JP2012250903A - ガラスセラミック複合材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】内部の気孔を低減し得るとともに、高性能な高周波回路に十分対応可能な低誘電損失特性を有するガラスセラミック複合材料を提供する。
【解決手段】ガラス組成として、質量%で、SiO 30〜60%、BaO 10〜40%、CaO 0〜30%、MgO 0〜30%を含有し、質量比で、1<SiO/BaO<3の関係を満たすガラス粉末と、Al成分を含有するセラミック粉末と、を含有するガラスセラミック複合材料であって、熱処理によって、主結晶としてセルジアン結晶を析出することを特徴とするガラスセラミック複合材料。
【選択図】なし

Description

本発明はガラスセラミック誘電体を作製するために用いられるガラスセラミック複合材料に関するものである。
従来より、IC、LSI等が高密度実装されるセラミック多層基板、厚膜回路部品、半導体パッケージ等の絶縁材料としてガラスセラミック誘電体が知られている。通信機器の分野においては、利用される周波数帯域が0.1GHz以上の高周波となりつつあり、このような高周波帯域を利用する多層基板等の絶縁材料として使用可能な結晶性ガラス組成物の開発が進められている。また、高性能な高周波回路基板や誘電体フィルター等には低誘電損失特性が求められている。
さらに、近年、電子部品に対してますます小型化、薄型化のニーズが高まっており、電子部品に用いられる基板についても薄型化が求められている。当該基板には、例えば結晶性ガラス粉末を含むガラスセラミック粉末を焼成して得られる、ディオプサイド結晶(2SiO・CaO・MgO)を析出してなるガラスセラミック誘電体が使用される(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−120436号公報
ところで、基板の薄型化が進む中、ガラスセラミック誘電体内部に微小な気孔(空隙)が存在すると、配線が断線しやすくなる。また、気孔が原因で誘電損失も増大する傾向にある。
ガラスセラミック誘電体内部に発生する気孔は、原料結晶性ガラス粉末の焼結工程において、結晶化による非流動部分の形成速度が速く、焼結体全体の軟化変形が阻害されることが原因となって生じる。すなわち、結晶性ガラス粉末が軟化変形することなく結晶化が進行すると、結晶化に伴う体積収縮が焼結体全体にいきわたらず、各ガラス粉末間の空隙に気孔が残存する。
そこで、焼成時における結晶化速度を遅くして焼結体の軟化変形を可能にし、焼結体全体を均一に収縮させれば、ガスの放出やガラス相へのガスの溶解も促進され、気孔が残存しにくくなると考えられる。結晶化速度を遅くするためには、結晶化後にガラス相が残存するように、結晶性ガラスの組成をディオプサイド結晶の化学量論組成からずらすことが有効であると考えられる。しかしながら、ガラスセラミック誘電体中における残存ガラス相の割合が多すぎると、誘電損失上昇の原因となる。特に、残存ガラス相が多成分系組成である場合、誘電損失の上昇が顕著であり、高周波回路基板への使用が困難になる。
そこで、本発明は、内部の気孔を低減し得るとともに、高性能な高周波回路に十分対応可能な低誘電損失特性を有するガラスセラミック複合材料を提供することを目的とする。
本発明は、ガラス組成として、質量%で、SiO 30〜60%、BaO 10〜40%、CaO 0〜30%、MgO 0〜30%を含有し、質量比で、1<SiO/BaO<3の関係を満たすガラス粉末と、Al成分を含有するセラミック粉末と、を含有するガラスセラミック複合材料であって、熱処理によって、主結晶としてセルジアン結晶を析出することを特徴とするガラスセラミック複合材料に関する。
セルジアン結晶は、析出時の体積収縮率が比較的小さい。本発明のガラスセラミック複合材料は、熱処理によりセルジアン結晶を主結晶として析出するため、結晶時の体積収縮に伴う気孔の発生を抑制しながら、残存ガラス相を低減することができる。これにより、気孔率が小さく誘電損失が小さいガラスセラミック誘電体を作製することが可能となる。
