JP2002224140A - 歯列矯正部材 - Google Patents

歯列矯正部材

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JP2002224140A
JP2002224140A JP2001029520A JP2001029520A JP2002224140A JP 2002224140 A JP2002224140 A JP 2002224140A JP 2001029520 A JP2001029520 A JP 2001029520A JP 2001029520 A JP2001029520 A JP 2001029520A JP 2002224140 A JP2002224140 A JP 2002224140A
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Masaaki Origasa
正明 折笠
Seiji Kihara
誠治 木原
Makoto Koto
誠 光藤
Mitsuhiro Matsushima
三広 松島
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KYUTAI DENTCERAM CO Ltd
Tomy Kogyo Co Ltd
Tomy Inc
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KYUTAI DENTCERAM CO Ltd
Tomy Kogyo Co Ltd
Tomy Inc
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    • A61C7/12Brackets; Arch wires; Combinations thereof; Accessories therefor
    • A61C7/14Brackets; Fixing brackets to teeth
    • A61C7/141Brackets with reinforcing structure, e.g. inserts

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コストを低減でき、審美性が良好であ
り、高強度および高耐久性を有し、アレルギーの原因物
質を含有せず、歯牙への接着が確実であり、歯列矯正治
療期間中に対合歯を摩耗させにくく、歯列矯正治療期間
中にプラークが付着しにくく、歯列矯正治療後における
歯牙からの脱離が容易であり、矯正線を保持するために
アーチワイヤーの係合を許容する歯列矯正部材とした場
合には、アーチワイヤーに対するすべり性が良好である
歯列矯正部材を提供する。 【解決手段】 歯列矯正部材であるブラケット10は、歯
列を矯正するための本体1と、本体1に接続されて歯牙11
に接着可能なボンディングベース2とを有する。本体1と
ボンディングベース2とは、リン酸カルシウム系結晶化
ガラスにより形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯牙に接着される
ブラケット,バッカルチューブ,シース,ボタン,リン
ガルアタッチメント等の歯列矯正部材に関する。
【0002】
【従来の技術】歯列矯正治療のための歯列矯正部材は、
矯正線を保持可能な本体と、本体に接続すると共に歯牙
に接着可能なボンディングベースとを有するものが広く
知られている。このような歯列矯正部材としては、ブラ
ケット、バッカルチューブ、シース、ボタン、リンガル
アタッチメント等が知られており、歯列の矯正方法に応
じて適宜選択されている。特に、ブラケットは、ボンデ
ィングベースを介して患者の歯牙に直接接着され、この
接着されたブラケット間に掛け渡されたアーチワイヤー
を介して歯並びの悪い歯に対して外力を加えて矯正する
ものとして、最も普通に使用されている。
【0003】ブラケットは、従来より、金属製のものが
広く知られているが、近年、審美性の向上を目的に、セ
ラミック製ブラケットやプラスチック製ブラケット等
の、透明あるいは白色系半透明の材料により形成された
歯列矯正部材が使用されている。
【0004】しかしながら、酸化アルミニウムや酸化ジ
ルコニウムで作られたセラミック製ブラケットは、金属
製ブラケットと比較して格段に硬く、歯牙のエナメル質
よりも硬いことから、噛み合わせ時に接触する対合歯の
エナメル質を摩耗させる虞れがあった。特に咬合の深い
ディープバイトは、セラミック製ブラケットを使用でき
ない禁忌の症例であった。このような問題を回避するた
めに米国特許4,950,158には、咬合側タイウイングにエ
ラストメリックを介在させる方法が提案されている。ま
た、本体にスロットが設けられたブラケットを歯牙に接
着させ、スロットにアーチワイヤーを嵌め込んで歯列矯
正を行う場合は、アーチワイヤーの復元力により歯列を
矯正するので、アーチワイヤーがスロットに対してすべ
りやすいことが必要である。しかしながら、アーチワイ
ヤーはセラミック製ブラケットに設けられたスロットに
対してはすべりにくく、ブラケットとアーチワイヤーと
の摩擦が大きいので、所望の歯列矯正を確実に行いにく
いという問題があった。この主な原因は、セラミック製
ブラケットが非常に硬いことによって、アーチワイヤー
がスロットの長手方向端部にて、かじりを起こしている
ためだとも考えられる。
【0005】そのため、スロット内におけるアーチワイ
ヤーのすべり性を改善するために、金属製スロットライ
ナーをセラミック製ブラケットに対してろう付け等の接
着手段で取り付ける技術が開示されている(特開平6-32
7701号公報及び特開平7-313528号公報参照)。しかしな
がら、酸化アルミニウム,酸化ジルコニウム等の無機材
料からなるセラミック製ブラケットは、歯列矯正用とし
て汎用されている有機系接着剤とは結合しにくいことか
ら、ボンディングベースにシランカップリング剤を塗布
したり、あるいは、ボンディングベースにガラスフリッ
トもしくはガラスビーズを融着してメカニカルロックを
設け、有機系接着剤に対する結合力を増加させる必要が
あった。そして、このようなボンディングベースに対す
る処理は、セラミック製ブラケットの製造コストを増大
