(第1の実施形態)この発明の第1の実施形態における連続誘導加熱装置を図1および図2に基づき説明する。図1は本実施形態の連続誘導加熱装置1を示す斜視図であり、図2は図1においてA−A断面にて示される断面図である。
連続誘導加熱装置1は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
誘導加熱コイル2は、円環形状のパイプ部材PIより形成されており、被加熱体Hが搬送される直線状の搬送路Wを囲んで、パイプ部材PIが3回巻き回された構造となっている。なお、パイプ部材PIは銅より形成されるとともに外壁面はホーロー加工が施されている。そして、パイプ部材PI内には冷却水が循環され、この冷却水によりパイプ部材PIより形成される誘導加熱コイル2は冷却される。
以下、パイプ部材PIが3回巻き回されて形成される誘導加熱コイル2において、誘導加熱コイル2を形成する各コイル部(3〜8)について説明する。
誘導加熱コイル2は、高周波電源PSに接続される第1および第2接続コイル部(7,8)と、第1バーコイル部3と、第2バーコイル部4と、第1および第2バーコイル部(3,4)間を繋ぐ第1および第2コーナーコイル部(5,6)とを備えている。ここで、第
1バーコイル部3は直線状の6本のバーコイル(3a〜3f)より形成され、第2バーコイル部4は同じく直線状の3本のバーコイル(4a〜4c)より形成されている。そして、第1コーナーコイル部5はヘアピン形状の3本のコーナーコイル(5a〜5c)より形成され、第2コーナーコイル部6は同じくヘアピン形状の3本のコーナーコイル(6a〜6c)より形成されている。
次に、各コイル部(3〜8)の接続関係について説明する。なお、誘導加熱コイル2は、第1接続コイル部7から第2接続コイル部8に向けてパイプ部材PIが順に巻き回され形成されているものとし、各コイル部(3〜8)の接続関係について以下説明する。
高周波電源PSに接続される第1接続コイル部7には、順にバーコイル3a、コーナーコイル5a、バーコイル4a、コーナーコイル6aおよびバーコイル3dが繋がれており、このバーコイル3a、コーナーコイル5a、バーコイル4a、コーナーコイル6aおよびバーコイル3dにより誘導加熱コイル2の第1巻きコイル2aが形成される。次に、第1巻きコイル2aの端部に位置するバーコイル3dには、順にバーコイル3b、コーナーコイル5b、バーコイル4b、コーナーコイル6bおよびバーコイル3eが繋がれており、バーコイル3b、コーナーコイル5b、バーコイル4b、コーナーコイル6bおよびバーコイル3eにより誘導加熱コイル2の第2巻きコイル2bが形成される。最後に、第2巻コイル2bの端部に位置するバーコイル3eには、順にバーコイル3c、コーナーコイル5c、バーコイル4c、コーナーコイル6cおよびバーコイル3fが繋がれており、このバーコイル3c、コーナーコイル5c、バーコイル4c、コーナーコイル6cおよびバーコイル3fにより誘導加熱コイル2の第3巻きコイル2cが形成される。
次に、各コイル部(3〜8)の搬送路Wに対する配置について説明する。
第1バーコイル部3は、上記のように直線状の6本のバーコイル(3a〜3f)より形成されており、6本のバーコイル(3a〜3f)は搬送路Wに対面する同一の平面内において、搬送路Wに対して搬送方向に平行して配置されている。ここで、3本のバーコイル(3a〜3c)およびバーコイル(3d〜3f)は、互いに近接した状態でそれぞれ搬送方向に平行に並んで配置されている。
一方、第2バーコイル部4は、上記のように直線状の3本のバーコイル(4a〜4c)より形成されており、3本のバーコイル(4a〜4c)は搬送路Wを挟んでバーコイル(3a〜3f)と反対側にて、搬送路Wに対面する同一の平面内において、搬送路Wに対して搬送方向に平行して配置されている。ここで、3本のバーコイル(4a〜4c)は、互いに近接した状態でそれぞれ搬送方向に平行に並んで配置されている。上記のように6本のバーコイル(3a〜3f)および3本のバーコイル(4a〜4c)が配置されることにより、バーコイル(3a〜3f)より形成される第1および第2バーコイル部(3,4)は、搬送路を挟んで搬送方向に平行に配置される。
第1コーナーコイル部5は、上記のように3本のヘアピン形状のコーナーコイル(5a〜5c)より形成されている。そして、このコーナーコイル(5a〜5c)は搬送路W内に出入する被加熱体Hの進路を阻害しないように、搬送路Wに対して略直角の方向に配置されている。同様に、第2コーナーコイル部6は、上記のように3本のヘアピン形状のコーナーコイル(6a〜6c)より形成されている。そして、このコーナーコイル(6a〜6c)は搬送路W内に出入する被加熱体Hの進路を阻害しないように、搬送路Wに対して略直角の方向に配置されている。
上記のように誘導加熱コイル2は各コイル部(3〜8)が一連に接続され構成となっている。そのため、高周波電源PSより第1接続コイル部7から第2接続コイル部8に向けて
流れる電流が供給された場合、バーコイル(3a〜3c)またはバーコイル(3d〜3f)より形成される第1バーコイル部3には、搬送方向に対して逆向きに電流が流れ、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4には、搬送方向に対して同じ向きに電流が流れる。一方、高周波電源PSより第2接続コイル部8から第1接続コイル部7に向けて流れる電流が供給された場合、バーコイル(3a〜3c)またはバーコイル(3d〜3f)より形成される第1バーコイル部3には、搬送方向と同じ向きに電流が流れ、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4には、搬送方向に対して逆向きに電流が流れる。すなわち、第1および第2バーコイル部(3,4)には、高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れる。
次に、連続誘導加熱装置1に備わる第1磁束制御手段(10,30)および第2磁束制御手段(20,40)について、図1および図2に基づき説明する。ここで、連続誘導加熱装置1は、2対の第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)を備えており、第1および第2磁束制御手段(10,20)は連続誘導加熱装置1において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(30,40)は、連続誘導加熱装置1において搬送路Wの出口側に配置されている。そして、第1および第2磁束制御手段(10,20)と第1および第2磁束制御手段(30,40)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。
