてエチレン性不飽和カルボン酸(例えば、ポリアクリル酸、コポリ(アクリル、イタコン酸)等)、フルオロアルミノケイ酸塩(「FAS」)ガラス、水、及び酒石酸などのキレート剤を使用する従来のガラスアイオノマーセメントなどのガラスアイオノマーセメント類を含んでもよい。従来のガラスアイオノマー類(すなわちガラスアイオノマーセメント類)は、典型的に使用直前に混合される粉末/液体処方で供給される。混合物は、ポリカルボン酸の酸性繰返し単位とガラスから浸出するカチオン間のイオン反応により暗がりで自己硬化されることになる。
ガラスアイオノマーセメント類は、樹脂変性ガラスアイオノマー(「RMGI」)セメント類を含んでもよい。従来のガラスアイオノマーのようにRMGIセメントは、FASガラスを使用する。しかし、RMGIの有機部分が異なる。RMGIの1つの種類では、ポリカルボン酸が変性され酸繰返し単位の一部をペンダント硬化性基で置換又はエンドキャップし、光開始剤が添加され、例えば米国特許番号第5,130,347号(ミトラ(Mitra))に記載されたような第二硬化メカニズムを行う。アクリレート又はメタクリレート基が、通常ペンダント硬化性基として使用される。RMGIの別の種類では、セメントは、ポリカルボン酸、アクリレート又はメタクリレート官能モノマー及び例えばマシス(Mathis)ら、「新ガラスアイオノマー/複合樹脂ハイブリッド修復材の特性(Properties of a New Glass Ionomer/Composite Resin Hybrid Restorative)」、摘要番号51、J.Dent Res.,66〜113頁(1987年)並びに米国特許番号第5,063,257号(アルカハン(Akahane)ら)、米国特許番号第5,520,725号(カト(Kato)ら)、米国特許番号第5,859,089号(キアン(Qian))、米国特許番号第5,925,715号(ミトラ(Mitra))及び米国特許番号第5,962,550号(アルカハン(Akahane)ら)のような光開始剤を含む。RMGIの別の種類では、セメントは、ポリカルボン酸、アクリレート又はメタクリレート官能モノマー並びに、例えば米国特許番号第5,154,762号(ミトラ(Mitra)ら)、米国特許番号第5,520,725号(カト(Kato)ら)及び米国特許番号第5,871,360号(カト((Kato)ら)に記載されたような酸化還元又は他の化学硬化系を含んでもよい。RMGIの別の種類では、セメントは、米国特許番号第4,872,936号(エンゲルブレット(Engelbrecht))、米国特許番号第5,227,413号(ミトラ(Mitra))、米国特許番号第5,367,002号(フアング(Huang)ら)及び米国特許番号第5,965,632号(オーロウスキ(Orlowski))に記載されているような種々のモノマー含有又は樹脂含有構成成分を含んでもよい。RMGIセメント類は、好ましくは粉末/液体又はペースト/ペースト系として配合され、混合及び適用時水を含有する。組成物は、ポリカルボン酸の酸性繰返し単位とガラスから浸出するカチオン間のイオン反応により暗がりで硬化でき、又、市販のRMGI製品は、典型的に歯科硬化ランプからの光にセメントを暴露時に硬化する。酸化還元硬化系を含有し、化学線を使用しないで暗がりで硬化できるRMGIセメント類が、米国特許番号第6,765,038号(ミトラ(Mitra))に記載されている。
ポリエーテル類又はポリシロキサン類(すなわちシリコーン類)
歯科印象材は、典型的にポリエーテル又はポリシロキサン(すなわちシリコーン)化学に基づいている。ポリエーテル物質は、典型的にベース構成成分(例えば、末端基としてエチレンイミン環を有するポリエーテル)と触媒(又は促進剤)構成成分(例えば、架橋剤としてのアリールスルホネート)とを含む二液型系から構成される。ポリシロキサン物質も通常はベース構成成分(例えば、低分子量から適度に低分子量のジメチルポリシロキサンなどのポリシロキサン)と触媒(又は促進剤)構成成分(例えば、付加シリコンの場合、ビニル末端基及び塩化白金酸を有する低分子量から適度に低分子量の高分子、縮合シリコンの場合、オクタン酸第一錫懸濁液及びアルキルシリケートから構成される液体)とを含む二液型系から構成される。両系は、通常は充填剤、可塑剤、増粘剤、着色剤又はその混合物も含有する。代表的なポリエーテル印象材としては、例えば、米国特許番号第6,127,449号(ビシンガー(Bissinger)ら)、米国特許番号第6,395,801号(ビシンガー(Bissinger)ら)及び米国特許番号第5,569,691号(グーゲンバーガー(Guggenberger)ら)に記載されたものが挙げられる。代表的なポリシロキサン印象材及び関連するポリシロキサン化学が、例えば、米国特許番号第6,121,362号(ワネック(Wanek)ら)、米国特許番号第6,566,413号(ウェインマン(Weinmann)ら)及び米国特許出願番号1475069A(ビシンガー(Bissinger)ら)に記載されている。
市販のポリエーテル及びポリシロキサン印象材としては、インプレガム・ポリエーテル材(IMPREGUM Polyether Materials)、パーマダイン・ポリエーテル材(PERMADYNE Polyether Materials)、イクスプレス・ビニルポリシロキサン材(EXPRESS Vinyl Polysiloxane Materials)、ディメンション・ビニルポリシロキサン材(DIMENSION Vinyl Polysiloxane Materials)及びインプリント・ビニルポリシロキサン材(IMPRINT Vinyl Polysiloxane Materials)、すべてが3Mエスペ(ESPE)(ミネソタ州セントポール(St. Paul)から入手可能、が挙げられるがこれらに限定されない。テープバッキングは、ガラス繊維を有するアルミニウム箔テープであり、感圧シリコーン接着剤を有する(ミネソタ州セントポールの3Mカンパニーから、商品名「フォイル/ガラス・クロス・テープ363」で入手可能)。他の代表的なポリエーテル、ポリシロキサン(シリコーン類)及びポリスルフィド印象材が、以下の参照文献、修復歯科材料(Restorative Dental Materials)、10版、ロバートG.クレイグ(Robert G. Craig)及びマーカスL.ワード(Marcus L. Ward)編集、モスビ−イヤーブック社(Mosby-Year Book, Inc.)ミズーリ−州セントルイス(St. Louis)11章(印象材)で議論されている。
光開始剤系
ある実施形態では、本発明の組成物は、光重合可能である、すなわち組成物は、光重合可能構成成分と化学線で照射すると同時に組成物の重合(又は硬化)を開始する光開始剤(すなわち、光開始剤系)とを包含する。前記光重合可能組成物は、フリーラジカル重合又はカチオン重合可能であってもよい。
フリーラジカル的に光重合可能な組成物を重合するのに好適な光開始剤(すなわち、1つ以上の化合物を含む光開始剤系)としては、二成分及び三成分系が挙げられる。典型的な三成分光開始剤は、米国特許番号第5,545,676号(パラゾット(Palazzotto)ら)に記載されたようなヨードニウム塩、光増感剤及び電子供与性化合物を含む。好ましいヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウム塩、例えば、ジフェニルヨードニウムクロライド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロホウ酸塩、及びトリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩である。好ましい光増感剤は、400nm〜520nm(好ましくは、450nm〜500nm)の範囲内のいくらかの光を吸収するモノケトン及びジケトンである。より好ましい化合物は、400nm〜520nm(さらにより好ましくは、450〜500nm)の範囲内のいくらかの光を吸収するα−ジケトンである。好ましい化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン及び他の1−アリール−2−アルキル−1,2−エタンジオン、並びに環状α−ジケトンである。最も好ましいのは、カンファーキノンである。好ましい電子供与体化合物としては、置換アミン、例えば、エチルジメチルアミノベンゾエートが挙げられる。カチオン的に重合可能な樹脂を光重合させるために有用な他の好適な第三光開始剤系は、例えば米国特許第6,765,036号(デデ(Dede)ら)に記載されている。
フリーラジカル光重合性組成物を重合するために好適な他の光反応開始剤としては、通常は380nm〜1200nmの機能的波長範囲を有するホスフィンオキシドの部類が挙げられる。好ましいホスフィンオキシドフリーラジカル反応開始剤は、380nm〜450nmの機能的波長範囲を有し、米国特許第4,298,738号(レッケン(Lechtken)ら)、同第4,324,744号(レッケンら)、同第4,385,109号(レッケンら)、同第4,710,523号(レッケンら)、及び同第4,737,593号(エルリッチ(Ellrich)ら)、同第6,251,963号(コーラ−(Kohler)ら);及びEP特許出願0173567A2(イング(Ying))に記載されているもののようなアシル及びビスアシルホスフィンオキシドである。
380ナノメートル〜450ナノメートルを超える波長範囲で放射線照射されたときフリーラジカル開始可能な市販のホスフィンオキシド光開始剤としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア(IRGACURE)819、ニューヨーク州タリタウン(Tarrytown)、チバ・スペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド(CGI403、チバ・スペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)1700、チバ・スペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))の重量で25:75混合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドと2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ダロキュア(DAROCUR)4625、チバ・スペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals))の重量で1:1混合物、及びエチル2,4,6−トリメチルベンジルフェニルホスフィネート(ルシリン(LUCIRIN)LR8893X、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)、BASF社)が挙げられる。
典型的に、ホスフィンオキシド反応開始剤は、光重合可能組成物中に組成物の全重量を基準として0.1重量%〜5.0重量%などの触媒的に有効な量で存在する。
アシルホスフィンオキシドと組み合わせて、三級アミン還元剤を使用してもよい。本発明において有用な実例となる三級アミン類としては、エチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエート及びN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。存在する場合、アミン還元剤は、光重合可能な組成物中に、組成物の総重量を基準として0.1重量%〜5.0重量%の量で存在する。他の反応開始剤の有用な量は、当業者に周知である。
カチオン光重合可能組成物を重合するのに好適な光開始剤としては、二成分及び三成分系が挙げられる。典型的な三成分光開始剤は、欧州特許EP0897710(ウェインマン(Weinmann)ら)、米国特許番号第5,856,373号(カイサキ(Kaisaki)ら)、米国特許番号第6,084,004号(ウェインマン(Weinmann)ら)、米国特許番号第6,187,833号(オキシマン(Oxman)ら)、米国特許番号第6,187,836号(オキシマン(Oxman)ら)及び米国特許番号第6,765,036号(デデ(Dede)ら)に記載されたようなヨードニウム塩、光増感剤及び電子供与性化合物を含む。発明の組成物は、電子供与体として1つ以上のアントラセン系化合物を含んでもよい。実施形態によっては、組成物は、多重置換アントラセン化合物又は置換アントラセン化合物と非置換アントラセンとの組み合わせを含む。光開始剤系の一部としてのこれらの混合アントラセン電子供与体の組合せは、同じマトリックス内で相当する単一供与体光開始剤系と比較した場合、有意に強化された硬化深さ、硬化速度及び温度不感応性を備える。アントラセン系電子供与体を有する前記組成物が、米国特許出願番号2005/0113477に記載されている。
好適なヨードニウム塩としては、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(3,5−(トリフルオロメチル)−フェニル)ボレート並びにジアリールヨードニウム塩、例えばジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート及びジフェニルヨードニウムテトラフルオロボラート(tetrafluoroboarate)が挙げられる。好適な光増感剤は、450ナノメートル〜520ナノメートル(好ましくは、450ナノメートル〜500ナノメートル)の範囲内の一部の光を吸収するモノケトン類及びジケトン類である。より好適な化合物は、450ナノメートル〜520ナノメートル(更により好ましくは、450ナノメートル〜500ナノメートル)の範囲内の一部の光を吸収するαジケトン類である。好ましい化合物は、カンファーキノン、ベンジル、フリル、3,3,6,6−テトラメチルシクロヘキサンジオン、フェナントラキノン及び他の環状αジケトン類である。最も好ましいのは、カンファーキノンである。好適な電子供与体化合物としては、置換アミン類、例えばエチル4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート及び2−ブトキシエチル−4−(ジメチルアミノ)ベンゾエート並びに多縮合芳香族化合物類(例えばアントラセン)が挙げられる。
反応開始剤系は、所望の硬化(例えば、重合及び/又は架橋)速度を提供するのに十分な量で存在する。光開始剤に関しては、この量は、部分的に光源、放射エネルギーに暴露される層の厚さ及び光開始剤の吸光係数により変わることになる。好ましくは、反応開始剤系は、組成物の重量を基準として少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.03重量%、最も好ましくは少なくとも0.05重量%の合計量で存在する。好ましくは、反応開始剤系は、組成物の重量を基準として10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、最も好ましくは2.5重量%以下の合計量で存在する。
酸化還元反応開始剤系
ある実施形態では、本発明の組成物は、化学的に硬化可能である、すなわち、組成物は、化学的に硬化可能な構成成分と、重合、硬化ないしは別の方法で化学線の照射に依存することなく硬化できる化学反応開始剤(すなわち反応開始剤系)とを含有する。こうした化学的に硬化可能な組成物は、「自己硬化」組成物と呼ばれることが多く、ガラスアイオノマーセメント、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント、酸化還元硬化系、及びこれらの組み合わせを包含してもよい。
化学的に硬化可能な組成物は、硬化可能な構成要素(例えば、エチレン性不飽和重合可能な構成要素)並びに酸化剤及び還元剤を包含する酸化還元剤を含む酸化還元硬化系を包含してもよい。本発明に有用である好適な硬化性構成成分、酸化還元剤、任意選択の酸官能性構成成分及び任意選択の充填剤が、米国特許出願番号2003/0166740(ミトラ(Mitra)ら)及び米国特許出願番号2003/0195273(ミトラ(Mitra)ら)に記載されている。
