JP2014238995A - 誘導加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱交換器などの金属パイプ8間のピッチが狭い対象物においても効率良く誘導加熱可能が誘導加熱装置を提供する。【解決手段】誘導加熱電源2から供給される電力によって複数のコイル部1f,1g間の被加熱体挿入用隙間1hに配置した被加熱体3を誘導加熱する誘導加熱コイル1を具備した誘導加熱装置において、前記加熱コイルの各コイル部は、同一平面上に複数回巻回された平面型スパイラル式で構成され、前記加熱コイルは、前記被加熱体挿入用隙間内に配置された前記被加熱体が、前記加熱コイルの前記複数のコイル部間の中心に配置され、前記加熱コイルの中心線と前記被加熱体の中心線とは直交するように配置されている【選択図】図1
Description
本発明は、金属パイプ同士をロウ付け接合するための、電磁誘導加熱を行う誘導加熱装置に関するものである。
金属パイプのロウ付けが必要なものとして、例えばエアコンなどの熱交換器が挙げられる。図5に熱交換器の一例を示す。アルミニウム等の熱伝導性の良い金属板を多数積層したプレートフィン4と、プレートフィン4を厚み方向に貫通して配置された銅等の金属パイプからなる複数本のチューブ3aと、チューブ3a同士を接続している、U字又はその他形状の金属パイプからなる継手管3bとで構成されている。チューブ3a内を巡る冷媒は、プレートフィン4により放熱される。
チューブ3aと継手管3bとは、ロウ付けにより接合する場合が多く、ロウ付けに使用するロウ材の加熱手段としては、ガスバーナー加熱の他に、誘導加熱を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
特許文献1における、誘導加熱によるロウ付けの様子を図5に示す。
特許文献1における加熱コイルは、平面視U状でかつ側面視逆U状に曲成されており、加熱コイルの平面視U状の部分を加熱部空間として利用する。これからU字型コイル12と呼ぶ。被加熱体3は、チューブ3aと継手管3bと、チューブ3aと継手管3bの重ね合わせ部に嵌合されたリングロウ3cとで構成される。ロウ付けは、被加熱体3を加熱コイルの加熱部空間に配置した状態で誘導加熱を行うことにより行われる。
また、特許文献2では、図6に示すように、誘導加熱コイルのソレノイド型コイル11を並列に巻き数を増やすように配置することで、加熱効率を向上する取り組みも行われている。図6は、特許文献2における、金属パイプ8の誘導加熱の様子を示している。
しかし、特許文献1における図5で示すようなU字型コイル12を用いて電磁誘導を行った場合、又は、特許文献2における図6で示すようなソレノイド型コイル11を用いて電磁誘導を行った場合、磁力線がパイプ部材の両端部から放出され、コイル外部の広い範囲に漏出する。このため、誘導加熱の効率が大きく低下してしまい、誘導加熱に必要な時間が長くなってしまう問題がある。
これに対して、特許文献3では、図7に示すように、磁気コア9を用いることで、被加熱パイプ部材8の周辺の磁力線を集中させ、磁束6の漏出を低減させている。図7は、特許文献3の金属パイプ8の誘導加熱の様子を示している。ソレノイド型コイル11は、磁気コア9に巻きつける形で形成される。磁気コア9には、空気よりも透磁率が高く、磁束が集中しやすいという材料を用いている。これによって、ソレノイド型加熱コイル11に電流を流して磁束6を発生させると、磁気コア9に磁束6が集中するようになる。磁気コア9の端部に金属パイプ8を近接させることで、金属パイプ8近傍に磁束6が集中するようになり、金属パイプ8の加熱を効率良く行うことができる。
しかしながら、金属パイプのロウ付けの対象として例えばエアコンなどの熱交換器は、昨今の小型化高性能化の要求に伴い、熱交換器コアは小さくなる一方、熱交換器用パイプの数は増え、従って、コアの端部に突出するパイプの間隔は段々と狭まる傾向である。前記文献3のような磁気コア9を用いる構成では、熱交換器のパイプのロウ付けにおいては、パイプ間の間隔が小さすぎてパイプ間への磁気コア9の挿入が不可能になり、単独のパイプもしくはパイプ間の間隔が比較的に広い対象物でないと使用できなくなるので、応用面については大きな課題が残る。
