JP2012251562A - リコイルスタータ - Google Patents

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【課題】部品の組み立てを容易にするとともに、組み立てに要する時間を削減することができる。
【解決手段】エンジン側のハウジング1に取付けたスタータケース2の中心にリール支軸3を設け、リール支軸3を中心に回転可能に設けられたロープリール5からリコイルロープ7を引き出してロープリール5を回転させ、この回転力をエンジン側に結合された駆動プーリ13に伝達してエンジンを始動させるリコイルスタータにおいて、上記スタータケース2と上記ハウジング1(ファンカバー等)との接面部に凹凸による位置決め部16、20を形成するとともに、上記スタータケース2を上記ハウジング1に対してをスナップフィットにより係止固定した。
【選択図】図1

Description

本発明はリコイルロープを引っ張ることによりロープリールを回転させて、該ロープリールの回転をエンジンのクランク軸に連結された駆動プーリに伝達させることによりエンジンを始動させるリコイルスタータに関する。
ロープリールに巻回されたリコイルロープを牽引することによりロープリールを回転させ、該ロープリールの回転により回転されるカムの回転を遠心クラッチ等のクラッチ機構を介してエンジンのクランク軸に結合されたフライホイールマグネット又は駆動プーリ等の回転部材に伝達し、該回転部材を介してエンジンのクランク軸を回転してエンジンを始動させるようにしたリコイルスタータにおいて、上記ロープリールとカムとの間に緩衝蓄力手段を介在させて、該緩衝蓄力手段によってエンジン側の急激な負荷の変動による衝撃をロープリール側に伝達させないようにするとともに、ロープリールの回転力を緩衝蓄力手段に蓄力させて、緩衝蓄力手段に蓄力した回転力を放出させることによってエンジンの始動を容易に行えるようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
上記従来の機構は、リコイルロープの牽引により回転されるロープリールと、クラッチ機構を介してエンジンのクランク軸に連結されている起動プーリへ回転力を伝達させるカムと、緩衝蓄力手段としてのスプリングを収容しているスプリングケースとをケース内に形成した支軸によってそれぞれ回転自在に支持させるとともに、ロープリールとスプリングケース間に一方向ラチェット機構を形成してロープリールのエンジン始動方向の回転をスプリングケースに伝達させるように構成されており、リコイルロープを牽引してロープリールを回転すると一方向ラチェット機構を介してスプリングケースを一体に回転させてロープリールの回転をスプリングケースを介して起動プーリに伝達させ、エンジンの始動抵抗により起動プーリの回転が停止するとスプリングにロープリールの回転力が蓄力されるようにしている。更にスプリングケースの逆方向への回転を防止するために支軸とスプリングケースとの間にワンウエイクラッチを形成している。
特開2001−132591号公報
しかしながら、従来のリコイルスタータは、例えばエンジン側のハウジングにスタータケースをボルトで固定していた。また、各部品が独立しており、これらを1つひとつネジ等で組み付けていくので、組み立て工数が多くなり、完成するまでに時間を要していた。
本発明は、上記問題点を解決し、部品の組み立てを容易にするとともに、組み立てに要する時間を削減して作業効率を向上することができるリコイルスタータを提供することをその課題とする。
上記課題を解決するため本発明の請求項1に係る発明は、エンジン側のハウジングに取付けたスタータケースの中心にリール支軸を設け、リール支軸を中心に回転可能に設けられたロープリールからリコイルロープを引き出してロープリールを回転させ、この回転力をエンジン側に結合された駆動プーリに伝達してエンジンを始動させるリコイルスタータにおいて、上記スタータケースと上記ハウジング(ファンカバー等)との接面部に凹凸による位置決め部を形成するとともに、上記スタータケースを上記ハウジングに対してスナップフィットにより係止固定したことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、スタータケースとハウジングとの接面部に凹凸による位置決め部を形成するとともに、スタータケースをハウジングに対してスナップフィットにより係止固定したので、スタータケースの組付け作業が容易となるとともに、位置決めと固定とを簡単構造によって実現することができる。
