JP2012503644A - ハーブ組成物、及びウイルス感染の治療方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、抗ウイルス活性を有する植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の抽出物を含むハーブ組成物に関する。また、本発明は、前記ハーブ組成物の調製方法に関する。さらに、本発明は、ウイルス感染、具体的には単純ヘルペスウイルスを原因とするウイルス感染の治療のための前記ハーブ組成物の使用に関する。
[発明の背景]
ウイルスは、多くの重篤なもしくは生命を害するヒト疾患の病因になる。なかでも特に関心を引いているのが、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、及びヒトヘルペスウイルス6、7及び8(HHV−6、HHV−7及びHHV−8)等のヘルペスウイルスである。
[発明の概要]
本発明は、植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heteranth)の抽出物の治療有効量を、単独で又は薬理学的に許容される担体と組み合わせて、含むハーブ組成物に関する。
また、本発明は、前記ハーブ組成物の抗ウイルス活性に関する。
前記ハーブ組成物の抗ウイルス活性は、抗HSV活性、具体的に抗HSV−2活性である。
また、本発明は、コンドームもしくは他のバリア装置を用いたウイルス感染予防のための前記ハーブ組成物の使用に関する。
また、本発明は、ウイルス感染治療薬の製造のための、植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の抽出物の使用を含む。
本発明について詳述する前に、本発明は具体的な実施形態に限定されないことが理解されなければならない。また、本開示中で使用される用語は、単に具体的な実施形態の説明を目的としており、限定を意図しないことを理解すべきである。
別途定義されない限り、本開示中で使用される全ての技術用語及び化学用語は、本発明の属する分野の当業者が一般的に理解するのと同じ意味を有する。
本開示中で使用される「治療(treating)」、「治療する(treat)」、「治療(treatment)」という用語は、対症療法を含む。
(b)工程(a)で得られた溶媒抽出物を濃縮する工程
(c)任意に、工程(b)で得られた抽出物を高真空下(0.01〜5mmHg)で乾燥する工程
(d)任意に、ポリアミド樹脂、ゼラチン/塩化ナトリウム溶液、ポリビニルピロリドン、カフェイン、酢酸鉛(II)又は皮粉から選択される材料を使用して、工程(b)又は工程(c)で得られた抽出物を濃縮する工程
(e)任意に、溶媒分配又はクロマトグラフィーによって、工程(b)、工程(c)又は工程(d)で得られた抽出物を濃縮する工程、及び
(f)任意に、工程(b)、工程(c)、工程(d)又は工程(e)の抽出物を薬理学的に許容される担体と混合する工程
本発明の一態様において、植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の根の抽出物を含むハーブ組成物の調製方法は、以下の工程を含む:
(a)40〜50℃で2〜24時間、1:5〜1:40の重量/体積の比率で溶媒中で撹拌することにより、植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の根から抽出物を調製する工程
(b)工程(a)で得られた溶媒抽出物を濃縮する工程
(c)任意に、工程(b)で得られた抽出物を高真空下(0.01〜5mmHg)で乾燥する工程
(d)任意に、ポリアミド樹脂、ゼラチン/塩化ナトリウム溶液、ポリビニルピロリドン、カフェイン、酢酸鉛(II)又は皮粉から選択される材料を使用して、工程(b)又は工程(c)で得られた抽出物を濃縮する工程
(e)任意に、溶媒分配又はクロマトグラフィーによって、工程(b)、工程(c)又は工程(d)で得られた抽出物をさらに濃縮する工程、及び
(f)任意に、工程(b)、工程(c)、工程(d)又は工程(e)で得られた抽出物を薬理学的に許容される担体と混合する工程
本発明の一態様において、植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の植物全体又は1つ以上の部分を抽出するための溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、水、又はこれらの混合物から選択され、メタノールと水の混合物又はエタノールと水の混合物であると好ましい。