また、加熱プロセスの中で、磁気コア9が加熱と冷却とのサイクルに曝され、磁気コア9が破損もしくは劣化してしまう。磁気コア9に用いられる強磁性材料は、耐熱温度が500度以下のものが多く、これ以上の温度に加熱すると物理的に破損、もしくは磁気特性が劣化してしまうことがある。ロウ付けは500度を超える温度で行われることが多く、磁気コア9もこれに近い温度まで加熱されることとなる。従って、誘導加熱ロウ付けに磁気コア9を用いる際は、磁気コア9の破損もしくは劣化が起こりやすい。このような高温の誘導加熱においては、磁気コア9は消耗品となり、交換の手間やコストがかかるという課題もあった。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、熱交換器などの金属パイプ間のピッチが狭い対象物においても、効率良く誘導加熱可能な誘導加熱装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の誘導加熱装置は以下のように構成する。
本発明の1つの態様によれば、誘導加熱電源と、
被加熱体挿入用隙間を挟んで複数のコイル部が配置され、前記誘導加熱電源から供給される電力によって、前記被加熱体挿入用隙間内に配置した金属パイプ形状の被加熱体を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備え、
前記加熱コイルの各コイル部は、同一平面上に複数回巻回された平面型スパイラル式で構成され、
前記加熱コイルは、前記被加熱体挿入用隙間内に配置された前記被加熱体が、前記加熱コイルの前記複数のコイル部間の中心に配置され、前記加熱コイルの中心線と前記被加熱体の中心線とは直交するように配置されている誘導加熱装置を提供することを特徴とする。
被加熱体挿入用隙間を挟んで複数のコイル部が配置され、前記誘導加熱電源から供給される電力によって、前記被加熱体挿入用隙間内に配置した金属パイプ形状の被加熱体を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備え、
前記加熱コイルの各コイル部は、同一平面上に複数回巻回された平面型スパイラル式で構成され、
前記加熱コイルは、前記被加熱体挿入用隙間内に配置された前記被加熱体が、前記加熱コイルの前記複数のコイル部間の中心に配置され、前記加熱コイルの中心線と前記被加熱体の中心線とは直交するように配置されている誘導加熱装置を提供することを特徴とする。
以上のように、本発明の誘導加熱装置によれば、コンパクトな構造で、加熱体周囲の磁力線を集中することができ、熱交換器などの金属パイプ間のピッチが狭い対象物においても、効率を落とすことが無く、誘導加熱を実現することが出来る。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(構造)
図1に、本発明の1つの実施形態である誘導加熱装置を示す。
図1に、本発明の1つの実施形態である誘導加熱装置を示す。
誘導加熱装置は、誘導加熱コイル1と、誘導加熱電源2とを備えて構成される。ここでは、誘導加熱装置により加熱される被加熱体3の一例として、熱交換器の金属パイプを例示している。熱交換器は、チューブ(金属パイプ)3aと継手管(金属パイプ)3bの端部とリングロウ3cと、プレートフィン4とが組み付けられて構成されている。被加熱体3のうちの誘導加熱装置による接合箇所は、チューブ3aと継手管3bの端部とが連結されて、リングロウ3cが配置されている部分である。よって、熱交換器は、被加熱体3を複数個有するとともに、複数の被加熱体3が並列配置されている。
本発明の実施の形態における誘導加熱装置の熱交換器の複数の被加熱体3の中で一つの被加熱体3を加熱コイル1で加熱する状態の正面図を図2Aに示し、側面図を図2Bに示す。
誘導加熱電源2は、ケーブル5を介して加熱コイル1に電力を供給する。
加熱コイル1は、同一平面上にそれぞれ複数回巻回された左右のコイル部1f,1gを有する平面型スパイラル式で構成されている。すなわち、左右のコイル部1f,1gのそれぞれは、例えば、内巻き部分である内巻きコイル1aの外側に、内巻きコイル1aに続く加熱コイル1の外巻き部分である外巻きコイル1bが配置され、かつ、内巻きコイル1aと外巻きコイル1bとが同一平面上に配置されている。加熱コイル1は、左右のコイル部1f,1g間の被加熱体挿入用隙間1hの中央に被加熱体3が挿入されて、被加熱体3が加熱コイル1の中心に位置可能で被加熱体3の両側に等間隔に左右のコイル部1f,1gが配置され、かつ、加熱コイル1の中心線と被加熱体3の軸方向の中心線とは直交になるように配置されている。