また、本発明では、セラミック粉末としてAl成分を含有するものを用いているため、熱処理により、セラミック粉末中のAl成分と、ガラス粉末中に含まれるSi成分やBa成分が反応してセルジアン結晶が析出しやすくなる。この場合、セラミック粉末中のAl成分が結晶析出を促進して比較的低温でセルジアン結晶が析出するため、ガラスマトリクス中からガスが発生しにくく、気孔率の低いセラミック誘電体を得ることが可能となる。なお、Al成分を含有しないセラミック粉末を用いた場合であっても、ガラス粉末がAl成分を所定量含有していると、セルジアン結晶が析出する場合もある。しかしながら、その場合、比較的高温でセルジアン結晶が析出するため、ガラスマトリクス中からガスが発生して、ガラスマトリクス中に気孔が残存しやすくなる。
なお、セルジアン結晶は化学式BaAlSiで表される結晶である。本発明において、「セルジアン結晶」とは、セルジアン結晶だけでなくセルジアン固溶体結晶も含む。
また、「熱処理」とは、セルジアン結晶の結晶化開始温度以上で結晶化を充分に進行させることを意味し、例えば800〜1000℃で20分以上の熱処理をいう。
第二に、本発明のガラスセラミック複合材料は、セラミック粉末が、アルミナ、ムライト、コージェライト、カルシウム長石、ナトリウム長石、カリウム長石、アルミン酸バリウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、チタン酸アルミニウム、スピネル、窒化アルミニウムから選ばれる一種類以上であることが好ましい。
第三に、本発明のガラスセラミック複合材料は、ガラス粉末60〜98質量%およびセラミック粉末2〜40質量%を含有することが好ましい。
第四に、本発明は、前記いずれかのガラスセラミック複合材料を焼成してなることを特徴とするガラスセラミック誘電体に関する。
第五に、本発明のガラスセラミック複合材料は、セルジアン結晶を50質量%以上含有することが好ましい。
第六に、本発明のガラスセラミック誘電体は、気孔率が3体積%以下であることが好ましい。
第七に、本発明のガラスセラミック誘電体は、誘電率εが6〜11、かつ、周波数0.1GHz以上での誘電損失tanδが30×10−4以下であることが好ましい。
なお、本発明において、誘電率εおよび誘電損失tanδは25℃における測定値をいう。
本発明において使用されるガラス粉末は、ガラス組成として、質量%で、SiO 30〜60%、BaO 10〜40%、CaO 0〜30%、MgO 0〜30%を含有し、質量比で、1<SiO/BaO<3の関係を満たす。以下に、ガラスの組成を上記のように限定した理由を述べる。なお、以下の成分含有量の説明において、「%」は特に断りのない限り「質量%」を意味する。
SiOはガラスのネットワークフォーマーであるとともに、セルジアン結晶の構成成分である。SiOの含有量は30〜60%、特に35〜55%であることが好ましい。SiOの含有量が少なすぎると、ガラス化しにくくなる。一方、SiOの含有量が多すぎると、低温焼成(例えば1000℃以下)が困難になる傾向がある。また、セルジアン結晶が析出しにくくなり、誘電損失が大きくなる傾向がある。
BaOはセルジアン結晶の構成成分であり、その含有量は10〜40%、特に12〜35%であることが好ましい。BaOの含有量が少なすぎると、セルジアン結晶が析出しにくくなる。一方、BaOの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる。
ここで、SiOとBaOの比(質量比)を特定の範囲に制限することで、ガラス粉末とセラミック粉末との反応によりセルジアン結晶が効率的に析出し、気孔率の低いガラスセラミック複合材料が得られやすくなる。具体的には、1<SiO/BaO<3、特に、1.05≦SiO/BaO≦2.95の関係を満たすことが好ましい。SiO/BaOが小さすぎると、ガラス化しにくくなる。一方、SiO/BaOが大きすぎると、気孔率が高くなる傾向がある。その理由は以下のように考えられる。SiO/BaOが大きくなると、SiOの割合が大きくなることにより、ガラスが安定化して結晶析出温度が上昇する。結晶析出温度が上昇すると、それに合わせて焼成温度も高くなる。焼成温度が高くなると、ガラス粉末表面付着物(アルカリ金属炭酸塩やアルカリ土類金属炭酸塩等)の揮発等が原因となり、ガラスマトリックス中からガスが発生しやすくなり、焼結体中に気孔が残存しやすくなる。
