JP2012255109A - サラシア属植物成分含有透明固形石鹸 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 サラシア属植物の抽出エキス及び/又はその微粉砕物を含有したことを特徴とする透明固形石鹸であり、特に、サラシア属植物の抽出エキス及び/又はその微粉砕物が、サラシア属植物の葉、幹、根のうち少なくとも一種類の抽出エキス及び/又はその微粉砕物であり、石油系界面活性剤、鉱物油、旧表示指定成分、防腐剤、合成香料並びに合成色素を含まない石鹸素材からなる透明固形石鹸である。
【選択図】 なし
Description
この様な透明固形石鹸は、一般的な非透明の固形石鹸と同様に、牛脂やヤシ油などの原料油脂をカセイソーダでケン化して得られる脂肪酸石鹸を主成分としているが、それに加えてグリセリン、砂糖などの透明化剤が配合されている。
例えば、酸化防止剤のエデト酸やエデト塩;防腐剤のパラベン、安息香酸、クロルキシレノール;紫外線吸収作用を持つオキシベンゾン;保湿剤のポリエチレングリコール;界面活性剤の塩化ステアリルトリメチルアンモニウムや、N−アルシン−L−グルダミン酸塩などが知られている。
石鹸は、その界面活性作用によって身体の汚れを石鹸水に溶かして落とすが、それと同時に、泡には、汚れを身体から吸い出すようにはがし取り、包み込む作用がある。したがって、洗顔や身体洗いでは、洗浄時に生じた泡が汚れを浮かせ、汚れを含んだ泡ごと洗い流して洗浄している。
さらに、泡は空気を含んでいるのでクッション性がある。とくに、整髪の際に充分泡立てるのは、泡の持つクッション性で髪の毛同士が擦れあうのを防ぎ、摩擦によるダメージから髪を守るためである。また、顔や身体も泡で包み込むように洗うと、泡の作用によって摩擦による肌への刺激が少なくてすむ。この作用は、石鹸の使用感をさらに高めることになる。
このように石鹸の泡は、石鹸の洗浄力と使用感を高めるために非常に重要であるが、泡そのものにも、安定性がよく消えにくい泡、細かい泡、厚みのある泡、肌になじみやすい泡など、ずいぶん違いがある。
そのため、石鹸の泡立ちをよくするための試みがなされている。例えば、重曹に酸、糖、塩を加えることによって、発生する二酸化炭素を利用した泡立ち豊かな石鹸(特許文献8)や、使用時に石鹸を入れてその泡立てをよくする袋(特許文献9)などがある。また、前述したように植物エキスを添加して使用感を高める試みもなされている。さらには、植物エキス含有の造粒物を調製して石鹸に含有せしめる試み(特許文献7)もある。
本発明が提供する透明固形石鹸は、安全・安心を望む現在の社会的背景から、石鹸製造に用いる素材として合成の素材や石油系の素材を使うことなく、天然素材の使用が好まれる社会ニーズにマッチするものである。特に、肌に優しく、アレルギー症状を惹起させない透明固形石鹸が提供されることで、その効果は多大なものでる。
サラシア属植物には多くの種類が知られているが、とくに、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)とサラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とが現地では珍重されている。スリランカに生育しているサラシア・レティキュラータはとくに効能が強いということで、現地ではコタラヒムブツと呼ばれて愛用されている。
抽出溶媒は両親媒性の有機溶媒であればよいが、とくに好ましくは30〜70%のエチルアルコール水溶液あるいはアセトン水溶液である。
基剤として使用される脂肪酸石鹸は、通常の方法に従って鹸化することにより得ることができる。
本発明の脂肪酸石鹸の原料成分としては固形石鹸に通常使用されるもの、例えば、牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベへン酸、牛脂、豚脂、パーム油(やし油)、パーム核油、ヤシ油、ヒマシ油、大豆油、綿実油、ナタネ油、ヒマワリ油、オリーブ油、月桂樹オイル、椿オイル、ココナッツオイル、グレープシードオイル、キャノーラ・オイル(菜種油)、ホワイト・オイル(白油)、蜜蝋などの動植物油、および水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、有機アミン等のアルカリが挙げられる。
さらに、本発明の透明固形石鹸には、必要に応じて日焼け止め、皮膚アレルギー抑制作用をはじめ肌に良いと考えられる成分を使用することができる。
以下の工程に従って、サラシア・レティキュラータ(コタラヒムブツ)の幹からの熱水抽出を行い、抽出エキスを取得した。
抽出エキスは、緑黄色でわずかに芳香を有しており、固形物含量は約3%であった。