本発明の別の態様において、抽出物を得るために、(i)30〜50℃で減圧下(150〜600mmHg)での蒸留、(ii)凍結乾燥、及び(iii)噴霧乾燥から選択される1つ以上の方法を用いて行われる。
順相クロマトグラフィー(アルミナ又はシリカゲルを使用)
逆相クロマトグラフィー(ジメチルオクタデシルシリルシリカゲル(RP−18)又はジメチルオクチルシリルシリカゲル(RP−8)等のような逆相シリカゲルを使用)
ゲル浸透クロマトグラフィー(Sephadex LH−20(登録商標)(Pharmacia Chemical Industries、スウェーデン)、又はセファデックス(Sephadex:登録商標)G−10及びG−25等のような樹脂を使用)、又は
向流クロマトグラフィー(二相溶離システムを使用)
これらの技術は、繰り返して、単独で又は他と組み合わせて用いてもよい。
本発明の一態様において、ウイルス感染の治療方法は、以下のような公知の投与経路、投与方法等による上述のハーブ組成物の投与を含む。
植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の抽出物は、従来のベースに混合されて、約5〜99重量%の抽出物を含む経口剤を調製するために使用される。
[実施例]
実施例1
植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の根のメタノール抽出物の調製
採取したばかりのインジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の根を乾燥し(350g)、微粉砕した。45℃に維持した水浴内に配置したステンレス製容器内で、一定に撹拌しながらこの荒く挽いた材料を3.5Lのメタノールに8時間浸した。抽出物を濾過し、残渣を室温で3.5Lのメタノールに16時間浸漬し、濾過した。抽出物を合わせて、ロータリーエバポレーターを使って45℃で5時間ライン真空下(約500mmHg)濃縮し、スピードバック(Speed Vac:登録商標)プラス(Plus)(Savant、米国)を使って約40〜50℃で8時間乾燥し、25.78gの抽出物を得た。
抽出物の色は濃褐色で、抽出物は水に部分的に溶解する。
植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の根の水抽出物の調製
採取したばかりのインジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の根を乾燥し(100g)、微粉砕した。2L三角フラスコに微粉砕した根を入れて1000mLの水を加え、、45℃で3時間ホットプレート上でマグネチックスターラーを使って一定に撹拌した。抽出物をライン真空下(約500mmHg)で濾過した。フリーズ・ドライヤー(Freeze Dryer)(Edwards、イタリア)を使ってこの濾液(800mL)を8時間凍結乾燥し、6.5gの抽出物を得た。
抽出物の色は褐色である。
実施例1の抽出物の濃縮
ボルテックススターラー及びソニケーターを用いて、実施例1の抽出物(112mg)を8mLのメタノール中に溶解した。この抽出物に300mgのポリアミド6樹脂(Macherey Nagel、ドイツ)を加え、ボルテックスし、45分間放置して濾過した。スピードバック(Speed Vac:登録商標)プラス(Plus)(Savant、米国)を使って濾液を12時間乾燥し、54.6mgの抽出物を得た。
抽出物の色は琥珀色で、抽出物は水に部分的に溶解する。
実施例3の抽出物の濃縮
実施例3の抽出物(5g、実施例3によって調製された)を室温(25℃)で100mLの水:メタノール(9:1)混合液中で懸濁し、300mL(100mL×3)の石油エーテルで超音波処理と分配を3回連続して行った。
上記工程から得られた水層を300mL(100mL×3)のクロロホルムで3回連続して分配した。
上記工程から得られた水層を300mL(100mL×3)の酢酸エチルで3回連続して分配した。
上記工程から得られた最終的な水層を、ライン真空下(約500mmHg)のロータリーエバポレーターで濃縮し、その後凍結乾燥し、1.19gの淡褐色の抽出物を得た。
植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heteranthaの根の含水アルコール(メタノール:水)抽出物の調製
インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の根を乾燥し(200g)、微粉砕し、40±5℃に維持された水浴中で3時間一定に撹拌しながら1.6Lのメタノール:水(1:1)中に浸した。抽出物を濾過し、残渣を1.6Lのメタノール:水(1:1)中に浸し、同じプロセスをさらに2回繰り返した。抽出物を合わし、ロータリーエバポレーターを使用して45℃でライン真空(約500mmHg)下で濃縮し、スピードバック(Speed Vac:登録商標)プラス(Plus)(Savant、米国)を使用して乾燥し、28.97gの抽出物を得た。