加熱コイル1は、被加熱体3を中心に、左右のコイル部1f,1gの磁束向きが同じ方向になるように、同じ向きに巻回されて構成されている。
(動作)
前記構成の誘導加熱装置は、以下のように動作する。
前記構成の誘導加熱装置は、以下のように動作する。
まず、加熱コイル1を、加熱コイル1の中央の隙間1hに被加熱体3が位置するように配置する。
その後、誘導加熱電源2を通電し、加熱コイル1に電流を通電すると、磁束が発生する。これらの磁束によって、被加熱体3は誘導加熱される。被加熱体3の温度がリングロウ3cの融点を超えると、リングロウ3cは溶融する。リングロウ3cが溶融した後に、誘導加熱電源2の通電を停止する。
その後、リングロウ3cが冷却されることで、リングロウ3cが固まり、被加熱体3を構成するチューブ3aと継手管3bとが接合されることとなる。
(作用)
以下、本発明の実施の形態の作用を、図1を参照しながら、具体的に説明する。
以下、本発明の実施の形態の作用を、図1を参照しながら、具体的に説明する。
まず、誘導加熱電源2から電力が加熱コイル1に供給され、その電流によって磁界が発生する。このとき、発生する磁界は、以下の(式1)のビオサバールの法則に従う。
すなわち、環状導体に近いほど磁界は強く、離れるほど弱くなる。
つまり、磁界の強さは距離に反比例する。
次に、被加熱体3が磁界を受けることにより、誘導起電力が発生する。このとき、誘導起電力は、以下の(式2)のファラデーの電磁誘導の法則に従う。すなわち、磁界が変化するとき、誘導起電力の大きさはその変化率に比例し、その向きは磁界の変化を妨げるような方向で発生する。したがって、(式1)で発生する磁界が大きいほど、磁界の変化も大きくなり、発生する誘導起電力は大きくなる。
次に、誘導起電力により被加熱体3に誘導電流が流れ、被加熱体3の抵抗によりジュール熱が発生し、加熱される。このとき、ジュール熱は、以下の(式3)のジュールの法則に従う。すなわち、誘導起電力が高いほど強く加熱される。
以上に示したように、誘導起電力が高いほど被加熱体3が強く加熱される。また、磁界が大きいほど誘導起電力は大きい。したがって、発生する磁界が大きいほど、加熱が強くなるということがわかる。
そこで、加熱コイル1が被加熱体3近傍に発生させる磁界の強さを考え、被加熱体3がどのように誘導加熱されるのかについて説明する。また、本実施形態の効果を示すために、特許文献2での従来の加熱コイルであるソレノイド型コイルを用いた誘導加熱についても説明する。これ以降、従来の加熱コイルをソレノイド型コイル11と呼ぶ。
加熱コイル1が形成する磁界について説明するために、図3Aに本実施形態における断面概略図を示す。加熱コイル1の左右のコイル部1f,1gのそれぞれの内巻き部分を内巻きコイル1aとし、加熱コイル1の左右のコイル部1f,1gのそれぞれの外巻き部分を外巻きコイル1bとする。外巻きコイル1bは内巻きコイル1aに連続して巻回されている。ここで、加熱コイル1を形成する金属パイプ1iと、被加熱体3を簡略化して図示した被加熱体38との距離を、加熱コイル1と被加熱体38の距離100とする。
加熱コイル1に電流を流すと、図3Aの断面に電流が鎖交する。図3Aから、この断面には電流が8箇所鎖交することがわかる。図3Aに示すように、被加熱体38の上部を加熱する4本の金属パイプ1iと、被加熱体38の下部を加熱する4本の金属パイプ1iとでは、電流の向きが逆になっている。
これらの電流は、(式1)にしたがってそれぞれ磁界を形成する。これらの磁界によって誘導加熱が行われることとなる。
一方、従来のソレノイド型コイル11を用いた加熱について説明する。このときの断面概略図を図3Bに示す。図3Bの断面において、ソレノイド型コイル11は、距離の異なる2つのコイルに分けて考えることができる。被加熱体38に近接したコイルを内側加熱コイル11a、内側加熱コイル11aよりも被加熱体38から離れた位置にあるコイルを外側加熱コイル11bと呼ぶことにする。