以下、図1〜図6を参照して本発明の実施形態を説明する。本発明のリコイルスタータは、エンジン側のハウジング1に固定されて中心にリール支軸3を備えたスタータケース2と、スタータケース2の底部に対向配置された螺旋スプリング4と、中心にリール支軸3に回転自在に嵌合可能な筒状軸部6を備えるとともに外周側にリコイルロープ7のロープ収納溝8を備えたロープリール5と、上記筒状軸部6の外側にスラスト方向に摺動可能に配置されたラチェット10と、上記リール支軸3の軸端に取付けられたラチェット抜け止め用のラチェットガイド11と、ラチェットガイド11とラチェット10との間に設けられたリタンスプリング12とによって構成されている。
エンジン側のハウジング1には駆動プーリ13を収める円形状の開口部14が形成され、開口部14の周縁部には鉤型係止部15と位置決め用凹部16がそれぞれ等間隔に形成されている。
スタータケース2は詳しくは図3に示されるように、パン状に形成され、エンジン側に結合された駆動プーリ13の対向位置に配置されている。円形状の底部17の中心には筒状のリール支軸3が形成され、底部17の周縁部には通風孔18が形成されている。また、スタータケース2の最外周縁には位置決め用の凸部20と係止部21がそれぞれ等間隔に形成されている。さらに、外周縁部29にはリコイルロープ7の引き出しをガイドするU字状のガイド溝19(図3参照)が開口形成されている。
スタータケース2は、上記位置決め用凸部20をハウジング1の位置決め用凹部16に係合させて位置決めするとともに、スタータケース2の係止部21をハウジング1の鉤型係止部15にスナップフィットにより弾性的にハウジング1に係止固定されている。
なお、位置決め用の凹部16、凸部20は図示された形態に限定されない。ハウジング1に凹部、スタータケース2に凸部を形成し、またハウジング1は金属製でなくても、合成樹脂製であってもよい。
ロープリール5は、図4に示されるように、中心部の筒状軸部6の一端の外周側に螺旋スプリング収納部22を形成し、螺旋スプリング収納部22の外周側には放射状に突出する支持片23を介してロープ収納溝8を形成してなるもので、螺旋スプリング収納部22にはロープリール5を巻き戻し回転させるための螺旋スプリング4が収納配置され、その一端はスタータケース2に、他端はロープリール5に固定されている。また、ロープ収納溝8は断面がコ字形で外方に開口している。
ロープ収納溝8の内周側の支持片23間にはロープ端末収納部24が形成されている。また、ロープ収納溝8のリール支軸3側の溝壁25には切欠き26が形成されている。この切欠き26はロープ端末収納部24と同じ側に開口し、ロープ端末収納部24と溝壁25の切欠き26とは連続するように形成されている。
ロープリール5の螺旋スプリング収納部22の反対側には、筒状軸部6と略平行な環状壁27が突出形成され、環状壁27の一部を切欠くことによって係合部28が形成されている。係合部28は傾斜面28aとこれに続く係止面28bとから構成され、係止面28bは筒状軸部6の軸方向と平行に形成されている。
次に、ラチェット10は、図5に示されるように、環状のラチェット本体10aから互いに反対向きのラチェットアーム30を突出したもので、ラチェット本体10aの内周側には4個の係合部31が突出し、互いに対向する2つの係合部31の間には係止縁32が形成されている。
上記ラチェット10は表裏が対称になるように形成されている。ラチェット10の組付けの際に表裏を確認する必要がなく、組み付け作業を容易にするためである。
次に、ラチェットガイド11は、図6(a)(b)に示されるように、ラチェット10の摺動をガイドするとともに、ラチェット10の抜けを防止するもので、中央にリール支軸3に嵌合可能な嵌合孔33を有する円盤状のラチェットガイド本体11aの一方の面にバネ受け凹部34を形成し、他方の面からは1対の係止片35を突出形成したもので、係止片35の先端には係止顎36が形成されている。係止片35は基部が狭く、先端が広くなっている。2つの係止片35の間にロープリール5の筒状軸部6が嵌り合うように形成されている。
