JP2012256632A - 樹脂フィルムの製造方法、ポリエステルフィルム、太陽電池用バックシート、及び太陽電池モジュール - Google Patents
樹脂フィルムの製造方法、ポリエステルフィルム、太陽電池用バックシート、及び太陽電池モジュール Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】固有粘度差が、0.1〜0.3dl/gである第1及び第2の樹脂を、第1の樹脂の供給量を減少させ、第2の樹脂の供給量を増加させながら、第1から第2の樹脂に切り替えて、押出機に供給するにあたり、第2の樹脂の押出機への供給量を増加させるときをt0、第1の樹脂の押出機への供給量を減少させ終わったときをtfinとするとき、
時間t〔hr〕と、供給量Qとの関係を表す曲線において、
(1)t0〜tfin間に、dQ(t)/dt=0となる回数を4〜15回、
(2)dQ(t)/dt≧0である連続区間の最大供給量と最小供給量との差の平均値を、供給量Q(t0)と供給量Q(tfin)との差の10〜30%として、
押出機に樹脂を供給する工程と、溶融樹脂を成膜する工程とを有する樹脂フィルムの製造方法。
【選択図】図1
Description
樹脂フィルムは、一般に、押出成形により製造され、例えば、フィルムの原料となる樹脂(成形材料)を押出機に投入して溶融混練し、溶融樹脂をダイから押出すと共に、フィルム状に成膜して製造される。このとき、生産を中止するために押出機を停止するには、溶融樹脂の熱分解に伴う事故を避けるために、一般に、使用中の樹脂から、停止用の成形材料(「ストップ原料」と称する)へ切替える。また、異なる配合組成の製品を製造するために、押出機を運転しながら押出中の樹脂から他の配合組成の樹脂へ切替えることがある。そのような場合、樹脂を切替えることによって、押出機内で、溶融樹脂の偏流や熱分解を生じ、押出機などの設備を損傷したり、あるいは原材料ロスが多く発生したり、停止時間が長くなって生産性が低下することがあった。
特許文献1に記載される方法によれば、原材料ロスを抑制して樹脂フィルムの生産性を高めることができるものの、ダイに溶融樹脂の熱分解物が固着し、かかる固着物に起因して、フィルムにスジ(「ダイスジ」とも称する)が発生することがあった。
また、固有粘度の異なる原料樹脂を押出機に入れ替えるとき、特に、固有粘度の高い原料樹脂を、固有粘度の低い原料樹脂で置換する際に、置換時間(切替時間ともいう)が長くなり、原材料ロスが発生し易かった。
<1> 固有粘度が0.7dl/g以上0.9dl/g以下である第1の樹脂と、固有粘度が0.55dl/g以上0.7dl/g以下であり、前記第1の樹脂の固有粘度との差が、0.1dl/g以上0.3dl/g以下である第2の樹脂とを、前記第1の樹脂の供給量を減少させ、第2の樹脂の供給量を増加させながら、前記第1の樹脂から前記第2の樹脂に切り替えて、押出機に供給するにあたり、前記第2の樹脂の前記押出機への供給量を増加させるときをt0〔hr〕とし、前記第1の樹脂の前記押出機への供給量を減少させ終わったときをtfin〔hr〕とするとき、
時間t〔hr〕と、前記供給量Qとの関係を表す曲線において、
(1)前記t0から前記tfinまでの間に、dQ(t)/dt=0となる回数を4回以上15回以下とし、
(2)dQ(t)/dt≧0である連続する区間における最大供給量と最小供給量との差の平均値を、前記t0における供給量Q(t0)と前記tfinにおける供給量Q(tfin)との差の10%以上30%以下として、
前記押出機に、少なくとも、前記第1の樹脂および前記第2の樹脂を供給する樹脂供給工程、および、前記押出機から押出した溶融樹脂をフィルム状に成膜する成膜工程を有する樹脂フィルムの製造方法である。
前記D、前記Q(t0)と前記Q(tfin)との差ΔQ(Δt)、及び、前記t0と前記tfinとの差Δtが、下記式(I)を満たす前記<1>に記載の樹脂フィルムの製造方法である。
前記フロント基板の上に設けられ、太陽電池素子及び前記太陽電池素子を封止する封止材を有するセル構造部分と、
前記セル構造部分の前記フロント基板が位置する側と反対側に設けられ、前記封止材と隣接して配置された、前記<9>に記載の太陽電池用バックシートと、
を備えた太陽電池モジュールである。
<樹脂フィルムの製造方法>
本発明の樹脂フィルムの製造方法は、固有粘度が0.7dl/g以上0.9dl/g以下である第1の樹脂と、固有粘度が0.55dl/g以上0.7dl/g以下であり、前記第1の樹脂の固有粘度との差が、0.1dl/g以上0.3dl/g以下である第2の樹脂とを、前記第1の樹脂の供給量を減少させ、第2の樹脂の供給量を増加させながら、前記第1の樹脂から前記第2の樹脂に切り替えて、押出機に供給するにあたり、前記第2の樹脂の前記押出機への供給量を増加させるときをt0〔hr〕とし、前記第1の樹脂の前記押出機への供給量を減少させ終わったときをtfin〔hr〕とするとき、
時間t〔hr〕と、前記供給量Qとの関係を表す曲線において、
(1)前記t0から前記tfinまでの間に、dQ(t)/dt=0となる回数を4回以上15回以下とし、
(2)dQ(t)/dt≧0である連続する区間における最大供給量と最小供給量との差の平均値を、前記t0における供給量Q(t0)と前記tfinにおける供給量Q(tfin)との差の10%以上30%以下として、
前記押出機に、少なくとも、前記第1の樹脂および前記第2の樹脂を供給する樹脂供給工程、および、前記押出機から押出した溶融樹脂をフィルム状に成膜する成膜工程を有して構成される。