させる要因となっていた。更に、歯列矯正治療後に、歯
牙に接着されたブラケットをはがす時には、ブラケット
が金属製であれば歯牙を傷つけることなく、ボンディン
グベースをめくるようにはがすことができるのに対し
て、前記セラミック製ブラケットは、金属製ブラケット
よりも硬く、またボンディングベースは、本体と一体形
の構造で剛性も高く、過大な力を必要とすることから、
歯牙のエナメル質を傷つける虞れがあった。このような
問題を回避するために、特開平7-194623号公報及び特開
平7-194625号公報にはセラミック製ブラケットを中央溝
でつぶしてはがしとる方法が提案されている。また、本
願の出願人のうちの一方が実開平2-139617号公報で示し
たディンプル付ボンディングベース面及び特開平5-2451
67号公報で示したボンディングベースの中央部を不活性
ペイントでシールドする技術は、積極的に接着強度をコ
ントロールしようとするものであった。
【0006】一方、プラスチック製ブラケットは、歯列
矯正治療期間中に、口腔内で吸水することによって劣化
しやすく、歯列矯正治療が完了しないうちに、プラスチ
ック製ブラケットが破損しやすいという問題があった。
また、プラスチック製ブラケットは、吸水によって食物
や飲物の色素が吸着しやすく、このような変色による審
美性の低下も問題となっていた。このようなプラスチッ
ク製ブラケットとしては、ポリカーボネート製のものが
広く知られているが、角アーチワイヤーのトルクやリガ
ッチャワイヤーの結紮等に対する強度が十分でないこと
から、金属インサート材によって補強されることが一般
的であり、例えば、金属インサート材として金属製スロ
ットライナーが近遠心方向に配設されたプラスチック製
ブラケットが特開昭60-28503号公報及び特開平9-98988
号公報に示されている。また、横断面U字状の金属部材
がスロットに直交する方向でインサート成形されたプラ
スチック製ブラケット(特開平7-275265号公報、特開平
8-215216号公報及び特開平8-182689号公報参照)が知ら
れている。
【0007】また、強度向上のためにガラス繊維が混入
されたポリカーボネート製のブラケットも知られている
が、ガラス繊維はブラケットの強度向上には寄与するも
のの、歯列矯正治療時に使用される接着剤の有機溶剤成
分の影響によって、ソルベントクラック(溶剤亀裂)を
引き起こしやすいという問題があった。これは、ガラス
繊維が、ポリカーボネート製のブラケットを補強する一
方で、成形時にポリカーボネート内の内部応力を増大さ
せるので、接着剤の溶剤が作用することによって、また
経時的な水の浸襲によってマイクロクラックが生じ、く
ずれるように劣化することが臨床上知られている。
【0008】上記したセラミック製ブラケットおよびプ
ラスチック製ブラケットの問題を解決する手段として、
ガラス製ブラケットが知られており、特開平3-66367号
公報には、表層が圧縮応力下で結晶化されて強化層を成
すと共に内部がアモルファスを成すガラス(ガラス組
成:SiO2 55〜70%,Al2O3 15〜28%,ZnO 0〜14%,Li2O3
〜7%,Na2O 0〜7%,K2O 0〜3%,BaO 0〜7%,MgO 0〜7
%,TiO2 0〜7%)により製造されたブラケットが開示さ
れている。しかしながら、このブラケットは、ガラスシ
ートから超音波加工やダイヤモンド切削加工等により作
られるため高価である。また、表面の結晶層の厚さをコ
ントロールすることが技術的に困難で、厚さのばらつき
が透明度の低下(失透)及び強度の低下に結びつく。
【0009】米国特許5,795,151号には、ディオプサイ
ド結晶化ガラス(ガラス組成:SiO2,MgO,Al2O3,Ti
O2)からなるブラケットが記載されている。しかしなが
ら、このブラケットは、Al23およびTiO2の含有
率が高いため、硬さが天然歯エナメル質に比べて高く、
対合歯のエナメル質を摩耗させるおそれがある。
【0010】さらに、米国特許4,784,606号には、イオ
ン交換により強化されたガラスからなるブラケットが記
載されている。ここでは、Li-Al-Siガラスを、ガラスの
歪み点より高く、かつ軟化点より低い温度で、溶融塩浴
に2〜24時間浸漬させることにより、Naイオンで強化さ
れたガラスを得ている。しかしながら、イオン強化層は
薄いものであり、咬合やブラッシングにより早期に摩耗
してブラケットが破折しやすいという問題がある。
【0011】米国特許4,784,649号には、強度向上を目
的として二重結晶構造のガラスからなるブラケットが記
載されている。このガラスは、ガラスの内部に大きい結
晶構造を有し、ガラスの表層には小さく平べったい結晶
層を有するものであるが、製造プロセスが複雑で製造コ
ストが高いだけでなく、強度も不十分である。
【0012】このように、ガラス製ブラケットは、製造
工程が複雑であり、また製造技術が困難であることによ
って、製造コストが高くなるだけでなく、歯列矯正部材
としての強度および耐久性も不十分である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上に掲げた問題は、
ブラケット以外にも、例えばバッカルチューブ,シー
ス,ボタン,リンガルアタッチメント等の歯冠に直接接
着するタイプの歯列矯正部材全般に生じている。
【0014】すなわち、本発明は、前述した問題点に鑑
みてなされたものであり、その目的は、 1)製造コストを低減できる、 2)審美性が良好である、 3)歯列矯正部材として十分な強度、耐久性を有する、 4)アレルギーの原因物質を発生しにくい、 5)歯牙への接着が確実である、 6)歯列矯正治療期間中に、対合歯を摩耗させにくい、 7)歯列矯正治療期間中に、虫歯や歯槽膿漏の原因とな
るプラークが付着しにくい、 8)歯列矯正治療後における歯牙からの脱離が容易であ
る、 9)矯正線を保持するためにアーチワイヤーの係合を許
容する歯列矯正部材とした場合には、アーチワイヤーに
対するすべり性が良好である、 の前記1)〜9)の全てを兼ね備える歯列矯正部材を提
供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、歯列を矯正す