CaOは溶融温度を低下させる成分であり、その含有量は0〜30%、特に1〜25%であることが好ましい。CaOの含有量が多すぎると、ガラスの流動性が低下する傾向がある。
MgOは溶融温度を低下させる成分であり、その含有量は0〜30%、特に1〜25%であることが好ましい。MgOの含有量が多すぎると、ガラス化しにくくなる傾向がある。
なお、SiO−BaO系ガラスは一般に溶融温度が高い傾向があるが、CaOやMgO等のアルカリ土類酸化物を加えることで溶融温度を低下させることができ、量産性に優れたガラスとすることができる。例えば、CaO+MgOが1%以上、特に2%以上であると、溶融温度を効果的に低下させることができる。
ガラス粉末には、上記成分以外にも下記の成分を添加することができる。
Alはガラスを安定化させるための成分であり、その含有量は0〜20%、特に0.1〜10%であることが好ましい。Alの含有量が多すぎると、ガラス溶融温度が高くなり、生産性が低下する傾向がある。また、ガラス粉末のAl成分を由来とするセルジアン結晶が析出しやすくなり、既述の理由から、残存ガラスマトリクス中に気孔が発生しやすくなる。
ZnOはガラス化を容易にする成分であり、その含有量は0〜20%、特に0.1〜15%であることが好ましい。ZnOの含有量が多すぎると、結晶性が低下してセルジアン結晶の析出量が少なくなる傾向がある。その結果、ガラスセラミック誘電体の誘電損失が大きくなりやすい。
CuOは、絶縁材料基板において配線として使用されるAgによるガラスセラミック誘電体の着色を抑制する効果がある。CuOの含有量は0〜1%、特に0.01〜0.2%であることが好ましい。CuOの含有量が多すぎると、ガラスセラミック誘電体の誘電損失が大きくなりすぎる傾向がある。
またCeO、MnO、Sb、SnOも、CuOと同様にAgによるガラスセラミック誘電体の着色を抑制する効果がある。これらの成分の含有量はそれぞれ0〜1%、特に0.01〜0.8%であることが好ましい。これらの成分の含有量が多すぎると、ガラスセラミック誘電体の誘電損失が大きくなりすぎる傾向がある。
TiO、ZrOはガラスセラミック誘電体の耐薬品性(耐酸性、耐アルカリ性)を向上させる効果がある。これらの成分の含有量はそれぞれ0〜15%、特に0.1〜13%であることが好ましい。これらの成分の含有量が多すぎると、ガラスセラミック誘電体の誘電損失が大きくなりすぎる傾向がある。
また上記成分以外にも、本発明の特性を損なわない範囲で、SrO、Nb、La、Y、P、B、Bi等の他の成分を合量で30%まで添
加してもよい。
ガラス粉末の平均粒径D50は10μm以下、特に5μm以下であることが好ましい。平均粒径D50が大きすぎると、ガラスセラミック誘電体中に気孔が発生しやすくなる。一方、ガラス粉末の平均粒径D50の下限は特に限定されないが、取り扱いやすさや加工コストの観点から0.1μm以上であることが好ましい。
本発明のガラスセラミック複合粉末に使用されるセラミック粉末はAl成分を含有する。Al成分を含有するセラミック粉末としては、アルミナ、ムライト、コージェライト、カルシウム長石、ナトリウム長石、カリウム長石、アルミン酸バリウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、チタン酸アルミニウム、スピネル、窒化アルミニウムが挙げられる。これらのセラミック粉末は、単独または2種類以上を混合して用いても構わない。
セラミック粉末の平均粒径D50は0.01〜100μm、特に0.1〜50μmであることが好ましい。セラミック粉末の平均粒径D50が小さすぎると、ガラス中に溶け込み、熱膨張係数、靭性、誘電率、耐薬品性等の特性改善に効果が見られにくい。一方、セラミック粉末の平均粒径D50が大すぎると、熱処理時のガラス流動の妨げとなり、ガラスセラミック誘電体中に気孔が発生しやすくなる。