内側加熱コイル11aと被加熱体38との距離を103として図3Bに示す。また、外側加熱コイル11bと被加熱体38の距離を104として図3Bに示す。なお、内側加熱コイル11aと被加熱体38の距離103は、図3Aの加熱コイル1と被加熱体38との距離100と等しい距離とする。
ソレノイド型コイル11に電流を流すと、図3Bの断面に電流が鎖交する。図3Bから、この断面に電流が8箇所鎖交することがわかる。
これらの電流は、(式1)にしがってそれぞれ磁界を形成する。これらの磁界によって、誘導加熱が行われることとなる。
図3Aに示した本実施形態と、図3Bに示した従来のコイルを用いた誘導加熱において、両者の距離の関係をまとめると、(式4)のようになる。
加熱コイルと被加熱体の距離100=内側加熱コイルと被加熱体の距離103<外側加熱コイルと被加熱体の距離104
.............. (式4)
本実施形態における加熱コイル1を用いた場合の誘導加熱と、ソレノイド型コイル11を用いた誘導加熱とを比較する。
.............. (式4)
本実施形態における加熱コイル1を用いた場合の誘導加熱と、ソレノイド型コイル11を用いた誘導加熱とを比較する。
まず、それぞれの加熱コイルが発生させる磁界について比較をする。
図3Aに示す本実施形態では、外巻きコイル1bと内巻きコイル1aとのそれぞれの電流は、加熱コイル1と被加熱体38との距離100の距離だけ被加熱体38から離れている。(式1)から磁界の強さは電流からの距離によって決定されるため、それぞれの電流が被加熱体38に形成する磁界の大きさは同じとなる。
つまり、加熱コイル1において、
外巻きコイル1bが形成する磁界=内巻きコイル1aが形成する磁界
となる。
外巻きコイル1bが形成する磁界=内巻きコイル1aが形成する磁界
となる。
図3Bに示すソレノイド型コイル11を用いた誘導加熱では、内側の電流と外側の電流とで、被加熱体38との距離が異なる。外側加熱コイル11bと被加熱体38との距離104は、内側加熱コイル11aと被加熱体38との距離103よりも大きい。(式1)により、磁界の強さは距離に反比例することから、外側加熱コイル11bの形成する磁界は、内側加熱コイル11aの形成する磁界よりも小さい。
つまり、ソレノイド型コイル11において、
内側コイル11aの形成する磁界>外側コイル11bの形成する磁界
となる。
内側コイル11aの形成する磁界>外側コイル11bの形成する磁界
となる。
また、加熱コイル1の外巻きコイル1bとソレノイド型コイル11の内側コイル11aの形成する磁界を比較してみると、
外巻きコイル1bと被加熱体38との距離100と、内側加熱コイル11aと被加熱体38との距離103とは等しいため、(式1)より加熱コイル1の外巻きコイル1bとソレノイド型コイル11の内側コイル11aが被加熱体38近傍に形成する磁界は等しくなる。
外巻きコイル1bと被加熱体38との距離100と、内側加熱コイル11aと被加熱体38との距離103とは等しいため、(式1)より加熱コイル1の外巻きコイル1bとソレノイド型コイル11の内側コイル11aが被加熱体38近傍に形成する磁界は等しくなる。
つまり、加熱コイル1とソレノイド型コイル11とにおいて、
加熱コイル1の外巻きコイル1bの形成する磁界=加熱コイル11の内側コイル11aの形成する磁界
となる。
加熱コイル1の外巻きコイル1bの形成する磁界=加熱コイル11の内側コイル11aの形成する磁界
となる。
また、加熱コイル1の内巻きコイル1aとソレノイド型コイル11の外側コイル11bとの形成する磁界を比較してみると、
内巻きコイル1aと被加熱体38との距離100は、外側コイル11bと被加熱体38との距離104よりも小さい。(式1)より、磁界の強さは距離に反比例することから、加熱コイル1の内巻きコイル1aが被加熱体38近傍に形成する磁界はソレノイド型コイル11の外側コイル11bが被加熱体38近傍に形成する磁界に比べて、大きい。
内巻きコイル1aと被加熱体38との距離100は、外側コイル11bと被加熱体38との距離104よりも小さい。(式1)より、磁界の強さは距離に反比例することから、加熱コイル1の内巻きコイル1aが被加熱体38近傍に形成する磁界はソレノイド型コイル11の外側コイル11bが被加熱体38近傍に形成する磁界に比べて、大きい。
つまり、加熱コイル1とソレノイド型コイル11とにおいて、
加熱コイル1の内巻きコイル1aの形成する磁界>ソレノイド型コイル11の外側コイル11bの形成する磁界
