JPH08310963A - 抗ウイルス剤 - Google Patents

抗ウイルス剤

Info

Publication number
JPH08310963A
JPH08310963A JP7143880A JP14388095A JPH08310963A JP H08310963 A JPH08310963 A JP H08310963A JP 7143880 A JP7143880 A JP 7143880A JP 14388095 A JP14388095 A JP 14388095A JP H08310963 A JPH08310963 A JP H08310963A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rice
extract
antiviral agent
black
sample
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7143880A
Other languages
English (en)
Inventor
Eiji Kojima
鋭士 小島
Shuji Ishida
修治 石田
Shoichi Miyawaki
正一 宮脇
Makoto Machida
誠 町田
Kunimutsu Murakami
邦睦 村上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paper Industries Co Ltd, Jujo Paper Co Ltd filed Critical Nippon Paper Industries Co Ltd
Priority to JP7143880A priority Critical patent/JPH08310963A/ja
Publication of JPH08310963A publication Critical patent/JPH08310963A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Plant Substances (AREA)
  • Compounds Of Unknown Constitution (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 人体への副作用が少ない上高い抗HIV効果
を有する抗ウイルス剤を提供すること。 【構成】 黒米の植物体から、水、熱水及び有機溶媒の
少なくとも1種を抽出溶媒として用いて抽出した抽出物
及び/又はその塩を有効成分とすることを特徴とする抗
ウイルス剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な抗ウイルス剤に関
し、特に、抗ヒト後天性免疫不全ウイルス剤として好適
な抗ウイルス剤に関する。
【0002】
【従来の技術】後天性免疫不全症候群(以下「AID
S」と略記)を始めとするウイルス性疾患は、今や全世
界中に蔓延しており、大きな社会問題となっている。こ
の中でも特にAIDSは、欧州諸国や米国等の先進国の
みならず、医療状態の極めて悪いアフリカ諸国を直撃し
て多大な被害を出しており、最近では東南アジアを中心
とするアジア地域でも爆発的な感染や多くの死亡例が報
告されている。
【0003】抗ウイルス剤として最も注目されているの
は、抗ヒト免疫不全ウイルス(以下抗「HIV」と略
記)剤である。現在、効果を有するAIDS治療薬又は
予防薬としては、核酸系の化合物であるアジドチミジン
(以下「AZT」と略記)、2’,3’−ジデオキシシ
チジン(以下「DDC」と略記)及び2’,3’−ジデ
オキシイノシン(以下「DDI」と略記)の3種類が認
可を受けている。これらの核酸誘導体はHIVのライフ
サイクル中における逆転写と呼ばれる段階に作用し、抗
HIV効果を発揮するものと考えられている。
【0004】しかしながら、これらの薬剤は強い抗HI
V活性を示す一方で、副作用もまた強い上、長期投与さ
れた患者からは耐性株が見つかったため、薬剤の効果を
持続しつつ患者に投与しつづけることが臨床的にも非常
に困難な状況になり、患者によっては薬剤投与の継続が
困難であるという欠点があった。そこで、上述した3種
の抗HIV剤に比較して、人体への化学的影響や生物学
的影響(いわゆる副作用)を大幅に軽減することのでき
る抗HIV剤を開発することが望まれていたが、現在に