なお、熱膨張係数、靭性、誘電率、耐薬品性等の特性を改善する目的で、必要に応じてクォーツ粉末、ジルコン粉末、チタニア粉末、ジルコニア粉末等のAl成分を含有しないセラミック粉末あるいは石英ガラス粉末等を添加しても構わない。また、必要に応じてセラミック顔料を添加して着色することもできる。これにより、ガラスセラミック誘電体のサイズが小さい場合であっても、肉眼やCCDカメラ等による識別性が良好なものとなる。さらに、結晶核としてセルジアン結晶物を0.1〜1質量%程度添加することで結晶化度の向上を図ることが可能となる。
なお、本発明において、ガラス粉末およびセラミック粉末の粒径はレーザー回折散乱法により測定された値をいう。
本発明のガラスセラミック複合材料は、ガラス粉末60〜98質量%およびセラミック粉末2〜40質量%、ガラス粉末63〜95質量%およびセラミック粉末5〜37質量%、特にガラス粉末65〜90質量%およびセラミック粉末10〜35質量%を含有することが好ましい。ガラス粉末の含有量が少なすぎる(またはセラミック粉末の含有量が多すぎる)と、ガラスセラミック誘電体の緻密化が困難となる傾向がある。一方、ガラス粉末の含有量が多すぎる(またはセラミック粉末の含有量が少なすぎる)と、セルジアン結晶が析出しにくくなる。
本発明のガラスセラミック複合材料を、ガラス粉末の結晶化開始温度以上で熱処理することにより、主結晶としてセルジアン結晶が析出したガラスセラミック誘電体が得られる。なお、セルジアン結晶以外にも、本発明の特性を損なわない範囲で、ディオプサイド、コージェライト(MgAlSi18)、ストロンチウム長石(SrAlSi)、カルシウム長石結晶(CaAlSi)、スピネル(MgAl)等が析出してもかまわない。
ガラスセラミック誘電体中に析出する結晶が2種類以上である場合、各結晶の結晶化温度のうち最も高い温度(最高結晶化温度)と最も低い温度(最低結晶化温度)の差が100℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、20℃以内であることがさらに好ましい。最高結晶化温度と最低結晶化温度の差が大きすぎると、最低結晶化温度に対応する結晶が析出してから最高結晶化温度に対応する結晶が析出するまでの間に、ガラス相からガスが発生しやすくなり、得られるガラスセラミック誘電体の気孔率が高くなる傾向がある。なお、結晶化温度は示差熱分析(DTA=Differential Thermal Analysis)により求めることができる。
上記のような最高結晶化温度と最低結晶化温度の関係は、ガラス組成の成分配合比を適宜調整することにより制御することができる。例えば、ガラスセラミック誘電体中にセルジアン結晶に加えディオプサイド結晶を析出させる場合、ガラス組成におけるBaO/CaO(質量比)が1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。BaO/CaOが小さすぎると、最高結晶化温度と最低結晶化温度の差が大きくなりすぎる傾向がある。あるいは、セルジアン結晶が主結晶として析出しにくくなり、既述の体積収縮抑制効果が得られにくくなるため、気孔率が増大する傾向がある。なお、BaO/CaOが大きすぎると、熱処理後に残存するガラス相が多くなってガラス相からガスが発生しやすくなるため、気孔率が増大する傾向がある。そのため、BaO/CaOは6以下であることが好ましく、5以下であることが好ましい。
また、ガラスセラミック複合材料に用いるガラス粉末の密度と、ガラスセラミック誘電体中に析出する結晶の密度の差は、0.5g/cm以下であることが好ましく、0.3g/cm以下であることがより好ましく、0.2g/cm以下であることがさらに好ましい。結晶が2種類以上析出する場合も、最大密度を示す結晶とガラス粉末の密度の差が上記範囲を満たすことが好ましい。ガラスセラミック複合材料に用いるガラス粉末の密度と、ガラスセラミック誘電体中に析出する結晶の密度の差が上記範囲を満たすことにより、ガラスセラミック複合材料の結晶化に伴って生じる体積収縮変化が小さくなるため、気孔の発生率を低減することができる。