となる。
加熱コイル1の内巻きコイル1aの形成する磁界>ソレノイド型コイル11の外側コイル11bの形成する磁界
となる。
以上をまとめると、(式5)のようになる。
加熱コイル1が形成する磁界=内巻きコイル1aが形成する磁界+外巻きコイル1bが形成する磁界とソレノイド型コイル11が形成する磁界=内側加熱コイル11aが形成する磁界+外側コイル11bが形成する磁界において
加熱コイル1が形成する磁界>ソレノイド型コイル11が形成する磁界となる。
.............. (式5)
次に、上述の磁界の関係から、それぞれのコイルが被加熱体38に与えるジュール熱を比較する。
加熱コイル1が形成する磁界>ソレノイド型コイル11が形成する磁界となる。
.............. (式5)
次に、上述の磁界の関係から、それぞれのコイルが被加熱体38に与えるジュール熱を比較する。
上述したように、発生する磁界が大きいほど加熱が強くなる。したがって、本実施形態における加熱コイル1の被加熱体38に与えるジュール熱は、ソレノイド型コイル11のほうが被加熱体38に与えるジュール熱に比べて大きくなる。
つまり、
加熱コイル1が被加熱体38に与えるジュール熱>ソレノイド型コイル11が被加熱体38に与えるジュール熱
となる。
加熱コイル1が被加熱体38に与えるジュール熱>ソレノイド型コイル11が被加熱体38に与えるジュール熱
となる。
最後に、本実施形態での加熱コイル1とソレノイド型コイル11で、被加熱体38の加熱について比較を行う。
本実施形態では、図3Aの断面に示すように8箇所の電流から被加熱体38にジュール熱を与える。被加熱体38は、これらのジュール熱の足し合わせた分だけ温度上昇する。
従来のコイル11においては、図3Bの断面に示すように、4箇所の内側コイル11aと4箇所の外側コイル11bとから被加熱体38にジュール熱を与える。被加熱体38は、これらのジュール熱を足し合わした分だけ温度上昇する。
外側コイル11bから被加熱体38に供給されるジュール熱は、他の2つと比べて小さい。したがって、本実施形態の方が、ソレノイド型コイル11を用いた誘導加熱よりも多くのジュール熱を供給することになり、温度上昇も大きい。
以上から、本実施形態の方が、従来のコイル11を用いた誘導加熱よりも加熱効率が良いことがわかる。
上記のように、ビオサバールの法則により、加熱コイルは導体に近いほど磁界は強く、離れるほど弱くなる。
本実施形態の誘導加熱装置では、加熱コイル1の被加熱体3に対する配置が最も近くなるように、加熱コイル1の左右のコイル部1f,1gは、それぞれ、1つの平面上でコイルを渦巻き状に巻いてスパイラルコイルを形成している。このように構成することによって、被加熱体3への磁力線の分布が強くなり、被加熱体3に発生する誘導起電力も大きくなるので、ジュールの法則によって、加熱効率が良くなる。
被加熱体3を中心に加熱コイル1の左右のコイル部1f,1gは、被加熱体3の左右に配置され、また、左右のコイル部1f,1gの巻き方向は同じ方向になるように形成されている。被加熱体3を中心に加熱コイル1の左右のコイル部1f,1gの巻き方向が左右同じ方向であることによって、被加熱体3の加熱部での誘導起電力は、お互いに強め合う効果があり、より加熱効率を向上させることが出来る。
また、被加熱体3を含む熱交換器の周辺部材、例えば、隣接のパイプとの距離が従来のソレノイドコイル11に比べて遠くなるため、隣接パイプまで加熱してしまうなどの品質不良などを防ぐことが出来る。
また、熱交換器の周辺部材、例えば、プレートフィン4と接近するコイルとの距離が、従来のソレノイドコイル11の場合は巻き数分であったのに比べて、加熱コイル1は平面になるので少なく済む。プレートフィン4が漏れ磁束により、加熱されてしまう品質不良を防ぐことが出来る。
以上、加熱コイル1は、平面型でコンパクトな構成で、加熱効率は従来のソレノイドコイルより、加熱効率が向上できることが分かる。それによって、熱交換器のパイプのロウ付けなど狭ピッチの領域でも効率良く加熱することが出来る上に、さらに幅広い微細領域での加熱などへの展開も期待できる。
なお、加熱コイル1の左右のコイル部1f,1gのそれぞれは、図4A及び図4Bに示すように、複数個(図4Aでは2個ずつ)を並列に並べて接続するようにしてもよい。以下、加熱コイル1のコイル部1f,1gを、それぞれ複数個並列に接続したコイルを並列接続型加熱コイル10と呼ぶ。