しかし、本発明者らは、押出機に供給する樹脂を、前記第1の樹脂から前記第2の樹脂に切り替えるにあたり、第1の樹脂の供給量および第2の樹脂の供給量を変化させながら、押出機に供給することによって原材料ロスを抑制するばかりでなく、樹脂の供給量に変動を与えながら供給することで、押出機内の溶融樹脂の流れに圧力変動を与え、
押出機、及び配管、フィルタ、ダイ等の内部で溶融樹脂が滞留することを抑制することができるため、熱分解物を生じにくくすることができることを見出した。押出機内の溶融樹脂の流れに圧力変動を与えることで、押出機内部および溶融樹脂の排出口(ダイ)に固着した溶融樹脂の熱分解物(固着物ともいう)の固着を抑制できること、また、熱分解物を除去することができることを見出した。
従って、本発明の樹脂フィルムの製造方法を、上記構成とすることで、ダイに固着した熱分解物を除去し、また、熱分解物の固着を抑制することで、ダイの固着物の存在に起因して樹脂フィルムに発生するスジ(ダイスジ)を抑制することができ、また、ダイスジがない樹脂フィルムを製造することができる。
なお、原材料ロスとは、原材料のうち、押出機への供給や押出等を効率良く行なえば、本来、目的物を構成する成分となるはずにもかかわらず、目的物の構成成分とならなかった材料、すなわち、無駄となった原材料をいう。また、無駄となった原材料の発生を原材料ロスともいう。樹脂フィルムの製造方法は、このような原材料の無駄を抑制することができる。
まず、樹脂供給工程から説明する。
樹脂供給工程は、押出機に供給する樹脂を、前記第1の樹脂の供給量を減少させ、第2の樹脂の供給量を増加させながら、前記第1の樹脂から前記第2の樹脂に切り替えて、押出機に供給するにあたり、前記第2の樹脂の前記押出機への供給量を増加させるときをt0〔hr〕とし、前記第1の樹脂の前記押出機への供給量を減少させ終わったときをtfin〔hr〕とするとき、時間t〔hr〕と、前記供給量Qとの関係を表す曲線において、(1)前記t0から前記tfinまでの間に、dQ(t)/dt=0となる回数を4回以上15回以下とし、(2)dQ(t)/dt≧0である連続する区間における最大供給量と最小供給量との差の平均値を、前記t0における供給量Q(t0)と前記tfinにおける供給量Q(tfin)との差の10%以上30%以下として、前記押出機に、少なくとも、前記第1の樹脂および前記第2の樹脂を供給して構成される。
従って、「第1の樹脂の供給量および第2の樹脂の供給量を変化させながら、押出機に供給する」とは、『第1の樹脂(樹脂A)の供給量を減少させながら、第1の樹脂(樹脂A)を押出機に供給すると共に、第2の樹脂(樹脂B)の押出機への供給を開始しつつ、第2の樹脂(樹脂B)の供給量を増加させる』ことを意味する。
すなわち、第2の樹脂の供給開始および供給量の増加は、遅くとも、第1の樹脂の供給量の減少を終了するまでに行なえばよく、かつ、遅くとも、第1の樹脂の供給量の減少を開始する前に、第2の樹脂の供給量増加が終了しなければよい。
なお、条件(1)および(2)を満たすべき樹脂は、第1の樹脂および第2の樹脂の少なくとも一方であればよい。すなわち、第1の樹脂の供給量を減少させる間に、上記(1)および上記(2)の条件で変動を与え、第2の樹脂の供給量を増加させる間には変動を与えない態様であってもよいし、第2の樹脂の供給量を増加させる間に、上記(1)および上記(2)の条件で変動を与え、第1の樹脂の供給量を減少させる間には変動を与えない態様であってもよい。さらには、第1の樹脂および第2の樹脂両方について、上記(1)および上記(2)の条件で変動を与える態様であってもよい。
供給量に変動を与えない態様としては、例えば、一定の割合で、供給量を減少しまたは増加することが挙げられる。
なお、樹脂Aの供給量Qを、特に「QA」と称し、樹脂Bの供給量Qを、特に「QB」と称する。従って、樹脂AのQ−t曲線は「QA−t曲線」と称し、樹脂BのQ−t曲線は「QB−t曲線」と称する。
図1においては、樹脂Aを、a1からa2まで、供給量QA=q〔kg/hr〕で押出機に供給しているが、a2を境に供給量QAの減少を開始し、a7において供給量QAの減少を終了している。
a2は、樹脂Aの供給量QAを変化し始めるとき、すなわち、供給量QAの減少を開始するとき(t0)に相当する。また、a7は、樹脂Aの供給量QAの変化を終えるとき、すなわち、供給量QAの減少を終了するとき(tfin)に相当する。
a7とa8との間は、供給量QAに変化は無く一定である。なお、樹脂Aは、樹脂Bへの切り替えのため、a7における供給量QAの減少の終了と共に、押出機への供給も終了する。
b2は、樹脂Bの供給量QBを変化し始めるとき、すなわち、供給量QBの供給を開始し、供給量QBの増加を開始するとき(t0)に相当する。また、b7は、樹脂Bの供給量QBの変化を終えるとき、すなわち、供給量QBの増加を終了するとき(tfin)に相当する。
b7とb8との間は、供給量QBに変化は無く一定である。図1においては、樹脂Aの供給が、時間tfinの経過と共に終了する一方、樹脂Bは、時間tfinの経過後も、押出機への供給を続けている。
一方、QB−t曲線においては、樹脂Bの供給量QBは、b2からb7までに到達する間に、一旦、b3からb4まで供給量がΔQBm1だけ減少し、その後b4からb5までΔQBn1だけ増加し、またb5からb6まで減少し、その後また増加するといったように、供給量QBに変動が生じている。
Q−t曲線において、dQ(t)/dt=0となるときとは、Q−t曲線中に極大点が現れるとき及び極小点が現れるときである。