上記のように第1および第2磁束制御手段(30,40)は、第1および第2磁束制御手段(10,20)とそれぞれ同じ部品にて同一に構成であるため、以下、第1および第2磁束制御手段(10,20)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(30,40)については、第1および第2磁束制御手段(10,20)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
第1磁束制御手段10は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第1および第2サイドコア(11,12)を備える。そして、第1および第2サイドコア(11,12)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段10を構成する第1および第2サイドコア(11,12)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
第2磁束制御手段20は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第3および第4サイドコア(21,22)を備える。第3および第4サイドコア(21,22)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第2磁束制御手段20を構成する第3および第4サイドコア(21,22)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されるとともに、第3および第4サイドコア(21,22)は、第1磁束制御手段10を構成する第1および第2サイドコア(11,12)に対しそれぞれ所定の長さ離間し対向した位置に配置されている。
上記のように第1および第2サイドコア(11,12)に対し、第3および第4サイドコア(21,22)は、それぞれ所定の長さ離間して配置されており、各コア(11,21)(12,22)間には、所定の長さの空隙が形成される。
そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(12,22)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。また、サイドコア(12,22)間のみならず、サイドコア(11,21)間にも空隙が形成されているため、被加熱部材Hがシャフト等の被加熱部材Hの両側に突出する突出部材を備える場合にも、サイドコア(11
,21)間およびサイドコア(12,22)間に形成された空隙内に突出部材を配することができる。また、その場合の空隙の長さも突出部材が挿通可能な程度の長さに設定されている。
次に、図3に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置1内に形成される磁束について説明する。
上記のように連続誘導装置1の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
ここで、連続誘導加熱装置1は第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)を備えており、第1磁束制御手段(10,30)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(11,12)を備え、第2磁束制御手段(20,40)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(10,30)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(21,22)を備えている。
また、フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(11,12,21,22)に集束される。そのため、第1磁束制御手段(10,30)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(11,12)内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、第1および第2サイドコア(11,12)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(11,12)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(11,12)に挟まれた搬送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(20,40)により、第3および第4サイドコア(21,22)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
このように、第1から第4サイドコア(11,12,21,22)により、第1および第2バーコイル部(3,4)に形成された磁束φは、外延への散逸が抑えられるとともに搬送路W内に積極的に集束され、搬送路W内の磁束の高密度化が図られる。また、第1および第2バーコイル部(3,4)を挟み込む位置にサイドコア(11,12,21,22)を配置する構成は、サイドコア(フェライト)(11,12,21,22)の使用量を抑えつつ搬送路W内の磁束φを積極的に集束させるためには効果的は構成であり、少ないフェライトの使用量で有効に搬送路W内の磁束φを高密度化させることができる構成である。
また、第1および第2磁束制御手段(10,20)(30,40)は所定の長さ離間し対向して配置されている。よって、互いに対向する第1サイドコア11(第1磁束制御手段(10,30))と第3サイドコア21(第2磁束制御手段(20,40))との間、並びに第2サイドコア12(第1磁束制御手段(10,30))と第4サイドコア22(第2磁束制御手段(20,40))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。また、この空隙は搬送路Wの両側に形成されるので、シャフト等の両側に突出