るための本体と、前記本体に接続されて歯牙に接着可能
なボンディングベースとを有する歯列矯正部材を前提と
している。そして、前述した目的を達成するために、本
発明は、請求項1に記載したように、本体とボンディン
グベースとが、リン酸カルシウム系結晶化ガラスにより
形成されたことを特徴としている。このように本体とボ
ンディングベースとが、白色半透明を呈するリン酸カル
シウム系結晶化ガラスにより形成されているので、歯列
矯正部材の審美性は良好なものとなる。また、リン酸カ
ルシウム系結晶化ガラス製のボンディングベースは、セ
ラミック製ブラケットに見られるような特別な処理を施
すことなく、汎用の歯列矯正用接着剤によって歯牙に確
実に接着でき、歯列矯正部材の製造コストを低減でき
る。さらに、リン酸カルシウム系結晶化ガラス製歯列矯
正部材は、プラスチック製歯列矯正部材に見られる金属
インサート材の挿入や、公知のガラス製歯列矯正部材に
見られる強化層形成等の特別な処理を施さなくても、歯
列矯正部材として十分な強度および耐久性を有してい
る。よって、これによっても歯列矯正部材の製造コスト
を低減できる。また、リン酸カルシウム系結晶化ガラス
の硬さを歯牙のエナメル質の硬さとほぼ同等に設定でき
るので、歯列矯正治療期間中においては対合歯を摩耗さ
せにくくでき、また歯列矯正治療後においては過大な力
を必要とすることなく歯列矯正部材を歯牙から容易に脱
離できる。また、不適切なディボンディング操作、アー
チワイヤーによる過大なトルクの付与、あるいはアーチ
ワイヤーと歯列矯正部材とを結紮するリガッチャワイヤ
ーを切断する際におけるワイヤーカッターの不適切な使
用などによって、歯列矯正部材、特にタイウイング等の
歯列矯正手段が時々破折することがある。しかしなが
ら、このような場合においても、リン酸カルシウム系結
晶化ガラス製歯列矯正部材は、破断面が比較的粒状であ
るので、一般的なガラスとして広く知られているソーダ
石灰ガラスに見られるような尖った破断面とは異なり、
口腔内粘膜を傷つけることはない。加えて、リン酸カル
シウム系結晶化ガラス製歯列矯正部材には、虫歯や歯槽
膿漏の原因となるプラークが付着しにくい。そして、リ
ン酸カルシウム系結晶化ガラス製歯列矯正部材によれ
ば、上記したように金属インサート材を積極的に挿入す
る必要がないので、ニッケルなどに代表されるアレルギ
ーの原因物質を発生しにくい歯列矯正部材とすることが
できる。
【0016】また、本発明においては、請求項2に記載
したように、前記リン酸カルシウム系結晶化ガラスが、
CaOを10重量%〜60重量%、P23を25重量%
〜85重量%、Al23を5重量%〜25重量%、Li
2Oを0.01重量%〜5重量%含有することが好まし
い。このような成分のリン酸カルシウム系結晶化ガラス
とすることにより、特に、結晶化において、結晶化率が
高く、微細かつ緻密な結晶化組織が生成し、高い強度で
かつ歯牙のエナメル質を咬耗させない適度な硬さが得ら
れるとともに、高い結晶化率にもかかわらずエナメル質
に近似した透明性を有する歯列矯正部材となる。
【0017】また、本発明は、請求項3に記載したよう
に、前記リン酸カルシウム系結晶化ガラスのJIS Z
2244に基づくビッカース硬さHvが4.5GPa以
下であり、かつ前記リン酸カルシウム系結晶化ガラスの
JIS R1601に基づく曲げ強さが100MPa以
上となるように構成されたことを特徴としている。この
ような構成によれば、リン酸カルシウム系結晶化ガラス
のビッカース硬さが4.5GPa以下であるので、歯牙
のエナメル質のビッカース硬さHv(約3.4GPa〜
3.8GPa)と比較して硬すぎることはない。よっ
て、歯列矯正治療期間中には、対合歯を摩耗させる虞れ
を確実に低減できるとともに、歯列矯正治療後には、過
大な力を必要とすることなく、歯牙に接着された歯列矯
正部材が歯牙からさらに容易に脱離できる(この脱離の
操作を、本明細書中、ディボンディング操作ともい
う)。また、リン酸カルシウム系結晶化ガラスの曲げ強
さが100MPa以上であることによって、アーチワイ
ヤーのトルクやリガッチャワイヤーの結紮等に対して十
分な強度を有するので、歯列矯正治療期間中に歯列矯正
部材が破損する虞れを確実に低減できる。
【0018】また、本発明は、請求項4に記載したよう
に、前記本体と前記ボンディングベースとが、同一の成
分を有するリン酸カルシウム系結晶化ガラスにより一体
に成形されるとともに、前記歯牙と前記ボンディングベ
ースとの接着強度が単位面積当たり7MPa以上となる
ように形成されたことを特徴としている。接着強度を7
MPa以上とすることによって、患者が通常の食事をし
ても、一般的な治療期間と考えられている18ヶ月〜24ヶ
月の間、接着を確実に維持できる。
【0019】また、本発明は、請求項5に記載したよう
に、前記ボンディングベースのJIS B0601に基
づく表面粗さが、10μm以上とされたことを特徴とし
ている。このような構成によれば、ボンディングベース
と歯列矯正用接着剤との実質的な接着面積が増大すると
ともに、投錨効果を得ることができるので、歯列矯正部
材を歯牙に対してより確実に接着させることができる。
上記範囲の表面粗さは、通法のリン酸エッチングによ
り、好適に達成される。このようなリン酸エッチング
は、ドクターがチェアーサイドにおいて簡単に操作で
き、歯列矯正器具のボンディングベース面をサンドブラ
ストによって粗面にした後、リン酸エッチングを接着の
前処理とすることによって接着力の強化を図ることは極
めて有効である。
【0020】また、本発明は、請求項6に記載したよう
に、前記本体が、歯列を矯正するための手段としてスロ
ットを有することを特徴としている。このような構成に
よれば、スロットがリン酸カルシウム系結晶化ガラスか
ら構成されるので、アーチワイヤーがスロットに嵌め込
まれて歯列矯正が行われる場合、スロットに対するアー
チワイヤーのすべり性は、金属製スロットと同等もしく
はそれ以上であり、良好なものとなる。また、特に、金
属中のニッケルなどに代表されるアレルギーの原因物質
を発生しにくい歯列矯正部材とすることができる。
【0021】また、本発明は、請求項7に記載したよう
に、前記スロットの底面に対してアーチワイヤーを1.