具体的には、例えば、図1におけるQA−t曲線においては、a4およびa6が極大点であり、a3およびa5が極小点である。図1におけるQA−t曲線においては、符号を付けていないが、a4およびa6以外にも極大点があり、a4およびa6の極大点を含め、6点存在する。一方、極小点については、図1におけるQA−t曲線においては、符号を付けていないが、a3およびa5以外にも極小点があり、a3およびa5の極小点を含め、6点存在する。
従って、QA−t曲線においては、dQ(t)/dt=0となる回数が12回ある。
従って、QB−t曲線においては、dQ(t)/dt=0となる回数が12回ある。
Q−t曲線において、dQ(t)/dt=0となる回数は、6回〜12回であることが好ましい。
Q−t曲線において、dQ(t)/dt≧0である連続する区間とは、Q−t曲線の接線の傾きが正となる区間をいう。
具体的には、例えば、図1におけるQA−t曲線においては、a3からa4までの区間、a5からa6までの区間等が挙げられる。また、QB−t曲線においては、b2からb3までの区間、b4からb5までの区間等が挙げられる。
図1においては、QA−t曲線において、dQ(t)/dt≧0である連続する区間は、a3からa4までの区間を含め、6区間ある。各区間に、最大供給量と最小供給量との差ΔQAmがあり、ΔQAmが6つ存在する。
図1においては、QA−t曲線において、dQ(t)/dt≧0である連続する区間は、b4からb5までの区間を含め、6区間ある。各区間に、最大供給量と最小供給量との差ΔQBmがあり、ΔQBmが6つ存在する。
t0における供給量Q(t0)は、樹脂の供給量を変化し始めるときの供給量であり、tfinにおける供給量Q(tfin)は、樹脂の供給量を変化し終えるときの供給量である。従って、ΔQ(Δt)は、樹脂の供給量を変化させる前と後の、全体的な供給量差を意味する。
図1のQA−t曲線においては、ΔQAm1を含む6つのΔQAmの平均値が、ΔQA(Δt)の10%以上30%以下となるように、樹脂Aの押出機への供給量QAを制御すればよい。
図1のQB−t曲線においては、ΔQBm1を含む6つのΔQBmの平均値が、ΔQB(Δt)の10%以上30%以下となるように、樹脂Bの押出機への供給量QBを制御すればよい。
Q−t曲線において、dQ(t)/dt≧0である連続する区間における最大供給量と最小供給量との差の平均値は、t0における供給量Q(t0)とtfinにおける供給量Q(tfin)との差の15%〜25%であることが好ましい。
例えば、樹脂Aの供給量QAを変動させ、樹脂Bの供給量QBを変動せず、一定の割合で増加する場合、QA−t曲線は図1に示すような曲線となり、QB−t曲線は、図1におけるb2とb7とを一直線で結ぶ直線となる。
また、供給量の変動は、変動量が5%以内の変動は安定供給状態とみなす。
次に、樹脂を供給する押出機、および、押出機に供給する樹脂の詳細について説明する。
まず、本発明で用いる押出機について説明する。
押出機は、主として押出機に供給された樹脂を溶融し、溶融樹脂を混練するものであり、一般的に、バレル(シリンダーともいう)を備える。バレルは、樹脂を供給するための供給口と、溶融樹脂を排出する出口とを有し、バレル内には、溶融樹脂を混練するために、スクリューが備えられている。押出機は、大別して、スクリューが1本である単軸と、スクリューが複数本ある多軸とがあり、多軸としては二軸押出機(二軸スクリュー押出機)が広く使用されている。二軸押出機を用いることで、押出機にフラフを添加する際、効果的に食い込ませることができる。
図2は、押出機の構成例を概略的に示している。
図3は、本発明に係る樹脂フィルムの製造方法を実施するフローの一例を示している。
バレル10は原料樹脂を供給するための供給口12と、加熱溶融された樹脂が押し出される押出機出口14を有する。
バレル10の内壁面は、耐熱、耐磨耗性、及び腐食性に優れ、樹脂との摩擦が確保可能な素材を用いることが必要である。一般的には内面を窒化処理した窒化鋼が使用されているが、クロムモリブデン鋼、ニッケルクロムモリブデン鋼、ステンレス鋼を窒化処理して用いることもできる。特に耐摩耗性、耐食性を要求される用途では、遠心鋳造法によりニッケル、コバルト、クロム、タングステン等の耐腐食性、耐磨耗性素材合金をバレル10の内壁面にライニングさせたバイメタリックバレルを用いることや、セラミックの溶射皮膜を形成させることが有効である。
ベント16A、16Bは脱気効率との関係で、開口面積やベントの数を適正にすることが求められる。本発明で用いる二軸押出機100は、1箇所以上のベント16A、16Bを有することが望ましい。なお、ベント16A、16Bの数が多過ぎると、溶融樹脂がベントから溢れ出るおそれ、滞留劣化異物増加の懸念があるので、ベントは1箇所又は2箇所設けることが好ましい。
また、ベント付近の壁面に滞留した樹脂や析出した揮発成分が押出機100(バレル10)の内部に落下すると、製品に異物として顕在化する可能性があり、注意が必要である。滞留については、ベント蓋の形状の適正化や、上部ベント、側面ベントの適正な選定が有効であり、揮発成分の析出は、配管等の加熱で析出を防止する手法が一般的に用いられる。
例えば、樹脂供給口12を真空化したり、窒素パージを行うことで酸化分解を抑えることができる。
また、ベント16A、16Bを複数箇所に設けることで、原料水分量が2000ppm程度の場合でも、50ppm以下に乾燥した樹脂を単軸で押出した場合と同様の押出しが可能である。
