JP2012250940A - C型肝炎の予防、治療又は改善用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、インターフェロンα及びピクノジェノールを含む、C型肝炎の予防、治療又は改善用組成物、あるいは、ピクノジェノールを含む、C型肝炎の予防、治療又は改善用組成物であって、インターフェロンα投与を受けるC型肝炎患者に投与されることを特徴とする、前記組成物、に関する。
【選択図】なし
Description
日本最大級の感染症、C型肝炎ウイルス感染者は、国内に150万人以上存在すると言われている。C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus)(以下、「HCV」という。)は、1989年に、輸血後の非A非B型肝炎の主要な原因ウイルスとして発見された。HCVは、エンベロープを有する直径35−65nmの球状粒子の1本鎖プラス鎖型RNAウイルスであり、フラビウイルス科(Flaviviridae)のヘパチウイルス属(Hepacivirus)に属する。
PEG−IFNα2b(ペグイントロン Pegintron(登録商標))+リバビリン(レベトール Rebetol(登録商標))
インターフェロン療法を用いても約5割のHCV感染者は、依然として肝細胞癌発症の危険性を抱えたままである。また、インターフェロンは、脱毛、食欲不振、鬱、吐き気、腹痛、血小板減少などの副作用を生じる場合がある。強い副作用のため、治療を断念する患者も存在する。副作用が少なく効果の高いHCV治療法の開発が望まれていた。
ピクノジェノールは、フランス海岸松の樹皮などの植物材料から抽出される成分であり、オリゴメリックプロアントシアニジン( プロアントシアニジン、シアニジン、プロシアニジンとも呼ばれる) を主成分とし、その他多種類の有機酸を含む、ポリフェノール化合物混合物である。「ピクノジェノール」の名称は、本来、スイスのホーファー・リサーチ社の登録商標であるが、現在は、一般に、フランス海岸松樹皮抽出物に対して使用されている。
[態様1]
インターフェロンα及びピクノジェノールを含む、C型肝炎の予防、治療又は改善用組成物。
ピクノジェノールを含む、C型肝炎の予防、治療又は改善用組成物であって、インターフェロンα投与を受けるC型肝炎患者に投与されることを特徴とする、前記組成物。
C型肝炎ウイルスの感染又は複製を抑制する、態様1又は2に記載の組成物。
[態様4]
さらにリバビリンを含む、あるいは、リバビリンとともに投与される、態様1ないし3に記載の組成物。
経口摂取される、態様1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
[態様6]
医薬組成物又は食品組成物である、態様1ないし5に記載の組成物。
ピクノジェノールは、特に経口摂取の安全が確認されており、アンチエイジングサプリメントとして世界中で販売されている。本発明により、例えば、既に安全性の確認されたサプリメントであるピクノジェノールを用いてインターフェロン療法の効率化が期待できる。
本発明は、インターフェロンα及びピクノジェノールを含む、C型肝炎の予防、治療又は改善用組成物に関する。
本発明における「ピクノジェノール」は、フランス海岸松(学名:PINUS PINASTER)と呼ばれる松の樹皮を溶媒を用いて抽出することにより得られる成分を指す。ピクノジェノールは、通常、オリゴメリックプロアントシアニジン(プロシアニジン(PS)、プロアントシアニジン、シアニジンとも称される)及び有機酸を含む混合物であり、原料及び抽出方法によりその組成は異なる。好ましくは、少なくとも50%はプロシアニジンを含む。
本発明は、C型肝炎の予防、治療又は改善のための方法において、インターフェロンαとともに、ピクノジェノールを投与すると、インターフェロンαの効果が高まり、HCVの感染及び/又は複製が有効に抑制できる、という発見に基づく。
本発明において、C型肝炎の予防、治療又は改善するための方法において、ピクノジェノールの投与により、インターフェロンαとリバビリンの併用による効果も高める。よって、本発明の組成物は、さらにリバビリンを含む、あるいは、リバビリンとともに投与される、ことが好ましい。
医薬組成物
本発明の組成物は、薬学的に許容される賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、付湿剤等と配合し、一般的な形態の製剤とされる。
る。
付湿剤としては、公知のものを広く使用でき、例えば、ココナッツ油、オリーブ油、ゴマ油、落花生油、大豆リン脂質、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。
本明細書中の実施例においてピクノジェノールは50μg/mLの濃度で培養細胞に投与しても細胞毒性を有しないことが示された。よって、限定されるわけではないが、本発明の組成物は5μg/mLないし50μg/mLの濃度のピクノジェノールを含む。
また本発明の組成物は、ピクノジェノールを食品に添加した食品組成物であってもよい。
本発明の食品組成物には、必要に応じて、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤(防ばい剤)、イーストフード、ガムベース、香料、酸味料、調味料、豆腐用凝固剤、乳化剤、pH調整剤、かんすい、膨脹剤、栄養強化剤等の食品衛生上許容される食品添加物を適宜添加してもよい。
本発明はまた、C型肝炎の予防、治療又は改善のための方法であって、インターフェロンα及びピクノジェノールを、必要な患者に投与することを含む、前記方法を提供する。
ピクノジェノールの投与量は、投与対象の年齢、性別、症状、製剤の形態、投与経路、期待される効果などにより異なり一概に定めることはできないが、ピクノジェノール投与又は医薬組成物の形態で投与する場合、1日投与量を、体重1kg当たり、0.1〜10mg程度とすることが好ましく、50〜300mg程度とすることがより好ましい。また1日当たり1〜5回程度を、製剤形態に従った方法で投与すればよい。