ラチェットガイド11は上記筒状軸部6の外側に回動自在に配置され、リール支軸3の軸端の外周に形成した環状溝部37(図3参照)に係止装着されただるま形のセットバネ38(図2参照)によって保持されている。なお、セットバネ38はラチェットガイド11のバネ受け凹部34に収納されている。このため、セットバネ38は常にラチェットガイド11と一緒に回転することになるので、ラチェットガイド11に摩擦を付与し、ラチェットガイド11の回転時の摺動抵抗となる。
ラチェット10はラチェットガイド11の係止片35に沿って摺動可能に装着されている。つまり、ラチェットガイド11の係止片35の先端の係止顎36はラチェット10の係止縁32にスナップフィットにより弾性的に係止するので、係止片35は係止縁32の両側の係合部31の間に挟まれる。このため、ラチェット10はラチェットガイド11と供回りし、係止片35にガイドされてリール支軸3の軸方向に沿って摺動する。
リタンスプリング12はコイルスプリングで、ラチェットガイド本体11aとラチェット10との間に配置されている。このため、ラチェット10は常時筒状軸部6の基部側の位置にあるように付勢されている。
次に、図7に示されるように、駆動プーリ13はエンジンのクランクシャフト41に固定され、クランクシャフト41の周囲を包囲するように環状壁40が形成され、環状壁40の端部には傾斜面42aとこれに続く係止面42bとから構成される係合部42が形成されている。上記係止面42bはクランクシャフト41の軸方向と平行に形成されている。また、上記傾斜面42aはラジアル方向からみたとき、ロープリール5の傾斜面28aとは逆方向となっている。
駆動プーリ13の環状壁40はロープリール5の外周縁部29の内側に位置するように構成されている。
また、図1に示されるように、クランクシャフト41の一部(又はクランクシャフト上のナットの一部)はスタータケース2のリール支軸3の内部空間に挿入配置されている。これにより、リール支軸3は、スタータケース2がその外周縁の位置決め用凹凸部16、20と係止部15、21とによって固定されることによって支持されるとともに、エンジンのクランクシャフト41によっても支持されている。
ところで、上記各構成部品によりリコイルスタータを組み立てるときは、まず、図8(a)(b)のようにいくつかの部品をサブアッセンブリ化しておく。
すなわち、ロープリール5にリコイルロープ7を巻き回すとともに、螺旋スプリング4を螺旋スプリング収納部22に収納配置し、その一端はロープリール5に係止しておく。このようにして、リールサブアッセンブリAを完成させておく。なお、リコイルロープ7の端末を端末収納部24に収納するときは、上述のように予め結び目7aを作っておいて図2のように切欠き26と端末収納部24に押し込めばよく、穴を通すという作業は不要なので、収納作業は容易かつ迅速に行うことができる。
同様に、ラチェットガイド11の係止片35の外側にリタンスプリング12を装着し、さらにラチェット10を嵌め合わせ、リタンスプリング12を撓ませて係止片35の先端の係止顎36をラチェット10の係止縁32にスナップフィットにより係止させる。このようにして、ラチェットサブアッセンブリBを完成させておく。
以上のサブアッセンブリA、Bをスタータケース2に組み付けるときは、まずスタータケース2のリール支軸3にリールサブアッセンブリAの筒状軸部6を嵌合装着する。次に、この筒状軸部6の外側にラチェットサブアッセンブリBを嵌合装着する。そして、リール支軸3の軸端にセットバネ38を係止装着する。これだけの工程で、エンジンにリコイルスタータの本体が完成する。なお、リコイルロープ7はスタータケース2のガイド溝19(図3参照)から外側に引き出せばよい。
次に、リコイルスタータをエンジンのハウジング1に組み付けるときは、図1に示されるように、スタータケース2の外周縁の位置決め用凹部16をハウジング1の凸部20に嵌合するとともに、スタータケース2の係止部21をハウジング1の係止部15にスナップフィットにより係止すればよい。これにより、スタータケース2は位置決めされた状態で固定される。
上述のように、リコイルスタータは、いくつかの部品を予め組み付けてサブアッセンブリA、Bを準備しておき、これらのサブアッセンブリA、Bを順次スタータケース2に組み付けていけば完成する。しかも、ネジを全く使わないので、作業効率がよく、容易かつ迅速に短時間で組み立てることができる。
