JP2012254913A - 複合圧電セラミックスおよび圧電素子 - Google Patents

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【課題】 チタン酸バリウム(BaTiO)はキュリー温度(Tc)が約120℃と低いため、チタン酸バリウム(BaTiO)のみからなる圧電セラミックスは、使用温度が100℃以下に限定されてしまうという問題がある。また、これまで提案されているチタン酸バリウム(BaTiO)と他の成分との固溶体は、鉛(Pb)系の材料に比べて圧電特性が低く、十分に大きな発生変位量を得ることができない。このため、鉛(Pb)を含まない材料で構成され、十分に優れた圧電特性を有する圧電セラミックスおよびその製造方法が求められている。
【解決手段】チタン酸バリウム(BaTiO)結晶粒子成形体表面に、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種から構成されるヘテロエピタキシャル成長膜を有することを特徴とする複合圧電セラミックスを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複合圧電セラミックスおよび圧電素子に関するものである。
電界を加えると機械的な歪み及び応力を発生する、いわゆる圧電現象を示す圧電セラミックスが知られている。このような圧電セラミックスは、アクチュエータや圧電ブザー、発音体、センサ、などの各種圧電素子に用いられている。また、最近では振動発電にも利用されている。
圧電セラミックスを利用したアクチュエータは、微量な変位を高精度に得ることができると共に、発生応力が大きい等の特徴を有しており、例えば、精密工作機械や光学装置の位置決めに用いられている。アクチュエータに用いられる圧電セラミックスとしては、優れた圧電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が最も多く利用されている。しかし、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は鉛を多く含んでいるので、最近では、酸性雨による鉛(Pb)の溶出など地球環境に及ぼす影響が懸念されている。そこで、チタン酸ジルコン酸鉛に代わる、鉛(Pb)の量が十分に低減された圧電セラミックスの材料が求められている。かかる要求に応じて、鉛(Pb)を含有しない様々な圧電セラミックスの材料が提案されている。
鉛を含有しない圧電セラミックスの材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO)が知られている。そして、このチタン酸バリウム(BaTiO)の圧電特性を改善するために、チタン酸バリウム(BaTiO)と他の成分とが固溶した圧電セラミックスの材料が提案されている。例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)−ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)などの3成分系の固溶体が提案されている(特許文献1参照)。
複数の成分が固溶している圧電セラミックス用の固溶体は、圧電性を示す結晶構造の相境界(MPB)、例えば、正方晶と斜方晶との相境界において高い圧電特性を示すことが一般的に知られている。このため、2成分系や3成分系の固溶体では、これらの結晶構造の相境界付近での組成が精力的に研究されている。
例えば、ニオブ酸カリウム(KNbO)とチタン酸バリウム(BaTiO)の2成分が系の固溶した固溶体を主成分として含有し、2成分の合計に対する前記ニオブ酸カリウム(KNbO)のモル比率が0.5〜0.9である圧電セラミックスが開示されている(特許文献2参照)。
特開2003−252681号公報 特開2009−227482号公報
チタン酸バリウム(BaTiO)はキュリー温度(Tc)が約120℃と低いため、チタン酸バリウム(BaTiO)のみからなる圧電セラミックスは、使用温度が100℃以下に限定されてしまうという問題がある。また、これまで提案されているチタン酸バリウム(BaTiO)と他の成分との固溶体は、鉛(Pb)系の材料に比べて圧電特性が低く、十分に大きな発生変位量を得ることができない。このため、鉛(Pb)を含まない材料で構成され、十分に優れた圧電特性を有する圧電セラミックスおよびその製造方法が求められている。