至るまで未だ開発されていない。
【0005】従って、抗HIVのみならず、他の多くの
ウイルスに対して高い活性を持つと共に低毒性である新
規薬剤の開発が急務とされるに至り、新しい形の抗HI
V剤等或いは抗HIV剤等のリード化合物となりうる物
質を探索しこれを提供することが、AIDSを初めとす
る種々のウイルス性疾患の治療及び予防のための緊急性
を有する重要事項である。
【0006】
【発明が解決するための手段】そこで本発明者らは、人
体への副作用が少ない上高い抗HIV活性を持つ物質を
開発する観点から、微生物から植物に至る種々の生命体
が作り出す複雑な天然物質を数多く抽出し、それぞれに
ついて抗HIV効果の有無を検討したところ、黒米の米
糠成分から得た抽出物が高い抗HIV活性を有すること
を見い出し本発明に到達した。従って、本発明の目的は
人体への副作用が少ない上高い抗HIV効果を有する抗
ウイルス剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
黒米の植物体から、水、熱水及び有機溶媒の少なくとも
1種を抽出溶媒として用いて抽出した抽出物及び/又は
その塩を有効成分とすることを特徴とする抗ウイルス剤
によって達成された。
【0008】黒米(くろまい)とは、花、茎、葉及び稲
穂等、その植物体の少なくとも一部が赤、紫、黒等に着
色している稲の総称であり、ときに赤米(あかまい)或
いは紫米(むらさきまい)等とも呼称されているもので
あり、前記した植物体の着色という特徴のために、現在
の日本国において食用として流通している白米(ささに
しき、こしひかりを始めとする粳米や赤飯に用いられる
餅米)とは明らかに且つ容易に区別され、また、中国本
土においては、古来より漢方薬等として用いられてい
る。
【0009】これらの黒米の中でも、本発明に用いられ
る「黒米」は、稲穂部分または米糠に赤、青及び黒等の
系統の色素を有する稲類を意味し、これらの具体例とし
ては、紹紫703号(中国折江省)、奥羽需349号
(東北地方農業試験場)、番陽黒米(中国遼寧省)、赤
系黒米03号(中国地方農業試験場)等〔生研機構(生
物系特定産業技術研究所推進機構)発行植物遺伝資源配
付録(昭和62年9月)の稲類(RICE)項〕を挙げ
ることが出来る。
【0010】これらの黒米は、その栽培方法に於いてな
んら特殊な操作を必要とせず、一般的な白米(例えば、
ササニシキ、コシヒカリ等)の栽培・収穫と同様の方
法、即ち、春先の種籾蒔き、田植え及び秋口の稲刈りま
で、通常の水田を用い、凡そ6ケ月で収穫することがで
きる。また、黒米は古くから漢方薬のみならず、食糧と
しても食されてきており、人体に対してはいかなる副作
用も生ずることはないと考えられる。
【0011】本発明においては、上記のようにして収穫
された黒米を脱殻・精米し、黒米の籾殻を取り除いた
後、玄米(米糠付の米)を精米器あるいは乳鉢などを用
いて精米し、得られた胚芽込みの米糠から抽出すること
により、黒米から抗ウイルス効果を有する抽出物を得る
ことが効率的がであり好ましい。精米を丁寧に行うと抽
出物の収率が増大する。
【0012】抽出溶媒としては、水、熱水及び有機溶媒
の少なくとも1種を使用することができるが、本発明に
おいては有機溶媒を用いることが好ましい。該有機溶媒
の具体例としては、メタノールあるいはエタノールが挙
げられるが、これらには適当量の水が含まれていること
が好ましい。本発明においては、特に、エタノールと熱
水、または熱エタノールが好ましく、黒米の米糠成分を
含有したエタノールを沸騰させながら抽出操作を行う
と、抽出効率が特に向上する場合がある。
【0013】黒米抽出物の収率向上の観点からは、抽出
溶媒に5〜40%の水が含有されることが好ましく、特
に、10〜20%含有されることが好ましい。また、抽
出溶媒と黒米の黒糠との比は、黒糠1kgに対して抽出
溶媒を2リットル〜20リットル用いることが好まし
く、特に8リットル〜12リットル用いることが効率的
であり好ましい。以上の液比で抽出操作をすることによ
り、不純物の含有量の少ない、目的とする活性成分を抽
出することができる。
【0014】また、米糠以外の組織、例えば、籾殻や葉
及び茎等にも含有量は少ないものの、抗ウイルス活性物
質が存在するので、これらの黒米植物体組織をグライン
ダーなどで適当に粉砕した後、メタノールや熱水等でそ
のエキスを抽出することもできる。これらの抽出物は、