する突出部材を被加熱部材Wが備える場合には、この空隙内に突出部材を配することができる。そのため、搬送路Wを挟んで対面するサイドコア(11,12)(21,22)間の距離を拡張することなく搬送路W内に被加熱部材Hを配することができる。つまり、サイドコア(11,12)(21,22)間の距離を拡張して搬送路W内の面積を大きくすることなく、搬送路W内に被加熱部材Hを配することができ、搬送路W内の磁束φを高密度に保った状態とすることができる。
すなわち、連続誘導加熱装置1によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
(第2の実施形態)次に、この発明の第2の実施形態における連続誘導加熱装置を図5および図6に基づき説明する。図5は本実施形態の連続誘導加熱装置200を示す斜視図であり、図6は図5にてB−B断面にて示される断面図である。
連続誘導加熱装置200は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
なお、第2の実施形態における連続誘導加熱装置200は、第1の実施形態における連続誘導加熱装置1に対して、第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)の構造が異なり、その他の部分である誘導加熱コイル2は同一の構造である。そのため、誘導加熱コイル2については第1の実施形態の連続誘導加熱装置1と同一の符号を付するとともに説明を省略し、以下、第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)について説明する。
上記のように、連続誘導加熱装置200は、2対の第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)を備えている。そして、第1および第2磁束制御手段(210,220)は連続誘導加熱装置200において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(230,240)は、連続誘導加熱装置200において搬送路Wの出口側に配置されている。
そして、第1および第2磁束制御手段(210,220)と第1および第2磁束制御手段(230,240)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。そのため、以下、第1および第2磁束制御手段(210,220)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(230,240)については、第1および第2磁束制御手段(210,220)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
第1磁束制御手段210は、フェライトの板材より長方形に形成された第1および第2サイドコア(211,212)を備える。そして、第1および第2サイドコア(211,212)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段210を構成する第1および第2サイドコア(211,212)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
第2磁束制御手段220は、フェライトの板材より長方形に形成された第3および第4サイドコア(221,222)を備える。第3および第4サイドコア(221,222)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、第2磁束制御手段220を構成する第3お
よび第4サイドコア(221,222)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
ここで、第1磁束制御手段210を構成する第1サイドコア211と、第2磁束制御手段220を構成する第3サイドコア221とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されている。また、第1磁束制御手段210を構成する第2サイドコア212と、第2磁束制御手段220を構成する第4サイドコア222とは、互いに対向する位置に配置されるとともに所定の長さ離間した位置に配置されている。
上記のように第2サイドコア212に対し、第4サイドコア222は、所定の長さ離間して配置されており、各コア(212,222)間には、所定の長さの空隙が形成される。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(212,222)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。
次に、図6に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置200内に形成される磁束について説明する。
上記のように連続誘導装置200の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
ここで、連続誘導加熱装置1は第1および第2磁束制御手段(210,220)(230,240)を備えており、第1磁束制御手段(210,230)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(211,212)を備え、第2磁束制御手段(220,240)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(210,230)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(221,222)を備えている。そして、第1磁束制御手段210を構成する第1サイドコア211と、第2磁束制御手段220を構成する第3サイドコア221とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されている
フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(211,212,221,222)に集束される。そのため、第1磁束制御手段(210,230)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(211,212)内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、第1および第2サイドコア(211,212)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(211,212)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(211,212)に挟まれた搬送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(220,240)により、第3および第4サイドコア(221,222)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
さらに、上記のように第1磁束制御手段210を構成する第1サイドコア211と、第2磁束制御手段220を構成する第3サイドコア221とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されているため、第1および第2バーコイル部(3,4)にて形成された磁束φは、外延へ散逸することがより効果的に抑えられ、搬送路W内に高密度化された磁束φが形成される。
このように、第1から第4サイドコア(211,212,221,222)により、第1および第2バーコイル部(3,4)に形成された磁束φは、外延への散逸が抑えられるとともに搬送路W内に積極的に集束され、搬送路W内の磁束の高密度化が図られる。また、第1および第2バーコイル部(3,4)を挟み込む位置にサイドコア(211,212,221,222)を配置する構成は、サイドコア(フェライト)(211,212,221,222)の使用量を抑えつつ搬送路W内の磁束φを積極的に集束させるためには効果的は構成であり、少ないフェライトの使用量で有効に搬送路W内の磁束φを高密度化させることができる構成である。また、第1および第3サイドコア(211,221)を繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
すなわち、連続誘導加熱装置200によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
また、互いに対向する第2サイドコア212(第1磁束制御手段(210,230))と第4サイドコア222(第2磁束制御手段(220,240))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。
(第3の実施形態)次に、この発明の第3の実施形態における連続誘導加熱装置を図7および図8に基づき説明する。図7は本実施形態の連続誘導加熱装置300を示す斜視図であり、図8は図7にてC−C断面にて示される断面図である。
連続誘導加熱装置300は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
なお、第3の実施形態における連続誘導加熱装置300は、第1の実施形態における連続誘導加熱装置1に対して、第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)の構造が異なり、その他の部分である誘導加熱コイル2は同一の構造である。そのため、誘導加熱コイル2については第1の実施形態の連続誘導加熱装置1と同一の符号を付するとともに説明を省略し、以下、第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)について説明する。
上記のように、連続誘導加熱装置300は、2対の第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)を備えている。そして、第1および第2磁束制御手段(310,320)は連続誘導加熱装置300において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(330,340)は、連続誘導加熱装置300において搬送路Wの出口側に配置されている。
そして、第1および第2磁束制御手段(310,320)と第1および第2磁束制御手段(330,340)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。そのため、以下
、第1および第2磁束制御手段(310,320)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(330,340)については、第1および第2磁束制御手段(310,320)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
第1磁束制御手段310は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第1および第2サイドコア(311,312)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第1アッパーコア313とを備える。そして、第1および第2サイドコア(311,312)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段310を構成する第1および第2サイドコア(311,312)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
また、第1アッパーコア313は、第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第1サイドコア311と第1アッパーコア313と、第2サイドコア312と第1アッパーコア313とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第1磁束制御手段310は、それぞれ別体に形成された第1および第2サイドコア(311,312)並びに第1アッパーコア313が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
同様に、第2磁束制御手段320は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第3および第4サイドコア(321,322)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第2アッパーコア323とを備える。第3および第4サイドコア(321,322)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、第2磁束制御手段320を構成する第3および第4サイドコア(321,322)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