従来のチタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)系圧電セラミックスでは、圧電特性が十分でないことはもちろん、焼成可能な温度領域が非常に狭く(10−25℃)、製造が困難であるという問題点がある。焼成温度が低い場合は焼結せず圧電特性が発現しなく、焼成温度が高い場合には、カリウム(K)等が蒸発するため組成変動が生じ、結果として圧電特性が低下する。したがって、我々はこのような材料を製造することが困難であるという問題点を解決しなければならない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、鉛(Pb)を使用することなく、従来の固溶体に用いられた場合と比べ、少ない量でも圧電セラミックスの特性を満足し、しかも成形体を300℃以下の低温で容易に製造することが可能である、圧電セラミックス及び圧電素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは、チタン酸バリウム(BaTiO)とニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種から構成されるヘテロエピタキシャル成長膜を有することにより、チタン酸バリウム(BaTiO)系においても、優れた圧電特性を示す圧電セラミックスを見出した。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る圧電セラミックスはチタン酸バリウム(BaTiO)結晶粒子成形体表面に、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種から構成されるヘテロエピタキシャル成長膜を有することを特徴とする。
本発明の複合セラミックスはヘテロエピタキシャル成長膜を構成するニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種の化合物のモル比率が、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)の合計に対し、0.05〜0.6であることを特徴とする。
また、本発明の複合圧電セラミックスは、チタン酸バリウム(BaTiO)を加圧成形して得られたチタン酸バリウム(BaTiO)結晶粒子成形体表面に、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種から形成されたヘテロエピタキシャル成長膜を有することを特徴とする。
本発明は、前記請求項1乃至請求項3に記載された一対の電極と、該一対の電極の間に前記複合圧電セラミックスを用いる事を特徴とする圧電素子である。
本発明は、前記請求項1乃至請求項3記載の圧電セラミックスと内部電極とを交互に積層され構成される素体と、該素体を挟むように該素体の両端面にそれぞれ端子電極が設けられ、前記内部電極と電気的に接続されている一対の該端子電極とを備えることを特徴とする圧電素子である。
本発明では、チタン酸バリウム(BaTiO)結晶粒子成形体に、異なる化学組成の酸化物をエピタキシャル成長させることにより、鉛(Pb)を使用しなくても優れた圧電特性を示す圧電セラミックスを備える圧電素子を提供する事ができる。また焼成温度が300℃以下の低温で製造することが可能である。
本発明の圧電素子の一実施形態を示す斜視図である。 本発明のヘテロエピタキシャル界面を示すX線回折であり、表1実施例4の説明図である。 本発明の反応の進行を示すラメール図である。 本発明のヘテロエピタキシャル界面を示すX線回折であり、表1比較例1の説明図である。 本発明のヘテロエピタキシャル界面を示すSTEM−EDS画像であり、表1実施例4の説明図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1は本発明の圧電素子の一実施形態を示す斜視図である。圧電素子4は、圧電セラミックス1と、この圧電セラミックス1の対向する一対の面上にそれぞれ設けられた一対の電極2,3とを備えている。
圧電セラミックス1は、例えば、厚さ方向、すなわち一対の電極2,3が対向する方向に分極されており、電極2,3を介して電圧が印加されることにより、厚み方向に縦振動および径方向に広がり振動することができる。電極2,3は、例えば、金(Au)などの金属により構成されている。電極2,3には、ワイヤなどを介して外部電源と電気的に接続することができる(図示しない)。
圧電セラミックス1は、チタン酸バリウム(BaTiO)結晶粒子成形体表面に、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種の化合物であるヘテロエピタキシャル成長膜を有し、組成としては一般式(1)のように表すことができる。
x(KNbO3,NaNbOのうち少なくとも一種)−(1−x)BaTiO (1)
上記一般式(1)は、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種とチタン酸バリウム(BaTiO)とがx:(1−x)の比率で存在することを示している。本実施形態では、上記xは0.05〜0.6である。
すなわち、圧電セラミックス1は、複合酸化物であるチタン酸バリウム(BaTiO)とニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種とチタン酸バリウム(BaTiO)である複合セラミックスを主成分として含有しており、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)の合計に対するニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)の少なくとも一種の化合物のモル比率(x)は0.05〜0.6である。