樹脂系(例えば、エチレン性不飽和成分)の重合を開始することが可能なフリーラジカルを製造するために、還元剤及び酸化剤は、互いに反応するか、ないしは別の方法で協働すべきである。この種類の硬化は、暗反応、つまり、光の存在に依存せず、光が存在しなくても進行することができる反応である。還元剤及び酸化剤は、好ましくは十分に貯蔵安定性があり、望ましくない着色がなく、典型的な歯科条件下においての保存及び使用を可能にする。これらは、硬化可能な組成物の他の構成要素に容易に溶解する(及び、硬化可能な組成物の他の構成要素からの分離を阻止する)ことを可能にするために、樹脂系(及び好ましくは水溶性)と十分に混和性があるべきである。
有用な還元剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体類及び米国特許番号第5,501,727号(ワング(Wang)ら)に記載されたようなアスコルビン酸化合物類;アミン類、特に4−t−ブチルジメチルアニリンなどの三級アミン類;p−トルエンスルフィン酸類及びベンゼンスルフィン酸類などの芳香族スルフィン酸類;1−エチル−2−チオウレア、テトラエチルチオウレア、テトラメチルチオウレア、1,1−ジブチルチオウレア及び1,3−ジブチルチオウレアなどのチオウレア類;及びこれらの混合物が挙げられる。他の二次還元剤は、塩化コバルト(II)、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン(酸化剤の選択に依存する)、ジチオン酸又は亜硫酸アニオン塩類、及びこれらの混合物を含んでもよい。還元剤はアミンであることが好ましい。
また好適な酸化剤は、当業者に馴染みがあり、過硫酸、並びにナトリウム、カリウム、アンモニウム、セシウム、及びアルキルアンモニウム塩のような過硫酸塩類が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる酸化剤としては、過酸化ベンゾイルのような過酸化物類、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、及びアミルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド類、並びに塩化コバルト(III)及び塩化第二鉄、硫酸セリウム(IV)のような遷移金属塩類、過ホウ酸及びその塩類、過マンガン酸及びその塩類、過リン酸及びその塩類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
1超過の酸化剤又は1超過の還元剤を使用することが望ましい可能性がある。また、レドックス硬化の速度を加速させるために、少量の遷移金属化合物類を添加してもよい。ある実施形態では、米国公開特許出願第2003/0195273号(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているように、重合性組成物の安定性を増強するために、二次イオン性塩を包含することが好ましい可能性がある。
還元剤及び酸化剤は、適当なフリーラジカル反応速度を可能にするために十分な量で存在する。これは、任意の充填剤以外の、硬化可能な組成物の全成分を組み合わせ、硬化された塊(mass)が得られるかどうかを観察することにより評価できる。
好ましくは、還元剤は、硬化性組成物の構成成分の全重量(水を包含する)を基準として少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%の量で存在する。好ましくは、還元剤は、硬化性組成物の構成成分の全重量(水を含む)を基準として10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の量で存在する。
好ましくは、酸化剤は、硬化性組成物の構成成分の全重量(水包含する)を基準として少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.1重量%の量で存在する。酸化剤は、硬化性組成物の構成要素の全重量(水を包含する)を基準として、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下の量で存在する。
還元剤又は酸化剤は、米国特許第5,154,762号(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているように、マイクロカプセル化され得る。これは、一般に、硬化可能な組成物の貯蔵安定性を増強し、必要であれば、還元剤又は酸化剤を共に包装することを許容するであろう。例えば、カプセルの材料(encapsulant)の適切な選択を通して、酸化剤及び還元剤は、酸官能性構成要素及び任意の充填剤と組み合わせて、保存安定性状態を維持することができる。同様に、非水溶性カプセル材料の適切な選択を通して、還元剤及び酸化剤は、FASガラス及び水と組み合わせられることができ、保存安定状態で維持されることができる。
酸化還元硬化系は、他の硬化系、例えば、米国特許第5,154,762号(ミトラ(Mitra)ら)に記載されているような硬化可能な組成物と、組み合わせることができる。
充填剤
本発明の組成物は、所望により充填剤を含有することができる。充填剤は、歯科修復組成物等において現在使用される充填剤のような、歯科用途に使用される組成物に組み込まれるのに適した1以上の多種多様な材料から選択されてもよい。
充填剤は、好ましくは超微粒子状である。充填剤は、一峰性(unimodial)又は多峰性(polymodial)(例えば、二峰性)の粒径分布を有することができる。好ましくは、充填剤の最大粒径(粒子の最も大きい寸法、通常は直径)は、20マイクロメートル未満、より好ましくは10マイクロメートル未満、最も好ましくは5マイクロメートル未満である。好ましくは、充填剤の平均粒径は、0.1マイクロメートル未満、より好ましくは0.075マイクロメートル未満である。
充填剤は、無機材料であることができる。また、それは、樹脂系(すなわち、硬化可能な構成要素)に不溶であり、任意に無機充填剤で充填される架橋された有機材料であることもできる。充填剤は、いずれにしても非毒性であるべきであり、口内に使用するのに適しているべきである。充填剤は、放射線不透過性又は放射線透過性であることができる。通常、充填剤は、実質的に水に不溶性である。
好適な無機充填剤の例としては、石英(すなわち、シリカ、SiO);窒化物(例えば、窒化ケイ素);例えば、Zr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn、及びAl由来のガラス及び充填剤;長石;ホウケイ酸ガラス;カオリン;タルク;ジルコニア;チタニア;米国特許第4,695,251号(ランドクレブ(Randklev))に記載されているような低モース硬度充填剤;並びにサブミクロンのシリカ粒子(例えば、デグサ社(Degussa Corp)(オハイオ州、アクロン)から商品名エアロジル(AEROSIL)、例えば、「OX50」、「130」、「150」及び「200」シリカ、並びにキャボット社(Cabot Corp.)(イリノイ州、タスコラ)から商品名CAB−O−SIL M5シリカとして入手可能なもののような発熱性シリカ)を含む天然素材物質又は合成物質が挙げられるが、これらに限定されない。好適な有機充填剤粒子の例としては、充填又は非充填微粉ポリカーボネート、ポリエポキシド等が挙げられる。
好ましい非酸反応性充填剤粒子は、石英(すなわち、シリカ)、サブミクロンシリカ、ジルコニア、サブミクロンジルコニア及び米国特許番号第4,503,169号(ランドレブ(Randklev))に記載された種類の非ガラス質微小粒子である。また、これらの非酸反応性充填剤の混合物、並びに有機物質及び無機物質から製造された混合充填剤も意図される。
また充填剤は、酸反応性充填剤であってもよい。好適な酸反応性充填剤としては、金属酸化物、ガラス、及び金属塩が挙げられる。代表的な金属酸化物としては、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、及び酸化亜鉛が挙げられる。代表的なガラスとしては、ホウ酸ガラス、リン酸ガラス、及びフルオロアルミノシリケート(「FAS」)ガラスが挙げられる。FASガラスが、特に好ましい。ガラスが硬化性組成物の構成要素と混合されるとき、硬化された歯科組成物が形成されるように、FASガラスは、通常は十分な溶出性カチオンを含有する。また、ガラスは、通常は十分な溶出性フッ化物イオンを含有するので、硬化された組成物は抗う触性を有するであろう。ガラスは、FASガラス製造分野において当業者に馴染みが深い技術を使用して、フッ化物、アルミナ、及び他のガラス形成成分を含有する溶融物から製造することができる。FASガラスは、通常十分に超微粒子状の粒子の形態であるので、他のセメント成分と都合よく混合され得、得られた混合物が口内に使用されるとき、よく機能するであろう。
一般に、前記FASガラスの平均粒径(通常はは、直径)は、例えば、沈殿分析器を使用して測定した場合、12ミクロン以下、典型的には10ミクロン以下、より典型的には5ミクロン以下である。好適なFASガラスは、当業者に馴染み深く、多種多様な商業的供給源から入手可能であり、多くは、ビトレマー(VITREMER)、ビトレボンド(VITREBOND)、リライXルーティングセメント(RELY X LUTING CEMENT)、リライXルーティングプラスセメント(RELY X LUTING PLUS CEMENT)、フォトタック−フィルクイック(PHOTAC-FIL QUICK)、ケタック−モラー(KETAC-MOLAR)、及びケタック−フィルプラス(KETAC-FIL PLUS)(3M ESPEデンタル・プロダクツ(3M ESPE Dental Products)、ミネソタ州セントポール(St. Paul))、フジII LC(FUJI II LC)及びフジIX(FUJI IX)(G−Cデンタル・インダストリアル社(G-C Dental Industrial Corp.)、日本、東京)、並びにケムフィルスーペリア(CHEMFIL Superior)(デンツプライ・インターナショナル(Dentsply International)、ペンシルベニア州ヨーク(York))の商品名で市販されているもののような、現在入手可能なガラスアイオノマーセメント中に見出せる。必要であれば、充填剤の混合物を使用することができる。
また、充填剤と樹脂との間の結合を増強するために、充填剤粒子の表面は、結合剤で処理されてもよい。好適な連結剤の使用としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。特定の実施形態では、シラン処理ジルコニア−シリカ(ZrO−SiO)充填剤、シラン処理シリカ充填剤、シラン処理ジルコニア充填剤、及びこれらの組み合わせが、特に好ましい。
他の好適な充填剤は、米国特許第6,387,981号(チャン(Zhang)ら)及び米国特許第6,572,693号(ウー(Wu)ら)並びに国際公開特許第01/30305号(チャン(Zhang)ら)、国際公開特許第01/30306号(ウィンディッシュ(Windisch)ら)、国際公開特許第01/30307号(チャン(Zhang)ら)、及び国際公開特許第03/063804号(ウー(Wu)ら)に開示されている。これらの参考文献に記載された充填剤構成要素としては、ナノサイズのシリカ粒子、ナノサイズの金属酸化物粒子、及びこれらの組み合わせが挙げられる。又、ナノ充填剤が、米国特許出願番号2005/0251413(カンガス(Kangas)ら)、米国特許出願番号2005/0256223(コルブ(Kolb)ら)、米国特許番号第7,090,721号(クレイグ(Craig)ら)及び米国特許番号第7,090,722号(ブッド(Budd)ら)に記載されている。これらの申請書は、要約すると、組成物を包含する以下のナノ充填剤を記載している。
米国特許出願番号2005/0252413(カンガス(Kangas)ら)は、以前のアイオノマー組成物を越えた改善された特性を有する組成物を提供するナノ充填剤を含有する安定なアイオノマー組成物(例えば、ガラスアイオノマー)を記載している。一実施形態では、組成物は、ポリ酸(例えば、複数個の酸性繰り返し基を有するポリマー);酸反応性充填剤;少なくとも10重量%ナノ充填剤、又はそれぞれ平均粒子径200ナノメートル以下を有するナノ充填剤の組合せ;水;及び任意に重合可能な構成要素(例えば、任意に酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物)を含む硬化可能な歯科組成物である。
米国特許出願番号2005/0256223(コルブ(Kolb)ら)は、光学的に半透明及びX線不透性であるアイオノマー系などの改善された特性を有する組成物を提供するナノジルコニア充填剤を含有する安定なアイオノマー(例えば、ガラスアイオノマー)を記載している。ナノジルコニアは、アイオノマー組成物へのナノジルコニアの組込みを補助するためにシランで表面修飾されており、これは、一般に表面修飾がなければナノジルコニアと相互作用する可能性があるポリ酸を含有し、好ましくない視覚的不透明度を生じさせる凝固又は凝集を引き起こす。一つの態様において、組成物は、ポリ酸;酸反応性充填剤;ジルコニア粒子が外表面上に付着する複数個のシラン含有分子を有するナノジルコニア充填剤;水;及び任意に重合可能な構成要素(例えば、任意に酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物)を包含する硬化可能な歯科組成物であることができる。
米国特許番号第7,090,721号(クレイグ(Craig)ら)は、強化された光学的な半透明性を有する組成物を提供するナノ充填剤を含有する安定なアイオノマー(例えば、ガラスアイオノマー)を記載している。一実施形態では、組成物は、ポリ酸(例えば、複数個の酸性繰り返し基を有するポリマー);酸反応性充填剤;ナノ充填剤;光重合可能な構成要素(例えば、任意に酸官能性を有するエチレン性不飽和化合物);及び水を包含する硬化可能な歯科組成物である。ポリ酸、ナノ充填剤、水、及び任意に重合可能な構成要素を組み合わされた混合物の屈折率(硬化状態又は非硬化状態で測定される)は、一般に酸反応性充填剤の屈折率の4%以内、典型的には3%以内、より典型的には1%以内、さらにより典型的には0.5%以内である。
米国特許番号第7,090,722号(ブッド(Budd)ら)は、酸反応性ナノ充填剤(すなわち、ナノ構造化充填剤)及び硬化性樹脂(例えば、重合可能なエチレン性不飽和化合物)を含むことができる歯科組成物を記載している。酸反応性ナノ充填剤は、酸反応性、非融合であり、三価金属(例えば、アルミナ)、酸素、フッ素、アルカリ土類金属、及び任意にケイ素及び/又は重金属を包含するオキシフッ化物(oxyfluoride)材料を包含できる。
充填剤を含む本発明のある実施形態(例えば、歯科用接着剤組成物)において、組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%の充填剤を含む。こうした実施形態において、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは最大40重量%、より好ましくは最大20重量%、最も好ましくは最大15重量%の充填剤を含む。
(例えば、組成物が歯科修復剤又は歯科矯正用接着剤である)他の実施形態において、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも45重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%の充填剤を含む。そのような実施形態において、本発明の組成物は、組成物の総重量を基準として、好ましくは最大90重量%、より好ましくは最大80重量%、さらにより好ましくは最大70重量%の充填剤、最も好ましくは最大50重量%の充填剤を含む。
任意選択の光漂白性及び/又は熱変色性染料