96N(200gr)の荷重で押し付けた時の動摩擦力
が、0.98N(100gr)以下となるように構成さ
れている。このような構成によれば、スロットに対する
アーチワイヤーのすべり性を確実に良好なものとでき
る。
【0022】また、本発明は、請求項8に記載したよう
に、前記スロットの内面に横断面略U字状の金属製スロ
ットライナーが設けられたことを特徴としている。一般
に必須とされるプラスチック製ブラケット等に対する金
属インサート材による補強は、ブラケットの審美性を低
下させ、また製造コストを増大させる傾向にあり、さら
に、インサート材がステンレス製である場合は、ステン
レス中のニッケルやクロムによって、金属アレルギーの
原因となり得ることが知られている。しかしながら、リ
ン酸カルシウム系結晶化ガラスは、プラスチックと比較
して十分な強度を有しており、金属インサート材による
補強は必ずしも必要ではないが、接着する歯牙の種類・
形状、矯正治療の術式等により、特にブラケットの強度
を向上させたい時には、前述したような金属製スロット
ライナーの配設は有効である。よって、前記構成によれ
ば、スロットに対するアーチワイヤーのすべり性が良好
であるのみならず、特に、高強度の歯列矯正部材とする
ことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る実施形態を図
面に基づいて詳細に説明する。図1に示すように、本発
明に係る第一の実施形態の歯列矯正部材は、歯牙11の歯
列を矯正するための本体1と、本体1に接続されて歯牙11
に接着可能なボンディングベース2とを有するブラケッ
ト10であり、本体1とボンディングベース2とが、リン酸
カルシウム系結晶化ガラスにより形成されている。リン
酸カルシウム系結晶化ガラスを、歯冠修復物、人工歯
根、人工骨に応用する技術が、特開昭60-28911号公報、
特開昭60-96544号公報、特開昭60-131835号公報、特開
昭60-180931号公報、特開昭60-221342号公報、特開昭61
-56111号公報、特開昭61-58836号公報、特開昭61-72638
号公報、特開昭61-179143号公報、特開昭61-186247号公
報、特開昭61-197463号公報、特開昭62-56334号公報、
特開昭62-56335号公報、特開昭62-56337号公報、特開昭
62-128947号公報、特開平2-26846号公報、特開平2-4403
9号公報、特開平2-126884号公報、特開平4-18007号公報
に開示されており、本発明に係るブラケット10の本体1
およびボンディングベース2は、これらの公報に記載さ
れたガラスの原料組成物を溶融し、公知のインベストメ
ント鋳造(前掲公報のうち特開昭60-131835号公報、特
開平1-301608号公報、実開平2-25541号公報、実開平3-3
9016号公報を参照)を行うことによって好適に作製でき
る。(なお、歯列矯正部材として、リン酸カルシウム系
結晶化ガラスが使用された前例はない。)
【0024】ここで、リン酸カルシウム系結晶化ガラス
は、CaOを10重量%〜60重量%、P25を25重
量%〜85重量%、Al23を5重量%〜25重量%、
Li 2Oを0.01重量%〜5重量%含有することが好
ましい。CaOが60重量%を超える、あるいはP25
が25重量%未満であると、溶融温度が高くなり、かつ
ガラス化が困難となる。逆にCaOが10重量%未満ま
たはP25が85重量%を超えると、溶融温度が低下す
ると同時にガラス化も容易となるが、結晶化処理が困難
となり、かつ過剰のリン酸が遊離して化学的に不安定と
なり、好ましくない。一方、Al23が25重量%を超
えると、溶融温度が高くなってガラス化が困難となり、
また5重量%未満であると、Al23・P25の結晶が
生成しないか生成量が少なくなり、気泡などの内部欠陥
の発生を避けることが困難となるので好ましくない。ま
た、Li2Oが5重量%を超えると化学的に不安定とな
り、0.01重量%未満であると微細な結晶化組織を得
るのが困難となるため、好ましくない。
【0025】以上のようにして製造できるブラケット10
の審美性は、リン酸カルシウム系結晶化ガラスが白色半
透明を呈するので、良好である。また、必要に応じて、
着色成分(Fe,Ce,W,Ti,Ni,Ru等の化合
物)を添加することにより、天然歯牙に似た色調を出す
こともできる。
【0026】ブラケット10のボンディングベース2は、
歯列矯正治療開始時に、例えば汎用の歯列矯正用接着剤
を介して、歯牙11に接着される。ここで、前述したよう
に、セラミック製ブラケットを歯牙に確実に接着する場
合は、ボンディングベース2にシランカップリング剤を
塗布したり、メカニカルロックを設けるなどの処理が必
要であった。また、プラスチック製ブラケットと歯牙と
の接着剤による接着は、プラスチックと接着剤の溶媒と
の相溶性に頼るものであり、接着力は不十分であった。
しかしながら、リン酸カルシウム系結晶化ガラス製のブ
ラケット10は、歯牙のエナメル質の成分であるリンとカ
ルシウムとを含有しており、特にカルシウムのイオン成
分が接着剤に含有される種々の有機化合物とキレート結
合するので、ボンディングベース2に対して特別な処理
を行うことなく、歯列矯正用部材として適当な接着強度
が得られるものである。
【0027】すなわち、歯列矯正用部材の接着強度は、
前歯部(中切歯,側切歯,犬歯)に対しては70〜12
0N、小臼歯部に対しては100〜150N、大臼歯部
に対しては150〜200Nが理想とされており、ま
た、おおよその目安として、1mm2当たり10N程度
の接着強度が望まれるが、本発明に係る実施形態のブラ
ケット10によれば、その接着強度を、容易に前記理想範
囲内にすることができる。なお、必要に応じて、ボンデ
ィングベース2に対して、例えばリン酸エッチングを行
い、JIS B0601に基づく表面粗さを10μm以
上としても良い。好ましくは、上記表面粗さは10μm
〜100μmである。リン酸エッチングには、歯列矯正
用接着剤などに付属している公知のリン酸エッチング溶