当該モル比率は、0.05〜0.4であることが好ましく、0.05〜0.3であることが好ましい。
当該モル比率を0.1〜0.25とすることによって、圧電特性に一層優れる圧電セラミックスを得ることができる。
上記一般式(1)で表わされる、ニオブ(Nb)の一部がタンタル(Ta)で、チタン(Ti)の一部がジルコニウム(Zr)及び/又はハフニウム(Hf)で、バリウム(Ba)の一部がマグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ストロンチウム(Sr)で置換されていてもよい。
圧電セラミックス1の結晶構造は、例えば、X線回折等で測定することができる。
チタン酸バリウム(BaTiO)結晶粒子成形体のX線回折(XRD)測定を行い、ソルボサーマル反応前後での変化を確認することができる。特に(200)、(002)面のピークは反応前後で変化があり、乾燥後の単結晶粉末成形体はアルキメデス法で密度を測定するとともに、X線回折(XRD)装置により標準的な測定条件でX線回折測定を行い、(200)、(002)面に注目してそのピークの形状を確認する。ピークの形状によりチタン酸バリウム(BaTiO)の結晶粒子成形体のまわりに、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)の少なくとも一種の化合物が薄くヘテロエピタキシャル成長したかどうかを確認することできる(図2)。図2の反応後の歪んだピークは、BaTiOの周りにニオブ酸カリウム(KNbO)やニオブ酸ナトリウム(NaNbO)の少なくとも一種の化合物がヘテロエピタキシャル成長することにより、チタン酸バリウム(BaTiO)の正方晶のピークと、その表面に成長したニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)等の正方晶または斜方晶のピークが重なったためであると考えられる。
走査型透過電子顕微鏡(STEM−EDS)を使用して、EDSによる元素マッピングを行った結果、図5に示すようにチタン酸バリウム(BaTiO)を核とし、核の周りを覆うようにニオブ酸カリウム(KNbO)が形成されていることを確認した。
圧電セラミックス1の相対密度は30%以上であることが好ましい。圧電発電素子を考えた場合は、相対密度が通常の圧電セラミックス比べて低くすることで大きな発電量を得ることができるからである。一方でアクチュエータのような圧電セラミックスの場合は、圧電セラミックス1の相対密度は90%以上であることが好ましい。なお、圧電セラミックス1の相対密度は、アルキメデス法によって測定することができる。圧電セラミックス1の相対密度は、結晶粒子成形体の密度(バインダ種、バインダ量、成形圧力等)、ソルボサーマル反応の条件(濃度、反応温度、反応時間等)で調整することができる。
圧電セラミックス1は副成分として、マンガン(Mn)酸化物などのマンガンマンガン(Mn)化合物や銅(Cu)酸化物などの銅(Cu)化合物を含んでいてもよい。
Mn化合物や銅(Cu)化合物を含むことによって、圧電セラミックス1の機械的品質係数(Qm)を向上させることができる。
圧電セラミックス1は鉛(Pb)を含んでいてもよいが、その含有量は1質量%以下であることが好ましく、鉛(Pb)を全く含んでいないことがより好ましい。
鉛(Pb)の含有量が十分に低減された圧電セラミックスは、焼成時における鉛の揮発、および圧電素子などの圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛(Pb)の放出を最小限に抑制することができる。
このような圧電セラミックス1は、例えば、圧電素子である圧電発電素子、アクチュエータなどの振動素子、発音体またはセンサなどの材料として好ましく用いることができる。
次に図1に示す圧電素子4の製造方法について以下に説明する。
まず、圧電セラミックス1の主成分の原料として、例えば、水熱合成法等で得られたチタン酸バリウム(BaTiO)単結晶粉末を準備して充分乾燥させ、バインダを加えた有機溶媒中で混合した後、乾燥し、ディスク状に成形を行った。ディスク状に成形されたチタン酸バリウム(BaTiO)成形体を、500℃〜800℃で2〜12時間脱バインダを行い単結晶粉末成形体とした。
フッ素樹脂容器中に、溶媒と所定量の水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム(KCO)、五酸化ニオブ(Nb)等を入れてよく攪拌し、その中にチタン酸バリウム(BaTiO)単結晶粉末成形体を入れ、オートクレーブ中で170℃〜250℃で2〜24時間反応させた(ソルボサーマル法)。反応後、単結晶粉末成形体をエタノールおよび純水で洗浄して150℃〜300℃で乾燥させてチタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)セラミックスとした。