また、剪断発熱による樹脂分解を抑えるため、押出と脱気が両立できる範囲でニーディング等のセグメントは極力設けないことが好ましい。
また、スクリュー出口(押出機出口)14の圧力が大きいほど剪断発熱が大きくなるため、ベント16A、16Bによる脱気効率と押出の安定性が確保できる範囲内で、押出機出口14の圧力は極力低くすることが好ましい。
バレル10内には、モータおよびギアを含む駆動手段21によって回転する2つのスクリュー20A、20Bが設けられている。
本発明の樹脂フィルムの製造方法においては、押出機100は、スクリューの直径をD〔mm〕とするとき、スクリュー径Dが、60mm以上であることが好ましく、140mm以上であることがより好ましい。スクリュー径Dを60mm以上とすることで押出機内における溶融樹脂の滞留を抑制することができ、樹脂フィルムの生産性を向上することができる。
スクリュー径Dを140mmとすると、樹脂フィルムの大量生産が可能である一方、樹脂の溶融ムラが生じ易い。しかし、本発明によれば140mm以上のスクリュー径Dを備えた大型の二軸押出機を用いる場合でも、第1の樹脂(樹脂A)および第2の樹脂(樹脂B)の供給量の既述の構成で押出機に供給することで、溶融ムラが抑制されるともに、加熱による末端COOHの増加を抑制することができる。大量生産の観点から、スクリュー径Dは、さらに好ましくは160mm以上である。一方、樹脂の溶融ムラを抑制する観点から、スクリュー径Dは200mm以下であることが好ましい。
−式(I)−
0.063×D2〔kg/hr2〕≦ΔQ(Δt)/Δt≦0.38×D2〔kg/hr2〕
ΔQ(Δt)/Δtは、0.09×D2〔kg/hr2〕〜0.24×D2〔kg/hr2〕であることがより好ましい。
まず、スクリュー径Dが、69mm、105mm、140mm、および196mmであるときの、各スクリュー径Dにおける樹脂供給量差ΔQの好ましい範囲(Qmin1〜Qmax1)及び、より好ましい範囲(Qmin2〜Qmax2)を、座標軸にプロットし、プロットの回帰曲線を求めた。
また縦軸(y軸)を樹脂供給量差ΔQ〔kg/hr〕、横軸(x軸)をスクリュー径D〔mm〕とするプロットおよび回帰曲線を図4および図5に示す。
図5には、Dに対するQmax2のプロットが黒四角(■)で示され、その回帰曲線は、y=0.0071x2.5として算出された。また、Dに対するQmin2のプロットが黒菱形(◆)で示され、その回帰曲線は、y=0.0038x2.5として算出された。
また縦軸(y軸)を時間差Δt〔min〕、横軸(x軸)をスクリュー径D〔mm〕とするプロットおよび回帰曲線を図6および図7に示す。
図7には、Dに対するtmax2のプロットが黒四角(■)で示され、その回帰曲線は、y=2.4077x0.5として算出された。また、Dに対するtmax2のプロットが黒菱形(◆)で示され、その回帰曲線は、y=1.8058x0.5として算出された。
また縦軸(y軸)をΔQ/Δt〔kg/hr2〕、横軸(x軸)をスクリュー径D〔mm〕とするプロットおよび回帰曲線を図8および図9に示す。なお、図8および図9では、ΔQ/Δt〔kg/hr2〕を、ΔQ/Δt〔kg/hr^2〕と示している。
図9には、Dに対するQ/tmax2のプロットが黒四角(■)で示され、その回帰曲線は、y=0.2352x2として算出された。また、Dに対するQ/tmin2のプロットが黒菱形(◆)で示され、その回帰曲線は、y=0.0945x2として算出された。
二軸押出機は、2つのスクリュー20A、20Bの噛み合い型と非噛み合い型に大別され、噛み合い型のほうが、非噛み合い型よりも混練効果が大きい。本発明では、噛み合い型と非噛み合い型のいずれのタイプでも良いが、原料樹脂を十分混練して溶融ムラを抑制する観点から、噛み合い型を用いることが好ましい。
2つのスクリュー20A、20Bの回転方向もそれぞれ同方向と異方向に分かれる。異方向回転スクリュー20A、20Bは同方向回転型よりも混練効果が高く、同方向回転型は自己清掃効果を持っているため、押出機内の滞留防止には有効である。
さらに軸方向も平行と斜交があり、強いせん断を付与する場合に用いられるコニカルタイプの形状もある。
加熱溶融部に、ニーディングディスクやローターなどの剪断を付与するセグメントを用いることで、原料樹脂をより確実に溶融することができる。また、逆スクリューやシールリングを用いることにより、樹脂をせき止め、ベント16A、16Bを引く際のメルトシールを形成することができる。例えば、図2に示すように、ベント16A、16B付近に、上記のような原料樹脂の溶融を促進する混練部24A、24Bを設けることができる。
バレル10の周囲には、温度制御手段30が設けられている。図2に示す押出機100では、原料供給口12から押出機出口14に向けて長手方向に9つに分割された加熱/冷却装置C1〜C9が温度制御手段30を構成している。このようにバレル10の周囲に分割して配置された加熱/冷却装置C1〜C9によって、例えば加熱溶融部C1〜C7と冷却部C8,C9の各領域(ゾーン)に区画し、バレル10内を領域ごとに所望の温度に制御することができる。
本発明においては、第1の樹脂(樹脂A)の固有粘度が0.7dl/g以上0.9dl/g以下であり、第2の樹脂(樹脂B)の固有粘度が0.55dl/g以上0.7dl/g以下であり、かつ、第1の樹脂の固有粘度と第2の樹脂の固有粘度との差が、0.1dl/g以上0.3dl/g以下である。
本発明では、原料樹脂として、少なくとも、第1の樹脂、および第2の樹脂を用いる。