液やリン酸エッチングジェルなどを制限なく使用でき、
このようなリン酸エッチング処理によって、ブラケット
10を歯牙11に対して確実に接着させることができる。特
に、小型のブラケットや第2大臼歯用のバッカルチュー
ブなどのボンディングベース面の面積が狭い歯列矯正用
部材を使用する場合は、接着強度を確実に得るために、
リン酸エッチングを施すのが好ましい。
【0028】以上のようにして歯牙11に接着されたブラ
ケット10は、本体1が、歯列を矯正するための手段とし
て、スロット21と、スロット21から離れる方向に伸びた
タイウイング22とを有しており(図2の(a)参照)、
ブラケット10とアーチワイヤー3との接続は、スロット2
1の中に断面が四角形状のアーチワイヤー3を嵌め込むと
共に、タイウイング22とアーチワイヤー3とをリガッチ
ャワイヤー4によって結紮することによって行われる
(図2の(b)参照)。他の歯牙(図示せず)に対して
も、ブラケット10と同構成のブラケット(図示せず)を
接着し、各歯牙に接着されたブラケットをアーチワイヤ
ー3により掛け渡すことによって、歯列矯正治療が開始
される。なお、ここで、アーチワイヤー3を、治療の初
期においては、断面が円形状のアーチワイヤーとしても
良い。
【0029】ここで、スロット21は、リン酸カルシウム
系結晶化ガラスにより構成されるので、スロット21に対
するアーチワイヤー3のすべり性は良好であり、セラミ
ック製ブラケットに見られるように、必ずしもスロット
を金属製にする必要はない。
【0030】また、スロット21は、リン酸カルシウム系
結晶化ガラスの組成等を変更することによって、スロッ
ト21の底面21aをアーチワイヤー3によって1.96N
(200gr)の荷重で押し付けた時の動摩擦力が、
0.98N(100gr)以下となるように構成されて
いるのが好ましく、すべり性を確実に良好なものとでき
る。ここで、使用するアーチワイヤー3の材質として
は、ステンレス鋼,コバルトクロム合金,ニッケルチタ
ン合金,βチタン合金等の金属製である。厳密には、動
摩擦力測定の際に使用する金属の種類により、上記動摩
擦力の値は異なるが、上記の範囲においては無視できる
ものである(文献「The dynamic frictional resistanc
e between orthodontic brackets and arch wires」 Ts
elepis et al.AJODO 1994; 106: 131-138参照)。
【0031】ここで、ブラケット10の本体1とボンディ
ングベース2とを、同一の成分を有するリン酸カルシウ
ム系結晶化ガラスにより一体に成形し、かつ歯牙11とボ
ンディングベース2との接着強度が単位面積当たり7M
Pa以上となるようにするのが好ましい。前述したよう
に、接着強度を7MPa以上とすることによって、患者
が通常の食事をしても、一般的な治療期間と考えられて
いる18ヶ月〜24ヶ月の間、接着を確実に維持できる。接
着は、汎用の接着剤(有機系接着剤)を使用することを
想定しており、接着強度は、主として、リン酸カルシウ
ム系結晶化ガラスの組成およびボンディングベースの表
面形状に依存するものである。すなわち、接着強度が7
MPa以上となるように、例えば、リン酸カルシウム系
結晶化ガラスの組成が調整されたり、ボンディングベー
スの表面形状が設計される。ボンディングベースの表面
形状の設計としては、前述したような、サンドブラスト
処理及びリン酸エッチング処理を挙げることができる。
また、リン酸カルシウム系結晶化ガラスの組成等を変更
することによって、JIS R1601に基づく曲げ強
さが100MPa以上とされたリン酸カルシウム系結晶
化ガラスを使用するのが好ましく、歯列矯正治療期間中
にブラケット10が破損する虞れを確実に低減できる。
【0032】ところで、リン酸カルシウム系結晶化ガラ
ス、天然歯エナメル質、酸化アルミニウム(アルミナと
呼称する)セラミックス、酸化ジルコニウム(ジルコニ
アと呼称する)セラミックスのそれぞれの硬さは、以下
の表1で示される値であることが知られている。
【0033】
【表1】
【0034】表1で示されるように、CaOを19重量
%、P25を69重量%、Al23を5重量%、Li2
Oを1.5重量%含有するリン酸カルシウム系結晶化ガ
ラスの硬さ(ビッカース硬さ)は、アルミナセラミック
ス及びジルコニアセラミックスの硬さと比較して低い値
であり、また、歯牙のエナメル質の硬さとほぼ同等であ
る。従って、歯列矯正治療中に、リン酸カルシウム系結
晶化ガラス製のブラケット10は対合歯を摩耗させる虞れ
が少ない。(対合歯を摩耗させる虞れを確実に低減する
ためには、リン酸カルシウム系結晶化ガラスの組成等を
変更することによって、ブラケットのビッカース硬さH
vを4.5GPa以下とするのが好ましい。)加えて、
歯列矯正治療後に、歯牙11に接着されたブラケット10を
歯牙からはがす時には、過大な力を必要としないので、
歯牙11のエナメル質を傷つける虞れは少ない。
【0035】また、リン酸カルシウム系結晶化ガラスに
は、表面にプラークが付着しにくいことが知られており
(「リン酸カルシウム系結晶化ガラスの表面性状とStre
ptococcus mutansの付着性に関する実験的研究」 佐川
寛一 歯科材料・器械vol.10No.1 102〜116 (1991)に記
載のインビトロ(in vitro)テストを参照)、リン酸カ
ルシウム系結晶化ガラス製のブラケット10は、歯列矯正
期間中においても、極めて衛生的である。
【0036】以上、本発明の第一の実施形態に係る歯列
矯正部材としてブラケット10を説明したが、本体のスロ
ットの内面に横断面略U字状の金属製スロットライナー
を設け、接着する歯牙の種類・形状等に応じて、ブラケ
ットの強度を適宜向上させてもよい。ブラケットの強度
をより高くする構造として、図3に示すように、本発明
の第二の実施形態の歯列矯正材料の場合、ブラケット30
は、スロット31の内面に横断面略U字状の金属製スロッ
トライナー32が嵌め込まれた構成となっている。ここ