前述のソルボサーマル法とは、溶媒に有機溶媒を用い、高圧下で反応させる方法であり、この方法では300℃以下の低温で合成が可能であり、これにより固溶を抑制したセラミックスが作製可能である。ソルボサーマル法ではヘテロエピタキシャル成長で形成された1つの相の周りに格子が連続したまま別種の相を成長させる方法がある。これによりヘテロエピタキシャルな界面を持つセラミックスの作製を行うことが可能である。本件は、ソルボサーマル法に限定されるのでなく、その他の製造方法としては、一般的な水熱合成法でもよい。
図3は、反応の進行に関するラメール図である。図3は温度を横軸にとったものである。臨界過飽和曲線を超えることで核が生成するようになり、準安定領域では核生成が起こらず、核成長のみが起こる。まずニオブ酸カリウム(KNbO)が生成する条件、準安定領域の条件を調べて、チタン酸バリウム(BaTiO)を核としてヘテロエピタキシャル成長させて人工的なヘテロエピタキシャル界面(MPB構造)を持つセラミックスを作製することが可能となる。
次に、得られた圧電セラミックスを、必要に応じて加工して、焼結体の一対の面上に電極2,3を設け、加熱したシリコーンオイル中で電界を印加して分極処理を行う。これにより、図1に示す圧電セラミックス1、及び圧電セラミックス1と該圧電セラミックス1を挟むように設けられる電極2,3とを備える圧電素子4を得る事ができる。電極2,3は、銀(Ag)などのペーストを塗布した後、乾燥し、焼成することによって形成することができる。
(実施例1〜5)
<チタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)セラミックスの作製>
堺化学工業製水熱合成チタン酸バリウム(BaTiO)を準備してよく乾燥させ、エチルアルコールにポリビニルブチラールを溶解させたバインダを加えてフッ素加工された樹脂製容器にジルコニアボール(φ3mm)とともに入れて16時間混合した。
混合したスラリーはジルコニアボールと分離してフッ素樹脂シート上に移し、80℃に設定した乾燥機の中に入れて乾燥を行った。乾燥後、固まった試料を乳鉢、乳棒で粉砕し、目開き250μmの篩で分級を行った。分級後の粉末約0.5gを秤量し直径10mmの金型で油圧プレスを用いて2tonの圧力でディスク状に成形を行った。ディスク状に成形されたチタン酸バリウム(BaTiO)成形体を700℃で10時間脱バインダを行い単結晶粉末成形体とした。
内容量25mlのフッ素樹脂容器中に、溶媒となるエチルアルコール10ml、および表1に示す所定量の水酸化カリウム(KOH)、五酸化ニオブ(Nb)を入れてよく攪拌し、その中にチタン酸バリウム(BaTiO)単結晶粉末成形体を入れ、オートクレーブ中で230℃、8時間反応させた。反応後、単結晶粉末成形体をエタノールおよび純水で洗浄して300℃で乾燥させてチタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)セラミックスとした。
<ニオブ酸カリウム(KNbO)相の確認>
作製したチタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)セラミックスをリガク製X線回折(XRD)装置によりCuKα線を使用して、管電圧50kV、管電流40mA、走査速度20°/minでX線回折測定を行った。チタン酸バリウム(BaTiO)とニオブ酸カリウム(KNbO)は同じペロブスカイト構造であるため非常に近い角度にピークが出るため、(200)、(002)面に注目してそのピーク形状の変化を確認するとともに、ペロブスカイト構造以外の相の確認を行った。その結果を表1に示した。チタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)の合計に対し、0.05〜0.6の場合はペロブスカイト以外のピークは見られず、また(200)、(002)ピークも図2に示すようにチタン酸バリウム(BaTiO)のものと比較すると形状が変化していているものを表1の◎印に示す。また図2と図4の中間の形状変化を示すのは、チタン酸バリウム(BaTiO)の正方晶のピークが多少確認できているものを表1の○印、チタン酸バリウム(BaTiO)の正方晶のピークとほとんど変化がないもの表1の×印(図4)とした。
作製したチタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)セラミックスを集束イオンビーム(FIB)により薄膜形状に加工して、微細構造および組成分析測定の試料とした。 株式会社日立ハイテクノロジーズ製走査型透過電子顕微鏡(STEM)を使用して、加速電圧200kV、視野サイズ約1×1μmで、この試料の走査透過像を撮影した。また、バリウム(Ba)はLβ2線、チタン(Ti)はKα線、カリウム(K)はKα線、ニオブ(Nb)はLα線をそれぞれの特性X線として付属するエネルギー分散形X線分光器(EDS)による各元素のマッピングを行った。 その結果を図5に示す。図5の(A)はSTEM像を示し、(B)はバリウム(Ba)、(C)はチタン(Ti)、(D)はカリウム(K)、(E)はニオブ(Nb)の元素マッピングをそれぞれ示しており、図中の白色が濃い部分に各元素が多く分布している。図5の(B)、(C)、(D)および(E)によりチタン酸バリウム(BaTiO)を核とし、核の周りを覆うようにニオブ酸カリウム(KNbO)が形成されていることがわかる。
<チタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)セラミックスの電気的評価>
実施例1から5で作製した試料に図1の2,3のように金(Au)電極をスパッタで形成し、図1の圧電セラミックス4を作製した。この圧電セラミックス4に北本電子株式会社製作の電界誘起歪み測定器(JP005−SE)で周波数0.1Hz、1〜30kV/cmの電界を印加して圧電歪を測定、その値からd33を計算してその結果も表1に示した。その結果、ニオブ酸カリウム(KNbO)比が0.05から0.60の範囲で大きな圧電特性を持つことを確認した。また、ニオブ酸カリウム(KNbO)の一部がニオブ酸ナトリウム(NaNbO)に置き換わった場合でも大きな圧電特性を持つことが確認できた。
(比較例1〜3)
表1に示すようにチタン酸バリウム(BaTiO)とニオブ酸カリウム(KNbO)のモル比を変えた以外は実施例1から5と同様の方法でチタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)セラミックスを作製し、ニオブ酸カリウム(KNbO)相の確認を行い、その結果も表1に示した。ペロブスカイト以外の五酸化ニオブ(Nb)の強いピークが見られ、また図4に示すようにチタン酸バリウム(BaTiO)のピークの形状にも変化が見られなかった(表1の×印)。
また比較例1から3で作製した試料に実施例1から5と同様にして電極を形成して圧電歪を測定、d33を求めて表1に示した。ニオブ酸カリウム(KNbO)がヘテロエピタキシャル成長膜を形成しなかった場合はd33を測定することはできず、またニオブ酸カリウム(KNbO)比が0.02の場合はd33が小さいことが確認された。
(比較例4)
従来のセラミックスの製造工程(固相法)を用いて1150℃で焼成して作製したチタン酸バリウム(BaTiO)−ニオブ酸カリウム(KNbO)セラミックスを実施例1から5と同様の評価方法によりd33を求め表1に示した。d33は260pm/Vと高い値を示すが、合成(焼成)温度が大きく違うとともに、d33の大きなニオブ酸カリウム(KNbO)比も高いことが確認できた。合成(焼成)温度が高いということはエネルギーを使うということでコストが高くなる要因となる。また、ニオブ酸カリウム(KNbO)比が高いということも高価なニオブ(Nb)を多く使うことになりコストが高くなる。
電界を加えると機械的な歪み及び応力を発生する、いわゆる圧電現象を示す圧電セラミックスが知られている。このような圧電セラミックスは、アクチュエータや圧電ブザー、発音体、センサ、などの各種圧電素子に用いられている。また、最近では振動発電にも利用されている。
1 圧電セラミックス
2,3 電極
4 圧電素子

Claims (5)

  1. チタン酸バリウム(BaTiO)結晶粒子成形体表面に、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種から構成されるヘテロエピタキシャル成長膜を有することを特徴とする複合圧電セラミックス。
  2. 前記ヘテロエピタキシャル成長膜を構成するニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種である化合物のモル比率が、チタン酸バリウム(BaTiO)、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)の合計に対し、0.05〜0.6であることを特徴とする請求項1に記載された複合圧電セラミックス。
  3. 前記チタン酸バリウム(BaTiO)を加圧成形して得られたチタン酸バリウム(BaTiO)結晶粒子成形体表面に、ニオブ酸カリウム(KNbO)、ニオブ酸ナトリウム(NaNbO)のうち少なくとも一種から形成されたヘテロエピタキシャル成長膜を有することを特徴とする請求項1及び2記載の複合圧電セラミックス。
  4. 一対の電極と、該一対の電極の間に前記複合圧電セラミックスとを備える請求項1乃至請求項3に記載されたことを特徴とする圧電素子。
  5. 前記請求項1乃至請求項3記載の圧電セラミックスと内部電極とを交互に積層される素体と、該素体を挟むように該素体の両端面にそれぞれ端子電極が設けられ、前記内部電極と電気的に接続されている一対の該端子電極とを備えることを特徴とする圧電素子。
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