原料樹脂としては、第1の樹脂、および第2の樹脂が、上記固有粘度の条件を満たすものであれば、特に制限されず、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン等のポリビニル系又はポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体;スチレン・アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂又はその変性品;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。
第1の樹脂、および第2の樹脂は、同じであっても異なっていてもよい。さらに、第1の樹脂、および第2の樹脂以外の他の樹脂を用いてもよく、他の樹脂は、第1の樹脂、および第2の樹脂とは異なる樹脂であっても同じ樹脂であってもよい。
原料樹脂としては、以上の中でも、ポリエステルが好ましい。
以下、原料樹脂は、ポリエステルを代表に説明する。
従来は、かかる粘度構成の第1の樹脂と第2の樹脂とが、上記粘度差であると、溶融樹脂をダイから排出したときに、ダイスジと称される膜欠陥を起こした。しかし、第1の樹脂と第2の樹脂とを、本発明の樹脂フィルムの製造方法によって、押出機に切り替えながら供給し、溶融樹脂を押出して、フィルムを成膜することで、ダイスジを低減し、また、予防することができる。
固有粘度の差が0.3dl/g以下であることで、溶融粘度の差が大きくなりすぎず、第1の樹脂から第2の樹脂への切り替えを行い易い。また、固有粘度の差が0.1dl/g以上であることで、溶融粘度の差が小さくなりにくく、圧力変動を与え易い。
第1の樹脂と第2の樹脂の固有粘度の差は、0.13dl/g〜0.23dl/gであることが好ましい。
このように、第1の樹脂の結晶化度と第2の樹脂の結晶化度とに差を設けることで、供給変動が可塑化点の変動につながり、ダイの固着物を押出す効果につながる。
第1の樹脂の結晶化度と第2の樹脂の結晶化度との差は、35以上60以下であることがより好ましい。
Xc={Z×(X−Y)}/{X×(Z−Y)}×100
原料樹脂の嵩比重とは、粉末を一定容積の容器の中に一定状態で入れる等して、所定形状にした粉末の質量を、そのときの体積で除算して求められる比重(単位体積あたりの質量)をいい、嵩比重が小さいほど嵩張る。
上記の中でも、押出時の発熱の抑制により末端COOHの増加をより抑える点で、原料樹脂の嵩比重は0.7g/cm3以上0.75g/cm3以下の範囲が特に好ましい。
かかる構成とすることで、スクリューによる食い込み性に差が生じ、原料樹脂の供給変動が、樹脂の可塑化点の変動につながり、ダイの固着物を押出す効果につながる。フラフの嵩密度が0.3g/cm3以上であることで、スクリューの食い込み不良を抑制し、フラフの嵩密度が0.7g/cm3以下であることで、原料樹脂とフラフの嵩密度の差を大きくし、圧力変動を与える効果を減少し難い。
フラフの嵩密度は、0.4g/cm3以上0.55g/cm3以下であることがより好ましい。
なお、樹脂の嵩密度は、JIS K7365:1999の「プラスチック−規定漏斗から注ぐことができる材料の見掛け密度の求め方」に準拠した方法により測定することができる。
前記ジカルボン酸又はそのエステル誘導体としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等の芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸又はそのエステル誘導体が挙げられる。
Ti系触媒の量は、1ppm以上であると好ましいIVが得られ、30ppm以下であると、末端COOHを低く抑えることができ、耐加水分解性の向上に有利である。
以上のような原料樹脂(第1の樹脂、第2の樹脂、ならびに、必要に応じて用いる他の樹脂およびフラフ)を用いて、既述の切り替え条件で押出機に供給する。
押出機100は、温度制御手段30によりバレル10を加熱するとともにスクリューを回転させ、供給口12から原料樹脂を供給する。なお、供給口12は、原料樹脂のペレット等が加熱されて融着しないようにすることと、モータなどのスクリュー駆動設備を保護するため、伝熱防止として冷却することが好ましい。
バレル内に供給された原料樹脂は融点Tm(℃)以上の温度に加熱されるが、樹脂温度が低過ぎると溶融押出時の溶融が不足し、ダイ40からの排出が困難になるおそれがあり、樹脂温度が高過ぎると熱分解によって末端COOHが著しく増加して耐加水分解性の低下を招くおそれがある。これらの観点から、温度制御手段30による加熱温度及びスクリュー20A、20Bの回転数を調整することにより、二軸押出機内の長手方向における最大樹脂温度Tmaxを(Tm+40)℃〜(Tm+60)℃にすることが好ましく、(Tm+40)℃〜(Tm+55)℃とすることがより好ましく、(Tm+45)℃〜(Tm+50)℃とすることがさらに好ましい。
ベント16A、16Bを通じて真空引きをすることでバレル内の樹脂中の水分等の揮発成分を効率的に除去することができる。ベント圧力が低過ぎると溶融樹脂がバレル10の外に溢れ出るおそれがあり、ベント圧力が高過ぎると揮発成分の除去が不十分となり、得られたフィルムの加水分解が生じ易くなるおそれがある。溶融樹脂がベント16A、16Bから溢れ出ることを防ぐとともに揮発成分を選択的に除去する観点から、ベント圧力は0.01Torr〜5Torr(1.333Pa〜666.5Pa)とすることが好ましく、0.01Torr〜4Torr(1.333Pa〜533.2Pa)とすることがより好ましい。