抽出物の色は濃褐色である。
植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heteranthaの根の含水アルコール(エタノール:水)抽出物の調製
インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の根を乾燥して(200g)、微粉砕し、40±5℃に維持した水浴中で3時間一定に撹拌しながら1.6Lのエタノール:水(1:1)中に浸した。抽出物を濾過し、残渣を1.6Lのエタノール:水(1:1)中に浸し、同じプロセスをさらに2回繰り返した。抽出物を合わし、ロータリーエバポレーターを使って45℃でライン真空下(約500mmHg)で濃縮し、スピードバック(Speed Vac:登録商標)プラス(Plus)(Savant、米国)を使って乾燥し、29.89gの抽出物を得た。
抽出物の色は濃褐色である。
実施例1の抽出物の濃縮
(a)室温(25℃)で実施例1の抽出物(150g)を2Lの水中で懸濁し、超音波処理した。抽出物を濾過し、水性濾液を得た。フリーズ・ドライヤー(Freeze Dryer)(Edwards、イタリア)を使って残渣(37.05g)を凍結乾燥した。
(b)工程(a)で収集した水性濾液を300mL(100mL×3)のクロロホルムで連続して3回分配し、水層及びクロロホルム層を得た。このクロロホルム層を45℃で減圧下濃縮し、0.425gのクロロホルム画分を得た。
(c)工程(b)から得られた水層を300mL(100mL×3)の酢酸エチルで連続して3回分配し、水層及び酢酸エチル層を得た。この酢酸エチル層を45℃で減圧下で濃縮し、3.737gの酢酸エチル画分を得た。
(d)工程(c)から得られた水層を減圧下で濃縮して凍結乾燥し、89gの水性画分[実施例7(d)]を得た。
(e)工程(d)から得られた1gの乾燥した水性画分を50mLの酢酸エチルを用いて1時間還流し、濾過した。濃縮後、0.053gの酢酸エチル濾液及び0.853gの酢酸エチル残渣[実施例7(e)]を得た。
植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の根からの実施例5の抽出物、実施例6の抽出物及び実施例7(d)の抽出物の製剤の調製
クリームの調製のための一般的手順
必要量の成分6(表1、表2及び表3を参照)を適切なガラス/ステンレス製容器に加えた。この容器に成分1を加え、メカニカルスターラーを使って溶解/分散した。温度は60〜75℃に維持した。この溶液に一定に撹拌しながら成分4及び5を加えた。成分2及び3を融解し、一定に撹拌しながら前記容器に加えた。温度は緩やかに室温(25℃)に下げた。
実施例1の抽出物の製剤の調製
ゲルの調製のための一般的手順
秤量した量の成分2(表4を参照)を温水中で溶解した。この容器に成分1を加え、メカニカルスターラーを使って溶解/分散した。得られた溶液を室温まで冷却し、撹拌しながら成分3を数滴加え、透明のゲルを得た。
[生物学的評価]
in vitro抗ウイルスアッセイ
[実施例10]
ウイルスストックの調製
使用材料:
・細胞株:ベロ(アフリカミドリザルの腎臓細胞株の腎臓上皮細胞−
American Type Culture Collection
(ATCC)#CCL−81)
・ウイルス:HSV−2(ATCC株VR−734及び国立ウイルス研究所(Pune、インド)の臨床株No.753167
・培地:ダルベッコ改変イーグル培地
(DMEM、Gibco、米国、Cat.No.:12430)
・血清:ウシ胎仔血清
(FBS、Gibco、米国、Cat.No.:16000−044)
・トリプシン−EDTA溶液:0.25%トリプシン−エチレンジアミン四酢酸(トリプシン−EDTA、Gibco、米国、Cat.No.:25200)
・標準成分:アシクロビル(Medicorp、Hyderabad、インド)
・プラスチックウエア:細胞培養フラスコ25cm2
(Nunc、米国、Cat.No.:156367)
:組織培養フラスコ75cm2
(Nunc、米国、Cat.No.:156499)
:遠心管15mL
(Nunc、米国、Cat.No.:366060)
:遠心管50mL
(Nunc、米国、Cat.No.:373687)
:平底96ウエルプレート
(Nunc、米国、Cat.No.:167008)
・染料:クリスタルバイオレット(Sigma、米国、Cat.No.:
C3886−25G)
・抗生物質−抗真菌剤混合物(Gibco、米国、Cat.No.:15240)
[工程1]
細胞株の維持
「Antiviral Research,2005,67,24−30」で報告されているように細胞株の維持を実施した。
[工程2]
ウイルス(HSV−2)の増殖
「Antiviral Research,2005,67,24−30」に報告されているようにウイルスの増殖を実施した。
CPEアッセイによるウイルス力価の決定
本アッセイは「World J.Gastroenterol.、2006、12:4078−4081」に報告されているように実施された。
結果:本実験におけるTCID50の数値は、3.98×106であった。
プラークアッセイによるウイルス力価の決定
本アッセイ「Antiviral Res.,2005,67(1):24−30」に報告されているように実施された。
ウイルス力価=(生成プラーク数×ウイルスの希釈×接種材料量)
結果:プラークアッセイによって決定されたウイルス力価は1.4×107pfu/mLであった。
CPE阻害アッセイにより一次抗ウイルススクリーニング試験を行った。
方法A:CPE阻害アッセイ−クリスタルバイオレット染色方法
アッセイは、ウイルス複製サイクルの任意の段階で作用する薬剤(この場合、抽出物)を検出するために設計された。このアッセイは「Indian J.Med.Res.,2004,120:24−29」に報告されているように実施された。
+ CPE阻害11〜25% ++ CPE阻害26〜50%
+++ CPE阻害51〜75% ++++ CPE阻害76〜100%
方法B:CPE阻害アッセイ−MTT方法
本アッセイは、ウイルス複製サイクルの任意の段階で作用する薬剤(この場合、抽出物)を検出するために設計された。本アッセイは「World J.Gastroenterol.,2006,12:4078−4081」に報告されているようにを実施された。
CPE阻害アッセイ−染色方法に関しては、クリスタルバイオレットで細胞の染色せずに3−(4,5−ジメチルチアゾル−2イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)アッセイを実施したことを除き、実施例11の方法Aと同様の方法でこのアッセイを行った。即ち、96ウェル平底プレートでベロ細胞(実施例10の工程1で得られた)を、実施例1の抽出物、実施例3の抽出物又はアシクロビルを含む維持培地(2%FBSを添加したDMEM)で1時間処理した。その後、100 TCID50のmoiで、細胞にウイルス(実施例10の工程2で得られたウイルスストックを使用)を感染させた。37℃で48時間培養した後、MTTアッセイにより生存細胞を測定した(96ウェルプレートELISAリーダーを用いて570nmでの吸光度を測定した)。以下の式に従って抗ウイルス活性を決定した。
(ODT)HSV:HSV感染細胞中の抽出物/化合物の濃度で測定した吸光度
(ODC)HSV:対照の未処理のHSV感染細胞に対して測定された吸光度に関する
(ODC)mock:対照の未処理の模倣感染細胞に対して測定された吸光度に関する
結果:実施例1の抽出物及び実施例3の抽出物は、HSV−2に対して抗ウイルス活性を示した。
CPE阻害アッセイ−MTT方法。
実施例11の方法Bと同様の方法で本アッセイを実施した。
(i) 実施例2の抽出物
(ii) 実施例5の抽出物
(iii)実施例6の抽出物
(iv) 実施例7(d)の抽出物
6.25〜400μg/mLの範囲の濃度のサンプルを試験した。
結論:
図1:実施例2の抽出物は、HSV−2に対する抗ウイルス活性を示した。実施例2の抽出物は、抗ウイルス活性を示す濃度ではベロ細胞の生存率に影響を与えなかった。
図2:実施例5の抽出物は、HSV−2に対する抗ウイルス活性を示した。実施例5の抽出物は、抗ウイルス活性を示す濃度ではベロ細胞の生存率に影響を与えなかった。
図3:実施例6の抽出物は、HSV−2に対する抗ウイルス活性を示した。実施例6の抽出物は、抗ウイルス活性を示す濃度ではベロ細胞の生存率に影響を与えなかった。
図4:実施例7(d)の抽出物は、HSV−2に対する抗ウイルス活性を示した。実施例7(d)の抽出物は、抗ウイルス活性を示す濃度ではベロ細胞の生存率に影響を与えなかった。
細胞毒性アッセイ
本アッセイは、「World.J.Gastroenterol.,2006,12:4078−4081」に報告されているように実施された。
上記データより、50%細胞毒性濃度を算出した(CC50)。
治療指数とも呼ばれる選択指数(SI)をCC50とIC50の比率として評価し、得られた結果を表6に示している。実施例3の抽出物が、その毒性レベルを超える十分な抗ウイルス活性を有するか否かを判断するため、CC50/IC50によりSIを算出した。