濃縮乾燥するかまたは濃縮乾燥物を更に水抽出した後、
抽出液を陽イオン交換樹脂を用いて精製し、更に濃縮乾
燥を行って黒米抽出物を得ることもできる。
【0015】以上に述べた抽出操作は、抽出物の活性の
有無や大小、あるいは不必要な操作による活性の失活若
しくはシルカゲルや樹脂等への吸着等による抽出操作ミ
スを避けるため、適宜抽出物の抗ウイルス活性をモニタ
ーしながら抽出操作を進めることが好ましい。以上のよ
うにして得られた黒米由来の抗ウイルス性抽出物及び/
又はその塩は、レトロウイルス(Retro Viru
s)に対して用いられる抗レトロウイルス剤、ヒト後天
性免疫不全ウイルス(Human Immunodef
iciency Virus)に対して用いられる抗ウ
イルス剤の他、ラウス肉腫ウイルス(Raus Sar
coma Virus,以下「RSV」と略す)に対し
て用いられる抗ウイルス剤等の、予防薬や治療薬の主成
分として用いることができる。
【0016】製薬上容認しうる前記抗ウイルス性抽出物
の塩としては、カリウム塩、ナトリウム塩及びカルシウ
ム塩等が適当である。また、グリセリン、ソルビトール
及びデンプン等の糖類及びリノール酸、落花生油等の油
類、更に安息香酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウ
ム等の塩等を、黒米からの抽出物及び/又はその塩を主
成分とする薬剤を製造する際の担体として使用すること
ができる。
【0017】本発明における黒米抽出物を抗ウイルス予
防・治療薬として用いる場合の投与方法としては、注射
薬、経口薬、経皮吸収剤及び経口鼻吸収剤等、一般に服
用されている何れかの方法で投与することができる。経
口投与のための組成物は、錠剤、カプセル、または飼料
補助剤等の形をとることができるが、この場合には、製
剤中の活性成分の量を15〜85重量%として、他に付
属成分、例えば分散剤を含むことが好ましい。
【0018】錠剤製剤としては、例えば、上述した黒米
の抽出成分にグリコール酸デンプンナトリウム、ステア
リン酸マグネシウム、乳糖(日本薬局方)、ポピドン
(日本薬局方)等をそれぞれ飲みやすいように混合し、
成型したものを用いることができる。カプセル製剤とし
ては、黒米の抽出成分に、例えばレシチンと落花生油を
加えて良く分散混合し、この混合物を軟質の弾性ゼラチ
ンカプセルにつめたものを用いることができる。
【0019】シロップ状の飲み薬としては、黒米の抽出
成分に、例えば、ソルビトール溶液、グリセリン、安息
香酸ナトリウム、フレーバー等からなる成分を加えて混
合し、ペースト状になるまで良く練った後、得られたペ
ーストに適量の水を加えてシロップ薬として供すること
ができる。また、注射用製剤としては、発熱物質を含ま
ない無菌処理済みのクエン酸塩の緩衝液(4ミリリット
ル)に黒米の抽出成分を溶解させた後、更にこの緩衝液
を加えて全体量を適量(例えば10〜20ミリリット
ル)とし、この溶液を無菌の微細孔濾過装置(無菌フィ
ルター)を通して褐色のガラス瓶に濾過した後無菌処理
済みの蓋をし、更にオーバー・シールして用いることが
できる。
【0020】前述した、錠剤、カプセル、シロップ、飼
料補助剤等は経口投与に適したものとして用いることが
できる。また、注射用製剤を非経口投与、即ち静脈注
射、皮下注射、腹空内投与等の方法に適したものとして
用いることができる。飼料補助剤は、本発明の抗ウイル
ス剤を動物に与える場合であるが、この場合には、黒米
抽出成分を直接目的とする飼料あるいは配合飼料に振り
かけたり、練り込んで用いることができる。配合飼料用
として、その抽出成分に抗ウイルス活性が有りと判断さ
れた黒米であれば、その黒米の米糠や米糠を含む米全体
を直接飼料に必要量混合して用いることもできる。
【0021】一般に、抗HIV剤の毒性はCC50値
(50%細胞毒性濃度;値が大きいほど、毒性が低いこ
とを示す)で、また、その活性はEC50値(HIVの
50%を抑制する薬剤の有効濃度;値が小さいほど、活
性が高いことを示す)で表すことができる。更に、抗H
IV活性と毒性の両者を加味した指標として、下記の式
で表されるSI値を挙げることができる。 SI=CC50値/EC50値 上記のSIは治療係数で称されるものであり、値が大き
いほど抗HIV剤として優れていることを意味する。そ
して、本発明の抗ウイルス剤はCC50値が500μg
/ミリリットル以上と大きく、SI値も50以上と大き