実施形態によっては、本発明の組成物は、好ましくは歯牙構造と著しく異なる初期色を有する。色は、好ましくは光漂白性又は光変色性染料の使用により組成物に付与される。組成物は、好ましくは組成物の全重量を基準として少なくとも0.001重量%の光漂白性又は光変色性染料、より好ましくは少なくとも0.002重量%の光漂白性又は光変色性染料を含む。組成物は、好ましくは組成物の全重量を基準として多くて1重量%の光漂白性又は光変色性染料、より好ましくは多くて0.1重量%の光漂白性又は光変色性染料を含む。光漂白性又は光変色性染料の量は、その吸光係数、初期色を識別する人間の目の能力及び所望の色変更により異なってもよい。好適な熱変色性染料が、例えば米国特許番号第6,670,436号(バーガス(Burgath)ら)に開示されている。
光漂白性染料を含む実施形態の場合、光漂白性染料の色形成及び漂白特性は、例えば、酸強度、誘電率、極性、酸素の量及び雰囲気の湿分含量を含む様々な要因により変化する。しかし、染料の漂白性は、組成物を放射線照射し、色の変化を評価することにより容易に決定できる。好ましくは、少なくとも1つの光漂白性染料は、少なくとも部分的に硬化性樹脂に可溶性である。
光漂白性染料の代表的な部類が、例えば、米国特許番号第6,331,080号(コール(Cole)ら)、米国特許番号第6,444,725号(トロム(Trom)ら)及び米国特許番号第6,528,555号(ニクトウスキー(Nikutowski)ら)に開示されている。好ましい染料としては、例えば、ローズベンガル、メチレンバイオレット、メチレンブルー、フルオレセイン、エオシンイエロー、エオシンY、エチルエオシン、エオシンブルーイッシュ、エオシンB、エリトロシンB、エリトロシンイエローイッシュブレンド、トルイジンブルー、4’,5’−ジブロモフルオレセイン及びこれらの組み合わせが挙げられる。
発明の組成物の色変化は、光により起こされる。好ましくは、組成物の色変化は、例えば、十分な時間、可視光線又は近赤外(IR)線を放出する歯科硬化光を使用する化学線を使用して起こされる。本発明の組成物に色変化を開始させるメカニズムは、樹脂を硬化させる硬化メカニズムと区別されていてもよいし又は実質的に同時であってもよい。例えば、重合が化学的(例えば、酸化還元開始)又は熱的に開始されると、組成物は、硬化される、初期色から最終色への色変化は、硬化プロセスの後化学線に暴露すると同時に起こってもよい。
初期色から最終色への組成物の色変化は、好ましくは色試験により定量化される。色試験を用いて、ΔE*値を決定する、そしてそれが、三次元色空間の合計色変化を示す。人間の目は、通常の照明条件で約3ΔE*単位の色変化を検知できる。本発明の歯科組成物は、好ましくは少なくとも20のΔE*の色変化を有することができ、より好ましくはΔE*は、少なくとも30、最も好ましくはΔE*は、少なくとも40である。
任意選択の熱反応活性構成成分
所望により、本発明の硬化性歯科組成物は、例えば、米国特許出願通し番号11/275246(2005年12月20日申請)(名称「熱反応活性構成成分を含む歯科組成物及びその使用(DENTAL COMPOSITIONS INCLUDING A THERMALLY LABILE COMPONENT, AND THE USE THEREOF)」に記載されたような熱的に反応活性の構成成分を含むことができる。
本明細書で使用する時、「熱反応活性構成成分」は、1つ以上の熱的に反応活性の基を含む構成成分(通常は化合物)を指す。本明細書で使用する時、「熱反応活性基」は、基内部の化学結合の実質的な破断を受け(例えば、分光技術観察できる)、高温(すなわち、少なくとも42℃)に加熱と同時に2つ又はそれ以上の別個の基を形成する基を指す。好ましくは、その高温は、200℃以下、より好ましくは150℃以下、更により好ましくは100℃以下、最も好ましくは80℃以下である。化学結合の実質的な破断が構成成分を高温に加熱すると同時に起こるかどうかを測定する好適な方法は、当業者には明らかであろう。好適な方法としては、例えば核磁気共鳴(NMR)分光法(H、13C及び/又は他の適切な原子核を含む)並びに紫外(UV)、可視及び近IR(NIR)分光法を含む赤外線(IR)分光法などの分光法が挙げられる。例えば、H及び/又は13CNMRスペクトルは、構成成分を溶媒(例えばCDCl)中に溶解し、高温に加熱し、所望の温度で構成成分から生じるピークの消滅又は反応生成物から生じるピークの出現を観察することによりNMRチューブ内で簡便に実行できる。
ある実施形態では、本発明の硬化性歯科組成物に使用される熱反応活性構成成分は、好ましくは1つ以上の熱反応活性基を含む硬化性構成成分である。通常は、各熱反応活性基は、複数の(すなわち、2つ又はそれ以上の)硬化性基を結合する多価基である。ある実施形態では、硬化性熱反応活性構成成分は、エチレン性不飽和化合物である。例えば、前記実施形態では、熱反応活性基は、2個のエチレン性不飽和基を結合する二価の基であってもよい。
熱反応活性基は、当該技術分野において周知である。前記基としては、例えば米国特許番号第6,652,970号(エバラーツ(Everaerts)ら)に開示されたような、例えばオキシムエステル類、並びに、例えば米国特許番号第6,825,315号(アウバート(Aubert))、米国特許番号第6,147,141号(イヤー(Iyer)ら)及びPCT国際公開特許WO98/09913(ロテロ(Rotello))に開示されたような環状付加付加物を含む基が挙げられる。
任意選択の熱感応性添加剤
所望により、本発明の硬化性歯科組成物は、例えば米国特許出願通し番号11/275240(2005年12月20日申請)(名称「熱感応性添加剤を含む歯科組成物及びその使用(DENTAL COMPOSITIONS INCLUDING A THERMALLY LABILE COMPONENT, AND THE USE THEREOF)」に記載されたような熱感応性添加剤を含むことができる。
本明細書で使用する時、「熱感応性添加剤」は、添加剤の分解温度未満である温度(例えば、200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、最も好ましくは80℃以下)に加熱すると同時に軟化する添加剤を含むことを表す。具体的には、高温(すなわち、少なくとも42℃)に加熱すると同時に、高温での添加剤の貯蔵弾性率が、室温(例えば、25℃)の添加剤の貯蔵弾性率に比べて減少する。好ましくは、高温での添加剤の貯蔵弾性率は、室温での添加剤の貯蔵弾性率の多くて80%、より好ましくは多くて60%、40%、20%、10%、5%、2%、1%、0.1%又は更に0.01%である。特定温度の物質の貯蔵弾性率を測定する方法は、当該技術分野において周知であり、例えばルディン(Rudin)、「高分子科学及び工学の要素(The Elements of Polymer Science and Engineering)」2版、11章、11頁(1999年)に記載されたものが挙げられる。前記方法は、例えば動的機械分析(DMA)などの技術による動的機械測定を含む。
前記熱感応性添加剤は、通常は42℃〜200℃の範囲内で生じる貯蔵弾性率の減少率の最大値を有する。前記貯蔵弾性率減少率の最大値は、例えば溶解転移(T)、ガラス転移(T)、液晶の固体からスメクチック又はネマチック相転移、液晶の等方性溶解転移及びその類を含む転移に相当することができる。
ある実施形態では、添加剤の分解温度未満の温度(例えば、200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、最も好ましくは80℃以下)に加熱時、熱感応性添加剤を含む硬化歯科組成物の軟化が、所望により、必ずしもというわけではないが同じ条件下で熱感応性添加剤を含まない硬化歯科組成物の場合よりも大きく観察されてもよい。
実施形態によっては、熱感応性添加剤は、高分子であってもよい。さまざまな種類の形態を有する高分子が使用できる。例えば、熱感応性添加剤は、半結晶質高分子、非晶質高分子又はその組み合わせであってもよい。実施形態によっては、熱感応性添加剤は、液晶(例えば、非高分子液晶又は高分子液晶)であってもよい。実施形態によっては、熱感応性添加剤は、ワックス類であってもよい。
有用な半結晶質高分子は、通常は少なくとも42℃の溶解転移温度(T)を有する。有用な半結晶質高分子は、通常は高くても200℃、好ましくは高くても150℃、より好ましくは高くても100℃、最も好ましくは80℃以下の溶解転移温度(T)を有する。
有用な非晶質高分子は、通常は少なくとも42℃のガラス転移温度(T)を有する。有用な非晶質高分子は、典型的に高くても200℃、好ましくは高くても150℃、より好ましくは高くても100℃、最も好ましくは80℃以下のガラス転移温度(T)を有する。
熱感応性添加剤に使用されてよい高分子部類の例としては、ポリ((メタ)アクリル類)、ポリ((メタ)アクリルアミド類)、ポリ(アルケン類)、ポリ(ジエン類)、ポリ(スチレン類)、ポリ(ビニルアルコール類)、ポリ(ビニルケトン類)、ポリ(ビニルエステル類)、ポリ(ビニルエーテル類)、ポリ(ビニルチオエーテル類)、ポリ(ビニルハライド類)、ポリ(ビニルニトリル類)、ポリ(フェニレン類)、ポリ(酸無水物類)、ポリ(カーボネート類)、ポリ(エステル類)、ポリ(ラクトン類)、ポリ(エーテルケトン類)、ポリ(アルキレンオキシド類)、ポリ(ウレタン類)、ポリ(シロキサン類)、ポリ(スルフィド類)、ポリ(スルホン類)、ポリ(スルホンアミド類)、ポリ(チオエステル類)、ポリ(アミド類)、ポリ(アニリン類)、ポリ(イミド類)、ポリ(イミン類)、ポリ(ウレア類)、ポリ(ホスファゼン類)、ポリ(シラン類)、ポリ(シラザン類)、炭水化物類、ゼラチン類、ポリ(アセタール類)、ポリ(ベンゾオキサゾール類)、ポリ(カルボラン類)、ポリ(オキサジアゾール類)、ポリ(ピペラジン類)、ポリ(ピペリジン類)、ポリ(ピラゾール類)、ポリ(ピリジン類)、ポリ(ピロリジン類)、ポリ(トリアジン類)及びこれらの組合せが挙げられる。当業者は、必要以上の実験を行うことなく所望の転移温度を有する高分子を上記部類から選択できる。選択された高分子の溶解転移温度及びガラス転移温度の一覧表については、例えば「高分子便覧(Polymer Handbook)」4版、J.ブランドラップ(Brandrup)ら編集(1999年)を参照のこと。
例えば、「液晶便覧(Liquid Crystals Handbook)」1〜3巻、デマス(Demus)ら編集(1998年)に記載されたものを含む様々な種類の液晶が、熱感応性添加剤に使用されてもよい。好適な液晶は、典型的に少なくとも42℃の等方性転移温度を有する。好適な液晶は、典型的に高くても200℃、好ましくは高くても150℃、より好ましくは高くても100℃、最も好ましくは80℃以下の等方性転移温度を有する。当業者は、必要以上の実験を行うことなく所望の転移温度を有する液晶を選択できる。
液晶の有用な部類としては、例えばビフェニル類(例えば、R−Ph−Ph−CN);テルフェニル類(例えば、R−Ph−Ph−Ph−CN);エステル類(例えば、R−PhC(O)O−Ph−OR’、R−PhC(O)O−Ph−CN及びR−PhC(O)O−Ph−Ph−CN);トラン類(例えば、R−Ph−C≡C−Ph−OR’);シッフ塩基類(例えば、R−Ph−N=CH−Ph−OR’及びR−O−Ph−CH=N−Ph−CN);アゾ化合物類(R−Ph−N=N(O)−Ph−OR’);アゾキシ化合物類(例えば、R−Ph−N=N(O)−Ph−OR’);及びスチルベン類(例えば、R−Ph−C(Cl)=CH−Ph−OR’)(式中、R及びR’は、独立してアルキル基を表し、Rは、好ましくはより高級アルキル基、典型的に少なくともC7アルキル基及びしばしば少なくともC12アルキル基であり、R’は、低級アルキル基及び典型的にC1又はC12アルキル基である)が挙げられる。
熱感応性添加剤に使用されてよいワックス類の例としては、パターンワックス、ベース−プレートワックス、シートワックス、印象材ワックス、スタディワックス、ポリカプロラクトン、ポリビニルアセテート、エチレンビニルアセテートコポリマー、ポリエチレングリコール、長鎖アルコール類(例えば、ベヘニルアクリレート)を有するカルボン酸のエステル類、長鎖アルコール類(例えば、蜜ろう、非高分子ワックス)を有する長鎖カルボン酸のエステル類、石油ワックス類、酸化ポリエチレンワックス(例えば、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)のクラリアント社(Clariant Corp.)から商品名セリダスト(CERIDUST)3731として入手可能なワックス)、微粉化、極性、高密度ポリエチレンワックス(例えば、ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)のクラリアント社(Clariant Corp.)から商品名セリダスト(CERIDUST)3731として入手可能なワックス)、カルナウバワックス(例えば、オハイオ州シンシナティ(Cincinnati)のミシェルマン社(Michelman Incorporated)から商品名ミワックス(MIWAX)として入手可能なワックス)及びそれらの組合せ(例えば、微晶性ワックス類、カルナウバワックス、セレシン及び蜜ろうの2つ又はそれ以上を含むブレンド類)などのがワックス類が挙げられる。有用なワックス類は、オリゴマー又は高分子であってもよい。有用なワックス類は、マクロ結晶又は微結晶質、天然又は合成であってもよく、それらは、官能基(例えば、カルボキシル、アルコール、エステル、ケトン及び/又はアミド基)を含有していてもよい。好適なワックス類は、室温(例えば、25℃)で又は室温を超えて及び典型的に40℃で又は40℃を超えて、しばしば50℃で又は50℃を超えて溶解する。好適なワックス類は、典型的に低い溶解温度(例えば、200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、更により好ましくは90℃以下、最も好ましくは80℃以下)を有する。好適なワックス類は、様々な種類の物理特性を有することができる。例えば、室温で好適なワックス類の物理特性は、混練可能から硬い又は脆いまで、粗粒から結晶まで、及び/又は透明から不透明(透明が望ましい状態で)までの範囲にわたることができる。
任意選択の放射線−熱変換体
所望により、本発明の硬化性歯科組成物は、例えば米国特許出願通し番号11/275243(2005年12月20日申請)(名称「放射線−熱変換体を含む歯科組成物及びその用途(DENTAL COMPOSITIONS INCLUDING RADIATION-TO-HEAT CONVERTERS, AND THE USE THEREOF)」に記載されたような放射線−熱変換体を含むことができる。放射線−熱変換体を含む硬化歯科組成物は、組成物を放射線照射することにより硬化歯科組成物を加熱できる。
放射線−熱変換体は、典型的に入射光を吸収する放射線吸収体であり、入射光の少なくとも一部(例えば、少なくとも50%)を熱に変換する。実施形態によっては、放射線−熱変換体は、電磁スペクトルの赤外、可視又は紫外領域の光を吸収し、吸収した放射線を熱に変換できる。他の実施形態では、放射線−熱変換体は、高周波(RF)放射線を吸収し、吸収した放射線を熱に変換できる。放射線吸収体は、典型的に選択された撮像放射線を高度に吸収する。
例えば、有機化合物、無機化合物及び金属有機化合物を含む様々な種類の放射線−熱変換体が使用されてもよい。前記放射線−熱変換体としては、例えば染料類(例えば、可視染料類、紫外染料類、赤外染料類、蛍光染料類及び放射線偏光染料類)、顔料類、金属類、金属化合物類、金属フィルム類及びその他の好適な吸収性物質類を挙げることができる。有機及び金属有機染料類の多くが、「赤外吸収性染料(Infrared Absorbing Dyes)」マツオカ・マサル(Masaru Matsuoka)編集、プリーナム・プレス(Plenum Press)(ニューヨーク、1990年)に記載されている。これらの染料類の部類としては、アゾ染料類、ピラゾロンアゾ染料類、メチン及びシアニン染料類、ポルフィリン染料類、フタロシアニン染料類、アントラキノン類及びナフトキノン(naphthaquinone)類などのキニーネ染料類、ピリリウム及びスクアリリウム染料類、アミニウム及びジイモニウム染料類が挙げられる。米国特許番号第6,795,177号(シマダ(Shimada)ら)も参照のこと。放射線−熱変換体は、例えば特定の硬化性歯科組成物又はその溶媒中での溶解度及び/又はそれとの相溶性並びに吸収の波長範囲を含む特性に基づき当業者により所望のように選択されてもよい。典型的に、染料類及び/又は顔料類は、電磁スペクトルの赤外、可視又は紫外領域の光を吸収する放射線−熱変換体として使用されるのが好ましい。