in vivo抗ウイルスアッセイ
実験に使用した動物は、CPCSEA(Committee for thePurpose of Control and Supervision of Experiments on Animals)(Tamil Nadu、インド)が発行した有効なガイドラインに従って飼育された。実験動物を使う手順は、ピラマル・ライフ・サイエンシーズ・リミテッド(Goregaon、Mumbai、インド)の実験動物倫理委員会(IAEC:Institutional Animal Ethics Committee)によって承認された。
HSV−2感染のマウス膣モデル
本アッセイは「Antiviral Research,2006,69:77−85」の報告に従って実施された。
0:明らかな感染は認められない
1:膣外組織の分散した僅かな丘疹と微かな赤み
2:膣外組織の分散した僅かな丘疹、潰瘍、及び/又は痂皮及び/又は腫脹及び赤み
3:周囲組織への伸展を伴う膣外組織の多数の融合した潰瘍/痂皮、中等度の腫脹及び赤み
4:周囲組織への伸展を伴い膣外組織の重度の赤み及び腫脹を伴う潰瘍化、及び、後肢麻痺
5:周囲組織への伸展を伴う膣外組織の重度の潰瘍化、体重減少、後肢麻痺及び死亡
観察:
1.プラセボで治療したグループ:
(a)5日目に膣外感染の初期兆候が生じた。
(b)11日目に全てのマウスが死亡した。
2.アシクロビルで治療したグループ:
(a)膣外疾患の兆候を示したマウスは確認されなかった。
(b)実験中に死亡したマウスは確認されなかった。
3.実施例3の抽出物で治療したグループ:
(a)125mg/kgの実施例3の抽出物で治療したマウスは、実験期間中を通してウイルス誘導の膣外疾患の特徴的兆候を示さなかった。
(b)125mg/kgの実施例3の抽出物で治療したマウスは、100%の生存率を示した。
4.実施例4の抽出物で治療したグループ:
(a)300mg/kgの実施例4の抽出物で治療した10匹のうち9匹のマウスは、実験期間中を通してウイルス誘導の膣外疾患の特徴的兆候を示さなかった。1匹のマウスが、5日目にHSV誘導の膣外疾患の特徴的兆候を示した。しかしながら、このマウスは19日目までに臨床的に回復した。
(b)300mg/kgの実施例4の抽出物で治療したマウスは、100%の生存率を示した。
[実施例15]
HSV−2感染のマウス膣モデル
本アッセイ実施例14に以下に記載されたように修正して実施された。
(i)実施例14の5×103pfuの代わりに、2×104pfuのウイルスをマウスに膣内接種した。
(ii)実施例14の動物の膣円蓋への抽出物の注射の代わりに、製剤(製剤I、製剤II及び製剤III)の局所投与により、評価を行った。
(iii)1つ以上の動物のグループを調査した:マウスにウイルスを接種したが治療しなかった「感染対照グループ」。このグループを使って、疾患の経緯を監視し、プラセボが疾患を持つ動物への影響を示すかどうか、感染対照グループの結果を「プラセボ治療グループ」と比較した。
(iv)評価するアシクロビルの用量は、実施例14の体重1kg当り75mgの代わりに、体重1kg当り225mgであった。
(a)実施例1の抽出物
(b)製剤I
(c)製剤II
(d)製剤III
動物へのサンプル投与
実施例1の抽出物(PBS中に溶解)を膣円蓋にマイクロピペットで注射した。製剤I、製剤II及び製剤IIIを1日3回、5日間局所(25mg)投与した。動物の評価において、25mgの製剤IB、IIB又はIIIBは375mg/kgの用量に相当し、25mgの製剤IC、IIC又はIIICは750mg/kgの用量に相当し、25mgの製剤ID、IID及びIIIDは1500mg/kgの用量に相当する。
1.実施例1の抽出物の評価:
a. プラセボ治療グループ:5日目に膣外感染の初期兆候が現れ、動物の全死亡率が観察された。
b. アシクロビル治療グループ:膣外疾患を示すマウスは確認されなかった。動物は100%生存率を示した。
c.実施例1の抽出物治療グループ:
(i)用量375mg/kgの抽出物で治療した動物:5日目に膣外感染の初期兆候が現れ、生き残った動物は全て21日目までに臨床的に回復した。これらの動物の生存率は30%であった。
(ii)用量750mg/kgの抽出物で治療した動物:5日目に膣外感染の初期兆候が現れ、21日目で本調査が終了するまでこの兆候は継続した。これらの動物の生存率は50%であった。
(iii)用量1500mg/kgの抽出物で治療した動物:5日目に膣外感染の初期兆候が現れ、生き残った動物は全て21日目までに臨床的に回復した。これらの動物の生存率は40%であった。