い。
【0022】
【発明の効果】本発明の黒米抽出物を有効成分とした抗
ウイルス剤は、EC50値が、2μg/ミリリットルと
いう低濃度で抗HIV活性を示すのみならず、発癌性等
の副作用も見られないため、ヒト免疫不全ウイルスによ
る感染症の治療または予防に極めて有効である。また、
本発明の抗ウイルス剤は、HIV以外のレトロウイル
ス、例えばRSV等にも低い濃度で抗ウイルス活性を示
すことから、広範囲の抗ウイルス・スペクトルを持つ薬
剤として有用である。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に詳述する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
尚、下記「%」は特に記載がない限り「重量%」とす
る。
【0024】実施例1.黒米のメタノール抽出物の調製 黒米の稲穂20kgを脱殻し、玄米約10kgを得た。
精米器を用いて、この玄米を2kgの糠と8kgの米に
精米し、得られた糠部分(黒色)をメタノール20リッ
トルに分散し、約12時間攪拌しながら抽出を行った。
濾過操作により残渣を取り除いた後、メタノール溶液
(薄い紫色)をロータリー・エバポレーターを用いて濃
縮し、黒色の油状成分420gを得た(試料1)。
【0025】得られた試料1の400gを、蒸留水2リ
ットルに分散懸濁させ、そのまま12時間攪拌して目的
とする成分を水中に溶出させた。溶出液を濾過して得ら
れた水溶液を、吸着樹脂ダイヤ・イオンHP−20
(1.5リットル;(直径)4cm×(長さ)30c
m)に通液した後、新たな蒸留水(20リットル)で樹
脂を洗浄した。次いで、80%のメタノールを5リット
ル流し、流出したメタノール区分を濃縮乾固して黒色の
飴状成分60gを得た(試料2)。得られた試料2の赤
外吸収スぺクトル、1 H−NMRスペクトル及び紫外可
視吸収スペクトルは、図1、図2及び図3に示した通り
である。
【0026】黒米の熱エタノールによる抽出物の調製 玄米を精米して得た2kgの糠(黒色)をエタノール1
0リットルに分散し、攪拌しながら加熱し、沸騰エタノ
ールで6時間抽出を行った。濾過して得たエタノール溶
液(薄い紫色)をロータリー・エバポレーターを用いて
濃縮し、黒色の油状成分300gを得た(試料3)。得
られた試料3の300gを用いた他は、試料2の場合と
全く同様にして精製し、黒色の飴状成分53gを得た
(試料4)。
【0027】黒米の含水エタノールによる抽出物の調製 玄米を精米して得た2kgの糠(黒色)を20%の水を
含むエタノール10リットルに分散した他は、試料3の
場合と全く同様にして精製し、黒色の油状成分500g
を得た(試料5)。得られた試料5の500gを用いた
他は、試料2の場合と全く同様にして精製し、黒色飴状
成分88gを得た(試料6)。
【0028】黒米の茎及び茎部分を用いてメタノール抽
出物の調製 収穫した黒米のうち籾以外の黒米植物体部分、即ち、葉
及び茎を重量にして10kg集め、鋏で数センチ程度の
大きさに刻んだ後グラインダーで粉砕し、得られた粉末
をメタノール20リットルに分散し、約12時間攪拌し
ながら抽出を行った。濾過した後のメタノール溶液(薄
いオレンジ色)をロータリー・エバポレーターを用いて
濃縮し、薄い赤黄色の油状成分21gを得た(試料
7)。得られた試料7の20gを用いた他は、試料2の
場合と全く同様にして精製し、黒色の飴状成分2gを得
た(試料8)。
【0029】比較例1.収穫した白米の稲穂20kgを
脱殻し、玄米約12kgを得、得られた玄米から2.2
kgの糠を得た。得られた茶色の糠をメタノール20リ
ットルに分散し、12時間攪拌しながら抽出を行った。
濾過して残渣を取り除いた、メタノール溶液(薄い茶
色)をロータリー・エバポレーターを用いて濃縮し、焦
げ茶色の油状成分360gを得た(試料9)。得られた
試料9の350gを用いた他は、試料2の場合と全く同
様にして精製し、黒色飴状成分20gを得た(試料1
0)。得られた試料10の赤外吸収スペクトルは図4に
示した通りである。
【0030】実施例2.HIV−1(ヒトエイズウイル
ス株(IIIB))に感染させた、1×104個の白血
球の増殖細胞(MT−4細胞)と非感染のMT−4細胞
を、種々の濃度の試料1〜10と共に、下記A〜Dの4
組に分け、それぞれ96穴のマイクロプレートの各穴に
加え、37℃のCO2 インキュベーター中で5日間培養