ガラスセラミック誘電体におけるセルジアン結晶の含有量は50質量%以上、特に55質量%以上であることが好ましい。セルジアンの含有量が少なすぎると、誘電損失が大きくなる傾向がある。
ガラスセラミック誘電体における残存ガラス相は30質量%以下、特に20質量%以下であることが好ましい。残存ガラス相が多すぎると、誘電損失が大きくなる傾向がある。
ガラスセラミック誘電体における気孔率は3体積%以下、特に2体積%以下であることが好ましい。気孔率が大きくなると、絶縁材料基板として用いた場合に配線が断線しやすくなったり、誘電損失が大きくなる傾向がある。
ガラスセラミック誘電体は、25℃において、誘電率が6〜11、特に6〜10であり、0.1GHz以上の高周波領域における誘電損失tanδが30×10−4以下、特に28×10−4以下であることが好ましい。
次に、本発明のガラスセラミック複合材料およびガラスセラミック誘電体の製造方法を説明する。
まず、所定のガラス組成となるように原料粉末を調製し、例えば1300〜1650℃で溶融する。溶融ガラスを成形、冷却した後、粉砕することによりガラス粉末を得る。得られたガラス粉末とAl成分を含有するセラミック粉末を混合することによりガラスセラミック複合材料が得られる。
ガラスセラミック複合材料に対し、所定量の結合剤、可塑剤および溶剤を添加してスラリーを調製する。結合剤としては、例えばポリビニルブチラール樹脂、メタアクリル酸樹脂等、可塑剤としては、例えばフタル酸ジブチル等、溶剤としては、例えばトルエン、メチルエチルケトン等を使用することができる。
得られたスラリーをドクターブレード法によってグリーンシートに成形する。グリーンシートを乾燥させ、所定寸法に切断する。必要に応じて、機械的加工を施してスルーホールを形成し、導体や電極となる低抵抗金属材料をスルーホールおよびグリーンシート表面に印刷する。続いてグリーンシートを複数枚積層し、熱圧着によって一体化する。
さらに積層グリーンシートを、例えば800〜1000℃、特に850〜950℃で焼成することによってガラスセラミック複合材料内部にセルジアン結晶を析出させ、ガラスセラミックからなる絶縁層を有する多層基板、つまりガラスセラミック誘電体を得ることができる。
なお、ここでは本発明のガラスセラミック誘電体を多層基板に適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば厚膜回路部品や半導体パッケージ等の電子部品材料に適用することも可能である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1〜3は本発明の実施例(試料No.1〜14)および比較例(試料No.15〜19)を示している。
各試料は以下のように調製した。まず表に示す組成となるように原料粉末を調製し、1550℃で溶融後、成形、冷却することによりガラスを作製した。得られたガラスを粉砕し、平均粒径D50が2μmのガラス粉末を作製した。
各ガラス粉末に対し、表に示すセラミック粉末を所定の割合で混合し、表に示す焼成温度で20分間保持して結晶を析出させ、ガラスセラミック誘電体を得た。ガラスセラミック誘電体について、析出結晶を同定し、析出結晶およびガラス相の割合、気孔率、25℃における誘電率および誘電損失を測定した。結果を表1〜3に示す。
ガラスセラミック誘電体における析出結晶は、粉末X線回折装置(株式会社リガク RINT2100)によって同定した。析出結晶および残存ガラス相の割合はX線回折パターンから多重ピーク分離法により算出した。
気孔率は、ガラスセラミック誘電体断面のSEM像を画像解析することにより求めた。画像解析には三谷商事株式会社のWINROOFを使用した。以下に画像解析の手順を示す。