しかも、リール支軸3を備えたスタータケース2をスナップフィットにより装着したことで組付け作業は容易となるとともに、エンジンのクランクシャフト41の一部(又はクランクシャフト上のナットの一部)をリール支軸3の内部空間に挿入配置したので、リコイルロープ7を強く引き出してロープリール5を回転させるとき、スタータケース2は引き出し側に強い力を受けて変形するが、リール支軸3はクランクシャフト41に支持されているので、変形は抑制される。したがって、ロープリール5を円滑に回転させ、安定的にエンジンを始動することができる。
特に、ラチェットサブアッセンブリBは、ラチェットガイド11の係止片35の外側にラチェット10とリタンスプリング12とを配置し、係止片35の先端を上記ラチェット10にスナップフィットにより係止させればよいので、予め一体的に組み立てておくことができる。スタータケース2に組み付ける時は、上記サブアッセンブリをそのままロープリール5の筒状軸部6に嵌合すればよいので、組み立て工数を削減することができる。
また、リール支軸3の軸端の環状溝部37にセットバネ38を係止装着するだけで、ラチェットガイド11の抜けを防止するとともにその回転に摩擦を付与することができるので、ネジ止めなどの作業に比べて格段に容易であるとともに、格別の摩擦付与手段を別途設ける必要がなく、組み立て工数を削減することができる。
さらに、スタータケース2とハウジング1との接面部に凹凸部16、20による位置決め部を形成するとともに、スタータケース2をハウジング1に対してスナップフィットにより係止固定したので、スタータケース2の組付け作業が容易となるとともに、位置決めと固定とを簡単構造によって実現することができる。
次に、上述のリコイルスタータの使用態様について説明すると、リコイルロープ7を強く引き出してロープリール5を回転させると、その環状壁27の傾斜面がラチェット10のラチェットアーム30に係合する。ラチェットガイド11はセットバネ38の摩擦力によって回転することができないから、待機位置にあったラチェット10は傾斜面28aに沿ってリタンスプリング12に抗して図1の点線のように軸端方向に移動し、係止面28bに係止する。軸端側には駆動プーリ13の環状壁27の係止面42bが位置しているから、ラチェットアーム30はこの係止面42bに当たる。係止面42bに当るとラチェット10はロープリール5とともに回転するから、ロープリール5の回転はラチェット10を介して駆動プーリ13に伝達され、駆動プーリ13は回転し、エンジンが始動する。エンジンが始動すると、駆動プーリ13の回転はロープリール5の回転よりも速くなるので、駆動プーリ13の傾斜面42aがラチェットアーム30に係合し、ラチェットアーム30は傾斜面42aに沿って待機位置側に押し出される。さらにラチェット10は、リタンスプリング12のバネ力によって待機位置に復帰する。そして、リコイルロープ7の引き出し力を解放すると、螺旋スプリング4の巻き戻し力によってロープリール5は逆回転するので、リコイルロープ7はロープリール5に巻き戻され、エンジンの始動作業は終了する。
本発明の実施形態のリコイルスタータの縦断側面図である。 上記リコイルスタータの背面図 スタータケースの斜視図 ロープリールの斜視図 ラチェットの斜視図 (a)(b)はラチェットガイドの斜視図 駆動プーリの斜視図 (a)(b)はリコイルスタータの組付け方法の説明図
2 スタータケース
3 リール支軸
5 ロープリール
7 リコイルロープ

Claims (1)

  1. エンジン側のハウジングに取付けたスタータケースの中心にリール支軸を設け、リール支軸を中心に回転可能に設けられたロープリールからリコイルロープを引き出してロープリールを回転させ、この回転力をエンジン側に結合された駆動プーリに伝達してエンジンを始動させるリコイルスタータにおいて、
    上記スタータケースと上記ハウジング(ファンカバー等)との接面部に凹凸による位置決め部を形成するとともに、上記スタータケースを上記ハウジングに対してスナップフィットにより係止固定したことを特徴とするリコイルスタータ。
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