JP2012251088A - クリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、クリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物、及びこれらを用いた空気入りタイヤに関する。
タイヤはリムに組まれて使用されるため、自動車の駆動時、制動時、及びコーナリング走行時にリムと擦れ合う部分のゴム(クリンチエイペツクスゴム、チェーファーゴム)が摩耗する可能性がある。仮に摩耗すると、リムとタイヤの摩擦力が小さくなることで、制動時にタイヤとリムが回転方向にずれる可能性があり、タイヤの静バランスを悪化させる可能性があり、更に摩耗が進行すれば、リムとの間で空気を保持できなくなる可能性もある。
そのため、クリンチエイペックスやチェーファーには、耐摩耗性に優れるゴム組成物が使用され、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなどのジエン系ゴム、カーボンブラックやシリカなどの補強剤が配合されているが、耐摩耗性の更なる改善が要求されている。
耐摩耗性向上のために、カーボンブラックやシリカを増量すること、これらの粒子径を小さくすること、などの方法で補強性を高めることが考えられる。しかしながら、これらの方法を用いた場合、ゴム練り加工性が悪化するという問題がある。また、近年では、自動車の低燃費化への要求が高く、各タイヤ用部材に対し、優れた低発熱性が要求されているが、前述の方法ではタイヤの転がり抵抗も悪化する。
一方、低発熱性の改善方法として、補強用充填剤を減量する方法が知られているが、ゴム強度が低下するため、タイヤが損傷しやすくなる。また、カーボンブラックをシリカで置換することも知られているが、機械的強度(破壊強度)が低下し、タイヤの耐久性が悪化する傾向がある。更に機械的強度を高める方法として、オイルを減量する方法が知られているが、加工性が悪化する傾向がある。従って、転がり抵抗特性、機械的強度、耐摩耗性をバランス良く改善するとともに、優れた加工性も得られる方法が望まれている。
例えば、特許文献1〜3には、変性ブタジエンゴム、変性スチレンブタジエンゴムなどの変性ジエン系ゴムを用いて転がり抵抗を低減することが提案されている。しかし、転がり抵抗特性、機械的強度、耐摩耗性及び加工性をバランス良く改善する点について、未だ改善の余地がある。
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、機械的強度、耐摩耗性をバランス良く改善するとともに、優れた加工性も得られるクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物、及び該ゴム組成物を用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、天然ゴムと、下記式(1)及び/又は下記式(2)で表される化合物と、カーボンブラックとを含むクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物に関する。
[式(1)中、pは2〜8の整数を表す。式(2)中、qは2〜8の整数を表す。Mr+は金属イオンを表し、rはその価数を表す。]
上記式(1)及び(2)で表される化合物の合計含有量は、カーボンブラック100質量部に対して0.2〜10質量部であることが好ましい。また、ゴム成分100質量%中の上記天然ゴムの含有量は、20質量%以上であることが好ましい。更に、上記ゴム成分100質量部に対する上記カーボンブラックの含有量は、10〜100質量部であることが好ましい。
上記式(2)中のMr+で表される金属イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオン、又は亜鉛イオンであることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したクリンチエイペックス及び/又はチェーファーを有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、天然ゴムと、上記式(1)及び/又は(2)で表される化合物と、カーボンブラックとを含むクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物であるので、低燃費性、機械的強度、耐摩耗性をバランス良く改善でき、同時に良好な加工性も得ることができる。
本発明のクリンチエイペックス用ゴム組成物及びチェーファー用ゴム組成物は、天然ゴム(NR)、上記式(1)及び/又は(2)で表される化合物と、カーボンブラックとを含む。低燃費性、機械的強度、耐摩耗性の全性能が要求されるクリンチエイペックスやチェーファーにおいて、NR、式(1)や(2)で表される化合物、カーボンブラックの全成分を配合すると、これらの性能を同時に改善できる。加えて、優れた加工性も得ることができる。
本発明では、ゴム成分としてNRが使用されるが、NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20など、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは35質量%以上である。20質量%未満であると、十分な破壊強度が得られない傾向がある。NRの含有量の上限は特に限定されず、100質量%でもよい。
NR以外に本発明に使用されるゴム成分としては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)などのジエン系ゴムが挙げられる。なかでも、耐摩耗性、低燃費性の点から、BRを使用することが好ましい。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
BRとしては特に限定されず、例えば、高シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBRなどを使用できる。なかでも、高シス含量のBRを使用することが好ましく、該シス含量は好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上である。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法により測定できる。