バレル内で原料樹脂を加熱溶融し、押出機出口14を出た後、ダイ40からフィルム状に押出されるまでの平均滞留時間を10分〜20分とする。原料樹脂を加熱溶融して、押出機100の押出機出口14を出てからダイ40から押出されるまでの平均滞留時間が10分未満では未溶融樹脂が残留し易く、一方、20分を超えると、熱分解によって末端COOH量が増加して耐加水分解性が低下する。このような観点から、原料樹脂を加熱溶融して押出機出口14から押出され後の上記平均滞留時間は、10分〜20分が好ましく、10分〜15分がより好ましい。
ここで、平均滞留時間は、下記式で定義される。
平均滞留時間(秒)=押出機下流配管容積(cm3)×溶融体密度(g/cm3)×3600/1000÷押出量(kg/hr)
上記のように原料樹脂をバレル内で加熱溶融する一方、温度制御手段30によりバレル10の押出機出口14側の内壁がポリエステル樹脂(原料樹脂)の融点Tm(℃)以下の冷却部となるように制御する。バレル10の押出機出口14側の内壁を冷却部として原料樹脂の融点Tm(℃)以下に制御すれば、樹脂が過剰に加熱されて末端COOH量が増加することを抑制することができる。末端COOH量の増加を確実に抑制する観点から、かかる冷却部における温度は、(Tm−100)℃〜Tm℃の範囲内が好ましく、(Tm−50)℃〜(Tm−10)℃の範囲内がより好ましい。
なお、押出機出口14における樹脂温度ToutがTm+30℃以下となるようにすることが好ましい。ただし、押出機出口14における樹脂温度Toutが低過ぎると溶融樹脂の一部が固化するおそれもあるため、押出機出口14における樹脂温度ToutはTm〜(Tm+25)℃以下とすることがより好ましく、(Tm+10)℃〜(Tm+20)℃とすることがさらに好ましい。
本発明の樹脂フィルムの製造方法は、押出機から押出した溶融樹脂をフィルム状に成膜する成膜工程を有する。
本発明の樹脂フィルムの製造方法においては、上記構成の樹脂供給工程を経た後、押出機から押出した溶融樹脂をフィルム状に成膜する。
押出機から押出した溶融樹脂は、図3に示すように、ギアポンプ44、フィルター42を介してダイ40から排出される。ダイ40の開口部の形状が長尺状の幅広な形状をしていることで、ダイ40から排出される溶融樹脂は、フィルム状に加工される。
図2に示すバレル10の押出機出口14には、押出機出口14から押出された溶融樹脂をフィルム状(帯状)に排出するためのダイ40(図3)が設けられている。また、バレル10の押出機出口14とダイ40との間には、フィルムに未溶融樹脂や異物が混入することを防ぐためのフィルター42が設けられている。
ダイ40の開口部の形状について、図10を用いて説明する。
図10に示すダイの開口部は、点Cを有する短辺(辺Cという)、点Dを有する長辺(辺Dという)、点Eを有する短辺(辺Eという)、及び点Fを有する長辺(辺Fという)によって構成された長尺状の枠として示されている。
図10に示すダイの開口部においては、辺Dおよび辺Fは、共に枠の内側にへこむように弧状に曲がっている。また、辺Cの長さ及び辺Eは同じ長さは、ダイの開口部の長手方向と直交する方向の長さ(長さc)である。また、ダイの開口部の長手方向の長さは、Cと点Eとを結ぶ直線の最短距離として求められ、図10においては、長さdとして示してある。
点C〜Fは、それぞれ辺C〜Fの中間に位置している。従って、点Dおよび点Fは、長尺状の枠点の長さdの中間地点〔(1/2)d〕に位置する。
また、「開口部の長手方向の中間部」は、辺Dにおける点Dおよび辺Fにおける点Fに相当する。従って、「開口部の長手方向の中間部における長手方向と直交する方向の長さ」とは、点Dと点Fを結んだ直線の長さに相当し、かかる長さをgとする。
開口部の長手方向の中間部の温度と、開口部の長手方向の端部の温度との温度差は、
5℃〜15℃であることがより好ましい。
厚み精度を向上させるためには、押出量の変動を極力減少させることが重要である。押出量の変動を極力減少させるために押出機100とダイ40との間にギアポンプ44を設けてもよい。ギアポンプ44から一定量の樹脂を供給することにより、厚み精度を向上させることができる。特に、二軸スクリュー押出機を用いる場合には、押出機自身の昇圧能力が低いため、ギアポンプ44による押出安定化を図ることが好ましい。
6.0×10−6×D3≦Q/N≦1.1×10−5×D3 ・・・式(II)
IVが0.7dl/g以上の原料樹脂を溶融する場合、Nを低下させることで溶融と脱気、樹脂冷却を同時に満たし易い。また、押出機出口14での樹脂温度を特に290℃以下に制御することで、特にその下流の配管滞留での末端COOHの増加抑制に大きな効果がある。
Q/Nが6.0×10−6×D3以上とすることで、スクリュー20A、20Bの高回転による原料樹脂の過発熱を抑制し、押出機出口14における樹脂温度を290℃以下にし易く、ΔAVを3eq/t以下にし易い。また、Q/Nが1.1×10−5×D3以下であることで、ベント直下の樹脂充填率が増加しにくく、ベント16A、16Bから溶融樹脂が溢れにくくなるほか、ベント圧が低下しにくいため、押出機内部での樹脂の加水分解が進行しにくく、末端COOHの発生を抑制し易い。さらに、未溶融樹脂がフィルムに混入しにくくなり、樹脂フィルムの強度が低下することを抑制することができるので、延伸工程におけるフィルム破断を抑制することができる。
7×10−6×D3≦Q/N≦1×10−5×D3 ・・・式(III)
8×10−6×D3≦Q/N≦9×10−6×D3 ・・・式(IV)