いくつかの実施形態については、近赤外(NIR)吸収性顔料類及び/又は染料類は、NIR放射線を照射することにより加熱できるようにするため放射線−熱変換体として使用されることが好ましい。前記NIR吸収性物質は、典型的に750ナノメートルを超える波長、しばしば800、850又は更に900ナノメートルを超える波長で吸収する。前記NIR吸収性物質は、典型的に2,000ナノメートル未満、しばしば1500、1200又は更に1,000ナノメートル未満で吸収する。
様々な種類の顔料類及び/又は染料類が、NIR吸収性放射線−熱変換体として使用できる。有用な顔料類としては、例えばインジウム酸化スズ(ITO)、アンチモン酸化スズ(ATO)、その他の酸化スズ顔料類、ヘキサホウ化ランタン(LAB)、ポルフィリン及びフタロシアニン顔料類、チオインジゴ顔料、カーボンブラック、アゾ顔料類、キナクリドン顔料類、ニトロソ顔料類、天然、並びにアジン顔料類が挙げられる。有用な染料類としては、例えばNIR吸収性シアニン染料類、NIR吸収性アゾ染料類、NIR吸収性ピラゾロン染料類、NIR吸収性フタロシアニン染料類、NIR吸収性アントラキノン及びナフトキノン(naphthaquinone)染料類、ニッケル又は白金ジチオレン錯体類、スクアリリウム(squarilium)染料類、カルボニウム染料類、メチン染料類、ジインモニウム(diimonium)染料類、アミニウム染料類、クロコニウム(croconium)染料類、キノンイミン染料類、及びシグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)(ミズーリ州セントルイス(St. Louis)又はエポリン社(Epolin Inc.)(ニュージャージー州ニューアーク(Newark))から商品名IR−27及びIR−140として入手可能なものなどのピリリウム染料類が挙げられる。
実施形態によっては、放射線−熱変換体は、高周波(RF)吸収性磁気セラミック粉末であってもよく、RF放射線を照射することにより加熱できる。代表的なラミック粉末としては、ナショナル・マグネティック・グループ(National Magnetics Group)(ペンシルベニア州ベツレヘム(Bethlehem))から商品名フェライト(FERRITE)N23として入手可能な、例えば1.0マイクロメートルの記載平均粒径及び95℃のキューリー温度(T)を有するNiZnフェライト;及びナショナル・マグネティック・グループ(National Magnetics Group)(ペンシルベニア州ベツレヘム(Bethlehem))から商品名フェライト(FERRITE)Rとして入手可能な、例えば1.0マイクロメートルの記載平均粒径及び90℃のキューリー温度(T)を有するMg−Mn−Zn混合フェライトが挙げられる。前記セラミック粉末は、高周波(RF)放射線を吸収でき、それにより温度が増加する。記載キューリー温度でフェライトは、もはやRF放射線を吸収せず、温度が上昇し続けることになる。この発明に有用な典型的なRF放射線は、10μW/cm〜100μW/cmの強度範囲と10KHz〜10KHz(10 KHz to 10 KHz)の周波数を有する。
種々の任意選択の添加剤
任意に、本発明の組成物は、溶媒(例えば、アルコール(例えば、プロパノール、エタノール)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル)、他の非水性溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1−メチル−2−ピロロリジノン))、及び水を含有してもよい。
必要であれば、本発明の組成物は、指示薬(indicators)、染料、顔料、阻害剤、促進剤、粘度調整剤、湿潤剤、緩衝剤、安定剤、及び当業者に明らかであろう他の類似成分のような添加剤を含有できる。粘度調整剤は、熱感応性粘度調整剤(例えば、BASFワイアンドット社(BASF Wyandotte Corporation)、ニュージャージー州パーシパニー(Parsippany)から入手可能なプルロニック(PLURONIC)F−127及びF−108等)を含み、調整剤上の重合可能な部分又は調整剤と異なる重合性成分を任意に含んでもよい。このような熱感応性粘度調整剤は、米国特許第6,669,927号(トロム(Trom)ら)及び米国特許公開第2004/0151691号(オクスマン(Oxman)ら)に記載されている。
さらに、薬剤又は他の治療用物質を、任意に歯科組成物に添加することができる。例としては、歯科組成物に使用されることが多い種類の、フッ化物源、増白剤、抗う歯剤(例えば、キシリトール)、カルシウム源、リン源、無機成分補給剤(例えば、リン酸カルシウム化合物)、酵素、息清涼剤、麻酔剤、凝固剤、酸中和剤、化学療法剤、免疫反応変性剤、チキソトロピー剤、ポリオール、抗炎症剤、抗菌剤(抗菌性脂質成分に加えて)、抗真菌剤、口腔乾燥症治療剤、減感剤等が挙げられるが、これらに限定されない。また、上記の添加剤のいずれかの組合せを採用してもよい。いずれか一つのこうした添加剤の選択及び量は、過度の実験をせずに望ましい結果をもたらすために、当業者により選択され得る。
方法
本発明の硬化性及び硬化歯科組成物(例えば、ある実施形態では酸発生構成成分と1つ以上の酸反応性基を含有する酸反応性構成成分を含む組成物)は、歯牙構造に付着(すなわち固着)可能な物質を利用する種々の歯科及び歯科矯正用途に使用されてもよい。好ましい用途は、硬化歯科組成物が、ある時点で歯牙構造から取り外されることが望まれる用途である。そのような硬化性及び硬化歯科組成物の用途は、例えば、接着剤類(例えば、歯科及び/又は歯科矯正接着剤類)、セメント類(例えば、ガラスアイオノマーセメント類、樹脂変性ガラスアイオノマーセメント類及び歯科矯正セメント類)、修復材類、ライナー類、シーラント類(例えば歯科矯正シーラント類)、コーティング類及びこれらの組み合わせとしての用途を含む。
前記硬化性又は硬化歯科組成物の1つの好ましい用途としては、歯科矯正装具を歯牙構造に付着することが挙げられる。そのベース上に本発明の硬化性又は硬化歯科組成物を有する歯科矯正装具に関する代表的な実施形態を図1〜6に示す。尚、前記実施形態の場合、施術者は、硬化性歯科組成物を歯科矯正装具のベースに適用し、所望によりその後組成物を硬化できる。或いは、そのベース上に硬化性(又は硬化)歯科組成物を有する歯科矯正装具は、例えば製造者により「プレコートされた」歯科矯正装具として供給されてもよい。更に他の実施形態では、施術者は、硬化性歯科組成物(例えば、歯科矯正プライマー)を歯牙構造に適用し、所望により組成物を硬化し、その後歯科矯正装具(典型的にその上に硬化性歯科矯正接着剤を有する)を歯牙構造に付着できる。
図1及び2において、代表的な歯科矯正装具は、符号数字10により示され、ブラケットであるが、バッカルチューブ、ボタン及びその他の付属物などの他の装具も有り得る。装具10は、ベース12を含む。装具10は、ベース12から外側に延在する本体14も有する。ベース12は、金属、プラスチック、セラミック及びこれらの組み合わせから作製されるフランジであってもよい。ベース12は、細かいワイヤスクリーンなどのメッシュ状構造を含むことができる。ベース12は、粒子(破片、粗粒子、球体又は所望により下方切り込みを含む他の構造体等)を含むことができる。或いは、ベース12は、1つ以上の硬化歯科組成物層(例えば、本発明の硬化歯科組成物、硬化歯科矯正接着剤、硬化歯科矯正プライマー又はその組合せ)から形成されるあつらえのベースであってもよい。留め具翼16が本体14に接続され、アーチワイヤスロット18が空間を通って留め具翼16の間に延在する。ベース12、本体14及び留め具翼16は、口腔に使用されて好適で、治療時加えられる矯正力に耐える十分な強度を有する多数の材料のいずれか1つから作製されてもよい。好適な材料としては、例えば金属材料(ステンレス鋼等)、セラミック材料(単結晶又は多結晶アルミナ)及びプラスチック材料(繊維強化ポリカーボネート等)が挙げられる。所望により、ベース12、本体14及び留め具翼16は、単一構成要素として一体型で作製される。
図1及び2に示した代表的な実施形態において、典型的には歯科矯正接着剤、歯科矯正プライマー又は歯科矯正シーラントである本発明22(以下「組成物層22」)の硬化性又は硬化歯科組成物の層は、装具10のベース12全体にわたって延在する。組成物層22は、全体的に又は少なくとも部分的に作用し、十分な強度を有する固着により患者の歯に装具10を確実に固定し、治療の間歯からの意図しない脱離に耐える。1つの実施形態において、組成物層22は、製造者により装具10のベース12に適用される。歯科矯正装具10は、所望により組成物層22と接触する歯科組成物の追加の層(例えば、歯科矯正接着剤、歯科矯正プライマー又はその組合せ、図1及び2に示していない)を含み得ることが理解されるべきである。具体的には、前記追加の層は、ベース12と組成物層22の間、ベース12と対向する組成物層22の上、又は両方であってもよい。前記層は、同じ領域をカバーしても又はしなくてもよく、独立して接着剤22の全体にわたって又は一部に延在する不連続(例えば、パターン化された層)又は連続(例えば、非パターン化)した材料であってもよい。前記追加の層を含む代表的な装具を図4〜6に示す。
本明細書に記載したような複合硬化性又は硬化歯科組成物層を含む歯科矯正装具は、当業者に既知の方法により調製されてもよい。好適な方法は、例えば、組成物の層を装具又は基材に適用、分与又は転写する工程を含む。複合層は、同時に又は順次適用されてもよい。
硬化性歯科組成物の複合層を歯科矯正装具又は基材に適用する有用な方法としては、例えば、アシムテク(Asymtek)(カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad))から商品名オートムーブ(AUTOMOVE)として入手可能なものなどの自動流体分与システムの使用が挙げられる。前記自動流体分与システムは、パターン化及び非パターン化層の両方を分与するのに有用である。他の有用なシステムとしては、例えば、米国特許番号第6,513,897号(トキー(Tokie))、米国特許出願番号2005/0136370A1(ブレナン(Brennan)ら)に記載されたような、例えばピストン分与システム及び多重解像度流体アプリケータが挙げられる。
硬化性歯科組成物層を歯科矯正装具又は基材に適用すると、装具又は基材は、容器内に簡便にパッケージできる。代表的な容器は、当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許番号第5,172,809号(ヤコブス(Jacobs)ら)及び米国特許番号第6,089,861号(ケリー(Kelly)ら)に開示されている。
図3について説明すると、その上のベースにコーティングされた硬化性歯科組成物層を有する歯科矯正装具42を含むパッケージ化された物品40の代表的な実施形態が示されている。パッケージ44は、容器46及びカバー48を含む。最初に提供されるとき容器46に取り外し可能に接続されるカバー48は、容器46から剥離され、歯科矯正装具42を取り外すためパッケージを開く。図3において、カバー48は、パッケージ44を部分的に開くため容器46からの剥離がもとに戻されている。
好ましい実施形態では、パッケージは、長時間後でも硬化性歯科組成物(例えば、光硬化性材料)の分解に対して優れた保護を提供する。前記容器は、接着剤に色変化特徴を付与する染料を保護するのに特に有用である。前記容器は、好ましくは幅広いスペクトル範囲にわたり化学線の通過を有効にブロックし、その結果、組成物は、貯蔵時早期に色を失わない。
好ましい実施形態では、パッケージは、ポリマーと金属粒子を含む容器46を包含する。例として、容器46は、アルミニウム充填剤が配合され、例えば米国特許出願番号2003/0196914A1(ツゾウ(Tzou)ら)に開示されたようなアルミニウム粉末コーティングを受容するポリプロピレンから作製されてもよい。ポリマーと金属粒子の組合せは、色変化染料に対する、そのような染料は光に対して高度に敏感であることが知られているが、化学線の通過を非常に有効にブロックする。前記容器は、良好な蒸気バリア性も示す。その結果、硬化性歯科組成物のレオロジー特性は、長時間にわたって変化しない。例えば、前記容器の改善された蒸気バリア性は、接着剤の処理性の悪化に対する実質的な保護を提供する、そのため組成物は、早期に硬化若しくは乾燥しない、さもなければ不十分な状態になる。前記容器の好適なカバー48は、組成物が早期に硬化しないように化学線の透過に対して実質的に不透明な任意の材料から作製されてもよい。カバー48の好適な材料の例としては、アルミホイルとポリマーの積層体が挙げられる。例えば、積層体は、ポリエチレンテレフタレート、接着剤、アルミホイル、接着剤及び配向ポリプロピレンの層を含んでもよい。
実施形態によっては、その上に本発明の硬化性歯科組成物を含むパッケージ化された歯科矯正装具は、例えば米国特許番号第6,183,249号(ブレナン(Brennan)ら)に記載されたような剥離基材を含んでもよい。
他の実施形態では、その上に本発明の硬化性歯科組成物を含むパッケージ化された歯科矯正装具は、剥離基材を含まなくてもよい。1つの実施形態において、パッケージは、内面を有する1つの凹部を備える基材を含む。パッケージは、組成物層が凹部から装具を取り外すと同時に装具から分離しないように歯科矯正装具を凹部内に位置決めする手段を含む。好ましくは、パッケージは、更に凹部用カバー及びカバーを基材と接触して維持する手段を含む、ここで歯科矯正装具を位置決めする手段は、組成物層が凹部の内面と接触しないように装具を凹部内に吊す手段を含む。前記パッケージが、例えば、米国特許番号第5,172,809号(ヤコブス(Jacobs)ら)に開示されている。
別の実施形態では、歯科矯正装具は、装具を歯牙構造に固着するベースと、ベースから延在する本体と、本体から離れて延在する少なくとも2つの対向する留め具翼とをを有する。ベース及び留め具翼の少なくとも1つが、本体を通って歯肉の方向に延在し、歯肉凹部を提供する。ベース及び留め具翼の少なくとももう一方が、本体を通って噛み合せ方向に延在し、噛み合せ凹部を提供する。パッケージは、互いに対して延在する一対のアームを有するキャリアを含む。アームのそれぞれが、外端部分を有し、外端部分は、互いに離れて間隔をおいて配置され、それらの間にチャネルを提供する。歯科矯正装具は、チャネル内に位置決めされ、噛み合せ凹部内に延在する外端部分の1つと歯肉凹部内に延在する外端部分のもう一方を有するアームで支持される。前記歯科矯正装具及びパッケージは、例えば、米国特許番号第6,089,861号(ケリー(Kelly)ら)に記載されている。
実施形態によっては、パッケージ化された物品は、一組の歯科矯正装具を含むことができ、そこで装具の少なくとも1つは、その上に本発明の硬化性歯科組成物を有する。物品の及び装具の組の追加の例が、米国特許出願番号2005/0133384A1(シナダー(Cinader)ら)に記載されている。パッケージ化された歯科矯正装具が、例えば、米国特許出願番号2003/0196914A1(ツゾウ(Tzou)ら)、米国特許番号第4,978,007号(ヤコブス(Jacobs)ら)、米国特許番号第5,015,180号(ランドクレブ(Randklev))、米国特許番号第5,328,363号(チェスター(Chester)ら)及び米国特許番号第6,183,249号(ブレナン(Brennan)ら)に記載されている。