上記結果を図5A及び図5Bに示す。
a.プラセボ治療グループ:7日目に膣外感染の初期兆候が現れ、動物の全ての死亡が観察された。
b.感染対照グループ:7日目に膣外感染の初期兆候が現れ、動物の全ての死亡が観察された。
c.アシクロビル治療グループ:膣外疾患を示すマウスは確認されなかった。動物は100%生存率を示した。
d.製剤I治療グループ:
(i)用量375mg/kgの抽出物で治療した動物:13日目に膣外感染の初期兆候が現れ、21日目に本調査が終了するまでこの兆候は継続した。これらの動物の生存率は100%であった。
(ii)用量750mg/kgの抽出物で治療した動物:8日目に膣外感染の初期兆候が現れ、21日目に本調査が終了するまでこの兆候は継続した。これらの動物の生存率は87.5%であった。
(iii)用量1500mg/kgの抽出物で治療した動物:膣外疾患を示すマウスは確認されなかった。これらの動物の生存率は100%であった。
上記結果を図6A及び図6Bに示す。
a.プラセボ治療グループ:9日目に膣外感染の初期兆候が現れ、動物の全ての死亡が観察された。
b.感染対照グループ:9日目に膣外感染の初期兆候が現れ、動物の全ての死亡率が観察された。
c.アシクロビル治療グループ:18日目に膣外疾患が現れ、21日目まで継続した。動物は100%生存率を示した。
d.製剤II治療グループ:
(i)用量750mg/kgの抽出物で治療した動物:11日目に膣外感染の初期兆候が現れ、21日目まで継続した。動物は90%生存率を示した。
(ii)用量1500mg/kgの抽出物で治療した動物:14日目に膣外感染の初期兆候が現れ、21日目まで継続した。動物は100%生存率を示した。
上記結果を図7A及び図7Bに示す。
e.プラセボ治療グループ:8日目に膣外感染の初期兆候が現れ、動物の全ての死亡が観察された。
f.感染対照グループ:8日目に膣外感染の初期兆候が現れ、動物の全ての死亡が観察された。
g.アシクロビル治療グループ:膣外疾患を示すマウスは確認されなかった。動物は100%生存率を示した。
h.製剤III治療グループ:
(i)用量375mg/kgの抽出物で治療した動物:8日目に膣外感染の初期兆候が現れ、21日目に本調査が終了するまでこの兆候は継続した。これらの動物の生存率は100%であった。
(ii)用量750mg/kgの抽出物で治療した動物:動物は調査期間中を通して膣外疾患のいかなる兆候も示さなかった。これらの動物の生存率は100%であった。
(iii)用量1500mg/kgの抽出物で治療した動物:動物は調査期間中を通して膣外疾患のいかなる兆候も示さなかった。これらの動物の生存率は80%であった。
上記結果を図8A及び図8Bに示す。
Claims (21)
- 植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の植物全体又は1つ以上の部分を溶媒中で1:5〜1:40重量/体積の比率で2〜24時間、40〜50℃で撹拌し、
抽出物を濃縮し、及び任意に、前記抽出物を溶媒分配又はクロマトグラフィーにより濃縮する、ことにより調製される、
ことを特徴とする植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の植物全体又は1つ以上の部分から単離される抽出物。 - 請求項1に記載の植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の植物全体又は1つ以上の部分から単離される抽出物の治療有効量を、単独で又は薬理学的に許容される担体と組み合わされて含む
ことを特徴とするハーブ組成物。 - 請求項2に記載のハーブ組成物であって、
前記植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の抽出物は、前記植物の根から得られる
ことを特徴とするハーブ組成物。 - 請求項2又は請求項3に記載のハーブ組成物であって、
前記ハーブ組成物は、植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の抽出物の治療有効量を含み、
(a)40〜50℃で2〜24時間、溶媒中で1:5〜1:40重量/体積の比率で溶媒中で撹拌することにより、前記植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の植物全体又は1つ以上の部分からの抽出物を調製する工程、
(b)工程(a)で得られた溶媒抽出物を濃縮する工程、
(c)任意に、工程(b)で得られた抽出物を高真空下(0.01〜5mmHgで乾燥する工程、