した。 A:HIVに感染されたMT−4細胞 B:HIVに感染されなかったMT−4細胞のみ C:本発明の抗HIV剤を加えた、HIVに感染された
MT−4細胞 D:本発明の抗HIV剤を加えた、HIVに感染されな
かったMT−4細胞
【0031】これらの培養細胞に、3−(4,5−di
methyl−2−thiazolyl)−2,5−d
iphenyl−2H−tetrazolium br
omide(以下「MTT」と略する)を加え、更に、
2時間培養を続けた。この間に、生細胞に取り込まれた
MTTは、細胞中のミトコンドリアが有する酵素によっ
て還元され、青紫色の水に不溶性の色素(formaz
an)を形成した。
【0032】次いで、5%のポリエチレングリコールア
ルキルフェニルエーテル(Triton X−100:
SIGMA株式会社製の商品名)を含む塩酸酸性2−プ
ロピルアルコール溶液を添加して、前記生成した色素を
可溶化させ、595nmにおける特異的吸光度と655
nmにおける特異的吸光度をマイクロプレート・リーダ
ー(BIO−RADモデル3550)により測定し、前
記した4組の培養細胞A〜Dにおける吸光度の差(OD
a、ODb、ODc及びODd)を求めた。
【0033】得られた数値から、下記に表される式を用
いて試料1〜10の抗HIVアッセイを表す50%細胞
死阻止濃度(EC50値)及び50%細胞毒性濃度(C
C50値)並びに治療係数SI値(SI値=CC50値
/EC50値)を算出した結果は、表1に示した通りで
ある。 EC50=(ODb−ODc)/(ODb−ODa) CC50=(ODb−ODd)/(ODb−ODa)
【0034】
【表1】
【0035】表1から明らかなように、黒米の糠のメタ
ノール抽出物である試料1及び2、熱エタノール抽出物
である試料3及び4、含水熱エタノール抽出物である試
料5及び6には強い抗HIV効果が見られるが、白米の
メタノール抽出物である試料9及び10には全く効果が
見られなかった。又、黒米の種籾以外の組織である葉や
茎をメタノールで抽出した試料7及び8にも顕著な抗H
IV効果は見られなかった。
【0036】実施例3.MOI(宿種細胞1コ当たりに
感染させるウイルスの数)が200となるようにRSV
に感染させたトリ繊維芽細胞(初代培養細胞、チク エ
ムブリョウ フィブロファースト)(以下「CEF」と
略する)と、非感染のCEFを、種々の濃度の試料1〜
10と共に96穴のマイクロプレートの各穴に加え、3
7℃のCO2 インキュベーター中で6日間培養した。
【0037】次いで、薬剤によって抑制された細胞、及
び毒性が見られた細胞の形質転換段階を顕微鏡で観察し
て判定した。また、実施例2と全く同様にして得られた
特異的吸光度の差から、試料1〜10の抗RSVアッセ
イを表す、EC50値、CC50値及びSI値を算出し
た結果は表2に示した通りである。
【0038】
【表2】
【0039】表2の結果から明らかなように黒米の糠の
メタノール抽出物である試料1及び2、熱エタノール抽
出物である試料4、含水熱エタノール抽出物である試料
5及び6にのみ強い抗ウイルス効果が見られた。
【0040】実施例4.1×104 個のヒト前骨髄性白
血病由来細胞(HL−60細胞)を種々の濃度の試料1
〜10と共に96穴のマイクロプレートの各穴に加え、
37℃のCO2インキュベーター中で5日間培養した後
顕微鏡を用いて観察し、細胞の変性の度合いを調べた。
また、実施例2と全く同様にして得られた特異的吸光度
の差から、試料1〜10のCC50値を調べた結果は表
3に示した通りである。
【0041】
【表3】 ───────────────────── 試料番号 CC50値 (μg/ml) ───────────────────── 試料1 >250 試料2 >250 試料3 >125 試料4 >125 試料5 >250 試料6 >250 試料7 >250 試料8 >250 試料9 >250 試料10 >250 ─────────────────────
【0042】表3の結果から明らかなように、何れの試
料にも細胞変性効果は見られなかった。尚、HL−60
細胞を用いた上記発癌プロモーター試験はHL−60細
胞の薬剤による分化誘導効果を判定するものであるが、
HL−60細胞が環境の変化に対して非常に敏感なた
め、試験する薬剤の持つわずかな毒性や、特に発癌性の
有無を調べる方法として優れている。
【0043】実施例5.試料2を用い、以下の種々の製