また、押出量Qが少な過ぎると過度に加熱され易くなり、多過ぎると未溶融樹脂が生じ易くなるため、押出量Qは1.1×10−3×D2.5kg/hr〜7.6×10−3×D2.5kg/hrが好ましく、3.8×10−3×D2.5kg/hr〜7.1×10−3×D2.5kg/hrがより好ましい。
ダイ40からメルト(溶融樹脂)を押出した後、冷却ロールに接触させるまでの間(エアギャップ)は、湿度を5%RH〜60%RHに調整することが好ましく、15%RH〜50%RHに調整することがより好ましい。エアギャップでの湿度を上記範囲にすることで、フィルム表面のCOOH量やOH量を調節することが可能であり、低湿度に調節することで、フィルム表面のカルボン酸量を減少させることができる。
なお、フィルム厚は、2mm〜8mmが好ましく、より好ましくは2.5mm〜7mmであり、さらに好ましくは3mm〜6mmである。厚みを厚くすることで、押出されたメルトがガラス転移温度(Tg)以下に冷却するまでの所要時間を長くすることができる。この間に、フィルム表面のCOOH基はポリエステル内部に拡散され、表面COOH量を低減することができる。
末端COOH量の測定は、既述の方法と同様にして行なうことができる。
本発明のポリエステルフィルムは、既述の本発明の樹脂フィルムの製造方法により製造することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の樹脂フィルムの製造方法により製造されるため、フィルム表面に、ダイに溶融樹脂の熱分解物が固着することに起因する膜欠陥(ダイスジ)が少ない。さらに、本発明のポリエステルフィルムは、本発明の樹脂フィルムの製造方法により製造されているため、溶融樹脂の熱分解物等の異物の含有量が小さいか、異物の大きさが小さい。従って、ポリエステルフィルムを縦延伸ないし横延伸した場合にも、異物の存在に起因する延伸ムラを抑制することができる。
これらの紫外線吸収剤のうち、繰り返し紫外線吸収に対する耐性が高いという点で、トリアジン系紫外線吸収剤がより好ましい。なお、これらの紫外線吸収剤は、上述の紫外線吸収剤単体でフィルムに添加してもよいし、有機系導電性材料や、非水溶性樹脂に紫外線吸収剤能を有するモノマーを共重合させた形態で導入してもよい。
本発明の方法により製造されるポリエステルフィルムは、太陽電池用ポリエステルフィルム、具体的には、太陽電池モジュールの太陽光入射側とは反対側の裏面に配置される裏面保護シート(太陽電池用バックシート)、バリアフィルム基材等の用途に好適である。
本発明の太陽電池モジュールは、太陽光が入射する透明性のフロント基板と、前記フロント基板の上に設けられ、太陽電池素子及び前記太陽電池素子を封止する封止材を有するセル構造部分と、前記セル構造部分の前記フロント基板が位置する側と反対側に設けられ、前記封止材と隣接して配置された、本発明の太陽電池用バックシートと、を備えて構成される。
太陽電池素子の例としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、銅−インジウム−ガリウム−セレン、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル、ガリウム−砒素などのIII−V族やII−VI族化合物半導体系など、各種公知の太陽電池素子を適用することができる。
‐二軸押出機‐
押出機として、図2に示すように2箇所にベントが設けられたバレル内に、下記構成のスクリューを備え、バレルの周囲には長手方向に9つのゾーンに分割して温度制御を行うことができるヒータ(温度制御手段)を備えたダブルベント式同方向回転噛合型の二軸押出機を準備した。
スクリュー径D:196mm
スクリュー長L:スクリュー径Dとの比(L/D)が31.5となる長さ[mm]
(1ゾーンの幅:3.5D)
スクリュー形状:第1ベント直前に可塑化混練部、第2ベント直前に脱気促進混練部
ギアポンプ:2ギアタイプ
フィルター:金属繊維焼結フィルター(孔径20μm)
ダイ:図3における点C及び点Eの温度が290℃、点D及び点Fの温度が300℃
原料樹脂としては、表4に示す特性を有する樹脂A(第1の樹脂)および樹脂B(第2の樹脂)のペレットを用いた。樹脂A、樹脂BともPETを用いた。PETペレットには、平均長径:4.5mm、平均短径:1.8mm、平均長さ:4.0mmのサイズのものを用いた。
表4に示す樹脂Aおよび樹脂Bを、表5に示す樹脂供給条件にて、押出機に供給した。樹脂の切り替えは、樹脂Aの供給量QAを減少しつつ、樹脂Bの供給量QBを増加することに切り替えることにより行い、いずれの実施例および比較例も、樹脂Aの供給量QAについてのみ変動を与え、樹脂Bの供給量QBには変動を与えなかった。従って、表5に示す変動量は、樹脂Aの供給量QAに与えた変動の大きさを表す。表5に示すΔQ(Δt)/Δtは、式(I)におけるΔQ(Δt)/Δtを表す。
なお、実施例6、実施例8及び比較例1においては、さらに、表4に示す嵩密度のフラフを供給した。フラフは、供給量QAの減少開始(t0)から減少終了(tfin)まで、一定の割合(500〔kg/hr〕)で供給した。
スクリューの回転数を60rpmに設定し、供給口12から、上記供給条件で原料樹脂を供給して加熱溶融し、押出量を3000kg/hrに設定して溶融押出を行った。
なお、ダイ出口から冷却ロールまでの搬送域(エアギャップ)は、この搬送域を囲い、この中に調湿空気を導入することにより、湿度を30%RHに調節してある。押出機の押出量の調整及びダイの開口部の形状を上記構成とすることにより、メルト厚みを3000μmとした。