また、第2アッパーコア323は、第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第3サイドコア321と第2アッパーコア323と、第4サイドコア322と第2アッパーコア323とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第2磁束制御手段320は、それぞれ別体に形成された第3および第4サイドコア(321,322)並びに第2アッパーコア323が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
ここで、第2磁束制御手段320を構成する第3および第4サイドコア(321,322)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されるとともに、第3および第4サイドコア(321,322)は、第1磁束制御手段310を構成する第1および第2サイドコア(311,312)に対しそれぞれ所定の長さ離間し対向した位置に配置されている。
上記のように第1および第2サイドコア(311,312)に対し、第3および第4サイドコア(321,322)は、それぞれ所定の長さ離間して配置されており、各コア(311,321)(312,322)間には、所定の長さの空隙が形成される。
そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(312,322)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。また、サイドコア(312,322)間のみならず、サイドコア(311,321)間にも空隙が形成されているため、被加
熱部材Hがシャフト等の被加熱部材Hの両側に突出する突出部材を備える場合にも、サイドコア(311,321)間およびサイドコア(312,322)間に形成された空隙内に突出部材を配することができる。また、その場合の空隙の長さも突出部材が挿通可能な程度の長さに設定されている。
次に、図9に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置300内に形成される磁束について説明する。
上記のように連続誘導装置300の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
ここで、連続誘導加熱装置300は第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)を備えている。そして、第1磁束制御手段(310,330)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(311,312)、並びにフェライトより形成され第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第1アッパーコア313を備える。一方、第2磁束制御手段(320,340)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(310,330)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(321,322)、並びにフェライトより形成され第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第2アッパーコア323を備える。
フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(311,312,321,322)および第1および第2アッパーコア(313,323)内に集束される。
そのため、第1磁束制御手段(310,330)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(311,312)内および第1アッパーコア313内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、搬送路Wを挟み込む第1および第2サイドコア(311,312)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(311,312)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(311,312)に挟まれた搬送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(320,340)により、第3および第4サイドコア(321,322)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
ここで、上記のように第1および第2磁束制御手段(310,320)においては、第1または第2アッパーコア(313,323)が搬送路Wを挟んでそれぞれ第1または第2バーコイル部(3,4)の反対側に配置されている。そのため、第1および第2アッパーコア(313,323)により、第1または第2バーコイル部(3,4)において搬送路の反対側に形成される磁束は集束され、搬送路Wの反対側に散逸する磁束を第1および第2アッパーコア(313,323)内に集束させることができる。
そして、第1および第2アッパーコア(313,323)により、第1および第2磁束制
御手段(310,320)に一層効果的に集束された磁束が、サイドコア(311,312,321,322)に挟まれた搬送路W内に形成され、搬送路内の磁束はより効果的に高密度化される。また、また、第1および第2アッパーコア(313,323)を設けるために新たに用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると決して多い量であるといえない。
また、第1および第2磁束制御手段(310,320)(330,340)は所定の長さ離間し対向して配置されている。よって、互いに対向する第1サイドコア311(第1磁束制御手段(310,330))と第3サイドコア321(第2磁束制御手段(320,340))との間、並びに第2サイドコア312(第1磁束制御手段(310,330))と第4サイドコア322(第2磁束制御手段(320,340))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。
そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。また、この空隙は搬送路Wの両側に形成されるので、シャフト等の両側に突出する突出部材を被加熱部材Wが備える場合には、この空隙内に突出部材を配することができる。そのため、搬送路Wを挟んで対面するサイドコア(311,312)(321,322)間の距離を拡張することなく搬送路W内に被加熱部材Hを配することができる。つまり、サイドコア(311,312)(321,322)間の距離を拡張して搬送路W内の面積を大きくすることなく、搬送路W内に被加熱部材Hを配することができ、搬送路W内の磁束φを高密度に保った状態とすることができる。
すなわち、連続誘導加熱装置300によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
次に、図10に基づき、本実施形態の連続誘導加熱装置300の加熱特性について、図14に示す従来例の連続誘導加熱装置500と対比して説明する。
図10は、従来例の連続誘導加熱装置500および本実施形態の連続誘導加熱装置300にて被加熱体Hを加熱したときの被加熱体Hの表面温度の経時変化を示す解析結果である。なお、上記の解析においては、加熱装置500の誘導加熱コイル502と加熱装置300の誘導加熱装置2とは同一の形状および構造とし、それぞれのコイル(502,2)に供給される電力の周波数および電力量は同一とした。
図10に示すように、本実施形態の連続誘導加熱装置300にて被加熱体Hを加熱した場合には、実施例の連続誘導加熱装置500にて被加熱体Hを加熱した場合に比して、被加熱体Hの単位時間当たりに上昇する温度が大きい。そのため、設定温度(240℃)に到達する時間が、連続誘導加熱装置500では「20秒」であるのに対し、連続誘導加熱装置300では「6秒」であり、連続誘導加熱装置300は連続誘導加熱装置500の半分以下の時間で被加熱体Hを設定温度(240℃)まで加熱することができる。このことから、本実施形態の連続誘導加熱装置300では、搬送路内における磁束φの磁束密度が有効に高密度化されていることが確認される。
(第4の実施形態)次に、この発明の第4の実施形態における連続誘導加熱装置を図11および図12に基づき説明する。図11は本実施形態の連続誘導加熱装置400を示す斜視図であり、図12は図11にてD−D断面にて示される断面図である。
連続誘導加熱装置400は、高周波の電流を出力する高周波電源PSに電気的に接続された誘導加熱コイル2と、2対の第1および第2磁束制御手段(410,420)(430
,440)とを備え、この誘導加熱コイル2には高周波電源PSからの高周波の電流が流れる。
なお、第4の実施形態における連続誘導加熱装置400は、第1の実施形態における連続誘導加熱装置1に対して、第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)の構造が異なり、その他の部分である誘導加熱コイル2は同一の構造である。そのため、誘導加熱コイル2については第1の実施形態の連続誘導加熱装置1と同一の符号を付するとともに説明を省略し、以下、第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)について説明する。
上記のように、連続誘導加熱装置400は、2対の第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)を備えている。そして、第1および第2磁束制御手段(410,420)は、連続誘導加熱装置400において搬送路Wの入口側に配置されており、第1および第2磁束制御手段(430,440)は、連続誘導加熱装置400において搬送路Wの出口側に配置されている。
そして、第1および第2磁束制御手段(410,420)と第1および第2磁束制御手段(430,440)とは、それぞれ同じ部品にて同一に構成されている。そのため、以下、第1および第2磁束制御手段(410,420)について説明するとともに、第1および第2磁束制御手段(430,440)については、第1および第2磁束制御手段(410,420)の構成部品と同一の部品に対し同一の符号を付し、その説明を省略する。
第1磁束制御手段410は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第1および第2サイドコア(411,412)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第1アッパーコア413とを備える。そして、第1および第2サイドコア(411,412)は、バーコイル(3a〜3c)より形成される第1バーコイル部3と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。ここで、第1磁束制御手段410を構成する第1および第2サイドコア(411,412)は、搬送路Wに対して第1バーコイル部3側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
また、第1アッパーコア413は、第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第1サイドコア411と第1アッパーコア413と、第2サイドコア412と第1アッパーコア413とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第1磁束制御手段410は、それぞれ別体に形成された第1および第2サイドコア(411,412)並びに第1アッパーコア413が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
同様に、第2磁束制御手段420は、フェライトの板材より長方形に形成された略同一形状の第3および第4サイドコア(421,422)と、同じくフェライトの板材より長方形に形成された第2アッパーコア423とを備える。第3および第4サイドコア(421,422)は、バーコイル(4a〜4c)より形成される第2バーコイル部4と搬送路Wを互いに挟み込む位置にそれぞれ配置されている。そして、第2磁束制御手段420を構成する第3および第4サイドコア(421,422)は、搬送路Wに対して第2バーコイル部4側の搬送路Wの略半域を挟み込む位置に配置されている。