C型肝炎ウイルスの感染抑制効果及び複製抑制効果
本発明の組成物は、C型肝炎の予防、治療又は改善のために使用されうる。理論に縛られるわけではないが、本発明の組成物によりインターフェロンαのC型肝炎ウイルスの感染抑制効果及び複製抑制効果が高められる。
HCV複製活性の抑制(活性又は効果)とHCV感染活性の抑制(活性又は効果)を併せて、「抗HCV活性又は効果」と言うこともある。
本明細書の実施例は、特に言及しない限り、以下の材料及び実験手法を用いて行った。
1.細胞培養
遺伝子型1b型のHCVサブゲノム−レプリコン細胞系R6、FLR3−1及びJFH−1の3種の細胞系を構築した。具体的な作成方法は、Inoue et al., Hepatology 45, 921−8, 2007; Takano et al., J. Hepatol. In press)に記載の方法に従った。
ピクノジェノールは、松森 昭博士(世界心臓連合次期理事長、アジア太平洋心臓病学会次期理事長・科学諮問委員会委員長、アジアハートネットワーク副理事長、東京医科大学客員教授)より提供された。インターフェロンα(IFN)は、シグマ・アルドリッチ・ジャパン株式会社(Sigma−Aldrich Japan Inc.)より提供された。リバビリンは、和光純薬工業株式会社(Wako Pure Chemical Industries, Ltd.)より入手した。
HCVのレプリコン細胞中での複製活性を調べるために、レポーターアッセイを行った。レポーターとしてはホタル(firefly)のルシフェラーゼを用いた。具体的手法は、Inoue et al., Hepatology 45, 921−8, 2007; Takano et al., J. Hepatol. In press)に記載の方法に従った。
HCVレプリコン細胞(2×105)を60mm細胞培養ディッシュで培養した。細胞をピクノジェノール又はIFN(対照)で72時間処理した。細胞を回収し、RIPA緩衝液(1% SDS、0.5% Nonidet P−40、150mmol/L NaCl、0.5mmol/L EDTA、1 mmol ジチオスレイトール及び10mmol/L トリス)で溶解した。全タンパク質(30μg)を12%SDS−ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、次いで、ポリビニリデンジフルオライド膜(Immobilon−P;ミリポア、ビレリカ、MA)に写した。HCVの非構造タンパク質3(NS3)を、ウサギ抗−NS3(R212)ポリクローナル抗体を用いて検出した。ウサギ抗−NS3(R212)ポリクローナル抗体は、財団法人東京都医学総合研究所の小原道法博士より提供された。
5.HCV mRNA量のqRT−PCRによる定量
リアルタイム逆転写PCRを用いて、HCV mRNAを定量した。ピクノジェノール、IFNα及び/又はリバビリンで処理したHCV−レプリコン細胞から、ISOGEN(登録商標) RNA抽出キットを用いてHCV RNAを抽出した。TaqMan化学に基くリアルタイム逆転写PCRを用いてHCV RNAを定量した。具体的には、GASTROENTEROLOGY 1999;116;636−643記載のプライマー、プローブ、手法に従い、HCVウイルスゲノムの定量を行った。
本実施例では、ピクノジェノール処理(72時間)によるHCV−レプリコン細胞系に対する効果を調べた。HCV−レプリコン細胞系としては、「1.細胞培養」で構築した細胞系R6、FLR3−1及びJFH−1を用いた。HCV複製活性及び細胞毒性は、「3.HCVレプリコン細胞レポーターアッセイ」に記載の方法を用いて調べた。
実施例2 HCV−レプリコン細胞系における、HCV NS3タンパク質の発現
本実施例では、ピクノジェノール処理後のHCV−レプリコン細胞系R6、FLR3−1及びJFH−1における、HCV NS3タンパク質の発現をウエスタンブロット分析で調べた。具体的な手法は、「4.ウエスタンブロット分析」に記載した方法に従った。
結果を図4に示す。
本実施例では、R6細胞をピクノジェノール及びインターフェロンαで24時間、48時間、及び72時間処理した場合の効果を示す。HCV複製活性及び細胞毒性は、「3.HCVレプリコン細胞レポーターアッセイ」に記載の方法を用いて調べた。
実施例4 R6細胞をピクノジェノール、インターフェロンα及びリバビリンで処理した場合の効果
本実施例では、R6細胞をピクノジェノール、インターフェロンα及びリバビリンで24時間又は48時間処理した場合の効果を示す。HCV複製活性及び細胞毒性は、「3.HCVレプリコン細胞レポーターアッセイ」に記載の方法を用いて調べた。
本実施例では、ピクノジェノール、プロシアニジン及びインターフェロン、並びにプロシアニジンとインターフェロンを併用した場合のHCV感染に対する抑制効果を調べた結果を示す。
Claims (6)
- インターフェロンα及びピクノジェノールを含む、C型肝炎の予防、治療又は改善用組成物。
- ピクノジェノールを含む、C型肝炎の予防、治療又は改善用組成物であって、インターフェロンα投与を受けるC型肝炎患者に投与されることを特徴とする、前記組成物。
- C型肝炎ウイルスの感染又は複製を抑制する、請求項1又は2に記載の組成物。
- さらにリバビリンを含む、あるいは、リバビリンとともに投与される、請求項1ないし3に記載の組成物。
- 経口摂取される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
- 医薬組成物又は食品組成物である、請求項1ないし5に記載の組成物。
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