で、金属製スロットライナー32は、幅方向に張り出した
ビート33を有しており、この金属製スロットライナー32
がスロット31に対して長手方向Xにずれるのを防止でき
るようになっている。すなわち、図4に示すように、金
属製スロットライナー32が装着された状態で、ビート33
がスロット31の凹部36に嵌まり込むことによりスロット
31の長手方向Xの動きが抑えられている。また、金属製
スロットライナー32の長手方向端部には、適宜曲率で湾
曲したフレアー34が設けられており、アーチワイヤーが
金属製スロットライナー32の長手方向端部でかじりを起
してすべり性が低下するのを防止できるようになってい
る。このような金属製スロットライナー32の材質として
は、Ti−15Mo−5Zr−3Al等のβチタン合金
や、Ti−Nb−Sn合金等を好適に挙げることがで
き、これにより、加工性が良好であるとともに、強度が
高く、アレルギー物質を発生しにくい金属製スロットラ
イナー32とすることができる。また、ブラケット30のス
ロット31には段部35が設けられており、図5に示すよう
に、金属製スロットライナー32の上端部32aと段部35と
が引っ掛かることによって、金属製スロットライナー32
がスロット31に対して離れないように係止されている。
【0037】上記したブラケット30の他にも、歯科用接
着剤によって金属製スロットライナーがスロット31の内
面に接着されたブラケットとしても良い。
【0038】以上、本発明の実施形態を説明したが、前
述した実施形態において例示した本体,本体が有するス
ロット及びタイウイング等の形状,寸法,形態,数,配
置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であ
り、限定されない。また、実施形態では、ブラケットを
用いて本発明を説明したが、バッカルチューブ,シー
ス,ボタン,リンガルアタッチメント等の歯牙に直接接
着するタイプの他の歯列矯正部材にも適用可能である。
【0039】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明
を詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するも
のではない。
【0040】[実施例のブラケット(リン酸カルシウム
系結晶化ガラス製ブラケット)の作製]CaO19重量
%、P2569重量%、Al2310重量%、Li2
1.5重量%からなるガラス原料組成物を、公知のイン
ベストメント鋳造法に準じて鋳造することにより、実施
例のブラケットを作製した。すなわち、先ず、図1に示
したブラケット10と同等形状の構造体、より具体的には
上市されている上顎・犬歯・左側用ブラケット(トミー
株式会社の商品名オーソエスタ(.018”スロットサ
イズ,ボンディングベース面の面積12mm2))と同
形状の構造体を鋳造できるモールド型を使用して、本体
とボンディングベースとが一体に成形されたプラスチッ
ク製ブラケット模型を作製した(ここで、プラスチック
は熱可塑性ポリプロピレンである)。
【0041】次に、このプラスチック製ブラケットをワ
ックス製スプルーに植立し、引き続き、このようにして
得たプラスチック製ブラケットが接続されたワックス製
ツリーを、真空脱泡したリン酸塩系埋没材(九耐デント
セラム株式会社製の商品名「クリセラ埋没材」)のスラ
リー中に埋没し、引き続き、リン酸塩系埋没材スラリー
を硬化させることにより、プラスチック製ブラケットが
埋没されたリン酸塩系埋没材とした。次いで、硬化後の
リン酸塩系埋没材を、800℃で40分間、加熱焼成す
ることによって、プラスチック製ブラケットとワックス
製幹とをリン酸塩系埋没材より溶かし出し、幹にブラケ
ットが接続した形状のキャビティ(空間)を有する鋳型
を作製した。このリン酸塩系埋設材鋳型のキャビティ内
に、前記ガラス原料組成物を1310℃で加熱して得ら
れたガラス溶融体を圧入し、鋳造後、サンドブラスト法
によって、リン酸塩系埋設材鋳型からガラス鋳造体を取
り出した。このガラス鋳造体を560℃〜570℃で1
2時間加熱し、引き続き640℃で2時間加熱すること
によって結晶化(βメタリン酸カルシウム結晶等の析
出)処理を行い、最後に、この結晶化ガラス製品に対し
てバレル研磨を施すことによって、表面仕上げを行い、
実施例のブラケット(リン酸カルシウム系結晶化ガラス
製ブラケット)を得た。
【0042】実施例のブラケットは、最初に作製したプ
ラスチック製ブラケットと比較して、わずか0.6%の
収縮率であり、プラスチック製ブラケット模型との寸法
変化は、ほとんど無視できるものであった。よって、ア
ーチワイヤーが嵌め込まれるスロットの寸法は、約20
μm以内の精度を確保できるので、特別な後処理等を施
す必要はなく、寸法精度の高いブラケットを得ることが
できた。
【0043】[実施例のブラケットの接着強度試験]実施
例のブラケット(サンプルNo. 1〜5)のボンディングベ
ースを、歯科矯正用接着剤“スーパーボンド”(サンメ
ディカル社製)と“オーソロックボンド”(GAC イ
ンターナショナル社製)の2種類を使用して、アクリル
製の被着体(直径8mm,厚さ10mm)の端面に接着
し、37℃にて24時間放置した。その後、ブラケット
の剪断および引張における接着強度試験を、電子式万能
引張試験機 型番5567(インストロン社製)を使用
して、乾式雰囲気中で実施した。試験結果を表2に示
す。
【0044】
【表2】
【0045】前述したように、ブラケットの接着強度
は、1mm2当たり10N程度の接着強度が望ましく、
実施例のブラケットのボンディングベースの面積は、1
2mm 2であるので、120N程度が好ましい。表2に
示すように、実施例のブラケットによれば、ボンディン
グベースに対する何ら追加の接着力を向上させるための
前処理をしないにもかかわらず、所望の接着強度が得ら
れることが確認された。
【0046】[ブラケットの角アーチワイヤーに対する
すべり性試験]実施例のブラケット(サンプルNo. 1〜
5)の本体が有するスロットの中に、「.017”×.