BRを含む場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、耐摩耗性が悪化するおそれがある。該BRの含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。70質量%を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
ゴム成分100質量%中のNRとBRの合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。80質量%未満であると、低燃費性、機械的強度、耐摩耗性をバランス良く改善できないおそれがある。
本発明では、下記式(1)表される化合物及び/又は下記式(2)で表される化合物が使用される。
[式(1)中、pは2〜8の整数を表す。式(2)中、qは2〜8の整数を表す。Mr+は金属イオンを表し、rはその価数を表す。]
上記式(2)で表される化合物は任意の公知の方法により製造できる。例えば、ハロアルキルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法、フタルイミドのカリウム塩及びジハロアルカンを反応させて得られた化合物と、チオ硫酸ナトリウムとを反応させ、得られた化合物を加水分解する方法などが挙げられる。
具体的には、qが6の化合物の場合、6−ハロヘキシルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法、フタルイミドのカリウム塩及び1,6−ジハロヘキサンを反応させて得られた化合物と、チオ硫酸ナトリウムとを反応させ、得られた化合物を加水分解する方法などが挙げられる。
また、qが3の化合物の場合、3−ハロプロピルアミンとチオ硫酸ナトリウムとを反応させる方法、フタルイミドのカリウム塩及び1,3―ジハロプロパンを反応させて得られた化合物と、チオ硫酸ナトリウムとを反応させ、得られた化合物を加水分解する方法などが挙げられる。
上記式(1)で表される化合物は、例えば、上記式(2)で表される化合物とプロトン酸とを反応させることにより製造できる。
本発明では、式(1)及び(2)で表される化合物の混合物も使用できる。該混合物は、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを混合する方法、上記Mで示される金属を含有する水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩などを用いて式(1)で表される化合物の一部を金属塩化する方法、プロトン酸を用いて式(2)で表される化合物の一部を中和する方法により製造できる。このようにして製造した式(1)、(2)で表される化合物は、濃縮、晶析などの操作により、反応混合物から取り出すことができ、取り出された式(1)、(2)で表される化合物は、通常0.1〜5%程度の水分を含む。また、本発明では、式(1)で表される化合物のみ、又は式(2)で表される化合物のみを用いることもできる。更に、複数種の式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物を併用することもできる。
式(1)中、pは2〜8の整数を表し、2〜5が好ましい。式(2)中、qは2〜8の整数を表し、2〜5が好ましい。
Mr+で示される金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオン及び亜鉛イオンが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンが更に好ましい。rは金属イオンの価数を表し、当該金属において可能な範囲であれば、限定されない。通常rは、金属イオンがアルカリ金属イオンの場合は1、コバルトイオンの場合は2又は3、銅イオンの場合は1〜3の整数、亜鉛イオンの場合は2である。上記製法によれば、通常、式(1)で表される化合物のナトリウム塩が得られるが、カチオン交換反応を行うことで他の金属塩に変換できる。
上記式(1)、(2)で表される化合物のメディアン径は、好ましくは0.05〜100μmの範囲であり、より好ましくは1〜100μmの範囲である。メディアン径は、レーザー回折法にて測定できる。
上記式(1)、(2)で表される化合物は、予め担持剤と混合してから使用してもよい。担持剤としては、日本ゴム協会編「ゴム工業便覧<第四版>」第510〜513頁に記載されている「無機充てん剤、補強剤」が挙げられ、なかでも、カーボンブラック、シリカ、焼成クレー、水酸化アルミニウムが好ましい。担持剤の使用量は、特に限定されないが、上記式(1)及び/又は(2)で表される化合物の合計量100質量部に対して、10〜1000質量部の範囲が好ましい。
上記式(1)及び(2)で表される化合物の合計含有量は、カーボンブラック100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。0.2質量部未満であると、十分な低燃費性が得られないおそれがある。また、該合計含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは9質量部以下である。10質量部を超えても、低燃費性能の更なる向上効果は得られない傾向がある。
本発明では、カーボンブラックが使用される。これにより、ゴムの強度や耐摩耗性を向上でき、前述の性能バランスを改善できる。使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、30m2/g以上が好ましく、60m2/g以上がより好ましい。30m2/g未満では、補強性が低下し、破断強度、破断時伸びが低下する傾向にある。また、カーボンブラックのN2SAは200m2/g以下が好ましく、160m2/g以下がより好ましく、100m2/g以下が更に好ましく、80m2/g以下が特に好ましい。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217−2:2001に準拠して測定される。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217−2:2001に準拠して測定される。
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、充分な補強性が得られる点から、70ml/100g以上が好ましく、90ml/100g以上がより好ましく、110ml/100g以上が更に好ましく、120ml/100g以上が特に好ましい。また、カーボンブラックのDBPは、破断時伸びなどに優れる点から、150ml/100g以下が好ましく、140ml/100g以下がより好ましい。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