その上に本発明の硬化性歯科組成物を有する歯科矯正装具は、当該技術分野において周知である方法(例えば、直接又は関接固着法)を使用して歯牙構造に固着されてもよい。歯科矯正装具を歯牙構造に適用すると同時に本発明の硬化性歯科組成物を硬化し、歯科矯正装具を歯牙構造に付着してもよい。組成物を硬化する種々の好適な方法は、当該技術分野において既知である。例えば、実施形態によっては、硬化性歯科組成物は、UV又は可視光線に暴露することにより硬化されてもよい。他の実施形態では、硬化性歯科組成物は、2つ又はそれ以上の部分を組合せると同時に硬化する多部分組成物として提供されてもよい。
所望の場合、典型的に歯科矯正治療プロセスの完了と同時に施術者は、歯牙構造から歯科矯正装具を取り外す必要がある。本発明の硬化歯科組成物は、放射線照射及び所望により加熱と同時に固着強度を減少させ、歯科矯正装具ばかりではなく装具を取り外した後歯牙構造上に残った全ての硬化歯科組成物を簡便に取り外すことができるように設計されている。
硬化性歯科組成物が光化学的に固化される実施形態の場合、固着強度を減少させるため光化学固化及び放射線照射(及び所望により加熱)が、例えば放射線の異なる波長を使用し行われてもよい。例えば、酸発生剤は、例えば本明細書に包含された実施例の項に記載されたような放射線の所望の波長で光増感されてもよい。
硬化歯科組成物は、レーザでの加熱、温水、電熱剥離装置、加熱ゲルトレイ、並びに当該技術分野において既知のその他の方法を含むがこれらに限定されない、任意の簡便な方法により加熱されてもよい。
或いは、放射線−熱変換体を含む硬化歯科組成物の場合、硬化歯科組成物は、所望により放射線−熱変換体により吸収される放射線を照射することにより加熱されてもよい。例えば、レーザ類、半導体レーザ類、石英−タングステン−ハロゲンランプ類、水銀ランプ類、ドープ水銀ランプ類、重水素ランプ類、プラズマアークランプ類、LED源類、及び当該技術分野において既知のその他の発生源を含む様々な種類の放射線が使用できる。
硬化歯科組成物は、所望により固着強度を減少させ、歯牙構造から歯科矯正装具を簡便に取り外すことができる十分な時間便利な温度に加熱されてもよい。好ましくは、温度及び時間は、例えば、ザッハ(Zach)ら、「歯内治療学(Endodontics)」、編集者ベンダー(Bender)、515〜530頁(1965年)に記載されたように歯牙構造に対する損傷を防止するよう選択される。ラウファー(Laufer)ら、生体機械工学雑誌(Journal of Biomechanical Engineering)、107巻、234〜239頁(1985年)、ラウナイ(Launay)ら、外科手術及び医学におけるレーザ(Lasers in Surgery and Medicine)、7巻473〜477頁(1987年)、アゼ(Azzeh)ら、歯科矯正及び歯牙顔面整形外科の米国雑誌(American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics)、123巻、79〜83頁(2003年)、及びウイサル(Uysal)ら、アングル歯列矯正医(Angle Orthodontist)、75巻、220〜225頁(2005年)も参照のこと。典型的に、歯科組成物を迅速に加熱する加熱技術を使用することにより、より高い温度が、歯牙構造を損傷することなくより短い持続時間使用されてもよい。
ある実施形態では、硬化歯科組成物の少なくとも一部及び好ましくは全体が、所望により少なくとも42℃、しばしば少なくとも50℃、それ以外の場合少なくとも70℃に加熱される。典型的に、硬化歯科組成物は、高くても200℃、しばしば高くても150℃、それ以外の場合高くても100℃及び更にれ以外の場合高くても80℃に加熱される。選択された温度は、所望の固着強度の減少が生じるのに十分な時間維持される。ある実施形態では、時間は、長くても10分、しばしば長くても10秒、それ以外の場合長くても1秒である。固着強度の減少は、典型的に硬化組成物内部の破壊をもたらす。
実施形態によっては、歯科矯正装具は、追加の歯科組成物層を含む。前記追加の歯科組成物層としては、例えば未硬化又は硬化歯科組成物(例えば、ある実施形態では、従来の歯科組成物は、酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含まない)を挙げることができる。追加の層の包含は、例えば、本明細書で下記に記載されるように破壊が歯科矯正装具の剥離時に歯牙構造から起こる場合に影響を及ぼす場合がある。
例えば、図4は、歯科矯正装具が、組成物層22と接触した1つの追加の歯科組成物層24を有する実施形態を示す。組成物層22は、本発明の未硬化又は硬化歯科組成物のいずれであってもよい。追加の層24は、ベース12と対向する組成物層22上にある。追加の層24は、典型的に未硬化歯科組成物(例えば、歯科矯正接着剤、歯科矯正プライマー又はそれらの組み合わせ)である。歯科矯正装具10を歯牙構造に適用すると同時に、追加の層24(及び既に硬化されていない場合は組成物層22)は、歯科矯正装具を歯牙構造に付着するため本明細書で上記したような種々の方法により硬化されてもよい。
実施形態によっては、追加の層24は、その上に組成物層22を有する歯科矯正装具が歯牙表面に付着される前に歯牙構造にコーティングされる(及び所望により硬化される)硬化性歯科矯正プライマーであってもよい。
歯科矯正治療の完了と同時に、硬化組成物層22の少なくとも一部は、放射線照射され及び所望により加熱され、固着強度を減少させ、好ましくは歯科矯正装具を取り外すと同時に放射線照射された組成物層22内での破壊を可能にする。組成物層22内での破壊は、歯科矯正装具に近接した及び歯牙構造から離れた破壊をもたらす。更に、放射線照射され及び所望により加熱された硬化歯科組成物層22(例えば、歯科矯正接着剤)は、典型的により低い弾性率を有し、従って軟化剤であり、硬化組成物の全ての残部のより容易な清掃及び/又は取り外しを可能にする。従って、歯科矯正治療後、図4の1つの実施形態では、組成物層22及び追加の層24が両方共硬化歯科矯正接着剤である。別の実施形態では、組成物層22が、硬化歯科矯正接着剤であり、追加の層24が、硬化歯科矯正プライマーである。
図5は、歯科矯正装具10が、組成物層22と接触した1つの追加の歯科組成物層20を有する別の実施形態を示す。追加の層20は、ベース12と組成物層22の間にある。追加の層20は、典型的に未硬化又は硬化歯科組成物(例えば、歯科矯正接着剤、歯科矯正プライマー又はそれらの組み合わせ)である。組成物層22は、典型的に硬化されていない。歯牙構造に歯科矯正装具10を適用すると同時に、組成物層22(及びすでに硬化されていない場合は追加の層20)は、歯科矯正装具を歯牙構造に付着するため本明細書で上記したような種々の方法により硬化されてもよい。
実施形態によっては、組成物層22は、その上に追加の層20を有する歯科矯正装具が歯牙表面に付着される前に歯牙構造にコーティングされる(及び所望により硬化される)硬化性歯科矯正ライマーであってもよい。
歯科矯正治療の完了と同時に、硬化組成物層22の少なくとも一部は、放射線照射され及び所望により加熱され、固着強度を減少させ、好ましくは歯科矯正装具を取り外すと同時に放射線照射された組成物層22内での破壊を可能にする。放射線照射された組成物層22内での破壊は、歯牙構造に近接した破壊をもたらす。組成物層22が歯科矯正プライマーであり、追加の層20が歯科矯正接着剤である実施形態の場合、硬化歯科矯正接着剤は、取り外された歯科矯正装具上に実質的に保持される。本明細書で使用する時、「取り外された歯科矯正装具上に実質的に保持される」は、歯科矯正接着剤の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも75重量%が取り外された歯科矯正装具上に保持されることを表わす。硬化歯科矯正接着剤が、取り外された歯科矯正装具上に実質的に保持される場合、歯牙構造上に残る全ての接着剤の清掃及び取り外しはより簡便になる、というのは、より少ない接着剤が歯牙構造に残るからである。更に、歯牙構造上に残る全ての組成物は、好ましくは実質的に本発明の硬化歯科組成物であり、所望により加熱され組成物を軟化できる、それによりより容易な接着剤取り外しが可能となる。従って、歯科矯正治療後、図5の1つの実施形態は、組成物層22及び追加の層20が両方共硬化歯科矯正接着剤の場合である。別の実施形態では、組成物層22は、硬化歯科矯正プライマーであり、追加の層20は、硬化歯科矯正接着剤である。
別の実施例の場合、図6は、歯科矯正装具10が、組成物層22と接触した2つの追加の歯科組成物層(20及び24)を有する実施形態を示す。追加の層20は、ベース12と組成物層22の間にある。追加の層20は、典型的に未硬化又は硬化歯科組成物(例えば、歯科矯正接着剤、歯科矯正プライマー又はそれらの組み合わせ)である。組成物層22は、硬化されなくても又は硬化されてもよい。追加の層24は、ベース12と対向する組成物層22上にある。追加の層24は、典型的に未硬化歯科組成物(例えば、歯科矯正接着剤、歯科矯正プライマー又はそれらの組み合わせ)である。歯科矯正装具10を歯牙構造に適用すると同時に、追加の層24(及び既に硬化されていない場合は組成物層22及び追加の層20)は、歯科矯正装具を歯牙構造に付着するため本明細書で上記したような種々の方法により硬化されてもよい。
実施形態によっては、追加の層24は、その上に追加の層20及び組成物層22を有する歯科矯正装具が歯牙表面に付着される前に歯牙構造にコーティングされる(及び所望により硬化される)硬化性歯科矯正ライマーであってもよい。
歯科矯正治療の完了と同時に、硬化組成物層22の少なくとも一部は、放射線照射され及び所望により加熱され、固着強度を減少させ、好ましくは歯科矯正装具を取り外すと同時に放射線照射された組成物層22内での破壊を可能にする。放射線照射された組成物層22内での破壊は、歯科矯正装具と歯牙構造の間ではあるが安全にそれらから離れて破壊をもたらす。従って、歯科矯正治療後、図6の1つの実施形態は、組成物層22並びに追加の層20及び24が全て硬化歯科矯正接着剤の場合である。別の実施形態では、組成物層22が、硬化歯科矯正接着剤であり、追加の層20及び24が、硬化歯科矯正プライマーである。
追加の層又は層の配列が存在する更なる実施形態が考えられることが理解される。更に、各層の厚さは、所望により個々に変更されてもよい。更に、本発明の歯科組成物は、明確に画定された層内だけに存在する必要はなく、歯科矯正装具のベース上に存在する層の全てにわたって又は一部に、均一に又は不均一に分布し存在してもよい。
本発明の目的及び利点は、下記の実施例によって更に例示されるが、これらの実施例において列挙された特定の物質及びその量は、他の諸条件及び詳細と同様に本発明を過度に制限するものと解釈すべきではない。指示がない限り、全ての部及びパーセントは重量基準であり、全ての水は脱イオン水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。
試験方法
ガラス試験法Aの剪断固着強度
歯科矯正ブラケットを熱固着又は光固着手順のいずれかによりガラススライド表面に固着し、次に、実施例2〜7に記載するように剥離のためUVA又は可視光線を照射した。光照射し固着したブラケット(更に非照射固着ブラケット対照試料)をその後5分間100℃で平衡にされたオーブンと500−Nロードセルを備えたインストロン(Instron)R5500機器(マサチュセッツ州カントン(Canton)、インストロン社(Instron Corp.))を使用しガラススライドから剥ぎとった。ひずみを0.5cm/分で与え、10データポイント(dpts)/秒でデータを収集した。データをlb−f単位で記載し、次に単位面積当たりの力(MPa)に変換した。それぞれの実験は、少なくとも4個の複製を包含した。
従って、付着したブラケットを表面から剥離する一般的な手順は、おおむね室温で接着剤固着に放射線照射し、その後約100℃で固着強度を測定することであった。
ガラス試験法Bの剪断固着強度
歯科矯正ブラケットを光固着手順によりガラススライド表面に固着し、次に、実施例10に記載するように剥離のためUVA照射した。UVA照射し固着したブラケット(更に非UVA照射固着ブラケット対照試料)を予め平衡にした100℃に保持されたオーブン内に5分間定置し、室温に10分間冷却させた。次に、全てのブラケットを500−Nロードセルを備えたインストロン(Instron)R5500機器(マサチュセッツ州カントン(Canton)、インストロン社(Instron Corp.))を使用しガラススライドから剥ぎとった。ひずみを0.5cm/分で与え、10データポイント(dpts)/秒でデータを収集した。データをlb−f単位で記載し、次に単位面積当たりの力(MPa)に変換した、それぞれの実験は、6個の複製を包含した。
ガラス試験法Cの剪断固着強度
歯科矯正ブラケットを光固着手順によりガラススライド表面に固着し、次に、実施例11に記載するように剥離のためUVA照射した。UVA照射し固着したブラケット(更に非UVA照射固着ブラケット対照試料)を予め平衡にした70℃に保持されたオーブン内に3分間定置し、室温に15分間冷却させた。次に、全てのブラケットを500−Nロードセルを備えたインストロン(Instron)R5500機器(マサチュセッツ州カントン(Canton)、インストロン社(Instron Corp.))を使用しガラススライドから剥ぎとった。ひずみを0.5cm/分で与え、10データポイント(dpts)/秒でデータを収集した。データをlb−f単位で記載し、次に単位面積当たりの力(MPa)に変換した、それぞれの実験は、10個の複製を包含した。
歯群試験法Aの剪断固着強度
歯科矯正ブラケットを光固着手順によりウシ歯群表面に固着し、実施例8に記載するように剥離のため試料の約半分をUVA光照射した。剥離のため、全ての試料は、その内部青色光金属化フィルターが取り外された状態で改善されたリテマ・アストラル(Litema Astral)照明銃(ドイツ、バーデン−バーデン(Baden-Baden)、リテマデンタル(Litema Dental))で20秒照射期間照射された。照射期間の間、照明銃を固着ブラケットの上部にゆっくり押し付け、接着層(近赤外(NIR)吸収剤TRB SH7080を含有する)の温度を約100℃に上昇させた。照射直後、UVA光照射、固着したブラケット(更に非UVA照射固着ブラケット対照試料)を500−Nロードセルを備えたインストロン(Instron)R5500機器(マサチュセッツ州カントン(Canton)、インストロン社(Instron Corp.))を使用し歯群表面から剥ぎとった。ひずみを0.5cm/分で与え、10データポイント(dpts)/秒でデータを収集した。データをlb−f単位で記載し、次に単位面積当たりの力(MPa)に変換した。それぞれの実験は、少なくとも6又は7個の複製を包含した。
歯群試験法の剪断固着強度
歯科矯正ブラケットを光固着手順によりウシ歯群表面に固着し、実施例12に記載するように剥離のため試料の約半分をUVA光照射した。剥離のため、全ての試料は、その内部青色光金属化フィルターが取り外された状態で改善されたリテマ・アストラル(Litema Astral)照明銃(ドイツ、バーデン−バーデン(Baden-Baden)、リテマデンタル(Litema Dental))で20秒照射期間照射された。照射期間の間、照明銃を固着ブラケットの上部にゆっくり押し付け、接着層(近赤外(NIR)吸収剤TRB SH7080を含有する)の温度を約100℃に上昇させた。照射直後、UVA光照射、固着したブラケット(更に非UVA照射固着ブラケット対照試料)を500−Nロードセルを備えたインストロン(Instron)R5500機器(マサチュセッツ州カントン(Canton)、インストロン社(Instron Corp.))を使用し歯群表面から剥ぎとった。ひずみを0.5cm/分で与え、10データポイント(dpts)/秒でデータを収集した。データをlb−f単位で記載し、次に単位面積当たりの力(MPa)に変換した。それぞれの実験は、4又は5個の複製を包含した。
Figure 2009520819
出発原料の調製
t−BOCDMA
t−BOCDMAを調製する代表的な方法の略図を図7に示す。簡単にいうと現位置で分離又は調製のいずれかが行われた2−(クロロホルミル)エチルメタクリレートを本明細書に以下に記載するように2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジオールと反応させる。