025”サイズ角アーチワイヤー(材質は、ステンレス
鋼)」(GACインターナショナル社製)を嵌め込み、
ポリウレタン製のエラストメリックリガッチャリング
「ERL990](GACインターナショナル社製 商
品名ラスタイ)を用いて、角アーチワイヤーとタイウイ
ングとを、図2の(b)に示すように結紮した。ブラケ
ットのボンディングベースを接着固定するとともに、角
アーチワイヤーをスロットの底面に対して1.96N
(200gr)の荷重で押し付け、1.3mm/分の速
度で角アーチワイヤーを長尺方向に一定距離移動させた
時の動摩擦力を荷重試験機「モデル 1305D」(ア
イコーエンジニアリング製)を用いて測定することによ
り(角アーチワイヤー移動時の最大摩擦力と最小摩擦力
を測定)、ブラケットの角アーチワイヤーに対するすべ
り性試験を行った。同様のすべり性試験を、実施例のブ
ラケットと同等の形状を有する、セラミック製ブラケッ
ト「クリスタライン」(トミー社製)、メタルインサー
ト付きプラスチック製ブラケット「オーソエスタ」(ト
ミー社製)および金属製ブラケット「オムニアーチ」
(トミー社製)についても行った。ここで、動摩擦力の
値が低いブラケットほど、角アーチワイヤーに対するす
べり性は良好であると言える。すべり性試験の結果を、
表3に示す。ここで、動摩擦力の範囲下限値は、上記最
小摩擦力に対応し、動摩擦力の範囲上限値は、上記最大
摩擦力に対応する。また、実施例に関して、範囲下限値
は、サンプルNo. 1〜5のそれぞれについて最小摩擦力を
測定した値の平均値であり、範囲上限値は、サンプルN
o. 1〜5のそれぞれについて最大摩擦力を測定した値の
平均値である。
【0047】
【表3】
【0048】表3に示すように、実施例のブラケット
(リン酸カルシウム系結晶化ガラス製ブラケット)を使
用したときの動摩擦力が最も低く、すべり性が最も良好
であることが確認された。
【0049】なお、実際の歯列矯正治療において、ブラ
ケットはアーチワイヤーに沿って間欠的にすべり、また
止まっているので、ブラケットとアーチワイヤーとの摩
擦は、動摩擦と静摩擦とが交番に繰り返されてなるもの
と考えられている。ブラケットとアーチワイヤーとの摩
擦を評価する方法としては、ブラケットのスロットに結
紮されたアーチワイヤーを連続的にすべらせて、その間
の摩擦力を万能試験機により測定する方法が一般に知ら
れている。この方法は、アーチワイヤーの移動量を横軸
に、ブラケットとアーチワイヤーとの摩擦力を縦軸にと
れば、縦軸方向に複数のピークを有するグラフが得られ
るので、例えば、すべりはじめの第一ピーク以外のピー
クに関して摩擦力を平均するなどして、ブラケットとア
ーチワイヤーとの摩擦を動摩擦力により評価しようとす
るものである。ブラケットとアーチワイヤーとの摩擦の
評価に関する研究論文のほとんどが、動摩擦力により評
価する方法を示していることから、本明細書において
も、前記したように、複数のサンプルを用いて、各サン
プルの最大摩擦力と最小摩擦力とを測定し、各最小摩擦
力の平均値と各最大摩擦力の平均値とを用いることによ
って、すべり性を評価した。
【0050】[ブラケットの破断面観察試験]実施例のブ
ラケットと、単結晶アルミナセラミック製ブラケット
(Al23100重量%)と、多結晶アルミナセラミッ
ク製ブラケット(Al23 99.6%、MgO 0.4
%)とを使用して試験を行った。単結晶アルミナセラミ
ック製ブラケットは、特開昭60-234656号公報に開示さ
れた製法により作られる。また、多結晶アルミナセラミ
ック製ブラケットは、アルミナ粉末をコンパクト成形し
た後、高温で焼成することにより得られる。これらのブ
ラケットのタイウイングを強制的に折った場合に飛散し
た破片を20倍の実体顕微鏡写真でとらえた。実施例の
ブラケットの破断面の写真を図6に、単結晶アルミナセ
ラミック製ブラケットの破断面の写真を図7に、多結晶
アルミナセラミック製ブラケットの写真を図8に示す。
図6〜図8に示すように、単結晶アルミナセラミック製
ブラケットおよび多結晶アルミナセラミック製ブラケッ
トの破断面は尖っているのに対して、実施例のブラケッ
トの破断面は、比較的、粒状であることが確認された。
よって、実施例のブラケットによれば、たとえ破折した
としても、破断面が粒状であるので、口腔内を傷つける
ことはない。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、請求項1に記載したよ
うに、本体とボンディングベースとが、リン酸カルシウ
ム系結晶化ガラスにより形成されるので、 1)製造コストを低減できる、 2)審美性が良好である、 3)歯列矯正部材として十分な強度、耐久性を有する、 4)アレルギーの原因物質が発生しにくい、 5)歯牙への接着が確実である、 6)歯列矯正治療期間中に、対合歯を摩耗させにくい、 7)歯列矯正治療期間中に、虫歯や歯槽膿漏の原因とな
るプラークが付着しにくい、 8)歯列矯正治療後における歯牙からの脱離が容易であ
る、 9)矯正線を保持するためにアーチワイヤーの係合を許
容する歯列矯正部材とした場合には、アーチワイヤーに
対するすべり性が良好である、 の前記1)〜9)の全てを兼ね備える歯列矯正部材を提
供できる。
【0052】そして、本発明によれば、請求項2に記載
したように、前記リン酸カルシウム系結晶化ガラスが、
CaOを10重量%〜60重量%、P25を25重量%
〜85重量%、Al23を5重量%〜25重量%、Li
2Oを0.01重量%〜5重量%含有するものであれ
ば、特に、結晶化において、結晶化率が高く、微細かつ
緻密な結晶化組織が生成し、高い強度かつ歯牙のエナメ
ル質を摩耗させない適度な硬さで、エナメル質に近似し
た透明性を有する歯列矯正部材を提供できる。
【0053】そして、本発明は、請求項3に記載したよ
うに、リン酸カルシウム系結晶化ガラスのJIS Z2
244に基づくビッカース硬さHvが4.5GPa以下
であり、かつリン酸カルシウム系結晶化ガラスのJIS
R1601に基づく曲げ強さが100MPa以上とな