SEM像において気孔部分の輪郭は、エッジ効果によりガラスマトリクス部分より明るく映し出される。そこで、WINROOFを用いてSEM像を2値化処理し、気孔部分の輪郭とガラスマトリクス部分を色別けした。さらに、気孔内部も気孔部分の輪郭と同じ色で塗りつぶすことで、気孔部分とガラスマトリクス部分を色分けした。その後、以下の式に従って気孔率を算出した。なお、ガラスセラミック誘電体断面における気孔の面積率は、ガラスセラミック誘電体における気孔の体積率と等しいことが一般的に知られている(例えば、清宮義博著、「複合材料中の粒子の体積率と面積率の関係」、明星大学理工学部研究紀要 42号、2006年発行、p.21〜24参照)。
気孔率(体積%)=(気孔部分の総面積/処理画像の総面積)×100
誘電率および誘電損失はハッキーアンドコールマン法(測定周波数10GHz)により求めた。
ガラス粉末の密度は、同じガラス組成を有するバルク状のガラスを用いてアルキメデス法にて求めた。
析出結晶の密度は、粉末X線回折によって得られた回折ピークにつき、ICDDデータベースから結晶を同定し、その結晶のICDDデータベース中に記載された密度を採用した。
結晶化温度は、0.5gのガラスセラミック複合材料につき、DTA装置(RIGAKU TAS−300)を用いて昇温速度10℃/minの条件で測定して得られたチャートから求めた。
表1〜3から明らかなように、実施例であるNo.1〜14では、主結晶としてセルジアン結晶が析出し、気孔率は2体積%以下と低かった。また、10GHzの周波数で誘電率が7〜9、誘電損失が10〜28×10−4と低かった。
一方、比較例であるNo.15では、セルジアンが析出しなかったため、気孔率が5体積%と大きくなった。No.16では、ガラス化しなかった。No.17では、結晶が析出しなかったため、誘電損失が40×10−4と大きくなった。No.18では、主結晶としてセルジアン結晶が析出したものの、気孔率が10%と大きかった。No.19では、主結晶としてセルジアン結晶が析出したものの、気孔率が7%と大きかった。
本発明のガラスセラミック複合材料は、内部の気孔が少なく高周波帯域において誘電損失が小さいため、小型または薄型の多層基板、マイクロ波用回路部品、パッケージ等に使用されるガラスセラミック誘電体用材料として好適である。

Claims (7)

  1. ガラス組成として、質量%で、SiO 30〜60%、BaO 10〜40%、CaO 0〜30%、MgO 0〜30%を含有し、質量比で、1<SiO/BaO<3の関係を満たすガラス粉末と、Al成分を含有するセラミック粉末と、を含有するガラスセラミック複合材料であって、熱処理によって、主結晶としてセルジアン結晶を析出することを特徴とするガラスセラミック複合材料。
  2. セラミック粉末が、アルミナ、ムライト、コージェライト、カルシウム長石、ナトリウム長石、カリウム長石、アルミン酸バリウム、アルミン酸カルシウム、アルミン酸マグネシウム、チタン酸アルミニウム、スピネル、窒化アルミニウムから選ばれる一種類以上であることを特徴とする請求項1に記載のガラスセラミック複合材料。
  3. ガラス粉末60〜98質量%およびセラミック粉末2〜40質量%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のガラスセラミック複合材料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のガラスセラミック複合材料を焼成してなることを特徴とするガラスセラミック誘電体。
  5. セルジアン結晶を50質量%以上含有することを特徴とする請求項4に記載のガラスセラミック誘電体。
  6. 気孔率が3体積%以下であることを特徴とする請求項4または5に記載のガラスセラミック誘電体。
  7. 誘電率εが6〜11、かつ、周波数0.1GHz以上での誘電損失tanδが30×10−4以下であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のガラスセラミック誘電体。
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