剤を調製することができることを確認した。錠剤製剤 黒米の抽出成分(試料2)250mgに、グリコール酸
デンプンナトリウム20mg、ステアリン酸マグネシウ
ム5mg、乳糖(日本薬局方)215mg、ポピドン
(日本薬局方)10mgからなる製剤成分を加え、圧縮
成型することにより錠剤製剤を調製した。
【0044】カプセル製剤 黒米の抽出成分(試料2)250mgに、レシチン10
0mg、落花生油150mgを加えて良く分散混合し、
この混合物を軟質の弾力性ゼラチンカプセルにつめてカ
プセル製剤を調製した。
【0045】注射用製剤 黒米の抽出成分(試料2)を発熱物質を含まない無菌処
理済みのクエン酸塩の緩衝液(4ミリリットル)に溶解
し、更に同じ緩衝液を追加して全体量を10ミリリット
ルとした。得られた溶液を無菌の微細孔濾過装置(無菌
フィルター)に通して10ミリリットルの褐色のガラス
瓶に濾過し、無菌処理済みの蓋をした後オーバー・シー
ルを行い、注射用製剤を得た。
【0046】シロップ懸濁液 黒米の抽出成分(試料2)250mgに、ソルビトール
溶液1500mg、グリセリン2000mg、安息香酸
ナトリウム50mg、フレーバー125ミリリットル、
及び純水(最終体積が10ミリリットルとなる量)を加
えて混合し、ペースト状になるまで良く練った。得られ
たペーストに少量の水を加えて良くこねた後、更に水を
加えて最終体積を10ミリリットルとした。
【0047】シロップ系製剤 黒米の抽出成分(試料2)250mgに、ソルビトール
溶液1500mg、グリセリン2000mg、安息香酸
ナトリウム50mg、フレーバー125ミリリットル、
及び純水(最終体積が10ミリリットルとなる量)を加
えて混合し、シロップ系製剤10ミリリットルを調製し
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における黒米のメタノール抽
出成分(試料2)の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】本発明の実施例1における黒米のメタノール抽
出成分(試料2)の1 H−NMRスぺクトルである。
【図3】本発明の実施例1における黒米のメタノール抽
出成分(試料2)の紫外可視吸収スペクトルである。
【図4】本発明の比較例1における白米のメタノール抽
出成分(試料10)の赤外線吸収スペクトルである。
フロントページの続き (72)発明者 町田 誠 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙 株式会社岩国技術研究所内 (72)発明者 村上 邦睦 山口県岩国市飯田町2−8−1 日本製紙 株式会社岩国技術研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 黒米の植物体から、水、熱水及び有機溶
    媒の少なくとも1種を抽出溶媒として用いて抽出した抽
    出物及び/又はその塩を有効成分とすることを特徴とす
    る抗ウイルス剤。
  2. 【請求項2】 黒米の植物体が米糠成分である、請求項
    1に記載された抗ウイルス剤。
  3. 【請求項3】 抽出物がメタノールを用いて抽出された
    抽出物である、請求項1又は2に記載された抗ウイルス
    剤。
  4. 【請求項4】 抽出物が沸騰エタノールを用いて抽出さ
    れた抽出物である、請求項1又は2に記載された抗ウイ
    ルス剤。
  5. 【請求項5】 抽出溶媒が5〜40%の水を含むエタノ
    ールであって、抽出物が黒米の米糠成分を含有した、前
    記抽出溶媒を沸騰させながら抽出された抽出物である、
    請求項1または2に記載された抗ウイルス剤。
  6. 【請求項6】 ウイルスがレトロウイルスである請求項
    1又は2に記載された抗ウイルス剤。
  7. 【請求項7】 ウイルスがヒト後天性免疫不全ウイルス
    である請求項1又は2に記載された抗ウイルス剤。
  8. 【請求項8】 ウイルスがラウス肉腫ウイルスである請
    求項1又は2に記載された抗ウイルス剤。
  9. 【請求項9】 抽出物及び/又はその塩が、それらの担
    体と共に用いられてなる請求項1〜8の何れかに記載さ
    れた抗ウイルス剤。