2−(クロロホルミル)エチルメタクリレートの合成及び分離HEMA(7.24g)と乾燥ピリジン(6.5mL、水素化カルシウムから蒸留)の溶液を乾燥トルエン(50mL、JTベイカー(Baker))中氷浴内で窒素下攪拌することにより調製した。この溶液にトルエン(36mL、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))中ホスゲン溶液を攪拌しながら滴状添加した。直ちに無色の沈殿を形成した。混合物を2時間攪拌し、ドラフト内で真空濾過し、無色のろ液を生成した。ろ液をドラフト内でロータリーエバポレーターを使用し蒸発・乾燥し、青黄色油を生成した。油を真空ポンプ(<667Pa(<5Torr))を使用し更に乾燥した。収量は6.35gであり、プロトンNMRにより構造が2−(クロロホルミル)エチルメタクリレートであることを確認した。
2−(クロロホルミル)エチルメタクリレート(現位置でトリホスゲン及びHEMAから調製される)と2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジオールの反応から誘導されるモノメタクリレートエステル(化合物A)の合成及び精製塩化メチレン(150mL、JTベイカー(Baker))中トリホスゲン(3.9l、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))の溶液を攪拌しながら氷浴内窒素下で調製した。乾燥ピリジン(3.2mL、水素化カルシウムから蒸留)を攪拌しながら溶液に滴状添加した。発熱反応が起こり、溶液は、一部沈殿を有し黄色に変化した。30分間攪拌後、溶液は、透明な黄色に変化した。溶液を氷浴内で冷却し、塩化メチレン(10mL)中HEMA(5.11g)を滴状添加した。30分攪拌後、3.2mLの別の乾燥ピリジンを滴状添加し、その後直ちに2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジオール(2.87g、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))を添加した。得られた青黄色溶液を30分攪拌し、その後ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を取出した。得られた青黄色混合物を空気中で1時間トルエン(100mL)内で攪拌し、真空濾過した。回転蒸発で黄色油を生成し、それを液体クロマトグラフィー(SiO、ヘキサン:酢酸エチルが10:35%勾配)により精製し、化合物A(3.05g)を生成した。プロトンNMRにより化合物Aの構造が2−(クロロホルミル)エチルメタクリレートと2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジオールの2−ヒドロキシ5−モノ(メタクリレートエステル)反応生成物であることを確認した。
t−BOCDMAの合成及び精製化合物A(4.60g)と乾燥ピリジン(1.7mL、水素化カルシウムから蒸留)の溶液を乾燥トルエン(50mL、JTベイカー(Baker))中氷浴内で窒素下攪拌することにより調製した。2−(クロロホルミル)エチルメタクリレート(3.25g)を攪拌しながら溶液に滴状添加した。得られた混合物を濾過助剤としてセライト(CELITE)を使用し2時間後真空濾過した。ろ液を回転蒸発し、ほとんど無色の油を生成し、それを30ppmのトリス(N−ニトロソ−N−イソプロピルヒドロキシルアミナト)アルミニウム(tris (N-nitroso-N-isopropylhydroxylaminato) aluminum)(NPAL、ルイジアナ州バトンルージュ(Baton Rouge)、アルベマーレ(Albemarle))で安定させた。油を繰返し液体クロマトグラフィー(SiO、ヘキサン:酢酸エチルが10:35%勾配、その後塩化メチレン:メタノールが0:5%勾配を有するSiO)により精製した。t−BOCDMAの収量は、1.35gであった。プロトンNMRによりt−BOCDMAの構造が2−(クロロホルミル)エチルメタクリレートと化合物Aの2,5−ビス(メタクリレートエステル)反応生成物であることを確認した。
CHDVEDMAの調製
CHDVEDMA調製の代表的な方法の略図を図8に示す。簡単にいうとシクロヘキシルジビニルエーテルを本明細書で下記に記載するようにメタクリル酸と反応させる。
CHDVEDMAの合成及び精製メタクリル酸(12.17g、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))とCHDVE(25.00g)の混合物を磁性攪拌器及び氷浴を備えた250ml丸底フラスコ内で調製した。リン酸(JTベイカー(Baker))滴を混合物に加え、混合物を3時間攪拌し、自発的に室温に到達させた。攪拌3時間後、追加のメタクリル酸10.89gmを添加した。生成した混合物を窒素下終夜攪拌した。次に、微細に粉砕された無水炭酸カリウム(10.09g、JTベイカー(Baker))を添加し、生成した混合物を室温で2時間攪拌した。濃い無色の懸濁液を生じ、それを無水エチルアセテート(JTベイカー(Baker))中に溶解し、セライト(CELITE)フィルターパッド及び続いて4〜8μm多孔性ガラスフリット(エースガラス(Ace Glass))を通して濾過し、それのわずかなかすみを有する無色の溶液を生成した。トリス(N−ニトロソ−N−イソプロピルヒドロキシルアミナト)アルミニウム(tri (N-nitroso-N-isopropylhydroxylaminato)aluminum)(4.8mg、ルイジアナ州バトンルージュ(Baton Rouge)、アルベマーレ(Albemarle))を溶液に添加し、溶媒を10℃未満でロータリーエバポレーターで除去した。無色の油を41.1gmの収量で回収した。CHDVEDMA(上記に示した)の構造がプロトンNMRにより確認された。
(実施例1)
t−BOCDMA/2−EHAフィルムの熱重量評価
t−BOCDMAの光増感性を測定するため、t−BOCDMAを含有するフィルムを調整し、以下の手順により熱重量測定を行った。
2−EHA(57.4%)中6.4%のt−BOCDMAと1.9%のArSbF -から成るポリマー網状組織(フィルム)を溶媒としてプロピレンカーボネート(33.6%)と共に0.7%ラウロイルペルオキシド(シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))を使用し以下のように熱的に調製した。VHBテープ(3M社(3M Company))の2層を両側がシリコーン処理された2ミル厚さのポリエステル剥離ライナーに付着することにより調製された金型内に組成物を注いだ。同じ剥離ライナーの別のストリップを使用し金型をカバーした。組立品全体をオーブン内に定置し、室温から20分間にわたって90℃に加熱し、30分間90℃に保持し、その後20分間にわたって40℃に冷却した。硬化後、剥離ライナーを剥ぎ取ることにより試料を金型から取り外しポリマーを押出した。硬化したポリマーストリップは、おおむね2.5mm×2.5mmで厚さが0.23mmであった。
フィルム(1.6〜4.7mg、0.23mm厚さ)の試料を持続時間を変え(0.1秒、0.2秒、0.5秒、1.0秒及び2.0秒)レスコ・スーパ・スポット・マッUV硬化システム(Lesco SuperSpot Max UV-Curing System)(カリフォルニア州トランス(Torrance)、レスコ(Lesco))で照射し、その後熱重量計(TGA)を使用し試験した。
TGA結果は、50mJ/cm曝露後、加熱(傾斜面速度は10℃/分であった)で明確な質量損失を示した。最初、温度を約70℃に上昇させたとき、照射された試料並びに非照射対照試料内の薄いフィルムからプロピレンカーボネートの蒸発によるいくらかの重量損失があった。その後、70℃〜150℃の温度で、照射された試料から質量損失(おそらく網状組織分解後のCO、アルケン及びオリゴマーの断片の損失に対応する)があったが、非照射対照試からの質量損失はほとんど又は全くなかった。これらのデータは、十分な光酸(すなわち、照射により発生するプロトンとして定義される)を発生し、加熱後t−BOC(三級ブチルカルボニル)基の開裂を生じる非常に低いUVA(315〜400ナノメートル放射線)照射線量が必要なことを示唆している。
(実施例2)
t−BOCDMA/HEMA/BPO/スルホニウム塩を含有する接着剤を使用したガラスに対する熱固着及び光熱剥離
t−BOCDMAを含有する接着剤の熱固着(すなわち、熱に暴露後の固着)及び光熱剥離(すなわち、連続した曝露から照射及びその後の加熱後の剥離)性を測定するため、t−BOCDMAを含有する接着剤コーティングを調製し、熱的に硬化し、歯科矯正ブラケットをガラススライドに付着した。付着したブラケットを連続してUVA照射及び加熱し、剪断固着強度を測定した。これらの手順は、下記詳細により行った。
HEMA(86.5%)、t−BOCDMA(10.0%)、ArSbF (2.6%)及びBPO(0.9%)を含有する接着剤処方(実施例2)を調製した。窓ガラススライド(3mm厚さ)を使用直前にメタノールで清浄にした。約10mgの処方を単一滴として清浄側の非蛍光側に定置した。トランセンド(TRANSCEND)6000セラミックブラケット(特許番号59543−01及び59543−02、カリフォルニア州モンロビア(Monrovia)、3Mユニテク(3M Unitek))を接着剤処方滴内に定置し、プログラム制御可能なホットプレート上で90℃、15分熱的に硬化した。スライドをホットプレート上で周囲温度(約23℃)にまで冷却させた。各実験毎に5個の複製を準備した。
剥離実験に関しては、固着ブラケット試料を300ナノメートルフィルターを取り付けた中圧Hgスポット硬化ランプ(100W、スーパ・スポット・マックス(Super Spot Max)、カリフォルニア州トランス(Torrance)、レスコ(Lesco))を使用し、室温でUVAに暴露することにより照射した。光強度をEITパワーパック(Powerpuck)(バージニア州スターリング(Sterling)、EIT社(EIT, Inc.))を使用して測定し、0.25W/cm〜0.35W/cmの範囲内という測定値であった。照射は、0(対照)、1,2及び4秒であり、照射線量を変化させ、ガラススライドを通して行った。次に、固着強度を本明細書に記載したガラス試験法Aの剪断固着強度により100℃で測定した。結果は、各異なるレベルの照射での5実験とレベル毎の平均の結果について表1に示す。
Figure 2009520819
表1のデータから固着ブラケットの照射増加が、100℃での固着強度減少をもたらすことが分かる。非照射対照実験(3.20MPa)と比較し4秒UV暴露(1,29MPa)では実験平均で接着の損失は50%を超えた。有意に、インストロン(Instron)データ(変位対剪断力荷重としてプロットしたとき)は、非照射試料の接着剤固着の急激な破壊を示した、一方射試料の接着剤固着は、クリープを受ける熱可塑性材料と同程度以上の挙動を示した。
(実施例3)
t−BOCDMA/HEMA/イルガキュア(IRGACURE)/スルホニウム塩を含有する接着剤を使用したガラスに対する光固着及び光熱剥離
t−BOCDMAを含有する接着剤の光固着(すなわち、照射に暴露後の固着)及び光熱剥離性を測定するため、t−BOCDMAを含有する接着剤コーティングを調製し、熱的に硬化し、歯科矯正ブラケットをガラススライドに付着した。付着したブラケットを連続してUVA照射及び加熱し、剪断固着強度を測定した。これらの手順は、下記のように行った。
HEMA(86.8%)、t−BOCDMA(9.6%)、ArPF (プロピレンカーボネート中2,6%、50%溶液)及びイルガキュア(IRGACURE)(0.9%)から成る接着剤処方(実施例3)を調製した。ガラススライドを調整する手順は、実施例2に記載したものと同じであった。約10mgの処方を単一滴として清浄側の非蛍光側に定置した。トランセンド(TRANSCEND)6000セラミックブラケット(特許番号59543−01及び59543−02、3Mユニテク(3M Unitek))を接着剤処方滴内に定置し、固着は、狭周波数帯440ナノメートル干渉フィルター(ニュージャージー州オークリッジ(Oak Ridge)、エスコプロダクツ(Esco Products))を50秒間通ったレスコ(Lesco)光源を使用しガラススライドを通して照射することにより行った。各実験毎に4個の複製を準備した。
剥離実験に関しては、フィルターをレスコ(Lesco)光源から取り外し、固着ブラケット試料をガラススライドを通して30秒間照射した。非照射固着ブラケット試料を対照試料とした。次に、固着強度を本明細書に記載したガラス試験法Aの剪断固着強度により100℃で測定した。結果は、2つの異なるレベルの照射(30秒及び0秒)での4実験とレベル毎の平均の結果について表2に示す。
Figure 2009520819
表2のデータから非照射対照試料と比較し100℃で照射(剥離時)ブラケット試料の接着に有意な破壊があることがわかる。
実施例2及び3は、t−BOCDMAを含有する接着剤コーティングの使用が、高効率でガラス表面からの歯科矯正ブラケットの剥離を可能にすることを示す。
(実施例4)
t−BOCDMA/HEMA/イルガキュア(IRGACURE)/スルホニウム塩/光増感剤を含有する接着剤を使用したガラスに対する光固着及び光熱剥離
t−BOCDMAを含有する接着剤の光固着及び光熱剥離性を測定するため、t−BOCDMAを含有する接着剤コーティングを調製し、光化学的に硬化し、歯科矯正ブラケットをガラススライドに付着した。付着したブラケットを連続して可視光線照射及び加熱し、剪断固着強度を測定した。これらの手順は、以下のように行った。
HEMA(85.9%)、t−BOCDMA(9.9%)、ArN(SOCF (2.6%)、イルガキュア(IRGACURE)819(0.8%)及び2−MA(0.4%)から成る接着剤処方(実施例4)を調製した。少量の塩化メチレンを使用して2−MAを溶解し、続いて塩化メチレンを乾燥窒素ガス流を使用して処方から取り除き、その後、400Pa(3トール)で5分間真空蒸発した。この処方をトランセンド(TRANSCEND)6000セラミックブラケット(特許番号59543−01、3Mユニテク(3M Unitek))を固着するのに使用し、実施例1で記載したように窓ガラススライドを清浄にした。光強度は、120mW/cmと評価された。各実験毎に5個の複製を準備した。
剥離実験に関しては、同じであるが長経路GG385フィルター(エスコプロダクツ(Esco Products))を取り付けたレスコ(LESCO)スーパ・スポット・マックス(Super Spot Max)光源(実施例2を参照)を使用し、室温で50秒間可視光線に暴露することによりガラススライドを通して固着ブラケット試料を照射した。GG385フィルターは、385ナノメートル超で光を透過し、2−MAの照射及び活性化が起きる。2−MAは、ArN(SOCF の光増感剤として作用し、架橋ポリマー主鎖内の酸反応性官能価と反応し光酸を発生させる。非照射固着ブラケット試料を対照試料とした。次に、固着強度を本明細書に記載したガラス試験法Aの剪断固着強度により100℃で測定した。結果は、2つの異なるレベルの照射(50秒及び0秒)での5実験とレベル毎の平均の結果について表3に示す。
Figure 2009520819
表3のデータから非照射対照試料と比較し100℃で可視光線(剥離時)を照射されたブラケット試料の接着に有意な破壊があることがわかる。尚、この組立品の場合、対照固着強度は、典型的な固着強度に比べいくぶん低いものであった、これは接着剤処方及びより高温からの塩化メチレン(連鎖移動剤として機能できる)の不十分な除去による可能性が高い。室温の結果は、関連する接着剤処方の場合、一般に7〜10MPa領域内である。
(実施例5)
t−BOCDMA/HEMA/イルガキュア(IRGACURE)/スルホニウム塩/光増感剤を含有する接着剤を使用したガラスに対する光固着及び光熱剥離