カーボンブラックの平均粒子径は、好ましくは25nm以上、より好ましくは28nm以上であり、また、好ましくは40nm以下、より好ましくは35nm以下、更に好ましくは32nm以下である。上記範囲内であると、低燃費性、機械的強度、耐摩耗性、加工性をバランスよく改善できる。
なお、カーボンブラックの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡による観察や透過型電子顕微鏡における透過電子像の観察により測定できる。
なお、カーボンブラックの平均粒子径は、走査型電子顕微鏡による観察や透過型電子顕微鏡における透過電子像の観察により測定できる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。10質量部未満であると、十分な補強性が得られないおそれがある。上記カーボンブラックの含有量は、混練り時の粘度を適正に保ち、加工性に優れる点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは95質量部以下である。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、シリカ、クレーなどの補強用充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加工助剤、各種老化防止剤、オイルなどの軟化剤、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又はキサンテート系加硫促進剤が挙げられる。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)などが挙げられる。なかでも、CBSが好ましい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.6質量部以上であり、また、好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下である。上記範囲内に調整することで、機械的強度、耐摩耗性、低燃費性の性能バランスに優れたゴムを調製できる。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上である。2質量部未満であると、加工性に劣り、低燃費性、機械的強度、耐摩耗性が低下する傾向がある。該オイルの含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。15質量部を超えると、機械的強度、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
本発明のクリンチエイペックス用、チェーファー用ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でクリンチエイペックス、チェーファーの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
クリンチエイペックスは、サイドウォールの内方端に配される部材であり、特開2008−75066号公報の図1、特開2004−106796号公報の図1などに示される部材である。チェーファーは、ビード部の少なくともリムと接触する部分に配される部材であり、具体的には、特開平6−219111号公報の図4などに示される部材である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(製造例 S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩の製造)
反応容器内の気体を窒素ガスに置換した。該反応容器に、3−ブロモプロピルアミン臭素酸塩25g(0.11モル)、チオ硫酸ナトリウム・五水和物28.42g(0.11モル)、メタノール125ml及び水125mlを仕込み、得られた混合物を70℃で4.5時間還流した。反応混合物を放冷し、減圧下でメタノールを除去した。得られた残渣に、水酸化ナトリウム4.56gを加え、得られた混合物を室温で30分間撹拌した。減圧下で溶媒を完全に除去した後、残渣にエタノール200mlを加えて1時間還流した。熱ろ過により副生成物である臭化ナトリウムを除去した。ろ液を減圧下で、結晶が析出するまで濃縮し、その後静置した。結晶をろ過により取り出し、エタノール、次いでヘキサンで洗浄した。得られた結晶を真空乾燥して、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩(下記式で表される化合物)を得た。
1H−NMR(270.05MHz,MeOD)δppm:3.1(2H,t,J=6.3Hz),2.8(2H,t,J=6.2Hz),1.9−2.0(2H,m)
得られたS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩のメディアン径(50%D)を、(株)島津製作所製SALD−2000J型を用い、レーザー回折法(測定操作は下記のとおり)により測定したところ、メディアン径(50%D)は66.7μmであった。得られたS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を粉砕し、そのメディアン径(50%D)が14.6μmであるS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を調製した。メディアン径(50%D)が14.6μmであるS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を以下の実施例で使用した。
<測定操作>
得られたS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を下記の分散溶媒(トルエン)と分散剤(10質量%スルホこはく酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム/トルエン溶液)との混合溶液に室温で分散させ、得られた分散液に超音波を照射しながら、該分散液を5分間撹拌して試験液を得た。該試験液を回分セルに移し、1分後に測定した。(屈折率:1.70−0.20i)
また、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩10.0gを水30mlに溶解させて得られる水溶液のpHは11〜12であった。