JP7143880A 1995-05-17 1995-05-17 抗ウイルス剤 Pending JPH08310963A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7143880A JPH08310963A (ja) 1995-05-17 1995-05-17 抗ウイルス剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7143880A JPH08310963A (ja) 1995-05-17 1995-05-17 抗ウイルス剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH08310963A true JPH08310963A (ja) 1996-11-26

Family

ID=15349173

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7143880A Pending JPH08310963A (ja) 1995-05-17 1995-05-17 抗ウイルス剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH08310963A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5538611B2 (ja) メイラード反応阻害剤
TW546143B (en) Comprising vitamin p and a processed product of Pfaffia extract
TWI787950B (zh) 用於預防、緩解或治療冠狀病毒感染的包括杜英萃取物作為活性成分之藥物組成物以及食品組成物
WO2016057840A1 (en) Cannabidiol compositions including mixtures and uses thereof
US20030054047A1 (en) Pharmaceutical composition for the treatment of viral infection
WO2017149858A1 (ja) 抗ウイルス剤及び抗ウイルス用食品
CN107137438A (zh) 蜡梅属植物抗结核杆菌的用途
CN113521060B (zh) 鱼针草内酯抗新型冠状病毒的用途
EP0573627A1 (en) Antiviral activity of extract of cactus
JPH08310963A (ja) 抗ウイルス剤
JPH10506124A (ja) 抗ウイルス特性を有する組成物およびその製法
JP2017160180A (ja) 抗ウイルス剤及び抗ウイルス用食品
CN107334793A (zh) 腊梅属植物抗幽门螺旋杆菌的用途
Lamien et al. The phytochemical composition and in vitro antiviral activity of decoctions from galls of Guiera senegalensis JF Gmel.(Combretaceae) and their relative non-toxicity for chickens
JPH05112461A (ja) 抗ウイルス性抽出物
KR100493708B1 (ko) 면역활성 및 항암 효과 증진용 조성물
JP2023501136A (ja) クルクミノイド及び甘草抽出物またはその分画物を含有するブタ流行性下痢ウイルス感染の予防または治療用組成物
KR20110086473A (ko) 감태 추출물을 포함하는 코로나 바이러스 감염의 예방 또는 치료용 조성물 및 3cl 프로테아제 활성의 억제용 조성물
JP6114484B1 (ja) 抗ウイルス剤及び抗ウイルス用食品
JP2004002361A (ja) 抗インフルエンザウイルス剤
JP4979053B2 (ja) リンドウ抽出物を含む制癌剤、健康補助食品及び薬用化粧品、並びにリンドウ抽出物の製造方法
CN112972438B (zh) 一类来源于赤芍的木脂素化合物及其制法和应用
KR102578871B1 (ko) 한약재 추출물을 유효성분으로 포함하는 코로나바이러스 감염증의 예방, 개선 또는 치료용 조성물
KR20210146463A (ko) 항바이러스 활성을 지닌 발효 청폐 경옥고의 제조방법
KR100531644B1 (ko) 항 인유두종 바이러스 활성을 지닌 아프리카산 영지버섯추출물을 함유하는 조성물