すなわち、サラシア・レティキュラータ(コタラヒムブツ)の幹を粉砕し、9倍量の水を加えて、90℃にて2時間加熱して、熱水抽出を行った。熱水抽出処理後、濾過し、抽出エキスを得た。
以下の工程に従って、サラシア・レティキュラータ(コタラヒムブツ)の幹の微粉砕を行い、微粉砕物を取得した。微粉砕物は、灰白色でわずかに芳香を有しており、柔らかい肌触りであった。
すなわち、サラシア・レティキュラータ幹を、80℃にて24時間乾燥し、乾燥物を荒粉砕した。荒粉砕物を、更に微粉砕し、篩過処理(20μm以上カット/5μm以上カット)をし、微粉砕物(直径:5〜20μm)を得た。
以下の配合(重量比)に従って、サラシア属植物(コタラヒムブツ)抽出エキス含有する透明固形石鹸を製造した。
石鹸素地(ヤシ油、パーム油、オリーブ油) 41.5
精製水 20.0
エチルアルコール 20.0
スクロース 9.0
グリセリン 2.0
サラシア属植物(コタラヒムブツ)抽出エキス 2.0
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 5.0
天然保湿剤 0.5
金属イオン封鎖剤 少 量
以下の配合(重量比)に従って、サラシア属植物(コタラヒムブツ)抽出エキスおよび微粉砕物を含有する黒色透明固形石鹸を製造した。
石鹸素地(ヤシ油、パーム油、オリーブ油) 41.5
精製水 20.0
エチルアルコール 20.0
スクロース 5.0
グリセリン 2.0
サラシア属植物(コタラヒムブツ)抽出エキス 2.0
サラシア属植物(コタラヒムブツ)微粉末 0.8
ラウロイルグルタミン酸ナトリウム 4.2
黒砂糖 3.0
カラメル 1.0
天然保湿剤 0.5
金属イオン封鎖剤 少 量
実施例4の配合比で製造した黒色透明固形石鹸の使用評価を行った。
通常の石鹸と同様に、タオルに石鹸を塗布後、使用に供した。タオルで身体を擦るに従って、キメの細かい泡の生成が見られた。泡はしっかりしており、肌へのなじみがよく、そのために擦れば擦るほど、細かい泡が生成して身体を包み、生成した泡の厚い層を形成した。洗浄後、湯をかけると、泡は速やかに溶出し、さっぱりした触感が得られた。
比較例として、サラシア属植物を含有していない同処方の透明固形石鹸を用いたが、このような泡立ちは見られなかった。
サラシア属植物(コタラヒムブツ)抽出エキスおよび微粉末含有黒色透明固形石鹸の泡立ち特性はかって経験したことのない泡立ちのよさを示した。
実施例3で示した処方に従って製造した透明固形石鹸と、比較例として同じ処方でサラシア属植物エキスを添加しない配合の透明固形石鹸について、常温で6ヶ月間保存し、調製後の品質と比較することにより、透明性、色安定性、固形安定性、匂い安定性を評価した。
評価に当たっては、調整時とまったく差がない場合は○、調製時に比べて透明性、色調、固形性、匂いが劣っている場合には×で示した。
また、使用に当たって、実施例3の製品とサラシア属植物エキスを含まない同処方の製品(比較例)についての比較を行った。
両者を比べて優れている方を○、劣っている方を×で示した。
得られた結果を下記表1に示した。
実施例4で示した処方に従って製造した黒色透明固形石鹸(実施例)と、比較としてでサラシア属植物抽出エキスおよび微粉砕物を添加しない同処方の黒色透明固形石鹸(比較例)とをそれぞれ常温で6ヶ月間保存し、調製直後の品質と比較することにより、透明性、色安定性、固形安定性、匂い安定性を評価した。
評価に当たっては、調整時とまったく差がない場合は○、調製時に比べて透明性、色調、固形性、匂いが劣っている場合には×で示した。
また、使用に当たっては、6ヶ月保存後の実施例4の製品と、比較例の製品についての比較を行った。
両者を比べて優れている方を○、劣っている方を×で示した。
得られた結果を、下記表2に示した。
本発明により提供される透明固形石鹸は、素材の安全性を望む現在の社会的背景から、石鹸製造に用いる素材として合成の素材や石油系の素材を使うことなく、天然素材の使用が好まれる社会ニーズにマッチするものである。特に、肌に優しい透明固形石鹸が提供され、アレルギー症状を起こすものではなく、その産業上の利用性は多大なものでる。
Claims (3)
- サラシア属植物の抽出エキス及び/又はその微粉砕物を含有したことを特徴とする透明固形石鹸。
- サラシア属植物の抽出エキス及び/又はその微粉砕物が、サラシア属植物の葉、幹、根のうち少なくとも一種類の抽出エキス及び/又はその微粉砕物である請求項1に記載の透明固形石鹸。
- 石油系界面活性剤、鉱物油、旧表示指定成分、防腐剤、合成香料並びに合成色素を含まない石鹸素材からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明固形石鹸。
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