また、第2アッパーコア423は、第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置されている。そして、第3サイドコア421と第2アッパーコア423と、第4サイドコア422と第2アッパーコア423とは互いに接合され、一連一体的に構成されている。なお、本実施形態において、第2磁束制御手段420は、それぞれ別体に形
成された第3および第4サイドコア(421,422)並びに第2アッパーコア423が一体的に接合されてコの字形状に形成されているが、予めコの字形状に形成されたコアを用いても良い。
ここで、第1磁束制御手段410を構成する第1サイドコア411と、第2磁束制御手段420を構成する第3サイドコア421とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されている。また、第1磁束制御手段410を構成する第2サイドコア412と、第2磁束制御手段420を構成する第4サイドコア422とは、互いに対向する位置に配置されるとともに所定の長さ離間した位置に配置されている。
上記のように第2サイドコア412に対し、第4サイドコア422は、所定の長さ離間して配置されており、各コア(412,422)間には、所定の長さの空隙が形成される。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からの保持手段により、被加熱部材Hをサイドコア(212,222)間の空隙を介して保持することができ、この空隙の長さは、この保持手段が挿通可能な程度の長さに設定されている。
次に、図13に基づき、誘導加熱コイル2に流れる電流により連続誘導加熱装置400内に形成される磁束について説明する。
上記のように連続誘導装置400の誘導加熱コイル2は、搬送路Wを挟んで搬送方向に平行に配置されるとともに高周波電源PSから供給される電流が互いに逆向きに流れるよう配置された第1および第2バーコイル部(3,4)を有する。そのため、高周波電源PSから誘導加熱コイル2に電流が供給されると、第1バーコイル部3には軸回りに時計方向(反時計方向)の磁束φが形成され、第2バーコイル部4には軸回りに反時計方向(時計方向)の磁束φが形成される。そして、これらの磁束φにより第1および第2バーコイル部(3,4)間の搬送路Wには、図3に示すように第1バーコイル部3を第2バーコイル部4の上方に配置した場合、右へ流れる(左へ流れる)磁束φが形成される。
ここで、連続誘導加熱装置400は第1および第2磁束制御手段(410,420)(430,440)を備えている。そして、第1磁束制御手段(410,430)は、フェライトより形成され第1バーコイル部3および搬送路Wを挟み込む位置に配置された第1および第2サイドコア(411,412)、並びにフェライトより形成され第1バーコイル部3を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第1アッパーコア413を備える。一方、第2磁束制御手段(420,440)は同じくフェライトより形成され第2バーコイル部4および搬送路Wを挟み込むとともに第1磁束制御手段(410,430)に対向する位置に配置された第3および第4サイドコア(421,422)、並びにフェライトより形成され第2バーコイル部4を挟んで搬送路Wに対して反対側の位置に配置された第2アッパーコア423を備える。
フェライトは透磁率が非常に高い材料であるため、第1および第2バーコイル部(3,4)の軸回りに形成された磁束φは、第1から第4サイドコア内(411,412,421,422)および第1および第2アッパーコア(413,423)内に集束される。
そのため、第1磁束制御手段(410,430)により、第1バーコイル部3の軸回りに形成された磁束φは、第1および第2サイドコア(411,412)内および第1アッパーコア413内に集束され、第1バーコイル部3の軸回りにおいて外延へ向けて散逸する磁束は少なくなる。そして、搬送路Wを挟み込む第1および第2サイドコア(411,412)内に集束された磁束φが、第1および第2サイドコア(411,412)に挟まれた搬送路Wを横断するため、第1および第2サイドコア(411,412)に挟まれた搬
送路には高密度化された磁束φが形成される。同様に、第2磁束制御手段(420,440)により、第3および第4サイドコア(421,422)に挟まれた搬送路W内には高密度化された磁束φが形成される。
ここで、上記のように第1および第2磁束制御手段(410,420)においては、第1または第2アッパーコア(413,423)が搬送路Wを挟んでそれぞれ第1または第2バーコイル部(3,4)の反対側に配置されている。そのため、第1および第2アッパーコア(413,423)により、第1または第2バーコイル部(3,4)において搬送路の反対側に形成される磁束は集束され、搬送路Wの反対側に散逸する磁束を第1および第2アッパーコア(413,423)内に集束させることができる。
そして、第1および第2アッパーコア(413,423)により、第1および第2磁束制御手段(410,420)に一層効果的に集束された磁束が、サイドコア(411,412,421,422)に挟まれた搬送路W内に形成され、搬送路内の磁束はより効果的に高密度化される。また、また、第1および第2アッパーコア(413,423)を設けるために新たに用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると決して多い量であるといえない。
さらに、上記のように第1磁束制御手段310を構成する第1サイドコア411と、第2磁束制御手段420を構成する第3サイドコア421とは、互いに対向する位置に配置されているとともに、それぞれ接合され一連一体的に構成されているため、第1および第2バーコイル部(3,4)にて形成された磁束φは、外延へ散逸することが更に効果的に抑えられ、搬送路W内に高密度化された磁束φが形成される。また、第1および第3サイドコア(411,421)を繋ぎ一連一体化するために用いられるフェライトの使用量は、磁束の高密度化の効果を鑑みると極めて少ない量であるといえる。
すなわち、連続誘導加熱装置400によれば、誘導加熱コイル2の周辺にて好適な位置にフェライトが配置され、フェライトの使用量を抑えつつ搬送路内における磁束φの磁束密度を有効に高密度化することができる。
また、互いに対向する第2サイドコア412(第1磁束制御手段(410,430))と第4サイドコア422(第2磁束制御手段(420,440))との間には、所定の長さの空隙が形成されている。そのため、ベルトコンベアなどの搬送手段からこの空隙を介して被加熱部材Hを保持することができる。