るように構成されれば、歯列矯正治療期間中には、歯列
矯正部材が破損したり、対合歯を摩耗させたりする虞れ
を確実に低減できるとともに、歯列矯正治療後には、歯
牙からさらに容易に脱離できる歯列矯正部材を提供でき
る。
【0054】そして、本発明は、請求項4に記載したよ
うに、本体とボンディングベースとが、同一の成分を有
するリン酸カルシウム系結晶化ガラスにより一体に成形
されるとともに、歯牙とボンディングベースとの接着強
度が単位面積当たり7MPa以上となるように形成され
れば、一般的な治療期間の間、歯牙に対する接着を確実
に維持できる歯列矯正部材を提供できる。
【0055】そして、本発明は、請求項5に記載したよ
うに、ボンディングベースのJISB0601に基づく
表面粗さが、10μm以上であれば、歯列矯正部材を歯
牙に対してより確実に接着させることができる歯列矯正
部材を提供できる。
【0056】また、本発明は、請求項6に記載したよう
に、本体が、歯列を矯正するための手段としてスロット
を有すれば、アーチワイヤーがスロットに嵌め込まれて
歯列矯正が行われる場合、スロットに対するアーチワイ
ヤーのすべり性が良好な歯列矯正部材を提供できる。
【0057】また、本発明は、請求項7に記載したよう
に、前記スロットの底面に対してアーチワイヤーを1.
96N(200gr)の荷重で押し付けた時の動摩擦力
が、0.98N(100gr)以下となるように構成さ
れれば、特に、歯牙移動がスムーズなため治療期間を短
縮できる歯列矯正部材を提供できる。
【0058】また、本発明は、請求項8に記載したよう
に、前記スロットの内面に横断面略U字状の金属製スロ
ットライナーを設ければ、特に、高強度の歯列矯正部材
を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るブラケットの斜視図で
ある。
【図2】本発明の実施形態を示す全体斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る他のブラケットの斜視
図である。
【図4】本発明の実施形態に係る他のブラケットをスロ
ット側から見た平面図である。
【図5】図3におけるA−A線に沿った部分断面図であ
る。
【図6】実施例のブラケットの破断面の写真である。
【図7】単結晶アルミナセラミック製ブラケットの破断
面の写真である。
【図8】多結晶アルミナセラミック製ブラケットの破断
面の写真である。
【符号の説明】
1 本体 2 ボンディングベース 3 アーチワイヤー 10,30 ブラケット(歯列矯正部材) 11 歯牙 21 スロット 32 金属製スロットライナー
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月6日(2001.2.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図7
【補正方法】変更
【補正内容】
【図7】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図8
【補正方法】変更
【補正内容】
【図8】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 光藤 誠 岡山県赤磐郡熊山町桜が丘東6丁目6番の 200 (72)発明者 松島 三広 東京都千代田区内神田3−15−1 信和ビ ル 株式会社トミーインターナショナル内 Fターム(参考) 4C052 AA16 JJ03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯列を矯正するための本体と、前記本体
    に接続されて歯牙に接着可能なボンディングベースとを
    有する歯列矯正部材であって、 前記本体と前記ボンディングベースとが、リン酸カルシ
    ウム系結晶化ガラスにより形成されたことを特徴とする
    歯列矯正部材。
  2. 【請求項2】 前記リン酸カルシウム系結晶化ガラス
    が、CaOを10重量%〜60重量%、P25を25重
    量%〜85重量%、Al23を5重量%〜25重量%、
    Li2Oを0.01重量%〜5重量%含有することを特
    徴とする請求項1に記載の歯列矯正部材。
  3. 【請求項3】 前記リン酸カルシウム系結晶化ガラスの
    JIS Z2244に基づくビッカース硬さHvが4.
    5GPa以下であり、かつ前記リン酸カルシウム系結晶
    化ガラスのJIS R1601に基づく曲げ強さが10
    0MPa以上となるように構成されたことを特徴とする
    請求項1または2に記載の歯列矯正部材。
  4. 【請求項4】 前記本体と前記ボンディングベースと
    が、同一の成分を有するリン酸カルシウム系結晶化ガラ
    スにより一体に成形されるとともに、前記歯牙と前記ボ
    ンディングベースとの接着強度が単位面積当たり7MP
    a以上となるように形成されたことを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の歯列矯正部材。
  5. 【請求項5】 前記ボンディングベースのJIS B0
    601に基づく表面粗さが、10μm以上であることを
    特徴とする請求項4に記載の歯列矯正部材。
  6. 【請求項6】 前記本体が、歯列を矯正するための手段
    としてスロットを有することを特徴とする請求項1〜5
    のいずれかに記載の歯列矯正部材。
  7. 【請求項7】 前記スロットの底面に対してアーチワイ
    ヤーを1.96N(200gr)の荷重で押し付けた時
    の動摩擦力が、0.98N(100gr)以下となるよ
    うに構成されたことを特徴とする請求項6に記載の歯列
    矯正部材。
  8. 【請求項8】 前記スロットの内面に横断面略U字状の
    金属製スロットライナーが設けられたことを特徴とする
    請求項6に記載の歯列矯正部材。
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