他の構成成分を添加する前にHEMAに2−MAを溶解するため加熱を使用することを除き、接着剤処方を実施例4で記載したように調製し、塩化メチレン溶媒は使用しなかった。加熱は、2つの成分を含有するバイアル瓶から約3cmに保持されたヒートガンから行い、2−MAがHEMAに溶解するまでバイアル瓶をゆっくり振盪した。光固着及び光熱剥離手順は、剥離手順でセラミックブラケット試料が50秒の代わりに100秒間照射されることを除き実施例4で記載したのと同じであった。次に、固着強度を本明細書に記載したガラス試験法Aの剪断固着強度により100℃で測定した。各実験毎に5個の複製を準備した。
結果は、2つの異なるレベルの照射(100秒及び0秒)での5実験とレベル毎の平均の結果について表4に示す。
Figure 2009520819
表4のデータから非照射対照試料と比較し可視光線(剥離時)を照射されたブラケット試料が再度有意により低い固着強度を有することがわかる。照射された試料は、実施例4で観察されたものより僅かに高いものであり、結果は、より長い(100対50秒)照射期間に起こり得る予想される二次架橋に起因するものであった。尚、この組立品の場合、対照固着強度は、実施例4よりも高く、より典型的な固着強度であった。
(実施例6)
t−BOCDMA/HEMA/イルガキュア(IRGACURE)/スルホニウム塩/光増感剤を含有する接着剤を使用したガラスに対する光固着及び光熱剥離
他の構成成分を添加する前にHEMAに2−MAを溶解するため使用される加熱を除き、接着剤処方を実施例5で記載したように調製し、塩化メチレン溶媒は使用しなかった。光固着及び光熱剥離手順は、両手順共50秒間照射されたブラケット試料を用いた実施例4で記載されたのと同じであった。次に、固着強度を本明細書に記載したガラス試験法Aの剪断固着強度により100℃で測定した。各実験毎に5個の複製を準備した。
結果は、2つの異なるレベルの照射(50秒及び0秒)での5実験とレベル毎の平均の結果について表5に示す。
Figure 2009520819
再度、表5のデータから分かるように、非照射対照試料と比較し可視光線(剥離時)を照射されたブラケット試料が有意により低い固着強度を有した。
(実施例7)
t−BOCDMA/HEMA/イルガキュア(IRGACURE)/スルホニウム塩/光増感剤を含有する接着剤を使用したガラスに対する光固着及び光熱剥離
接着剤処方(実施例7)を2−MAの代わりにEDMOA光増感剤を使用することを除いて実施例で記載したように調製した。光固着及び光熱剥離手順は、固着手順に関してはレスコ(Lesco)光源(440ナノメートルフィルターを有する)により50秒間、及び剥離手順時にはレスコ(Lesco)光源(長経路GG385フィルターを有する)により50秒間(又は対照試料に関しては非照射)照射されたセラミックブラケット試料を有する実施例4で記載したのと同じであった。次に、固着強度を本明細書に記載したガラス試験法Aの剪断固着強度により100℃で測定した。各実験毎に5個の複製を準備した。
結果は、2つの異なるレベルの照射(50秒及び0秒)での5実験とレベル毎の平均の結果について表6に示す。
Figure 2009520819
表6のデータから固着強度は、照射された(剥離時)固着ブラケット試料及び且つ非照射対照固着ブラケット試料に関して低く、2つの試料間で有意な固着強度の差はなかった。これらの結果は、EDMOA光増感剤(λ最大約430ナノメートル)とイルガキュア(IRGACURE)光増感剤(430〜440ナノメートル光固着波長範囲)間の予想される競争吸収に起因する、そのため、固着照射手順時、ブラケット試料の全てに早期活性(すなわち、光酸の早期発生)があり、剥離手順の加熱(100℃)工程時、照射(剥離時)及び非照射対照ブラケット試料の両方にそれに続く固着強度の損失がある可能性があった。
(実施例8)
t−BOCDMA/HEMA/イルガキュア(IRGACURE)/スルホニウム塩/NIR吸着剤を含有する接着剤を使用したガラスに対する光固着及び光熱剥離
t−BOCDMAを含有する接着剤の光固着及び光熱剥離性を測定するため、t−BOCDMAを含有する接着剤を調整し、光化学的に硬化し、歯科矯正ブラケットをウシ歯群表面に付着した。付着したブラケットを連続してUVA光照射及び加熱し(接着剤内に存在する近赤外(NIR)吸収剤の白色光照射により発生する)、剪断固着強度を測定した。これらの手順は、以下のように行った。
HEMA(51.1%)、t−BOCDMA(5.7%)、ArPF (プロピレンカーボネート50%溶液の5.4%)、イルガキュア(IRGACURE)819(0.5%)、TRB SH7080 NIR吸収剤(2.1%)及びSO−E2シリカ粉末充填剤(35.2%)から成る接着剤処方(実施例8)をブランソン(Branson)型式2510超音波浴(コネティカット州ダンブリ(Danbury)、ブランソン(Branson))中で20分間構成成分を混合することにより調製した。
13個のウシ歯群をポリ(メチルメタクリレート)塩基内に入れ、エッチングし、30秒間アドパープロンプトL−ポップ(ADPER PROMPT L-Pop)自己エッチング接着剤(ミネソタ州セントポール(St. Paul)、3Mエスペ(3M ESPE))を使用して30秒間プライムし、その後空気流でブローし、過剰な接着剤を取り除いた。接着剤処方の約10mg(一滴)を処理した歯表面に定置した。トランセンド(TRANSCEND)6000セラミックブラケット(特許番号59543−01、3Mユニテク(3M Unitek))を注意深く接着剤処方滴内に定置し、固着を、420ナノメートル長経路フィルター(GG420、エスコプロダクツ(Esco Products))を取り付けたレスコ(LESCO)スーパ・スポット・マックス(Super Spot Max)光源により13個のブラケット試料全てに照射することにより行った。照射は、30秒の間隔で15秒間、3回行った。
剥離実験に関しては、6個の固着ブラケット試料(対照)を10秒6サイクル、それぞれが同じレスコ(LESCO)スーパ・スポット・マックス(Super Spot Max)光源(420ナノメートル長経路GG420フィルターを取り付けた、従って、光源から提供される熱に類似させたがUVA光は存在しなかった)に対して30秒の間隔で暴露により照射した、7個の固着ブラケット試料を10秒6サイクル、それぞれが同じレスコ(LESCO)スーパ・スポット・マックス(Super Spot Max)光源(フィルターを有しない)を使用したUVA光に対して30秒の間隔で暴露により照射した。次に、固着強度を本明細書に記載したガラス試験法Aの剪断固着強度により100℃で測定した。
結果は、UV照射のない6実験、UV照射60秒の7実験及び一連の実験毎の平均の結果について表7に示す。
Figure 2009520819
表7のデータから非UVA照射対照試料と比較し約100℃でUVA光を照射されたブラケット試料の接着に有意な破壊があることがわかる。
(実施例9)
硬化CHDVEDMA/HEMA/スルホニウム塩ストリップのDMA評価
現位置発生光酸の存在でCHDVEDMAの光熱増感性を評価するため、CHDVEDMAを含有する硬化複合物ストリップを調整し、UVA照射し、下記手順により動的機械分析(DMA)を行った。
CHDVEDMA(48.6重量%)、HEMA(45.1重量%)、ArPF (5.7重量%)及びイルガキュア(IRGACURE)819(0.6重量%)の液状組成物を超音波浴内室温で5分間組合された構成成分を混合することにより調製した。
組成物の硬化ストリップは、溶液を金型に注ぎ、長経路420ナノメートル干渉フィルター(ニュージャージー州オークリッジ(Oak Ridge)、エスコプロダクツ(Esco Products))を取り付けた中圧Hgスポット硬化ランプ(100W、スーパ・スポット・マックス(Super Spot Max)、カリフォルニア州トランス(Torrance)、レスコ(Lesco))を使用し、光ファイバーの先端部において室温でUVAに暴露することにより照射した。ストリップは、5mm(幅)×0.45mm(厚さ)×15mm(長さ)であった。1つの対照ストリップは、UV暴露がなく、一方別のストリップは、光ファイバーの先端から3cmの距離で120秒間UVAに暴露した。ストリップは、以下のDMA分析を行った。
分析は、型式Q800v。3.13Build74DMA機器(デラウエア州ニューキャスル(New Castle)、TAインスツルメンツ(TA Instruments))で行った。ストリップは、室温から250℃まで2℃/分で上昇させながら0.1%の振動ひずみを受けた。0.05Nの静電気力を実験全体を通して加え、最少振動力を10−5Nに設定した。この機器で利用できるフォーストラッキング(Force Track)機能を125%に設定した。データは、1秒ごとに1点収集した。
DMAの結果は、UVA曝露ストリップ(発生した光酸を含有する)の貯蔵弾性率の損失の開始は約50℃で、損失は、急激に突然低下した状態で約180℃で完了した。対照的に、対照ストリップ(UVA曝露がなく、従って光酸を含有しない)の貯蔵弾性率の損失の開始は約125℃で、弾性率の損失は、250℃でさえ不完全であった。
(実施例10)
CHDVEDMA/HEMA/イルガキュア(IRGACURE)/スルホニウム塩を含有する接着剤を使用したガラスに対する光固着及び光熱(100℃)剥離
CHDVEDMAを含有する接着剤の光固着(すなわち、照射に暴露後の固着)及び光熱剥離性を測定するため、CHDVEDMAを含有する接着剤コーティングを調製し、光化学的に硬化し、歯科矯正ブラケットをガラススライドに付着した。付着したブラケットを連続してUVA照射及び加熱し、剪断固着強度を測定した。これらの手順は、以下のように行った。
CHDVEDMA(46.7重量%)、HEMA(46.8重量%)、ArPF (5.6重量%)及びイルガキュア(IRGACURE)819(0.6重量%)の液状接着剤組成物を超音波浴内室温で5分間組合された構成成分を混合することにより調製した。
窓ガラススライド(3mm厚さ)を使用直前にメタノールで清浄にした。約10mgの接着剤組成物を単一滴として清浄側の非蛍光側に定置した。トランセンド(TRANSCEND)6000セラミックブラケット(特許番号59543−01、カリフォルニア州モンロビア(Monrovia)、3Mユニテク(3M Unitek))を接着剤処方滴内に定置し、固着は、長経路420ナノメートルエスコ(Esco)GG420フィルターを取り付けたレスコ・スーパ・スポット・マックス(Lesco Super Spot Max)光ファイバー光源(ガラススライドから1.4cm)を使用し、ガラススライド下面を通って照射することにより行った。これを2組のトランセンド(TRANSCEND)6000ブラケットについて繰り返した。
剥離実験に関しては、6つの固着ブラケットの一組を420ナノメートルエスコ(Esco)フィルターを取り付けたレスコ(Lesco)光源からの照射に2×30秒間、30秒間隔(すなわち、UVA暴露がない対照ブラケット)で暴露した。6つの固着ブラケットの他の組をエスコ(Esco)フィルターを有しないレスコ(Lesco)光源からの照射に同じ持続時間暴露した(すなわち、300ナノメートル超でUVA曝露した試験ブラケット)。次に、ブラケットの両組の固着強度を本明細書に記載したガラス試験法Bの剪断固着強度による100℃の温度に暴露後測定した。結果は、2つの異なるレベルのUVA照射の暴露(すなわち、UVAがない及び2×30秒間のUVA暴露)での6個の複製とレベル毎の平均の結果について表8に示す。
Figure 2009520819
表8のデータから非UVA照射対照ブラケットと比較しUVA照射試験ブラケットの接着に有意な破壊(100℃暴露後)があることがわかる。可視光線(UVAなし)だけで照射された対照ブラケットは、それらがブラケット並びにガラス表面に接着破壊を有する混合破壊を示した。UVAが照射された試験ブラケットは、ガラス−接着剤境界面で完全に破壊した。
(実施例11)
CHDVEDMA/HEMA/イルガキュア(IRGACURE)/スルホニウム塩を含有する接着剤を使用したガラスに対する光固着及び光熱(70℃)剥離
CHDVEDMA(46.7重量%)、HEMA(46.1重量%)、ArPF (6.2重量%)及びイルガキュア(IRGACURE)819(0.6重量%)の液状接着剤組成物を超音波浴内室温で5分間組合された構成成分を混合することにより調製した。
窓ガラススライド(3mm厚さ)を使用直前にメタノールで清浄にした。約10mgの接着剤組成物を単一滴として清浄側の非蛍光側に定置した。(TRANSCEND)6000セラミックブラケット(特許番号59543−01、3Mユニテク(3M Unitek))を接着剤処方滴内に定置し、固着を、長経路420ナノメートルエスコ(Esco)GG420フィルターを取り付けたレスコ・スーパ・スポット・マックス(Lesco Super Spot Max)光ファイバー光源(ガラススライドから1.5cm)を使用しガラススライド下面を通って照射することにより行った。
剥離実験に関して、10個の固着ブラケットの一組を420ナノメートルエスコ(Esco)フィルターを取り付けたレスコ(Lesco)光源からの照射に30秒間(すなわち、UVA暴露がない対照ブラケット)暴露した。6個の固着ブラケットの他の組をエスコ(Esco)フィルターを有しないレスコ(Lesco)光源からの照射に同じ持続時間暴露した(すなわち、300ナノメートル超でUVA曝露した試験ブラケット)。次に、ブラケットの両組の固着強度を本明細書に記載したガラス試験法Cの剪断固着強度による100℃の温度に暴露後測定した。結果は、2つの異なるレベルのUVA照射の暴露(すなわち、UVAがない及び30秒間のUVA暴露)での10個の複製とレベル毎の平均の結果について表9に示す。
Figure 2009520819
表9のデータから非UVA照射対照ブラケットと比較しUVA照射試験ブラケットの接着に有意な破壊(70で3分℃暴露後)があることがわかる。可視光線(UVAなし)だけで照射された対照ブラケットは、それらがブラケット並びにガラス表面、ブラケットでほとんどが破壊する、接着破壊を有する混合破壊を示した。UVAが照射された試験ブラケットは、ガラス−接着剤境界面で完全に破壊した。
(実施例12)
CHDVEDMA/HEMA/イルガキュア(IRGACURE)/スルホニウム塩/NIR吸収剤を含有する接着剤を使用したガラスに対する光固着及び光熱剥離
CHDVEDMAを含有する接着剤の光固着及び光熱剥離性を測定するため、CHDVEDMAを含有するシリカ充填歯科矯正接着剤を調製し、光化学的に硬化し、歯科矯正ブラケットをウシ歯群表面に付着した。付着したブラケットを連続してUVA光照射及び加熱し(接着剤内に存在する近赤外(NIR)吸収剤の白色光照射により発生する)、剪断固着強度を測定した。これらの手順は、下記のように行った。
CHDVEDMA(26.5重量%)、HEMA(26.5重量%)、ArPF (3.3重量%)、イルガキュア(IRGACURE)819(0.6重量%)、SO−E2充填剤(39.9重量%)及びTRB SH7080(3.3重量%)の液状接着剤組成物(実施例12)をDAC−150スピードミキサー(SpeedMixer)(ドイツ、ハム(Hamm)のHauschild&Coにより製造され、サウスカロライナ州ランドラム(Landrum)のフラックテク社(FlackTek, Inc.)により販売された)内室温で3×1分間、組合された構成成分を混合することにより調製した。
9個のウシ歯群をポリ(メチルメタクリレート)塩基内に入れ、乾燥空気流で乾燥し、エッチングし、30秒間アドパープロンプトL−ポップ(ADPER PROMPT L-Pop)自己エッチング接着剤(ミネソタ州セントポール(St. Paul)、3Mエスペ(3M ESPE))を使用して10秒間プライムし、その後空気流でブローし、過剰な接着剤を取り除いた。 約10mgの歯科矯正接着剤処方を処理した歯表面に定置した。トランセンド(TRANSCEND)6000セラミックブラケット(特許番号59543−01、3Mユニテク(3M Unitek))を注意深く接着剤処方上に定置し、固着を、420ナノメートル長経路フィルター(GG420、エスコプロダクツ(Esco Products))フィルターを取り付けたレスコ・スーパ・スポット・マックス(Lesco Super Spot Max)光源を使用し9個のブラケット試料全てを照射することにより行った。照射は、15秒間、2回、30秒の間隔で行った。