反応容器内の気体を窒素ガスに置換した。該反応容器に、3−ブロモプロピルアミン臭素酸塩25g(0.11モル)、チオ硫酸ナトリウム・五水和物28.42g(0.11モル)、メタノール125ml及び水125mlを仕込み、得られた混合物を70℃で4.5時間還流した。反応混合物を放冷し、減圧下でメタノールを除去した。得られた残渣に、水酸化ナトリウム4.56gを加え、得られた混合物を室温で30分間撹拌した。減圧下で溶媒を完全に除去した後、残渣にエタノール200mlを加えて1時間還流した。熱ろ過により副生成物である臭化ナトリウムを除去した。ろ液を減圧下で、結晶が析出するまで濃縮し、その後静置した。結晶をろ過により取り出し、エタノール、次いでヘキサンで洗浄した。得られた結晶を真空乾燥して、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩(下記式で表される化合物)を得た。
1H−NMR(270.05MHz,MeOD)δppm:3.1(2H,t,J=6.3Hz),2.8(2H,t,J=6.2Hz),1.9−2.0(2H,m)
得られたS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩のメディアン径(50%D)を、(株)島津製作所製SALD−2000J型を用い、レーザー回折法(測定操作は下記のとおり)により測定したところ、メディアン径(50%D)は66.7μmであった。得られたS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を粉砕し、そのメディアン径(50%D)が14.6μmであるS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を調製した。メディアン径(50%D)が14.6μmであるS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を以下の実施例で使用した。
<測定操作>
得られたS−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩を下記の分散溶媒(トルエン)と分散剤(10質量%スルホこはく酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム/トルエン溶液)との混合溶液に室温で分散させ、得られた分散液に超音波を照射しながら、該分散液を5分間撹拌して試験液を得た。該試験液を回分セルに移し、1分後に測定した。(屈折率:1.70−0.20i)
また、S−(3−アミノプロピル)チオ硫酸のナトリウム塩10.0gを水30mlに溶解させて得られる水溶液のpHは11〜12であった。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
BR:日本ゼオン(株)製のNipol BR1220(ビニル含量:1質量%、シス含量:97質量%以上)
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシーストNH(N351、N2SA:74m2/g、DBP吸油量:127ml/100g、平均粒子径:29nm)
化合物1:上記製造例で調製した化合物
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
NR:RSS#3
BR:日本ゼオン(株)製のNipol BR1220(ビニル含量:1質量%、シス含量:97質量%以上)
カーボンブラック:東海カーボン(株)製のシーストNH(N351、N2SA:74m2/g、DBP吸油量:127ml/100g、平均粒子径:29nm)
化合物1:上記製造例で調製した化合物
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH−24
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
硫黄:軽井沢硫黄(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
(実施例及び比較例)
表1に示す配合処方(なお、化合物1の()内の配合量はカーボンブラック100質量部に対する化合物1の配合量を示す)に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で35分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
表1に示す配合処方(なお、化合物1の()内の配合量はカーボンブラック100質量部に対する化合物1の配合量を示す)に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で35分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物について下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(機械的強度)
JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、各加硫ゴム組成物からなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施し、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)を測定し、破壊エネルギー(TB×EB/2)を算出した。比較例1の破壊エネルギーを100とし、下記計算式により、各配合の破壊エネルギーを指数表示した。指数が大きいほど、機械的強度が高く、耐セパレーション性に優れることを示す。
(強度指数)=(各配合の破壊エネルギー)/(比較例1の破壊エネルギー)×100
JIS K6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて、各加硫ゴム組成物からなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施し、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)を測定し、破壊エネルギー(TB×EB/2)を算出した。比較例1の破壊エネルギーを100とし、下記計算式により、各配合の破壊エネルギーを指数表示した。指数が大きいほど、機械的強度が高く、耐セパレーション性に優れることを示す。
(強度指数)=(各配合の破壊エネルギー)/(比較例1の破壊エネルギー)×100