(d)任意に、ポリアミド樹脂、ゼラチン/塩化ナトリウム溶液、ポリビニルピロリドン、カフェイン、酢酸鉛(II)又は皮粉から選択される材料を使用して、工程(b)又は工程(c)で得られた抽出物を濃縮する工程、
(e)任意に、溶媒分配又はクロマトグラフィーによって、工程(b)、工程(c)又は工程(d)で得られた抽出物を濃縮する工程、及び、
(f)任意に、工程(b)、工程(c)、工程(d)又は工程(e)の抽出物を薬理学的に許容される担体と混合する工程、を含む、
ことを特徴とするハーブ組成物の調製方法。 - 請求項4に記載のハーブ組成物の調製方法であって、
前記植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の前記抽出物は、前記植物の根から得られる
ことを特徴とするハーブ組成物の調製方法。 - 請求項4又は請求項5に記載のハーブ組成物の調製方法であって
前記植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)を抽出するための前記溶媒は、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アセトン、酢酸エチル、ジクロロメタン、水、又はこれらの混合物から選択される
ことを特徴とするハーブ組成物の調製方法。 - 請求項6に記載のハーブ組成物の調製方法であって、
前記植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)を抽出するための前記溶媒は、メタノール及び水、又はエタノール及び水の混合物である
ことを特徴とするハーブ組成物の調製方法。 - 請求項4又は請求項5に記載のハーブ組成物の調製方法であって、
前記溶媒抽出物は濃縮前に濾過される
ことを特徴とするハーブ組成物の調製方法。 - 請求項4又は請求項5に記載のハーブ組成物の調製方法であって、
前記溶媒抽出物の濃縮は、前記抽出物を得るために、(i)30〜50℃の減圧下(150〜600mmHg(20,000〜80,000Pa))での蒸留、(ii)凍結乾燥、及び(iii)噴霧乾燥から選択される1つ以上の方法を用いることによって行われる
ことを特徴とするハーブ組成物の調製方法。 - 請求項4又は請求項5に記載のハーブ組成物の調製方法であって、
前記抽出物を濃縮するために用いられる材料は、ポリアミド樹脂である
ことを特徴とするハーブ組成物の調製方法。 - 請求項4又は請求項5に記載のハーブ組成物の調製方法であって、
溶媒分配により前記抽出物を濃縮するための溶媒は、水、石油エーテル、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、メタノール、アセトン、アセトニトリル、n−プロパノール、イソプロパノール、及びブタノール又はこれらの混合物から選択される
ことを特徴とするハーブ組成物の調製方法。 - 請求項2又は請求項3に記載のハーブ組成物であって、
前記ハーブ組成物は、経口投与又は局所投与用に処方される
ことを特徴とするハーブ組成物。 - 請求項12に記載のハーブ組成物であって、
前記ハーブ組成物はクリーム、ゲル又は軟膏の形態で局所投与用に処方される
ことを特徴とするハーブ組成物。 - 請求項13に記載のハーブ組成物であって、
前記ハーブ組成物は5%〜50%(w/w)の前記抽出物を含む
ことを特徴とするハーブ組成物。 - 請求項2又は請求項3に記載のハーブ組成物において、
前記ハーブ組成物は、単独で又は薬理学的に許容される担体と組み合わされて、植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の抽出物の治療有効量を含み、
前記ハーブ組成物を必要とする患者に投与することを含む、
ことを特徴とするウイルス感染の治療方法。 - 請求項15に記載の治療方法であって、
前記ウイルス感染はHSVを原因とする
ことを特徴とする治療方法。 - 請求項16に記載の治療方法であって、
前記ウイルス感染はHSV−2を原因とする
ことを特徴とする治療方法。 - 請求項2又は請求項3に記載のハーブ組成物において、
ウイルス感染の治療のための、前記ハーブ組成物の使用。 - 請求項18に記載のハーブ組成物の使用であって、
HSVを原因とするウイルス感染の治療のための、前記ハーブ組成物の使用。 - 請求項19に記載のハーブ組成物の使用であって、
HSV−2を原因とするウイルス感染の治療のための、前記ハーブ組成物の使用。 - ウイルス感染治療薬の製造のために、単独で又は薬理学的に許容される担体と組み合わせての前記植物インジゴフィーラ・ヘテランタ(Indigofera heterantha)の抽出物の使用。
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