剥離実験に関しては、5個の固着ブラケット試料(対照)を、同じレスコ(LESCO)スーパ・スポット・マックス(Super Spot Max)光源(420ナノメートル長経路GG420フィルターを取り付けた、それにより、光源から提供される熱に類似させたがUVA光は存在しなかった)に6×10秒間暴露することにより照射した。4個の固着ブラケット(試験試料)を、同じレスコ(LESCO)スーパ・スポット・マックス(Super Spot Max)光源(だがフィルターを有しない)を使用したUVA光に6×10秒間暴露することにより照射した。過熱を避けるため所定の歯のそれぞれの照射期間の間には、30秒の間隔があった。その結果、4個の固着ブラケットがUV活性され、5個の固着ブラケットは、UV活性されなかった。次に、固着強度を本明細書に記載したガラス試験法Bの剪断固着強度により約100℃で測定した。
結果は、2つの異なるレベルのUVA照射(すなわち、UVAがない及び6×10秒間のUVA暴露)での4〜5個の複製とレベル毎の平均の結果について表10に示す。
Figure 2009520819
表10のデータから非UVA照射対照ブラケットと比較しUVA照射試験ブラケットの接着に有意な破壊(可視光線誘発加熱後)があることがわかる。全てのブラケット(対照ブラケット及び試験ブラケット)の破壊モードは、凝集であった。
本発明の範囲及び趣旨を逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されることを意図する、本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。
そのベース上に本発明の硬化性又は硬化歯科組成物を有する歯科矯正装具の斜視図。 図1の歯科矯正装具の側面図。 カバーが部分的に開いた容器内にそのベース上に本発明の硬化性又は硬化歯科組成物を有する歯科矯正装具を示すパッケージ物品の斜視図。 そのベース上に複数個の層を有する歯科矯正装具の側面図であって、複数個の層の少なくとも1つの層が本発明の硬化性又は硬化歯科組成物。 そのベース上に複数個の層を有する歯科矯正装具の側面図であって、複数個の層の少なくとも1つの層が本発明の硬化性又は硬化歯科組成物。 そのベース上に複数個の層を有する歯科矯正装具の側面図であって、複数個の層の少なくとも1つの層が本発明の硬化性又は硬化歯科組成物。 三級−ブチルオキシカルボニル2−ヒドロキシエチルジメタクリレート(t−BOCDMA)を本明細書に記載したように調製する代表的な方法の略図。 シクロヘキシルジビニルエーテルジメタクリレート(CHDVEDMA)を本明細書に記載したように調製する代表的な方法の略図。

Claims (35)

  1. 硬化歯科組成物で歯牙構造に付着された歯科矯正装具の固着強度を減少させる方法であって、硬化歯科組成物に放射線を照射する工程を含み、前記硬化歯科組成物が、酸発生構成成分と1つ以上の酸反応性基を含有する酸反応性構成成分とを含む、方法。
  2. 前記硬化歯科組成物への放射線照射によって前記酸発生構成成分が酸を発生し、その酸は化学量論量より多い前記1つ以上の酸反応性基と反応する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記酸発生構成成分が、スルホニウム塩及び所望により増感剤を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記放射線の照射が、紫外線A及び/又は可視光線を照射する工程を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記酸反応性構成成分が、
    式(式I):
    Figure 2009520819
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して有機基を表し;R及びRは、それぞれ独立して水素又は有機基を表し、但しR及びRの一方のみが水素であってもよく;E及びEは、それぞれ独立してエチレン性不飽和基を表し;並びにm及びnは、それぞれ独立して0又は1であり;そして、R及びEが組合されて1つ以上の環を形成してもよく及び/又はR、R、R及びEの中の2つ又はそれ以上の基が組合されて1つ以上の環を形成してもよい)により表わされる化合物と、
    式(式II):
    Figure 2009520819
    (式中、R、R、R7及びRは、それぞれ独立して有機基を表し;E及びEは、それぞれ独立してエチレン性不飽和基を表し;並びにx、y及びzは、それぞれ独立して0又は1を表し、但し、z=0の場合、R及びRの少なくとも1つはエチレン性不飽和基を表し、このとき、酸に暴露された際に、Rに結合した酸素よりRに結合した酸素のアセタールから優先的に開裂されるようにR及びRは選択されており;そして、R、R、R、R、E及び/又はEの2つ又はそれ以上が、組合されて1つ以上の環を形成してもよく、但し、酸との反応の際に、前記1つ以上の環は、前記酸反応性基が2つ又はそれ以上の別々の基を形成する能力を妨げない)により表わされる化合物と、
    それらの組合せとから成る群から選択される化合物を含有する1つ以上の化合物を重合することにより形成される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記放射線照射された硬化歯科組成物の少なくとも一部を少なくとも42℃に加熱する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記硬化歯科組成物が、硬化プライマーであり、前記歯科矯正装具が、プライマー処理された歯牙構造に硬化歯科矯正接着剤で更に付着される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記歯科矯正装具を前記歯牙構造から取り外す工程を更に含み、前記硬化歯科矯正接着剤が、前記取り外された歯科矯正装具に実質的に保持される、請求項7に記載の方法。
  9. 硬化歯科組成物の歯牙構造への付着力を減少させる方法であって、前記硬化歯科組成物に放射線を照射して前記付着力を減少させる工程を含み、前記硬化歯科組成物が、酸発生構成成分と1つ以上の酸反応性基を含有する酸反応性構成成分とを含む、方法。
  10. 硬化歯科組成物で歯牙構造に付着された歯科矯正装具の固着強度を減少させる方法であって、
    前記硬化歯科組成物に放射線を照射する工程、及び
    続いて前記放射線照射された硬化歯科組成物を加熱し、その結果固着強度を減少させる工程を含む、方法。
  11. 前記硬化歯科組成物が、放射線−熱変換体を含み、加熱工程が、前記硬化歯科組成物に放射線を照射することを含む、請求項10に記載の方法。
  12. 1つ以上の酸反応性基を含む硬化性構成成分と、
    酸発生構成成分とを含む硬化性歯科組成物。
  13. 前記歯科組成物の硬化を開始する反応開始剤を更に含む、請求項12に記載の硬化性歯科組成物。
  14. 酸反応性基を有しない硬化性構成成分を更に含む、請求項12に記載の硬化性歯科組成物。
  15. 酸反応性基を有しない前記硬化性構成成分が、エチレン性不飽和化合物である、請求項14に記載の硬化性歯科組成物。
  16. 増感剤及び/又は放射線−熱変換体を更に含む、請求項12に記載の硬化性歯科組成物。
  17. 前記酸発生構成成分が、スルホニウム塩を含む、請求項12に記載の硬化性歯科組成物。
  18. 前記1つ以上の酸反応性基を含有する前記硬化性構成成分が、
    式(式I):
    Figure 2009520819
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して有機基を表し;R及びRは、それぞれ独立して水素又は有機基を表し、但しR及びRの一方のみが水素であってもよく;E及びEは、それぞれ独立してエチレン性不飽和基を表し;並びにm及びnは、それぞれ独立して0又は1であり;そして、R及びEが組合されて1つ以上の環を形成してもよく及び/又はR、R、R及びEの中の2つ又はそれ以上の基が組合されて1つ以上の環を形成してもよい)により表わされる化合物と、
    式(式II):
    Figure 2009520819
    (式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して有機基を表し;E及びEは、それぞれ独立してエチレン性不飽和基を表し;並びにx、y及びzは、それぞれ独立して0又は1を表し、但し、z=0の場合、R及びRの少なくとも1つはエチレン性不飽和基を表し、このとき、酸に暴露された際に、Rに結合した酸素よりRに結合した酸素のアセタールから優先的に開裂されるようにR及びRは選択されており;そして、R、R、R、R、E及び/又はEの2つ又はそれ以上が、組合されて1つ以上の環を形成してもよく、但し、酸との反応の際に、前記1つ以上の環は、前記酸反応性基が2つ又はそれ以上の別々の基を形成する能力を妨げない)により表わされる化合物と、
    それらの組合せとから成る群から選択される、請求項12に記載の硬化性歯科組成物。
  19. 歯科矯正装具を歯牙構造に固着するためのベースを有する歯科矯正装具と、
    前記装具の前記ベース上の硬化性歯科組成物であって、
    酸発生構成成分、
    1つ以上の酸反応性基を含有する硬化性構成成分、及び
    前記硬化性歯科組成物の硬化を開始する反応開始剤
    を含む硬化性歯科組成物と
    を備える、物品。
  20. 前記1つ以上の酸反応性基を含有する前記硬化性構成成分が、
    式(式I):
    Figure 2009520819
    (式中、R及びRは、それぞれ独立して有機基を表し;R及びRは、それぞれ独立して水素又は有機基を表し、但しR及びRの一方のみが水素であってもよく;E及びEは、それぞれ独立してエチレン性不飽和基を表し;並びにm及びnは、それぞれ独立して0又は1であり;そして、R及びEが組合されて1つ以上の環を形成してもよく及び/又はR、R、R及びEの中の2つ又はそれ以上の基が組合されて1つ以上の環を形成してもよい)により表わされる化合物と、
    式(式II):
    Figure 2009520819
    (式中、R、R、R7及びRは、それぞれ独立して有機基を表し;E及びEは、それぞれ独立してエチレン性不飽和基を表し;並びにx、y及びzは、それぞれ独立して0又は1を表し、但し、z=0の場合、R及びRの少なくとも1つがエチレン性不飽和基を表し、このとき、酸に暴露された際に、Rに結合した酸素よりRに結合した酸素のアセタールから優先的に開裂されるようにR及びRは選択されており;そして、R、R、R、R、E及び/又はEの2つ又はそれ以上が、組合されて1つ以上の環を形成してもよく、但し、酸との反応の際に、前記1つ以上の環は、前記酸反応性基が2つ又はそれ以上の別々の基を形成する能力を妨げない)により表わされる化合物と、
    それらの組合せとから成る群から選択される、請求項19に記載の物品。
  21. 歯科矯正装具を歯牙構造に固着するためのベースを有する歯科矯正装具と、
    前記装具の前記ベース上の硬化歯科組成物であって、酸発生構成成分及び1つ以上の酸反応性基を含有する酸反応性構成成分を含む硬化歯科組成物とを備える、物品。
  22. 前記物品が、別の硬化性歯科組成物及び/又は硬化歯科組成物の1つ以上の追加の層を更に含む、請求項21に記載の物品。
  23. 硬化性歯科組成物を歯牙構造に適用する工程、ここで前記硬化性歯科組成物は、
    酸発生構成成分と
    1つ以上の酸反応性基を含有する硬化性構成成分と、
    前記歯科組成物の硬化を開始する反応開始剤と
    を含み、及び
    前記歯科組成物を硬化させて、硬化した前記組成物を前記歯牙構造に付着する工程を含む、歯牙構造を処置する方法。
  24. 歯科矯正装具を歯牙構造に固着するためのベースを有する歯科矯正装具を提供する工程、
    硬化性歯科組成物を提供する工程、ここで前記硬化性歯科組成物は、
    1つ以上の酸反応性基を含有する硬化性構成成分と、
    酸発生構成成分と、
    前記硬化性歯科組成物の硬化を開始する反応開始剤とを含み、
    前記硬化性歯科組成物を前記歯牙構造及び前記歯科矯正装具の前記ベースと接触させる工程、及び
    前記硬化性歯科組成物を硬化させる工程を含む、歯科矯正装具を歯に固着する方法。
  25. 前記硬化性歯科組成物を前記歯牙構造及び前記歯科矯正装具の前記ベースと接触させる工程が、
    前記硬化性歯科組成物を前記歯牙構造に適用する工程、及び
    前記歯科矯正装具の前記ベースを前記歯牙構造上の前記硬化性歯科組成物と接触させる工程を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記硬化性歯科組成物を前記歯牙構造及び前記歯科矯正装具の前記ベースと接触させる工程が、
    前記ベース上に前記硬化性歯科組成物を有する前記歯科矯正装具を提供する工程、及び
    前記硬化性歯科組成物を有する前記装具の前記ベースを前記歯牙構造に適用する工程を含む、請求項24に記載の方法。
  27. 前記歯科矯正装具が、前記装具の前記ベース上に前記硬化性歯科組成物を有するプレコート装具として提供される、請求項26に記載の方法。
  28. 前記プレコート装具が、別の硬化性歯科組成物及び/又は硬化歯科組成物の1つ以上の追加の層を更に含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記ベース上に硬化性歯科組成物を有する前記歯科矯正装具を提供する工程が、装具の前記ベースに前記硬化性歯科組成物を適用する工程を更に含む、請求項26に記載の方法。
  30. 歯科矯正装具を歯牙構造に固着するためのベースを有し、前記ベース上に酸発生構成成分及び酸反応性構成成分を含む硬化歯科組成物を有する歯科矯正装具を提供する工程、
    硬化性歯科矯正接着剤を提供する工程、
    前記硬化性歯科矯正接着剤を、前記歯牙構造及び前記硬化歯科組成物を有する前記歯科矯正装具の前記ベースと接触させる工程、及び
    前記歯科矯正接着剤を硬化する工程を含む、歯科矯正装具を歯に固着する方法。
  31. 前記硬化性歯科矯正接着剤を、前記歯牙構造及び前記硬化歯科組成物を有する前記歯科矯正装具の前記ベースと接触させる工程が、
    前記硬化性歯科矯正接着剤を前記歯牙構造に適用する工程、及び
    前記硬化歯科組成物を有する前記歯科矯正装具の前記ベースを、前記歯牙構造上の前記硬化性歯科矯正接着剤と接触させる工程を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 前記硬化性歯科矯正接着剤を前記歯牙構造及び前記硬化歯科組成物を有する前記歯科矯正装具の前記ベースと接触させる工程が、
    前記ベース上の前記硬化歯科組成物上に前記硬化性歯科矯正接着剤を有する歯科矯正装具を提供する工程、及び
    前記硬化歯科組成物上に前記硬化性歯科矯正接着剤を有する前記装具の前記ベースを前記歯牙構造に適用する工程を含む、請求項30に記載の方法。
  33. 前記歯科矯正装具が、前記歯科矯正装具の前記ベース上の前記硬化歯科組成物上に前記硬化性歯科矯正接着剤を有するプレコート装具として提供される、請求項32に記載の方法。
  34. 前記プレコート装具が、別の硬化性歯科組成物及び/又は硬化歯科組成物の1つ以上の追加の層を更に含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記ベース上の前記硬化歯科組成物上に前記硬化性歯科矯正接着剤を有する前記歯科矯正装具を提供する工程が、前記硬化性歯科矯正接着剤を前記歯科矯正装具の前記ベース上の前記硬化歯科組成物に適用する工程を更に含む、請求項32に記載の方法。
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