並列接続型加熱コイル10は、並列の数を増やせば、磁束密度も大きくなることが出来る。
隣接する被加熱体3間の間隔に挿入可能な数だけ、コイル部1f,1gの並列数を調整することができ、従来のコイルの巻く数を増やすことが出来ず、電流値を増大させることしか出来なかった場合においても、電流量を過剰に増大させることなく、高効率で誘導加熱を実現可能とする。
前記実施形態によれば、平面型スパイラルコイルはコイルの中心である渦巻きの中心部に磁力線を集中させ、被加熱体3の加熱部であるロウ付け部分に磁力線が綿密になり、電磁加熱効率が高く、高効率で加熱することが可能となる。また、平面型であることによって、狭い間隔のパイプの加熱においても、挿入可能となる。
なお、上記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明の誘導加熱装置は、平面型のコンパクトなコイル構造で加熱体周囲の磁力線を集中することができ、エアコンなどに用いられている熱交換器などの金属パイプ間のピッチが狭い対象物においても、効率を落とすことが無く、誘導加熱を実現することが出来る。また、本発明の誘導加熱装置は、金属パイプの焼入れ等の金属パイプの加熱の用途にも適用できる。
1 加熱コイル
1a 内巻きコイル
1b 外巻きコイル
1f,1g 左右のコイル部
1h 隙間
1i 金属パイプ
2 誘導加熱電源
3 被加熱体
3a チューブ
3b 継手管
3c リングロウ
4 プレートフィン
5 リード線
8 金属パイプ
9 磁気コア
10 並列接続型加熱コイル
11 ソレノイド型コイル
11a 内側コイル
11b 外側コイル
12 U字型コイル
38 被加熱体
100 加熱コイルと被加熱体までの距離
103 加熱コイルと内側コイルと被加熱体までの距離
104 加熱コイルの外側コイルと被加熱体までの距離
1a 内巻きコイル
1b 外巻きコイル
1f,1g 左右のコイル部
1h 隙間
1i 金属パイプ
2 誘導加熱電源
3 被加熱体
3a チューブ
3b 継手管
3c リングロウ
4 プレートフィン
5 リード線
8 金属パイプ
9 磁気コア
10 並列接続型加熱コイル
11 ソレノイド型コイル
11a 内側コイル
11b 外側コイル
12 U字型コイル
38 被加熱体
100 加熱コイルと被加熱体までの距離
103 加熱コイルと内側コイルと被加熱体までの距離
104 加熱コイルの外側コイルと被加熱体までの距離
Claims (3)
- 誘導加熱電源と、
被加熱体挿入用隙間を挟んで複数のコイル部が配置され、前記誘導加熱電源から供給される電力によって、前記被加熱体挿入用隙間内に配置した金属パイプ形状の被加熱体を誘導加熱する誘導加熱コイルとを備え、
前記加熱コイルの各コイル部は、同一平面上に複数回巻回された平面型スパイラル式で構成され、
前記加熱コイルは、前記被加熱体挿入用隙間内に配置された前記被加熱体が、前記加熱コイルの前記複数のコイル部間の中心に配置され、前記加熱コイルの中心線と前記被加熱体の中心線とは直交するように配置されている誘導加熱装置。 - 前記加熱コイルは、前記被加熱体を中心に前記複数のコイル部の磁束向きが同じ方向になるように、同じ向きに巻回されている請求項1に記載された誘導加熱装置。
- 前記加熱コイルは、前記被加熱体挿入用隙間の両側に、それぞれ、複数のコイル部が並列接続されて構成されている請求項1又は請求項2に記載された誘導加熱装置。
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Cited By (1)
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- 2013-06-10 JP JP2013121665A patent/JP2014238995A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101707848B1 (ko) * | 2016-10-17 | 2017-02-27 | 주식회사 에너테크 | 자기유도가열기 |
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