(耐摩耗性)
ランボーン摩耗試験機((株)岩本製作所製)を用いて、室温、負荷荷重2.0kgf、スリップ率35%の条件で、各加硫ゴム組成物の摩耗量を測定した。比較例1の摩耗量を100とし、下記計算式により、各配合の摩耗量を指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れる。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の摩耗量)/(各配合の摩耗量)×100
ランボーン摩耗試験機((株)岩本製作所製)を用いて、室温、負荷荷重2.0kgf、スリップ率35%の条件で、各加硫ゴム組成物の摩耗量を測定した。比較例1の摩耗量を100とし、下記計算式により、各配合の摩耗量を指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性に優れる。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の摩耗量)/(各配合の摩耗量)×100
(低燃費性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各加硫ゴム組成物のtanδを測定した。比較例1のtanδを100とし、下記計算式により各配合のtanδを指数表示した。指数が小さいほど、低燃費性(転がり抵抗特性)に優れる。
(低燃費性指数)=(各配合のtanδ)/(比較例1のtanδ)×100
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度70℃、初期歪み10%、動歪み2%の条件下で各加硫ゴム組成物のtanδを測定した。比較例1のtanδを100とし、下記計算式により各配合のtanδを指数表示した。指数が小さいほど、低燃費性(転がり抵抗特性)に優れる。
(低燃費性指数)=(各配合のtanδ)/(比較例1のtanδ)×100
(ムーニー粘度)
JIS K 6300−1「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過した時点での未加硫ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4/130℃)を測定した。比較例1のムーニー粘度を100とし、下記計算式により、各配合のムーニー粘度を指数表示した。指数が小さいほど粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(ムーニー粘度指数)=(各配合のムーニー粘度)/(比較例1のムーニー粘度)×100
JIS K 6300−1「未加硫ゴム−物理特性−第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過した時点での未加硫ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4/130℃)を測定した。比較例1のムーニー粘度を100とし、下記計算式により、各配合のムーニー粘度を指数表示した。指数が小さいほど粘度が低く、加工性に優れることを示す。
(ムーニー粘度指数)=(各配合のムーニー粘度)/(比較例1のムーニー粘度)×100
表1の結果より、天然ゴムと、上記式(1)や(2)で表される化合物と、カーボンブラックとを含む実施例では、低燃費性、機械的強度、耐摩耗性が同時に改善された。また、加工性も良好で、これらの性能をバランス良く改善できることが明らかとなった。
Claims (6)
- 式(1)及び(2)で表される化合物の合計含有量は、カーボンブラック100質量部に対して0.2〜10質量部である請求項1記載のクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物。
- ゴム成分100質量%中の天然ゴムの含有量は、20質量%以上である請求項1又は2記載のクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物。
- ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、10〜100質量部である請求項1〜3のいずれかに記載のクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物。
- 式(2)中のMr+で表される金属イオンは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、コバルトイオン、銅イオン、又は亜鉛イオンである請求項1〜4のいずれかに記載のクリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したクリンチエイペックス及び/又はチェーファーを有する空気入りタイヤ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011125449A JP2012251088A (ja) | 2011-06-03 | 2011-06-03 | クリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物 |
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JP2011125449A Withdrawn JP2012251088A (ja) | 2011-06-03 | 2011-06-03 | クリンチエイペックス又はチェーファー用ゴム組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014065438A1 (ja) * | 2012-10-26 | 2014-05-01 | 住友化学株式会社 | カーボンブラック |
-
2011
- 2011-06-03 JP JP2011125449A patent/JP2012251088A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014065438A1 (ja) * | 2012-10-26 | 2014-05-01 | 住友化学株式会社 | カーボンブラック |
US9522990B2 (en) | 2012-10-26 | 2016-12-20 | Sumitomo Chemical Company, Limited | Carbon black |
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