以上のようにして、実施例1〜実施例8および比較例1〜比較例3の各PETフィルムを得た。
1.膜欠陥(ダイスジ)
得られた実施例1〜実施例8および比較例1〜比較例3の各PETフィルムの表面を目視観察し、下記評価基準に基づき、ダイスジの有無を評価した。評価結果は表5に示した。
−評価基準−
○:ダイスジがほとんど認められない
△:ダイスジが認められる
×:ダイスジが著しい
得られた実施例1〜実施例8および比較例1〜比較例3の各PETフィルムの幅方向の最短距離を結ぶ直線上に均等間隔で5点取り、各点の固有粘度(IV)を測定した。表6〜表16に示される実施例1〜実施例8および比較例1〜比較例3の各tfinから、測定したIVの幅方向のバラツキが5%以内に入るまでの時間を、切り替え時間とした。結果は表5に示した。
<太陽電池モジュールの作製>
実施例1〜実施例8の各PETフィルムを太陽電池用バックシートとして用い、次のようにして、実施例9〜実施例16の太陽電池モジュールを作製した。
厚さ3.2mmの強化ガラスと、EVAシート〔三井化学ファブロ社製のSC50B〕と、結晶系太陽電池セルと、EVAシート〔三井化学ファブロ社製のSC50B〕と、実施例1〜実施例8のPETフィルムのいずれか1枚とを、この順に重ね合わせ、真空ラミネータ〔日清紡社製、真空ラミネート機〕を用いてホットプレスすることにより、各部材とEVAシートとを接着させた。
12 供給口
14 押出機出口
16A、16B ベント
20A、20B スクリュー
30 温度制御手段
40 ダイ
42 フィルター
44 ギアポンプ
46 原料供給装置
100 二軸押出機
C1〜C9 加熱/冷却装置
Claims (10)
- 固有粘度が0.7dl/g以上0.9dl/g以下である第1の樹脂と、固有粘度が0.55dl/g以上0.7dl/g以下であり、前記第1の樹脂の固有粘度との差が、0.1dl/g以上0.3dl/g以下である第2の樹脂とを、前記第1の樹脂の供給量を減少させ、第2の樹脂の供給量を増加させながら、前記第1の樹脂から前記第2の樹脂に切り替えて、押出機に供給するにあたり、前記第2の樹脂の前記押出機への供給量を増加させるときをt0〔hr〕とし、前記第1の樹脂の前記押出機への供給量を減少させ終わったときをtfin〔hr〕とするとき、
時間t〔hr〕と、前記供給量Qとの関係を表す曲線において、
(1)前記t0から前記tfinまでの間に、dQ(t)/dt=0となる回数を4回以上15回以下とし、
(2)dQ(t)/dt≧0である連続する区間における最大供給量と最小供給量との差の平均値を、前記t0における供給量Q(t0)と前記tfinにおける供給量Q(tfin)との差の10%以上30%以下として、
前記押出機に、少なくとも、前記第1の樹脂および前記第2の樹脂を供給する樹脂供給工程、および、前記押出機から押出した溶融樹脂をフィルム状に成膜する成膜工程を有する樹脂フィルムの製造方法。 - 前記押出機が、直径D〔mm〕のスクリューを備え、
前記D、前記Q(t0)と前記Q(tfin)との差ΔQ(Δt)、及び、前記t0と前記tfinとの差Δtが、下記式(I)を満たす前記第1に記載の樹脂フィルムの製造方法。
0.063×D2〔kg/hr2〕≦ΔQ(Δt)/Δt≦ 0.38×D2〔kg/hr2〕・・・式(I) - 前記第1の樹脂の結晶化度が40%以上65%以下であり、前記第2の樹脂の結晶化度が0%以上40%以下であり、かつ、前記第1の樹脂の結晶化度と前記第2の樹脂の結晶化度との差が、1%以上60%以下である請求項1または請求項2に記載の樹脂フィルムの製造方法。
- 前記第1の樹脂及び前記第2の樹脂が、ポリエステルである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
- 前記押出機が、2軸押出機である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
- 前記第1の樹脂及び前記第2の樹脂の嵩密度が、0.7g/cm3以上0.9g/cm3以下であり、嵩密度が0.3g/cm3以上0.7g/cm3以下であるフラフを、さらに、前記押出機に供給する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
- 前記押出機から押出した前記溶融樹脂は、少なくとも前記第1の樹脂及び前記第2の樹脂の溶融樹脂を排出し、開口部の形状が、長尺状であり、前記開口部の長手方向の中間部の温度よりも、前記開口部の長手方向の端部の温度が5℃以上20℃以下高いダイを介して排出される請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法。
- 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂フィルムの製造方法により製造されたポリエステルフィルム。
- 請求項8に記載のポリエステルフィルムを有する太陽電池用バックシート。
- 太陽光が入射する透明性のフロント基板と、
前記フロント基板の上に設けられ、太陽電池素子及び前記太陽電池素子を封止する封止材を有するセル構造部分と、
前記セル構造部分の前記フロント基板が位置する側と反対側に設けられ、前記封止材と隣接して配置された、請求項9に記載の太陽電池用バックシートと、
を備えた太陽電池モジュール。
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